説明

DC−DCコンバータ、ドライバIC、およびシステムインパッケージ

【課題】セルフターンオンを防止し、電力効率が向上するDC−DCコンバータを提供する。
【解決手段】非絶縁形DC−DCコンバータにおいて、負電圧生成用コンデンサ104を利用して、ローサイドMOSFET103がオフ状態であるときに、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に負電圧を印加することでセルフターンオンを防止する。また、負電圧生成用コンデンサ104によってローサイドMOSFET103がオン状態であるときに、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に印加される正電圧がゲート電源入力端子119から供給されるゲート駆動用直流電源の電圧VDから低下しない。よって、電力効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムのDC−DCコンバータ、DC−DCコンバータ内のドライバIC、およびDC−DCコンバータ内のシステムインパッケージに関し、特に、電力効率の向上技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者が検討したところによれば、DC−DCコンバータに関しては、以下のような技術が考えられる。
【0003】
近年、パーソナルコンピュータやサーバ等に用いられる、CPU(Central Processor Unit)やMPU(Micro Processor Unit)の低電圧化・大電流化や、受動部品であるチョークコイル、入出力コンデンサの小型化の要求などに伴い、CPUやMPUに電力を供給する電源システムに高効率化・高周波化が要求されている。
【0004】
このような非絶縁形DC−DCコンバータは、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチで構成され、これらの各スイッチはパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)がそれぞれ用いられている。
【0005】
ところが、非絶縁形DC−DCコンバータにおいては、ハイサイドMOSFETのターンオンが、ローサイドMOSFETの誤オンを引き起こすという、セルフターンオンが起こることがある。セルフターンオン現象によって、電力効率が大幅に減少する問題が生じる。
【0006】
セルフターンオンを防止するには、ローサイドMOSFETがオフ状態である期間に、ローサイドMOSFETのゲート−ソース間に十分な負電圧を印加することが効果的である。すなわち、ローサイドMOSFETのゲート−ソース間に十分な負電圧を印加することにより、セルフターンオンを誘引するゲート−ソース間電圧の上昇があっても、ローサイドMOSFETのゲート−ソース間電圧がローサイドMOSFETの閾値電圧に達しない。
【0007】
しかしながら、一般的に小容量の非絶縁形DC−DCコンバータのゲート駆動装置用電源には、負電位がローサイドMOSFETのソース端子に接続される直流電圧源が用いられ、ローサイドMOSFETのゲート−ソース間に負電圧を印加できない。
【0008】
このような問題の解決策として、例えば、特開平8−149796号公報(特許文献1)では、コンデンサを追加したゲート駆動装置によって電圧駆動形スイッチのゲート−ソース間に負電圧を印加する手段を提示している。
【特許文献1】特開平8−149796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1では、次のような問題点があることが本発明者により見出された。
【0010】
例えば、特許文献1では、電圧駆動形スイッチのゲート−ソース間に印加する負電圧に相当する電圧を上記コンデンサに充電するために、コンデンサに充電される電圧分だけ電圧駆動形スイッチのオン期間に電圧駆動形スイッチのゲート−ソース間に印加される正電圧が低下する。
【0011】
電圧駆動形スイッチのオン期間に印加される正電圧の低下は、電圧駆動形スイッチの導通損失の増加を招き、電力効率が低下する問題があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、セルフターンオンを防止し、電力効率が向上するDC−DCコンバータを提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
本発明によるDC−DCコンバータは、チョークコイルと、チョークコイルの一端と直流入力電源の負電位側との間に接続された出力コンデンサと、ドレイン端子が直流入力電源の正電位側に接続され、ソース端子がチョークコイルの他端に接続されたハイサイドMOSFETと、ドレイン端子がチョークコイルの他端に接続され、ソース端子が直流入力電源の負電位側に接続されたローサイドMOSFETと、パルス信号によって制御されて、ハイサイドMOSFETおよびローサイドMOSFETを交互に駆動するゲート駆動装置とを備えた非絶縁形DC−DCコンバータであって、ゲート駆動装置のローサイドMOSFETを駆動する部分は、負電位側がローサイドMOSFETのソース端子に接続されたゲート駆動用直流電源と、負電圧生成用コンデンサと、ゲート駆動用直流電源の正電位側とローサイドMOSFETのゲート端子との間に接続された第1のスイッチ素子と、ゲート駆動用直流電源の正電位側と負電圧生成用コンデンサの一端との間に接続された第2のスイッチ素子と、ローサイドMOSFETのゲート端子と負電圧生成用コンデンサの他端との間に接続された第3のスイッチ素子と、負電圧生成用コンデンサの一端とローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第4のスイッチ素子と、負電圧生成用コンデンサの他端とローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第5のスイッチ素子とを有するものである。
【0016】
また、本発明によるドライバICは、負電圧生成用コンデンサおよびゲート駆動用直流電源が接続され、パルス信号によって制御されて、DC−DCコンバータのハイサイドMOSFETおよびローサイドMOSFETを交互に駆動するドライバICであって、ゲート駆動用直流電源の正電位側とローサイドMOSFETのゲート端子との間に接続された第1のスイッチ素子と、ゲート駆動用直流電源の正電位側と負電圧生成用コンデンサの一端との間に接続された第2のスイッチ素子と、ローサイドMOSFETのゲート端子と負電圧生成用コンデンサの他端との間に接続された第3のスイッチ素子と、負電圧生成用コンデンサの一端とローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第4のスイッチ素子と、負電圧生成用コンデンサの他端とローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第5のスイッチ素子と、第5のスイッチ素子に直列に接続されたダイオードとを同一のチップ上に形成したものである。
【0017】
また、本発明によるシステムインパッケージは、ハイサイドMOSFETと、ローサイドMOSFETと、ハイサイドMOSFETおよびローサイドMOSFETを交互に駆動するドライバICとを同一のパッケージに搭載したシステムインパッケージであって、ドライバICは、同一のチップ上に、システムインパッケージに接続されたゲート駆動用直流電源の正電位側とローサイドMOSFETのゲート端子との間に接続された第1のスイッチ素子と、ゲート駆動用直流電源の正電位側とシステムインパッケージに接続された負電圧生成用コンデンサの一端との間に接続された第2のスイッチ素子と、ローサイドMOSFETのゲート端子と負電圧生成用コンデンサの他端との間に接続された第3のスイッチ素子と、負電圧生成用コンデンサの一端とローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第4のスイッチ素子と、負電圧生成用コンデンサの他端とローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第5のスイッチ素子と、第5のスイッチ素子に直列に接続されたダイオードとを形成したものである。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
(1)非絶縁形DC−DCコンバータにおいて、導通損失の増加を伴うことなく、セルフターンオンを防止できる。
(2)その結果、電力効率を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本発明の前提として検討した従来技術との関係においても、同様に繰り返しの説明は省略する。
【0020】
(実施の形態1)
図1〜図6により、本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータの回路構成、および動作について説明する。図1は本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータの回路構成の一例を示す図である。なお、図1は、簡略化された図であり、例えば、同時オンを防止する機能を実現する回路などは記載していない。図2は本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータの信号、各スイッチ、各電圧のタイミングチャートを示す図、図3は本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータを含むCPU向け電源システムの構成の一例を示す図、図4は本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータのセルフターンオン現象を説明するための各電圧のタイミングチャートを示す図、図5は本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータの動作原理を説明するための回路構成を示す図、図6は本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータのゲートドライバの負電圧印加動作を説明するための信号、各スイッチ、各電圧のタイミングチャートを示す図である。
【0021】
図1において、DC−DCコンバータは、ハイサイドMOSFET102、ローサイドMOSFET103、ハイサイドMOSFET102とローサイドMOSFET103を駆動するゲート駆動部100、ブートコンデンサ127、チョークコイル128、出力コンデンサ129、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)コントローラ117から構成される。
【0022】
また、ローサイドMOSFET103のソース端子とゲート駆動部100のグラウンド端子126はともにグラウンドに接続されている。
【0023】
また、ゲート駆動部100は半導体チップであり、pチャネル形MOSFET105,107,111、nチャネル形MOSFET106,108,109,112、nチャネル形MOSFET109に直列に接続され、逆電流を阻止するダイオード110、ブート用ダイオード113、NOTゲート114,115,116が同一チップ上に形成される。この半導体チップはDC−DCコンバータのドライバICを構成する。
【0024】
さらに、ゲート駆動部100の端子124、125には負電圧生成用コンデンサ104が接続される。例えば、ローサイドMOSFET103の入力容量が3000pF程度の場合、負電圧生成用コンデンサ104の静電容量は、一例として0.1μFが用いられる。
【0025】
ゲート駆動部100、負電圧生成用コンデンサ104、ブートコンデンサ127で、ゲート駆動装置101を構成している。
【0026】
図3において、DC−DCコンバータを含むCPU向け電源システムは、ハイサイドMOSFET102、ローサイドMOSFET103、ハイサイドMOSFET102とローサイドMOSFET103を駆動するゲート駆動装置101、ゲート駆動装置101を制御するPWMコントローラ117、入力電源146、入力コンデンサ147、チョークコイル128、出力コンデンサ129等により構成される。また、ローサイドMOSFET103のソース端子とゲート駆動装置101のグラウンド端子126はともにグラウンドに接続されている。
【0027】
ここで、図3および図4により、本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータのセルフターンオン現象を説明する。
【0028】
ゲート駆動装置101はPWMコントローラ117からのPWM信号と同期して、ハイサイドMOSFET102とローサイドMOSFET103を交互にオンするように駆動する。
【0029】
出力電圧VOUTは、入力電圧VINにハイサイドMOSFET102のオン時比率(1スイッチング周期にオン期間が占める割合)を掛けた電圧値となり、降圧変換される。ローサイドMOSFET103は、ハイサイドMOSFET102がオフのときにオンし、チョークコイル128を流れる電流を還流させる。
【0030】
ところが、ローサイドMOSFET103がオフ状態で、ハイサイドMOSFET102がオンすると、ローサイドMOSFET103のドレイン−ソース間電圧が上昇し、その電圧変化に伴い、ローサイドMOSFET103のゲート−ドレイン間の帰還容量201を介して、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に充電電流が流れ、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間電圧が上昇する、という現象が起こる。
【0031】
このとき、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間電圧が閾値電圧を超えてしまうと、ローサイドMOSFET103がオン状態となり、ハイサイドMOSFET102からローサイドMOSFET103へ大きな貫通電流が流れ(セルフターンオン現象)、電力効率が大幅に減少する。
【0032】
そこで、本実施の形態では、ローサイドMOSFET103がオフ期間のときに、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に負電圧を印加し、さらにローサイドMOSFET103のオン期間に、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に印加される正電圧はゲート駆動用直流電源VDの電圧値から降下しないようにしている。
【0033】
次に、図5および図6により、本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータのDC−DCコンバータの動作原理を説明する。
【0034】
図5に示すDC−DCコンバータのハイサイドMOSFET102とローサイドMOSFET103を駆動するゲート駆動装置101は、各スイッチ1105,1106,1107,1108,1109,1111,1112、ゲート駆動用直流電源203,204により構成される。ただし、図5の各スイッチ1105,1106,1107,1108,1109,1111,1112は理想スイッチで示しており、また、これらのスイッチを制御するためのPWMコントローラの記載は省略している。
【0035】
図6の状態Aでは、スイッチ1105はオンしており、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に正電圧としてVDが印加されており、ローサイドMOSFET103はオン状態にある。このとき、各スイッチ1107、1109もオンしており、各スイッチ1106、1108はオフしており、負電圧生成用コンデンサ104が最大でVDまで充電される。
【0036】
図6の状態Aから状態Bに遷移するとき、各スイッチ1105,1107,1109がオフし、各スイッチ1106,1108がオンし、負電圧生成用コンデンサ104の電圧がローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に負電圧として印加され、ローサイドMOSFET103がオフする。
【0037】
よって、本実施の形態では、ローサイドMOSFET103がオフ期間(状態B)のときにローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に負電圧が印加されているので、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間電圧が上昇しても、ローサイドMOSFET103の閾値電圧に達しない。その結果として、セルフターンオンを防止することができる。
【0038】
また、負電圧生成用コンデンサ104の充電によって、ローサイドMOSFET103のオン期間(状態A)に、ローサイドMOSFET103のドレイン−ソース間に印加する電圧が低下することが懸念されるが、負電圧生成用コンデンサ104の充電経路は、ローサイドMOSFET103の入力容量の充電経路とは別に設けてあるので、ローサイドMOSFET103のオン期間にローサイドMOSFET103のドレイン−ソース間に印加する電圧の低下は起こらない。
【0039】
次に、図1および図2により、本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータの詳細動作を説明する。
【0040】
ゲート駆動装置101はPWMコントローラ117からのPWM信号と同期して、ハイサイドMOSFET102とローサイドMOSFET103を駆動する。
【0041】
ところが、前述のようにローサイドMOSFET103がオフ状態で、ハイサイドMOSFET102がオンすると、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間電圧が上昇する、という現象が起こる。このとき、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間電圧が閾値電圧を超えてしまうと、前述のセルフターンオン現象が起こり、電力効率が大幅に減少する。
【0042】
そこで、本実施の形態のDC−DCコンバータは、ゲート駆動部100に負電圧生成用コンデンサ104が接続され、ゲート駆動用直流電源VDをゲート電源入力端子119に接続することで、PWM信号のタイミングに応じて、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に正電圧、または負電圧を印加し、さらにローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に印加される正電圧はゲート駆動用直流電源VDの電圧値から降下しない構成としている。
【0043】
PWM信号がローのとき、pチャネル形MOSFET105はオンしており、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に正電圧としてVDが印加されており、ローサイドMOSFET103はオン状態にある。このとき、pチャネル形MOSFET107、nチャネル形MOSFET109もオンしており、nチャネル形MOSFET106、nチャネル形MOSFET108はオフしており、負電圧生成用コンデンサ104が最大でVDまで充電される。
【0044】
PWM信号がハイになるとき、pチャネル形MOSFET105、pチャネル形MOSFET107、nチャネル形MOSFET109がオフし、nチャネル形MOSFET106、nチャネル形MOSFET108がオンし、負電圧生成用コンデンサ104の電圧がローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に負電圧として印加され、ローサイドMOSFET103がオフする。
【0045】
ローサイドMOSFET103がオン状態からオフ状態に切り替わると、ローサイドMOSFET103のボディダイオードに還流電流が流れる。ローサイドMOSFET103およびハイサイドMOSFET102がともにオフ状態の期間(デッドタイム)が過ぎると、ハイサイドMOSFET102がオンし始める。
【0046】
ハイサイドMOSFET102がオンし始めると、ローサイドMOSFET103のドレイン−ソース間電圧が上昇し始める。前述したように、ローサイドMOSFET103のドレイン−ソース間電圧が上昇し始めると、それに同期するようにローサイドMOSFET103のゲート−ソース間電圧も上昇し始める。
【0047】
ところが、本実施の形態では、ローサイドMOSFET103がオフ期間のときはローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に負電圧が印加されているので、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間電圧が上昇しても、ローサイドMOSFET103の閾値電圧に達しない。その結果として、セルフターンオンを防止することができる。
【0048】
また、負電圧生成用コンデンサ104の充電によって、ローサイドMOSFET103のオン期間に、ローサイドMOSFET103のドレイン−ソース間に印加する電圧が低下することが懸念されるが、負電圧生成用コンデンサ104の充電経路は、ローサイドMOSFET103の入力容量の充電経路とは別に設けてあるので、ローサイドMOSFET103のオン期間にローサイドMOSFET103のドレイン−ソース間に印加する電圧の低下は起こらない。
【0049】
これより、前述のセルフターンオンを防止し、電力効率を向上できる。また、ローサイドMOSFET103がオンしているときにゲート−ソース間に印加する電圧がVDから低下しないので、導通損失の増加を回避できる。
【0050】
さらに、ローサイドMOSFET103は閾値電圧が1V以下であってもセルフターンオンが起こらないので、ローサイドMOSFET103の閾値電圧を1V以下に設計することで導通損失を低減し、更なる電力効率の向上ができる。
【0051】
なお、図1では一例として、スイッチとして、pチャネル形MOSFET105,107,111、nチャネル形MOSFET106,108,109,112を用いた例を示したが、これらのスイッチはバイポーラジャンクショントランジスタやその他のスイッチ素子でもよい。また、図1のダイオード110およびブート用ダイオード113はショットキーバリアダイオード、PN接合ダイオードなどが考えられる。
【0052】
(実施の形態2)
図7および図8により、本発明の実施の形態2に係るDC−DCコンバータのシステムインパッケージについて説明する。図7は本発明の実施の形態2に係るDC−DCコンバータのシステムインパッケージの回路構成の一例を示す図、図8は本発明の実施の形態2に係るDC−DCコンバータのシステムインパッケージのチップ配置およびワイヤボンディング配置の一例を示す図である。
【0053】
図7において、DC−DCコンバータのシステムインパッケージは、システムインパッケージ143の構成要素の一つである半導体チップ142が、前述した図1で示す実施の形態1のDC−DCコンバータのゲート駆動部100の構成と同じ構成になっている。
【0054】
すなわち、実施の形態2のシステムインパッケージ143は、ハイサイドMOSFET102の半導体チップ144と、ローサイドMOSFET103の半導体チップ145と、ハイサイドMOSFET102とローサイドMOSFET103を駆動し、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に負電圧を印加する機能を持つゲート駆動部100の半導体チップ142とで構成される。
【0055】
また、図1で示す実施の形態1のゲート駆動装置101を構成する負電圧生成用コンデンサ104、ブートコンデンサ127は、システムインパッケージ143の外部に接続される。
【0056】
図8において、システムインパッケージ143に負電圧生成用コンデンサ104を接続するための端子137、138を設けており、特徴は、システムインパッケージ143の構成要素に、前述した図1で示す実施の形態1のゲート駆動部100の半導体チップ142を含む点にある。
【0057】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に、システムインパッケージであってもセルフターンオンを防止できる。さらに、システムインパッケージは配線の寄生インダクタンスを低減できるので、更なる高効率化が可能である。
【0058】
(実施の形態3)
図9および図10により、本発明の実施の形態3に係るDC−DCコンバータのシステムインパッケージについて説明する。図9は本発明の実施の形態3に係るDC−DCコンバータのシステムインパッケージの回路構成の一例を示す図、図10は本発明の実施の形態3に係るDC−DCコンバータのシステムインパッケージのチップ配置およびワイヤボンディング配置の一例を示す図である。
【0059】
図9において、DC−DCコンバータのシステムインパッケージは、前述した図7で示す実施の形態2のシステムインパッケージに負電圧生成用コンデンサ104を内蔵した点にある。
【0060】
すなわち、実施の形態3のシステムインパッケージ143は、ハイサイドMOSFET102の半導体チップ144と、ローサイドMOSFET103の半導体チップ145と、ハイサイドMOSFET102とローサイドMOSFET103を駆動し、ローサイドMOSFET103のゲート−ソース間に負電圧を印加する機能を持つゲート駆動装置の半導体チップ142と、負電圧生成用コンデンサ104とで構成される。
【0061】
図10において、特徴は、システムインパッケージ143に負電圧生成用コンデンサ104を内蔵した点にある。
【0062】
本実施の形態では、ゲート駆動装置の半導体チップ142と負電圧生成用コンデンサ104との間の配線インダクタンスが小さくなるので、ドライブ能力向上が可能である。さらに、システムインパッケージの他には負電圧生成用コンデンサが必要ないので、電源システムの部品点数を削減できる。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0064】
例えば、前記実施の形態においては、ハイサイドMOSFETとローサイドMOSFETとを同一のパッケージに搭載したマルチチップモジュールにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、CPU向け電源システムにおける電力効率の向上に有効である。具体的には、非絶縁形DC−DCコンバータ、マルチチップモジュール、システムインパッケージに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータの回路構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータの信号、各スイッチ、各電圧のタイミングチャートを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータを含むCPU向け電源システムの構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータのセルフターンオン現象を説明するための各電圧のタイミングチャートを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータの動作原理を説明するための回路構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るDC−DCコンバータのゲートドライバの負電圧印加動作を説明するための信号、各スイッチ、各電圧のタイミングチャートを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係るDC−DCコンバータのシステムインパッケージの回路構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るDC−DCコンバータのシステムインパッケージのチップ配置およびワイヤボンディング配置の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係るDC−DCコンバータのシステムインパッケージの回路構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係るDC−DCコンバータのシステムインパッケージのチップ配置およびワイヤボンディング配置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
100…ゲート駆動部、101…ゲート駆動装置、143…システムインパッケージ、142、144、145…半導体チップ、102…ハイサイドMOSFET、103…ローサイドMOSFET、104…負電圧生成用コンデンサ、105、106、107、108、109、111、112…スイッチ素子、110…ダイオード、113…ブート用ダイオード、114、115、116…NOTゲート、117…PWMコントローラ、118、130…PWM入力端子、119、131、132…ゲート電源入力端子、120、133…ブート用端子、121…ハイサイド駆動用端子、122…スイッチノード端子、123…ローサイド駆動用端子、124、125、137、138…負電圧生成用コンデンサ用端子、126、139、141…グラウンド端子、135…入力端子、136…出力端子、134、140…ゲート電圧モニタ端子、127…ブートコンデンサ、128…チョークコイル、129…出力コンデンサ、146…入力電源、147…入力コンデンサ、148…CPU、201…帰還容量、202…入力容量、203、204…ゲート駆動用直流電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョークコイルと、前記チョークコイルの一端と直流入力電源の負電位側との間に接続された出力コンデンサと、ドレイン端子が前記直流入力電源の正電位側に接続され、ソース端子が前記チョークコイルの他端に接続されたハイサイドMOSFETと、ドレイン端子が前記チョークコイルの他端に接続され、ソース端子が前記直流入力電源の負電位側に接続されたローサイドMOSFETと、パルス信号によって制御されて、前記ハイサイドMOSFETおよび前記ローサイドMOSFETを交互に駆動するゲート駆動装置とを備えた非絶縁形DC−DCコンバータであって、
前記ゲート駆動装置の前記ローサイドMOSFETを駆動する部分は、
負電位側が前記ローサイドMOSFETのソース端子に接続されたゲート駆動用直流電源と、
負電圧生成用コンデンサと、
前記ゲート駆動用直流電源の正電位側と前記ローサイドMOSFETのゲート端子との間に接続された第1のスイッチ素子と、
前記ゲート駆動用直流電源の正電位側と前記負電圧生成用コンデンサの一端との間に接続された第2のスイッチ素子と、
前記ローサイドMOSFETのゲート端子と前記負電圧生成用コンデンサの他端との間に接続された第3のスイッチ素子と、
前記負電圧生成用コンデンサの一端と前記ローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第4のスイッチ素子と、
前記負電圧生成用コンデンサの他端と前記ローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第5のスイッチ素子とを有することを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項2】
請求項1記載のDC−DCコンバータにおいて、
前記ゲート駆動装置は、
前記パルス信号と同期して、第1の状態では、前記第1のスイッチ素子、前記第2のスイッチ素子、および前記第5のスイッチ素子を導通状態に制御し、前記第3のスイッチ素子および前記第4のスイッチ素子を非導通状態に制御し、
第2の状態では、前記第1のスイッチ素子、前記第2のスイッチ素子、および前記第5のスイッチ素子を非導通状態に制御し、前記第3のスイッチ素子および前記第4のスイッチ素子を導通状態に制御することを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項3】
請求項2記載のDC−DCコンバータにおいて、
前記第3のスイッチ素子、前記第4のスイッチ素子、および前記第5のスイッチ素子はnチャネル形MOSFETであり、
前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子はpチャネル形MOSFETであり、
前記第5のスイッチは直列にダイオードが接続されていることを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項4】
請求項2記載のDC−DCコンバータにおいて、
上記ローサイドMOSFETの閾値電圧は1V以下であることを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項5】
負電圧生成用コンデンサおよびゲート駆動用直流電源が接続され、パルス信号によって制御されて、DC−DCコンバータのハイサイドMOSFETおよびローサイドMOSFETを交互に駆動するドライバICであって、
前記ゲート駆動用直流電源の正電位側と前記ローサイドMOSFETのゲート端子との間に接続された第1のスイッチ素子と、
前記ゲート駆動用直流電源の正電位側と前記負電圧生成用コンデンサの一端との間に接続された第2のスイッチ素子と、
前記ローサイドMOSFETのゲート端子と前記負電圧生成用コンデンサの他端との間に接続された第3のスイッチ素子と、
前記負電圧生成用コンデンサの一端と前記ローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第4のスイッチ素子と、
前記負電圧生成用コンデンサの他端と前記ローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第5のスイッチ素子と、
前記第5のスイッチ素子に直列に接続されたダイオードとを同一のチップ上に形成したことを特徴とするドライバIC。
【請求項6】
ハイサイドMOSFETと、ローサイドMOSFETと、前記ハイサイドMOSFETおよび前記ローサイドMOSFETを交互に駆動するドライバICとを同一のパッケージに搭載したシステムインパッケージであって、
前記ドライバICは、同一のチップ上に、
前記システムインパッケージに接続されたゲート駆動用直流電源の正電位側と前記ローサイドMOSFETのゲート端子との間に接続された第1のスイッチ素子と、
前記ゲート駆動用直流電源の正電位側と前記システムインパッケージに接続された負電圧生成用コンデンサの一端との間に接続された第2のスイッチ素子と、
前記ローサイドMOSFETのゲート端子と前記負電圧生成用コンデンサの他端との間に接続された第3のスイッチ素子と、
前記負電圧生成用コンデンサの一端と前記ローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第4のスイッチ素子と、
前記負電圧生成用コンデンサの他端と前記ローサイドMOSFETのソース端子との間に接続された第5のスイッチ素子と、
前記第5のスイッチ素子に直列に接続されたダイオードとを形成したことを特徴とするシステムインパッケージ。
【請求項7】
請求項6記載のシステムインパッケージにおいて、
前記負電圧生成用コンデンサを内蔵したことを特徴とするシステムインパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−22106(P2009−22106A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182743(P2007−182743)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】