説明

PLL回路

【課題】短時間でかつ正確に、所望の周波数の発振信号にロック可能なPLL回路を提供する。
【解決手段】PLL回路は、粗調整ループ部と微調整ループ部を有する。前記粗調整ループ部は、前記複数の第1切替部の切替情報を記憶する切替情報記憶部と、複数の第1切替部の新たな切替情報を設定する切替情報設定部と、切替情報設定部で設定した複数の第1切替部の切替情報に基づいて調整した電圧制御型発振器の発振信号を分周した分周信号を生成する分周器と、分周信号の周波数と基準信号の周波数とを比較した結果に基づいて、切替情報設定部に対して切替情報の再設定を指示する発振周波数調整部と、切替情報設定部で設定した切替情報と、切替情報記憶部に記憶されている切替情報と、の差分情報を生成し、該差分情報が所定の閾値範囲内であれば、ループ制御部に粗調整の終了を報知し、差分情報が閾値範囲外の場合には、切替情報設定部に対して切替情報の再設定を指示する比較器と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電圧制御型発振器を備えたPLL回路に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル回路では、正確な発振信号(クロック信号)を出力するPLL回路が欠かせない。PLL回路では、電圧制御型発振器(VCO:Voltage Control Controller)の発振信号の周波数をフィードバック制御して所望の発振周波数にロックさせている。
【0003】
VCOの位相雑音特性を改善するには、VCOの制御電圧による周波数変化の感度を下げる必要がある。このため、VCO内に、制御電圧により容量値を可変可能な可変容量の他に、容量値が一定の固定容量と、この固定容量を有効にするか否かを切り替えるスイッチとを設ける場合がある。
【0004】
ところが、発振信号の波形のなまりやノイズの影響等により、スイッチの切替を正しく行えなかった場合は、誤った固定容量が選択されて、結果として、発振信号の周波数が大きくずれてしまい、元の周波数に自律復帰できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−286702号公報
【特許文献2】特開平7−74628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、短時間でかつ正確に所望の周波数の発振信号にロック可能で、誤動作を防止できるPLL回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によるPLL回路は、制御信号に基づいて発振信号の周波数を制御する電圧制御型発振器と、周波数設定信号に基づいて、前記発振信号の周波数を粗調整する粗調整ループ部と、前記粗調整ループ部により前記発振信号の周波数を粗調整した後に、前記発振信号の周波数を微調整する微調整ループ部と、前記粗調整ループ部と前記微調整ループ部とのいずれか一方を動作させる制御を行うループ制御部と、を備える。前記電圧制御型発振器は、前記制御信号により容量値を可変可能な可変容量と、それぞれが前記可変容量に並列接続可能な、容量値が固定の複数の固定容量と、前記複数の固定容量のそれぞれに直列接続され、対応する固定容量を前記可変容量に並列接続するか否かを切替可能な複数の第1切替部と、を有する。前記粗調整ループ部は、前記複数の第1切替部の切替情報を記憶するための切替情報記憶部と、前記複数の第1切替部の新たな切替情報を設定する切替情報設定部と、前記切替情報設定部で設定した前記複数の第1切替部の切替情報に基づいて調整した前記電圧制御型発振器の発振信号を分周した分周信号を生成する分周器と、前記分周信号の周波数と基準信号の周波数とを比較した結果に基づいて、前記切替情報設定部に対して前記切替情報の再設定を指示する発振周波数調整部と、前記切替情報設定部で設定した切替情報と、前記切替情報記憶部に記憶されている切替情報と、の差分情報を生成し、該差分情報が所定の閾値範囲内であれば、前記ループ制御部に粗調整の終了を報知し、前記差分情報が前記閾値範囲外の場合には、前記切替情報設定部に対して前記切替情報の再設定を指示する比較器と、を有する。前記微調整ループ部は、前記粗調整ループ部による粗調整が終了した時点での前記複数の第1切替部の切替状態を維持したまま、前記分周器で前記発振信号を分周した分周信号と基準信号との位相差を検出する位相比較器と、前記位相差に応じて電圧信号を生成するチャージポンプと、前記電圧信号に含まれるノイズを除去して、前記可変容量の容量値を制御するための前記制御信号を生成するループフィルタと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るPLL回路の概略構成を示すブロック図。
【図2】(a)はVCO2の回路図、(b)は可変容量部13の回路図。
【図3】(a)は粗調整ループ部3が行う動作を概念的に示す図、(b)は微調整ループ部4が行う動作を概念的に示す図。
【図4】本実施形態によるPLL回路の処理動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係るPLL回路の概略構成を示すブロック図である。図1のPLL回路は、局部発振器(TCXO)1と、電圧制御型発振器(VCO)2と、粗調整ループ部3と、微調整ループ部4と、ループ制御部5とを備えている。
【0011】
VCO2は、例えば図2(a)のような回路で構成されている。図2(a)のVCO2は、電流源11と、出力端子OUT1,OUT2の電圧レベルにより電流源11からの電流を流すか否かを切り替えるトランジスタQ1,Q2と、出力端子OUT1,OUT2の電圧レベルによりいずれか一方がオンするトランジスタQ3,Q4と、出力端子OUT1,OUT2間に並列接続されたインダクタ12および可変容量部13とを有する。図2(a)のVCO2は、外部からの制御信号により、可変容量部13の容量を調整することで、発振信号の周波数を可変制御する。
【0012】
可変容量部13は、例えば図2(b)のような回路で構成される。図2(b)の可変容量部13は、制御信号により容量値を可変可能なバリキャップ(可変容量)14と、それぞれがバリキャップ14に並列接続可能な複数の固定容量15と、各固定容量15をバリキャップ14に並列接続するか否かを切替可能な第1切替部16を有する。
【0013】
図2(b)では、3つの固定容量15を設けているが、これは単なる一例であり、2個以上であれば、固定容量15の数には特に制限はない。これら固定容量15はいずれも同一の固定容量値を持っており、個々の第1切替部16は個別にオン/オフが可能である。したがって、オンになった第1切替部16に直列接続された固定容量15のみがバリキャップ14に並列接続されることになる。
【0014】
このように、図2(b)の可変容量部13は、バリキャップ14の容量値を制御することで全体の容量値を可変できるし、また第1切替部16を個別にオン/オフすることで、全体の容量値を可変できる。
【0015】
後述するように、第1切替部16のオン/オフ制御はVCO2の発振信号の周波数を粗調整するために行われ、バリキャップ14の容量制御は発振信号の周波数を微調整するために行われる。
【0016】
図1に戻って、粗調整ループ部3は、第2切替部21と、発振周波数調整部22と、切替情報設定部23と、切替情報記憶部24と、比較器25と、VCO2と、プリスケーラ26と、プログラマブル分周器27とを有する。このうち、VCO2、プリスケーラ26およびプログラマブル分周器27は、粗調整ループ部3と微調整ループ部4の双方で共用される。
【0017】
第2切替部21は、ループ制御部5からの指示により、粗調整ループ部3を動作させるか否かを切り替える。切替情報設定部23は、図2(b)に示す複数の第1切替部16のオン/オフを切り替えるための切替情報を設定する。
【0018】
切替情報記憶部24は、複数の第1切替部16の切替情報を記憶する。発振周波数調整部22は、プログラマブル分周器27で生成した分周信号の周波数と局部発振器1で生成した局部発振信号の周波数とを比較する。この周波数比較結果は、切替情報設定部23に伝達される。切替情報設定部23は、発振周波数調整部22での周波数比較結果に基づき複数の第1切替部16のオン/オフを切替えていく。この動作は規定した回数の周波数比較を行うまで、もしくは所望周波数に近づくまで継続して行なわれ、最適な切替情報を探索する。
【0019】
比較器25は、切替情報設定部23が設定した新たな切替情報と、切替情報記憶部24に記憶されている切替情報との差分値を生成する。差分値が予め定めた閾値範囲内の場合は、妥当な情報であると判定し、差分値が閾値範囲から外れている場合には、妥当でない情報であると判定し、切替情報設定部23は、比較器25が妥当な切替情報であると判定するまで、切替情報を更新する。
【0020】
ここで、切替情報とは、図2(b)に示す複数の第1切替部16のオン/オフの切替を指示する情報であり、以下では、制御コードと呼ぶ。制御コードは、例えば、複数の第1切替部16の数分のビット数からなるビット列であり、各ビットの値により、対応する第1切替部16のオン/オフを設定する。切替情報設定部23は、発振周波数調整部22が妥当な制御コードであると判定するまで、制御コードの更新を継続することになる。
【0021】
切替情報記憶部24は、後述する微調整ループ部4からロック検出信号が出力された時点に、切替情報設定部23に設定されていた制御コードを記憶する。これにより、切替情報記憶部24にそれ以前に記憶されていた切替情報が更新されることになる。切替情報記憶部24は、例えばラッチ回路やレジスタ回路で構成される。
【0022】
微調整ループ部4は、第3切替部31と、位相比較器32と、チャージポンプ33と、ループフィルタ34と、VCO2と、プリスケーラ26と、プログラマブル分周器27とを有する。
【0023】
第3切替部31は、ループ制御部5からの指示により、微調整ループ部4を動作させるか否かを切り替える。位相比較器32は、プログラマブル分周器27から出力された分周信号と局部発振信号との位相差を検出する。チャージポンプ33は、位相比較器32で検出された位相差に応じて電圧信号を生成する。ループフィルタ34は、チャージポンプ33で生成された電圧信号に含まれるノイズを除去して、図2(b)のバリキャップ14を制御するための制御信号を生成する。プリスケーラ26は、VCO2の発振信号を予め定めた分周比で分周した分周信号を生成する。プログラマブル分周器27は、プリスケーラ26で分周した分周信号を外部から指定した分周比で分周した分周信号を生成する。
【0024】
ループ制御部5は、粗調整ループ部3と微調整ループ部4のいずれかを選択し、第2切替部21と第3切替部31のオン/オフを制御する。ループ制御部5は、電源投入時または初期動作時には、粗調整ループ部3を選択する。また、ループ制御部5は、発振周波数調整部22からの信号により、粗調整ループ部3の制御が終わったことを検知して、第2切替部21と第3切替部31の切替を行う。
【0025】
図3(a)は粗調整ループ部3が行う動作を概念的に示す図、図3(b)は微調整ループ部4が行う動作を概念的に示す図であり、横軸はVCO2を制御するための制御信号の電圧レベル、縦軸はVCO2の発振周波数である。
【0026】
粗調整ループ部3は、図3(a)に示すように、制御コードを切り替えることで、段階的に発振周波数を切り替える。これにより、比較的大きな単位で段階的に発振周波数を切り替えることができる。
【0027】
図3(a)には、4つの両矢印線が図示されているが、これらの両矢印線はそれぞれ対応する制御コードにより選択される。制御コードにより、図2(b)に示す個々の第1切替部16が個別にオン/オフされ、可変容量部13の容量値が変化する。これにより、VCO2の発振周波数が切り替わる。
【0028】
図3(a)の個々の両矢印線の長さは、周波数を可変できる範囲を示している。隣り合う両矢印線は、周波数軸方向に互いに重なり合っている。すなわち、異なる制御コードで、同じ発振周波数を設定できるようにしている。このようにする理由は、何らかの理由で、制御コードが切り替わっても、同じ発振周波数に調整できるようにするためであり、これによって、制御コード設定時の誤動作により、発振周波数がずれてしまって、元の発振周波数に戻せないという不具合を防止できる。
【0029】
微調整ループ部4は、図3(b)に示すように、粗調整ループ部3で選択した制御コードの特性曲線上で、制御信号により発振周波数を微調整する。このように、微調整ループ部4では、発振周波数を大きく変更することはできないが、制御信号により発振周波数の微妙な調整を行うことができる。
【0030】
なお、正常時には、図3(b)の曲線の中央付近で発振周波数が切り替わる。何らかの事情で、微調整ループ部4が誤動作すると、この曲線の端の方まで発振周波数がずれてしまうおそれがあるが、同じ曲線上であるため、やがて中央付近の所望の発振周波数にロックすることが期待できる。
【0031】
図4は本実施形態によるPLL回路の処理動作を示すフローチャートである。図4のフローチャートは、待機状態の処理動作であり、周波数設定信号が外部から入力されると、ステップS1以降の処理が始まる。まず、ループ制御部5は、粗調整ループ部3を選択し、第2切替部21をオンに、第3切替部31をオフにする(ステップS1)。この時制御コードの初期値に応じ、複数の第1切替部16のオン/オフ状態が設定されることになる。制御コードの初期値についてはVCO2の初期周波数が同一になるようにPLL回路内で予め設定された値を毎回使用する。次に、切替情報設定部23は、可変容量部13における複数の第1切替部16のオン/オフを切り替えるための制御コードを探索する(ステップS2)。制御コードの探索は、第1切替部16のオン/オフを順次変更する等して設定される。
【0032】
このステップS2では、切替情報設定部23が設定した制御コードに基づいてVCO2の発振周波数を切り替えて、その分周信号と局部発振器1の局部発振信号とを発振周波数調整部22で比較した結果に基づいて、再度、可変容量部13における複数の第1切替部16のオン/オフを切り替えるための新たな制御コードを切替情報設定部23で設定するという動作を繰り返す。何度かこの動作を繰り返した後に、比較器25にて、切替情報設定部23が設定した新たな制御コードと、切替情報記憶部24に記憶されている制御コードとを比較して、差分値を生成する。そして、差分値の絶対値が所定値N以内かどうかを判定する(ステップS3)。ここで、Nの値は、発振周波数などにより任意の値に設定すればよい。このステップS3で、所定値以内と判定された場合は、切替情報設定部23が設定した制御コードを有効な値として、その制御コードに基づいて複数の第1切替部16のオン/オフ状態を設定する(ステップS4)。図3(a)で示しているように制御コードの期待値は複数あるが、ここではより最適なコードを探すことはせずに不適切な制御コードが選択されることを防ぐことを目的としている。
【0033】
一方、何らかの理由で制御コードの値が異なるなどして、ステップS3で所定値以内でないと判定された場合は、最初から処理をやり直すべく、ステップS2に戻る。
【0034】
次に、ループ制御部5は、微調整ループ部4を選択し、第2切替部21をオフに、第3切替部31をオンにする(ステップS5)。これにより、微調整ループ部4内の位相比較器32は、VCO2の発振信号を分周した分周信号をプログラマブル分周器27から取得するとともに、局部発振器1から局部発振信号を取得し、両信号の位相差を検出する。続いて、チャージポンプ33は、検出した位相差に応じた電圧信号を生成する。この電圧信号は、ループフィルタ34でノイズ除去されて、制御信号に変換される。この制御信号は、VCO2内の図2(b)に示すバリキャップ14の容量値を調整するために用いられる。
【0035】
微調整ループ部4による制御を行った結果、位相比較器32で検出される位相差が所定値以下(例えばほぼゼロ)になると、発振周波数の微調整が終わったことを示すロック状態になる。そこで、位相比較器32は、ロック状態になったか否かを判定し(ステップS6)、ロック状態になった場合は、ロック検出信号を粗調整ループ部3内の切替情報記憶部24に供給する。切替情報記憶部24は、ロック検出信号が入力されると、その時点で切替情報設定部23が設定していた制御コードを記憶する(ステップS7)。切替情報記憶部24に記憶された制御コードは、その後に電源投入または初期化動作を行うまでは変更されない。したがって、複数の第1切替部16のオン/オフ状態もそのまま保持される。
【0036】
一方、いつまでたってもロック状態にならない場合、位相比較器32はエラー信号を出力する(ステップS8)。
【0037】
エラー信号が出力された場合の処理については、種々の手法が考えられるため、具体的には言及しないが、例えば、本実施形態のPLL回路を内蔵するシステム側にロックしない旨を報知して、再度初期化動作を繰り返したり、あるいは故障である旨の報知を行ってもよい。
【0038】
このように、本実施形態では、まずは粗調整ループ部3で、VCO2内の固定容量15に直列接続された複数の第1切替部16のオン/オフを設定するための制御コードを調整して、発振周波数の粗調整を行う。粗調整が終わると、複数の第1切替部16のオン/オフの設定をそのまま維持する。次に、微調整ループ部4で、位相比較器32で検出した位相差に基づいてVCO2内のバリキャップ14の容量値を調整して、発振周波数の微調整を行う。そして、位相比較器32からロック検出信号が出力されると、粗調整ループ部3で保持した制御コードを切替情報記憶部24に記憶する。これにより、次に粗調整ループ部3の動作を行う際に、最適な制御コードを迅速に設定可能となる。また、微調整ループ部4は、粗調整ループ部3で制御コードを設定した後に行うため、微調整ループ部4の最中に何らかの事情により制御信号が大きく変動したとしても、粗調整ループ部3で設定した制御コード自体が変動するおそれはないため、所望の発振周波数に迅速にロックできるようになり、制御信号が大きく外れてロック不能になるという不具合が起きにくくなる。
【0039】
図1では、VCO2で生成された発振信号を分周するために、プリスケーラ26とプログラマブル分周器27を用いたが、これらを統合して一つの分周器で分周してもよい。
【0040】
図1に示した粗調整ループ部3および微調整ループ部4内の一部の構成部分を必要に応じて統合してもよい。例えば、粗調整ループ部3内の発振周波数調整部22と、切替情報設定部23と、切替情報記憶部24と、比較器25との少なくとも一部を、一つに統合した構成部を設けてもよい。
【0041】
図2(a)に示したVCO2の内部構成は一例であり、図2(b)に示すような可変容量部13を有する限り、VCO2の具体的な回路形態は問わない。
【0042】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 局部発振器、2 電圧制御型発振器(VCO)、3 粗調整ループ部、4 微調整ループ部、5 ループ制御部、13 可変容量部、14 バリキャップ、15 固定容量、16 第1切替部、21 第2切替部、22 発振周波数調整部、23 切替情報設定部、24 切替情報記憶部、25 比較器、26 プリスケーラ、27 プログラマブル分周器、31 第3切替部 32 位相比較器、33 チャージポンプ、34 ループフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号に基づいて発振信号の周波数を制御する電圧制御型発振器と、
周波数設定信号に基づいて、前記発振信号の周波数を粗調整する粗調整ループ部と、
前記粗調整ループ部により前記発振信号の周波数を粗調整した後に、前記発振信号の周波数を微調整する微調整ループ部と、
前記粗調整ループ部と前記微調整ループ部とのいずれか一方を動作させる制御を行うループ制御部と、を備え、
前記電圧制御型発振器は、
前記制御信号により容量値を可変可能な可変容量と、
それぞれが前記可変容量に並列接続可能な、容量値が固定の複数の固定容量と、
前記複数の固定容量のそれぞれに直列接続され、対応する固定容量を前記可変容量に並列接続するか否かを切替可能な複数の第1切替部と、を有し、
前記粗調整ループ部は、
前記複数の第1切替部の切替情報を記憶するための切替情報記憶部と、
前記複数の第1切替部の切替情報を設定する切替情報設定部と、
前記切替情報設定部で設定した前記複数の第1切替部の切替情報に基づいて調整した前記電圧制御型発振器の発振信号を分周した分周信号を生成する分周器と、
前記分周信号の周波数と基準信号の周波数とを比較した結果に基づいて、前記切替情報設定部に対して前記切替情報の再設定を指示する発振周波数調整部と、
前記切替情報設定部で設定した切替情報と、前記切替情報記憶部に記憶されている切替情報と、の差分情報を生成し、該差分情報が所定の閾値範囲内であれば、前記ループ制御部に粗調整の終了を報知し、前記差分情報が前記閾値範囲外の場合には、前記切替情報設定部に対して前記切替情報の再設定を指示する比較器と、を有し、
前記微調整ループ部は、
前記粗調整ループ部による粗調整が終了した時点での前記複数の第1切替部の切替状態を維持したまま、前記分周器で前記発振信号を分周した分周信号と基準信号との位相差を検出する位相比較器と、
前記位相差に応じて電圧信号を生成するチャージポンプと、
前記電圧信号に含まれるノイズを除去して、前記可変容量の容量値を制御するための前記制御信号を生成するループフィルタと、を有することを特徴とするPLL回路。
【請求項2】
前記ループ制御部は、電源投入時または初期動作時には、前記粗調整ループ部を選択し、その後は前記発振周波数調整部からの情報に基づいて前記微調整ループ部を動作させるタイミングを決定することを特徴とする請求項1に記載のPLL回路。
【請求項3】
前記ループ制御部は、前記粗調整ループ部と前記微調整ループ部とを排他的に切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載のPLL回路。
【請求項4】
前記位相比較器は、前記位相差が所定値以下になったときに、前記微調整ループ部がロック状態になったことを示すロック検出信号を出力し、
前記切替情報記憶部は、前記ロック検出信号に基づいて、前記切替情報設定部が設定していた前記切替情報を前記切替情報記憶部に記憶することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のPLL回路。
【請求項5】
前記切替情報設定部は、2以上の切替情報の間で互いに発振周波数の可変範囲が重なり合うように設定されている複数通りの切替情報の中から任意の一つを設定するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のPLL回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−205137(P2012−205137A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68722(P2011−68722)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】