説明

CNS状態の治療に有用なN−メチルヒドロキシエチルアミン

アルツハイマー病のような神経変性状態を含むCNS状態を治療するのに有用なN−メチルヒドロキシエチレンアミンを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、中枢神経系(CNS)の状態を治療するのに有用なN−メチルヒドロキシエチルアミン化合物;それを含む医薬組成物;そして、このような状態、及びベータ−セクレターゼの阻害が必要とされる状態を治療する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
中枢神経系に影響を及ぼす状態は、アルツハイマー病のような神経変性状態を含む。種々のこれらの状態は、脳の身体的変化に代表される。例えば、ある種の病状は、神経原線維のもつれ及び/又はプラーク堆積物の存在によって証明され、それが進行するにつれて、複数の領域で認知、運動、知覚及び他の機能障害を引き起こす。一般に、このプラークは、主にベータ−アミロイドから構成させ、それは、蓄積する傾向にある非常に凝集性のあるタンパク質であって、最終的に細胞障害及び細胞死を引き起こし得る不溶性堆積物を形成する。ベータ−アミロイド(Aβ)は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)から誘導され、いくつかのアイソフォームで存在する膜貫通型タンパク質であり、より顕著には、695、714又は771個のアミノ酸(APP695、APP714、APP751、APP771と命名される)を含有する。ベータ−アミロイドの形成は、種々のプロテアーゼによってAPPの一連の切断による:ベータ−セクレターゼは、N末端でAPPを切断し、一方、ガンマ−セクレターゼは、C末端でAPPを切断する。得られる断片は、38、40、42又は43個のアミノ酸のタンパク質(Aβ1-38、Aβ1-40、Aβ1-42、Aβ1-43と命名される)である。この断片は、神経系に毒性である前述のタンパク性堆積物を形成するために、他のこのような不溶性断片と一緒に蓄積する細胞外空間に放出される。
【0003】
このような状態に関する研究中の治療戦略の中には、ベータ−セクレターゼ及び/又はAPPの進行を効率的に阻害し、ベータ−アミロイドを減少させ、プラーク堆積及び関連する病状を改善するであろう化合物の開発である。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
本発明は、ベータ−セクレターゼを阻害する特徴を有する式(I):
【化1】

で表されるN−メチルヒドロキシエチルアミン化合物に関する。
【0005】
発明の詳細な説明
上記の式によって表される本発明の化合物は、限定されずに、その(R)又は(S)鏡像異性体、ジアステレオマーを含む全ての立体異性形態、その医薬として許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ、又は前述のいずれかを含む。医薬として許容される塩は、当該技術分野において既知の方法によって理解され、及びそれに従って製造されるような酸付加塩、塩基付加塩等を含む。本発明の化合物はまた、光学的中心を有してもよく、したがって、種々の鏡像異性的立体配置で発生し、それら全ては、本明細書中に受け入れられる。本発明の化合物は、さらに、放射性標識した形態を含み、例えば、1又はそれより多くのH、C、F原子等は、その放射性種で置換される。
【0006】
当業者に認識されるように、式Iの使用は、利便性があり、本発明は、本明細書中に個別に確認され、及び記載されているかのように、各々の及び全ての種を想像し、包含するように理解される。つまり、本発明は、式Iに含まれる各々の種を別個に、そして、種の組み合わせ及び置換のいずれか及び全てをそれぞれ是認する。
【0007】
式(I)に話を変えると:一態様において、aは、0、1、2又は3であり;bは、0、1、2又は3であり;各Rは、独立して、ハロゲン、OH、CN、SH、NH2、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、S(C1-6アルキル)、NH(C1-6アルキル)、N(C1-6アルキル)(C1-6アルキル)、NHC(=O)O(C1-6アルキル)、NHSO2(C1-6アルキル)、C(=O)NH(C1-6アルキル)、C(=O)N(C1-6アルキル)(C1-6アルキル)、C6-10アリール、(5〜12員)ヘテロアリールであり、ここで、前述の各アルキル基は、独立して、場合により、最大3個のF、OH又はC1-3アルコキシ基で置換されてもよい。言及されるように、各Rは、独立して、前述のものから選択することができ、即ち、各々の及び全てのRは、bの値に関係なく、同一であるか又は異なっていることができ;R*は、H、C1-6アルキル、−(CH20-5(C6−C10アリール)、−(CH20-5(5〜12員)ヘテロアリールであり;そして、Arは、下記の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)から選択される:
【0008】
(A)C6-10アリール、(5〜12員)ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−W−(C6-10アリール)、(C6-10アリール)−W−(5〜12員)ヘテロアリール、(C6-10アリール)−W−(5〜7員)ヘテロシクロアルキル、(5〜12員)ヘテロアリール−W−(C6-10アリール)、(5〜12員)ヘテロアリール−W−(5〜12員)ヘテロアリール、(5〜12員)ヘテロアリール−W−(5〜7員)ヘテロシクロアルキル、(5〜7員)ヘテロシクロアルキル−W−(C6-10アリール)、(5〜7員)ヘテロシクロアルキル−W−(5〜12員)ヘテロアリール、(5〜7員)ヘテロシクロアルキル−W−(5〜7員)ヘテロシクロアルキル{ここで、Wは、−(CH20-4−、−O−、−C(=O)−、−S(=O)0-2−、−N(RN-5)−から選択され、RN-5は、本明細書中に定義される通りである};
【0009】
(B)−C(=O)(C1-10アルキル){ここで、アルキルは、場合により、独立して、OH;C1-6アルコキシ;C1-6チオアルコキシ;C(=O)ORN-8;−(C=O)NRN-2N-3;−C(=O)RN-4;−SO2(C1-8アルキル);−SO2NRN-2N-3;−NHC(=O)(C1-6アルキル);−NHC(=O)ORN-8;−NRN-2N-3;−RN-4;−OC(=O)(C1-6アルキル);−O−C(=O)NRN-8N-8(ここで、各RN-8は、同一であるか又は異なっている);−O(C1-6アルキル)C(=O)OH;−O−(C1-6アルキル)(ここで、アルキルは、最大3個のハロゲンで場合により置換される);−HNSO2(C1-6アルキル);F;Clから選択される最大3個の置換基(「SB」として本明細書中で命名される)で置換される};
【0010】
(C)−C(=O)(C1-6アルキル)O(C1-6アルキル){ここで、各アルキルは、場合により、独立して、(A)で定義した最大3個の置換基SBで置換される};
(D)−C(=O)(C1-6アルキル)S(C1-6アルキル){ここで、各アルキルは、場合により、独立して、(A)で定義した最大3個の置換基SBで置換される};
【0011】
(E)−C(=O)CH(−(CH20-2−O−RN-10)−(CH20-2−(C6-10アリール)、又は−C(=O)CH(−(CH20-2−O−RN-10)−(CH20-2−(5〜12員)ヘテロアリール;あるいは、
【0012】
(F)−C(=O)(C3-8シクロアルキル){ここで、前記シクロアルキルは、場合により、独立して、−(CH20-4OH;−(CH20-41-6アルコキシ;−(CH20-41-6チオアルコキシ;−(CH20-4C(=O)−O−RN-8;−(CH20-4C(=O)−NRN-2N-3;−(CH20-4C(=O)−RN-4;−(CH20-4SO2−(C1-6アルキル);−(CH20-4SO2−NRN-2N-3;−(CH20-4NH−C(=O)−(C1-6アルキル);−NH−C(=O)−O−RN-8;−(CH20-4NRN-2N-3;−(CH20-4N-4;−O−C(=O)−(C1-6アルキル);−O−C(=O)−NRN-8N-8(ここで、各RN-8は、同一であるか又は異なっている);−O−(C1-6アルキル)−C(=O)OH;−O−(C1-6アルキル)(ここで、前記アルキルは、場合により、最大3個のハロゲンで置換される);−HNSO2(C1-6アルキル);F;Clから選択される最大2個の置換基で置換される}。
【0013】
他に指示がない限り、用語及び置換基、並びにそれ関連する変形体の下記の代表的な定義を与える:
「ハロゲン」及び「ハロ」等は、独立して、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)及びヨード(I)を含む。
【0014】
「アルキル」は、用語「アルコキシ」、「チオアルコキシ」及び「アルキオキシ」等に出現するかもしれないものを含み、直線状又は分岐した部分を有する飽和した一価の炭化水素ラジカルを含む。アルキル基の例は、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、及びt−ブチルを含む。
【0015】
「アルケニル」及び「アルキニル」は、それぞれ、少なくとも1個の炭素−炭素の二重結合又は三重結合を有するアルキル部分を含む。
「シクロアルキル」は、非芳香族の飽和した環状アルキル部分を含み、アルキルは、上記で定義される。例は、限定されずに、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル;並びに、2又は3個の環から成る非芳香族の飽和した炭素環基であるそれぞれビシクロアルキル及びトリシクロアルキル基(ここで、前記環は、少なくとも1個の炭素原子を共有する)を含む。本明細書中で他に指示がない限り、ビシクロアルキル基は、スピロ基及び縮合環基、例えば、ビシクロ−[3.1.0]−ヘキシル、ビシクロ−[2.2.1]−ヘプト−1−イル、ノルボルニル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[4.4]ノニル、スピロ[4.3]オクチル及びスピロ[4.2]ヘプチルを含む。トリシクロアルキル基の例は、アダマンタニルである。シクロアルキル基はまた、1又はそれ以上のオキソ部分、例えば、オキソシクロペンチル及びオキソシクロブチルで置換された基を含む。
【0016】
認識されるように、用語(CH20-5等は、指示された炭素数まで(ここでは、5)のメチレン連結の任意の存在を意味し、連結の置換基は、通常又は分岐の配置、例えば、(CH20-5(C6-10アリール)であってもよく、アリールは、メチレン鎖において分岐又は通常の位置であってもよい。
【0017】
本明細書中で定義され、及び使用される用語「アルキル」、「アルコキシ」、「チオアルコキシ」、「アルキオキシ」、「アルケニル」、「アルキニル」、「シクロアルキル」は、さらに、各々、場合により、最大3個のフッ素(F)で置換されてもよいその部分を含むことが意図され、このような置換基は、具体的に、任意又は他に言及されているかどうかは関係がない。
【0018】
「治療」及び「治療すること」は、このような用語が適用する障害又は状態、あるいは、このような状態又は障害の1又はそれより多くの兆候を反転し、軽減し、進行を阻害し、又は予防することを意味する。本明細書中で使用するとき、用語はまた、患者の状態に依存して、障害を予防することを包含し、それに関連した任意の兆候の開始及び/又は再発を予防すること、並びに障害の重症度又は開始前の任意のその兆候を低下させることを含む。
【0019】
「哺乳類」は、分類「哺乳綱」の任意のメンバーを意味し、限定されないが、ヒト、イヌ、及びネコを含む。
「状態」は、疾患又は障害を意味する。
【0020】
「アリール」は、芳香族炭化水素から1個の水素の除去によって誘導される有機ラジカル;及び、少なくとも1個の環が芳香族である縮合環基を意味する。限定されない例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラリニル、インダニル、ジヒドロナフチル、インデニル、フルオレニル及び6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[a]シクロヘプテニルを含む。本明細書中で是認されるアリール基は、さらに、場合により、独立して、最大3個の下記の任意の置換基(1)−(39)で置換されてもよい:
【0021】
(1)場合により、C1-3アルキル、ハロゲン、OH、SH、CN、CF3、C1-3アルコキシ、NR1-a1-b(ここで、R1-a及びR1-b;このようなC1-6アルキル置換アリール基は、例えば、ベンジルを含む)から選択される最大3個の置換基で置換される−C1-6アルキル;(2)OH;(3)NO2;(4)ハロゲン、好ましくは、F;(5)−C(=O)OH;(6)−CN;(7)−(CH20-4C(=O)NRN-2N-3;(8)−(CH20-4C(=O)(C1-12アルキル);(9)−(CH20-4C(=O)(C2-12アルケニル)(ここで、アルケニルは、1、2又は3個の二重結合を有する);(10)−(CH20-4C(=O)(C2-12アルキニル)(ここで、アルキニルは、1、2又は3個の三重結合を有する);(11)−(CH20-4C(=O)(C3-7シクロアルキル);(12)−(CH20-4C(=O)(C6-10アリール);(13)−(CH20-4C(=O)(5〜12員)ヘテロアリール;
【0022】
(14)−(CH20-4C(=O)(5〜7員)ヘテロシクロアルキル;(15)−(CH20-4C(=O)RN-4;(16)−(CH20-4C(=O)ORN-5;(17)−(CH20-4SO2−NRN-2N-3;(18)−(CH20-4S(=O)(C1-6アルキル);(19)−(CH20-4SO2−(C1-12アルキル);(20)−(CH20-4SO2(C3-7シクロアルキル);(21)−(CH20-4N(H又はRN-5)C(=O)ORN-5(ここで、各RN-5は、同一であるか又は異なっていることができる);(22)−(CH20-4N(H又はRN-5)−C(=O)N(RN-52(ここで、各RN-5は、同一であるか又はことなっていることができる);(23)−(CH20-4N−C(=S)N(RN-52(ここで、各RN-5は、同一であるか又は異なっている);(24)−(CH20-4N(H又はRN-5)−C(=O)RN-2;(25)−(CH20-4NRN-2N-3;(26)−(CH20-4N-4
【0023】
(27)−(CH20-4OC(=O)(C6-10アリール);(28)−(CH20-4OP(=O)−(O−C6-10アリール)2;(29)−(CH20-4OC(=O)N(RN-52(ここで、RN-5は、同一であるか又は異なっている);(30)−(CH20-4OC(=S)N(RN-52(ここで、RN-5は、同一であるか又は異なっていてもよい);(31)−(CH20-4O(RN-52(ここで、各RN-5は、同一であるか又は異なってもよい);(32)−(CH20-4O(RN-52−C(=O)OH(ここで、各RN-5は、同一であるか又は異なっていてもよい);(33)−(CH20-4S(RN-52(ここで、各RN-5は、同一であるか又は異なっていてもよい);(34)得られるように最大5個のFで場合により置換された−(CH20-4(C1-6アルキル);(35)C3-7シクロアルキル;(36)1又は2個の二重結合を有するC2-6アルケニル(前記アルケニルは、場合により、C1-3アルキル、ハロゲン、OH、SH、CN、CF3、C1-3アルコキシ、NR1-a1-bで置換される);(37)1又は2個の三重結合を有する−C2-6アルキニル(前記アルキニルは、場合により、C1-3アルキル、ハロゲン、OH、SH、CN、CF3、C1-3アルコキシ、NR1-a1-bで置換される);(38)−(CH20-4N(H又はRN-5)SO2N-2;あるいは、(39)−(CH20-43-7シクロアルキル。
【0024】
「ヘテロアリール」は、1又はそれより多くのヘテロ原子(O、S又はN)、好ましくは、1〜4個のヘテロ原子を含有する1又はそれより多くの芳香族基から構成されるヘテロアリール基を意味する。本明細書中で使用されるとき、1又はそれより多くのヘテロ原子を含有する複合環式基(基の少なくとも1個の環は芳香族である)はまた、「ヘテロアリール」基である。本発明のヘテロアリール基はまた、1又はそれより多くの互変異性形態(例えば、ケト、エノール等の形態)で存在し、及び/又は1又はそれより多くのオキソ部分で置換された環系を含むことができる。
【0025】
ヘテロアリール基の例は、限定されずに、キノリル、イソキノリル、1,2,3,4−テトラヒドログイノリル、1,2,4−トリザイニル、1,3,5−トリアジニル、1−オキソイソインドリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ジヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、及びアザインドリル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ピリダジニル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、インドリジニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニリル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサゾロピリジニル、
【0026】
イミダゾピリジニル、イソチアゾリル、ナルフチリジニル、シノリニル、カルバゾイル、ベータ−カルボリニル、イソクロマニル、クロマニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、ピリドピリジニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、プリニル、ベンゾジオキソリル、トリアジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、プテリジニル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、ジヒドロベンズイソキサジニル、ベンズイソキサジニル、ベンゾキサジニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、コウマリニル、イソコウマリニル、クロモニル、クロマノニル、ピリジニル−N−オキシド、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロキノリノニル、
【0027】
ジヒドロイソキノリノニル、ジヒドロコウマリニル、ジヒドロイソコウマリニル、イソインドリノニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾキサゾリノニル、ピロリルN−オキシド、ピリミジニルN−オキシド、ピリダジニルN−オキシド、ピラジニルN−オキシド、キノリニルN−オキシド、インドリルN−オキシド、インドリニルN−オキシド、イソキノリルN−オキシド、キナゾリニルN−オキシド、キノキサリニルN−オキシド、フタラジニルN−オキシド、イミダゾリルN−オキシド、イソキサゾリルN−オキシド、オキサゾリルN−オキシド、チアゾリルN−オキシド、インドリジニルN−オキシド、インダゾリルN−オキシド、ベンゾチアゾリルN−オキシド、ベンズイミダゾリルN−オキシド、ピロリルN−オキシド、オキサジアゾリルN−オキシド、チアジアゾリルN−オキシド、トリアゾリルN−オキシド、テタラゾリルN−オキシド、ベンゾチオピラニルS−オキシド、ベンゾチオピラニルS,S−ジオキシドである。
【0028】
各ヘテロアリールはまた、場合により、独立して、最大4個の任意の下記の置換基(1)−(13)で置換されてもよい:(1)C1-6アルキル(ここで、前記アルキルは、場合により、C1-3アルキル、ハロゲン、OH、SH、NR1-a1-b、CN、CF3、C1-3アルコキシから選択される最大3個の置換基で置換される);(2)1又は2個の二重結合を有するC2-6アルケニル(前記アルケニルは、場合により、F、Cl、OH、SH、CN、CF3、C1-3アルコキシ、NR1-a1-bから選択される最大3個の置換基で置換される);(3)1又は2個の三重結合を有するC2-6アルキニル(前記アルキニルは、場合により、F、Cl、OH、SH、CN、CF3、C1-3アルコキシ、NR1-a1-bから選択される最大3個の置換基で置換される);(4)ハロゲン;(5)C1-6アルコキシ(前記アルコキシは、場合により、Fで置換される);(6)NRN-2N-3;(7)OH;(8)CN;(9)C3-7シクロアルキル(ここで、前記シクロアルキルは、場合により、F、Cl、OH、SH、CN、CF3、C1-3アルコキシ、NR1-a1-bから選択される最大3個の置換基で置換される);(10)C(=O)(C1-4アルキル);(11)SO2NR1-a1-b;(12)C(=O)NR1-a1-b;(13)SO2(C1-4アルキル)。
【0029】
「ヘテロシクロアルキル」及び「ヘテロ環式」は、各々、O、S及びNから選択される、1又はそれより多くのヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を含有する1又はそれより多くの非芳香族環式基のヘテロシクロアルキル基を意味する。ヘテロ環式基はまた、1又はそれより多くのオキソ部分で置換された環系を含む。限定されないが、ヘテロ環式基の例は、アジリジニル、アゼチジニル、アゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリノ、チオモルホリノ、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、キノリジニル、キヌクリジニル、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デシル、1,4−ジオキサスピロ[4.4]ノニル、1,4−ジオキサスピロ[4.3]オクチル、及び1,4−ジオキサスピロ[4.2]ヘプチル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS−オキシド、チオモルホリニルS,S−ジオキシド、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ホモピペリジニル、ホモモルホリニル、ホモチオモルホリニル、ホモチオモルホリニルS,S−ジオキシド、オキサゾリジノニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニルS−オキシド、テトラヒドロチエニルS,S−ジオキシド、ホモチオモルホリニルS−オキシドを含む。
【0030】
各ヘテロシクロアルキルはまた、場合により、独立して、最大4個の任意の下記の置換基(1)−(14)で置換されてもよい:(1)C1-6アルキル(ここで、前記アルキルは、場合により、C1-3アルキル、ハロゲン、OH、SH、NR1-a1-b、CN、CF3、C1-3アルコキシから選択される最大3個の置換基で置換される);(2)1又は2個の二重結合を有するC2-6アルケニル(ここで、前記アルケニルは、場合により、F、Cl、OH、SH、CN、CF3、C1-3アルコキシ、NR1-a1-bから選択される最大3個の置換基で置換される);(3)1又は2個の三重結合を有するC2-6アルキニル(前記アルキニルは、F、Cl、OH、SH、CN、CF3、C1-3アルコキシ、NR1-a1-bから選択される最大3個の置換基で置換される);(4)ハロゲン;(5)C1-6アルコキシ(前記アルコキシは、場合により、最大3個のFで置換される);(6)NRN-2N-3;(7)OH;(8)CN;(9)C3-7シクロアルキル(前記シクロアルキルは、場合により、F、Cl、OH、SH、CN、CF3、C1-3アルコキシ、NR1-a1-bから選択される最大3個の置換基で置換される);(10)C(=O)(C1-4アルキル);(11)SO2NR1-a1-b;(12)C(=O)NR1-a1-b;(13)−SO2(C1-4アルキル);(14)=O。
【0031】
前述した基が、上記で列挙した化合物から誘導されるとき、可能であればC−結合又はN−結合であってよい。例えば、ピロールから誘導される基は、ピロール−1−イル(N−結合)又はピロール−3−イル(C−結合)であってよい。基を意味する用語はまた、全て可能な互変異体を包含する。
【0032】
「R1-a」及び「R1-b」は、各々、独立して、H、C1-6アルキルである。
「RN-2」及び「RN-3」は、各々、独立して、(a)H;(b)OH又はNH2から選択される1個の置換基で場合により置換されるC1-6アルキル;(c)最大3個のハロゲンで場合により置換されるC1-6アルキル;(d)C3-7シクロアルキル;(e)−(C1-2アルキル)(C3-7シクロアルキル);(f)−(C1-6アルキル)O(C1-3アルキル);(g)1又は2個の二重結合を有するC2-6アルケニル;(h)1又は2個の三重結合を有するC2-6アルキニル;(i)1個の二重結合及び1個の三重結合を有するC1-6アルキル鎖;(j)C6-10アリール;又は(k)(5〜12員)ヘテロアリールから選択される。
【0033】
「RN-4」は、基:モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ホモモルホリニル、ホモチオモルホリニル、ホモチオモルホリニルS−オキシド、ホモチオモルホリニルS,S−ジオキシド、ピロリニル及びピロリジニルから選択され、各基は、場合により、1、2、3又は4個のC1-6アルキルで置換される。
【0034】
「RN-5」は、基:(a)C1-6アルキル、(b)−(CH20-2(C6-10アリール)、(c)1又は2個の二重結合を含有するC2-6アルケニル、(d)1又は2個の三重結合を有するC2-6アルキニル、(e)C3-7シクロアルキル、(f)−(CH20-2(5〜12員)ヘテロアリールから選択される。
【0035】
「RN-8」は、H、C1-6アルキル又はフェニルである。
「RN-10」は、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、1個の二重結合を有するC2-6アルケニル、又は1個の三重結合を有するC2-6アルキニルである。
【0036】
式(I)の好ましい態様において:aは、0、1、2又は3である(より好ましくは、aは、1又は2である);bは、0、1、2又は3である(より好ましくは、bは、2である);各Rは,独立して、ハロゲン、OH、C1-6アルキル、CN、C1-6アルコキシ、C6-10アリール、(5〜12員)ヘテロアリールである(ここで、前記アルキル及びアルコキシは、各々、場合により、独立して、最大3個のハロゲン(好ましくは、F)又はOH基で置換されてもよく);(即ち、各々の及び全てのRは、bの値に関係なく同一であるか又は異なっていることができる)。R*は、H、C1-6アルキル、−(CH20-5(C6-10アリール)、−(CH20-5(5〜12員)ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アリール又はヘテロアリールは、各々、場合により、独立して、最大3個のハロゲン(好ましくは、F)、C1-6アルコキシ又はOH基で置換されてもよく;そして、Arは、下記の(i)、(ii),(iii)又は(iv):
【0037】
【化2】

{式中、
1は、CH又はNであり;R1は、H、ハロゲン(好ましくは、Br)、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-12アルケニル、C2-12アルキニル、(5〜12員)ヘテロアリール、OH、CN、SH、C1-6アルコキシ、S(C1-6)アルキル、−NR3(C=O)c4、−NR3SO24、−(CH2c(C=O)R5、−(CH2c(C=O)OR5、−(S=O)R5、−S(=O)25であり、ここで、cは、0又は1であり、R3、R4及びR5は、各々、独立して、H、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-6アルケニル、(CH20-5(C6-10アリール)、(CH20-5(5〜12員)ヘテロアリール又はNR3(Y)R4であり、ここで、Yは、CO又はSO2であり、並びにR3及びR4は、それらが結合するYのN原子及びC原子又はS原子と一緒になって、(5〜7員)ヘテロシクロアルキルを形成し、そして、いずれかの前記アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルは、場合により、独立して、最大3個のハロゲン(好ましくは、F)、OH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ又はCN基で置換されてもよく;
【0038】
2は、独立して、−C(=O)R3、−(C=O)cNR34、−NR3SO24又は−OR5であり、ここで、cは、0又は1であり、R3、R4及びR5は、上記で定義される通りであり、又はR2は、−NR3SO24であり、ここで、R3及びR4は、それらが結合するN原子及びS原子と一緒になって、(5〜7員)ヘテロシクロアルキルを形成し、そして、R2のいずれかの前記アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル部分は、各々、場合により、独立して、最大3個のハロゲン(好ましくは、F)、OH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ又はCN基で置換されてもよく;
【0039】
あるいは、R1及びR2は、それらが結合するC原子と一緒になって、縮合したC5-10シクロアルキル、C5-10アリール又は(5〜10員)ヘテロアリール基を形成し、ここで、前記縮合したシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール基は、場合により、独立して、R7及びR8から選択される最大3個の基で置換され、ここで、R7は、C1-6アルキル(ここで、前記アルキルは、場合により、最大3個のF、OH、C1-3アルコキシ基で置換される)であり;及び、R8は、−(C=O)d5(ここで、dは、0又は1であり、及びR5は、上記で定義される通りである)である};
【0040】
【化3】

{式中、
1及びR2は、(i)で定義される通りであり;R6は、H、C1-6アルキル、−(CH20-5(C6-10アリール)、−(CH20-5(5〜12員)ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキルは、場合により、独立して、最大3個のハロゲン、C1-6アルコキシ又はOH基で置換されてもよい};
【0041】
【化4】

{式中、
2は、NH、N(C1-6アルキル)、O又はSであり;そして、R1及びR2は、上記で定義される通りである};あるいは、
【0042】
【化5】

{式中、
eは、1又は2であり;各R1は、eの値に関係なく、独立して、上記で定義される通りであり、ただし、eが2である場合、各R1は、好ましくは、−NH(C=O)c(C1-6アルキル)及びC1-6アルキルであり;好ましくは、Arが(iv)である場合、aは、0ではなく;より好ましくは、Arが(iv)である場合、aは、1である}
から選択され、Arのいずれか(好ましくは、Arは(i)である場合)は、場合により、各環の炭素原子でフルオロ(F)により置換されてもよい。
【0043】
1つの好ましい実施において:Arは、(i)であり;独立して、各Rは、ハロゲンであり;aは、0であり;bは、2であり;そして、R2は、−C(=O)cNR34である。より好ましくは、cは、1であり;R3及びR4は、各々、C3アルキルであり;Rは、Fであり;そして、R1は、C1-6アルキル、ハロゲン、(5〜12員)ヘテロアリール又はC2-12アルキニルである。さらにより好ましくは、R1は、メチル、臭素、オキサゾリル又はエチニルである。
【0044】
これに関して代表的な化合物は:
(1S,2R)N−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−5−メチル−N’,N’−ジプロピル−イソフタルアミド;
(1S,2R)5−ブロモ−N−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−N’,N’−ジプロピル−イソフタルアミド;
(1S,2R)N−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−5−オキサゾール−2−イル−N’,N’−ジプロピル−イソフタルアミド;
(1S,2R)6−メチル−ピリジン−2,4−ジカルボン酸4−{[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−アミド}2−ジプロピルアミド;そして、
(1S,2R)N−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−5−エチニル−N’、N’−ジプロピル−イソフタルアミド
を含む。
【0045】
第二の好ましい実施において:Arは、(ii)であり;R2は、−C(=O)c3であり;独立して、各Rは、ハロゲンであり;aは、0であり;そして、bは、2である。より好ましくは、cは、1であり;R3及びR4は、各々、C3アルキルであり;Rは、Fであり;R1は、Hであり;そして、R6は、C1-6アルキルである。これに関して代表的な化合物は:
(1S,2R)3−アセチル−1−ブチル−1H−インドール−6−カルボン酸[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−アミド;
(1S,2R)3−アセチル−1−ヘキシル−1H−インドール−6−カルボン酸[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−アミド;そして、
(1S,2R)1−ブチル−3−プロピオニル−1H−インドール−6−カルボン酸[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−アミド
を含む。
【0046】
特別な実施において、本発明の化合物は、式(Ia):
【化6】

を有し、構成部分は、本明細書に定義される通りである。
【0047】
特別に好ましい実施において、本発明は、式(Ib):
【化7】

で表される。
【0048】
特別に好ましい実施において、Arは、
【化8】

である。
【0049】
より特別に好ましい実施において、Arは、
【化9】

である。
【0050】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物、及び医薬として許容される担体、例えば、当該技術分野において既知の担体を含む医薬組成物に関する。
別の態様において、本発明は、CNS状態を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療的に有効量の式(I)の化合物を投与することを含む前記方法に関する。好ましくは、前記CNS状態は、神経変性状態、例えば、アルツハイマー病である。
【0051】
別の態様において、本発明は、ベータ−セクレターゼの阻害が必要とされる状態を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者にベータ−セクレターゼを阻害する量の式(I)の化合物を投与することを含む前記方法に関する。
【0052】
本発明に係るCNS状態は、当該技術分野において既知なものであり;そして、限定されないが、頭部外傷、脊髄損傷、中枢神経系の炎症性疾患、神経変性障害(急性及び慢性)、アルツハイマー病、神経系の脱髄疾患、ハンチントン病、パーキンソン病、末梢神経障害、ピン、脳アミロイド血管症、向知性又は認知増加、脳萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、片頭痛、うつ病性拒食症、下肢静止不能症候群、ドーパミンアゴニスト治療と関連した運動障害を含む。
【0053】
不安神経症又は精神異常、例えば、偏執的な、分裂的な、緊張性の、未分化の又は後遺症型の統合失調症;統合失調症様障害;例えば妄想性又はうつ病性型の統合失調性感情障害;妄想性障害;物質誘発性精神異常、例えばアルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド又はフェンシクリジンによって誘導される精神病;偏執的な型の人格障害;及び、統合失調質型の人格障害。不安神経症の例は、限定されないが、パニック障害;広場恐怖症;特定恐怖症;社会恐怖症;強迫性障害;心的外傷後ストレス障害;急性ストレス障害;及び全般性不安神経障害を含む。
【0054】
運動性疾患は、ハンチントン病及びドーパミンアゴニスト治療と関連した運動障害;パーキンソン病及び下肢静止不能症候群を含む。
薬物依存:例えば、アルコール、アンフェタミン、コカイン、アヘン薬、ニコチン中毒。
【0055】
障害は、その症状として、同じ一般的な年齢集団内で他の個体と比較して特定の個体における認識力の欠如:例えば、記憶、知力又は学習及び論理能力のような1又はそれより多くの認知側面における正常以下の機能を含む。また、1又はそれより多くの側面におけるいずれかの個体の機能の何らかの低下は、例えば、年齢に関連した認識衰退で発生する。本発明に従って治療することができる、症状として、認識の欠如を含む障害の例は、認知症、例えば、アルツハイマー病、多発脳梗塞性認知症、アルコール性認知症又は他の薬物関連認知症、頭蓋内腫瘍又は脳外傷、ハンチントン病若しくはパーキンソン病に関連した認知症、又はAIDSに関連した認知症;幻覚症状;健忘症障害;心的外傷後ストレス障害;精神発達障害;学習障害、例えば読書障害、数学障害、又は文書表現の障害;注意欠陥過活動性障害;及び、年齢に関連した認識衰退である。
【0056】
気分障害又は気分症状(episode)、例えば、軽度、中程度若しくは重度型の大うつ病性症状、躁病若しくは混在した気分症状、軽症躁病気分症状;非定型的特徴を有するうつ病性症状;憂うつ的特徴を有する気分症状;緊張性特徴を有するうつ病性症状;出産後発病を伴う気分症状;脳卒中後のうつ病;大うつ病性障害;気分変調性障害;小うつ病性障害;月経前不快気分障害;心因性うつ病性障害後の統合失調症;妄想性障害若しくは統合性失調症のような心因性障害に上乗せた大うつ病障害;双極性障害、例えば、双極I型障害、双極II型障害、及び気分循環性障害。
【0057】
一態様において、本発明の治療に係る障害は、高血圧症、うつ病(例えば、癌患者のうつ病、パーキンソン病患者のうつ病、心筋梗塞後うつ病、亜症候群性うつ病、不妊症女性のうつ病、小児うつ病、大うつ病、単純一過性うつ病、再発性うつ病、幼児虐待誘導のうつ病、及び出産後うつ病)、全般性不安神経障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症及び単純恐怖症)、心的外傷後ストレス症候群、回避的人格障害、早漏、摂食障害(例えば、拒食症及び多食症)、肥満、薬物依存(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタール、ニコチン及びベンゾジアゼピン類に対する中毒)、群発性頭痛、片頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫性障害、パニック障害、記憶障害(例えば、認知症、健忘症障害、及び加齢に関連した認識衰退(ARCD)、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病の認知症、神経遮断薬誘導のパーキンソン症候群及び遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管痙攣(特に、脳血管痙攣)、小脳性運動失調、胃腸管障害(運動性及び分泌の変化を含む)、統合失調症の陰性症状、統合失調性感情障害、強迫性障害、マニア、月経前症候群、線維筋痛症候群、緊張性尿失禁、トゥーレット症候群、抜毛癖、窃盗癖、男性インポテンス、癌(例えば、小細胞肺癌腫)、慢性発作性片頭痛及び頭痛(血管障害に関連する)から選択されるものを含む。
【0058】
好ましくは、CNS状態は、神経変性状態である。代表的な神経変性状態は、好ましくは、限定されずに、全体として又は部分的にベータ−アミロイドから構成されるプラークが関連するもの、及び/又はベータ−セクレターゼの阻害が必要とされるものを含む。単に一例として、このような状態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、封入体筋炎を含む。他の態様において、本発明は、神経変性状態を治療することに関し、このような治療を必要とする患者に、治療的に有効量の本発明の化合物を投与することを含み;そして、本発明は、ベータ−セクレターゼの阻害が、阻害有効量の前記化合物を投与することによって必要とされる状態を治療することに関する。
【0059】
本発明の化合物はまた、他の薬物、例えば、本明細書中に記載されたCNS状態のいずれかを治療するために慣習的に使用される薬物と併用して使用することができる。例えば、本発明の化合物は、CNS状態:アルツハイマー病のような神経変性疾患を治療するためのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えば、ドネペジル、メマンチン、ACAT阻害剤、COX2阻害剤、プロペントフィリン、メトリホネート、ビタミンE,葉酸など;パーキンソン病を治療するためのデプレニル、カベルゴリン、サマニロール(samanirole)、L−ドーパ、ミラペックス、MAOB阻害剤、例えばセレギン及びラサギリン、comP阻害剤、例えば、タスマール、A−2阻害剤、ドーパミン再吸収阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコタイム(nicotime)アゴニスト、ドーパミンアゴニスト及び一酸化窒素シンターゼ(NOS)の阻害剤、抗うつ剤、例えば、選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI、セルトラリン)のいずれか又は全部を併用して使用することができる。
【0060】
投与は、当該技術分野において既知の手段による。つまり、化合物は、単独で、又は、医薬として許容される担体若しくは他の治療薬、例えば、他の神経変性活性剤、向精神薬等と併用して投与することができる。剤形は、制限されないが、錠剤、粉末薬、液体製剤、注射剤等を含む。
【0061】
本発明の化合物は、単独で、又は、医薬として許容される担体と併用して、一回又は複数回の服用のいずれかで投与してよい。適した医薬担体は、不活性な希釈剤又は充填剤、無菌水溶液及び種々の有機溶媒を含む。次に、それによって形成した医薬組成物は、錠剤、粉末薬、ロゼンジ、液体製剤、シロップ、注射剤等のような種々の剤形で容易に投与することができる。これらの医薬組成物は、場合により、香味剤、結合剤、賦形剤等のような追加の成分を含有することができる。このように、本発明の化合物は、経口、口内、鼻腔内、非経口(例えば、静脈、筋内若しくは皮下)、経皮(例えば、パッチ)又は直腸内投与用に、あるいは吸入又は吹送による投与に適した形態で調合することができる。
【0062】
経口投与に関して、医薬組成物は、医薬として許容される賦形剤、例えば、結合剤(例えば、プレゼラチン化したトウモロコシ・スターチ、ポリビニルピロリドン若しくはヒドロキシプロピル・メチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース若しくはリン酸カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク若しくはシリカ);崩壊剤(例えば、ポテトスターチ若しくはグリコール酸スターチナトリウム);又は、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)と一緒に、例えば、慣用的な手段によって調製される錠剤又はカプセル剤の形態をとることができる。錠剤は、当該技術分野において周知な方法によって被覆することができる。経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形態をとることができ、又は、使用前に水若しくは他の適したベヒクルで構築するための乾燥製品として調製することができる。このような液体製剤は、医薬として許容される添加物、例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース若しくは水素化した食用脂);乳化剤(例えば、レシチン若しくはアカシア);非水溶性ベヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル若しくはエチルアルコール);そして、保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸若しくはソルビン酸メチル若しくはプロピル)と一緒に、慣用的な手段によりって調製することができる。
【0063】
口腔投与に関して、組成物は、慣用的なやり方で調合した錠剤又はロゼンジの形態をとることができる。
本発明の化合物は、慣用的なカテーテル化手法又は導入を用いることを含む注入による非経口投与用に調合することができる。注入用の製剤は、単位投与形態、例えば、添加した保存剤と一緒に、アンプル又は複数回投与の容器で提供することができる。それらは、懸濁、溶液、又は油性又は水性ベヒクル中の乳化剤のような形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤のような製剤化剤を含有することができる。その代わりに、有効成分は、使用前に、適したベヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水を用いて再構成するための粉末形態であることが可能である。
【0064】
本発明の化合物はまた、例えば、ココアバター又は他のグリセリドのような慣用的に坐剤の基材を含有する坐剤又は滞留浣腸剤のような直腸用組成物に調合することができる。
鼻腔内投与又は吸入による投与に関して、本発明の化合物は、適切な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適したガスを使用して、患者によって、又は加圧容器若しくは噴霧器からのエアロゾールスプレイ提供として、圧搾又はポンプで注入されるポンプスプレイ容器からの溶液又は懸濁液の形態で都合良く輸送される。加圧したエアロゾールの場合、投与単位は、計測した量を輸送するためのバルブを提供することによって決定することができる。加圧した容器又は噴霧器は、活性化合物の溶液又は懸濁液を含有することができる。本発明の化合物及びラクトース又はスターチのような適した粉末基材の粉末混合物を含有する、吸入器又は吹送器で使用するためのカプセル剤及び薬包(例えば、ゼラチンから作製される)が調合され得る。
【0065】
上記で言及した状態の治療のための平均的な成人への経口、非経口又は口内投与用の本発明の化合物の提案される投与量は、例えば、1日当り1〜4回投与され得る、単位投与量当り約0.1〜約200mgの有効成分である。
【0066】
平均的な成人における上記で言及した状態(例えば、片頭痛)の治療のためのエアロゾール製剤は、エアロゾールの各々の測量した投与量又は「一回吸入」は、本発明の化合物を約20mg〜約1000mgを含有するように用意することが好ましい。エアロゾールを用いた一日の全体の投与量は、約100μg〜約10mgの範囲内であろう。投与は、毎日複数回、例えば、2、3、4又は8回であってもよく、例えば、各回に1、2又は3用量を与えてもよい。
【0067】
本発明の化合物の使用に関連して、それは、単独で、又は、医薬として適した担体を併用して、予め指示された経路のいずれかによって投与することができ、このような投与は、一回及び複数回の投与の両方で実行することができる。より具体的には、化合物は、単独で又は併用して、幅広く様々な異なる剤形で投与することができ、即ち、それらは、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディー、粉末薬、スプレイ、水性懸濁剤、注射剤、エリキシル剤、シロップ等の形態で、様々な医薬として許容される不活性な担体と組み合わせてもよい。このような担体は、固形の希釈剤又は充填剤、無菌の水性媒体、及び種々の非毒性の有機溶媒等を含む。さらに、このような経口医薬調合剤は、甘味や風味を目的として通常使用される形の種々の試薬の手段によって、適切に甘味付け及び/又は風味付けすることができる。一般的に、式Iの化合物は、全組成物の重量で約0.5%〜約90%の範囲の濃度レベルで、このような剤形中に存在する。
【0068】
上記で言及した状態の治療のために平均的な成人への経口、非経口、直腸内又は口内投与のために併合調剤(本発明の化合物、及び、例えば、アセチルコリナーゼ阻害剤を含有する製剤)における本発明の化合物の提案される毎日の投与量は、例えば、一日当り1〜4回投与され得る、単位投与量当り式Iの有効成分の約0.01mg〜約2000mg、好ましくは約0.1mg〜約200mgである。
【0069】
平均的な成人における上記で言及した状態の治療のためのエアロゾール併合製剤は、エアロゾールの各々の測量した服用量又は「一回吸入」が、本発明の活性化合物の約0.01mg〜約100mg、好ましくはこのような化合物の約1mg〜約10mgを含有する。投与は、毎日数回、例えば、2、3、4又は8回で、例えば、各回1、2又は3服用を提供してもよい。
【0070】
実施において、本明細書中に記載されるBACEアッセイにおける本発明の化合物のIC50は、約600ナノモル濃度又はそれよりも小さい;好ましくは約200ナノモル濃度又はそれより小さい、より好ましくは、約50ナノモル濃度又はそれより小さい。
【0071】
合成APP基質を利用した無細胞のBACE1阻害アッセイ
ベータ−セクレターゼによって切断され得る合成APPは、N−末端にビオチンを有し、Cys残基でオレゴングリーンの共有結合によって蛍光性を帯び、阻害性化合物の有無におけるベータ−セクレターゼ活性をアッセイするために使用される。基質は、ビオチン−GLTNIKTEEISEISY^EVEFR−C[オレゴングリーン]KK−OHである。酵素(0.1ナノモル濃度)及び試験化合物(0.00002〜200マイクロモル濃度)は、プレブロックし、低アフィニティー製のブラックプレート(384ウェル)中で室温で30分間インキュベートされる。反応は、150ミリモル濃度の基質(最終体積:30マイクロリットル/ウェル)の添加によって開始する。最終アッセイの条件は、0.00002〜200マイクロモル濃度の化合物阻害剤;0.1モル濃度の酢酸ナトリウム(pH4.5);150ナノモル濃度の基質;0.1ナノモル濃度の溶解性ベータ−セクレターゼ;0.001%のTween 20、及び2%のDMSOである。アッセイ混合物を37℃で3時間インキュベートし、反応は、免疫的に純粋なストレプトアビジン(0.75マイクロモル濃度)の飽和濃度の添加によて停止させる。室温で15分間、ストレプトアビジンと共にインキュベーション後、蛍光偏向を、例えば、PerkinElmer Envision(Ex485nm/Em530nm)を用いて測定した。ベータ−セクレターゼ酵素の活性は、基質がその酵素によって切断されると発生する蛍光偏向における変化によって検出される。化合物阻害剤の存在下でのインキュベーションは、その合成APP基質のベータ−セクレターゼの酵素的切断の特異的な阻害を示す。
【0072】
好ましい実施において、本発明のN−メチルの化合物は、予想外に改善された肝臓ミクロソーム安定性を提示する。
次の方法及び実施例は、限定されずに、本発明の化合物を作製するための代表的な方法を例証する。
【0073】
製造方法
本明細書中で使用するとき、Acは、アセチルであり;Bocは、t−ブトキシカルボニルであり;EDCIは、1,(3,ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルビイミド塩酸塩であり;CBZは、ベンジルオキシカルボニルであり;THFは、テトラヒドロフランであり;DPPPは、1,3−ビス(ジフェニルホスファニル)プロパンであり;dbaは、ジベンジリデンアセトンであり;Etは、エチルであり;Meは、メチルであり;n−Buは、n−ブチルであり;n−Hexは、n−ヘキシルである。
【0074】
本発明の化合物5は、スキーム1に示される一連の反応によって製造することができる。エポキシド1は、緩衝剤、好ましくはHOAc/NaOAcの存在下で、アルカリ金属−ハロゲン化塩、好ましくはNaIと反応させて、ハロヒドリン2を得る。反応は、0℃と60℃の間の温度範囲、好ましくは25℃で行われる。Box保護基は、アセトニトリルのような溶媒中、強酸、好ましくは水性HFでの処理によって除去され、得られるアミン塩は、塩基、好ましくはトリエチルアミンのような第3級アミンの存在下で、当業者に周知のカップリング試薬、好ましくはEDCIを用いてAr[CHR**aCO2Hでアシル化され、アミド3を得る。その代わりに、Ar[CHR**aCO2Hは、塩化チオニル又は塩化オキサリルを用いて対応する酸塩化物に変換され、同様に、塩基の存在下でアミン塩と反応させることができる。反応は、0℃と60℃の間の温度範囲、好ましくは25℃で行われる。ヒドロキシアミド3は、スルホン酸、好ましくはp−トルエンスルホン酸のような酸の存在下で、2−メトキシプロペンを用いてジメチルアセトニド誘導体4として保護される。反応は、0℃と60℃の間の温度範囲、好ましくは25℃で行われる。4のハロゲン化基は、不活性な溶媒、例えば、THF中で過剰なアミンと共に加熱することによってメチルアミンによって置換される。反応は、ハロゲン化物がヨウ化物である場合、25℃と150℃の間の温度範囲、好ましくは55℃で行われる。生産物は、強酸水溶液、好ましくはHCl、及びアルコール性溶媒、好ましくはメタノールの混合物中で、35℃と100℃の間の温度範囲、好ましくは55℃で加熱することによって加水分解に供され、化合物5を得る。
【0075】
【化10】

【0076】
本発明の化合物5はまた、スキーム2に示される一連の反応によって製造することができる。エポキシド6は、アルコール性溶媒、好ましくはイソプロパノール中で、0℃と50℃の間の温度範囲、好ましくは25℃で、メチルアミンと反応させ、アミノアルコール7を得る。NH基は、第3級アミン、好ましくはトリエチルアミンの存在下で、ジ−t−ブチル−ジカルボネートを用いた処理によってt−ブトキシカルボニル誘導体として保護され、8を得る。反応は、0℃と50℃の間の温度範囲、好ましくは25℃で行われる。8のCBZ基は、不活性な溶媒、好ましくはメタノール中で、水素圧1〜5気圧で、0℃と50℃の間の温度範囲、好ましくは25℃で、接触水素化分解によって除去し、アミン9を得る。好ましい触媒は、パラジウムであるが、当業者に周知の他の触媒も代用してもよい。アミン9は、塩基、好ましくはトリエチルアミンのような第3級アミンの存在下で、当業者に周知のカップリング試薬、好ましくはEDCIを用いてAr[CHR*aCO2Hでアシル化され、アミド10を得る。その代わりに、Ar[CHR*aCO2Hは、塩化チオニル又は塩化オキサリルを用いて対応する酸塩化物に変換し、同様に、塩基の存在下で、アミン9と反応させることができる。反応は、0℃と60℃の間の温度範囲、好ましくは25℃で行われる。10のBoc保護基は、アセトニトリル又はジオキサンのような溶媒中で、強酸、好ましくは、それぞれ水性HF又はHClでの処理によって除去され、5を得る。
【0077】
【化11】

【0078】
中間体7はまた、スキーム3に示される一連の反応によって製造することができる。エポキシド1は、アルコール性溶媒、好ましくは、イソプロパノール中で、0℃と50℃の間の温度範囲、好ましくは25℃でアリルメチルアミンと反応させ、アミノアルコール11を得る。11のBoc保護基は、アセトニトリル又はジオキサンのような溶媒中で、強酸、好ましくは、それぞれ水性HF又はHClでの処理によって除去され、12を得る。12のNH2基の保護は、塩基、好ましくは、ピリジン又はNaHCO3水溶液の存在下で、不活性な溶媒、好ましくはCH2Cl2、THF又はジオキサン中で、−15℃と50℃の間の温度範囲、好ましくは0℃で、クロロギ酸ベンジルを用いた処理によって達成され、13を得る。13のアリル基は、遷移金属触媒、好ましくは、Pd2(dba)3/DPPPの存在下で、不活性な溶媒、好ましくは、THF中で、25℃と100℃の間の温度範囲、好ましくは60℃で、N,N−ジメチルバルビツール酸を用いた処理によって除去され、7を得る。
【0079】
【化12】

【0080】
下記の実施例は、本発明の範囲内にある特定の化合物の製造を例証し;これらは、単に代表的なものであり、いかなる方法においても本発明を限定するように構成されるべきではない。
【0081】
製造例1
【化13】

【0082】
(1S,2S)[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−ヨード−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
(1R,2S)[2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−1−オキシラニル−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(100mg、0.334mmol)、NaI(65mg、0.434mmol)、NaOAc(30.1mg、0.367mmol)、酢酸(21μL)、及びEtOAc(4mL)の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を蒸発させて、表題化合物を固形物として得た。これをさらに精製せずに次の工程に直接使用した;ESI LCMS:m/e 427.8[M+H]+
【0083】
製造例2
【化14】

【0084】
(1S,2S)N−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−ヨード−プロピル]−5−メチル−N’,N’−ジプロピル−イソフタルアミド
工程A:製造例1の化合物(96.9mg、0.227mmol)及びCH3CN(5mL)中の1%水性(48%)HFの溶液の混合物を撹拌し、40℃で3時間加熱した。混合物を共沸としてトルエンを用いて蒸発させ、過剰の水を除去し、真空下で乾燥させて、固形物を得た。
【0085】
工程B:CH2Cl2(2mL)中の3−[(プロピルアミノ)カルボニル]−5−メチル−安息香酸(60mg、0.227mmol)の溶液に、SOCl2(2mL)を添加し、混合物を3時間室温で撹拌した。混合物を蒸発させ、トルエンと共に同時蒸発させ、真空下で乾燥させ、油状物を得た。
【0086】
工程C:工程A及び工程Bの生産物を合わせ、CH2Cl2(2mL)に溶解させ、トリエチルアミン(0.095mL、0.681mmol)で処理した。室温で一晩撹拌後、混合物を水で希釈し、EtOAcで2回抽出した。合わせた抽出物を飽和したNaHCO3水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、そして溶媒を蒸発させて、赤色の油状物(120mg)を得た。溶離液として1:1のヘキサン:EtOAcを用いるフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、表題化合物(48.9mg)を固形物として得た;ESI LCMS:572.9[M+H]+
【0087】
製造例3
【化15】

【0088】
(4S,5S)3−[4−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−5−ヨードメチル−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−カルボニル]−5−メチル−N,N−ジプロピル−ベンズアミド
CH2Cl2(3mL)中の製造例2の化合物(45mg、0.079mmol)の溶液に、2−メトキシプロペン(0.076mL、0.786mmol)、次に、無水p−トルエンスルホン酸(5mg)を添加した。混合物を4時間室温で撹拌し、追加の2−メトキシプロペン(0.100mL)及び無水p−トルエンスルホン酸(5mg)で処理し、さらに3時間撹拌し、そして、飽和したNaHCO3水溶液(20mL)の添加によって反応を停止させた。水層をEtOAc(2×20mL)で抽出し、合わせた抽出物をブライン(1×20mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、そして溶媒を蒸発させて、茶色の油状物(258mg)を得た。溶離液として2:1のヘキサン:EtOAcを用いるフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、表題化合物(38.6mg)を固形物として得た;ESI LCMS:612.9[M+H]+
【0089】
製造例4
【化16】

【0090】
(1S,2R)[3−(アリル−メチル−アミノ)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
10mLのイソプロパノール中の(1R,2S)[2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−1−オキシラニル−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(237mg、0.792mmol)の溶液に、N,N−アリルメチルアミン(0.376mL、0.281g、3.94mmol)を添加した。混合物を45℃で16時間加熱し、次に、溶媒を蒸発させて、表題化合物(286mg)を固形物として得た;ESI LCMS:371.0[M+H]+
【0091】
製造例5
(1S,2R)1−(アリル−メチル−アミノ)−3−アミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−ブタン−2−オール
【化17】

【0092】
製造例4の化合物(90mg)をジオキサン中の4NのHCl溶液の2mL中で、2時間室温で撹拌した。混合物を蒸発させ、15mLのEtOAcと15mLの飽和したNaHCO3溶液の間で分割した。EtOAc層を分別し、水層の15mLの後洗いと合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、そして溶媒を蒸発させて、表題化合物(60mg)を黄色の油状物として得た;ESI LCMS:271.0[M+H]+
【0093】
製造例6
(1S,2R)[3−(アリル−メチル−アミノ)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−カルバミン酸ベンジルエステル
【化18】

【0094】
CH2Cl2(40mL)中の製造例5の化合物(2.057g、7.61mmol)の溶液に、ピリジン(1.85mL、1.81g、22.8mmol)を添加した。混合物を0℃まで冷却し、クロロギ酸ベンジル(2.17mL、2.59mmol)で処理し、蒸発させる前に2時間0℃で撹拌した。残渣を1:1の1N NaOH/MeOHの混合物中で30分間撹拌し、水で希釈し、そして、EtOAcで抽出した。EtOAc抽出物を続けて水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、そして溶媒を蒸発させて、粗生成物を得た(3.35g)。この物質を溶離液として3% MeOH/CHCl3を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物(1.69g)を固形物として得た;ESI LCMS:405.0[M+H]+
【0095】
製造例7
(1S,2R)[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−カルバミン酸ベンジルエステル
【化19】

【0096】
方法1
Pd2(dba)3(56mg、0.061mmol)、DPPP(49.7mg、0.121mmol)、及びTHF(30mL)の混合物に、製造例6の化合物(650mg、1.607mmol)、続いてN,N−ジメチルバルビツール酸(1.239g、8.035mmol)を添加した。混合物を60℃で4時間加熱し、緑色を帯びた茶色から茶色を帯びたオレンジ色への色の変化が観察された。混合物を蒸発させ、残渣を1N HCl(40mL)とエーテル(40mL)の間で分割させた。水層を分別し、塩基性化し、そして、沈殿物をろ過し、高真空下で乾燥させ、表題化合物(418mg)を固形物として得た;ESI LCMS:365.0[M+H]+
追加の82mgの表題化合物は、EtOAcを用いたろ過物の抽出、乾燥(Na2SO4)、そして蒸発によって得られた。
【0097】
方法2
イソプロパノール(10mL)の(1R,2S)[2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−1−オキシラニル−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(150mg、0.450mmol)の溶液に、THF(4.5mL、9.0mmol)中の2M メチルアミンの溶液を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させて、表題化合物を白色の固形物として得た。これをさらに精製せずに次の工程に直接使用した;ESI LCMS:365.0[M+H]+
【0098】
製造例8
【化20】

【0099】
(2R,3S)[3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチル]−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
CH2Cl2(5mL)中の製造例7の化合物(0.45mmol)の溶液をジ−t−ブチル−ジカルボネート(196mg、0.900mmol)、続いてトリエチルアミン(0.125mL、0.900mmol)で処理した。混合物を一晩室温で撹拌し、蒸発させ、EtOAc(30mL)で希釈し、そして、飽和したNaHCO3溶液(25mL)で洗浄した。水層を分別し、EtOAc(25ml)で抽出し、そして、合わせた有機抽出物を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を蒸発させて、黄色の油状物を得た。2:1のヘキサン:EtOAcを用いて溶離するフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、表題化合物(95mg)を固形物として得た;ESI LCMS:464.9[M+H]+
【0100】
製造例9
【化21】

【0101】
(2R,3S)[3−アミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチル]−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
製造例8の化合物(90mg、0.194mmol)、炭素上の20% Pd(OH)2(75mg)、及びメタノール(5mL)の混合物を40psiで一晩水素化した。混合物をろ過し、溶媒を蒸発させて、表題化合物(61.8mg)を油状物として得た;ESI LCMS:331.0[M+H]+
【0102】
製造例10
【化22】

【0103】
(2R,3S)[4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−3−(3−ジプロピルカルバモイル−5−メチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−ブチル]−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
CH2Cl2(3mL)中の製造例9の化合物(90.3mg、0.273mmol)の溶液に、3−[(プロピルアミノ)カルボニル]−5−メチル−安息香酸(108mg、0.410mg)、続いてEDCI(79mg、0.410mmol)を添加した。混合物を一晩室温で撹拌し、0.5N HCl溶液(20mL)で希釈し、そして、EtOAc(1×25ml)で抽出した。EtOAc抽出物を飽和したNaHCO3水溶液(25mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、そして溶媒を蒸発させて、泡状物を得た(151.5mg)。泡状物のメタノール溶液(2mL)を1N NaOH(2mL)で処理し、撹拌を1時間室温で継続した。混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×15mL)で抽出した。合わせた抽出物をブライン(1×20mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、そして溶媒を蒸発させて、表題化合物(119.2mg)を得た;ESI LCMS:576.0[M+H]+
【0104】
製造例11−14
製造例11−14の化合物は、5−ブロモ−N,N−ジプロピル−イソフタルアミド酸の代わりに適切なイソフタルアミド酸誘導体を用いて、製造例10の手順に従って製造した。
【化23】

【0105】
【表1】

【0106】
製造例15−17
製造例15−17の化合物は、5−ブロモ−N,N−ジプロピル−イソフタルアミド酸の代わりに適切なインドールカルボン酸を用いて、製造例10の手順に従って製造した。
【化24】

【0107】
【表2】

【0108】
実施例1
【化25】

【0109】
(1S,2R)N−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−5−メチル−N’,N’−ジプロピル−イソフアルアミド
方法1
工程A:THF(3mL)中の製造例3の化合物(50mg、0.08mmol)及び2M メチルアミン溶液の混合物を一晩50℃で加熱した。溶媒を蒸発させ、THF中の2M メチルアミン溶液を用いて補充し、50℃の加熱を3日間継続した。溶媒を蒸発させ、残渣を飽和したNaHCO3水溶液(20mL)とEtOAc(20ml)との間で分割した。分別した水層をEtOAc(20mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、そして溶媒を蒸発させて、茶色の油状物を得た(79mg)。CHCl3、3% MeOH/CHCl3及び6% MeOH/CHCl3で連続して溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、メチルアミンを置換した生成物を茶色の油状物として得た(29.6mg)。
【0110】
工程B:上記の油状物(25mg)をMeOH(1mL)に溶解させ、2M HCl溶液(2mL)で処理し、そして、一晩55℃で加熱した。冷却した混合物を1M HCl溶液(10ml)で希釈し、エーテル(5ml)で洗浄した。酸性層を1N NaOH溶液で塩基性化し、EtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を蒸発させ、そして、固形の残渣をヘキサン中で粉砕し、表題化合物を固形物として得た(17.6mg);ESI LCMS:476[M+H]+
【0111】
方法2
製造例10の化合物(25mg)をジオキサン溶液(2mL)中の4N HClで希釈し、混合物を室温で1.5時間撹拌した。混合物を蒸発させ、表題化合物を塩酸塩として得た(24mg)。
【0112】
実施例2−5
実施例2−5の化合物は、製造例10の化合物の代わりにそれぞれ製造例11−14の化合物を用いて、実施例1、方法2の手順に従って製造した。
【化26】

【0113】
【表3】

【0114】
実施例6−8
実施例6−8の化合物は、製造例11の化合物の代わりにそれぞれ製造例15−17の化合物を用いて、実施例3の手順に従って製造した。
【化27】

【0115】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
aは、0、1、2又は3であり;
bは、0、1、2又は3であり;
各Rは、独立して、ハロゲン、OH、CN、SH、NH2、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、S(C1-6アルキル)、NH(C1-6アルキル)、N(C1-6アルキル)(C1-6アルキル)、NHC(=O)(C1-6アルキル)、NHSO2(C1-6アルキル)、C(=O)NH(C1-6アルキル)、C(=O)N(C1-6アルキル)(C1-6アルキル)、C6-10アリール、(5〜12員)ヘテロアリールであり、ここで、前述の各アルキル基は、3個までのF、OH又はC1-3アルコキシ基で独立して場合により置換されてもよく;
*は、H、C1-6アルキル、−(CH20-5(C6−C10アリール)、−(CH20-5(5〜12員)ヘテロアリールであり;そして、
Arは、下記の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F):
(A)C6-10アリール、(5〜12員)ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−W−(C6-10アリール)、(C6-10アリール)−W−(5〜12員)ヘテロアリール、(C6-10アリール)−W−(5〜7員)ヘテロシクロアルキル、(5〜12員)ヘテロアリール−W−(C6-10アリール)、(5〜12員)ヘテロアリール−W−(5〜12員)ヘテロアリール、(5〜12員)ヘテロアリール−W−(5〜7員)ヘテロシクロアルキル、(5〜7員)ヘテロシクロアルキル−W−(C6-10アリール)、(5〜7員)ヘテロシクロアルキル−W−(5〜12員)ヘテロアリール、(5〜7員)ヘテロシクロアルキル−W−(5〜7員)ヘテロシクロアルキル{ここで、Wは、−(CH20-4−、−O−、−C(=O)−、−S(=O)0-2−、−N(RN-5)−から選択される};
(B)−C(=O)(C1-10アルキル){ここで、アルキルは、場合により、独立して、OH;C1-6アルコキシ;C1-6チオアルコキシ;C(=O)ORN-8;−(C=O)NRN-2N-3;−C(=O)RN-4;−SO2(C1-8アルキル);−SO2NRN-2N-3;−NHC(=O)(C1-6アルキル);−NHC(=O)ORN-8;−NRN-2N-3;−RN-4;−OC(=O)(C1-6アルキル);−O−C(=O)NRN-8N-8(ここで、各RN-8は、同一であるか又は異なっている);−O(C1-6アルキル)C(=O)OH;−O−(C1-6アルキル)(ここで、アルキルは、最大3個のハロゲンで場合により置換される);−HNSO2(C1-6アルキル);F;Clから選択される最大3個の置換基(「SB」)で置換される};
(C)−C(=O)(C1-6アルキル)O(C1-6アルキル){ここで、各アルキルは、場合により、独立して、(A)で定義した最大3個の置換基SBで置換される};
(D)−C(=O)(C1-6アルキル)S(C1-6アルキル){ここで、各アルキルは、場合により、独立して、(A)で定義した最大3個の置換基SBで置換される};
(E)−C(=O)CH(−(CH20-2−O−RN-10)−(CH20-2−(C6-10アリール)、又は−C(=O)CH(−CH26-2−O−RN-10−(CH26-2−(9〜12員)ヘテロアリール;あるいは、
(F)−C(=O)(C3-8シクロアルキル){ここで、前記シクロアルキルは、場合により、独立して、−(CH20-4OH;−(CH20-41-6アルコキシ;−(CH20-41-6チオアルコキシ;−(CH20-4C(=O)−O−RN-8;−(CH20-4C(=O)−NRN-2N-3;−(CH20-4C(=O)−RN-4;−(CH20-4SO2−(C1-6アルキル);−(CH20-4SO2−NRN-2N-3;−(CH20-4NH−C(=O)−(C1-6アルキル);−NH−C(=O)−O−RN-8;−(CH20-4NRN-2N-3;−(CH20-4N-4;−O−C(=O)−(C1-6アルキル);−O−C(=O)−NRN-8N-8(ここで、各RN-8は、同一であるか又は異なっている);−O−(C1-6アルキル)−C(=O)OH;−O−(C1-6アルキル)(ここで、前記アルキルは、場合により、最大3個のハロゲンで置換される);−HNSO2(C1-6アルキル);F;Clから選択される最大2個の置換基で置換される}
から選択され;
N-2及びRN-3は、各々、独立して、基(a)H;(b)OH若しくはNH2から選択される1個の置換で場合により置換されるC1-6アルキル;(c)最大3個のハロゲンで場合により置換されるC1-6アルキル;(d)C3-7シクロアルキル;(e)−(C1-2アルキル)(C3-7シクロアルキル);(f)−(C1-6アルキル)O(C1-3アルキル);(g)1若しくは2個の二重結合を有するC2-6アルケニル;(h)1若しくは2個の三重結合を有するC2-6アルキニル;(i)1個の二重結合及び1個の三重結合を有するC1-6アルキル鎖;(j)C6-10アリール、又は(k)(5〜12員)ヘテロアリールから選択され;
N-4は、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ホモモルホリニル、ホモチオモルホリニル、ホモチオモルホリニルS−オキシド、ホモチオモルホリニルS,S−ジオキシド、ピロリニル及びピロリジニルであり、ここで、各々の基は、場合により、1、2、3又は4個のC1-6アルキルで置換され;
N-5は、(a)C1-6アルキル、(b)−(CH20-2(C6-10アリール)、(c)1又は2個の二重結合を含有するC2-6アルケニル、(d)1又は2個の三重結合を含有するC2-6アルキニル、(e)C3-7シクロアルキル、(f)−(CH20-2(5〜12員)ヘテロアリールであり;そして、
N-8は、H、C1-6アルキル又はフェニルである]
で表される化合物。
【請求項2】
式I:
【化2】

[式中、
aは、0、1、2又は3であり;
bは、0、1、2又は3であり;
各Rは、独立して、ハロゲン、OH、C1-6アルキル、CN、C1-6アルコキシ、C6-10アリール、(5〜12員)ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル及びアルコキシは、各々、場合により、独立して、最大3個のハロゲン又はOH基で置換されてもよく;
*は、H、C1-6アルキル、−(CH20-5(C6-10アリール)、−(CH20-5(5〜12員)ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アリール又はヘテロアリールは、各々、場合により、独立して、最大3個のハロゲン、C1-6アルコキシ又はOH基で置換されてもよく;そして、Arは、下記の(i)、(ii),(iii)、(iv):
【化3】

{式中、
1は、CH又はNであり;R1は、H、ハロゲン、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-12アルケニル、C2-12アルキニル、OH、CN、SH、C1-6アルコキシ、S(C1-6)アルキル、−NR3(C=O)c4、−NR3SO24、−(CH2c(C=O)R5、−(CH2c(C=O)OR5、−(S=O)R5、−S(=O)25であり、ここで、cは、0又は1であり、R3、R4及びR5は、各々、独立して、H、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-6アルケニル又はNR3(Y)R4であり、ここで、Yは、CO又はSO2であり、並びにR3及びR4は、それらが結合するYのN原子及びC原子又はS原子と一緒になって、(5〜7員)ヘテロシクロアルキルを形成し、そして、いずれかの前記アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルは、場合により、独立して、最大3個のハロゲン、OH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ又はCN基で置換されてもよく;
2は、独立して、−C(=O)R3、−(C=O)cNR34、−NR3SO24又は−OR5であり、ここで、cは、0又は1であり、R3、R4、及びR5は、上記で定義される通りであり、又はR2は、−NR3SO24であり、ここで、R3及びR4は、それらが結合するN原子及びS原子と一緒になって、(5〜7員)ヘテロシクロアルキルを形成し、そして、R2のいずれかの前記アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル部分は、各々、場合により、独立して、最大3個のハロゲン、OH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ又はCN基で置換されてもよく;
あるいは、R1及びR2は、それらが結合するC原子と一緒になって、縮合したC5-10シクロアルキル、C5-10アリール又は(5〜10員)ヘテロアリール基を形成し、ここで、前記縮合したシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール基は、場合により、独立して、R7及びR8から選択される最大3個の基で置換され、ここで、R7は、C1-6アルキル(ここで、前記アルキルは、最大3個のF、OH、C1-3アルコキシ基で場合により置換される)であり;及び、R8は、−(C=O)d5(ここで、dは、0又は1であり、及びR5は、上記で定義される通りである)である};
【化4】

{式中、
1及びR2は、(i)で定義される通りであり;及び、R6は、H、C1-6アルキル、−(CH20-5(C6-10アリール)、−(CH20-5(5〜12員)ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキルは、場合により、独立して、最大3個のハロゲン、C1-6アルコキシ又はOH基で置換されてもよい};
【化5】

{式中、
2は、NH、N(C1-6アルキル)、O又はSであり;並びにR1及びR2は、上記で定義される通りである};あるいは、
【化6】

{式中、
eは、1又は2であり;及び、各R1は、独立して、上記で定義される通りであり、並びにArは、(iv)である場合、aは、1である}
から選択され、Arのいずれかは、場合により、環の炭素原子でFにより置換されてもよい]
で表される化合物。
【請求項3】
aが、0であり;bが、2であり;各Rが、独立して、ハロゲンであり;Arが、(i)であり;並びに、R2が、−(C=O)cNR34である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Rが、Fであり;cが、1であり;並びに、R3及びR4が、各々、独立して、C3アルキルであり;R1が、C1-6アルキル、ハロゲン、(5〜12員)ヘテロアリール又はC2-12アルキニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
1が、メチル、ブロミン、オキサゾリル又はエチニルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
(1S,2R)N−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−5−メチル−N’,N’−ジプロピル−イソフタルアミド;
(1S,2R)5−ブロモ−N−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−N’,N’−ジプロピル−イソフタルアミド;
(1S,2R)N−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−5−オキサゾール−2−イル−N’,N’−ジプロピル−イソフタルアミド;
(1S,2R)6−メチル−ピリジン−2,4−ジカルボン酸4−{[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−アミド}2−ジプロピルアミド;そして、
(1S,2R)N−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−5−エチニル−N’、N’−ジプロピル−イソフタルアミドを含む、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
aが、0であり;bが、2であり;R2が、−(C=O)cNR34であり;各Rが、独立して、ハロゲンであり;及び、Arが、(ii)である、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
Rが、Fであり;cが、1であり;R1が、Hであり;R3及びR4が、各々、C3アルキルであり;そして、R6が、C1-6アルキルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
8が、C2アルキル、C4アルキル又はC6アルキルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
(1S,2R)3−アセチル−1−ブチル−1H−インドール−6−カルボン酸[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−アミド;
(1S,2R)3−アセチル−1−ヘキシル−1H−インドール−6−カルボン酸[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−アミド;そして、
(1S,2R)1−ブチル−3−プロピオニル−1H−インドール−6−カルボン酸[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノ−プロピル]−アミドを含む、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
式(Ib):
【化7】

[式中、
Arは、下記の(i)、(ii)又は(iii):
【化8】

{式中、
1は、CH又はNであり;R1は、H、ハロゲン、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-12アルケニル、C2-12アルキニル、OH、CN、SH、C1-6アルコキシ、S(C1-6)アルキル、−NR3(C=O)cR4、−NR3SO24、−(CH2c(C=O)R5、−(CH2c(C=O)OR5、−(S=O)R5、−S(=O)25であり、ここで、cは、0又は1であり、R3、R4及びR5は、各々、独立して、H、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-6アルケニル又はNR3SO24であり、ここで、R3及びR4は、それらが結合するN原子及びS原子と一緒になって、(5〜7員)ヘテロシクロアルキルを形成し、そして、いずれかの前記アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルは、各々、場合により、独立して、最大3個のハロゲン、OH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ又はCN基で置換されてもよく;
2は、独立して、−C(=O)R3、−(C=O)cNR34、−NR3SO24又は−OR5であり、ここで、cは、0又は1であり、並びにR3、R4、及びR5は、上記で定義される通りであり、又はR2は、−NR3SO24であり、ここで、R3及びR4は、それらが結合しているN原子及びS原子と一緒になって、(5〜7員)ヘテロシクロアルキルを形成し、そして、いずれかの前記R2のアルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル部分は、各々、場合により、独立して、最大3個の、ハロゲン、OH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ又はCN基であってよく;
あるいは、R1及びR2は、それらが結合しているC原子と一緒になって、縮合したC3-6シクロアルキル、C5-10アリール又は(5〜10員)ヘテロアリール基を形成し、前記縮合したシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール基は、場合により、独立して、R7及びR8から選択される最大3個の基で置換され、ここで、R7は、C1-6であり、ここで、前記アルキルは、場合により、最大3個のF、OH、C1-3アルコキシ基で置換され;そして、R8は、−(C=O)d5であり、ここで、dは、0又は1であり、及びR5は、上記で定義される通りである};
【化9】

{式中、
1及びR2は、(i)で上記で定義される通りであり;及び、R6は、H、C1-6アルキル、−(CH20-5(C6-10アリール)、−(CH20-5(5〜12員)ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキルは、場合により、独立して、最大3個のハロゲン、C1-6アルコキシ又はOH基で置換される};
【化10】

{式中、
2は、NH、N(C1-6アルキル)、O又はSであり;並びに、R1及びR2は、上記で定義される通りである}
から選択される]
で表される化合物。
【請求項12】
請求項1、2又は11に記載の化合物、及び医薬として許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項13】
中枢神経系(CNS)状態を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療的に有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
前記中枢神経系(CNS)状態が、神経変性状態である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記神経変性状態が、アルツハイマー病である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ベータ−セクレターゼの阻害が必要とされる状態を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者にベータ−セクレターゼを阻害する量の請求項1、2又は11に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。

【公表番号】特表2008−513432(P2008−513432A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531865(P2007−531865)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002877
【国際公開番号】WO2006/032999
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】