説明

EP4受容体アゴニストとして用いられるナフタレン誘導体

式(I):


[式中:R、R、R、XおよびYは、明細書中の記載と同義である]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体;かかる化合物の調製法;かかる化合物を含む医薬組成物;および医薬におけるかかる化合物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナフタレン誘導体、その調製方法、それらを含有する医薬組成物および医薬におけるその使用に関する。
【0002】
本発明の化合物は、EP受容体アゴニストである。
【背景技術】
【0003】
多数の総説は、プロスタノイド受容体の特性および治療関連性ならびに最も一般的に用いられる選択的アゴニストおよびアンタゴニストを記載している:Eicosanoids; From Biotechnology to Therapeutic Applications,Folco,Samuelsson,Maclouf,およびVelo eds,Plenum Press,New York,1996,chap.14,137−154およびJournal of Lipid Mediators and Cell Signalling,1996,14,83−87 and Prostanoid Receptors,Structure,Properties and Function、S Narumiyaら,Physiological Reviews 1999,79(4),1193−126。
【0004】
EP受容体は、7回膜貫通型受容体であり、その天然リガンドは、プロスタグランジンPGEである。PGEはまた、他のEP受容体(EP型、EP型およびEP型)に対してアフィニティを有する。プロスタノイドEP受容体は、細胞内サイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)濃度の上昇に通常関連する一群の受容体ではない。EP受容体は、平滑筋弛緩、眼圧、疼痛(特に、炎症性、神経性疼痛および内臓痛)、炎症、神経防護作用、リンパ球分化、骨代謝過程、アレルギー活性、睡眠促進、腎臓調節、胃または腸の粘液分泌および十二指腸の重炭酸塩分泌に関連する。Narumiya in Prostaglandins & Other Lipid Mediators 2002,68−69 557−73によって検討されるように、EP受容体は、動脈管の閉塞、血管抑制、炎症および骨再形成に重要な役割を果たす。
【0005】
多数の刊行物は、EP受容体サブタイプを介して作用するPGE、および単独のEPアゴニストが、炎症性刺激後の炎症性サイトカインを調節しうることを証明している。Takayamaら in the Journal of Biological Chemistry 2002,277(46),44147−54は、PGEが、EP受容体を介してマクロファージ由来サイトカイン産生を抑制することにより炎症疾患の間の炎症を調節することを示した。Bioorganic & Medicinal Chemistry 2002,10(7),2103−2110,Maruyamaらにおいて、選択的EP受容体アゴニスト(ONO−AE1−437)が、IL−10の濃度が増加する間にヒト全血中のLPS誘導性TNF−αを抑制することを証明している。Anesthesiology,2002,97,170−176の文献は、選択的EP受容体アゴニスト(ONO−AE1−329)が、急性および慢性単関節炎における機械的および熱的痛覚過敏症および炎症反応を有効に抑制したことを示唆する。
【0006】
Sakumaら in Journal of Bone and Mineral Research 2000,15(2),218−227およびMiyauraら in Journal of Biological Chemistry 2000,275(26),19819−23の、2つの独立した文献は、EP受容体ノックアウトマウスから培養される細胞の低下した破骨細胞形成を報告する。Yoshidaら in Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2002,99(7),4580−4585は、各PGE受容体EPサブタイプを欠いているマウスの使用により、PGE投与に応じて骨形成を調節する受容体としてEPを同定した。それらはまた、選択的EP受容体アゴニスト(ONO−4819)が、野生型マウスにおいて骨形成を常に誘導することを証明した。加えて、Teraiら in Bone 2005,37(4),555−562は、選択的EP受容体アゴニスト(ONO−4819)の存在が、骨形成を誘導しうる治療サイトカインである、rhBMP−2の骨誘導能力を促進したことを示している。
【0007】
Larsenらによるさらなる研究は、ヒト十二指腸の第二部における分泌に対するPGEの効果がEP受容体を介して調節されることを示す(Acta.Physiol.Scand.2005,185,133−140)。また、選択的EP受容体アゴニスト(ONO−AE1−329)がラットの大腸炎に有効でありうることを示している(Nittaら in Scandinavian Journal of Immunology 2002,56(1),66−75)。
【0008】
Doreら in The European Journal of Neuroscience 2005,22(9),2199−206は、PGEがEPおよびEP受容体に作用することによってアミロイドβペプチド毒性に対するニューロンを保護しうることを示している。さらに、EP受容体アゴニスト(ONO−AE1−329)が脳の興奮毒性の急性モデルにおける神経毒性に有効であることをDoreはBrain Research 2005,1066(1−2),71−77にて証明している。
【0009】
Woodwardら in Journal of Lipid Mediators 1993,6(1−3),545−53は、眼圧が選択的プロスタノイドアゴニストを用いて低下しうることを見出した。Investigative Ophthalmology & Visual Scienceの2種の論文は、プロスタノイドEP受容体が、ヒト水晶体上皮細胞で発現され(Mukhopadhyayら 1999,40(1),105−12)、眼の小柱網(trabecular framework)における流れの調節におけるプロスタノイドEP受容体の生理学的役割を示唆すること(Hoyngら 1999,40(11),2622−6)を示している。
【0010】
EP受容体結合活性を示す化合物は、例えば、WO98/55468、WO00/18744、WO00/03980、WO00/15608、WO0016760、WO00/21532、EP0855389、EP0985663、WO02/50031、WO02/50032、WO02/50033、WO02/064564、WO03/103604、WO03/077910、WO03/086371、WO04/037813、WO04/067524、WO04/085430、US04/142969、WO05/021508、WO05/105733、WO05/105732、WO05/080367、WO05/037812およびWO05/116010に記載されている。
【0011】
[4−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)フェニル]−2−プロピオン酸、ナトリウム塩などのインドプロフェンの誘導体は、Ruferら. in Eur.J.Med.Chem.−Chimica Therapeutica,1978,13,193により記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中:
およびRは、独立して、C1−4アルキルまたはジフルオロエチルを表し、ただし、RおよびRの少なくとも一方はジフルオロエチルを表し;
はFまたはClを表し;および
XおよびYは、独立して、C=OまたはCHを表し、ただし、XおよびYの一方はC=Oを表す]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0013】
本発明の1の実施態様において、RおよびRの一方はC1−4アルキルを表し、他方はジフルオロエチルを表す。本発明の別の実施態様において、RおよびR両方がジフルオロエチルを表す。
【0014】
本発明の1の実施態様において、RはFを表す。本発明の別の実施態様において、RはClを表す。
【0015】
本発明の1の実施態様において、XはCHを表し、YはC=Oを表す。本発明の別の実施態様において、XはC=Oを表し、YはCHを表す。本発明の別の実施態様において、XおよびY両方がC=Oを表す。
【0016】
本発明の別の実施態様において、
(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸;
{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[9−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;および
{3−クロロ−4−[9−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸
からなる群より選択される式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体が提供される。
【0017】
本発明は、本明細書に記載の特定および好ましい実施態様の全ての組み合わせにまで及ぶ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に用いられる、C1−4アルキルなる語には、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖および分岐鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチルおよびイソ−ブチルが含まれる。「C1−6アルキル」なる語は適宜解釈されうる。
【0019】
本明細書に用いられる、ジフルオロエチルは−CHCHFを意味する。
【0020】
本明細書に用いられる、Fはフルオロを意味し、Clはクロロを意味する。
【0021】
医薬上許容される誘導体とは、任意の医薬上許容される塩、溶媒和物またはエステル、あるいは式(I)の化合物のかかるエステルの塩または溶媒和物、あるいはレシピエントに投与すると、式(I)の化合物またはその活性代謝物もしくは残渣を(直接的または間接的に)得ることができる任意の他の化合物を意味する。
【0022】
医薬用途について、前記の塩は医薬上許容される塩であろうが、他の塩が、例えば、式(I)の化合物およびその医薬上許容される塩の調製における使用を見出しうることは明らかであろう。
【0023】
医薬上許容される塩には、Berge,BighleyおよびMonkhouse,J.Pharm.Sci.,1977,66,1−19に記載のものが含まれる。「医薬上許容される塩」なる語は、無機塩基および有機塩基を含む医薬上許容される塩基から調製される塩をいう。無機塩基から生じる塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、マグネシウム塩、マンガン(III)塩、マンガン(II)塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などが含まれる。医薬上許容される有機塩基から生じる塩には、第一級、第二級、および第三級アミン;天然に存在する置換アミンを含む置換アミン;および環状アミンの塩が含まれる。特定の医薬上許容される有機塩基には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、プリン体、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどが含まれる。塩はまた、塩基性イオン交換樹脂、例えば、ポリアミン樹脂から形成されうる。
【0024】
式(I)の化合物が、適当なプロドラッグの代謝によりインビボで生成されうることは明らかであろう。かかるプロドラッグは、例えば、一般式(I)の化合物の医薬上許容される代謝的に不安定なエステルであってもよい。これらは、必要に応じて、分子中に存在する任意の反応基を保護する前に、一般式(I)の親化合物におけるカルボン酸基のエステル化、次いで、必要に応じて、脱保護により形成されうる。かかる代謝的に不安定なエステル誘導体の例として、C1−4アルキルエステル、例えば、メチル、エチルまたはt−ブチルエステル誘導体、C3−6アルケニルエステル誘導体、例えば、アリル置換または無置換アミノアルキルエステル誘導体(例えば、アミノエチル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、または2−(4−モルホリノ)エチルエステル誘導体またはアシルオキシアルキルエステル誘導体、例えば、アシルオキシメチルまたは1−アシルオキシエチル、例えば、ピバロイルオキシメチル、1−ピバロイルオキシエチル、アセトキシメチル、1−アセトキシエチル、1−(1−メトキシ−1−メチル)エチルカルボニルオキシエチル、1−ベンゾイルオキシエチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、1−イソプロポキシカルボニルオキシエチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチルエステル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチル、1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチルまたは1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチルが挙げられる。
【0025】
本発明が、幾何異性体、互変異性体および光学異性体、ならびにその混合物(例えば、ラセミ混合物)全てを含む、式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体の全ての異性体を包含することは明らかであろう。
【0026】
本発明の化合物、特に、式(I)の化合物は、医薬組成物における使用を意図とするので、それらが、各々、実質上純粋な形態、例えば、少なくとも純度50%、より適当には少なくとも純度75%および好ましくは少なくとも純度95%(%は、重量/重量に基づく)で提供されることは明らかであろう。式(I)の化合物の不純物の調製は、医薬組成物で用いられるより純粋な形態を調製するために用いられうる。本発明の中間化合物の純度は、あまり気に掛けなくてもよいが、実質上純粋な形態が、式(I)の化合物に関して好ましいことは容易に分かるであろう。好ましくは、可能であればいつでも、本発明の化合物は、結晶形で得られる。
【0027】
いくつかの本発明の化合物は、結晶化されるかまたは有機溶媒から再結晶される場合に、結晶化の溶媒は、結晶生成物中に存在しうる。本発明は、かかる溶媒和物をその範囲に含む。同様に、いくつかの本発明の化合物は、結晶化されうるかまたは水を含む溶媒から再結晶されうる。かかる場合において、水和物が形成されうる。本発明は、化学量論的水和物ならびに凍結乾燥などの方法によって生成されうる不定量の水を含有する化合物をその範囲内に含む。さらに、異なる結晶条件は、結晶生成物の異なる多型の形成をもたらしうる。本発明は、式(I)の化合物の全ての多型をその範囲内に含む。
【0028】
本発明はまた、全ての同位体標識した式(I)の化合物をその範囲内に含む。かかる化合物は、その中の1個または複数の原子が、通常自然界で見出される原子量または原子数と異なる原子量または原子数を有する原子で置換されることを除き、式(I)のものと同一である。式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体の一部とすることができる同位体の例として、2H、3H、11C、13C、14C、15N、17O、18Oおよび18Fおよび36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、および塩素の同位体が挙げられる。
【0029】
同位体標識した本発明の化合物、例えば、3H、14Cなどの放射性同位体を一部とするものは、薬物および/または基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム、すなわち、3H、および炭素−14、すなわち、14C同位体は、特に、調製および検出能を容易にするのに好ましい。11Cおよび18F同位体は、特に、PET(ポジトロン放出断層撮影法)に有用であり、脳イメージングに有用である。さらに、重水素、すなわち、2Hなどの重同位体との置換は、より大きな代謝的安定性、例えば、インビボ半減期の増加または必要用量の低下をもたらすある治療上の利点を提供しうるので、状況次第では好ましくてもよい。同位体標識した式(I)の化合物は、容易に入手可能な同位体標識した試薬を非同位体標識した試薬に置換することによって、以下のスキームおよび/または実施例に開示される合成法を実施することによって調製されうる。
【0030】
本発明の化合物は、EP受容体アゴニストであるので、EP受容体媒介疾患を治療するのに有用であってもよい。
【0031】
特に、本発明の化合物は、疼痛、例えば、疾患修飾および関節構造保持の特性を含む慢性関節痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎および若年性関節炎);筋骨格系疼痛;腰痛および頸痛;捻挫および筋挫傷;神経因性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌および線維筋痛に付随する疼痛;片頭痛に付随する疼痛;風邪などの、インフルエンザまたは他のウイルス感染に付随する疼痛;リウマチ熱;非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛および過敏性腸症候群などの、機能的腸疾患に付随する疼痛;心筋虚血に付随する疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;ならびに月経困難症の治療に有用であってもよい。
【0032】
本発明の化合物は、特に、神経因性疼痛およびそれに付随する症状の治療に有用であってもよい。神経因性疼痛症候群には、糖尿病性神経障害;坐骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症疼痛;繊維筋痛;HIV関連神経障害;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;および身体外傷、切断術、癌、毒または慢性炎症性状態がもたらす疼痛が含まれる。神経因性疼痛の症状には、自然に起こるうずくような痛みおよび刺すような痛み、または持続的で、焼けるような痛みが含まれる。さらに、「しびれてビリビリする感覚」(知覚障害および感覚異常)、触られた時の感受性の増大(知覚過敏)、無害の刺激後の痛い感覚(動的、静的または熱的異痛)、侵害刺激に対する感受性の増大(温熱性、冷却性、機械的痛覚過敏)、刺激の除去後の持続的痛覚(痛覚過敏)または選択的感覚経路の非存在または欠損(痛覚鈍麻)などの正常に痛くない感覚に付随する疼痛が含まれる。
【0033】
本発明の化合物はまた、炎症の治療、例えば、皮膚状態(例えば、日焼け、やけど、湿疹、皮膚炎、乾癬);緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎および眼組織に対する急性損傷などの眼疾患;肺障害(例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫性症候群、愛鳩家の疾患、農夫肺、COPD);胃腸系障害(例えば、アフター性潰瘍、クローン病、萎縮性胃炎(atopic gastritis)、胃炎性バリアロホルム(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸症候群、胃食道逆流性疾患、下痢、便秘);臓器移植;血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、スクレロドーマ(sclerodoma)、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、腱炎、髄液包炎、およびシェーグレン症候群などの炎症性要素との他の病態の治療に有用であってもよい。
【0034】
本発明の化合物はまた、自己免疫疾患、免疫不全疾患または臓器移植などの免疫疾患の治療に有用であってもよい。式(I)の化合物はまた、HIV感染の潜伏期間の増加に有効であってもよい。
【0035】
本発明の化合物はまた、関欠性跛行、不安定狭心症、卒中、および急性冠症候群(例えば、閉塞性血管疾患)などの過剰または望ましくない血小板活性化の疾患の治療に有用であってもよい。
【0036】
本発明の化合物はまた、利尿作用を有する薬剤として有用でありうるかまたは過活動膀胱症候群を治療するのに有用でありうる。
【0037】
本発明の化合物はまた、インポテンスまたは勃起障害の治療に有用であってもよい。
【0038】
本発明の化合物はまた、骨粗鬆症(特に、閉経後骨粗鬆症)、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、ページェット骨疾患、骨溶解、骨転移の有無に関わらない悪性腫瘍の高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周炎、変形性関節症、骨痛、骨減少症、結石症(calculosis)、結石症(lithiasis)(特に、尿石症)、痛風および強直性脊椎炎、腱炎および髄液包炎などの、異常な骨代謝または吸収によって特徴付けられる骨疾患の治療に有用であってもよい。
【0039】
本発明の化合物はまた、骨再形成および/または骨産生促進および/または骨折治癒促進に有用であってもよい。
【0040】
本発明の化合物はまた、NSAIDおよびCOX−2阻害薬の血行性副作用を軽減するのに有用であってもよい。
【0041】
本発明の化合物はまた、高血圧または心筋虚血;機能性または器質性静脈不全;静脈瘤療法;痔核;および動脈圧の著しい低下に付随するショック状態(例えば、敗血性ショック)などの心臓血管疾患の治療に有用であってもよい。
【0042】
本発明の化合物はまた、認知症、特に、変性認知症(老年性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病およびクロイツフェルト・ヤコブ病、ALS、運動ニューロン疾患を含む);血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を含む);ならびに頭蓋内占拠性病変に付随する認知症;外傷;感染症および関連病態(HIV感染を含む);代謝;毒素;無酸素症およびビタミン欠乏;ならびに加齢に付随する軽度認知障害、特に加齢による記憶障害などの神経変性疾患および神経変性の治療に有用であってもよい。
【0043】
本発明はまた、神経障害の治療に有用であってもよく、神経保護剤として有用であってもよい。本発明の化合物は、卒中、心不全、肺バイパス、外傷性脳損傷などの後の神経変性の治療に有用であってもよい。
【0044】
本発明の化合物はまた、I型糖尿病(例えば、糖尿病性細小血管症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、黄斑変性症、緑内障)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、ブドウ膜炎、川崎病およびサルコイドーシスの治療に有用であってもよい。
【0045】
本発明の化合物はまた、腎機能障害(腎炎、特に、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、腎炎症候群)、肝機能障害(肝炎、肝硬変)および胃腸障害(下痢)の治療に有用であってもよい。
【0046】
治療に関する参考資料には、既存の疾患の治療および予防的治療の両方が含まれることが分かるであろう。
【0047】
本発明のさらなる実施態様によれば、ヒトまたは動物用医薬に用いるための式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体が提供される。
【0048】
本発明の別の実施態様によれば、EP受容体でのPGEの作用または作用の欠如によって媒介される病態の治療に用いるための式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体が提供される。
【0049】
本発明のさらなる実施態様によれば、EP受容体でのPGEの作用または作用の欠如によって媒介される病態に罹患しているヒトまたは動物対象を治療する方法であって、有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を前記対象に投与することを含む方法が提供される。
【0050】
本発明のさらなる実施態様によれば、疼痛、あるいは炎症性、免疫学的または骨疾患、神経変性疾患または腎臓機能障害に罹患しているヒトまたは動物対象を治療する方法であって、有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を前記対象に投与することを含む方法が提供される。
【0051】
本発明の別の実施態様によれば、EP受容体でのPGEの作用によって媒介される病態の治療のための医薬の製造のための式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用が提供される。
【0052】
本発明の別の実施態様によれば、疼痛、あるいは炎症性、免疫学的、骨、神経変性または腎臓障害などの病態の治療または予防のための医薬の製造のための式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用が提供される。
【0053】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、都合よく、医薬組成物の形態で投与される。かかる組成物は、都合よく、従来の方法で用いるために、1種または複数の医薬上許容される担体または賦形剤と混合して含まれていてもよい。
【0054】
したがって、本発明の別の態様において、ヒトまたは動物用医薬に用いるために適合される式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物が提供される。
【0055】
式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体は原化学物質として投与されうるが、医薬処方としてそれを含むことが好ましい。本発明の処方は、1種または複数のその許容される担体または希釈剤および所望の他の治療成分と一緒に式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む。担体(複数でも可)は、処方の成分中の他のものと適合し、そのレシピエントに無害であるという意味で「許容」されていなければならない。
【0056】
最も適当な経路は、例えば、レシピエントの病態および障害に依存しうるけれども、処方には、経口、非経口(皮下、例えば、注射またはデポー錠による、皮内、髄腔内、筋肉内、例えば、デポーによるおよび静脈内を含む)、直腸および局所(皮膚、口腔および舌下を含む)投与に適当なものが含まれる。処方は、都合よく、単位剤形で含まれていてもよく、薬学分野にて公知な方法のいずれかによって調製されうる(例えば、Remington−The Science and Practice of Pharmacy’,第21版,Lippincott,Williams & Wilkins,USA,2005およびその中の参考文献に開示の方法を参照)。全ての方法には、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体(「活性成分」)を1種または複数の副成分を構成する担体と関連させる工程が含まれる。一般には、処方は、均一かつ密接に活性成分を液体担体または微粉固体担体あるいは両方と関連させ、次いで、必要に応じて、生成物を所望の処方中に成形することによって調製される。
【0057】
経口投与に適当な本発明の処方は、所定量の活性成分を各々含有するカプセル、カシェー(cachet)または錠剤(例えば、チュアブル錠、特に、小児投与用)などの個々の単位量として;粉末または顆粒として;水性液体または非水性液体の液剤または懸濁液として;あるいは、水中油型乳濁液または油中水型乳濁液として存在していてもよい。活性成分はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして存在していてもよい。
【0058】
錠剤は、所望により、1種または複数の副成分と一緒に、圧縮または成形することにより製造されうる。圧縮錠は、所望により、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、潤滑剤、界面活性剤または分散剤と合して、粉末または顆粒などの自由流動型で活性成分を適当な機械で圧縮することによって調製されうる。成形錠は、不活性液体希釈剤に浸した粉末化合物の混合物を適当な機械で成形することによって製造されうる。錠剤は、所望により、コーティングまたは分割されてもよく、その中の活性成分の持続放出または制御放出を得るように処方されてもよい。
【0059】
非経口投与用処方には、対象とするレシピエントの血液と等張な処方を提供する抗酸化剤、緩衝液、静菌薬および溶質を含有していてもよい水性および非水性滅菌注射溶液;ならびに、懸濁化剤および増粘剤を含んでいてもよい水性および非水性滅菌懸濁液が含まれる。処方は、単回投与または反復投与容器、例えば、密封アンプルおよびバイアル中に含まれていてもよく、使用直前に滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されていてもよい。即時注射溶液および懸濁液は、前記種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製されうる。
【0060】
直腸投与用処方は、ココアバター、硬化脂肪またはポリエチレングリコールなどの通常の担体との坐薬として存在してもよい。
【0061】
口腔における局所投与、例えば、口腔または舌下処方には、白糖およびアカシアまたはトラガカントなどの風味が付いた基剤中に活性成分を含むドロップ、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたは白糖およびアカシアなどの基剤中に活性成分を含むトローチが含まれる。
【0062】
式(I)の化合物はまた、デポー製剤として処方されていてもよい。かかる長時間作用型処方は、注入(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与されてもよい。したがって、例えば、式(I)の化合物は、適当なポリマーもしくは疎水性物質(例えば、許容される油中乳剤として)またはイオン交換樹脂で、あるいは難溶性誘導体、例えば、難溶性塩として処方されていてもよい。
【0063】
特に上記される成分に加えて、処方には、問題となっている処方の種類に関して当該分野にて一般的な他の薬剤が含まれうる、例えば、経口投与に適当なものには、香味剤が含まれうる。
【0064】
式(I)の化合物は、他の治療薬、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブまたはパレコキシブなどのCOX−2阻害薬;5−リポキシゲナーゼ阻害薬;パラセタモールなどの鎮痛薬;ジクロフェナク、インドメタシン、ナブメトン、ナプロキセンまたはイブプロフェンなどのNSAID;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;メトトレキサートなどの、DMARD;ラモトリジンなどのナトリウムチャネル阻害薬;N型カルシウムチャネルアンタゴニスト;グリシン受容体アンタゴニストなどの、NMDA受容体モジュレータ;ガバペンチン、プレガバリンおよび関連化合物;アミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬;ニューロン安定化抗てんかん薬;ベンラファクシンなどのモノアミン再取り込み阻害薬;オピオイド鎮痛薬;局所麻酔薬;トリプタン類、例えば、スマトリプタン、ナタトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタンまたはリザトリプタンなどの5HTアゴニスト;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EPアンタゴニスト;EPアンタゴニストおよびEPアンタゴニスト;カンナビノイド受容体アゴニスト;VR1アンタゴニストと組み合わせて用いられてもよい。化合物を他の治療薬と組み合わせて用いる場合、化合物は、任意の便利な経路にて連続的または同時のいずれかで投与されてもよい。
【0065】
したがって、本発明は、さらなる実施態様において、さらなる治療薬または複数の治療薬と一緒に式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む組み合わせを提供する。
【0066】
上記の組み合わせは、都合よく、医薬処方の形態で用いるために存在していてもよいので、医薬上許容される担体または賦形剤と一緒に上記の組み合わせを含む医薬処方は、本発明のさらなる態様を含む。かかる組み合わせの個々の成分は、別々または組み合わせた医薬処方で連続的または同時のいずれかで投与されてもよい。
【0067】
式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体が、同一疾患に対して活性な第2の治療薬と組み合わせて用いられる場合、各化合物の投与量は、化合物を単独で用いる場合と異なっていてもよい。適当な投与量は、当業者であれば容易に分かるであろう。
【0068】
男性の治療のための式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の提案された1日投与量は、遊離酸として算出される、1日当たり0.001〜30mg/体重kg、より具体的には、1日当たり0.1〜3mg/体重kgであり、単回投与または分割投与、例えば、1日当たり1〜4回として投与されてもよい。成人の投与量の範囲は、一般には、遊離酸として算出される、0.1〜1000mg/日、例えば、10〜800mg/日、好ましくは、10〜200mg/日である。
【0069】
宿主、特にヒト患者に投与される式(I)の化合物の正確な量は、かかりつけ医の責務であろう。しかしながら、用いられる投与量は、患者の年齢および性別、治療されている明確な病態およびその重篤度、投与経路、ならびに取り組まれていてもよい可能な併用療法を含む、多数の因子に依存するであろう。
【0070】
本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を調製する方法を提供する。
【0071】
したがって、本発明の1の実施態様において、式(I)の化合物[式中:XおよびYの一方はC=Oを表し、他方はCHを表し、R、RおよびRは、式(I)に関する記載と同義である]を調製する方法であって、式(II):
【化2】

[式中:
XおよびYの一方はC=Oを表し、他方はCHを表し;R、RおよびRは式(I)に関する記載と同義であり;および、RはC1−6アルキルを表す]
で示される化合物を適当な塩基、例えば、水酸化ナトリウムと反応させ、所望によりその後、そのように形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成してもよいことを含む、方法。
【0072】
1の実施態様において、式(II)の化合物を含む上記の反応は、還流下、適当な溶媒、例えば、エタノール中で実施される。
【0073】
あるいは、XおよびYの一方がC=Oを表し、他方がCHを表し、R、RおよびRが、式(I)に関する記載と同義である、式(I)の化合物を調製する方法であって、式(III):
【化3】

[式中:XおよびYの一方はC=Oを表し、他方はCH−OHを表し、R、RおよびRは、式(I)に関する記載と同義である]
で示される化合物を適当な酸、次いで、適当な還元剤と反応させ、所望によりその後、そのように形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成してもよいことを含む、方法が提供される。
【0074】
適当な酸は、トリフルオロ酢酸である。
【0075】
適当な還元剤は、トリアルキルシラン、例えば、トリエチルシランである。
【0076】
本発明の別の実施態様において、式(I)の化合物[式中:XおよびYはC=Oを表し、R、RおよびRは式(I)に関する記載と同義である]を調製する方法であって、適当な酸、例えば、塩酸の存在下において、式(IV):
【化4】

[式中:R、RおよびRは式(I)に関する記載と同義であり;および、RはC1−6アルキルを表す]
で示される化合物を氷酢酸の溶液に加え、所望によりその後、そのように形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成してもよいことを含む、方法。
【0077】
1の実施態様において、式(IV)の化合物を含む上記の反応は、約50ないし110℃の範囲の温度で約2ないし70時間の範囲にて実施される。1の実施態様において、反応混合物中に存在する、氷酢酸の塩酸などの酸に対するモル比は、1:1である。
【0078】
式(II)、(III)および(IV)の化合物は、以下のスキーム1にしたがって調製されうる:
【化5】

(i)R’−X、KCO、(CHCO;(ii)R’’−Br、KCO、(CHCO;(iii)NaOH、EtOH/HO;(iv)CHCOH;(v)Pd/C、H、EtOHまたはBBr、CHCl;(vi)トリフルオロメタンスルホン酸2,2−ジフルオロエチル、NaCO、DMF;(vii)CHCOH、HCl(1:1);(viii)NaBH、EtOH/THF;(ix)NaBH、EtOH/THF;(x)TFA、EtSiH;(式中:R’およびR’’は同一または異なっていてもよく、−CHPhなどの適当な保護基を表すかまたはR’およびR’’の一方が適当な保護基を表し、他方はRまたはRを表し;およびXはBrまたはIを表す)。
【0079】
化合物(1)は、国際特許出願公開番号WO02/064564に開示される方法にしたがって調製されうる。
【0080】
がFであり、Rが式(II)および(III)に関する記載と同義である、式(4)の化合物は、以下のスキーム2にしたがって調製されうる:
【化6】

(i)NaH、乾DMF;(ii)NHCOH、EtOH、Pd/C。
【0081】
がClであり、Rが式(II)および(III)に関する記載と同義である、式(4)の化合物は、以下のスキーム3にしたがって調製されうる:
【化7】

(i)N−クロロスクシンアミド。
【0082】
式(A)の化合物は商業的に入手可能であるかまたは当該分野において既知の方法にしたがって調製されうる(例えば、2,4−ジフルオロ−1−ニトロベンゼンをSigma−Aldrich Co.Ltd.から購入しうる)。
【0083】
式(B)の化合物は商業的に入手可能であるかまたは当該分野において既知の方法にしたがって調製されうる(例えば、マロン酸ベンジルエチルをSigma−Aldrich Co.Ltd.から購入した)。
【0084】
式(D)の化合物は商業的に入手可能であるかまたは当該分野において既知の方法にしたがって調製されうる(例えば、4−アミノフェニル酢酸エチルをAvocado Researchから購入した)。
【実施例】
【0085】
以下の記載例および実施例は、本発明の化合物の調製を説明する。記載例は、中間体化合物をいう。
【0086】
略語
DCM ジクロロメタン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
EtOH エタノール
2N HCl 2規定 塩酸
LC/MS 液体クロマトグラフィー/質量分析
MDAP マスディレクティッド自動精製
MeOH メタノール
TFA トリフルオロ酢酸
【0087】
分析法
LC/MS
カラム:
Waters Atlantis(4.6mmx50mm)。固定相粒径、3μm。
【0088】
溶媒:
A:水性溶媒=水+0.05%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.05%ギ酸
【0089】
方法:
【表1】

【0090】
全保持時間は分単位で測定される。
【0091】
精製法
実施例の精製は、適当な溶媒を用いてクロマトグラフィーおよび/または再結晶などの従来方法により実施されうる。クロマトグラフ法には、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、SFC(超臨界流体クロマトグラフィー)、およびMDAP(マスディレクティッド自動精製)が含まれる。
【0092】
本明細書に用いられる、「Biotage」なる語は、商業的に入手可能なプレパックドシリカゲルカートリッジをいう。
【0093】
マスディレクティッド自動精製(MDAP)
カラム:
Waters Atlantis:19mmx100mm(小スケール);および30mmx100mm(大スケール)。
固定相粒径、5μm。
【0094】
溶媒:
A:水性溶媒=水+0.1%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.1%ギ酸
前処理溶媒=メタノール:水 80:20
ニードル洗浄溶媒=メタノール
【0095】
方法:
方法は、目的化合物の分析的保持時間により用いられた:
(1)大/小スケール 1.0−1.5=5−30%B
(2)大/小スケール 1.5−2.2=15−55%B
(3)大/小スケール 2.2−2.9=30−85%B
(4)大/小スケール 2.9−3.6=50−99%B
(5)大/小スケール 3.6−5.0=80−99%B
【0096】
MDP(シャロー(shallow)勾配) 1.5−1.9=13−29%B
MDP(シャロー勾配) 1.9−2.3=25−41%B
MDP(シャロー勾配) 2.3−2.6=37−53%B
MDP(シャロー勾配) 2.6−3.1=49−65%B
MDP(シャロー勾配) 3.1−3.6=61−77%B
MDP(シャロー勾配) 3.6−4.0=73−99%B
保持時間、10分の勾配、次いで、3.5分のカラム洗浄および再平衡工程を含む、13.5分。
【0097】
流速:
20ml/分(小スケール)または40ml/分(大スケール)。
【0098】
Biotage Parallex Flex
ハードウェア:
Biotage Parallex Flex,4 フローストリーム。
【0099】
ソフトウェア:
Version 3.02
【0100】
カラム:
大スケール:
カラム:SupelcosilTM ABZ+PLUS.25cmx21.2mm,12μm
【0101】
溶媒:
A:水性溶媒=水+0.1%トリフルオロ酢酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸
サンドイッチ溶媒=75:25 アセトニトリル:水(HPLC)
ニードル洗浄溶媒=メタノール
【0102】
方法:
40ml/分で25分かけて60%MeCN>90%MeCN
【0103】
流速:
大スケール:40ml/分
【0104】
記載例1
1,4−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル
【化8】

臭化ベンジル(2.95ml、24.7mmol)を、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル(3g、9.87mmol)および炭酸カリウム(3.40g、24.7mmol)のアセトン(100ml)中攪拌溶液に加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下で18時間還流した。得られた混合物を蒸発し、反応混合物を水でトリチュレートした。得られた黄褐色固体を、濾過により収集し、水で洗浄し、次いで、真空下で乾燥し、標記化合物を得た(5.23g、10.8mmol)。LC/MS:Rt=4.13、[MH] 485。
【0105】
記載例2
1,4−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸
【化9】

1,4−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル(4.78g、9.88mmol)、エタノール(75ml)、および2N水性水酸化ナトリウム溶液(75ml)の混合物を2時間還流した。反応混合物を冷却し、蒸発させた。これをHCl(2N)で酸性化し、得られたクリーム色固体を濾過により収集し、水で洗浄した。これを真空下で乾燥し、標記化合物を得た(3.79g、8.86mmol)。LC/MS:Rt=3.15、[MH] 427。
【0106】
記載例3
(4−アミノ−3−クロロフェニル)酢酸エチル
【化10】

エチル−4−アミノフェニル酢酸塩(20g、112mmol)をクロロホルム(300ml)で溶解し、N−クロロスクシンイミド(14.92g、112mmol)で処理し、アルゴン下室温で15分間攪拌した。反応混合物を、水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。褐色油に蒸発させ、ヘキサン中酢酸エチル(0−45%)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して精製し、橙色油として標記化合物を得た(10.12g、47.4mmol)。LC/MS:Rt=2.59、[MH] 214。
【0107】
記載例4
(3−クロロ−4−{1,3−ジオキソ−4,9−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化11】

1,4−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸(5.0g、11.68mmol)、(4−アミノ−3−クロロフェニル)酢酸エチル(4.74g、22.2mmol)およびDMAP(0.427g,3.59mmol)の混合物を、酢酸(20ml)中にて18時間120℃に加熱した。水を加え、混合物および得られた褐色固体を濾過により収集し、水で洗浄した。これをエーテルでトリチュレートし、クリーム色固体を得、濾過により収集し、真空オーブン中で乾燥した(5.34g、8.83mmol)。LC/MS:Rt=4.15、[MH] 606。
【0108】
記載例5
[3−クロロ−4−(4,9−ジヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチル
【化12】

アルゴン雰囲気下で−78℃に冷却した、(3−クロロ−4−{1,3−ジオキソ−4,9−ビス[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(0.505g、0.84mmol)のDCM(30ml)中溶液に、三臭化ホウ素(0.24ml、2.50mmol)を滴下した。−78℃で25分間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、室温に加温した。これを疎水性フリットを用いてDCMで2回抽出した。有機相を橙色固体に蒸発した。DCMで熱トリチュレートし、黄色固体を得、濾過により収集した(0.189g、0.44mmol、53%)。濾液を、ヘキサン中酢酸エチル(0−70%)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して精製し、黄色固体として標記化合物を得た(0.035g、0.082mmol)。LC/MS:Rt=3.22、[MH] 426。
【0109】
記載例6
(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸エチル
【化13】

[3−クロロ−4−(4,9−ジヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチル(0.30g、0.71mmol)のDMF(3ml)中溶液に、炭酸ナトリウム(0.299g、2.82mmol)、次いで、トリフルオロメタンスルホン酸2,2−ジフルオロエチル(0.453g、2.12mmol)を加えた。これを室温で30分間攪拌した。急速に攪拌しながら、水を反応混合物に加えた。得られた黄褐色固体を濾過により収集し、水で洗浄し、真空オーブン中で乾燥し、標記化合物を得た(0.368g、0.66mmol)。LC/MS:Rt=3.62、[MH] 554。
【0110】
実施例1
(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸
【化14】

(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸エチル(0.365g、0.66mmol)を、酢酸:2N水性塩酸(10ml)の1:1混合物中にて3時間100℃に加熱した。さらに10mlの酢酸:HCl(2N)の1:1混合物を溶解性を補助するために加えた。混合物を半分に分け、半分を室温で一晩静置した。これを1時間100℃まで加熱して戻し、次いで、室温に冷却した。水を加えることによって、得られた白色固体を濾過により収集し、水で洗浄した(0.137g、0.26mmol)。LC/MS:Rt=3.25、[MH] 526。
【0111】
記載例7
(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸
【化15】

(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸(0.235g、0.45mmol)のエタノール(10ml)およびテトラヒドロフラン(20ml)中溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.051g、1.34mmol)を少量ずつ加えた。これを0℃で5分間攪拌した。さらに水素化ホウ素ナトリウム(0.01g、0.26mmol)を加え、10分間攪拌し続けた。混合物を蒸発させ、次いで、混合物がpH7になるまで水性飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチした。これを酢酸エチルで2回抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発し、粗生成物を得た(0.249g、0.47mmol)。LC/MS:Rt=3.07、[MH] 528。
【0112】
実施例2
(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸
【化16】

0℃に冷却した、(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸(0.235g、0.45mmol)のトリフルオロ酢酸(5ml)中溶液に、トリエチルシラン(0.106ml、0.67mmol)を加えた。0℃で10分間攪拌し続け、次いで、混合物を蒸発した。粗混合物をMDAPを用いて精製した。透明画分を蒸発させ、白色固体を得た。これをエーテルでトリチュレートし、得られた白色固体を濾過により収集した(0.067g、0.13mmol)。LC/MS:Rt=3.24、[MH]512。
【0113】
記載例8
1−(エチルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル
【化17】

ブロモエタン(0.359g、3.29mmol)を、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル(1g、3.29mmol)および炭酸カリウム(0.454g、3.29mmol)のアセトン(25ml)中攪拌溶液に加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下で24時間還流した。得られた混合物を蒸発させ、残渣を、酢酸エチルおよび水の間に2回分配した。合した有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。橙色油を、ヘキサン中酢酸エチル(0−10%)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して精製し、透明油として標記化合物を得た(0.661g、1.99mmol)。LC/MS:Rt=3.63、[MH] 331。
【0114】
記載例9
1−(エチルオキシ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル
【化18】

臭化ベンジル(1.32ml、11.1mmol)を、1−(エチルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル(2.45g、7.38mmol)および炭酸カリウム(1.53g、11.1mmol)のアセトン(50ml)中攪拌溶液に加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下で1時間還流した。得られた混合物を蒸発させ、残渣を、酢酸エチルおよびブラインの間に2回分配した。合した有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。透明油を、ヘキサン中酢酸エチル(0−40%)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して精製し、透明油として標記化合物を得た(3.05g、7.23mmol)。LC/MS:Rt=3.77、[MH] 423。
【0115】
記載例10
1−(エチルオキシ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸
【化19】

1−(エチルオキシ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸ジエチル(3.05g、7.23mmol)、エタノール(30ml)、および2N水性水酸化ナトリウム溶液(35ml)の混合物を3時間還流した。反応混合物を冷却し、蒸発した。これをHCl(2N)で酸性化し、酢酸エチルで2回抽出した。合した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させ、白色固体として標記化合物を得た(2.55g、6.97mmol)。LC/MS:Rt=2.76、[MH] 365。
【0116】
記載例11
エチル フェニルメチル (3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパンジオアート
【化20】

水素化ナトリウム(17.8g、445mmol)を、マロン酸ベンジルエチル(98.9、445mmol)の乾DMF(280ml)中溶液に滴下し、10分間攪拌した。30分かけて10℃に冷却し、2,4−ジフルオロ−1−ニトロベンゼン(48.9ml、445mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物を、pH3−4にHCl(2N)(150ml)でクエンチし、次いで、エーテルで2回抽出した。合した有機相を、水およびブラインで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、黄色油に蒸発させた。ヘキサン中5%酢酸エチルで溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して精製し、黄色油として標記化合物を得た(11.66g、32.3mmol)。LC/MS:Rt=3.39、[MH] 360。
【0117】
記載例12
(4−アミノ−3−フルオロフェニル)酢酸エチル
【化21】

エチル フェニルメチル (3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパンジオアート(11.66g、32.3mmol)、ギ酸アンモニウム(10.2g、161.5mmol)および炭素担体10%パラジウム(ウェットペースト)(1.7g、0.8mmol)をアルゴン下で静置し、エタノール(300ml)を加えた。反応混合物を3時間60℃に加熱し、冷却し、アルゴン雰囲気下でセライトに通して濾過した。蒸発させ、ヘキサン中2−30%酢酸エチルで溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して精製し、黄色油として標記化合物を得た(5.22g、26.5mmol)。LC/MS:Rt=2.14、[MH] 198。
【0118】
記載例13
(4−{4−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−9−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸エチル
【化22】

1−(エチルオキシ)−4−[(フェニルメチル)オキシ]−2,3−ナフタレンジカルボン酸(1.40g、3.32mmol)、(4−アミノ−3−フルオロフェニル)酢酸エチル(1.24g、6.30mmol)およびDMAP(0.121g、0.995mmol)の混合物を、酢酸(20ml)中にて6時間120℃に加熱した。反応混合物を、水でトリチュレートし、得られた黄色固体を濾過により収集し、真空オーブン中で乾燥し、標記化合物を得た(1.93g、3.66mmol)。LC/MS:Rt=3.95、[MH] 528。
【0119】
記載例14
{4−[4−(エチルオキシ)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル
【化23】

炭素担体10%パラジウム(0.175g)をエタノール(150ml)中で懸濁し、これに(4−{4−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−9−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸エチル(1.75g、3.32mmol)を加えた。反応物を、水素雰囲気下、室温で3時間攪拌した。これを、一面のアルゴン下でセライト層に通して濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を蒸発させ、黄色固体を得た(1.56g、3.57mmol)。LC/MS:Rt=3.50、[MH] 438。
【0120】
記載例15
{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル
【化24】

{4−[4−(エチルオキシ)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル(0.21g、0.481mmol)のDMF(3ml)中溶液に、炭酸ナトリウム(0.102g、0.961mmol)、次いで、トリフルオロメタンスルホン酸2,2−ジフルオロエチル(0.154g、0.721mmol)を加えた。これを、室温で20分間攪拌した。急速に攪拌しながら、水を反応混合物に加えた。得られた黄褐色固体を濾過により収集し、水で洗浄し、真空オーブン中で乾燥し、標記化合物を得た(0.194g、0.39mmol)。LC/MS:Rt=3.65、[MH] 502。
【0121】
実施例3
{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸
【化25】

{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル(0.050g、0.10mmol)を、酢酸:HCl(2N)の1:1混合物(4ml)中にて1時間100℃に加熱した。水を加えることにより、得られた白色固体を濾過により収集し、水で洗浄した(0.043g、0.10mmol)。LC/MS:Rt=3.19、[MH] 474。
【0122】
記載例16
{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチルおよび{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル
【化26】

{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル(0.140g、0.28mmol)のエタノール(5ml)およびテトラヒドロフラン(10ml)中溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.043g、1.12mmol)を少量ずつ加えた。全部の水素化ホウ素ナトリウム(0.129g、3.39mmol)を2時間かけてさらに加え、反応を終了させた。混合物を蒸発させ、次いで、混合物がpH7になるまで水性飽和塩化アンモニウムでクエンチした。これを、酢酸エチルで2回抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させ、粗生成物を得た(0.143g、0.28mmol)。LC/MS:Rt=3.26、3.30、[MH] 504。
【0123】
記載例17
{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチルおよび{4−[9−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル
【化27】

0℃に冷却した、{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチルおよび{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル(0.143g、0.28mmol)のトリフルオロ酢酸(2ml)中溶液に、トリエチルシラン(0.068ml、0.43mmol)を加えた。0℃で10分間攪拌し続け、次いで、混合物を蒸発させた。異性体を、逆相クロマトグラフィー(Biotage Parallex Flex)を用いて分離した。
【0124】
{4−[9−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル(0.017g、0.035mmol)、LC/MS:Rt=3.67、[MH] 488。
【化28】

【0125】
{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル
【化29】

(0.024g、0.05mmol)。LC/MS:Rt=3.55、[MH] 488。
【0126】
実施例4
{{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸
【化30】

{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸エチル(0.024g、0.05mmol)を、2N水酸化ナトリウム:エタノール(4ml)の1:1混合物中にて1時間加熱還流した。反応物を室温に冷却した。エタノールを蒸発させ、混合物をHCl(2N)で酸性化した。得られた白色固体を濾過により収集し、水で洗浄し、真空下で乾燥し、標記化合物を得た(0.012g、0.03mmol)。LC/MS:Rt=3.08、[MH] 460。
【0127】
以下の化合物を、適当な物質を用いて{{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸と同様の方法で調製した。
【表2】

【0128】
記載例18
{3−クロロ−4−[4−(エチルオキシ)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル
【化31】

[3−クロロ−4−(4,9−ジヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチル(2.0g、4.70mmol)のアセトン(50ml)中溶液に、炭酸カリウム(0.656g、4.75mmol)、次いで、ヨードエタン(0.38ml、4.75mmol)を加えた。これを24時間加熱還流した。溶媒を蒸発させ、水を残渣に加えた。得られた粘着性褐色固体を濾過により収集し、真空オーブン中で乾燥した。これを、逆相クロマトグラフィーを用いて精製し、標記化合物を得た(1.21g、2.67mmol)。LC/MS:Rt=3.66、[MH] 454。
【0129】
記載例19
{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル
【化32】

{3−クロロ−4−[4−(エチルオキシ)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.60g、1.32mmol)のDMF(6ml)中溶液に、炭酸ナトリウム(0.280g、2.65mmol)、次いで、トリフルオロメタンスルホン酸2,2−ジフルオロエチル(0.425g、1.98mmol)を加えた。これを室温で20分間攪拌した。水を反応混合物に加え、次いで、エーテルで2回抽出した。合した有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。これをヘキサン中5−60%酢酸エチルで溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して精製し、標記化合物を得た(0.395g、0.76mmol)。LC/MS:Rt=3.73、[MH] 518。
【0130】
実施例6
{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸
【化33】

{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.095g、0.18mmol)を、酢酸:HCl(2N)の1:1混合物(6ml)中にて2.5時間100℃に加熱した。水を加えることにより、得られた白色固体を濾過により収集し、水で洗浄した(0.076g、0.16mmol)。LC/MS:Rt=3.29、[MH] 490。
【0131】
記載例20
{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル−{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル
【化34】

{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.300g、0.58mmol)のエタノール(10ml)およびテトラヒドロフラン(20ml)中溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.066g、1.74mmol)を加えた。全ての水素化ホウ素ナトリウム(2.24g、59.1mmol)を4時間かけてさらに加え、反応を終了させた。混合物を蒸発させ、次いで、混合物をpH7になるまで水性飽和塩化アンモニウムでクエンチした。これを酢酸エチルで2回抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させ、粗生成物を得た(0.259g、0.50mmol)。LC/MS:Rt=3.38、3.42、[MH] 520。
【0132】
記載例21
{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル−{3−クロロ−4−[9−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル
【化35】

0℃で冷却した、{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−3−ヒドロキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル−{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.259g、0.50mmol)のトリフルオロ酢酸(5ml)中溶液に、トリエチルシラン(0.12ml、0.75mmol)を加えた。0℃で10分間攪拌し続け、次いで、混合物を蒸発させた。異性体を、マスディレクティッドオートプレップ(Mass Directed Auto Prep)(シャロー勾配)に付して分離した。
【0133】
{3−クロロ−4−[9−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.086g、0.17mmol)。LC/MS:Rt=3.72、[MH] 504。
【化36】

【0134】
{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル
【化37】

(0.089g、0.18mmol)。LC/MS:Rt=3.61、[MH] 504。
【0135】
実施例7
{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸
【化38】

{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(0.089g、0.18mmol)を、2N水酸化ナトリウム:エタノール(10ml)の1:1混合物中にて1時間加熱還流した。反応物を室温に冷却した。エタノールを蒸発させ、混合物をHCl(2N)で酸性化した。得られた白色固体を濾過により収集し、水で洗浄し、真空下で乾燥し、標記化合物を得た(0.063g、0.13mmol)。LC/MS:Rt=3.11、[MH] 476。
【0136】
以下の化合物を、適当な出発物質を用いて{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸と同様の方法で調製した。
【表3】

【0137】
生物学的データ
組み換えヒトプロスタノイドEP受容体を発現するHEK−293(T)細胞(HEK−EP細胞)を用いて研究を行った。細胞を、glutamax II(Gibco)を含有するDMEM−F12/F12で単層培地として増殖させ、10%ウシ胎仔血清および0.4mg/ml−1 G418で補完した。HEK−EP細胞を、10μMインドメタシンで実験24時間30分前に前処理し、10μMインドメタシンを含有するヴェルセンを用いて採取した。細胞を、1×10細胞/mlにてアッセイ緩衝液(DMEM:F12、10μMインドメタシンおよび200μM IBMX)で再懸濁し、37℃で20分間培養した。その後、50μlの細胞を50ulアゴニスト(式(I)の化合物)に加え、100μlの1%トリトン(triton)X−100で反応を停止する前に4分間37℃で培養した。細胞溶解物中のcAMP濃度を、競合結合アッセイを用いて測定した。該アッセイにおいて、プロテインキナーゼAの結合サブユニットに結合する3H−cAMP(Amersham)を抑制するための細胞溶解物の能力を測定し、cAMP濃度を標準曲線から計算した。各化合物のデータは、標準アゴニストPGE2の最大濃度10nMに対する反応の%として表された。各化合物について、最大応答およびその最大応答の50%をもたらす化合物の濃度を計算した。内活性は、PGE2に対する最大応答に対して表される。明記しない限り、試薬は、シグマ(Sigma)から商業的に購入された。
【0138】
本発明の実施例は、上記のアッセイにおいて試験され、6.9以上のpEC50値および20%以上の内活性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
およびRは、独立して、C1−4アルキルまたはジフルオロエチルを表し、ただし、RおよびRの少なくとも一方はジフルオロエチルを表し;
は、FまたはClを表し;および
XおよびYは、独立して、C=OまたはCHを表し、ただし、XおよびYの少なくとも一方はC=Oを表す]
で示される化合物、またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項2】
およびRの一方がC1−4アルキルを表し、他方がジフルオロエチルを表す、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
およびR両方がジフルオロエチルを表す、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
がFを表す、上記の請求項のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
がClを表す、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
XがCHを表し、YがC=Oを表す、上記の請求項のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
XがC=Oを表し、YがCHを表す、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
XおよびY両方がC=Oを表す、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸;
(4−{4,9−ビス[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル}−3−クロロフェニル)酢酸;
{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{4−[9−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
{3−クロロ−4−[4−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−9−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;および
{3−クロロ−4−[9−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−4−(エチルオキシ)−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸;
からなる群より選択される、請求項1記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項10】
XおよびYの一方がC=Oを表し、他方がCHを表し、R、RおよびRが、式(I)に関する記載と同義である、請求項1記載の式(I)の化合物の調製方法であって、式(II):
【化2】

[式中:
XおよびYの一方はC=Oを表し、他方はCHを表し;R、RおよびRは式(I)に関する記載と同義であり;および、RはC1−6アルキルを表す]
で示される化合物を適当な塩基、例えば、水酸化ナトリウムと反応させ、その後、そのように形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成してもよいことを含む、方法。
【請求項11】
XおよびYの一方がC=Oを表し、他方がCHを表し、R、RおよびRが式(I)に関する記載と同義である、請求項1記載の式(I)の化合物の調製方法であって、式(III):
【化3】

[式中:
XおよびYの一方がC=Oを表し、他方がCH−OHを表し、R、RおよびRは式(I)に関する記載と同義である]
で示される化合物を適当な酸、次いで、適当な還元剤と反応させ、その後、そのように形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成してもよいことを含む、方法。
【請求項12】
XおよびYの一方がC=Oを表し、R、RおよびRが式(I)に関する記載と同義である、請求項1記載の式(I)の化合物の調製方法であって、適当な酸、例えば、塩酸の存在下において、式(IV):
【化4】

[式中:
、RおよびRは式(I)に関する記載と同義であり;および、RはC1−6アルキルを表す]
で示される化合物を氷酢酸の溶液に加え、その後、そのように形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成してもよいことを含む、方法。
【請求項13】
ヒトまたは動物用医薬に用いるための、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
EP受容体でのPGEの作用、または作用の欠如によって調節される病態の治療に用いるための請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項15】
EP受容体でのPGEの作用、または作用の欠如によって調節される病態に罹患しているヒトまたは動物対象の治療方法であって、有効量の請求項1記載の式(I)の化合物を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項16】
EP受容体でのPGEの作用によって調節される病態の治療のための医薬の製造のための請求項1記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項17】
請求項1記載の式(I)の化合物、および1種または複数のその医薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項18】
1種または複数のさらなる治療剤を含む、請求項17記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2009−544747(P2009−544747A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522228(P2009−522228)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057711
【国際公開番号】WO2008/012344
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】