説明

ウエハ搬送ロボット

【課題】ウエハの供給能力の高いウエハ搬送ロボットを提供する。
【解決手段】ウエハ搬送ロボット1は、移動可能な本体5と、本体5に設けられ、末端にウエハ20を保持できるハンド19を備えるロボットアーム7と、本体5に設けられ、ウエハ20を保持可能な吸着パッド14を備えるアライナ6とを有し、アライナ6は、吸着パッド14を本体5に対して垂直方向および水平方向に移動可能、且つ、水平軸周りに回転可能であり、吸着パッド14の昇降によってハンド19との間でウエハ20を受け渡し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ搬送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置にウエハを供給するウエハ搬送ロボットは、例えば特許文献1に記載されているように、ウエハ収納容器からウエハをハンドで保持して取り出し、アライメントユニットにウエハを搬送し、ハンドに対するウエハの位置と向きとを調整し、半導体製造装置に供給する。
【0003】
半導体製造装置などの構成によっては、ウエハ搬送ロボット自体がウエハ収納容器の前からアライメントユニットの前へと移動して、さらに半導体製造装置の前へと移動する必要がある。このようなウエハ搬送ロボットの移動は、高速に行うことができず、ウエハの供給枚数が限られてしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2003−188228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記問題点に鑑みて、本発明は、ウエハの供給能力の高いウエハ搬送ロボットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明によるウエハ搬送ロボットは、移動可能な本体と、前記本体に設けられ、末端にウエハを保持できるハンドを備えるロボットアームと、前記本体に設けられ、ウエハを保持可能なヘッドを備えるアライナとを有し、前記アライナは、前記ヘッドを前記本体に対して垂直方向および水平方向に移動可能、且つ、垂直軸周りに回転可能であり、前記ヘッドの昇降によって、前記ハンドと前記ヘッドとの間でウエハを受け渡し可能なものとする。
【0006】
この構成によれば、ハンドで保持して取り出したウエハを、本体の移動中に、アライナのヘッドに受け渡すことができる。さらに、センサによりヘッドが保持するウエハの中心位置と向きとを検出してから、本体の移動中に、ヘッドを回転および水平方向に移動することで、ウエハをハンドに対して所定位置および所定方向に正確に位置決めして受け渡すことができる。
【0007】
また、本発明のウエハ搬送ロボットにおいて、前記本体は、水平に回転可能であり、前記ロボットアームは、それぞれ垂直な軸で連接された複数のリンクからなり、前記ハンドを所定の水平方向に直線的に進退させることができ、前記ヘッドは、ウエハを吸着できる吸着パッドであり、前記アライナは、前記ヘッドを上昇させることで、前記ハンドに保持されたウエハを前記ハンドから持ち上げて受け取り、前記ヘッドを下降させることで、ウエハを前記ハンド上に載置して受け渡してもよい。
【0008】
この構成によれば、アームの構成が簡単であり、アームが動作するときは、アームと干渉しないようにヘッドを下降させておくことができる。
【0009】
また、本発明のウエハ搬送ロボットにおいて、前記アームの原点における前記ハンドのウエハ把持の中心が、前記アライナの前記本体に対する原点の真上に位置してもよい。
【0010】
この構成によれば、ハンドとヘッドとの間でのウエハの受け渡しのための位置決めが容易である。
【0011】
また、本発明のウエハ搬送ロボットにおいて、前記本体に、前記ヘッドが保持するウエハのエッジを検出できるセンサをさらに備えてもよい。
【0012】
この構成によれば、ウエハ搬送ロボットは、ハンドに保持されているウエハの位置と向きとを調整するために、他の設備を必要としない。このため、ウエハ搬送ロボットがウエハを受け取ってから製造装置などに受け渡すまでの間に本体が移動する距離が短く、受け渡しのサイクルが短く、供給能力が高い。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ウエハ搬送ロボットの本体に、ウエハの正確な位置決めを行うアライナを設けたので、本体の移動中にウエハの位置決めをすることができ、ウエハの供給能力が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の第1実施形態のウエハ搬送ロボット1を示す。ウエハ搬送ロボット1は、走行ガイド2上で水平移動する走行架台3の上に設置されている。
【0015】
ウエハ搬送ロボット1は、走行架台3に固定されたベース4上で垂直軸周りに水平回転可能であり、且つ、ベース4に対して垂直方向に昇降可能な本体5を有する。本体5は、その内部にアライナ6を備え、上部に2つのロボットアーム7を備える。
【0016】
アライナ6は、本体5に固定されたベース8に対して垂直(Z方向)に摺動可能に取り付けられ、不図示の送りねじで上下位置が定められるZフレーム9と、Zフレーム9に水平方向(Y方向)に摺動可能に取り付けられ、送りねじ10で位置決めされるYフレーム11と、Yフレーム11にYフレーム11の可動方向と直角な水平方向(X方向)に摺動可能に取り付けられ、送りねじ12で位置決めされるXフレーム13と、Xフレーム13の上に固定され、上端に吸着パッドからなるヘッド14を垂直な軸周りに回転可能に保持する回転ユニット15とを有する。また、ウエハ搬送ロボット1は、吸着パッド14に吸引力を与える真空ポンプ(不図示)を有する。
【0017】
ロボットアーム7は、それぞれ、本体5に対して水平に揺動する第1リンク16と、第1リンク16に対して水平に揺動する第1リンク16と同じ長さの第2リンク17と、第2リンク17に対して水平に揺動する第3リンク18と、第3リンク18取り付けられ、ウエハを保持できるハンド19とからなる。
【0018】
第2リンク17は、第1リンク16に対して、第1リンク16の本体5に対する揺動角度の2倍揺動し、第3リンク18は、第2リンク17に対して、第1リンク16の本体5に対する揺動角度と同じだけ揺動する。これにより、ロボットアーム7は、図2に示すように、ハンド19をY方向に突出または後退させることができる。
【0019】
2つのロボットアーム7のハンド19は、各ロボットアーム7を原点復帰した状態で、アライナ6のヘッド14の中心位置の真上に、把持するウエハ20の設計上の中心が位置するように、互いに重なり合うように保持される。これら2つのロボットアーム7は、それぞれ独立して動作可能である。
【0020】
ウエハ20は、円板型に形成されているが、その結晶の方位を示すために、1箇所だけ小さなノッチが形成されている。
【0021】
図3に示すように、ハンド19にウエハ20を保持し、ロボットアーム7を原点に復帰させ、アライナ6のZフレーム9を上昇させると、回転ユニット15が本体5の上部の開口から突出し、吸着パッド14がハンド19の上に保持されたウエハ20を吸着する。さらに、Zフレーム9が上昇すると、吸着パッド14がウエハ20をハンド19から持ち上げて受け取ることができる。また、この状態から、Zフレーム9を下降すると、吸着パッド14は、ウエハ20をハンド19の上に載置して受け渡すことができる。
【0022】
図4および5に、ウエハ搬送ロボット1を用いた半導体製造設備の概要を示す。ウエハ20は、収納容器21に収容されて供給される。ウエハ搬送ロボット1は、走行ガイド2上で移動し、本体5を回転して、収納容器21に正対する。ウエハ搬送ロボット1は、ロボットアーム7を伸ばして、ハンド19を収納容器21に差し入れ、ハンド19にウエハ20を把持し、ロボットアーム7を原点復帰させることでハンド19を引き戻し、ウエハ20を収納容器21から取り出す。
【0023】
ウエハ搬送ロボット1は、センサ22に正対する位置に移動するが、移動中に、アライナ6が吸着パッド14を上昇させ、ハンド19からウエハ20を吸着パッド14に受け渡す。ウエハ搬送ロボット1がセンサ22に正対したなら、回転ユニット15により、吸着パッド14を保持しているウエハ20とともに回転させる。ウエハ20の回転中、センサ22は、ウエハ20のエッジを検出する。これにより、ウエハ20のノッチの位置および水平方向の偏芯量を算出する。
【0024】
アライナ6は、検出したノッチの位置に応じて、回転ユニット15を駆動し、ノッチが所定の方向を向くように、ウエハ20を回転位置決めする。同時に、アライナ6は、検出した偏芯量を相殺するように、Xフレーム13およびYフレーム11を、送りねじ12,10で移動させる。こうして、アライナ6は、ウエハ20の向きを所定の向きに調整し、ウエハ20の中心をハンド19の保持中心に正確に位置決めする。そして、アライナ6は、Zフレームを下降させることで、吸着パッド14を下降させ、ウエハ20をハンド19の上に載置して受け渡す。吸着パッド14は、本体5の中に収容され、ロボットアーム7の動作に干渉しないようになる。
【0025】
このとき、ウエハ搬送ロボット1は、アライナ6でウエハ20の位置決めおよびハンド19への受け渡しを行いながら、走行ガイド2に沿って移動して加工前室23に正対する。ハンド19にウエハ20を位置決めして保持したウエハ搬送ロボット1は、ロボットアーム7を伸ばして、ウエハ20を加工前室23内の所定位置に所定の向きで供給する。
【0026】
加工前室23に供給されたウエハ20は、プロセス装置24に運ばれて加工がなされ、加工されたウエハ20は、加工後室25に排出される。ウエハ搬送ロボット1は、加工後室25の正面に移動し、ロボットアーム7を伸ばして、排出されたウエハ20を保持し、ロボットアーム7を原点に引き戻してウエハ20を取り出す。ウエハ搬送ロボット1は、取り出したウエハ20を保持したまま収納容器26に正対し、ロボットアーム7を伸ばして、ウエハ20を収納容器26に収納する。
【0027】
ウエハ搬送ロボット1は、収納容器21に正対する位置から、センサ22に正対する位置に移動する間に、ハンド19から吸着パッド14にウエハ20を受け渡すので、センサ22の前に停止すると同時にウエハ20のエッジの検出を開始することができる。また、ウエハ搬送ロボット1は、センサ22でウエハ20の向きと偏芯量を検出終えた瞬間に、加工前室23に向かって移動を開始し、同時に、ウエハ20の位置を調整してハンド19に受け渡す。つまり、ウエハ搬送ロボット1は、移動しながら、ウエハ20の受け渡しやウエハの位置と向きとを調整するので、本体5が静止しなければならない時間が短く、その分、より多くのウエハ20を搬送することができる。
【0028】
図6に、本発明の第2実施形態のウエハ搬送ロボット1を示す。本実施形態の説明において、第1実施形態と同じ構成要素には、同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態のウエハ搬送ロボット1は、ウエハ20のエッジを検出するセンサ22を、本体5から延伸するブラケット27に保持している。センサ22は、ロボットアーム7が原点にあるときにハンド19に保持するウエハ20のエッジを検出できるようになっている。
【0029】
本実施形態では、保持ハンド19画保持するウエハ20をロボットアーム7を原点に復帰させることでセンサ22の有効範囲に配置する。そして、アライナ6が吸着パッド14を上昇させてハンド19からウエハ20を受け取り、センサ22の有効範囲内で、ハンド19から持ち上げる。この状態で、回転ユニット15により吸着パッド14を回転し、センサ22により、ウエハ20の偏芯量および結晶方位を確認する。この検出結果に基づいて、アライナ6は、ウエハ20の偏芯を補正し、ウエハ20の結晶方位を所定の向きに定めてから、ハンド19に受け渡す。
【0030】
本実施形態のウエハ搬送ロボット1は、以上のウエハ20の偏芯量および結晶方位を確認、および、ウエハ20の位置と向きとの調整を走行ガイド2上で水平移動することなく実行可能である。また、ウエハ搬送ロボット1は、前工程から後工程へと水平移動しながらウエハ20の位置と向きとの調整をすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態のウエハ搬送ロボットの部分破断斜視図。
【図2】図1のウエハ搬送ロボットのロボットアームの動作を示す平面図。
【図3】図1のウエハ搬送ロボットの吸着パッド上昇時を示す斜視図。
【図4】図1のウエハ搬送ロボットを用いた半導体製造設備の平面図。
【図5】図4の半導体製造設備の立面図。
【図6】本発明の第1実施形態のウエハ搬送ロボットの斜視図。
【符号の説明】
【0032】
1 ウエハ搬送ロボット
2 走行ガイド
5 本体
6 アライナ
7 ロボットアーム
8 ベース
9 Zフレーム
10 送りねじ
11 Yフレーム
12 送りねじ
13 Xフレーム
14 吸着パッド(ヘッド)
15 回転ユニット
16 第1リンク
17 第2リンク
18 第3リンク
19 ハンド
20 ウエハ
22 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な本体と、
前記本体に設けられ、末端にウエハを保持できるハンドを備えるロボットアームと、
前記本体に設けられ、ウエハを保持可能なヘッドを備えるアライナとを有し、
前記アライナは、前記ヘッドを前記本体に対して垂直方向および水平方向に移動可能、且つ、垂直軸周りに回転可能であり、
前記ヘッドの昇降によって、前記ハンドと前記ヘッドとの間でウエハを受け渡し可能であることを特徴とするウエハ搬送ロボット。
【請求項2】
前記本体は、水平に回転可能であり、
前記ロボットアームは、それぞれ垂直な軸で連接された複数のリンクからなり、前記ハンドを所定の水平方向に直線的に進退させることができ、
前記ヘッドは、ウエハを吸着できる吸着パッドであり、
前記アライナは、前記ヘッドを上昇させることで、前記ハンドに保持されたウエハを前記ハンドから持ち上げて受け取り、前記ヘッドを下降させることで、ウエハを前記ハンド上に載置して受け渡すことを特徴とする請求項1に記載のウエハ搬送ロボット。
【請求項3】
前記アームの原点における前記ハンドのウエハ把持の中心が、前記アライナの前記本体に対する原点の真上に位置することを特徴とする請求項2に記載のウエハ搬送ロボット。
【請求項4】
前記本体に、前記ヘッドが保持するウエハのエッジを検出できるセンサをさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のウエハ搬送ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−21504(P2009−21504A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184551(P2007−184551)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(390000594)隆祥産業株式会社 (64)
【Fターム(参考)】