説明

アドレナリン性β受容体およびホスホジエステラーゼに対する抑制活性を有する強心性化合物

本発明は、アドレナリン性β受容体およびタイプ3ホスホジエステラーゼ(PDE−3)を含むホスホジエステラーゼ(PDE)に対する抑制活性を有する化合物を提供する。本発明は、カルシウムホメオスタシスを調節するため、カルシウムホメオスタシスの不調節が関連する疾患、疾病または状態を治療するため、および心血管疾患、卒中、てんかん、眼疾患または偏頭痛を治療するために、こうした化合物を含む薬剤組成物、こうした化合物を調製する方法及びこうした化合物を使用する方法を更に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年12月23日出願の米国仮特許出願第60/435,524号の利益を主張する。その全体内容は本明細書に引用して援用される。
【背景技術】
【0002】
鬱血性心不全は、毎年診断される40万件を超える新症例と合わせて推定480万名のアメリカ人を脅かしている。薬物治療の益々の進歩にもかかわらず、心不全が進行した患者に関する予後は、40%を超える年間死亡率によりお粗末なままである。心臓移植は心不全が進行した患者のために有効な治療であるけれども、毎年2,200件未満の心臓移植しかドナー臓器の限られた供給のゆえに行われない。最近の分析によると、進行した心不全の発生率および罹患率の更なる増加が見込まれることが示され、新規且つ有効な治療戦略の切迫した必要を際だたせている。
【0003】
心不全中に、欠陥的筋小胞体カルシウム再取り込み、基底(弛緩期)カルシウムレベル増加、ピーク(収縮期)カルシウム減少およびカルシウムトランジエントの減少した速度を含むカルシウムホメオスタシスの変化があり、減少した収縮力および弛緩の減速がもたらされる。カルシウムホメオスタシスのこれらの異常の最終結果は、抑圧された収縮機能(収縮減少および心拍出量減少)、欠陥的心室弛緩ならびに虚血および/またはアポプトシス−関連メカニズムを介した筋細胞損失である。カルシウムホメオスタシスの不調節も、卒中、てんかん、眼疾患および偏頭痛を含む多くの他の疾病状態に関連してきた。
【0004】
ベータ−アドレナリン性遮断薬は慢性心不全(CHF)が軽度から中等度の患者のための一般的な療法である。しかし、β−遮断薬を使っている一部の患者は後で代償不全になる場合があり、ポジティブ変力薬による急性処置を必要とするであろう。ホスホジエステラーゼ抑制薬(PDEI)例えば、ミルリノンまたはエノキシモンは、PDEI作用のサイト(cAMP)がアドレナリン性β受容体の下流であるとともに、β−アンタゴニズムが、PDEI応答に有害である受容体経路除感作変化(receptor pathway desensitization changes)を逆にするので、ベータ−遮断の面において抑制薬の完全血行力学作用を保持する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アドレナリン性β受容体およびタイプ3ホスホジエステラーゼ(PDE−3)を含むホスホジエステラーゼ(PDE)に対する抑制活性を有する化合物を提供する。本発明は、カルシウムホメオスタシスを調節するため、カルシウムホメオスタシスの不調節が関連する疾患、疾病または状態を治療するため、および心血管疾患、卒中、てんかん、眼疾患または偏頭痛を治療するために、こうした化合物を含む薬剤組成物、こうした化合物を調製する方法及びこうした化合物を使用する方法を更に提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
定義
「アルキル」は直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を意味する。例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0007】
「アルケニル」は少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基を意味する。例には、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、t−ブテニル、n−ペンテニルおよびn−ヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基を意味する。例には、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、t−ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
「シクロアルキル」は環式アルキル基を意味する。例には、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
「シクロアルケニル」は環式アルケニル基を意味する。例には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
「アルコキシ」は酸素連結を通して結合されたアルキル基を意味する。
【0012】
「アルケンオキシ」は酸素連結を通して結合されたアルケニル基を意味する。
【0013】
「アルキルチオ」は硫黄置換アルキル基を意味する。
【0014】
「アリール」は1個以上の閉環を有する環式芳香族炭化水素部分を意味する。例には、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラセニルおよびビフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の閉環の中に1個以上のヘテロ原子(例えば、硫黄、窒素または酸素)を有して、1個以上の閉環を有する環式芳香族部分を意味する。例には、ピリル、フラニル、チエニル、ピリジニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
「ハロ」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基およびヨード基を意味する。
【0017】
「同配体」(Isosteres)は、異なる分子式を有するが、類似または同じ物理的特性を示す元素、官能基、置換基、分子またはイオンを意味する。例えば、テトラゾールは、たとえ異なる分子式を有しても、カルボン酸の特性によく似ているのでカルボン酸の同配体である。
【0018】
典型的には、2種の同配体分子は、類似または同じ体積および形状を有する。理想的には、同配体分子は同形(isomorphic)であるとともに共結晶化(co-crystallize)できるべきである。同配体分子が通常共有する他の物理的特性には、沸点、密度、粘度および熱伝導率が挙げられる。しかし、特定の特性、例えば、ダイポールモーメント、極性、偏光、サイズおよび形状は異なってもよい。外部軌道が異なって混成されてもよいからである。「同配体」という用語は「生物同配体」(bioisosteres)を包含する。
【0019】
「生物同配体」は物理的類似性に加えて幾つかの共通生物特性を共有する同配体である。典型的には、生物同配体は同じ認識部位と相互作用するか、または広く似た生物作用(biological effects)をもたらす。
【0020】
「置換フェニル」は1個以上の置換基で置換されているフェニルを意味する。こうした置換基の例には、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、ヒドロペルオキシ、カルバミド、カルバモイル、カルバミル、カルボニル、カルボゾイル、アミノ、ヒドロキシアミノ、ホルムアミド、ホルミル、グアニル、シアノ、シアノアミノ、イソシアノ、イソシアナト、ジアゾ、アジド、ヒドラジノ、トリアザノ、ニトリロ、ニトロ、ニトロソ、イソニトロソ、ニトロソアミノ、イミノ、ニトロソイミノ、オキソ、C〜Cアルキルチオ、スルファミノ、スルファモイル、スルフェノ、スルフヒドリル、スルフィニル、スルホ、スルホニル、チオカルボキシ、チオシアノ、イソチオシアノ、チオホルムアミド、ハロ、ハロアルキル、クロロシル、クロリル、ペルクロリル、トリフルオロメチル、ヨードシル、ヨージル、ホスフィノ、ホスフィニル、ホスホ、ホスホノ、アルシノ、セラニル、ジシラニル、シロキシ、シリル、シリレンおよび炭素環式部分ならびにヘテロ環式部分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
「有効量」は所望の効果、例えば、カルシウムホメオスタシスを調節する、カルシウムホメオスタシスの不調節が関連する疾病、状態を治療する、心血管疾患、卒中、てんかん、眼疾患または偏頭痛を治療する、アドレナリン性β受容体および/またはPDE−3を含むPDEを抑制する、をもたらすのに必要な量を意味する。
【0022】
「代謝産物」は代謝または代謝プロセスによって生成する物質を意味する。
【0023】
「薬学的に許容できるキャリア」は、主題化合物を身体の1器官または部分から身体のもう一つの器官または部分に運搬するか、移送することに関与する薬学的に許容できる材料、組成物またはビヒクル例えば、液体または固体の充填剤、希釈剤、添加剤または溶媒カプセル化材料(solvent encapsulataing materials)を意味する。各キャリアは、他の製剤成分と適合性であるとともに患者による使用のために適するという意味で「許容できる」。薬学的に許容できるキャリアとして機能できる材料の例には、(1)糖例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース、(2)澱粉例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ、(3)セルロースおよびセルロース誘導体例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよびセルロースアセテート、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)添加剤例えば、カカオ脂および座薬ワックス、(9)油例えば、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油および大豆油、(10)グリコール例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール例えば、グリセリン、ソルビトール、マニトールおよびポリエチレングリコール、(12)エステル例えば、エチルオレエートおよびエチルラウレート、(13)寒天、(14)緩衝剤例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)発熱物質なしの水(pyrogen-free water)、(17)等張食塩水(isotonic saline)、(18)リンガー液(Ringer's solution)、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液ならびに(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ酸無水物、ならびに(22)薬剤製剤中で用いられる他の非毒性適合性物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
「薬学的に許容できる等価物」には、薬学的に許容できる塩、水和物、溶媒和物、代謝産物、プロドラッグおよび同配体が挙げられるが、これらに限定されない。多くの薬学的に許容できる等価物は、本発明の化合物と同じかまたは類似の試験管内(in vitro)活性または生体内(in vivo)活性を有することが予想される。
【0025】
「薬学的に許容できる塩」は、本発明化合物の酸および塩基の塩を意味し、こうした塩は所望の薬剤活性を有し、生物学的にも他の点でも望ましくないことはない。塩は酸により形成することが可能であり、塩には、アセテート、アジペート、アルギネート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェートブチレート、シトレート、カンホレート、カンホールスルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシエタン−スルホネート、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、オキサレート、チオシアネート、トシレートおよびウンデカノエートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
塩基塩の例には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩、アルカリ土類金属塩例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩、有機塩基による塩例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン、ならびにアミノ酸による塩例えば、アルギニンおよびリシンが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、塩基性窒素含有基は、より低級のハロゲン化アルキル例えば、塩化、臭化および沃化メチル、エチル、プロピルおよびブチル、ジアルキルスルフェート例えば、ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルスルフェート、長鎖ハロゲン化物例えば、塩化、臭化および沃化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル、ならびにハロゲン化アラルキル例えばフェネチルブロミドを含む薬剤で第四化することが可能である。
【0027】
「プロドラッグ」は、その薬理効果を示す前に生体内変換例えば代謝を受ける本発明化合物の誘導体を意味する。
【0028】
プロドラッグは、改善された化学的安定性、改善された患者承諾および服薬遵守、改善されたバイオアベイラビリティ、長い作用の期間、改善された臓器選択性、改善された製剤(例えば、増加したヒドロソルビリティ)、および/または低い副作用(例えば毒性)の目的で処方される。プロドラッグは、従来の方法例えば、BURGER'S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG CHEMISTRY、5版、第1巻、頁172−178、949−982(1995)に記載された方法を用いて本発明化合物から容易に調製することが可能である。
【0029】
「異性体」は、同じ数および種類の原子、従って同じ分子量を有するが、原子の配列または構成に関して異なる化合物を意味する。
【0030】
「立体異性体」は空間内の原子の配列のみが異なる異性体を意味する。
【0031】
「ジアステレオ異性体」は互いに鏡像ではない立体異性体を意味する。ジアステレオ異性体は2個以上の非対称炭素原子を有する化合物において現れ、従って、こうした化合物は2の光学異性体を有し、ここで、nは非対称炭素原子の数である。
【0032】
「鏡像異性体」(エナンチオマー)は互いに重ね合わせできない鏡像である立体異性体である。
【0033】
「鏡像異性体に富んでいる」は1鏡像異性体が主体である混合物を意味する。
【0034】
「ラセミ」は等部の個々の鏡像異性体を含む混合物を意味する。
【0035】
「非ラセミ」は不等部の個々の鏡像異性体を含む混合物を意味する。
【0036】
「動物」は感覚および随意運動の力を有するとともに酸素および有機食品をその存在のために必要とする生物を意味する。例には、ヒト、ウマ、ブタ、ウシ、ネズミ、イヌおよびネコの種のメンバーが挙げられるが、これらに限定されない。ヒトの場合、「動物」は「患者」と呼んでもよい。
【0037】
「哺乳類」は温血脊椎動物を意味する。
【0038】
「カルシウムホメオスタシス」は細胞中のカルシウムの内部平衡を意味する。
【0039】
「心血管疾患」は心臓、血管または循環の疾患を意味する。
【0040】
「心不全」は、心機能の異常が代謝組織の要件に相応する速度で血液を送り出す心臓の不全を原因とする病態生理状態を意味する。
【0041】
「鬱血心不全」は代謝組織内で鬱血および浮腫の進行をもたらす心不全を意味する。
【0042】
「高血圧症」は全身血圧の上昇を意味する。
【0043】
「SA/AV結節疾患」は洞房(SA)結節および/または房室(AV)結節に関連した異常な状態または不規則な状態および/または律動を意味する。
【0044】
「不整脈」は異常な心臓律動を意味する。不整脈において、心拍動は遅すぎる、速すぎる、不規則すぎる、または早すぎる場合がある。不整脈の例には、徐脈、細動(心房または心室)および早期収縮が制限なしに挙げられる。
【0045】
「肥厚性大動脈下狭窄」は、大動脈の部分遮断から生じる左心室内の圧力過負荷による心筋の腫脹を意味する。
【0046】
「アンギナ」は、心臓内の1つ以上の冠状動脈の部分吸蔵または完全吸蔵に関連した胸痛を意味する。
【0047】
「治療」は、(i)疾病、疾患および/または状態にかかりやすい場合があるが、疾病、疾患および/または状態を有するとまだ診断されていない動物において疾病、疾患または状態が起きるのを防ぐ、(ii)疾病、疾患または状態を抑制する、すなわち、その進行を阻止する、および/または(iii)疾病、疾患または状態を軽減する、すなわち、疾病、疾患および/または状態の退行を引き起こすことを意味する。
【0048】
特に文脈において明確に指示がない限り、本願において単数用語の定義が現れる時、単数用語の定義は複数用語に適用するように推測してもよい。同様に、本願において複数用語の定義が現れる時、複数用語の定義は単数用語に適用するように推測してもよい。
【0049】
化合物
本発明は、式I
【化5】

(式中、
nは0または1であり、
Arはアリール基またはヘテロアリール基であり、こうしたアリール基またはヘテロアリール基は、R、RおよびRから選択された1〜3個の置換基で任意に置換され、
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルケニルであり、
、RおよびRは独立してシアノ、ニトロ、ハロゲン、水素、トリフルオロメチル、アシルアミノアルキル、NR、−NHSO、−NHCONHR、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖の1個以上の炭素はO、S、SOまたはNRで任意に置換され、および/またはカルボニル酸素またはヒドロキシルで任意に置換されており、
LはC〜C12アルキル、C〜C12アルケニルまたはC〜C12アルキニルであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルの1個以上の炭素はO、S、SOまたはNRで任意に置換され、および/またはカルボニル酸素またはヒドロキシルで任意に置換されており、
は水素、非共有電子対(a loan pair of electrons)、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり、ここで、アルキル、アルケニルまたはアルキニルはフェニルまたは置換フェニルで任意に置換されており、
Xは式A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、PまたはQの部分であり、
【化6】

【化7】

Xは、いずれか1個のR基を通してLに結合され、
各R基は独立して直接結合、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、NR、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、COOR、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニルまたはC〜C12アルキニルであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルの1個以上の炭素はO、S、SOまたはNRで任意に置換され、および/またはカルボニル酸素またはヒドロキシルで任意に置換されているが、
但し、
(a)Arが非置換フェニルまたは置換フェニルであり、nが1であり、Rが水素であり、Xが部分Oである時、部分Oが5−フェニル−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボニトリルではない、
(b)Arが非置換フェニルまたは置換フェニルであり、nが1であり、Rが水素またはメチルである時、Xが部分Jではない、および
(c)Arが置換フェニルであり、nが0であり、RがC〜Cアルキルである時、Xが部分Aではないことを条件とする)
の化合物あるいは薬学的に許容できる等価物、異性体または異性体の混合物を提供する。
【0050】
変えることができるあらゆる置換基は各出現時に独立して定義される。従って、式の一部の変えることができる置換基の定義は、当該式におけるどこかにある定義および他の式における定義から独立している。
【0051】
一実施形態において、Arは、フェニル、ナフチル、ピリジル、イソキサゾリル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、ArまたはArである。
【化8】

(式中、(α)はArが結合してもよい位置を示す)
【0052】
もう一つの実施形態において、Arは置換フェニルであり、nは1であり、Rは水素であり、Xは部分A、BまたはEである。
【0053】
本発明の化合物が1つ以上の非対称炭素中心を有してもよいので、本発明の化合物は光学異性体の形で、および光学異性体のラセミ混合物または非ラセミ混合物の形で存在できる場合がある。
【0054】
光学異性体は、従来のプロセスによるラセミ混合物の溶解によって得ることが可能である。こうした1プロセスは、光学的に活性の酸または塩基で処理し、次に、結晶化によってジアステレオ異性体の混合物を分離し、その後、塩から光学的に活性の塩基を遊離することによるジアステレオ異性体塩の形成を伴う。適切な酸の例は、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンホールスルホン酸である。
【0055】
光学異性体を分離する異なるプロセスは、鏡像異性体の分離を最大にするために最適に選択されたキラルクロマトグラフィカラムの使用を含む。なおもう一つの方法は、本発明の化合物を活性化形態の光学的に活性の酸、光学的に活性のジオールまたは光学的に活性のイソシアネートと反応させることによる共有ジアステレオ異性体分子、例えば、エステル、アミド、アセタールおよびケタールの合成を含む。合成されたジアステレオ異性体は、従来の手段例えば、クロマトグラフィ、蒸留、結晶化または昇華によって分離することが可能であり、その後、加水分解して鏡像異性体として純粋な化合物をもたらすことが可能である。場合によって、光学的に活性の「親」薬物への加水分解は、化合物がプロドラッグとして挙動できるので患者に投薬する前に必須ではない。本発明の光学的に活性の化合物は、同様に、光学的に活性の出発材料を用いることにより得ることが可能である。
【0056】
本発明の化合物が個々の光学異性体ならびにラセミ混合物および非ラセミ混合物を包含することは理解されている。幾つかの非ラセミ混合物において、R構成は富んでいてもよい一方で、他の非ラセミ混合物において、S構成が富んでいてもよい。
【0057】
式Iの化合物の例には、
【0058】
【化9】

N−(2−{[(2S)−3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}−2−メチルプロピル)−2−{4−[(5−メチル−2−オキソ(4−イミダゾリン−4−イル))カルボニル]フェノキシ}アセトアミド(実施例1)、
【0059】
【化10】

N−{2−[3−(2−シアノフェノキシ)−2(S)−ヒドロキシプロピルアミノ]−2−メチルプロピル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)アセトアミド(実施例2)、
【0060】
【化11】

N−{2−[3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピルアミノ]−2−メチルプロピル}−4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)ブチルアミド(実施例3)および
【0061】
【化12】

N−(2−{[(2S)−3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}−2−メチルプロピル)−2−(2−オキソ(4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−6−イルオキシ))アセトアミド(実施例4)
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
使用方法
本発明は、カルシウムホメオスタシスを調節する方法であって、前記調節を必要とする動物に本発明の有効量の化合物を投与することを含む方法を更に提供する。
【0063】
本発明は、カルシウムホメオスタシスの不調節が関係する疾病、疾患または状態を治療する方法であって、前記治療を必要とする動物に本発明の有効量の化合物を投与することを含む方法を更に提供する。
【0064】
本発明は、心血管疾患、卒中、てんかん、眼疾患または偏頭痛を治療する方法であって、前記治療を必要とする動物に本発明の有効量の化合物を投与することを含む方法も提供する。
【0065】
本発明の方法に係る一実施形態において、心血管疾患は、心不全、高血圧症、SA/AV結節疾患、不整脈、肥厚性大動脈下狭窄またはアンギナである。本発明の方法に係るもう一つの実施形態において、心不全は慢性心不全または鬱血性心不全である。
【0066】
本発明は、アドレナリン性β受容体および/またはPDE−3を含むPDEを抑制する方法であって、前記治療を必要とする動物に本発明の有効量の化合物を投与することを含む方法を更に提供する。
【0067】
本発明の化合物は、当業者に知られているいかなる手段によっても投与してよい。例えば、本発明の化合物は、経口で、非経口で、吸入スプレーによって、局所で、直腸で、鼻内で、頬に、膣内でまたは移植レザバー(implanted reservoir)を経由して投与してもよい。本明細書で用いられる「非経口」という用語は、皮下注射および注入法、静脈内注射および注入法、筋肉内注射および注入法、腹腔内注射および注入法、髄腔内注射および注入法、心室内注射および注入法、胸骨内注射および注入法、頭蓋内注射および注入法または骨内注射および注入法を含む。厳密な投与プロトコルは、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事を含む種々の要素に応じて異なる。特定の投与手順の決定は当業者にとって日常の仕事であろう。
【0068】
本発明の化合物は、単一投薬、多数の個別の投薬または連続注入によって投与してもよい。ポンプ手段、特に経皮ポンプ手段は連続注入のために有用である。
【0069】
本発明の化合物のほぼ約0.001mg/kg/d〜約10,000mg/kg/dの投薬レベルは本発明方法のために有用であり、好ましいレベルは約0.1mg/kg/d〜約1,000mg/kg/d、より好ましいレベルは約1mg/kg/d〜約100mg/kg/dである。特定のいかなる患者のための特定の投薬レベルも、用いられる特定の化合物の活性および起きうる毒性、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事、投与の時間、排泄の速度、複合製剤(drug combination)、鬱血心不全の過酷性および投与の形態を含む種々の要素に応じて異なる。典型的には、試験管内投薬−効果の結果は、患者投与のために適切な投薬量に関する有用な指針を提供する。動物モデルの試験も有用である。適切な投薬レベルを決定するための考慮事項は技術上周知されており、医師の技量の範囲内である。
【0070】
ドラッグデリバリーのタイミングおよびシーケンスを調節するために当業者に周知されているいかなる投与規則も本発明方法の治療を行うために必要に応じて用いるとともに繰り返すことが可能である。この規則は、追加の治療薬による前処置および/または追加の治療薬と合わせた共投与を含んでもよい。
【0071】
本発明の化合物は、単独で、または同時使用、別々使用または逐次使用のための1種以上の追加の治療薬と組み合わせて投与することが可能である。追加の薬剤は、例として本発明の1種以上の化合物が挙げられるが、これに限定されないいかなる治療薬であることも可能である。本発明の化合物は、(i)単一製剤中で合わせて、または(ii)個々の製剤のそれぞれの活性剤の最適放出速度が設計された個々の製剤中で別個に、のいずれかで1種以上の治療薬と合わせて共投与することが可能である。
【0072】
薬剤組成物
本発明は、
(i)本発明の有効量の化合物
(ii)薬学的に許容できるキャリア
を含む薬剤組成物を更に提供する。
【0073】
本発明薬剤組成物は、例として1種以上の湿潤剤、緩衝剤、懸濁剤、潤滑剤、乳化剤、崩壊剤(disintegrant(s))、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、芳香剤、甘味剤および追加の治療薬が挙げられるが、これらに限定されない1種以上の追加の薬学的に許容できる成分を含んでもよい。
【0074】
本発明薬剤組成物は、(1)経口投与例えば、ドレンチ(例えば、水性または非水性の溶液または懸濁液)、タブレット(例えば、頬吸収、舌下吸収および全身吸収を狙いとしたタブレット)、ボーラス、パウダー、グラニュール、舌に塗るためのペースト、ハードゼラチンカプセル、ソフトゼラチンカプセル、マウススプレー、エマルジョンおよびミクロエマルジョン、(2)非経口投与例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射または硬膜注射、例えば、無菌液または無菌サスペンジョン、あるいは徐放性製剤として、(3)局所塗布、例えば、クリーム、軟膏剤または制御放出パッチまたは皮膚に被着されるスプレーとして、(4)膣内または直腸内、例えば、ペッサリー、クリームまたは発泡体として、(5)舌下、(6)眼、(7)経皮、あるいは(8)鼻
のために適応された形態を含む固体状または液状での投与のために処方してもよい。
【実施例】
【0075】
化合物の合成
以下の一般スキームIで示されたように、部分Xの被保護アリールヒドロキシル前駆体(Pは、例えば、アセチル、ベンジル、アルキルシリルまたは他の適切な保護基であってもよく、Q、R、SおよびTは特定の部分Xに達するように選択される)は脱保護してもよく、カルボキシアルコキシ酸(3)に転化してもよく、その後、それはアミド結合の形成のために標準カップリング条件を用いて置換N−(アミノアルキル)−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアミン(5)と反応させてもよい。置換N−(アミノアルキル)−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアミンは、次に、置換3−フェノキシ−1,2−エポキシプロパン(4)を一被保護アルキルジアミンと反応させ、その後、窒素被保護基を除去することにより合成してもよい。エポキシド(4)は市販されているか、または有機合成の当業者に周知された標準合成方法によって、例えば、フェノールをエピクロロヒドリンと反応させることにより容易に調製することが可能である。鏡像異性として純粋なエポキシド(4)は、例えば、Sharplessら、J.Org.Chem.1989,54,1295〜1304に記載された方法によって調製してもよい。アミンおよび酸素保護基の使用および除去は、T.W.Greeneによる有機合成における保護基(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS)、J.ウィリー・アンド・サンズ(J.Wiley and Sons)において詳しく記載されている。
【0076】
スキームI
【化13】

【0077】
あるいは、カルボキシアルコキシ化合物(3)は被保護アルキルジアミンと反応させ、後で脱保護して以下のスキームIIの中間化合物(6)を生成させることが可能である。標準条件下での中間化合物(6)とエポキシド(4)の反応は最終生成物をもたらす。
【0078】
スキームII
【化14】

【0079】
実施例1
N−(2−{[(2S)−3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}−2−メチルプロピル)−2−{4−[(5−メチル−2−オキソ(4−イミダゾリン−4−イル))カルボニル]フェノキシ}アセトアミド(実施例1)をスキームIIIにより合成する。
【0080】
スキームIII
【化15】

【0081】
4−メチル−5−{[4−(フェニルメトキシ)フェニル]カルボニル}−4−イミダゾリン−2−オン(7)
4−(フェニルメトキシ)安息香酸(56ミリモル)のカリウム塩を150mLのCHClに懸濁させ、氷浴内で冷却し、滴下された7.50g(60ミリモル)の塩化オキサリルで処理する。添加の完了後、混合物を30分にわたり環流させ、冷却し、濾過する。50mLのニトロベンゼン中の4−メチル−4−イミダゾリン−2−オン(56ミリモル、Duschinskyら、J.Am.Chem.Soc.1945,67,2079に記載された方法により調製されたもの)と無水塩化アンモニウム(112ミリモル)の攪拌された混合物に濾液を滴下する。得られた混合物を65℃で6時間にわたり攪拌し、その後氷上に注ぐ。生じた沈殿物を濾過によって集め、エーテルおよび水で洗浄し、エタノール/水から再結晶化させて、ベンジル被保護化合物(7)をもたらす。
【0082】
5−[(4−(ヒドロキシフェニル)カルボニル]−4−メチル−4−イミダゾリン−2−オン(8)
化合物7(15ミリモル)をエタノールに溶解させ、炭素上の触媒量10%のパラジウムで処理し、50psiで一晩水素添加した。触媒を濾過によって除去し、溶媒を真空で(in vacuo)除去して、化合物8を油としてもたらす。
【0083】
エチル2−{4−[(5−メチル−2−オキソ−4−イミダゾリン−4−イル)カルボニル]フェノキシ}アセテート(9)
60mLの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)中で鉱油中の60%NaH(20ミリモルNaH)の攪拌された混合物に不活性雰囲気下で化合物8(10ミリモル)を添加する。水素発生が終わった後、反応を30分にわたり攪拌し、0℃に冷却し、DMF(5mL)中のエチルブロモアセテート(12ミリモル)で処理する。反応混合物を0℃で30分にわたり攪拌し、放置して室温になるようにし、最後に1時間にわたり85℃に加熱する。冷却後、揮発分を真空で除去し、残留物を200mLの酢酸エチルに溶解させる。有機相を水で洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗製品を塩化メチレン中の2%メタノールで溶離するシリカゲルカラム上で精製して化合物9をもたらす。
【0084】
2−{4−[5−メチル−2−オキソ−4−イミダゾリン−4−イル)カルボニル]フェノキシ}酢酸(10)
水酸化カリウム(9ミリモル)を含む1:1エタノール:水30mL中の化合物9(3ミリモル)の溶液を攪拌しつつ不活性雰囲気下で2時間にわたり80℃に加熱する。冷却後、反応混合物を100mLの水で希釈し、2×150mLのエーテルで抽出する。水相を氷浴内で冷却し、6N・HClでpH2に処理する。真空濾過を介して生じた沈殿物を集め、水で洗浄し、80℃で真空下で乾燥させて、化合物10を白色固形物としてもたらす。
【0085】
(t−ブトキシ)−N−(2−{[3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}−2−メチルプロピル)カルボキサミド(11)
メタノール(25mL)中の2−(オキシラン−2−イルメトキシ)ベンゼンカルボニトリル(10ミリモル)とN−(2−アミノ−2−メチルプロピル)(t−ブトキシ)カルボキサミド(10ミリモル)の混合物を不活性雰囲気下で5時間にわたり環流させ、冷却し、真空で濃縮する。塩化メチレン中の2%メタノールで溶離するシリカゲルカラム上で残留物を精製して、Boc−被保護(Boc-protected)中間体11を白色固形物としてもたらす。
【0086】
2−{3−[(2−アミノ−t−ブチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロポキシ}ベンゼンカルボニトリル(12)
塩化メチレン(15mL)に化合物11(5ミリモル)を溶解させ、0℃に冷却し、15mLのトリフルオロ酢酸で処理することにより保護基を除去する。混合物を0℃で1時間、室温で2時間にわたり攪拌し、その後、真空下で濃縮する。残留物を50mLのアセトニトリルに溶解させ、無水炭酸カリウム(20ミリモル)で処理する。60℃で2時間にわたり攪拌した後、混合物を濾過し、濾液を濃縮し、塩化メチレン中の2%メタノールで溶離するシリカゲルカラム上で精製して、フリーアミン(free amine)12を油としてもたらす。
【0087】
N−(2−{[(2S)−3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}−2メチルプロピル)−2−{4−[(5−メチル−2−オキソ(4−イミダゾリン−4−イル))カルボニル]フェノキシ}アセトアミド(実施例1)
15mLのDMF中の化合物12(2.5ミリモル)、化合物11(2.3ミリモル)およびジエチルシアノホスホネート(2.5ミリモル)の混合物を0℃で冷却し、3mLのDMF中のトリエチルアミン(5ミリモル)で処理する。放置して室温にした後、混合物を一晩攪拌する。減圧下で濃縮した後、塩化メチレン中の2%メタノールで溶離するシリカゲルカラム上で残留物を精製して、実施例1の化合物を固形物としてもたらす。
【0088】
実施例2:
N−{2−[3−(2−シアノフェノキシ)−2(S)−ヒドロキシプロピルアミノ]−2−メチルプロピル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)アセトアミド(実施例2)をスキームIVにより合成する。
【0089】
スキームIV
【化16】

【0090】
(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)酢酸エチルエステル(14)を経由する(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)−酢酸(15)
2−プロパノール(50mL)中の6−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン(13)(500mg、3.10ミリモル)および1,8−ジアザビシクル[5.4.0]ウンデク−7−エン(935μL、6.25ミリモル)の攪拌された溶液にエチルブロモアセテート(688μL、6.20ミリモル)を室温で滴下した。混合物を85℃で18時間にわたり攪拌し、放置して周囲温度に冷却し、蒸発乾固させた。黒っぽい油状残留物(粗4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)酢酸エチルエステル(14)を水性塩酸(5N、25mL)に懸濁させ、85℃で2時間にわたり攪拌し、放置して周囲温度に冷却した。生成した沈殿物を吸引で濾過除去し、水(50mL)、n−ヘキサン(50mL)およびジエチルエーテル(50mL)でリンスし、真空下で乾燥させて、4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)−酢酸(15)を淡褐色粉末(204mg、収率30%、LC−MSおよびH NMRによる純度90%を上回る)として得た。
【0091】
N−{2−[3−(2−シアノフェノキシ)−2(S)−ヒドロキシプロピルアミノ]−2−メチルプロピル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)−アセトアミド(実施例2)
N,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)中の(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)酢酸(15)(78mg、0.357ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl、68mg、0.357ミリモル)および7−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt、48.5mg、0.357ミリモル)のN下で攪拌された溶液にN,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)およびトリエチルアミン(110μL、0.788ミリモル)中の2−[3−(2−アミノ−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−2(S)−ヒドロキシプロピル]ベンゾニトリル(12)(120mg、0.357ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で3時間にわたり攪拌し、その後、飽和ブライン(10mL)に注ぎ込み、2N水酸化ナトリウム水溶液で強アルカリ(pH約11〜12)にし、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。組み合わせ有機層をHO(20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(9:1)で溶離するシリカゲル(3g)上でのフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製した。R=0.14のフラクションを組み合わせ、減圧下で濃縮して、N−{2−[3−(2−シアノフェノキシ)−2(S)−ヒドロキシプロピルアミノ]−2−メチルプロピル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)アセトアミド(実施例2)をくすんだ白色の固形物(56mg、収率34%、LC−MSおよびH NMRによる純度97%)として得た。
【0092】
実施例3
N−{2−[3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピルアミノ]−2−メチルプロピル}−4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)−ブチルアミドを第1の工程においてエチル4−ブロモブチレートでエチルブロモアセテートを置き換えることによりスキームIVにより合成した。実施例3をくすんだ白色の固形物(53mg、LC−MSおよびH NMRによる純度97%)として得た。
【0093】
実施例4
N−(2−{[(2S)−3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}−2−メチルプロピル)−2−(2−オキソ−(4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−6−イルオキシ))アセトアミドをスキームVにより合成する。
【0094】
スキームV
【化17】

【0095】
2−オキソ−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−6−イルアセテート(16):
メタノール(80mL)中でグリシンエチルエステル塩酸塩(3.0g、24ミリモル)および無水酢酸ナトリウム(820mg、10ミリモル)から調製された溶液に3−ホルミル−4−ニトロフェニルアセテート(10ミリモル)を添加する。濁った(thick)混合物を15分にわたり攪拌した後、シアノボロ水素化ナトリウム(380mg、6ミリモル)を添加し、沈殿物の溶解をもたらす。1時間にわたり攪拌した後、溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチル(50mL)と飽和水性NaHCO(50mL)との間で分配する。層を分離し、水相を追加の酢酸エチルで抽出する。組み合わせ有機フラクションを飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空で濃縮する。粗残留物をシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、ベンジルアミン中間体をもたらし、それを20mLのエタノールに溶解させ、10%Pd−C上で60psiで一晩水素添加する。濾過によって触媒を除去した後、5mLのエタノール中の臭化シアノーゲン(cyanogen bromide)(760mg、7.1ミリモル)の溶液を濾液に添加する。一晩攪拌した後、混合物をトリエチルアミン(1.1mL、7.8ミリモル)で処理し、攪拌を再び一晩続ける。生成した沈殿物を濾過によって集め、水およびエタノール−エーテルで繰り返し洗浄し、乾燥させて化合物16をもたらす。
【0096】
6−ヒドロキシ−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン(17)
化合物16(5ミリモル)を10mLのメタノールに懸濁させ、2mLの2.5M・NaOH溶液で処理する。1時間にわたり攪拌した後、沈殿物を濾過によって集め、アセトンで洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物17を固形物としてもたらす。
【0097】
エチル2−(2−オキソ−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−6−イルオキシ)アセテート(18)
90mLの乾燥DMF中の鉱油中の60%NaH(30ミリモルNaH)の攪拌された混合物に化合物17(15ミリモル)を窒素雰囲気下で分割して添加する。水素発生が終わった後、反応を30分にわたり攪拌し、0℃に冷却し、DMF(8mL)中のエチルブロモアセテート(18ミリモル)で処理する。反応混合物を0℃で30分にわたり攪拌し、放置して室温になるようにし、最後に1時間にわたり85℃に加熱する。冷却後、揮発分を真空で除去し、残留物を300mLの酢酸エチルに溶解させる。有機相を水で洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗製品を塩化メチレン中の5%メタノールで溶離するシリカゲルカラム上で精製して化合物18をもたらす。
【0098】
2−(2−オキソ−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−6−イルオキシ)酢酸(19):
水酸化カリウム(23ミリモル)を含む1:1エタノール:水75mL中の化合物18(7.5ミリモル)の溶液を攪拌しつつ不活性雰囲気下で2時間にわたり80℃に加熱する。冷却後、反応混合物を230mLの水で希釈し、3×200mLのエーテルで抽出する。水相を氷浴内で冷却し、6N・HClでpH2に処理する。真空濾過を介して生じた沈殿物を集め、水で洗浄し、80℃で真空下で乾燥させて、化合物19を白色固形物としてもたらす。
【0099】
N−(2−{[3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}−2−メチルプロピル)−2−(2−オキソ(4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−6−イルオキシ))アセトアミド(実施例4):
30mLのDMF中の化合物12(5ミリモル)、化合物19(4.6ミリモル)およびジエチルシアノホスホネート(5ミリモル)の混合物を0℃に冷却し、7mLのDMF中のトリエチルアミン(10ミリモル)で処理する。放置して室温になった後、混合物を一晩攪拌する。減圧下で濃縮した後、塩化メチレン中の2%メタノールで溶離するシリカゲルカラム上で残留物を精製して実施例4の化合物を固形物としてもたらす。
【0100】
PDE−3抑制活性
実施例5:cAMP PDE−3抑制活性を測定するためのアッセイ
ヒト血小板サイクリックAMPホスホジエステラーゼをAlvarezら、Mol.Pharmacol.29:554(1986)の方法により調製する。PDEインキュベーション媒体は、合計体積1.0mLの中で10mM Tris−HCl(2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール塩酸塩)緩衝剤、pH7.7、10mMMgSOおよび1□M[H]AMP(0.2□Ci)を含有する。試験化合物をインキュベーション媒体への添加の直前にDMSOに溶解させ、得られた混合物を放置して酵素の添加の前に10分にわたり静置する。PDEの添加後に、内容物を混合し、30℃で10分にわたりインキュベートする。3つのアッセイを5試験化合物濃度の各々について行い、各濃度での測定(n=3)の平均をプロットし、IC50値を図で決定する。
【0101】
アドレナリン性β受容体結合活性
実施例6:β受容体親和性を測定するための放射リガンド
Kalariaら、J.Neurochem.53:1772−81(1998)およびMinnemanら、Mol.Pharmacol.16:34−46(1979)に記載されたように放射リガンドとして[125I](−)ヨードシアノピンドロール(2000Ci/ミリモル)を用いて、アドレナリン性β受容体結合をCHO−REX16セルにおいて表現されたヒト組換え型ベータ−1レセプタ中で測定する。
【0102】
実施例7:β受容体親和性を測定するための放射リガンド
上述したKalariaら(1998)およびMinnemanら(1979)に記載されたように放射リガンドとして[125I](−)ヨードシアノピンドロール(2000Ci/ミリモル)を用いて、アドレナリン性β受容体結合をCHO−WT21セルにおいて表現されたヒト組換え型ベータ−2レセプタ中で測定する。
【0103】
心臓組織におけるカルシウムホメオスタシスの回復
実施例8:モルモットの乳頭筋における収縮弛緩を測定するためのアッセイ
雌モルモット(400−500g)を頚部脱臼によって殺し、心臓を迅速に取り出し、氷コールドに漬け、113.1mM NaCl、4.6mM KCl、2.45mM CaCl、1.2mM MgCl、22.0mMNaHPOおよび10.0mMグルコースを含むpH7.4のクレブス液において95%O−5%COで酸性化する。心室を開き、乳頭筋を腱索により取り出し、周囲組織のベースは無傷である。筋の腱末端を絹糸で結さつし、筋を垂直に取り付け、10mLの酸性化クレブス液を含む二重ジャケット付き臓器浴を37℃にしておく。腱末端をGrassアイソメトリックフォーストランスジューサに取り付ける一方で、金属フックを筋のベースに挿入する。
【0104】
1グラムの張力下で45分の平衡期間後、1.0Hzの周波数、2.0ミリセカンドの持続時間でステンレススチールフィールド電極を用いて筋を刺激することにより、対照収縮を誘発する。組織の収縮を誘発するのに十分な限界振幅の約1.5倍であるように刺激の振幅を調節する。対照収縮弛緩サイクルを連続的に30秒にわたり記録する。その後、組織を刺激しつつ蓄積試験薬物濃度を浴に直接注入する。収縮弛緩記録を試験化合物濃度当たり30秒にわたり連続的に行う。一連のウォッシュアウト収縮を溶液の変更後に記録する。収縮の振幅が対照条件で測定された振幅に戻るかぎり、陽性対照の単一濃度を試験化合物と同じ方式で組織上で試験する。
【0105】
収縮振幅および収縮と弛緩の時間経過を定量化する。すべての記録を対照値に照らして正規化する。t−検定またはANOVAを用いて結果の統計的分析を行う。
【0106】
上で明示されたすべての刊行物、特許および特許出願は本明細書に引用して援用する。
【0107】
本発明をこのようにして記載したが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに本発明を多くのやり方で変えてもよいことは当業者に対して明らかであろう。こうした変形は特許請求される本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中、
nは0または1であり、
Arはアリール基またはヘテロアリール基であり、こうしたアリール基またはヘテロアリール基は、R、RおよびRから選択された1〜3個の置換基で任意に置換され、
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルケニルであり、
、RおよびRは独立してシアノ、ニトロ、ハロゲン、水素、トリフルオロメチル、アシルアミノアルキル、NR基、−NHSO、−NHCONHR、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖の1個以上の炭素はO、S、SOまたはNRで任意に置換され、および/またはカルボニル酸素またはヒドロキシルで任意に置換されており、
LはC〜C12アルキル、C〜C12アルケニルまたはC〜C12アルキニルであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはアルキルの1個以上の炭素はO、S、SOまたはNRで任意に置換され、および/またはカルボニル酸素またはヒドロキシルで任意に置換されており、
は水素、非共有電子対、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり、ここで、アルキル、アルケニルまたはアルキニルはフェニルまたは置換フェニルで任意に置換されており、
Xは式A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、PまたはQの部分であり、
【化2】

【化3】

Xは、いずれか1個のR基を通してLに結合され、
各R基は独立して直接結合、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、NR、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、COOR、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニルまたはC〜C12アルキニルであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルの1個以上の炭素はO、S、SOまたはNRで任意に置換され、および/またはカルボニル酸素またはヒドロキシルで任意に置換されているが、
但し、
(a)Arが非置換フェニルまたは置換フェニルであり、nが1であり、Rが水素であり、Xが部分Oである時、部分Oが5−フェニル−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボニトリルではない、
(b)Arが非置換フェニルまたは置換フェニルであり、nが1であり、Rが水素またはメチルである時、Xが部分Jではない、および
(c)Arが置換フェニルであり、nが0であり、RがC〜Cアルキルである時、Xが部分Aではないことを条件とする)
の化合物あるいは薬学的に許容できる等価物、異性体または異性体の混合物。
【請求項2】
Arは、フェニル、ナフチル、ピリジル、イソキサゾリル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、ArまたはAr
【化4】

(式中、(α)はArが結合してもよい位置を示す)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arは置換フェニルであり、nは1であり、Rは水素であり、Xは部分A、BまたはEである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XはAである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
XはBである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
XはEである、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
N−(2−{[(2S)−3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}−2メチルプロピル)−2−{4−[(5−メチル−2−オキソ(4−イミダゾリン−4−イル))カルボニル]フェノキシ}アセトアミド、
N−{2−[3−(2−シアノフェノキシ)−2(S)−ヒドロキシプロピルアミノ]−2−メチルプロピル}−2−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)アセトアミド、
N−{2−[3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピルアミノ]−2−メチルプロピル}−4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)−ブチルアミドおよび
N−(2−{[(2S)−3−(2−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}−2−メチルプロピル)−2−(2−オキソ(4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−6−イルオキシ))アセトアミド
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
(i)請求項1〜7のいずれか1項に記載の有効量の化合物および
(ii)薬学的に許容できるキャリア
を含む薬剤組成物。
【請求項9】
前記薬学的に許容できるキャリアは、湿潤剤、緩衝剤、懸濁剤、潤滑剤、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、芳香剤、甘味剤および請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物以外の治療薬から選択される、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
前記薬学的に許容できるキャリアは、充填剤、希釈剤、添加剤および溶媒カプセル化材料から選択される、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
前記薬学的に許容できるキャリアは活性である、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
前記薬学的に許容できるキャリアは、(1)糖、(2)澱粉、(3)セルロースおよびセルロース誘導体(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)添加剤、(9)油、(10)グリコール、(11)ポリオール、(12)エステル、(13)寒天、(14)緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質なしの水、(17)等張食塩水、(18)リンガー液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液ならびに(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリ酸無水物から選択される、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
前記薬学的に許容できるキャリアは、ラクトース、グルコース、スクロース、コーンスターチ、ポテトスターチ、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、カカオ脂、座薬ワックス、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油、大豆油、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マニトール、ポリエチレングリコール、エチルオレエート、エチルラウレート、水酸化マグネシウム溶液および水酸化アルミニウム溶液から選択される、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
前記薬学的に許容できるキャリアは液体である、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項15】
前記薬学的に許容できるキャリアは固体である、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項16】
前記薬剤組成物は固体および液体から選択された形態を有する、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項17】
前記薬剤組成物は、ドレンチ、タブレット、ボーラス、パウダー、グラニュール、舌に塗るためのペースト、ハードゼラチンカプセル、ソフトゼラチンカプセル、マウススプレー、エマルジョン、ミクロエマルジョン、無菌液、無菌サスペンジョン、徐放性製剤、クリーム、軟膏剤、制御放出パッチ、制御放出局所スプレー、ペッサリーおよび発泡体から選択された形態を有する、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項18】
前記薬剤組成物は、水溶液、非水溶液、水性サスペンジョン、非水性サスペンジョン、頬吸着のためのタブレット、舌下吸着のためのタブレットおよび全身吸収のためのタブレットから選択された形態を有する、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項19】
カルシウムホメオスタシスを調節することを必要とする哺乳類においてカルシウムホメオスタシスを調節する方法であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有効量の化合物を前記哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項20】
心血管疾患、卒中および/またはてんかんの治療を必要とする哺乳類において心血管疾患、卒中および/またはてんかんを治療する方法であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有効量の化合物を前記哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項21】
前記心血管疾患は、心不全、高血圧症、SA/AV結節疾患、不整脈、肥厚性大動脈下狭窄およびアンギナから選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記心不全は慢性心不全または鬱血性心不全である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
アドレナリン性β受容体の抑制および/またはホスホジエステラーゼPDEの抑制を必要とする哺乳類のアドレナリン性β受容体を抑制する、および/またはホスホジエステラーゼPDEを抑制する方法であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有効量の化合物を前記哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項24】
アドレナリン性β受容体とPDEの両方を抑制する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
PDEはPDE3である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
投与は、経口投与、非経口投与、吸入スプレー、局所投与、直腸投与、鼻投与、頬投与、膣投与、または移植レザバーによる、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
投与は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、髄腔内注射、心室内注射、胸骨内注射、頭蓋内注射または骨内注射による、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
投与は注入法による、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
同時使用、別々使用または逐次使用のための1種以上の追加の作用薬を投与することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記1種以上の追加の作用薬は治療薬から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記1種以上の追加の作用薬は、(i)請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物を有する単一製剤中で合わせて、または(ii)個々の製剤中で別個に投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記哺乳類はヒトである、請求項19〜31のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2006−513222(P2006−513222A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563978(P2004−563978)
【出願日】平成15年12月23日(2003.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/041031
【国際公開番号】WO2004/058726
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(505127684)アルテシアン セラピューティック,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】