説明

アクチュエータおよびアクチュエータの冷却方法

【課題】可動子周辺の温度上昇を抑えること。
【解決手段】実施形態に係るアクチュエータは、リニアモータと、仕切部材と、ファンとを備える。リニアモータは、可動子としてのシャフトを直線的に移動させる。仕切部材は、シャフトの近傍に設けられリニアモータを制御する制御基板とシャフトとの間の空間を仕切る。そして、ファンは、仕切部材よりもシャフト側に設けられ、シャフト側の空間における空気を流動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、アクチュエータおよびアクチュエータの冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可動子を直線的に移動させるリニアモータ等の駆動装置を備えたアクチュエータが知られている。また、複数の駆動装置を組み込んだアクチュエータも開発されており、たとえば、複数の部品を保持して所定の場所へ移動させる部品移載装置等として利用されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−105270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術には、可動子周辺の温度上昇を抑えるという点で更なる改善の余地がある。
【0005】
すなわち、アクチュエータが備えるリニアモータ等の駆動装置は、可動子周辺の温度上昇により、可動子の位置精度に影響が生じる可能性がある。このため、従来技術では、たとえば温度に応じた位置補正を行う等の対策を行っているが、可動子周辺の温度上昇は極力抑えることが望ましい。
【0006】
なお、可動子周辺の温度上昇は、たとえば、固定子に設けられるコイルからの発熱のほか、可動子の近傍に配置される機器からの発熱によっても生じる可能性がある。
【0007】
実施形態の一態様は、可動子周辺の温度上昇を抑えることができるアクチュエータおよびアクチュエータの冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係るアクチュエータは、駆動装置と、仕切部材と、ファンとを備える。駆動装置は、可動子を直線的に移動させる。仕切部材は、可動子の近傍に設けられ駆動装置を制御する制御基板と可動子との間の空間を仕切る。そして、ファンは、仕切部材よりも可動子側に設けられ、可動子側の空間における空気を流動させる。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、可動子周辺の温度上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1Aは、第1の実施形態に係るアクチュエータの模式図である。
【図1B】図1Bは、制御基板を搭載したアクチュエータの模式図である。
【図2】図2は、図1BにおけるA−A線断面視による説明図である。
【図3】図3は、図2におけるB−B線断面視による説明図である。
【図4A】図4Aは、図3におけるC−C線断面視による説明図ある。
【図4B】図4Bは、図4AにおけるD−D線断面視による説明図である。
【図5】図5は、ガイド部材間の間隔をファンからの距離に応じて異ならせる場合の例を示す説明図である。
【図6】図6は、仕切部材にフィンを設ける場合の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するアクチュエータおよびアクチュエータの冷却方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1Aは、第1の実施形態に係るアクチュエータの模式図である。また、図1Bは、制御基板を搭載したアクチュエータの模式図である。なお、第1の実施形態に係るアクチュエータは、たとえば、部品を保持して所定の場所へ移動させる部品移載装置のヘッドモジュール等として用いられる。
【0013】
図1Aに示すように、第1の実施形態に係るアクチュエータ1は、複数のリニアモータ10と、フレーム20と、仕切部材30と、ファン40とを備える。
【0014】
リニアモータ10は、筒状のガイド部材12に挿入されたシャフト11をガイド部材12に沿って直線的に移動させる駆動装置である。ガイド部材12は、磁性体のモータフレームとしても機能する。このリニアモータ10は、ガイド部材12の両端部がフレーム20の第1支持部21および第2支持部22によってそれぞれ支持されることによって、フレーム20に固定される。また、リニアモータ10のシャフト11は、第1支持部21に取り付けられた第3支持部25によって直動可能に支持される。
【0015】
第1の実施形態に係るアクチュエータ1は、10個のリニアモータ10を備えており、各リニアモータ10に対応する10個のガイド部材12が並列に配列される。なお、アクチュエータが備えるリニアモータの数は、10個に限定されない。
【0016】
フレーム20は、第1支持部21と、第2支持部22と、側壁部23と、支柱24a〜24dと、第3支持部25とを備える。
【0017】
第1支持部21および第2支持部22は、複数のガイド部材12の先端部および基端部をそれぞれ支持する部材である。側壁部23は、ガイド部材12の側面を覆う部材であり、ファン40に最も近い位置に設けられるガイド部材12とファン40との間に設けられる。なお、この側壁部23には、ファン40による送風をガイド部材12に直接当てるための切り欠き部が形成されるが、かかる点については後述する。
【0018】
支柱24a〜24dは、後述するリニアモータ10の制御基板を支持するための部材である。支柱24aおよび支柱24bは、たとえば第1支持部21に設けられ、支柱24cおよび支柱24dは、たとえば第2支持部22に設けられる。
【0019】
ここで、リニアモータ10の制御基板を搭載したアクチュエータ1の模式図を図1Bに示す。図1Bに示すように、支柱24a〜24dの上端部には、基板プレート50が載置され、この基板プレート50の上部にリニアモータ10の制御基板60が載置される。この制御基板60は、リニアモータ10を制御する制御装置である。
【0020】
図1Aに戻り、仕切部材30について説明する。仕切部材30は、基板プレート50と複数のガイド部材12との間の空間を仕切る部材である。また、ファン40は、仕切部材30よりもガイド部材12側に設けられ、ガイド部材12側の空間における空気を流動させる。
【0021】
このように、第1の実施形態に係るアクチュエータ1は、基板プレート50とガイド部材12との間の空間を仕切部材30で仕切り、仕切部材30よりもガイド部材12側の空間における空気をファン40で流動させることにより、リニアモータ10周辺やシャフト11周辺の温度上昇を抑えることとした。以下、仕切部材30およびファン40の配置や構成について具体的に説明する。
【0022】
なお、以下では、図1Aに示すように、シャフト11の移動方向をX軸方向とし、ガイド部材12の配列方向をY軸方向とし、X軸およびY軸に直交する方向をZ軸方向とする。また、以下では、Z軸の正方向および負方向をそれぞれアクチュエータ1の上方および下方とする。
【0023】
また、第1の実施形態では、ファン40が、ガイド部材12側の空間に対して空気を送り出す送風機である場合の例について説明するが、ファンは、ガイド部材12側の空間における空気を吸い込む吸引機であってもよい。
【0024】
図2は、図1BにおけるA−A線断面視による説明図である。図2に示すように、基板プレート50および制御基板60は、シャフト11の近傍に配置される。具体的には、基板プレート50および制御基板60は、支柱24a〜24d(図1B参照)によって支持されることによって、ガイド部材12の上方にガイド部材12と所定の間隔をあけて配置される。
【0025】
基板プレート50とガイド部材12との間には、仕切部材30が設けられる。具体的には、仕切部材30は、ガイド部材12の上方に形成されるフレーム20の開放部を閉塞するように設けられる。この仕切部材30は、たとえばアルミニウムや銅や鉄といった熱伝導率の比較的高い部材で形成される。
【0026】
このように、アクチュエータ1は、制御基板60とシャフト11との間の空間、具体的には、基板プレート50とガイド部材12との間の空間を仕切部材30で仕切ることにより、制御基板60からの熱をシャフト11に伝えにくくすることができる。
【0027】
また、仕切部材30は、制御基板60が発する電波ノイズおよびリニアモータ10が発する電磁ノイズを遮蔽することもできる。したがって、アクチュエータ1は、仕切部材30を設けることで、制御基板60が発する電波ノイズをリニアモータ10へ伝えにくくするとともに、リニアモータ10が発する電磁ノイズを制御基板60へ伝えにくくすることもできる。
【0028】
なお、仕切部材30は、アルミニウム等の高熱伝導材料の表面を鉄粉等でコーティングした材料を用いて形成されてもよい。このようにすれば、電波ノイズや電磁ノイズの遮蔽効果をさらに高めることができる。電波ノイズや電磁ノイズの遮蔽効果が高い鉄板の表面に対して高熱伝導材料をコーティングした材料で仕切部材を形成する場合も同様である。また、仕切部材30は、ファン40の外形にあわせて円弧状に形成してもよい。
【0029】
ファン40は、仕切部材30よりもガイド部材12側の空間に設けられる。ファン40は、フレーム20と仕切部材30とファン40とによって形成されるガイド部材12の収納空間に対して外部の空気を送り込む。
【0030】
フレーム20には、ガイド部材12からみて仕切部材30が設けられる側とは反対側に開口部26が形成される。このため、収納空間内の空気は、ファン40からの送風によってフレーム20の開口部26から外部へ送り出されることとなる。このように、アクチュエータ1は、ファン40を用いてガイド部材12の収納空間内の空気を入れ換えることで、ガイド部材12の収納空間の温度上昇を抑えることができる。また、ファン40からの送風によって、仕切部材30自体も冷却することができる。
【0031】
かかる点について、図3を用いてさらに具体的に説明する。図3は、図2におけるB−B線断面視による説明図である。なお、図3では、理解を容易にするために、支柱24c,24d、基板プレート50および制御基板60を省略して示す。
【0032】
図3に示すように、ファン40は、軸心P1が、ガイド部材12の配列方向、すなわち、X軸方向と略平行に設けられる。また、ファン40の軸心P1は、ガイド部材12の軸心P2よりも仕切部材30側に設けられる。
【0033】
これにより、ガイド部材12の収納空間では、ファン40を動作させることによって、ガイド部材12からみて仕切部材30側の空間と開口部26側の空間との間で気圧差が生じる。具体的には、ガイド部材12からみて仕切部材30側の空間の方が、ガイド部材12からみて開口部26側の空間よりも気圧が高くなる。
【0034】
ガイド部材12の収納空間における空気は、気圧の高い方から低い方へ、すなわち、ガイド部材12からみて仕切部材30側の空間から開口部26側へ向かって流れる。このため、第1の実施形態に係るアクチュエータ1は、ガイド部材12の収納空間における空気を開口部26から外部へ効率的に送り出すことができる。
【0035】
また、ガイド部材12は、互いに所定の間隔dをあけて並列に配列される。このため、ガイド部材12の収納空間内における空気は、ガイド部材12間の空間を通って開口部26へ流れる。したがって、アクチュエータ1によれば、ガイド部材12を互いに接した状態で配列させる場合と比較して、リニアモータ10の冷却効果を高めることができる。
【0036】
さらに、図2および図3に示すように、ガイド部材12とファン40との間に介在するフレーム20の側壁部23には、ファン40の送風口41の形状に合せて切り欠き部23aが形成される。これにより、ファン40からの送風がガイド部材12に対して直接当たるようになるため、ガイド部材12の冷却効果を高めることができる。なお、かかる切り欠き部23aは、形成されなくてもよい。
【0037】
このように、第1の実施形態に係るアクチュエータ1は、ファン40を用いてガイド部材12の収納空間における空気を流動させることによって、シャフト11周辺の温度上昇を防ぐことができる。
【0038】
なお、第1の実施形態では、ガイド部材12の収納空間に1つの開口部26が形成される場合の例について説明したが、ガイド部材12の収納空間は、開口部26以外の開口部を備えていてもよい。
【0039】
たとえば、図3に示すように、アクチュエータ1では、ガイド部材12の収納空間のうち、ガイド部材12からみてファン40が設けられる側とは反対側がカバー体70によって閉塞された状態となっている。しかし、アクチュエータは、かかるカバー体70を備えなくてもよい。すなわち、ガイド部材の収納空間は、ガイド部材からみてファンが設けられる側とは反対側が開放されていてもよい。
【0040】
次に、リニアモータ10の構成について図4Aおよび図4Bを用いて説明する。図4Aは、図3におけるC−C線断面視による説明図である。また、図4Bは、図4AにおけるD−D線断面視による説明図である。
【0041】
図4Aに示すように、リニアモータ10は、シャフト11と、ガイド部材12とを備える。シャフト11は、円柱状の部材であり、周面に永久磁石90を備える。永久磁石90は、後述するコイル80と対向配置される(図4B参照)。
【0042】
また、シャフト11は、第3支持部25に設けられたリニアベアリング等の直動軸受け25aによって直動可能に支持される。このように、シャフト11は、可動子の一例である。
【0043】
ガイド部材12は、筒状の部材であり、内周面には、筒状に巻回されたコイル80がモールドや接着等によって固定される。かかるガイド部材12は、永久磁石90から出る磁束の磁路となるため、鉄などの磁性材料で形成される。このように、ガイド部材12は、固定子の一例である。
【0044】
ガイド部材12は、上記のように筒状に形成されるため、たとえば、角柱状のガイド部材と比較して空気抵抗が小さい。したがって、ガイド部材12は、角柱状のガイド部材と比較して、ファン40からの送風によって冷却され易い。また、アクチュエータ1は、筒状のガイド部材12を備えることで、ファン40からの送風をガイド部材12の収納空間の奥側まで容易に届かせることができる。
【0045】
また、図4Bに示すように、ガイド部材12には、Z軸の正方向、すなわち、仕切部材30側へ向けて突出する凸部121が形成される。この凸部121により、ガイド部材12の内周面とコイル80との間には、所定の空間Rが形成される。この空間Rは、たとえば、ガイド部材12を第3支持部25に固定するボルトねじ100が配設される空間である。また、空間Rは、コイル80の渡り線81が収納される収納空間でもある。
【0046】
ガイド部材12は、この凸部121の分だけ表面積が大きくなるため、ガイド部材12が凸部121を備えない場合と比較して、熱を放散し易い。このように、ガイド部材12は、凸部121がフィンとして機能することで、冷却効果を高めることができる。また、ガイド部材12にコイル80が密着しているため、ガイド部材12からコイル80の熱を放散しやすい。
【0047】
上述してきたように、第1の実施形態に係るアクチュエータは、リニアモータと、仕切部材と、ファンとを備える。リニアモータは、シャフトを直線的に移動させる。仕切部材は、シャフトの近傍に設けられリニアモータを制御する制御基板とシャフトとの間の空間を仕切る。そして、ファンは、仕切部材よりもシャフト側に設けられ、シャフト側の空間における空気を流動させる。したがって、第1の実施形態に係るアクチュエータによれば、シャフト周辺の温度上昇を抑えることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
ところで、上述した第1の実施形態では、複数のガイド部材12が、均等な間隔dで配列される場合の例について説明した(図3参照)。しかし、ガイド部材12間の間隔は、必ずしも均等である必要はない。
【0049】
そこで、以下では、ガイド部材間の間隔をファン40からの距離に応じて異ならせる場合の例について図5を用いて説明する。以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0050】
図5は、ガイド部材間の間隔をファンからの距離に応じて異ならせる場合の例を示す説明図である。ここで、図5では、アクチュエータ1aが備える複数のリニアモータのうち、ファン40に近い3つのリニアモータをファン40から近い順にそれぞれリニアモータ10a〜10cと呼ぶ。また、図5では、アクチュエータ1aが備える複数のリニアモータのうち、ファン40から最も遠い2つのリニアモータをファン40から近い順にそれぞれリニアモータ10d,10eと呼ぶ。
【0051】
図5に示すように、リニアモータ10a〜10eは、それぞれガイド部材12a〜12eを備える。第2の実施形態に係るアクチュエータ1aは、ガイド部材12a〜12e間の間隔が、ファン40から遠ざかるに従って徐々に大きくなるように調整される。
【0052】
具体的には、アクチュエータ1aは、ガイド部材12a〜12e間の間隔を調整するための調整部材14a,14bを備える。調整部材14a,14bは、たとえば樹脂等で形成される。
【0053】
たとえば、調整部材14aは、ガイド部材12aとガイド部材12bとの間の間隔を狭めるための部材である。調整部材14aは、ガイド部材12aにおけるガイド部材12bと対向する面およびガイド部材12bにおけるガイド部材12aと対向する面にそれぞれ設けられる。これにより、ガイド部材12aおよびガイド部材12b間の間隔、具体的には、調整部材14a間の間隔は、調整部材14aを設けない場合におけるガイド部材12aおよびガイド部材12b間の間隔d(図3参照)よりも小さいd1となる。
【0054】
また、調整部材14bは、ガイド部材12bとガイド部材12cとの間の間隔を狭めるための部材である。調整部材14bは、ガイド部材12bにおけるガイド部材12cと対向する面およびガイド部材12cにおけるガイド部材12bと対向する面にそれぞれ設けられる。これにより、ガイド部材12bおよびガイド部材12c間の間隔、具体的には、調整部材14b間の間隔は、調整部材14bを設けない場合におけるガイド部材12bおよびガイド部材12c間の間隔d(図3参照)よりも小さいd2となる。間隔d2は、ガイド部材12aおよびガイド部材12b間の間隔d1よりも大きい。
【0055】
そして、ファン40から最も遠い位置に設けられる2つのガイド部材12dおよびガイド部材12e間には、調整部材が設けられない。したがって、これらガイド部材12dおよびガイド部材12e間の間隔dは、ガイド部材12bおよびガイド部材12c間の間隔d2よりも大きい。
【0056】
このように、第2の実施形態に係るアクチュエータ1aは、調整部材14a,14bによって、ガイド部材12a〜12c間の間隔がファン40から遠ざかるほど大きくなるように調整される。この結果、ガイド部材間を通る空気の流量は、ファン40に近いほど減少し、その分、ファン40から遠い位置に設けられるガイド部材間を通る空気の流量が増加する。
【0057】
ファン40は、ガイド部材12a〜12eの配列方向端部に設けられるため、ガイド部材12a〜12eには、ファン40による冷却効果にばらつきが生じる可能性がある。たとえば、図5に示す場合、ファン40からの送風は、ファン40に最も近いガイド部材12aに対して最も届き易く、ファン40から最も遠いガイド部材12eに対して最も届き難い傾向がある。このため、ガイド部材12eは、ガイド部材12aと比較して冷却され難い可能性がある。
【0058】
そこで、第2の実施形態では、ガイド部材12a〜12e間の間隔がファン40から遠ざかるほど大きくなるように調整することで、ファン40から遠い位置に設けられるガイド部材間を通る空気の流量を増加させることとした。これにより、ガイド部材12a〜12e間に生じる冷却効果のばらつきを抑制することができる。
【0059】
また、図5に示すように、各ガイド部材12a〜12eは、軸心P3間の間隔sが一定となるように配列される。このように、第2の実施形態では、ガイド部材12a〜12eの軸心P3間の間隔、すなわち、シャフト間の間隔を一定に保ちつつ、ガイド部材12a〜12e間の間隔を異ならせることとしている。したがって、第2の実施形態に係るアクチュエータ1aは、複数のガイド部材が一定の間隔で配列される一般的なアクチュエータと比較して制御容易性が損なわれることがない。
【0060】
なお、ここでは、ガイド部材12a〜12e間の間隔が、ファン40から遠ざかるにつれて徐々に大きくなるように調整する場合の例について説明したが、ガイド部材12a〜12e間の間隔は、段階的に調整してもよい。すなわち、図5では、ガイド部材12a〜12e間の間隔が、ファン40から近い順にそれぞれd1、d2、…dと徐々に大きくなる場合の例について示した。しかし、ガイド部材12a〜12e間の間隔は、たとえば、d1、d1、d2、d2といったように段階的に大きくしてもよい。
【0061】
このように、第2の実施形態では、ガイド部材間の間隔が、ファンの近くに配置されるガイド部材(たとえば、ガイド部材12a)における間隔(たとえば、間隔d1)よりも、ファンから遠くに配置されるガイド部材(たとえば、ガイド部材12e)における間隔(たとえば、間隔d)の方が広く形成される。したがって、第2の実施形態によれば、複数のガイド部材間に生じる冷却効果のばらつきを抑制し、複数のガイド部材を均等に冷却することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
また、上述した第1の実施形態では、制御基板60からの熱を仕切部材30によって遮蔽する場合の例について説明したが、仕切部材の放熱効果を高めるために、仕切部材に放熱部を設けてもよい。以下では、一例として、仕切部材に対してフィンを設ける場合の例について図6を用いて説明する。図6は、仕切部材にフィンを設ける場合の例を示す説明図である。
【0063】
図6に示すように、第3の実施形態に係るアクチュエータ1bは、第1の実施形態に係るアクチュエータ1が備える仕切部材30に代えて、仕切部材30aを備える。この仕切部材30aは、基板プレート50側の面にフィン31を備える。かかるフィン31により、仕切部材30aに蓄積される熱が放散され易くなるため、仕切部材30aよりもガイド部材12側の空間に対して熱がさらに伝わり難くなる。したがって、シャフト11周辺の温度上昇をさらに抑えることができる。
【0064】
ここでは、仕切部材30aが、基板プレート50側の面にフィン31を備える場合の例を示したが、フィンは、仕切部材におけるガイド部材側の面に設けられてもよい。また、ここでは、仕切部材30aが放熱部材の一例であるフィン31を備える場合の例について示したが、仕切部材は、たとえばヒートパイプ等の他の放熱部材を備えてもよい。
【0065】
このように、第3の実施形態では、仕切部材が、熱を放熱する放熱部を備えることとしたため、シャフト周辺の温度上昇をさらに抑えることができる。
【0066】
また、上述した各実施形態では、アクチュエータの一例として、複数のリニアモータが一列に並んだアクチュエータを用いて説明したが、アクチュエータは、リニアモータの列を多段に備えてもよい。
【0067】
また、上述した各実施形態では、駆動装置がリニアモータである場合の例について説明したが、駆動装置は、リニアモータに限定されない。たとえば、アクチュエータは、回転式モータおよびボールねじの組み合わせを駆動装置として備える構成であってもよい。ボールねじは、シャフトを直線的に移動させる直動機構である。なお、かかる場合には、ねじ軸に螺合されるとともにシャフトと連結するナットが可動子に相当し、ナットを直線的に移動させるガイドレールがガイド部材に相当する。
【0068】
また、上述した第3の実施形態では、仕切部材に対して放熱部を設ける場合の例について説明したが、アクチュエータは、たとえば、基板プレートの下部に対して放熱部材をさらに備えてもよい。
【0069】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1,1a,1b アクチュエータ
10,10a〜10e リニアモータ
11 シャフト
12,12a〜12e ガイド部材
14a,14b 調整部材
121 凸部
20 フレーム
21 第1支持部
22 第2支持部
23 側壁部
23a 切り欠き部
24a〜24d 支柱
25 第3支持部
25a 直動軸受け
26 開口部
30,30a 仕切部材
31 フィン
40 ファン
41 送風口
50 基板プレート
60 制御基板
70 カバー体
80 コイル
81 渡り線
90 永久磁石
100 ボルトねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動子を直線的に移動させる駆動装置と、
前記可動子の近傍に設けられ前記駆動装置を制御する制御装置と前記可動子との間の空間を仕切る仕切部材と、
前記仕切部材よりも前記可動子側に設けられ、前記可動子側の空間における空気を流動させるファンと
を備えることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記可動子の移動方向に沿って延在し、前記可動子が挿入されるガイド部材
をさらに備え、
前記駆動装置は、
複数設けられるとともに、それぞれに対応する前記ガイド部材が並列に配列され、
前記ファンの軸心は、
前記ガイド部材の配列方向と略平行であり、かつ、前記ガイド部材の軸心よりも前記仕切部材側に設けられることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記ガイド部材は、
互いに所定の間隔をあけて配列されることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記ガイド部材間の間隔は、
前記ファンの近くよりも遠くの方が大きいことを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ファンおよび前記仕切部材との間で前記ガイド部材を覆う空間を形成するフレーム
をさらに備え、
前記フレームは、
前記ガイド部材からみて前記仕切部材が設けられる側とは反対側に開口部を備えることを特徴とする請求項2、3または4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記ガイド部材は、
筒状に巻回されたコイルが内周面に配設される筒状の部材であり、
前記可動子は、
前記コイルと対向配置される永久磁石を備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記ガイド部材は、
前記コイルと前記内周面との間に所定の空間を形成する凸部を備え、
前記凸部は、
前記仕切部材側へ向けて突出することを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記仕切部材は、
熱を放熱する放熱部を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
【請求項9】
直線的に移動する可動子を含んだ駆動装置を制御する制御装置と、前記可動子との間の空間を仕切部材で仕切り、
前記仕切部材よりも前記可動子側に設けられたファンを用いて前記可動子側の空間における空気を流動させる
ことを特徴とするアクチュエータの冷却方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−90513(P2013−90513A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231157(P2011−231157)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】