説明

ACF貼付装置及び表示装置の製造方法

【課題】挟持チャックに不要ACF部位が付着した状態で可動することにより生じる問題を解決できるACF貼付装置及び表示装置の製造方法の提供。
【解決手段】セパレータにACFを貼付したACFテープと、前記ACFテープを移動させる機構と、前記ACFテープの移動位置を制御するアライメント機構と、前記ACFテープの前記ACFの一部をカットする機構と、前記ACFテープを挟持する挟持チャック機構と、表示パネルが載置可能なパネル受台と、前記ACFテープの前記セパレータに当接可能な加熱/加圧ヘッドとを有し、前記パネル受台に載置された前記表示パネルと、前記加熱/加圧ヘッドとで前記ACFテープを挟みこんで加熱して、前記ACFを前記表示パネルに転移させるACF貼付装置において、前記ACFテープを前記挟持チャック機構で挟持する前に、前記ACFの一部の粘着性を変化させる手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルに異方性導電フィルムテープ(以下、ACF(Anisotropic Conductive Film)テープと略す。)を貼り付ける装置及びそれを用いた表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のACF貼付装置は、図9より、ACF供給リール101と、セパレータ回収リール104と、ハーフカット機構105と、剥離ローラー107と、挟持チャック109と、液晶パネル受台113と、加熱/加圧ヘッド114にて構成される。
【0003】
この従来のACF貼付装置を用いた貼り付け動作について、図9を参照して説明する。
【0004】
まず、「動作1」より、液晶パネルに貼り付けない不要となる不要ACF部位197と液晶パネルに貼り付けるパネル貼付ACF部位198との境界に、ハーフカット機構105のカッター106にて切込みを2箇所入れる。
【0005】
「動作2」より、前記切り込みが入ったACF102の位置に対して、セパレータ103側に設けられたテープ受台120が下降し、セパレータ103と接触する。次に、剥離ローラー107が上昇し、粘着テープ供給リール121と粘着テープ回収リール122間に設けられた粘着テープ108をACF102に接触させ、剥離ローラー107を回転させることで、粘着テープ108の粘着力にて、切り込まれた不要ACF部位197のみセパレータ103から除去(剥離)する。
【0006】
「動作3」より、前記不要ACF部位197を除去した位置へ、挟持チャック109が移動する。挟持チャック109は、上チャック110と下チャック111にて構成され、前記不要ACF部位197を除去した位置を上チャック110と下チャック111の上下動作にて挟み保持する。そして、前記不要ACF部位197を除去した位置を挟持した状態で、挟持チャック109が、液晶パネル受台113上にある液晶パネル112の貼り付け位置まで任意に移動する。
【0007】
「動作4」より、パネル貼付ACF部位198が液晶パネル112の貼り付け位置まで移動後、液晶パネル112に対して上部に設けてある加熱/加圧ヘッド114が下降し、パネル貼付ACF部位198へ接触して熱が伝導することにより、液晶パネル112への熱圧着が行なわれる。熱圧着後、加熱/加圧ヘッド114が上昇する。セパレータ103は、セパレータ回収リール104で回収される。
【0008】
このような従来の構成及び動作に関して、下記特許文献1には、同様に不要ACF部を粘着テープにて除去する技術が記載されている。
【0009】
また、下記特許文献2には、ACFをチャックにて導出し、チャック爪(下)にACFの貼着を防止する構造が開示されている。
【0010】
本公報によれば、ACF部位をチャックで挟持した際に、ACFがチャック爪(下)に貼着しやすく、そのためACFのピックアップミスが生じるという問題に対し、チャック爪(下)にガス吹き付け手段を設け、貼着したACFへチャック(下)のガス吹き付け手段にてガスを吹き出すことにより、このチャック爪(下)とACFとを確実に分離できると記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開平6−6019号公報
【特許文献2】特開平9−6251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のACF貼付装置には以下に示す問題があった。
【0013】
1)従来例のACF貼付装置は、挟持チャック109にてACFテープ199を挟持する際に、粘着性のある不要ACF部位197を事前に除去する必要があり、粘着テープ108を不要ACF部位197に接触させ、粘着テープ108の粘着力にて剥離除去を行っているが、完全に除去が行なえず、ACFテープ199に不要ACF部位197の一部が残っている。その状態で、挟持チャック109が挟持動作すると、ACFテープ199に残った不要ACF部位197が下チャック111に付着する。
【0014】
そして、図9の「不具合」に示すように、前記下チャック111に不要ACF部位197の一部に付着した状態で挟持チャック109が開放動作すると、ACFテープ199が引っ張られ、挟持チャック109の駆動軸に過負荷が掛かり、駆動軸過負荷異常として装置が非常停止し、結果として設備の稼働率低下が発生する。
【0015】
2)従来のACF貼付装置の第2の欠点として、前記1)の動作にて、ACFテープ199に残った不要ACF部位197が下チャック111に付着し、前記下チャック111に不要ACF部位197の一部に付着した状態で挟持チャック109が開放動作することで、ACFテープ199が引っ張られ、本来セパレータ103上に残るべきであるパネル貼付ACF部位198も挟持チャック109から引っ張られて剥がれてしまい、液晶パネル112の正規位置に貼り付けられず、その結果、ACF貼付不良の製品不良が発生してしまう。また、前記引き剥がされたパネル貼付ACF部位198が挟持チャック109及びその周辺機器に貼り付くと、1)に記載したような問題が発生する。
【0016】
3)従来のACF貼付装置の第3の欠点として、前記1)の動作にて、ACFテープ199に残った不要ACF部位197が下チャック111に付着し、前記下チャック111に不要ACF部位197の一部に付着した状態で挟持チャック109が開放動作することで、ACFテープ199が引っ張られ、本来セパレータ103上に残るべきであるパネル貼付ACF部位198も挟持チャック109から引っ張られる張力にて剥がれてしまう。
【0017】
前記剥がれたパネル貼付ACF部位198のACF屑が装置の機器に貼り付いた場合は前記2)に記載したような問題が発生するが、液晶パネル112の表示領域箇所に貼り付いた場合は、後々の工程を経て液晶表示装置となって点灯表示させた場合に、ACF屑の付着した箇所が正常に表示できずに、製品不良(表示不良)品となってしまう。前記表示不良となった液晶表示装置は、解体し液晶パネル上に付着したACF屑を取り除く修理作業をすることで良品とすることが可能であるが、修理作業に要す工数及び歩留りへ影響する問題がある。
【0018】
4)特許文献2(特開平9−6251号公報)の欠点として、ACFテープをチャックにて導出する場合、ACFテープが滑らずに引き出されるように、充分な噛み込みが必要となる。前記のチャックでACFテープを充分に噛み込んだ状態では、ACF部位の粘着力のため、分離しにくい場合もあり、ガス吹き出しのみではチャックからACF部位を剥離しがたいという問題点を回避できない。また、ガス吹き出しでチャックからACF部位が剥離できる程度にチャックの噛み込み量を減らして調整した場合は、今度はACFテープが滑りやすくなり、最適な噛み込み量を毎回見いだす必要があり、ACFテープごとのばらつき調整が必要になるという問題点を回避できない。ゆえに特許文献2のACF貼着装置および貼着方法では、ACFテープを滑りにくくすることと、剥離しやすくすることの双方を両立させる噛み込み量をACFテープの粘着力のばらつきに対して、毎回調整する必要がある。
【0019】
本発明は、上記問題点を解決することができるACF貼付装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明は、セパレータにACFを貼付したACFテープと、前記ACFテープを移動させる機構と、前記ACFテープの移動位置を制御するアライメント機構と、前記ACFテープの前記ACFの一部をカットする機構と、前記ACFテープを挟持する挟持チャック機構と、表示パネルが載置可能なパネル受台と、前記ACFテープの前記セパレータに当接可能な加熱/加圧ヘッドと、を有し、前記パネル受台に載置された前記表示パネルと、前記加熱/加圧ヘッドとで前記ACFテープを挟みこんで加熱して、前記ACFを前記表示パネルに転移させるACF貼付装置において、前記ACFテープを前記挟持チャック機構で挟持する前に、前記ACFの一部の粘着性を変化させる手段を備えるものである。
【0021】
また、本発明は、表示パネル上にACFを貼付する表示装置の製造方法において、セパレータにACFを貼付したACFテープの前記ACFの一部をカットする工程と、前記ACFテープを挟持チャックで挟持して移動する工程と、前記ACFテープを加熱、加圧して、前記ACFを前記表示パネルに貼付する工程と、を含み、さらに前記ACFテープを前記挟持チャックで挟持する前に、挟持する部分の前記ACFが挟持チャックに貼り付かないように前記ACFの一部の粘着性を変化させる工程を有するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明のACF貼付装置及び表示装置の製造方法によれば、挟持チャックに不要ACF部位が付着した状態で可動することにより生じていた、装置停止(異常停止)等のトラブルによる工程停止時間の増加、ACF貼付不良やACF屑による歩留りの低下を防止でき、副資材費用(粘着テープ代)や工数を削減できる。
【0023】
その理由は、不要ACF部位を予備加熱し熱硬化させることで粘着性を低下させ、若しくは、不要ACF部位にテープを貼り付け挟持チャックに直接接触しないようにすることにより、その後の挟持チャックで不要ACF部位を挟持しても、不要ACF部位が挟持チャックに貼り付くことが無く、必ずしも粘着テープを使用して不要ACF部位を除去する必要がなくなるからである。
【0024】
また、本発明のACF貼付装置及び表示装置の製造方法によれば、液晶パネルに対して位置精度と品質の良いACF貼付を行うこともできる。
【0025】
その理由は、不要ACF部位を予備加熱し、必要に応じて不要ACF部位に隣接したパネル貼付ACF部位を冷却することで、不要ACF部位とパネル貼付ACF部位を分離しやすくし、境界面から分断したパネル貼付ACF部位の端面形状をきれいにすることできるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
背景技術で示したように、ACFの貼り付けの位置出しを行う際に、粘着性を有するACFをカッターで切断し、表示装置に貼付されない不要ACF部位を除去することになるが、従来の方法では不要ACF部位の除去が不完全であり、不要ACF部位が挟持チャックに貼り付いてしまうため、様々な問題が生じていた。
【0027】
そこで、本発明では、不要ACF部位がチャックに貼り付かないような手段を講じて上記問題を解決する。
【0028】
例えば、表示装置に貼付されない不要ACF部位をチャックで挟持する前に事前加熱して硬化させ、不要ACF部位の粘着性を無くす。この事後処理により、従来のように表示装置に貼付されない不要ACF部位を除去する必要が無くなる。また、前記不要ACF部位を加熱する事前加熱機構の周辺に冷却機構を設ける。これにより、不要ACF部位以外のACFが加熱され硬化されることを抑制する。
【0029】
また、他の方法として、表示装置に貼付されない不要ACF部位をチャックで挟持する前にテープを貼り付け、不要ACF部位と挟持チャックが直接接触しないようにする。これにより、挟持チャックに不要ACF部位が貼り付くことが無く、従来のように表示装置に貼付されない不要ACF部位を除去する必要が無くなる。その際、前記テープを貼り付ける機構とハーフカット機構とを組み合わせ、一体化し、テープを貼り付ける機構を挟持チャックに設けることで作業効率を向上させる。
【実施例1】
【0030】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例について、図1及び図2を参照して説明する。
【0031】
本実施例のACF貼付装置は、図1に示すように、少なくとも、ACF供給リール1と、セパレータ回収リール4と、ハーフカット機構5と、事前加熱機構65と、挟持チャック66と、加熱/加圧ヘッド60と、液晶パネル受台62にて構成される。また、ACFテープ99は、通常、ACF2とセパレータ3と呼ばれるカバーフィルムの2層構造で構成されている。
【0032】
以下、実施例のACF貼付装置の動作について説明する。
【0033】
「動作1」より、先ず、熱硬化性が付与されACF2とセパレータ3とを一体化したACFテープ99をハーフカット機構5のカッター6によってハーフカットする。
【0034】
ハーフカットはACF2側からカッター6を当接させることで実施し、その切り込み量(深さ)は少なくともセパレータ3を切断しない程度とする。セパレータ3はACF供給リール1とセパレータ回収リール4とで保持されテンションがかかっている。そのため、ハーフカットの深さは、ACF2は切断するが、セパレータ3は傷つけない程度とするのが良い。
【0035】
なお、当該ACFカット位置は、後に液晶パネルに貼付するACF部位(以下、パネル貼付ACF部位98と呼ぶ。)と貼付しない部位(以下、不要ACF部位97と呼ぶ。)との境界である。
【0036】
次に、「動作2」が実施される前に、図示しない以下の処理が施される。
【0037】
ACF供給リール1とセパレータ回収リール4とで保持されるACFテープ99は、前記両リールを回転させることで事前加熱処理位置まで移動する。その停止位置は不要ACF部位97と事前加熱機構65とが一致する場所とする。
【0038】
不要ACF部位97と事前加熱機構65とのアライメントは、例えば光学カメラを用いた公知の光学的なアライメント方法であっても、ACF供給リール1またはセパレータ回収リール4の回転量をステッピングモーター等で制御する機械的アライメント方法であっても良く、一般的なアライメント方法を採用できる。
【0039】
「動作2」より、前記「動作1」でハーフカットされたACFテープ99の不要ACF部位97を事前加熱機構65によって加熱処理する。
【0040】
この目的はACFの粘着性(タック性)を低下させることであり、ACFを加熱する温度および時間を設定すれば目的を達成できる。例えば、一般的に液晶表示装置に使用されるアクリル系熱硬化型樹脂材からなるACFでは、150℃で30秒程度加熱すればACF材料が硬化し、硬化によってACFの粘着性は顕著に低下する。
【0041】
なお、ここでの硬化は粘着性を低下させることを目的としているため、表示パネル等に貼付する部位のように電気特性や信頼性を確保するほどの硬化は必ずしも必要としない。よって、「動作3」で説明するように下チャック68に当接し挟持された不要ACF部位97が、下チャック68から容易に剥離できる程度の加熱でよい。ゆえに、表示パネル等に貼付する部位の加熱よりも、加熱温度は低く、時間は短く設定することが可能である。また、加熱は加熱体等による接触方式であっても、ホットブロー等による非接触方法であってもかまわない。本実施例ではホットブローによる場合を例示している。
【0042】
接触方式による加熱においては、ACFテープ99のセパレータ3側からこれを接触させて不要ACF部位97を事前加熱するのが良い。その理由は、不要ACF部位97に加熱体を接触して、加熱体に不要ACF部位97が付着しないようにするためである。また、接触方式の加熱体は、常時一定温度に維持され加熱されている恒温ヒータであっても良いし、通常は常温で必要な時に加熱されるパルス方式のヒータであっても良い。
【0043】
「動作3」より、挟持チャック66で、加熱によって硬化し粘着性が低下した不要ACF部位97のACFテープ99を挟み込んで挟持する。挟持チャック66は上チャック67と下チャック68からなり、これらチャックの間隔を狭めることで不要ACF部位97を挟持する。
【0044】
不要ACF部位97のACFテープ99を挟み込んだ挟持チャック66は、挟持状態を保持したまま、液晶パネル61とパネル貼付ACF部位98とが当接可能な位置(貼付位置)まで移動する。このときACF供給リール1はACFテープ99を送り出し、セパレータ回収リール4はこれを引き込むように同期した動作をしてACFテープ99を引き出す。
【0045】
本実施例では、不要ACF部位97と予備加熱して粘着性を低下させた部位範囲を一致させ、さらに、不要ACF部位97の全範囲を挟持チャック66で挟持する例を示している。しかしながら、本実施例のように、不要ACF部位97の全範囲を予備加熱することは必ずしも必要でなく、さらには予備加熱した全範囲を挟持する必要もない。
【0046】
すなわち、挟持チャック66と加熱によって硬化し粘着性が低下した不要ACF部位97とが当接し、ACFテープ99を引き出す際に、該テープと挟持チャック66とがすべって挟持チャック66とACFテープ99との相対位置が変化しない量を硬化して保持すれば良い。
【0047】
前記動作によって、液晶パネル61とACFテープ99のパネル貼付ACF部位98とは、貼付位置にアライメントされているが、クリアランス(間隔)がある。
【0048】
「動作4」より、液晶パネル61の上部に設置される加熱/加圧ヘッド60が下降して、ACFテープ99のパネル貼付ACF部位98と当接し、さらにこれが下降することでACFテープ99のパネル貼付ACF部位98を、加熱/加圧ヘッド60と液晶パネル61とで挟み込む。
【0049】
挟み込まれたパネル貼付ACF部位98は、セパレ−タ3を通じて加熱/加圧ヘッド60から供給される熱が伝達され硬化する。ここでの硬化は、セパレータからパネル貼付ACF部位98を剥がす際に、液晶表示パネル側にパネル貼付ACF部位98が残り、セパレータ側に残らない程度に実施すればよい。すなわち、パネル貼付ACF部位98が部分的にセパレータに残ったり、パネル貼付ACF部位98がACF樹脂層内で分断されてセパレータに残ったりしない程度とするのが良い。
【0050】
さらに、パネル貼付ACF部位98は、セパレータをはがした後に、TCP(Tape Carrier Package)等の回路部品が配置されるため、加熱後も粘着性を保持する程度の加熱量に設定する必要がある。その加熱時間および加熱温度は、例えば、一般的に液晶表示装置に使用されるアクリル系熱硬化型樹脂材からなるACFでは、60℃で5秒程度加熱すればよい。
【0051】
なお、ここでの動作説明では、加熱/加圧ヘッド60が下降して、加熱/加圧ヘッド60と液晶パネル61とでACFテープ99を挟み込む例を示したが、液晶パネル61を保持する液晶パネル受台62を上昇させても良いし、加熱/加圧ヘッド60を下降させ、液晶パネル受台62を上昇させる動作を併用しても良い。ここでは、パネル貼付ACF部位98と液晶パネル61とが接し、加熱/加圧ヘッド60の熱がパネル貼付ACF部位98に伝達されれば良く、加熱/加圧ヘッド60および液晶パネル受台62の動作は限定されない。
【0052】
「動作5」より、液晶パネル61に貼り付けたパネル貼付ACF部位98上にTCP80を実装する。そして、TCP80の上部から加熱/加圧ヘッド70を下降させ、TCP80と当接させてACFを加熱して硬化させる。
【0053】
ここでの硬化では、液晶表示装置の電気特性や信頼性を確保する程度まで硬化する必要がある。その加熱時間および加熱温度は、例えば、一般的に液晶表示装置に使用されるアクリル系熱硬化型樹脂材からなるACFでは、180℃で30秒程度加熱すればよい。また、ここでは、液晶パネル61にTCP80を貼付する例を示したが、必ずしもTCP80である必要は無く、COG(Chip On Glass)やFPC(Flexible Printed Circuit)などでもよい。
【0054】
そして、図2に示すように、TCP80が接続された液晶パネルは、回路基板82、バックライト84、回路基板保護カバー86、シャーシ(シールドフロント)88等を配置することによって液晶表示装置90となる。
【0055】
以下、本実施例の効果について説明する。
【0056】
「第1の効果」
従来、不要ACF部位は、その残留した一部の粘着性にて挟持チャックに貼り付き、その状態で可動しようとすることによりACF貼付装置の装置停止、しいては装置稼働率低下が生じていた。この問題に対し、本実施例では、不要ACF部位97と予備加熱して粘着性が低下させた部位範囲を一致させ、さらに、不要ACF部位97の全範囲を挟持チャック66で挟持する例を示した。こうすることで、挟持チャック66の下チャック68に不要ACF部位97が付着することは無い。よって、挟持チャック66に不要ACF部位97が付着した状態で可動することにより生じていたACFテープ99の絡まりなどの不具合による装置停止(異常停止)のトラブルを発生させない。なお、不要ACF部位97の全範囲を予備加熱することはなく、さらには予備加熱した全範囲を挟持する必要もない。ここでは、挟持チャック66と加熱によって硬化し粘着性が低下した不要ACF部位97とが当接し、ACFテープ99がすべり等の影響で挟持チャック66とACFテープ99との相対位置が変化しない量だけ挟持すれば良い。
【0057】
「第2の効果」
従来、挟持チャックに不要ACF部位が貼り付き、その状態で挟持チャックが可動することでACFテープが引っ張られ、しいてはパネルへ貼り付けるACF部位がちぎれることによりACF貼付不良が生じていた。この問題に対し、前記装置の異常発生を防止したため、装置異常時の2次災害であった挟持チャック66とACFテープ99が絡まり、その状態で挟持チャック66が可動することで、ACFテープ99が引っ張られ、結果ACFテープ99が引きちぎれることになり発生していたACF貼付位置不良及びACF貼付長さ不良の発生を防止できる。
【0058】
「第3の効果」
従来、ACFテープを挟持チャックで挟持する際、不要ACF部位を事前に除去する必要があり、除去する手法として密着性が高い粘着テープを副資材として用いその粘着力にて除去していた。この問題に対し、本実施例の不要ACF部位97を予備加熱して粘着性が低下させる方法であれば、粘着テープを用いて除去する必要が無く、結果、副資材費用(粘着テープ代)を削減できる。
【0059】
「第4の効果」
従来、ACFテープの不要ACF部位とパネル貼付ACF部位との境界面をカッターで切り込みを入れ、その後に不要ACF部位を粘着テープの粘着力にて除去する方法を行っていたが、パネル貼付ACF部位の端面形状は、切り込み部の一部が引きちぎれてギザギザの粗い形状となり、その後液晶パネルに貼り付けると、液晶パネル端子部の一部を覆うことができないことによるACF貼付不良が発生していた。この問題に対し、不要ACF部位を予備加熱することで、不要ACF部位とパネル貼付部位を分離しやすくし、境界面から分断したパネル貼付ACF部位の端面形状を平滑にすることができる。よって従来生じていたACF貼付不良の問題を解消し、液晶パネルへ貼り付けるACFの貼付精度、形状、品質を向上することができる。
【実施例2】
【0060】
次に、本発明の第2の実施例について、図3を参照して説明する。
【0061】
本実施例のACF貼付装置の基本構成は実施例1と同様であるが、図3の「動作2」に示すように、不要ACF部位97に隣接するパネル貼付ACF部位98の硬化を抑制するために、冷却機構69を設置している点が実施例1と異なる。以下に、相違点について説明する。
【0062】
本実施例では、事前加熱機構65のホットブローがオンする前に、冷却機構69を下降させることでパネル貼付ACF部位98のセパレータ3と冷却機構69とが接触するようにしている。こうすることで、パネル貼付ACF部位98の加熱を抑制することができる。
【0063】
不要ACF部位97を硬化させた後に、事前加熱機構65をオフし温風の吹き付けを停止させ、さらに冷却機構69が上昇する。このような一連の動作よって不要ACF部位97は硬化し、パネル貼付ACF部位98は硬化が抑制される。
【0064】
このように、本実施例によれば、不要ACF部位97に隣接するパネル貼付ACF部位98に対して冷却機構69を設置し、不要ACF部位97熱硬化させる際、冷却作用によるパネル貼付ACF部位98の硬化を抑制したので、実施例1の効果に加えて、パネル貼付ACF部位98に対しては粘着性(の品質)を維持しながら、不要ACF部位97を確実に硬化できるという効果がある。
【0065】
なお、本実施例では非接触式の事前加熱機構としてホットブロー式を例に示したが、実施例1と同様に、レーザーであってもよいし、その他の様々な加熱手段の方法/方式を用いても構わない。
【実施例3】
【0066】
次に、本発明の第3の実施例について、図4を参照して説明する。
【0067】
本実施例は、図4の「動作2」に示すように、不要ACF部位97に隣接するパネル貼付ACF部位98の硬化を抑制するために冷却機構69を設置している点は実施例2と同様であるが、事前加熱機構64が非接触方式であるホットブローから接触式の加熱体に変更されていることと、挟持チャック66でACFテープ99を挟持する前に不要ACF部位97をテープ回収機構57によって取り除いている点が異なる。
【0068】
以下に、相違点について説明する。
【0069】
図4の「動作2」に示すようにACFテープ99の不要ACF部位97と事前加熱機構64とを一致させた後に、事前加熱機構64が不要ACF部位97に向かって上昇する。このとき、テープ供給機構56とテープ回収機構57に連動し、事前加熱機構64とACFテープ99との間に位置するテープ55も事前加熱機構64に支持されながら上昇する。その際、テープ55にテンションがかかるのでテープ55が切断しないように、テープ回収機構57とテープ供給機構56とでテンションを調整することが望ましい。
【0070】
そして、事前加熱機構64と不要ACF部位97とがテープ55を介在して当接する。当接によって、事前加熱機構64の熱が不要ACF部位97に伝導する。その際、熱の伝導を確実にするために、事前加熱機構64に対向するようにセパレータ3側にテープ受台58を配置して、不要ACF部位97を挟みこむようにして当接させると良い。
【0071】
このときの加熱条件は、不要ACF部位97のACFがセパレータ3から剥離しテープ55に転移する温度と時間とするのが良い。その加熱時間および加熱温度は、例えば、一般的に液晶表示装置に使用されるアクリル系熱硬化型樹脂材からなるACFでは、150℃で30秒程度加熱すればよい。
【0072】
さらに、不要ACF部位97のACF2がセパレータ3から剥離しテープ55に転移させるためには、事前加熱後のACF2との密着力がセパレータ3よりもテープ55が高くなるように設定すればよい。高く設定することで、不要ACF部位97のACF2がセパレータ3に残存することを回避できる。そのためには、ACF2に接するセパレータ3とテープ55の材料や材質を選定すればよい。例えば、セパレータ3の表面をPTFE(ポリテトラフルオロエチン)やPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂とし、テープ55はセルロース樹脂として材料を選定しても良いし、セパレータ3とテープ55を同一のセルロース樹脂材料としながらもテープ55側にのみアクリル材料からなる接着層を配置するように材料を選定しても良いし、セパレータ3とテープ55を同一材料としながらもテープ55の表面粗さが、セパレータ3のそれよりも粗くした材質を選定してもよい。
【0073】
事前加熱が終了した後に、事前加熱機構64は下降を開始する。そして、事前加熱機構64の下降と共に、テープ回収機構57を回転して、テープ55をこれに引き込むようにする。引き込みによって、不要ACF部位97はセパレータ3からテープ55へ転移する。この転移によってACFテープ99は、不要部ACF部位97が無くなり、セパレータ3のみとなる。そのため、後続する「動作3」では、挟持チャック66はセパレータ3のみを挟持することとなる。
【0074】
このように、本実施例によれば、不要ACF部位97に対して接触式の事前加熱機構64を配置し、不要ACF部位97と事前加熱機構64との間にテープ55を介在し、更にテープ55はテープ供給機構56とテープ回収機構57にて供給/回収される構成とする。更にテープ55の材質をセパレータ3よりも、不要ACF部位97が転写されやすい材質または表面粗さとすることで、不要ACF部位97をACFテープ99から確実に分離・除去でき、後続動作である挟持チャック66で挟持する際に挟持不具合を起こさず、パネル貼付ACF部位98を液晶パネル61へ精度良く且つ信頼性が高い貼り付けができるという効果がある。
【実施例4】
【0075】
次に、本発明の第4の実施例について、図5を参照して説明する。
【0076】
本実施例のACF貼付装置は、図5に示すように、少なくとも、ACF供給リール1と、セパレータ回収リール4と、ハーフカット機構5と、テープ貼付機構41と、挟持チャック66と、加熱/加圧ヘッド60と、液晶パネル受台62にて構成される。また、ACFテープは、ACF2とセパレータ3と呼ばれるカバーフィルムの2層構造で構成されている。
【0077】
「動作1」より、先ず、熱硬化性が付与されACF2とセパレータ3とを一体化したACFテープ99をハーフカット機構5のカッター6によってハーフカットする。
【0078】
ハーフカットはACF2側からカッター6を当接させることで実施し、その切り込み量(深さ)は少なくともセパレータ3を切断しない程度とする。セパレータ3はACF供給リール1とセパレータ回収リール4とで保持されテンションがかかっている。そのため、ハーフカットの深さは、ACF2は切断するが、セパレータ3は傷つけない程度とするのが良い。なお、当該ACFカット位置は、後に液晶パネルに貼付するパネル貼付ACF部位98と貼付しない不要ACF部位97との境界である。
【0079】
次に、「動作2」が実施される前に、図示しない以下の処理が施される。
【0080】
ACF供給リール1とセパレータ回収リール4とで保持されるACFテープ99は、前記両リールを回転させることでテープ貼付位置まで移動する。その停止位置は不要ACF部位97とテープ貼付機構41とが一致する場所とする。
【0081】
不要ACF部位97とテープ貼付機構41とのアライメントは、例えば光学カメラを用いた公知の光学的なアライメント方法であっても、ACF供給リール1またはセパレータ回収リール4の回転量をステッピングモーター等で制御する機械的アライメント方法であっても良く一般的なアライメント方法を採用できる。
【0082】
「動作2」より、前記「動作1」でハーフカットされたACFテープ99の不要ACF部位97にテープ42を設けたテープ貼付機構41とテープ受台43が上下に動作し、テープ42の貼り付け処理する。
【0083】
この目的は、動作3でACFテープ99を挟持チャック66にて挟持動作が必要となり、その際ACFの粘着性(タック性)にて挟持チャック66にACFが付着しないように、ACFと挟持チャック66間に保護膜としてテープ42を設けることである。
【0084】
なお、ここで用いるテープ42は、不要ACF部位97の全範囲のサイズにして貼り付けても良いし、不要ACF部位97を挟持する挟持チャック66のサイズ分とすることでも可能である。
【0085】
また、不要ACF部位97に対して、テープ42を貼り付ける方法は、テープ42を載せたテープ貼付機構41のみが上昇し、不要ACF部位97に接触させて貼り付けでも良いし、テープ42に対して不要ACF部位97の対向面(この図の場合は上部)に設けられたテープ受台43が下降し、ACFテープ99を押しながらテープ42に接触させて貼り付けでも良いし、更にテープ貼付機構41が上昇、テープ受台43が下降しての挟み込み状態の動作であっても構わない。本実施例ではテープ貼付機構41が上昇、テープ受台43が下降しての挟み込み状態の動作を例示している。
【0086】
「動作3」より、前記テープ42が貼られた不要ACF部位97の位置へ、挟持チャック66が移動する。
【0087】
挟持チャック66は、上チャック67と、下チャック68からなり、これらチャックの間隔を狭めることで不要ACF部位97を挟持する。不要ACF部位97を含むACFテープ99を挟み込んだ挟持チャック66は、挟持状態を保持したまま、液晶パネル61とパネル貼付ACF部位98とが当接可能な位置(貼付位置)まで移動する。
【0088】
このときACF供給リール1はACFテープ99を送り出し、セパレータ回収リール4はこれを引き込むように同期した動作をしてACFテープ99を引き出す。
【0089】
なお、本実施例では、不要ACF部位97とテープ42との範囲を一致させ、さらに、不要ACF部位97の全範囲を挟持チャック66で挟持する例を示しているが、不要ACF部位97の全範囲にテープ42を貼り付けることは必ずしも必要でなく、さらにはテープ42を貼り付けた全範囲を挟持する必要もない。
【0090】
すなわち、挟持チャック66とテープ42を貼り付けた不要ACF部位97とが当接し、ACFテープ99を引き出す際に、ACFテープ99と挟持チャック66とがすべって挟持チャック66とACFテープ99との相対位置が変化しない量のテープ42を貼り付けて保持すれば良い。
【0091】
また、挟持チャック66の上チャック67と下チャック68の構造は、通常平坦であるが、挟持対象である前記テープ42を貼り付けた不要ACF部位97とセパレータ3に対して、凹凸形状とすることで、精度良く挟持することが可能である。
【0092】
また、不要ACF部位97に貼り付けるテープ42は、粘着性を必要とせず、市販品の紙テープを用いることが可能であるが、テープ表面が粗い形状を選定することで、不要ACF部位97を挟持する際に、精度良く挟持することが可能である。
【0093】
前記動作によって、液晶パネル61とACFテープ99のパネル貼付ACF部位98とは、貼付位置にアライメントされているが、上下方向にクリアランス(間隔)がある。
【0094】
「動作4」より、液晶パネル61の上部に設置される加熱/加圧ヘッド60が下降して、ACFテープ99のパネル貼付ACF部位98と当接し、さらにこれが下降することでACFテープ99のパネル貼付ACF部位98を、加熱/加圧ヘッド60と液晶パネル61とで挟み込む。
【0095】
挟み込まれたパネル貼付ACF部位98は、セパレ−タ3を通じて加熱/加圧ヘッド60から供給される熱が伝達され硬化する。ここでの熱硬化は、セパレータからパネル貼付ACF部位98を剥がす際に、液晶表示パネル側にパネル貼付ACF部位98が残り、セパレータ側に残らない程度に実施すればよい。すなわち、パネル貼付ACF部位98が部分的にセパレータに残ったり、パネル貼付ACF部位98がACF樹脂層内で分断されてセパレータに残らない程度とするのが良い。
【0096】
さらに、パネル貼付ACF部位98は、セパレータをはがした後に、TCP等の回路部品が配置されるため、加熱後も粘着性を保持する程度の加熱量に設定する必要がある。その加熱時間および加熱温度は、例えば、一般的に液晶表示装置に使用されるアクリル系熱硬化型樹脂材からなるACFでは、60℃で5秒程度加熱すればよい。
【0097】
なお、ここでの動作説明では、加熱/加圧ヘッド60が下降して、加熱/加圧ヘッド60と液晶パネル61とでACFテープ99を挟み込む例を示したが、液晶パネル61を保持する液晶パネル受台62を上昇させても良いし、加熱/加圧ヘッド60を下降させ、液晶パネル受台62を上昇させる動作を併用しても良い。ここでは、パネル貼付ACF部位98と液晶パネル61とが接し、加熱/加圧ヘッド60の熱がパネル貼付ACF部位98に伝達されれば良く、加熱/加圧ヘッド60および液晶パネル受台62の動作は限定されない。
【0098】
セパレータ3に残った不要ACF部位97及び不要ACF部位97に貼り付けたテープ42は、セパレータ回収リール4で回収される。
【0099】
「動作5」より、液晶パネル61に貼り付けたパネル貼付ACF部位98上にTCP80を実装する。そして、TCP80の上部から加熱/加圧ヘッド70を下降させ、TCP80と当接させてACFを加熱して硬化させる。
【0100】
ここでの硬化では、液晶表示装置の電気特性や信頼性を確保する程度まで硬化する必要がある。その加熱時間および加熱温度は、例えば、一般的に液晶表示装置に使用されるアクリル系熱硬化型樹脂材からなるACFでは、180℃で30秒程度加熱すればよい。また、ここでは、液晶パネル61にTCP80を貼付する例を示したが、必ずしもTCP80である必要は無く、COGやFPCなどでもよい。
【実施例5】
【0101】
次に、本発明の第5の実施例について、図6を参照して説明する。
【0102】
本実施例のACF貼付装置の基本構成は実施例4と同様であるが、本実施例は、図6の「動作1」に示すように、不要ACF部位97とパネル貼付ACF部位98との境界面をハーフカットする機構に、不要ACF部位97へ貼り付けるテープ貼付機構が一体となっている点が実施例4と異なる。以下に、相違点について説明する。
【0103】
本実施例では、不要ACF部位97とパネル貼付ACF部位98の境界面をハーフカットする際、テープ貼付/ハーフカット機構45上へ予め切断されたテープ42を搭載する。
【0104】
次に、不要ACF部位97上部に設けてあるテープ受台43が下降し、前記テープ42を搭載したテープ貼付/ハーフカット機構45が上昇し、まずカッター6が不要ACF部位97とパネル貼付ACF部位98との境界面に切り込みを入れる動作をし、その状態でテープ42を搭載した部分が上昇し、不要ACF部位97へテープ42を接触させる。こうすることで、ハーフカット動作を行いながら不要ACF部位97に対してのテープ42を貼り付ける動作が行える。
【0105】
不要ACF部位97にテープ42を貼り付けた後、テープ受台43が上昇し、テープ貼付/ハーフカット機構45が下降し、ACFテープ99から離れる。
【0106】
その後、「動作2」の挟持チャック66の上チャック67と下チャック68とでテープ42を貼り付けた不要ACF部位97を挟持動作することで、テープ42は不要ACF部位97へ完全に貼り付けられる。
【0107】
本実施例では、テープ貼付/ハーフカット機構45とテープ受台43とが、各々上下に動作する方法を例示したが、テープ受台43は下降動作せずにテープ貼付/ハーフカット機構45のみが上昇して、ハーフカット動作及びテープ貼付動作を行っても良いし、逆にテープ貼付/ハーフカット機構45は上昇動作せずにテープ受台43のみが不要ACF部位97を押し付けながら下降動作して、テープ貼付/ハーフカット機構45と接触させることでハーフカット動作及びテープ貼付動作を行っても良く、機器の動作に限定される訳では無い。
【0108】
このように、本実施例によれば、不要ACF部位97へのハーフカット動作とテープ貼付動作を同時に行うことで、装置のタクトタイムを短縮し、生産効率を向上できるという効果がある。
【実施例6】
【0109】
次に、本発明の第6の実施例について、図7を参照して説明する。
【0110】
本実施例は、図7の「動作2」に示すように、実施例4のテープ貼付機構41及び実施例5のテープ貼付/ハーフカット機構45を用いずに、不要ACF部位97にテープ42を貼り付ける方法を既存の下チャック68にて行なっている点が異なる。以下に、相違点について説明する。
【0111】
本実施例では、図7の「動作2」に示すように、不要ACF部位97とパネル貼付ACF部位98との境界面をハーフカットした後に、挟持チャック66の下チャック68上へ予め切断されたテープ42を搭載する。
【0112】
次に、不要ACF部位97の位置と、テープ42を搭載した下チャック68の位置をアライメントする。アライメント後、下チャック68が上昇し、不要ACF部位97とテープ42を接触させる。
【0113】
次に、「動作3」にて不要ACF部位97の上部位置へ上チャック67がアライメントし、下降動作することで、不要ACF部位97上のセパレータ3と接触する。そのまま、上チャック67と下チャック68との挟持動作にて、不要ACF部位97に対し、テープ42が完全に貼り付けられる。
【0114】
このように、本実施例によれば、不要ACF部位97へのテープ42の貼り付けを既存の下チャック68にて行えるため、実施例4及び実施例5で必要だったテープ貼付機構が必ずしも必要とせずに、専用テープ貼付機構を省けるという効果がある。
【実施例7】
【0115】
次に、本発明の第7の実施例について、図8を参照して説明する。
【0116】
本実施例は、図8の「動作2」に示すように、実施例6と同様にテープ貼付機構を用いずに、下チャック68にてテープ47を貼り付ける構成であり、更に下チャック68近傍にテープ供給機構46を具備している点が異なる。以下に、相違点について説明する。
【0117】
本実施例では、図8の「動作2」に示すように、不要ACF部位97とパネル貼付ACF部位98との境界面をハーフカットした後に、挟持チャック66の下チャック68近傍に設けられたテープ供給機構46が動作し、テープ47を下チャック68上へ供給する。
【0118】
次に、不要ACF部位97の位置と、テープ47を搭載した下チャック68の位置をアライメントする。アライメント後、下チャック68が上昇し、不要ACF部位97とテープ47を接触させる。
【0119】
次に、動作3にて、不要ACF部位97の上部位置へ上チャック67がアライメントし、下降動作することで、不要ACF部位97上のセパレータ3と接触する。そのまま、上チャック67と下チャック68との挟持動作にて、不要ACF部位97に対し、テープ47が完全に貼り付けられる。
【0120】
また、前記上チャック67と下チャック68との挟持状態後、不要ACF部位97を挟持チャック66が挟み保持しながら、液晶パネル61の貼り付ける位置まで任意に移動する。
【0121】
「動作4」より、前記ACFが液晶パネル61の貼り付け位置まで移動後、液晶パネル61に対し上部に設けてある加熱/加圧ヘッド60が下降し、液晶パネル61へACFの熱圧着が行なわれる。
【0122】
熱圧着後、加熱/加圧ヘッド60が上昇する。加熱/加圧ヘッド60が上昇する際に、ACFの液晶パネル61に貼り付けされずに不要となる不要ACF部分97は、ハーフカット機構5の切り込みにて分離されて、セパレータ3に残る。前記セパレータ3に残った不要ACF部位97は、セパレータ回収リール4で回収される。また、不要ACF部位97に貼り付けられたテープ47もセパレータ3の回収動作と同様に、セパレータ回収リール4へ回収される。
【0123】
このように、本実施例によれば、不要ACF部位97へのテープ47の貼り付けを既存の下チャック68にて行い、且つ、下チャック68近傍にテープ47を供給する機構を設けたので、実施例4から6で事前にテープカットして供給する動作が必要であったが、それを不要とできる効果がある。
【0124】
なお、上記各実施例では、液晶パネルにACFを貼り付ける場合について記載したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、粘着性を有する部材を所望のサイズに切断して貼り付ける任意の貼付装置及び当該貼付装置を用いて粘着性を有する部材が貼り付けられる任意の装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、ACF貼付装置及びACF貼付装置を用いて製造される表示装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1の実施例に係るACF貼付装置の構成及びACF貼付動作を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る液晶表示装置の構成を示す斜視図である
【図3】本発明の第2の実施例に係るACF貼付装置の構成及びACF貼付動作を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例に係るACF貼付装置の構成及びACF貼付動作を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の第4の実施例に係るACF貼付装置の構成及びACF貼付動作を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の第5の実施例に係るACF貼付装置の構成及びACF貼付動作を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の第6の実施例に係るACF貼付装置の構成及びACF貼付動作を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明の第7の実施例に係るACF貼付装置の構成及びACF貼付動作を模式的に示す断面図である。
【図9】従来のACF貼付装置の構成及びACF貼付動作を模式的に示す断面図である。
【図10】公知例(特開平9−6251号公報)のACF貼着装置のチャックユニットの側面図である。
【符号の説明】
【0127】
1 ACF供給リール
2 ACF
3 セパレータ
4 セパレータ回収リール
5 ハーフカット機構
6 カッター
41 テープ貼付機構
42 テープ
43 テープ受台
45 テープ貼付/ハーフカット機構
46 テープ供給機構
47 テープ
53 下チャック
54 冷却機構
58 テープ受台
60 加熱/加圧ヘッド
61 液晶パネル
62 液晶パネル受台
64 事前加熱機構
65 事前加熱機構(ホットブロー)
66 挟持チャック
67 上チャック(凹凸状)
68 下チャック(凹凸状)
70 加熱/加圧ヘッド
80 TCP
81 TCP実装液晶パネル
82 回路基板
83 回路基板実装液晶パネル
84 バックライト
85 バックライト付き液晶パネル
86 回路基板保護カバー
88 シャーシ(シールドフロント)
90 液晶表示装置
97 不要ACF部位
98 パネル貼付ACF部位
99 ACFテープ
101 ACF供給リール
102 ACF
103 セパレータ
104 セパレータ回収リール
105 ハーフカット機構
106 カッター
107 剥離ローラー
108 粘着テープ
109 挟持チャック
110 上チャック
111 下チャック
112 液晶パネル
113 液晶パネル受台
114 加熱/加圧ヘッド
120 テープ受台
121 粘着テープ供給リール
122 粘着テープ回収リール
197 不要ACF部位
198 パネル貼付ACF部位
200 不要ACF部位残り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータにACFを貼付したACFテープと、
前記ACFテープを移動させる機構と、
前記ACFテープの移動位置を制御するアライメント機構と、
前記ACFテープの前記ACFの一部をカットする機構と、
前記ACFテープを挟持する挟持チャック機構と、
表示パネルが載置可能なパネル受台と、
前記ACFテープの前記セパレータに当接可能な加熱/加圧ヘッドと、を有し、
前記パネル受台に載置された前記表示パネルと、前記加熱/加圧ヘッドとで前記ACFテープを挟みこんで加熱して、前記ACFを前記表示パネルに転移させるACF貼付装置において、
前記ACFテープを前記挟持チャック機構で挟持する前に、前記ACFの一部の粘着性を変化させる手段を備えることを特徴とするACF貼付装置。
【請求項2】
前記ACFテープを前記挟持チャック機構で挟持する前に、挟持する部分の前記ACFの一部を加熱する事前加熱機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のACF貼付装置。
【請求項3】
前記事前加熱機構の近傍に、さらに前記表示パネルに貼付される部分の前記ACFテープを冷却する機構を備えることを特徴とする請求項2に記載のACF貼付装置。
【請求項4】
前記ACFテープに添付され前記ACFをカットする機構でカットされた部位の前記ACFと当接して、前記カットされたACFを前記ACFテープの前記セパレータから除去テープに転移させるACF除去機構をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のACF貼付装置。
【請求項5】
前記事前加熱機構が、前記挟持する部分のACFに対して、非接触又は接触する加熱源であることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載のACF貼付装置。
【請求項6】
前記ACFテープを前記挟持チャック機構で挟持する前に、挟持する部分の前記ACFにテープを貼り付けるテープ貼付機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のACF貼付装置。
【請求項7】
前記ACFをカットする機構と、前記テープ貼付機構とが、一体となっていることを特徴とする請求項6に記載のACF貼付装置。
【請求項8】
前記テープ貼付機構が、前記挟持チャック単独でなることを特徴とする請求項6に記載のACF貼付装置。
【請求項9】
前記テープ貼付機構の近傍にテープ供給機構を備えることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載のACF貼付装置。
【請求項10】
表示パネル上にACFを貼付する表示装置の製造方法において、
セパレータにACFを貼付したACFテープの前記ACFの一部をカットする工程と、
前記ACFテープを挟持チャックで挟持して移動する工程と、
前記ACFテープを加熱、加圧して、前記ACFを前記表示パネルに貼付する工程と、を含み、
さらに前記ACFテープを前記挟持チャックで挟持する前に、挟持する部分の前記ACFが挟持チャックに貼り付かないように前記ACFの一部の粘着性を変化させる工程を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記ACFテープを前記挟持チャックで挟持する前に、挟持する部分の前記ACFの一部を加熱することを特徴とする請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記表示パネルに貼付される部分の前記ACFテープを加熱しないことを特徴とする請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記表示パネルに貼付される部分の前記ACFテープを冷却することを特徴とする請求項12に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記ACFテープの前記挟持チャックで挟持される部分の前記ACFの一部を加熱する際に、カットされた前記ACFに除去テープを当接させて、前記ACFを前記ACFテープの前記セパレータから前記除去テープに転移させることを特徴とする請求項10乃至13の何れかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記ACFと前記除去テープとの密着力が、前記ACFと前記セパレータとの密着力よりも高いことを特徴とする請求項14に記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記ACFテープを前記挟持チャックで挟持する前に、挟持する部分の前記ACFの表面にテープを貼付することを特徴とする請求項10に記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−152205(P2010−152205A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331986(P2008−331986)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】