説明

Akt活性の阻害薬

本発明は、Akt、セリン/トレオニンプロテインキナーゼの活性を阻害する、置換されたピラジン単位に縮合した5員複素環式環を含有する化合物に指向している。本発明は、更に、本発明の化合物を含有する化学療法組成物及び本発明の化合物の投薬を含む癌の治療方法に指向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種又は2種以上の、セリン/トレオニンキナーゼ、Akt(PKBとしても知られている)のイソフォームの活性の阻害薬である、置換されたピラジンに縮合した5員複素環式環を含有する化合物に関する。本発明は、また、このような化合物を含有する医薬組成物及び癌の治療に於けるこの化合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アポプトーシス(プログラムされた細胞死)は、胚発生並びに変形性神経細胞疾患、心臓血管疾患及び癌のような種々の疾患の病因論に於いて本質的な役割を演じる。最近の研究は、プログラムされた細胞死の調節又は実行に含まれる、種々のプロ−及びアンチ−アポプトーシス遺伝子(anti−apoptotic gene)産物の特定に至ってきた。Bcl2又はBcl−xのような、アンチ−アポプトーシス遺伝子の発現は、種々の刺激によって誘発されるアポプトーシス的細胞死を阻害する。他方に於いて、Bax又はBadのような、プロ−アポプトーシス遺伝子の発現は、プログラムされた細胞死に至る(Aamsら、Science、第281巻、第1322−1326頁(1998年))。プログラムされた細胞死の実行は、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7、カスパーゼ−8及びカスパーゼ−9等を含む、カスパーゼ−1関連プロテイナーゼによって仲介される。(Thornberryら、Science、第281巻、第1312−1316頁(1998年))。
【0003】
ホスファチジルイノシトール3’−OHキナーゼ(PI3K)/Akt/PKB経路は、細胞生存/細胞死を調節するために重要であると思われる(Kulikら、Mol.Cell.Biol.、第17巻、第1595−1606頁(1997年);Frankeら、Cell、第88巻、第435−437頁(1997年);Kauffmann−Zehら、Nature、第385巻、第544−548頁(1997年)、Hemmings、Science、第275巻、第628−630頁(l997年);Dudekら、Science、第275巻、第66l−665頁(l997年))。血小板由来増殖因子(PDGF)、神経成長因子(NGF)及びインスリン様増殖因子−1(IGF−1)のような生存因子は、PI3Kの活性を誘発することによって、種々の条件下で細胞生存を促進する(Kulikら、1997年、Hemmings、1997年)。活性化されたPI3Kは、ホスファチジルイノシトール(3,4,5)−トリリン酸(PtdIns(3,4,5)−P3)の産生に至り、これは次いで、プレクストリン相同(PH)−ドメインを含有する、セリン/トレオニンキナーゼAktに結合し、及びこれの活性化を促進する(Frankeら、Cell、第81巻、第727−736頁(1995年);Hemmings、Science、第277巻、第534頁(1997年);Downward、Curr.Opin.Cell Biol.第10巻、第262−267頁(1998年);Alessiら、EMBO J.、第15巻、第6541−6551頁(l996年))。PI3Kの特異阻害薬又は優性ネガティブAkt/PKB変異は、これらの増殖因子又はサイトカインの生存促進活性を無効にする。以前に、PI3Kの阻害薬(LY294002又はウォルトマンニン)が、上流キナーゼによるAkt/PKBの活性を阻止したことが開示された。更に、構成的に活性なPI3Kの導入又はAkt/PKB変異によって、細胞が通常、アポプトーシス細胞死を受ける条件下で、細胞生存が促進される(Kulikら、1997年、Dudekら、1997年)。
【0004】
ヒト腫瘍に於けるAktレベルの分析によって、Akt2が、顕著な数の卵巣癌(J.Q.Cheungら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、第89巻、第9267−9271頁(1992年))及び膵臓癌(J.Q.Cheungら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、第93巻、第3636−3641頁(1996年))に於いて過発現されることが示された。同様に、Akt3は、乳癌及び前立腺癌細胞系に於いて過発現されることが見出された(Nakataniら、J.Biol.Chem.、第274巻、第21528−21532頁(1999年))。
【0005】
PtdIns(3,4,5)−P3の3’リン酸塩を特異的に除去するプロテイン及びリピドホスファターゼである腫瘍抑制剤PTENは、PI3K/Akt経路のネガティブ調節剤である(Liら、Science、第275巻、第1943−1947頁(1997年)、Stambolicら、Cell、第95巻、第29−39頁(1998年)、Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A、第96巻、第6199−6204頁(1999年))。PTENの胚芽細胞系列突然変異は、コードン病のようなヒト癌症候群に関与する(Liawら、Nature Genetics、第16巻、第64−67頁(1997年))。PTENは、ヒト腫瘍の大部分で削除され、機能的PTENを持たない腫瘍細胞株は、活性化Aktレベルの上昇を示す。(Liら、前掲、Guldbergら、Cancer Research、第57巻、第3660−3663頁(1997年)、Risingerら、Cancer Research、第57巻、第4736−4738頁(1997年))。
【0006】
これらの観察は、PI3K/Akt経路が、腫瘍形成に於いて細胞生存又はアポプトーシスを調節するために重要な役割を演じることを示している。
【0007】
セカンドメッセンジャー調節性セリン/トレオニンプロテインキナーゼであるAkt/PKBサブファミリーの3個のメンバーが、それぞれ、Akt1/PKBα、Akt2/PKBβ及びAkt3/PKBγと、特定され、命名された。このイソフォームは、触媒ドメインをコードする領域に於いて特に相同性である。Akt/PKBは、PI3Kシグナルに対する応答で生じるリン酸化事象によって活性化される。PI3Kは、膜イノシトールリン脂質をリン酸化し、第二メッセンジャー、即ち、ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリスリン酸及びホスファチジルイノシトール3,4−ビスリン酸を生じ、これらは、Akt/PKBのPHドメインに結合することが示された。Akt/PKB活性化の現在のモデルは、3’−リン酸化ホスホイノシチドによる膜への酵素の補充と、そこでの上流キナーゼによるAkt/PKBの調節部位のリン酸化を提案している(B.A.Hemmings、Science、第275巻、第628−630頁(1997年);B.A.Hemmings、Science、第276巻、第534頁(1997年);J.Downward、Science、第279巻、第673−674頁(1998年))。
【0008】
Akt1/PKBαのリン酸化は、2個の調節部位、即ち、触媒ドメイン活性化ループに於けるThr308及びカルボキシ末端付近のSer473で起こる(D.R.Alessiら、EMBO J.、第15巻、第6541−6551頁(1996年)及びR.Meierら、J.Biol.Chem.第272巻、第30491−30497頁(1997年))。等価の調節リン酸化部位は、Akt2/PKBβ及びAkt3/PKBγ内にも存在する。活性化ループ部位でAkt/PKBをリン酸化する上流キナーゼはクローン化され、3’−ホスホイノシチド依存性プロテインキナーゼ1(PDK1)と命名された。PDK1は、Akt/PKBのみならず、p70リボソームS6キナーゼ、p90RSK、血清及びグルココルチコイド調節キナーゼ(SGK)並びにプロテインキナーゼCをリン酸化する。カルボキシ末端付近のAkt/PKBの調節部位をリン酸化する上流キナーゼは、未だ特定されていないが、最近の報告では、インテグリン結合キナーゼ(ILK−1)、セリン/トレオニンプロテインキナーゼ又は自己リン酸化の役割が暗示されている。
【0009】
Akt活性化及び活性の阻害は、LY294002及びウォルトマンニンのような阻害薬でPI3Kを阻害することによって達成することができる。しかしながら、PI3K阻害は、全ての3種のAktアイソザイムのみならず、チロシンキナーゼのTecファミリーのような、PdtIns(3,4,5)−P3に依存性である他のPHドメイン含有シグナル化分子にも無差別に影響を与える能力を有する。更に、Aktが、PI3Kに独立である増殖シグナルによって活性化され得ることが開示されている。
【0010】
一方、Akt活性は、上流キナーゼPDK1の活性を阻止することによって阻害することができる。特異的PDK1阻害薬は開示されていない。また、PDK1の阻害は、その活性が、非定型PKCイソフォーム、SGK及びS6キナーゼのような、PDK1に依存性である、複数のプロテインキナーゼの阻害になる(Williamsら、Curr.Biol.、第10巻、第439−448頁(2000年))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、Akt/PKBの阻害薬である新規な化合物を提供することである。
【0012】
また、本発明の目的は、Akt/PKBの阻害薬である新規な化合物を含有する医薬組成物を提供することである。
【0013】
また、本発明の目的は、このようなAkt/PKB活性の阻害薬を投薬することを含む、癌の治療方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、Akt/PKB活性を阻害する、置換されたピラジン単位に縮合した5員複素環式環を含有する化合物を提供する。特に、開示された化合物は、1種又は2種のAkt/PKBイソフォームを選択的に阻害する。本発明は、また、このような阻害薬化合物を含有する組成物及び癌の治療が必要である患者にこの化合物を投薬することによる、Akt/PKB活性の阻害方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の化合物は、セリン/トレオニンキナーゼAktの活性の阻害に於いて有用である。本発明の第一実施態様に於いて、Akt活性の阻害薬は、式A:
【0016】
【化7】

[式中、
nは、0、1、2又は3であり、
pは、0、1、2又は3であり、
rは、0又は1であり、
sは、0又は1であり、
mは、0又は1であり、
aは、0又は1であり、
bは、0又は1であり、
X、Y及びZは、独立に、C、N、S又はOから選択され、但し、X、Y又はZの少なくとも1個はN、S又はOであり、
【0017】
【化8】

は、1から3個のRによって場合により置換された複素環であり、
Qは、H、−NR及び複素環から選択され、該複素環は、1から3個のRによって場合により置換されており、
及びRは、独立に、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)(C=O)−Cシクロアルキル、
7)COH、
8)ハロ、
9)CN、
10)OH、
11)O−Cペルフルオロアルキル、
12)O(C=O)NR
13)NR(C=O)NR
14)S(O)
15)S(O)NR
16)NRS(O)
17)オキソ、
18)CHO、
19)NO
20)NR(C=O)O
21)O(C=O)O−C10アルキル、
22)O(C=O)O−Cシクロアルキル、
23)O(C=O)Oアリール及び
24)O(C=O)O複素環
から選択され、該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル及びシクロアルキルは、1個又は2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており、
及びRは、独立に、
1)H、
2)(C=O)−C10アルキル、
3)(C=O)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル、
6)(C=O)ヘテロシクリル、
7)(C=O)−Cシクロアルキル、
8)OH、
9)C−Cペルフルオロアルキル、
10)S(O)及び
11)CHO
から選択され、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており又は
及びRは、それらが結合している窒素と一緒になって、窒素に加えて、1から3個の、N、O及びSから選択されたヘテロ原子を場合により含有する、それぞれの環内に4から7員を有する、単環式若しくは二環式複素環を形成することができ、該単環式若しくは二環式複素環は、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており、
及びRは、独立に、
1)H、
2)(C=O)−C10アルキル、
3)(C=O)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル、
6)(C=O)ヘテロシクリル、
7)(C=O)−Cシクロアルキル、
8)OH、
9)C−Cペルフルオロアルキル、
10)(C=O)NR
11)S(O)
12)S(O)NR及び
13)CHO
から選択され、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており又は
及びRは、それらが結合している窒素と一緒になって、窒素に加えて、1から3個の、N、O及びSから選択されたヘテロ原子を場合により含有する、それぞれの環内に4から7員を有する、単環式若しくは二環式複素環を形成することができ、該単環式若しくは二環式複素環は、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており、
は、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)(C−C)アルキレン−S(O)
4)オキソ、
5)OH、
6)ハロ、
7)CN、
8)(C=O)(C−C10)アルケニル、
9)(C=O)(C−C10)アルキニル、
10)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
13)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
14)C(O)R
15)(C−C)アルキレン−CO
16)C(O)H、
17)(C−C)アルキレン−COH、
18)C(O)N(R
19)S(O)
20)NR(C=O)O
21)O(C=O)O−C10アルキル、
22)O(C=O)O−Cシクロアルキル、
23)O(C=O)Oアリール及び
24)O(C=O)O複素環
から選択され、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルは、3個以下の、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ及びN(Rから選択された置換基によって場合により置換されており、
は、置換された若しくは置換されていない(C−C)アルキル、置換された若しくは置換されていない(C−C)アルケニル、置換された若しくは置換されていない(C−C)アルキニル、置換された若しくは置換されていない(C−C)シクロアルキル、置換された若しくは置換されていないアリール、(C−C)ペルフルオロアルキル、2,2,2−トリフルオロエチル又は置換された若しくは置換されていないヘテロシクリルであり、
は、H、(C−C)アルキル、置換された若しくは置換されていないアリール、置換された若しくは置換されていないベンジル、置換された若しくは置換されていないヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)であり、及び
は、
1)H、
2)C−C10アルキル、
3)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル、
6)ヘテロシクリル、
7)C−Cシクロアルキル、
8)C−Cペルフルオロアルキル
から選択され、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されている]
の化合物又はその医薬適合性の塩若しくは立体異性体によって例示される。
【0018】
本発明の第二実施態様は、式中、
nが、0又は1であり、
【0019】
【化9】

が、2−アゼピノン、ベンズイミダゾリル、ベンズイミダゾロニル、2−ジアザピノン、イミダゾリル、2−イミダゾリジノン、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノン、2−ピリミジノン、2−ピロリジノン、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル及びチエニルから選択された複素環であり、該複素環が1から3個のRによって場合により置換されており、
Qが、H及び−NRから選択され、
及びRが、独立に、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)(C=O)−Cシクロアルキル、
7)COH、
8)ハロ、
9)CN、
10)OH、
11)O−Cペルフルオロアルキル、
12)S(O)
13)NRS(O)
14)オキソ、
15)CHO、
16)NO
17)NR(C=O)O
18)O(C=O)O−C10アルキル、
19)O(C=O)O−Cシクロアルキル、
20)O(C=O)Oアリール、
21)O(C=O)O複素環及び
22)NH
から選択され、該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル及びシクロアルキルが、1個又は2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており、全ての他の置換基及び変数が、第一実施態様に於いて定義された通りである、式Aによって前記示されたような化合物又はその医薬適合性の塩若しくは立体異性体である。
【0020】
本発明の第三実施態様は、式中、
【0021】
【化10】

が、
【0022】
【化11】

から選択された複素環であり、該複素環が1から3個のRによって場合により置換されており、
Qが、−NRから選択され、
及びRが、独立に、
1)H、
2)(C=O)−C10アルキル、
3)(C=O)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル、
6)(C=O)ヘテロシクリル、
7)(C=O)−Cシクロアルキル、
8)OH、
9)C−Cペルフルオロアルキル、
10)S(O)及び
11)CHO
から選択され、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルが、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており又は
及びRが、それらが結合している窒素と一緒になって、窒素に加えて、1から3個の、N、O及びSから選択されたヘテロ原子を場合により含有する、それぞれの環内に4から7員を有する、単環式若しくは二環式複素環を形成することができ、該単環式若しくは二環式複素環が、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており、全ての他の置換基及び変数が、第二実施態様に於いて定義された通りである、式Aによって前記示されたような化合物又はその医薬適合性の塩若しくは立体異性体である。
【0023】
本発明の第四実施態様は、式中、
Qが、
【0024】
【化12】

(式中、Rは、二環式構造上のどこかに結合していてよい)
から選択され、
及びRが、独立に、
1)(C−C)アルキル、
2)(C−C10)アルキル−OH、
3)COH、
4)ハロ、
5)CN、
6)OH、
7)オキソ、
8)CHO、
9)NO及び
10)NH
から選択され、
が、独立に、
1)(C−C)アルキル、
2)(C−C10)アルキル−OH、
3)COH、
4)ハロ、
5)CN、
6)OH、
7)オキソ、
8)CHO、
9)NO及び
10)NH
から選択され、全ての他の置換基及び変数が、第三実施態様に於いて定義された通りである、式Aによって前記示されたような化合物又はその医薬適合性の塩若しくは立体異性体である。
【0025】
本発明の特別の化合物には、下記のものが含まれる。
【0026】
1−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
N−エチル−N’−{(3R)−1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}ウレア;
N−{(3R)−1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド;
9−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−9H−プリン−6−アミン;
2−(4−{[4−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}フェニル)−3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン;
9−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−9H−プリン;
{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メタノール;
2−{4−[(2−メチル−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)メチル]フェニル}−3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン;
1−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
N−{(3R)−1−[4−(3−ヒドロキシ−5−フェニル−2H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン−6−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド;及び
1−{1−[4−(3−ヒドロキシ−5−フェニル−2H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン−6−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
又はこれらの医薬適合性の塩若しくは立体異性体。
【0027】
本発明の化合物の特別のTFA塩には、下記のものの塩が含まれる。
【0028】
1−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
N−エチル−N’−{(3R)−1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}ウレア;
N−{(3R)−1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド;
9−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−9H−プリン−6−アミン;
2−(4−{[4−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}フェニル)−3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン;
9−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−9H−プリン;
{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メタノール;
2−{4−[(2−メチル−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)メチル]フェニル}−3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン;
1−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
N−{(3R)−1−[4−(3−ヒドロキシ−5−フェニル−2H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン−6−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド;及び
1−{1−[4−(3−ヒドロキシ−5−フェニル−2H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン−6−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
又はこれらの立体異性体。
【0029】
本発明の化合物は、(E.L.Eliel及びS.H.Wilen著「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1994年、第1119−1190頁に記載されているように)非対称中心、キラル軸及びキラル面を有していてよく、光学異性体を含む、全ての可能な異性体及びそれらの混合物と共に、ラセミ化合物、ラセミ混合物及び個々のジアステレオマーとして生じてよく、全てのこのような立体異性体は、本発明内に含まれる。
【0030】
更に、本明細書に開示された化合物は、互変異性体として存在してよく、一方の互変異性構造のみが示された場合でも、両方の互変異性形が本発明の範囲によって包含されるべきであることが意図される。例えば、下記の化合物Aのための全ての特許請求の範囲は、互変異性構造Bを含み、逆も同じであり、これらの混合物も同様であると理解される。ベンズイミダゾロニル単位の2種の互変異性形も、本発明の範囲内である。
【0031】
【化13】

【0032】
全ての変数(例えばR、R、R等)が、何れかの構成中で2回以上存在するとき、それぞれの存在でのその定義は、全ての他の存在で独立である。また、置換基及び変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物になる場合のみ許される。置換基から環系の中に入る線は、示された結合が置換可能な環原子の何れかに結合できることを表している。
【0033】
本発明の化合物上の置換基及び置換パターンは、当業者によって、化学的に安定で且つ容易に入手可能な出発物質から当該技術分野で公知の技術により及び下記の方法により容易に合成することができる化合物を提供するように選択することができることが理解される。置換基自体が2個以上の基によって置換されている場合、これらの複数の基は、安定な構造になる限り、同じ炭素又は異なった炭素上に存在していてよいことが理解される。句「1個又は2個以上の置換基によって場合により置換された」は、句「少なくとも1個の置換基によって場合により置換された」と均等であるものとし、このような場合に好ましい実施態様は、0から3個の置換基を有する。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「アルキル」は、特定された数の炭素原子を有する分枝鎖及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことが意図される。例えば、「C〜C10アルキル」に於けるように、C〜C10は、線状又は分枝状配置で1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素を有する基を含むように定義される。例えば、「C〜C10アルキル」には、特に、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が含まれる。用語「シクロアルキル」は、特定された数の炭素原子を有する単環式飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「シクロアルキル」には、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2、2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれる。
【0035】
「アルコキシ」は、酸素ブリッジによって結合された、示された数の炭素原子の環式又は非環式アルキル基を表す。それで、「アルコキシ」には、上記のアルキル及びシクロアルキルの定義が包含される。
【0036】
炭素原子の数が特定されていない場合、用語「アルケニル」は、2から10個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する、直鎖、分枝鎖又は環式の非芳香族炭化水素基を指す。好ましくは、1個の炭素−炭素二重結合が存在し、4個以下の非芳香族炭素−炭素二重結合が存在していてよい。それで、「C〜Cアルケニル」は、2から6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニル及びシクロヘキセニルが含まれる。アルケニル基の直鎖、分枝鎖又は環式部分は、二重結合を含有していてよく、置換アルケニル基が示された場合、置換されていてよい。
【0037】
用語「アルキニル」は、2から10個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有する、直鎖、分枝鎖又は環式の炭化水素基を指す。3個以下の炭素−炭素三重結合が存在していてよい。それで、「C〜Cアルキニル」は、2から6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニル等が含まれる。アルキニル基の直鎖、分枝鎖又は環式部分は、三重結合を含有していてよく、置換アルキニル基が示された場合、置換されていてよい。
【0038】
或る例に於いて、置換基は、(C〜C)アルキレン−アリールのように、ゼロを含む炭素数の範囲で定義することができる。アリールがフェニルである場合、この定義には、フェニル自体並びに−CHPh、−CHCHPh、CH(CH)CHCH(CH)Ph等が含まれる。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「アリール」は、それぞれの環内で7個以下の原子の全ての安定な単環式又は二環式炭素環(但し、少なくとも1個の環は芳香族である)を意味することを意図する。このようなアリール要素の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル及びビフェニルが含まれる。アリール置換基が二環式であり、1個の環が非芳香族である場合、結合は芳香族環を介していることが理解される。
【0040】
本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロアリール」は、それぞれの環内で7個以下の原子の全ての安定な単環式又は二環式環(但し、少なくとも1個の環は芳香族であり、1から4個の、O、N及びSからなる群から選択されたヘテロ原子を含有する)を表す。この定義の範囲内のヘテロアリール基には、これらに限定されないが、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが含まれる。下記の複素環の定義でのように、「ヘテロアリール」は、また、全ての窒素含有ヘテロアリールのN−オキシド誘導体を含むように理解される。ヘテロアリール置換基が二環式であり、1個の環が非芳香族であるか又はヘテロ原子を含有しない場合に、結合は、それぞれ芳香族環を介するか又はヘテロ原子含有環を介することが理解される。置換基Qについてのこのようなヘテロアリール単位には、これらに限定されないが、2−ベンズイミダゾリル、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル及び4−イソキノリニルが含まれる。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「複素環」又は「ヘテロシクリル」は、1から4個の、O、N及びSからなる群から選択されたヘテロ原子を含有する、5〜10員の芳香族又は非芳香族複素環を意味することを意図し、二環式基を含む。それで、「ヘテロシクリル」には、前記のヘテロアリール並びにそれらのジヒドロ及びテトラヒドロ類似体が含まれる。「ヘテロシクリル」の別の例には、下記のものに限定されないが、ベンゾイミダゾリル、ベンズイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1、4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニル並びにこれらのN−オキシドが含まれる。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介して又はヘテロ原子を介して起こる。
【0042】
一つの実施態様に於いて、複素環は、2−アゼピノン、ベンズイミダゾリル、ベンズイミダゾロニル、2−ジアザピノン、イミダゾリル、2−イミダゾリジノン、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノン、2−ピリミジノン、2−ピロリジノン、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル及びチエニルである。
【0043】
当業者によって認識されるように、本明細書で使用されるとき、「ハロ」又は「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを含むように意図される。
【0044】
本明細書で使用されるとき、他の方法で特に定義されていない限り、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキル、置換されたアロイル、置換されたアリール、置換されたヘテロアロイル、置換されたヘテロアリール、置換されたアリールスルホニル、置換されたヘテロアリールスルホニル及び置換された複素環には、化合物の残部への結合の点に加えて、1から3個の置換基を含有する単位が含まれている。好ましくは、このような置換基は、これらに限定されないが、F、Cl、Br、CF、NH、N(C−Cアルキル)、NO、CN、(C−Cアルキル)O−(アリール)O−、−OH、(C−Cアルキル)S(O)−、(C−Cアルキル)C(O)NH−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、フェニル、ピリジル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フリル、イソチアゾリル及びC〜C20アルキルを含む基から選択される。例えば、(C〜C)アルキルは、1個、2個又は3個の、OH、オキソ、ハロゲン、アルコキシ、ジアルキルアミノ又はモルホリニル、ピペリジニル等のようなヘテロシクリルから選択された置換基で置換されていてよい。この場合に、1個の置換基がオキソであり、他の置換基がOHである場合、下記のもの、即ち、−(C=O)CHCH(OH)CH、−(C=O)OH、−CH(OH)CHCH(O)等が、この定義に含まれる。
【0045】
式:
【0046】
【化14】

によって示される単位には、下記の構造(これらは、単に例示であり、限定ではないことが意味される):
【0047】
【化15】

が含まれる。
【0048】
他の実施態様に於いて、式:
【0049】
【化16】

によって示される単位は、
【0050】
【化17】

から選択される。
【0051】
がオキソであるとき形成される単位には、下記の構造(これらは、単に例示であり、限定ではないことが意味される):
【0052】
【化18】

が含まれる。
【0053】
或る例に於いて、RとR及びRとRとは、これらが、これらが結合している窒素と一緒になって、窒素に加えて、1から3個の、N、O及びSから選択された追加のヘテロ原子を場合により含有する、それぞれの環内に4から7員を有する、単環式若しくは二環式複素環を形成することができ、該複素環が、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されているように定義される。このようにして形成され得る複素環の例には、下記のものに限定されないが、この複素環が、1個又は2個以上の(好ましくは、1個、2個又は3個の)、Rから選択された置換基によって場合により置換されていることに留意して、
【0054】
【化19】

が含まれる。
【0055】
他の実施態様に於いて、nは0又は1である。
【0056】
他の実施態様に於いて、pは0又は1である。
【0057】
他の実施態様に於いて、
【0058】
【化20】

は、
【0059】
【化21】

から選択された複素環であり、該複素環は1から3個のRによって場合により置換されている。
【0060】
他の実施態様に於いて、Qは、
【0061】
【化22】

(式中、Rは、二環式構造のどこかに結合していてよい)
から選択される。
【0062】
他の実施態様に於いて、R及びRは、(C〜C)アルキル、(C〜C10)アルキル−OH、COH、ハロ、CN、OH、オキソ、CHO、NO及びNHである。
【0063】
他の実施態様に於いて、Rは、オキソ、ハロ、(C〜C)アルキル−OH及びNHである。
【0064】
式Aの化合物の遊離形並びにその医薬適合性の塩及び立体異性体が、本発明に含まれる。本明細書で例示される単離された特定の化合物の幾つかは、アミン化合物のプロトン化塩である。用語「遊離形」は、非塩形のアミン化合物を指す。包含される医薬適合性の塩には、本明細書に記載された特定の化合物のために例示された、単離された塩が含まれるのみならず、式Aの化合物の遊離形の全ての典型的な医薬適合性の塩が含まれる。記載された特定の塩化合物の遊離形は、当該技術分野で公知の技術を使用して単離することができる。例えば、遊離形は、塩を、NaOH、炭酸カリウム、アンモニア及び重炭酸ナトリウムの希薄水溶液のような、適切な塩基希薄水溶液で処理することによって、再生させることができる。遊離形は、極性溶媒中の溶解度のような、ある種の物理的特性に於いて、それらのそれぞれの塩形とは幾らか異なるが、他方で、酸及び塩基塩は、本発明の目的のために、それらのそれぞれの遊離形と医薬的に等価である。
【0065】
本発明の化合物の医薬適合性の塩は、塩基性単位又は酸性単位を含有する本発明の化合物から、一般的な化学的方法によって合成することができる。一般的に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーにより又は遊離塩基を化学量論的量若しくは過剰の所望の塩形成性無機若しくは有機酸と、適切な溶媒若しくは溶媒の種々の組合せ物中で反応させることにより製造される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機又は有機塩基と反応させることにより生成される。
【0066】
それで、本発明の化合物の医薬適合性の塩には、塩基性の本発明の化合物を無機又は有機酸と反応させることによって生成されるような、本発明の化合物の一般的な非毒性塩が含まれる。例えば、一般的な非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等のような無機酸から誘導されるもの並びに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)等のような有機酸から製造される塩が含まれる。
【0067】
本発明の化合物が酸性であるとき、適切な「医薬適合性の塩」は、無機塩基及び有機塩基を含む、医薬適合性の非毒性の塩基から製造された塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩等々が含まれる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。医薬適合性の有機非毒性塩基から誘導される塩には、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に生じる置換アミンを含む置換アミン、環式アミン並びに塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N、N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等々の塩が含まれる。
【0068】
前記の医薬適合性の塩及び他の典型的な医薬適合性の塩の製造は、Bergら、「医薬的塩(Pharmaceutical Salts)」、J.Pharm.Sci.、1977年、第66巻、第1−19頁によって更に完全に記載されている。
【0069】
本発明の化合物は、生理学的条件下で、カルボキシル基のような、化合物中の脱プロトン化された酸性単位がアニオン性であり、次いでこの電子電荷が、第四級窒素原子のような、プロトン化された又はアルキル化された塩基性単位のカチオン性電荷に対して内部的にバランスされているので、潜在的に内部塩又は双性イオンであることが注目される。
【0070】
本発明の化合物は、Aktの活性の阻害薬であり、それで癌、特にAkt及び/又はGSK3の活性に於ける不規則性に付随する癌の治療で有用である。このような癌には、これらに限定されないが、卵巣癌、膵臓癌及び乳癌が含まれる。
【0071】
本発明の一つの実施態様に於いて、本発明の化合物は、その阻害効能がPHドメインに依存性である選択的阻害薬である。この実施態様に於いて、この化合物は、PHドメインを欠く切断されたAktプロテインに対する、インビトロ阻害活性に於ける減少を示すか又はインビトロ阻害活性を示さない。
【0072】
別の実施態様に於いて、本発明の化合物は、Akt1の選択的阻害薬、Akt2の選択的阻害薬及びAkt1とAkt2との両方の選択的阻害薬の群から選択される。
【0073】
他の実施態様に於いて、本発明の化合物は、Akt1の選択的阻害薬、Akt2の選択的阻害薬、Akt3の選択的阻害薬及び3種のAktイソフォームの2種の選択的阻害薬の群から選択される。
【0074】
他の実施態様に於いて、本発明の化合物は、3種のAktイソフォーム全ての選択的阻害薬であるが、PHドメイン、ヒンジ部又はPHドメインとヒンジ部との両方を削除するように変性されたこのようなAktイソフォームの1種、2種又は全部の阻害薬ではない。
【0075】
本発明は、更に、それが必要な哺乳動物に、医薬的に有効量の本発明の化合物を投薬することを含む、Akt活性の阻害方法に指向している。
【0076】
本発明の化合物は、哺乳動物、好ましくはヒトに、単独で又は好ましくは医薬適合性の担体、賦形剤若しくは希釈剤と組み合わせて、医薬組成物中で、標準的医薬的慣行に従って投薬することができる。この化合物は、経口的に又は静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下及び投薬の局所経路を含む非経口的に投薬することができる。
【0077】
活性成分を含有する医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ剤、ドロップ剤、水性若しくは油性懸濁剤、分散性散剤若しくは顆粒剤、乳剤、硬質若しくは軟質カプセル剤又はシロップ剤若しくはエリキシル剤のような、経口使用のために適している剤形であってよい。経口使用のために意図される組成物は、医薬組成物の製造のために当該技術分野で公知の全ての方法に従って製造することができ、このような組成物には、医薬的にエレガントで口に合った製剤を提供するために、甘味剤、矯味・矯臭剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択された1種又は2種以上の剤が含有されていてよい。錠剤には、錠剤の製造のために適した非毒性の医薬適合性の賦形剤との混合物で活性成分が含有されている。これらの賦形剤は、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤、例えば微結晶性セルロース、ナトリウムクロスカルメロース(sodium crosscarmellose)、トウモロコシデンプン又はアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン又はアラビアゴム並びに滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってよい。錠剤は被覆しなくてよく又はこれらを、薬物の嫌な味を隠すために若しくは胃腸管内での崩壊及び吸収を遅延させ、それによって長時間に亘って持続した作用を与えるために、公知の技術によって被覆することができる。例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースのような水溶性味マスキング物質又はエチルセルロース、酢酸酪酸セルロースのような時間遅延物質を使用することができる。
【0078】
経口使用のための配合は、また、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセル剤又は活性成分が、ポリエチレングリコールのような水溶性担体若しくは油媒体、例えば、ラッカセイ油、液体パラフィン若しくはオリーブ油と混合されている軟質ゼラチンカプセル剤として提示することができる。
【0079】
水性懸濁剤には、水性懸濁剤の製造のために適した賦形剤との混合物中で活性物質が含有されている。このような賦形剤は、懸濁剤、例えばナトリウム カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムであり、分散又は湿潤剤は、天然に生じるホスファチド、例えばレシチン又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアラート若しくはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール若しくはポリオキシエチレンソルビトールモノオレアートのようなエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物若しくはエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアートであってよい。この水性懸濁剤にはまた、1種又は2種以上の保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピル、1種又は2種以上の着色剤、1種又は2種以上の矯味・矯臭剤及び1種又は2種以上の甘味剤、例えばスクロース、サッカリン又はアスパルテームが含有されていてよい。
【0080】
油性懸濁剤は、活性成分を、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油若しくはココナツ油中に又は液体パラフィンのような鉱物油中に懸濁させることによって配合することができる。油性懸濁剤には、濃化剤、例えばミツロウ、硬質パラフィン又はセチルアルコールが含有されていてよい。口に合った経口製剤を与えるために、上記のもののような甘味剤及び矯味・矯臭剤を添加することができる。これらの組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソール又はα−トコフェロールのような酸化防止剤を添加することによって保存することができる。
【0081】
水を添加することによって水性懸濁剤を製造するために適した分散性散剤及び顆粒剤は、分散又は湿潤剤、懸濁剤及び1種又は2種以上の保存剤との混合物中の活性成分を提供する。適切な分散又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に上記したものによって例示される。追加の賦形剤、例えば甘味剤、矯味・矯臭剤及び着色剤が存在してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤を添加することによって保存することができる。
【0082】
本発明の医薬組成物は、水中油滴型エマルジョンの形態であってもよい。油相は植物油、例えばオリーブ油若しくはラッカセイ油又は鉱物油、例えば液体パラフィン又はこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、天然に生じるホスファチド、例えば、ダイズレシチン並びに脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレアート及び該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートであってよい。エマルジョンにはまた、甘味剤、矯味・矯臭剤、保存剤及び酸化防止剤が含有されていてよい。
【0083】
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースと共に配合することができる。このような配合物にはまた、粘滑薬、保存剤、矯味・矯臭剤及び着色剤並びに酸化防止剤が含有されていてよい。
【0084】
医薬組成物は、滅菌注射可能水溶液の剤形であってもよい。使用することができる許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液及び生理食塩水がある。
【0085】
滅菌注射可能製剤は、また、活性成分が油相中に溶解している滅菌注射可能水中油滴型マイクロエマルジョンであってもよい。例えば、活性成分を、最初に、ダイズ油及びレシチンの混合物中に溶解させることができる。次いで、この油溶液を、水及びグリセロール混合物中に導入し、処理してマイクロエマルジョンを形成する。
【0086】
この注射可能溶液又はマイクロエマルジョンは、局部大型丸剤注入によって患者の血流の中に導入することができる。また、溶液又はマイクロエマルジョンを、本発明の化合物の一定循環濃度を維持するような方式で投薬することが有利である。このような一定濃度を維持するために、連続式静脈内付与デバイスを利用することができる。このようなデバイスの例は、デルテック(Deltec)CADD−PLUS(商標)モデル5400静脈内ポンプである。
【0087】
この医薬組成物は、筋肉内及び皮下投薬用の滅菌注射可能な水性又は油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、前記した適切な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を使用する公知の技術により配合することができる。この滅菌注射可能製剤は、また、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤又は溶媒中の滅菌注射可能溶液又は懸濁液であってもよい。更に、滅菌固定油が溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノ−又はジグリセリドを含むどのような穏和な固定油も使用することができる。更に、オレイン酸のような脂肪酸が注射可能製剤に於ける用途を見出す。
【0088】
式Aの化合物は、また、薬物の直腸投薬用の坐剤の剤形で投薬することができる。これらの組成物は、薬物を、通常の温度では固体であるが直腸温度では液体であり、それで直腸内で溶融して薬物を放出する、適切な非刺激性の賦形剤と混合することによって製剤することができる。このような物質には、カカオバター、グリセリン化ゼラチン、水素化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが含まれる。
【0089】
局所使用のために、式Aの化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ジェリー剤、溶液又は懸濁液等が使用される。(この適用の目的のために、局所適用には口内洗浄剤及び含そう剤が含まれる)。
【0090】
本発明のための化合物は、当業者によく知られている、適切な鼻腔内ビヒクル及び付与デバイスの局所使用による鼻腔内剤形で又は経皮皮膚パッチの剤形を使用する経皮経路により投薬することができる。経皮付与システムの剤形で投薬するために、用量投薬は、勿論、用量処方を通して間欠的ではなくて連続的である。
【0091】
本明細書で使用されるとき、用語「組成物」は、特定された量で特定された成分を含有する製品及び特定された量での特定された成分の組合せから、直接的に又は間接的に得られる全ての製品を包含することを意図している。
【0092】
更に、本発明の化合物は、1990年12月11日に出願された米国特許第4,976,697号明細書(これは本明細書中に参考として援用されている。)に記載されているもののような、ゲル押出機構(GEM)デバイスを使用して、それが必要である哺乳動物に投薬することができる。
【0093】
本発明の化合物は、また、治療されている状態に対する、それらの特別の有用性のために選択された、他の公知の治療薬と共に共投薬することができる。
【0094】
例えば、本発明の化合物は、公知の抗癌薬と組み合わせて有用である。現在開示された化合物と他の抗癌薬又は化学療法薬との組合せ物は、本発明の範囲内である。このような薬物の例は、V.T.Devita及びS.Hellman(共編者)による「癌原理及び腫瘍学の実際(Cancer Principles and Practice of Oncology)」、第6版(2001年2月15日)、Lippincott Williams & Wilkins Publishers刊に記載されている。当業者は、薬物及び含まれる癌の特別の特性に基づいて、どの薬物の組合せ物が有用であるかを認識することができる。このような抗癌薬には、下記のもの、即ち、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒性/細胞増殖抑制薬、抗増殖薬、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬及び他の血管形成阻害薬並びに細胞サイクルチェックポイントを妨害する薬剤が含まれる。本発明の化合物は、放射線治療と共投薬するとき特に有用である。
【0095】
「エストロゲン受容体モジュレーター」は、機構に関係なく、エストロゲンの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレーターの例には、これらに限定されないが、タモキシフェン、ラロキシフェン(raloxifene)、イドキシフェン(idoxifene)、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント(fluvestrant)、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン及びSH646が含まれる。
【0096】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」は、機構に関係なく、アンドロゲンの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレーターの例には、フィナステリド及び他の5α−レダクターゼ阻害薬、ニルタミド(nilutamide)、フルタミド、ビカルタミド(bicalutamide)、リアロゾール(liarozole)及び酢酸アビラテロン(abiraterone acetate)が含まれる。
【0097】
「レチノイド受容体モジュレーター」は、機構に関係なく、レチノイドの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を指す。このようなレチノイド受容体モジュレーターの例には、ベキサロテン(bexarotene)、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミド及びN−4−カルボキシフェニルレチナミドが含まれる。
【0098】
「細胞毒性/細胞増殖抑制薬」は、主として細胞の機能化を直接的に妨害することによって細胞死を起こす若しくは細胞増殖を阻害する又は細胞減数分裂を阻害する若しくは妨害する化合物を指し、これには、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、介在物質、低酸素活性化性化合物、微小管阻害薬/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害薬、代謝拮抗薬;生物学的応答変性剤;ホルモン/抗ホルモン治療薬、造血性増殖因子、モノクローナル抗体ターゲット化治療薬及びトポイソメラーゼ阻害薬が含まれる。
【0099】
細胞毒性薬の例には、これらに限定されないが、セルテネフ(sertenef)、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン(tasonermin)、ロニダミン(lonidamine)、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン(ranimustine)、フォテムスチン(fotemustine)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキザリプラチン(oxaliplatin)、テモゾロミド(temozolomide)、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、イムプロスルファントシラート(improsulfan tosilate)、トロホスファミド(trofosfamide)、ニムスチン(nimustine)、塩化ジブロスピジウム(dibrospidium chloride)、プミテパ(pumitepa)、ロバプラチン(lobaplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン、イロフルベン(irofulven)、デキシホスファミド(dexifosfamide)、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニジン、グルフォスファミド(glufosfamide)、GPX100、(トランス,トランス,トランス)−ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−μ−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化砒素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビスアントレン(bisantrene)、ミトザントロン、ピラルビシン(pirarubicin)、ピナフィド(pinafide)、バルルビシン(valrubicin)、アムルビシン(amrubicin)、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン(annamycin)、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド(elinafide)、MEN10755及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(国際特許出願公開WO第00/50032号明細書参照)が含まれる。
【0100】
低酸素活性化性化合物の例は、チラパザミン(tirapazamine)である。
【0101】
微小管阻害薬/微小管安定化剤の例には、パクリタクセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール(docetaxol)、リゾキシン(rhizoxin)、ドラスタチン(dolastatin)、イセチオン酸ミボブリン(mivobulin isethionate)、アウリスタチン(auristatin)、セマドチン(cemadotin)、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン(vinflunin)、クリプトフィシン(cryptophycin)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(epothilones)(例えば米国特許第6,284,781号明細書及び同第6,288,237号明細書参照)及びBMS188797が含まれる。
【0102】
トポイソメラーゼ阻害薬の幾つかの例は、トポテカン(topotecan)、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン(irinotecan)、ルビテカン(rubitecan)、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−カルトロイシン(chartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−k]アクリジン−2−(6H)プロパナミン(propanamine)、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン(camptothecin)、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド(teniposide)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソグイノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2−(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン及びジメスナ(dimesna)である。
【0103】
有糸分裂キネシン、特にヒト有糸分裂キネシンKSPの阻害薬の例は、PCT公開WO第01/30768号明細書及びWO第01/98278号明細書並びに出願係属中の米国特許出願第60/338,779号(2001年12月6日出願)明細書、同第60/338,344号(2001年12月6日出願)明細書、同第60/338,383号(2001年12月6日出願)明細書、同第60/338,380号(2001年12月6日出願)明細書、同第60/338,379号(2001年12月6日出願)明細書及び同第60/344,453号(2001年11月7日出願)明細書に記載されている。
【0104】
「抗増殖薬」には、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231及びINX3001並びに代謝拮抗薬、例えばエノシタビン(enocitabine)、カルモフル(carmofur)、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン(capecitabine)、ガロシタビン(galocitabine)、シタラビン・オクホスファート(cytarabine ocfosfate)、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド(raltitrexed)、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフル(emitefur)、チアゾフリン(tiazofurin)、デシタビン、ノラトレキセド(nolatrexed)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ネルザラビン(nelzarabine)、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン(aplidine)、エクテイナシジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルロウラシル(5−flurouracil)、アラノシン(alanosine)、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン(swainsonine)、ロメトレキソール(lometrexol)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ(methioninase)、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒドチオセミカルバゾン及びトラツズマブ(trastuzumab)が含まれる。
【0105】
モノクローナル抗体ターゲット化治療薬の例には、癌細胞特異的又はターゲット細胞特異的モノクローナル抗体に結合した細胞毒性薬又は放射性同位体を有するこれらの治療薬が含まれる。Bexxarが例示される。
【0106】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害薬」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害薬を指す。HMG−CoAレダクターゼのための阻害活性を有する化合物は、当該技術分野で公知のアッセイを使用することによって容易に特定することができる。例えば米国特許4,231,938号明細書第6欄及び国際特許出願公開WO第84/02131号明細書第30−33頁に記載又は引用されたアッセイ参照。用語「HMG−CoAレダクターゼ阻害薬」及び「HMG−CoAレダクターゼの阻害薬」は、本明細書で使用するとき同じ意味を有する。
【0107】
使用することができるHMG−CoAレダクターゼ阻害薬の例には、これらに限定されないが、ロバスタチン(メバコール(登録商標);米国特許第4,231,938号明細書、同第4,294,926号明細書及び同第4,319,039号明細書参照)、シムバスタチン(ゾコール(登録商標);米国特許4,444,784号明細書、同第4,820,850号明細書及び同第4,916,239号明細書参照)、プラバスタチン(pravastatin)(プラバコール(PRAVACHOL)(登録商標);米国特許4,346,227号明細書、同第4,537,859号明細書、同第4,410,629号明細書、同第5,030,447号明細書及び同第5,180,589号明細書参照)、フルバスタチン(fluvastatin)(レスコール(LESCOL)(登録商標);米国特許5,354,772号明細書、同第4,911,165号明細書、同第4,929,437号明細書、同第5,189,164号明細書、同第5,118,853号明細書、同第5,290,946号明細書及び同第5,356,896号明細書参照)、アトルバスタチン(atorvastatin)(リピトール(LIPITOR)(登録商標);米国特許5,273,995号明細書、同第4,681,893号明細書、同第5,489,691号明細書及び同第5,342,952号明細書参照)並びにセリバスタチン(cerivastatin)(リバスタチン(rivastatin)及びバイコール(BAYCHOL)(登録商標)としても知られている;米国特許5,177,080号明細書参照)が含まれる。本発明の方法で使用することができるこれらの及び追加のHMG−CoAレダクターゼ阻害薬の構造式は、M.Yalpani、「コレステロール低下薬(Cholesterol Lowering Drugs)」、Chemistry & Industry、第85−89頁(1996年2月5日)の第87頁並びに米国特許第4,782,084号明細書及び同第4,885,314号明細書に記載されている。本明細書で使用されるとき、用語「HMG−CoAレダクターゼ阻害薬」には、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の、全ての医薬適合性のラクトン及び開環酸形(即ち、この場合、ラクトン環が開環して遊離酸を形成している)並びに塩及びエステル形が含まれ、それで、このような塩、エステル、開環酸及びラクトン形の使用は、本発明の範囲に含まれる。ラクトン部分とそれの相当する開環酸形の実例を、構造式I及びIIとして以下に示す。
【0108】
【化23】

【0109】
開環酸形が存在し得るHMG−CoAレダクターゼ阻害薬に於いて、塩及びエステル形は、好ましくは、この開環酸から生成することができ、全てのこのような形は、本明細書で使用されるとき用語「HMG−CoAレダクターゼ阻害薬」の意味の中に含まれる。好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬は、ロバスタチン及びシムバスタチン、最も好ましくはシムバスタチンから選択される。本明細書に於いて、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬に関しての用語「医薬適合性の塩」は、一般的に、遊離酸を適切な有機塩基又は無機塩基との反応によって製造される、本発明に於いて使用される化合物の無毒性の塩を意味するものとし、特に、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛及びテトラメチルアンモニウムのようなカチオンから形成されるもの並びにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イル−メチルベンズイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのようなアミンから形成される塩である。HMG−CoAレダクターゼ阻害薬の塩形の別の例には、これらに限定されないが、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム塩、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、トシル酸塩、トリエチオジド(triethiodide)及び吉草酸塩などが含まれてよい。
【0110】
上記のHMG−CoAレダクターゼ阻害薬化合物のエステル誘導体は、温血動物の血流中に吸収されたとき、薬物形を放出してその薬物が改善された治療上の効能を与えることができるように開裂し得るプロドラッグとして作用することができる。
【0111】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬」は、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)及びゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ−II、Rab GGPTアーゼとも呼ばれる)を含む、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ酵素の何れか1種又は何れかの組合せを阻害する化合物を指す。プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害化合物の例には、(±)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、(−)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、(+)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、5(S)−n−ブチル−1−(2,3−ジメチルフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、(S)−1−(3−クロロフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−5−[2−(エタンスルホニル)メチル)−2−ピペラジノン、5(S)−n−ブチル−1−(2−メチルフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、1−(3−クロロフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−2−メチル−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、1−(2,2−ジフェニルエチル)−3−[N−(1−(4−シアノベンジル)−1H−イミダゾール−5−イルエチル)カルバモイル]ピペリジン、4−{5−[4−ヒドロキシメチル−4−(4−クロロピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルイミダゾール−1−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{5−[4−ヒドロキシメチル−4−(3−クロロベンジル)ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルイミダゾール−1−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ベンジル]−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(5−クロロ−2−オキソ−2H−[1,2’]ビピリジン−5’−イルメチル]−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(2−オキソ−2H−[1,2’]ビピリジン−5’−イルメチル]−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−[3−(2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルメチル)−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、18,19−ジヒドロ−19−オキソ−5H,17H−6,10:12,16−ジメテノ−1H−イミダゾ[4,3−c][1,11,4]ジオキサアザシクロノナデシン−9−カルボニトリル、(±)−19,20−ジヒドロ−19−オキソ−5H−18,21−エタノ−12,14−エテノ−6,10−メテノ−22H−ベンゾ[d]イミダゾ[4,3−k][1,6,9,12]オキサトリアザ−シクロオクタデシン−9−カルボニトリル、19,20−ジヒドロ−19−オキソ−5H,17H−18,21−エタノ−6,10:12,16−ジメテノ−22H−イミダゾ[3,4−h][1,8,11,14]オキサトリアザシクロエイコシン−9−カルボニトリル及び(±)−19,20−ジヒドロ−3−メチル−19−オキソ−5H−18,21−エタノ−12,14−エテノ−6,10−メテノ−22H−ベンゾ[d]イミダゾ[4,3−k][1,6,9,12]オキサトリアザシクロオクタデシン−9−カルボニトリルが含まれる。
【0112】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬の他の例は、下記の刊行物及び特許に記載されている。WO第96/30343号、WO第97/18813号、WO第97/21701号、WO第97/23478号、WO第97/38665号、WO第98/28980号、WO第98/29119号、WO第95/32987号,米国特許第5,420,245号、米国特許第5,523,430号、米国特許第5,532,359号、米国特許第5,510,510号、米国特許第5,589,485号、米国特許第5,602,098号、欧州特許公報第0 618 221号、欧州特許公報第0 675 112号、欧州特許公報第0 604 181号、欧州特許公報第0 696 593号、WO第94/19357号、WO第95/08542号、WO第95/11917号、WO第95/12612号、WO第95/12572号、WO第95/10514号,米国特許第5,661,152号、WO第95/10515号、WO第95/10516号、WO第95/24612号、WO第95/34535号、WO第95/25086号、WO第96/05529号、WO第96/06138号、WO第96/06193号、WO第96/16443号、WO第96/21701号、WO第96/21456号、WO第96/22278号、WO第96/24611号、WO第96/24612号、WO第96/05168号、WO第96/05169号、WO第96/00736号、米国特許第5,571,792号、WO第96/17861号、WO第96/33159号、WO第96/34850号、WO第96/34851号、WO第96/30017号、WO第96/30018号、WO第96/30362号、WO第96/30363号、WO第96/31111号、WO第96/31477号、WO第96/31478号、WO第96/31501号、WO第97/00252号、WO第97/03047号、WO第97/03050号、WO第97/04785号、WO第97/02920号、WO第97/17070号、WO第97/23478号、WO第97/26246号、WO第97/30053号、WO第97/44350号、WO第98/02436号、及び米国特許第5,532,359号。血管形成へのプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬の役割の例について、European J.of Cancer、第35巻、第9号、第1394−1401頁(1999年)参照。
【0113】
「血管形成阻害薬」は、機構に関係なく、新しい血管の形成を阻害する化合物を指す。血管形成阻害薬の例には、これらに限定されないが、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害薬のようなチロシンキナーゼ阻害薬、表皮細胞由来、線維芽細胞由来又は血小板由来成長因子の阻害薬、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害薬、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ポリ硫酸ペントサン、シクロオキシゲナーゼ阻害薬(アスピリン及びイブプロフェンのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)並びにセレコキシブ(celecoxib)及びロフェコキシブ(rofecoxib)のような選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬を含む)(PNAS、第89巻、第7384頁(1992年);JNCI、第69巻、第475頁(1982年);Arch.Opthalmo1.、第108巻、第573頁(1990年);Anat.Rec.、第238巻、第68頁(1994年);FEBS Letters、第372巻、第83頁(1995年);Clin、Orthop.、第313巻、第76頁(1995年);J.Mol.Endocrinol.、第16巻、第107頁(1996年);Jpn.J.Pharmacol.、第75巻、第105頁(1997年);Cancer Res.、第57巻、第1625頁(1997年);Cell、第93巻、第705頁(1998年);Intl.J.Mol.Med.、第2巻、第715頁(1998年);J.Biol.Chem.、第274巻、第9116頁(1999年))、ステロイド性抗炎症薬(例えばコルチコステロイド、ミネラロコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、メチルプレド(methylpred)、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コムブレタスタチン(combretastatin)A−4、スクワラミン(squalamine)、6−O−(クロロアセチル−カルボニル)−フマジルオール、サリドマイド、アンギオスタチン(angiostatin)、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(Fernandezら、J.Lab.Clin.Med.、第105巻、第141−145頁(1985年)参照)並びにVEGFに対する抗体(Nature Biotechnology、第17巻、第963−968頁(1999年10月);Kimら、Nature、第362巻、第841−844頁(1993年);国際特許出願公開WO第00/44777号明細書及び国際特許出願公開WO第00/61186号明細書参照)が含まれる。
【0114】
血管形成を変調又は阻害し、本発明の化合物と組み合わせて使用することができる他の治療薬には、凝集及びフィブリン溶解系を変調又は阻害する薬剤が含まれる(Clin.Chem.La.Med.、第38巻、第679−692頁(2000年)に於けるレビュー参照)。凝集及びフィブリン溶解通路を変調又は阻害するこのような薬剤の例には、これらに限定されないが、ヘパリン(Thromb.Haemost.、第80巻、第10−23頁(1998年)参照)、低分子量ヘパリン及びカルボキシペプチダーゼU阻害薬(活性トロンビン活性化性フィブリン溶解阻害薬[TAFIa]の阻害薬としても知られている)(Thrombosis Res.、第101巻、第329−354頁(2001年)参照)が含まれる。TAFIa阻害薬は、米国特許出願第60/310,927号(2001年8月8日出願)明細書及び米国特許出願第60/349,925号(2002年1月18日出願)明細書に記載されている。
【0115】
「細胞サイクルチェックポイントを妨害する薬剤」は、細胞サイクルチェックポイントシグナルを形質導入し、それによって癌細胞をDNA損傷薬に対して増感する、プロテインキナーゼを阻害する化合物を指す。このような薬剤には、ATR、ATM、Chk1及びChk2キナーゼの阻害薬並びにcdk及びcdcキナーゼ阻害薬が含まれ、7−ヒドロキシスタウロスポリン(7−hydroxystaurosporin)、フラボピリドール(flavopiridol)、CYC202(サイクラセル(Cyclacel))及びBMS−387032によって特に例示される。
【0116】
前記のように、NSAIDとの組合せは、強力なCOX−2阻害薬であるNSAIDの使用に指向している。本明細書の目的のために、NSAIDは、それが、細胞又はミクロソームアッセイによって測定したとき、1μM以下のCOX−2の阻害のためのIC50を有する場合強力である。
【0117】
本発明は、また、選択的COX−2阻害薬であるNSAIDとの組合せ物を包含する。本明細書の目的のために、COX−2の選択的阻害薬であるNSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイによって評価した、COX−2についてのIC50割るCOX−1についてのIC50の比によって測定したとき、少なくとも100倍の、COX−1を超えてCOX−2を阻害するための特異性を有するものとして定義される。このような化合物には、これらに限定されないが、米国特許第5,474,995号(1995年12月12日発行)明細書、米国特許第5,861,419号(1999年1月19日発行)明細書、米国特許第6,001,843号(1999年12月14日発行)明細書、米国特許第6,020,343号(2000年2月1日発行)明細書、米国特許第5,409,944号(1995年4月25日発行)明細書、米国特許第5,436,265号(1995年7月25日発行)明細書、米国特許第5,536,752号(1996年7月16日発行)明細書、米国特許第5,550,142号(1996年8月27日発行)明細書、米国特許第5,604,260号(1997年2月18日発行)明細書、米国特許第5,698,584号(1997年12月16日発行)明細書、米国特許第5,710,140号(1998年1月20日発行)明細書、国際特許出願公開WO第94/15932号(1994年7月21日公開)明細書、米国特許第5,344,991号(1994年6月6日発行)明細書、米国特許第5,134,142号(1992年7月28日発行)明細書、米国特許第5,380,738号(1995年1月10日発行)明細書、米国特許第5,393,790号(1995年2月20日発行)明細書、米国特許第5,466,823号(1995年11月14日発行)明細書、米国特許第5,633,272号(1997年5月27日発行)明細書及び米国特許第5,932,598号(1999年8月3日発行)明細書(これらの全ては、本明細書中に参考として援用されている。)に開示されたものが含まれる。
【0118】
本発明の治療方法に於いて特に有用であるCOX−2の阻害薬は、3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン;
【0119】
【化24】

及び5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;
【0120】
【化25】

又はこれらの医薬適合性の塩である。
【0121】
上記のCOX−2阻害薬化合物の製造のための一般的及び特別の合成手順は、米国特許第5,474,995号(1995年12月12日発行)明細書、米国特許第5,861,419号(1999年1月19日発行)明細書及び米国特許第6,001,843号(1999年12月14日発行)明細書(これらの全ては、本明細書中に参考として援用されている。)に記載されている。
【0122】
COX−2の特異阻害薬として記載し、それで本発明に於いて有用である化合物には、これらに限定されないが、下記:
【0123】
【化26】

のもの又はこれらの医薬適合性の塩が含まれる。
【0124】
COX−2の特異阻害薬として記載し、それで本発明に於いて有用である化合物及びそれらの合成方法は、下記の特許、出願係属中の特許出願及び公開公報(これらの全ては、本明細書中に参考として援用されている。)、即ち、国際特許出願公開WO第94/15932号(1994年7月21日公開)明細書、米国特許第5,344,991号(1994年6月6日発行)明細書、米国特許第5,134,142号(1992年7月28日発行)明細書、米国特許第5,380,738号(1995年1月10日発行)明細書、米国特許第5,393,790号(1995年2月20日発行)明細書、米国特許第5,466,823号(1995年11月14日発行)明細書、米国特許第5,633,272号(1997年5月27日発行)明細書及び米国特許第5,932,598号(1999年8月3日発行)明細書に記載されている。
【0125】
COX−2の特異阻害薬であり、それで本発明に於いて有用である化合物及びそれらの合成方法は、下記の特許、出願係属中の特許出願及び公開公報(これらの全ては、本明細書中に参考として援用されている。)、即ち、米国特許第5,474,995号(1995年12月12日発行)明細書、米国特許第5,861,419号(1999年1月19日発行)明細書、米国特許第6,001,843号(1999年12月14日発行)明細書、米国特許第6,020,343号(2000年2月1日発行)明細書、米国特許第5,409,944号(1995年4月25日発行)明細書、米国特許第5,436,265号(1995年7月25日発行)明細書、米国特許第5,536,752号(1996年7月16日発行)明細書、米国特許第5,550,142号(1996年8月27日発行)明細書、米国特許第5,604,260号(1997年2月18日発行)明細書、米国特許第5,698,584号(1997年12月16日発行)明細書及び米国特許第5,710,140号(1998年1月20日発行)明細書に記載されている。
【0126】
血管形成阻害薬の他の例には、これらに限定されないが、エンドスタチン(endostatin)、ウクライン(ukrain)、ランピルナーゼ(ranpirnase)、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバマート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン(squalamine)、コムブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースリン酸(sulfated mannopentaose phosphate)、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホナート)及び3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)が含まれる。
【0127】
前記のように使用するとき、「インテグリンブロッカー」は、αβインテグリンに対する生理学的リガンドの結合を、選択的に拮抗、阻害又は妨害する化合物;αβインテグリンに対する生理学的リガンドの結合を、選択的に拮抗、阻害又は妨害する化合物;αβインテグリンとαβインテグリンの両方に対する生理学的リガンドの結合を拮抗、阻害又は妨害する化合物;及び毛細管内皮細胞上で発現される特定のインテグリン(群)の活性を拮抗、阻害又は妨害する化合物を指す。この用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンの拮抗薬も指す。この用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンの何れかの組み合わせの拮抗薬も指す。
【0128】
チロシンキナーゼ阻害薬の幾つかの特別の例には、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニシュタイン(genistein)、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホナート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン及びEMD121974が含まれる。
【0129】
抗癌薬化合物以外の化合物との組合せ物も、本発明の方法に包含される。例えば、本件特許出願に於いて特許請求された化合物とPPAR−γ(即ち、PPAR−ガンマ)作用薬及びPPAR−δ(即ち、PPAR−デルタ)作用薬との組合せ物が、ある種の悪性疾患の治療で有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは、核内ペルオキシソーム増殖薬応答性受容体γ及びδである。内皮細胞上でのPPAR−γの発現及び血管形成内のその含有は、文献に報告されている。(J.Cardiovasc.Pharmacol.、1998年、第31巻、第909−913頁;J.Biol.Chem.、1999年、第274巻、第9116−9121頁;Invest.Ophthalmol Vis.Sci.、2000年、第41巻、第2309−2317頁)。更に最近、PPAR−γ作用薬が、インビトロでVEGFに対する血管形成性応答を阻害すること、即ち、トログリタゾン(troglitazone)及びマレイン酸ロシグリタゾン(rosiglitazone maleate)がマウスに於ける網膜血管新生の発達を阻害することが示された。(Arch.Ophthamol.2001年、第119巻、第709−717頁)。PPAR−γ作用薬及びPPAR−γ/α作用薬の例には、これらに限定されないが、チアゾリジンジオン(例えばDRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン及びピオグリタゾン(pioglitazone))、フェノフィブラート(fenofibrate)、ジェムフィブロジル、クロフィブラート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5、7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(米国特許出願第09/782,856号明細書に開示されている)及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(米国特許出願第60/235,708号明細書及び同第60/244,697号明細書に開示されている)が含まれる。
【0130】
本発明の他の実施態様は、癌の治療のための遺伝子治療と組み合わせて、本明細書に開示された化合物を使用することである。癌を治療するための遺伝子的戦略の概観について、Hallら(Am J Hum Genet、第61巻、第785−789頁、1997年)及びKufeら(癌薬物(Cancer Medicine)、第5版、第876−889頁、BC Decker、Hamilton、2000年)を参照されたい。遺伝子治療は、全ての腫瘍抑制遺伝子を付与するために使用することができる。このような遺伝子の例には、これらに限定されないが、組換えウイルス仲介遺伝子導入によって付与することができるp53(例えば米国特許第6,069,134号明細書参照)、uPA/uPAR拮抗薬(「uPA/uPAR拮抗薬のアデノウイルス仲介付与は、マウスに於ける血管形成依存性腫瘍成長及び散布を抑制する(Adenovirus−Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis−Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice)」、Gene Therapy、1998年8月、第5(8)巻、第1105−13頁)及びインターフェロン・ガンマ(J Immunol、2000年、第164巻、第217−222頁)が含まれる。
【0131】
本発明の化合物は、また、固有の多剤耐性(MDR)、特に運搬体タンパク質の高レベルの発現に付随するMDRの阻害薬と組み合わせて投薬することができる。このようなMDR阻害薬には、LY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853及びPSC833(バルスポダール(valspodar))のような、p−グリコプロテイン(P−gp)の阻害薬が含まれる。
【0132】
本発明の化合物は、単独で又は放射線治療と共に、本発明の化合物を使用することからもたらされ得る、急性、遅延、後期及び前触れ嘔吐を含む、吐き気又は嘔吐を治療するための制吐薬と結び付けて使用することができる。嘔吐の予防又は治療のために、本発明の化合物は、他の制吐薬、特に、ニューロキニン−1受容体拮抗薬、5HT3受容体拮抗薬、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン(granisetron)、トロピセトロン(tropisetron)及びザチセトロン(zatisetron)、GABAB受容体拮抗薬、例えばバクロフェン、コルチコステロイド、例えばデカドロン(デキサメタゾン)、ケナローグ、アーリストコルト、ナサリド、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)又は米国特許第2,789,118号明細書、同第2,990,401号明細書、同第3,048,581号明細書、同第3,126,375号明細書、同第3,929,768号明細書、同第3,996,359号明細書、同第3,928,326号明細書及び同第3,749,712号明細書に開示されているような他のもの、抗ドーパミン作用薬、例えばフェノチアジン(例えばプロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジン及びメソリダジン)、メトクロプラミド又はドロナビノールと結び付けて使用することができる。本発明の化合物の投薬の際にもたらされる嘔吐の治療又は予防のために、ニューロキニン−1受容体拮抗薬、5HT3受容体拮抗薬及びコルチコステロイドから選択された制吐薬との連結治療が好ましい。
【0133】
本発明の化合物と連係させて使用するニューロキニン−1受容体拮抗薬は、例えば米国特許第5,162,339号、第5,232,929号、第5,242,930号、第5,373,003号、第5,387,595号、第5,459,270号、第5,494,926号、第5,496,833号、第5,637,699号、第5,719,147号;欧州特許公報第EP第0 360 390号、第0 394 989号、第0 428 434号、第0 429 366号、第0 430 771号、第0 436 334号、第0 443 132号、第0 482 539号、第0 498 069号、第0 499 313号、第0 512 901号、第0 512 902号、第0 514 273号、第0 514 274号、第0 514 275号、第0 514 276号、第0 515 681号、第0 517 589号、第0 520 555号、第0 522 808号、第0 528 495号、第0 532 456号、第0 533 280号、第0 536 817号、第0 545 478号、第0 558 156号、第0 577 394号、第0 585 913号、第0 590 152号、第0 599 538号、第0 610 793号、第0 634 402号、第0 686 629号、第0 693 489号、第0 694 535号、第0 699 655号、第0 699 674号、第0 707 006号、第0 708 101号、第0 709 375号、第0 709 376号、第0 714 891号、第0 723 959号、第0 733 632号及び第0 776 893号;PCT国際特許公報第WO90/05525号、第90/05729号、第91/09844号、第91/18899号、第92/01688号、第92/06079号、第92/12151号、第92/15585号、第92/17449号、第92/20661号、第92/20676号、第92/21677号、第92/22569号、第93/00330号、第93/00331号、第93/01159号、第93/01165号、第93/01169号、第93/01170号、第93/06099号、第93/09116号、第93/10073号、第93/14084号、第93/14113号、第93/18023号、第93/19064号、第93/21155号、第93/21181号、第93/23380号、第93/24465号、第94/00440号、第94/01402号、第94/02461号、第94/02595号、第94/03429号、第94/03445号、第94/04494号、第94/04496号、第94/05625号、第94/07843号、第94/08997号、第94/10165号、第94/10167号、第94/10168号、第94/10170号、第94/11368号、第94/13639号、第94/13663号、第94/14767号、第94/15903号、第94/19320号、第94/19323号、第94/20500号、第94/26735号、第94/26740号、第94/29309号、第95/02595号、第95/04040号、第95/04042号、第95/06645号、第95/07886号、第95/07908号、第95/08549号、第95/11880号、第95/14017号、第95/15311号、第95/16679号、第95/17382号、第95/18124号、第95/18129号、第95/19344号、第95/20575号、第95/21819号、第95/22525号、第95/23798号、第95/26338号、第95/28418号、第95/30674号、第95/30687号、第95/33744号、第96/05181号、第96/05193号、第96/05203号、第96/06094号、第96/07649号、第96/10562号、第96/16939号、第96/18643号、第96/20197号、第96/21661号、第96/29304号、第96/29317号、第96/29326号、第96/29328号、第96/31214号、第96/32385号、第96/37489号、第97/01553号、第97/01554号、第97/03066号、第97/08144号、第97/14671号、第97/17362号、第97/18206号、第97/19084号、第97/19942号及び第97/21702号;及び英国特許公報第2 266 529号、第2 268 931号、第2 269 170号、第2 269 590号、第2271 774号、第2 292 144号、第2 293 168号、第2 293 169号、及び第2 302689号に完全に記載されている。このような化合物の製造は、上記の特許及び刊行物(ここに参照して組み入れられる)に完全に記載されている。
【0134】
本発明の化合物と連係させて使用するためのニューロキニン−1受容体拮抗薬は、2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン又はその医薬適合性の塩(これは、米国特許第5,719,147号明細書に記載されている)である。
【0135】
本発明の化合物は、また、貧血の治療で有用である薬物と共に投薬することができる。このような貧血治療薬は、例えば連続赤血球形成受容体活性薬(例えばエポエチンα)である。
【0136】
本発明の化合物は、また、好中球減少症の治療で有用である薬物と共に投薬することができる。このような好中球減少症治療薬は、例えば好中球の産生及び機能を調節する造血成長因子、例えばヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)である。G−CSFの例には、フィルグラスチムが含まれる。
【0137】
本発明の化合物は、また、免疫増強薬物、例えばレバミソール、イソプリノシン(isoprinosine)及びザダキシン(Zadaxin)と共に投薬することができる。
【0138】
それ故、本発明の範囲は、
1)エストロゲン受容体モジュレーター、
2)アンドロゲン受容体モジュレーター、
3)レチノイド受容体モジュレーター、
4)細胞毒性薬、
5)抗増殖薬、
6)プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、
8)HIVプロテアーゼ阻害薬、
9)逆転写酵素阻害薬、
10)血管形成阻害薬、
11)固有の多剤耐性の阻害薬、
12)制吐薬、
13)貧血の治療で有用な薬剤、
14)好中球減少症の治療で有用な薬剤及び
15)免疫増強薬
から選択された第二化合物と組み合わせて、本件特許出願の特許請求の範囲に記載した化合物を使用することを包含する。
【0139】
また、特許請求の範囲には、治療的に有効量の式Aの化合物を、放射線治療と組み合わせて及び/又は
1)エストロゲン受容体モジュレーター、
2)アンドロゲン受容体モジュレーター、
3)レチノイド受容体モジュレーター、
4)細胞毒性薬、
5)抗増殖薬、
6)プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、
8)HIVプロテアーゼ阻害薬、
9)逆転写酵素阻害薬、
10)血管形成阻害薬、
11)固有の多剤耐性の阻害薬、
12)制吐薬、
13)貧血の治療で有用な薬剤、
14)好中球減少症の治療で有用な薬剤及び
15)免疫増強薬
から選択された化合物と組み合わせて、投薬することを含む、癌の治療方法が含まれる。
【0140】
本発明に従った組成物をヒト被検者の中に投薬するとき、毎日用量は、通常、個々の患者の年齢、体重及び応答並びに患者の症状の酷度によって一般的に変化する用量で、処方する医師によって決定される。
【0141】
一つの代表的適用に於いて、Akt/PKBの阻害薬の適切な量が、癌のための治療を受けている哺乳動物に投薬される。投薬は、1日当たり約0.1mg/体重kgから約60mg/体重kg、好ましくは1日当たり約0.5mg/体重kgから約40mg/体重kgの阻害薬の量で行われる。本発明の組成物を含む特別の治療用量には、約0.01mgから約1000mgのAkt/PKBの阻害薬が含まれる。好ましくは、この用量には、約1mgから約1000mgのAkt/PKBの阻害薬が含まれる。
【0142】
特定された全ての特許、刊行物及び出願係属中の特許出願が、本明細書中に参考として援用されている。
【0143】
化学の説明及び下記の実施例で使用した略語は、下記の通りである。
【0144】
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOH エタノール
HOAc 酢酸
MeOH メタノール
NBS N−ブロモスクシンアミド
PS−DIEA ポリスチレンジイソプロピルエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸。
【0145】
本発明の化合物は、文献で公知であるか又は実験的手順で例示されている他の標準的操作に加えて、下記の反応図式に於いて示されているような反応を使用することによって製造することができる。故に、下記の代表的反応図式は、列挙された化合物又は例示目的のために使用される全ての特別の置換基によって限定されない。反応図式に示されるような置換基番号付けは、特許請求の範囲で使用されたものに必ずしも関連付けられず、しばしば、明瞭にするために、単一の置換基が化合物に結合しているように示されるが、この場合でも、前記の式Aの定義の下で複数個の置換基が許容される。
【0146】
本発明の化合物を生成するために使用された反応は、文献で公知であるか又は実験的手順で例示されているような、エステル加水分解、保護基の開裂などのような他の標準的操作に加えて、反応図式IからIIに示されているような反応を使用することによって行われる。
【0147】
これらの反応は、本発明の化合物を得るために一連の順序で使用することができ又はこれらは、続いて、反応図式に記載されたアルキル化反応によって結合されるフラグメントを合成するために使用することができる。
【0148】
反応図式の概要
必須の中間体は、ある場合には市販されており又は文献記載の手順に従って製造することができる。反応図式Iに示すように、適切に置換されたフェニルアセチリドを、ヨウ化銅と反応させて、対応する銅アセチリドI−1を生成させることができる(例えばSonogashira,K.;Toda,Y.;Hagihara,N.、Tetrahedron Lett.、1975年、第4467頁参照)。次いで、中間体I−1を、適切に置換された求電子性フェニル単位と反応させて、非対称的に置換されたジフェニルアセチレンI−2を得ることができる。NBSとの反応、続く加水分解によって、置換されたベンジルI−3が得られる(例えばYusybov,M.S.;Filimonov,V.D.、Synthesis、1991年、第2巻、第131頁参照)。種々の置換された及び置換されていないベンジルを、商業的に得ることもできる。
【0149】
反応図式IIは、適切に置換されたブロモメチルベンジルII−1で出発する、本発明の化合物の製造を例示する。この中間体を、適切なアミンと反応させて中間体II−2を得、これを適切な複素環式ジアミンと反応させて、本発明の化合物のピラジニルの位置異性体混合物を得ることができ、これは、通常、クロマトグラフィー的に分離することができる。
【0150】
反応図式IIIに於いて、複素環式ジアミンは、チオフェン−3,4−ジアミン(ランカスター社(Lancaster)から市販されている)である。
【0151】
反応図式IVに於いて、複素環式ジアミンは、フラン−3,4−ジアミン(例えばYu,Hai Quan;Liu,Yong Jun;Feng,Da Cheng;Liu,Cheng Bu、Chinese Chemical Letters、1999年、第10巻、第937−940頁参照)である。
【0152】
反応図式Vに於いて、複素環式ジアミンは、3,4−ジアミノ−1H−ピラゾール−5−オールである。
【0153】
【化27】

【0154】
【化28】

【0155】
【化29】

【0156】
【化30】

【0157】
【化31】

【0158】
(実施例)
提供される実施例は、本発明の更なる理解を助けることを意図するものである。使用した特別の材料、種及び条件は、本発明の更なる例示であることを意図するものであり、本発明の妥当な範囲を限定するものではない。
【0159】
【化32】

1−(4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}フェニル)−2−フェニルエタン−1,2−ジオン(1−3)
8mLのバイアルに、ブロモメチルベンジル1−1(トロント・リサーチ・ケミカルス社(Toronto Research Chemicals)、500mg、1.65ミリモル)、4−(2−ケト−1−ベンズイミダゾリニル)ピペリジン1−2(アルドリッチ社(Aldrich)、358mg、1.65ミリモル)、PS−DIEA(887mg、3.3ミリモル、3.72mml/g)及び乾燥THF(6mL、0.3M)を入れた。このバイアルをグラスコル(GlasCol)ローテーターの上に置き、2時間回転させた。その後、バイアルの内容物を、10mLのバイオラド(BioRad)チューブを通して濾過し、THFで洗浄し、真空中で濃縮した。次いで、この粗製物質を、アジレント(Agilent)1100シリーズマス・ガイデッド(Mass Guided)HPLC精製システムで精製して、1−3のTFA塩を、薄黄色固体として得た。分析LCMS:2.487分での単一ピーク(214nm)(CHCN/HO/1%TFA、4分勾配)、M+1。H NMR(500MHz,DMSO−d):δ10.9(s,1H),8.05(m,2H),7.93(m,2H),7.79(m,2H),7.63(m,2H),7.24(s,1H),6.98(s,4H),4.47((s,2H),3.5(m,2H),3.2(m,3H),2.61(q,J=11Hz,2H),1.9(d,J=11Hz,2H)。HRMS,C2726(M+H)についての計算値,440.1965;実測値440.1968。
【0160】
1−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン(1−4)
1−(4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}フェニル)−2−フェニルエタン−1,2−ジオン(1−3、44mg、0.1ミリモル)及び3,4−ジアミノチオフェン二塩酸塩(22mg、0.12ミリモル)を、8mLバイアル中で2mLのMeOH/HOAc(9/1)に溶解させた。この溶液を、室温で3時間攪拌した。この時間の後、反応物を真空中で濃縮した。次いで、この粗製物質を、アジレント1100シリーズマス・ガイデッドHPLC精製システムで精製して、1−4のTFA塩を、褐色固体として得た。分析LCMS:2.452分での単一ピーク(214nm)(CHCN/HO/1%TFA、4分勾配)、M+1 ピークm/e 518.2。H NMR(500MHz,DMSO−d):δ10.93(s,1H),δ10.80(s,1H),8.42(d,J=3.1Hz,1H),8.45(d,J=3.1Hz,1H),7.60(d,J=8.5Hz,2H),7.50−7.53(m,3H),7.34−7.42(m,5H),6.99−7.01(m,3H),4.53(d,J=5.3Hz,2H),3.36−3.48(m,2H),3.17(q,J=12.1Hz,1H),2.8(q,J=13.4Hz,2H),1.91(d,J=13.2Hz,2H)。HRMS,C3128OS(M+H)についての計算値,518.2009;実測値518.2001。
【0161】
反応図式1に於ける化合物1−2を適切に置換された環式アミンで又は反応図式1及びIIに於ける3,4−ジアミノチオフェンを適切に置換された芳香族ジアミンで置き換えた以外は、反応図式1に示したようにして、表1の化合物を合成した。特に記載しない限り、示した化合物のTFA塩は、マス・ガイデッドHPLC精製によって単離した。
【0162】
【表1】



【実施例1】
【0163】
ヒトAktイソフォーム及びΔPH−Akt1のクローン化
pS2ネオベクター(ATCC PTA−3253として、2001年4月3日にATCCに寄託した)を、下記のようにして調製した。pRmHA3ベクター(Nucl.Acid Res.、第16巻、第1043−1061頁(1988年)に記載されているようにして調製した)を、BglIIで切断し、2734bpフラグメントを単離した。pUChsネオベクター(EMBO J.、第4巻、第167−171頁(1985年)に記載されているようにして調製した)も、BglIIで切断し、4029bpバンドを単離した。これらの2個の単離したフラグメントを、一緒に連結反応させて、ベクター末端pS2ネオ−1を生成した。このプラスミドには、メタロチオニン(metallothionine)プロモーターとアルコールデヒドロゲナーゼポリA付加部位との間のポリリンカーが含有されている。これは、また、熱ショックプロモーターによって駆動されるネオレジスタンス(neo resistance)遺伝子を有する。pS2ネオ−1ベクターをPsp5II及びBsiWIで切断した。2個の相補オリゴヌクレオチドを合成し、次いでアニールした(CTGCGGCCGC(配列番号1)及びGTACGCGGCCGCAG(配列番号2))。切断したpS2ネオ−1及びアニールしたオリゴヌクレオチドを、一緒に連結反応させて、第二ベクターpS2ネオを生成した。この転換に於いて、S2細胞へのトランスフェクションの前に線形化に於いて助けるために、NotI部位を付加した。
【0164】
ヒトAkt1遺伝子を、ヒト脾臓cDNA(クロンテク社(Clontech))からのPCR(クロンテク社)によって、5’プライマー:
【0165】
【化33】

及び3’プライマー:
【0166】
【化34】

を使用して増幅した。5’プライマーには、EcoRI及びBglII部位が含まれていた。3’プライマーには、クローン化目的のためのXbaI及びBamHI部位が含まれていた。得られたPCR産物を、EcoRI/XbaIフラグメントとしてpGEM3Z(プロメガ社(Promega))の中にサブクローン化した。発現/精製目的のために、中間Tタグ(tag)を、PCRプライマー:5’GTACGATGCTGAACGATATCTTCG3’(配列番号5)を使用して、全長Akt1遺伝子の5’端部に付加した。得られたPCR産物は、5’KpnI部位及び3’BamHI部位を包含しており、これらを使用して、ビオチンタグ含有昆虫細胞発現ベクター、pS2ネオで、フレーム内のフラグメントをサブクローン化した。
【0167】
Akt1のプレクストリン相同ドメイン(PH)欠失(Akt1ヒンジ部の一部の欠失を含むΔaa4−129)バージョンの発現のために、PCR欠失突然変異誘発を、テンプレートとしてpS2ネオベクター中の全長Akt1遺伝子を使用して行った。PCRは、欠失を包含するオーバーラップ内部プライマー
【0168】
【化35】

並びにKpnI部位及び5’端部に中間Tタグを包含する5’及び3’フランキングプライマーを使用する2工程で実施した。最終PCR産物は、KpnI及びSmaIで消化し、pS2ネオ全長Akt1 KpnI/SmaI切除ベクターに連結反応して、この切除部分をクローンの5’端部が欠失したバージョンで有効に置き換えた。
【0169】
ヒトAkt3遺伝子を、成人脳cDNAのPCR(クロンテク社)によって、アミノ末端オリゴプライマー:
【0170】
【化36】

及びカルボキシ末端オリゴプライマー:
【0171】
【化37】

を使用して増幅した。これらのプライマーには、クローン化目的のための5’EcoRI/BglII部位及び3’XbaI/BalII部位が含まれていた。得られたPCR産物を、pGEM4Z(プロメガ社)のEcoRI及びXbaI部位の中にクローン化した。発現/精製目的のために、中間Tタグを、PCRプライマー:
【0172】
【化38】

を使用して、全長Akt3クローンの5’端部に付加した。得られたPCR産物は、ビオチンタグ含有昆虫細胞発現ベクター、pS2ネオでフレーム内でクローン化を可能にする、5’KpnI部位を包含していた。
【0173】
ヒトAkt2遺伝子を、ヒト胸腺cDNAからのPCR(クロンテク社)によって、アミノ末端オリゴプライマー:
【0174】
【化39】

及びカルボキシ末端オリゴプライマー:5’
【0175】
【化40】

を使用して増幅した。これらのプライマーには、クローン化目的のための5’HindIII/BglII部位及び3’EcoRI/BamHI部位が含まれていた。得られたPCR産物を、pGem3Z(プロメガ社)のHindIII/EcoRI部位の中にサブクローン化した。発現/精製目的のために、中間Tタグを、PCRプライマー:5’
【0176】
【化41】

を使用して、全長Akt2の5’端部に付加した。得られたPCR産物を、上記のようにして、pS2ネオベクターの中にサブクローン化した。
【実施例2】
【0177】
ヒトAktイソフォーム及びΔPH−Akt1の発現
pS2ネオ発現ベクター内に、クローン化したAkt1、Akt2、Akt3及びΔPH−Akt1遺伝子を含有するDNAを精製し、リン酸カルシウム法によってDrosophilaS2細胞(ATCC)をトランスフェクトするために使用した。抗生物質(G418、500μg/mL)耐性細胞のプールを選択した。細胞を1.0L体積まで膨張させ(約7.0×10/mL)、ビオチン及びCuSOを、それぞれ50μM及び50mMの最終濃度まで添加した。細胞を27℃で72時間成長させ、遠心分離によって収穫した。この細胞ペーストを、必要になるまで−70℃で凍結した。
【実施例3】
【0178】
ヒトAktイソフォーム及びΔPH−Akt1の精製
実施例2に記載したS2細胞1リットルからの細胞ペーストを、緩衝液A:(50mM トリスpH7.4、1mM EDTA、1mM EGTA、0.2mM AEBSF、10μg/mL ベンズアミジン、それぞれ5μg/mLのロイペプチン、アプロチニン及びペプスタチン、10%グリセロール並びに1mM DTT)中の1%CHAPS50mLで、超音波処理することによって溶解させた。可溶性画分を、9mg/mLの抗中間Tモノクローナル抗体を充項した、プロテインGセファロースファーストフロー(ファルマシア社(Pharmacia))カラム上で、25%のグリセロールを含有する緩衝液A中の75μM EYMPME(配列番号14)ペプチドで溶離して、精製した。Akt/PKB含有画分をプールし、タンパク質純度をSDS−PAGEによって評価した。精製したタンパク質を、標準ブラッドフォード(Bradford)プロトコルを使用して定量した。精製したタンパク質を、液体窒素で急速冷凍させ、−70℃で貯蔵した。
【0179】
S2細胞から精製したAkt及びAktプレクストリン相同ドメイン欠失物は、活性化を必要とした。Akt及びAktプレクストリン相同ドメイン欠失物を、10nM PDK1(アップステート・バイオテクノロジー社(Upstate Biotechnology,Inc.))、脂質小胞(10μMホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスファート、メトレヤ社(Metreya,Inc.)、100μMホスファチジルコリン及び100μMホスファチジルセリン、アバンチ・ポーラー・リピッヅ社(Avanti Polar lipids,Inc.))及び活性化緩衝液(50mM トリスpH7.4、1.0mM DTT、0.1mM EGTA、1.0μM ミクロシスチン−LR、0.1mM ATP、10mM MgCl、333μg/mL BSA及び0.1mM EDTA)を含有する反応物中で活性化した(Alessiら、Current Biology、第7巻、第261−269頁)。この反応物を22℃で4時間インキュベーションした。アリコートを液体窒素中で急速冷凍した。
【実施例4】
【0180】
Aktキナーゼアッセイ
活性化したAktイソフォーム及びプレクストリン相同ドメイン欠失構造体を、GSK誘導ビオチニル化ペプチド基質を使用してアッセイした。ペプチドのリン酸化の程度は、ペプチドのビオチン単位に結合する、ストレプトアビジン結合アロフィコシアニン(allophycocyanin)(SA−APC)発蛍光団と組み合わせて、ホスホペプチドについて特異的なランタニドキレート(ランス(Lance))結合モノクローナル抗体を使用する、均一時間分解蛍光(Homogeneous Time Resolved Fluorescence)(HTRF)によって決定した。ランス及びAPCが近接している(即ち、同じホスホペプチド分子に結合している)とき、非発光エネルギー移動が、ランスからAPCの方に起こり、続いてAPCから665nmで光が放射する。
【0181】
このアッセイのために必要な材料:
A.活性化Aktアイソザイム又はプレクストリン相同ドメイン欠失構造体。
【0182】
B.Aktペプチド基質:GSK3α(S21)ペプチド第3928号ビオチン−GGRARTSSFAEPG(配列番号15)、マクロモレキュラー・リソースズ社(Macromolecular Resources)。
【0183】
C.ランス標識抗ホスホGSK3αモノクローナル抗体(セル・シグナリング・テクノロジー社(Cell Signaling Technology)、クローン#27)。
【0184】
D.SA−APC(プロザイム社(Prozyme)カタログ番号PJ25Sロット第896067号)。
【0185】
E.マイクロフルオル(Microfluor)(登録商標)B U字型底マイクロタイタープレート(ダイネックス・テクノロジーズ社(Dynex Technologies)、カタログ第7205号)。
【0186】
F.ディスカバリー(Discovery)(登録商標)HTRFマイクロプレートアナライザー、パッカード・インスツルメント社(Packard Instrument Company)。
【0187】
G.100Xプロテアーゼ阻害薬カクテル(PIC):1mg/mLベンズアミジン、0.5mg/mLペプスタチン、0.5mg/mLロイペプチン、0.5mg/mLアプロチニン。
【0188】
H.10Xアッセイ緩衝液:500mM HEPESpH7.5、1%PEG、mM EDTA、1mM EGTA、1% BSA、20mM リン酸β−グリセロール。
【0189】
I.クエンチ緩衝液:50mM HEPESpH7.3、16.6mM EDTA、0.1%BSA、0.1%トリトン(Triton)X−100、0.17nM ランス標識モノクローナル抗体クローン#27、0.0067mg/mL SA−APC。
【0190】
J.ATP/MgCl作動溶液:1Xアッセイ緩衝液、1mM DTT、1X PIC、125mM KCl、5%グリセロール、25mM MgCl、375μM ATP。
【0191】
K.酵素作動溶液:1Xアッセイ緩衝液、1mM DTT、1X PIC、5%グリセロール、活性Akt。最終酵素濃度は、アッセイが直線応答範囲内であるように選択された。
【0192】
L.ペプチド作動溶液:1Xアッセイ緩衝液、1mM DTT、1X PIC、5%グリセロール、2μM GSK3ビオチニル化ペプチド#3928。
【0193】
反応は、16μLのATP/MgCl作動溶液を、96ウエルマイクロタイタープレートの適切なウエルに添加することによって組み立てる。阻害薬又はビヒクル(1.0μL)を添加し、続いて10μLのペプチド作動溶液を添加する。反応を、13μLの酵素作動溶液を添加し、混合することによって開始する。反応を50分間進行させ、次いで60μLのHTRFクエンチ緩衝液を添加することによって停止させる。停止した反応物を室温で少なくとも30分間インキュベーションし、次いでディスカバリー装置上で読み取る。
【0194】
PKAアッセイ
それぞれの個々のPKAアッセイは、下記の成分からなる。
【0195】
A.5X PKAアッセイ緩衝液(200mM トリスpH7.5、100mM MgCl、5mM β−メルカプトエタノール、0.5mM EDTA)。
【0196】
B.水中に希釈したケンプチド(Kemptide)(シグマ社(Sigma))の50μMストック。
【0197】
C.1.0μLの33P−ATP[10mCi/mL]を、200μLの未標識ATPの50μMストックの中に希釈することによって調製した33P−ATP。
【0198】
D.0.5mg/mL BSA中に希釈した、PKA触媒サブユニット(UBI社カタログ#14−114)の70nMストック10μL。
【0199】
E.PKA/ケンプチド作動溶液:等体積の、5X PKAアッセイ緩衝液、ケンプチド溶液及びPKA触媒サブユニット。
【0200】
反応は、96深ウエルアッセイプレート内で組み立てる。阻害薬又はビヒクル(10μL)を、10μLの33P−ATP溶液に添加する。反応を、30μLのPKA/ケンプチド作動溶液をそれぞれのウエルに添加することによって開始する。反応物を混合し、室温で20分間インキュベーションした。反応を、50μLの100mM EDTA及び100mMピロリン酸ナトリウムを添加し、混合することによって停止した。
【0201】
酵素反応生成物(リン酸化したケンプチド)をp81ホスホセルロース96ウエルフィルタープレート(ミリポア社(Millipore))上に集めた。プレートを調製するために、p81フィルタープレートのそれぞれのウエルに、75mMリン酸を充填した。プレートの底に真空を適用することによって、ウエルを、フィルターを通して空にした。それぞれのウエルに、リン酸(75mM、170μL)を添加した。それぞれの停止したPKA反応物からの30μLのアリコートを、リン酸を含有するフィルタープレート上の対応するウエルに添加した。ペプチドを、真空を用いながらフィルター上に捕捉し、フィルターを75mMリン酸で5回洗浄した。最終洗浄の後、フィルターを空気乾燥させた。それぞれのウエルにシンチレーション液(30μL)を添加し、フィルターをトップカウント(TopCount)(パッカード社)上でカウントした。
【0202】
PKCアッセイ
それぞれのPKCアッセイは、下記の成分からなる。
【0203】
A.10X PKC共活性化緩衝液:2.5mM EGTA、4mM CaCl
【0204】
B.5X PKC活性化緩衝液:1.6mg/mLホスファチジルセリン、0.16mg/mLジアシルグリセロール、100mM トリスpH7.5、50mM MgCl、5mM β−メルカプトエタノール。
【0205】
C.1.0μLの33P−ATP[10mCi/mL]を、100μLの未標識ATPの100μMストックの中に希釈することによって調製した33P−ATP。
【0206】
D.水中に希釈したミエリン塩基性タンパク質(350μg/mL、UBI)。
【0207】
E.0.5mg/mLのBSA中に希釈したPKC(50ng/mL、UBIカタログ#14−115)。
【0208】
F.PKC/ミエリン塩基性タンパク質作動溶液:PKC共活性化緩衝液及びミエリン塩基性タンパク質のそれぞれ5体積を、PKC活性化緩衝液及びPKCのそれぞれ10体積と混合することによって調製した。
【0209】
アッセイは、96深ウエルアッセイプレート内で組み立てた。阻害薬又はビヒクル(10μL)を、5.0μLの33P−ATPに添加した。反応を、PKC/ミエリン塩基性タンパク質作動溶液を添加し、混合することによって開始した。反応物を30℃で20分間インキュベーションした。反応を、50μLの100mM EDTA及び100mMピロリン酸ナトリウムを添加し、混合することによって停止した。リン酸化したミエリン塩基性タンパク質を、96ウエルフィルタープレート内のPVDF膜上に集め、シンチレーションカウントによって定量した。
【0210】
本発明の特定の化合物を、上記のアッセイで試験し、Akt1、Akt2及びAkt3の1種又は2種以上に対して≦20μMのIC50を有することが見出された。
【実施例5】
【0211】
Akt/PKBの阻害を決定するための細胞ベースアッセイ
細胞(例えば、活性化Akt/PKBを有するLnCaP又はPTEN(−/−)腫瘍細胞系)を、100mM皿内で平板培養した。細胞がほぼ70から80%集密になったとき、細胞に5mLの新しい培地を再供給し、試験化合物を溶液中に添加した。対照には、未処理の細胞、ビヒクル処理した細胞及びそれぞれ20μM又は200nMでLY294002(シグマ社(Sigma))又はウォルトマンニン(シグマ社)で処理した細胞が含まれていた。細胞を、2、4又は6時間インキュベーションし、培地を除去した。細胞を、PBSで洗浄し、かき集め、遠心分離管に移した。これらをペレット化し、PBSで再び洗浄した。最後に、細胞ペレットを、細胞溶解緩衝液(20mM トリスpH8、140mM NaCl、2mM EDTA、1%トリトン、1mM ピロリン酸ナトリウム、10mM リン酸β−グリセロール、10mM NaF、0.5mm NaVO、1μM ミクロシスチン及び1×プロテアーゼ阻害薬カクテル)中に再懸濁させ、氷の上に15分間置き、ゆっくりかき混ぜて、細胞を溶解させた。この溶解液を、ベックマン(Beckman)卓上超遠心分離器内で、100,000×gで4℃で20分間回転した。上澄み液タンパク質を、標準ブラッドフォードプロトコル(バイオラド)によって定量し、必要になるまで−70℃で貯蔵した。
【0212】
タンパク質を、透明になった溶解液から下記のようにして免疫沈降(IP)させた。Akt1/PKBαのために、溶解液を、NETN(100mM NaCl、20mM トリスpH8.0、1mM EDTA、0.5% NP−40)中でサンタ・クルズ(Santa Cruz)sc−7126(D−17)と混合し、プロテインA/Gアガロース(サンタ・クルズsc−2003)を添加した。Akt2/PKBβのために、溶解液をNETN中で抗Akt−2アガロース(アップステート・バイオテクノロジー社#16−174)と混合し、Akt3/PKBγのために、溶解液をNETN中で抗Akt3アガロース(アップステート・バイオテクノロジー社#16−175)と混合した。これらのIPを一晩4℃でインキュベーションし、洗浄し、SDS−PAGEによって分離した。
【0213】
ウェスタンブロット(Western blot)を使用して、全Akt、pThr308 Akt1、pSer473 Akt1並びにAkt2及びAkt3上の対応するリン酸化部位並びにAktの下流の標的を、特異抗体(セル・シグナリング・テクノロジー社):アンチ−トータルAkt(カタログ番号9272)、アンチ−ホスホAktセリン473(カタログ番号9271)及びアンチ−ホスホAktトレオニン308(カタログ番号9275)を使用して分析した。PBS+0.5%脱脂粉乳(NFDM)中に希釈した適切な一次抗体と共に、4℃で一晩インキュベーションした後、ブロットを洗浄し、PBS+0.5%NFDM中の西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識二次抗体と共に、室温で1時間インキュベーションした。タンパク質を、ECL試薬(アメルシャム/ファルマシア・バイオテック社(Amersham/Pharmacia Biotech)RPN2134)で検出した。
【実施例6】
【0214】
ヘレグリン(heregulin)刺激Akt活性化
MCF7細胞(PTEN+/+であるヒト乳癌系)を、100mMプレート当たり1×10細胞で平板培養した。細胞が70から80%集密になったとき、これに5mLの血清を含まない培地を再供給し、一晩インキュベーションした。翌朝、化合物を添加し、細胞を1から2時間インキュベーションし、その後、ヘレグリンを(Aktの活性化を誘発するために)30分間添加し、細胞を前記のようにして分析した。
【実施例7】
【0215】
腫瘍成長の阻害
癌細胞の成長の阻害のインビボ効能は、当該技術分野で公知の幾つかのプロトコルによって確認することができる。
【0216】
PI3K経路(例えばLnCaP、PC3、C33a、OVCAR−3、MIDA−MB−468等)の調節解除を示すヒト腫瘍細胞系を、6から10週齢の雌ヌードマウス(ハルラン社(Harlan))の左脇腹の中に、0日で皮下注射する。これらのマウスを、ビヒクルグループ、化合物グループ又は組合せ治療ループに、ランダムに指定する。毎日の皮下投薬を1日で始め、実験の期間続ける。あるいは、阻害薬試験化合物を、連続式注入ポンプによって投薬することができる。化合物、化合物組合せ物又はビヒクルを、0.2mLの全体積で付与する。ビヒクル治療した動物の全てが、直径0.5から1.0cmの病変を示したとき、典型的に、細胞を注入して4から5.5週後に、腫瘍を切除し、秤量する。それぞれの細胞系について、それぞれの治療グループに於ける腫瘍の平均重量を計算する。
【配列表】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
式A:
【化1】

[式中、
nは、0、1、2又は3であり、
pは、0、1、2又は3であり、
rは、0又は1であり、
sは、0又は1であり、
mは、0又は1であり、
aは、0又は1であり、
bは、0又は1であり、
X、Y及びZは、独立に、C、N、S又はOから選択され、但し、X、Y又はZの少なくとも1個はN、S又はOであり、
【化2】

は、1から3個のRによって場合により置換された複素環であり、
Qは、H、−NR及び複素環から選択され、該複素環は、1から3個のRによって場合により置換されており、
及びRは、独立に、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)(C=O)−Cシクロアルキル、
7)COH、
8)ハロ、
9)CN、
10)OH、
11)O−Cペルフルオロアルキル、
12)O(C=O)NR
13)NR(C=O)NR
14)S(O)
15)S(O)NR
16)NRS(O)
17)オキソ、
18)CHO、
19)NO
20)NR(C=O)O
21)O(C=O)O−C10アルキル、
22)O(C=O)O−Cシクロアルキル、
23)O(C=O)Oアリール及び
24)O(C=O)O複素環
から選択され、該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル及びシクロアルキルは、1個又は2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており、
及びRは、独立に、
1)H、
2)(C=O)−C10アルキル、
3)(C=O)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル、
6)(C=O)ヘテロシクリル、
7)(C=O)−Cシクロアルキル、
8)OH、
9)C−Cペルフルオロアルキル、
10)S(O)及び
11)CHO
から選択され、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており又は
及びRは、それらが結合している窒素と一緒になって、窒素に加えて、1から3個の、N、O及びSから選択されたヘテロ原子を場合により含有する、それぞれの環内に4から7員を有する、単環式若しくは二環式複素環を形成することができ、該単環式若しくは二環式複素環は、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており、
及びRは、独立に、
1)H、
2)(C=O)−C10アルキル、
3)(C=O)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル、
6)(C=O)ヘテロシクリル、
7)(C=O)−Cシクロアルキル、
8)OH、
9)C−Cペルフルオロアルキル、
10)(C=O)NR
11)S(O)
12)S(O)NR及び
13)CHO
から選択され、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており又は
及びRは、それらが結合している窒素と一緒になって、窒素に加えて、1から3個の、N、O及びSから選択されたヘテロ原子を場合により含有する、それぞれの環内に4から7員を有する、単環式若しくは二環式複素環を形成することができ、該単環式若しくは二環式複素環は、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており、
は、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)(C−C)アルキレン−S(O)
4)オキソ、
5)OH、
6)ハロ、
7)CN、
8)(C=O)(C−C10)アルケニル、
9)(C=O)(C−C10)アルキニル、
10)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
13)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
14)C(O)R
15)(C−C)アルキレン−CO
16)C(O)H、
17)(C−C)アルキレン−COH、
18)C(O)N(R
19)S(O)
20)NR(C=O)O
21)O(C=O)O−C10アルキル、
22)O(C=O)O−Cシクロアルキル、
23)O(C=O)Oアリール及び
24)O(C=O)O複素環
から選択され、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルは、3個以下の、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ及びN(Rから選択された置換基によって場合により置換されており、
は、置換された若しくは置換されていない(C−C)アルキル、置換された若しくは置換されていない(C−C)アルケニル、置換された若しくは置換されていない(C−C)アルキニル、置換された若しくは置換されていない(C−C)シクロアルキル、置換された若しくは置換されていないアリール、(C−C)ペルフルオロアルキル、2,2,2−トリフルオロエチル又は置換された若しくは置換されていないヘテロシクリルであり、
は、H、(C−C)アルキル、置換された若しくは置換されていないアリール、置換された若しくは置換されていないベンジル、置換された若しくは置換されていないヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)であり、及び
は、
1)H、
2)C−C10アルキル、
3)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル、
6)ヘテロシクリル、
7)C−Cシクロアルキル、
8)C−Cペルフルオロアルキル
から選択され、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されている]
の化合物又はその医薬適合性の塩若しくは立体異性体。
【請求項2】
式中、
nが、0又は1であり、
【化3】

が、2−アゼピノン、ベンズイミダゾリル、ベンズイミダゾロニル、2−ジアザピノン、イミダゾリル、2−イミダゾリジノン、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノン、2−ピリミジノン、2−ピロリジノン、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル及びチエニルから選択された複素環であり、該複素環が1から3個のRによって場合により置換されており、
Qが、H及び−NRから選択され、
及びRが、独立に、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)(C=O)−Cシクロアルキル、
7)COH、
8)ハロ、
9)CN、
10)OH、
11)O−Cペルフルオロアルキル、
12)S(O)
13)NRS(O)
14)オキソ、
15)CHO、
16)NO
17)NR(C=O)O
18)O(C=O)O−C10アルキル、
19)O(C=O)O−Cシクロアルキル、
20)O(C=O)Oアリール、
21)O(C=O)O複素環及び
22)NH
から選択され、該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル及びシクロアルキルが、1個又は2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されている、請求項1に記載の化合物又はその医薬適合性の塩若しくは立体異性体。
【請求項3】
式中、
【化4】

が、
【化5】

から選択された複素環であり、該複素環が1から3個のRによって場合により置換されており、
Qが、−NRから選択され、
及びRが、独立に、
1)H、
2)(C=O)−C10アルキル、
3)(C=O)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル、
6)(C=O)ヘテロシクリル、
7)(C=O)−Cシクロアルキル、
8)OH、
9)C−Cペルフルオロアルキル、
10)S(O)及び
11)CHO
から選択され、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルが、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されており又は
及びRが、それらが結合している窒素と一緒になって、窒素に加えて、1から3個の、N、O及びSから選択されたヘテロ原子を場合により含有する、それぞれの環内に4から7員を有する、単環式若しくは二環式複素環を形成することができ、該単環式若しくは二環式複素環が、1個若しくは2個以上の、Rから選択された置換基によって場合により置換されている、請求項2に記載の化合物又はその医薬適合性の塩若しくは立体異性体。
【請求項4】
式中、
Qが、
【化6】

(式中、Rは、二環式構造上のどこかに結合していてよい)
から選択され、
及びRが、独立に、
1)(C−C)アルキル、
2)(C−C10)アルキル−OH、
3)COH、
4)ハロ、
5)CN、
6)OH、
7)オキソ、
8)CHO、
9)NO及び
10)NH
から選択され、
が、独立に、
1)(C−C)アルキル、
2)(C−C10)アルキル−OH、
3)COH、
4)ハロ、
5)CN、
6)OH、
7)オキソ、
8)CHO、
9)NO及び
10)NH
から選択される、請求項3に記載の化合物又はその医薬適合性の塩若しくは立体異性体。
【請求項5】
1−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
N−エチル−N’−{(3R)−1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}ウレア;
N−{(3R)−1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド;
9−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−9H−プリン−6−アミン;
2−(4−{[4−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}フェニル)−3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン;
9−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−9H−プリン;
{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メタノール;
2−{4−[(2−メチル−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)メチル]フェニル}−3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン;
1−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
N−{(3R)−1−[4−(3−ヒドロキシ−5−フェニル−2H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン−6−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド;及び
1−{1−[4−(3−ヒドロキシ−5−フェニル−2H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン−6−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
から選択された化合物又はこれらの医薬適合性の塩若しくは立体異性体。
【請求項6】
1−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
N−エチル−N’−{(3R)−1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}ウレア;
N−{(3R)−1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド;
9−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−9H−プリン−6−アミン;
2−(4−{[4−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}フェニル)−3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン;
9−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−9H−プリン;
{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}メタノール;
2−{4−[(2−メチル−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)メチル]フェニル}−3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン;
1−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
N−{(3R)−1−[4−(3−ヒドロキシ−5−フェニル−2H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン−6−イル)ベンジル]ピロリジン−3−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド;及び
1−{1−[4−(3−ヒドロキシ−5−フェニル−2H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン−6−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
である、請求項1に記載の化合物のTFA塩又はこれらの立体異性体。
【請求項7】
1−{1−[4−(3−フェニルチエノ[3,4−b]ピラジン−2−イル)ベンジル]ピペリジン−4−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン又はその医薬適合性の塩若しくは立体異性体から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
医薬的担体及びその中に分散された治療的に有効量の請求項1に記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項9】
医薬的担体及びその中に分散された治療的に有効量の請求項6に記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項10】
哺乳動物に、治療的に有効量の請求項1に記載の化合物を投薬することを含む、哺乳動物に於ける1種又は2種以上のAktのイソフォームの阻害方法。
【請求項11】
哺乳動物に、治療的に有効量の請求項6に記載の化合物を投薬することを含む、哺乳動物に於ける1種又は2種以上のAktのイソフォームの阻害方法。
【請求項12】
それが必要である哺乳動物に、治療的に有効量の請求項1に記載の化合物を投薬することを含む、癌の治療方法。
【請求項13】
それが必要である哺乳動物に、治療的に有効量の請求項6に記載の化合物を投薬することを含む、癌の治療方法。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物と医薬適合性の担体とを組み合わせることによって製造された医薬組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物と医薬適合性の担体とを組み合わせることを含む医薬組成物の製造方法。
【請求項16】
更に、
1)エストロゲン受容体モジュレーター、
2)アンドロゲン受容体モジュレーター、
3)レチノイド受容体モジュレーター、
4)細胞毒性薬、
5)抗増殖薬、
6)プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、
8)HIVプロテアーゼ阻害薬、
9)逆転写酵素阻害薬、
10)血管形成阻害薬、
11)固有の多剤耐性の阻害薬、
12)制吐薬、
13)貧血の治療で有用な薬剤、
14)好中球減少症の治療で有用な薬剤及び
15)免疫増強薬
から選択された第二化合物を含有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項17】
第二化合物が、チロシンキナーゼ阻害薬、表皮細胞由来成長因子の阻害薬、線維芽細胞由来成長因子の阻害薬、血小板由来成長因子の阻害薬、MMP阻害薬、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ポリ硫酸ペントサン、シクロオキシゲナーゼ阻害薬、カルボキシアミドトリアゾール、コムブレタスタチンA−4、スクワラミン、6−O−(クロロアセチル−カルボニル)−フマジルオール、サリドマイド、アンギオスタチン及びトロポニン−1からなる群から選択された血管形成阻害薬である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
第二化合物がタモキシフェン及びラロキシフェンから選択されたエストロゲン受容体モジュレーターである、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
放射線治療と組み合わせて、治療的に有効量の請求項1に記載の化合物を投薬することを含む、癌の治療方法。
【請求項20】
1)エストロゲン受容体モジュレーター、
2)アンドロゲン受容体モジュレーター、
3)レチノイド受容体モジュレーター、
4)細胞毒性薬、
5)抗増殖薬、
6)プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、
8)HIVプロテアーゼ阻害薬、
9)逆転写酵素阻害薬、
10)血管形成阻害薬、
11)固有の多剤耐性の阻害薬、
12)制吐薬、
13)貧血の治療で有用な薬剤、
14)好中球減少症の治療で有用な薬剤及び
15)免疫増強薬
から選択された化合物と組み合わせて、治療的に有効量の請求項1に記載の化合物を投薬することを含む、癌の治療又は予防方法。
【請求項21】
放射線治療並びに
1)エストロゲン受容体モジュレーター、
2)アンドロゲン受容体モジュレーター、
3)レチノイド受容体モジュレーター、
4)細胞毒性薬、
5)抗増殖薬、
6)プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、
8)HIVプロテアーゼ阻害薬、
9)逆転写酵素阻害薬、
10)血管形成阻害薬、
11)固有の多剤耐性の阻害薬、
12)制吐薬、
13)貧血の治療で有用な薬剤、
14)好中球減少症の治療で有用な薬剤及び
15)免疫増強薬
から選択された化合物と組み合わせて、治療的に有効量の請求項1に記載の化合物を投薬することを含む、癌の治療方法。
【請求項22】
治療的に有効量の請求項1に記載の化合物及びパクリタクセル又はトラツズマブを投薬することを含む、癌の治療又は予防方法。

【公表番号】特表2006−507299(P2006−507299A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550130(P2004−550130)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/034007
【国際公開番号】WO2004/041162
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】