説明

高周波誘導溶融設備

【課題】1台の設備で簡単に銅とプラスチックを有用な形で回収することが可能な一括処理式高周波誘導溶融設備の提供。
【解決手段】銅やプラスチックが混在した電線廃棄物をそのまま誘導溶融炉へ投入し、まずプラスチックが油化する温度でプラスチックを油化流出させ、その後、銅の融点に温度設定し、銅を溶融させ成形して回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気部材等によくある銅、アルミニューム、鉄等の金属とゴム、フィルム、プラスチック等とが一体になった物を、たとえば電線、モールド変成器、モールドコイル等を銅とゴム又は銅とプラスチック等に分けることなく一括に処理を行う技術に関するものです.
【背景技術】
【0002】
電線の俗に言う皮剥ぎやモールド変成器にいたってはハンマーでプラスチック部分を叩き割ってプラスチックと銅やアルミニュームを分けていました、この作業が大変な為、日本では作業せずに東南アジアや中国等に安く売っているのが現状です.
【0003】
しかも,日本では黄銅鉱やボーキサイト等の原料を海外から輸入し高いコストをかけて、銅ヤアルミニュームを生産している、日本国内でもこれらの廃棄物を原料として安いコストで再生させる技術への期待が高まっている.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は銅とプラスチック、アルミニュームとプラスチック等の金属とプラスチックやゴム等が一緒に成型されている複雑な形状の廃棄物や電線の皮剥ぎ等の面倒な作業を伴う廃棄物を簡単な方法でしかも低コストで処理する事を課題とする.
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載した設備は1台の装置にたとえば銅とプラスチックが一緒に成型されたものを分離せずにそのまま投入しまずプラスチックが油化する温度に初期設定し、油化したプラスチックを抽出口より油化槽に流れ出させて、プラスチックが流れ出た後、銅の融点に再度設備温度を設定し銅を溶融させ銅の成型器に流し込み銅のインゴットをつくる、このように1台の設備で簡単に銅とプラスチックを有用な形で回収することが可能な一括処理式高周波誘導溶融設備.
【0006】
請求項2に記載した設備は銅やアルミニュームは溶融させるときにいかに酸化を防ぐかが商品価値に大きく影響します又、プラスチックも油化したものを燃焼させずに回収することが重要な課題です、これらの課題を解決可能にした一括処理式高周波誘導溶融設備.
【0007】
請求項3に記載した設備は黒鉛ルツボなどによりわざとルツボにも発熱させ伝熱面積を多くし処理時間を短くさせることを特徴とする一括処理式高周波誘導溶融設備.
【0008】
請求項4に記載した設備は請求項3とは逆にルツボの材質をアルミナ又はアルミナ+シリカを原料としたルツボで熱効率よりも金属と黒鉛の反応や過加熱によるルツボの寿命を考慮して発熱しないルツボを特徴とした一括処理式高周波誘導溶融設備.
【0009】
請求項5に記載した設備は使用する周波数の範囲を効率の良い1〜50kHzと指定した事を特徴とした一括処理式高周波誘導溶融設備.
【発明を実施する為の最良の形態】
【0010】
請求項1に記載した設備は誘導溶融炉および外部制御装置から成る.誘導溶融炉外壁内に高温用セラミックスを施工し断熱を行い,ルツボの周りには水冷式加熱用コイル,対象物容器となるルツボ,温度計を設置する.
【0011】
請求項2に記載した設備は上記設備の誘導溶融炉上部に排ガスダクトを設け,排ガスダクトに水封装置を取り付けることで排ガス内の水分を除去し適正な炉内圧力を保持します.
【0012】
請求項4に記載した設備は上記設備の,ルツボの材質をアルミナ又はアルミナ+シリカとすることでルツボの長寿命化を可能とする.
【0013】
請求項5に記載した設備は上記設備を色々な処理物を処理可能にする為、周波数設定可能な発生機としたが周波数の範囲を効率の良い1〜50kHzとする.
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載した設備の正面図である.
【図2】請求項2および請求項3に記載した設備の正面図である.
【図3】請求項4に記載した設備の正面図である.
【図4】請求項5に記載した設備の正面図である.
【符号の説明】
【0015】
1.気炉外壁
2.耐火キャスタブル
3.電気炉蓋
4.温度計
5.外部制御盤
6.ルツボ
7.電気抵抗式ヒータ
8.排ガスダクト
9.水封装置
10.雰囲気ガス給気口
11.小型脱臭炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅とゴム、アルミニウムとフィルム、銅とプラスチック等の金属とプラスチック等の物質が一緒に成型されている物を1台の装置で、それぞれの融点に合わせた温度にて、別々に回収することを特徴とした一括処理式高周波誘導溶融設備.
【請求項2】
請求項1において処理物を酸化させずに処理する場合は装置を密封構造とし、装置内に窒素ガス、アルゴンガス、過熱蒸気等を封入し装置内圧力を最低10パスカル以上の圧力に保ち、空気の侵入を防止し処理物を酸化させずに処理出来る事を特徴とする一括処理式高周波誘導溶融設備.
【請求項3】
請求項1および請求項2においてルツボの材質を黒鉛、黒鉛+Mg又は炭化珪素等の導電材質を使用し、ルツボに発熱させることで炉内の伝熱面積を大きくし伝熱効率を高くした事を特長とする一括処理式高周波誘導溶融設備.
【請求項4】
請求項1および請求項2においてルツボの材質をアルミナ又はアルミナ(ムライト)+シリカを使用し、ルツボには発熱させない事を特徴とする一括処理式高周波誘導溶融設備.
【請求項5】
請求項1,請求項2および請求項3において使用する高周波の領域を1〜50kHzの範囲とする事を特徴とする一括処理式高周波誘導溶融設備.
【請求項6】
請求項1〜請求項4において、初期設定温度をゴム、フィルム、プラスチック等が、それぞれ油化する最低温度とし、極力乾留ガスを出さないようにし、乾留ガスが出る場合、この乾留ガスをダクトにて水封装置に導き、水封後脱臭炉にて無煙無臭化させることを特徴とする一括処理式高周波誘導溶融設備.
【請求項7】
請求項5において、金属以外の処理物が繊維等の油化しない、又は油化しづらい物の場合、これらが500℃以上の温度に急速加熱することで、油化されずに炭化されることを利用し、1分間に100℃以上の昇温速度で急速加熱させ、処理物を炭化物と金属として回収する事を特徴とする一括処理式高周波誘導溶融設備.

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−215794(P2008−215794A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94397(P2007−94397)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(506230312)
【Fターム(参考)】