説明

エッジグリップ装置、及びそれを備えるロボット。

【課題】 半導体プロセス用ウエハを把持した後、素早く移動させることができるエッジグリップ装置を提供する。
【解決手段】 チャックハンド1は、半導体プロセス用ウエハ3をフロントガイド12に向かって押圧して半導体プロセス用ウエハ3を把持するプッシャー25を有する押圧機構14を備えている。押圧機構14は、プッシャー支持体22と、緩衝部材28とを更に有している。プッシャー支持体22は、進退できるよう構成され、前後にスライドできるようにプッシャー25に設けられている。プッシャー支持体22は、その前方に隙間26aがあいている。隙間26aには、反発力が小さく弾性変形可能な緩衝部材28が介在している。プッシャー支持体22は、前進すると、緩衝部材28を介してプッシャー25を押されて前方に移動させる。プッシャー25は、半導体プロセス用ウエハ3に当たって押し付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハやガラス基板等の半導体プロセス用ウエハを把持するためのエッジグリップ装置、及びそれを備えるロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハやガラス基板等の基板を搬送する搬送ロボットは、その先端部にエンドエフェクト、例えばハンドを有しており、このハンドにより基板を保持して搬送するように構成されている。基板を保持するハンドとしては、例えば、基板の下面を吸着してその基板を保持するものがある。しかし、このようなハンドでは、吸着する際に基板の下面にパーティクルが付着することがある。基板にパーティクルが付着することを嫌うので、パーティクルが付着しない別の方法で基板を保持することが好ましい。パーティクルが付着しない別の方法として、基板を把持する方法がある。このような方法を実現するハンドとして、例えば特許文献1に記載のブレードがある。
【0003】
特許文献1に記載のブレードは、Y字状に形成され、ロボットのアームに連結される結合部を有する。この結合部には、そこから延長するように装着翼が取り付けられている。装着翼の終端側は、二股状に構成されており、各々の終端には、固定フィンが形成されている。
【0004】
また、結合部には、装着翼上の基板をクランピングするためのクランピング部材が設けられている。クランピング部材は、移動プッシャーと、空圧シリンダとを有している。空圧シリンダは、移動プッシャーを進退させる機能を有している。移動プッシャーは、前進することで装着翼上の基板を固定フィンの方に押し、固定フィンと共に基板を支持するに構成されている。
【0005】
このように構成されるクランピング部材には、更に衝撃防止用スプリングを有する。衝撃防止用スプリングは、移動プッシャーに設けられており、移動プッシャーが基板と接触する時に移動プッシャーから基板に伝わる衝撃を緩和する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−134586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のブレードは、空圧シリンダにより移動プッシャーを前進させて基板に当てて支持するように構成されている。そのため、移動プッシャーが基板に当たる際、移動プッシャーから基板に衝撃が加わる。この衝撃を緩和すべく移動プッシャーには、衝撃防止用スプリングが設けられている。
【0008】
この衝撃防止用スプリングは、確かに衝撃を緩和するかもしれないが、反発力が大きいためスプリング特有のダンピングが生じる。ダンピングが生じると、移動プッシャーが基板を押圧する押圧力が不安定になり、基板をしっかりと保持することができない。それ故、移動プッシャーを基板に当てた後、衝撃防止用スプリングのダンピングが収まるまで待ってブレードを動かさなければならない。そうすると、基板を把持する時間が長くなってしまう。
【0009】
そこで本発明は、半導体プロセス用ウエハを把持した後、素早く移動させることができるエッジグリップ装置、及びそれを備える搬送ロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のエッジグリップ装置は、クランプ部と、前記クランプ部に対向するように設けられ、半導体プロセス用ウエハを前記クランプ部に押圧して前記クランプ部と共に前記半導体プロセス用ウエハを把持するプッシャーを有する押圧機構とを備えるエッジグリップ装置であって、前記押圧機構は、前記押圧の方向(以下、押圧方向という)に移動可能であり、前記プッシャーとの間において前記押圧方向に隙間を有して該プッシャーを該押圧方向に相対移動可能に案内するように該プッシャーを支持するプッシャー支持体と、前記プッシャーと前記プッシャー支持体との間の前記隙間に配置され、反発力が小さく弾性変形する緩衝部材とを更に有し、前記プッシャー支持体は、前記押圧方向に移動すると、前記緩衝部材を介して前記プッシャーを押して前記プッシャーを前記押圧方向に移動させ、それによって前記半導体プロセス用ウエハを前記クランプ部に押圧するように構成されているものである。
【0011】
本発明に従えば、プッシャー支持体を押圧方向に移動させると、プッシャー支持体がプッシャーを押す。押されたプッシャーは、半導体プロセス用ウエハに当たり、半導体プロセス用ウエハを前記クランプ部に押圧する。そうすることで、プッシャーは、半導体プロセス用ウエハをクランプ部と共に半導体プロセス用ウエハを把持する。このように半導体プロセス用ウエハを把持するプッシャーは、半導体プロセス用ウエハに当たる瞬間にプッシャー支持体に対して押し戻される。そうすると、プッシャー支持体は、プッシャーに対して相対移動して緩衝部材を弾性変形させる。緩衝部材が弾性変形することで、プッシャー支持体とプッシャーとの間に働く力、即ちプッシャー支持体がプッシャーを押す力が緩衝部材により低減される。これにより、プッシャーが半導体プロセス用ウエハに当たる瞬間に半導体プロセス用ウエハにかかる力を抑えられ、半導体プロセス用ウエハに生じる衝撃を和らげることができる。これにより、半導体プロセス用ウエハの歩留まりを向上させることができる。
【0012】
このように前記衝撃を和らげることができる緩衝部材は、ダンピングすることなく衝撃を吸収することができる。それ故、半導体プロセス用ウエハを把持した後、ダンピングが収まることを待つ必要がなく、素早く移動させることができる。このように半導体プロセス用ウエハを把持した後、素早く移動させることができるので、半導体プロセス用ウエハの生産速度を向上させることができる。
【0013】
上記発明において、前記プッシャー支持体は、前記プッシャーを前記押圧方向の逆方向に移動可能に案内するガイド部を有し、前記プッシャーは、前記ガイド部に前記押圧方向に相対移動可能に嵌合し、前記ガイド部より押圧方向に長いガイド溝を有し、前記緩衝部材は、前記押圧方向において前記ガイド部より前に位置するように前記ガイド溝に嵌挿され、前記ガイド部により相対的に押されると弾性変形するようになっていることが好ましい。
【0014】
上記構成に従えば、緩衝部材が前記ガイド部より前記押圧方向に配置されているので、ガイド溝に対するガイド部の押圧方向の移動が抑制される。それ故、プッシャー支持体を押圧方向に移動させると、プッシャー支持体と共にプッシャーが移動する。その後、プッシャーが半導体プロセス用ウエハに当たって動くことができなくなると、ガイド部が緩衝部材を押して弾性変形させながらガイド溝内を相対移動する。このように緩衝部材を弾性変形させながら相対移動することで、ガイド部がプッシャーを押す力が緩衝部材によって低減される、即ち吸収される。これにより、プッシャーが半導体プロセス用ウエハに当たる瞬間に半導体プロセス用ウエハにかかる力を抑えることができ、半導体プロセス用ウエハとプッシャーとの間に生じる衝撃を和らげることができる。このように前記衝撃を和らげることで、半導体プロセス用ウエハを把持する際にプッシャー支持体の移動速度を上げても半導体プロセス用ウエハが損傷しなくなる。それ故、プッシャー支持体の移動速度を上げて半導体プロセス用ウエハを素早く把持することができるようになる。このように半導体プロセス用ウエハの損傷を防ぎつつ半導体プロセス用ウエハを素早く把持することができるので、半導体プロセス用ウエハの歩留まりを向上させつつ半導体プロセス用ウエハの生産速度を向上させることができる。
【0015】
また、上記構成に従えば、緩衝部材がガイド溝に嵌挿されているので、緩衝部材の塑性変形が抑えられる。これにより、基板を把持する際にプッシャー支持部を移動させる距離に関して、緩衝部材における塑性変形の有無による差が小さくなる。そうすると、確保しておくべきプッシャー支持部の移動距離をより短くすることができる。これにより、押圧機構をコンパクトにすることができる。
【0016】
上記発明において、前記緩衝部材は、前記プッシャー支持部のクランプ部側に設けられていることが好ましい。
【0017】
上記構成に従えば、基板と緩衝部材との間に介在する構成の質量を小さくすることができ、衝撃部材に生じる衝撃を小さくすることができる。これにより、外径寸法が小さい衝撃部材であっても基板に生じる衝撃を十分吸収することができる。これにより、押圧機構をコンパクトにすることができる。
【0018】
上記発明において、前記プッシャー支持体は、移動可能な支持本体部と、該支持本体部に設けられた支持部材を有し、前記プッシャーは、前記支持部材に設けられ、前記支持部材は、前記押圧によって前記押圧方向と逆方向に弾性変形するように構成されていることが好ましい。
【0019】
上記構成に従えば、プッシャーが半導体プロセス用ウエハを押圧すると、支持部材が押圧方向と逆方向に弾性変形して、プッシャーが半導体プロセス用ウエハを押す力を吸収する。これにより、プッシャーと半導体プロセス用ウエハとの間で生じる衝撃を和らげることができ、半導体プロセス用ウエハの損傷を防ぐことができる。
【0020】
本発明のロボットは、上記いずれかのエッジグリップ装置を備えるものである。
【0021】
上記構成に従えば、前述のような作用効果を達成するロボットを実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、半導体プロセス用ウエハを把持する際に半導体プロセス用ウエハを損傷させることなく、半導体プロセス用ウエハを素早く把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態のエッジグリップ装置としてのチャックハンドを備える搬送ロボットを示す斜視図である。
【図2】図1のチャックハンドを拡大して示す拡大平面図である。
【図3】図2のチャックハンドのプッシャー周辺を拡大して示す拡大平面図である。
【図4】図3に示すチャックハンドを切断線A−Aで切断して見た断面図である。
【図5】半導体プロセス用ウエハを把持しているチャックハンド1の一部を拡大して示す図であり、(a)は、プッシャー周辺を拡大して示す拡大平面図であり、(b)は、(a)に示すチャックハンドの一部を切断線B−Bで切断して見た断面図である。
【図6】半導体プロセス用ウエハに生じる衝撃とエアの供給圧との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明に係るエッジグリップ装置の一実施形態であるチャックハンド1を備える搬送ロボット2について、図1乃至6を参照しつつ説明する。なお、以下に説明するチャックハンド1及び搬送ロボット2は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明は実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0025】
[搬送ロボットの構成]
搬送ロボット2は、半導体プロセス用ウエハを搬送できるロボットであり、例えば半導体処理設備に備わっている。本発明において、半導体プロセス用ウエハは、半導体プロセスにおいて用いられる薄い板であり、半導体デバイスの基板の材料であると定義される。半導体プロセス用ウエハには、例えば、半導体ウエハ、ガラスウエハ、サファイヤ(単結晶アルミナ)ウエハ等が含まれる。半導体ウエハには、例えば、シリコンウエハ、シリコン以外の半導体単体のウエハ、化合物半導体のウエハ等が含まれる。ガラスウエハには、例えば、FPD(Flat Panel Display)用ガラス基板、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用ガラス基板等が含まれる。
【0026】
半導体処理設備には、熱処理、不純物導入処理、薄膜形成処理、リソグラフィー処理、洗浄処理及び平坦化処理等のプロセス処理を施すための半導体処理装置(図示せず)が備わっている。搬送ロボット2は、図示しないフープに収容される半導体プロセス用ウエハ3を取って各半導体処理装置内の予め定められた収容位置に搬送するように構成されている。また、搬送ロボット2は、各半導体処理装置内に予め定められた収容位置に置かれた半導体プロセス用ウエハ3を取って、他の半導体処理装置内に搬送するように構成されている。
【0027】
搬送ロボット2は、図1に示すような、いわゆる水平多関節型の3軸ロボットであり、半導体処理設備のケーシングに固定される基台4を有する。基台4には、上下方向(図1の矢符B)に伸縮する昇降軸5が設けられている。昇降軸5は、図示しないエアシリンダ等で伸縮できるように構成されている。このように伸縮可能な昇降軸5の上端部には、第1アーム6が取り付けられている。
【0028】
第1アーム6は、水平方向に延びる長尺の部材であり、その長手方向の一端部が昇降軸5に鉛直な軸線L1回りに回動可能に取り付けられている。第1アーム6は、図示しない電気モータにより回動駆動できるように構成されている。また、第1アーム6の長手方向他端部には、第2アーム7が取り付けられている。
【0029】
第2アーム7もまた、水平方向に延びる長尺状の部材であり、その長手方向一端部が第1アーム6に鉛直な軸線L2回りに回動可能に取り付けられている。第2アーム7は、図示しない電気モータにより回動駆動できるように構成されている。第2アーム7の長手方向他端部には、チャックハンド1が鉛直な軸線L3回りに回動可能に取り付けられている。チャックハンド1は、図示しない電気モータにより回動駆動できるように構成されている。これら昇降軸5の昇降、並びに第1アーム6、第2アーム7及びチャックハンド1の回動は、後述する制御装置8により制御されている。
【0030】
[チャックハンドの構成]
エッジグリップ装置であるチャックハンド1は、半導体プロセス用ウエハ3を把持して保持できるように構成されている。チャックハンド1は、図2に示すようにケーシング9を有する。ケーシング9は、中空の箱体であり、平面視で大略的に矩形状に構成されている。ケーシング9の下面は、第2アーム7に取り付けられている。また、ケーシング9は、その一側面に開口を有している。この開口には、ハンド本体11が挿入されている。開口から挿入されたハンド本体11は、ケーシング9の開口端部9aに固定されている。
【0031】
ハンド本体11は、先端側が二股に分かれており、平面視でY字状に構成されている。ハンド本体11の基端部は、ケーシング9の開口端部9aに固定されている。また、ハンド本体11の二股に分かれた各々の先端部分には、フロントガイド12が設けられている。また、ハンド本体11の基端側には、一対のフロントガイド12,12に対向するように一対のリアガイド13,13が設けられている。更に、ハンド本体11の基端側には、ハンド本体11の中心線L4に沿って延びるガイド溝11aが形成されている。このガイド溝11aは、例えば、細長い貫通孔であって、一対のリアガイド13,13の間に形成されている。一対のフロントガイド13,13と一対のリアガイド14,14とは、半導体プロセス用ウエハ3を支持する機能を有する。それ故、これらは、半導体プロセス用ウエハ3の形状に応じて、当該半導体プロセス用ウエハ3を適切に支持できるような位置及び形状に形成されている。半導体プロセス用ウエハ3の形状は任意であるが、以下では、半導体プロセス用ウエハ3の形状が円形である例を示す。
【0032】
クランプ部である各フロントガイド12は、上方に延びている。フロントガイド12は、対向面12aを有している。この対向面12aは、ハンド本体11の基端側に向いており、半導体プロセス用ウエハ3のエッジの形状に合わせて円弧状に湾曲している。また、各リアガイド13も、同様に上方に延びている。リアガイド13は、対向面13aを有している。この対向面13aは、ハンド本体11の先端側に向いており、半導体プロセス用ウエハ3のエッジの形状に合わせて円弧状に湾曲している。把持すべき半導体プロセス用ウエハ3は、このように湾曲する一対のフロントガイド12,12及び一対のリアガイド13,13の間に入れられてハンド本体11の上で支持される。
【0033】
このように構成される一対のフロントガイド12,12及び一対のリアガイド13,13は、それらの間に入る半導体プロセス用ウエハ3が何れか一方のガイド12,13に当たると、他方のガイド13,12に当たらないように構成されている。即ち、一対のフロントガイド12,12に半導体プロセス用ウエハ3のエッジが当たっていると、半導体プロセス用ウエハ3のエッジが一対のリアガイド13,13に当たらないように配置されている。ただし、フロントガイド12及びリアガイド13の加工精度及び位置精度、並びに半導体プロセス用ウエハ3の加工精度等により、半導体プロセス用ウエハ3のエッジが一対のフロントガイド12,12及び一対のリアガイド13,13に当たってしまう場合もある。
【0034】
また、ケーシング9内には、ハンド本体11の上面にある半導体プロセス用ウエハ3を一対のフロントガイド12,12に押し付けて把持する押圧機構14が設けられている。押圧機構14は、シリンダ15を有している。シリンダ15は、ケーシング9内に設けられている。シリンダ15には、ロッド16が進退可能に挿入されている。ロッド16の一端部には、ピストン17が設けられている。ピストン17は、シリンダ15内の空間を第1空間15a及び第2空間15bの2つの空間に分けている。第1空間15a及び第2空間15bには、コンプレッサ等のエア供給装置18が接続されている。また、エア供給装置18とシリンダ15との間には、スピードコントローラ19が介在している。
【0035】
スピードコントローラ19は、流量方向切換弁を備えている。スピードコントローラ19は、エアの供給先を第1空間15aと第2空間15bとの間で切換でき、また供給するエアの供給圧を制御できるように構成されている。このように構成されるスピードコントローラ19は、後述する制御装置8により制御されている。即ち、スピードコントローラ19は、制御装置8からの指令に応じてエアの供給先を第1空間15aと第2空間15bとの間で切換えるように構成されている。スピードコントロール19が供給先を第1空間15aに切換えることでロッド16は、前進し、またスピードコントロール19がエアの供給先を第2空間15bに切換えることでロッド16が後退するように構成されている。
【0036】
このように進退するロッド16の先端部には、ユニバーサルジョイント20を介してリニア可動体21が取り付けられている。リニア可動体21は、ケーシング9内に、ガイド溝設けられている。リニア可動体21は、ロッド16の進退に合わせてハンド本体11の中心線L4に沿って前後方向に移動するように構成されている。即ち、リニア可動体21は、ケーシング9の開口に向かって、又はその開口から遠ざかるように直線往復運動できるように構成されている。このように構成されるリニア可動体21には、開口側の端部にプッシャー支持体22が固定されている。
【0037】
プッシャー支持体22は、平面視で大略的にT字状に構成されている。プッシャー支持体22は、支持本体23と、支持部材24とを有する。支持本体23は、ハンド本体11のガイド溝11aに摺動自在に嵌挿されている。そして、支持本体23の基端部は、リニア可動体21に固定されている。これにより、支持本体23は、リニア可動体21の進退によって、ハンド本体11の中心線L4に沿って前後にスライドする。支持本体23の先端側は、ケーシング9の開口から突出している。この支持本体23の先端側には、支持部材24が設けられている。支持部材24は、平面視で略円弧状に形成された部材である。支持部材24は、本体部24aと一対の支持部24bとを有する。本体部24aは、支持本体23に固定されている。本体部24aには、一対の支持部24bが設けられている。一対の支持部24bは、本体部24aからハンド本体11の幅方向両側に夫々延在しており、片持ち梁のように構成されている。各支持部24bの先端部分には、プッシャー25が設けられている。以下では、図3及び図4も参照しながら説明する。
【0038】
プッシャー25は、合成樹脂材料から成る板状の部材である。プッシャー25の先端面は、半導体プロセス用ウエハ3のエッジの形状に合わせて円弧状に湾曲している。プッシャー25の上面には、段差25cが形成されており、先端面25a側に対して基端25b側が低く構成されている。更に、プッシャー25の上面の基端25b側には、厚み方向に貫通するガイド溝26が形成されている。このガイド溝26は、平面視で矩形状になっており、中心線L4に平行な方向(以下、単に「X方向」ともいう)に延びている。
【0039】
このようなガイド溝26を有するプッシャー25は、その上面が上を向くように支持部24bの先端部分に載置されている。また、プッシャー25は、その先端面25aが一対のフロントガイド12に対向するように配置されている。このように配置されるプッシャー25を取り付けるために、プッシャー支持体22は、ガイド部材27を有している。このガイド部材27に、ガイド溝26に当該ガイド部材27が挿通されるようにして、プッシャー25が嵌合されている。
【0040】
ガイド部材27は、支持部24bの先端部分に立設されている。このガイド部材27は、ガイド部27aと被覆板27bとを有する。ガイド部27aは、略直方体状に構成されており、X方向に延びている。ガイド部27aの幅(即ち、X方向に直交するY方向の長さ)は、ガイド溝26の幅と略一致している。また、ガイド部27aのX方向の長さは、ガイド溝26のX方向の長さより短くなっている。このような形状を有するガイド部27aは、ガイド溝26に挿通されておいる。プッシャー25は、ガイド溝26においてこのガイド部27aに案内されて、支持部24b(プッシャー支持体22)に対しX方向にスライドできるように構成されている。換言すると、ガイド部27aは、ガイド溝26内をX方向にプッシャー25に対して相対的にスライドする。このようにプッシャー25をスライドせしめるガイド部27aは、ガイド溝26の最も後方側に位置している。これにより、ガイド部27aの前方(押圧方向)には隙間26aがあいている。そして、この隙間26aには、緩衝部材28が嵌め込まれている。これにより、プッシャー支持体22とプッシャー25との間には、緩衝部材28が介在する。
【0041】
この緩衝部材28は、ゴムや低反発材等の反発力が小さい材料から成り、直方体状に構成されている。緩衝部材28は、ガイド部27aがガイド溝26内をX方向にスライドすると、押し潰されて弾性変形し、ガイド部27aとプッシャー25との間における衝突を和らげるように構成されている。緩衝部材28は、ガイド部27aの先端側の面である先端面27cに当たるようにガイド溝26の隙間26aに配置されている。このように配置される緩衝部材28は、ガイド溝26の隙間26aを埋めている。
【0042】
このように構成される緩衝部材28は、プッシャー25の先端面25aが半導体プロセス用ウエハ3等に当たっていない時にガイド部27aが緩衝部材28を介してプッシャー25を押しても実質的に弾性変形することがないように構成されている。つまり、緩衝部材28は、プッシャー25の先端面25aが半導体プロセス用ウエハ3等に当たっていない時に、力を吸収されることなくガイド部27aがプッシャー25を押すことができるように構成されている。他方、プッシャー25の先端面25aが半導体プロセス用ウエハ3等に当たっている時にガイド部27aが緩衝部材28を介してプッシャー25を押すと、緩衝部材28は、弾性変形するように構成されている。つまり、緩衝部材28は、プッシャー25の先端面25aが半導体プロセス用ウエハ3等に当たっている時に、ガイド部27aがプッシャー25を押す力を吸収し、抑えるように構成されている。
【0043】
このような緩衝部材28をプッシャー25との間に介在させるガイド部27aは、その下面が支持部24bの先端部分に当接するように前記先端部分上に配置されている。ガイド部27aの上面には、被覆板27bが一体的に設けられている。被覆板27bの幅は、プッシャー25の幅と略一致している。また、被覆板27bのX方向の長さは、プッシャー25の基端から段差25cまでの距離よりも短くなっている。このような形状を有する被覆板27bは、プッシャー25の上面の基端側を覆うように配置されている。そうすることで、被覆板27bは、ガイド溝26の上側の開口を塞いで緩衝部材28が飛び出ることを防ぐように構成される。また、被覆板27bの先端面は、段差25cからX方向に離されている。これにより、プッシャー25は、ガイド部27aに対してスライドできるように構成されている。更に、被覆板27bの先端面は、プッシャー25が所定距離だけ押し戻されると、段差25cに当たるように構成されている。即ち、被覆板27aは、段差25cと共にストッパーを構成している。
【0044】
このように構成されるガイド部材27は、ボルト29,29により支持部24bの先端部分に締結され、支持部24bの先端部分に固定されている。これにより、プッシャー25は、支持部24bの先端部分と被覆板27bとの間に配置され、プッシャー支持体22から外れないように構成される。また、プッシャー25は、フロントガイド12に対向するように配置されている。このようにプッシャー25を配置することで、プッシャー25は、プッシャー支持体22を前進させると、半導体プロセス用ウエハ3に当たって押し付けられるように構成される。また、プッシャー25は、半導体プロセス用ウエハ3に押し付けられると、半導体プロセス用ウエハ3をフロントガイド12の方へと押してフロントガイド12と共に半導体プロセス用ウエハ3を把持できるように構成されている。
【0045】
このように構成される押圧機構14を有する搬送ロボット2は、制御装置8を有している。制御装置8は、昇降軸5を伸縮させる図示しないエアシリンダへのエアの流れを切換える切換弁、第1アーム6、第2アーム7及びチャックハンド1を夫々回動させる図示しない電気モータに接続されている。制御装置8は、予め定められたプログラムに基づいて切換弁及び各電気モータを制御するように構成されている。また、制御装置8は、スピードコントローラ19に接続されている。制御装置8は、前記スピードコントローラ19を制御してエアの供給先を切換え、またエアの供給圧を切換えられるように構成されている。
【0046】
このような制御装置8を有する搬送ロボット2は、制御装置8により、昇降軸5の伸縮、第1アーム6、第2アーム7及びチャックハンド1の回動を制御してチャックハンド1を所望の位置へと動かし、エアの供給先を制御することでチャックハンド1により半導体プロセス用ウエハ3を把持し、また把持した半導体プロセス用ウエハ3を放すようになっている。以下では、搬送ロボット2がチャックハンド1により半導体プロセス用ウエハ3を把持して搬送する手順について説明する。
【0047】
[半導体プロセス用ウエハの把持及び搬送について]
まず、制御装置8は、昇降軸5、第1アーム6、第2アーム7及びチャックハンド1を動かして、チャックハンド1を半導体プロセス用ウエハ3の下方に配置する。この際、制御装置8は、昇降軸5、第1アーム6、第2アーム7及びチャックハンド1の動きを制御して、後述する工程にてハンド本体12に半導体プロセス用ウエハ3を載せるときに、半導体プロセス用ウエハ3が一対のフロントガイド12,12及び一対のリアガイド13,13の間に入るようにしている。半導体プロセス用ウエハ3の下方にチャックハンド1が配置されると、制御装置8は、昇降軸5を伸長させてチャックハンド1を上昇させる。そうすると、半導体プロセス用ウエハ3が、一対のフロントガイド12,12及び一対のリアガイド13,13の間に入り、ハンド本体11の上に載る。
【0048】
半導体プロセス用ウエハ3をハンド本体11に載せた後、制御装置8は、スピードコントローラ19によりエアの供給先を第1空間15aに切換えてロッド16を前進させる。ロッド16が前進することで、リニア可動体21が押されて前進する。リニア可動体21が前進すると、プッシャー支持体22が中心線L4に沿って前進する。つまり、プッシャー支持体22が半導体プロセス用ウエハ3に向かって移動する。プッシャー支持体22が移動すると、プッシャー支持体22が緩衝部材28を介して一対のプッシャー25,25を前方に押す。そうすることで、プッシャー25が半導体プロセス用ウエハ3に向かって前進する。前進する一対のプッシャー25,25の先端面25aは、やがて半導体プロセス用ウエハ3のエッジに当たり、半導体プロセス用ウエハ3に押し付けられる。
【0049】
この際、プッシャー25が半導体プロセス用ウエハ3のエッジに当たって動かなくなると、ガイド部27aは、図5に示すように緩衝部材28を押して弾性変形させながらガイド溝26内をスライドする(図5の実線)。このように緩衝部材28を弾性変形させながらスライドすることで、ガイド部27aがプッシャー25を押す力が緩衝部材28により吸収される。それ故、プッシャー25が半導体プロセス用ウエハ3に当たる瞬間に半導体プロセス用ウエハ3のエッジにかかる力を抑えることができる。つまり、プッシャー25と半導体プロセス用ウエハ3との間で生じる衝撃を和らげることができる。
【0050】
また、支持部24bが本体部24aから梁のように張出しているので、プッシャー25が半導体プロセス用ウエハ3のエッジに当たると、支持部24bが後方に弾性変形する。弾性変形することで、プッシャー支持体22がプッシャー25を押す力が吸収される。これにより、プッシャー25が半導体プロセス用ウエハ3に当たる瞬間に半導体プロセス用ウエハ3のエッジにかかる力を抑えることができる。つまり、プッシャー25と半導体プロセス用ウエハ3との間で生じる衝撃を支持部24bが和らげることができる。
【0051】
プッシャー25は、このように半導体プロセス用ウエハ3との間で生じる衝撃を緩和されつつプッシャー支持体22により半導体プロセス用ウエハ3に当てられて押し付けられる。押し付けられることで、プッシャー25は、その半導体プロセス用ウエハ3を一対のフロントガイド12,12に向かって(即ち、前方)に押し、一対のフロントガイド12と共に半導体プロセス用ウエハ3を把持する。このように半導体プロセス用ウエハ3を把持した後、制御装置8は、所定位置の上方まで半導体プロセス用ウエハ3を搬送する。
【0052】
所定位置の上方まで半導体プロセス用ウエハ3を搬送すると、制御装置8は、スピードコントローラ19によりエアの供給先を第2空間15bに切換えてロッド16を後退させる。ロッド16が後退することで、リニア可動体21及びプッシャー支持体22が引き戻されてプッシャー支持体22が後退する。プッシャー支持体22が後退することで、プッシャー支持体22により一対のプッシャー25,25が後方に押されて後退する。この際、プッシャー25は、緩衝部材28の弾性変形によるひずみがなくなった後に後退し始める。そのため、プッシャー25は、プッシャー支持体22の後退に対して送れて後退し始める。後退することで、一対のプッシャー25,25が半導体プロセス用ウエハ3から離れる。これにより、把持されていた半導体プロセス用ウエハ3が放される。
【0053】
放した後、制御装置8は、昇降軸5を収縮させてチャックハンド1を下降させ、半導体プロセス用ウエハ3を所定位置に載置する。このようにして、フープ内等の所定位置にある半導体プロセス用ウエハ3を半導体処理装置内などの所定の位置へと搬送することができる。
【0054】
[半導体プロセス用ウエハに生じる衝撃について]
以下では、半導体プロセス用ウエハ3を把持する際に生じる衝撃について、図6を参照して説明する。図6は、プッシャー25と半導体プロセス用ウエハ3との間で生じる衝撃(X方向加速度)と、シリンダ15へのエアの供給圧との関係を示すグラフである。図6では、横軸にエアの供給圧が示され、縦軸にX方向加速度、即ち衝撃が示されている。また、図6において、実線31は、チャックハンド1において半導体プロセス用ウエハ3に生じる衝撃を示す。また、1点鎖線32は、チャックハンド1において緩衝部材28が介在していない場合に半導体プロセス用ウエハ3に生じる衝撃を示している。更に、2点鎖線33は、従来技術の基板保持装置を用いた場合に半導体プロセス用ウエハ3に生じる衝撃を示している。
【0055】
チャックハンド1及び基板保持装置では、共にエアの供給圧の上昇に応じてハンド本体11及び基板保持部の押し出し荷重が増加するようになっている。これは、図6において、実線31、1点鎖線32及び2点鎖線33の全てが右肩上がりになり、エアの供給圧の増加に応じて衝撃が増加していることからも明らかである。プッシャー支持体22の移動速度は、シリンダ15へのエアの供給圧に応じて増加していくようになっている。つまり、図6では、前記衝撃がプッシャー支持体22の移動速度に応じて増加していくことがわかる。
【0056】
図6に示される実線31、1点鎖線32及び2点鎖線33を比較すると、1点鎖線32では、プッシャー25と半導体プロセス用ウエハ3との間に生じる衝撃が2点鎖線33に対して約2/3まで低減されている。即ち、半導体プロセス用ウエハ3のエッジにプッシャー25が当たる際に支持部24bを後方に弾性変形させることで、プッシャー25と半導体プロセス用ウエハ3との間に生じる衝撃が約2/3まで低減される。
【0057】
また、実線31では、前記衝撃がこの1点鎖線32に対して約半分になっており、また前記衝撃が2点鎖線33に対して約1/3まで低減されている。即ち、プッシャー支持体22とプッシャー25との間に緩衝部材28を介在させることでプッシャー25と半導体プロセス用ウエハ3との間に生じる衝撃が約半分に低減される。また、支持部24bと緩衝部材28とを組み合わせることで、従来技術の基板保持装置に比べて半導体プロセス用ウエハ3に生じる衝撃が約1/3まで低減される。
【0058】
このように、チャックハンド1は、エアの供給圧を上げてプッシャー支持体22の移動速度を上昇させても、プッシャー25と半導体プロセス用ウエハ3との間に生じる衝撃を小さく抑えることができる。従って、チャックハンド1では、プッシャー支持体22の移動速度を上げても半導体プロセス用ウエハ3が損傷しない。それ故、チャックハンド1は、プッシャー支持体22の移動速度を上げて半導体プロセス用ウエハ3を素早く把持することができるようになる。このように、半導体プロセス用ウエハ3の損傷を防ぎつつ半導体プロセス用ウエハ3を素早く把持することができるので、チャックハンド1は、半導体プロセス用ウエハ3の歩留まりを向上しつつ生産速度を向上させることができる。
【0059】
また、チャックハンド1では、半導体プロセス用ウエハ3とプッシャー25との間の衝撃を和らげる緩衝部材28がプッシャー支持体22とプッシャー25との間に設けられている。この緩衝部材28は、ゴムや低反発材等の反発力の小さい材料から成るので、スプリングと異なりダンピングすることなく衝撃を吸収することができる。それ故、チャックハンド1は、半導体プロセス用ウエハ3を把持した後、従来技術のようにダンピングが収まるのを待つことなく素早く移動させることができる。それ故、チャックハンド1を用いると、半導体プロセス用ウエハ3の生産速度を向上させることができる。
【0060】
また、チャックハンド1では、緩衝部材28がガイド溝11aに嵌挿されているので、緩衝部材28の塑性変形が抑えられる。これにより、半導体プロセス用ウエハ3を把持する際にプッシャー支持体22を移動させる距離に関して、緩衝部材28における塑性変形の有無による差が小さくなる。そうすると、プッシャー支持体22を移動させなければならない最低限の距離をより短くすることができる。これにより、シリンダ15及びロッド16等の構成をコンパクトにすることができる。つまり、押圧機構14自体をコンパクトにすることができる。また、ロッド16の伸縮量は、図示しないセンサにより検出されており、センサからの検出値に基づいて前進及び後退を検出するが、塑性変形が大きいと、センサが誤動作を起こすおそれがある。なお、ゴムよりも低反発材の方が塑性変形しにくいため、低反発材を用いる方が好ましい。
【0061】
更に、チャックハンド1は、2つのプッシャー25により半導体プロセス用ウエハ3を把持するように構成されているので、プッシャー25と半導体プロセス用ウエハ3との間に生じる衝撃を分散させることができる。これにより、チャックハンド1は、半導体プロセス用ウエハ3の局所に大きな衝撃を生じることを防ぐことができ、把持する際に半導体プロセス用ウエハ3が損傷することを防ぐことができる。
【0062】
更に、チャックハンド1では、緩衝部材28がプッシャー支持体22の先端側に設けられ、プッシャー25に当接するように配置されている。そのため、半導体プロセス用ウエハ3と緩衝部材28との間にプッシャー25しか存在しない。プッシャー25の質量は小さいので、衝撃部材28に生じる衝撃を小さくすることができる。それ故、外径寸法が小さい衝撃部材28であっても半導体プロセス用ウエハ3に生じる衝撃を十分吸収することができる。これにより、押圧機構14をコンパクトにすることができる。
【0063】
本実施形態では、チャックハンド1が保持する対象が半導体プロセス用ウエハ3であるが、保持する対象は、半導体プロセス用ウエハ3以外のガラスウエハやサファイヤウエハ等であってもよく、半導体プロセス用ウエハであればよい。また、チャックハンド1では、半導体プロセス用ウエハ3を2つのプッシャー25で押すようになっているが、プッシャー支持体22に3つ以上のプッシャー25を設けて、それらのプッシャー25により半導体プロセス用ウエハ3を押すようにしてもよい。逆に、プッシャー支持体22に1つのプッシャー25しか設けなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、半導体ウエハやガラス基板等の半導体プロセス用ウエハを把持するためのエッジグリップ装置、及びそれを備える搬送ロボットに適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 チャックハンド
2 搬送ロボット
3 半導体プロセス用ウエハ
12 フロントガイド
14 押圧機構
22 プッシャー支持体
24 支持部材
25 プッシャー
26 ガイド溝
26a 隙間
27a ガイド部
28 緩衝部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ部と、前記クランプ部に対向するように設けられ、半導体プロセス用ウエハを前記クランプ部に押圧して前記クランプ部と共に前記半導体プロセス用ウエハを把持するプッシャーを有する押圧機構とを備えるエッジグリップ装置であって、
前記押圧機構は、
前記押圧の方向(以下、押圧方向という)に移動可能であり、前記プッシャーとの間において前記押圧方向に隙間を有して該プッシャーを該押圧方向に相対移動可能に案内するよう該プッシャーを支持するプッシャー支持体と、
前記プッシャーと前記プッシャー支持体との間の前記隙間に配置され、反発力が小さく弾性変形する緩衝部材とを更に有し、
前記プッシャー支持体は、前記押圧方向に移動すると、前記緩衝部材を介して前記プッシャーを押して前記プッシャーを前記押圧方向に移動させ、それによって前記半導体プロセス用ウエハを前記クランプ部に押圧するように構成されていることを特徴とするエッジグリップ装置。
【請求項2】
前記プッシャー支持体は、前記プッシャーを前記押圧方向の逆方向に移動可能に案内するガイド部を有し、
前記プッシャーは、前記ガイド部に前記押圧方向に相対移動可能に嵌合し、前記ガイド部より前記押圧方向に長いガイド溝を有し、
前記緩衝部材は、前記押圧方向において前記ガイド部より前に位置するように前記ガイド溝に嵌挿され、前記ガイド部により相対的に押されると弾性変形するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のエッジグリップ装置。
【請求項3】
前記緩衝部材は、前記プッシャー支持部のクランプ部側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエッジグリップ装置。
【請求項4】
前記プッシャー支持体は、前記押圧方向に移動可能な支持本体部と、該支持本体部に設けられた支持部材を有し、
前記プッシャーは、前記支持部材に設けられ、
前記支持部材は、前記押圧によって前記押圧方向と逆方向に弾性変形するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載のエッジグリップ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載のエッジグリップ装置を備えるロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−119348(P2011−119348A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273586(P2009−273586)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】