説明

騒音低減性の押出コーティング組成物

基材を押出コーティングするための方法が提供される。本方法は、押出コーティング組成物を基材の表面に押出コーティングによって適用する工程を含む。これらの方法では、押出コーティング組成物は、ポリオレフィン及び無機粒子材料を含み、前記無機粒子材料は、2μm以下の平均粒径と、前記ポリオレフィン及び前記無機粒子材料の総重量に基づいて少なくとも20重量%の粒子負荷とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
押出コーティングプロセスは、高い溶融温度及び一般に700mpm(メートル/分)超までの高速での移動基材上への溶融ポリマーウエブの適用であると説明することができる。装飾目的で高光沢表面仕上げを製造することを目的とする押出コーティングは、一般的産業衛生基準に関して安全な作業環境のための追加の予防措置を必要とすることが多いラミネータの周囲の領域で多くの騒音をもたらす。騒音は、プロセスに関連する制限の指標を表し、ライン速度の増加に伴ってより顕著になる。しかし、高速のライン速度は、経済的に魅力的な押出コーティング装置の作動を可能にするので望ましい。このため、オーバーコーティングの消失及びポリマー接着の破壊を含むプロセス途絶をもたらす、辺縁を上塗りする問題(例えば、圧力や冷却ロールへの付着)を伴わない頑丈な押出コーティングプロセスを有することは有用である。
【発明の概要】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、基材を押出コーティングするための方法であって、押出コーティング組成物を該基材の表面に押出コーティングによって適用し、それにより押出コーティング組成物が冷却ロール面に接触する工程を含む方法を提供する。本方法では、押出コーティング組成物は、ポリオレフィン及び無機粒子材料を含み、無機粒子材料は、2μm以下の平均粒径と、コーティング組成物中のポリオレフィン及び無機粒子材料の総重量に基づいて少なくとも20重量%の粒子負荷とを有する。本方法の一部の実施形態では、ポリオレフィンは、940g/cc以下の密度を有するポリエチレン又はポリエチレンインターポリマーを含んでいる。
【0006】
本方法の一部の実施形態では、押出コーティング組成物は、冷却ロール解放点での押出コーティング騒音レベルを、無機粒子材料が存在しない同一押出コーティング組成物を用いて実施された同一押出コーティングプロセスと比較して、少なくとも3dB(デシベル)低減することを特徴とする。本開示のためには、騒音低減は、0.5μmの表面粗さを備えるクロムめっきした光沢のある冷却ロール上で適用されるポリオレフィン押出コーティング組成物について、ダイでの320℃の押出物温度並びにコーティング重量25g/m及びライン速度300mpm又はコーティング重量12g/m及びライン速度500mpmでのエアギャップ250mmで測定される。一部の実施形態では、押出コーティング組成物は、冷却ロール解放点での押出コーティング騒音レベルを少なくとも10dB低減することを特徴とする。押出物温度は、押出物がダイを離れるとすぐに押出物上に焦点が合わせられる赤外放射温度計を使用して測定することができる。
【0007】
本方法の一部の実施形態では、無機粒子材料は、1.5μm以下の平均粒径並びにコーティング組成物中のポリオレフィン及び無機粒子材料の総重量に基づいて少なくとも30重量%の粒子負荷を有する。無機粒子材料は、炭酸カルシウムであってよい。
【0008】
本発明の又別の態様は、基材及び該基材の表面上にコーティングされたコーティング組成物を含むコーティングされた基材であって、コーティング組成物は、ポリオレフィン及び無機粒子材料を含み、無機粒子材料は、2μm以下の平均粒径と、コーティング組成物中のポリオレフィン及び該無機粒子材料の総重量に基づいて、少なくとも20重量%の粒子負荷とを有する、コーティングされた基材を提供する。
【0009】
一部の実施形態では、基材は、紙製品を含む。
【0010】
一部の実施形態では、無機粒子材料は、1.5μm以下の平均粒径並びにポリオレフィン及び無機粒子材料の総重量に基づいて少なくとも25重量%の粒子負荷を有する。
【0011】
一部の実施形態では、ポリオレフィンは、940g/cc以下の密度を有するポリエチレン又はポリエチレンインターポリマーを含んでおり、無機粒子材料は無機物を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は基材を押出コーティングするためのシステムの側面図を示す概略図であり、(b)は(a)のシステムの上面図を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、予想外にも、適切な粒径分布を有する無機粒子材料を適切な負荷で押出コーティング組成物中のポリオレフィンに加えることによって、素晴らしい冷却ロール(チルロール)解放、及びこのために実質的に低減した騒音が、押出コーティングとコーティングされた基材との間の接着を低下させずに達成できることを見いだした。
【0014】
従って、本発明の1つの態様は、基材を押出コーティングするための方法であって、押出コーティング組成物を基材の表面に押出コーティングによって適用する工程を含む方法を提供する。これらの方法では、押出コーティング組成物は、ポリオレフィン及び無機粒子材料を含む。無機粒子材料は、2μm以下の平均粒径を有し、ポリオレフィン及び無機粒子材料の総重量に基づいて少なくとも20重量%の粒子負荷を有する。
【0015】
本発明の特定理論に結び付けようとしなくても、適切な粒径分布及び負荷を有する粒子材料は、押出プロセス中の押出コーティングと冷却ロール面との界面で、該押出コーティングと該コーティングされた基材との間の接着を低下させずに該押出コーティングの該冷却ロールへの粘着を実質的に減らすために十分な数の無機粒子を備える押出コーティングを提供すると考えられる。
【0016】
(ポリオレフィン類):
本押出コーティングは、少なくとも1つのポリオレフィンを含んでいる。「ポリオレフィン」、「PO」などの用語は、単純オレフィン類に由来するポリマーを意味する。代表的なポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン及びそれらの様々なインターポリマーが含まれる。本方法は、ポリオレフィン、例えば低密度のポリエチレン及びそのインターポリマー(例えば、コポリマー)を含む押出コーティングと共に使用するために特に適しているが、それはそのようなポリオレフィンは押出コーティング中に冷却ロールへの実質的粘着性を生じ、そのため多量の騒音をもたらすことが公知であるからである。
【0017】
ポリオレフィンは、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)及びその他の低密度のポリオレフィン、例えば強化ポリエチレン(EPE)、ポリオレフィンプラストマー(POP)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリプロピレンをベースとするプラストマー(PBP)及びポリオレフィンブロックエラストマー(PBE)、例えばオレフィンブロックコポリマー(OBC)であってよい。適切な低密度のポリオレフィンには、メタロセンポリエチレン及びポリエチレンコポリマーを含む直鎖状超低密度ポリエチレン(VLDPE)が含まれる。ポリエチレンコポリマーの製造において有用なコモノマーには、α−オレフィン、例えばC−C20α−オレフィン(例えば、C−C10α−オレフィン)が含まれる。α−オレフィンコモノマーは、直鎖状又は分枝状であってよく、所望であれば、2つ又はそれ以上のコモノマーを使用できる。ポリエチレンコポリマーの例には、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、イオノマー、エチレンメチルアクリル酸(EMAA)コポリマー、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルアクリレート(EMA)コポリマー、エチレンブチルアクリレート(EBA)コポリマー、及びエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマーが含まれる。
【0018】
使用したポリオレフィンは、一般に約0.940g/cc以下の密度を有する。これは、ポリオレフィンが約0.916g/ccから約0.940g/ccの密度を有するポリエチレンである実施形態を含み、さらにポリエチレンが0.916g/cc未満(例えば、約0.860g/ccから約0.915g/cc)の密度を有する実施形態をさらに含んでいる。一部の実施形態では、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含むポリオレフィンは、約0.860g/ccから約0.905g/ccの密度を有する。これは、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンが、約0.860g/ccから0.890g/cc未満の密度を有する実施形態を含んでいる。本開示のために、密度は、ASTM D−1505に従って測定される。
【0019】
本押出コーティング組成物は、典型的には押出コーティング組成物中のポリオレフィン及び無機粒子材料の総重量に基づいて約80重量%までのポリオレフィン含量を有する。これは、押出コーティング組成物が、押出コーティング組成物中のポリオレフィン及び無機粒子材料の総重量に基づいて約75重量%までのポリオレフィン含量を有する実施形態を含んでいる。
【0020】
(無機粒子材料):
無機粒子材料は、本明細書に記載した騒音低減能力を有することを前提に、広範囲の材料の形態を取ることができる。一般に、コーティングの厚さより小さい微細粒径に粉砕することができ、押出コーティングプロセス中にポリマーと相互作用せずに安定するあらゆる無機質を使用できる。一部の実施形態では、粒子材料は、無機質、例えば炭酸カルシウムを含んでいる。
【0021】
無機粒子材料中の粒子は、約2μm以下の平均粒径(d50)を有する。一部の実施形態では、粒子材料の粒子は、約1.5μm以下の平均粒径を有する。本開示に提示した粒径は、灰化材料上で光散乱を用いて測定される。
【0022】
無機粒子物質は、押出コーティング組成物中のポリオレフィン及び無機粒子材料の総重量に基づいて少なくとも20重量%(例えば、約20から約60重量%)の負荷で存在する。これは、無機粒子物質が、押出コーティング組成物中のポリオレフィン及び無機粒子材料の総重量に基づいて少なくとも25重量%の負荷で存在する実施形態を含んでいる。
【0023】
(多層状コーティング及び前処理):
一部の実施形態では、押出コーティング組成物は、多層状押出コーティング基材を提供するために、1つ又はそれ以上の任意選択による追加の押出組成物と共押出しされるが、このとき押出コーティング組成物が冷却ロールと接触している外層として共押出されることを前提とする。又は、多層状コーティングの追加の層は、押出積層プロセスによって製造することができる。多層状押出コーティングを提供するために共押出又は積層させることのできるポリマー材料の例には、ポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステルが含まれる。
【0024】
押出コーティングと下地基材又は多層状コーティングの様々な層との相互の接着を強化するために、コーティング層及び/又は基材は前処理することができる。例えば、押出コーティング及び押出積層プロセスは、基材又は積層ウエブのコロナ処理、難燃若しくはプラズマ処理又は層間接着を強化するための溶融押出コーティング組成物のオゾン処理を使用することができる。
【0025】
(任意選択の成分):
ポリオレフィン及び無機粒子材料に加えて、押出コーティング組成物は、他の添加物、例えば押出コーティング組成物中で典型的に見いだされる添加物を含むことができる。これらには、例えば、安定剤、難燃剤、充填剤、スリップ剤及び粘着防止剤などが含まれる。存在する場合、そのような添加物は、典型的には該押出コーティング組成物の約2重量%未満しか占めない。一部の実施形態では、押出コーティング組成物は、上述した騒音低減性無機粒子充填剤以外の粒子充填剤を含んでいない。
【0026】
(基材):
本発明の方法を使用して押出コーティングできる基材には、紙、板紙、ポリマーフィルム、金属箔、金属化ポリマーフィルム、SiOコーティングフィルム、織布及び不織布の繊維又はテープなどが含まれる。一部の実施形態では、コーティング内の無機粒子材料は、無機粒子材料を含んでいない同等のコーティングと比較して、基材への強化された接着を生じさせる。この強化は、例えば、剥離試験を用いて測定できる。
【0027】
(押出コーティング):
押出コーティングのためのシステムの概略図は、図1(a)及び(b)に提供されている。その基本的実施形態では、押出コーティングは、押出コーティング組成物がダイ100から溶融ウエブ102として移動基材104上に押し出され、移動基材104は引き続いて加圧ローラ108及び冷却されたローラ(「冷却ロール」)110によって規定されるニップ106を通過させられ、溶融ウエブを基材上の固体ポリマーコーティング112へ冷却させるプロセスである。
【0028】
押出コーティングプロセスでは、ポリマーコーティングが冷却ロールから引き出されるときに、解放点114で発生する騒音強度(ガタガタ音)が冷却ロール解放の指標である。騒音レベルが低いほど、冷却ロール解放が改良される。
【0029】
本方法では、基材上に押出コーティングされる押出コーティング組成物は、冷却ロール解放点で、無機粒子材料の非存在下における同一方法及び押出コーティング組成物の場合と比較して大幅に低下した騒音レベルを提供する。一部の実施形態では、冷却ロール解放点での騒音レベルは、無機粒子材料の非存在下における同一方法及び押出コーティング組成物の場合と比較して少なくとも3dB低下する。これは、冷却ロール解放点での騒音レベルが、無機粒子材料の非存在下における同一方法及び押出コーティング組成物の場合と比較して少なくとも5dB、少なくとも10dB、又は少なくとも15dBさえ低下する実施形態を含んでいる。
【0030】
押出コーティングプロセスの騒音レベルは冷却ロールの表面及び建造材料のタイプに左右される可能性があるが、本コーティング組成物及び方法を使用すると、様々な表面めっき材料、例えばクロムなどを用いて製造された光沢のある、つや消しの、及びエンボス加工の冷却ロールを含む様々な冷却ロール表面上で騒音低減を達成することができる。
【実施例】
【0031】
本実施例は、クラフト紙基材上へ充填ポリオレフィン組成物を押出コーティングする方法の1つの実施形態を例示する。
【0032】
冷却ロール解放点での騒音の低減は、冷却ロールの表面粗さ及びライン速度に左右される可能性がある。そこで、本開示及びこれらの実施例のためには、騒音低減は、0.3から0.5ミクロンと同等の表面粗さRTを備える光沢のあるクロムめっきされた冷却ロールに接触したクラフト紙上への25g/mコーティングについては300mpmのライン速度及び12g/mのコーティングについては500mpmのライン速度で測定される。本発明の押出コーティング組成物と騒音低減無機粒子物質を含んでいない比較押出コーティング組成物によって生成される騒音レベル間を比較する際には、冷却ロール解放点での騒音レベルに影響を及ぼす他の全ての押出コーティングパラメータは、どちらのサンプルの試験中でも同一に保持される。
【0033】
本押出コーティング組成物は、例えば、粒子充填化合物(つまり、マスターバッチ、MB)及びポリオレフィンを乾式混合する工程によって調製される。充填化合物には、キャリア樹脂中の無機粒子材料の高負荷が含まれる。充填化合物は、ミリングロール上若しくはBanbury(登録商標)ミキサー内で配合する配合押出機を通して、又はそれにより充填剤及びキャリア樹脂を共に混合して該押出コーティング組成物中で使用するために適合する均質分散液を作製することのできる任意の他の適切な方法によって製造される。各充填化合物の特性は、表1に列挙した。
【0034】
【表1】

【0035】
2つの作業用マスターバッチ(MB1及びMB2)は、本実施例の押出コーティング組成物中で使用するために調製する。マスターバッチ中では、Imerys社からの2つのタイプの炭酸カルシウム無機充填剤を使用する。使用した充填剤は、登録商標Supercoat(登録商標)の下で販売されている表面改質超微細湿性大理石である。試験した2つの炭酸カルシウム間の相違は、粒径分布である。Borealis社からの比較充填化合物についても試験する。Borealis CA8200は、タルク充填化合物である。
【0036】
押出コーティング組成物中で使用される適切なポリオレフィンの例は表2に表示し、比較例の押出コーティング組成物は表3に表示した。
【0037】
【表2】

【0038】
本開示のために、押出コーティングは、押出コーティングライン(例えば、Davis Standard(Erwepa社)コーティングライン)で900mmの直径、0.3から0.5ミクロンと同等の表面粗さ(RT)を有するクロムめっきされた光沢のある冷却ロール上に加工される。押出コーティング加工条件は、以下の通りである。押出コーティングのための設定溶融温度は、320℃である。エアギャップは250mmであり、ニップオフセットは加圧ロールに向かって15mmである。押出コーティングのためのライン速度は、25g/mのコーティングについては300mpm、及び12g/mのコーティングについては500mpmである。
【0039】
騒音測定は、加工処理中のラミネータの隣に立っているオペレータにとっての作業環境を表す既定位置でRealistic(商標)騒音レベルデシベル計(Tandy Corp.社)を使用して実施した。押出コーティングプロセスの騒音を測定するための構成は、図1(b)に示した。騒音計116は、冷却ロールからの解放点に隣接し、冷却ロール解放点によって規定される騒音源へ直接向けられている。騒音を測定するため、及び騒音低減を評価するために、騒音計116と基材幅120の中心線118との距離(図1(b)では「x」と表示されている)は、1,200mmである。測定は、500から10,000Hzの周波数範囲に対応する重み付けセレクタ(weighting selector)「A」下で実施する。騒音測定の結果は表3に表示した。
【0040】
【表3】

【0041】
元素周期表に関する全ての言及については、CRC Press社により2003年に出版され、著作権のある「the Periodic Table of the Elements」を参照されたい。さらに1つ又はそれ以上の基に関する全ての言及については、基のナンバリングのためのIUPAC命名法を使用して元素周期表に反映された1つ以上の基でなければならない。反対のことが述べられたり、文脈から暗示されたり、又は当分野における慣習が言及されない限り、全ての部及びパーセントは重量に基づいており、全ての試験方法は本開示の出願日現在において最新である。米合衆国の特許実務のためには、任意の参照に挙げた特許、特許出願又は刊行物の内容は、全体として参照により(又は同等の米国版が参照により)、特に合成技術、生成物及び加工設計、ポリマー、触媒、定義の開示(本開示に詳細に提供された任意の定義と矛盾しない程度まで)及び当分野における一般的知識に組み込まれる。
【0042】
数値範囲には、下限値と上限値との間に少なくとも2単位の間隔があることを前提に、下限値及び上限値を含めて1単位ずつの増分で下限値から上限値までの全ての数値が含まれる。1つの例として、組成的、物理的又はその他の特性が100から1,000である場合、全個別値、例えば100、101、102など、及び部分範囲、例えば100から144、155から170、197から200などは明示的に列挙されていることが意図されている。1未満又は1より大きい分数である数値を含有する範囲(例えば、1.1、1.5など)については、1単位は0.0001、0.001、0.01又は0.1であると適宜見なされる。10未満の1桁の数(例えば、1から5)を含有する範囲については、1単位は、典型的には0.1であると見なされる。これらは特に意図される例に過ぎず、列挙された下限値と上限値との間の数値範囲の全ての可能性のある組み合わせは、本開示において明示的に言及されていると見なされなければならない。
【0043】
用語の定義:
「ポリマー」は、同一タイプ又は異なるタイプのいずれであっても、モノマーを重合することによって製造される高分子化合物を意味する。そこで一般用語「ポリマー」は、通常は唯一のタイプのモノマーから製造されたポリマーを意味するために使用される用語「ホモポリマー」を包含し、さらに又用語「インターポリマー」も包含する。「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって製造されるポリマーを意味する。この一般用語には、通常は2つの異なるタイプのモノマーから製造されたポリマー、及び2つより多い異なるタイプのモノマーから製造されたポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどを意味するために使用されるコポリマーが含まれる。
【0044】
「組成物」、「調製物」などの用語は、2つ又はそれ以上の成分の混合物又はブレンドを意味する。
【0045】
用語「含む」及びその派生形は、同一物が詳細に開示されるか否かに関わらず、任意の追加の成分、工程又は手順の存在を排除することは意図していない。あらゆる疑いを回避するために、用語「含む」を使用することによって主張された任意のプロセス及び組成物は、反対のことを言及しない限り、任意の追加の工程、装置、添加物、アジュバント又はポリマーであってもなくても化合物を含むことができる。これとは対照的に、用語「から本質的に成る」は、任意の引き続きの再列挙の範囲から任意の他の成分、工程又は手順を操作性に必須でないものを除いて排除する。用語「から成る」は、特別に描出又は列挙されていない任意の成分、工程又は手順を排除する。用語「又は」は、他に特に記載しない限り、個別に、並びに任意の組み合わせで列挙したメンバーを意味する。本明細書に記載した本発明の実施形態では、所定の成分、工程、素子などを「含む(comprising)」又は「含む(including)」と記載した実施形態は、用語「含む(comprising)」又は「含む(including)」を語句「から成る」又は「から本質的に成る」と交換することによって追加の実施例に変換することができる。
【0046】
本発明は、上記の説明、図面及び実施例を通して相当詳細に記載してきたが、この詳細は例証するためである。当業者であれば、添付の特許請求項に記載した本発明の精神及び範囲から逸脱せずに多数の変更及び修飾を加えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を押出コーティングするための方法であって、押出コーティング組成物を前記基材の表面に押出コーティングによって適用する工程を含み、それにより前記押出コーティング組成物が冷却ロール面に接触し、前記押出コーティング組成物は:
(a)ポリオレフィンと、
(b)無機粒子材料とを含み、前記無機粒子材料は、2μm以下の平均粒径と、前記コーティング組成物中の前記ポリオレフィン及び前記無機粒子材料の総重量に基づいて、少なくとも20重量%の粒子負荷とを有する、方法。
【請求項2】
前記ポリオレフィンは、0.940g/cc以下の密度を有するポリエチレン又はポリエチレンインターポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記押出コーティング組成物は、前記冷却ロール解放点での押出コーティング騒音レベルを、前記無機粒子材料が存在しない同一押出コーティング組成物を用いて実施された同一押出コーティングプロセスに比較して、0.5μmの表面粗さを備えるクロムめっきされた光沢のある冷却ロール上で、300mpmのライン速度で適用された25g/mの押出コーティング及び500mpmのライン速度で適用された12g/mのコーティングについて、320℃の押出物温度及び250mmのエアギャップで測定して少なくとも3dB低減することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記無機粒子材料は、1.5μm以下の平均粒径並びに前記コーティング組成物中の前記ポリオレフィン及び前記無機粒子材料の総重量に基づいて、少なくとも30重量%の粒子負荷を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記無機粒子材料は、炭酸カルシウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
多層状の押出コーティング基材を提供するために、前記基材と前記押出コーティング組成物との間に1つ又はそれ以上の追加の押出コーティング層を押出す工程であって、このとき前記押出コーティング組成物が前記冷却ロールと接触させられる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
コーティングされた基材であって、
(a)基材と、
(b)前記基材の表面上にコーティングされたコーティング組成物とを含み、前記コーティング組成物が、
(i)ポリオレフィンと、
(ii)無機粒子材料とを含み、前記無機粒子材料が、2μm以下の平均粒径と、前記コーティング組成物中の前記ポリオレフィン及び前記無機粒子材料の総重量に基づいて、少なくとも20重量%の粒子負荷を有する、コーティングされた基材。
【請求項8】
前記基材は紙製品を含み、前記無機粒子材料は鉱物を含む、請求項7に記載のコーティングされた基材。
【請求項9】
前記無機粒子材料は、1.5μm以下の平均粒径と、前記ポリオレフィン及び前記無機粒子材料の総重量に基づいて、少なくとも25重量%の粒子負荷とを有し、前記ポリオレフィンは、0.940g/cc以下の密度を有するポリエチレン又はポリエチレンインターポリマーを含む、請求項7に記載のコーティングされた基材。
【請求項10】
前記基材と前記コーティング組成物との間に挿入された、1つ又はそれ以上の追加のコーティング層をさらに含む、請求項7に記載のコーティングされた基材。

【図1】
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【公表番号】特表2013−515635(P2013−515635A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547084(P2012−547084)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/058204
【国際公開番号】WO2011/081753
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】