説明

11−ベータ−水酸化ステロイド脱水素酵素−1阻害剤としてのトリアゾール誘導体

構造式(I)のトリアゾール誘導体は、11β−水酸化ステロイド脱水素酵素−1の選択的阻害剤である。これらの化合物は、インシュリン非依存性糖尿病(NIDDM)などの糖尿病、高血糖、肥満症、インスリン抵抗性、異脂肪血症、高脂血症、高血圧、代謝症候群、NIDDMに付随する他の症状の治療に有用である。
【化67】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、11−ベータ−水酸化ステロイド脱水素酵素I型酵素(11β−HSD−1又はHSD−1)の阻害剤としてのトリアゾール誘導体、及びこのような化合物を用いたある種の病態の治療方法に関する。本発明の化合物は、インシュリン非依存性2型真性糖尿病(NIDDM)などの糖尿病、インスリン抵抗性、肥満症、脂質障害、高血圧、並びに他の疾患及び病態の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は複数の因子によって引き起こされ、最も端的には絶食状態における高レベルの血しょうグルコース(高血糖)を特徴とする。一般に認められている糖尿病の形態には2つある。すなわち、グルコースの利用を調節するホルモンであるインスリンを患者がほとんど又はまったく産生しない1型糖尿病、すなわちインシュリン依存性糖尿病(IDDM)と、患者がインスリンを産生し、かつ高インスリン血症(非糖尿病性被検者と同じ又はそれよりも高い血しょうインスリンレベル)さえ示し、同時に高血糖を示す2型糖尿病、すなわち非インシュリン依存性糖尿病(NIDDM)である。1型糖尿病は、一般に、注射投与の外因性インスリンを用いて治療される。しかし、2型糖尿病性は「インスリン抵抗性」を発症することが多く、その結果、主要なインスリン感受性組織、すなわち、筋肉、肝臓及び脂肪組織においてグルコース及び脂質代謝を刺激するインスリンの効果が減少する。インスリン抵抗性であるが、糖尿病性ではない患者は、そのインスリン抵抗性を埋め合わせるインスリンレベルが高く、その結果、血清グルコースレベルが抑えられる。NIDDM患者においては、血しょうインスリンレベルは、上昇したときでさえ、明白なインスリン抵抗性を克服するには不十分であり、その結果高血糖になる。
【0003】
インスリン抵抗性は、主として、まだ完全には理解されていない受容体結合の欠陥に起因する。インスリン抵抗性は、グルコース取り込みの不十分な活性化、筋肉中でのグルコース酸化及びグリコーゲン貯蔵の低下、脂肪組織における脂肪分解の不適当なインスリン抑制、並びに肝臓による不適当なグルコース産生及び分泌をもたらす。
【0004】
糖尿病患者における高血糖の持続又は放置は、高い罹患率及び早発性死亡率と関連がある。異常なグルコースホメオスタシスも、肥満、高血圧、並びに脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝の変化と直接的にも間接的にも関連する。2型糖尿病患者は、心血管の合併症、例えば、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、発作、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経障害及び網膜症を発症するリスクが高い。したがって、グルコースホメオスタシス、脂質代謝、肥満症及び高血圧の治療による管理が、真性糖尿病の臨床管理及び治療に極めて重要である。
【0005】
インスリン抵抗性を有するが、2型糖尿病を発症していない多数の患者も、「X症候群」又は「代謝症候群」と呼ばれる症状を発生するリスクがある。X症候群又は代謝症候群は、インスリン抵抗性、並びに腹部肥満、高インスリン血症、高血圧、低HDL及び高VLDLを特徴とする。これらの患者は、顕性の真性糖尿病を発症していてもいなくても、上記心血管合併症を起こすリスクが高い。
【0006】
2型糖尿病の治療は、一般に、運動、食事制限などである。すい臓β細胞を刺激してより多量のインスリンを分泌させるスルホニル尿素(例えばトルブタミド及びグリピジド)若しくはメグリチナイドを投与し、かつ/又はスルホニル尿素若しくはメグリチナイドが無効になったときにインスリンを注射して、インスリンの血しょう中濃度を上昇させることによって、インスリン抵抗性組織を刺激するのに十分高いインスリン濃度を得ることができる。しかし、血しょうグルコースが危険なほど低レベルになる可能性があり、高レベルのインスリン抵抗性が最終的に生じる恐れがある。
【0007】
ビグアナイドはインスリン感受性を増大させ、高血糖をある程度改善する。しかし、多数のビグアナイド、例えば、フェンホルミン及びメトホルミンは、乳酸アシドーシス、悪心及び下痢を起こす。
【0008】
グリタゾン(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、高血糖、及び2型糖尿病の他の症状を軽減する可能性があるより新しいクラスの化合物である。これらの薬剤は、筋肉、肝臓及び脂肪組織におけるインスリン感受性を実質的に増大させ、低血糖を実質的に起こさずに高い血しょうグルコース濃度をある程度又は完全に改善する。現在市販されているグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)ガンマサブタイプの作用物質である。PPAR−ガンマアゴニズムは、一般に、グリタゾンによって認められるインスリン増感を向上させると考えられる。2型糖尿病及び/又は異脂肪血症の治療用に開発中のより新しいPPAR作用物質は、1種類以上のPPARアルファ、ガンマ及びデルタサブタイプの作用物質である。インスリン増感剤、及び2型糖尿病の他の治療機序の総説については、M.Tadayyon及びS.A.Smith、「Insulin sensitisation in the treatment of Type 2 diabetes」、Expert Opin.Investig.Drugs、12:307〜324(2003)を参照されたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
糖尿病、及び代謝症候群などの関係する病態を治療する新しい方法が引き続き求められている。本発明は、これらの要求を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、構造式Iのビシクロ[2.2.2]−オクト−1−イル−1,2,4−トリアゾールに関する。
【0011】
【化11】

【0012】
これらのビシクロ[2.2.2]−オクチルトリアゾール誘導体は、11β−水酸化ステロイド脱水素酵素1型(11β−HSD1)の阻害剤として有効である。したがって、これらの誘導体は、2型糖尿病、脂質障害、肥満症、アテローム性動脈硬化症、代謝症候群などの11β−HSD1の阻害に感応性のある障害の治療、管理又は予防に有用である。
【0013】
本発明は、本発明の化合物及び薬剤として許容される担体を含む薬剤組成物にも関する。
【0014】
本発明は、本発明の化合物及び薬剤組成物を投与することによって、必要とする被検者において、11β−HSD1の阻害に感応性のある障害、疾患又は病気を治療し、管理し、又は予防する方法にも関する。
【0015】
本発明は、本発明の化合物及び薬剤組成物を投与することによって、2型糖尿病、肥満症、脂質障害、アテローム性動脈硬化症及び代謝症候群を治療し、又は管理する方法にも関する。
【0016】
本発明は、肥満症を治療するのに有用であることが知られている別の薬剤の治療有効量とともに本発明の化合物を投与することによって肥満症を治療する方法にも関する。
【0017】
本発明は、2型糖尿病を治療するのに有用であることが知られている別の薬剤の治療有効量とともに本発明の化合物を投与することによって2型糖尿病を治療する方法にも関する。
【0018】
本発明は、アテローム性動脈硬化症を治療するのに有用であることが知られている別の薬剤の治療有効量とともに本発明の化合物を投与することによって、アテローム性動脈硬化症を治療する方法にも関する。
【0019】
本発明は、脂質障害を治療するのに有用であることが知られている別の薬剤の治療有効量とともに本発明の化合物を投与することによって、脂質障害を治療する方法にも関する。
【0020】
本発明は、代謝症候群を治療するのに有用であることが知られている別の薬剤の治療有効量とともに本発明の化合物を投与することによって、代謝症候群を治療する方法にも関する。
【0021】
本発明は、高血糖、インスリン抵抗性、2型糖尿病、脂質障害、肥満症、アテローム性動脈硬化症及び代謝症候群を治療するための、構造式Iの化合物の使用にも関する。
【0022】
本発明は、高血糖、インスリン抵抗性、2型糖尿病、脂質障害、肥満症、アテローム性動脈硬化症及び代謝症候群の治療に使用される医薬品の製造における構造式Iの化合物の使用も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、11β−HSD1の阻害剤として有用なビシクロ[2.2.2]−オクト−1−イル−1,2,4−トリアゾール誘導体に関する。本発明の化合物は、構造式Iで示され、又は薬剤として許容されるその塩である。
【0024】
【化12】

(式中、
各pは独立に0、1又は2であり、
各nは独立に0、1又は2であり、
Xは、単結合、O、S(O)、NR
【0025】
【化13】

からなる群から選択され、
は、
アリールカルボニル、
(CH−アリール、及び
(CH−ヘテロアリール
(式中、アリール及びヘテロアリールは置換されておらず、又はRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されている)からなる群から選択され、
は、
水素、
1−8アルキル、
2−6アルケニル、及び
(CH−C3−6シクロアルキル
(式中、アルキル、アルケニル及びシクロアルキルは置換されておらず、又はR及びオキソから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されている)からなる群から選択され、
各Rは、
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシ、
オキソ、
1−3アルキル、及び
1−3アルコキシ
からなる群から独立に選択され、
は、
水素、
1−10アルキル、
2−10アルケニル、
(CH−C3−6シクロアルキル、
(CH−アリール、及び
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル
(式中、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは置換されておらず、又はRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキル、アルケニル及びシクロアルキルは置換されておらず、又はR及びオキソから独立に選択される1〜5個の基で置換されている)からなる群から選択され、
及びRは、
水素、
ホルミル、
1−6アルキル、
(CH−アリール、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH3−7シクロアルキル、
ハロゲン、
OR
(CHN(R
シアノ、
(CHCO
NO
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)
(CHSOOR
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO
O(CHC(O)N(R
CF
CHCF
OCF
OCHCF、及び
OCHCF
(式中、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは置換されておらず、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており、R及びR中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も置換されておらず、又はハロゲン、ヒドロキシ及びC1−4アルキルから独立に選択される1〜2個の基で置換されており、或いは2個の置換基は、同じメチレン(CH)炭素原子上で、それらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピル基を形成する)からなる群から独立に選択され、
各Rは、
1−8アルキル、
(CH−アリール、
(CH−ヘテロアリール、及び
(CH−C3−7シクロアルキル
(式中、アルキル及びシクロアルキルは置換されておらず、又はハロゲン、オキソ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノから独立に選択される1〜5個の置換基で置換されており、アリール及びヘテロアリールは置換されておらず、又はシアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されている)からなる群から独立に選択され、
或いは2個のR基は、それらが結合している原子と一緒に、O、S及びNC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を場合によっては含んでいてもよい5〜8員環単環構造又は二環構造を形成し、
各Rは水素又はRである)
【0026】
本発明の化合物の一実施態様においては、Rはシクロプロピル、C1−3アルキル又はC2−3アルケニルであり、Rは非置換フェニル又は非置換ナフチルであり、或いはRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニル又はナフチルである。この実施態様の1クラスにおいては、Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ及びC1−3アルキルスルホニルからなる群から選択される。このクラスの1サブクラスにおいては、Rはメチルであり、Rは水素である。
【0027】
本発明の化合物の第2の実施態様においては、
Xは単結合であり、
は、非置換フェニル又は非置換ナフチルであり、或いはRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニル又はナフチルであり、
はシクロプロピル、C1−3アルキル又はC2−3アルケニルであり、
は非置換C1−6アルキルであり、又はR及びオキソから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているC1−6アルキルである。
【0028】
この第2の実施態様の1クラスにおいては、Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ及びC1−3アルキルスルホニルからなる群から選択される。このクラスの1サブクラスにおいては、Rはメチルであり、Rは水素である。この実施態様の別のクラスにおいては、Rはハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル、C1−4アルキルスルホニル及び(非置換、又はハロゲン及びトリフルオロメチルから独立に選択される1〜3個の基で置換された)フェニルからなる群から選択される。このクラスの1サブクラスにおいては、Rはメチルであり、Rは水素である。この実施態様の第3のクラスにおいては、Rはハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ及びC1−3アルキルスルホニルからなる群から選択され、Rはハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル及び(非置換、又はハロゲン及びトリフルオロメチルから独立に選択される1〜3個の基で置換された)フェニルからなる群から選択される。このクラスの1サブクラスにおいては、Rはメチルであり、Rは水素である。
【0029】
本発明の化合物の第3の実施態様においては、
Xは単結合であり、
は、非置換フェニル又は非置換ナフチルであり、或いはRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニル又はナフチルであり、
はシクロプロピル、C1−3アルキル又はC2−3アルケニルであり、
は、非置換フェニル又は非置換ヘテロアリールであり、或いはRから独立に選択される1〜3個の置換基を含むもので置換されているフェニル又はヘテロアリールである。
【0030】
この実施態様の1クラスにおいては、Rはメチルであり、Rは水素である。
【0031】
この実施態様の別のクラスにおいては、Rは非置換フェニルであり、又はRから独立に選択される1〜3個の置換基を含むもので置換されている。このクラスの1サブクラスにおいては、Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ及びC1−3アルキルスルホニルからなる群から選択される。このサブクラスの1サブクラスにおいては、Rはメチルであり、Rは水素である。
【0032】
この実施態様の第3のクラスにおいては、Rは、非置換オキサジアゾリルであり、又はRから独立に選択される1〜2個の置換基を含むもので置換されているオキサジアゾリルである。このクラスの1サブクラスにおいては、Rは非置換フェニルであり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニルである。このサブクラスの1サブクラスにおいては、Rはメチルであり、Rは水素である。
【0033】
11−ベータ−水酸化ステロイド脱水素酵素I型の阻害剤として有用である本発明の化合物の例示的な、ただし非限定的な例は、以下の化合物、又は薬剤として許容されるその塩である。
【0034】
【化14】




【0035】
本明細書においては、以下の定義を使用する。
【0036】
「アルキル」、及びアルコキシ、アルカノイルなどの接頭語「アルク(alk)」を有する他の基は、炭素鎖を特に定義しない限り、線状でも分枝状でもよい炭素鎖、及びそれらの炭素鎖の組み合わせを意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどである。指定炭素原子数が、例えば、C3−10である場合には、アルキルという用語は、シクロアルキル基、及びシクロアルキル構造と結合した線状又は分枝アルキル鎖の組み合わせも含む。炭素原子数を指定しないときには、C1−6とする。
【0037】
「アルケニル」は、炭素鎖を特に定義しない限り、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む炭素鎖を意味し、それらは線状でも、分枝でも、又はそれらの組み合わせでもよい。アルケニルの例は、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどである。指定炭素原子数が、例えば、C5−10である場合には、アルケニルという用語は、シクロアルケニル基、並びに線状、分枝及び環構造の組み合わせも含む。炭素原子数を指定しないときには、C2−6とする。
【0038】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む炭素鎖を意味し、それらは線状でも、分枝でも、又はそれらの組み合わせでもよい。アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−へプチニルなどである。
【0039】
「シクロアルキル」は、アルキルのサブセットであり、特定の数の炭素原子を有する飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどである。シクロアルキル基は、一般に、他に断らない限り、単環式である。シクロアルキル基は、他に定義しない限り、飽和である。
【0040】
「アルコキシ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルコキシ)、或いはこの範囲内の任意の数[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシなど]の直鎖又は分枝鎖アルコキシドを指す。
【0041】
「アルキルチオ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルチオ)、或いはこの範囲内の任意の数[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオなど]の直鎖又は分枝鎖アルキルスルフィドを指す。
【0042】
「アルキルアミノ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルアミノ)、或いはこの範囲内の任意の数[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノなど]の直鎖又は分枝鎖アルキルアミンを指す。
【0043】
「アルキルスルホニル」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルスルホニル)、或いはこの範囲内の任意の数[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルなど]の直鎖又は分枝鎖アルキルスルホンを指す。
【0044】
「アルキルスルフィニル」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルスルフィニル)、或いはこの範囲内の任意の数[すなわち、メチルスルフィニル(MeSO−)、エチルスルフィニル、イソプロピルスルフィニルなど]の直鎖又は分枝鎖アルキルスルホキシドを指す。
【0045】
「アルキルオキシカルボニル」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、アルキルオキシカルボニル)、或いはこの範囲内の任意の数[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル、又はブチルオキシカルボニルなど]の本発明のカルボン酸誘導体の直鎖又は分枝鎖エステルを指す。
【0046】
「アリール」とは、炭素環原子を含む単環又は多環式芳香族環構造を意味する。好ましいアリールは、単環式又は二環式6〜10員環芳香族環構造である。フェニル及びナフチルは、好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0047】
「複素環」及び「ヘテロシクリル」とは、(さらに硫黄の酸化型、すなわちSO及びSOを含めて)O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む飽和又は不飽和非芳香族環又は環構造を意味する。複素環の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリンなどが挙げられる。
【0048】
「ヘテロアリール」とは、O、S及びNから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む芳香族又は部分芳香族複素環を意味する。したがって、ヘテロアリールは、アリール、シクロアルキル、非芳香族複素環などの他の環に縮合したヘテロアリールを含む。ヘテロアリール基の例は、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニルなどである。ヘテロシクリル基及びヘテロアリール基の場合には、1〜3環を形成する3〜15原子を含む環及び環構造が含まれる。
【0049】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。塩素及びフッ素が一般に好ましい。アルキル又はアルコキシ基上のハロゲンが置換されるときにはフッ素が最も好ましい(例えばCFO及びCFCHO)。
【0050】
薬剤組成物などの「組成物」という用語は、活性成分と担体を構成する不活性成分とを含む生成物、並びに任意の2種類以上の成分の組み合わせ、複合若しくは集合から、又は1種類以上の成分の解離から、又は1種類以上の成分の他のタイプの反応若しくは相互作用から、直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。したがって、本発明の薬剤組成物は、本発明の化合物と薬剤として許容される担体とを混合することによって調製される任意の組成物を包含する。
【0051】
化合物の「投与」、及び化合物を「投与すること」という用語は、必要とする個体に本発明の化合物又は本発明の化合物のプロドラッグを与えることを意味すると理解すべきである。
【0052】
構造式Iの化合物は、1個以上の不斉中心を含み、したがって、ラセミ体及びラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオマー混合物、及び個々のジアステレオマーとして存在することができる。本発明は、構造式Iの化合物のこのような異性体のすべてを含むものとする。
【0053】
本明細書に記載する化合物の一部は、オレフィン二重結合を含み、別段の指定がないかぎり、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を含むものとする。
【0054】
本明細書に記載する化合物の一部は、ケト−エノール互変異性体などの互変異性体として存在することができる。個々の互変異性体及びその混合物は、構造式Iの化合物に包含される。
【0055】
構造式Iの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール、酢酸エチル又はそれらの混合物からの分別結晶によって、或いは光学活性な固定相を用いた鏡像異性クロマトグラフィーによって、その個々のジアステレオ異性体に分離することができる。絶対立体配置は、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬を用いて必要に応じて誘導体化される結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶学によって決定することができる。
【0056】
あるいは、一般構造式Iの化合物の任意の立体異性体は、絶対配置が既知の光学的に純粋な出発材料又は試薬を用いた立体特異的合成によって得ることができる。
【0057】
本発明の異なる側面においては、構造式Iの化合物、或いは薬剤として許容されるその塩又は溶媒和化合物を、薬剤として許容される担体とともに含む薬剤組成物を扱う。「溶媒和化合物」という用語は、結晶体の水和物、アルコラート、又は他の溶媒和化合物を意味する。
【0058】
本発明の別の側面においては、構造式Iの化合物又は薬剤的なその塩若しくは溶媒和化合物の有効量を哺乳動物患者に投与することを含む、高血糖、糖尿病又はインスリン抵抗性の治療を必要とする前記患者における高血糖、糖尿病又はインスリン抵抗性を治療する方法を扱う。
【0059】
本発明の別の側面においては、構造式Iの化合物の抗糖尿病に有効な量を哺乳動物患者に投与することを含む、インシュリン非依存性糖尿病(2型)の治療を必要とする前記患者におけるインシュリン非依存性糖尿病(2型)を治療する方法を開示する。
【0060】
本発明の別の側面においては、肥満症を治療するのに有効な量で構造式Iの化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、肥満症の治療を必要とする前記患者における肥満症を治療する方法を開示する。
【0061】
本発明の別の側面においては、代謝症候群を治療するのに有効な量で構造式Iの化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、代謝症候群の治療を必要とする前記患者における代謝症候群を治療する方法を開示する。
【0062】
本発明の別の側面においては、異脂肪血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される脂質障害を治療するのに有効な量で構造式Iの化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者における前記脂質障害を治療する方法を開示する。
【0063】
本発明の別の側面においては、アテローム性動脈硬化症を治療するのに有効な量で構造式Iの化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者におけるアテローム性動脈硬化症を治療する方法を開示する。
【0064】
本発明の別の側面においては、(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)すい炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧症、並びにインスリン抵抗性が一構成成分である他の病気及び障害からなる群から選択される病気を治療するのに有効な量で構造式Iの化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者において前記病気を治療する方法を開示する。
【0065】
本発明の別の側面においては、(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)すい炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧症、並びにインスリン抵抗性が一構成成分である他の病気及び障害からなる群から選択される病気の発症を遅延させるのに有効な量で構造式Iの化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者において前記病気の発症を遅延させる方法を開示する。
【0066】
本発明の別の側面においては、(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)すい炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧症、並びにインスリン抵抗性が一構成成分である他の病気及び障害からなる群から選択される病気の発症のリスクを軽減するのに有効な量で構造式Iの化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者において前記病気の発症のリスクを軽減する方法を開示する。
【0067】
本発明の別の側面においては、
構造式Iで定義される化合物の有効量と、
(a)ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DP−IV)阻害剤、
(b)(i)PPARγ作用物質、(ii)PPARα作用物質、(iii)PPARα/γ二重作用物質及び(iv)ビグアナイドからなる群から選択されるインスリン増感剤、
(c)インスリン及びインスリン模倣物、
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進物質、
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(f)グルカゴン受容体拮抗物質、
(g)GLP−1、GLP−1アナログ及びGLP−1受容体作用物質、
(h)GIP、GIP模倣物及びGIP受容体作用物質、
(i)PACAP、PACAP模倣物及びPACAP受容体3作用物質、
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(ii)金属イオン封鎖剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びその塩、(iv)コレステロール吸収阻害剤、(v)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤及び(vi)抗酸化剤からなる群から選択されるコレステロール降下剤、
(k)PPARδ作用物質、
(l)抗肥満化合物、
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症剤、
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、及び
(p)カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル(ramapril)、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタンなどのアンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗物質、レニン阻害剤などのアンジオテンシン系又はレニン系に作用する薬剤を含めた降圧薬
からなる群から選択される化合物とを、(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)すい炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧症、並びにインスリン抵抗性が一構成成分である他の病気及び障害からなる群から選択される病気を治療するのに有効な量で哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者において、前記病気を治療する方法。
【0068】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤としては、国際公開第03/004498号(2003年1月16日)、国際公開第03/004496号(2003年1月16日)、欧州特許第1 258 476号(2002年11月20日)、国際公開第02/083128号(2002年10月24日)、国際公開第02/062764号(2002年8月15日)、国際公開第03/000250号(2003年1月3日)、国際公開第03/002530号(2003年1月9日)、国際公開第03/002531号(2003年1月9日)、国際公開第03/002553号(2003年1月9日)、国際公開第03/002593号(2003年1月9日)、国際公開第03/000180号(2003年1月3日)及び国際公開第03/000181号(2003年1月3日)に開示されている阻害剤が挙げられる。具体的なDP−IV阻害剤化合物としては、イソロイシンチアゾリジド(isoleucine thiazolidide)、NVP−DPP728、P32/98及びLAF 237などが挙げられる。
【0069】
構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物としては、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY1又はY5拮抗物質、カンナビノイドCB1受容体拮抗物質又は逆作用物質、メラノコルチン受容体作用物質、特に、メラノコルチン−4受容体作用物質、グレリン拮抗物質、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体拮抗物質などが挙げられる。構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物の総説については、S.Chaki等、「Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity」、Expert Opin. Ther. Patents、11:1677−1692(2001)を参照されたい。
【0070】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるニューロペプチドY5拮抗物質としては、米国特許第6,335,345号(2002年1月1日)及び国際公開第01/14376号(2001年3月1日)に開示された物質、及びGW 59884A、GW 569180A、LY366377及びCGP−71683Aとして識別される具体的化合物などが挙げられる。
【0071】
式Iの化合物と組み合わせることができるカンナビノイドCB1受容体拮抗物質としては、国際公開第03/007887号;リモナバントなどの米国特許第5,624,941号;SLV−319などの国際公開第02/076949号;米国特許第6,028,084号;国際公開第98/41519号;国際公開第00/10968号;国際公開第99/02499号;米国特許第5,532,237号;及び米国特許第5,292,736号に開示された物質などが挙げられる。
【0072】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるメラノコルチン受容体作用物質としては、国際公開第03/009847号(2003年2月6日);国際公開第02/068388号(2002年9月6日);国際公開第99/64002号(1999年12月16日);国際公開第00/74679号(2000年12月14日);国際公開第01/70708号(2001年9月27日);及び国際公開第01/70337号(2001年9月27日)に開示された物質、並びにJ.D. Speake等、「Recent advances in the development of melanocortin−4 receptor agonists, Expert Opin. Ther. Patents、12:1631〜1638(2002)に開示された物質などが挙げられる。
【0073】
本発明の別の側面においては、構造式Iで定義される化合物の治療有効量及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を哺乳動物患者に投与することを含む、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び異脂肪血症からなる群から選択される病気を、このような治療を必要とする前記患者において治療する方法を開示する。
【0074】
より具体的には、本発明の別の側面においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンである、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高HDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び異脂肪血症からなる群から選択される病気を、このような治療を必要とする哺乳動物患者において治療する方法を開示する。
【0075】
さらに具体的には、本発明の別の側面においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤はロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高HDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び異脂肪血症からなる群から選択される病気を、このような治療を必要とする哺乳動物患者において治療する方法を開示する。
【0076】
本発明の別の側面においては、構造式Iで定義される化合物の治療有効量及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を治療を必要とする哺乳動物患者に投与することを含む、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び異脂肪血症、並びにそのような病気の続発症からなる群から選択される病気を発症するリスクを軽減する方法を開示する。
【0077】
本発明の別の側面においては、構造式Iで定義される化合物の有効量及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤をヒト患者に投与することを含む、治療を必要とする前記患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させる、又はその発症リスクを軽減する方法を開示する。
【0078】
より具体的には、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンである、治療を必要とするヒト患者において、アテローム性動脈硬化症の発症を遅延させる、又はその発症リスクを軽減する方法を開示する。
【0079】
さらに具体的には、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである、治療を必要とするヒト患者において、アテローム性動脈硬化症の発症を遅延させる、又はその発症リスクを軽減する方法を開示する。
【0080】
さらに具体的には、スタチンがシンバスタチンである、治療を必要とするヒト患者において、アテローム性動脈硬化症の発症を遅延させる、又はその発症リスクを軽減する方法を開示する。
【0081】
本発明の別の側面においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、コレステロール吸収阻害剤を投与することをさらに含む、治療を必要とするヒト患者において、アテローム性動脈硬化症の発症を遅延させる、又はその発症リスクを軽減する方法を開示する。
【0082】
より具体的には、本発明の別の側面においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンであり、コレステロール吸収阻害剤がエゼチマイブである、治療を必要とするヒト患者において、アテローム性動脈硬化症の発症を遅延させる、又はその発症リスクを軽減する方法を開示する。
【0083】
本発明の別の側面においては、
(1)構造式Iの化合物と、
(2)
(a)DP−IV阻害剤、
(b)(i)PPARγ作用物質、(ii)PPARα作用物質、(iii)PPARα/γ二重作用物質及び(iv)ビグアナイドからなる群から選択されるインスリン増感剤、
(c)インスリン及びインスリン模倣物、
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進物質、
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(f)グルカゴン受容体拮抗物質、
(g)GLP−1、GLP−1アナログ及びGLP−1受容体作用物質、
(h)GIP、GIP模倣物及びGIP受容体作用物質、
(i)PACAP、PACAP模倣物及びPACAP受容体3作用物質、
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(ii)金属イオン封鎖剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)コレステロール吸収阻害剤、(v)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤及び(vi)抗酸化剤からなる群から選択されるコレステロール降下剤、
(k)PPARδ作用物質、
(l)抗肥満化合物、
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症剤、
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤、及び
(p)カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタンなどのアンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗物質、レニン阻害剤などのアンジオテンシン系又はレニン系に作用する薬剤を含めた降圧薬
からなる群から選択される化合物と、
(3)薬剤として許容される担体と
を含む薬剤組成物を開示する。
【0084】
本発明の化合物は、薬剤として許容される塩の形で投与することができる。「薬剤として許容される塩」という用語は、無機又は有機塩基、及び無機又は有機酸を含めて、薬剤として許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を指す。「薬剤として許容される塩」という用語に包含される塩基化合物の塩とは、その遊離塩基を適切な有機又は無機酸と反応させることによって一般に調製される本発明の化合物の無毒の塩を指す。本発明の塩基化合物の代表的な塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシラート、エストラート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソシナート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシラート、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモエート(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド、吉草酸塩などがあるが、これらだけに限定されない。また、本発明の化合物が酸性部分を有する場合には、薬剤として許容されるその適切な塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含めた無機塩基から誘導される塩があるが、これらだけに限定されない。特に好ましい塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬剤として許容される無毒の有機塩基から誘導される塩としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの第一級、第二級、及び第三級アミン、環式アミン及び塩基性イオン交換樹脂の塩などが挙げられる。
【0085】
また、本発明の化合物中にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合には、メチル、エチル又はピバロイルオキシメチルなどのカルボン酸誘導体、又はアセテート、マレートなどのアルコールのアシル誘導体の薬剤として許容されるエステルを使用することができる。徐放性製剤又はプロドラッグ製剤として使用するために溶解性又は加水分解特性を改変する当分野で既知のエステル基及びアシル基が含まれる。
【0086】
本明細書において使用する構造式Iの化合物という表記は、薬剤として許容される塩も含み、遊離化合物の前駆体、又は薬剤として許容されるそれらの塩として使用されるとき、或いは他の合成操作において使用されるときには、薬剤として許容されない塩も含むものとすることを理解されたい。
【0087】
溶媒和化合物、特に、構造式Iの化合物の水和物も本発明に含まれる。
【0088】
本明細書に記載する化合物は、11β−HSD1酵素の選択的阻害剤である。すなわち、本発明は、コルチゾンをコルチゾルに転化させる11β−水酸化ステロイド脱水素酵素のレダクターゼ活性を阻害する11β−HSD1阻害剤の使用に関する。過剰のコルチゾルは、NIDDM、肥満症、異脂肪血症、インスリン抵抗性及び高血圧を含めた多数の障害と関連がある。本発明の化合物を投与すると、標的組織中のコルチゾル及び他の11β−水酸化ステロイドのレベルが低下し、それによって過剰のコルチゾル及び他の11β−水酸化ステロイドの効果が抑制される。11β−HSD1の阻害は、NIDDM、肥満症、高血圧及び異脂肪血症など、コルチゾル及び他の11β−水酸化ステロイドのレベルが異常に高いことによってもたらされる疾患の治療及び管理に使用することができる。脳におけるコルチゾルレベルの低下などの11β−HSD1活性の阻害は、不安、うつ病及び認知障害を治療し、又は軽減するのに有用なこともある。
【0089】
本発明は、哺乳動物患者、特にヒトにおいて、構造式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩若しくは溶媒和化合物の有効量を投与することによって、過剰又は制御されていない量のコルチゾル及び/又は他のコルチコステロイドによってもたらされる本明細書に記載する疾患及び病気を治療し、管理し、改善し、予防し、発症を遅延させ、又は発症リスクを軽減するための、11β−HSD1阻害剤の使用を含む。11β−HSD1酵素を阻害すると、通常は不活性であるコルチゾンが、過剰に存在する場合にこれらの疾患及び病気の症状を引き起こし得る、又は一因となり得るコルチゾルに転化するのが制限される。
【0090】
NIDDM及び高血圧:
本発明の化合物は、11β−HSD2よりも11β−HSD1の選択的阻害剤である。11β−HSD1の阻害は、コルチゾルレベルを下げ、それに関係する病気を治療するのに有用であるが、11β−HSD2を阻害すると高血圧などの重度の副作用を伴う。
【0091】
コルチゾルは、重要な抗炎症性ホルモンとして十分に認識されており、肝臓におけるインスリンの作用に対する拮抗物質としてもインスリン感受性が低下するように作用し、糖新生を促進し、肝臓におけるグルコースレベルを上昇させる。すでに耐糖能障害に罹っている患者は、異常に高レベルのコルチゾルの存在下では、2型糖尿病を発症する確率が高くなる。
【0092】
鉱質コルチコイド受容体が存在する組織における高レベルのコルチゾルは、高血圧をもたらすことが多い。11β−HSD1を阻害すると、特定の組織におけるコルチゾルとコルチゾンの比はコルチゾンに有利な方にシフトする。
【0093】
11β−HSD1阻害剤の治療有効量の投与は、NIDDMの症状を治療し、管理し、改善するのに有効であり、11β−HSD1阻害剤の治療有効量の定期的投与は、特にヒトにおけるNIDDMの発症を遅延させ、又は防止する。
【0094】
クッシング症候群:
上昇したコルチゾルレベルの効果は、血流中の高レベルのコルチゾルを特徴とする代謝病であるクッシング症候群の患者においても認められる。クッシング症候群患者は、NIDDMを発症することが多い。
【0095】
肥満症、代謝症候群、異脂肪血症:
コルチゾルレベルが過剰であると、おそらく肝臓糖新生が増大するために、肥満を伴う。腹部肥満は、糖不耐性、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、及び高血圧、高VLDL、低HDLなどの代謝症候群の他の要因と密接に関連している。Montague等、Diabetes、2000、49:883〜888。したがって、11β−HSD1阻害剤の有効量を投与することは、肥満症の治療又は管理に有用である。11β−HSD1阻害剤による長期治療は、特に患者が11β−HSD1阻害剤を食事制限及び運動と併用する場合に、肥満症の発生を遅延させ、又は予防するのにも有用である。
【0096】
本発明の化合物は、インスリン抵抗性を抑制し、血清グルコースを正常濃度に維持することによって、代謝症候群又はX症候群、肥満症、反応性低血糖及び糖尿病性異脂肪血症を含めて、2型糖尿病及びインスリン抵抗性に伴う病気の治療及び予防においても有用である。
【0097】
認知及び痴呆:
脳におけるコルチゾルレベルが過剰であると、神経毒が増強されて、神経細胞の損失又は機能不全をもたらすこともある。認知障害は、加齢、及び過剰な脳内コルチゾルレベルと関連がある。J.R.Seckl及びB.R.Walker、Endocrinology、2001、142:1371〜1376、及びその中の引用文献を参照されたい。11β−HSD1阻害剤の有効量を投与すると、加齢に伴う認知障害、及び神経細胞の機能不全が軽減し、改善し、管理され、又は予防される。11β−HSD1阻害剤は、不安及びうつ病を治療するのにも有用なことがある。
【0098】
アテローム性動脈硬化症:
上述したように、11β−HSD1活性の阻害、及びコルチゾル量の低下は、高血圧を治療し、又は管理するのに有利である。高血圧及び異脂肪血症は、アテローム性動脈硬化症を発症する一因となるので、本発明の11β−HSD1阻害剤の治療有効量の投与は、アテローム性動脈硬化症を治療し、管理し、その発症を遅延させ、又は予防するのに特に有利なことがある。
【0099】
すい臓に対する効果:
単離されたネズミすい臓β細胞において11β−HSD1活性を阻害すると、グルコースによって刺激されるインスリン分泌が改善される(B.Davani等、J.Biol.Chem.、2000、275:34841〜34844)。グルココルチコイドは、インビボでインスリン分泌を抑制することが判明した。(B.Billaudel等、Horm.Metab.Res.,1979,11:555〜560)。
【0100】
眼内圧の低下:
最近のデータによれば、グルココルチコイド標的受容体及び11β−HSD酵素のレベルと、緑内障罹患率との間に関連があることが示唆されている(J.Stokes等、Invest.Ophthamol.、2000、41:1629〜1638)。したがって、11β−HSD1活性を阻害することは、緑内障治療において眼内圧を下げるのに有用である。
【0101】
免疫調節:
結核、乾せんなどのある病態においては、また、過剰なストレスの条件下においてさえ、細胞による応答が患者にとって実際により有利であり得るときに、グルココルチコイド活性が高いと、免疫応答が、液性応答へ移行する。11β−HSD1活性が阻害され、それに伴いグルココルチコイドレベルが低下すると、免疫応答が細胞による応答へ移行する。D.Mason、Immunology Today、1991、12:57〜60、及びG.A.W.Rook、Bailler’s Clin.Endocrinol.Metab.、1999、13:576〜581参照。
【0102】
骨粗鬆症:
グルココルチコイドは骨形成を阻害し、正味の骨組織が失われる恐れがある。11β−HSD1は、骨吸収の役割を果たす。11β−HSD1の阻害は、骨粗鬆症によって骨組織が失われるのを予防するのに有利である。C.H.Kim等、J.Endocrinol.,1999、162:371〜379;C.G.Bellows等、Bone、1998、23:119〜125;及びM.S.Cooper等、Bone、2000、27:375〜381参照。
【0103】
他の効用:
本発明の化合物を用いた治療によって、以下の疾患、障害及び病気、すなわち(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高HDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)すい炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧、及びインスリン抵抗性が一構成成分である他の障害を治療し、管理し、予防し、又は遅延させることができる。
【0104】
上記疾患及び病気は、構造式Iの化合物を用いて治療することができ、或いは本明細書に記載する疾患及び病気を予防し、又はその発症リスクを軽減するためにこの化合物を投与することができる。11β−HSD2を同時に阻害することは、有害な副作用をもたらす恐れがあり、又はコルチゾルの減少が望ましい標的組織中のコルチゾル量を実際に上昇させる恐れがあるので、11β−HSD2をほとんど又は全く阻害しない11β−HSD1の選択的阻害剤が望ましい。
【0105】
構造式Iの11β−HSD1阻害剤は、一般に、阻害定数IC50が約500nM未満、好ましくは約100nM未満である。一般に、ある化合物の11β−HSD2と11β−HSD1のIC50比は、少なくとも2以上、好ましくは約10以上である。11β−HSD2と11β−HSD1のIC50比が約100以上である化合物がさらに好ましい。例えば、本発明の化合物は、11β−HSD2に対する阻害定数IC50が約1000nMを超え、好ましくは5000nMを超えることが理想的である。
【0106】
構造式Iの化合物は、構造式Iの化合物又は他の薬物が有用である疾患又は病気を治療し、予防し、抑制し、又は改善するのに、1種類以上の他の薬物と併用することができる。一般に、薬物の併用は、各薬物単体よりも安全又は有効であり、或いは、個々の薬物の加成性に基づいて予想されるものよりも安全又は有効である。他の薬物は、一般に使用される経路及び量で、式Iの化合物と同時に、又は連続して投与することができる。構造式Iの化合物を1種類以上の他の薬物と同時に使用するときには、そのような他の薬物と構造式Iの化合物とを含む混合生成物が好ましい。しかし、併用療法は、構造式Iの化合物と1種類以上の他の薬物とを異なる重複スケジュールで投与する療法も含む。他の活性成分と併用するときには、本発明の化合物又は他の活性成分又はその両方を、各々を単体で使用するときよりも低用量で有効に使用することができると考えられる。したがって、本発明の薬剤組成物は、構造式Iの化合物に加えて1種類以上の他の活性成分を含む薬剤組成物を含む。
【0107】
構造式Iの化合物と併用して投与することができ、別個に投与することも、同じ薬剤組成物として投与することもできる他の活性成分の例は、
(a)ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤、
(b)(i)グリタゾン(例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾンなど)などのPPARγ作用物質、及びKRP−297などのPPARα/γ二重作用物質、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラートなどのPPARα作用物質を含めた他のPPARリガンド、並びに(ii)メトホルミン、フェンホルミンなどのビグアナイドを含めたインスリン増感剤、
(c)インスリン及びインスリン模倣物、
(d)トルブタミド、グリピジド、メグリチナイド及び関連物質などのスルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進物質、
(e)アカルボースなどのα−グルコシダーゼ阻害剤、
(f)国際公開第98/04528号、国際公開第99/01423号、国際公開第00/39088号及び国際公開第00/69810号に開示された物質などのグルカゴン受容体拮抗物質、
(g)GLP−1、GLP−1アナログ、及び国際公開第00/42026号及び国際公開第00/59887号に開示されたものなどのGLP−1受容体作用物質、
(h)GIP、国際公開第00/58360号に開示されたものなどのGIP模倣物、及びGIP受容体作用物質、
(i)PACAP、PACAP模倣物、及び国際公開第01/23420号に開示されたものなどのPACAP受容体3作用物質、
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ロスバスタチン及び他のスタチン)、(ii)胆汁酸金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール、及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)エゼチマイブ、ベータ−シトステロールなどのコレステロール吸収阻害剤、(v)例えば、アバシミベ(avasimibe)などのアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、及び(vi)プロブコールなどの抗酸化剤などのコレステロール降下剤、
(k)国際公開第97/28149号に開示された物質などのPPARδ作用物質、
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY1又はY5拮抗物質、CB1受容体逆作用物質及び拮抗物質、βアドレナリン受容体作用物質、メラノコルチン−受容体作用物質、特にメラノコルチン−4受容体作用物質、グレリン拮抗物質、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体拮抗物質などの抗肥満化合物、
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、
(n)アスピリン、非ステロイド抗炎症薬、アザルフィジン、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤などのグルココルチコイド以外の炎症性疾患用薬剤、
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、及び
(p)カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタンなどのアンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗物質、レニン阻害剤などのアンジオテンシン系又はレニン系に作用する薬剤を含めた降圧薬
などであるが、これらだけに限定されない。
【0108】
上記組み合わせは、構造式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩若しくは溶媒和化合物と、1種類以上の他の活性化合物とを含む。非限定的な例としては、構造式Iの化合物と、ビグアナイド、スルホニル尿素、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、PPAR作用物質、PTP−1B阻害剤、DP−IV阻害剤及び抗肥満化合物からなる群から選択される2種類以上の活性化合物との組み合わせがある。
【0109】
哺乳動物、特にヒトに、本発明の化合物の有効投与量を投与するために任意の適切な投与経路を使用することができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼球、肺、経鼻などを使用することができる。剤形としては、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁液剤、溶液剤、カプセル剤、乳剤、軟膏剤、エアゾール剤などがある。構造式Iの化合物を経口投与することが好ましい。
【0110】
活性成分の有効投与量は、使用する具体的な化合物、投与方法、治療する病気、及び病気の重篤度に応じて変わる。当業者は、このような投与量を容易に確認することができる。
【0111】
構造式Iの化合物の適応症である本明細書に記載する疾患及び病気を治療し、又は予防するときには、本発明の化合物を約0.1〜約100ミリグラム/キログラム(mpk)体重の一日量で投与し、好ましくは毎日単一用量で、又は1日当たり約2〜6回の分割用量で投与するときに、満足な結果が得られる。したがって、1日の全用量は、約0.1mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約50mgである。典型的な70kgの大人の場合には、1日の全用量は約7mg〜約350mgとなる。この投与量は、最適な治療応答を得るために調節することができる。
【0112】
本発明の別の側面は、構造式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩若しくは溶媒和化合物と、薬剤として許容される担体とを含む薬剤組成物に関する。
【0113】
この組成物は、経口、直腸、局所、(皮下、筋肉内及び静脈内を含めた)非経口、眼球(眼)、経皮、肺(鼻又は口からの吸入)又は経鼻投与に適切な組成物を含むが、任意の所与の症例において最も適切な経路は、治療する病気の性質及び重篤度、並びに活性成分によって決まる。これらの組成物は、好都合には単位剤形とすることができ、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。
【0114】
構造式Iの化合物は、従来の調剤技術によって薬剤担体と混合することができる。担体は多種多様な形態をとる。例えば、経口液体組成物用担体としては、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、矯味矯臭剤、防腐剤、着色剤、並びに経口懸濁液剤、エリキシル剤及び溶液剤の製造に使用される他の成分が挙げられる。デンプン、糖及び微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、バインダー、崩壊剤などの担体は、経口固体剤形、例えば、散剤、硬カプセル、軟カプセル及び錠剤を調製するために使用される。固体経口製剤は経口液剤よりも好ましい。
【0115】
経口固体剤形は、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチンなどのバインダー;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;及びスクロース、ラクトース、サッカリンなどの甘味剤も含むことができる。カプセル剤は、脂肪油などの液体担体を含むこともできる。
【0116】
コーティングとして作用し、又は単位用量の物理的形態を改変する様々な他の材料を使用することができる。例えば、錠剤は、シェラック、糖又はその両方で被覆することができる。
【0117】
錠剤は、標準の水系又は非水系技術によって被覆することができる。これらの組成物中の活性化合物の典型的な割合は、重量/重量基準で約2パーセント〜約60パーセントの範囲で変動し得ることは言うまでもない。したがって、錠剤は、構造式Iの化合物、又はその塩若しくは水和物を約0.1mg〜約1.5g、好ましくは約1.0mg〜約500mg、より好ましくは約10mg〜約100mgの範囲で含む。
【0118】
シロップ剤、エリキシル剤などの経口液体は、活性成分に加えて、甘味剤としてスクロース、防腐剤としてメチル及びプロピルパラベン、色素、並びにサクランボ、オレンジ風味などの矯味矯臭剤を含むことができる。
【0119】
非経口製剤は、一般に、溶液又は懸濁液の形態をとり、一般に水を用いて調製され、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤を場合によっては含んでもよい。分散剤は、グリセリン、液状ポリエチレングリコール、及びオイル中のそれらの混合物中で調製することができる。一般に、希釈製剤は防腐剤を含むこともできる。
【0120】
注射液剤又は分散剤をその場で調製するための水溶液剤、分散剤及び散剤を含めた注射用薬剤剤形は無菌であり、容易に注射できる程度の流体でなければならず、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、通常は貯蔵される。したがって、担体としては、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセリン、プロピレングリコール及び液状ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物及び植物油を含む溶媒又は分散媒が挙げられる。
【0121】
アッセイ:阻害定数の測定:
試験化合物のインビトロでの酵素活性をシンチレーション近接アッセイ(SPA)によって評価した。端的に述べると、トリチウム化コルチゾン基質、NADPH補因子、及び滴定された構造式Iの化合物を11β−HSD1酵素とともに37℃でインキュベートしてコルチゾルへの転化を進めた。このインキュベーション後に、抗コルチゾルモノクローナル抗体と、18β−グリチルレチン酸などの非特異的11β−HSD阻害剤とをあらかじめブレンドされたタンパク質A被覆SPAビーズ調製物を各ウェルに添加した。この混合物を15℃で振とうし、次いで96ウェルプレートに適切な液体シンチレーションカウンターで読み取った。阻害されていない対照ウェルに対する阻害率を計算し、IC50曲線を作成した。このアッセイを11β−HSD2に同様に適用し、それによってトリチウム化コルチゾル及びNADをそれぞれ基質及び補因子として使用した。アッセイを開始するために、基質(25nM H−コルチゾン+1.25mM NADPHの50mM HEPES緩衝剤、pH7.4)40μLを96ウェルプレートの指定ウェルに添加した。この化合物を10mMでDMSOに溶解し、続いてDMSOで50倍に希釈した。次いで、希釈材料を7回4倍滴定した。次いで、各滴定化合物1μLを2つ組で基質に添加した。反応を開始するために、CHO形質移入体由来の11β−HSD1ミクロソーム10μLを、出発材料の約10%の転化率を得るのに適切な濃度で各ウェルに添加した。阻害率を最終的に計算するために、最小及び最大アッセイ、すなわち、基質を含み化合物も酵素も含まないセット(バックグラウンド)と、基質と酵素を含みいかなる化合物も含まない別のセット(最大シグナル)を一連のウェルに添加した。これらのプレートを低速で軽く遠心分離して試薬をプールし、接着剤片で密封し、静かに混合し、37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、抗コルチゾルモノクローナル抗体と式Iの化合物をあらかじめ懸濁したSPAビーズ45μLを各ウェルに添加した。これらのプレートを再度密封し、15℃で1.5時間以上静かに振とうした。Topcountなどのプレートベースの液体シンチレーションカウンターでデータを収集した。抗コルチゾル抗体/コルチゾル結合の阻害を制御するために、1.25nM[3]Hコルチゾルを加えた基質を指定の単一ウェルに添加した。200μM化合物1μLを、酵素の代わりに緩衝剤10μLとともにこれらのウェルの各々に添加した。計算されたあらゆる阻害は、SPAビーズ上の抗体に結合したコルチゾルと干渉する化合物によるものであった。
【0122】
アッセイ:インビボでの阻害の測定:
一般に、試験化合物を哺乳動物に経口投与し、所定時間、通常1〜24時間置いた。トリチウム化コルチゾンを静脈内注射し、数分後に血液を採取した。分離した血清からステロイドを抽出し、HPLCで分析した。H−コルチゾン及びその還元生成物であるH−コルチゾルの相対レベルを、化合物及びビヒクルを投与した対照群について測定した。絶対転化率及び阻害率をこれらの値から計算した。
【0123】
より具体的には、化合物をビヒクル(5%ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンv/vHO、又は当量)に所望の濃度で溶解し、一般に10mg/kgで投薬することによって、それらを経口投薬用に調製した。終夜絶食後、(Charles Riverから得た)ICRマウスにその溶液を経口胃管栄養法によって0.5mL/投与/動物、3匹の動物/試験グループで投与した。
【0124】
所望の時間、通常4又は16時間が経過した後に、3μM H−コルチゾンのdPBS溶液0.2mLを尾静脈に注射した。動物を2分間檻に入れ、続いてCOチャンバに入れて安楽死させた。終了後、マウスを取り出し、心臓穿刺によって血液を採取した。血液を血清分離管中に30分間以上室温で放置して適切に凝固させた。インキュベーション期間後に、血液を3000Xg、4℃で10分間遠心分離して血清を分離した。
【0125】
血清中のステロイドを分析するために、ステロイドを有機溶媒でまず抽出した。0.2mL体積の血清を清浄なマイクロ遠心管に移した。これに1.0mL体積の酢酸エチルを添加し、続いて1分間激しく撹拌した。マイクロ遠心分離で高速回転させて血清タンパク質水溶液をペレット化し、有機上清を浄化した。上部有機相0.85mLを新しいマイクロ遠心管に移し、乾燥させた。乾燥試料を、高濃度のコルチゾン及びコルチゾルを含むDMSO 0.250mLに再懸濁してHPLCで分析した。
【0126】
30%メタノールで平衡にしたMetachem Inertsil C−18クロマトグラフィーカラムに試料0.200mLを注入した。線形勾配で徐々に50%メタノールにすると、標的ステロイドが分離された。再懸濁溶液中の冷標準(cold standard)を254nmのUVによって同時にモニタリングして内部標準とした。データをソフトウエアにアップロードして分析するラジオクロマトグラフィー検出器によってトリチウムシグナルを収集した。H−コルチゾンからH−コルチゾルへの転化率を、コルチゾルのAUCと、コルチゾンとコルチゾルの混合AUCとの比として計算した。
【0127】
本発明の化合物の調製:
本発明の構造式Iの化合物を以下のスキーム及び実施例の手順に従って、適切な材料を用いて調製することができ、以下の具体例によってさらに例証する。しかし、実施例に示す化合物は、本発明とみなされる属(genus)のみを形成するものと解釈すべきではない。実施例は、本発明の化合物の調製をさらに詳細に示すものである。当業者は、以下の調製手順の条件及びプロセスの既知の変形例をこれらの化合物を調製するために使用できることを容易に理解できるはずである。本化合物は、一般に、中性の形で単離されるが、有機溶媒に溶解し、続いて適切な酸を添加し、さらに蒸発、沈殿又は結晶化させて、トリアゾール部分を薬剤として許容される塩にさらに転化することができる。他に断らない限り、温度はすべて℃である。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレーイオン質量分析(ESMS)によって測定された。
【0128】
「標準ペプチドカップリング反応条件」という句は、EDC、DCC、BOPなどの酸活性化剤(acid activating agent)を用いて、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中、HOBTなどの触媒の存在下で、カルボン酸をアミンとカップリングさせることを意味する。所望の反応を促進し望ましくない反応を最小限に抑えるアミン及びカルボン酸官能基の保護基の使用は、これまでに十分述べられている。保護基を除去するのに必要な条件は、Greene,T及びWuts,P.G.M.、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley&Sons,Inc.、New York、NY、1991などの標準的なテキストに記載されている。Cbz及びBOCは、有機合成において一般に使用される保護基であり、それらの除去条件は当業者に知られている。
【0129】
本発明の化合物の調製の説明に使用される略語:
【0130】
【表3】


【0131】
反応スキーム1〜5に、本発明の構造式Iの化合物の合成に使用する方法を示す。すべての置換基は、特に断らない限り、上に定義したとおりである。
【0132】
反応スキーム1は、本発明の構造式Iの新規化合物の合成における重要な段階である。反応スキーム1に示すように、第二級アミド(1−1)(N−Me又はN−Etが好ましい)は、イミノエーテル(1−2)を得るために、純粋なメチルトリフレートとともに加熱することによってメチル化することができる。あるいは、ヨウ化メチル、硫酸メチルなどの他のメチル化試薬をそのまま又は非求核性有機溶媒に溶かして使用することができる。スキーム1に示すように、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(1−3)は、トリエチルアミンなどの第三級アミン塩基の存在下でカップリング試薬TFFH及びヒドラジンを用いることによってアシルヒドラジド(1−4)に転化される。あるいは、アミドの調製に一般に使用される他のカップリング試薬をヒドラジンとともにこの変換に使用することができる。あるいは、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシルエステルをヒドラジンとともに加熱してアシルヒドラジド(1−4)を調製することができる。こうして生成したアシルヒドラジド(1−4)及びイミノエーテル(1−2)は、トルエンなどの不活性高沸点有機溶媒中、トリエチルアミンなどの第三級アミン塩基の存在下で一緒に加熱して、構造式Iのビシクロ[2.2.2]オクチルトリアゾール(1−5)を得ることができる。
【0133】
スキーム1
【0134】
【化15】

【0135】
あるいは、反応スキーム2によって示されるように、逆の方法で反応を実施することができる。この手順においては、第二級アミド(2−1)は、標準ペプチドカップリング反応を使用して、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸から調製される。この化合物は、メチル化されてイミノエーテル(2−2)を形成し、反応スキーム1に示したようにアシルヒドラジドと反応して、構造式Iのビシクロ[2.2.2]オクチルトリアゾール(2−3)が得られる。
【0136】
スキーム2
【0137】
【化16】

【0138】
反応スキーム3は、本発明の構造式Iの化合物の代替手法であり、重要な段階は、構造式Iのトリアゾール(3−2)を生成する、パラジウム触媒によるビシクロ[2.2.2]オクチルブロモトリアゾール(3−1)とアリールボロン酸の鈴木カップリング反応である。好ましい条件では、DMF溶媒中で炭酸セシウムとともに触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を使用するが、当業者には理解されるように他の触媒及び条件を使用することもできる。
【0139】
スキーム3
【0140】
【化17】

【0141】
反応スキーム4は、構造式Iの化合物を形成するさらに別の合成手法である。この手順を用いて、4−(ビシクロ[2.2.2]オクチル)オキサジアゾール(4−1)を、メチルアンモニウムトリフルオロアセテートを含む溶解物中でそのまま又は緩衝MeOH溶液中でメチルアミンと脱水縮合させる。これらの反応は、メチルアミンの損失を抑える高圧反応器中、高温で最適に実施される。
【0142】
スキーム4
【0143】
【化18】

【0144】
反応スキーム5は、構造式Iの化合物を形成するさらに別の合成手法である。この手順を用いて、ビシクロ[2.2.2]オクチルカルボキサミド(5−1)を、塩化オキサリル、塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リンなどの試薬を用いて、場合によってはDMFの存在下でイミノクロライド(5−2)に転化する。イミノクロライド(5−2)は、トルエンなどの高沸点不活性有機溶媒中でアリールテトラゾールと縮合してトリアゾール(5−3)を生成する。
【0145】
スキーム5
【0146】
【化19】

【0147】
[2.2.2]ビシクロオクチル中間体の調製:
本発明の化合物の調製に使用する[2.2.2]ビシクロオクチル中間体の調製に使用される手順を以下に示す。
【0148】
中間体スキーム1〜4に、構造式Iの化合物の合成に重要な中間体であるオキサジアゾールの調製を示す。オキサジアゾールは、例えば、反応スキーム4に記載の反応によって、構造式Iの化合物に転化することができる。
【0149】
中間体スキーム1に、塩化チオニルなどの脱水試薬を用いたジアシルヒドラジドの脱水を経由してオキサジアゾールを調製する好ましい方法を示す。あるいは、オキシ塩化リン、五塩化リン、塩化オキサリルなどの他の脱水試薬を使用することができる。ジアシルヒドラジドは、第三級アミン塩基の存在下で、ヒドラジド、及び酸塩化物などの活性な酸から好ましく調製することができる。あるいは、標準ペプチドカップリング反応を使用して、ヒドラジド及びカルボン酸からジアシルヒドラジドを調製することができる。
【0150】
中間体スキーム2に、ジアシルヒドラジドからオキサジアゾールへの脱水に有用な試薬、すなわち、塩化2−クロロ−1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−3−イウムを示す。この試薬の非極性溶媒(塩化メチレンが好ましい)溶液と第三級アミン塩基(トリエチルアミンが好ましい)から、所望のオキサジアゾール中間体が効率的に得られる。
【0151】
中間体スキーム3に、(ヒドラジド及びカルボン酸からの)ワンポット形成、及びジアシルヒドラジドからオキサジアゾールへの脱水に好ましい試薬、すなわち、塩化2−クロロ−1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−3−イウムを示す。この試薬の非極性溶媒(塩化メチレンが好ましい)溶液と第三級アミン塩基(トリエチルアミンが好ましい)から、所望のオキサジアゾール中間体が効率的に得られる。
【0152】
中間体スキーム4に、第二級アミド及びヒドラジドからオキサジアゾールを形成する効率的方法を示す。第二級アミド(N−Me又はN−Etが好ましい)は、イミノエーテルを得るために、純粋なメチルトリフレートとともに加熱することによってメチル化することができる。あるいは、ヨウ化メチル、硫酸メチルなどの他のメチル化試薬をそのまま又は非求核性有機溶媒に溶かして使用することができる。こうして形成されたイミノエーテルを高沸点不活性有機溶媒中でヒドラジドの存在下で加熱すると、スキームに示すようにオキサジアゾールが得られる。
【0153】
中間体スキーム1:
【0154】
【化20】

【0155】
中間体スキーム2:
【0156】
【化21】

【0157】
中間体スキーム3:
【0158】
【化22】

【0159】
中間体スキーム4:
【0160】
【化23】

【0161】
中間体スキーム5に、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸を合成する好ましい方法を示す。
【0162】
中間体スキーム5:
【0163】
【化24】

【0164】
中間体スキーム6及び7に、構造式IのR位にヘテロアリール基を有するビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸を調製するのに好ましい方法を示す。R位のオキサジアゾールは、中間体スキーム6に示すように、ビシクロ[2.2.2]オクチル−1−カルボン酸とアミドキシムの縮合によって調製することができる。このカップリングに有用な試薬はCDIである。あるいは、脱水又はペプチドカップリング反応に有用な他の試薬を使用することができる。中間体スキーム7に、R位にチアゾール基を有する構造式Iの化合物の中間体を合成する好ましい方法を示す。
【0165】
中間体スキーム6:
【0166】
【化25】

【0167】
中間体スキーム7:
【0168】
【化26】

【0169】
中間体スキーム8〜14に、R位に様々なアルキル又はアルケニル又は置換アルキル基を有する構造式Iの化合物の合成において、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸中間体を調製する好ましい方法を示す。重要な反応は、中間体スキーム8に示すように、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシアルデヒドに対して実施されるウィッティヒ反応である。この反応の生成物中の二重結合は、中間体スキーム9に示すように、水素化されてウィッティヒ試薬に応じて(構造式I中のR置換基になる)様々な長さ及び特性のアルキル基を生成することができる。あるいは、二重結合は、中間体スキーム10に示すように、ヒドロキシ基、フルオロ基などの他の官能基を導入するために使用することができる。アルデヒド自体は、中間体スキーム11に示すように、R位にジフルオロメチル基を設けるために使用することができる。ウィッティヒ反応のアルケン生成物は、中間体スキーム12に示すように、多数の他の変換、例えば、シクロプロパン化を起こすことができる。あるいは、ウィッティヒ試薬は、中間体スキーム13に示すように、離れた官能基、例えば、ケタールを含むことができる。この官能基は、一連のウィッティヒ/還元後に特徴的官能基変換、例えば、中間体スキーム13に示すケタールからケトンへの加水分解、又は中間体スキーム14に示すケタールからアルコールへの還元を行うことができる。このようにして、様々な異なるR置換基を有する構造式Iの化合物を得ることができる。示した具体例は、一般的な原理を与えるものであって、R置換基の範囲を限定するものではない。
【0170】
中間体スキーム8:
【0171】
【化27】

【0172】
中間体スキーム9:
【0173】
【化28】

【0174】
中間体スキーム10:
【0175】
【化29】

【0176】
中間体スキーム11:
【0177】
【化30】

【0178】
中間体スキーム12:
【0179】
【化31】

【0180】
中間体スキーム13:
【0181】
【化32】

【0182】
中間体スキーム14:
【0183】
【化33】

【0184】
本発明の化合物を調製するために使用される一般的な官能基化学変換を、以下の本発明の具体的な化合物の調製において説明する。
【0185】
これらの官能基変換は、当業者によって十分に理解されている一般的な種類のものである。
【0186】
【化34】





【実施例】
【0187】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供するものであって、本発明の範囲を限定するものと決して解釈すべきではない。
【0188】
(実施例1)
【0189】
【化35】

3−メトキシ−4−[4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]フェノール(1−F)
【0190】
【化36】

【0191】
段階A:
−5℃の4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾニトリル(1−A、国際公開第00/69841号)(7.95g、35.3mmol)及びヨードメタン(5.43mL、87.2mmol)のDMF(90mL)磁気撹拌溶液に、水素化ナトリウム(60%分散液、2.17g、54.2mmol)を一括添加した。その混合物を30分間撹拌し、室温に加温し、さらに2時間撹拌した。DMFの大部分を減圧除去し、その残渣を水と酢酸エチルに分配した。水相を酢酸エチルで3回抽出した。混合有機相を水及び飽和塩水で洗浄し、脱水した(MgSO)。溶媒を減圧除去した後の残渣をへキサンですり潰し、シリカゲル上でへキサン−CHCl(2:3)を用いてクロマトグラフにかけて4−ベンジルオキシ−2−メトキシベンゾニトリル(1−B)を得た。MS:m/z 240(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 7.47(d、1H、J=8.4Hz)、7.36〜7.45(m、5H)、6.58(dd、1H、J=2.3、8.4Hz)、6.57(d、1H、J=2.3Hz)、5.10(s、2H)、3.88(s、3H)ppm。
【0192】
段階B:
激しく撹拌した4−ベンジルオキシ−2−メトキシベンゾニトリル(1−B)(1.20g、5.0mmol)、アジ化ナトリウム(732mg、11.3mmol)及びトリエチルアミン塩酸塩(1.54g、11.3mmol)のトルエン(6mL)懸濁液を110℃で48時間加熱した。その褐色の懸濁液を冷却し、水(15mL)を添加し、混合物を30分間撹拌した。有機層を分離し、水(5mL)で抽出した。混合した水抽出物を、濃HClを用いてpH約1に酸性化した。最初に沈殿した粘性物質(gum)を30分間撹拌して固化させた。その固体をろ過し、水で洗浄し、乾燥させて5−[4−(ベンジルオキシ)−2−メトキシフェニル]−2H−テトラゾール(1−C)を得た。H NMR(500MHz、CDCl):δ 12.9(vbs、1H)、7.37(d、1H、J=8.7Hz)、7.34〜7.48(m、5H)、6.78(dd、1H、J=2.3、8.7Hz)、6.70(d、1H、J=2.3Hz)、5.15(s、2H)、4.05(s、3H)ppm。
【0193】
段階C:
塩化オキサリル(3.49ml、40mmol)を、N−メチル−4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキサミド(1−D)(952mg、4.0mmol)の無水CHCl溶液に室温で滴下した。激しいガス発生が収まった後に、溶液を室温で2時間撹拌した。CHClを室温、次いで50℃で慎重に減圧除去した。その透明シロップ状残渣をトルエン(8mL)に溶解し、5−[4−(ベンジルオキシ)−2−メトキシフェニル]−2H−テトラゾール(1−C)(1.13g、4.0mmol)を添加した。その混合物を120℃で9時間加熱した。その混合物を冷却し、沈殿固体をろ過し、トルエンで洗浄し、乾燥させてトリアゾール塩酸塩を得た。この塩をCHClと10%KCO水溶液に分配した。水相をCHClで2回抽出した。混合CHCl抽出物を脱水(MgSO)し、減圧濃縮した。その残渣をシリカゲル上で5%MeOH/CHClを用いてクロマトグラフにかけて、3−[4−(ベンジルオキシ)−2−メトキシフェニル]−4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール(1−E)を得た。MS:m/z 474(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):87.33〜7.47(m、6H)、6.65(dd、1H、J=2.3、8.5Hz)、6.60(d、1H、J=2.3Hz)、5.10(s、2H)、3.75(s、3H)、3.48(s、3H)、2.08(m、6H)、1.51(m、6H)、1.00〜1.35(m、8H)、0.89(t、3H、J=7.2)ppm。
【0194】
段階D:
3−[4−(ベンジルオキシ)−2−メトキシフェニル]−4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール(1−E)(272mg、0.572mmol)のMeOH(8mL)溶液を、10%Pd/C触媒(27mg)を用いて室温、大気圧で19時間水素化した。触媒をろ過し、MeOHで洗浄した。MeOHを減圧除去して3−メトキシ−4−[4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]フェノール(1−F)を得た。MS:m/z 384(M+1);H NMR(500MHz、DMSO−d):δ 9.94(s 1H)、7.09(d、1H、J=8.3)、6.53(d、1H、J=1.6Hz)、6.46(dd、1H、J=2.2、8.2Hz)、3.72(s、3H)、3.40(s、3H)、1.95(m、6H)、1.44(m、6H)、1.07−1.33(m、8H)、0.86(t、3H、J=7.2)。
【0195】
(実施例2)
【0196】
【化37】

3−メチル−4−[4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]フェノール(2−G)
【0197】
【化38】

【0198】
段階A:
(トリメチルシリル)ジアゾメタン(2M/へキサン、53mL、106mmol)を4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(2−A)(20.3g、90.6mmol)の塩化メチレン(100mL)及びメタノール(40mL)溶液に黄色の色が消えなくなるまで徐々に添加した。室温で10分間撹拌した後に、溶液を減圧濃縮してメチル4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(2−B)を得た。H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.89(t、3H);1.20(m、8H);1.39(m、6H);1.77(m、6H);3.65(s、3H)ppm。
【0199】
段階B:
ヒドラジン(無水、103mL、88.7mmol)をメチル4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(2−B)のエチレングリコール(180mL)の溶液に添加し、混合物を還流させながら17時間撹拌した。室温に冷却した後に、混合物を水(1500mL)に注ぎ、塩化メチレン(3x600mL)で抽出した。混合抽出物を水、塩水で2回抽出し、脱水し(MgSO)、減圧濃縮して、4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボヒドラジド(2−C)を得た。H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.90(t、3H);1.21(m、8H);1.43(m、6H);1.74(m、6H);3.85(ブロード s、2H);6.81(ブロード s、1H)ppm。
【0200】
段階C:
塩化2−クロロ−1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−3−イウム(5.07g、30.0mmol)を、2−メチル−4−メトキシ安息香酸(2−D)(856mg、5.0mmol)及び4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボヒドラジド(2−C)(1.25g、5.25mmol)の塩化メチレン(60mL)溶液に添加し、続いてトリエチルアミン(8.36mL、60mmol)を添加し、混合物を室温で48時間撹拌した。その混合物を塩化メチレンで希釈し、水、1N HCl、10%NaHCO、塩水で洗浄し、脱水し(MgSO)、減圧濃縮した。その残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、へキサン:酢酸エチル、9:1)によって精製して、2−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール(2−E)を得た。質量スペクトル:369(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.93(t、3H);1.27(m、8H);1.56(m、6H);2.03(m、6H);2.70(s、3H);3.89(s、3H);6.86(m、2H);7.89(d、1H)ppm。
【0201】
段階D:
2−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール(2−E)(988mg、2.68mmol)、トリフルオロ酢酸メチルアンモニウム(9.72g、67mmol、等モルのメチルアミンとトリフルオロ酢酸をエーテル中で混合し、続いて減圧濃縮して調製された)、及びメチルアミン(2M/MeOH、33mL、67mmol)をガラス製高圧容器中で150℃で114時間撹拌した。その混合物を減圧濃縮し、残渣を塩化メチレンと水で分配した。水相を塩化メチレンで抽出し、その混合抽出物を塩水で洗浄し、脱水し(MgSO)減圧濃縮した。その残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:へキサン、7:3、次いで9:1)によって精製して、3−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール(2−F)を得た。質量スペクトル:382(M+1);H NMR(500MHz,、CDCl):δ 0.93(t、3H);1.27(m、8H);1.56(m、6H);2.12(m、6H);2.18(s、3H);3.49(s、3H);3.87(s、3H);6.85(m、2H);7.24(d、1H)ppm。
【0202】
段階E:
三臭化ホウ素(1M/CHCl、3.21mL、3.21mmol)を3−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール(2−F)(410mg、1.07mmol)の塩化メチレン(6mL)の溶液に0℃で添加した。この混合物を室温で2時間撹拌した。この溶液を水、10%NaHCOで洗浄し、脱水し(MgSO)、減圧濃縮した。その残渣を分取TLC(シリカゲル、MeOH:塩化メチレン、5:95)で精製して、3−メチル−4−[4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]フェノール(2−G)を得た。質量スペクトル:393(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.93(t、3H);1.27(m、8H);1.56(m、6H);1.97(s 3H);2.12(m、6H);3.50(s、3H);6.65(m、2H);6.98(d、1H)ppm。
【0203】
(実施例3)
【0204】
【化39】

3−クロロ−4−[4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]フェノール(3−G)
【0205】
【化40】

【0206】
段階A:
塩化オキサリル(505μL、5.79mmol)を、4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(3−A)の混合物の塩化メチレン(10mL)溶液に滴下した。この溶液を室温で3時間撹拌し、次いで減圧濃縮して塩化4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボニル(3−B)を得た。H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.90(t、3H);1.21(m、8H);1.45(m、6H);1.88(m、6H)ppm。
【0207】
段階B:
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.44mL、11.1mmol)を4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(3−A)(1.09g、4.45mmol)の混合物に添加し、メチルアミン塩酸塩(1.5g、22.3mmol)の塩化メチレン(10mL)溶液を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。この混合物を塩化メチレンで希釈した後に、水、塩水で洗浄し、脱水し(MgSO)、減圧濃縮してN−メチル−4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキサミド(3−C)を得た。H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.91(t、3H);1.22(m、8H);1.43(m、6H);1.77(m、6H);2.82(d、3H)ppm。
【0208】
段階C:
塩化オキサリル(846μl、9.7mmol)をN−メチル−4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキサミド(3−C)(230mg、0.97mmol)の塩化メチレン(2.0mL)溶液に滴下し、混合物を室温で4時間撹拌した。溶媒及び過剰の試薬を減圧除去して塩化N−メチル−4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシイミドイル(carboximidoyl)(3−D)を得た。トルエン(1.5mL)、次いで5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1H−テトラゾール(3−E)(204mg、0.97mmol)を添加し、その混合物を18時間還流させた。その反応物を室温に冷却し、沈殿物をろ過し、冷トルエン、へキサンで洗浄し、塩化メチレンに溶解し、脱水し(MgSO)、減圧濃縮して、3−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール(3−F)を得た。質量スペクトル:402(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.94(t、3H);1.27(m、8H);1.56(m、6H);2.13(m、6H);3.56(s、3H);3.89(s、3H);6.95(dd、1H);7.07(d、1H);7.43(d、1H)。
【0209】
段階D:
三臭化ホウ素(135μL、1.43mmol)を、0℃の3−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール(3−F)(287mg、0.714mmol)の塩化メチレン(5mL)溶液に滴下した。この混合物を室温で2.5時間撹拌した。その溶液を水、10%NaHCOで洗浄し、脱水し(MgSO)、減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5%MeOH/塩化メチレン)で精製して、3−クロロ−4−[4−メチル−5−(4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]フェノール(3−G)を得た。質量スペクトル:388(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.93(t、3H);1.26(m、8H);1.56(m、6H);2.13(m、6H);3.58(s、3H);6.69(dd、1H);6.92(d、1H);7.09(d、1H)ppm。
【0210】
(実施例4)
【0211】
【化41】

5−(4−{1−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−H−1,2,4−トリアゾル−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)ペンタン−2−オール(4−J)
【0212】
【化42】


【0213】
段階A:
臭化[2−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル](トリフェニル)ホスホニウム(4−A、Synthesis:532(1986))(5.99g、12.7mmol)を無水THF(200mL)中で撹拌した。ビス(トリメチルシリル)アミドカリウム(20.4mL、2Mトルエン溶液、10.2mmol)を添加した。その反応物を30分間撹拌した。次いで、この反応混合物を−78℃に冷却した。メチル4−ホルミルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレートをカニューレを用いて−78℃で添加した。この反応物を室温に終夜加温した。THFを減圧蒸発させて体積を減少させた。水100mLを添加した。次いで、その混合物をジエチルエーテル100mLを用いて層分離させた。エーテルを抽出し、脱水した(MgSO)。生成物(メチル4−[(1E)−3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロパ−1−エニル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(4−B))をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(10/90酢酸エチル−へキサン混合物)によって精製した。
【0214】
段階B:
メチル4−[(1E)−3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロパ−1−エニル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(4−B)(1.1g)をエタノール(75mL)中で撹拌した。スパチュラ1杯の炭素担持10%Pd(150mg)を添加した。水素バルーンを添加し、混合物を水素雰囲気中で3時間撹拌した。炭素担持パラジウムをろ過し、エタノールを減圧除去して、メチル4−[3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(4−C)を得た。
【0215】
段階C:
メチル4−[3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(4−C)(1.0g、3.38mmol)を90%メタノール/10%水(50mL)溶液中で撹拌した。過剰の水酸化カリウム(2.0g)を添加した。その混合物を終夜撹拌した。冷却混合物を1N塩酸(100mL)によって酸性化し、次いで酢酸エチル(100mL)で2回洗浄した。混合有機層を脱水した(MgSO)。酢酸エチルを減圧除去して、純粋な4−[3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(4−D)を得た。
【0216】
段階D:
4−[3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(4−D)(0.200g、0.708mmol)を2−(トリフルオロメチル)安息香酸ヒドラジド(4−E)(0.173g、0.847mmol)と混合し、トルエンから2回共沸混合させた。次いで、その混合物を無水塩化メチレン(10mL)中で撹拌した。塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム(4−F)(0.718g、4.25mmol)、続いてトリエチルアミン1.184mLを添加した。その反応物を2時間撹拌した。この反応物を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。得られたオキサジアゾール、2−{4−[3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル−1,3,4−オキサジアゾール(4−G)をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(50/50酢酸エチル−へキサン混合物)によって精製した。
【0217】
段階E:
2−{4−[3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール(4−G)(0.158g)を90%アセトン/10%水(20mL)混合物中で撹拌した。p−トルエンスルホン酸(10mg)をこの溶液に添加した。その反応物を1時間加熱還流させた。アセトンを減圧蒸発させて体積を減少させた。次いで、この混合物を、酢酸エチル(25mL)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(25mL)で相分離させた。酢酸エチル層を抽出し、脱水した(MgSO)。溶媒を減圧除去して、純粋な5−(4−{5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)ペンタン−2−オン(4−H)を得た。
【0218】
段階F:
5−(4−{5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)ペンタン−2−オン(4−H)(0.072g)をメタノール(2mL)中、0℃で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(20mg)を添加した。その反応物を室温に撹拌した。次いで、この混合物を酢酸エチル(15mL)と水(15mL)を用いて相分離させた。酢酸エチル層を抽出し、脱水した(MgSO)。溶媒を減圧除去して、純粋な5−(4−{5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)ペンタン−2−オール(4−I)を得た。
【0219】
段階G:
5−(4−{5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)ペンタン−2−オール(4−I)(50mg)を密封バイアルの2Mメチルアミンのメタノール(2.5mL)溶液中に入れた。小さなスパチュラ1杯のメチルアミンTFA塩を添加し、バイアルを密封した。密封バイアルを150℃に3日間加熱した。反応物を酢酸エチル(15mL)で希釈し、水で洗浄し(15mL)、脱水した(MgSO)。酢酸エチルを減圧除去した。生成物、5−(4−{1−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−H−1,2,4−トリアゾル−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)ペンタン−2−オール(4−J)を、分取逆相HPLC(C−18シリカゲルカラム、0.1%トリフルオロ酢酸緩衝アセトニトリル−水勾配)によって精製した。純粋なトリアゾールを含む溶出液を10%NaHCOによって塩基性にし、減圧蒸発してアセトニトリルの大部分を除去し、塩化メチレンで抽出した。有機抽出物を脱水し(MgSO)、濃縮し、残渣を減圧乾燥させて所望の化合物を得た。MS(ESI)=422.5(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 1.21(2H、m)、1.23(3H、d、J=6.5Hz)、1.29(2H、m)、1.57(6H、m)、2.13(6H、m)、3.47(3H、s)、3.85(1H、m)、7.51(1H、m)、7.70(2H、m)、7.85(1H、m)ppm。
【0220】
(実施例5)
【0221】
【化43】

3−クロロ−4−{5−[4−(4−ヒドロキシペンチル)ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル]−1−メチル−1−H−1,2,4−トリアゾル−3−イル}フェノール(5−K)
【0222】
【化44】


【0223】
段階A:
4−[3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(4−D)(0.300g、1.06mmol)を2−クロロ−4−メトキシベンゾヒドラジド(5−E)(0.255g、1.275mmol)と混合し、トルエンから2回共沸混合させた。次いで、この混合物を無水塩化メチレン(15mL)中で撹拌した。塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム(5−F)(1.075g、6.36mmol)、続いてトリエチルアミン1.77mLを添加した。その反応物を2時間撹拌した。この反応物を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。得られたオキサジアゾール、2−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−5−{4−[3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−1,3,4−オキサジアゾール(5−G)をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(50/50酢酸エチル−へキサン混合物)によって精製した。
【0224】
段階B:
2−{4−[3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,5−オキサジアゾール(4−G)(0.158g)を90%アセトン/10%水(20mL)混合物中で撹拌した。p−トルエンスルホン酸(15mg)をこの溶液に添加した。その反応物を1時間加熱還流させた。アセトンを減圧蒸発させて体積を減少させた。次いで、この混合物を、酢酸エチル(25mL)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(25mL)で相分離させた。酢酸エチル層を抽出し、脱水した(MgSO)。溶媒を減圧除去して、純粋な5−{4−[5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}ペンタン−2−オン(5−H)を得た。
【0225】
段階C:
5−{4−[5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}ペンタン−2−オン(5−H)(0.150g、0.373mmol)をメタノール(5mL)中、0℃で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.0169g、0.448mmol)を添加した。その反応物を室温に撹拌した。次いで、この混合物を酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を用いて相分離させた。酢酸エチル層を抽出し、脱水した(MgSO)。溶媒を減圧除去して、5−{4−[5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}ペンタン−2−オール(5−I)を得た。
【0226】
段階D:
5−{4−[5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}ペンタン−2−オール(5−I)(50mg)を密封バイアルの2Mメチルアミンのメタノール(2.5mL)溶液中に入れた。小さなスパチュラ1杯のメチルアミンTFA塩を添加し、バイアルを密封した。密封バイアルを150℃に24時間加熱した。その反応物を酢酸エチル(15mL)で希釈し、水で洗浄し(15mL)、脱水した(MgSO)。酢酸エチルを減圧除去した。生成物、5−{4−[5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1−メチル−1−H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}ペンタン−2−オール(5−J)を分取TLC(5%メタノール/95%酢酸エチル)によって精製した。
【0227】
段階E:
5−{4−[5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1−メチル−1−H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}ペンタン−2−オール(5−J)(0.036g、0.086mmol)を、DMF0.5mLを含む小さなバイアルに入れた。ナトリウムエタンチオラート(0.0218g、0.260mmol)をこの溶液に添加した。バイアルを密封し、100℃に1.5時間加熱した。反応が不完全であったので、さらにナトリウムエタンチオラート1.5当量(0.011g)を添加した。バイアルを再度密封し、100℃で1時間加熱した。生成物、3−クロロ−4−{5−[4−(4−ヒドロキシペンチル)ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル]−1−メチル−1−H−1,2,4−トリアゾル−3−イル}フェノール(5−K)を、分取逆相HPLC(C−18シリカゲルカラム、0.1%トリフルオロ酢酸緩衝アセトニトリル−水勾配)によって精製した。純粋なトリアゾールを含む溶出液を10%NaHCOによって塩基性にし、減圧蒸発してアセトニトリルの大部分を除去し、塩化メチレンで抽出した。有機抽出物を脱水し(MgSO)、濃縮し、残渣を減圧乾燥させて所望の化合物を得た。MS(ESI)=404.4(M+1)。
【0228】
(実施例6)
【0229】
【化45】

5−{4−[5−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}ペンタン−2−オン(6−L)
【0230】
【化46】

【0231】
3−クロロ−4−{5−[4−(4−ヒドロキシペンチル)ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル}フェノール(5−K)(0.0035g、0.00869mmol)を活性4Åモレキュラシーブとともに無水塩化メチレン0.5mL中で撹拌した。N−メチルモルホリンN−オキシド(0.0015g、0.013mmol)を添加した。反応物を窒素下で15分間撹拌した。過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(0.00112g、0.00956mmol)を添加し、反応物を2時間撹拌した。この混合物を、セライトろ過剤を通してろ過した。生成物、5−{4−[5−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}ペンタン−2−オン(6−L)を、分取逆相HPLC(C−18シリカゲルカラム、0.1%トリフルオロ酢酸緩衝アセトニトリル−水勾配)によって精製した。純粋なトリアゾールを含む溶出液を10%NaHCOによって塩基性にし、減圧蒸発してアセトニトリルの大部分を除去し、塩化メチレンで抽出した。有機抽出物を脱水し(MgSO)、濃縮し、残渣を減圧乾燥させて所望の化合物を得た。MS(ESI)=402.3(M+1)。
【0232】
(実施例7)
【0233】
【化47】

3−(4−フルオロフェニル)−5−[4−[4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル]−1,2,4−オキサジアゾール(7−F)q2
【0234】
【化48】

【0235】
段階A:
4−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(7−A)(0.906g、4.27mmol)のジクロロメタン(20mL)懸濁液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(1.04g、6.41mmol)を添加した。反応物はガスを発生しながらすぐに透明溶液になった。この混合物を室温で1時間撹拌した後に、4−フルオロベンズアミドキシムを添加した(1.98g、12.8mmol)。撹拌を終夜続けた。次いで、この混合物を濃縮し、残渣をトルエン中で16時間還流させた。この混合物を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーによって、溶離剤としてへキサン/酢酸エチル(7/1)を用いて精製して、白色固体のメチル4−[3−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート酸(carboxylate acid)(7−B)を得た。H NMR(500MHz、CDCl) δ 1.96〜1.99(m、6H)、2.08−2.14(m、6H)、3.71(s、3H)、7.16〜7.20(m、2H)、8.08〜8.10(m、2H)ppm。ESI−MS m/z(M+H)349.2。
【0236】
段階B:
エステル(7−B)(1.01g、3.06mmol)をKOH(0.52g、9.18mmol)を用いてメタノール/水(95/5、20mL)中で処理した。反応混合物を60℃で12時間加熱した後に、濃縮し、水で希釈し、酢酸エチルで2回抽出した。水層を1N HCl水溶液で酸性化すると、白色固体が分離沈殿した。固体4−[3−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(7−C)を収集し、トルエンと同時に蒸発させてさらに乾燥させた。ESI−MS m/z(M+H)317.2。
【0237】
段階C:
まず、酸(7−C)(138.9mg、0.439mmol)と2−(トリフルオロメチル)安息香酸ヒドラジド(7−D)(89.7mg、0.439mmol)の混合物をトルエンとともに3回同時蒸発させた。この混合物に溶媒としてジクロロメタン(7mL)を添加した。得られた懸濁液に、塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム(743mg、4.39mmol)、続いてトリエチルアミン(1.2mL、8.78mmol)を添加した。この混合物を窒素下、室温で48時間撹拌して、反応を確実に終了させた。次いで、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水、1N HCl、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、最後に塩水で洗浄した。有機物を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにかけ、溶離剤としてへキサン/酢酸エチル(3/1)を用いて精製して、白色固体の3−(4−フルオロフェニル)−5−(4−{5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(7−E)を得た。H NMR(500MHz、CDCl) δ 2.25(s、12H)、7.21(t、J=8.7Hz、2H)、7.74〜7.76(m、2H)、7.91(m、1H)、8.11〜8.15(m、3H)ppm。ESI−MS m/z(M+H)485.2。
【0238】
段階D:
上記1,2,4−オキサジアゾール(7−E)(115.2mg、0.238mmol)とメチルアミンのトリフルオロ酢酸塩(1.73g、11.9mmol)との混合物の2Mメチルアミン/メタノール(4mL)溶液を封管中150℃で48時間加熱した。次いで、その混合物を濃縮し、残渣をジクロロメタンにとり、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を濃縮し、残渣を逆相HPLCにかけ溶離剤としてTFA緩衝アセトニトリル/水(40〜80%)を用いて精製した。生成物を含む画分を混合し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、アセトニトリル/水から凍結乾燥させて、3−(4−フルオロフェニル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(7−F)を得た。H NMR(CDCl) δ 2.25〜2.35(m、12H)、3.53(s、3H)、7.21(t、J=8.7Hz、2H)、7.54(m、1H)、7.73(m、2H)、7.88(m、1H)、8.13(m、2H)。ESI−MS m/z(M+H) 498.2。
【0239】
(実施例8)
【0240】
【化49】

4−[4−メチル−5−(4−フェニルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]−3−(トリフルオロメチル)フェノール(8−F)
【0241】
【化50】

4−フェニルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(8−A)の調製
参考文献
Chapman,N.B、Sotheeswaran,S.及びToyne,K.J、J.Org.Chem、35:917〜923(1970)
【0242】
段階A:
室温の4−フェニルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(8−A)(70mg、0.30mmol)の塩化メチレン(1mL)磁気撹拌溶液に、2M塩化オキサリルの塩化メチレン(0.61mL、1.22mmol)溶液を添加した。DMF触媒を2滴添加して反応を触媒した。その反応物を30分間撹拌し、溶媒及び試薬を減圧除去した。塩化メチレン(1mL)、続いて4−(ベンジルオキシ)−2−(トリフルオロメチル)安息香酸ヒドラジド(8−B)(141mg、0.46mmol)及びトリエチルアミン(0.07mL、0.46mmol)を残渣に添加した。この反応物を終夜室温で撹拌して、中間体8−C、N’−[4−(ベンジルオキシ)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−4−フェニルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボヒドラジドを得た。これは、単離されなかった。次いで、粗製生成物(8−C)に、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム塩化物(257mg、1.52mmol)、追加のトリエチルアミン(0.42mL、3.04mmol)及び塩化メチレン(2mL)を添加した。この反応物を室温で4時間撹拌した。次いで、反応混合物を塩化メチレン(30mL)で希釈し、水(30mL)で2回、塩水(30mL)で1回洗浄した。混合水層を塩化メチレン(25mL)で1回抽出した。混合有機層を脱水(MgSO)し、溶媒を減圧除去した。残渣をクロマトグラフ(シリカ、溶離剤:10%酢酸エチルのへキサン溶液)にかけて、2−[4−(ベンジルオキシ)−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(4−フェニルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール(8−D)を得た。MS:m/z 505(M+1)。
【0243】
段階B:
メチルアミンのトリフルオロ酢酸塩(380mg、2.61mmol)及び2−[4−(ベンジルオキシ)−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(4−フェニルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール(8−D)を2Mメチルアミンのメタノール溶液(1.3mL、2.61mmol)に懸濁し、150℃で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却後、酢酸エチル(25mL)と炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(30mL)に分配した。層を分離させ、水層を酢酸エチル(25mL)で2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、脱水(MgSO)し、溶媒を減圧除去した。次いで、残渣をメタノール(8mL)に溶解し、逆相クロマトグラフィー(10%アセトニトリル(0.1%TFA)/水(0.1%TFA)から100%アセトニトリル(0.1%TFA)への勾配溶出)に10分間(20mL/min)かけて精製した。生成物を含む画分を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(25mL)と塩化メチレン(15mL)に分配した。層を分離させ、水層を塩化メチレン(15mL)で3回抽出し、脱水し(MgSO)、溶媒を減圧除去して、3−[4−(ベンジルオキシ)−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−5−(4−フェニルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール(8−E)を得た。MS:m/z 518(M+1)。
【0244】
段階C:
3−[4−(ベンジルオキシ)−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−5−(4−フェニルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール(8−E)(27mg、0.05mmol)を、10%炭素担持パラジウム(4mg)を添加した酢酸エチル/メタノール(1:1、4mL)に溶解した。次いで、この反応物を水素雰囲気中に置き、室温、室内圧力で3時間撹拌した。水素雰囲気を適切に排気した後に、メタノール(40mL)を用いてパラジウムをフィルターによってろ過した。ろ液を収集し、溶媒を減圧除去して、4−[4−メチル−5−(4−フェニルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]−3−(トリフルオロメチル)フェノール(8−F)を得た。MS:m/z 428(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 1.92(6H、m)、2.11(6H、m)、3.41(3H、s)、7.17(2H、m)、7.24(1H、m)、7.31(2H、m)、7.38(3H、m)ppm。
【0245】
(実施例9)
【0246】
【化51】

3−クロロ−4−[5−(4−エチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]フェノール(9−E)
【0247】
【化52】

【0248】
段階A:
4−エチル−1−カルボキシルビシクロ[2.2.2]オクタン(Chapman,N.B.等 J.Org.Chem.、1970、35、917)(45mg、0.26mmol)の1mL脱気DMF撹拌溶液に、メチルアミン(2M THF溶液、1mL、2mmol)、トリエチルアミン(0.075mL、0.53mmol)及びTFFH(70mg、0.26mmol)を添加した。この溶液を室温で1時間撹拌し、次いで酢酸エチル20mLで希釈し、1N HCl水溶液及び塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。褐色油状残渣をフラッシュシリカゲルカラムに充填し、酢酸エチルのへキサン溶液10〜40%勾配で溶出させた。4−エチル−N−メチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキサミド(9−B)を透明無色オイルとして単離した。H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.80(3H、t、J=7.2Hz)、1.18(2H、q、J=7.2Hz)、1.42(6H、m)、1.76(6H、m)、2.81(3H、d、J=6.1Hz)。
【0249】
段階B:
9−B(45mg、0.23mmol)の無水CHCl 0.25mL撹拌溶液に塩化オキサリル(2M CHCl溶液、0.29mL、0.58mmol)及び1滴の無水DMFを添加した。この溶液を室温で2時間撹拌し、濃縮した。黄色残渣を無水トルエンに再溶解させ、5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−2H−テトラゾール(9−C)を添加した。反応混合物を不活性雰囲気中で加熱還流し、さらに1.5時間撹拌した後、室温に冷却した。固体をろ過し、トルエンで洗浄し、次いで塩化メチレンに再溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄した。有機層を脱水し、次いで濃縮した。黄色残渣を、短いフラッシュシリカゲルプラグにかけ、0%〜3%メタノール/塩化メチレン溶液勾配で溶出させて精製した。3−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−5−(4−エチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール(9−D)を白色粉末として単離した。MS(ESI)=360.3(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.82(3H、t、J=7.0Hz)、1.22(2H、q、J=7.0Hz)、1.52(6H、m)、2.10(6H、m)、3.55(3H、s)、3.88(3H、s)、6.92(1H、dd、J=8.4Hz、J=2.8Hz)、7.04(1H、d、J=2.4Hz)、7.41(1H、d、J=8.4Hz)。
【0250】
段階C:
トリアゾール9−D(30mg、0.08mmol)を無水塩化メチレン0.5mLに溶解し、不活性雰囲気中に置き、0℃に冷却した。この溶液に、BBr(1M CHCl溶液、0.25mL、0.25mmol)を添加し、冷却浴をすぐに外した。反応物を2時間撹拌し、次いで塩化メチレン20mLで希釈し、1N NaOH水溶液及び塩水で洗浄した。残渣を逆相HPLCによるクロマトグラフにかけ、0〜100%アセトニトリル水溶液勾配で溶出させた。生成物、3−クロロ−4−[5−(4−エチルビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル]フェノール(9−E)を白色粉末として単離した。MS(ESI)=346.2(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 0.85(3H、t、J=7.5Hz)、1.25(2H、q、J=7.5Hz)、1.55(6H、m)、2.13(6H、m)、3.58(3H、s)、6.68(1H、dd、J=8.4Hz、J=2.6Hz)、6.91(1H、d、J=2.6Hz)、7.10(1H、d、J=8.4Hz)。
【0251】
(実施例10)
【0252】
【化53】

3−{4−[2−(エチルスルホニル)エチル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール(10−6)
【0253】
スキーム10
【0254】
【化54】

【0255】
段階A:
ジエチル(エチルスルホノメタン)ホスホネート(1.12g、4.6mmol)(Popoff,I.C.等 J.Org.Chem.34:1128〜30(1969))及び4−カルボメトキシビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシアルデヒド(10−1)(0.82g、4.2mmol)(Adcock,W.、Kok,G.B. J.Org.Chem.50:1079〜1087(1985))を無水メタノール8mLに溶解した。この混合物を窒素雰囲気中に置き、氷浴中で冷却し、0.5Mナトリウムメトキシドのメタノール溶液(8.8mL、4.4mmol)で処理した。反応混合物を4時間還流させ、次いで室温に冷却し、減圧濃縮し、次いで水2mLで処理し、冷蔵庫に終夜放置した。この混合物をろ過し、固体を少量の1:1冷MeOH/水で洗浄した。得られた白色固体を収集し、減圧乾燥させて不飽和スルホン10−2を得た。MS(ESI)=287(M+1)。
【0256】
段階B:
スルホン10−2(880mg、3.08mmol)を酢酸エチル/メタノール1:2混合物(30mL)に溶解し、窒素雰囲気中に置き、次いで10%Pd/C(800mg)で処理した。反応物を水素雰囲気中に置き、90分間激しく撹拌した。得られた溶液をセライトを通してろ過し、メタノール及び酢酸エチルで洗浄し、乾燥させて、白色固体のメチル4−[2−(エチルスルホニル)エチル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(10−3)を得た。
【0257】
段階C:
エステル10−3(880mg、3mmol)を10%水/メタノール溶液(100mL)に溶解し、水酸化カリウム1gで処理した。反応物を60℃で1時間、次いで45℃で終夜加熱した。この混合物を減圧濃縮し、次いで1M HClでpH2に酸性化し、3分割した塩化メチレンで抽出した。有機層を混合し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮して、4−[2−(エチルスルホニル)エチル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(10−4)を得た。
【0258】
段階D:
カルボン酸10−4(810mg、2.96mmol)を窒素雰囲気中で無水塩化メチレン12mLに溶解し、塩化オキサリル(2M塩化メチレン溶液、4.4mL、8.8mmol)、続いて5滴のDMFで処理した。反応物を窒素雰囲気中、室温で90分間撹拌し、次いで濃縮し、減圧下に20分間置いた。酸塩化物を無水塩化メチレン(12mL)に溶解し、氷浴で冷却し、次いでメチルアミン溶液(2M THF溶液、8.9mL、17.8mmol)で滴下処理した。アミンを添加後、冷却浴を外し、反応物を周囲温度で30分間撹拌した。この混合物を塩化メチレン200mLで希釈し、1N HCl水溶液、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ、0〜3.5%メタノール/塩化メチレン勾配で溶出させて、白色粉末の4−[2−(エチルスルホニル)エチル]−N−メチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキサミド10−5を得た。MS(ESI)=288(M+1)。
【0259】
段階E:
メチルアミド10−5(220mg、0.77mmol)を無水塩化メチレン(2mL)に溶解し、塩化オキサリル(2M塩化メチレン溶液、0.77mL、1.54mmol)及びDMF(2滴)で処理した。この溶液を室温で1時間撹拌し、次いで溶媒を減圧蒸発させて除去した。残渣を無水トルエン(2mL)に再溶解させ、5[2−(トリフルオロメチル)フェニル]1H−テトラゾール(214mg、1mmol)で処理した。混合物を18時間還流させた。反応物を室温に冷却し、クリーム色の沈殿物をろ過し、洗浄して、粗製生成物300mgをHCl塩として得た。この塩を塩化メチレン/1N HClにとり、2分割した追加の塩化メチレンで水層を洗浄した。有機層を混合し、濃縮し、残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによるクロマトグラフにかけた。0〜5%メタノール/塩化メチレン勾配で溶出を実施した。適切な画分を混合し、濃縮して、3−{4−[2−(エチルスルホニル)エチル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール(10−6)の白色粉末を得た。MS(ESI)=456.2(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 1.46(3H、t、J=7.3Hz)、1.63(6H、m)、1.78(2H、m)、2.19(6H、m)、2.96(2H、m)、3.05(2H、q、J=7.2Hz)、3.50(3H、s)、7.56(1H、m)、7.72(2H、m)、7.87(1H、m)ppm。
【0260】
(実施例11)
【0261】
【化55】

3−{4−[3−(エチルスルホニル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール(11−10)
【0262】
スキーム11
【0263】
【化56】


【0264】
段階A:
臭化(ベンジルオキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウム(4.6g、9.4mmol)をトルエンから2回共沸混合させ、次いで無水THF 30mLに懸濁させた。ヘキサメチルジシラジドカリウム(0.5Mトルエン溶液、16.8mL、8.4mmol)を室温で滴下し、黄色溶液を1時間撹拌すると、乳白色になった。4−カルボメトキシビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシアルデヒド(11−1)(0.50g、2.55mmol)(Adcock,W.,Kok,G.B. J.Org.Chem.50:1079〜1087(1985))及び安息香酸(0.015g、0.13mmol)の無水THF 2mL溶液を調製し、室温でシリンジで滴下した。この混合物を90℃に加熱し、還流温度で撹拌し、その後、混合物を酢酸エチル200mLで希釈し、各50mLの1N HCl(2回)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で連続して洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧除去した。残渣をシリカ上でクロマトグラフにかけ、5%〜10%酢酸エチル/へキサン勾配で溶出させて、メチル4−[(1E)−3−(ベンジルオキシ)−3−オキソプロパ−1−エン−1−イル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(11−2)の無色オイルを得た。H NMR(500MHz、CDCl):δ 7.4(5H、m)、6.94(1H、d、J=17Hz)、5.77(1H、d、J=17Hz)、5.21(2H、s)、3.69(3H、s)、1.86(6H、m)、1.63(6H、m)ppm。
【0265】
段階B:
ジエステル11−2(0.625g、1.90mmol)を酢酸エチル/メタノール1:1混合物(30mL)に溶解し、窒素雰囲気中に置き、次いで10%Pd/C(500mg)及び酢酸0.1mLで処理した。反応物を水素雰囲気中に置き、2時間激しく撹拌した。得られた溶液をセライトを通してろ過し、溶媒を減圧除去した。残渣を酢酸エチル200mLと1N NaOH溶液200mLに分配した。水層を分離し、中和し、次いで塩化メチレン50mLで3回抽出した。混合有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧除去して、3−[4−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル]プロパン酸(11−3)を得た。H NMR(500MHz、CDCl):δ 3.62(3H、s)、2.20(2H、ブロード t、J=9Hz)、1.75(6H、m)、1.47(2H、ブロード t、J=9Hz)、1.38(6H、m)ppm。
【0266】
段階C:
カルボン酸11−3(400mg、1.67mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、ボラン(1M THF溶液、2.17mL、1.3当量)を室温で滴下した。2時間後、反応物を1N HCl 50mLに添加し、次いで塩化メチレン50mLで3回抽出した。混合有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧除去して、粗製メチル4−(3−ヒドロキシプロピル)ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(11−4)を得た。これを精製せずに次の段階に使用した。H NMR(500MHz、CDOD):δ 3.66(3H、s)、3.62(2H、t、J=6.5Hz)、1.78(6H、m)、1.50(2H、m)、1.41(2H、m)、1.17(2H、m)ppm。
【0267】
段階D:
ヒドロキシエステル11−4(430mg、1.9mmol)を窒素雰囲気中で無水塩化メチレン2.5mLに溶解し、ピリジン(0.5mL)及び塩化メタンスルホニル(0.368mL、4.8mmol)で処理し、室温で4時間撹拌した。この混合物を酢酸エチル100mLで希釈し、1N HCl水溶液、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。こうして得られた粗製メチル4−{3−[(メチルスルホニル)オキシ]プロピル}ビシクロ−[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(11−5)を精製せずに次の反応に使用した。H NMR(500MHz、CDCl):δ 4.22(2H、t、J=7.5Hz)、3.68(3H、s)、3.04(3H、s)、1.82(6H、m)、1.70(2H、m)、1.44(6H、m)、1.24(2H、m)ppm。
【0268】
段階E:
メシレート11−5(3.30g、10.9mmol)をDMF(20mL)に溶解し、ナトリウムエタンチオラート(1.82g、21.7mmol)で処理した。この溶液を45℃で3時間撹拌し、次いで混合物を酢酸エチル100mLで希釈し1N HCl水溶液、次いで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮してメチル4−[3−(エチルチオ)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(11−6)を粗製オイルとして得た。これを精製せずに次の段階に使用した。H NMR(500MHz、CDCl):δ 3.68ppm(3H、s)、2.56(2H、q、J=7Hz)、2.51(2H、t、J=7.5Hz)、1.80(6H、m)、1.52(2H、m)、1.42(6H、m)、1.28(2H、t、J=7Hz)、1.02(2H、m)。
【0269】
段階F:
スルフィド11−6(3.0g、11mmol)を塩化メチレン(50mL)に溶解し、m−クロロ過安息香酸(75%、6.2g)で処理した。この溶液を室温で2時間撹拌し、次いで混合物を塩化メチレン100mLで希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、次いで亜硫酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回、次いで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回洗浄し、さらに塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮してメチル4−[3−(エチルスルホニル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(11−7)を粗製オイルとして得た。これを精製せずに次の段階に使用した。H NMR(500MHz、CDCl):δ 3.68ppm(3H、s)、2.56(2H、q、J=7Hz)、2.51(2H、t、J=7.5Hz)、1.80(6H、m)、1.52(2H、m)、1.42(6H、m)、1.28(2H、t、J=7Hz)、1.02(2H、m)ppm。
【0270】
段階G:
スルホン11−7(3.1g、10mmol)を9:1 MeOH/水(50mL)に溶解し、水酸化カリウム(3g)で処理した。この溶液を終夜室温で撹拌し、次いで混合物を1N HClで酸性化し、塩化メチレン50mLで4回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮して4−[3−(エチルスルホニル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(11−8)を得た。これを精製せずに次の段階に使用した。H NMR(500MHz、CDCl):δ 3.03(2H、q、J=7Hz)、2.94(2H、dd、J=7.5Hz)、1.84(8H、m)、1.45(8H、m)、1.30(2H、m)ppm。
【0271】
段階H:
カルボン酸11−8(3.0g、11mmol)を窒素雰囲気中で無水塩化メチレン50mLに溶解し、塩化オキサリル(2M塩化メチレン溶液、16.2mL、32.4mmol)、続いて5滴のDMFで処理した。反応物を窒素雰囲気中、室温で90分間撹拌し、次いで濃縮し、減圧下に20分間置いた。酸塩化物を無水塩化メチレン(12mL)に溶解し、氷浴で冷却し、次いでメチルアミン溶液(2M THF溶液、27mL、54mmol)で滴下処理した。メチルアミンを添加後、冷却浴を外し、反応物を周囲温度で30分間撹拌した。この混合物を塩化メチレン200mLで希釈し、1N HCl水溶液、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけ、0〜3%メタノール/酢酸エチル勾配で溶出させて、白色粉末の4−[3−(エチルスルホニル)プロピル]−N−メチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキサミド11−9を得た。MS(ESI)=302(M+1)。
H NMR(500MHz、CDCl):δ 5.56(1H、br s)、3.02(2H、q、J=7Hz)、2.94(2H、dd、J=7.5Hz)、2.82(3H、d、J=4Hz)、1.80(8H、m)、1.45(9H、m)、1,28(2H、m)ppm。
【0272】
段階I:
メチルアミド11−9(0.470g、1.56mmol)を無水塩化メチレン(5mL)に溶解し、塩化オキサリル(2M塩化メチレン溶液、1.56mL、3.12mmol)及びDMF(2滴)で処理した。この溶液を室温で1時間撹拌し、次いで溶媒を減圧蒸発させて除去した。残渣を無水トルエン(7mL)に再溶解させ、5[2−(トリフルオロメチル)フェニル]1H−テトラゾール(368mg、1.72mmol)で処理した。混合物を18時間還流させた。反応物を室温に冷却し、沈殿物をろ過し、洗浄して、粗製生成物300mgをHCl塩として得た。塩を塩化メチレン/1N HClにとり、2分割した追加の塩化メチレンで水層を洗浄した。有機層を混合し、濃縮し、残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによるクロマトグラフにかけた。0〜5%メタノール/塩化メチレン勾配で溶出を実施した。適切な画分を混合し、濃縮して、3−{4−[3−(エチルスルホニル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール(11−10)の白色粉末を得た。MS(ESI)=470.4(M+1)。H NMR(500MHz、CDCl):δ 7.87(1H、m)、7.72(2H、m)、7.56(1H、m)、3.49(3H、s)、3.05(2H、q、J=7.2Hz)、2.96(2H、m)、2.18(6H、m)、1.86(2H、m)、1.62(6H、m)、1.46(3H、t、J=7.3Hz)、1.36(2H、m)ppm。
【0273】
(実施例12)
【0274】
【化57】

4−メチル−3−{4−[4−(メチルスルホニル)フェニル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール(12−G)
【0275】
【化58】

【0276】
段階A:
メチル4−フェニルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート12−A(Chapman,N.B.等 J.Org.Chem.、1970、35、917)(4.80g、19.6mmol)の1,2−ジクロロエタン(2ml、1M)撹拌溶液に、フッ化メタンスルホニル(4.05ml、58.9mmol)、続いて塩化アルミニウム(9.17g、68.8mmol)を添加した。反応混合物を窒素雰囲気中、周囲温度で終夜撹拌し、続いて追加のフッ化メタンスルホニル(4.05ml、58.9mmol)及び塩化アルミニウム(9.17g、68.8mmol)を添加した。得られた混合物を80℃で3時間加熱し、次いで室温に冷却し、ジクロロメタン300ml及び水200mlで希釈した。層を分離させ、水層を各100mlのジクロロメタンで2回洗浄した。有機層を混合し、塩水で洗浄し、脱水(MgSO)し、減圧濃縮した。粗製生成物を順相フラッシュシリカゲルカラムのクロマトグラフにかけ、10〜50%EtOAc/へキサン勾配で溶出させて12−B(純度>95%)1.4gを得た。その材料をEtOAcから再結晶化して化合物12−Bを得た。H NMR(500MHz、CDCl):δ 1.93(6H、m)、1.99(6H、m)、3.08(3H、s)、3.73(3H、s)、7.55(2H、d、J=8.3Hz)、7.90(2H、d、J=8.1Hz)ppm。
【0277】
段階B:
実施例11、段階Gに記載した手順を用いて、エステル12−B(1.1g、3.4mmol)を加水分解して、定量収率でカルボン酸12−Cを調製した。H NMR(500MHz、CDCl):δ 1.98(6H、m)、2.04(6H、m)、3.11(3H、s)、7.58(2H、d、J=7.8Hz)、7.92(2H、d、J=7.9Hz)ppm。
【0278】
段階C:
ヒドラジン(0.124ml、4mmol)、及び実施例9、段階Aと類似の標準カップリング手順を用いて、カルボン酸12−C(0.99g、3.2mmol)をヒドラジド12−Dに転化した。粗製生成物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにかけ0〜2%MeOH/CHCl勾配で溶出させて精製して白色粉末を得た。MS(ESI)=323.2(M+1)。
【0279】
段階D:
12−D(0.67g、2.1mmol)のEtOH(11ml)懸濁液に、アルデヒド12−E(0.36g、2.1mmol)を添加し、混合物を18時間還流させた。溶媒を減圧除去し、固体残渣を塩化チオニル(2.9ml、40mmol)中75℃で2時間加熱し、次いで蒸発乾固させた。この残渣をメチルアミン(2M THF、2ml)及びメチルアミン(40%水溶液、1ml)によって70℃で18時間処理した。揮発分を減圧除去し、その固体をフラッシュシリカゲルカラムのクロマトグラフ(10〜25%アセトン/へキサン勾配)にかけて化合物12−Fを得た。MS(ESI)=492.3(M+1);
H NMR(500MHz、CDCl)(2種類の異性体比3:2):主異性体:δ 2.00(6H、m)、2.14(6H、m)、3.10(3H、s)、3.28(3H、d、J=5.1Hz)、5.71(1H、br.s)、7.47(1H、m)、7.59(3H、m)、7.72(1H、d、J=7.9Hz)、7.92(2H、m)、8.26(1H、d、J=7.9Hz)、8.70(1H、br.s)ppm;副異性体:δ 2.00(6H、m)、2.32(6H、m)、2.98(3H、d、J=4.7Hz)、3.10(3H、s)、4.70(1H、br.s)、7.47(1H、m)、7.59(4H、m)、7.92(2H、m)、8.30(1H、d、J=7.8Hz)、8.56(1H、br.s)ppm。
【0280】
段階E:
12−F(0.58g、1.2mmol)のEtOH(5ml)溶液を40℃に加熱し、次いで塩化第二鉄(0.4g、2.4mmol)の水(1ml)溶液で処理した。得られた混合物を90℃で18時間加熱した。さらに塩化第二鉄(0.4g、2.4mmol)を添加し、反応物を90℃で24時間加熱した。揮発物を減圧除去し、その固体をCHClに再溶解し、EDTA飽和水溶液及び塩水で洗浄し、次いで脱水し(MgSO)、ストリッピングした。粗製生成物を精製し、4−J(実施例4、段階G)の精製について述べた条件を用いて単離して化合物12−Gを得た。
MS(ESI)=490.3(M+1)、H NMR(500MHz、CDCl):δ 2.06(6H、m)、2.31(6H、m)、3.08(3H、s)、3.52(3H、s)、7.52(1H、m)、7.59(2H、d、J=8.4Hz)、7.71(2H、m)、7.86(1H、m)、7.92(2H、d、J=8.6Hz)ppm。
【0281】
(実施例13)
【0282】
【化59】

3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−5−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,2,4−オキサジアゾール(13−F)
【0283】
【化60】

【0284】
段階A:
4−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸13−A(Chapman,N.B.等 J.Org.Chem.、1970、35、917)(4.0g、18.9mmol)を、実施例10、段階C及びDに記載した方法を用いて、メチル4−[(メチルアミノ)カルボニル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート13−Bに転化した。生成物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにかけ0〜5%MeOH/CHCl勾配で溶出させて精製して白色固体を得た。MS(ESI)=226.2(M+1)。
【0285】
段階B:
メチル4−[(メチルアミノ)カルボニル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート13−B(2.76g、12.3mmol)を、実施例10、段階Eに記載した手順を用いて1,2,4−トリアゾール13−Cに転化した。反応混合物からHCl塩として沈殿した生成物をCHClに溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回洗浄し、脱水し(MgSO)、ストリッピングして白色固体を得た。 MS(ESI)=394.2(M+1);
H NMR(500MHz、CDCl):δ 2.00(6H、m)、2.18(6H、m)、3.48(3H、s)、3.72(3H、s)、7.51(1H、m)、7.71(2H、m)、7.85(1H、m)ppm。
【0286】
段階C:
メチルエステル13−C(1.19g、3.0mmol)の5%HO/MeOH(30ml)溶液を窒素雰囲気中、KOH(0.51g、9.0mmol)によって60℃で18時間処理した。得られた混合物を濃縮し、水で希釈し(150ml)、EtOAcで洗浄し、HCl水溶液(1N)でpH=3に酸性化した。沈殿をろ過し、少量の水及びエーテルで洗浄し、減圧乾燥させて、淡紅色の固体(0.87g、76%)を得た。その固体の一部(0.67g、1.77mmol)をCHCl(15ml)に懸濁させ、窒素雰囲気中、カルボニルジイミダゾール(0.57g、3.54mmol)で室温で処理した。2時間後、濃水酸化アンモニウムを添加し(40ml)、反応物を18時間撹拌した。粗製混合物を水(150ml)で希釈し、3分割したCHCl(70ml)で抽出した。有機洗浄分を混合し、塩水で洗浄し、脱水し(NaSO)、ストリッピングして白色粉末の化合物13−Dを得た。MS(ESI)=379.3(M+1)。
【0287】
段階D:
カルボキサミド13−D(0.64g、1.7mmol)及び塩化シアヌール(0.47g、2.53mmol)のDMF(15ml)溶液を窒素雰囲気中、室温で撹拌した。2時間後、DMFを減圧除去し、その固体をCHCl(100ml)に再溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄し、脱水し(NaSO)、ストリッピングして、淡黄色固体のニトリル13−Eを得た。MS(ESI)=361.3(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 2.15(6H、m)、2.22(6H、m)、3.47(3H、s)、7.51(1H、m)、7.72(2H、m)、7.87(1H、m)ppm。
【0288】
段階E:
ニトリル13−E(0.56g、1.6mmol)及びヒドロキシルアミン(50%水溶液、4ml)のエタノール(40ml)溶液を80℃で18時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、減圧濃縮した。その固体をトルエンに懸濁し、溶媒を減圧除去し、その固体を減圧乾燥させた。得られた白色粉末の一部(0.050g、0.13mmol)を、あらかじめ撹拌した4,4,4−トリフルオロ酪酸(0.072g、0.51mmol)及びカルボニルジイミダゾール(0.082g、0.51mmol)のCHCl(3ml)溶液に添加した。得られた混合物を室温で48時間撹拌し、次いで濃縮した。その固体をトルエンに再懸濁させ、窒素雰囲気中で3時間還流させた。粗製生成物を精製し、4−J(実施例4、段階G)の精製について述べた条件を用いて単離して白色粉末13−Fを得た。
MS(ESI)=500.2(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 2.12(6H、m)、2.30(6H、m)、2.73(2H、m)、3.18(2H、m)、3.54(3H、s)、7.61(1H、m)、7.74(2H、m)、7.87(1H、m)ppm。
【0289】
(実施例14)
【0290】
【化61】

3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−5−(3,3,3−トリフルオロエチル)−1,2,4−オキサジアゾール(14−B)
【0291】
【化62】

【0292】
段階A:
実施例13、段階Eに記載した方法を用いて、ニトリル13−E(0.053g、0.14mmol)及び3,3,3−トリフルオロメチルプロピオン酸(0.036ml、0.41mmol)からトリアゾール14−Bを調製した。3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾル−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−5−(3,3,3−トリフルオロエチル)−1,2,4−オキサジアゾール(14−B)を白色粉末として単離した。MS(ESI)=486.2(M+1);H NMR(500MHz、CDCl):δ 2.14(6H、m)、2.31(6H、m)、3.53(3H、s)、3.81(2H、q、J=9.5Hz)、7.57(1H、m)、7.73(2H、m)、7.87(1H、m)ppm。
【0293】
(実施例15)
【0294】
【化63】

4−メチル−3−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(4−{2−[(トリフルオロメチル)スルホニル]エチル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル]−4H−1,2,4−トリアゾール(15−G)
【0295】
【化64】

【0296】
段階A:
0℃の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(9.1g、12.8mmol)のTHF(50ml)撹拌溶液に、ヘキサメチルジシラジドカリウム(0.5Mトルエン溶液、48.6ml)を5分間滴下した。得られた混合物を室温に1時間加温し、次いで再度0℃に冷却し、メチル4−ホルミルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート15−A(Chapman,N.B.等 J.Org.Chem.、1970、35、917)(2.5g、12.8mmol)で処理した。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次いでEtOAc(350ml)で希釈した。有機相をHCl水溶液(1N)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び塩水で洗浄し、次いで脱水し(NaSO)、減圧濃縮した。得られた固体を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、0〜4%EtOAc/へキサン勾配で溶出させて精製した。得られたメチル4−ビニルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート15−Bを無色オイルとして単離した。
【0297】
段階B:
オレフィン15−B(1.6g、8.3mmol)のTHF(20ml)撹拌溶液に9−BBN(0.5M THF溶液、49ml)を滴下した。この溶液を室温で18時間撹拌し、次いでエタノール(14.5ml)、NaOH水溶液(5N、5ml)及び過酸化水素(30%水溶液、9.7ml)で連続処理した。反応混合物をHCl水溶液(1N)でpH=2に酸性化し、CHClで3回抽出した。有機層を混合し、塩水で洗浄し、脱水(NaSO)し、ストリッピングした。得られたアルコール15−Cをシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、30〜50%EtOAc/へキサン勾配で溶出させて精製し、透明無色オイルとして単離した。
【0298】
段階C:
アルコール15−C(1.5g、7.1mmol)のCHCl(7.5ml)、ピリジン(1.5ml)溶液を0℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(1.65ml、21.3mmol)を5分間滴下して処理した。反応混合物を室温に加温し、次いで3時間撹拌した。EtOAc(300ml)を添加し、有機相をHCl(1N)水溶液で3回、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回及び塩水で洗浄した。有機層を脱水し(NaSO)、ストリッピングして、白色固体のメチル4−{2−[(メチルスルホニル)オキシ]エチル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート15−Dを得た。H NMR(500MHz、CDCl):δ 1.52(6H、m)、1.66(2H、t、J=7.1Hz)、1.84(6H、m)、3.04(3H、s)、3.69(3H、s)、4.29(2H、t、J=7.2Hz)ppm。
【0299】
段階D:
15−D(0.25g、0.86mmol)、トリフルオロメタンスルフィン酸カリウム(0.3g、1.72mmol)及びヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.15g、0.4mmol)のDMF(5ml)溶液を窒素雰囲気中140℃で5時間加熱した。次いで、この溶液を室温に冷却し、EtOAc(100ml)で希釈し、HCl水溶液(1N)で2回洗浄し、さらに塩水で洗浄した。有機層を脱水し(NaSO)、ストリッピングし、フラッシュシリカゲルによりクロマトグラフにかけて、5〜20%EtOAc/へキサン勾配で溶出させて精製した。得られたトリフルオロメチルスルホン15−Eを白色固体として単離した。H NMR(500MHz、CDCl):δ 1.50(6H、m)、1.78(2H、m)、1.82(6H、m)、3.17(2H、m)、3.67(3H、s)ppm。
【0300】
段階E:
実施例10、段階C及びDに記載した方法を用いて、メチルエステル15−E(0.035g、0.11mmol)をメチルアミド15−Fに転化した。N−メチル−4−{2−[(トリフルオロメチル)スルホニル]エチル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキサミドを白色固体として単離した;MS(ESI)=328.2(M+1)。
【0301】
段階F:
実施例10、段階Eに概説した手順を用いて、メチルアミド15−F(0.030g、0.092mmol)をトリアゾール15−Gに転化した。4−メチル−3−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(4−{2−[(トリフルオロメチル)スルホニル]エチル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール(15−G)を白色固体として単離した;MS(ESI)=496.4(M+1)。
【0302】
(実施例16〜150)
【0303】
上記手順に類似した手順に従って、式IIの以下の化合物も調製した:
【0304】
【化65】

【0305】
【表4】











【0306】
また、上記手順に類似した手順に従って、式IIIの以下の化合物も調製した:
【0307】
【化66】

【0308】
【表5】

薬剤処方の例
本発明の化合物の経口組成物の具体的な実施態様として、実施例1〜15のいずれか50mgを、十分に粉砕されたラクトースとともに処方して総量580〜590mgとし、サイズ0の硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0309】
本発明をその具体的な実施態様を参照して記述し説明したが、当業者は、様々な変更、改変及び置換が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本明細書においてなされ得ることを理解されたい。例えば、特定の病気の治療を受けるヒトの応答性がばらつく結果、上記好ましい投与量以外の有効投与量を適用できることもある。同様に、観察される薬理学的応答は、選択する具体的な活性化合物、或いは薬剤担体があるかどうか、並びに製剤のタイプ及び使用する投与方法によって、また、それらに応じて変わることがあり、そのような予想される結果の変動又は相違も、本発明の目的及び実施によって企図される。したがって、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、そのような特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【化1】

(式中、
各pは独立に0、1又は2であり、
各nは独立に0、1又は2であり、
Xは、単結合、O、S(O)、NR
【化2】

からなる群から選択され、
は、
アリールカルボニル、
(CH−アリール、及び
(CH−ヘテロアリール
(式中、アリール及びヘテロアリールは置換されておらず、又はRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されている)からなる群から選択され、
は、
水素、
1−8アルキル、
2−6アルケニル、及び
(CH−C3−6シクロアルキル
(式中、アルキル、アルケニル及びシクロアルキルは置換されておらず、又はR及びオキソから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されている)からなる群から選択され、
各Rは、
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシ、
オキソ、
1−3アルキル、及び
1−3アルコキシ
からなる群から独立に選択され、
は、
水素、
1−10アルキル、
2−10アルケニル、
(CH−C3−6シクロアルキル、
(CH−アリール、及び
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル
(式中、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは置換されておらず、又はRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキル、アルケニル及びシクロアルキルは置換されておらず、又はR及びオキソから独立に選択される1〜5個の基で置換されている)からなる群から選択され、
及びRは、
水素、
ホルミル、
1−6アルキル、
(CH−アリール、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH3−7シクロアルキル、
ハロゲン、
OR
(CHN(R
シアノ、
(CHCO
NO
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)
(CHSOOR
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO
O(CHC(O)N(R
CF
CHCF
OCF
OCHCF、及び
OCHCF
(式中、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは置換されておらず、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており、R及びR中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も置換されておらず、又はハロゲン、ヒドロキシ及びC1−4アルキルから独立に選択される1〜2個の基で置換されており、或いは2個の置換基は、同じメチレン(CH)炭素原子上で、それらが結合している炭素原子と一緒にシクロプロピル基を形成する)からなる群から独立に選択され、
各Rは、
1−8アルキル、
(CH−アリール、
(CH−ヘテロアリール、及び
(CH−C3−7シクロアルキル
(式中、アルキル及びシクロアルキルは置換されておらず、又はハロゲン、オキソ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノから独立に選択される1〜5個の置換基で置換されており、アリール及びヘテロアリールは置換されておらず、又はシアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されている)からなる群から独立に選択され、
或いは2個のR基は、それらが結合している原子と一緒に、O、S及びNC1−4アルキルから選択される別のヘテロ原子を場合によっては含んでいてもよい5〜8員環単環構造又は二環構造を形成し、
各Rは水素又はRである)
【請求項2】
がシクロプロピル、C1−3アルキル又はC2−3アルケニルであり、Rが非置換フェニル又は非置換ナフチルであり、或いはRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニル又はナフチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ及びC1−3アルキルスルホニルからなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がメチルであり、Rが水素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Xが単結合であり、
が、非置換フェニル又は非置換ナフチルであり、或いはRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニル又はナフチルであり、
が、シクロプロピル、C1−3アルキル又はC2−3アルケニルであり、
が、非置換C1−6アルキルであり、又はR及びオキソから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているC1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ及びC1−3アルキルスルホニルからなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
がメチルであり、Rが水素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルフィニル、C1−4アルキルスルホニル及び(非置換、又はハロゲン及びトリフルオロメチルから独立に選択される1〜3個の基で置換された)フェニルからなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
がメチルであり、Rが水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
がハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ及びC1−3アルキルスルホニルからなる群から選択され、Rはハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル及び(非置換、又はハロゲン及びトリフルオロメチルから独立に選択される1〜3個の基で置換された)フェニルからなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項11】
がメチルであり、Rが水素である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Xが単結合であり、
が、非置換フェニル又は非置換ナフチルであり、或いはRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニル又はナフチルであり、
がシクロプロピル、C1−3アルキル又はC2−3アルケニルであり、
が、非置換フェニル又は非置換ヘテロアリールであり、或いはRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニル又はヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
がメチルであり、Rが水素である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が非置換フェニルであり、又はRから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
が、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、C1−3アルキルチオ及びC1−3アルキルスルホニルからなる群から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
がメチルであり、Rが水素である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が、非置換オキサジアゾリルであり、又はRから独立に選択される1〜2個の置換基を含むもので置換されているオキサジアゾリルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項18】
が非置換フェニルであり、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びC1−4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されているフェニルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
がメチルであり、Rが水素である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
【化3】

【表1】











からなる群から選択される構造式IIの化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項21】
【化4】

【表2】

からなる群から選択される構造式IIIの化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項22】
【化5】



からなる群から選択される、請求項20に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項23】
【化6】

である、請求項21に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項24】
【化7】

である、請求項22に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項25】
【化8】

である、請求項22に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項26】
【化9】

である、請求項22に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項27】
【化10】

である、請求項22に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項28】
請求項1に記載の化合物と薬剤として許容される担体とを含む薬剤組成物。
【請求項29】
請求項1に記載の化合物の有効量を哺乳動物患者に投与することを含む、治療を必要とする前記患者における高血糖、糖尿病又はインスリン抵抗性を治療する方法。
【請求項30】
請求項1に記載の化合物の抗糖尿病治療有効量を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者におけるインシュリン非依存性糖尿病を治療する方法。
【請求項31】
肥満症を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者における肥満症を治療する方法。
【請求項32】
X症候群を治療するのに有効な量の式1に記載の化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者におけるX症候群を治療する方法。
【請求項33】
異脂肪血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される脂質障害を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者における前記脂質障害を治療する方法。
【請求項34】
アテローム性動脈硬化症を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者におけるアテローム性動脈硬化症を治療する方法。
【請求項35】
(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)すい炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧症、並びにインスリン抵抗性が一構成成分である他の病気及び障害からなる群から選択される病気を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者において前記病気を治療する方法。
【請求項36】
(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)すい炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧症、並びにインスリン抵抗性が一構成成分である他の病気及び障害からなる群から選択される病気の発症を遅延させるのに有効な量の請求項1に記載の化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者において前記病気の発症を遅延させる方法。
【請求項37】
(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)すい炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧症、並びにインスリン抵抗性が一構成成分である他の病気及び障害からなる群から選択される病気を発症するリスクを軽減するのに有効な量の請求項1に記載の化合物を哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者において前記病気を発症するリスクを軽減する方法。
【請求項38】
請求項1に記載の化合物の有効量と、
(a)DP−IV阻害剤、
(b)(i)PPAR作用物質及び(ii)ビグアナイドからなる群から選択されるインスリン増感剤、
(c)インスリン及びインスリン模倣物、
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進物質、
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(f)グルカゴン受容体拮抗物質、
(g)GLP−1、GLP−1模倣物及びGLP−1受容体作用物質、
(h)GIP、GIP模倣物及びGIP受容体作用物質、
(i)PACAP、PACAP模倣物及びPACAP受容体3作用物質、
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(ii)金属イオン封鎖剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びその塩、(iv)PPARα作用物質、(v)PPARα/γ二重作用物質、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、並びに(viii)抗酸化剤からなる群から選択されるコレステロール降下剤、
(k)PPARδ作用物質、
(l)抗肥満化合物、
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症剤、
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、及び
(p)カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタンなどのアンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗物質、レニン阻害剤などのアンジオテンシン系又はレニン系に作用する薬剤を含めた降圧薬
からなる群から選択される化合物の、(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)すい炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)X症候群、(21)高血圧症、並びにインスリン抵抗性が一構成成分である他の病気及び障害からなる群から選択される病気を治療するのに有効な量とを哺乳動物患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする前記患者において、前記病気を治療する方法。
【請求項39】
請求項1に記載の化合物の治療有効量及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を哺乳動物患者に投与することを含む、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び異脂肪血症からなる群から選択される病気を、このような病気の治療を必要とする前記患者において、治療する方法。
【請求項40】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記スタチンが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及びリバスタチンからなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項1に記載の化合物の治療有効量及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を、治療を必要とする哺乳動物患者に投与することを含む、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び異脂肪血症、並びにそのような病気の続発症からなる群から選択される病気を発症するリスクを軽減する方法。
【請求項43】
請求項1に記載の化合物の有効量及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤をヒト患者に投与することを含む、治療を必要とする前記患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させる、又はその発症リスクを軽減する方法。
【請求項44】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記スタチンが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及びリバスタチンからなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記スタチンがシンバスタチンである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
コレステロール吸収阻害剤を投与することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記コレステロール吸収阻害剤はエゼチマイブである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
(1)請求項1に記載の化合物と、
(2)
(a)DP−IV阻害剤、
(b)(i)PPAR作用物質及び(ii)ビグアナイドからなる群から選択されるインスリン増感剤、
(c)インスリン及びインスリン模倣物、
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進物質、
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(f)グルカゴン受容体拮抗物質、
(g)GLP−1、GLP−1模倣物及びGLP−1受容体作用物質、
(h)GIP、GIP模倣物及びGIP受容体作用物質、
(i)PACAP、PACAP模倣物及びPACAP受容体3作用物質、
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(ii)金属イオン封鎖剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)PPARα作用物質、(v)PPARα/γ二重作用物質、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、並びに(viii)抗酸化剤からなる群から選択されるコレステロール降下剤、
(k)PPARδ作用物質、
(l)抗肥満化合物、
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症剤、
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、及び
(p)カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタンなどのアンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗物質、レニン阻害剤などのアンジオテンシン系又はレニン系に作用する薬剤を含めた降圧薬
からなる群から選択される化合物と、
(3)薬剤として許容される担体と
を含む薬剤組成物。

【公表番号】特表2006−513266(P2006−513266A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509981(P2005−509981)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/040127
【国際公開番号】WO2004/058741
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】