説明

PCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システム

【課題】従来のPCB等の高粘度廃棄物の燃焼(処理)システムは、主として、化学分解処理技術により処理されている。しかし、この化学処理法は、多額のイニシャル、ランニングコストが必要である。一方、焼却処理法では、排気ガス中の有害物質、特にタールの除去が困難なことから、実施が困難視されること、また建設地及び/又は周囲の住民の同意が得られないこと等の問題があり、その改良が切望されている。
【構成】本発明は、PCBを内蔵する電気機器を破砕する破砕機と、破砕された電気機器とPCBとを分離し、かつPCBの粘度を下げて負圧状態で分離処理する粘度調節分離装置と、粘度調節分離装置に設けた保温配管を介して連設した主燃焼室と、また粘度調節分離装置に設けた配管を介して連設した付着物燃焼炉と、主燃焼室、付着物燃焼炉の排気ガスを収容する排気ガス減温室とで構成したPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に内蔵するPCBを分離・処理するPCB等の難燃性高粘度廃棄物の(無害化)燃焼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のPCB等の高粘度廃棄物の燃焼(処理)システムは、主として、化学分解処理技術により処理されている。しかし、この化学処理法は、多額のイニシャル、ランニングコストが必要である。一方、焼却処理法では、排気ガス中の有害物質、特にタールの除去が困難なことから、実施が困難視されること、また建設地及び/又は周囲の住民の同意が得られないこと等の問題がある。
【0003】
そして、先行文献として、特開2003−134895の「再生可能エネルギーによるガス・熱電併給システム、及びこれらを単位として一定規模に集約した広域型のガス・熱電併給型エネルギー供給システム、及びそのネットワーク・システム」がある。この発明の開示では、[請求項13]において、「請求項1〜12に記載の発明において、ブラウンガスの特徴である水素酸素混合気体が齎す熱分解効果による無機化で、産業廃棄物並びに環境汚染物質であるダイオキシン及びPCB等を分解処理する能力を備えた焼却炉等による廃棄物無害化を行う燃焼システム」との開示はあるが、その具体的な説明は、構成の開示がなく、充分理解できない。
【0004】
【特許文献1】特開2003−134895
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の化学処理法、又は焼却処理法では、一長一短があって、その改良と、また本発明が意図する、例えば、PCB等の難燃性高粘度廃棄物の無公害な処理方法が要求されている。また事故の発生が皆無な、この種のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の処理方法が急務とされている。
【0006】
上記に鑑み、本発明は、電気機器等に内蔵されたPCBや、PCBを含む油泥、高粘度廃油等を適宜な温度(略80℃〜100℃)で加熱して、その粘度を下げて、分離する。そして、この粘度を保ちつつ噴霧口噴射バーナ等の熱源で完全焼却し(噴霧口からの広角的な噴射で、空気との接触面積を拡充して完全燃焼をし)、煤煙タール等の有機物が発生しない、PCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムを提供する。
【0007】
以上の燃焼システムの途中で生成された、例えば、破砕された電気機器等には、PCB等が、未だ付着しているので、別室の付着物燃焼炉へ移送し、通常のオイルバーナにて加熱焼却する(ロータリーキルン型の付着物燃焼炉)。そして、この際、燃焼ガスには「黒鉛タール」等の未燃ガスが発生するので、ハニカム型の酸化(燃焼)炉にて加熱酸化し無害化する。
【0008】
また排気ガスの処理に関しては、PCBは炭素(C)と水素(H)と塩素(CL)からなっている。従って、処理後の排気ガスは、塩素ガスが多いことと、またさらなる無公害化を意図し、ダイオキシン、窒素酸化物等の処理を含め薬品中和することが望ましい。
【0009】
さらに、少なくとも、破砕機、粘度調節分離装置、主燃焼室、付着物燃焼炉、排気ガス減温室、配管等を負圧に留意し、バッチ方式を採用し、PCBの飛散防止と、無公害化、ガス漏れを回避すること等を図る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、トランス、コンデンサー、クーラー、冷蔵庫等の電気機器に内蔵されたPCBや、PCBを含む油泥、高粘度廃油等を適宜な温度(略80℃〜100℃)で加熱して、その粘度を下げて、分離する。そして、この粘度を保ちつつ噴霧口噴射バーナ等の熱源で完全焼却し(噴霧口からの広角的な噴射で、空気との接触面積を拡充して完全燃焼をし)、煤煙タール(黒鉛タール)等の有機物が発生しない、PCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムを提供する。
【0011】
また請求項1の発明は、排気ガスの処理に関し、この排気ガス中のPCBは炭素(C)と水素(H)と塩素(CL)からなっている。従って、処理後の排気ガスは、塩素ガスが多いことと、またさらなる無公害化を意図し、ダイオキシン、窒素酸化物等の処理を含め薬品中和することを意図する。
【0012】
請求項1は、PCBを内蔵する電気機器を破砕する破砕機と、
この破砕機に連設した破砕された電気機器とPCBとを分離し、かつこのPCBの粘度を下げて負圧状態で分離処理する粘度調節分離装置と、
この粘度調節分離装置に、熱風(略80℃〜100℃の排気ガス温度)を供給する熱風発生炉及び/又は温調炉と、
この粘度調節分離装置に設けた保温配管を介して連設した主燃焼室と、
またこの粘度調節分離装置に設けた配管を介して連設した付着物燃焼炉と、
この主燃焼室、付着物燃焼炉の排気ガスを収容する排気ガス減温室とで構成したPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な付着物燃焼炉を提供することを意図する。
【0014】
請求項2は、請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
前記付着物燃焼炉を、ロータリーキルン型とし、前記主燃焼室よりの燃焼熱ガスを補助熱源とするとともに、オイルバーナにて燃焼し、この付着物燃焼炉内温度を、略1,000℃〜1,100℃とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な主燃焼室を提供することを意図する。
【0016】
請求項3は、請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
前記主燃焼室を、固定炉バッチ型とし、その燃焼負荷数値を、略70,000(kcal/mH)〜100,000(kcal/mH)とし、このPCBの発熱量は平均略5,000(kcal/kg)とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な主燃焼室からの排気ガスの処理方法を提供することを意図する。
【0018】
請求項4は、請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
前記主燃焼室からの排気ガスを、三方切替え弁を介して付着物燃焼炉及び/又は排気ガス減温室に供給可能とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なハニカム型の熱酸化炉を提供することを意図する。
【0020】
請求項5は、請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
前記付着物燃焼炉からの排気ガスを、ハニカム型の熱酸化炉に配管を介して導く構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0021】
請求項6の発明は、燃焼システムの途中で生成された、例えば、破砕された電気機器等には、PCB等が、未だ付着しているので、別室の付着物燃焼炉へ移送し、通常のオイルバーナにて加熱焼却する(ロータリーキルン型の付着物燃焼炉)。そして、この際燃焼ガスには「黒鉛タール」等の未燃ガスが発生するので、ハニカム型の熱酸化(燃焼)炉にて加熱酸化し無害化を達成することを意図する。
【0022】
また請求項6の発明は、少なくとも、破砕機、粘度調節分離装置、主燃焼室、付着物燃焼炉、排気ガス減温室、配管等を負圧に留意し、バッチ方式を採用し、PCBの飛散防止と、無公害化、ガス漏れを回避できるPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムを提供することを意図する。
【0023】
請求項6は、PCBを内蔵する電気機器を破砕する破砕機と、
この破砕機に連設した破砕された電気機器とPCBとを分離し、かつこのPCBの粘度を下げて負圧状態で分離処理する粘度調節分離装置と、
この粘度調節分離装置に、熱風(略80℃〜100℃の排気ガス温度)を供給する熱風発生炉及び/又は温調炉と、
この粘度調節分離装置に設けた保温配管を介して連設した主燃焼室と、
またこの粘度調節分離装置に設けた配管を介して連設した付着物燃焼炉と、
この主燃焼室、付着物燃焼炉の排気ガスを収容する排気ガス減温室及び/又はハニカム型の熱酸化炉と、
この排気ガス減温室に連設する触媒脱硝塔と、
この触媒脱硝塔に連設する集塵機及び/又は煙突と、
前記付着物燃焼炉に連設する廃棄物収容チャンバーとで構成したPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0024】
請求項7の発明は、請求項6の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な煙突及び/又は触媒脱硝塔の施設を提供することを意図する。
【0025】
請求項7は、請求項6に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
消石灰サイロ及び/又は活性炭サイロを付設し、前記煙突及び/又は触媒脱硝塔の施設に供給可能とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明は、PCBを内蔵する電気機器を破砕する破砕機と、
破砕機に連設した破砕された電気機器とPCBとを分離し、かつPCBの粘度を下げて負圧状態で分離処理する粘度調節分離装置と、
粘度調節分離装置に、熱風(略80℃〜100℃の排気ガス温度)を供給する熱風発生炉及び/又は温調炉と、
粘度調節分離装置に設けた保温配管を介して連設した主燃焼室と、
また粘度調節分離装置に設けた配管を介して連設した付着物燃焼炉と、
主燃焼室、付着物燃焼炉の排気ガスを収容する排気ガス減温室とで構成したPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0027】
従って、請求項1は、トランス、コンデンサー、クーラー、冷蔵庫等の電気機器に内蔵されたPCBや、PCBを含む油泥、高粘度廃油等を適宜な温度(略80℃〜100℃)で加熱して、その粘度を下げて、分離する。そして、この粘度を保ちつつ高圧、噴霧口噴射バーナ等の熱源で完全焼却し(噴霧口からの広角的な噴射で、空気との接触面積を拡充して完全燃焼をし)、煤煙タール(黒鉛タール)等の有機物が発生しない、PCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムを提供できる。
【0028】
また請求項1は、排気ガスの処理に関し、この排気ガス中のPCBは炭素(C)と水素(H)と塩素(CL)からなっている。従って、処理後の排気ガスは、塩素ガスが多いことと、またさらなる無公害化を意図し、ダイオキシン、窒素酸化物等の処理を含め薬品中和の処理方法を提供する。
【0029】
請求項2の発明は、請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
付着物燃焼炉を、ロータリーキルン型とし、主燃焼室よりの燃焼熱ガスを補助熱源とするとともに、オイルバーナにて燃焼し、付着物燃焼炉内温度を、略1,000℃〜1,100℃とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0030】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な付着物燃焼炉を提供できること等の特徴を有する。
【0031】
請求項3の発明は、請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
主燃焼室を、固定炉バッチ型とし、燃焼負荷数値を、略70,000(kcal/mH)〜100,000(kcal/mH)とし、PCBの発熱量は平均略5,000(kcal/kg)とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0032】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な主燃焼室を提供できること等の特徴を有する。
【0033】
請求項4の発明は、請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
主燃焼室からの排気ガスを、三方切替え弁を介して付着物燃焼炉及び/又は排気ガス減温室に供給可能とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0034】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な主燃焼室からの排気ガスの処理方法を提供できること等の特徴を有する。
【0035】
請求項5の発明は、請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
付着物燃焼炉からの排気ガスを、ハニカム型の熱酸化炉に配管を介して導く構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0036】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適なハニカム型の熱酸化炉を提供できること等の特徴を有する。
【0037】
請求項6の発明は、PCBを内蔵する電気機器を破砕する破砕機と、
破砕機に連設した破砕された電気機器とPCBとを分離し、かつPCBの粘度を下げて負圧状態で分離処理する粘度調節分離装置と、
粘度調節分離装置に、熱風(略80℃〜100℃の排気ガス温度)を供給する熱風発生炉及び/又は温調炉と、
粘度調節分離装置に設けた保温配管を介して連設した主燃焼室と、
また粘度調節分離装置に設けた配管を介して連設した付着物燃焼炉と、
主燃焼室、付着物燃焼炉の排気ガスを収容する排気ガス減温室及び/又はハニカム型の熱酸化炉と、
排気ガス減温室に連設する触媒脱硝塔と、
触媒脱硝塔に連設する集塵機及び/又は煙突と、
付着物燃焼炉に連設する廃棄物収容チャンバーとで構成したPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0038】
従って、請求項6は、燃焼システムの途中で生成された、例えば、破砕された電気機器等には、PCB等が、未だ付着しているので、別室の付着物燃焼炉へ移送し、通常のオイルバーナにて加熱焼却する(ロータリーキルン型の付着物燃焼炉)。そして、この際燃焼ガスには黒鉛タール等の未燃ガスが発生するので、ハニカム型の熱酸化(燃焼)炉にて加熱酸化し無害化を達成できる。
【0039】
また請求項6は、少なくとも、破砕機、粘度調節分離装置、主燃焼室、付着物燃焼炉、排気ガス減温室、配管等を負圧に留意し、バッチ方式を採用し、PCBの飛散防止と、無公害化、ガス漏れを回避できるPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムを提供できる。
【0040】
請求項7の発明は、請求項6に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
消石灰サイロ及び/又は活性炭サイロを付設し、前記煙突及び/又は触媒脱硝塔の施設に供給可能とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムである。
【0041】
従って、請求項7は、請求項6の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な煙突及び/又は触媒脱硝塔の施設を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施の態様(形態)を説明する。
【0043】
図1は、本発明のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムの一例の概念図の一部を示した。また図2は図1の他の一部を示した。図3は本発明のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムの他の一例のフローチャートを示した。図4はハニカム型の熱酸化炉の正面図、図5は図4の平面図、図6は図4の側面図、図7は図4の要部の断面図である。
【0044】
以下、図面を参照して説明すると、PCB等の難燃性高粘度廃棄物(廃棄物1とする)は、搬送車2を介して供給バンカー3に投入される。この廃棄物1は供給口5を介してバッチ式のハーマーミル、シュレッター等の破砕機6(第1の破砕機及び/又は第2の破砕で確実に、破砕する)に投入される。この破砕機6の下方には、PCB等の難燃性高粘度物質が付着及び/又は収容された破砕廃棄物100が導入される粘度調節分離装置8があり、この粘度調節分離装置8は、ステンレス鋼のメッシュコンベア80(コンベア80とする)を2段階に配し、この2段階のコンベア80にて移送し、この移送過程で、PCBと固形物とを分離する。そして、この粘度調節分離装置8の走行スピードは、略60(cm/min)〜100(cm/min)程度とする。またこの粘度調節分離装置8の分離室内温度は略80℃〜100℃程度とし流動落下したPCBは、易滑性のステンレス鋼板でなる受け床81から収れん部81aに至り、貯留される。この受け床81の角度は、略15℃とし、自然の流れを確保し、動力と発火の危険性をなくす。図中82は固形物のPCB付着物の排出口を示す。この粘度調節分離装置8では、PCBの粘度を下げて負圧状態で分離処理する。またこの粘度調節分離装置8には、熱風(略80℃〜100℃の排気ガス温度)を供給する熱風発生炉8a及び/又は温調炉8bを備えている。この熱風発生炉8a及び/又は温調炉8bから熱風は、保温配管を介して、粘度調節分離装置8の全体と、受け床81の下方より導入される。
【0045】
尚、図中9は送風機、91は誘引用の送風機をそれぞれ示す。
【0046】
そして、この粘度調節分離装置8の排出口82からの固形物は、保温配管(図面で、配管を、全て一点鎖線で示す。以下同じ)を介して付着物燃焼炉10に導かれる。この付着物燃焼炉10は、ロータリーキルン型とし、後述する主燃焼室よりの燃焼ガスを補助熱源とし、通常のオイルバーナ101にて燃焼し、この付着物燃焼炉10の炉内温度を、略1,000℃〜1,100℃程度とする。この付着物燃焼炉10においても、PCBの粘度を下げて負圧状態で分離処理する。
【0047】
またこの粘度調節分離装置8の収れん部81aからのPCBは、保温配管を介して主燃焼室12に導かれる。この主燃焼室12は、固定炉バッチ型とし、燃焼負荷数値は略70,000(kcal/mH)〜100,000(kcal/mH)とする。因みにPCBの発熱量は平均略5,000(kcal/kg)といわれている。従って、この主燃焼室12においても、PCBの粘度を下げて負圧状態で燃焼処理する。図中13は主燃焼室12の中央に横設した噴射かつ圧力式の圧力バーナ、14はコントロールダンパー(酸素調整機)、15はストレーナーをそれぞれ示す。16は保温配管に設けたオイルポンプを示す。図中1000は燃焼バーナを示す。
【0048】
尚、前記付着物燃焼炉10からの未燃焼の排気ガスは、保温配管を介して二次燃焼室である熱酸化炉20(ハニカム型の黒鉛タール除去「燃焼」装置)に導かれる。この熱酸化炉20は、ハニカム型の燃焼部200(熱交換器)を備えてあり、この付着物燃焼炉10からの未燃焼の排気ガス(未燃焼ガス)及び/又はPCB等の不完全燃焼による、この排気ガス及び/又はPCB等に含まれる黒鉛タール、ダイオキシン、すす、粉じん等(有機有害物)を、前記ハニカム型の燃焼部200にて完全燃焼し、無公害とする。図中21は加熱バーナを示す。即ち、この燃焼部200は、ガス通過煙道に筒状耐火物200aを装填し、その筒状耐火物200aに、外熱を加え赤熱し、通過する有機有害物をその副射熱にて再燃焼する装置である。図中20aは有機有害物(未燃焼ガス)の入口、20bは無煙処理された排気ガスの出口を示している。そして、この熱酸化炉20は収れん部から燃焼部200に向って拡開状に拡散かつスムーズに供給されて、完全燃焼を図る構造とする。図中22は固形物排出・清掃用、又はメンテナンス用等の口を開閉する扉を示す。この筒状耐火物200aは、空積み方式として、交換・設置の容易化、空積の空間を利用して、輻射熱の効率的な活用を図ること、そして、また筒状耐火物200a内を、流動する有機有害物(排気ガス)と、加熱バーナ21の熱風との確実な接触(排気ガスの迂回発生)と、筒状耐火物200aの確実な加熱赤熱とを介して確実に燃焼できる特徴がある。そして、この有筒状耐火物200aを環状にする構造とすることで、例えば、加熱バーナ21にて加熱赤熱が確実かつスムーズに図れ、またこの熱風と有機有害物との効率的な熱交換と、燃焼酸化方式とが達成されて、極めて有効である。
【0049】
また前記付着物燃焼炉10からの排気ガスは、保温配管を介して排気ガス減温室25に導かれる。またこの排気ガス減温室25には、主燃焼室12からの排気ガスも、保温配管を介して導かれる。図中26はこの保温配管に設けた三方切替え弁である。この三方切替え弁26を介して、前記付着物燃焼炉10と主燃焼室12からの排気ガスを切替えるか、又はミキシングする。この排気ガス減温室25で、排気ガスをシャワーリングし、減温する。そして、この排気ガス減温室25の減温ガスは、配管を介して触媒脱硝塔30に至る。またこの触媒脱硝塔30の昇温ガスは、配管を介して集塵機31から煙突32に至る。
【0050】
図中35は消石灰サイロ、36は活性炭サイロをそれぞれ示しており、この消石灰及び/又は活性炭を必要とする箇所に、配管を介して搬送する。その目的は、中和、脱臭である。
【0051】
また図中40は固形物のヤード、41はオイルタンクを示しており、このオイルを各バーナ13、21や、付着物燃焼炉10のバーナ(図示せず)に送り、再利用する。
【0052】
さらに図中44は他の一例に採用する有害ガス除去装置を示している。そして、この有害ガス除去装置44は前述の例にも採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムの一例の概念図の一部を示した。
【図2】図2は図1の他の一部を示した。
【図3】図3は本発明のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムの他の一例のフローチャートを示した。
【図4】図4はハニカム型の熱酸化炉の正面図を示した。
【図5】図5は図4の平面図を示した。
【図6】図6は図4の側面図を示した。
【図7】図7は図4の要部の断面図を示した。
【符号の説明】
【0054】
1 廃棄物
100 破砕廃棄物
101 オイルバーナ
2 搬送車
3 供給バンカー
5 供給口
6 破砕機
8 粘度調節分離装置
80 コンベア
81 受け床
81a 収れん部
82 排出口
8a 熱風発生炉
8b 温調炉
9 送風機
91 誘引用の送風機
10 付着物燃焼炉
1000 燃焼バーナ
12 主燃焼室
13 圧力バーナ
14 コントロールダンパー
15 ストレーナー
16 オイルポンプ
20 熱酸化炉
200 燃焼部
200a 筒状耐火物
20a 入口
20b 出口
21 加熱バーナ
22 扉
25 排気ガス減温室
26 三方切替え弁
30 触媒脱硝塔
31 集塵機
32 煙突
35 消石灰サイロ
36 活性炭サイロ
40 ヤード
41 オイルタンク
44 有害ガス除去装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCBを内蔵する電気機器を破砕する破砕機と、
この破砕機に連設した破砕された電気機器とPCBとを分離し、かつこのPCBの粘度を下げて負圧状態で分離処理する粘度調節分離装置と、
この粘度調節分離装置に、熱風(略80℃〜100℃の排気ガス温度)を供給する熱風発生炉及び/又は温調炉と、
この粘度調節分離装置に設けた保温配管を介して連設した主燃焼室と、
またこの粘度調節分離装置に設けた配管を介して連設した付着物燃焼炉と、
この主燃焼室、付着物燃焼炉の排気ガスを収容する排気ガス減温室とで構成したPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システム。
【請求項2】
請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
前記付着物燃焼炉を、ロータリーキルン型とし、前記主燃焼室よりの燃焼熱ガスを補助熱源とするとともに、オイルバーナにて燃焼し、この付着物燃焼炉内温度を、略1,000℃〜1,100℃とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システム。
【請求項3】
請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
前記主燃焼室を、固定炉バッチ型とし、その燃焼負荷数値を、略70,000(kcal/mH)〜100,000(kcal/mH)とし、このPCBの発熱量は平均略5,000(kcal/kg)とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システム。
【請求項4】
請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
前記主燃焼室からの排気ガスを、三方切替え弁を介して付着物燃焼炉及び/又は排気ガス減温室に供給可能とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システム。
【請求項5】
請求項1に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
前記付着物燃焼炉からの排気ガスを、ハニカム型の熱酸化炉に配管を介して導く構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システム。
【請求項6】
PCBを内蔵する電気機器を破砕する破砕機と、
この破砕機に連設した破砕された電気機器とPCBとを分離し、かつこのPCBの粘度を下げて負圧状態で分離処理する粘度調節分離装置と、
この粘度調節分離装置に、熱風(略80℃〜100℃の排気ガス温度)を供給する熱風発生炉及び/又は温調炉と、
この粘度調節分離装置に設けた保温配管を介して連設した主燃焼室と、
またこの粘度調節分離装置に設けた配管を介して連設した付着物燃焼炉と、
この主燃焼室、付着物燃焼炉の排気ガスを収容する排気ガス減温室及び/又はハニカム型の熱酸化炉と、
この排気ガス減温室に連設する触媒脱硝塔と、
この触媒脱硝塔に連設する集塵機及び/又は煙突と、
前記付着物燃焼炉に連設する廃棄物収容チャンバーとで構成したPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システム。
【請求項7】
請求項6に記載のPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システムにおいて、
消石灰サイロ及び/又は活性炭サイロを付設し、前記煙突及び/又は触媒脱硝塔の施設に供給可能とする構成としたPCB等の難燃性高粘度廃棄物の燃焼システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−275179(P2008−275179A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260725(P2006−260725)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【特許番号】特許第3957737号(P3957737)
【特許公報発行日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(591137318)
【Fターム(参考)】