ウオーキングビーム式熱処理装置
【課題】 第1ビームおよび第2ビームの協働によって搬送される基板のずれや脱落が好適に防止されるウオーキングビーム式熱処理装置を提供する。
【解決手段】 ウオーキングビーム式熱処理装置10によれば、共通の基板16を協働して搬送するための固定ビーム(第1ビーム)20および可動ビーム(第2ビーム)22のうちの外側に位置する固定ビーム20に、その固定ビーム20により支持された基板16の側縁に係合してその基板16を案内する横方向案内突起74が備えられているので、固定ビーム20および可動ビーム22の協働によって搬送される基板16のずれや脱落が好適に防止される。
【解決手段】 ウオーキングビーム式熱処理装置10によれば、共通の基板16を協働して搬送するための固定ビーム(第1ビーム)20および可動ビーム(第2ビーム)22のうちの外側に位置する固定ビーム20に、その固定ビーム20により支持された基板16の側縁に係合してその基板16を案内する横方向案内突起74が備えられているので、固定ビーム20および可動ビーム22の協働によって搬送される基板16のずれや脱落が好適に防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板などの基板を熱処理するためのウオーキングビーム式熱処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板などの基板を熱処理する熱処理炉内でウオーキングビームを用いて搬送するためのウオーキングビーム式基板搬送装置を備えた熱処理装置が知られている。このような熱処理装置では、乾燥或いは焼成を行う熱処理炉内で基板を搬送し、基板の表面(上面)および/または裏面(下面)に膜材料を固着形成処理するなどのための熱処理が施される。たとえば、特許文献1或いは特許文献2に記載されたものがそれである。
【特許文献1】特開2003−176011号公報
【特許文献2】特開2004−18122号公報
【0003】
上記ウオーキングビーム式基板搬送装置を備えた熱処理装置では、通常、炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、基板と接触してそれを支持するために第1ビームおよび第2ビームから上向きに突設された複数個の支持ピンとが備えられ、第1ビームと第2ビームとの間で受け渡しがされることによって基板が搬送されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送中の基板は第1ビームおよび第2ビームによって交互に支持されつつそれが繰り返されることにより、加熱炉の出口に向かって搬送されるのであるが、駆動機構の振動が伝達されて、第1ビームおよび/または第2ビームにビビリや振動が発生し、第1ビームまたは第2ビーム上に載置される基板にずれが生じる場合があり、そのずれが大きくなると脱落する可能性があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、第1ビームおよび第2ビームの協働によって搬送される基板の蛇行或いはずれや脱落が好適に防止されるウオーキングビーム式熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、それら第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、基板を協働して搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの外側に位置するビームに、そのビームにより支持された基板の側縁に係合してその基板を案内する横方向案内突起を備えたことにある。
【0007】
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、請求項1に係る発明において、前記横方向案内突起は、前記基板の側縁を案内するために、外側に向かうほど上側へ向かうように傾斜させられたものであることにある。
【0008】
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項1または2に係る発明において、前記基板をその下面から支持するために上側へ突き出す複数の支持突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものであることにある。
【0009】
また、請求項4に係る発明の要旨とするところは、請求項3に係る発明において、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方から上側へ突き出す複数の支持突起は、該第1ビームおよび第2ビームの長手方向に直交する断面において側方へ傾斜したものであることにある。
【0010】
また、請求項5に係る発明の要旨とするところは、請求項3または4に係る発明において、前記横方向案内突起は、前記支持突起から分岐させられたものである。
【0011】
また、請求項6に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至5のいずれかの発明において、前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほど該基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものである。
【0012】
また、請求項7に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至6のいずれかに係る発明において、(a) 前記第1ビームは位置固定に設けられた固定ビームであり、(b) 前記第2ビームは該固定ビームに対して相対移動可能に設けられた可動ビームであり、(c) 協働して前記基板を搬送させるために、前記固定ビームに対して炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とを前記可動ビームに交互に行わせる搬送装置をさらに備え、(d) その搬送装置は、前記可動ビームに上下方向の往復運動を与えるための上下カムと該可動ビームに炉長方向の往復運動を与えるための前後カム50とが固定されて回転可能に設けられたカム軸と、そのカム軸を単一の伝動部材を介して回転駆動する単一の回転駆動源とを、含むものである。
【0013】
また、請求項8に係る発明の要旨とするところは、請求項7に係る発明において、前記搬送装置は、(a) 前記加熱炉の入口側において昇降可能に設けられ、前記可動ビームの入口側端部を長手方向の移動可能に支持する入口側昇降プレートと、(b) その入口側昇降プレートに上下動を伝達するために該入口側昇降プレートと作動的に連結された入口側上下レバーと、(c) 前記加熱炉の出口側において昇降可能に設けられ、前記可動ビームの出口側端部を長手方向の移動可能に支持する出口側昇降プレートと、(d) その出口側昇降プレートに上下動を伝達するために該出口側昇降プレートと作動的に連結された出口側上下レバーと、(e) 前記入口側上下レバーと出口側上下レバーとに作動的に連結された、前記加熱炉の炉長よりも長い長手状のリンクとを、含み、(f) 前記入口側上下レバーまたは出口側上下レバーが前記上下カムにより直接回動させられることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る発明の要旨とするところは、炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、該第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、協働して基板を搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの少なくとも一方に、前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほど該基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起を備えたことにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明のウオーキングビーム式熱処理装置によれば、炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、それら第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、基板を協働して搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの外側に位置するビームに、そのビームにより支持された基板の側縁に係合して該基板を案内する横方向案内突起が備えられているので、第1ビームおよび第2ビームの協働によって搬送される基板の蛇行或いはずれや脱落が好適に防止される。
【0016】
また、請求項2に係る発明では、前記横方向案内突起は、前記基板の側縁を案内するために、外側に向かうほど上側へ向かうように傾斜させられたものであることから、基板が下降するときにその横ずれがその傾斜によって戻されるので、搬送される基板のずれや脱落が一層好適に防止される。
【0017】
また、請求項3に係る発明では、前記基板をその下面から支持するために上側へ突き出す複数の支持突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものであることから、基板の下面は支持突起を介して小面積で支持されるので、基板の下面に設けられる電極パターンなどとの干渉が少なくなるとともに、加熱処理中で支持部材との接触に起因して発生する基板の接触痕(曇り)の発生が好適に防止される。また、基板の下面は支持突起を介して小面積で支持されるので、加熱時間が一層短縮される。
【0018】
また、請求項4に係る発明では、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方から上側へ突き出す複数の支持突起は、該第1ビームおよび第2ビームの長手方向に直交する断面において側方へ傾斜したものであることから、基板の下面に配設された電極パターンなどと干渉しないように設定することができる。
【0019】
また、請求項5に係る発明では、前記横方向案内突起は、前記支持突起から分岐させられたものであることから、支持突起および横方向案内突起のビームに対する取付構造が共通となる利点がある。
【0020】
また、請求項6に係る発明では、前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほど該基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものであるので、基板相互の搬送方向における相互位置が定められ、基板の搬送方向におけるずれや、相互の干渉が好適に防止される。
【0021】
また、請求項7に係る発明では、可動ビームに上下方向の往復運動を与えるための上下カムと該可動ビームに炉長方向の往復運動を与えるための前後カム50とが固定されて回転可能に設けられたカム軸が、単一の伝動部材を介して単一の駆動源により回転駆動されるので、ギヤボックスなどを介してカム軸が回転駆動される場合に比較して、ビビリや振動が可動ビームに発生することが好適に防止される。
【0022】
また、請求項8に係る発明では、前記搬送装置において、単一の駆動源からカム軸までの部品点数が、伝動部材が1つのみであって極力少なくされ、入口側昇降プレートに作動的に連結された入口側上下レバーと出口側昇降プレートに作動的に連結された出口側上下レバーとが加熱炉の炉長よりも長い長手状のリンクとにより連結されていることから、入口側上下レバーの回動と出口側上下レバーの回動との一方から他方へそのまま伝達されるので、ギヤボックスやそれにより回転方向が変換されたシャフトを用いて出口側へ駆動力を伝達する場合に比較して、ビビリや振動が可動ビームに発生することが好適に防止される。
【0023】
また、請求項9に係る発明の要旨では、炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、該第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、協働して基板を搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの少なくとも一方に、前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほどその基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起を備えたことにあることから、搬送方向において基板の位置が搬送方向案内突起により自己修正されるので、基板の蛇行或いはずれや脱落が好適に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ここで、好適には、前記ウオーキングビーム式熱処理炉の第1ビームおよび第2ビームは、一方が固定されて他方が移動させられる形式のものであってもよいし、両方が移動させられる形式のものであってもよい。両方が移動させられる形式では、上下方向の移動ストロークの上昇端が同一高さとされ、その上昇端で基板の受け渡しが行われるようにすると、基板の上限移動が抑制されて都合がよい。
【0025】
また、好適には、前記第1ビームおよび/または第2ビームを構成する管状部材は、断面円形のみならず、長円または楕円形、三角形、四角形などの多角形であってもよい。
【0026】
また、前記横方向案内突起は、好適には、前記基板の側縁に少なくとも1つが接触可能な間隔で前記外側に位置するビームに配設される。
【0027】
また、好適には、前記第1ビームおよび/または第2ビームのうちの少なくとも一部は、透明なセラミックスから構成される。この場合には、透明なセラミックスを通して加熱体からの輻射エネルギが基板の裏面へ到達できるので、従来のウオーキングビーム式熱処理装置に比較して、均一に急速加熱することが容易となり、立ち上がり時間或いは加熱処理時間が短縮される。この結果、熱処理が基板の特性に影響を与えることが可及的に少なくされる。
【0028】
上記第1ビームおよび/または第2ビームのうちの少なくとも一部を構成する透明なセラミックスにおいて、透明とは、加熱体からの輻射エネルギがその透明なセラミックスを通過して基板の下面に到達してその基板の均一加熱や急速加熱に寄与できる程度の透過率である。たとえば、近赤外線を放射する加熱体が用いられる場合は、その近赤外線が基板の下面に到達して基板の均一加熱や急速加熱に寄与できる程度に透過できる透明性を意味するので、たとえば加熱に用いない他の波長である可視光において白濁していても問題はない。基板を輻射加熱するための加熱体からの放射波長を基準として定められる。
【0029】
また、前記透明なセラミックスにおいて、セラミックスとは、熱処理を経て作られた非金属無機質の固体材料であって、珪酸塩鉱物、或いは各種の金属酸化物や非酸化物を原料とする耐熱ガラス、たとえばアルミナ、チタニアなどのニューセラミックス、可視光で白濁している結晶化石英、可視光で透明な石英などを含む。
【0030】
また、好適には、前記第1ビームおよび/または第2ビーム、或いは管状部材の一部とは、その全長のうち加熱炉内において輻射加熱により相対的に高温とされる部分、或いは加熱炉内での輻射エネルギによる輻射加熱により所定温度以上の加熱処理が行われる部分を示す。第1ビームおよび第2ビームの一方或いは両方において、たとえば、その全長のうち加熱炉内において輻射加熱により相対的に高温とされる部分が透明なセラミックスから構成されていればよいのである。また、第1ビーム或いは第2ビームのみが透明なセラミックスから構成されていても一応の効果が得られる。
【0031】
また、好適には、前記第1ビームおよび/または第2ビームは、互いに平行な一対の管状部材からそれぞれ構成され、それら一対の管状部材の長手方向において少なくとも一部が透明な石英管から構成される。この場合には、軽量であり且つ剛性が高く、しかも安価な管状部材が用いられる利点がある。また、上記一対の管状部材の一部、たとえば全長のうち加熱炉内において相対的に高温とされる部分すなわち加熱炉内での輻射エネルギによる加熱部分が透明な石英管から構成される場合には、一層安価となる。
【0032】
また、好適には、前記第1ビームは、前記加熱炉に対して位置固定に設けられた固定ビームであり、前記第2ビームは、前記加熱炉に対して相対移動可能に設けられた可動ビームである。この場合には、ウオーキングビーム式熱処理装置のビーム駆動機構が簡単となる。
【0033】
また、好適には、前記加熱炉は、搬送される前記基板の上面および下面から所定距離離隔した位置に配置された複数の近赤外線放射体を備える。この場合には、近赤外線放射体から放射される近赤外線が前記透明セラミックスを透過することにより、基板の上面および下面が均一に加熱される。また、透明なセラミックスを通して近赤外線放射体からの近赤外線輻射エネルギが基板の裏面へ到達できるので、速やかに基板を加熱することができる。
【0034】
また、好適には、前記加熱炉は、炉壁の天井から下方へ突き出す隔壁により分割された複数の加熱室と、前記炉壁の該加熱室の天井を構成する部分に接続された排気管とを備える。この場合には、基板の表面に塗布された膜材料から発生した排気が近赤外線放射体と基板との間に滞留することが抑制され、加熱効率が高められる。
【0035】
また、好適には、前記加熱炉の炉壁はセラミック繊維が厚板状に成形されたセラミックファイバーボードから構成され、そのセラミックファイバーボードの表面のうち少なくとも内壁面側にはシリカ系コーティングが施される。この場合には、セラミックファイバーボードからの粉塵の発生が防止され、クリーン度が高められる利点がある。
【0036】
また、好適には、前記加熱体は、近赤外線を主として放射するハロゲンヒータが好適に用いられるが、それを含む波長或いはそれ以外の波長たとえば遠赤外線、可視光を放射する加熱体であってもよい。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、発明の具体例を説明する目的の範囲で、図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【0038】
図1は、本発明の一実施例のウオーキングビーム式熱処理装置10を示す側面図である。図1において、ウオーキングビーム式熱処理装置10は、フレーム(機枠)12によって所定の高さ位置に固定されたトンネル状の加熱炉14と、その加熱炉14内を通して基板16を加熱炉14の入口側から出口側へ順次搬送するための搬送装置18とを備えている。基板16は、たとえば太陽電池基板などの半導体基板であり、矩形たとえば150乃至200mmの正方形である。基板16は、たとえばその表面および裏面に印刷された電極材料ペーストなどの膜材料を熱処理により焼成し固着して電極層とするために熱処理される。
【0039】
搬送装置18は、両端部がフレーム12により支持されたビーム(梁)状の第1ビームすなわち複数本の固定ビーム20と第2ビームすなわち複数本の可動ビーム22とを備え、それら固定ビーム20および可動ビーム22の炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とを交互に行うことによって、すなわち可動ビーム22が固定ビーム20に対して、上昇運動、前進運動、下降運動、後退運動を繰り返し行うことにより、固定ビーム20と可動ビーム22との間の受け渡しを行って基板16を加熱炉14の出口へ向かって搬送する。
【0040】
上記固定ビーム20および可動ビーム22は、基板16の下面を加熱するための輻射線が透過するように、その全長が透明な石英管から構成されている。しかし、基板16の輻射加熱に必要な部分だけ透明石英管とし、他はスレンレス鋼などの金属管材から構成されてもよい。要するに、この固定ビーム20および可動ビーム22のうちの長手方向の一部たとえば加熱炉14内で輻射加熱を受ける部分すなわちその炉体内に位置して400度以上の輻射加熱を受ける部分のみが透明な石英管から構成されてもよい。
【0041】
図2、図3および図4は、搬送装置18の要部を詳しく示す図であって、図2は入口側の側面視縦断面図、図3は出口側部分の側面視縦断面図、図4は、入口側部分の横断面図である。
【0042】
前記搬送装置18は、加熱炉14の入口側および出口側においてフレーム12に複数個(本実施例では4個)固設されたガイドブッシュ24に上下方向に案内される複数本(本実施例では4本)のガイドロッド26を備えることによりそれぞれ昇降可能に設けられた入口側昇降プレート28および出口側昇降プレート30と、それら入口側昇降プレート28および出口側昇降プレート30上にそれぞれ設けられた入口側ガイドレール32および出口側ガイドレール34によって加熱炉14の長手方向すなわち基板16の搬送方向(炉長方向)にそれぞれ案内され、可動ビーム22の両端部を支持する入口側可動部材36および出口側可動部材38と、単一の伝動部材であるタイミングベルト42を介して単一の回転駆動源である減速機付モータ44により回転駆動されるカム軸46に固定された上下カム48および前後カム50と、その上下カム48の外周面であるカム面に接触するカムホロア52が固設されることによりその上下カム48のカム曲線に従って往復回動させられる入口側上下レバー54と、入口側上下レバー54の上下運動を伝達するためにその入口側上下レバー54と入口側昇降プレート28とを連結するリンク56と、出口側昇降プレート30とリンク58を介して連結された出口側上下レバー60と、その上下レバー60に入口側上下レバー54の回動運動を伝達するために、入口側上下レバー54の回動軸と出口側上下レバー60の回動軸との間に連結された第1リンク62、第2リンク64、第3リンク66と、前記前後カム50の外周面であるカム面に接触するカムホロア68が固設されることによりその前後カム50のカム曲線に従って往復回動させられる前後レバー70と、前後レバー70の前後方向の運動を伝達するためにその前後レバー70との入口側可動部材36との間を連結するリンク72とを備えている。
【0043】
上記搬送装置18では、単一の減速機付モータ44からカム軸46までの部品点数が、単一のタイミングベルト42のみであって極力少なくされ、前記可動ビーム22の入口側端部及び出口側端部は、上記入口側昇降プレート28および出口側昇降プレート30によって、その長手方向の移動が可能に支持され、出口側上下レバー60を駆動するために入口側上下レバー54とともに回動する第1リンク62と出口側の上下レバー60とともに回動する第3リンク66とが、炉体80の全長よりも長い長手状の第2リンク64によって連結され、入口側上下レバー54の回動が出口側上下レバー60にそのまま伝達され、入口側上下レバー54が上下カム48により直接回動させられるので、ギヤボックスやそれにより回転方向が変換されたシャフトを用いて出口側へ駆動力を伝達する場合に比較して、ビビリや振動が可動ビーム22に発生することが好適に防止されている。
【0044】
図5および図6に示すように、本実施例では、共通の基板16を協働して搬送するために一対の固定ビーム20の間に一対の可動ビーム22が配置されており、基板16がその一対の固定ビーム20または一対の可動ビーム22に支持されるようになっている。一対の固定ビーム20の中心軸間距離は基板16の横方向の寸法(辺)と同等以下に設定されており、一対の可動ビーム22はの中心軸間距離は一対の固定ビーム20の中心軸間距離の1/3程度に設定されている。そして、本実施例では、搬送中の基板16の横方向位置を保持するために、外側に向かうほど上側へ向かうように傾斜したピン状の横方向案内突起74が、上記一対の固定ビーム20において、基板16の側縁に少なくとも1つが係合可能となる間隔で、基板16の長手方向において複数個突設されている。上記横方向案内突起74は、一対の固定ビーム20において先端に向かうほど搬送方向に直交する横方向の相互間隔が増加するように一対の固定ビーム20において対を成すように設けられており、基端の相互間隔は上記基板16の横方向の寸法(辺)と同等以上に設定されている。
【0045】
また、図7に示すように、本実施例では、搬送中の基板16の搬送方向(炉長方向)の相互間隔を保持するために、先端に向かうほど相互間隔が開くように傾斜した対を成すピン状の搬送方向案内突起76が、一対の可動ビーム22において、基板16の前後(搬送)方向の寸法(辺)と同等以上の間隔で、可動ビーム22の長手方向において複数対突設されている。一対の搬送方向案内突起76と他の一対の搬送方向案内突起76とは、基板16の前後(搬送)方向の寸法よりも充分小さい寸法に設定されている。すなわち、上記一対の搬送方向案内突起76は、基板16を搬送方向において位置決めするためにその基板16の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほどその基板16から離れる方向に傾斜するように設けられている。このような搬送方向案内突起76は、たとえば図5の破線に示すように、固定ビーム20にも設けられてもよい。
【0046】
このように構成された搬送装置18においては、減速機付モータ44により上下カム48および前後カム50が回転駆動されると、上下カム48のカム面の曲線に従って入口側上下レバー54および出口側上下レバー60とが同期して往復回動し、それに連結された入口側昇降プレート28および出口側昇降プレート30とが同時に昇降させられると、それら入口側昇降プレート28および出口側昇降プレート30により両端部が間接的に支持された可動ビーム22が昇降運動させられる。同時に、前後カム50のカム面の曲線に従って前後レバー70が往復回動し、それに連結された入口側可動部材36およびそれに一端部が支持された可動ビーム22、その他端部を支持する出口側可動部材38が炉長(前後)方向に往復復動させられる。これらの昇降運動と炉長方向の往復復動との組み合わせによって、可動ビーム22の上昇運動、前進運動、下降運動、後退運動が順次且つ繰り返し行われるので、固定ビーム20に支持された基板16を可動ビーム22が受け取って所定ストロークだけ前方へ繰り返し移動させ、固定ビーム20および可動ビーム22の協働により基板16が加熱炉14の出口へ向かって順次搬送される。
【0047】
図5は、可動ビーム22が固定ビーム20に対して下降させられた状態であり、可動ビーム22はこの下降区間で後退させられる。図6は、可動ビーム22が固定ビーム20に対して上昇させられた状態であり、可動ビーム22はこの上昇区間で前進させられて基板16が搬送される。図5に示すように、基板16が可動ビーム22とともに下降させられるとき、基板16が側方にずれている場合には、基板16の側縁が横方向案内突起74に係合し、その横方向案内突起74の傾斜による案内作用により下降に伴って中央側位置へ戻され、基板16の脱落が防止されるようになっている。また、図7は、可動ビーム22が上昇させられた状態であり、固定ビーム20に支持された基板16が搬送方向案内突起76によって位置決めされ、その基板16の相互間隔が保持された状態を示している。
【0048】
図1に戻って、前記加熱炉14は、入口および出口と排気管92に連通する排気孔と以外は閉じられた長手直方体状の加熱空間を形成する炉体80と、その炉体80の出口から順次搬出される基板16を速やかに冷却するためにその炉体80の出口側に接続されたトンネル状の冷却装置40とを備えている。
【0049】
図8の横断面に詳しく示すように、上記炉体80内には、近赤外線を放射する棒状の加熱体である長手状のハロゲンヒータ78が、基板16の上下に所定距離離隔した位置において搬送方向に直交する状態で並列的に複数本配設されており、それらハロゲンヒータ78により上下方向に挟まれた空間を可動ビーム22および固定ビーム20によって基板16が搬送され、この搬送過程で、ハロゲンヒータ78から放射される近赤外線が基板16の上面および下面に照射されて基板16が加熱されるようになっている。炉体80内において、可動ビーム22および固定ビーム20は透明石英管から構成されているため、下側に位置するハロゲンヒータ78から基板16の下面に向かう近赤外線は可動ビーム22および固定ビーム20によって遮光されず、それらを構成する透明石英管を透過して基板16の下面に到達するので、急速且つ均一な加熱が可能となっている。
【0050】
炉体80の炉壁は、セラミック繊維がたとえばシリカゲルの含浸により固められて厚板のブロック状に成形されることにより断熱性に優れ且つ軽量なセラミックファイバーボードにより構成されており、そのセラミックファイバーボードの表面のうち少なくとも内壁面側にはシリカ系コーティングが施されたものである。このため、断熱性が得られるだけでなく、セラミックファイバーボードからの粉塵の発生が防止され、クリーン度が高められる。
【0051】
また、図8に示すように、基板16の搬送路よりも下側のハロゲンヒータ78と下側の炉壁との間に予熱管82が設けられているとともに、その予熱管82に直列に接続された給気管84が、ハロゲンヒータ78のうち基板16の搬送路よりも上側のハロゲンヒータ78と上側の炉壁との間に設けられている。上記給気管84には複数個の噴出孔86が設けられており、予熱管82で予熱された気体が給気管84の噴出孔86から炉体80の加熱空間内へ供給されるようになっている。本実施例において酸化性雰囲気であるため、その供給気体は空気である。しかし、非酸化性雰囲気であれば窒素などの不活性ガスが用いられ、換言雰囲気であれば水素ガスが用いられる。
【0052】
そして、図1にも示すように、加熱炉14において、炉体80で囲まれた加熱空間は、その天井面から下方へ突き出し且つ底面から上方へ突き出すように設けられた隔壁88により分割された複数(本実施例では2つ)の加熱室90と、その加熱室90の天井を構成する部分に接続された排気管92とが備えられている。これにより、加熱処理により基板16の表裏に塗着された膜材料内の成分が炉体80内で燃焼したとき、給気管84の噴出孔86から供給される予熱空気とともにその燃焼ガスが各加熱室90内から上記排気管92を通して速やかに排出される。
【0053】
上述のように、本実施例のウオーキングビーム式熱処理装置10によれば、共通の基板16を協働して搬送するための固定ビーム(第1ビーム)20および可動ビーム(第2ビーム)22のうちの外側に位置する固定ビーム20に、その固定ビーム20により支持された基板16の側縁に係合してその基板16を案内する横方向案内突起74が備えられているので、固定ビーム20および可動ビーム22の協働によって搬送される基板16の蛇行或いはずれや、脱落が好適に防止される。
【0054】
また、本実施例では、上記横方向案内突起74は、基板16の側縁を案内するために、外側に向かうほど上側へ向かうように傾斜させられたものであることから、基板16が下降するときにその横ずれがその傾斜によって戻されるので、搬送される基板16のずれや脱落が一層好適に防止される。
【0055】
また、本実施例では、基板16を搬送方向において位置決めするためにその基板16の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほどその基板16から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起76が、可動ビーム22の複数箇所に設けられたものであるので、基板16相互の搬送方向における相互位置が搬送方向案内突起76の傾斜による自己修正により自動的に定められ、基板16の搬送方向におけるずれや、相互の干渉が好適に防止される。
【0056】
また、本実施例のウオーキングビーム式熱処理装置10によれば、固定ビーム20および可動ビーム22は、透明な石英管から構成されたものであることから、その透明な石英管を通してハロゲンヒータ(加熱体)78からの輻射エネルギが基板の裏面へ到達できるので、従来のウオーキングビーム式熱処理装置に比較して、均一に急速加熱することが容易となり、立ち上がり時間或いは加熱処理時間が短縮される。この結果、熱処理が基板の特性に影響を与えることが可及的に少なくされる。
【0057】
また、本実施例では、固定ビーム20および可動ビーム22は、互いに平行な一対の管状部材から構成され、それら一対の管状部材が透明な石英管から構成されたものであることから、軽量であり且つ剛性が高く、しかも安価な管状部材が用いられる利点がある。
【0058】
また、本実施例では、共通の基板16を協働して搬送するビームのうちの一方である固定ビーム20はフレーム12の支持により加熱路14に対して位置固定に設けられ、他方である可動ビーム22は加熱炉14に対して相対移動可能に設けられることから、両方のビームを可動式とする場合に比較して、ウオーキングビーム式熱処理装置10のビーム駆動機構が簡単となる。
【0059】
また、本実施例では、加熱炉14は、搬送される基板16の上面および下面から所定距離離隔した位置に配置された複数のハロゲンヒータ(近赤外線放射体)78を備えたことから、このハロゲンヒータ78から放射される近赤外線が透明石英管から成る固定ビーム20および可動ビーム22を透過することにより、基板16の上面および下面が均一に加熱される。また、透明な石英管を通してハロゲンヒータ78から放射される近赤外線輻射エネルギが基板16の裏面へ到達できるので、速やかに基板16を加熱することができる。
【0060】
また、本実施例によれば、加熱炉14は、炉壁の天井から下方へ突き出す隔壁88により分割された複数の加熱室90と、炉壁のうちの加熱室90の天井を構成する部分に接続された排気管92とを備えたことから、基板16の表面に塗布された膜材料から発生した排気がハロゲンヒータ78と基板16との間に滞留することが抑制され、加熱効率が高められる。
【0061】
また、本実施例によれば、加熱炉14の炉壁はセラミック繊維がシリガゲルの含浸により厚板状に成形された高断熱性および軽量のセラミックファイバーボードから構成され、そのセラミックファイバーボードの表面のうち少なくとも内壁面側にはシリカ系コーティングが施されたことから、セラミックファイバーボードからの粉塵の発生が防止され、クリーン度が高められる利点がある。
【0062】
また、本実施例によれば、可動ビーム22に上下方向の往復運動を与えるための上下カム48とその可動ビーム22に炉長方向の往復運動を与えるための前後カム50とが固定されて回転可能に設けられたカム軸46が、単一のタイミングベルト42を介して単一の減速機付モータ44により回転駆動されるので、ギヤボックスなどを介してカム軸が回転駆動される場合に比較して、ビビリや振動が可動ビームに発生することが好適に防止される。
【0063】
また、本実施例によれば、搬送装置18において、単一の減速機付モータ44からカム軸46までの部品点数が、タイミングベルト42が1つあるのみであって極力少なくされ、入口側昇降プレート28に作動的に連結された入口側上下レバー54と出口側昇降プレート30に作動的に連結された出口側上下レバー60とが加熱炉14の炉長よりも長い長手状の第2リンク64とにより連結されていることから、入口側上下レバー54の回動と出口側上下レバー60の回動との一方から他方へそのまま伝達されるので、ギヤボックスやそれにより回転方向が変換されたシャフトを用いて出口側へ駆動力を伝達する場合に比較して、ビビリや振動が可動ビームに発生することが好適に防止される。
【0064】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図9乃至図15は、本発明の他の実施例における可動ビーム22および固定ビーム20を示している。図9の実施例では、可動ビーム22および固定ビーム20には何らの突起が設けられておらず、基板16は可動ビーム22および固定ビーム20によって直接支持される。
【0066】
図10の実施例では、基板16を協働して搬送する可動ビーム22および固定ビーム20のうちの内側に位置する一対の可動ビーム22には、基板をその下面から支持するために上側へ突き出す複数の支持突起94が設けられている。本実施例では、基板16の下面が支持突起94を介して極めて小面積で支持されるので、基板16の下面に設けられる電極パターンなどとの干渉が少なくなるとともに、加熱処理中での支持部材との接触に起因して基板16に発生する接触痕(曇り)の発生が好適に防止される。また、基板16の下面は支持突起94を介して小面積で支持されるので、加熱時間が一層短縮される。上記支持突起94は、基板16の炉長方向の寸法よりも充分に短い間隔、たとえば1/2よりも短い間隔で配列されている。
【0067】
図11の実施例では、共通の基板16を協働して搬送する可動ビーム22および固定ビーム20のうちの内側に位置する一対の可動ビーム22には、基板をその下面から支持するために上側へ突き出す複数の支持突起94が設けられており、その支持突起94が外側(側方)へすなわち固定ビーム20側へ傾斜させられている。図12の実施例では、図11のように一対の可動ビーム22には、傾斜させられた複数の支持突起94が設けられており、さらに、一対の固定ビーム20にも、同様に外側へ傾斜する支持突起94が設けられている。図13の実施例では、図12の可動ビーム22に設けられた支持突起94が内側すなわち可動ビーム22側へ傾斜させられている。図11の実施例によれば、支持突起94が側方へ傾斜したものであることから、基板の下面に配設された電極パターンなどと干渉しないように設定することができる。図12乃至図13の実施例では、固定ビーム20にも支持突起94が設けられているので、一層、基板16の下面に設けられる電極パターンなどとの干渉が少なくなるとともに、加熱処理中での支持部材との接触に起因して基板16に発生する接触痕(曇り)の発生が好適に防止される。
【0068】
図14の実施例では、図10と同様の上側へ突き出す複数の支持突起94が一対の可動ビーム22に設けられるとともに、固定ビーム20には、上側へ突き出す支持突起94から分岐して前記横方向案内突起74が設けられている。図15の実施例では、図14の固定ビーム20に設けられた支持突起94が内側すなわち可動ビーム22側へ傾斜させられている。図14および図15の実施例によれば、図12および図13の実施例の効果に加えて、基板16の横方向のずれが修正される利点がある。また、横方向案内突起74は、支持突起94から分岐させられたものであることから、支持突起および横方向案内突起74のビームに対する取付構造が共通となる利点がある。
【0069】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施例のウオーキングビーム式熱処理装置を示す正面視断面図である。
【図2】図1の実施例において、基板を搬送するための搬送装置の入口側の機構を拡大して説明するための図である。
【図3】図1の実施例において、基板を搬送するための搬送装置の出口側の機構を拡大して説明する図である。
【図4】図1の実施例において、基板を搬送するための搬送装置の入口側の機構を拡大して説明する図であって、入口側から出口側を見た図1のIV−IV視断面図である。
【図5】固定ビームおよび可動ビームが基板を搬送する過程を示すための断面図であって、可動ビームが下降位置に位置している状態を示す図である。
【図6】固定ビームおよび可動ビームが基板を搬送する過程を示すための断面図であって、可動ビームが上昇位置に位置している状態を示す図である。
【図7】可動ビームに設けられた搬送方向案内突起と基板との関係を説明する図である。
【図8】図1の実施例の炉体内の構成を拡大して説明するVIII-VIII 視断面図である。
【図9】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図14】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図15】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【符号の説明】
【0071】
10:ウオーキングビーム式熱処理装置
16:基板
20:固定ビーム(第1ビーム)
22:可動ビーム(第2ビーム)
28:入口側昇降プレート
30:出口側昇降プレート
42:タイミングベルト(伝動部材)
44:減速機付モータ(回転駆動源)
46:カム軸
48:上下カム
50:前後カム
74:横方向案内突起
76:搬送方向案内突起
78:ハロゲンヒータ(近赤外線放射体、加熱体)
88:隔壁
90:加熱室
94:支持突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板などの基板を熱処理するためのウオーキングビーム式熱処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板などの基板を熱処理する熱処理炉内でウオーキングビームを用いて搬送するためのウオーキングビーム式基板搬送装置を備えた熱処理装置が知られている。このような熱処理装置では、乾燥或いは焼成を行う熱処理炉内で基板を搬送し、基板の表面(上面)および/または裏面(下面)に膜材料を固着形成処理するなどのための熱処理が施される。たとえば、特許文献1或いは特許文献2に記載されたものがそれである。
【特許文献1】特開2003−176011号公報
【特許文献2】特開2004−18122号公報
【0003】
上記ウオーキングビーム式基板搬送装置を備えた熱処理装置では、通常、炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、基板と接触してそれを支持するために第1ビームおよび第2ビームから上向きに突設された複数個の支持ピンとが備えられ、第1ビームと第2ビームとの間で受け渡しがされることによって基板が搬送されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送中の基板は第1ビームおよび第2ビームによって交互に支持されつつそれが繰り返されることにより、加熱炉の出口に向かって搬送されるのであるが、駆動機構の振動が伝達されて、第1ビームおよび/または第2ビームにビビリや振動が発生し、第1ビームまたは第2ビーム上に載置される基板にずれが生じる場合があり、そのずれが大きくなると脱落する可能性があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、第1ビームおよび第2ビームの協働によって搬送される基板の蛇行或いはずれや脱落が好適に防止されるウオーキングビーム式熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、それら第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、基板を協働して搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの外側に位置するビームに、そのビームにより支持された基板の側縁に係合してその基板を案内する横方向案内突起を備えたことにある。
【0007】
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、請求項1に係る発明において、前記横方向案内突起は、前記基板の側縁を案内するために、外側に向かうほど上側へ向かうように傾斜させられたものであることにある。
【0008】
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項1または2に係る発明において、前記基板をその下面から支持するために上側へ突き出す複数の支持突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものであることにある。
【0009】
また、請求項4に係る発明の要旨とするところは、請求項3に係る発明において、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方から上側へ突き出す複数の支持突起は、該第1ビームおよび第2ビームの長手方向に直交する断面において側方へ傾斜したものであることにある。
【0010】
また、請求項5に係る発明の要旨とするところは、請求項3または4に係る発明において、前記横方向案内突起は、前記支持突起から分岐させられたものである。
【0011】
また、請求項6に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至5のいずれかの発明において、前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほど該基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものである。
【0012】
また、請求項7に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至6のいずれかに係る発明において、(a) 前記第1ビームは位置固定に設けられた固定ビームであり、(b) 前記第2ビームは該固定ビームに対して相対移動可能に設けられた可動ビームであり、(c) 協働して前記基板を搬送させるために、前記固定ビームに対して炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とを前記可動ビームに交互に行わせる搬送装置をさらに備え、(d) その搬送装置は、前記可動ビームに上下方向の往復運動を与えるための上下カムと該可動ビームに炉長方向の往復運動を与えるための前後カム50とが固定されて回転可能に設けられたカム軸と、そのカム軸を単一の伝動部材を介して回転駆動する単一の回転駆動源とを、含むものである。
【0013】
また、請求項8に係る発明の要旨とするところは、請求項7に係る発明において、前記搬送装置は、(a) 前記加熱炉の入口側において昇降可能に設けられ、前記可動ビームの入口側端部を長手方向の移動可能に支持する入口側昇降プレートと、(b) その入口側昇降プレートに上下動を伝達するために該入口側昇降プレートと作動的に連結された入口側上下レバーと、(c) 前記加熱炉の出口側において昇降可能に設けられ、前記可動ビームの出口側端部を長手方向の移動可能に支持する出口側昇降プレートと、(d) その出口側昇降プレートに上下動を伝達するために該出口側昇降プレートと作動的に連結された出口側上下レバーと、(e) 前記入口側上下レバーと出口側上下レバーとに作動的に連結された、前記加熱炉の炉長よりも長い長手状のリンクとを、含み、(f) 前記入口側上下レバーまたは出口側上下レバーが前記上下カムにより直接回動させられることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る発明の要旨とするところは、炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、該第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、協働して基板を搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの少なくとも一方に、前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほど該基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起を備えたことにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明のウオーキングビーム式熱処理装置によれば、炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、それら第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、基板を協働して搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの外側に位置するビームに、そのビームにより支持された基板の側縁に係合して該基板を案内する横方向案内突起が備えられているので、第1ビームおよび第2ビームの協働によって搬送される基板の蛇行或いはずれや脱落が好適に防止される。
【0016】
また、請求項2に係る発明では、前記横方向案内突起は、前記基板の側縁を案内するために、外側に向かうほど上側へ向かうように傾斜させられたものであることから、基板が下降するときにその横ずれがその傾斜によって戻されるので、搬送される基板のずれや脱落が一層好適に防止される。
【0017】
また、請求項3に係る発明では、前記基板をその下面から支持するために上側へ突き出す複数の支持突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものであることから、基板の下面は支持突起を介して小面積で支持されるので、基板の下面に設けられる電極パターンなどとの干渉が少なくなるとともに、加熱処理中で支持部材との接触に起因して発生する基板の接触痕(曇り)の発生が好適に防止される。また、基板の下面は支持突起を介して小面積で支持されるので、加熱時間が一層短縮される。
【0018】
また、請求項4に係る発明では、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方から上側へ突き出す複数の支持突起は、該第1ビームおよび第2ビームの長手方向に直交する断面において側方へ傾斜したものであることから、基板の下面に配設された電極パターンなどと干渉しないように設定することができる。
【0019】
また、請求項5に係る発明では、前記横方向案内突起は、前記支持突起から分岐させられたものであることから、支持突起および横方向案内突起のビームに対する取付構造が共通となる利点がある。
【0020】
また、請求項6に係る発明では、前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほど該基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものであるので、基板相互の搬送方向における相互位置が定められ、基板の搬送方向におけるずれや、相互の干渉が好適に防止される。
【0021】
また、請求項7に係る発明では、可動ビームに上下方向の往復運動を与えるための上下カムと該可動ビームに炉長方向の往復運動を与えるための前後カム50とが固定されて回転可能に設けられたカム軸が、単一の伝動部材を介して単一の駆動源により回転駆動されるので、ギヤボックスなどを介してカム軸が回転駆動される場合に比較して、ビビリや振動が可動ビームに発生することが好適に防止される。
【0022】
また、請求項8に係る発明では、前記搬送装置において、単一の駆動源からカム軸までの部品点数が、伝動部材が1つのみであって極力少なくされ、入口側昇降プレートに作動的に連結された入口側上下レバーと出口側昇降プレートに作動的に連結された出口側上下レバーとが加熱炉の炉長よりも長い長手状のリンクとにより連結されていることから、入口側上下レバーの回動と出口側上下レバーの回動との一方から他方へそのまま伝達されるので、ギヤボックスやそれにより回転方向が変換されたシャフトを用いて出口側へ駆動力を伝達する場合に比較して、ビビリや振動が可動ビームに発生することが好適に防止される。
【0023】
また、請求項9に係る発明の要旨では、炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、該第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、協働して基板を搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの少なくとも一方に、前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほどその基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起を備えたことにあることから、搬送方向において基板の位置が搬送方向案内突起により自己修正されるので、基板の蛇行或いはずれや脱落が好適に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ここで、好適には、前記ウオーキングビーム式熱処理炉の第1ビームおよび第2ビームは、一方が固定されて他方が移動させられる形式のものであってもよいし、両方が移動させられる形式のものであってもよい。両方が移動させられる形式では、上下方向の移動ストロークの上昇端が同一高さとされ、その上昇端で基板の受け渡しが行われるようにすると、基板の上限移動が抑制されて都合がよい。
【0025】
また、好適には、前記第1ビームおよび/または第2ビームを構成する管状部材は、断面円形のみならず、長円または楕円形、三角形、四角形などの多角形であってもよい。
【0026】
また、前記横方向案内突起は、好適には、前記基板の側縁に少なくとも1つが接触可能な間隔で前記外側に位置するビームに配設される。
【0027】
また、好適には、前記第1ビームおよび/または第2ビームのうちの少なくとも一部は、透明なセラミックスから構成される。この場合には、透明なセラミックスを通して加熱体からの輻射エネルギが基板の裏面へ到達できるので、従来のウオーキングビーム式熱処理装置に比較して、均一に急速加熱することが容易となり、立ち上がり時間或いは加熱処理時間が短縮される。この結果、熱処理が基板の特性に影響を与えることが可及的に少なくされる。
【0028】
上記第1ビームおよび/または第2ビームのうちの少なくとも一部を構成する透明なセラミックスにおいて、透明とは、加熱体からの輻射エネルギがその透明なセラミックスを通過して基板の下面に到達してその基板の均一加熱や急速加熱に寄与できる程度の透過率である。たとえば、近赤外線を放射する加熱体が用いられる場合は、その近赤外線が基板の下面に到達して基板の均一加熱や急速加熱に寄与できる程度に透過できる透明性を意味するので、たとえば加熱に用いない他の波長である可視光において白濁していても問題はない。基板を輻射加熱するための加熱体からの放射波長を基準として定められる。
【0029】
また、前記透明なセラミックスにおいて、セラミックスとは、熱処理を経て作られた非金属無機質の固体材料であって、珪酸塩鉱物、或いは各種の金属酸化物や非酸化物を原料とする耐熱ガラス、たとえばアルミナ、チタニアなどのニューセラミックス、可視光で白濁している結晶化石英、可視光で透明な石英などを含む。
【0030】
また、好適には、前記第1ビームおよび/または第2ビーム、或いは管状部材の一部とは、その全長のうち加熱炉内において輻射加熱により相対的に高温とされる部分、或いは加熱炉内での輻射エネルギによる輻射加熱により所定温度以上の加熱処理が行われる部分を示す。第1ビームおよび第2ビームの一方或いは両方において、たとえば、その全長のうち加熱炉内において輻射加熱により相対的に高温とされる部分が透明なセラミックスから構成されていればよいのである。また、第1ビーム或いは第2ビームのみが透明なセラミックスから構成されていても一応の効果が得られる。
【0031】
また、好適には、前記第1ビームおよび/または第2ビームは、互いに平行な一対の管状部材からそれぞれ構成され、それら一対の管状部材の長手方向において少なくとも一部が透明な石英管から構成される。この場合には、軽量であり且つ剛性が高く、しかも安価な管状部材が用いられる利点がある。また、上記一対の管状部材の一部、たとえば全長のうち加熱炉内において相対的に高温とされる部分すなわち加熱炉内での輻射エネルギによる加熱部分が透明な石英管から構成される場合には、一層安価となる。
【0032】
また、好適には、前記第1ビームは、前記加熱炉に対して位置固定に設けられた固定ビームであり、前記第2ビームは、前記加熱炉に対して相対移動可能に設けられた可動ビームである。この場合には、ウオーキングビーム式熱処理装置のビーム駆動機構が簡単となる。
【0033】
また、好適には、前記加熱炉は、搬送される前記基板の上面および下面から所定距離離隔した位置に配置された複数の近赤外線放射体を備える。この場合には、近赤外線放射体から放射される近赤外線が前記透明セラミックスを透過することにより、基板の上面および下面が均一に加熱される。また、透明なセラミックスを通して近赤外線放射体からの近赤外線輻射エネルギが基板の裏面へ到達できるので、速やかに基板を加熱することができる。
【0034】
また、好適には、前記加熱炉は、炉壁の天井から下方へ突き出す隔壁により分割された複数の加熱室と、前記炉壁の該加熱室の天井を構成する部分に接続された排気管とを備える。この場合には、基板の表面に塗布された膜材料から発生した排気が近赤外線放射体と基板との間に滞留することが抑制され、加熱効率が高められる。
【0035】
また、好適には、前記加熱炉の炉壁はセラミック繊維が厚板状に成形されたセラミックファイバーボードから構成され、そのセラミックファイバーボードの表面のうち少なくとも内壁面側にはシリカ系コーティングが施される。この場合には、セラミックファイバーボードからの粉塵の発生が防止され、クリーン度が高められる利点がある。
【0036】
また、好適には、前記加熱体は、近赤外線を主として放射するハロゲンヒータが好適に用いられるが、それを含む波長或いはそれ以外の波長たとえば遠赤外線、可視光を放射する加熱体であってもよい。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、発明の具体例を説明する目的の範囲で、図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【0038】
図1は、本発明の一実施例のウオーキングビーム式熱処理装置10を示す側面図である。図1において、ウオーキングビーム式熱処理装置10は、フレーム(機枠)12によって所定の高さ位置に固定されたトンネル状の加熱炉14と、その加熱炉14内を通して基板16を加熱炉14の入口側から出口側へ順次搬送するための搬送装置18とを備えている。基板16は、たとえば太陽電池基板などの半導体基板であり、矩形たとえば150乃至200mmの正方形である。基板16は、たとえばその表面および裏面に印刷された電極材料ペーストなどの膜材料を熱処理により焼成し固着して電極層とするために熱処理される。
【0039】
搬送装置18は、両端部がフレーム12により支持されたビーム(梁)状の第1ビームすなわち複数本の固定ビーム20と第2ビームすなわち複数本の可動ビーム22とを備え、それら固定ビーム20および可動ビーム22の炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とを交互に行うことによって、すなわち可動ビーム22が固定ビーム20に対して、上昇運動、前進運動、下降運動、後退運動を繰り返し行うことにより、固定ビーム20と可動ビーム22との間の受け渡しを行って基板16を加熱炉14の出口へ向かって搬送する。
【0040】
上記固定ビーム20および可動ビーム22は、基板16の下面を加熱するための輻射線が透過するように、その全長が透明な石英管から構成されている。しかし、基板16の輻射加熱に必要な部分だけ透明石英管とし、他はスレンレス鋼などの金属管材から構成されてもよい。要するに、この固定ビーム20および可動ビーム22のうちの長手方向の一部たとえば加熱炉14内で輻射加熱を受ける部分すなわちその炉体内に位置して400度以上の輻射加熱を受ける部分のみが透明な石英管から構成されてもよい。
【0041】
図2、図3および図4は、搬送装置18の要部を詳しく示す図であって、図2は入口側の側面視縦断面図、図3は出口側部分の側面視縦断面図、図4は、入口側部分の横断面図である。
【0042】
前記搬送装置18は、加熱炉14の入口側および出口側においてフレーム12に複数個(本実施例では4個)固設されたガイドブッシュ24に上下方向に案内される複数本(本実施例では4本)のガイドロッド26を備えることによりそれぞれ昇降可能に設けられた入口側昇降プレート28および出口側昇降プレート30と、それら入口側昇降プレート28および出口側昇降プレート30上にそれぞれ設けられた入口側ガイドレール32および出口側ガイドレール34によって加熱炉14の長手方向すなわち基板16の搬送方向(炉長方向)にそれぞれ案内され、可動ビーム22の両端部を支持する入口側可動部材36および出口側可動部材38と、単一の伝動部材であるタイミングベルト42を介して単一の回転駆動源である減速機付モータ44により回転駆動されるカム軸46に固定された上下カム48および前後カム50と、その上下カム48の外周面であるカム面に接触するカムホロア52が固設されることによりその上下カム48のカム曲線に従って往復回動させられる入口側上下レバー54と、入口側上下レバー54の上下運動を伝達するためにその入口側上下レバー54と入口側昇降プレート28とを連結するリンク56と、出口側昇降プレート30とリンク58を介して連結された出口側上下レバー60と、その上下レバー60に入口側上下レバー54の回動運動を伝達するために、入口側上下レバー54の回動軸と出口側上下レバー60の回動軸との間に連結された第1リンク62、第2リンク64、第3リンク66と、前記前後カム50の外周面であるカム面に接触するカムホロア68が固設されることによりその前後カム50のカム曲線に従って往復回動させられる前後レバー70と、前後レバー70の前後方向の運動を伝達するためにその前後レバー70との入口側可動部材36との間を連結するリンク72とを備えている。
【0043】
上記搬送装置18では、単一の減速機付モータ44からカム軸46までの部品点数が、単一のタイミングベルト42のみであって極力少なくされ、前記可動ビーム22の入口側端部及び出口側端部は、上記入口側昇降プレート28および出口側昇降プレート30によって、その長手方向の移動が可能に支持され、出口側上下レバー60を駆動するために入口側上下レバー54とともに回動する第1リンク62と出口側の上下レバー60とともに回動する第3リンク66とが、炉体80の全長よりも長い長手状の第2リンク64によって連結され、入口側上下レバー54の回動が出口側上下レバー60にそのまま伝達され、入口側上下レバー54が上下カム48により直接回動させられるので、ギヤボックスやそれにより回転方向が変換されたシャフトを用いて出口側へ駆動力を伝達する場合に比較して、ビビリや振動が可動ビーム22に発生することが好適に防止されている。
【0044】
図5および図6に示すように、本実施例では、共通の基板16を協働して搬送するために一対の固定ビーム20の間に一対の可動ビーム22が配置されており、基板16がその一対の固定ビーム20または一対の可動ビーム22に支持されるようになっている。一対の固定ビーム20の中心軸間距離は基板16の横方向の寸法(辺)と同等以下に設定されており、一対の可動ビーム22はの中心軸間距離は一対の固定ビーム20の中心軸間距離の1/3程度に設定されている。そして、本実施例では、搬送中の基板16の横方向位置を保持するために、外側に向かうほど上側へ向かうように傾斜したピン状の横方向案内突起74が、上記一対の固定ビーム20において、基板16の側縁に少なくとも1つが係合可能となる間隔で、基板16の長手方向において複数個突設されている。上記横方向案内突起74は、一対の固定ビーム20において先端に向かうほど搬送方向に直交する横方向の相互間隔が増加するように一対の固定ビーム20において対を成すように設けられており、基端の相互間隔は上記基板16の横方向の寸法(辺)と同等以上に設定されている。
【0045】
また、図7に示すように、本実施例では、搬送中の基板16の搬送方向(炉長方向)の相互間隔を保持するために、先端に向かうほど相互間隔が開くように傾斜した対を成すピン状の搬送方向案内突起76が、一対の可動ビーム22において、基板16の前後(搬送)方向の寸法(辺)と同等以上の間隔で、可動ビーム22の長手方向において複数対突設されている。一対の搬送方向案内突起76と他の一対の搬送方向案内突起76とは、基板16の前後(搬送)方向の寸法よりも充分小さい寸法に設定されている。すなわち、上記一対の搬送方向案内突起76は、基板16を搬送方向において位置決めするためにその基板16の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほどその基板16から離れる方向に傾斜するように設けられている。このような搬送方向案内突起76は、たとえば図5の破線に示すように、固定ビーム20にも設けられてもよい。
【0046】
このように構成された搬送装置18においては、減速機付モータ44により上下カム48および前後カム50が回転駆動されると、上下カム48のカム面の曲線に従って入口側上下レバー54および出口側上下レバー60とが同期して往復回動し、それに連結された入口側昇降プレート28および出口側昇降プレート30とが同時に昇降させられると、それら入口側昇降プレート28および出口側昇降プレート30により両端部が間接的に支持された可動ビーム22が昇降運動させられる。同時に、前後カム50のカム面の曲線に従って前後レバー70が往復回動し、それに連結された入口側可動部材36およびそれに一端部が支持された可動ビーム22、その他端部を支持する出口側可動部材38が炉長(前後)方向に往復復動させられる。これらの昇降運動と炉長方向の往復復動との組み合わせによって、可動ビーム22の上昇運動、前進運動、下降運動、後退運動が順次且つ繰り返し行われるので、固定ビーム20に支持された基板16を可動ビーム22が受け取って所定ストロークだけ前方へ繰り返し移動させ、固定ビーム20および可動ビーム22の協働により基板16が加熱炉14の出口へ向かって順次搬送される。
【0047】
図5は、可動ビーム22が固定ビーム20に対して下降させられた状態であり、可動ビーム22はこの下降区間で後退させられる。図6は、可動ビーム22が固定ビーム20に対して上昇させられた状態であり、可動ビーム22はこの上昇区間で前進させられて基板16が搬送される。図5に示すように、基板16が可動ビーム22とともに下降させられるとき、基板16が側方にずれている場合には、基板16の側縁が横方向案内突起74に係合し、その横方向案内突起74の傾斜による案内作用により下降に伴って中央側位置へ戻され、基板16の脱落が防止されるようになっている。また、図7は、可動ビーム22が上昇させられた状態であり、固定ビーム20に支持された基板16が搬送方向案内突起76によって位置決めされ、その基板16の相互間隔が保持された状態を示している。
【0048】
図1に戻って、前記加熱炉14は、入口および出口と排気管92に連通する排気孔と以外は閉じられた長手直方体状の加熱空間を形成する炉体80と、その炉体80の出口から順次搬出される基板16を速やかに冷却するためにその炉体80の出口側に接続されたトンネル状の冷却装置40とを備えている。
【0049】
図8の横断面に詳しく示すように、上記炉体80内には、近赤外線を放射する棒状の加熱体である長手状のハロゲンヒータ78が、基板16の上下に所定距離離隔した位置において搬送方向に直交する状態で並列的に複数本配設されており、それらハロゲンヒータ78により上下方向に挟まれた空間を可動ビーム22および固定ビーム20によって基板16が搬送され、この搬送過程で、ハロゲンヒータ78から放射される近赤外線が基板16の上面および下面に照射されて基板16が加熱されるようになっている。炉体80内において、可動ビーム22および固定ビーム20は透明石英管から構成されているため、下側に位置するハロゲンヒータ78から基板16の下面に向かう近赤外線は可動ビーム22および固定ビーム20によって遮光されず、それらを構成する透明石英管を透過して基板16の下面に到達するので、急速且つ均一な加熱が可能となっている。
【0050】
炉体80の炉壁は、セラミック繊維がたとえばシリカゲルの含浸により固められて厚板のブロック状に成形されることにより断熱性に優れ且つ軽量なセラミックファイバーボードにより構成されており、そのセラミックファイバーボードの表面のうち少なくとも内壁面側にはシリカ系コーティングが施されたものである。このため、断熱性が得られるだけでなく、セラミックファイバーボードからの粉塵の発生が防止され、クリーン度が高められる。
【0051】
また、図8に示すように、基板16の搬送路よりも下側のハロゲンヒータ78と下側の炉壁との間に予熱管82が設けられているとともに、その予熱管82に直列に接続された給気管84が、ハロゲンヒータ78のうち基板16の搬送路よりも上側のハロゲンヒータ78と上側の炉壁との間に設けられている。上記給気管84には複数個の噴出孔86が設けられており、予熱管82で予熱された気体が給気管84の噴出孔86から炉体80の加熱空間内へ供給されるようになっている。本実施例において酸化性雰囲気であるため、その供給気体は空気である。しかし、非酸化性雰囲気であれば窒素などの不活性ガスが用いられ、換言雰囲気であれば水素ガスが用いられる。
【0052】
そして、図1にも示すように、加熱炉14において、炉体80で囲まれた加熱空間は、その天井面から下方へ突き出し且つ底面から上方へ突き出すように設けられた隔壁88により分割された複数(本実施例では2つ)の加熱室90と、その加熱室90の天井を構成する部分に接続された排気管92とが備えられている。これにより、加熱処理により基板16の表裏に塗着された膜材料内の成分が炉体80内で燃焼したとき、給気管84の噴出孔86から供給される予熱空気とともにその燃焼ガスが各加熱室90内から上記排気管92を通して速やかに排出される。
【0053】
上述のように、本実施例のウオーキングビーム式熱処理装置10によれば、共通の基板16を協働して搬送するための固定ビーム(第1ビーム)20および可動ビーム(第2ビーム)22のうちの外側に位置する固定ビーム20に、その固定ビーム20により支持された基板16の側縁に係合してその基板16を案内する横方向案内突起74が備えられているので、固定ビーム20および可動ビーム22の協働によって搬送される基板16の蛇行或いはずれや、脱落が好適に防止される。
【0054】
また、本実施例では、上記横方向案内突起74は、基板16の側縁を案内するために、外側に向かうほど上側へ向かうように傾斜させられたものであることから、基板16が下降するときにその横ずれがその傾斜によって戻されるので、搬送される基板16のずれや脱落が一層好適に防止される。
【0055】
また、本実施例では、基板16を搬送方向において位置決めするためにその基板16の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほどその基板16から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起76が、可動ビーム22の複数箇所に設けられたものであるので、基板16相互の搬送方向における相互位置が搬送方向案内突起76の傾斜による自己修正により自動的に定められ、基板16の搬送方向におけるずれや、相互の干渉が好適に防止される。
【0056】
また、本実施例のウオーキングビーム式熱処理装置10によれば、固定ビーム20および可動ビーム22は、透明な石英管から構成されたものであることから、その透明な石英管を通してハロゲンヒータ(加熱体)78からの輻射エネルギが基板の裏面へ到達できるので、従来のウオーキングビーム式熱処理装置に比較して、均一に急速加熱することが容易となり、立ち上がり時間或いは加熱処理時間が短縮される。この結果、熱処理が基板の特性に影響を与えることが可及的に少なくされる。
【0057】
また、本実施例では、固定ビーム20および可動ビーム22は、互いに平行な一対の管状部材から構成され、それら一対の管状部材が透明な石英管から構成されたものであることから、軽量であり且つ剛性が高く、しかも安価な管状部材が用いられる利点がある。
【0058】
また、本実施例では、共通の基板16を協働して搬送するビームのうちの一方である固定ビーム20はフレーム12の支持により加熱路14に対して位置固定に設けられ、他方である可動ビーム22は加熱炉14に対して相対移動可能に設けられることから、両方のビームを可動式とする場合に比較して、ウオーキングビーム式熱処理装置10のビーム駆動機構が簡単となる。
【0059】
また、本実施例では、加熱炉14は、搬送される基板16の上面および下面から所定距離離隔した位置に配置された複数のハロゲンヒータ(近赤外線放射体)78を備えたことから、このハロゲンヒータ78から放射される近赤外線が透明石英管から成る固定ビーム20および可動ビーム22を透過することにより、基板16の上面および下面が均一に加熱される。また、透明な石英管を通してハロゲンヒータ78から放射される近赤外線輻射エネルギが基板16の裏面へ到達できるので、速やかに基板16を加熱することができる。
【0060】
また、本実施例によれば、加熱炉14は、炉壁の天井から下方へ突き出す隔壁88により分割された複数の加熱室90と、炉壁のうちの加熱室90の天井を構成する部分に接続された排気管92とを備えたことから、基板16の表面に塗布された膜材料から発生した排気がハロゲンヒータ78と基板16との間に滞留することが抑制され、加熱効率が高められる。
【0061】
また、本実施例によれば、加熱炉14の炉壁はセラミック繊維がシリガゲルの含浸により厚板状に成形された高断熱性および軽量のセラミックファイバーボードから構成され、そのセラミックファイバーボードの表面のうち少なくとも内壁面側にはシリカ系コーティングが施されたことから、セラミックファイバーボードからの粉塵の発生が防止され、クリーン度が高められる利点がある。
【0062】
また、本実施例によれば、可動ビーム22に上下方向の往復運動を与えるための上下カム48とその可動ビーム22に炉長方向の往復運動を与えるための前後カム50とが固定されて回転可能に設けられたカム軸46が、単一のタイミングベルト42を介して単一の減速機付モータ44により回転駆動されるので、ギヤボックスなどを介してカム軸が回転駆動される場合に比較して、ビビリや振動が可動ビームに発生することが好適に防止される。
【0063】
また、本実施例によれば、搬送装置18において、単一の減速機付モータ44からカム軸46までの部品点数が、タイミングベルト42が1つあるのみであって極力少なくされ、入口側昇降プレート28に作動的に連結された入口側上下レバー54と出口側昇降プレート30に作動的に連結された出口側上下レバー60とが加熱炉14の炉長よりも長い長手状の第2リンク64とにより連結されていることから、入口側上下レバー54の回動と出口側上下レバー60の回動との一方から他方へそのまま伝達されるので、ギヤボックスやそれにより回転方向が変換されたシャフトを用いて出口側へ駆動力を伝達する場合に比較して、ビビリや振動が可動ビームに発生することが好適に防止される。
【0064】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図9乃至図15は、本発明の他の実施例における可動ビーム22および固定ビーム20を示している。図9の実施例では、可動ビーム22および固定ビーム20には何らの突起が設けられておらず、基板16は可動ビーム22および固定ビーム20によって直接支持される。
【0066】
図10の実施例では、基板16を協働して搬送する可動ビーム22および固定ビーム20のうちの内側に位置する一対の可動ビーム22には、基板をその下面から支持するために上側へ突き出す複数の支持突起94が設けられている。本実施例では、基板16の下面が支持突起94を介して極めて小面積で支持されるので、基板16の下面に設けられる電極パターンなどとの干渉が少なくなるとともに、加熱処理中での支持部材との接触に起因して基板16に発生する接触痕(曇り)の発生が好適に防止される。また、基板16の下面は支持突起94を介して小面積で支持されるので、加熱時間が一層短縮される。上記支持突起94は、基板16の炉長方向の寸法よりも充分に短い間隔、たとえば1/2よりも短い間隔で配列されている。
【0067】
図11の実施例では、共通の基板16を協働して搬送する可動ビーム22および固定ビーム20のうちの内側に位置する一対の可動ビーム22には、基板をその下面から支持するために上側へ突き出す複数の支持突起94が設けられており、その支持突起94が外側(側方)へすなわち固定ビーム20側へ傾斜させられている。図12の実施例では、図11のように一対の可動ビーム22には、傾斜させられた複数の支持突起94が設けられており、さらに、一対の固定ビーム20にも、同様に外側へ傾斜する支持突起94が設けられている。図13の実施例では、図12の可動ビーム22に設けられた支持突起94が内側すなわち可動ビーム22側へ傾斜させられている。図11の実施例によれば、支持突起94が側方へ傾斜したものであることから、基板の下面に配設された電極パターンなどと干渉しないように設定することができる。図12乃至図13の実施例では、固定ビーム20にも支持突起94が設けられているので、一層、基板16の下面に設けられる電極パターンなどとの干渉が少なくなるとともに、加熱処理中での支持部材との接触に起因して基板16に発生する接触痕(曇り)の発生が好適に防止される。
【0068】
図14の実施例では、図10と同様の上側へ突き出す複数の支持突起94が一対の可動ビーム22に設けられるとともに、固定ビーム20には、上側へ突き出す支持突起94から分岐して前記横方向案内突起74が設けられている。図15の実施例では、図14の固定ビーム20に設けられた支持突起94が内側すなわち可動ビーム22側へ傾斜させられている。図14および図15の実施例によれば、図12および図13の実施例の効果に加えて、基板16の横方向のずれが修正される利点がある。また、横方向案内突起74は、支持突起94から分岐させられたものであることから、支持突起および横方向案内突起74のビームに対する取付構造が共通となる利点がある。
【0069】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施例のウオーキングビーム式熱処理装置を示す正面視断面図である。
【図2】図1の実施例において、基板を搬送するための搬送装置の入口側の機構を拡大して説明するための図である。
【図3】図1の実施例において、基板を搬送するための搬送装置の出口側の機構を拡大して説明する図である。
【図4】図1の実施例において、基板を搬送するための搬送装置の入口側の機構を拡大して説明する図であって、入口側から出口側を見た図1のIV−IV視断面図である。
【図5】固定ビームおよび可動ビームが基板を搬送する過程を示すための断面図であって、可動ビームが下降位置に位置している状態を示す図である。
【図6】固定ビームおよび可動ビームが基板を搬送する過程を示すための断面図であって、可動ビームが上昇位置に位置している状態を示す図である。
【図7】可動ビームに設けられた搬送方向案内突起と基板との関係を説明する図である。
【図8】図1の実施例の炉体内の構成を拡大して説明するVIII-VIII 視断面図である。
【図9】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図14】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【図15】本発明の他の実施例の固定ビームおよび可動ビームを示す断面図である。
【符号の説明】
【0071】
10:ウオーキングビーム式熱処理装置
16:基板
20:固定ビーム(第1ビーム)
22:可動ビーム(第2ビーム)
28:入口側昇降プレート
30:出口側昇降プレート
42:タイミングベルト(伝動部材)
44:減速機付モータ(回転駆動源)
46:カム軸
48:上下カム
50:前後カム
74:横方向案内突起
76:搬送方向案内突起
78:ハロゲンヒータ(近赤外線放射体、加熱体)
88:隔壁
90:加熱室
94:支持突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、該第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、
協働して基板を搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの外側に位置するビームに、該ビームにより支持された基板の側縁に係合して該基板を案内する横方向案内突起を備えたことを特徴とするウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項2】
前記横方向案内突起は、前記基板の側縁を案内するために、外側に向かうほど上側へ向かうように傾斜させられたものである請求項1のウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項3】
前記基板をその下面から支持するために上側へ突き出す複数の支持突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものである請求項1または2のウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項4】
前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方から上側へ突き出す複数の支持突起は、該第1ビームおよび第2ビームの長手方向に直交する断面において側方へ傾斜したものである請求項3のウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項5】
前記横方向案内突起は、前記支持突起から分岐させられたものである請求項3または4のウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項6】
前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほど該基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものである請求項1乃至5のいずれかのウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項7】
前記第1ビームは位置固定に設けられた固定ビームであり、
前記第2ビームは該固定ビームに対して相対移動可能に設けられた可動ビームであり、
協働して前記基板を搬送させるために、前記固定ビームに対して炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とを前記可動ビームに交互に行わせる搬送装置をさらに備え、
該搬送装置は、
前記可動ビームに上下方向の往復運動を与えるための上下カムと該可動ビームに炉長方向の往復運動を与えるための前後カム50とが固定されて回転可能に設けられたカム軸と、
該カム軸を単一の伝動部材を介して回転駆動する単一の回転駆動源と
を、含むものである請求項1乃至6のいずれかのウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項8】
前記搬送装置は、
前記加熱炉の入口側において昇降可能に設けられ、前記可動ビームの入口側端部を長手方向の移動可能に支持する入口側昇降プレートと、
該入口側昇降プレートに上下動を伝達するために該入口側昇降プレートと作動的に連結された入口側上下レバーと、
前記加熱炉の出口側において昇降可能に設けられ、前記可動ビームの出口側端部を長手方向の移動可能に支持する出口側昇降プレートと、
該出口側昇降プレートに上下動を伝達するために該出口側昇降プレートと作動的に連結された出口側上下レバーと、
前記入口側上下レバーと出口側上下レバーとに作動的に連結された、前記加熱炉の炉長よりも長い長手状のリンクと
を、含み、前記入口側上下レバーまたは出口側上下レバーが前記上下カムにより直接回動させられることを特徴とする請求項7のウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項9】
炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、該第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、
協働して基板を搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの少なくとも一方に、前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほど該基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起を備えたことを特徴とするウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項1】
炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、該第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、
協働して基板を搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの外側に位置するビームに、該ビームにより支持された基板の側縁に係合して該基板を案内する横方向案内突起を備えたことを特徴とするウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項2】
前記横方向案内突起は、前記基板の側縁を案内するために、外側に向かうほど上側へ向かうように傾斜させられたものである請求項1のウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項3】
前記基板をその下面から支持するために上側へ突き出す複数の支持突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものである請求項1または2のウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項4】
前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方から上側へ突き出す複数の支持突起は、該第1ビームおよび第2ビームの長手方向に直交する断面において側方へ傾斜したものである請求項3のウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項5】
前記横方向案内突起は、前記支持突起から分岐させられたものである請求項3または4のウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項6】
前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほど該基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起が、前記第1ビームおよび第2ビームの少なくとも一方に設けられたものである請求項1乃至5のいずれかのウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項7】
前記第1ビームは位置固定に設けられた固定ビームであり、
前記第2ビームは該固定ビームに対して相対移動可能に設けられた可動ビームであり、
協働して前記基板を搬送させるために、前記固定ビームに対して炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とを前記可動ビームに交互に行わせる搬送装置をさらに備え、
該搬送装置は、
前記可動ビームに上下方向の往復運動を与えるための上下カムと該可動ビームに炉長方向の往復運動を与えるための前後カム50とが固定されて回転可能に設けられたカム軸と、
該カム軸を単一の伝動部材を介して回転駆動する単一の回転駆動源と
を、含むものである請求項1乃至6のいずれかのウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項8】
前記搬送装置は、
前記加熱炉の入口側において昇降可能に設けられ、前記可動ビームの入口側端部を長手方向の移動可能に支持する入口側昇降プレートと、
該入口側昇降プレートに上下動を伝達するために該入口側昇降プレートと作動的に連結された入口側上下レバーと、
前記加熱炉の出口側において昇降可能に設けられ、前記可動ビームの出口側端部を長手方向の移動可能に支持する出口側昇降プレートと、
該出口側昇降プレートに上下動を伝達するために該出口側昇降プレートと作動的に連結された出口側上下レバーと、
前記入口側上下レバーと出口側上下レバーとに作動的に連結された、前記加熱炉の炉長よりも長い長手状のリンクと
を、含み、前記入口側上下レバーまたは出口側上下レバーが前記上下カムにより直接回動させられることを特徴とする請求項7のウオーキングビーム式熱処理装置。
【請求項9】
炉長方向の相対移動と上下方向の相対移動とが交互に行われる第1ビームおよび第2ビームと、該第1ビームおよび第2ビームの協働により搬送される基板を輻射加熱するための加熱体を有する加熱炉とを備えるウオーキングビーム式熱処理装置であって、
協働して基板を搬送するための前記第1ビームおよび第2ビームのうちの少なくとも一方に、前記基板を搬送方向において位置決めするために該基板の前縁および後縁に係合可能な間隔で設けられ、先端に向かうほど該基板から離れる方向に傾斜する一対の搬送方向案内突起を備えたことを特徴とするウオーキングビーム式熱処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−222401(P2006−222401A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36939(P2005−36939)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]