説明

CMOSイメージセンサー及びイメージセンサーを形成する方法

【課題】 フォトダイオードと絶縁膜との界面における光の反射率を最小化し、イメージ
感度を向上させたCMOSイメージセンサーを提供すること。
【解決手段】 Siのフォトダイオード12が形成された基板10と、基板10の上に形
成されるSiOの絶縁膜14と、基板10及び絶縁膜14の間に介在する半反射膜13
と、絶縁膜14の上に形成され、単位画素を構成する複数の金属配線M1〜M4と、カラ
ーフィルター19と、マイクロレンズ21とを備えているCMOSイメージセンサーであ
って、半反射膜13の屈折率が、Siのフォトダイオード12の屈折率とSiOの絶縁
膜14の屈折率との間の値である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CMOSイメージセンサーに関し、特に、フォトダイオードと絶縁膜との間
の界面での光の反射率を最小化し、感度を向上することができるCMOSイメージセンサ
ーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、CMOSイメージセンサーの各ピクセルは、多様な用途の複数のトランジスタ
と1つのフォトダイオードとから構成されている。CMOSイメージセンサーでは、まず
、光がシリコン(Si)のフォトダイオードに入射すると、フォトダイオード中での光電
変換によって電子とホールとが生じ、この電子による電気信号をイメージ信号として伝達
する。
【0003】
CMOSイメージセンサーに入射した光がフォトダイオードに100%到達することが
最も理想的であるが、高画質、高解像度の要求に伴ってピクセルの大きさが益々減少し、
ピクセル当りのフォトダイオードが占める面積比率が30%以下に減少するようになって
きている。このために、実際に入射する光の30%以下しかフォトダイオードに入射でき
ないので、各ピクセルの上にマイクロレンズを設けて90%以上の光をフォトダイオード
に収束させている。
【0004】
一方、フォトダイオード及びトランジスタの上には、複数層の金属配線が形成されてお
り、マイクロレンズを通って入射する光は、複数層の絶縁膜を通過してフォトダイオード
に入射することになる。この過程において、光は100%透過するのではなく、ある程度
反射が生じるが、この反射は隣接する材料間の屈折率の差が大きいほど大きくなる。一般
に、ピクセル構造において最も反射が大きい箇所は、ドープシリコンの一種であるフォト
ダイオード及びSiO系列の絶縁膜であり、下記の表1に示したように、反射率が15
%程度にも達する。
【0005】
表1は、Siのフォトダイオードと、その上に形成されるSiO系列の絶縁膜との構
造における反射率を示す。ここで、Siのフォトダイオードは、屈折率nが3.4で、そ
の上に形成される絶縁膜の屈折率nは1.5である。
【0006】
【表1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、反射率を15%以下に下げるために、フォトダイオードと絶縁膜との間に、屈折
率2.1のSiNの反射膜がコートされた構造を採用すると、反射率を略8%に下げるこ
とができる。しかし、そのような構造を採用した場合でも、マイクロレンズと複数層の絶
縁膜との界面での反射率を合せれば、最小でも10%以上の損失をもたらすという問題が
ある。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであって、光の損失が最も大きいSiのフ
ォトダイオードとSiOの絶縁膜との間に、その屈折率がSiのフォトダイオードの屈
折率とSiOの絶縁膜の屈折率との間にある半反射膜を介在させることによって、反射
率を最小化してマイクロレンズを通って入射する光が最大限にフォトダイオードに到達で
きるCMOSイメージセンサーを提供することに、その目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明によれば、Siのフォトダイオードが形成され
た基板と、該基板の上に形成されるSiOの絶縁膜と、前記基板及び前記絶縁膜の間に
介在する半反射膜と、前記絶縁膜の上に形成され、単位画素を構成する複数の金属配線と
、カラーフィルターと、マイクロレンズとを備えているCMOSイメージセンサーであっ
て、前記半反射膜の屈折率が、前記Siのフォトダイオードの屈折率と前記SiOの絶
縁膜の屈折率との間の値であることを特徴とするCMOSイメージセンサーを提供するこ
とができる。
【0010】
前記半反射膜には、ダイヤモンド、SiC及びSiNからなる群の中から選択される
いずれか一つの単一膜を用いることができる。ここで、前記半反射膜としてダイヤモンド
の単一膜を用いる場合、該ダイヤモンド単一膜は、屈折率が2.5以上3.4以下であり
、厚さが500Å以上5000Å以下であることができる。また、前記半反射膜としてS
iCの単一膜を用いる場合、該SiC単一膜は、屈折率が2.5以上3.4以下であるこ
とができる。一方、前記半反射膜としてSiNの単一膜を用いる場合、該SiN単一
膜は屈折率が1.9以上2.4以下であり、厚さが500Å以上5000Å以下であるこ
とができる。
【0011】
前記半反射膜は、SiN膜及びSiO1−x(0<x<1)からなる二重膜構造
を有することができる。ここで、SiO1−x膜は、屈折率が1.5以上2.1以下
であり、厚さが500Å以上5000Å以下であることができる。
【0012】
前記半反射膜は、SiC/SiN膜又はSiC/SiN1−x/SiO
−x膜のいずれか一方の構造を有することができる。ここで、該SiN1−x/Si
1−x膜は、屈折率が1.5から3.4まで連続に変化し、厚さが500Å以上5
000Å以下であることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光の損失が最も大きいSiのフォトダイオードとSiOの絶縁膜と
の間に、Siのフォトダイオードの屈折率とSiOの絶縁膜の屈折率との間の種々の屈
折率を有する半反射膜を介在させることによって、反射率を最小化することができ、マイ
クロレンズを通って入射する光が最大限にフォトダイオードに到達することができる。従
って、本発明を、百万画素以上のCMOSイメージセンサーに適用することによって、高
画質のイメージを具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るCMOSイメージセンサーの構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るCMOSイメージセンサーのうち、フォトダイオード/半反射膜/絶縁膜の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面に基づいて詳述する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係るCMOSイメージセンサーの構造を示す断面図であ
り、図2は、本発明の実施の形態に係るCMOSイメージセンサーにおけるフォトダイオ
ード/半反射膜/絶縁膜の構造を示す断面図である。
【0017】
本実施の形態に係るCMOSイメージセンサーは、図1に示すように、Siのフォトダ
イオード(PD)12及び素子分離膜11を備えた基板10と、基板10の上方に形成さ
れる第1の絶縁膜14と、フォトダイオード12及び第1の絶縁膜14の間に介在する半
反射膜13と、第1の絶縁膜14の上に形成される第1の金属配線M1と、第1の金属配
線M1を含めて第1の絶縁膜14の上に形成される第2の絶縁膜15と、第2の絶縁膜1
5の上に形成される第2の金属配線M2と、第2の金属配線M2を含めて第2の絶縁膜1
5の上に形成される第3の絶縁膜16と、第3の絶縁膜16の上に形成される第3の金属
配線M3と、第3の金属配線M3を含めて第3の絶縁膜16の上に形成される第4の絶縁
膜17と、第4の絶縁膜17の上に形成される第4の金属配線M4と、第4の金属配線M
4を含めて第4の絶縁膜16の上に形成される第5の絶縁膜18と、第5の絶縁膜18の
上に形成される赤(R)、緑(G)及び青(B)のカラーフィルター19と、カラーフィ
ルター19全体を覆う平坦化膜20と、平坦化膜20の上に形成されるマイクロレンズ2
1とを備えて構成されている。
【0018】
半反射膜13の屈折率は、Siのフォトダイオード12の屈折率とSiOの第1の絶
縁膜14の屈折率との間の値である。ここで、Siのフォトダイオード12の屈折率は3
.4であり、SiOの第1の絶縁膜14の屈折率は1.5である。即ち、本実施の形態
に係る半反射膜13の屈折率は、1.5以上3.4以下の間の値である。
【0019】
半反射膜13の材料には、(1)ダイヤモンド、SiC及びSiNからなる群の中の
いずれか一つの単一膜、(2)SiN/SiO1−xの二重膜(ここで、0<x<
1)、または(3)SiC/SiN又はSiC/SiN1−x/SiO1−
のいずれか一方の構造の膜(図2参照)を用いることができる。
【0020】
半反射膜13として単一膜を採用する場合((1)に該当)には、次の(a)〜(c)
とすることができる。
(a)ダイヤモンドの単一膜を用いる場合:ダイヤモンド膜は、2.5以上3.4以下の
屈折率及び500Å以上5000Å以下の厚さを有するように形成される。
(b)SiCの単一膜を用いる場合:SiC膜は、屈折率が2.5以上3.4以下になる
ように形成される。
(c)SiNの単一膜を用いる場合:SiN膜は、1.9以上2.4以下の屈折率及
び500Å以上5000Å以下の厚さを有するように形成される。
【0021】
半反射膜13として二重膜を採用する場合((2)に該当)には、SiO1−x
は、1.5以上2.1以下の屈折率及び500Å以上5000Å以下の厚さを有するよう
に形成される。
【0022】
半反射膜13として、xが一定である単一組成のSiC/SiNの膜、又はSiC
/SiN1−x/SiO1−xの膜のいずれか一方の構造を採用する場合((3
)に該当)には、SiC/SiN1−x/SiO1−x膜は、1.5から3.
4まで連続に変化する屈折率を有し、且つ500Å以上5000Å以下の厚さを有するよ
うに形成される。
【0023】
以下では、上記した構成のCMOSイメージセンサーの製造方法について述べる。
【0024】
最初に、半導体基板10の上に、素子間の電気的な絶縁のための素子分離膜11を形成
する。ここで、素子分離膜11はLOCOS(Local Oxidation Of
Silicon)法で形成してもよく、トレンチ構造を有していてもよい。
【0025】
続いて、素子分離膜11を含めて基板10の上に、ゲート電極(図示せず)を形成した
後、イオン注入を行ってSiのフォトダイオード12を形成し、トランジスタのソース/
ドレイン及びセンスノードを形成するためのイオン注入(図示せず)を施す。
【0026】
その次に、フォトダイオード12及び素子分離膜(フィールド酸化膜)11を含む構造
全体の上に、半反射膜13及び第1の絶縁膜14を順に形成する。
【0027】
ここで、半反射膜13としてダイヤモンドの単一膜を用いる場合(上記した(1)の場
合)、ダイヤモンド単一膜をプラズマCVD(Chemical Vapor Depo
sition)法で形成する。また、半反射膜13としてSiCの単一膜を用いる場合、
SiC単一膜をCVDまたはPECVD(Plasma Enhanced CVD)法
で形成する。一方、半反射膜13としてSiNの単一膜を用いる場合(x=1)、Si
単一膜は、1.9以上2.4以下、望ましくは、下記の表2に示したように2.1の
屈折率を有する。
【0028】
【表2】

表2には、フォトダイオード/半反射膜/第1の絶縁膜の積層構造がSi/SiN/S
iOの構造である場合における反射率を示す(表2で、nは屈折率である)。
【0029】
半反射膜13としてSiN/SiO1−xの二重膜を用いる場合(上記した(2
)の場合)、SiO1−x膜は、窒素ソース(NH)及び酸素ソース(TEOSま
たはO)の比率を時間に応じて連続的に変化させつつ、CVDまたはPECVD法によ
って形成され得る。即ち、SiO1−x膜は、xが一定の単一組成の膜、または0<
x<1の範囲においてxが連続に変化する組成の膜である。
【0030】
上記した(3)の場合、半反射膜13としてSiC/SiNの単一組成膜、またはS
iC/SiN1−x/SiO1−x膜を用いるが、このうちでSiC/SiN
(x=1の場合)の単一組成膜を用いる場合、下記の表3に示したように、SiCの屈折
率が2.4、SiNの屈折率が2.1である。
【0031】
【表3】

表3は、フォトダイオード/半反射膜/第1の絶縁膜がSi/SiC/SiN/SiO
構造である場合、即ち、フォトダイオードがSi、半反射膜がSiC/SiN、第1の
絶縁膜がSiOである場合における反射率を示している(表3で、nは屈折率である)

【0032】
一方、半反射膜にSiC/SiN1−x/SiO1−x膜を用いる場合(図
2参照)、SiO1−x膜は、SiC→SiN→SiOのように、組成が連続して
変化するように反応ガスの量を調節しながら、CVDまたはPECVD法を用いて形成さ
れる。
【0033】
以上によって半反射膜13及び第1の絶縁膜14を形成した後、第1の絶縁膜14の上
に、単位画素を構成する第1〜第4の金属配線M1、M2、M3及びM4を形成する。こ
こで、第1〜第4の金属配線M1、M2、M3及びM4は、フォトダイオード12への入
射光を遮蔽しないような位置に配設される。一方、各層の単位画素構成用の第1〜第4金
属配線M1、M2、M3及びM4の間には、電気的な絶縁のための第2〜第5の絶縁膜1
5、16、17及び18の各々を形成する。
【0034】
続いて、第5の絶縁膜18の上に赤(R)、緑(G)及び青(B)のカラーフィルター
19の各々を形成し、各々のカラーフィルター19を覆うように平坦化膜20を形成する
。その後、平坦化膜20の上にマイクロレンズ21を形成する。以上によって、本発明の
実施の形態に係るCMOSイメージセンサーが製造される。
【符号の説明】
【0035】
10 基板
11 素子分離膜
12 フォトダイオード
13 半反射膜
14 第1の絶縁膜
15 第2の絶縁膜
16 第3の絶縁膜
17 第4の絶縁膜
18 第5の絶縁膜
19 カラーフィルター
20 平坦化膜
21 マイクロレンズ
M1 第1の金属配線
M2 第2の金属配線
M3 第3の金属配線
M4 第4の金属配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Siのフォトダイオードが形成された基板と、該基板の上に形成されるSiOの絶縁
膜と、前記基板及び前記絶縁膜の間に介在する半反射膜と、前記絶縁膜の上に形成され、
単位画素を構成する複数の金属配線と、カラーフィルターと、マイクロレンズとを備えて
いるCMOSイメージセンサーであって、
前記半反射膜の屈折率が、Siの前記フォトダイオードの屈折率とSiOの前記絶縁
膜の屈折率との間の値であることを特徴とするCMOSイメージセンサー。
【請求項2】
前記半反射膜が、ダイヤモンド、SiC及びSiNからなる群の中から選択されるい
ずれか一つの単一膜であることを特徴とする請求項1に記載のCMOSイメージセンサー

【請求項3】
ダイヤモンドの前記単一膜は、屈折率が2.5以上3.4以下であり、厚さが500Å
以上5000Å以下であることを特徴とする請求項2に記載のCMOSイメージセンサー

【請求項4】
SiCの前記単一膜の屈折率が、2.5以上3.4以下であることを特徴とする請求項
2に記載のCMOSイメージセンサー。
【請求項5】
SiNの前記単一膜は、屈折率が1.9以上2.4以下であり、厚さが500Å以上
5000Å以下であることを特徴とする請求項2に記載のCMOSイメージセンサー。
【請求項6】
前記半反射膜が、xを0<x<1の範囲の値として、SiN膜及びSiO1−x
膜からなる二重膜の構造を有することを特徴とする請求項1に記載のCMOSイメージセ
ンサー。
【請求項7】
前記SiO1−x膜は、屈折率が1.5以上2.1以下であり、厚さが500Å以
上5000Å以下であることを特徴とする請求項6に記載のCMOSイメージセンサー。
【請求項8】
前記半反射膜が、単一組成のSiC/SiN膜、又は、xを0<x<1の範囲の値と
して組成が連続的に変化するSiC/SiN1−x/SiO1−x膜のいずれ
か一方の構造を有することを特徴とする請求項1に記載のCMOSイメージセンサー。
【請求項9】
前記SiN1−x/SiO1−x膜は、屈折率が1.5から3.4まで連続に
変化し、厚さが500Å以上5000Å以下であることを特徴とする請求項8に記載のC
MOSイメージセンサー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−186487(P2012−186487A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102716(P2012−102716)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2005−142170(P2005−142170)の分割
【原出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(511234806)インテレクチュアル・ヴェンチャーズ・II・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (16)
【Fターム(参考)】