説明

アンテナ及びこれを用いた通信システム及び電子機器

【課題】車や室のドアの不要な解錠等の誤動作を防止することができる。
【解決手段】車体に設けられている各ドア71〜73は、車内側のインナパネル74と車外側のアウタパネル75とを周辺部にて結合させた構造であり、上縁開口部にはドアガラス76が昇降自在に支持されている。インナパネル74としては、剛性の高い金属パネルが用いられ、アウタパネル75としては電波を通過する樹脂パネルが用いられている。したがって、車外側から到来する電波は、樹脂製のアウタパネル75を通過してドア内部に到達することが可能である。また、アンテナ1は、反射板4をインナパネル74側にし、かつ、反射板4により隠蔽されることなく露呈している磁性体2とコイル3とを有するアンテナ本体10をアウタパネル75側にして、各ドア71〜73内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ及びこれを用いたキーレスエントリーシステム等の通信システム及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車においては、ドアの施錠と開錠を無線で行うキーレスエントリーシステムが普及している。運転者が所持する携帯器である鍵と、車両側に配置された車載器の間で通信を行い、ボタン操作をしなくても車両に近づくだけでドアの施錠又は開錠を行うことができる。このようなキーレスエントリーシステムでは、伝送距離において有利な長波帯を使用することが多い。しかし車両のドアに設けられた車載器のアンテナは、車外だけでなく車内へも電波を放射することになり、この不要輻射が車内の電子機器へ悪影響を及ぼすことが問題となる。
【0003】
そこで、下記特許文献1記載の技術においては、他の無線装置への妨害を防ぐためにメッシュ状のシールドカバー部材でアンテナ全体を包み込むことで、アンテナから発生させる電界が外部に漏れないようにして、前記問題を解決しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−19439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電界をシールドするために導電性が高い材質でアンテナをカバーすることは、たとえメッシュ状となっていても磁界に対しても影響を与えることになり、伝送距離が短くなってしまう問題があった。また、ドアに対して外側のみで機能させたい場合に、内と外とで感度差が無いため、内側にいた場合でも動作する可能性があった。例えば家の玄関に適用した場合、来訪者が来たときに携帯器である鍵を持って玄関のドアに近づいた場合にも開錠されてしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、アンテナの一方側と他方側とで感度差を持たせることにより、従来におけるアンテナ及びこれを用いたキーレスエントリーシステム等の通信システムや電子機器の欠点を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るアンテナにあっては、電波を送信又は/及び受信するアンテナ本体と、このアンテナ本体の一面を覆う導電体からなる反射板と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る通信システムにあっては、車体に配置された車載器とユーザが携帯する携帯器との間で通信し、前記車体に設けられた装置を車外から遠隔制御する通信システムであって、前記アンテナを前記携帯器との通信手段として設け、前記アンテナ本体が前記車外側に位置し、前記反射板が車内側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に他の構成に係る通信システムにあっては、建造物に配置された配置器とユーザが携帯する携帯器との間で通信し、前記建造物に設けられた装置を室外から遠隔制御する通信システムであって、前記配置器に前記アンテナを前記携帯器との通信手段として設け、前記アンテナ本体が前記室外側に位置し、前記反射板が室内側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に他の構成に係る通信システムにあっては、ユーザの身体に装着する第1の機器とユーザが携帯する第2の機器との間で通信し、前記第1の機器を外部から遠隔制御する通信システムであって、前記第1の機器に前記請求項1から3にいずれか記載のアンテナを前記第2の機器との通信手段として設け、前記アンテナ本体が前記外部側に位置し、前記反射板がユーザの身体側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る電子機器にあっては、外部との通信機能を有するとともに、前記通信機能に影響を及ぼすノイズ発生源を具備する電子機器であって、前記アンテナを前記外部との通信手段として設け、前記アンテナ本体が前記外部側に位置し、前記反射板が前記ノイズ発生源側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自動車や建造物のドアの内部側との通信感度を低下させて外部側からの通信感度を増加させることができ、車や室のドアの不要な解錠等の誤動作を防止することができる。
【0013】
本発明によれば、アンテナの一方側と他方側とで感度差を持たせることができる。
【0014】
また、本発明にかかる他の通信システムによれば、第1の機器を身体に装着した状態と、これを身体から取り外した状態とで、電波の受信特性があまり変わることがない。このため、安定した通信が可能な相互の距離間隔を長く取ることができるばかりでなく、消費電力を少なくしつつ相互の通信を行うことができる。
【0015】
また、本発明にかかる電子機器によれば、ノイズ発生源からノイズが発生した際も、磁気シールド効果のある反射板の磁気シールド作用により、発生中のノイズがアンテナ本体に侵入するのを確実に防止することができる。これにより、CPU等のノイズ発生源の存在による影響を回避して、電子機器の外部との通信性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の各実施の形態に共通するアンテナの透視斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における車載器の取付部位を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における車載器と携帯器の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す断面図である。
【図5】(a)はYZ面における反射板が無いときの磁界分布を示し、(b)はYZ面における反射板が有るときの磁界分布を示す。
【図6】(a)はZX面における反射板が無いときの磁界分布を示し、(b)はZX面における反射板4が有るときの磁界分布を示す。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示す一部断面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるアンテナ1の構成を示す斜視透視図である。このアンテナ1は、バーアンテナであって、フェライト等からなる磁性体2を有している。この磁性体2は、一方の相対向する面の幅が、他方の相対向する面の幅よりも広い四角柱状であり、中央部にはコイル3が巻装されている。したがって、このアンテナ1は、磁性体2にコイル3が巻装されたアンテナ本体10を有し、このアンテナ本体10により電波の受信や送信を行うコイルを巻いた構造のバーアンテナである。
【0019】
キーレスエントリーシステムでは、長波帯の周波数として125kHzが多く使用される。コイル3は同調コンデンサ(図示せず)と接続され、通信で使用する周波数で共振状態となるように、コンデンサの容量が決められる。共振周波数(f0)とアンテナ1のインダクタンス(L)、同調容量(C)との関係は以下の式で表される。
f0=1/(2π√(LC))
【0020】
アンテナ1の磁性体2が幅広である一方の面側(以下、裏面11側という)には、長尺状の反射板4が微小な間隔をおいて平行に配設されている。反射板4は、本実施の形態においては銅板であって、長尺方向及び短尺方向において磁性体2よりもやや大きく、長尺方向に沿った両辺側には、磁性体2の側面の厚さにほぼ等しい高さで、フランジ41、41が屈曲成形されている。したがって、本実施の形態においては、アンテナ本体10の裏面11と両側面12、12とが反射板4により覆われて、外部に対して隠蔽されている。
【0021】
図2は、自動車7に適用したキーレスエントリーシステムの外観構成を示す図である。このキーレスエントリーシステムは、1台の携帯器5と、3台の車載器6とで構成されている。携帯器5は、ロックスイッチ/アンロックスイッチ52を有し、この自動車の運転者により携帯される。車載器6は、左右フロント71、72の内部、及びバックドア73の内部に配置されている。
【0022】
図3は、前記携帯器5と車載器6の電気的構成を示すブロック図である。携帯器5は、CPU及びその周辺回路で構成された制御装置51を備えている。制御装置51には、ロックスイッチ/アンロックスイッチ52、メモリー53、受信器54、及び送信器55が接続され、受信器54には受信アンテナ56が、送信器55には送信アンテナ57がそれぞれ接続されている。
【0023】
車載器6は、CPU及びその周辺回路で構成された制御装置61を備えている。制御装置61には、ドアロックアクチュエータ62、メモリー63、送信器64、及び受信器65が接続され、送信器64には送信アンテナ66が、受信器65には受信アンテナ67がそれぞれ接続されている。車載器6における送信アンテナ66と受信アンテナ67とは、単一のアンテナで構成され、前述の図1に示したアンテナ1が用いられている。また、携帯器5及び車載器6の各メモリー53、63には、各々対応する制御装置51、61の動作を制御するプログラムやIDが格納されている。
【0024】
図4は、前記各ドア71〜73内におけるアンテナ1の配置構成を示す断面図である。各ドア71〜73は、車内側のインナパネル74と車外側のアウタパネル75とを周辺部にて結合させた構造であり、上縁開口部にはドアガラス76が昇降自在に支持されている。インナパネル74としては、剛性の高い金属パネルが用いられ、アウタパネル75としては電波を通過する樹脂パネルが用いられ、適宜の色の塗装が施されている。
したがって、車外側から到来する電波は、樹脂製のアウタパネル75を通過してドア内部に到達することが可能である。しかし、車内側から到来する電波は、金属製のインナパネル74により遮られドア内部に到達することが困難である。
【0025】
また、アンテナ1は、前記反射板4をインナパネル74側にし、かつ、反射板4により隠蔽されることなく露呈している磁性体2とコイル3とを有するアンテナ本体10側をアウタパネル75側にして、各ドア71〜73内に配置されている。
【0026】
図5及び図6は、本実施の形態の効果を検証するために、電磁界シミュレーションによる解析を行った結果を示す図である。この検証に際しては、図1に示したアンテナ1において、磁性体2の形状を40mm×12mm×3mmとし、反射板4の形状は48mm×15.8mmで、フランジ41(折り返し部)の高さを3mmとした。またコイル3と反射板4との距離(間隔)は1.5mmとした。
【0027】
図5において、(a)はYZ面における反射板4が無いときの磁界分布を示し、(b)はYZ面における反射板4が有るときの磁界分布を示す。また、図6において、(a)はZX面における反射板4が無いときの磁界分布を示し、(b)はZX面における反射板4が有るときの磁界分布を示す。
【0028】
これら図5(b)及び図6(b)から、反射板4に対して、+Z方向において磁界強度が高くなっており、かつ−Z方向において磁界強度が低くなっていることが分かる。それに対し、図5(a)及び図6(a)から、反射板4のない従来構造においては、Z方向において、磁界強度分布は対称的な特性となっていることが分かる。以上のシミュレーション結果により、反射板4付きのアンテナ1を反射板がドアの内側(インナパネル74側)に面するように配置することで、アンテナ1からの放射指向性をドアの外側方向に高めることが可能となる。
【0029】
そして、携帯器5を所持している運転者等が車外にてロックスイッチ/アンロックスイッチ52を操作すると、制御装置51はメモリー53に保存されているIDを暗号化して車載器6に送信する。車載器6は、受信したデータを復号し、メモリー63に保存されているIDと一致した場合、ドアロックアクチュエータ62を作動させてアンロックする。
【0030】
スマートキーレスエントリーシステムの場合においては、ロックスイッチとアンロックスイッチは不要で、車の近くにおいて車載器6から定期的に送信されているデータを携帯器5で受信できた場合に、ID情報を車載器6に送信し、メモリー63に保存されたIDと一致した場合、ドアロックアクチュエータ62を作動させてアンロックする。更にエンジン制御装置と無線でID認証させることで、キーを取り出すことなくエンジン始動させることができる。
【0031】
このとき、図5及び図6をもって説明したように、アンテナ1は反射板4に対して、+Z方向において磁界強度が高くなっており、かつ−Z方向において磁界強度が低くなっている。このため、アンテナ1からの放射指向性をドアの外側方向に高めることが可能となる。その反面、ドア71〜73の内と外とで感度差があり、−Z方向において磁界強度が低くなっていることから、スマートキーレスエントリーシステムの場合であっても、携帯器5を所持した運転者が車内にいる場合における誤作動を防止することができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態を示す断面図であり、前記自動車の各ドア71〜73内におけるアンテナ1の他の配置構成を示す断面図である。各ドア71〜73は、図4に示した構造と同様に、車内側のインナパネル74と車外側のアウタパネル75とを周辺部にて結合させた構造であり、上縁開口部にはドアガラス76が昇降自在に支持されている。但し、アウタパネル75もインナパネル74と同様に、剛性の高い金属パネルが用いられている。そして、アウタパネル75のアンテナ1と対向する部分に開口部が設けられ、この開口部は電波を透過する透過性部材77で閉鎖されている。
【0033】
つまり、アウタパネル75のアンテナ1と対向する部分のみが電波を透過する特性を有している。したがって、この変形例によれば、金属製のアウタパネル75を用いることにより車体剛性を確保しつつ、アンテナ1に車外からの電波を確実に受信させることができる。
【0034】
(第3の実施の形態)
図8は、本発明の第3の実施の形態を示す断面図であり、本発明を家屋のドアに適用したものである。この家屋のドア101は、天井102の下部に設けられた出入口を開閉するものであって、室内側のインナパネル103と室外側のアウタパネル104とを周辺部にて結合させて構成されている。インナパネル103としては、剛性の高い金属パネルが用いられ、アウタパネル104としては電波を通過する樹脂パネルが用いられ、適宜の装飾が施されている。したがって、室外側から到来する電波は、樹脂製のアウタパネル104を通過してドア101の内部に到達することが可能である。
【0035】
また、ドア101には、前述した実施の形態と同様のアンテナ1が配置されている。アンテナ1は、反射板4をインナパネル103側にし、かつ、反射板4により隠蔽されることなく露呈している磁性体2とコイル3とをアウタパネル104側にして、ドア101内に配置されている。また、アンテナ1は、前述の図3に示した車載器6と同様の構成であってドア101内に配置されたドア側器に内に組み込まれている。そして、ユーザが外出する際には、前記携帯器5を携帯する。
【0036】
帰宅時に、携帯器5を所持しているユーザが室外にてロックスイッチ/アンロックスイッチ52を操作すると、制御装置51はメモリー53に保存されているIDを暗号化してドア側器(車載器6)に送信する。ドア側器(車載器6)は、受信したデータを復号し、メモリー63に保存されているIDと一致した場合、ドアロックアクチュエータ62を作動させてアンロックする。
【0037】
スマートキーレスエントリーシステムの場合においては、ロックスイッチとアンロックスイッチは不要で、当該家屋の近くにおいてドア側器(車載器6)から定期的に送信されているデータを携帯器5で受信できた場合に、ID情報をドア側器(車載器6)に送信し、メモリー63に保存されたIDと一致した場合、ドアロックアクチュエータ62を作動させてアンロックする。
【0038】
このとき、図5及び図6をもって説明したように、アンテナ1は反射板4に対して、+Z方向において磁界強度が高くなっており、かつ−Z方向において磁界強度が低くなっている。このため、アンテナ1からの放射指向性をドアの外側方向に高めることが可能となる。
【0039】
その反面、ドア71〜73の内と外とで感度差があり、−Z方向において磁界強度が低くなっている。したがって、例えばユーザが室内におり、来訪者が来たときにユーザが携帯器5を持って玄関のドア101に近づいた場合にも開錠されてしまうことを防止することができる。
【0040】
(第4の実施の形態)
図9は、本発明の第4の実施の形態を示す一部断面図であり、本発明を腕時計と携帯電話の通信システムに適用したものである。すなわち、本実施の形態は、相互に通信可能な腕時計201と携帯電話301とで構成されている。腕時計201は、時計ケース202と、この時計ケース202の裏側を閉鎖する裏蓋203、時計ケース202の表側を閉鎖する時計ガラス204、及び時計ケース202内に配置された文字板205を有している。時計ケース202と裏蓋203とは金属等の電波を通過しない素材で形成されているが、時計ガラス204及び文字板205は、電波を通過する素材で成形されている。
【0041】
また、時計ケース202内であって文字板205の裏面側には、携帯電話203と通信を行うための前述した実施の形態と同様のアンテナ1が配置されている。アンテナ1は、反射板4を裏蓋203側にし、かつ、反射板4により隠蔽されることなく露呈しているアンテナ本体10の磁性体2とコイル3とを文字板205側にして、腕時計201内に配置されている。
【0042】
かかる腕時計201は、図示のように裏蓋203側を人体に接触させて、人体の手首Aに装着されて携帯され、また、携帯電話203は当該ユーザのポケット等に収納されて携帯される。そして、携帯電話203への着信を腕時計201にて報知する着信報知等に際しては、携帯電話203と腕時計201との間で通信を行う。このとき、腕時計201において電波は、裏蓋203を通過することはできず、時計ガラス204及び文字板205側を通過して、アンテナ1に到来する。
【0043】
また、図5及び図6をもって説明したように、アンテナ1は反射板4に対して、+Z方向において磁界強度が高くなっており、かつ−Z方向において磁界強度が低くなっている。このため、アンテナ1からの放射指向性が時計ガラス204の外側方向に高められることとなる。したがって、腕時計201を手首Aに装着した状態と、腕時計201を手首Aから取り外した状態とで、電波の受信特性があまり変わることがない。このため、安定した通信が可能な相互の距離間隔を長く取ることができるばかりでなく、消費電力を少なくしつつ相互の通信を行うことができる。
【0044】
(第5の実施の形態)
図10は、本発明の第4の実施の形態を示す一部断面図であり、本発明をデジタルカメラに適用したものである。すなわち、本実施の形態にかかるデジタルカメラ401は、カメラケース402と、このカメラケース402の裏側を閉鎖する裏蓋403、カメラケース402の表側を閉鎖する表蓋404を有している。カメラケース402と裏蓋403とは金属等の電波を通過しない素材で形成されているが、表蓋404は、電波を通過する素材で成形されている。
【0045】
また、カメラケース402内には、外部の機器と通信を行うための前述した実施の形態と同様のアンテナ1が配置されている。アンテナ1は、反射板4を裏蓋403側にし、かつ、反射板4により隠蔽されることなく露呈しているアンテナ本体10の磁性体2とコイル3とを表蓋404側にして、デジタルカメラ401内に配置されている。
【0046】
さらに、カメラケース402内には、CPU等の当該デジタルカメラ401に必要な回路ではあるが、アンテナ1のコイル3に侵入するノイズを発生し得るノイズ発生源405が配置されている。そして、アンテナ1は、反射板4をノイズ発生源405側にし、かつ、反射板4により隠蔽されることなく露呈しているアンテナ本体10の磁性体2とコイル3とを表蓋404側にして、デジタルカメラ401内に配置されている。
【0047】
かかる実施の形態においては、デジタルカメラ401において電波は、裏蓋403を通過することはできず、表蓋404側を通過して、アンテナ1に到来する。また、図5及び図6をもって説明したように、アンテナ1は反射板4に対して、+Z方向において磁界強度が高くなっており、かつ−Z方向において磁界強度が低くなっている。このため、アンテナ1からの放射指向性が表蓋404の外側方向に高められることとなる。したがって、ノイズ発生源405からノイズが発生した際も、磁気シールド効果のある反射板4の磁気シールド作用により、発生中のノイズがコイル3側に侵入するのを確実に防止することができる。これにより、CPU等のノイズ発生源405の存在による影響を回避して、デジタルカメラ401の外部との通信性能を向上させることができる。
【0048】
しかして、実施の形態により開示される請求項1記載の発明によれば、電波を送信又は/及び受信するアンテナ本体と、このアンテナ本体の一面を覆う導電体からなる反射板とを備えることを特徴とするアンテナを提供するので、アンテナの一方側と他方側とで感度差を持たせることができる。
【0049】
実施の形態により開示される請求項2記載の発明によれば、前記反射板は、前記アンテナ本体の一面とこれに連設された両側とを覆う形状であることをことを特徴とする請求項1記載のアンテナを提供するので、アンテナ本体の前記一面に対向する他面側のみの通信感度を上げることができる。
【0050】
実施の形態により開示される請求項3記載の発明によれば、前記反射板とアンテナ本体とは非接触状態で配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナを提供するので、反射板が感度の上昇原因となることがなく、確実にアンテナの反射板側の感度を低下させて、アンテナの一方側と他方側とで十分な感度差を持たせることができる。
【0051】
実施の形態により開示される請求項4記載の発明によれば、車体に配置された車載器とユーザが携帯する携帯器との間で通信し、前記車体に設けられた装置を車外から遠隔制御する通信システムであって、前記車載器に前記請求項1から3にいずれか記載のアンテナを前記携帯器との通信手段として設け、前記アンテナ本体が前記車外側に位置し、前記反射板が車内側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする通信システムを提供するので、アンテナ全体の感度を低下させることなく、車内の電子機器へ悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【0052】
実施の形態により開示される請求項5記載の発明によれば、前記アンテナは、車外側が樹脂パネルで成形され車内側が金属パネルで成形されたドア内に配置されていることを特徴とする請求項4記載の通信システムを提供するので、ドアを構成する樹脂パネルと金属パネルとによっても、アンテナの一方側と他方側とで感度差を持たせることができる。
【0053】
実施の形態により開示される請求項6記載の発明によれば、前記アンテナは、車外側及び車内側が共に金属製のパネルで成形されたドア内に配置され、前記車外側パネルの一部であって、前記アンテナに対向する部位が非導電部材で形成されていることを特徴とする請求項7記載の通信システムを提供するので、金属製のアウタパネルを用いることにより車体剛性を確保しつつ、アンテナに車外からの電波を確実に受信させることができる。
【0054】
実施の形態により開示される請求項8記載の発明によれば、前記アンテナは、室外側が樹脂パネルで成形され室内側が金属パネルで成形されたドア内に配置されていることを特徴とする請求項7記載の通信システムを提供するので、ドアを構成する樹脂パネルと金属パネルとによっても、アンテナの一方側と他方側とで感度差を持たせることができる。
【0055】
実施の形態により開示される請求項9記載の発明によれば、ユーザの身体に装着する第1の機器とユーザが携帯する第2の機器との間で通信し、前記第1の機器を外部から遠隔制御する通信システムであって、前記第1の機器に前記請求項1から3にいずれか記載のアンテナを前記第2の機器との通信手段として設け、前記アンテナ本体が前記外部側に位置し、前記反射板がユーザの身体側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする通信システムを提供するので、第1の機器を身体に装着した状態と、身体から取り外した状態とで、電波の受信特性があまり変わることがない。このため、安定した通信が可能な相互の距離間隔を長く取ることができるばかりでなく、消費電力を少なくしつつ相互の通信を行うことができる。
【0056】
実施の形態により開示される請求項10記載の発明によれば、前記第1の機器は腕時計であって、前記アンテナは、前記室外側に非導電体からなる時計ガラスを有するとともに、前記身体側に腕と接触する導電体からなる裏蓋を有する時計ケース内に配置されていることを特徴とする請求項9記載の通信システムを提供するので、腕時計を手首に装着した状態と、手首から取り外した状態とで、電波の受信特性があまり変わることがない。このため、腕時計との安定した通信が可能な相互の距離間隔を長く取ることができるばかりでなく、消費電力を少なくしつつ相互の通信を行うことができる。
【0057】
実施の形態により開示される請求項11記載の発明によれば、外部との通信機能を有するとともに、前記通信機能に影響を及ぼすノイズ発生源を具備する電子機器であって、前記請求項1から3にいずれか記載のアンテナを前記外部との通信手段として設け、前記アンテナ本体が前記外部側に位置し、前記反射板が前記ノイズ発生源側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする電子機器を提供するので、。
【0058】
実施の形態により開示される請求項12記載の発明によれば、一面側に非導電体からなる表蓋を有するとともに、前記一面に対向する他面側に導電体からなる裏蓋を有するケースを備え、前記アンテナは、前記アンテナ本体が前記表蓋側に位置し、前記反射板が前記裏蓋側に位置するように、前記ケース内に配置されていることを特徴とする請求項10記載の電子機器を提供するので、ノイズ発生源からノイズが発生した際も、磁気シールド効果のある反射板の磁気シールド作用により、発生中のノイズがコイル側に侵入するのを確実に防止することができる。これにより、CPU等のノイズ発生源の存在による影響を回避して、電子機器の外部との通信性能を向上させることができる。
【0059】
なお、以上の実施の形態においては、本発明を適用する電子機器として、腕時計201、デジタルカメラ401を例として示したが、本発明を適用し得る電子機器としてはこれらに限るものではない。
【0060】
また、実施の形態においては、反射板4として銅板を用いた構成を示したが、反射板4としては銅板に限らず導電性を有するものであれば他の板材であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 アンテナ
2 磁性体
3 コイル
4 反射板
4 磁性体
5 携帯器
6 車載器
7 自動車
10 アンテナ本体
11 裏面
41 フランジ
51 制御装置
52 ロックスイッチ/アンロックスイッチ
53 メモリー
54 受信器
55 送信器
56 受信アンテナ
57 送信アンテナ
61 制御装置
62 ドアロックアクチュエータ
63 メモリー
64 送信器
65 受信器
66 送信アンテナ
67 受信アンテナ
74 インナパネル
75 アウタパネル
76 ドアガラス
77 透過性部材
101 ドア
102 天井
103 インナパネル
104 アウタパネル
201 腕時計
202 時計ケース
203 携帯電話
203 裏蓋
204 時計ガラス
301 携帯電話
401 デジタルカメラ
402 カメラケース
403 裏蓋
404 表蓋
405 ノイズ発生源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を送信又は/及び受信するアンテナ本体と、
このアンテナ本体の一面を覆う導電体からなる反射板と、
を備えることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記反射板は、前記アンテナ本体の一面とこれに連設された両側とを覆う形状であることを特徴とする請求項1記載のアンテナ。
【請求項3】
前記反射板とアンテナ本体とは非接触状態で配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ。
【請求項4】
車体に配置された車載器とユーザが携帯する携帯器との間で通信し、前記車体に設けられた装置を車外から遠隔制御する通信システムであって、
前記車載器に前記請求項1から3にいずれか記載のアンテナを前記携帯器との通信手段として設け、
前記アンテナ本体が前記車外側に位置し、前記反射板が車内側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
前記アンテナは、車外側が樹脂パネルで成形され車内側が金属パネルで成形されたドア内に配置されていることを特徴とする請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
前記アンテナは、車外側及び車内側が共に金属製のパネルで成形されたドア内に配置され、
前記車外側パネルの一部であって、前記アンテナに対向する部位が非導電部材で形成されていることを特徴とする請求項4記載の通信システム。
【請求項7】
建造物に配置された配置器とユーザが携帯する携帯器との間で通信し、前記建造物に設けられた装置を室外から遠隔制御する通信システムであって、
前記配置器に前記請求項1から3にいずれか記載のアンテナを前記携帯器との通信手段として設け、
前記アンテナ本体が前記室外側に位置し、前記反射板が室内側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする通信システム。
【請求項8】
前記アンテナは、室外側が樹脂パネルで成形され室内側が金属パネルで成形されたドア内に配置されていることを特徴とする請求項7記載の通信システム。
【請求項9】
ユーザの身体に装着する第1の機器とユーザが携帯する第2の機器との間で通信し、前記第1の機器を外部から遠隔制御する通信システムであって、
前記第1の機器に前記請求項1から3にいずれか記載のアンテナを前記第2の機器との通信手段として設け、
前記アンテナ本体が前記外部側に位置し、前記反射板がユーザの身体側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする通信システム。
【請求項10】
前記第1の機器は腕時計であって、
前記アンテナは、前記室外側に非導電体からなる時計ガラスを有するとともに、前記身体側に腕と接触する導電体からなる裏蓋を有する時計ケース内に配置されていることを特徴とする請求項9記載の通信システム。
【請求項11】
外部との通信機能を有するとともに、前記通信機能に影響を及ぼすノイズ発生源を具備する電子機器であって、
前記請求項1から3にいずれか記載のアンテナを前記外部との通信手段として設け、
前記アンテナ本体が前記外部側に位置し、前記反射板が前記ノイズ発生源側に位置するように、前記アンテナを配置したことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
一面側に非導電体からなる表蓋を有するとともに、前記一面に対向する他面側に導電体からなる裏蓋を有するケースを備え、
前記アンテナは、前記アンテナ本体が前記表蓋側に位置し、前記反射板が前記裏蓋側に位置するように、前記ケース内に配置されていることを特徴とする請求項10記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−191471(P2012−191471A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53834(P2011−53834)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】