説明

駐車場案内装置

【課題】乗員の特性に適した徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場を案内できるようにする。
【解決手段】目的地の周辺に存在する駐車場候補を検索し(S212)、複数の駐車場候補が検索された場合、検索された複数の駐車場候補の各々から目的地に至る各徒歩経路を決定し(S216)、歩行者用の通路に関する条件を示した歩行者用通路情報を格納したデータベースを参照して、各徒歩経路に対し、乗員の特性に適しているかの評価を行い、評価の最も高い徒歩経路を最適徒歩経路として決定し(S218)、最適徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場を案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地の周辺に存在する駐車場候補を検索して案内する駐車場案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地周辺駐車場検索を実施し、複数の周辺駐車場が検索された場合、駐車場の混雑状況を示す情報、駐車場の満車状況を示す情報、駐車場の入口に進入するための所要時間を示す情報などを考慮して候補経路を評価し、当該候補経路のうちから最適経路を選定する経路探索装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、車両に搭載された各種のセンサからの検出信号に基づいて到着地の天候や気温答を予測し、この到着地の天候や気温等が雨天や酷暑である場合に、屋根付き駐車場を優先的に案内するようにした装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−263581号公報
【特許文献2】特開2004−325181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された装置は、いずれも乗員の特性を考慮して経路や駐車場を案内するようになっていない。このため、例えば、駐車場から目的地までの徒歩経路に歩道橋が含まれるような駐車場が案内されてしまい、車椅子の利用者が駐車場から目的地に容易に到達できないといった状況が生じることが考えられる。
【0005】
本発明は上記点に鑑みたもので、乗員の特性に適した徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場を案内することが可能な駐車場案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両に乗車する乗員の特性を識別する乗員特性識別手段と、目的地の周辺に存在する駐車場候補を検索する駐車場候補検索手段と、駐車場候補検索手段により複数の駐車場候補が検索された場合、検索された複数の駐車場候補の各々から目的地に至る各徒歩経路を決定する徒歩経路決定手段と、歩行者用の通路に関する条件を示した歩行者用通路情報を格納したデータベースを参照して、徒歩経路決定手段により決定された各徒歩経路の中から、乗員特性識別手段により識別された乗員の特性に適した最適徒歩経路を決定する最適徒歩経路決定手段と、最適徒歩経路決定手段により決定された最適徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場候補を目的地周辺の駐車場として案内する案内手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、歩行者用の通路に関する条件を示した歩行者用通路情報を格納したデータベースを参照して、複数の駐車場候補の各々から目的地に至る各徒歩経路の中から乗員の特性に適した最適徒歩経路が決定され、この最適徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場候補が目的地周辺の駐車場として案内される。すなわち、乗員の特性に適した徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場を案内することが可能である。
【0008】
最適徒歩経路決定手段は、請求項2に記載の発明のように、車両に乗車する乗員に子供が含まれると識別された場合、歩道情報に基づいて、歩道が整備された区間の比率の高い徒歩経路ほど評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定することができる。
【0009】
また、最適徒歩経路決定手段は、請求項3に記載の発明のように、車両に乗車する乗員に子供が含まれると識別された場合、歩道橋情報に基づいて、歩道橋を利用して目的地に到達する徒歩経路ほど評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定することができる。
【0010】
また、最適徒歩経路決定手段は、請求項4に記載の発明のように、車両に乗車する乗員に子供が含まれると識別された場合、歩道幅員情報に基づいて、歩道の幅員の広い区間の比率の高い徒歩経路ほど評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定することができる。
【0011】
また、最適徒歩経路決定手段は、請求項5に記載の発明のように、車両に乗車する乗員に高齢者または障害者が含まれると識別された場合、歩道橋情報に基づいて、歩道橋を利用して目的地に到達する徒歩経路よりも歩道橋を利用せずに目的地に到達する徒歩経路の評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定することができる。
【0012】
また、最適徒歩経路決定手段は、請求項6に記載の発明のように、車両に乗車する乗員に高齢者または障害者が含まれると識別された場合、バリアフリー情報に基づいて、バリアフリー対策がなされていない通路を通行して目的地に到達する徒歩経路よりもバリアフリー対策がなされている通路を通行して目的地に到達する徒歩経路の評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定することができる。
【0013】
また、最適徒歩経路決定手段は、請求項7に記載の発明のように、車両に乗車する乗員に高齢者または障害者が含まれると識別された場合、歩道幅員情報に基づいて、歩道の幅員の広い区間の比率の高い徒歩経路ほど評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定することができる。
【0014】
また、最適徒歩経路決定手段は、請求項8に記載の発明のように、車両に乗車する乗員に女性が含まれると識別された場合、照明情報に基づいて、街路灯の整備された区間の比率の高い徒歩経路ほど評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る駐車場案内装置の構成を図1に示す。本駐車場案内装置は、車両に搭載されたナビゲーション装置1を用いて構成されている。ナビゲーション装置1は、現在位置検出装置10、記憶装置11、表示装置12、入力装置13および制御装置14を備えている。
【0016】
現在位置検出装置10は、地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサ、GPS受信機(いずれも図示せず)を有しており、これらセンサにより検出される車両の現在位置を特定するための情報を制御装置14へ出力する。
【0017】
記憶装置11は、ハードディスクドライブ(HDD)等の不揮発性の記憶媒体およびこの記憶媒体に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う装置から成る。記憶装置11の記憶媒体には、制御装置14が各種処理を実施するためのプログラムとともに、地図表示のための地図表示用地図データ、経路計算のための経路計算用地図データ、各種施設に関する施設データを格納したデータベース11aが記憶されている。地図表示用地図データには、川、湖、海、道路、鉄道、施設などの位置、形状、名称等を表す背景データが含まれる。また、経路計算用地図データには、道路リンクを特定するためのリンク番号、道路種別(道路格)、行政区域コード、リンク長等を表す道路リンク情報が含まれる。また、施設データには、各施設の名称、各施設の所在地、各施設のジャンル、各施設の駐車場の有無を示す駐車場情報等が含まれる。
【0018】
表示装置12は、液晶等のディスプレイを有し、制御装置14から入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【0019】
入力装置13は、表示装置12のディスプレイの前面に重ねて設けられたタッチスイッチ、表示装置12のディスプレイの周囲に配置されたメカニカルスイッチ等によって構成されており、ユーザのスイッチ操作に応じた信号を制御装置14へ出力する。
【0020】
制御装置14は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUは記憶装置11に記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0021】
制御装置14の処理としては、現在位置検出装置10より入力される情報に基づいて車両の現在位置および向きを特定する現在位置特定処理、現在位置周辺の地図上に自車位置マークを重ねて表示させる地図表示処理、ダイクストラ法等を用いて出発地から目的地に至る最適な案内経路を探索する経路探索処理、案内経路の従って走行案内を行う経路案内処理等がある。
【0022】
本実施形態における記憶装置11のデータベース11aには、上述した地図表示用地図データ、経路計算用地図データ、施設データとともに、歩行者用の通路に関する条件を示した歩行者用通路情報が格納されている。
【0023】
図2に、経路計算用地図データに含まれる道路リンク情報および歩行者用通路情報の詳細を示す。
【0024】
道路リンク情報には、リンク番号、道路種別(道路格)、行政区域コード、リンク長、幅員区分、車線数、交通規制、対応する基本道路リンク番号、道路リンクの始終点に接続されている交差点名称等の情報が含まれる。なお、これらの情報は、予め定められた区間(例えば、リンク)毎に対応付けられている。
【0025】
歩行者用通路情報には、歩道が整備されているか否かを示す歩道情報、歩道橋の幅員を示す歩道幅員情報、歩道橋の位置および当該歩道橋により接続される歩道を示す歩道橋情報、障害者または車椅子の利用者の通行に支障がないように歩行者用の通路にバリアフリー対策がなされているか否かを示すバリアフリー情報、街灯が整備されているか否かを示す照明情報が含まれる。これらの情報も、予め定められた区間(例えば、リンク)毎に対応付けられている。
【0026】
本実施形態におけるナビゲーション装置1は、車両に乗車する乗員の特性を識別してメモリに記憶する乗員者設定処理を実施するとともに、目的地の周辺に存在する駐車場候補を検索し、複数の駐車場候補が検索された場合、データベース11aに格納された歩行者用通路情報を参照して、乗員の特性に適した最適徒歩経路を決定し、この最適徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場候補を目的地周辺の駐車場として案内する周辺駐車場案内処理を実施する。
【0027】
まず、乗員者設定処理について説明する。運転者の操作に応じてイグニッションスイッチがオン状態になると、本ナビゲーション装置1は動作状態となり、制御装置14は、現在位置特定処理、地図表示処理等の各種処理とともに乗員者設定処理を実施する。
【0028】
この乗員者設定処理では、まず、図3に示すような乗員者設定メニュー画面を表示させ、ユーザに車両に乗車する乗員の特性を選択させる。本実施形態では、車両に乗車する乗員の特性として、「子供」、「高齢者」、「障害者」、「女性」について「乗っている」または「乗っていない」をそれぞれ選択できるようになっている。
【0029】
制御装置14は、ユーザにより選択された乗員の特性を示す乗員者情報をメモリに記憶させる。例えば、「子供」について「乗っている」が選択されると、車両に乗車する乗員に「子供」が含まれることを示す情報がメモリに記憶され、「高齢者」について「乗っている」が選択されると、車両に乗車する乗員に「高齢者」が含まれることを示す情報がメモリに記憶される。このように、ユーザ操作に応じて車両に乗車する乗員の特性がメモリに記憶されるようになっている。なお、ユーザによって乗員者設定処理が途中でキャンセルされた場合には、乗員者情報はメモリに記憶されない。
【0030】
次に、図4、5に従って、周辺駐車場案内処理について説明する。上記した乗員者設定処理が終了した後、ユーザ操作により周辺駐車場案内処理の開始が指示されると、制御装置14は、図3に示す処理を開始する。
【0031】
まず、目的地の設定画面を表示させ、目的地を設定したか否かを判定する(S100)。具体的には、ユーザ操作に応じて目的地の設定が完了したか否かを判定する。
【0032】
目的地の設定が完了していない場合、S100の判定はNOとなり、S100の判定を繰り返す。
【0033】
また、目的地の設定が完了すると、次に、設定された目的地の駐車場情報を取得して目的地の駐車場が存在するか否かを検索する(S102)。なお、目的地の駐車場情報は、データベース11aより取得することができる。
【0034】
ここで、目的地の駐車場が存在するか否かに基づいて別途駐車場の設定が必要か否かを判定する(S104)。
【0035】
目的地の駐車場が存在する場合、S104の判定はNOとなり、出発地から目的地に至る案内経路について経路探索を実施する(S106)。なお、ユーザ操作により出発地の指定がなされない場合、現在位置を出発地として経路探索を実施するようになっている。
【0036】
次に、探索した案内経路をユーザへ報知する(S108)。具体的には、地図上に案内経路を重ねて表示した画面を表示装置12のディスプレイに表示させ、本処理を終了する。
【0037】
また、目的地の駐車場が存在しない場合には、S104の判定はYESとなり、次に、目的地周辺の駐車場を検索するか否かをユーザに確認するための報知を行う(S110)。例えば、「目的地には駐車場が有りません。目的地周辺駐車場を検索しますか?」といったメッセージとともに「はい」または「いいえ」のいずれかの選択を促す画面を表示させる。
【0038】
次に、ユーザの許可があるか否かを判定する(S112)。ここで、ユーザにより「いいえ」が選択されると、S112の判定はNOとなり、S110へ戻る。
【0039】
また、ユーザにより「はい」が選択されると、S112の判定はYESとなり、次に、最適徒歩経路決定処理を実施する(S200)。
【0040】
図5に、この最適徒歩経路決定処理のフローチャートを示す。この最適徒歩経路決定処理では、まず、乗員者情報の読み出しを行う(S202)。具体的には、乗員者設定処理によりメモリに記憶された乗員の特性についての乗員者情報の読み出しを行う。
【0041】
次に、乗員者情報がメモリから正常に読み出されたか否かに基づいて乗員者情報がメモリに記憶されているか否かを判定する(S204)。ここで、乗員者情報がメモリから正常に読み出された場合には、S204の判定はYESとなり、乗員者情報に基づいて乗員の特性を識別し、S212へ進む。
【0042】
しかし、例えば、ユーザによって乗員者設定処理がキャンセルされ、乗員者情報がメモリから正常に読み出されない場合、S204の判定はNOとなり、次に、ユーザに車両に乗車する乗員の特性の選択を促す報知を行う(S206)。具体的には、図3に示した乗員者設定メニュー画面を表示させ、ユーザに車両に乗車する乗員の特性の選択を促す。
【0043】
次に、乗員者設定メニュー画面に従って乗員者情報の入力がなされたか否かに基づいて乗員者情報の入力が有るか否かを判定する(S208)。
【0044】
乗員者情報の入力がなされない場合、S208の判定はNOとなり、S206へ戻る。また、乗員者設定メニュー画面に従って乗員者情報の入力がなされると、S208の判定はYESとなり、ユーザ操作に従って乗員者情報を更新する(S210)。なお、更新された乗員者情報に基づいて車両に乗車する乗員の特性の識別も行う。
【0045】
S212では、目的地周辺の駐車場を検索する。本実施形態では、目的地から予め定められた距離以内に存在する駐車場候補をデータベース11aより検索する。
【0046】
次に、複数の駐車場候補が検索されたか否かに基づいて駐車場候補が複数あるか否かを判定する(S214)。
【0047】
複数の駐車場候補が検索された場合、S214の判定はYESとなり、次に、検索された複数の駐車場候補の各々から目的地に至る各徒歩経路を決定する(S216)。
【0048】
図6に、目的地周辺に2つの駐車場候補が検索された場合の様子を示す。本実施形態では、図に示すように2つの駐車場候補A、Bが検索された場合、駐車場候補Aから目的地Pに至る徒歩経路と駐車場候補Bから目的地Pに至る徒歩経路を決定する。
【0049】
次に、各徒歩経路の中から乗員の特性に適した最適徒歩経路を決定する(S218)。具体的には、歩行者用通路情報を格納したデータベース11aを参照して、S216にて決定した各徒歩経路の評価を行い、各徒歩経路の中から、乗員の特性に適した最適徒歩経路を決定する。本実施形態では、S216にて決定した各徒歩経路に対して、歩行者用通路情報に含まれる歩道情報、歩道幅員情報、歩道橋情報、バリアフリー情報、照明情報を評価項目として、車両に乗車する乗員の特性に適しているかの評価を行い評価の最も高い徒歩経路を乗員の特性に適した最適徒歩経路として決定する。なお、車両に乗車する乗員の特性に適しているかの評価は、各評価項目に重み付けを行い総合的に判断する。
【0050】
例えば、車両に乗車する乗員に子供が含まれると識別された場合、予め定められた区間毎に歩道が整備されているか否かを示す歩道情報に基づいて、歩道が整備された区間の比率の高い徒歩経路ほど評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定する。なお、歩道が整備された区間の比率は、歩道が整備されている区間の長さ(リンク長)を徒歩経路の経路長で除算して算出することができる。
【0051】
また、車両に乗車する乗員に子供が含まれると識別された場合、予め定められた区間毎に歩道の幅員を示した歩道幅員情報に基づいて、歩道橋を利用して目的地に到達する徒歩経路ほど評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定する。
【0052】
また、車両に乗車する乗員に子供が含まれると識別された場合、予め定められた区間毎に歩道の幅員を示した歩道幅員情報に基づいて、歩道の幅員の広い区間の比率の高い徒歩経路ほど評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定する。なお、歩道の幅員の広い区間の比率は、歩道の幅員が予め定められた基準値以上となっている区間の長さ(リンク長)を徒歩経路の経路長で除算して算出することができる。
【0053】
また、車両に乗車する乗員に高齢者または障害者が含まれると識別された場合、歩道橋の位置および当該歩道橋により接続される歩道を示す歩道橋情報に基づいて歩道橋を利用して目的地に到達する徒歩経路よりも歩道橋を利用せずに目的地に到達する徒歩経路の評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定する。
【0054】
また、車両に乗車する乗員に高齢者または障害者が含まれると識別された場合、予め定められた区間毎に障害者または車椅子の利用者の通行に支障がないように歩行者用の通路にバリアフリー対策がなされているか否かを示すバリアフリー情報に基づいてバリアフリー対策がなされていない通路を通行して目的地に到達する徒歩経路よりもバリアフリー対策がなされている通路を通行して目的地に到達する徒歩経路の評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定する。
【0055】
また、車両に乗車する乗員に高齢者または障害者が含まれると識別された場合、予め定められた区間毎に歩道の幅員を示した歩道幅員情報に基づいて歩道の幅員の広い区間の比率の高い徒歩経路ほど評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定する。
【0056】
また、車両に乗車する乗員に女性が含まれると識別された場合、予め定められた区間毎に街路灯が整備されているか否かを示す照明情報に基づいて街路灯の整備された区間の比率の高い徒歩経路ほど評価が高くなるようにして最適徒歩経路を決定する。ここで、街路灯の整備された区間の比率は、街路灯が整備されている区間の長さ(リンク長)を徒歩経路の経路長で除算して算出することができる。
【0057】
次に、検索された全ての徒歩経路に対する評価を実施したか否かを判定する(S220)。
【0058】
検索された全ての徒歩経路に対して評価を実施していない場合、S220の判定はNOとなり、S216へ戻る。また、検索された全ての徒歩経路に対する評価を実施した場合、S220の判定はYESとなり、駐車場を仮想目的地に設定する(S222)。具体的には、S218にて決定した最適徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場候補を仮想目的地として設定し、本処理を終了する。
【0059】
また、S214において目的地周辺の駐車場を検索し、1つの駐車場候補のみ検索された場合には、S214の判定はYESとなり、上述したような最適徒歩経路の決定のための処理を実施することなく、検索された駐車場候補を仮想目的地に設定する(S222)。
【0060】
図4の説明に戻り、次に、出発地からS200の最適徒歩経路決定処理により決定された仮想目的地に至る最適な案内経路の経路計算を実施する(S106)。ここで、出発地から仮想目的地に至る最適な案内経路は、ダイクストラ法等を用いて経路計算を行うことにより特定することができる。
【0061】
次に、最適な案内経路をユーザに報知する(S108)。具体的には、出発地から仮想目的地(周辺駐車場)に至る案内経路とともに、この仮想目的地から目的地に至る最適徒歩経路を地図上に重ねた画面を表示させる。
【0062】
このようにして、乗員の特性に適した最適徒歩経路が決定され、この最適徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場候補が目的地周辺の駐車場として案内される。
【0063】
上記した構成によれば、歩行者用の通路に関する条件を示した歩行者用通路情報を格納したデータベースを参照して、複数の駐車場候補の各々から目的地に至る各徒歩経路の中から乗員の特性に適した最適徒歩経路が決定され、この最適徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場候補が目的地周辺の駐車場として案内される。
【0064】
例えば、車両に乗車する乗員に子供が含まれると識別された場合には、歩道が整備された区間の比率の高い徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場を案内し、車両に乗車する乗員に高齢者または障害者が含まれると識別された場合には、障害者または車椅子の利用者の通行に支障がないように歩行者用の通路にバリアフリー対策がなされている通路を通行して目的地に到達するような駐車場を案内するといったことが可能である。すなわち、安全で、かつ、乗員の特性に適した徒歩経路を通行して目的地に到達するような駐車場を案内することが可能である。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0066】
例えば、上記実施形態では、車両に乗車する乗員の特性として、「子供」、「高齢者」、「障害者」、「女性」について「乗っている」または「乗っていない」を選択する構成について説明したが、このような例に限定されるものではなく、例えば、「乳幼児」などについて「乗っている」または「乗っていない」を選択するような構成としてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、S218において、複数の駐車場候補の各々から目的地に至る各徒歩経路の評価を行い、各徒歩経路の中から、乗員の特性に適した最適徒歩経路を決定する具体例を示したが、この具体例は一例であり、具体例に示した内容に限定されるものではない。
【0068】
また、上記実施形態では、複数の駐車場候補が検索された場合、検索された複数の駐車場候補の各々から目的地に至る各徒歩経路を1本ずつ決定し、各徒歩経路の中から乗員の特性に適した最適徒歩経路を決定したが、例えば、複数の駐車場候補の各々から目的地に至る各徒歩経路を複数本ずつ決定し、各徒歩経路の中から乗員の特性に適した最適徒歩経路を決定するようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、歩行者用通路情報に含まれる歩道情報、歩道幅員情報、歩道橋情報、バリアフリー情報、照明情報を評価項目として、車両に乗車する乗員の特性に応じて重み付けを行い、評価の最も高い徒歩経路を乗員の特性に適した最適徒歩経路として決定したが、例えば、歩道情報、歩道幅員情報、歩道橋情報、バリアフリー情報、照明情報の少なくとも1つを評価項目として、車両に乗車する乗員の特性に応じて重み付けを行い、評価の最も高い徒歩経路を乗員の特性に適した最適徒歩経路として決定するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、歩行者用通路情報に含まれる歩道情報、歩道幅員情報、歩道橋情報、バリアフリー情報、照明情報を評価項目として、乗員の特性に適した最適徒歩経路として決定したが、これらの評価項目に限定されるものではなく、例えば、徒歩経路の経路長、通行車両の交通量等の情報を評価項目に加えて最適徒歩経路を決定してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、車両に搭載されたナビゲーション装置1を用いて駐車場案内装置を構成したが、車載装置以外の装置により駐車場案内装置を構成してもよい。
【0072】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S202、S210が乗員特性識別手段に相当し、S212が駐車場候補検索手段に相当し、S216が徒歩経路決定手段に相当し、S218が最適徒歩経路決定手段に相当し、S108が案内手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態に係る駐車場案内装置の構成を示す図である。
【図2】経路計算用地図データに含まれる道路リンク情報および歩行者用通路情報の詳細について説明するための図表である。
【図3】乗員者設定メニュー画面の表示例を示す図である。
【図4】周辺駐車場案内処理のフローチャートである。
【図5】最適徒歩経路決定処理のフローチャートである。
【図6】目的地周辺に2つの駐車場候補が検索された場合の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 ナビゲーション装置
10 現在位置検出装置
11 記憶装置
11a データベース
12 表示装置
13 入力装置
14 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に乗車する乗員の特性を識別する乗員特性識別手段と、
目的地の周辺に存在する駐車場候補を検索する駐車場候補検索手段と、
前記駐車場候補検索手段により複数の駐車場候補が検索された場合、検索された複数の駐車場候補の各々から前記目的地に至る各徒歩経路を決定する徒歩経路決定手段と、
歩行者用の通路に関する条件を示した歩行者用通路情報を格納したデータベースを参照して、前記徒歩経路決定手段により決定された各徒歩経路に対し、前記乗員特性識別手段により識別された前記乗員の特性に適しているかの評価を行い、評価の最も高い徒歩経路を前記乗員特性識別手段により識別された前記乗員の特性に適した最適徒歩経路として決定する最適徒歩経路決定手段と、
前記最適徒歩経路決定手段により決定された前記最適徒歩経路を通行して前記目的地に到達するような駐車場候補を前記目的地周辺の駐車場として案内する案内手段と、を備えたことを特徴とする駐車場案内装置。
【請求項2】
前記徒歩経路用情報には、予め定められた区間毎に歩道が整備されているか否かを示す歩道情報が含まれており、
前記最適徒歩経路決定手段は、前記乗員特性識別手段により前記車両に乗車する乗員に子供が含まれると識別された場合、前記歩道情報に基づいて、歩道が整備された区間の比率の高い徒歩経路ほど前記評価が高くなるようにして前記最適徒歩経路を決定することを特徴とする請求項1に記載の駐車場案内装置。
【請求項3】
前記徒歩経路用情報には、歩道橋の位置および当該歩道橋により接続される歩道を示す歩道橋情報が含まれており、
前記最適徒歩経路決定手段は、前記乗員特性識別手段により前記車両に乗車する乗員に子供が含まれると識別された場合、前記歩道橋情報に基づいて、前記歩道橋を利用して前記目的地に到達する徒歩経路ほど前記評価が高くなるようにして前記最適徒歩経路を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の駐車場案内装置。
【請求項4】
前記徒歩経路用情報には、予め定められた区間毎に歩道の幅員を示した歩道幅員情報が含まれており、
前記最適徒歩経路決定手段は、前記乗員特性識別手段により前記車両に乗車する乗員に子供が含まれると識別された場合、前記歩道幅員情報に基づいて、前記歩道の幅員の広い区間の比率の高い徒歩経路ほど前記評価が高くなるようにして前記最適徒歩経路を決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の駐車場案内装置。
【請求項5】
前記徒歩経路用情報には、歩道橋の位置および当該歩道橋により接続される歩道を示す歩道橋情報が含まれており、
前記最適徒歩経路決定手段は、前記乗員特性識別手段により前記車両に乗車する乗員に高齢者または障害者が含まれると識別された場合、前記歩道橋情報に基づいて、前記歩道橋を利用して前記目的地に到達する徒歩経路よりも前記歩道橋を利用せずに前記目的地に到達する徒歩経路の前記評価が高くなるようにして前記最適徒歩経路を決定することを特徴とする請求項1に記載の駐車場案内装置。
【請求項6】
前記徒歩経路用情報には、予め定められた区間毎に障害者または車椅子の利用者の通行に支障がないように歩行者用の通路にバリアフリー対策がなされているか否かを示すバリアフリー情報が含まれており、
前記最適徒歩経路決定手段は、前記乗員特性識別手段により前記車両に乗車する乗員に高齢者または障害者が含まれると識別された場合、前記バリアフリー情報に基づいて、前記バリアフリー対策がなされていない通路を通行して前記目的地に到達する徒歩経路よりも前記バリアフリー対策がなされている通路を通行して前記目的地に到達する徒歩経路の前記評価が高くなるようにして前記最適徒歩経路を決定することを特徴とする請求項1に記載の駐車場案内装置。
【請求項7】
前記徒歩経路用情報には、予め定められた区間毎に歩道の幅員を示した歩道幅員情報が含まれており、
前記最適徒歩経路決定手段は、前記乗員特性識別手段により前記車両に乗車する乗員に高齢者または障害者が含まれると識別された場合、前記歩道幅員情報に基づいて、前記歩道の幅員の広い区間の比率の高い徒歩経路ほど前記評価が高くなるようにして前記最適徒歩経路を決定することを特徴とする請求項1、5、6のいずれか1つに記載の駐車場案内装置。
【請求項8】
前記徒歩経路用情報には、予め定められた区間毎に街路灯が整備されているか否かを示す照明情報が含まれており、
前記最適徒歩経路決定手段は、前記乗員特性識別手段により前記車両に乗車する乗員に女性が含まれると識別された場合、前記照明情報に基づいて、前記街路灯の整備された区間の比率の高い徒歩経路ほど前記評価が高くなるようにして前記最適徒歩経路を決定することを特徴とする請求項1に記載の駐車場案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−250891(P2009−250891A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101664(P2008−101664)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】