説明

インサート成形体の製造方法とインサート成形体の製造装置

【課題】原料の充填を均一に行うことが可能であり、インサート材を変形させることなく、一回の圧縮成形で原料が均一に分布したインサート成形体を容易に製造することができる方法と、その方法に用いられて好適なインサート成形体の製造装置を提供すること。
【解決手段】厚みに対して平板幅が大きく長尺な平板面を持つ平板形状のインサート材6を、キャビティ28内に、平板面が鉛直方向に平行となり、当該インサート材6の長手方向に沿って貫通するように配置する。キャビティ28の原料入口30から平板面に平行な方向に向けて原料を充填する。キャビティ28を閉じる。インサート材6の平板面に対して垂直な方向からキャビティ28内の原料を圧縮して圧縮成形体4を形成する。キャビティ28を外部に開放し、キャビティ28内からインサート材6が一体成形された圧縮成形体4を取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば帯状導体が磁性体の内部にインサート成形された電子部品などのインサート成形体を製造する方法と、その方法に用いられて好適なインサート成形体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記の特許文献1に示すように、帯状導体が磁性体の内部にインサート成形された電子部品が提案されている。このような電子部品を製造するには、圧縮成形によるインサート成形法が用いられる。
【0003】
圧縮成形によるインサート成形時には、予めインサートされるコイルなどの部材の裏面に原料が回り込み難かったり、圧縮成形時の圧縮圧力が均一に原料に作用し難いなどの理由から、たとえば特許文献2に示すように、複数回に分けて、圧縮成形している。
【0004】
すなわち、従来では、金型の内部にインサート材を挿入してインサート成形する場合、インサート材の下方が材料充填における影となるため、複数回に分けて段階的に材料充填する必要があった。また、複数回の材料充填は煩雑であると同時に、材料の均一な分布を阻害する要因になっていた。
【0005】
特に、平板形状のインサート材は、キャビティ断面を覆う面積が大きくなるために、上記課題が顕著である。これを解決しようとしてインサート材を鉛直方向に沿って配置すると、それに合わせてキャビティの形状も鉛直に長くなるために、キャビティの底までうまく材料が充填されないという別の課題を生じることになる。
【特許文献1】再公表特許2006−070544号公報
【特許文献2】特許第3108931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、原料の充填を均一に行うことが可能であり、インサート材を変形させることなく、一回の圧縮成形で原料が均一に分布したインサート成形体を容易に製造することができる方法と、その方法に用いられて好適なインサート成形体の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るインサート成形体の製造方法は、
厚みに対して平板幅が大きく長尺な平板面を持つ平板形状のインサート材を、キャビティ内に、前記平板面が鉛直方向に平行となり、当該インサート材の長手方向に沿って貫通するように配置する工程と、
前記キャビティの原料入口から前記平板面に平行な方向に向けて原料を充填する工程と、
前記原料入口を閉じる工程と、
前記インサート材の平板面に対して垂直な方向から前記キャビティ内の原料を圧縮して圧縮成形体を形成する工程と、
前記キャビティを外部に開放し、前記キャビティ内から前記インサート材が一体成形された前記圧縮成形体を取り出す工程とを有する。
【0008】
本発明に係るインサート成形体の製造方法によれば、キャビティの原料入口からインサート材の平板面に平行な方向に向けて原料を充填するため、平板面に垂直な方向から原料を充填する方式に比較して、インサート材の背面にも良好に原料が均一に回り込み、材料充填を1回で行うことができる。すなわち、本発明の方法では、インサート材があっても1回の充填で均一に材料を分布させ、インサート成形を行うことができる。
【0009】
また、本発明の方法では、インサート材の平板面(面積の広い面)へ向かうように圧縮するため、インサート材を変形(湾曲)させること無くインサート成形できる。
【0010】
好ましくは、前記キャビティを外部に開放して前記圧縮成形体を取り出す際に、前記インサート材の長手方向に沿ってインサート材を移動させ、当該インサート材に一体成形された圧縮成形体を前記キャビティから取り出し、前記圧縮成形体から前記インサート材の長手方向に沿って所定間隔離れたインサート材の途中を、前記キャビティ内に、前記平板面が鉛直方向に平行となり、当該インサート材の長手方向に沿って貫通するように配置し、前記インサート材の長手方向に沿って所定間隔で連続的に、前記圧縮成形体を成形する。
【0011】
このような成形方法によれば、インサート材を切断することなく、インサート材の長手方向に沿って所定間隔で連続的に、圧縮成形体を成形することができるため、成形体の取り出しが容易になり、しかもインサート成形を高速で繰り返すことができる。
【0012】
あるいは、前記インサート材は、予め切断された短冊状のインサート材であり、当該インサート材を一つずつ、前記キャビティ内に配置し、前記インサート材が一体成形された前記圧縮成形体を成形するようにしてもよい。この場合には、インサート材の材料が無駄にならない(無駄になる部分が発生しない)。また、この場合には、キャビティを構成する型の構造を単純にすることができると共に、型を移動させるための駆動手段を減らすことができる。
【0013】
好ましくは、前記原料入口が、前記キャビティの鉛直方向の上部に形成してある。鉛直方向の上部から原料を充填することで、原料の重力を利用して充填することが可能になり、より均一にキャビティ内に原料の充填が可能である。
【0014】
好ましくは、前記圧縮成形体を形成した後で、前記キャビティを外部に開放して前記圧縮成形体を取り出す前に、前記インサート材の平板面に対して垂直な方向に前記圧縮成形体に作用している圧縮力と、前記インサート材の長手方向に前記圧縮成形体に作用している圧縮力とを解除する。
【0015】
典型的な鉛直一軸圧縮成形と異なり、この方法では、成形体の側壁に対する成形圧を抜いてから成形体を型より取り出すことができるので、取り出しの際に成形体が(残存する成形圧で)損傷することを防止できる。これに対して、従来の鉛直一軸圧縮成形の場合には、枠型内周4面から成形体の側壁へ成形圧がかかったままの状態で抜き出しが行われるため、成形体を取り出す際に、成形体が損傷しやすい。
【0016】
前記インサート成形体としては、特に限定されないが、好ましくは、電子部品である。前記原料としては、特に限定されないが、好ましくは、磁性粉末と樹脂バインダとを含み、前記インサート材が導電性材料で構成してある。平板状のインサート材が貫通する(扁平な)電子部品、たとえばインダクタ素子を容易に製造することができる。
【0017】
本発明に係るインサート成形体の製造装置は、
厚みに対して平板幅が大きく長尺な平板面を持つ平板形状のインサート材が埋め込まれる圧縮成形体を製造するためのインサート成形体の製造装置であって、
前記成形体の第1面を形成するための第1面型と、
前記第1面型と垂直で、前記インサート材が挿通可能な第1挿通孔を持ち、前記成形体の第2面を形成するための第2面型と、
前記インサート材が挿通可能な第2挿通孔を持ち、前記成形体の前記第2面に対して反対側に位置する第3面を形成するための第3面型と、
前記成形体の前記第2面および第3面とは異なる第4面を形成するための第4面型と、
前記成形体の前記第4面に対して反対側に位置する第5面を形成するための第5面型と、
前記成形体の第1面の反対側に位置する第6面を形成するための第6面型と、を有し、
前記第2面型が、前記インサート材の長手方向に沿って前記第3面型に対して相対移動可能に構成してあり、
前記第4面型が前記第5面型に対して相対的に接近および離反移動可能であり、
前記第6面型は、前記インサート材の長手方向に沿って前記第2面型に対して相対的に移動可能であり、前記第6面型の移動方向の第1所定位置では、前記第1〜第6面型により囲まれたキャビティが形成可能であり、前記第6面型の移動方向の第2所定位置では、前記キャビティに原料を充填する原料供給孔が前記キャビティに連通可能になっている。
【0018】
好ましくは、前記第1挿通孔および第2挿通孔は、前記インサート材の平板面が前記第4面または第5面と平行になるように前記インサート材を挿通するように構成してある。
【0019】
本発明に係るインサート成形体の製造装置では、キャビティの原料入口からインサート材の平板面に平行な方向に向けて原料を充填するため、平板面に垂直な方向から原料を充填する方式に比較して、インサート材の背面にも良好に原料が均一に回り込み、材料充填を1回で行うことができる。すなわち、本発明の装置では、インサート材があっても1回の充填で均一に材料を分布させ、インサート成形を行うことができる。
【0020】
また、本発明の装置では、インサート材の平板面(面積の広い面)へ向かうように圧縮するため、インサート材を変形(湾曲)させること無くインサート成形できる。
【0021】
好ましくは、前記第3面型は、前記第2挿通孔を境界に分離可能な一対の分割型で構成してあり、これらの分割型は、前記第2挿通孔の幅を、前記インサート材の厚みに対応する幅から前記成形体の幅以上の幅にまで変化可能に構成してある。
【0022】
好ましくは、前記インサート材の長手方向の途中に、前記圧縮成形体を一体成形した後に、前記第2挿通孔の幅が前記成形体の幅以上の幅にまで広がるように、前記分割型を移動させ、前記成形体が一体成形された前記インサート材を長手方向に沿って移動させ、前記成形体を前記キャビティの位置から第2挿通孔を通して移動させるインサート材の長手方向送り手段をさらに有する。
【0023】
このような装置によれば、インサート材を切断することなく、インサート材の長手方向に沿って所定間隔で連続的に、圧縮成形体を成形することができるため、成形体の取り出しが容易になり、しかもインサート成形を高速で繰り返すことができる。
【0024】
あるいは、前記第2面型と第3面型との間に、成形後の成形体を重力により落とし込む程の落とし込み空間を作るように、前記第2面型を前記第3面型から相対的に引き離して移動させる駆動手段を有し、
前記第2面型および第3面型のいずれか一方には、短冊状に切断された前記インサート材を前記第2挿通孔を通して前記キャビティ内に送り込むインサート材供給手段が装着してあり、
前記第2面型および第3面型のいずれか他方には、前記落とし込み空間に向けて、前記成形体を前記インサート材の長手方向に移動させる排出手段が装着してもよい。
【0025】
この場合には、インサート材の材料が無駄にならない(無駄になる部分が発生しない)。また、この場合には、キャビティを構成する型の構造を単純にすることができると共に、型を移動させるための駆動手段を減らすことができる。
【0026】
好ましくは、前記第2面型と前記第1面型とが一体成形してある。これらの型の剛性が大きくなり、装置構成が簡単になる。また、成形体における少なくとも1つの角部については、成形体角部のバリを低減することができる。
【0027】
好ましくは、前記第4面型および前記第5面型は、双方共に、前記キャビティの中心に対して、同期して接近および離反する方向に移動可能である。第4面型および前記第5面型を接近移動させることで、圧縮成形を行う。
【0028】
好ましくは、前記キャビティ内に原料が充填された状態で、前記第4面型および前記第5面型の距離を縮めて圧縮成形する際に、前記第2面型と第3面型との間の圧縮力を保持し、圧縮成形後には、前記第2面型と第3面型との間の圧縮力を解除するように動作する第2面型の押圧保持手段を有する。圧縮成形時において、第2面型が圧縮力で押し戻されることが無くなり、高精度の外形寸法を有する成形体を作製できる。また、圧縮成形後には、成形体の側壁に対する成形圧を抜いてから成形体を型より取り出すことができるので、取り出しの際に成形体が(残存する成形圧で)損傷することを防止できる。
【0029】
好ましくは、前記キャビティ内に原料が充填された状態で、前記第4面型および前記第5面型の距離を縮めて圧縮成形する際に、前記第6面型と前記第1面型との間の圧縮力を保持する第6面型の押圧保持手段を有する。特に圧縮成形時における第6面型の変形を抑制することが可能になり、高精度の外形寸法を有する成形体を作製できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1(A)は本発明の一実施形態に係るインサート成形体の製造方法により製造される電子部品の斜視図、図1(B)は図1(A)に示す電子部品を製造する過程を示す斜視図、
図2は本発明の一実施形態に係るインサート成形体の製造装置の平面図、
図3は図2に示すIII−III線に沿う断面図、
図4(A)〜図12(A)は図2に対応するインサート成形体の製造装置の動きを示す平面図、
図4(B)〜図12(B)は図3に対応するインサート成形体の製造装置の動きを示す断面図、
図13は本発明の他の実施形態に係るインサート成形体の製造装置の平面図、
図14は図13に示すXIV−XIV線に沿う断面図、
図15(A)〜図23(A)は図13に対応するインサート成形体の製造装置の動きを示す平面図、
図15(B)〜図23(B)は図14に対応するインサート成形体の製造装置の動きを示す断面図である。
第1実施形態
【0031】
図1(A)に示すように、本発明の一実施形態におけるインサート成形体2は、磁性素子であり、圧縮成形体としてのコア部4と、コア部4の内部を貫通しているインサート材としての帯状導体6とを有する。コア部4は、たとえば磁性材料を含む樹脂で構成されている。
【0032】
磁性材料の例としては、Mn−Zn、Ni−Cu−Znなどのフェライト、センダスト(Fe−Si−Al;鉄−シリコン−アルミニウム)、Fe−Si−Cr(鉄−シリコン−クロム)、パーマロイ(Fe−Ni)などが例示される。樹脂としては、特に限定されないが、たとえばエポキシ樹脂、フェノールなどが例示される。
【0033】
帯状導体6は、たとえば、Cu、Al、Fe、リン青銅などの金属片で構成してある。帯状導体6は、厚みに対して平板幅W1が大きく長尺な平板面を持つ平板形状を有する。
【0034】
図1(A)に示すように、コア部4は、第1〜第6面4a〜4fを有する略直方体形状である。第1面4aと第6面4fが平行で対向しており、第2面4bと第3面4cとが平行で対向してあり、第4面4dと第5面4eとが平行で対向してある。第1面4aに対して、第2面4b〜第5面4eが垂直である。帯状導体6は、第2面4bおよび第3面4cを貫通し、それぞれ端子電極6a,6aを構成している。
【0035】
この実施形態では、帯状導体6が延びる方向をX軸とし、帯状導体6の平面に垂直方向をY軸とし、これらのX軸およびY軸に垂直な方向をZ軸とする。コア部4のZ軸方向幅W2は、帯状導体6の幅W1よりも大きく、Y軸方向の幅W3よりも大きい。帯状導体6の幅W1は、コア部4のY軸方向の幅W3よりも大きい。
【0036】
このインサート成形体2から構成される磁性素子は、例えば高周波駆動の電源回路用であって、マルチフェイズ対応の多連インダクタ、多連ノイズフィルタ、コモンモードチョーク、トランス等として用いることが可能である。なお、インサート成形体2から成る磁性素子においては、コア部4の第4面4dまたは第5面4eに、帯状導体6の端子電極6a,6aが接触するように折り曲げられていても良い。
【0037】
次に、図1(A)に示すインサート成形体2の製造装置と製造方法について説明する。図2および図3に示すように、この実施形態に係るインサート成形体2の製造装置10は、第1面型12と、第2面型14と、一対の第3面型16a,16bと、第4面型18と、第5面型20と、第6面型22とを有する。
【0038】
第1面型12は、図1に示すコア部4の第1面4aを形成するための第1キャビティ面4Aを有する。第2面型14は、図1に示すコア部4の第2面4bを形成するための第2キャビティ面4Bを有する。第3面型16a,16bは、図1に示すコア部4の第3面4cを形成するための第3キャビティ面4C,4Cを有する。
【0039】
第4面型18は、図1に示すコア部4の第4面4dを形成するための第4キャビティ面4Dを有する。第5面型20は、図1に示すコア部4の第5面4eを形成するための第5キャビティ面4Eを有する。第6面型22は、図1に示すコア部4の第6面4fを形成するための第6キャビティ面4Fを有する。第1〜第6キャビティ面4A〜4Fで囲まれた密閉空間がキャビティ28となる。
【0040】
第1面型12と第2面型14とは、一体に形成してあるが、かならずしも一体に形成する必要はなく、別部材で構成してあっても良い。ただし、これらを一体に形成することで、第1キャビティ面4Aと第2キャビティ面4Bとを垂直に形成しやすく、その角部に圧縮成形体のバリなどが形成されないので好ましい。
【0041】
第2面型14には、インサート材としての帯状導体6を挿通可能な第1挿通孔24が形成してある。第1挿通孔24は、帯状導体6をX軸方向に挿通可能であり、帯状導体6の断面サイズとほぼ同じか僅かに大きい断面サイズを有する。
【0042】
第2面型14のZ軸方向の上面には、第6面型22がX軸方向にスライド移動自在に装着してある。第6面型22のZ軸方向の下面には、第6キャビティ面4Fが形成してある。また、第6面型22には、キャビティ28に原料粉末を充填するための原料供給孔30が形成してある。
【0043】
第6面型22のX軸移動方向の第1所定位置(図10(B)参照)では、前記第1〜第6面型12〜22により囲まれたキャビティ28が形成可能であり、第6面型22のX軸移動方向の第2所定位置(図3)では、原料供給孔30がキャビティ28に連通可能になっている。
【0044】
第6面型22と第1面型12との間には、一対の第3面型16a,16bが、第1面型12に対してY軸方向に、相互に接近および離反移動可能に配置してある。一対の第3面型16a,16bの間には、インサート材としての帯状導体6がX軸方向に挿通可能な第2挿通孔26が形成してある。第2挿通孔26のY軸方向の幅は、一対の第3面型16a,16bのY軸方向の相対移動により変化するようになっている。
【0045】
一対の第3面型16a,16bは、帯状導体6に対して、Y軸方向に同期して移動可能となっており、これらの第3面型16a,16bがY軸方向に同期して接近移動することで、直線状の帯状導体6を曲げることなく両側から挟み込み保持することが可能になっている。また、これらの第3面型16a,16bがY軸方向に同期して離反移動することで、第2挿通孔26のY軸方向幅が拡がり、帯状導体6をX軸方向に送り込むことが可能になっている。これらの第3面型16a,16bのX軸方向の端面には、第3キャビティ面4Cが形成してある。
【0046】
第6面型22と第1面型12との間で、第2面型14と第3面型16a,16bとの間には、第4面型18および第5面型20が、帯状導体6を中心として、Y軸方向に同期して接近および離反移動可能に配置してある。第4面型18および第5面型20の相互に対向する端面には、それぞれ第4キャビティ面4Eおよび第5キャビティ面4Fが形成してある。これらの第4面型18および第5面型20は、第1面型12の第1キャビティ面4A、第2面型14の第2キャビティ面4B、第3面型の第3キャビティ面4C、第6面型22の第6キャビティ面4Fに沿って摺動移動可能であり、キャビティ28の内部空間を圧縮可能になっている。
【0047】
これらの第1面型12、第3面型16a,16b、第4面型18、第5面型20および第6面型22を、それぞれ駆動するための駆動手段としては、特に限定されず、油圧駆動機構、サーボモータ駆動機構などが例示される。
【0048】
次に、図2および図3に示す成形装置10を用いた本発明の実施形態に係るインサート成形体2の製造方法について説明する。まず、インサート成形体2の製造に先立って、予め、磁性材料、エポキシ樹脂、および有機溶剤を混合し、原料粉末を形成しておく。原料粉末は、磁性粉を樹脂や絶縁被膜でコートしたものでもよい。原料粉末の粒径は、特に限定されないが、好ましくは40〜100μmである。また、帯状導体6を準備する。
【0049】
次に、図4(A)および図4(B)に示すように、成形装置10に、帯状導体6をセットする。帯状導体6の先端は、第2面型14に形成してある第1挿通孔24からX軸前方に通され、図5(A)および図5(B)に示すように、一対の第3面型16b間の第2挿通孔26に通される。帯状導体6が成形装置10にセットされる際には、キャビティ28に対応する部分の上は、第6面型22で覆われている必要はなく、Z軸方向の上部に開放している。
【0050】
なお、X軸の前方とは、X軸に沿って導体6の進行方向を意味し、第2面型14から第3面型16bに向かう方向を意味する。X軸の後方とは、その反対方向である。また、Z軸方向の上部とは、装置10の鉛直方向上部を意味し、Z軸方向の下方とは、鉛直方向の下方を意味する。
【0051】
次に、図6(A)および図6(B)に示すように、分割型である一対の第3面型16a,16bがY軸方向に同期して、第2挿通孔26を閉じる方向に駆動され、帯状導体6のX軸方向前方を挟み込む。一対の第3面型16a,16bの合わせ面には、第2挿通孔26に対応する分割溝が形成してあり、分割溝が合わさることで、第2挿通孔26の内部に、帯状導体6のX軸方向前方が挟み込まれ、一対の第3面型16a,16bの合わせ面には、キャビティ28に対する隙間はほとんど形成されない。一対の第3面型16a,16bの合わせ面相互が突き合わせられる位置は、装置10のY軸方向中央であり、帯状導体6が曲げられることはない。
【0052】
次に、図7(A)および図7(B)に示すように、第1面型12および第2面型14を、第3面型16a,16bに対してX軸方向に近づくように圧力を加える。これは、後述するキャビティ28の圧縮プレス工程時の成形圧により第2面型14が押し戻されないようにするためである。
【0053】
次に、図8(A)および図8(B)に示すように、第1面型12に対して、第6面型22をX軸方向の前方にスライド移動させ、第6面型22に形成してある原料供給孔30をキャビティ28に連通する位置(第2所定位置)に位置させる。原料供給孔30がキャビティ28に連通する位置にある時に、原料供給孔30から原料粉末32を充填する。
【0054】
原料供給孔30は、Z軸方向に平行に形成され、その開口横断面は、少なくともその原料供給孔30の底部では、圧縮成形前のキャビティ28の上部開口断面と同等以上のサイズが好ましい。また、原料供給孔30は、Z軸方向の上方に向けてテーパ状に広げて形成してあっても良いし、Z軸方向の上方に向けて同じサイズ(または断面積)であっても良い。
【0055】
原料粉末32を充填する際には、パンチ型としての第4面型18および第5面型20の先端にそれぞれ形成してある第4キャビティ面4Dおよび4Eは、圧縮前の位置で所定距離で離れており、その位置は、原料供給孔30の底部開口位置にほぼ一致している。
【0056】
次に、図9(A)および図9(B)に示すように、第6面型22を第2面型14に対して、X軸の後方に移動させ、キャビティ28に充填してある原料粉末32をすり切り、キャビティ28内に一定量の原料粉末32を充填すると共に、キャビティ28の上方開口部を閉じる。すなわち、第6面型22をX軸方向に沿って第1所定位置まで移動させ、キャビティ28の上方開口部を、第6面型22の下面に形成してある第6キャビティ面6Fで閉じる。
【0057】
次に、図10(A)および図10(B)に示すように、第4面型18および第5面型20の先端をY軸方向に沿って相互に近づけ、閉鎖されたキャビティ28に充填してある原料粉末32を圧縮成形する。圧縮成形に際しては、帯状導体6のY軸方向の両側で、均一な圧力が作用するように、第4面型18および第5面型20は同期して動作する。第4面型18および第5面型20によりキャビティ28内部に作用するプレス圧力は、特に限定されないが、たとえば500〜1000MPaである。
【0058】
第4面型18および第5面型20によるプレスに際しては、第6面型22がZ軸方向の上方に移動しないように、第6面型22を、別部材により上から押圧保持するようにしても良い。また、一対の第3面型16a,16bは、プレス圧ではX軸方向には移動しないようになっている。第1面型12および第2面型14に関しても、プレス成形時には、プレス圧で、X軸方向には移動しないように押圧保持されている。
【0059】
次に、図11(A)および図11(B)に示すように、成形圧の圧抜きを行う。圧抜き工程時には、まず、第4面型18および第5面型20の先端をY軸方向に相互に引き離し、その後に、第1面型12および第2面型14をX軸の後方に移動させる。
【0060】
次に、図12(A)および図12(B)に示すように、分割型である一対の第3面型16a,16b間の隙間を、圧縮成形により帯状導体6の一部に一体成形されたコア部4の幅W3(図1(A)参照)以上に、Y軸方向の外側(帯状導体6から離れる方向)に開く。また同時にあるいはその後に、第6面型22を第2面型14に対して、X軸方向の後方に移動させ、キャビティ28に対応する部分の上部開口を開放する。
【0061】
その後に、コア部4と共に、帯状導体6をX軸方向の前方に送り出し、コア部4をキャビティ28から取り出し、第3面型16a,16b間の隙間を通し、コア部4が第3面型16a,16b間に挟み込まれない位置まで、帯状導体6をX軸方向の前方に送り出す。その後に、図4〜図12の工程を繰り返せば、図1(A)に示すように、帯状導体6の長手方向に沿って所定間隔でコア部4が配置された一体成形体が得られる。
【0062】
その後に必要に応じて加熱処理し、コア部4中の樹脂成分を固化しても良い。その後、またはその前に、帯状導体6を、コア部4の前後で切断すれば、図1(A)に示すインサート成形体2が得られる。なお、加熱処理(熱硬化処理)の条件は、特に限定されず、コア部4中の樹脂成分が硬化する条件であればよい。なお、帯状導体6をX軸方向の前方に送り出すための手段としては、特に限定されず、たとえば帯状導体6の平板面を両側から挟み込み送り出し回転を行う送り出しローラなどが例示される。
【0063】
本実施形態に係るインサート成形体2の製造方法によれば、キャビティ28の開口が成形圧縮時より拡がった状態で、キャビティ28の原料供給孔30からインサート材としての帯状導体6の平板面に平行な方向に向けて原料を充填するため、平板面に垂直な方向から原料を充填する方式に比較して、帯状導体6の背面にも良好に原料が均一に回り込み、材料充填を1回で行うことができる。すなわち、本実施形態の方法では、帯状導体6があっても1回の充填で均一に材料を分布させ、インサート成形を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態の方法では、帯状導体6の平板面(面積の広い面)へ向かうように圧縮するため、帯状導体6を変形(湾曲)させること無くインサート成形できる。
【0065】
さらに、本実施形態の方法では、帯状導体6の長手方向に沿って所定間隔で連続的に、コア部4を成形するのて、帯状導体6を切断することなく、帯状導体6の長手方向に沿って所定間隔で連続的に、コア部4を圧縮成形することができる。このため、コア部4の取り出しが容易になり、しかもインサート成形を高速で繰り返すことができる。
【0066】
また、原料供給孔30が、キャビティ28の鉛直方向の上部に形成してあるので、鉛直方向の上部から原料粉末32を充填することで、原料粉末32の重力を利用して充填することが可能になり、より均一にキャビティ28内に原料の充填が可能である。
【0067】
さらに、本実施形態の方法では、図11(A)および図11(B)に示すように、圧縮成形体としてのコア部4を形成した後で、キャビティ28を外部に開放して圧縮成形体としてのコア部4を取り出す前に、帯状導体6の平板面に対して垂直な方向にコア部4に作用している圧縮力と、帯状導体6の長手方向にコア部4に作用している圧縮力とを解除する。
【0068】
典型的な鉛直一軸圧縮成形と異なり、この方法では、成形体としてのコア部4の側壁に対する成形圧を抜いてから成形体としてのコア部4を型より取り出すことができる。このため、取り出しの際に成形体としてのコア部4が(残存する成形圧で)損傷することを防止できる。これに対して、従来の鉛直一軸圧縮成形の場合には、枠型内周4面から成形体の側壁へ成形圧がかかったままの状態で抜き出しが行われるため、成形体を取り出す際に、成形体が損傷しやすい。
【0069】
本実施形態に係るインサート成形体の製造装置10では、上述した実施形態に係る製造方法と同様な作用効果を奏する。
第2実施形態
【0070】
次に、図13〜図23に基づき、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1実施形態に係る部材と同様な部材には、共通する符号を付し、その説明は重複するので、一部省略する。以下の説明では、第1実施形態に係る装置および方法と異なる部分について、詳細に説明し、共通する部分に関しては、その説明は、一部省略する。
【0071】
図13(A)および図13(B)に示すように、本実施形態に係る装置10aでは、第3面型16がY軸方向に分割されず、一体で構成してあり、装置のY軸方向の中央部に、X軸方向に沿って、貫通孔である第2挿通孔26が形成してある。第2挿通孔26のZ軸方向上部には、予め切断された所定長さの短冊状の帯状導体6が落とし込まれる挿入孔27が形成してある。短冊状の帯状導体6の長手方向長さは、図1(A)に示す完成品としてのインサート成形体2における帯状導体6の長さに予め合わせてある。
【0072】
この実施形態では、第3面型16の第2挿通孔26におけるX軸方向の前方には、短冊状に切断された帯状導体6を第2挿通孔26を通してキャビティ28内に送り込むインサート材供給手段としての供給ロッド50がX軸方向に移動自在に配置してある。この供給ロッド40は、第2挿通孔26の内部をX軸方向に移動可能な断面形状を有し、挿入孔27から落とし込まれた短冊状の帯状導体6をX軸方向の後方に位置するキャビティ28内の所定位置に送り出してセットする。
【0073】
第2面型14のX軸方向に沿って形成してある第1挿通孔24内には、排出手段としての排出ロッド50がX軸方向に移動自在に装着してある。この排出ロッド50は、前述した供給ロッド40により帯状導体6が送り込まれる際に、帯状導体6のX軸方向の後端に接触して帯状導体6のキャビティ28内におけるX軸方向の位置決めを行う機能も有する。
【0074】
圧縮成形後には、排出ロッド50は、図23に示すように、成形後のコア部4と共に、帯状導体6のX軸方向の後端を押し出し、第2面型14を含む第1面型12と第3面型16との間に形成された落とし込み空間60内に、コア部4が一体成形された帯状導体6を落とし込む機能も有する。落とし込み空間60には、製品回収ボックスなどを配置することが好ましい。なお、供給ロッド40および排出ロッドの駆動手段は、特に限定されず、油圧機構、空気圧機構、モータ駆動機構などいずれであっても良い。
【0075】
次に、図13および図14に示すインサート成形体の成形装置10aを用いたインサート成形体の成形方法について、図面に基づき説明する。まず、図15(A)および図15(B)に示すように、第3面型16に形成してある挿入孔27から帯状導体6を、第2挿通孔26内に落とし込む。その後に、図16(A)および図16(B)に示すように、供給ロッド40を駆動させ、帯状導体6を第2挿通孔26に沿って移動させ、帯状導体6のX軸方向の後端が、位置決め位置に待機している排出ロッド50の先端に接触する位置で停止させる。排出ロッド50は、帯状導体6がキャビティ28内でX軸方向に中央位置に配置されるように位置決め位置で停止しており、帯状導体6は、キャビティ28内で位置決めされる。
【0076】
次に、図17(A)および図17(B)に示すように、供給ロッド40が第2挿通孔26に沿ってX軸方向の前方に移動し、初期の待機位置(次の短冊状の帯状導体の供給位置)に戻る。その後に、図18(A)および図18(B)に示すように、第1面型12および第2面型14を、第3面型16に対してX軸方向に近づくように圧力を加える。これは、後述するキャビティ28の圧縮プレス工程時の成形圧により第2面型14が押し戻されないようにするためである。
【0077】
次に、図19(A)および図19(B)に示すように、第1面型12および第2面型14に対して、第6面型22をX軸方向の前方にスライド移動させ、第6面型22に形成してある原料供給孔30をキャビティ28に連通する位置(第2所定位置)に位置させる。原料供給孔30がキャビティ28に連通する位置にある時に、原料供給孔30から原料粉末32を充填する。
【0078】
次に、図20(A)および図20(B)に示すように、第6面型22を第2面型14に対して、X軸の後方に移動させ、キャビティ28に充填してある原料粉末32をすり切り、キャビティ28内に一定量の原料粉末32を充填すると共に、キャビティ28の上方開口部を閉じる。すなわち、第6面型22をX軸方向に沿って第1所定位置まで移動させ、キャビティ28の上方開口部を、第6面型22の下面に形成してある第6キャビティ面6Fで閉じる。
【0079】
次に、図21(A)および図21(B)に示すように、第4面型18および第5面型20の先端をY軸方向に沿って相互に近づけ、閉鎖されたキャビティ28に充填してある原料粉末32を圧縮成形する。圧縮成形に際しては、帯状導体6のY軸方向の両側で、均一な圧力が作用するように、第4面型18および第5面型20は同期して動作する。
【0080】
次に、図22(A)および図22(B)に示すように、成形圧の圧抜きを行う。圧抜き工程時には、まず、第4面型18および第5面型20の先端をY軸方向に相互に引き離し、その後に、第1面型12および第2面型14をX軸の後方に移動させる。
【0081】
次に、図23(A)および図23(B)に示すように、第2面型14と一体の第1面型12と、第6面型22とを、第3面型16に対して、X軸方向の後方に引き離す。そのため、第2面型14を含む第1面型12と第3面型16との間には、落とし込み空間60が形成される。そして、排出ロッド50を、第2面型14のX軸方向の後方移動に対して静止させることで、相対的に、圧縮成形体としてのコア部4が一体成形された帯状導体6をキャビティ28から押し出し、落とし込み空間60内に重力により落とし込む。
【0082】
本実施形態に係るインサート成形体の製造方法および製造装置によれば、以下に示す以外は、第1実施形態に係る製造方法および製造装置と同様な作用効果を奏する。すなわち、本実施形態では、予め切断してある帯状導体6をキャビティ28内に、順次供給することから、帯状導体6の材料が無駄にならない(無駄になる部分が発生しない)。また、この場合には、キャビティを構成する型の構造を単純にすることができると共に、型を移動させるための駆動手段を減らすことができる。
【0083】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。たとえば本発明の方法では、インサート材6を、図2および3に示すように、X軸方向に沿って配置するのではなく、圧縮用のパンチ型である第4面型18および第5面型20に貫通孔を設け、その貫通孔を通して、Y軸方向にインサート材6を配置しても良い。その他の構成は、図1〜図12または図13〜図23に示す実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏する。
【0084】
また、上述した実施形態では、帯状導体6などのインサート材を、鉛直方向に垂直な水平方向に配置したが、必ずしも水平方向に限定されない。たとえば平板形状のインサート材を、キャビティ内に、平板面が鉛直方向に平行となり、当該インサート材の長手方向に沿って貫通するように配置することができれば、多少、水平から傾斜しても良い。
【0085】
また、上述した実施形態において、二つ以上の帯状導体6(必ずしも導体でなくても良い)を、キャビティ28内にX軸方向に沿って平行に通し、上述したようにして圧縮成形を行い、平行に配列された二列以上の帯状導体6が引き出されたコア部4を形成しても良い。
【0086】
また、インサート材としては、帯状導体6に限定されず、帯状絶縁体、その他のインサート材でも良い。また、インサート材と共に圧縮成形される原料としては、上述した実施形態の原料粉末に限定されず、フェライト粉、センダスト粉、パーマロイ粉、前述しないセラミック粉、ネオジムに代表される希土類磁石粉など、圧縮成形される粉であれば、何でも良い。本発明の方法により、インサート材と共に成形体が圧縮成形された後は、成形後のインサート成形体に対して、加熱処理あるいは焼結処理などを行っても良い。たとえばコア部4は、フェライトの焼結体であっても良い。
【0087】
また、上述の実施形態においては、コア部4は、その外観が略直方体形状となっている。しかしながら、本発明の方法では、成形体としてのコア部4の形状は、略直方体形状に限られるものではなく、略円盤形状等、種々の形状を採用することができる。
【0088】
また、上述の実施形態においては、インサート材としての帯状導体6として、その断面形状が矩形となるものを用いたが、本発明では、インサート材としては、厚みに対して平板幅が大きく長尺な平板面を持つ平板形状であれば、断面形状が楕円形状、多角形状等のその他の形状のものを用いることができる。
【0089】
また、上述の実施形態においては、磁性体粉を絶縁被膜で被覆することを例示したが、インサート材としての帯状導体6の必要な領域を絶縁被膜で覆い、成形体と絶縁を為してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1(A)は本発明の一実施形態に係るインサート成形体の製造方法により製造される電子部品の斜視図、図1(B)は図1(A)に示す電子部品を製造する過程を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の一実施形態に係るインサート成形体の製造装置の平面図である。
【図3】図3は図2に示すIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4(A)は図2に対応するインサート成形体の製造装置の動きを示す平面図、図4(B)は図3に対応するインサート成形体の製造装置の動きを示す断面図である。
【図5】図5(A)は図4(A)の続きの動きを示す平面図、図5(B)は図4(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図6】図6(A)は図5(A)の続きの動きを示す平面図、図6(B)は図5(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図7】図7(A)は図6(A)の続きの動きを示す平面図、図7(B)は図6(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図8】図8(A)は図7(A)の続きの動きを示す平面図、図8(B)は図7(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図9】図9(A)は図8(A)の続きの動きを示す平面図、図9(B)は図8(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図10】図10(A)は図9(A)の続きの動きを示す平面図、図10(B)は図9(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図11】図11(A)は図10(A)の続きの動きを示す平面図、図11(B)は図10(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図12】図12(A)は図11(A)の続きの動きを示す平面図、図12(B)は図11(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図13】図13は本発明の他の実施形態に係るインサート成形体の製造装置の平面図である。
【図14】図14は図13に示すXIV−XIV線に沿う断面図である。
【図15】図15(A)は図13に対応するインサート成形体の製造装置の動きを示す平面図、図15(B)は図14に対応するインサート成形体の製造装置の動きを示す断面図である。
【図16】図16(A)は図15(A)の続きの動きを示す平面図、図16(B)は図15(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図17】図17(A)は図16(A)の続きの動きを示す平面図、図17(B)は図16(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図18】図18(A)は図17(A)の続きの動きを示す平面図、図18(B)は図17(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図19】図19(A)は図18(A)の続きの動きを示す平面図、図19(B)は図18(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図20】図20(A)は図19(A)の続きの動きを示す平面図、図20(B)は図19(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図21】図21(A)は図20(A)の続きの動きを示す平面図、図21(B)は図20(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図22】図22(A)は図21(A)の続きの動きを示す平面図、図22(B)は図21(B)の続きの動きを示す断面図である。
【図23】図23(A)は図22(A)の続きの動きを示す平面図、図23(B)は図22(B)の続きの動きを示す断面図である。
【符号の説明】
【0091】
2… インサート成形体
4… コア部(圧縮成形体)
4a… 第1面
4b… 第2面
4c… 第3面
4d… 第4面
4e… 第5面
4f… 第6面
4A… 第1キャビティ面
4B… 第2キャビティ面
4C… 第3キャビティ面
4D… 第4キャビティ面
4E… 第5キャビティ面
4F… 第6キャビティ面
6… 帯状導体(インサート材)
6a… 端子電極
10,10a… インサート成形体の製造装置
12… 第1面型
14… 第2面型
16… 第3面型
18… 第4面型
20… 第5面型
22… 第6面型
24… 第1挿通孔
26… 第2挿通孔
28… キャビティ
30… 原料供給孔
32… 原料粉末
40… 供給ロッド
50… 排出ロッド
60… 落とし込み空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みに対して平板幅が大きく長尺な平板面を持つ平板形状のインサート材を、キャビティ内に、前記平板面が鉛直方向に平行となり、当該インサート材の長手方向に沿って貫通するように配置する工程と、
前記キャビティの原料入口から前記平板面に平行な方向に向けて原料を充填する工程と、
前記原料入口を閉じる工程と、
前記インサート材の平板面に対して垂直な方向から前記キャビティ内の原料を圧縮して圧縮成形体を形成する工程と、
前記キャビティを外部に開放し、前記キャビティ内から前記インサート材が一体成形された前記圧縮成形体を取り出す工程とを有するインサート成形体の製造方法。
【請求項2】
前記キャビティを外部に開放して前記圧縮成形体を取り出す際に、前記インサート材の長手方向に沿ってインサート材を移動させ、当該インサート材に一体成形された圧縮成形体を前記キャビティから取り出し、前記圧縮成形体から前記インサート材の長手方向に沿って所定間隔離れたインサート材の途中を、前記キャビティ内に、前記平板面が鉛直方向に平行となり、当該インサート材の長手方向に沿って貫通するように配置し、前記インサート材の長手方向に沿って所定間隔で連続的に、前記圧縮成形体を成形する請求項1に記載のインサート成形体の製造方法。
【請求項3】
前記インサート材は、予め切断された短冊状のインサート材であり、
当該インサート材を一つずつ、前記キャビティ内に配置し、前記インサート材が一体成形された前記圧縮成形体を成形する請求項1に記載のインサート成形体の製造方法。
【請求項4】
前記原料入口が、前記キャビティの鉛直方向の上部に形成してある請求項1〜3のいずれかに記載のインサート成形体の製造方法。
【請求項5】
前記圧縮成形体を形成した後で、前記キャビティを外部に開放して前記圧縮成形体を取り出す前に、前記インサート材の平板面に対して垂直な方向に前記圧縮成形体に作用している圧縮力と、前記インサート材の長手方向に前記圧縮成形体に作用している圧縮力とを解除する請求項1〜4のいずれかに記載のインサート成形体の製造方法。
【請求項6】
前記インサート成形体が電子部品である請求項1〜5のいずれかに記載のインサート成形体の製造方法。
【請求項7】
前記原料が、磁性粉末と樹脂バインダとを含み、前記インサート材が導電性材料で構成してある請求項6に記載のインサート成形体の製造方法。
【請求項8】
厚みに対して平板幅が大きく長尺な平板面を持つ平板形状のインサート材が埋め込まれる圧縮成形体を製造するためのインサート成形体の製造装置であって、
前記成形体の第1面を形成するための第1面型と、
前記第1面型と垂直で、前記インサート材が挿通可能な第1挿通孔を持ち、前記成形体の第2面を形成するための第2面型と、
前記インサート材が挿通可能な第2挿通孔を持ち、前記成形体の前記第2面に対して反対側に位置する第3面を形成するための第3面型と、
前記成形体の前記第2面および第3面とは異なる第4面を形成するための第4面型と、
前記成形体の前記第4面に対して反対側に位置する第5面を形成するための第5面型と、
前記成形体の第1面の反対側に位置する第6面を形成するための第6面型と、を有し、
前記第2面型が、前記インサート材の長手方向に沿って前記第3面型に対して相対移動可能に構成してあり、
前記第4面型が前記第5面型に対して相対的に接近および離反移動可能であり、
前記第6面型は、前記インサート材の長手方向に沿って前記第2面型に対して相対的に移動可能であり、前記第6面型の移動方向の第1所定位置では、前記第1〜第6面型により囲まれたキャビティが形成可能であり、前記第6面型の移動方向の第2所定位置では、前記キャビティに原料を充填する原料供給孔が前記キャビティに連通可能になっているインサート成形体の製造装置。
【請求項9】
前記第1挿通孔および第2挿通孔は、前記インサート材の平板面が前記第4面または第5面と平行になるように前記インサート材を挿通するように構成してある請求項8に記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項10】
前記第3面型は、前記第2挿通孔を境界に分離可能な一対の分割型で構成してあり、これらの分割型は、前記第2挿通孔の幅を、前記インサート材の厚みに対応する幅から前記成形体の幅以上の幅にまで変化可能に構成してある請求項8または9に記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項11】
前記インサート材の長手方向の途中に、前記圧縮成形体を一体成形した後に、前記第2挿通孔の幅が前記成形体の幅以上の幅にまで広がるように、前記分割型を移動させ、前記成形体が一体成形された前記インサート材を長手方向に沿って移動させ、前記成形体を前記キャビティの位置から第2挿通孔を通して移動させるインサート材の長手方向送り手段をさらに有する請求項10に記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項12】
前記第2面型と第3面型との間に、成形後の成形体を重力により落とし込む程の落とし込み空間を作るように、前記第2面型を前記第3面型から相対的に引き離して移動させる駆動手段を有し、
前記第2面型および第3面型のいずれか一方には、短冊状に切断された前記インサート材を前記第2挿通孔を通して前記キャビティ内に送り込むインサート材供給手段が装着してあり、
前記第2面型および第3面型のいずれか他方には、前記落とし込み空間に向けて、前記成形体を前記インサート材の長手方向に移動させる排出手段が装着してある請求項8または9に記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項13】
前記第2面型と前記第1面型とが一体成形してある請求項8〜11のいずれかに記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項14】
前記第4面型および前記第5面型は、双方共に、前記キャビティの中心に対して、同期して接近および離反する方向に移動可能である請求項8〜13のいずれかに記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項15】
前記キャビティ内に原料が充填された状態で、前記第4面型および前記第5面型の距離を縮めて圧縮成形する際に、前記第2面型と第3面型との間の圧縮力を保持し、圧縮成形後には、前記第2面型と第3面型との間の圧縮力を解除するように動作する第2面型の押圧保持手段を有する請求項8〜14のいずれかに記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項16】
前記キャビティ内に原料が充填された状態で、前記第4面型および前記第5面型の距離を縮めて圧縮成形する際に、前記第6面型と前記第1面型との間の圧縮力を保持する第6面型の押圧保持手段を有する請求項8〜15のいずれかに記載のインサート成形体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−131768(P2010−131768A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307255(P2008−307255)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】