説明

食材充填カップにおけるカップと蓋の柄合わせ装置

【課題】 本発明は、カップの側面柄と蓋の上面柄の柄合わせを確実簡易に行うことのできる食材充填カップにおけるカップと蓋の柄合わせ装置を新規に提供するものである。
【構成】 本発明は、間歇走行するリテーナーコンベアに側面柄を付したカップを無雑作に吊下げして該カップ内に食材を充填するようにした装置において、該リテーナーコンベアの食材充填後の間歇走行区間下に食材を充填したカップを吸着してリテーナーコンベア上に上動し回転させる手段と該手段のリテーナーコンベアを挟んだ上方に該カップ内食材のはね飛散を防止するはね防止板と、上動した該カップの側方にカップの側面柄を読み取って一方向に向け揃えする回転制御センサーとを設けて、食材を充填した各カップの側面柄を該リテーナーコンベア上において一方向に向け揃えして、同方向に上面柄を向けた蓋の被着により各カップの側面柄と蓋の上面柄とを直列に柄合わせするようにしたのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食材充填カップにおけるカップと蓋の柄合わせ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置としては特許第942396号公報がある。該公報は走行路上に無雑作に載せた柄付のカップをスライドプレートにて斜め上方に滑り上がらせてからターンテーブル上に乗せ、ターンテーブルの柄合わせ回転にて各カップの柄を合わせるようにしたことを記載している。
【特許文献1】特許第942396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の公報は走行路上のカップをスライドプレート上とターンテーブル上の2回に亘って乗せかえるので、カップは乗りかえの際につまずいて倒れたりするという課題がある。これを解消するためにカップガイドを設けたり滑り止め加工を施すなど、余分な手段を要して構成を複雑にして、保守,点検を容易でないものにしているという課題がある。
また、カップの柄合わせにとどまっていて、カップと蓋の柄合わせの記載がないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、無雑作に吊下げ走行する各カップの食材充填後のリテーナーコンベアの間歇走行区間下に食材を充填したカップを吸着してリテーナーコンベア上に浮き離し上動して回転させる手段と、リテーナーコンベアを挟んだ該手段の直列上にカップ内食材のはね飛散を防止するはね防止板と、カップの上動位置の側方にカップの側面柄を読み取って一方向に向け揃えする回転制御用のセンサーとを設けて、食材を充填した各カップの側面板を一方向に向け揃えして、同方向に上面柄を向けた蓋を各カップに被着して各カップの側面柄と蓋の上面柄とを直列において柄合わせするようにして、かかる課題を解決するようにしたのである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、食材を充填したカップをリテーナーコンベア上に上動して吊下げを解いて自由にしておいて側面柄を一方向に向け揃えするので、正確に柄を向け揃えすることができるという効果を生ずる。
【0006】
カップを吸着して上動するので、カップは回転しても倒れず、また落下,脱落することもないという効果を生ずる。
【0007】
はね防止板がカップの上動反力による食材のはね飛散を当て抑えるので、カップ内充填の食材のはね飛散が防止されるという効果を生ずる。はね防止板はカップの上動接触によって弾力をもって微上下動し、フリー回転するので、はね飛びする食材をカップ内に確実に戻し入れるという効果を生ずる。
【0008】
カップと蓋を一方向に向け揃えして合わせるので、両者は容易に柄会わせされるという効果を生ずる。
【0009】
柄合わせ装置が単純なので、保守点検が容易であるという効果を生ずる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、間歇走行するリテーナーコンベアに無雑作に吊下げする側面柄を付した各カップの食材充填後のリテーナーコンベアの区間下に該カップを浮き上げて自由にして回転させる吸着上動し回転させる手段と、該コンベアを挟んだ直上にカップ内食材のはね飛散を防止するはね防止板とおよび回転制御用のセンサーとを設けて、食材を充填して吊下げ走行する各カップを吸着上動手段にて吸着上動してリテーナーコンベアによる吊下げを解いて自由にして回転させてセンサーの制御作用によりカップの側面柄が所定の方向に向いた点で回転を止めることで各カップ間の側面柄を一方向に向け合わせ、該カップ列を印刷により一方向に揃え向けした蓋列に合わせて着蓋することでカップと蓋の柄を直列において合わせ揃えするのである。
【実施例1】
【0011】
リテーナーコンベア1の各吊下げ穴2に側面柄3aを付したカップ3を無雑作に吊下げて間歇走行させる。各カップ3の側面柄3aはバラバラの方向に向いている。
【0012】
該コンベア1はカップ内に食材を充填した後の蓋被せ前におけるカップ3の走行区間下にエアー吸引する吸着面4aを上面に設けた上下動回転手段4を設け、その上方であるコンベア1上の適当な位置にはね防止板5と側方にセンサー6とを設ける。
【0013】
食材を充填した各カップ3は、上下動回転手段4の上動により底面が吸着面4aに吸引吸着して固定した状態でコンベア1上に上動して吊下げ面から浮き離されて自由の状態にて回転し、センサー6の停止指令により側面柄3aが所定の一方向に向いた点で停止して柄を一方向に向け揃えする。
【0014】
次いで各カップ3は蓋被せラインに運ばれて、同一方向に印刷揃えした上面柄7aを付した蓋7の着蓋にてカップ3の側面柄3aと蓋7の上面柄7aが直列に合わされてコンベアの最終端に至ることとなる。
【0015】
リテーナーコンベア1の6列等の各吊下げ穴2に商品名などのロゴ文字・絵などの側面柄3aを印刷した丼形のカップ3を無雑作に吊下げて間歇走行させる。カップ3の側面柄3aはバラバラの方向を向いている。各吊下げカップ3内に公知の麺入れ手段および具材充填手段(ともに図示してない)にて麺とスープ,具材等の食材を充填した後の蓋被せライン前の走行区間の間歇停止位置下に外部の真空ポンプ(図示してない)に接続するエアー吸引用の吸着面4aを上面に向けた上下動回転手段4を設け、その直上、コンベア1の上方に上動したカップ3の開放上面を当て塞いで食材のはね飛散を防止するためのはね防止板5を設ける。はね防止板5はカップ3の開放上面よりやや大きく形成された平板形をして、スプリング等の緩衝機構5aを挟んで水平に吊下げられて弾力的に微上下動し、且つベアリング5b支持にてフリー回転するようになっている。はね防止板5下の側方にカップ3の側面を向いて上動停止後に回転するカップ3の側面柄3a中の目印柄3bを光学的に検知して上下動回転手段4に回転停止の検知信号を送って停止制御する回転制御センサー6を設ける。4bは回転用のサーボモータである。
【0016】
図1(a)に示すように、側面柄3aがバラバラの向きで食材の充填を終了した吊下げカップ3列が間歇停止すると、上下動回転手段4が上動し、カップ3の底面をエアー吸引して吸着固定する。引続く上動にてカップ3はリテーナーコンベア1の吊下げが解かれて自由となり、カップ3の開放面3cが上方のはね防止板5に当接した点で上動は停止する(図1(b))。カップ3の開放上面がはね防止板5にて閉塞されるため、カップ3内の食材が上動・停止のショックではね飛散してこぼれ落ちることは確実に防止される。また、はね防止板5は緩衝機構5aを設けているので高速で上動し来たるカップ3をやわらかく受止めてカップ3の縁などが損傷することを防止する。上動回転機構4は上動後に回転を開始する。はね防止板5は抵抗なくフリー回転するようになっているのでカップ3の開放上面を塞いだまま一緒に回転して、遠心力で飛び出そうとする食材をカップ3内に確実に戻し入れることとなる。回転するカップ3は回転制御センサー6が予め記憶している目印柄3bを検知した状態、すなわち側面柄3aが所定の一方向を向いた点で停止信号をサーボモータ4bに送り回転を止めるのである(図1(c))。それぞれのカップ3について同様の回転制御が行われることで無雑作に供給されてバラバラの向きであった6列のカップ3の側面柄3aのすべてが所定の一方向を向いて揃うこととなる。カップ3は吸着面4aのエアー吸引にて固定されるので、上下動および回転しても倒れたり脱落したりするおそれはなく、また回転時は上動してリテーナーコンベア1から離れて自由となっているのでカップ3の側面および側面柄3aがコンベア1にこすれて傷ついたりすることは生じないのである。
【0017】
回転による側面柄3aの方向揃え作業を終了した各カップ3は、上下動回転手段4の下動と吸着解きによりコンベア1に再び吊下げられ、コンベア1の走行により蓋被せライン8に至り、同一方向に揃えて印刷された上面柄7aを有して供給されるシール蓋7の熱シールにより開放上面を閉蓋されることとなる。カップ3の側面柄3aとシール蓋7の上面柄7aは直列において柄合わせされる。
【0018】
以上のようにして、カップ3の側面柄3aとシール蓋7の上面柄7aは直列にて合わされることで、販売店における陳列の際のディスプレイ効果を高めるとともに購買者に好印象を与えるものとなる。なお、実施例図面では文字のみの柄揃えを示しているが、蓋の上面柄7aとカップの側面柄3aが一体に連なるような複雑な形状の柄合わせも正確に行うことができる。また目印柄3bは格別に設けることなくして文字・図柄中の確実に検知しやすい部分を目印柄3aとして利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、食材充填カップの側面柄と蓋の上面柄の柄合わせ用として広く利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は食材を充填したカップが間歇停止した状態の拡大部分正面図、(b)は同、カップが上下動回転手段にて吸着され上動した状態を示す正面図、(c)は同、カップが回転して側面柄が所定の一方向を向いたときに停止した状態を示す正面図
【図2】蓋被せラインにおいて側面柄が所定方向に揃えられたカップとシール蓋の上面がらが直列に相対した状態を示す説明図
【図3】閉蓋したカップを示す斜視図
【符号の説明】
【0021】
1はリテーナーコンベア
2は吊下げ穴
3はカップ
3aはカップの側面柄
3bは目印柄
4は上下動回転手段
4aは吸着面
4bはサーボモータ
5ははね防止板
6は回転制御用のセンサー
7は蓋
7aは上面柄
8は蓋被せライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間歇走行するリテーナーコンベアに側面柄を付したカップを無雑作に吊下げして該カップ内に食材を充填するようにした装置において、該リテーナーコンベアの食材充填後の間歇走行区間下に食材を充填したカップを吸着してリテーナーコンベア上に上動し回転させる手段と該手段のリテーナーコンベアを挟んだ上方に該カップ内食材のはね飛散を防止するはね防止板と、上動した該カップの側方にカップの側面柄を読み取って一方向に向け揃えする回転制御センサーとを設けて、食材を充填した各カップの側面柄を該リテーナーコンベア上において一方向に向け揃えして、同方向に上面柄を向けた蓋の被着により各カップの側面柄と蓋の上面柄とを直列に柄合わせするようにしたことを特徴とする食材充填カップにおけるカップと蓋の柄合わせ装置。
【請求項2】
はね防止板はカップの上動接触に応じて弾力をもって微上下動しフリー回転する請求項1に記載のカップと蓋の柄合わせ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−113855(P2009−113855A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292070(P2007−292070)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(593178317)株式会社シンセイ (16)
【Fターム(参考)】