説明

ウエハ乾燥装置およびこれを用いたウエハ乾燥方法

本発明の目的は、ウエハの損傷を低減することができ、ガスの使用量を低減することができるウエハ乾燥装置およびこれを用いたウエハ乾燥方法を提供することである。本発明は、ウエハ乾燥装置およびこれを用いたウエハ乾燥方法に関する。当該装置は、側面に第1の回転軸が固定され、上部に移動可能な第2の回転軸が形成され、下部に第1の排水口が形成されているチャンバと、上記第1の回転軸と上記第2の回転軸に固定され、ウエハを実装するカセットが端部に固定されるチルトアームと、上記カセットにIPA/窒素ガスを供給する第1のノズルと、上記第2の回転軸を第1の方向または第2の方向に移動させるスクリューと、上記スクリューを回転させる駆動モータと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ乾燥装置およびこれを用いたウエハ乾燥方法に関し、より詳細には、ウエハの損傷を低減することができ、ガスの使用量を低減することができるウエハ乾燥装置およびこれを用いたウエハ乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハには、様々な種類があるが、半導体、LED(Light Emitting Diode)、太陽電池などの製造に用いられるウエハは、700μm以下の厚さを有する。ウエハ乾燥方式として、高熱の窒素を用いて水分を蒸発させる方式が一般的に利用されていた。しかし、このような方式を利用すると、乾燥窒素を長時間供給しなければならず、乾燥窒素によってウエハが揺動するようになり、ウエハに損傷が発生する恐れがあった。
【0003】
従来のウエハ乾燥機の動作をより具体的に説明すると、次のとおりである。まず、第1のステップにおいて、超純水が張られた浴槽内にウエハの入ったカセットを位置させ、イソプロピルアルコール(IPA)/窒素の混合ガスを噴射し、マランゴニ力(marangoni force)を用いて乾燥させる。そして、第2のステップにおいて、300〜400lpmの窒素ガスを供給することによって乾燥させる。
【0004】
このとき、第1のステップにおいて、ウエハはカセットの傾斜面に付着するが、第2のステップにおいて、非常に強い窒素ガスを供給しなければ剥がれなくなる。仮に、剥がれなくなると、乾燥がなされず、ウォーターマーク(water mark)、パーティクル(particle)が発生してしまう。
【0005】
また、ウエハの厚さが非常に薄いため、ウエハの撓み現象が発生し、これにより、ウエハ同士が接触してしまう。ウエハが接触すると、付着して再び剥ぎ取ることが困難になる。これらの問題を解決するために、ウエハ間の間隔を拡大しなければならない。したがって、単一工程で処理されるウエハの数が減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ウエハの損傷を低減することができ、ガスの使用量を低減することができるウエハ乾燥装置およびこれを用いたウエハ乾燥方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の本発明の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、側面に第1の回転軸が固定され、上部に移動可能な第2の回転軸が形成され、下部に第1の排水口が形成されているチャンバと、上記第1の回転軸と上記第2の回転軸に固定され、ウエハを実装するカセットが端部に固定されるチルトアームと、上記カセットにIPA/窒素ガスを供給する第1のノズルと、上記第2の回転軸が第1の方向または第2の方向に移動させるスクリューと、上記スクリューを回転させる駆動モータとを備えるウエハ乾燥機を提供することである。
【0008】
付加的に、上記チャンバの上部側面に純水を噴射する第2のノズルが形成され、反対側の側面に第2の排水口が形成され、上記第2のノズルから噴射される純水が上記第2の排水口を介して排出されるウエハ乾燥機を提供することである。
【0009】
上記の本発明の目的を達成するために、本発明の第2の態様は、第1の方向または第2の方向にスクリューが移動してチルトアームが傾斜するチャンバを具備し、ウエハを実装するカセットを上記チルトアームに固定させた後、上記スクリューが上記第1の方向に移動して上記カセットを純水の界面に傾斜させる第1のステップと、上記チャンバ内において純水を用いて上記ウエハを洗浄する第2のステップと、上記チャンバに純水を噴射し、上記純水の界面に浮上している異物を外部に排出する第3ステップと、上記カセットにIPA/窒素ガスを噴射し、チャンバ内の純水を排水口を介して排水して、上記ウエハを乾燥させる第4ステップと、上記スクリューを上記第2の方向に移動させ、上記カセットにIPA/窒素ガスを噴射して上記ウエハを乾燥させる第5ステップと、上記スクリューを上記第1の方向に移動させ、上記カセットにIPA/窒素ガスを噴射して上記ウエハを乾燥させる第6ステップとを含むウエハ乾燥機を用いたウエハ乾燥方法を提供することである。
【0010】
付加的に、上記第6ステップの後に、上記スクリューを上記第1の方向と上記第2の方向に移動させ、上記カセットにIPA/窒素ガスを供給して上記ウエハを乾燥させるが、上記第5ステップおよび上記第6ステップの移動距離より短く移動する第7ステップをさらに含むウエハ乾燥機を用いたウエハ乾燥方法を提供することである。
【0011】
付加的に、上記IPA/窒素ガスは、それぞれのステップごとに150〜260lpm供給されるウエハ乾燥機を用いたウエハ乾燥方法を提供することである。
【0012】
付加的に、上記IPA/窒素ガスは、80〜140lpm供給されるウエハ乾燥機を用いたウエハ乾燥方法を提供することである。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるウエハ乾燥機およびこれを用いたウエハ乾燥方法によれば、IPA/窒素の混合ガスを効果的に噴射することにより、ガスの使用量を低減することができ、ウエハ同士が接触することを低減することにより、ウエハの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)および(b)は、本発明にかかるウエハ乾燥機を示す側面図である。
【図2】(a)および(b)は、ウエハ乾燥機に採用されたノズルおよびカセットを示す図である。
【図3】本発明にかかるウエハ乾燥装置を用いてウエハを乾燥させる方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、添付した図面を参照して説明する。
【0016】
図1(a)および図1(b)は、本発明にかかるウエハ乾燥機を示す側面図である。図2(a)および図2(b)は、ウエハ乾燥機に採用されたノズルおよびカセットを示す図である。図1(a)、図1(b)、図2(a)および図2(b)を参照して説明すると、ウエハ乾燥機は、チャンバと、第1の回転軸102と、第2の回転軸106と、ノズル104と、チルトアーム101と、スクリュー105とを備える。
【0017】
チャンバの側面には第1の回転軸102が付着しており、チャンバの上部に第2の回転軸106が形成される。そして、下部に第1の排水口107が形成される。そして、チャンバの上部両側面に第2のノズルと第2の排水口が形成される。チャンバでは、洗浄液による洗浄工程と、IPAと窒素との混合ガスによる乾燥工程が行われるようになる。
【0018】
第1の回転軸102と第2の回転軸106にチルトアーム101が連結され、チルトアーム101の下端部にステージが位置し、ステージ上にカセット103が固定される。
【0019】
スクリュー105は、回転し、回転運動を直線運動に転換して前後に動く。したがって、スクリュー105に連結されている第2の回転軸106が直線運動を行うことができるようにする。スクリュー105は、駆動モータ100によって時計方向または反時計方向に回転する。
【0020】
ノズル104は、窒素が供給される供給部104bと、窒素が排出される第1のノズル104aとを具備し、図2に示すようにH形状を有する。ノズル104から供給される窒素は、ウエハ103aとカセット103のスロット部分とが付着しないようにするためのものであって、ノズル104のH形状の縦列部分に形成され、ウエハ103aとカセット103のスロットとが接触する部分に近接して形成され、ウエハ103aとカセット103のスロットとの間の空間に窒素が効果的に噴射できる。したがって、使用される窒素の量を低減することができる。
【0021】
チルトアーム101は、第1の回転軸102と第2の回転軸106によってチャンバ内に位置する。また、チルトアーム101の端にステージが形成され、ステージにウエハ103aの入ったカセット103が載せられる。このとき、カセット103は、チルトアーム101によって傾斜する。チルトアーム101の動作をより具体的に説明すると、第1の回転軸102は、チャンバに固定されており、第2の回転軸106は、チャンバの上部において、スクリュー105の動きによって図1(a)のように右側に動いたり、図1(b)のように左側に動いたりする。そして、第2の回転軸106の移動距離に応じてチルトアーム101の傾斜する角度が調整される。また、カセット103は、チルトアーム101の端に固定されているため、チルトアーム101が傾斜すると、カセット103も傾斜するようになる。カセット103は、複数のスロットが内部に形成されており、スロットにウエハ103aが位置し、カセット103内にウエハ103aが固定されるようにする。
【0022】
図3は、本発明にかかるウエハ乾燥装置を用いてウエハを乾燥させる方法を示すフローチャートである。図3を参照して説明すると、第1のステップST100は、カセット103をチルトアーム101のステージに載せる。
【0023】
第2のステップST110は、スクリュー105を回転させ、第1の方向にチルトアーム101とスクリュー105の第2の回転軸106を移動させる。このとき、第1の方向は、チャンバの右側方向である。第1の方向に第2の回転軸106が移動すると、チルトアーム101が傾斜する。チルトアーム101が傾斜すると、ウエハが重力によって一面のみがカセットのスロットに接触し、反対面は剥がれるようになる。
【0024】
第3ステップST120は、ウエハ乾燥機のチャンバ内には純水を供給し、純水でウエハ103aを洗浄する。ウエハ103aを洗浄する方法としては、予めチャンバ内に純水が張られた状態で、カセット103をチャンバ内に位置させ、ウエハ103aがチャンバ内に位置するようにする。このとき、ウエハ103aの表面にあった異物が純水の界面に浮上する。このとき、チャンバの上端左側に形成された第2のノズルから純水を放流し、チャンバの上端右側に形成された第2の排水口から純水が排水されるようにする。こうなると、純水の界面に浮上している異物が、純水とともに第2の排水口を介して外部に流出する。
【0025】
第4ステップST130は、第2のノズルと第2の排水口を閉鎖する。そして、ノズル104に形成された第1のノズル104aを介してIPA/窒素の混合ガスが排出される。また、第1の排水口107を開放し、第1の排水口107を介してチャンバ内の純水が排出される。IPAと窒素との混合ガスによってマランゴニ現象が発生し、ウエハ103aが乾燥する。このとき、チルトアーム101によってカセット103が傾斜してウエハ103aが水面と垂直でない状態になる。仮に、ウエハ103aが純水の水面と垂直に位置づけられた状態で、第1の排水口107を介して純水が排水されると、純水のウエハとウエハとの間などの圧力の差が発生し、圧力によってウエハ103aが撓み、隣接するウエハ同士が付着する。ウエハ103a同士が付着すると剥がれなくなり、剥がれたとしても、ウエハ103aに損傷が発生する。したがって、それぞれのウエハ103a間の間隔が拡大し、1回の工程で処理されるウエハ103aの数が減少するようになる。しかし、ウエハ103aが傾斜して純水の水面と垂直でない状態で、第1の排水口107を介して純水が排水されると、ウエハ103aは隣接するウエハ103aに付着しなくなる。したがって、ウエハ103aの損傷を低減することができ、1回の工程で処理されるウエハ103aの数が、傾斜しない場合に比べてより多くなる。また、IPA/窒素の混合ガスによってウエハ103aがカセット103のスロットから剥がれるようになる。したがって、ウエハ103aとカセット103のスロットとが接触する面に存在していた純水が排出される。
【0026】
第5ステップST140は、スクリュー105の回転を反対方向にし、第2の回転軸106を第2の方向に移動させる。第2の方向は、チャンバの左側方向である。この状態で、ノズル104からIPA/Nを噴射し、ウエハ103aの他面がスロットから剥がれるようにし、ウエハ103aとカセット103のスロットとが接触する面に存在していた純水が排出されるようにする。
【0027】
第6ステップST150は、スクリュー105の回転方向を時計方向と反時計方向に交互に回転させ、第2の回転軸106が第1の方向と第2の方向に交互に移動できるようにする。そうして、IPA/窒素の混合ガスが排出され続け、ウエハ103aとカセット103のスロットとの間に純水が確実に排出できるようにする。
【0028】
第7ステップST160は、スクリュー105の回転方向を時計方向と反時計方向に交互に回転させ、第2の回転軸106が第1の方向と第2の方向に交互に移動できるようにするが、スクリュー105の回転数を減少させることで、第2の回転軸106が第1の方向と第2の方向に移動する距離が減少するようにする。第2の回転軸が第1の方向と第2の方向に移動する距離が減少すると、チルトアーム101の傾斜する角度が減少し、結果的には、ウエハ103aの傾斜する角度が減少するようになる。ウエハ103aの傾斜する角度が減少しても、IPA/窒素の混合ガスによってウエハ103aが乾燥し、ウエハ103aまたはカセット103のスロットに残っている純水が減少するため、ウエハ103aがカセットのスロットから剥がれやすくなる。また、IPA/窒素の混合ガスの噴射量も少なくすることができる。
【0029】
第8ステップST170は、チャンバ内の窒素を除去する。
【0030】
第9ステップST180は、カセット103をスタンドから降ろすことで、ウエハ103aの乾燥過程を終了する。
【0031】
本発明の好ましい実施形態が特定の用語を使って記述されたが、それらの記述は単に説明するためのものであり、下記の請求の範囲の技術的思想および範囲を逸脱しない範囲内で様々な変更および変化が可能であることが理解されなければならない。
【図1(a)】

【図1(b)】

【図2(a)】

【図2(b)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に第1の回転軸が固定され、上部に移動可能な第2の回転軸が形成され、下部に第1の排水口が形成されているチャンバと、
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸に固定され、ウエハを実装するカセットが端部に固定されるチルトアームと、
前記カセットにIPA/窒素ガスを供給する第1のノズルと、
前記第2の回転軸を第1の方向または第2の方向に移動させるスクリューと、
前記スクリューを回転させる駆動モータと、
を備えることを特徴とするウエハ乾燥機。
【請求項2】
前記チャンバの上部側面に純水を噴射する第2のノズルが形成され、反対側の側面に第2の排水口が形成され、前記第2のノズルから噴射される純水が前記第2の排水口を介して排出される、ことを特徴とする請求項1に記載のウエハ乾燥機。
【請求項3】
第1の方向または第2の方向にスクリューが移動してチルトアームが傾斜するチャンバを具備し、ウエハを実装するカセットを前記チルトアームに固定させた後、前記スクリューが前記第1の方向に移動して前記カセットを純水の界面に傾斜させる第1のステップと、
前記チャンバ内において純水を用いて前記ウエハを洗浄する第2のステップと、
前記チャンバに純水を噴射し、前記純水の界面に浮上している異物を外部に排出する第3ステップと、
前記カセットにIPA/窒素ガスを噴射し、チャンバ内の純水を排水口を介して排水して、前記ウエハを乾燥させる第4ステップと、
前記スクリューを前記第2の方向に移動させ、前記カセットにIPA/窒素ガスを噴射して、前記ウエハを乾燥させる第5ステップと、
前記スクリューを前記第1の方向に移動させ、前記カセットにIPA/窒素ガスを噴射して、前記ウエハを乾燥させる第6ステップと、
を含むことを特徴とするウエハ乾燥機を用いたウエハ乾燥方法。
【請求項4】
前記第6ステップの後に、前記スクリューを前記第1の方向と前記第2の方向に移動させ、前記カセットにIPA/窒素ガスを供給して前記ウエハを乾燥させる第7のステップであって、前記第5ステップおよび前記第6ステップの移動距離よりも短い距離を移動させる前記第7ステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項3に記載のウエハ乾燥機を用いたウエハ乾燥方法。
【請求項5】
前記IPA/窒素ガスは、それぞれのステップごとに150〜260lpm供給される、ことを特徴とする請求項3に記載のウエハ乾燥機を用いたウエハ乾燥方法。
【請求項6】
前記IPA/窒素ガスは、80〜140lpm供給される、ことを特徴とする請求項4に記載のウエハ乾燥機を用いたウエハ乾燥方法。

【図3】
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【公表番号】特表2012−533173(P2012−533173A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519478(P2012−519478)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004484
【国際公開番号】WO2011/005055
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512007432)
【氏名又は名称原語表記】APET
【Fターム(参考)】