説明

高分子化合物、高分子化合物/炭素材料複合体及びその製造方法、電極及びその製造方法、並びに二次電池

【課題】簡便な電極作製プロセスに適用可能であり、二次電池に用いた場合にエネルギー密度を改善可能なラジカル化合物を提供し、そのラジカル化合物と炭素材料との複合体を電極活物質として用いた二次電池を提供する。
【解決手段】側鎖にニトロキシルラジカル構造をもつ繰り返し単位を80〜99モル%の割合で有し、かつクロロメチルフェニル基、またはエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基、をもつ繰り返し単位を1〜20モル%の割合で有する、重量平均分子量1000〜500000の高分子化合物を合成し、その高分子化合物、炭素材料および電極用バインダーを含有するスラリーを集電体上に塗布した後、電子線または紫外光を照射して作製した電極を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ラジカル電池の電極活物質として好適な高分子化合物、高分子化合物/炭素材料複合体およびそれを用いた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコン、携帯電話などの携帯電子機器は、通信システムの発展に伴い急激に普及しており、またその性能も年々向上している。しかし、携帯機器は、性能の向上に伴い消費電力も大きくなる傾向にある。そこで、その電源である電池に対して、高エネルギー密度、大出力密度などの要求が高まっている。
【0003】
高エネルギー密度の電池としては、リチウムイオン電池が開発され1990年代以降に広く用いられるようになった。このリチウムイオン電池は電極活物質として正極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムといったリチウム含有遷移金属酸化物、負極に炭素を用いたものであり、これら電極活物質へのリチウムイオンの挿入、脱離反応を利用して充放電を行っている。サイクル特性に優れておりに携帯電話をはじめとした種々の電子機器に利用されている。しかしながら、このリチウムイオン電池は特に正極に比重の大きな遷移金属酸化物を用いているため単位質量当たりの容量密度には改善の余地があった。また、電極反応の反応速度が小さいため、大きな電流を取り出すと電池性能は著しく低下する。そのため、大きな出力をだすことが難しく、また充電のためにも長時間要するという欠点があった。
【0004】
大きな出力をもつ蓄電デバイスとして、電気二重層キャパシタが知られている。大電流を一度に放出できるため大きな出力をだすことが可能であり、サイクル特性にも優れており、バックアップ電源として開発が進められている。しかしながら、エネルギー密度は非常に小さく、小型化が困難であることから、携帯電子機器の電源には適していない。
【0005】
軽量な電極材料を得る目的で、電極活物質に硫黄化合物や有機化合物を用いた電池も開発されてきた。例えば、特許文献1(米国特許第4,833,048号公報)、特許文献2(特許第2715778号公報)にはジスルフィド結合を有する有機化合物を正極に用いた電池が開示されている。これはジスルフィド結合の生成、解離を伴う電気化学的酸化還元反応を電池の原理として利用したものである。この電池は硫黄や炭素といった比重の小さな元素を主成分とする電極材料から構成されているため、高エネルギー密度の大容量電池という点において一定の効果を奏している。しかし、解離した結合が再度結合する効率が小さいことや電極活物質の電解液への拡散のため、充放電サイクルを重ねると容量が低下しやすいという欠点がある。
【0006】
また、有機化合物を利用した電池として、導電性高分子を電極活物質に用いた電池が提案されている。これは導電性高分子に対する電解質イオンのドープ、脱ドープ反応を原理とした電池である。ドープ反応とは、導電性高分子の酸化もしくは還元によって生ずる荷電ラジカルを、対イオンによって安定化させる反応のことである。特許文献3(米国特許第4,442,187号公報)には、このような導電性高分子を正極もしくは負極の材料とする電池が開示されている。この電池は、炭素や窒素といった比重の小さな元素のみから構成されたものであり、高容量電池として期待された。しかし、導電性高分子には、酸化還元によって生じる荷電ラジカルがπ電子共役系の広い範囲に亘って非局在化し、それらが静電反発やラジカルの消失をもたらす相互作用をするという特性がある。これは発生する荷電ラジカルすなわちドープ濃度に限界をもたらすものであり、電池の容量を制限するものである。例えば、ポリアニリンを正極に用いた電池のドープ率は50%以下であり、またポリアセチレンの場合は7%であると報告されている。導電性高分子を電極材料とする電池では軽量化という点では一定の効果を奏しているものの、大きなエネルギー密度をもつ電池は得られていない。
【0007】
有機化合物を利用した蓄電デバイスとしては、トリフェニルアミン構造を繰り返し単位として有する導電性高分子を電極材料に用いた非水電解質キャパシタが提案されている。大きな出力を出すことができ、従来の電気二重層キャパシタに比べ高いエネルギー密度をもっている。しかし、導電性高分子を電極活物質として用いた電池と同様に、発生するドープ濃度に限界があり、エネルギー密度に関してはまだ改善の余地が有ると考えられる。
【0008】
特許文献5には、正極、負極の少なくとも一方の活物質がラジカル化合物を含有することを特徴とする二次電池が公開されている。また特許文献6にはニトロキシル化合物を正極中に含有した蓄電デバイスが公開されている。この蓄電デバイスは電極反応が速いため大電流で充放電ができる。そのため高い出力が得られる二次電池となる。
【特許文献1】米国特許第4,833,048号公報
【特許文献2】特許第2715778号公報
【特許文献3】米国特許第4,442,187号公報
【特許文献4】特開2000−315527号公報
【特許文献5】特許3687736号公報
【特許文献6】特開2002−304996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献5、6に記載されている正極、負極の少なくとも一方の電極活物質にラジカル化合物が用いられた二次電池は、電極活物質自体の電極反応が速いため大電流で充放電ができるとされている。しかしながら、ラジカル化合物自体は脂肪族有機化合物であり、導電性が極めて小さいため、効率よく充放電を行うにはラジカル化合物と電子の受け渡しができる導電性材料と混合化が必要である。ところが、有機ラジカル化合物の酸化還元反応を用いる電池には、導電性材料を混合してもラジカルサイトの一部が充放電に寄与せずエネルギー密度が低くなるといった問題や、電極にひび割れが発生してしまい、電極を簡便に製造ができないといった課題があった。この問題を克服するために、新しい電極作製プロセス、および電極作製に好適なラジカルポリマーが望まれている。
【0010】
本発明は、簡便な電極作製プロセスに適用可能であり、二次電池に用いた場合にエネルギー密度を改善可能なラジカル化合物を提供し、そのラジカル化合物と炭素材料との複合体を電極活物質として用いた二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らが鋭意検討した結果、側鎖に式(1)で表されるニトロキシルラジカル構造をもつ繰り返し単位を80〜99モル%の割合で有し、かつクロロメチルフェニル基、またはエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基、を有する繰り返し単位を1〜20モル%の割合で有する、重量平均分子量1000〜500000の高分子化合物(ラジカルポリマー)により、二次電池(有機ラジカル電池)の電極活物質として好適な高分子化合物/炭素材料複合体が得られることを見出した。
【0012】
【化1】

【0013】
また、上記高分子化合物を用いた、有機ラジカル電池の電極活物質として好適な高分子化合物/炭素複合体の製造方法を見出した。すなわち、上記高分子化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、炭素材料を分散させた混合液を調製する工程と、前記混合液から前記有機溶媒を揮発させて複合体前駆体を得る工程と、前記複合体前駆体に電子線または紫外光を照射する工程とを有する高分子化合物/炭素材料複合体の製造方法である。また、前記混合液に光酸発生剤を含有させる工程をさらに有することが有効であることも見出した。
【0014】
また、上記高分子化合物を用いた、有機ラジカル電池に好適な電極の製造方法を見出した。すなわち、上記高分子化合物、炭素材料および電極用バインダーを含有するスラリーを集電体上に塗布する工程と、前記集電体上に電子線または紫外光を照射する工程とを有する電極の製造方法である。また、前記スラリーに光酸発生剤を含有させる工程をさらに有することが有効であることも見出した。
【発明の効果】
【0015】
本発明の高分子化合物(ラジカル化合物)を用いた高分子化合物/炭素材料複合体では、ラジカル化合物に炭素材料が均一分散された状態にある。このため、高分子化合物/炭素材料複合体は電子伝導性をもつため、ラジカル化合物の酸化還元に伴う電子の受け渡しが炭素材料を通じてスムーズとなり、大きな電流での充放電ができる。また、充放電反応に寄与できるラジカルサイトの割合も高くなることから、エネルギー密度が高く、かつ大きな出力を出すことができる電池が得られる。また、電解液への溶け出しや電解液の吸収よるポリマーの体積変化が小さいために、容量の経時的な減少、自己放電などが小さな電池となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<高分子化合物>
本発明の高分子化合物は、側鎖に式(1)で表されるニトロキシルラジカル構造をもつ繰り返し単位を80〜99モル%の割合で有し、かつクロロメチルフェニル基、またはエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基、をもつ繰り返し単位を1〜20モル%の割合で有する、重量平均分子量1000〜500000の高分子化合物である。
【0017】
【化2】

【0018】
側鎖に式(1)で表されるニトロキシルラジカル構造をもつ繰り返し単位の割合は、90〜99モル%が好ましく、95〜99モル%がより好ましい。クロロメチルフェニル基、またはエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基、をもつ繰り返し単位の割合は、1〜10モル%が好ましく、1〜5モル%がより好ましい。
【0019】
なお、本発明の高分子化合物は、上記の繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を有していてもよい。他の繰り返し単位としては、(メタ)アクリレート単位、スチレン単位等が挙げられる。他の繰り返し単位を有する場合、その割合は10モル%を超えない範囲であることが好ましい。
【0020】
本発明の高分子化合物の重量平均分子量は、3000〜200000が好ましく、5000〜100000がより好ましい。
【0021】
より具体的には、式(2)〜式(5)のいずれかで表されるラジカルポリマーが好適である。
【0022】
【化3】

【0023】
【化4】

【0024】
【化5】

【0025】
【化6】

【0026】
式(2)〜式(5)において、R1はそれぞれ独立してクロロメチルフェニル基、またはエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である。xおよびyは、x+y=1、0.8≦x≦0.99、0.01≦y≦0.2を満たす任意の数である。R1であるクロロメチルメチル基の構造およびエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基の代表例の構造を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
式(2)の構造を有するラジカルポリマーの合成法としては、対応するモノマーである式(6)及び式(7)で表される2つの化合物を共重合する方法が挙げられる。重合方法の例としは、ブチルリチウムやナフタレンナトリウムを触媒として用い、テトラヒドロフランなどの有機溶媒中で重合するアニオン重合法が挙げられる。
【0029】
【化7】

【0030】
【化8】

【0031】
式(6)および(7)において、R1はクロロメチルフェニル基、またはエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である。
【0032】
式(3)の構造を有するラジカルポリマーの合成法としては、対応するモノマーである式(6)で表される化合物とクロロメチルスチレンを共重合する方法が挙げられる。重合方法の例としは、ブチルリチウムやナフタレンナトリウムを触媒として用い、テトラヒドロフランなどの有機溶媒中で重合するアニオン重合法が挙げられる。
【0033】
式(4)の構造を有するラジカルポリマーの合成法としては、対応するモノマーである式(8)及び式(9)で表される2つの化合物を共重合する方法が挙げられる。重合方法の例としては、ボロントリフロライドエーテラートを触媒として用い、ジクロロメタンなどの有機溶媒中で重合するカチオン重合法が挙げられる。
【0034】
【化9】

【0035】
【化10】

【0036】
式(8)および(9)において、R1はクロロメチルフェニル基、またはエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である。
【0037】
式(5)の構造を有するラジカルポリマーの合成法としては、対応するモノマーである式(8)で表される化合物とクロロメチルスチレンを共重合する方法が挙げられる。重合方法の例としては、ボロントリフロライドエーテラートを触媒として用い、ジクロロメタンなどの有機溶媒中で重合するカチオン重合法が挙げられる。
【0038】
<高分子化合物/炭素材料複合体、電極>
本発明の高分子化合物は、炭素材料と複合化することで高分子化合物/炭素材料複合体を形成することができる。その形成方法としては、例えば、本発明の高分子化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、炭素材料を分散させた混合液を調製する工程と、前記混合液から前記有機溶媒を揮発させて複合体前駆体を得る工程と、前記複合体前駆体に電子線または紫外光を照射する工程とを有する方法が好適である。
【0039】
まず、高分子化合物をN−メチルピロリドンなどの可溶性の有機溶媒に溶解する。有機溶媒としては、N−メチルピロリドン以外に、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が使用できるが、N−メチルピロリドンが好ましい。高分子化合物の濃度は、0.1〜0.5g/mlが好ましい。
【0040】
次に、この溶液に炭素材料を加えて撹拌した混合液を調製する。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられる。炭素材料の添加量は、高分子化合物に対して5〜200質量%が好適である。炭素材料の添加量が少なすぎると、得られた複合体の導電性が不十分な場合があり、また多すぎると、高分子化合物の量が相対的に少なくなるため、得られた電池の容量が小さくなる傾向がある。
【0041】
撹拌に用いる機器としては、ホモジナイザーなどが使用できる。撹拌により高分子化合物溶液に炭素材料が均一分散したスラリー状の混合液が得られる。
【0042】
この混合液には、光酸発生剤を含有させることも有効である。高分子化合物を有機溶媒に溶解するときに、併せてトリフェニルスルホニウムトリフレートなどスルホニウム塩、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタンなどのジアゾメタン化合物、などの光酸発生剤を添加することができる。光酸発生剤の添加量としては、高分子化合物に対して0.1〜5質量%が好適である。光酸発生剤の添加量が少なすぎると、発生する酸の量が少なくなり十分に光酸発生剤の添加効果が得られない場合があり、また多すぎると、光酸発生剤より生じた分解物が電池特性に悪影響を与える場合がある。
【0043】
次に、この混合液から有機溶媒を揮発させて複合体前駆体を得る。例えば、バーコーターなどで金属箔などの上に塗布し、さらにホットプレートを用いて加熱することにより有機溶媒を揮発させることができる。
【0044】
そして、得られた複合体前駆体に電子線または紫外光を照射する。こうすることで、高分子化合物中の架橋性基どうしが橋架け反応し、高分子化合物/炭素材料複合体が得られる。光酸発生剤を添加した場合は、無添加時に比べて低い電子線または紫外線の照射量で架橋を行なうことができる。使用できる紫外線の波長としては、g線、i線、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光が挙げられる。電子線を照射する場合、10〜500kGyの線量を照射することが好ましい。
【0045】
本発明の高分子化合物と炭素材料とを複合化した高分子化合物/炭素材料複合体を集電体上に形成することで、電極とすることができる。その形成方法としては、例えば、本発明の高分子化合物、炭素材料および電極用バインダーを含有するスラリーを集電体上に塗布する工程と、前記集電体上に電子線または紫外光を照射する工程とを有する方法が好適である。具体的な方法は、高分子化合物/炭素材料複合体の製造と同様の条件とすることができる。
【0046】
<二次電池>
図1に本発明の電池の一実施形態の構成を示す。図1に示された電池は、正極1とディスク状の金属リチウム負極5とを電解質を含むセパレーター6を介して対向するように重ね合わせ、さらに正極1上に正極集電体となるアルミ箔2を重ね合わせた構成を有している。金属リチウム負極5とアルミ箔2との間には、両者の電気的接触を防ぐ目的で、プラスチック樹脂等の絶縁性材料からなる絶縁パッキン4が配置され、ステンレス外装体(負極側)3とステンレス外装体(正極側)7により外装されている。なお、固体電解質やゲル電解質を用いる場合は、セパレータに代えてこれら電解質を電極間に介在させる形態にすることもできる。
【0047】
本実施形態の一つでは、このような構成において、正極1に用いられる電極材料が、高分子化合物/炭素材料複合体であることを特徴とする。なお、金属リチウム負極5の代わりに、負極集電体上に負極を形成した構成でもよい。この場合の負極を構成する電極材料として、高分子化合物/炭素材料複合体を用いることもできる。すなわち、正極および負極の一方または両方を構成する電極材料として、高分子化合物/炭素材料複合体を用いることができる。
【0048】
[1]高分子化合物/炭素材料複合体を用いた電極
本実施形態では、高分子化合物/炭素材料複合体を負極もしくは正極または両電極に用いることができるが、ラジカルポリマーの酸化還元電位が比較的高いため、正極に用いることが好適である。電極の作製方法としては、下記の2種類挙げられる。
(1)高分子化合物/炭素材料複合体をアルミ箔などの集電体上に直接作製し、電極とする方法。
(2)高分子化合物/炭素材料複合体を粉末とし、水に溶解させる。結着剤を添加し、撹拌することによりスラリー状液体を得る。アルミ箔などの集電体上にスラリーを塗布し、加熱により水を蒸発させ、電極とする方法。
【0049】
[2]正極
正極は、高分子化合物/炭素材料複合体を用いて形成することができる。
【0050】
また、負極を構成する電極材料として、高分子化合物/炭素材料複合体を用いた場合、正極の活物質として金属酸化物粒子、ジスルフィド化合物、および導電性高分子等が用いられる。ここで、金属酸化物としては、例えばLiMnO2、LiXMn24(0<x<2)等のマンガン酸リチウムあるいはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO2、LiCoO2、LiNiO2、あるいはLiX25(0<x<2)等が、ジスルフィド化合物としてはジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオール等が、また、導電性高分子にはポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。本発明ではこれらの正極活物質を単独、もしくは組み合わせて使用することもできる。さらに、高分子化合物/炭素材料複合体と組み合わせてもよい。
【0051】
[3]正極用導電性物質
正極には、高分子化合物/炭素材料複合体に加えて導電性化合物を添加することもできる。導電性材料としては、銅、鉄、金、白金、ニッケルなどの金属酸化物粒子、炭素、および導電性高分子等を用いることができる。導電性高分子にはポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。本発明ではこれらの導電性物質を単独、もしくは組み合わせて使用することもできる。
【0052】
[4]負極
負極は、高分子化合物/炭素材料複合体を用いて形成することができる。
【0053】
また、正極を構成する電極材料として、高分子化合物/炭素材料複合体を用いた場合、負極としてはリチウム金属やリチウム合金を用いることができる。これらの形状としては特に限定されず、例えばリチウム金属では薄膜状のものに限らず、バルク状のもの、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等であっても良い。また、これらの負極活物質を単独、もしくは組み合わせて使用できる。さらに、高分子化合物/炭素材料複合体と組み合わせてもよい。
【0054】
[5]結着剤
電極の各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共化合物、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共化合物、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、部分カルボキシ化セルロース、各種ポリウレタン等が挙げられる。
【0055】
[6]集電体およびセパレータ
負極集電体、正極集電体として、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔、金属平板、メッシュ状などの形状のものを用いることができる。また、集電体に触媒効果を持たせたりしてもよい。一方、上記の正極、および負極が接触しないようにポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルム、セルロース膜、不織布などのセパレータを用いることもできる。
【0056】
[7]電解質
本発明において、電解質は、負極と正極の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には20℃で10-5〜10-1S/cmのイオン伝導性を有していることが好ましい。電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。電解質塩として、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、Li(C25SO22N、Li(CF3SO23C、Li(C25SO23C等の従来公知の材料を用いることができる。
【0057】
また,電解液に溶剤を用いる場合、溶剤としては例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶剤を単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。
【0058】
さらに、本発明では電解質として固体電解質を用いることもできる。これら固体電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共化合物、フッ化ビニリデン−エチレン共化合物、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共化合物、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共化合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共化合物、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共化合物等のフッ化ビニリデン系化合物;アクリロニトリル−メチルメタクリレート共化合物、アクリロニトリル−メチルアクリレート共化合物、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共化合物、アクリロニトリル−エチルアクリレート共化合物、アクリロニトリル−メタクリル酸共化合物、アクリロニトリル−アクリル酸共化合物、アクリロニトリル−ビニルアセテート共化合物等のアクリルニトリル系化合物;ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共化合物、これらのアクリレート体やメタクリレート体等のポリアルキレンオキシド系化合物などが挙げられる。これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを用いても、電解質塩を含有する高分子化合物のみをそのまま用いても良い。
【0059】
[8]電池形状
本発明において、電池の形状は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。電池形状としては、電極積層体、あるいは巻回体を金属ケース、樹脂ケース、あるいはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムからなるラミネートフィルム等によって封止したもの等が挙げられ、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等で作製されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
[9]電池の製造方法
電池の製造方法としては特に限定されず、材料に応じて様々な方法を用いることができる。例えば、正極と負極をセパレータで挟んで積層または巻回して外装体で包み、電解液を注入して封止するといった方法が挙げられる。本発明に於いて、電極からのリードの取り出し、外装等のその他の製造条件は電池の製造方法として従来公知の方法を用いることができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明の詳細について合成例、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0062】
(合成例1:重合体Aの合成)
【0063】
【化11】

【0064】
アルゴンガス雰囲気下にて200mlシュレンク管に、モノマーとして2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−1−ニトロキシル−4−イル−メタクリレート10.0g(0.0416mol)、グリシジルメタクリレート0.66g(0.0046mol)を入れ、ここへ乾燥テトラヒドロフラン42mlを加え、モノマーを完全に溶解した。次いで、シュレンク管をドライアイスメタノール浴にて−76℃に冷却した。そこにブチルリチウムの1.6mol/Lへキサン溶液0.3mLを注射器にて加えた。−76℃にて24時間重合を行った後、反応混合物をメタノール500mlに注ぎ、析出した沈殿物を濾別することにより再沈精製を行った。更にもう一度再沈精製を行った後、8時間40℃で減圧乾燥を行うことにより、重合体Aを7.75g得た(収率73.2%)。得られた重合体Aの重量平均分子量は31000であった。ここで重量平均分子量は、島津製作所製LC−9A(カラム:昭和電工製KF−80M(商品名)、溶出溶媒:DMF)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により測定し、ポリスチレン換算分子量として求めた。
【0065】
(合成例2〜7:重合体B〜Gの合成)
実施例1と同様な方法により、式(2)においてR1、R2、x、yが表2に示した構造の重合体B〜Gを得た。重合体B〜Gの収率と重量平均分子量を表2に示す。
【0066】
【化12】

【0067】
【表2】

【0068】
(合成例8:重合体Hの合成)
【0069】
【化13】

【0070】
アルゴンガス雰囲気下にて200mlシュレンク管に、モノマーとして2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−1−ニトロキシル−4−イル−メタクリレート10.0g(0.0416mol)、4−クロロメチルスチレン1.58g(0.0104mol)を入れ、ここへ乾燥テトラヒドロフラン46mlを加え、モノマーを完全に溶解した。次いで、シュレンク管をドライアイスメタノール浴にて−76℃に冷却した。そこにブチルリチウムの1.6mol/Lヘキサン溶液0.33mLを注射器にて加えた。−76℃にて24時間重合を行った後、反応混合物をメタノール500mlに注ぎ、析出した沈殿物を濾別することにより再沈精製を行った。更にもう一度再沈精製を行った後、8時間40℃で減圧乾燥を行うことにより、重合体Hを5.6g得た(収率48.4%)。得られた重合体Hの重量平均分子量は8300であった。
【0071】
(合成例9:重合体Iの合成)
【0072】
【化14】

【0073】
アルゴンガス雰囲気下にて200mlシュレンク管に、モノマーとして2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−1−ニトロキシル−4−イル−オキシビニル10.0g(0.0416mol)、3,4−エポキシトリシクロ[5,2,1,02,6]デシル−9−イル−オキシビニル0.89g(0.00462mol)を入れ、ここへ乾燥ジクロロメタン44mlを加え、モノマーを完全に溶解した。次いで、シュレンク管をドライアイスメタノール浴にて−76℃に冷却した。そこに三フッ化ボロン・エーテラート0.1mL(7.9×10-4mol)を注射器にて加えた。−40℃にて24時間重合をおこなった後、反応混合物をメタノール500mlに注ぎ、析出した沈殿物を濾別することにより再沈精製を行った。更にもう一度再沈精製を行った後、8時間40℃で減圧乾燥を行うことにより、重合体Iを6.7g得た(収率61.3%)。得られた重合体Iの重量平均分子量は12000であった。
【0074】
(実施例1)
合成例1で得た重合体A3.0gをN−メチルピロリドン12mlに溶解した。ここへ炭素材料(昭和電工製VGCF−H(商品名))1.7gを加え、ホモジナイザーにて攪拌し、均一なスラリーとした。このスラリーをアルミ箔上に塗布し、さらに120℃で3分間加熱することによりN−メチルピロリドンを揮発させ、重合体A/炭素複合体前駆体を得た。この重合体A/炭素複合体前駆体に、住友重機械株式会社製走査型電子加速器により100kGyの線量にて電子線を照射することにより、重合体A/炭素複合体を得た。電子照射前の重合体A/炭素複合体前駆体をろ過装置のろ紙上におき、N−メチルピロリドンにて洗浄すると、ろ液はオレンジ色に着色し、重合体Aの溶解が確認された。一方、同様な操作を電子線照射後の重合体A/炭素複合体に行うと、ろ液の着色はなくなった。これは電子線照射により、重合体Aの架橋性基が橋架けし、不溶化したことを示している。
【0075】
重合体A/炭素複合体をアルミ箔から剥がし、乳鉢で砕くことにより粉末状とした。重合体A/炭素複合体4.75g、カルボキシメチルセルロース(CMC)100mg、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)25mgと水8mlをホモジナイザーにて攪拌し、均一なペーストを調製した。このスラリーを電極作製用コーターにて下層(100μm)を形成済みのアルミ箔上に塗布し、さらに80℃で3分間乾燥し、100μmの厚さを持つ正極を形成した。
【0076】
次に、得られた正極を直径12mmの円状に打ち抜き、これに電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1.0mol/LのLiPF6電解質塩を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合体積比3:7)を用いた。電解液を含浸させた電極を、電解液を含浸させたポリプロピレン多孔質フィルムセパレータを積層した。さらに負極となるリチウム張り合わせ銅箔(リチウム厚30μm)を積層し、これをステンレス製コイン型電池外装体に入れ、かしめ機によって圧力を加え、密閉型のコイン型電池とした。
【0077】
以上のように作製したコイン型電池を、0.113mA(正極面積あたり0.1mA/cm2)の定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.113mAの定電流で2.5Vまで放電を行った。その結果、放電時において3.55V付近に電圧平坦部が見られた。放電容量は0.125mAhであり、活物質あたりの放電容量密度では88.1mAh/gと算出された。同様に、4.2〜2.5Vの範囲で充放電を100回繰り返した。その結果、100回の充放電すべてにおいて、放電時に3.5V付近で電圧が一定になり、(100回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は93.0%だった。
【0078】
(実施例2〜9)
重合体Aの代わりに重合体B〜Iを用いた以外は、実施例1と同様の方法で重合体/炭素複合体を作製し、さらにその重合体/炭素複合体を用いてコイン型電池を作製した。得られた重合体/炭素複合体において、いずれも重合体の架橋性基が橋架けし、不溶化したことを確認した。得られたコイン型電池を用いて、実施例1と同様な充放電試験を行った。初回の充電時および100回の充放電すべてにおいて、放電時に3.5V付近で電圧が一定になった。初回放電容量と(100回目の放電容量)/(1回目の放電容量)の結果を表3にまとめた。
【0079】
(実施例10)
合成例1で得た重合体A3.0g、トリフェニルスルホニウムトリフレート30mgをN−メチルピロリドン12mlに溶解した。ここへ炭素材料(昭和電工製VGCF−H(商品名))1.07gを加え、ホモジナイザーにて攪拌し、均一なスラリーとした。このスラリーをアルミ箔上に塗布し、さらに120℃で3分間加熱することによりN−メチルピロリドンを揮発させ、重合体A/炭素複合体前駆体を得た。重合体A/炭素複合体前駆体に、紫外光(中心波長250nm)を照射することにより、重合体A/炭素複合体を得た。紫外線照射前の重合体A/炭素複合体前駆体をろ過装置のろ紙上におき、N−メチルピロリドンにて洗浄すると、ろ液はオレンジ色に着色し、重合体Aの溶解が確認された。一方、同様な操作を紫外線照射後の重合体A/炭素複合体前駆体に行うと、ろ液の着色はなくなった。これは紫外線照射により、重合体Aの架橋性基が橋架けし、不溶化したことを示している。
【0080】
この重合体A/炭素複合体を用いた以外は、実施例1と同様の方法で密閉型のコイン型電池を作製した。
【0081】
以上のように作製したコイン型電池を、0.113mA(正極面積あたり0.1mA/cm2)の定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.113mAの定電流で2.5Vまで放電を行った。その結果、放電時において3.55V付近に電圧平坦部が見られた。活物質あたりの放電容量密度は87.0mAh/gだった。同様に、4.2〜2.5Vの範囲で充放電を100回繰り返した。その結果、100回の充放電すべてにおいて、放電時に3.5V付近で電圧が一定になり、(100回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は93.7%だった。
【0082】
(比較例1)
【0083】
【化15】

【0084】
微粉化した上記の構造式で表されるポリラジカル重合体J(重量平均分子量470000)1.75g、炭素粉末625mg、カルボキシメチルセルロース(CMC)100mg、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)25mgと水8mlをホモジナイザーにて攪拌し、均一なペーストを調製した。このスラリーを電極作製用コーターにてアルミ箔(厚さ20μm)上に塗布し、さらに80℃で3分間乾燥し、厚さ100μmの層を形成し、正極とした。
【0085】
次に、得られた正極を直径12mmの円状に打ち抜き、これに電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1.0mol/LのLiPF6電解質塩を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合体積比3:7)を用いた。電解液を含浸させた電極を、電解液を含浸させたポリプロピレン多孔質フィルムセパレータを積層した。さらに負極となるリチウム張り合わせ銅箔(リチウム厚30μm)を積層し、これをステンレス製コイン型電池外装体に入れ、かしめ機によって圧力を加え、密閉型のコイン型電池とした。
【0086】
以上のように作製したコイン型電池を、0.113mA(正極面積あたり0.1mA/cm2)の定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.113mAの定電流で2.5Vまで放電を行った。その結果、放電時において3.55V付近に電圧平坦部が見られた。活物質あたりの放電容量密度は78.0mAh/gだった。同様に、4.2〜2.5Vの範囲で充放電を300回繰り返した。その結果、100回の充放電を繰り返すにつれ動作電圧は低下し、300回目で3.35Vとなった。また、放電容量も低下していき、(100回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は67.8%だった。
【0087】
(比較例2)
【0088】
【化16】

【0089】
上記の構造のポリラジカル重合体K(重量平均分子量5000)を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法でコイン電池を作製した。
【0090】
以上のように作製したコイン型電池を、0.113mA(正極面積あたり0.1mA/cm2)の定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.113mAの定電流で2.5Vまで放電を行った。その結果、放電時において3.55V付近に電圧平坦部が見られた。活物質あたりの放電容量密度は112.0mAh/gだった。同様に、4.2〜2.5Vの範囲で充放電を100回繰り返した。その結果、100回の充放電を繰り返すにつれ動作電圧は低下し、100回目で3.35Vとなった。また、放電容量も低下していき、(100回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は48.8%だった。
【0091】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の電池の構成の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0093】
1 正極
2 アルミ箔
3 ステンレス外装体(負極側)
4 絶縁パッキン
5 金属リチウム負極(ディスク状)
6 セパレーター
7 ステンレス外装体(正極側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側鎖に式(1)で表されるニトロキシルラジカル構造をもつ繰り返し単位を80〜99モル%の割合で有し、かつクロロメチルフェニル基、またはエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基、をもつ繰り返し単位を1〜20モル%の割合で有する、重量平均分子量1000〜500000の高分子化合物。
【化1】

【請求項2】
式(2)〜式(5)のいずれかで表される請求項1に記載の高分子化合物。
【化2】

(上式において、R1はクロロメチルフェニル基、またはエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である。xおよびyは、x+y=1、0.8≦x≦0.99、0.01≦y≦0.2を満たす任意の数である。)
【化3】

(上式において、R2はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である。xおよびyは、x+y=1、0.8≦x≦0.99、0.01≦y≦0.2を満たす任意の数である。)
【化4】

(上式において、R1はクロロメチルフェニル基、またはエポキシ基をもつ炭素数1〜12の炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である。xおよびyは、x+y=1、0.8≦x≦0.99、0.01≦y≦0.2を満たす任意の数である。)
【化5】

(上式において、R2はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である。xおよびyは、x+y=1、0.8≦x≦0.99、0.01≦y≦0.2を満たす任意の数である。)
【請求項3】
請求項1または2に記載の高分子化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、炭素材料を分散させた混合液を調製する工程と、
前記混合液から前記有機溶媒を揮発させて複合体前駆体を得る工程と、
前記複合体前駆体に電子線または紫外光を照射する工程と
を有する高分子化合物/炭素材料複合体の製造方法。
【請求項4】
前記混合液に光酸発生剤を含有させる工程をさらに有する請求項3に記載の高分子化合物/炭素材料複合体の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の高分子化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、炭素材料を分散させた混合液を調製する工程と、
前記混合液から前記有機溶媒を揮発させて複合体前駆体を得る工程と、
前記複合体前駆体に電子線または紫外光を照射する工程と
を有する方法により得られる高分子化合物/炭素材料複合体。
【請求項6】
前記混合液がさらに光酸発生剤を含有する請求項5に記載の高分子化合物/炭素材料複合体。
【請求項7】
請求項1または2に記載の高分子化合物、炭素材料および電極用バインダーを含有するスラリーを集電体上に塗布する工程と、
前記集電体上に電子線または紫外光を照射する工程と
を有する電極の製造方法。
【請求項8】
前記スラリーに光酸発生剤を含有させる工程をさらに有する請求項7に記載の電極の製造方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載の高分子化合物、炭素材料および電極用バインダーを含有するスラリーを集電体上に塗布する工程と、
前記集電体上に電子線または紫外光を照射する工程と
を有する方法により得られる電極。
【請求項10】
前記スラリーがさらに光酸発生剤を含有する請求項9に記載の電極。
【請求項11】
請求項5または6に記載の高分子化合物/炭素材料複合体を電極活物質として用いた二次電池。
【請求項12】
請求項9または10に記載の電極を用いた二次電池。

【図1】
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【公開番号】特開2008−234909(P2008−234909A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70524(P2007−70524)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】