説明

鼻咽腔カルシノーマを治療するための組成物及びその使用方法

鼻咽腔カルシノーマを治療するために有用な新規な薬剤の組み合わせが開示され、新規な薬剤の組み合わせは一つ又はそれより多いファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤と一つ又はそれより多いアンスラサイクリンを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
鼻咽腔カルシノーマ(NPC)はヒトの偏平上皮細胞の癌であり、後方鼻咽腔(posterior nasopharynx)の表面上皮に起こる(Liao,W.C.,et al.,Int.J of Oncology 17:323−328(2000))。未分化のNPCは、ヒトの上皮の悪性腫瘍の間でそれらを独特のものとさせる幾つかの目立った特徴を有する(Ablashi,D.,et al.,Epstein−Barr virus and Kaposi’s sarcoma Herpesvirus/Human Herpesvirus 8 IARC monographs on the evaluation of carcinogenic risks to humans.IARC,Lyon,France,n70:97)。それらはほとんどの国々において稀であるが、幾つかの選択されたエリア、特に南アフリカ及び北アフリカにおいては高い発病率で発生する。
【0002】
NPCは、患者の地理的な起源に拘わらず、エプスタイン−バールウイルス(EBV)に付随することが一致している。組織切片上で、NPCは、ほとんどがT系列の非悪性リンパ球により激しく侵入されているらしい。EBVの完全長のゲノムが全ての悪性腫瘍上皮細胞の中に含まれ、そして悪性腫瘍の表現型に寄与するらしい幾つかのウイルス産物をコードすることが一致している。しかしながら、腫瘍細胞中ではウイルス粒子の生産がない;換言すると、NPC細胞は主に「潜伏性の」EBV−感染の状態にある。潜伏性のウイルス産物の幾つかは、EBNA1蛋白質及びEBER1及び2と呼ばれる小さな非翻訳RNAの2つの種である。Latent Membrane Protein(LMP1)と呼ばれる別のEBV−蛋白質がNPCの約50%において生産される。他のウイルスメッセンジャー及びそれらの対応する蛋白質は調査中である。(Friese,K.L.,et al.,Identification of a novel protein encoded by the BamHI A region of the Epstein−Barr virus.J.Virol,71:2735−2771,1997;Kienzle,N.,et al.,Epstein−Barr virus−encoded RK−BARF0 protein expression.J.Virol,73:8902−8906,1999;Decaussin,G.,et al.,Expression of BARF1 gene encoded by Epstein−Barr virus in nasopharyngeal carcinoma biopsies.Cancer Res,60:5584−5588,2000.)
【0003】
NPCの腫瘍形成は細胞の遺伝子の変化によっても促進される。p16/INK4遺伝子の点変異又は高メチル化による不活性化はこれらの変化にほとんど一貫している。(Lo,K.W.,et al.,Hypermethylation of the p16 gene in nasopharyngeal carcinoma.Cancer Res,56:2721−2725,1996.)小さな同型接合(homozygous)の欠損又は異型接合の損失は頻繁に第3p染色体において起こることから、この領域がNPC腫瘍形成に不可欠の腫瘍抑圧遺伝子を含むことを示唆する。(Lo,K.W.,et al.,High resolution allelotype of microdissected primary nasopharyngeal carcinoma.Cancer Res.,60:3348−3353,2000.)ほとんどの他のヒトの上皮悪性腫瘍において記録されたデータとは対照的に、p53は稀にNPC中で変異している。(Effert,P.,et al.,Alternations of the p53 gene in nasopharyngeal carcinoma.J.Virol,66:3768−3775,1992.)p53の機能上の不活性化は、幾人かの著者らにより気づかれていたが、この能力の不活性化の機構は明らかにされないままである。(Fries,K.L.,et al.,Epstein−Barr virus latent membrane protein 1 blocks p53−mediated apoptosis through the induction of the A20 gene.J Virol,70:8653−8659,1996.)
【0004】
悪性腫瘍NPC細胞は短い倍加時間及び高い転移能を有する。にもかかわらず、それらはインサイチュ及びインビトロにおいてアポトーシスにはいる傾向がある。大多数の場合には、アポトーシス指数がNPCの組織切片上では高い。(Harn,H.J.,et al.,Apoptosis in nasopharyngeal carcinoma as related to histopathological characteristics and clinical stage.Histopathology,33:117−122.)さらに、NPC細胞がインビトロにて強力にCD95を発現し、そしてCD95−媒介アポトーシスに高い感受性を示すことが示された。(Sbih−Lammali,F.,et al.,Control of apoptosis in Epstein Barr virus−positive nasopharyngeal carcinoma cells:opposite effects of CD95 and CD40 stimulation.Cancer Res,59:924−930,1999.)
【0005】
アポトーシスに対する脆弱性は、一部には、ほとんどの頭部及び頸部カルシノーマよりも、NPCが放射線治療及び化学治療に高い感受性を有する理由を説明する。放射線治療は初期腫瘍の処置のための基礎的な治療武器であるが、誘導性化学治療、付随性化学治療又はアジュバント化学治療と組み合わされるケースが増えている。(Ali,H.et al.,Chemotherapy in advanced nasopharyngeal cancer.Oncology(Huntingt),14:1223−1230,2000.)誘導性化学治療の短期間の結果はしばしば顕著である。完全な緩解の率が2から3コースの誘導性化学治療後の10から25%がごく普通である。(Benasso,M.,et al.,Induction chemotherapy followed by alterna chemo−radiotherapy in stage IV undifferentiated nasopharyngeal carcinoma.Br J Cancer,83:1437−1442,2000;Chua,D.T.,et al.,Patterns of failure after induction chemotherapy and radiotherapy for locoregionally advanced nasopharyngeal carcinoma:the Queen Mary Hospital experience.Int Radiat Oncol Biol Phys,49:1219−1228,2001.)幾つかの研究において、完全なリンパ腫の緩解の率は50%に達し得る。(Frikha,M.et al.,Evaluation of tumoral and lymph node response to neoadjuvant chemotherapy in undifferentiated nasopharyngeal carcinoma,Bull Cancer,84:273−276,1997.)しかしながら、これらの良好な応答は予測不可能であり、そしてしばしば短期間である。さらに、ほんの僅かな研究においてしか、長期間の生存において幾つかの改良を付随して誘導性化学治療に対して短期間の応答であった。(Benasso,M.,et al.,Induction chemotherapy followed by alternating chemo−radiotherapy in stage IV undifferentiated nasopharyngeal carcinoma.Br J Cancer,83:1437−1442,2000.)
【0006】
これまで、NPCの治療におけるその主要な役割にも拘わらず、化学治療のEBV−陽性NPC細胞に対する効果はあまり調査されていない。一つの主要な理由は、インビトロにおいてNPC細胞を成長させるのが極めて困難なことである。数十年の間に、実験用NPC材料の唯一の源は、異種移植片としてヌードマウスに伝播された腫瘍系列であり、そしてほんの小さなフラクションの臨床NPC検体しか移植に成功することができなかった。(Busson,P.,et al.,Establishment and characterization of three transplantable EBV−containing nasopharyngeal carcinomas.Int J Cancer,42:599−606,88.)より最近では、インビトロにて増殖させたNPC細胞系の報告があったが、これらの系列の多くはEBVを含まず、即ち、インビボのNPC細胞の真の代表ではないかもしれない。(Lin,C.T.,et al.,Association of Epstein−Barr virus,human papilloma virus,and cytomegalovirus with nine nasopharyngeal carcinoma cell lines.Lab Invest,71:731−736,1994.)顕著な前進は、Xeno−666と呼ばれるチャイニーズNPC異種移植片からの誘導により作成され、C666−1と呼ばれるそのサブクローンは永久にインビトロで生育でき、そしてEBVゲノムを保持する。(Cheung,S.T.,et al.,Nasopharyngeal carcinoma cell line(C666−1)consistently harbouring Epstein−Barr virus.Int J Cancer,83:121−126,1999.)我々は、他のNPC異種移植片、特にC15北アフリカNPC異種移植片から誘導した細胞の短期間インビトロ培養物を改良することにおいても前進をなした。
【0007】
NPC細胞中の抗−新生物薬剤の細胞障害性効果の根底にある生物学上の機構は、まだ完全に明らかにされなければならない。このトピックに対する文献の報告はほとんどなく、主にシスプラチンとタキソールの効果に焦点を向けられてきた。シスプラチンは約1μMの濃度においてCNE1 NPC細胞系において成長停止を誘導することが示された。この成長停止は老年期関連のβ−ガラクトシダーゼの発現の増加に付随した。(Wang,X.,et al.,Evidence of cisplatin−induced senescent−like growth arrest in nasopharyngeal carcinoma cells.Cancer Res,58:5019−5022,1998;Wang,X.,et al.,Mechanism of differential sensitivity to cisplatin in nasopharyngeal carcinoma cells.Anticancer Res,21:403−408,2001.)タキソールは、TWO1及びTW039なるNPC細胞系において成長停止及び/又はアポトーシスを誘導することが示された。(Lou,P.J.et al.,Taxol reduces cytosolic E−cadherin and beta−catenin levels in nasopharyngeal carcinoma cell line TW−039:cross−talk between the microtubule− and actin−based cytoskeltons.J Cell Biochem,79:542−556,2000;Huang,T.S.,et al.,Activation of MAD2 chechprotein and persistence of cyclin B1/CDC 2 activity associate with paclitaxel−induced apoptosis in human nasopharyngeal carcinoma cells.Apoptosis,5:235−241,2000.)重要なこととして、しかしながら、前述の研究は、EBV−陰性の分化したNPC’s(CNE1,TW039)の稀な形態に由来したか、又はインビトロにて僅かな継代の後でEBVゲノムを喪失していた(TWO1)、EBV陰性細胞系上で実施された。(Lin,C.T.,et al.,Association of Epstein−Barr virus,human papilloma virus,and cytomegalovirus with nine nasopharyngeal carcinoma cell lines.Lab Invest,71:731−736,1994.)即ち、前述の研究の標的細胞系は未分化EBV陽性NPC’sの真の代表だとみなすことができない。
【0008】
C666−1及びC15 NPC腫瘍系を操作することにおける技術進歩により、真のEBV陽性NPC細胞に対して抗新生物薬剤をインビトロにおいて試験することが、最近可能になった。上記のとおり、C666は異種(xeno)666移植NPCに由来した。そのEBVゲノムとの関係を安定化させるため、C666を次にサブクローン化したが、C666−1は結果のクローンの一つであった。対照的に、永久のインビトロ細胞系は、まだ、C15を移植されたNPCから誘導されなければならない。しかしながら、悪性腫瘍C15細胞の選択的インビトロ成長は可能であり、PolyHemaマトリックスの使用を通して得られた。PolyHemaマトリックスはマウス繊維芽細胞の増殖を阻害し、そして小さな浮遊凝集物の形態にてC15細胞の増殖を許容した。
【0009】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTI’s)
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTI’s)は、幾つかの実験系において悪性腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するために観察された分子上標的とされた薬剤である。FTI’sは不所望の副作用における平行増加なしに化学治療又は放射線治療の利益を増加させ得る、との幾つかの示唆が存在する。(Moasser,M.M.et al.,Farnesyl transferase inhibitors cause enhanced mitotic sensitivity to taxol and epothilones.Proc Natl Acad Sci USA,95:1369−1374,1998;Sebti,S.M.et al.,Farnesyltransferase and geranylgeranyltransferase I inhibitors and cancer therapy:lessons from mechanism and bench−to−bedside translational studies.Oncogene,19:6584−6593,2000.)FTI’sはras蛋白質のファルネシル化及び膜アンカー化を阻害するために最初はデザインされたが、それらが他の蛋白質、並びに、特にRho B,rap 2,及びラミニンA及びBのファルネシル化を干渉することが今は明らかである。FTI’sによる細胞の処理は形質転換された細胞のアポトーシスを誘導するゲラニル化されたRho Bの蓄積をもたらすことが観察された。(Prendergast,G.C.et al.,Farnesyltransferase inhibitors:antineoplastic properties,mechanisms of action,and clinical prospects.Semin Cancer Biol,10:443−452.,2000.)別の細胞モデルにおいて、FTI’sはPI−3キナーゼ活性を阻害することが示された。(Plo,I.,et al.,The phosphoinositide 3−kinase/Akt pathway is activated by daunorubicin in human acute myeloid leukemia cell lines.FEBS Lett,452:150−154,1999.)
【0010】
アンスラサイクリン
アンスラサイクリン、例えばドキソルビシンは、反応性酸素種(ROS)の生産を誘導することによりそれらの細胞障害性効果を及ぼす。ROSは、DNA損傷、p21/wafl,GADD 45,CD95及びBaxのアップ制御をもたらすp53の活性化を誘導することができる。(Kostic,C.et al.,Isolation and characterization of sixteen novel p53 response genes.Oncogene,19:3978−3987,2000.)ROSは脂質膜に対していくらかの影響も有し、そして脂質の第2メッセンジャーの生産を誘導することもできる。(Bettaieb,A.,et al.,Daunorubicin− and mitoxantrone−triggered phosphatidylcholine hydrolysis:implication in drug−induced ceramide generation and apoptosis.Mol Pharmacol,55:118−125,1999.)
【0011】
現在、FTI−及びドキソルビシン−修飾経路がアポトーシスを誘導する様式において何処で如何にして横切るかを知ることは難しい。カスパーゼ8がCD−95−媒介性アポトーシスの間のTRAF1分割の鍵となるエフェクターであると仮定されてきた。(Leo,E.,et al.,TRAF1 is a substrate of caspases activated during tumor necrosis factor receptor−α induced apoptosis.J Biol Chem,55:8087−8093,2000.)しかしながら、薬剤により誘導されたTRAF1の分割はCD95−アゴニストにより誘導された分割と比較したときに、いくつかの異なる特徴を有する。これらの特徴のうち、薬剤処理されたサンプルにおいてはTRAF1の分割された形態に対する未分割の比が高いまま維持されることから、TRAF1の生産の増加が分割のプロセスと平行して薬剤処理されたNPC細胞において生じることを示唆する。おもしろいことに、分割分子の未分割分子に対する同じ高い比率は、Leoらにより、外来TRAF1を発現するドキソルビシン処理されたHT1080細胞系において報告された。(同上)
【0012】
TRAF1は極めて制限された組織分配を有する。EBV形質転換されたB−リンパ球の場合のように、NPC中のTRAF1の強い発現はEBVの存在に関連しているらしい。(Mosialos,G.,et al.,The Epstein−Barr virus transformaing protein LMP1 engages signaling proteins for the tumor necrosis factor receptor family.Cell,80:389−399,1995.)即ち、TRAF1の分割は、NPC細胞中、例えば生検材料中の化学物質誘導性アポトーシスを特別に監視するための有用なマーカーのはずである。
【0013】
以下の、胞生存性アッセイにおいては、C15とC666−1の両方が1μMを下回る濃度においてドキソルビシンの細胞障害性効果に著しく感受性であることが観察された。しかしながら、ドキソルビシンもタキソールもそれ自身に対してアポトーシスを誘導しなかった。おもしろいことに、ドキソルビシンは、C15腫瘍系のドナーであった患者において著しいが一過性の腫瘍の緩解を達成した薬剤の組み合わせに含まれた。
【0014】
NPC細胞の化学物質誘導性アポトーシスを達成して、細胞障害性を増加させるために、ドキソルビシンをFTI’sと混合した。化合物Aは以下の構造を有するファルネシルトランスフェラーゼ酵素の選択的阻害剤である:
【0015】
【化1】

【0016】
C15及びC666−1の両方に対するドキソルビシンの細胞障害性効果は、化合物Aと組み合わせて使用された時に、劇的に増強された。C15細胞に対する細胞障害性効果は、広範囲に及ぶ(massive)アポトーシスに関連し、TRAF1の初期の分割に関連し、上記組み合わせへの細胞暴露を開始して48時間後であった。C666−1に対する細胞障害性効果は成長の停止及び正体不明の細胞死に関連しており、アポトーシスの発生が試験された濃度において観察されない。
【0017】
注目すべきは、同じアッセイにおいては、下で、C15とさらにより注目に値するC666−1細胞の両方がドキソルビシンに対するよりもシスプラチンに対する感受性が低かったことである。この結果は、短時間細胞障害性アッセイにおいてのC666−1細胞のシスプラチンに対する感度の低さに関する以前の報告と一致した。(Weinrib,L.,et al.,Cisplatin Chemotherapy plus adenoviral p53 gene therapy in EBV−positive and −negative nasopharyngeal carcinoma.Cancer Gene Ther,8:352−360.,2001.)シスプラチンはNPC’sの化学治療における現在最も有効な薬剤とされているから、これらの結果は驚くべきことである。(Ali,H.et al.,Chemotherapy in advanced nasopharyngeal cancer.Oncology(Huntingt),14:1223−1230,2000.)
【0018】
発明の概要
第1の側面において、本発明は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、そのプロドラッグ又は上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤或いは上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤プロドラッグの薬学上受容可能な塩、及びアンスラサイクリン、そのプロドラッグ又は上記アンスラサイクリン又は上記アンスラサイクリンプロドラッグの薬学上受容可能な塩を含む薬学組成物を特徴とする。
【0019】
本発明の第1の側面の第1の好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、国際特許出願公開番号WO 00/39130に開示された化合物である;即ち、式I
【0020】
【化2】

【0021】
による化合物
(式中、
n1は、0又は1であり;
Xは、各存在に関して別個に、(CHR11n3(CHn4Z(CHn5であり;
Zは、O,N(R12),S又は結合であり;
n3は、各存在に関して別個に、0又は1であり;
n4及びn5の各々は、各存在に関して別個に、0、1、2、又は3であり;
Yは、各存在に関して別個に、CO,CH,CS,又は結合であり;
は、
【0022】
【化3】

【0023】
,又はN(R2425)であり;
,R11,及びR12各々は、各存在に関して別個に、H又は(C1−6)アルキル及びアリールからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、上記の任意に置換されたモイエティは任意に一つ又はそれより多いR又はR30により置換されており;
は、各存在に関して別個に、H又は(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C2−6)アルキニル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−6)アルキル、(C5−7)シクロアルケニル、(C5−7)シクロアルケニル(C1−6)アルキル、アリール、アリール(C1−6)アルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1−6)アルキルからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、任意に置換されたモイエティは任意に一つ又はそれより多いR30により置換されており;
及びR各々は、各存在に関して別個に、H又は(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、任意に置換されたモイエティは任意に一つ又はそれより多いR30により置換されており、各置換基は別個に選択され、或いはR及びRが結合してアリールを形成する炭素と併せて互いに一緒になることができ;
は、各存在に関して別個に、H又は(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−6)アルキル、(C5−7)シクロアルケニル、(C5−7)シクロアルケニル(C1−6)アルキル、アリール、アリール(C1−6)アルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1−6)アルキルからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、任意に置換されたモイエティは任意にOH,(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、−N(R),−COOH,−CON(R),及びハロから各々別個に選択される一つ又はそれより多い置換基により置換されており;
式中、R及びR各々は、各存在に関して別個に、H,又は(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C2−6)アルキニル、アリール、又はアリール(C1−6)アルキルであり;
は、各存在に関して別個に、H,=O,=S,又は(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−6)アルキル、(C5−7)シクロアルケニル、(C5−7)シクロアルケニル(C1−6)アルキル、アリール、アリール(C1−6)アルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1−6)アルキルからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、任意に置換されたモイエティは任意にOH,(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、−N(R),−COOH,−CON(R),及びハロから各々別個に選択される一つ又はそれより多い置換基により置換されており;
10はCであるか;又は、n1が0のとき、R及びRが結合してシクロヘキシルを形成する炭素原子と併せて互いに一緒になることができ;
21は、各存在に関して別個に、H又は(C1−6)アルキル及びアリール(C1−6)アルキルからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、任意に置換されたモイエティはR及びR30からなる群から各々別個に選択された一つ又はそれより多い置換基により任意に置換されており;
22はH,(C1−6)アルキルチオ、(C3−6)シクロアルキルチオ、R−CO−,又は式:
【0024】
【化4】

【0025】
による置換基であり;
24及びR25各々は、各存在に関して別個に、H,(C1−6)アルキル、又はアリール(C1−6)アルキルであり;
30は、各存在に関して別個に、(C1−6)アルキル、−O−R,−S(O)n6,−S(O)n7N(R),−N(R),−CN,NO,−CO,−CON(R),−NCO−R,又はハロゲンであり;n6及びn7各々は、各存在に関して別個に、0、1又は2であり;
式中、ヘテロシクリルは、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、クロマニル、シノリニル(cinnolinyl)、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオ−ピラニルスルフォン、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノロニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルフォリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキサゼピニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピリジルN−オキシド、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロ−キノリニル、チアモルフォリニル、チアモルフォニリルスルフォキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル又はチエニルであり;そして
式中、アリールはフェニル又はナフチルであり;
n1が1で、R10がCであり、そしてRがHであるとき、R10とRは共に一緒になって、
【0026】
【化5】

【0027】
を形成することができ;或いは
n1が1で、R10がCであり、そしてRが=O,−H又は=Sであるとき、R10とRは共に一緒になって、
【0028】
【化6】

【0029】
を形成することができ、
式中、X,X,及びX各々は、別個に、H,ハロゲン、−NO,−NCO−R,−CO,CN,又は−CON(R)であり;そして
がN(R2425)のとき、n3は1であり、n4及びn5は各々0であり、Zは結合であり、そしてR及びR11は一緒になって
【0030】
【化7】

【0031】
を形成することができ、
式中、n2は1−6であり、そしてX及びXは各々別個にH,(C1−6)アルキル、又はアリールであるか、又はXとXが一緒になって(C3−6)シクロアルキルを形成する);
又は薬学上受容可能なその塩である。
【0032】
発明の第1の側面の第2の好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物
(式中、
は、
【0033】
【化8】

【0034】
,又はN(R2425)であり;そして
XはCH(R11n3(CHn4又はZであり、式中、XがZのとき、ZはO,S,又はN(R12)である);
又は薬学上受容可能な塩である。
【0035】
発明の第1の側面の第2の好ましい態様の第1のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物
(式中、
は、
【0036】
【化9】

【0037】
であり;
XはCH(R11n3(CHn4であり;そして
n1は0である);
又は薬学上受容可能な塩である。
【0038】
発明の第1の側面の第2のより好ましい態様の第2のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物
(式中、
は、
【0039】
【化10】

【0040】
であり;
n3,n4,及びn5各々は0であり;
Zは結合であり;
Yは各存在に関して別個にCO又はCSであり;そして
n1は0である);
又は薬学上受容可能な塩である。
【0041】
発明の第1の側面の第2のより好ましい態様の第3のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物
(式中、
は、
【0042】
【化11】

【0043】
であり;
はHであり;
n1は1であり;
及びR10は一緒になって
【0044】
【化12】

【0045】
を形成し;
n3は1であり、そしてR11はHであり;
ZはO又は結合であり;
n5は0であり;そして
YはCO又はCH又は結合である);
又は薬学上受容可能な塩である。
【0046】
発明の第1の側面の第2のより好ましい態様の第4のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物
(式中、
はN(R2425)であり;
n1は0であり;
n3は1であり;
n4は0であり;
n5は0であり;
YはCO又はCSであり;
Zは結合であり;そして
及びR11は一緒になって
【0047】
【化13】

【0048】
を形成する);
又は薬学上受容可能な塩である。
発明の第1の側面の第2のより好ましい態様の第5のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物
(式中、

【0049】
【化14】

【0050】
であり;
はH又は=Oであり;
n1は1であり;
及びR10は一緒になって
【0051】
【化15】

【0052】
を形成し;
n3は1であり、そしてR11はHであり;
n5は0であり;
YはCO又はCHであり;そして
Zは0であるか又は結合である);
又は薬学上受容可能な塩である。
【0053】
発明の第1の側面の第3のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
8−ブチル−7−(3−イミダゾール−5−イル)−1−オキソプロピル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
8−ブチル−2−(2−ヒドロキシフェニル)−7−(イミダゾール−4−イル−プロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
8−ブチル−7−(4−イミダゾリルプロピル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(2−(イミダゾール−4−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−7−(1−オキソ−2−(1−(フェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−7−(2−(1−フェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−((1H−イミダゾール−4−イル)メチル)−2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−((4−イミダゾリル)カルボニル)−2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(1−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)メチル−2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(2−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
5−ブチル−7−(2−(4−シアノフェニルメチルイミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
6−ブチル−7−(2−(4−シアノフェニルメチルイミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
6−ブチル−7−(2−(4−シアノフェニルメチルイミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
5−ブチル−7−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−8−(シクロヘキシルメチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
5−ブチル−7−(2−(1H−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(2−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−(フェニルメトキシ)−フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;又は
2−(2−ブトキシフェニル)−7−(2−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
であるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
【0054】
発明の第1の側面の第4のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
1,2−ジヒドロ−1−((1H−イミダゾール−4−イル)メチル)−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
9−ブロモ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
9−クロロ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
10−ブロモ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−8−フルオロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
であるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
【0055】
発明の第1の側面の第4のより好ましい態様のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
9−ブロモ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
9−クロロ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
10−ブロモ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−8−フルオロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
である。
【0056】
発明の第1の側面の第5のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
7−(2−アミノ−1−オキソ−3−チオプロピル)−8−(メルカプトエチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジンジスルフィド;
であるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
【0057】
発明の第1の側面の第6のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
5−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−5,6−ジヒドロ−2−フェニル−1H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピン;
であるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
【0058】
発明の第1の側面の第7のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
1,2−ジヒドロ−1−(2−(イミダゾール−1−イル)−1−オキソエチル)−4−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2a][1,4]ベンゾジアゼピン;
1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−1−(2−(ピリジン−3−イル)−1−オキソエチル)イミダゾ[1,2a][1,4]ベンゾジアゼピン;又は
1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−1−(2−(ピリジン−4−イル)−1−オキソエチル)イミダゾ[1,2a][1,4]ベンゾジアゼピン;であるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
【0059】
発明の第1の側面の第8のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
【0060】
【化16】

【0061】
【化17】

【0062】
【化18】

【0063】
【化19】

【0064】
【化20】

【0065】
【化21】

【0066】
であるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
発明の第1の側面の第9のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
【0067】
【化22】

【0068】
【化23】

【0069】
【化24】

【0070】
【化25】

【0071】
であるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
発明の第1の側面の第9のより好ましい態様の第1のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
【0072】
【化26】

【0073】
であるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
上記第9のより好ましい態様の第2のより好ましい態様は、上記第8のより好ましい態様の第1のより好ましい態様を含み、但し、アンスラサイクリンは、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、又はアムルビシンであるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
【0074】
上記第9のより好ましい態様の第3のより好ましい態様は、上記第8のより好ましい態様の第2のより好ましい態様を含み、但し、アンスラサイクリンは、ドキソルビシンであるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
【0075】
発明の第1の側面の好ましい態様において、そして発明の上記第1の側面の第1から第9までの好ましい態様の各々において、そして発明の第1の側面の第10の好ましい態様と名付けたそれらのより好ましい態様の各々において、但し、アンスラサイクリンは、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、又はアムルビシンであるか、又はそのプロドラッグであるか、又は薬学上受容可能なアンスラサイクリン又はアンスラサイクリンプロドラッグの塩である。
【0076】
上記第10の好ましい態様のより好ましい態様において、アンスラサイクリンは、ドキソルビシンであるか、又は薬学上受容可能なその塩である。
第2の側面において、本発明は、発明の上記の第1の側面によるか、又は第1の側面の上記のより好ましい態様によるか、又は上記の第1の側面の上記のより好ましい態様の何れか一つによる薬学組成物、及び薬学上受容可能な担体、媒体又は希釈剤を特徴とする。
【0077】
第3の側面において、本発明は、鼻咽腔カルシノーマ細胞の増殖の速度を低下させる方法を特徴とし、当該方法は、上記鼻咽腔カルシノーマ細胞を、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物とアンスラサイクリン化合物の組み合わせに接触させることを含むが、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物及び上記アンスラサイクリン化合物の各々は、発明の上記の第1の側面によるか、又は第1の側面の上記の好ましい態様の何れか一つによるか、又は上記の第1の側面の上記のより好ましい態様の何れか一つによる薬学組成物中に開示されたファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物、アンスラサイクリン化合物から選択される。
【0078】
上記の第3の側面の第1の好ましい態様において、本発明は、鼻咽腔カルシノーマ細胞の増殖の速度を低下させる方法を特徴とし、当該方法は、上記鼻咽腔カルシノーマ細胞を、発明の上記の第1の側面によるか、又は第1の側面の上記の好ましい態様の何れか一つによるか、又は上記の第1の側面の上記のより好ましい態様の何れか一つによる薬学組成物に接触させることを含む。
【0079】
上記の第3の側面の第2の好ましい態様において、本発明は、患者において鼻咽腔カルシノーマを治療する方法を特徴とし、当該方法は、上記患者を、発明の上記の第1の側面によるか、又は第1の側面の上記の好ましい態様の何れか一つによるか、又は上記の第1の側面の上記のより好ましい態様の何れか一つによる薬学組成物に接触させることを含む。
【0080】
上記の第3の側面の第3の好ましい態様において、本発明は、患者において鼻咽腔カルシノーマを治療する方法を特徴とし、当該方法は、上記患者に、有効な量の一つ又はそれより多いファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物と一つ又はそれより多いアンスラサイクリン化合物の組み合わせを投与するが、上記有効な量の一つ又は複数のファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物及びアンスラサイクリンは、組み合わせにおいて上記鼻咽腔カルシノーマを治療するのに有効である。
【0081】
上記の第3の側面の第4の好ましい態様において、発明は、患者が哺乳類である、上記の第4の好ましい態様の上記の第1、第2又は第3の好ましい態様の何れか一つによる方法を特徴とする。
【0082】
上記の第3の側面の第5の好ましい態様において、発明は、患者がヒトである、上記の第3の側面の上記の第1、第2、第3又は第4の好ましい態様の何れか一つによる方法を特徴とする。
【0083】
上記の第3の側面の第6の好ましい態様において、発明は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤及びアンスラサイクリンを実質上同時に投与する、上記の第3の側面の上記の第1、第2、第3、第4又は第5の好ましい態様の何れか一つによる方法を特徴とする。
【0084】
第4の側面において、発明は、一つ又はそれより多いファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤又は薬学上受容可能なその塩及び一つ又はそれより多いアンスラサイクリン又は薬学上受容可能なその塩及び鼻咽腔カルシノーマの治療のための使用のための指示書を含む、薬学キットを特徴とする。
【0085】
発明の上記の第4の側面の第1の好ましい態様において、キットは、a)ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤又はそのプロドラッグ又は上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤又は上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤プロドラッグの薬学上受容可能な塩及び薬学上受容可能な担体、媒体又は希釈剤を含む第1ユニット投薬形態;b)アンスラサイクリン又はそのプロドラッグ又は上記アンスラサイクリン又は上記アンスラサイクリンプロドラッグの薬学上受容可能な塩及び薬学上受容可能な担体、媒体又は希釈剤を含む第2ユニット投薬形態を含むことを特徴とする。
【0086】
発明の上記の第4の側面の上記の第1の好ましい態様のより好ましい態様において、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が式Iの化合物又は薬学上受容可能なその塩を含み、そして上記アンスラサイクリンがドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、又はアムルビシンであるか、又は薬学上受容可能なその塩である、キットを特徴とする。
【0087】
発明の上記の第4の側面の上記の第1の好ましい態様のさらにより好ましい態様においては、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が式:
【0088】
【化27】

【0089】
の化合物又は薬学上受容可能なその塩を含み、そしてアンスラサイクリンがドキソルビシン又は薬学上受容可能なその塩である、キットを特徴とする。
国際特許出願公開番号WO00/39130の開示は、式Iの化合物を合成する一つ又はそれより多い方法を教示する。
【0090】
別の好ましい側面によれば、本発明は、少なくとも一つのアンスラサイクリン化合物及び少なくとも一つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物を含む薬剤の組み合わせに関し、但し、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物は、その各々の開示が全体において引用により本明細書に編入される、一つ又はそれより多い以下の合衆国特許の中に記載される。
【0091】
【表1】

【0092】
別の好ましい側面によれば、本発明は、少なくとも一つのアンスラサイクリン化合物及び少なくとも一つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物を含む薬剤の組み合わせに関し、但し、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物は、その各々の開示が全体において引用により本明細書に編入される、一つ又はそれより多い以下の合衆国特許公開の中に記載される。
【0093】
【表2】

【0094】
さらに別の好ましい側面によれば、本発明は、少なくとも一つのアンスラサイクリン化合物及び少なくとも一つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物を含む薬剤の組み合わせに関し、但し、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物は、その各々の開示が全体において引用により本明細書に編入される、一つ又はそれより多い以下の合衆国特許の中に記載される。
【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
特に好ましいのは、以下の国際特許出願及び公開:WO00/39130,WO98/00409,WO99/65922,WO99/65898,WO99/64401,及びPCT/US01/23959に記載されたファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物である。
【0098】
さらに別の好ましい側面によれば、本発明は、少なくとも一つのアンスラサイクリン化合物及び少なくとも一つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物を含む薬剤の組み合わせに関し、但し、上記アンスラサイクリン化合物は、その各々の開示が全体において引用により本明細書に編入される、一つ又はそれより多い以下の合衆国特許の中に記載される。
【0099】
【表5】

【0100】
さらに別の好ましい側面によれば、本発明は、少なくとも一つのアンスラサイクリン化合物及び少なくとも一つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物を含む薬剤の組み合わせに関し、但し、上記アンスラサイクリン化合物は、その各々の開示が全体において引用により本明細書に編入される、以下の一つ又はそれより多い合衆国特許公開:2002137694、20020077303、及び20010053845の中に記載される。
【0101】
またさらに別の好ましい側面によれば、本発明は、少なくとも一つのアンスラサイクリン化合物及び少なくとも一つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物を含む薬剤の組み合わせに関し、但し、上記アンスラサイクリン化合物は、その各々の開示が全体において引用により本明細書に編入される、一つ又はそれより多い以下の国際特許出願及び公開の中に記載される。
【0102】
【表6】

【0103】
より好ましい側面によれば、本発明は、国際特許公開番号WO00/39130に記載された少なくとも一つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物をアンスラサイクリンと共に含む薬剤の組み合わせに関する。アンスラサイクリンの間では、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、及びアムルビシンが好ましく、そしてドキソルビシンがもっとも好ましい。国際特許公開番号WO00/39130の開示は、その全体において引用により本明細書に編入される。
【0104】
特に好ましい態様において、発明は、化合物Aとドキソルビシンを含む薬剤の組み合わせを特徴とする。
それらの作用機構の結果として、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物、特に上記の化合物は、通常、細胞増殖抑制性タイプの活性を有する。
【0105】
少なくとも一つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤及び少なくとも一つのアンスラサイクリンを含む発明による薬剤の組み合わせを使用することにおいて、目的は増加した抗癌活性、例えば腫瘍のサイズの延期された安定化、又は腫瘍の退行を得ることである。
【0106】
本発明によれば、組成物は、その投与後にそれが腫瘍細胞の増殖を阻害するか、遅延させるか又は妨害するなら、活性である。即ち、発明による薬剤の組み合わせを含む薬学組成物の有利な特徴は、腫瘍の成長の遅延の増加であり得る。
【0107】
発明による薬剤の組み合わせは、分離したとみなされたアンスラサイクリン化合物又はファルネシルトランスフェラーゼ化合物各々により得られた活性との比較において、アンスラサイクリン化合物又はファルネシルトランスフェラーゼ化合物何れかの抗癌活性を有利に延期するか又は維持し得る。
【0108】
本発明による組み合わせの別の利点は、障害性に関する。特定すると、上記組み合わせの治療上の相乗性は、上記化合物が単独で投与されたのと同じレベルの治療活性を達成するのに必要なはずの用量と比較して、低い用量の一方又は両方の化合物を与える。
【0109】
用語「プロドラッグ」は、目的の薬剤の薬学上受容可能な代謝前駆体、即ち、体内で所望の薬剤の活性形態に変換される化合物又は組成物を意味する。
以下のとおり若干の略語が本明細書にて使用される。
【0110】
EBERs EBVによりコードされたRNAs
EBNA1 エプスタイン−バール核抗原1
EBV エプスタイン−バールウイルス
Ftase ファルネシルトランスフェラーゼ
GGTase ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ
FTI ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤
LMP1 潜伏性(latent)膜蛋白質1
NPC 鼻咽腔カルシノーマ
TRAF TNF受容体関連因子
【0111】
発明の薬剤組み合わせを形成するアンスラサイクリン化合物及びファルネシルトランスフェラーゼ阻害性化合物は、同時か、別々か、又は時間をかけて順番に(sequenced)投与することができ、この頻度を採用することにより、組み合わせの最大効率を得て、そして各投与に関しては、迅速な全投与から連続潅流までの範囲の可変期間を有することができる。上記の組み合わせを形成する化合物は、異なる速度で投与することができ、連続、断続、反復、交替、又は順番のスキムから選択されるスキムにより独立して投与することができ、そして一日当たり多数回反復することができる。
【0112】
有利なことに、細胞増殖抑制活性を有する上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は連続のスキムに従い投与することができる。より有利なことに、このスキムは、例えば、本明細書にて記載されたインビトロ細胞生存性において測定されたような、細胞の成長の50%を阻害するのに必要な濃度(IC50)よりも高いか又は等しい血漿レベルを与える。有利なことに、アンスラサイクリンは、腫瘍モデルの種類に応じたスキムに従い;好ましくは断続のスキムに従い、投与することができる。
【0113】
本発明の薬剤の組み合わせは、構成物の物理的関連により得られたものに限定されないのみならず、同時か又は時間をかけて広がり得る分離投与を可能にするものにも限定されないことが、前記から当然の結果として起こる。即ち、上記構成物は、別の方法及び経路により独立に投与することができ、限定ではないが、経口、腹膜内、非経口、静脈内、局所、直腸内、膣内、及び呼吸粘膜経路を含む。
【0114】
有利なことに、本発明による組み合わせのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤及びアンスラサイクリン構成物は、経口により投与され;もっとも好ましくは、本発明による組み合わせのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤及びアンスラサイクリン構成物は、経口経路により生物利用可能性である。
【0115】
また、有利なことに、本発明による組み合わせのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤及びアンスラサイクリン構成物は、静脈内投与してよい。
また、有利なことに、本発明による組み合わせのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤構成物は、経口投与してよく、そしてアンスラサイクリン構成物は静脈内投与してよく、逆もまた同じである。
【0116】
静脈内注射のための生成物は、一般に、使用のときに即座に調製できる、薬学上受容可能な滅菌溶液又は懸濁液である。非水性溶液又は懸濁液の調製のためには、中性植物オイル、例えばオリーブオイル、ゴマ油又はパラフィンオイル又は注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルを使用することができる。上記滅菌水性溶液は、水中のアンスラサイクリン化合物及びファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物の一方又は両方の溶液にて構成することができる。当該水性溶液は、pHが適切に調節されて例えば十分な量の塩化ナトリウム又はグルコースにより等張性が生じる限り、静脈内投与に適している。滅菌は、加熱によるか又は組成物に対して有害に作用しないあらゆる他の手段により実施することができる。上記の薬剤の組み合わせは、リポソームの形態又は指示体、例えばシクロデキストリン又はポリエチレングリコールとの組み合わせ形態にて存在することができる。
【0117】
経口投与のための固形組成物としては、圧縮されたタブレット、ピル、粉末(ゼラチンカプセル、カシェ剤)又は顆粒を使用することができる。これらの組成物においては、アンスラサイクリン化合物及びファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物の一方又は両方を一つ又はそれより多い不活性希釈剤、例えば、スターチ、セルロース、蔗糖、乳糖又はシリカと、アルゴン流の下で混合する。これらの組成物は、同様に、希釈剤以外の物質、例えば、一つ又はそれより多い潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク、色素、コーティング(コートされたタブレット)又はラッカーを含み得る。
【0118】
経口投与のための液体組成物としては、不活性希釈剤、例えば水、エタノール、グリセロール、植物油又はパラフィンオイルを含む、薬学上受容可能な溶液、懸濁液、乳濁液、シロップ及びエリキシルを使用することが可能である。これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えば湿潤剤、甘味料、濃化剤、芳香剤又は安定化製品を含むことができる。
【0119】
直腸の投与のための組成物は、座剤又は直腸カプセルであり、アンスラサイクリン化合物及びファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物以外に、賦形剤、例えばココアバター、半合成グリセリド又はポリエチレングリコールを含む。
局所投与のための組成物は、例えば、クリーム、ローション、眼科用ローション、マウスウオッシュ鼻ドロップ又はエアロゾルであり得る。
【0120】
概して、医師が、治療される被験者の各々の年齢、体重及び全ての他の因子の函数として、アンスラサイクリン化合物及びファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物の各々の適切な用量を決定することになる。一般に、用量は、要求される効果、治療の期間及び使用される投与の経路に依存する。用量は、一般に、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤に関して言えば、成人の経口投与によると1日あたり10mgから2000mgであり、50mgから1000mgの活性物質の範囲のユニット用量であり;そしてアンスラサイクリンに関して言えば、成人の静脈内投与によると1日あたり10mgから1000mgの活性物質である。上記治療を1日当たり又は1週あたり多数回反復することができ、医師により適切に決定される。好ましくは、安定化、部分的緩解、全快又は回復が達成されるまで、上記治療を続ける。
【0121】
構成物の投与を同時か、分離してか又は時間をかけて広げ得る、発明による組み合わせにおいては、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物の量が組み合わせの10から90重量%であることが特に都合が良く、関連する物質の性質、要求される効果及び処置される癌の性質の函数として、この要旨のために変更することが可能である。
【0122】
発明による薬剤の組み合わせは、様々な組織及び/又は器官の細胞の悪性又は良性細胞増殖に関連する疾患の治療のために利用することができ、筋肉、骨又は関節組織、皮膚、脳、肺、生殖器官、リンパ系、腎臓系、乳房又は血液細胞、肝臓、消化装置、結腸、膵臓及び甲状腺又は副腎を含み、そして以下の病理を含む:乾癬、再狭窄、別の種類の肉腫、例えばカポジ肉腫、頭部の癌、及び頸部、膵臓、結腸、肺、卵巣、胸部、脳、前立腺、肝臓、腹部、膀胱、腎臓、前立腺又は精巣の癌、ウイルムス腫、奇形癌、胆管カルシノーマ、絨毛癌、メラノーマ、大脳腫瘍、例えば、神経芽腫、神経膠腫、多発性骨髄腫、白血病及びリンパ腫、例えば慢性リンパ球白血病、急性又は慢性顆粒性リンパ腫、及びホジキン病。
【0123】
発明による組み合わせは、癌、例えば、膵臓、結腸、肺、卵巣、乳房、脳、前立腺、肝臓、腹部、膀胱又は精巣、及び頭部及び頸部の癌の治療に特に有用であり得て、そしてより都合が良いのは頭部及び頸部の癌である。発明の特に好ましい態様においては、発明による組み合わせを鼻咽腔カルシノーマの治療のために使用する。
【0124】
特に、発明の薬剤の組み合わせは、何れかの化合物を単独で使用する場合の用量よりも低い用量にてアンスラサイクリン化合物及び/又はファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物を用いることが可能であるとの利点を有する。
【0125】
即ち、本発明は、上記の病理;有利なのは癌、もっとも有利なのは鼻咽腔カルシノーマの治療のために有用な医薬の製造のための、少なくとも一つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤及び少なくとも一つのアンスラサイクリンを含む組み合わせの使用に関する。さらに、本発明は、同時、別々又は時間をかけて順番に投与するための、医薬の製造のための、少なくとも一つのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤及び少なくとも一つのアンスラサイクリンを含む組み合わせの使用に関する。
【0126】
本明細書にて言及されるファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤化合物は、当業者に知られている共通の手段により製造することができ、本明細書にて引用により既に特別に編入された特許から明らかである。同様に、アンスラサイクリン化合物は当業界でよく知られた手段により製造することができる。
【0127】
本発明は、発明を如何にして実施するを当業者に教示するようにデザインされた以下の実施例によりさらに例示される。以下の実施例は発明の端なる例示であり、請求された発明に限定するものとして解釈されるベきではない。
【0128】
発明の詳細な説明
材料
化合物AとBIM−46068は、バイオメジャー、インコーポレイテッド(ミル−ド、マサチューセッツ)から供給された。FTI−277とGGTI−286はエクスパンシア(アラモン、フランス)から供給された。タキソール、シスプラチン、ドキソルビシン及び5−フルオロウラシルはシグマ(セント−クエンチン、フォーラビエル、フランス)から購入した。C15は、皮下継代によりヌードマウスに増殖させた未分化NPC腫瘍系である。(Busson,P.,et al.,Establishment and characterization of three translatable EBV−containing nasopharyngeal carcinomas.Int J Cancer,42:599−606,88.)それは、モロッコで生まれた13歳の少女の初期鼻咽腔腫瘍の生検から確立された。当該生検は、臨床材料の使用に関する制度化されたガイドラインに従い、あらゆる治療法の前に回収された。この患者はリンパ腫及び骨の転移に付随した、容積の大きな初期腫瘍を有し、そして、鼻咽腔及び頸部の放射線治療の前に、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びメチルプレドニソロンの組み合わせを用いる誘導化学治療により治療された。70%の腫瘍の応答が化学治療の2カ月後に初期腫瘍及び頸部リンパ腫転移の両方において達成された。完全な臨床上の緩解が放射線治療の後に得られたが、しかしながら、骨の転移のために緩解は5カ月間しか継続しなかった。C15細胞は野生型p53を発現する。(Effert,P.,et al.,Alterations of the p53 gene in nasopharyngeal carcinoma.J Virol,66:3768−3775,1992.)
【0129】
C666−1は、NPC異種移植片に関してインビトロにおいて増殖させたEBV−陽性細胞系であり、xeno−666と呼ばれる。(Cheung,S.T.,et al.,Nasopharyngeal carcinoma cell line (C666−1) consistently harbouring Epstein−Barr virus.Int J Cancer,8−126,1999.)初期インビトロ培養物は継代18のxeno−666に由来し、C666と命名された。次に、C666を低密度生育に適合させて、いくつかのサブクローンを単離した。それらのうちのひとつがC666−1と命名され、広範囲に特性決定されて、のちにこの研究において使用された。(同上;Weinrib,L.,et al.,Cisplatin Chemotherapy plus adenoviral p53 gene therapy in EBV−positive and −negative nasopharyngeal carcinoma.Cancer Gene Ther,8:352−360.,2001。)C666−1細胞は変異したp53を発現する。(Weinrib,L.,et al.,Cancer Gene Ther,8:352−360.,2001.)
【0130】
EBER’s(EBVによりコードされたRNA’s)のインサイチュハイブリダイゼーション
異種移植片化されたC15及びC666−1腫瘍の断片を(酢酸、ホルムアルデヒド及びエタノールの混合物中で)固定し、パラフィンに埋め込み、そして4μmの切片に切った。EBER1及び2の両方に反応するフルオレセインで標識されたペプチド核酸(PNA)を用いたインサイチュハイブリダイゼーションにより、EBER’sの検出を実施した。(Dako EBER−PNAプローブ、ダコ、トラップ、フランス。)ハイブリダイゼーションのプロセスは製造者により薦められるとおりに実施し、RNAを含まない水を使用した。ハイブリダイズしたプローブを、アルカリホスファターゼにコンジュゲートされた抗フルオレセイン抗体により検出した(PNA ISH検出キット、Dako)。
【0131】
インビトロ実験のためのNPC細胞の調製
インビトロ実験の前に、以前に報告されたとおりに、C15異種移植片化腫瘍を細胞分散のためにミンチしてタイプIIコラゲナーゼで処理した。(Sbih−Lammli,F.,et al.,Control of apoptosis in Epstein Barr virus−positive nasopharyngeal carcinoma cells:opposite effects of CD95 and CD40 stimulation.Cancer Res,59:924−930,1999.)残渣の細胞凝集物を、100μmポアのナイロンセル濾過器上で濾過することにより除去した。C666−1細胞は、コラゲナーゼIをコートされたプラスチックフラスコ中でインビトロにおいて永久に増殖させた。(Biocoat,Becton−Dickinson,フランス)。インビトロ培養培地は、C15及びC666−1両者に関して5%ウシ胎児血清を含むHepes緩衝RPMIであった。C666−1細胞は単一の悪性腫瘍クローンに由来し、マウスの繊維芽細胞の汚染を含まなかった。対照的に、C15細胞懸濁液はしばしばマウス繊維芽細胞で汚染された。よって、いくつかの実験に関しては、C15細胞懸濁液を、細胞の付着を阻害する抗接着ポリマーであるポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)をコートされたプラスチック上で生育させた(Fukazawa,H.,et al.,Inhibitors of anchorage−independent growt affect the growth of transformed cells on poly(2−hydroxyethyl metacrylate)−coated surfaces.Int J Cancer,67:876−882,1996.)(PolyHEMA,Sigma,セイント−クエンチンフォラビエル、フランス)。このコーティング法を用いて、繊維芽細胞の増殖を完全に阻害したが、C15細胞は非アンカースフェロイド又は72時間目に150μmの平均直径の凝集物として生育させた(図1)。
【0132】
Ki 67免疫染色
C15細胞凝集物をサイトスピンによりガラススライド上に蒸着させ、アセトン中で4℃において10分間固定し、そしてKI 67抗原に対するマウスモノクローナル抗体(Dako,トラップ、フランス)により染色した。この抗体は、ヒト抗原に特異的であり、そしてそのマウス対応物には交差反応しない。免疫反応性をペルオキシダーゼをコンジュゲートされた抗体(パワービジョンキット、Immuno Visionテクノロジーズ、デーリーシティー、カリフォルニア)により検出した。スライドはヘマトキシリンにより対比染色した。
【0133】
インビトロプレニル−トランスフェラーゼアッセイ
化合物A及び他の薬剤のFTase活性に対する効果を、ヒトの脳のサイトゾル由来のFTase(ABS Reagents,ウイルミントン、ドイツ)を標的酵素として用い、そして野生型CAAXボックスを含む組換えヒトH−Ras蛋白質(Biomol,プリマウスミーティング、パナマ)を特異的基質として用いてインビトロでアッセイした。[H]−ファルネシル化のためのインキュベーション混合物(25μl)は、50mM Tris−HCl(pH7.5),5mMジチオスレイトール、20μM ZnCl,40mM MgCl,0.6μM[H]−ファルネシルピロホスフェート(22.3Ci/mmol)(NEN,ボストン、マサチューセッツ),4μMの組換えH−Ras及び10μgのFTaseを含んだ。37℃において60分後に、150μlの無水エタノールを添加することにより、反応を停止した。上記混合物を、次に、Unifilter GF/Bマイクロプレート(Packard,ランジス、フランス)上で濾過し、そしてシンチレーションカウンティングの前にエタノールで6回洗浄した。50μlのMicroscint 0を添加した後、プレートをPackard Top Countシンチレーションカウンターによりカウントした。GGTaseI活性に対する薬剤の効果は、ヒトの脳由来のGGTaseI(ABS試薬)を標的酵素として、そして変異したCAAXボックスを含むヒト組換えH−Ras(CVLL)(Biomol)を用いた類似の方法によりアッセイした。インキュベーション混合物は、4μMの組換えH−Ras,0.6μMの[H]−ゲラニルゲラニル−ピロホスフェート(19.3Ci/mmol)(NEN)及び100μgのGGTaseIを含んだ。GGTI−286をGGTaseI阻害アッセイの陽性対照として使用した。結果は、組換えH−Ras蛋白質へのプレニルの取り込みの50%を阻害するのに必要な薬剤の濃度として表現した(IC50)。
【0134】
完全な細胞におけるファルネシルトランスフェラーゼ阻害の評価
完全な細胞でのファルネシルトランスフェラーゼに対する化合物Aの効果を、ATCCから購入したヒト膵臓カルシノーマ細胞系であるMIAPaca細胞において評価した。
H−Ras及びN−Rasの両者を内因性ファルネシルトランスフェラーゼの参照基質として調査した。全蛋白質抽出物を、増加する濃度の化合物A(1−100nM)を、陰性対照としての未処理細胞由来の抽出物と共に48時間処理したMIAPaca細胞から調製した。陽性対照はメバスタチン(30μM)で処理された細胞から供給された。メバスタチンはHMG−CoA還元酵素阻害剤であり、ファルネシル代謝前駆体の合成をブロックする。細胞抽出物をSDS−ポリアクリルアミドゲル(15%)により分離して、H−Ras及びN−Rasに向けられたポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロットにより分析した(Santa Cruz,ハイデルベルグ、ドイツ)。ファルネシルトランスフェラーゼ阻害はH−Ras及びN−Rasの非プレニル化形態の検出により間接に評価したが、わずかに高い分子量にシフトし、抗体とはより効率よく反応した。
【0135】
NPC細胞生存性に対する薬剤効果の評価
細胞の生存性アッセイを、コートされないか(C666−1)又はポリHEMAでコートされた(C15)96ウエルプラスチックマイクロプレート中で実施した。各細胞系に関して、ウエルあたりに分配された細胞の数を最適化することにより、対数成長を保持しながらもっとも高い代謝活性を試験の終わりまで達成した。C15及びC666−1細胞を、それぞれ、10及び35 X 10/ウエルにて、150μlの培養培地中で接種した。一晩の前インキュベーション培養の後に、化学治療用薬剤の連続希釈(50μl;最終濃度50nM − 50μM)を4通りにして250μlの容量まで添加した。試験された薬剤との72時間のインキュベーション完了後に、細胞の生存性をWST−1アッセイを用いて評価した(Roche Molecular,フランス)。WST−1アッセイはミトコンドリアのデヒドロゲナーゼによるテトラゾリウム塩の分割に基づく。他の試験とは対照的に、それはマイクロウエルプレート中の細胞を洗浄する必要がなく、そしてスフェロイド培養と適合性である。細胞を、培養培地に加えられた10μlのWST−1試薬と3から6時間、37℃においてインキュベートした。プレートを次にELISAリーダー(Dynatech MR7000,ガーンジーチャンネルアイランド、USA)上で490nmのフィルターを用いて読んだ。平均及び標準偏差は4通りのサンプルにて測定した。各化合物に関して、シグモイド曲線の直線部分に入る値は直線回帰分析に含まれ、そして50%阻害濃度(IC 50)を評価するのに使用された。
【0136】
薬剤処理されたNPC細胞中のカスパーゼ活性の評価
カスパーゼ活性を、CaspaTagキットを用いて製造者の指示に従いフローサイトメトリーにより単一細胞レベルにて評価した(Quantum−Appligene,Illkirch,フランス)。この手法は、カルボキシフルオレセインで標識された細胞透過性の一般カスパーゼ阻害剤(VAD−フルオロメチルケトン)を含んだ。この蛍光阻害剤は活性カスパーゼに不可逆的に結合するから、アポトーシス細胞においては選択的に保持される。アポトーシス誘導のため、C15及びC666−1細胞を24ウエルプレート中で10及び3 x10細胞/ウエルにてそれぞれ接種し、一晩前インキュベートし、そして薬剤で48時間処理した。このコンテクストにおいて、C15をPolyHEMA上でインキュベートすることは不可能であったが、何故ならば、結果の細胞凝集物がフローサイトメトリーに適していなかったからであった。ヒト悪性腫瘍細胞を混在したマウス繊維芽細胞から識別するため、C15細胞懸濁液を、アロ−Phyco−Cyanine(Becton Dickinson,Meylan,フランス)にコンジュゲートさせた抗体ヒトHLA(ヒト白血球抗原)A,B,Cによる追加の染色に供した。第1の工程において、C15及びC666−1の両者を、それらの培養プレート中で、蛍光VAD−FMAと共に、300μlの培養培地中で、1時間37℃においてインキュベートした。細胞を次に洗浄してトリプシン処理した。C15細胞をさらに抗−HLA抗体とインキュベートした。最後に、カスパーゼ及びHLA蛍光の両方をFACSキャリバーフローサイトメトリー(Becton Dickinson,フランクリンレイクス、ニュージャージー)を用いて分析した。
【0137】
PARP(ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ)及びTRAF1分割の評価
全細胞抽出物を、薬剤処理したのと対照のC15及びC666−1細胞からRIPA−SDSバッファー中で調製した。(Sbih−Lammali,F.,et al.,Control of apoptosis in Epstein Barr virus−positive nasopharyngeal carcinoma cells:opposite effects of CD95 and CD40 stimulation.Cancer Res,59:924−930,1999.)30から50μgの全蛋白質抽出物を7.5%(PARP)又は8−16%勾配(TRAF1)SDS−ポリアクリルアミドゲル上の電気泳動に供した。分離された蛋白質を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ−コンジュゲート抗体(Amersham,Les Ulis,フランス)により示された(revealed)抗−PARP(Oncogene,ボストン、マサチューセッツ)又は抗−TRAF−1(Santa Cruz,ハイデルベルグ、ドイツ)抗体をプローブとするImmobilon膜(Millipore,フランス)に転写した。ECL化学発光系により検出を実施した(Amersham,Les Ulis,フランス)。Santa Cruzからの2種類の抗体をTRAF1−分割の研究のために使用した:モノクローナルH−3及びH−132ポリクローナル;陽性対照はCD95−アゴニスト抗体、7C11で24時間処理されたC15細胞により提供された(Immunotech,マルセイユ、フランス)。
【0138】
NPC腫瘍系中のEBER’sの検出
C15及びC666−1が潜在性EBV−感染を保持することをチェックするために、EBER’s発現を両腫瘍系においてインサイチュハイブリダイゼーションにより検出した(図1A及びB)(インビトロ継代40のヌードマウスへの細胞注入により、C666−1異種移植片腫瘍をリフォームした)。予測されたとおり、EBER’s染色は本質的に核であった。ほとんどであるが全てではない悪性腫瘍細胞が陽性染色され、新鮮なNPC生検を用いた以前の報告と一致する観察である。(Wu,T.C.,et al.,Abundant expression of EBER1 small nuclear RNA in nasopharyngeal carcinoma.A morphologically distinctive target for detection of Epstein−Barr virus in formalin−fixed paraffin−embedded carcinoma specimens.Am J Pathol,138:1461−1469,1991.)
【0139】
C15及びC666−1増殖の評価
以前に報告されたとおり、C666−1細胞はインビトロにおいて堅実に増殖し、様々な種類のプラスティック容器において細胞単層として成長した。(Cheung,S.T.,et al.,Nasopharyngeal carcinoma cell line(C666−1)consistently harbouring Epstein−Barr virus.Int J Cancer,83:121−126,1999.)マウス繊維芽細胞による汚染の増加を回避するため、腫瘍を分散させたC15をPolyHemaマトリックスをコートされたマイクロプレートに接種して浮遊凝集物として生育させた。これらの凝集した細胞は、それらの重要なフラクション中のヒトKi 67抗原の免疫細胞学検出により証明されたところによると、増殖したままであった(図1C)。さらに、3日連続培養の間のWST低下の繰り返しの測定は、生存細胞の一致した堅実な増加を証明した(図1D)。C15細胞の倍加時間は1.5日と見積もられた。同じプレートにおいて、プラスティックコーティングなしでは、C666−1細胞の倍加時間は約3.5日であった(図1D)。
【0140】
NPC細胞に適用された慣用の薬剤のインビトロの短期間障害性
シス−プラチナム、ブレオマイシン、5FU,ドキソルビシン及びタキソールは、NPC化学治療においてもっとも頻繁に使用される薬剤である。(Ali,H.et al.,Chemotherapy nasopharyngeal cancer.Oncology(Huntingt),14:1223−1230,2000.)それらの短期間の細胞障害性効果を、インビトロにおいて、C15及びC666−1細胞上で、WST低下に基づく細胞生存性アッセイを用いて、評価した。培養された細胞を様々な濃度の各治療剤の存在下で72時間インキュベートした。表Iに示されるとおり、C15及びC666−1の両方ともに、1μMを下回る濃度においてドキソルビシンに対して非常に感受性であった。C666−1細胞はタキソールにも感受性が高かったが、C15細胞は全体的にこの薬剤に対して耐性であっ。一方、C15は、シスプラチナム(1μM IC50)の細胞障害性効果に中度に感受性であったが、C666−1細胞は5倍耐性であった。ブレオマイシン又は5−FUの顕著な効果は、試験された濃度において何れの細胞系においても観察されなかった。
【0141】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤の特性決定
ドキソルビシンはC15及びC666−1の両方に対して極めて活性であったが、試験された濃度においてはこれらの細胞系の中で広範囲のアポトーシスを誘導することが観察されなかった。よって、分子上標的とされた薬剤、特にファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTI’s)をドキソルビシンと共に使用することにより、その細胞障害性効果を増加させ、そしてアポトーシスを誘導しようとすることが仮定された。化合物Aはペプチド模倣性のFTIであり、ファルネシルトランスフェラーゼの高選択性であるようにデザインされたものである。この化合物の生物活性は、精製されたヒトプレニル−トランスフェラーゼの活性に対するその効果及び完全細胞中のras−プロセシングのその阻害に関して最初にアッセイした。表IIは、化合物Aがインビトロにおけるヒト脳のFTaseの有力な阻害剤であることを示す。IC50値は、ナノモラーの範囲内であり、試験された公知のFTI化合物FTI−277及びBIM−46068に比べて優るとも劣らない。(Sun,J.,et al.,Ras CAAX peptidomimetic FTI 276 selectively blocks tumor growth in nude mice of a human lung carcinoma with K−Ras mutation and p53 deletion.Cancer Res,55:4243−4247,1995;Prevost,G.P.,et al.,Inhibition of human tumor cell growth in vitro and in vivo by a specific inhibitor of human farnesyltransferase:BIM−46068.Int J Cancer,83:283−287,1999.)他の試験されたFTI’sとは対照的に、化合物AによるGGTase−Iに対する活性が100μMの濃度まで観察されなかったことから、そのFTaseに対する高い選択性を示すことは注目に値する。化合物Aの蛋白質−ファルネシル化に対する効果を、さらに、プレニル化−阻害剤のプロトタイプ標的細胞である完全なMIAPacaにおいて評価した。H−Ras及びN−Rasは、ファルネシルトランスフェラーゼの古典的基質であり、共にMIAPaca細胞中で発現されて変異していない。細胞をほんの50nMの化合物Aと48時間インキュベートしたときに、H−RasとN−Rasのファルネシル化の顕著な阻害が得られた。
【0142】
化合物Aと組み合わせて使用された場合のNPC細胞に対するドキソルビシンの細胞障害性活性の増強
図2Aに示すとおり、化合物Aは単独で使用された場合にC15及びC666−1細胞の両方に対してほんの限定された障害性しか有さなかった(IC50=10μM)。しかしながら、ドキソルビシンの細胞障害性効果は化合物Aと組み合わせたときに劇的に増強された。C15細胞に関しては、相加的効果以上のものが、500nM又は1μMの濃度のドキソルビシン及び5μMの化合物Aに関して明らかであった。C666−1細胞に関しては、ドキソルビシンとの相乗効果を得るために、高濃度のFTI薬剤が必要であった。さらに、1及び2μMのドキソルビシン濃度に関して相加的効果以上のものが観察された。対照的に、増強されたシスプラチン及びブレオマイシンの細胞障害性は試験された濃度の化合物Aとの組み合わせにおいて観察されなかった。
【0143】
ドキソルビシン/化合物Aの組み合わせの細胞障害性効果に対するアポトーシスの寄与
ドキソルビシン/化合物Aの組み合わせとの48時間のインキュベーションの後に、多数のC15細胞が、集まり(round up)始め、それらの突起(processes)を収縮し始め、そして次に培養皿から離脱し始めた。Hoechst 33342を用いた核染色下で、核アポトーシスに関連する典型的な変化−核凝縮及び断片化−がインキュベーションの48時間目に検出され、そして72時間にはより明確になった。そのような形態上の変化は、ドキソルビシン又は化合物A単独により処理されたC15細胞においては、はるかにはっきりしなかった。C15細胞とは対照的に、核の形態上の顕著な変化は、ドキソルビシンと化合物Aの両方の存在下でさえもC666−1細胞においては観察されなかったが、部分的クロマチン凝縮を伴ういくつかの核は記録された。48時間の期間の処置の後に明白であったカスパーゼ活性化のフローサイトメトリー分析により、両方の薬剤による処理下にあるC15細胞のアポトーシスがさらに証明された。最後に、PARP分割をウエスタンブロットにより、一つの薬剤又は両方の連合により処理されたC15細胞の蛋白質抽出物において分析した。組み合わせ処理のほんの24時間後に、強いPARP分割が明らかであった。48時間目には、PARPの完全な断片がほとんど検出可能であった。中度のPARP分割はドキソルビシン又は化合物A単独により処理された細胞においても検出されたが、これらの実験条件においては、はるかに低いフラクションの蛋白質しか影響されなかった。化合物Aとドキソルビシンを組み合わせて処理した場合でさえも、カスパーゼ活性化及びPARP分割はC666−1細胞において検出されなかった。
【0144】
化合物A−ドキソルビシンの組み合わせにより処理されたC15細胞におけるTRAF1の分割
ドキソルビシン及び/又は化合物Aにより処理されたNPC細胞をTRAF1の分割に関して調査した。TRAF1は限定された組織分配を有するが、その発現がEBV−感染により正規の場所以外で誘導されるシグナリングアダプターである。(Mosialos,G.,et al.,The Epstein−Barr virus transforming protein LMP1 engages signaling proteins for the tumor necrosis factor receptor family.Cell,80:389−399,1995.)TRAF1はEBV陽性NPC細胞において強く発現されることが報告された。(Ardila−Osorio,H.,et al.,Evidence of LMP1−TRAF3 interactions in glycosphingolipid−rich complexes of lymphoblastoid and nasopharyngeal carcinoma cells.Int J Cancer,81:645−649,1999.)一方、Leoら(2001)は、アポトーシス、特に死因の(death)受容体媒介性アポトーシスのみならずドキソルビシン誘導性アポトーシスを経た細胞においてTRAF1がアスパラギン酸163において分割されることを報告した。(Leo,E.,et al.,TRAF1 is a substrate of caspases activated during tumor necrosis factor receptor−α induced apoptosis.J Biol Chem,55:8087−8093,2000.)CD95アゴニスト(7C11)により24時間処理されたC15細胞を陽性対照として使用した;完全TRAF1の量の劇的な低下が対応する蛋白質抽出物中で観察された。同時に、Leoら(前出)により特性決定された分割断片:断片I(24kD,H−132と反応性)及びII(30kD,H−3と反応性)の顕著な増加があった。ドキソルビシン又は化合物Aを単独処理した細胞においては、TRAF1分子の修飾が観察されなかった。対照的に、断片I及びIIに類似の分割された断片の実質上の増加が、ドキソルビシン及び化合物Aの組み合わせにより処理された細胞の抽出物において観察された。CD95アゴニストと薬剤の組み合わせにより誘導された分割のパターンにはいくらかの違いがあった。分割された断片の視覚化に拘わらず、完全なTRAF1の量は薬剤処理された細胞においてほんのわずかに減少した。さらに、分割された断片IIは7C11アゴニストよりもわずかに大きなサイズを矛盾なく有した。TRAF1はC666−1の中でも検出されたし、そしてCD95アゴニストの存在下での処理のもとでは容易に分割されたが、薬剤処理下では分割されなかった。この観察はアポトーシスプロセスの不在に一致する。
【0145】
他に定義しない限り、本明細書において使用された技術用語及び科学用語は、発明の属する分野の当業者により共通に理解される意味と同じである。また、本明細書において引用された全ての刊行物、特許刊行物、特許又は他のレファレンスは引用により本明細書に編入される。
【0146】
発明はその詳細な説明に関連して記載されたが、前記記載は発明の範囲を例示するものであって限定するものではないことを意図し、発明は特許請求の範囲により定義されることが理解されるべきである。
【0147】
【表7】

【0148】
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】NPC腫瘍系の中のEBERsの検出及びインビトロにおけるNPC細胞増殖の評価。A及びB:C15(A)及びC666−1(B)NPC細胞により形成された異種移植片化された腫瘍の組織切片上のEBERsのインサイチュハイブリダイゼーション。(スケールバー:20μM。)C:PolyHemaマトリックス上でインビトロにて72時間生育させたC15細胞のKi 67免疫染色;細胞凝集物(平均サイズ150μM)をサイトスピンし、そして免疫染色前にアセトン(10分/4℃)中で固定した。(スケールバー:10μM。)D:連続WST−1アッセイによりインビトロにて証明されたC15(実線)及びC666−1(破線)細胞の増殖。細胞は96ウエルプレート中で10/ウエルにてPolyHema(C15)をコートされたプラスチック上で、及び35 X 10/ウエルにてコーティングなしに(C666−1)接種した。WST−1反応を24、48及び72時間実施して、490nmにおける吸光度により反映される細胞生存性の進化を評価した。データは4通りの平均である(±標準偏差)。類似の結果は3つの異なる実験において得られた。
【図2】単独又はドキソルビシンとの組み合わせにおける化合物AのNPC細胞の生存性に対する効果。C15及びC666−1細胞を、WST−1アッセイを用いた細胞生存性の評価の前に、96ウエルプレート上で様々な濃度の薬剤の存在下で生育させた。観察された結果は、4通りの平均(±標準偏差)として報告し、そして3つの類似の実験の典型である。A:様々な濃度の化合物A単独によるNPC細胞の処理。B:NPC細胞の様々な濃度のドキソルビシンによる処理であって、化合物A,5μM(C15)又は10μM(C666−1)を伴うか又は伴わない。
【図3】化合物Aと組み合わせたドキソルビシンにより処理したC15細胞中の核断片化の誘導。核は、ヘキスト33342染色により可視化した(スケールバー:10μM)。A:非処理細胞;B:化合物A(5μM)と組み合わせたドキソルビシン(1μM)により48時間処理した細胞;ほとんどの核が縮まり(矢印)、そしてクロマチン凝縮及び断片化を呈した(矢印の頭)。
【図4】化合物Aと組み合わせたドキソルビシンにより処理したC15細胞中のカスパーゼの誘導。C15細胞をドキソルビシン(1μM)、化合物A(5μM)又は両分子の組み合わせにより48時間処理した。カスパーゼ活性の測定は蛍光カスパーゼ基質阻害剤(カルボキシフルオレセインにより標識されたVAD−フルオロメチルケトン)の選択的細胞内停留に基づいた。蛍光基質の停留は、非処理(グレーの線)又は処理(黒の線)のC15においてフローサイトメトリーにより評価した。
【図5】化合物Aと組み合わせたドキソルビシンにより処理したC15細胞中のPARP−分割の誘導。C15細胞をドキソルビシン(1μM)、化合物A(5μM)又は両分子の組み合わせにより、示された時間処理した。対応する細胞溶解物(レーンあたり50μg)をSDS−PAGEにより分離して、抗PARPモノクローナル抗体を用いるウエスタンブロットにより分析した。PARPの分割産物は85kDであり、CD95アゴニスト−抗体7C11により処理されたC15細胞に由来する陽性対照の抽出物において示された。
【図6】化合物Aと組み合わせたドキソルビシンにより処理したC15細胞中のTRAF1−分割の誘導。A:Leo et al.(2001)により報告されたFas−媒介性TRAF1−分割のダイアグラム。H−3モノクローナル抗体及びH−132ポリクローナル抗体の産生に使用される標的ペプチドの位置をハッチボックスにより示す。H−3により標的とされたペプチドはフラグメントIIの中に完全に含まれたが、H132により標的とされたペプチドは概してフラグメントIと対応部分が同一線形上に並んだ(co−linear)。B:C15細胞をドキソルビシン(1μM)、化合物A(5μM)又は両者の組み合わせにより24時間処理した。対照の細胞をFas−アゴニスト抗体7C11により処理した。抗−TRAF−1抗体を用いたウエスタンブロット分析の前に、細胞溶解物(レーンあたり50μgの蛋白質)を8−16%のSDS−PAGE直線勾配上で分離した。両方の抗体が46kDに主バンドを検出した。小さなサイズの断片に相当する追加のバンドが目視され、主に7C11又はドキソルビシンと化合物Aの組み合わせで処理されたサンプル中であった。7C11により処理された細胞の抽出物中では、これらの小さな断片が29kD(H−3)及び24kD(H−132)の見かけ上の分子量を有し、Leo et al.(2001)に報告されたTRAF1断片のサイズに匹敵した。類似の結果が3つの類似の実験において得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、そのプロドラッグ又は上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤或いは上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤プロドラッグの薬学上受容可能な塩、及びアンスラサイクリン、そのプロドラッグ又は上記アンスラサイクリン又は上記アンスラサイクリンプロドラッグの薬学上受容可能な塩を含む薬学組成物。
【請求項2】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、式I
【化1】

による化合物
(式中、
n1は、0又は1であり;
Xは、各存在に関して別個に、(CHR11n3(CHn4Z(CHn5;であり;
Zは、O,N(R12),S又は結合であり;
n3は、各存在に関して別個に、0又は1であり;
n4及びn5の各々は、各存在に関して別個に、0、1、2、又は3であり;
Yは、各存在に関して別個に、CO,CH,CS,又は結合であり;
は、
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

,又はN(R2425)であり;
,R11,及びR12各々は、各存在に関して別個に、H又は(C1−6)アルキル及びアリールからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、上記の任意に置換されたモイエティは任意に一つ又はそれより多いR又はR30により置換されており;
は、各存在に関して別個に、H又は(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C2−6)アルキニル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−6)アルキル、(C5−7)シクロアルケニル、(C5−7)シクロアルケニル(C1−6)アルキル、アリール、アリール(C1−6)アルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1−6)アルキルからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、任意に置換されたモイエティは任意に一つ又はそれより多いR30により置換されており;
及びR各々は、各存在に関して別個に、H又は(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、任意に置換されたモイエティは任意に一つ又はそれより多いR30により置換されており、各置換基は別個に選択され、或いはR及びRが結合してアリールを形成する炭素と併せて互いに一緒になることができ;
は、各存在に関して別個に、H又は(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−6)アルキル、(C5−7)シクロアルケニル、(C5−7)シクロアルケニル(C1−6)アルキル、アリール、アリール(C1−6)アルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1−6)アルキルからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、任意に置換されたモイエティは任意にOH,(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、−N(R),−COOH,−CON(R),及びハロから各々別個に選択される一つ又はそれより多い置換基により置換されており;
式中、R及びR各々は、各存在に関して別個に、H,又は(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C2−6)アルキニル、アリール、又はアリール(C1−6)アルキルであり;
は、各存在に関して別個に、H,=O,=S,又は(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−6)アルキル、(C5−7)シクロアルケニル、(C5−7)シクロアルケニル(C1−6)アルキル、アリール、アリール(C1−6)アルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリル(C1−6)アルキルからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、任意に置換されたモイエティは任意にOH,(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、−N(R),−COOH,−CON(R),及びハロから各々別個に選択される一つ又はそれより多い置換基により置換されており;
10はCであるか;又は、n1が0のとき、R及びRが結合してシクロヘキシルを形成する炭素原子と併せて互いに一緒になることができ;
21は、各存在に関して別個に、H又は(C1−6)アルキル及びアリール(C1−6)アルキルからなる群から選択される任意に置換されたモイエティであって、但し、任意に置換されたモイエティはR及びR30からなる群から各々別個に選択された一つ又はそれより多い置換基により任意に置換されており;
22はH,(C1−6)アルキルチオ、(C3−6)シクロアルキルチオ、R−CO−,又は式:
【化12】

による置換基であり;
24及びR25各々は、各存在に関して別個に、H,(C1−6)アルキル、又はアリール(C1−6)アルキルであり;
30は、各存在に関して別個に、(C1−6)アルキル、−O−R,−S(O)n6,−S(O)n7N(R),−N(R),−CN,NO,−CO,−CON(R),−NCO−R,又はハロゲンであり;
n6及びn7各々は、各存在に関して別個に、0、1又は2であり;
式中、ヘテロシクリルは、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、クロマニル、シノリニル(cinnolinyl)、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオ−ピラニルスルフォン、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノロニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルフォリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキサゼピニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピリジルN−オキシド、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロ−キノリニル、チアモルフォリニル、チアモルフォニリルスルフォキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル又はチエニルであり;そして
式中、アリールはフェニル又はナフチルであり;
n1が1で、R10がCであり、そしてRがHであるとき、R10とRは共に一緒になって、
【化13】

を形成することができ;或いは
n1が1で、R10がCであり、そしてRが=O,−H又は=Sであるとき、R10とRは共に一緒になって、
【化14】

を形成することができ、
式中、X,X,及びX各々は、別個に、H,ハロゲン、−NO,−NCO−R,−CO,CN,又は−CON(R)であり;そして
がN(R2425)のとき、n3は1であり、n4及びn5は各々0であり、Zは結合であり、そしてR及びR11は一緒になって
【化15】

を形成することができ、
式中、n2は1−6であり、そしてX及びXは各々別個にH,(C1−6)アルキル、又はアリールであるか、又はXとXが一緒になって(C3−6)シクロアルキルを形成する);
請求項1記載の薬学組成物又は薬学上受容可能なその塩。
【請求項3】
が、
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

,又はN(R2425)であり;そして
XがCH(R11n3(CHn4又はZであり、式中、XがZのとき、ZはO,S,又はN(R12)である;
請求項2記載の薬学組成物又は薬学上受容可能なその塩。
【請求項4】
が、
【化21】

であり;
XはCH(R11n3(CHn4であり;そして
n1は0である;
請求項3記載の薬学組成物又は薬学上受容可能なその塩。
【請求項5】
が、
【化22】

であり;
n3,n4,及びn5各々は0であり;
Zは結合であり;
Yは各存在に関して別個にCO又はCSであり;そして
n1は0である;
請求項3記載の薬学組成物又は又は薬学上受容可能な塩。
【請求項6】
が、
【化23】

であり;
はHであり;
n1は1であり;
及びR10は一緒になって
【化24】

を形成し;
n3は1であり、そしてR11はHであり;
ZはO又は結合であり;
n5は0であり;そして
YはCO又はCH又は結合である;
請求項3記載の薬学組成物又は薬学上受容可能なその塩。
【請求項7】
がN(R2425)であり;
n1は0であり;
n3は1であり;
n4は0であり;
n5は0であり;
YはCO又はCSであり;
Zは結合であり;そして
及びR11は一緒になって
【化25】

を形成する;
請求項3記載の薬学組成物又は薬学上受容可能なその塩。
【請求項8】
が、
【化26】

であり;
はH又は=Oであり;
n1は1であり;
及びR10は一緒になって
【化27】

を形成し;
n3は1であり、そしてR11はHであり;
n5は0であり;
YはCO又はCHであり;そして
Zは0であるか又は結合である;
請求項3記載の薬学組成物又は薬学上受容可能なその塩。
【請求項9】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、
8−ブチル−7−(3−イミダゾール−5−イル)−1−オキソプロピル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
8−ブチル−2−(2−ヒドロキシフェニル)−7−(イミダゾール−4−イル−プロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
8−ブチル−7−(4−イミダゾリルプロピル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(2−(イミダゾール−4−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−7−(1−オキソ−2−(1−(フェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−7−(2−(1−フェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−((1H−イミダゾール−4−イル)メチル)−2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−((4−イミダゾリル)カルボニル)−2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(1−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)メチル−2−(2−メトキシフェニル)−8−(1−メチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(2−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
5−ブチル−7−(2−(4−シアノフェニルメチルイミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
6−ブチル−7−(2−(4−シアノフェニルメチルイミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
6−ブチル−7−(2−(4−シアノフェニルメチルイミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
5−ブチル−7−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−8−(シクロヘキシルメチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
5−ブチル−7−(2−(1H−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;
7−(2−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−2−(2−(フェニルメトキシ)−フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;又は
2−(2−ブトキシフェニル)−7−(2−(4−シアノフェニルメチル)−イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジン;又は
薬学上受容可能なその塩である、請求項2記載の薬学組成物。
【請求項10】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、
1,2−ジヒドロ−1−((1H−イミダゾール−4−イル)メチル)−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
9−ブロモ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
9−クロロ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
10−ブロモ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−8−フルオロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;又は
薬学上受容可能なその塩である、請求項2記載の薬学組成物。
【請求項11】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、
1−(2−1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル(−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
9−ブロモ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
9−クロロ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
10−ブロモ−1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
1−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−4−イル)−1−オキソエチル)−1,2−ジヒドロ−8−フルオロ−4−(2−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c][1,4]ベンゾジアゼピン;
である、請求項10記載の組み合わせ。
【請求項12】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、
7−(2−アミノ−1−オキソ−3−チオプロピル)−8−(メルカプトエチル)−2−(2−メトキシフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2a]ピラジンジスルフィド;
であるか、又は薬学上受容可能なその塩である、請求項2記載の組み合わせ。
【請求項13】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、
5−(2−(1−(4−シアノフェニルメチル)イミダゾール−5−イル)−1−オキソ−エチル)−5,6−ジヒドロ−2−フェニル−1H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピン;
であるか、又は薬学上受容可能なその塩である、請求項2記載の組み合わせ。
【請求項14】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、
発明の第1の側面の第7のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
1,2−ジヒドロ−1−(2−(イミダゾール−1−イル)−1−オキソエチル)−4−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2a][1,4]ベンゾジアゼピン;
1,2−ジヒドロ−4−(2−メトキシフェニル)−1−(2−(ピリジン−3−イル)−1−オキソエチル)イミダゾ[1,2a][1,4]ベンゾジアゼピン;又は
1,2−ジヒドロ−4−(2−(メトキシフェニル)−1−(2−(ピリジン−4−イル)−1−オキソエチル)イミダゾ[1,2a][1,4]ベンゾジアゼピン;であるか、又は薬学上受容可能なその塩である、請求項2記載の組み合わせ。
【請求項15】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、
【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

であるか、又は薬学上受容可能なその塩である、請求項2記載の薬学組成物。
【請求項16】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、
【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

であるか、又は薬学上受容可能なその塩である、請求項2記載の薬学組成物。
【請求項17】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が、
発明の第1の側面の第9のより好ましい態様の第1のより好ましい態様によれば、上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、式Iの化合物であって、当該化合物が、
【化68】

であるか、又は薬学上受容可能なその塩である、請求項2記載の薬学組成物。
【請求項18】
アンスラサイクリンが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、又はアムルビシンであるか、又は薬学上受容可能なその塩である、請求項17記載の薬学組成物。
【請求項19】
アンスラサイクリンがドキソルビシンであるか、又は薬学上受容可能なその塩である、請求項17記載の薬学組成物。
【請求項20】
アンスラサイクリンがは、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、又はアムルビシンであるか、又はそのプロドラッグであるか、又は薬学上受容可能なアンスラサイクリン又はアンスラサイクリンプロドラッグの塩である、請求項1乃至17の何れか1項記載の薬学組成物。
【請求項21】
アンスラサイクリンがドキソルビシンであるか、又は薬学上受容可能なその塩である、請求項20記載の薬学組成物。
【請求項22】
鼻咽腔カルシノーマ細胞の増殖の速度を低下させる方法であって、上記鼻咽腔カルシノーマ細胞を、請求項18記載の薬学組成物に接触させることを含む方法。
【請求項23】
鼻咽腔カルシノーマ細胞の増殖の速度を低下させる方法であって、上記鼻咽腔カルシノーマ細胞を、請求項19記載の薬学組成物に接触させることを含む方法。
【請求項24】
鼻咽腔カルシノーマ細胞の増殖の速度を低下させる方法であって、上記鼻咽腔カルシノーマ細胞を、請求項20記載の薬学組成物に接触させることを含む方法。
【請求項25】
鼻咽腔カルシノーマ細胞の増殖の速度を低下させる方法であって、上記鼻咽腔カルシノーマ細胞を、請求項21記載の薬学組成物に接触させることを含む方法。
【請求項26】
患者において鼻咽腔カルシノーマを治療する方法であって、上記患者に、請求項18記載の薬学組成物を接触させることを含む方法。
【請求項27】
患者において鼻咽腔カルシノーマを治療する方法であって、上記患者に、請求項19記載の薬学組成物を接触させることを含む方法。
【請求項28】
患者において鼻咽腔カルシノーマを治療する方法であって、上記患者に、請求項20記載の薬学組成物を接触させることを含む方法。
【請求項29】
患者において鼻咽腔カルシノーマを治療する方法であって、上記患者に、請求項21記載の薬学組成物を接触させることを含む方法。
【請求項30】
患者において鼻咽腔カルシノーマを治療する方法であって、上記患者に、有効な量の一つ又はそれより多いファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物と一つ又はそれより多いアンスラサイクリン化合物の組み合わせを投与することを含むが、上記有効な量の一つ又は複数のファルネシルトランスフェラーゼ阻害化合物及びアンスラサイクリンは、組み合わせにおいて上記鼻咽腔カルシノーマを治療するのに有効である方法。
【請求項31】
患者が哺乳類である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
患者がヒトである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤及びアンスラサイクリンを実質上同時に投与する、請求項32記載の方法。
【請求項34】
請求項18記載の薬学組成物及び鼻咽腔カルシノーマの治療のための使用のための指示書を含む、薬学キット。
【請求項35】
請求項19記載の薬学組成物及び鼻咽腔カルシノーマの治療のための使用のための指示書を含む、薬学キット。
【請求項36】
請求項20記載の薬学組成物及び鼻咽腔カルシノーマの治療のための使用のための指示書を含む、薬学キット。
【請求項37】
請求項21記載の薬学組成物及び鼻咽腔カルシノーマの治療のための使用のための指示書を含む、薬学キット。
【請求項38】
a)ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤又はそのプロドラッグ又は上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤又は上記ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤プロドラッグの薬学上受容可能な塩及び薬学上受容可能な担体、媒体又は希釈剤を含む第1ユニット投薬形態;b)アンスラサイクリン又はそのプロドラッグ又は上記アンスラサイクリン又は上記アンスラサイクリンプロドラッグの薬学上受容可能な塩及び薬学上受容可能な担体、媒体又は希釈剤を含む第2ユニット投薬形態を含むキット。
【請求項39】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が式Iの化合物又は薬学上受容可能なその塩を含み、そして上記アンスラサイクリンがドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、又はアムルビシンであるか、又は薬学上受容可能なその塩である、請求項38記載のキット。
【請求項40】
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が式:
【化69】

の化合物又は薬学上受容可能なその塩を含み、そしてアンスラサイクリンがドキソルビシン又は薬学上受容可能なその塩である、請求項39記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−500421(P2006−500421A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539385(P2004−539385)
【出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004922
【国際公開番号】WO2004/028541
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【出願人】(500511604)ソシエテ・ドゥ・コンセイユ・ドゥ・ルシェルシュ・エ・ダプリカーション・シャンティフィック・エス・ア・エス (22)
【Fターム(参考)】