説明

MEMSデバイス

【課題】 基板上に浮いた状態で支持される可動構造体を備えるMEMSデバイスにおいて、可動構造体における反りの発生を抑制する技術を提供する。
【解決手段】 本発明は、基板上に浮いた状態で支持される可動構造体を備えるMEMSデバイスとして具現化される。可動構造体は、下側絶縁層と、下側絶縁層の上方に形成された導電層と、導電層の上方に形成された上側絶縁層を備えている。下側絶縁層の外形形状にはアライメント余裕が設けられている。そのMEMSデバイスは、上側絶縁層の厚さが下側絶縁層の厚さよりも大きいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路作製技術を利用して3次元構造を備えるMEMSデバイスを製造する技術が開発されており、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロスコープ、光偏向装置、RFスイッチ、可変容量キャパシタ等の各種デバイスが実現されている。半導体集積回路作製技術で3次元構造を実現するために、犠牲層を含む積層板を選択的かつ局所的にエッチングする技術が利用される。本明細書でいうMEMSデバイスとは、成膜技術とエッチング技術に代表される半導体集積回路作製技術を利用し、犠牲層を含む積層板を選択的かつ局所的にエッチングすることによって実現された3次元構造を備える装置をいう。
【0003】
上記のMEMSデバイスの中には、基板から浮いた状態で支持される可動構造体を備えており、その可動構造体が、下側絶縁層と、下側絶縁層の上方に形成された導電層と、少なくとも導電層の上方に形成された上側絶縁層を備えるものがある。例えば、光偏向装置を実現するMEMSデバイスでは、基板に形成された固定電極と、可動構造体の内部の可動電極(導電層)の間に静電引力を作用させて、可動構造体を揺動軸の周りに揺動させることで、可動構造体に設けられたミラーの傾き角を変化させる。このようなMEMSデバイスが、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−12574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなMEMSデバイスを作製する際は、可動構造体は以下のような製造プロセスを経て形成される。まず、基板上に形成された犠牲層の上方に下側絶縁層を成膜し、その後に、下側絶縁層の上方に導電層を積層する。その後、フォトエッチング処理によって導電層を所望の外形形状に加工した後、導電層の上面と側面に上側絶縁層を成膜する。その後、下側絶縁層を所望の外形形状に加工した後、等方性エッチング処理によって下方の犠牲層を除去する。
【0006】
上記の製造プロセスにおいて、下側絶縁層の外形形状を加工する際には、通常はアライメント余裕が設けられている。このアライメント余裕が設けられていることで、最終的な外形形状としては、下側絶縁層が導電層や上側絶縁層よりも幅広に形成されることになる。
【0007】
下側絶縁層が上側絶縁層よりも幅広に形成されると、成形時の残留応力のバランスが崩れて、可動構造体に反りが生じてしまう。可動構造体に反りが生じると、可動構造体の動作が設計上想定されている動作とは異なるものとなってしまう。例えば、MEMSデバイスが静電駆動式の光偏向装置である場合には、可動構造体に反りが生じると、駆動電圧やミラーの傾き角が設計値から大きく外れてしまう。上記のようなMEMSデバイスを作製する上で、可動構造体における反りの発生を抑制することが可能な技術が期待されている。
【0008】
本発明は上記の課題を解決する。本発明では、基板上に浮いた状態で支持される可動構造体を備えるMEMSデバイスにおいて、可動構造体における反りの発生を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基板上に浮いた状態で支持される可動構造体を備えるMEMSデバイスとして具現化される。可動構造体は、下側絶縁層と、下側絶縁層の上方に形成された導電層と、導電層の上方に形成された上側絶縁層を備えている。下側絶縁層の外形形状にはアライメント余裕が設けられている。そのMEMSデバイスは、上側絶縁層の厚さが下側絶縁層の厚さよりも大きいことを特徴とする。
【0010】
上記のMEMSデバイスでは、アライメント余裕により幅広の外形形状に形成された下側絶縁層と、下側絶縁層よりも厚く形成された上側絶縁層の間で、残留応力のバランスを取ることができる。残留応力に起因する可動構造体の反りの発生を抑制することができる。
【0011】
上記のMEMSデバイスは、可動構造体が、ミラーを備える可動部と、可動部を支持するトーションビームから構成されていることが好ましい。
【0012】
このMEMSデバイスは、いわゆる光偏向装置として用いることができる。このMEMSデバイスでは、ミラーを備える可動部における反りの発生が抑制されているので、駆動電圧やミラーの傾き角を設計値の通りにすることができる。品質の安定した光偏向装置を実現することができる。
【0013】
上記のMEMSデバイスでは、可動部における残留応力が釣り合うように、上側絶縁層の厚さが設定されていることが好ましい。
【0014】
一般に、光偏向装置を実現するMEMSデバイスを作製する際には、トーションビームと可動部は、同じ製造プロセスにおいて同時に形成されることが多く、下側絶縁層の厚さや、導電層の厚さや、上側絶縁層の厚さは共通とされることが多い。しかしながら、トーションビームは可動部に比べて細長い形状で形成されるため、トーションビームと可動部では、下側絶縁層の外形形状において同じ大きさのアライメント余裕を設けた場合でも、そのアライメント余裕が残留応力のバランスに及ぼす影響が異なる。このため、可動部での残留応力が釣り合うように上側絶縁層の厚さを設定すると、トーションビームでの残留応力が釣り合わず、トーションビームでの残留応力が釣り合うように上側絶縁層の厚さを設定すると、可動部での残留応力が釣り合わなくなってしまうことがある。
【0015】
そこで、上記のMEMSデバイスでは、可動部における残留応力が釣り合うように、上側絶縁層の厚さが設定されている。このMEMSデバイスでは、トーションビームに比べて剛性の高い可動部を反りが生じないように形成し、その可動部によってトーションビームの端部を拘束することによって、結果的にトーションビームにおける反りの発生も抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板上に浮いた状態で支持される可動構造体を備えるMEMSデバイスにおいて、可動構造体の反りの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の光偏向装置10の平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線拡大断面図である。
【図5】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図6】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図7】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図8】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図9】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図10】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図11】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図12】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図13】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図14】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図15】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【図16】実施例1の光偏向装置10の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好ましい実施例の特徴を最初に列記する。
(特徴1)可動構造体の導電層はポリシリコン層である。
(特徴2)可動構造体の下側絶縁層と上側絶縁層は酸化シリコン層である。
【実施例1】
【0019】
以下では図面を参照しながら、実施例1に係るMEMSデバイスである光偏向装置10について説明する。図1は、光偏向装置10の平面図であり、図2は図1のII−II線断面図であり、図3は図1のIII−III線断面図である。図2および図3に示すように、光偏向装置10は、半導体ウェハ150の上方に、基板下層100と、基板上層200と、ミラー層300が順に積層された三層構造を有している。以下では半導体ウェハ150と基板下層100の組み合わせを、単に基板と称することがある。後述するように、光偏向装置10は半導体製造プロセスを利用して製造される。なお、図1では図の明瞭化のために、ミラー層300の図示を省略している。
【0020】
基板上層200には、可動部202が形成されている。図1に示すように、可動部202は平面視したときに矩形の枠形状となるように形成されている。可動部202の内側には、基板下層100から上方に向けて伸びる支持柱102が設けられている。可動部202は一対のトーションビーム204、206を介して支持柱102に支持されている。トーションビーム204、206によって、可動部202は基板下層100から浮いた状態で支持されている。
【0021】
図1に示すように、トーションビーム204、206は、何れも細長い形状に形成されている。トーションビーム204、206に沿う方向の揺動軸C周りのトルクが可動部202に作用すると、可動部202を支持するトーションビーム204、206がねじれ変形して、可動部202は揺動軸Cの周りを揺動する。
【0022】
図2および図3に示すように、可動部202は、可動電極210と、可動電極210の周囲に形成された絶縁層212、214から構成されている。絶縁層212の上面に可動電極210が形成されており、可動電極210の上面および側面に絶縁層214が形成されている。
【0023】
図3に示すように、トーションビーム204は、可動部202の可動電極210と導通する導電層216と、導電層216の周囲に形成された絶縁層218、220を備えている。絶縁層218の上面に導電層216が形成されており、導電層216の上面および側面に絶縁層220が形成されている。導電層216は、可動部202の可動電極210および支持柱102の内部に形成された導電層104に連続している。絶縁層218は、可動部202の絶縁層212および支持柱102の側面に形成された絶縁層106に連続している。絶縁層220は、可動部202の絶縁層214および支持柱102の上面に形成された絶縁層108に連続している。
【0024】
トーションビーム206は、可動部202の可動電極210と導通する導電層222と、導電層222の周囲に形成された絶縁層224、226を備えている。絶縁層224の上面に導電層222が形成されており、導電層222の上面および側面に絶縁層226が形成されている。導電層222は、可動部202の可動電極210および支持柱102の内部に形成された導電層104に連続している。絶縁層224は、可動部202の絶縁層212および支持柱102の側面に形成された絶縁層106に連続している。絶縁層226は、可動部202の絶縁層214および支持柱102の上面に形成された絶縁層108に連続している。
【0025】
図1および図2に示すように、基板下層100には一対の固定電極110、112が形成されている。固定電極110、112は支持柱102を間に挟んで対称な位置に配置されている。固定電極110は、可動部202の一方の長辺枠部(図1の上方、図2の左方の長辺枠部)と対向するように配置されており、固定電極112は、可動部202の他方の長辺枠部(図1の下方、図2の右方の長辺枠部)と対向するように配置されている。固定電極110はその上面が絶縁層114によって覆われており、固定電極112はその上面が絶縁層116によって覆われている。固定電極110は基板下層100の表面に露出して形成された端子電極118と導通しており、固定電極112は基板下層100の表面に露出して形成された端子電極120と導通している。さらに、図1および図2に示すように、基板下層100には導電層122が形成されている。導電層122は支持柱102の内部の導電層104と、基板下層100の表面に露出して形成された端子電極124の間を導通している。導電層122はその上面が絶縁層126によって覆われている。固定電極110、112、導電層122は、互いに絶縁されている。
【0026】
図2および図3に示すように、ミラー層300にはミラー302が形成されている。ミラー302は支持柱102、可動部202、トーションビーム204、206等を覆い隠す大きさの平板状に形成されている。図2に示すように、ミラー302は、可動部202から上方に向けて伸びる支持脚304によって支持されている。
【0027】
光偏向装置10は、静電駆動式であり、固定電極110に印加する駆動電圧と固定電極112に印加する駆動電圧とを制御することによって、可動部202を揺動軸Cの周りで揺動させて、ミラー302を揺動させる。端子電極118、120を駆動信号生成器等に接続することによって、固定電極110、112に印加する駆動電圧等を制御することができる。
【0028】
例えば、可動電極210に導通する端子電極124を接地し、固定電極110、112に導通する端子電極118、120をそれぞれ駆動信号生成器(図示しない)に接続する。駆動信号生成器を用いて、端子電極118に駆動電圧を印加すると、接地されている可動電極210と固定電極110との間に静電引力が発生し、可動部202の固定電極110に対向する長辺枠部(図1の上方、図2の左方の長辺枠部)が基板下層100側に吸引される。逆に、端子電極120に駆動電圧を印加すると、接地されている可動電極210と固定電極112との間に静電引力が発生し、可動部202の固定電極112に対向する長辺枠部(図1の下方、図2の右方の長辺枠部)が基板下層100側に吸引される。これにより、可動部202を揺動軸C周りで揺動することができる。可動部202が揺動することで、支持脚304によって可動部202に支持されているミラー302も揺動する。
【0029】
図4は図2のIV−IV線で囲まれた領域の拡大断面図である。図4に良く示すように、可動部202の絶縁層212は、その上方の可動電極210(導電層)や絶縁層214に比べて、幅広に形成されている。これは、後述する製造プロセスにおいて、絶縁層212の外形形状をフォトエッチング処理でトリミングする際に、アライメント余裕が設けられているためである。
【0030】
また、絶縁層214は、下方の絶縁層212に比べて、厚みが大きくなるように形成されている。もし絶縁層214と絶縁層212を同じ厚みで形成した場合、アライメント余裕の分だけ絶縁層212の方が絶縁層214よりも面積が大きくなり、可動部202の中立軸まわりの残留応力のバランスが崩れてしまう。成形時の残留応力のバランスが崩れると、可動部202に反りが生じてしまい、可動部202の動作が設計時に想定したものとは異なるものとなってしまう。そこで、本実施例では、成形時の残留応力が釣り合うように、絶縁層212のアライメント余裕の大きさに基づいて、絶縁層214が絶縁層212より厚くなるように形成される。このような構成とすることによって、成形時の残留応力が釣り合い、可動部202における反りの発生を抑制することができる。
【0031】
具体的には、本実施例の光偏向装置10では、以下の数式1を満足するように、絶縁層214の厚さを設定する。
【0032】
【数1】

【0033】
ここで、σOは絶縁層212、214に生じる残留応力であり、σPは可動電極210(導電層)に生じる残留応力であり、Wは可動電極210(導電層)の幅であり、wは絶縁層212にアライメント余裕により形成されるつば部の幅であり、ybは絶縁層212の中立軸からの距離であり、yuは絶縁層214の中立軸からの距離であり、tbは絶縁層212の厚さであり、tuは絶縁層214の厚さであり、αtuは絶縁層214を形成する熱酸化処理において絶縁層212のつば部の下方に形成される余剰の熱酸化膜の厚さである。
【0034】
あるいは、可動電極210(導電層)に比べて、絶縁層212、214がともに十分薄い場合には、以下の数式2を満足するように、絶縁層214の厚さを設定する。
【0035】
【数2】

【0036】
以上のように絶縁層214の厚さを調整して、絶縁層214を絶縁層212より厚く形成することで、可動部202における反りの発生を抑制することができる。
【0037】
なお、図4は可動部202の断面を示しているが、トーションビーム204、206も同様の構成を備えている。すなわち、トーションビーム204については、絶縁層218にはアライメント余裕が設けられており、それに応じて、絶縁層220は絶縁層218より厚く形成されている。また、トーションビーム206については、絶縁層224にはアライメント余裕が設けられており、それに応じて、絶縁層226は絶縁層224より厚く形成されている。このような構成とすることによって、成形時の残留応力が釣り合い、トーションビーム204、206における反りの発生を抑制することができる。
【0038】
以下では図5〜図16を参照しながら、本実施例のMEMSデバイスの製造方法を説明する。図5〜図16は、図1のII−II断面、すなわち、図2の断面に対応している。
【0039】
まず図5に示すように、材料ウェハ130を準備する。材料ウェハ130の材料には、例えば単結晶シリコンを用いることができる。次に、図6に示すように、熱酸化処理を行い、上面に絶縁層である酸化膜132を形成する。そして、図7に示すように、LPCVD(Low Pressure CVD)法により酸化膜132の上面にポリシリコンを積層して、フォトエッチング処理を行って、ポリシリコン層134を形成する。ここで形成されるポリシリコン層134は、固定電極110、112、導電層122に相当する。次に、図8に示すように、熱酸化処理を行い、ポリシリコン層134の上面および側面に絶縁膜である酸化膜136を成膜して、フォトエッチング処理を行う。ここで形成される酸化膜136が、絶縁層114、116、126に対応する。
【0040】
次に、図9に示すように、LPCVD法によりポリシリコンを積層し、その上面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)によって平坦化して、第1犠牲層138を形成する。そして、図10に示すように、支持柱102の外形形状に対応して、フォトエッチング処理によって第1犠牲層138にトレンチを形成する。そして、図11に示すように、熱酸化処理を行って、絶縁膜である酸化膜140を成膜した後、フォトエッチング処理を行う。ここで形成される酸化膜140が、支持柱102の側面の絶縁層106、トーションビーム204、206の絶縁層218、224、可動部202の絶縁層212に相当する。
【0041】
次に、図12に示すように、LPCVD法によりポリシリコンを積層し、リンなどの不純物を注入し、活性化アニールして導電性を付加し、フォトエッチング処理を行って、ポリシリコン層142を形成する。ここで形成されるポリシリコン層142が、可動部202の可動電極210、トーションビーム204、206の導電層216、222に相当する。そして、図13に示すように、熱酸化処理を行い、ポリシリコン層142の上面と側面に絶縁膜である酸化膜144を成膜して、フォトエッチング処理を行う。ここで形成される酸化膜144が、支持柱102の上面の絶縁層108、可動部202の絶縁層214、トーションビーム204、206の絶縁層220、226に相当する。このフォトエッチング処理の際には、アライメント余裕が設けられている。
【0042】
次に、図14に示すように、LPCVD法によりポリシリコンを積層し、その上面をCMPによって平坦化して、第2犠牲層146を形成する。そして、図15に示すように、支持脚304の外形形状に対応して、フォトエッチング処理によって第2犠牲層146にトレンチを形成する。そして、図16に示すように、スパッタリングによってAlを積層し、その上面をCMPによって平坦化し、フォトエッチング処理を行うことで、Al層148を形成する。ここで形成されるAl層148がミラー302に相当する。その後、XeFガス等を用いた等方性エッチング処理によって第1犠牲層138および第2犠牲層146を除去し、端子電極118、120、124の形成処理を行うことで、図1から図3に示す光偏向装置10が完成する。
【0043】
なお本実施例では、絶縁層が熱酸化処理によって形成される酸化シリコン層である場合について説明したが、絶縁層は窒化処理によって形成される窒化シリコン層であってもよい。
【0044】
なお本実施例では、光偏向装置に適用する場合について説明したが、本発明が適用可能な範囲はこれに限られない。例えば、静電引力によって電極を動かし、接点をON/OFFするMEMS式の高周波(RF)スイッチや、静電引力によって電極を動かし、コンデンサ間隔を変えることで静電容量を変化させるMEMS式の可変容量キャパシタに、本発明を適用することもできる。
【0045】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
10 光偏向装置
100 基板下層
102 支持柱
104、122、216、222 導電層
106、108、114、116、126、212、214、218、220、224、226 絶縁層
110、112 固定電極
118、120、124 端子電極
130 材料ウェハ
132、136、140、144 酸化膜
134、142 ポリシリコン層
138 第1犠牲層
146 第2犠牲層
148 Al層
150 半導体ウェハ
200 基板上層
202 可動部
204、206 トーションビーム
210 可動電極
300 ミラー層
302 ミラー
304 支持脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に浮いた状態で支持される可動構造体を備えるMEMSデバイスであって、
可動構造体は、下側絶縁層と、下側絶縁層の上方に形成された導電層と、少なくとも導電層の上方に形成された上側絶縁層を備えており、
下側絶縁層の外形形状にはアライメント余裕が設けられており、
上側絶縁層が下側絶縁層よりも厚く形成されていることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項2】
可動構造体が、ミラーを備える可動部と、可動部を支持するトーションビームから構成されていることを特徴とする請求項1のMEMSデバイス。
【請求項3】
可動部における残留応力が釣り合うように、上側絶縁層の厚さが設定されている請求項2のMEMSデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−45658(P2012−45658A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188744(P2010−188744)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】