説明

LEDアレイ

【課題】各発光素子の発光強度を均等にして、高性能かつ高信頼性のLEDアレイを提供する。
【解決手段】単結晶基板1上に一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3と個別電極4とを順次積層し、この一導電型半導体層2を引き出した延在部7の上に共通電極5と絶縁膜6とを並設して成る発光素子を複数個配列して成る発光素子群9にて構成され、この発光素子群9内における各発光素子の延在部7における共通電極5に至る電極間隔xが異なるとともに、一方の発光素子の電極間隔xと他方の発光素子の電極間隔xとを同じにして、双方の共通電極5を通電せしめるように成し、そして、前記延在部7と共通電極5との接触面積sを、電極間隔xが長くなるにしたがって、大きくしている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はLEDアレイに関し、特にページプリンタ用感光ドラムの露光用光源などに用いられるLEDアレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のLEDアレイを図5と図6によって示す。図5はLEDアレイの平面図であり、図6はその断面図である。
【0003】21は単結晶基板であり、単結晶基板21上において、22は一導電型半導体層、23は逆導電型半導体層、24は個別電極、25は共通電極、26は窒化シリコン膜などから成る保護膜としての絶縁膜である。
【0004】単結晶基板21上に、各発光素子ごとに一導電型半導体層22と逆導電型半導体層23とが順次積層して形成され、その積層において、一導電型半導体層22の面積は逆導電型半導体層23の面積に比べて大きくしている。
【0005】一導電型半導体層22の上に絶縁膜26を被覆しているが、その露出部に共通電極25(25a、25b)を接続して設けている。
【0006】また、逆導電型半導体層23についても、その上に絶縁膜26を被覆しているが、その露出部に個別電極24を接続して設けている。
【0007】さらに図5に示すように、共通電極25(25a、25b)は隣接する各発光素子ごとに(島状半導体層22、23ごとに)異なる群に属するように2群に分けて接続して設けられ、隣接する発光素子(島状半導体層22、23)が同じ個別電極24に接続されている。
【0008】この発光ダイオードアレイ構造では、個別電極24と共通電極25(25a、25b)の組み合わせを選択して電流を流すことによって、各発光素子を選択的に発光させることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】近年、LEDアレイに対し、発光素子の高密度化や、その小型化が市場のニーズであるが、しかしながら、前記のような構成のLEDアレイにおいては、外部接続点である電極パッドの数をさらに減らしたり、外部回路との接続電極サイズをさらに小さくしたり、チップサイズをさらに小さくすることがむずかしくなっていた。
【0010】したがって、発光素子の高密度化や、LEDアレイの小型化という市場のニーズに十分に応えることができなくなっていた。
【0011】この課題を解消するために、マトリクス配線電極で層間絶縁膜を介して設ける多層電極構造のLEDアレイが提案されている(特開平9−277592号と特開平11−40842号参照)。
【0012】しかしながら、かかる提案のLEDアレイについても、各発光ダイオードの個別電極の形成と、それら発光ダイオードをグループに分け、各グループから重複無く1つずつ選択する為のマトリクス配線の形成を2回行い、またそれぞれを絶縁膜等を介することで電気的に分離する工程とを含み、多層電極構造でしか構成出来ないといった、工程の複雑化が容易に予想できる。
【0013】また、LEDアレイにおいては、多くの発光素子を配列するに当り、各発光素スの発光強度にばらつきが生じないようにすることが望まれるが、いまだ、かかる課題に対し有効な解決手段が提案されていない。
【0014】本発明は叙上に鑑みて完成されたものであり、その目的は各発光素子の発光強度を均等にして、高性能かつ高信頼性のLEDアレイを提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は工程数を増やすこともなく、層間絶縁膜を介した多層電極構造を用いないで、製造コストを下げるとともに、発光素子の高密度化や小型化を達成したLEDアレイを提供することにある。
【0016】本発明のさらに他の目的は、外部回路との接続点において、その接続電極の面積をさらに小さくし、しかも、その接続点数(電極パッド数)を減らすことで、発光素子の高密度化や小型化を達成したLEDアレイを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明のLEDアレイは、単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層と一方電極とを順次積層し、この一導電型半導体層を引き出した延在部の上に他方電極と絶縁膜とを並設して成る発光素子を複数個配列して成る発光素子群にて構成され、この発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、一方の発光素子の電極間隔と他方の発光素子の電極間隔とを同じにして、双方の他方電極を通電せしめるように成し、そして、前記延在部と他方電極との接触面積を、電極間隔が長くなるにしたがって、大きくしたことを特徴とする。
【作用】本発明のLEDアレイは、上記構成のように各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なることで、配線抵抗がばらつきが生じるが、とくに電極間隔が長くなることで、配線抵抗が大きくなる傾向にある。したがって、本発明においては、延在部と他方電極との接触面積を、電極間隔が長くなるにしたがって、大きくしたことで、その配線抵抗のばらつきを調整することができ、その結果、各発光素スの発光強度を均等にして、高性能かつ高信頼性のLEDアレイが提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1〜図4は本発明のLEDアレイの一実施形態を示す。
【0019】図1はLEDアレイの要部拡大の平面図であり、図2は図1に示すV−V‘線による断面図、図3は図1に示すh−h’線による断面図である。図2および図3には、参照符号として、V、V‘、h、h’を明示することでもって、その断面図の方向を示す。また、図4は他のLEDアレイにおける要部平面図である。
【0020】1は単結晶基板であり、単結晶基板1上において、2は一導電型半導体層、3は逆導電型半導体層、4は前記一方電極である個別電極、5は前記他方電極である共通電極、6は窒化シリコン膜などから成る保護膜としての絶縁膜である。
【0021】単結晶基板1上に、各発光素子ごとに一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3とが順次積層して形成され、その積層において、一導電型半導体層2の面積は逆導電型半導体層3の面積に比べて大きくして、一導電型半導体層2を引き出すことで、一導電型半導体層2と同一材からなる延在部7を設けている。
【0022】また、図2に示されるように、一導電型半導体層2の上に絶縁膜6を被覆しているが、その露出部に共通電極5(5a、5b)を接続して設けてことで、絶縁膜6と共通電極5とを延在部7の上で並設している。図2において、共通電極5と延在部7との接触部を「s」でもって示す。
【0023】さらに逆導電型半導体層3の上にも絶縁膜6を被覆しているが、その露出部に個別電極4を接続して設けている。
【0024】単結晶基板1は半導体基板からなり、高抵抗シリコン単結晶でもって構成した場合には、(100)面を<011>方向に2〜7°オフさせた基板などが好適である。
【0025】一導電型半導体層2は、バッファ層2a、オーミックコンタクト層2bおよび電子注入層2cで構成される。
【0026】バッファ層2aとオーミックコンタクト層2bはガリウム砒素などで形成され、電子の注入層2cはアルミニウムガリウム砒素などで形成される。オーミックコンタクト層2bにはシリコンなどの一導電型半導体不純物を1×1016〜1017atoms/cm3 程度含有し、電子注入層2cにはシリコンなどの一導電型半導体不純物を程度含有する。
【0027】バッファ層2aは単結晶基板1と半導体層との格子定数の不整合に基づくミスフィット転位を防止するために設けるものであり、半導体不純物を1×1016〜1019atoms/cm3含有させる。
【0028】バッファ層2aは2〜4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層2bは0.1〜3.0μm程度の厚みに形成され、電子注入層2cは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成される。
【0029】逆導電型半導体層3は、発光層3a、クラッド層3bおよび他のオーミックコンタクト層3cで構成される。
【0030】発光層3aとクラッド層3bはアルミニウムガリウム砒素などから成り、オーミックコンタクト層3cはガリウム砒素などから成る。
【0031】発光層3a、クラッド層3bおよびオーミックコンタクト層3cは、電子の閉じ込め効果と光の取り出し効果を考慮して、各層の間にてアルミニウム砒素(AlAs)とガリウム砒素(GaAs)との混晶比を異ならしめる。
【0032】発光層3aとクラッド層3bは亜鉛(Zn)などの逆導電型半導体不純物を1×1016〜1021atoms/cm3 程度含有し、オーミックコンタクト層3cは亜鉛などの逆導電型半導体不純物を1×1019〜1021atoms/cm3 程度含有する。
【0033】発光層3aとクラッド層3bは0.2〜0.4μm程度の厚みに形成され、オーミックコンタクト層3cの膜厚dについては、膜厚d>(0.15μm−オーミックコンタクト層膜厚)程度の厚みに形成される。
【0034】また、絶縁膜6は、たとえば窒化シリコンなどから成り、厚み2000Å程度に形成される。
【0035】個別電極4と共通電極5(5a、5b、5c、5d)は金/クロム(Au/Cr)などから成り、厚み1μm程度に形成される。
【0036】各発光素子は、上記のような構成であるが、つぎに図1と図3にて各発光素子に対する電極構造を示す。
【0037】これら各発光素子の個別電極4に対し共通に成した電極パッド8を配設し、個々の電極パッド8に対応した発光素子群9を設け、さらに前記一方の発光素子群と他方の発光素子群とを交互に配列することで、複数個の発光素子群9をライン状に配列している。
【0038】また、発光素子群9内における各発光素子の延在部7における共通電極5(5a、5b、5c、5d)に至る電極間隔xが異なるとともに、一方の発光素子群9の発光素子の電極間隔と、他方の発光素子群9の発光素子の電極間隔とを同じにして、双方の他方電極に対し共通に成した他の電極パッド10を配設している。
【0039】そして、電極間隔xを同じにした各発光素子の共通電極5を通電させるために、延在部7の上の絶縁膜6をまたがるように、接続線11(11a、11b、11c、11d)を発光素子の配列ラインと平行に形成している。
【0040】さらに一方の発光素子群と他方の発光素子群としての隣接する発光素子群9、9に対し、発光素子群9内にて個々の電極間隔xを配列順に長くするか、もしくは短くして違えることで、対称的な電極間隔パターンにしている。
【0041】つぎに図4にて、電極間隔xを4とおりに違えて、128bit(ビット)LEDアレイを示す。
【0042】電極間隔xがもっとも短いものをX11として、そこを端部の発光素子として、順次、X21、X31、X41とし、…X4n、X3n、X2n、X1n、…としている。
【0043】128bitを4種類で32グループ(32個の発光素子群9)に分けることで、n=1〜32である。
【0044】各発光素子群9をグループG1、G2、…Gmとすると、グループG1における電極間隔X11の発光素子と、グループG2における電極間隔X12の発光素子とを、接続線11aでもって接続し、グループGmにおける電極間隔X1nの発光素子と接続している。
【0045】グループG1における電極間隔X21の発光素子と、グループG2における電極間隔X22の発光素子と、…グループGmにおける電極間隔X2nの発光素子とを、接続線11bでもって接続している。
【0046】同様に、グループG1における電極間隔X31の発光素子と、グループG2における電極間隔X32の発光素子と、…グループGmにおける電極間隔X3nの発光素子とを、接続線11cでもって接続している。
【0047】グループG1における電極間隔X41の発光素子と、グループG2における電極間隔X42の発光素子と、…グループGmにおける電極間隔X4nの発光素子とを、接続線11dでもって接続している。
【0048】そして、各発光素子群に設けた電極パッド8と、他のグループされた電極パッド10とに対し、双方間に選択的に電圧を印加することで、所定の発光素子に電流を流すことができ、その素子を発光せしめる。
【0049】上記構成のLEDアレイによれば、各発光素子群9(グループG1、G2、…Gm…)ごとに、共通に成した電極パッド8を配設し、そして、発光素子群9(グループG1、G2、…Gm…)内における各発光素子の電極間隔xが異なるとともに、一方の発光素子群の発光素子の電極間隔xと他方の発光素子群の発光素子の電極間隔xとを同じにして、双方の共通電極5に対し共通に成した電極パッド10を配設したことで、電極パッド数が少なくなり、その配設面積が小さくなり、これにより、発光素子の高密度化、ならびにLEDアレイの小型化が達成された。
【0050】また、本発明においては、さらに電極間隔xを同じにした各発光素子の共通電極5を通電するために、延在部7上の絶縁膜6をまたがるように、接続線11を発光素子の配列ラインと平行に形成したことで、別の絶縁膜を形成することもなく、これによって製造コストを下がり、低コストなLEDアレイが提供された。
【0051】さらに一方の発光素子群と他方の発光素子群に対し、発光素子群内にて個々の電極間隔xを配列順に違えることで、対称的な電極間隔パターンにしており、そのように規則的にパターンしたことで、容易な設計となり、製造上簡略化される。そして、その規則的パターンをLEDアレイに整然と設けることで、それ以外の領域に電極パッドを設けることが設計上容易になる。たとえば、図4に示すように、接続線11cに接続した電極パッド10aについては、分断した接続線11dの間に設けることで、その面積を広くすることができる。
【0052】そして、本発明においては、図1に示すように接触部sの接触面積を、電極間隔xが長くなるにしたがって、大きくして、各発光素子の間において、その配線抵抗のばらつきを調整することができる。
【0053】参考までに実験例を図7にて示す。接触部sの接触面積を幾とおりにも変えたり、もしくは従来とおり接触部sの接触面積を変えないで、そして、双方において、電極間隔xの長さ(μm)と駆動電圧(V)との関係を測定したところ、図7に示すような結果が得られた。
【0054】横軸である電極間隔xの長さ(μm)には、x1、x2(x1+10μm)、x3(x2+10μm)、x4(x3+10μm)に対応する各発光素子における駆動電圧(V)を測定した。そして、本発明のようにx1〜x4にわたって、順次接触部sの接触面積(小孔)を(5.3×5.3μm)、(6.5×6.5μm)、(9.0×9.0μm)、(13×13μm)の各矩形状に変えることで、各発光素子において均等な駆動電圧が得られた。
【0055】比較例においては、接触部sの接触面積(小孔)を各素子において(13×13μm)にそろえており、そのためにx1〜x4にわたって、順次駆動電圧が増大している。
【0056】つぎに上述のようなLEDアレイの製造方法を説明する。まず、高抵抗シリコン単結晶基板1上に、一導電型半導体層2、逆導電型半導体層3をMOCVD法などで順次積層して形成する。
【0057】まず、これらの半導体層2、3を形成する場合、基板温度を400〜500℃に設定し、これによって200〜2000Åの厚みでもってアモルファス状のガリウム砒素膜を形成した後、基板温度を700〜900℃に上げて所望とおりの厚みの一導電型半導体層2と逆導電型半導体層3とを形成する。
【0058】この成膜において、原料ガスとしてはTMG((CH33 Ga)、TEG((C253 Ga)、アルシン(AsH3 )、TMA((CH33 Al)、TEA((C253 Al)などが用いられ、導電型を制御するためのガスとしては、シラン(SiH4 )、セレン化水素(H2 Se)、DMZ((CH32 Zn)などが用いられ、キャリアガスとしては、H2などが用いられる。
【0059】つぎに、隣接する素子同志が電気的に分離されるように、半導体層2、3が島状にパターニングされる。そのためのエッチングは、硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウエットエッチングやCCl22 ガスを用いたドライエッチングなどで行われる。
【0060】しかる後に、一導電型半導体層2の一端部側に延在部7を設け、この延在部7の上にその一部が露出し、かつこの一導電型半導体層2の隣接する領域部分が露出するようにエッチングする。また、逆導電型半導体層3が一導電型半導体層2よりも幅狭に形成されるように逆導電型半導体層3をエッチングする。
【0061】このようなエッチングも硫酸過酸化水素系のエッチング液を用いたウェットエッチングやCCl2 F2 ガスを用いたドライエッチングなどで行なわれる。
【0062】つぎに、隣接する発光素子が基板上でも電気的に分離されるように、たとえばアルカリ性水溶液でエッチングする。この時、一導電型半導体層2の延在部7の一部が露出し、かつこの一導電型半導体層2の隣接する領域部分が露出するように、そして、逆導電型半導体層3が一導電型半導体層2よりも幅狭に形成されるように逆導電型半導体層3をエッチングした際に用いたパターンを残したままで行ない、これによって逆導電型半導体層3を一切おかすことなく電気的に分離する。
【0063】つぎにプラズマCVD法で、シランガス(SiH4 )とアンモニアガス(NH3 )を用いて窒化シリコンから成る絶縁膜6を形成してパターニングする。
【0064】最後に、クロムと金を蒸着法やスパッタリング法で形成してパターニングすることで電極パッド9、10および接続線11を形成する。
【0065】
【発明の効果】以上のとおり、本発明のLEDアレイによれば、単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層と一方電極とを順次積層し、この一導電型半導体層を引き出した延在部の上に他方電極と絶縁膜とを並設して成る発光素子を複数個配列して成る発光素子群にて構成され、この発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、一方の発光素子の電極間隔と他方の発光素子の電極間隔とを同じにして、双方の他方電極を通電せしめるように成し、そして、前記延在部と他方電極との接触面積を、電極間隔が長くなるにしたがって、大きくしたことで、各発光素子の発光強度を均等にして、高性能かつ高信頼性のLEDアレイが提供できた。
【0066】また、本発明においては、単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層と一方電極とを順次積層し、この一導電型半導体層を引き出した延在部の上に他方電極と絶縁膜とを並設して成る発光素子を複数個配列し、さらにこれらの発光素子の各一方電極に対し共通に成した電極パッドを配設して成る発光素子群を、さらに複数個ライン状に配列せしめた構成において、発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、一方の発光素子群の発光素子の電極間隔と他方の発光素子群の発光素子の電極間隔とを同じにして、双方の他方電極に対し共通に成した他の電極パッドを配設して成ることで、電極パッド数が減少し、その配設面積が小さくなり、これにより、発光素子の高密度化、ならびにLEDアレイの小型化が達成された。
【0067】また、従来の多層電極構造のLEDアレイと比べても、工程数が少なくなり、層間絶縁膜を介した多層電極構造を用いないことで、製造コストを下がり、発光素子の高密度化や小型化を達成したLEDアレイが得られた。
【0068】また、本発明のLEDアレイにおいては、さらに前記電極間隔を同じにした各発光素子の他方電極を通電すべく、一導電型半導体層の延在部に形成した絶縁膜をまたがるように、接続線を発光素子の配列ラインと平行に形成したことで、さらに別の絶縁膜を形成することもなく、これによって製造コストを下がり、低コストなLEDアレイが提供された。
【0069】また、本発明のLEDアレイにおいては、さらに一方の発光素子群と他方の発光素子群に対し、発光素子群内にて個々の電極間隔を配列順に違えることで、対称的な電極間隔パターンにしており、そのように規則的なパターンにしたことで、LEDヘッド搭載時の発光順番の信号処理を比較的容易にし、延いては搭載基板の設計をも容易にすることができた。
【0070】そして、その規則的パターンをLEDアレイに整然と設けることで、それ以外の領域に電極パッドを設けることが設計上容易になり、対称的な電極間隔の最も短い部分でのスペースが大きく取ることができ、これにより、LEDアレイチップサイズの縮小化、並びに、LEDアレイを搭載する際のワイヤーボンディングパッドを大きく取ることができ、延いては、LEDアレイのチップ縮小化、並びにLEDヘッド製造上の歩留りを向上できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のLEDアレイの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すV−V‘線による断面図である。
【図3】図1に示すh−h’線による断面図である。
【図4】本発明のLEDアレイの一実施形態を示す平面図である。
【図5】従来のLEDアレイの一実施形態を示す平面図である。
【図6】従来のLEDアレイを示す断面図である。
【図7】接触部sの接触面積における電極間隔xの長さと駆動電圧(V)との関係を測定した線図である。
【符号の説明】
1・・・単結晶基板
2・・・一導電型半導体層
3・・・逆導電型半導体層
4・・・個別電極
5・・・共通電極
6・・・絶縁膜
7・・・延在部
8・・・電極パッド
9・・・発光素子群
10・・・電極パッド
11・・・接続線
x・・・電極間隔
s・・・共通電極と延在部7との接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】単結晶基板上に一導電型半導体層と逆導電型半導体層と一方電極とを順次積層し、この一導電型半導体層を引き出した延在部の上に他方電極と絶縁膜とを並設して成る発光素子を複数個配列して成る発光素子群にて構成され、この発光素子群内における各発光素子の延在部における他方電極に至る電極間隔が異なるとともに、一方の発光素子の電極間隔と他方の発光素子の電極間隔とを同じにして、双方の他方電極を通電せしめるように成したLEDアレイであって、前記延在部と他方電極との接触面積を、電極間隔が長くなるにしたがって、大きくしたことを特徴とするLEDアレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−76437(P2002−76437A)
【公開日】平成14年3月15日(2002.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−259809(P2000−259809)
【出願日】平成12年8月29日(2000.8.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】