説明

LEDアレイ

【課題】光が外部に放出される領域を略同一とすることが可能なLEDアレイを提供する。
【解決手段】複数の発光部1A〜1Jを半導体基板上に配置したLEDアレイであって、複数の発光部1A〜1Jを、LEDアレイの一方の端部から他方の端部へLEDアレイの長手方向と垂直な方向に交互に配置させ、奇数番目の発光部(1A、1C、1E、1G、1I)の一端を電極(2A、2C、2E、2G、2I)を介して一方のドライバICと接続させると共に他端をダミー電極(3A、3C,3E、3G、3I)と接続させ、偶数番目の発光部(1B、1D、1F、1H、1J)の一端を電極(2B、2D,2F、2H、2J)を介して他方のドライバICと接続させると共に他端をダミー電極(3B、3D、3F、3H、3J)と接続させ、夫々の発光部(1A〜1J)は、ダミー電極(3A〜3J)が接続されている領域よりもドライバICが接続されている領域の方を広くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の印刷装置には、LED(Light Emitting Diode)プリンタとレーザープリンタが存在する。特にLEDプリンタでは基板上にLEDを一列に配置したLEDアレイが用いられる。このLEDプリンタで印刷を行う際には、まず感光ドラムを帯電させた状態で、LEDアレイからの光をロッドレンズアレイを介して感光ドラム上に結像し、感光ドラム上に静電潜像を形成し、続いてトナーを付着することにより現像し、トナーを感光ドラムから用紙に転写することにより行われる。
【0003】
このようなLEDプリンタでは、印刷装置を小型化すること、更には装置を簡単な構造とすることが可能(即ち、信頼性を向上させることが可能である)といった多数のメリットが存在する。
【0004】
このLEDプリンタで使用するLEDアレイに関する技術は公開特許公報において数多く公開されており、例えは特許文献1では、基板上に複数の発光部を等間隔に配置し、更に発光部の中心からLEDチップの端部にまで電極が延在するように発光部上に電極を配置した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−263004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1に記載の技術では、発光部上に電極を形成するために発光部からの光が電極でさえぎられ、輝度の高い光を得ることができないといった問題や、通常発光部上に電極を形成する際にフォトエッチング処理により形成するため、マスクパターンがずれると発光部上の電極が占める領域が発光部によってばらつき、その結果、発光部によって発光輝度が異なるといった問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明はこのような問題を解決するためのものであり、請求項1に記載の発明は、複数の発光部を半導体基板上に配置したLEDアレイであって、前記複数の発光部を互いに前記LEDアレイの長手方向と垂直な方向に交互に配置させたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、複数の発光部を半導体基板上に配置したLEDアレイであって、前記複数の発光部を、前記LEDアレイの一方の端部から他方の端部へ前記LEDアレイの長手方向と垂直な方向に交互に配置させ、前記LEDアレイの一方の端部から他方の端部へ配置された前記発光部の内、奇数番目の発光部の一端を電極を介して一方のドライバICと接続させると共に他端をダミー電極と接続させ、偶数番目の発光部の一端を電極を介して他方のドライバICと接続させると共に他端をダミー電極と接続させ、前記夫々の発光部は、前記ダミー電極が接続されている領域よりも前記ドライバICが接続されている領域の方が接続領域が広いことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のLEDアレイであり、前記ドライバICと接続された電極及び前記ダミー電極は発光部上に形成され、前記ドライバICと接続された電極と前記ダミー電極との間に、発光部からの光を外部に放出する領域を形成したことを特徴とするLEDアレイ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、発光部から外部に光が放出される領域が各々の発光部で略均一であるために、場所により印字のムラが生じるといった問題を回避することが可能である。
請求項1に記載の発明では、複数の発光部を互いにLEDアレイの長手方向と垂直な方向に交互に配置させたため、電極と発光部とが重ならない領域を略均一にすることが可能である。
請求項2に記載の発明では、LEDアレイの一方の端部から他方の端部へ配置された発光部の内、奇数番目の発光部の一端を電極を介して一方のドライバICと接続させると共に他端をダミー電極と接続させ、偶数番目の発光部の一端を電極を介して他方のドライバICと接続させると共に他端をダミー電極と接続させ、夫々の発光部は、ダミー電極が接続されている領域よりもドライバICが接続されている領域の方が接続領域が広い構造となっている。このため、ドライバICから発光部へ多くのキャリアを注入することが可能であると共に、電極と発光部とが重ならない領域を略均一にすることが可能である。
請求項3に記載の発明では、ドライバICと接続された電極及びダミー電極は発光部上に形成され、ドライバICと接続された電極とダミー電極との間に、発光部からの光を外部に放出する領域を形成した構造である。このため、電極と発光部とが重ならない領域を略均一にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用してなる実施例装置であるLEDアレイの上面図である。
【図2】図1の領域Aの拡大図である。
【図3】図2の領域Bの拡大図である。
【図4】本実施例装置の製造工程を示す図である。
【図5】本実施例装置の製造工程を示す図である。
【図6】本実施例装置のF−F‘線部分断面図である。
【図7】図2の領域Cの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明を適用してなる実施例装置であるLEDアレイの上面図である。複数の発光部1は複数の電極2に接続されており、電極2と図示せぬドライバICとがワイヤボンディングにより電気的に接続される。
図2は、図1のA部分を拡大した図である。図2において、複数の発光部1A〜1J(説明するまでもなく、実際には更に複数の発光部が存在するが、本実施例装置の説明の便宜上、図1の発光部1中、図2の1A〜1Jのみを説明する。又、発光部1A〜1Jは図2中斜線の部分である。)が、図2中X方向(LEDアレイの長手方向)に基板上に一列に配置されており、更に複数の発光部1A〜1Jは、図2中Y方向(LEDアレイの長手方向に対し垂直な方向)に交互にずれた配置となっている。尚、このように交互にずれた配置となっているのは、発光部1A〜1Jを夫々後述する電極2A〜2Jと接続する領域をできるだけ多くとるためであり、この発光部1A〜1Jと電極2A〜2Jが接続する領域を多くとることにより多数のキャリアを発光部へ送ること(発光部へ送る電流値を高くすること)が可能となる。
又、複数の発光部1A〜1Jは夫々複数の電極2A〜2J(説明するまでもなく、実際には更に複数の電極が存在するが、本実施例装置の説明の便宜上、図1の電極2中、図2の2A〜2Jのみを説明する)が接続されている。
【0011】
更に、複数の電極2A〜2Jは夫々ドライバIC(Integrated Circuit)(図示せず)と接続されており、電極2A、2C、2E、2G、2Iは一方のドライバIC(図示せず)と電気的に接続されており、電極2B、2D、2F、2H、2Jは他方のドライバIC(図示せず)と電気的に接続されている。これら2つのドライバICからの信号により、発光部1A〜1Jを発光制御することが可能である。
【0012】
尚、図2中、ダミー電極3A〜3J(説明するまでもなく、実際には更に複数のダミー電極が存在するが、本実施例装置の説明の便宜上、図2の3A〜3Jのみを説明する)は、使用しない電極であり、それ故、ダミー電極と称している。
【0013】
図3は図2の領域Bの拡大図である。例えば解像度1200dpiのLEDアレイの場合、図3において、ダミー電極3Aは、縦幅a(10μm)、横幅b(16μm)となっている。又、発光部1Aは縦幅c(20μm)、横幅d(8μm)となっている。尚、発光部1Aの領域D及びE上には電極が存在するため、光が外部に放出されるのは、縦幅e(11μm)、横幅f(8μm)の領域Fからとなる。尚、他の発光部1B〜1J近傍も同様な構成となっている。
【0014】
このように、本実施例装置では、従来技術のように発光部の中心から端部に延在するように発光部上に電極を配置した構成ではなく、発光部1A〜1Jの両端に電極2A〜2Jを配置した構成となっており、更に夫々の発光部1A〜1Jは略同一の四角形の形状となっているため、発光部1A〜1Jからの光をできるだけ遮ることなく外部へ放出することが可能であるだけでなく、マスクパターンのずれにより発光部上の電極が占める領域が発光部に応じて異なり、これにより発光部からの光の輝度が発光部によって異なるといった事態をできるだけ回避することが可能である。
又、発光部1A〜1Jを交互にずらした構成とすることにより、発光部1A〜1Jと電極2A〜2Jとの接続面積を多くとることが可能であるため、できるだけ多くの電流をドライバICから発光部1A〜1Jへ供給することが可能であり、これにより、高輝度なLEDアレイを実現することが可能となる。
次に本実施例装置の製造方法について説明する。図4〜図5は本実施例装置の製造工程を示す図である。
まず、図4の(A)において、GaAs基板上でGaAsPをエピタキシャル成長させ(この形成された基板をGaAsP/GaAs基板10と称す)、更にその上に例えばSi3N4からなる選択拡散CVD膜11を形成する。この膜は後述するZnを部分的に拡散する為の膜である。その後フォトエッチングにてレジストパターンを形成しドライエッチングによりZnを選択拡散するための選択拡散窓13を形成する(図4の(B))。
続いて、図4の(B)において、選択拡散窓13に熱拡散によりZnを拡散し、p層14を形成する。尚、このP層14が図2における発光部1A〜1Jに対応しており、実際にはN型のGaAsP/GaAs10層とp層14のPN接合部分が発光するのであるが、便宜上、このp層14を発光部と称している。
続く図4の(C)において、レジスト12を除去した後に第2絶縁CVD膜15を形成する。この第2絶縁CVD膜15は、選択拡散CVD膜11上に形成された保護膜である。続いて、ケミカルエッチングでパターニングすることにより、不要な第2絶縁CVD膜15を除去し、電極コンタクト窓16を形成する。
続く図4の(D)において、アルミ蒸着を行うことにより、アルミ電極(p型電極17)を形成する。尚、このとき形成されるp型電極17が、図2における電極2A〜2Iに対応している。
続く図5の(E)において、アルミ電極であるp型電極17とp層14とを熱処理し、オーミック接続特性を得た後に、アルミ電極表面保護のための第3CVD膜18を形成し、続いてワイヤーボンディングパッド用の窓(ワイヤーボンディングパッド19を開けるために、フォトリソ工程により第3CVD膜18に穴をあける。
続く図5の(F)において、ウエハ裏面を研磨することによりラッピング除去を行う。その後、図5の(G)において、n型電極20となる金合金をウエハ裏面に蒸着させ、金合金とGaAsのn型層を熱処理で合金化し、オーミック接続特性を得る。
以上の手順により、本実施例装置を形成することが可能である。
図6は、図3のF−F‘線の断面図である。n型電極20上に、GaAsP/GaAs10、p層14、選択拡散CVD膜11、第2絶縁CVD膜15、p型電極17、第3CVD膜18が順に積層された構造となる。
尚、図2に戻り、本実施例装置の端部では、LEDアレイの端部に存在する発光部1Kのみ、ウエハをカットする面(図2中G−G‘)の方向に部分的に凸形状となっている。即ち、発光部1Kの電極で隠れていない領域のみ、ウエハをカットする面の方向に部分的に凸形状となっている。
これは、他の発光部1A〜1Jのように発光部を四角形にすると、ウエハをカットした断面(側面)から光が漏れ、その結果LEDアレイの端部からの光だけぼやけた光がロッドレンズアレイに照射され、正常な印字動作を行うことができないといった問題が生じるため、このような問題を回避するために図2に示す構造となっている。
具体的に説明すると、図7は、図2の領域Cの拡大図であるが、図7において、発光部1Kの光が外部に送出される領域は、縦幅11μm、横幅8μmとなっているが、電極2で隠れている部分の発光部1kの横幅は5μmと、他の発光部1A〜1Jに比べて約3μm短くなっている。
このため、電極2で隠れた部分の発光部1kから送出される光は、横幅8μmの発光部とした場合に比べてLEDアレイの側面から漏れにくく、更に、発光部1kから外部に光が送出される領域は横幅g(8μm)、縦幅h(11μm)と、他の発光部1A〜1Jと変わらないため、夫々の発光部1A〜1Jからロッドレンズアレイに送出される光の輝度は略均一となる。
尚、このような発光部1Kの形状は、発光部をパターングする際に、発光部1Kの形状を他の発光部1A〜1Jと異ならせることにより実現することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、印刷装置等に搭載されるLEDアレイに適応可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 発光部
1A〜1J 発光部
2 電極
2A〜2J 電極
3A〜3J ダミー電極
10 GaAsP/GaAs基板
11 選択拡散CVD膜
12 レジスト
13 選択拡散部
14 p層
15 第2絶縁CVD膜
16 電極コンタクト窓
17 p型電極
18 第3CVD膜
19 ワイヤーボンディングパッド
20 n型電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光部を半導体基板上に配置したLEDアレイであって、前記複数の発光部を互いに前記LEDアレイの長手方向と垂直な方向に交互に配置させたことを特徴とするLEDアレイ。
【請求項2】
複数の発光部を半導体基板上に配置したLEDアレイであって、前記複数の発光部を、前記LEDアレイの一方の端部から他方の端部へ前記LEDアレイの長手方向と垂直な方向に交互に配置させ、
前記LEDアレイの一方の端部から他方の端部へ配置された前記発光部の内、奇数番目の発光部の一端を電極を介して一方のドライバICと接続させると共に他端をダミー電極と接続させ、偶数番目の発光部の一端を電極を介して他方のドライバICと接続させると共に他端をダミー電極と接続させ、
前記夫々の発光部は、前記ダミー電極が接続されている領域よりも前記ドライバICが接続されている領域の方が接続領域が広いことを特徴とするLEDアレイ。
【請求項3】
請求項2に記載のLEDアレイであり、前記ドライバICと接続された電極及び前記ダミー電極は発光部上に形成され、前記ドライバICと接続された電極と前記ダミー電極との間に、発光部からの光を外部に放出する領域を形成したことを特徴とするLEDアレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−42040(P2011−42040A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189883(P2009−189883)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】