説明

エポキシ樹脂組成物及び電子部品

【課題】 封止用のエポキシ樹脂組成物であって、高密度実装に適した良好な流動性と形状保持性の両者を同時に満足し得るエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及び無機充填材を含有する常温で液状のエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物中に前記エポキシ樹脂を5〜15質量%、親水性のシリカ微粒子と疎水性のシリカ微粒子をそれぞれ0.1〜2質量%含有し、前記エポキシ樹脂はエポキシ樹脂成分としてポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルをエポキシ樹脂成分全量に対して5〜20質量%含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状エポキシ樹脂組成物に関し、例えば半導体チップ等を封止する液状エポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置などの電子部品を構成する半導体素子や基板等の部材を封止するにあたって液状のエポキシ樹脂組成物を封止材として用いる場合には、これをディスペンサーから吐出させるポッティング封止やアンダーフィル封止による方法、また加圧と加熱を同時に行なう圧接封止等の方法、あるいはマスクやスクリーンを使った印刷による方法により行なっていた。これらの方法は、金型で成形する方法ではないので離型剤を必要とせず、そのため液状封止材は金型を必要とする成形用封止材に比べると本質的に密着性の高い封止材が得られる。
【0003】
液状封止材による半導体素子の実装形態を採用する場合、一般に無機充填材を含有する液状エポキシ樹脂組成物が用いられる。この種の液状エポキシ樹脂組成物には、塗布時には適度な流動性を有するが、封止材を形成した後、硬化前には封止材が盛り上がったり、封止したい領域から拡散することがない形状保持性が要求される。従って、組成物としてはチクソ性不足による封止材料のタレや、チクソ性過大による未充填部の発生を防ぐ必要がある。
【0004】
このような流動性を改善するため無機充填材とともにチクソ性付与剤として粒子表面を疎水化処理したシリカ微粒子を添加することを本願出願人らは先に提案した(特許文献1)。この疎水性のシリカ微粒子を添加したエポキシ樹脂組成物によれば、塗布時の形状保持性に優れ、硬化物の良好な表面状態が得られる。
【特許文献1】特許第2501804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子部品の高密度実装化に伴い、必要部位のみに封止材料を塗布し、不要部位には他の部品を搭載するために封止材料が流れ込まないように更に形状保持性の高い封止材料が望まれている。
【0006】
形状保持性を向上するためには上記の疎水性のシリカ微粒子や無機充填材の配合量を多くすることが考えられるが、疎水性のシリカ微粒子はチクソ性付与剤として添加されているものであるため多量に添加すると組成物の増粘が大きく、流動性が極めて低下することとなる。また、無機充填材を高充填化した場合もエポキシ樹脂組成物は増粘しやすく、従って塗布時の作業時間が長時間化して作業性が低下し生産効率の低下を招くこととなる。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みなされたものであり、液状封止材として用いられるエポキシ樹脂組成物であって、高密度実装に適した良好な流動性と形状保持性の両者を同時に満足し得るエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及び無機充填材を含有する常温で液状のエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物中に前記エポキシ樹脂を5〜15質量%、親水性のシリカ微粒子と疎水性のシリカ微粒子をそれぞれ0.1〜2質量%含有し、前記エポキシ樹脂はエポキシ樹脂成分としてポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルをエポキシ樹脂成分全量に対して5〜20質量%含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
【0009】
また、本発明は前記エポキシ樹脂組成物において、ポリアマイド化合物を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
【0010】
さらに、本発明は前記エポキシ樹脂組成物において、グリコールエーテルを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
【0011】
そして本発明は半導体素子などを上記エポキシ樹脂組成物を用いて封止し、電子部品とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及び無機充填材を含有する常温で液状のエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物中に前記エポキシ樹脂を5〜15質量%含有し、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルをエポキシ樹脂成分の1つとしてエポキシ樹脂全量に対して5〜20質量%含有するとともに、エポキシ樹脂組成物中に親水性のシリカ微粒子と疎水性のシリカ微粒子をそれぞれ0.1〜2質量%含有することにより、常温での低粘度化を達成できると同時に形状保持性を付与することができる。そして、前記のようなエポキシ樹脂組成物の硬化物は可撓性にも優れ、熱的な低応力性も得ることができる。従って、本発明によれば高密度実装に適した良好な流動性と形状保持性を両立したエポキシ樹脂組成物が得られるため、作業時間を短縮化し電子部品の生産効率の向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂はエポキシ樹脂成分として少なくともポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルを含有する。
【0014】
本発明に用いられるポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられ、これらの中でもポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。これらのポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル は一種または二種以上を用いても良い。
【0015】
このようなジグリシジルエーテル類をエポキシ樹脂成分の1つとして配合することにより、増粘作用のあるシリカ微粒子を使用しても粘度の増加を抑制して流動性のあるエポキシ樹脂組成物を得ることができ、また硬化物への可撓性、熱的な低応力性も付与することができる。
【0016】
本発明に用いられるポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル のエポキシ当量の範囲は、150〜400が好ましい。このようなポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルの具体例としては、例えば、阪本薬品工業(株)社製のSR−4PG、SR−TPGなどを挙げることができる。
【0017】
本発明のエポキシ樹脂成分としては上記のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル以外に従来公知のエポキシ樹脂を使用することができる。具体的には、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などを用いることができ、これらの中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂とともに使用することが好ましい。なお、常温において液状のエポキシ樹脂組成物とすることができ、本発明の目的を損なわない範囲であれば固体エポキシ樹脂を用いてもよい。
【0018】
本発明において全エポキシ樹脂成分中のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルの組成としてはエポキシ樹脂成分全量に対して5〜20質量%とすることが好ましい。ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルのエポキシ樹脂成分全量に対する含有量が5質量%未満である場合には、低粘度の組成物とすることができず作業が長時間化し、一方、20質量%より多い場合、反応性が低下して硬化するまでの形状保持性を確保することができなくなる傾向がある。
【0019】
また、本発明においてエポキシ樹脂全体の配合量は樹脂組成物全量に対して、5〜15質量%であり、好ましくは8〜15質量%である。5質量%未満では、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルの配合量が不足し、上記のような特性が低下する傾向がある。一方、エポキシ樹脂の配合量が15質量%より多いと、硬化に必要な硬化剤量も増加する必要があり、高い形状保持性が得られにくくなる。
【0020】
本発明の上記エポキシ樹脂を硬化するために用いられる硬化剤としては、従来公知の硬化剤を使用することができる。具体的には、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等の各種多価フェノール化合物あるいはナフトール化合物を単独あるいは2種以上混合して使用することができる。硬化剤の配合量は特に制限されないが、全エポキシ樹脂に対する配合割合で全エポキシ樹脂/全硬化剤=0.5〜1.5(当量比)、好ましくは0.8〜1.3に設定する。この配合割合が0.5よりも小さいと、硬化剤の配合量が多すぎて経済的に不利となる恐れがあり、また上記の配合割合が1.5を超えると、硬化剤の配合量が少なすぎて硬化不足になる恐れがある。
【0021】
本発明において硬化促進剤としては前記したエポキシ樹脂及び硬化剤のエポキシ基と水酸基の反応を促進することができるものであれば特に制限することなく使用することができる。具体的には、例えばトリフェニルホスフィンやトリブチルホスフィンなどの有機リン化合物、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミンなどの三級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類を用いることができる。
【0022】
硬化促進剤は全樹脂成分(エポキシ樹脂と硬化剤)に対して0.1〜5質量%配合するのが好ましい。硬化促進剤の配合量が全樹脂成分の配合量に対して0.1質量%未満であれば、硬化促進効果を高めることができず、硬化促進剤の配合量が全樹脂成分の配合量に対して5質量%を超えると、成形性に不具合を生じる恐れがあり、また、硬化促進剤の配合量が多くなって経済的に不利となる恐れがある。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物は上記のような樹脂成分とともに無機充填材を所定量含有する。このような無機充填材としては従来公知の溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素などを単独あるいは2種以上混合して使用することができるが、これらの中でもシリカを用いるのが好ましい。本発明において無機充填材はエポキシ樹脂組成物全量に対して60〜85質量%とすることが好ましく、より好ましくは70〜80質量%配合するのが望ましい。無機充填材の平均粒径としては特に限定されないが、2〜40μmのものが好ましい。なお、親水性あるいは疎水性のシリカ微粒子も無機の充填材の1種であるが、表面性状、粒径により上記無機充填材とシリカ微粒子とは特性が異なるものであるため、本発明では両者を区別して用いる。
【0024】
本発明は上記のような樹脂成分及び無機充填材とともに、エポキシ樹脂組成物中に親水性のシリカ微粒子と疎水性のシリカ微粒子をそれぞれ0.1〜2質量%含有する。本発明において親水性のシリカ微粒子とともに疎水性のシリカ微粒子を併用するのは、上記した流動性に優れるエポキシ樹脂成分であるポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルに形状保持性を付与するのに親水性のシリカ微粒子が寄与し、疎水性のシリカ微粒子により残りのエポキシ樹脂成分に形状保持性を付与できるためであると考えている。
【0025】
本発明の親水性のシリカ微粒子及び疎水性のシリカ微粒子はいずれも一次粒子の平均粒径が7〜20nmの範囲内にある微粒子粉である。このようなシリカ微粒子は比表面積が極めて大きいため、少量の配合量でその効果を発現することができる一方、配合量が多すぎると粘度の上昇が大きくなって、流動性が低下することとなる。従って、各シリカ微粒子の配合量はいずれもエポキシ樹脂組成物中に0.1〜2質量%であり、好ましくは0.3〜1質量%、最も好ましくは0.3〜0.8質量%である。
【0026】
本発明の親水性のシリカ微粒子はシリカ微粒子の表面を有機あるいは無機化合物で親水化処理しても良いが、このようなシリカ微粒子はその表面が製造時に親水性である特性基、たとえばシラノール基を多数有するものとなっており水に対する親和性が大きい。従って、更に親水化処理を行なうことなく、上記粒径のシリカ微粒子を未処理でそのまま用いることもできる。一方、疎水性のシリカ微粒子は親水性のシリカ微粒子と比べて水に対する親和性が小さくなる性質を有するものであり、上記粒径のシリカ微粒子の表面を有機あるいは無機化合物で疎水化処理することにより得られる。例えば、シリカ微粒子の表面を疎水性であるメチル化あるいはシリコーンオイル等で処理したものが挙げられる。
【0027】
上記のようなシリカ微粒子の具体例としては、例えば日本アエロジル(株)社製のシリカ微粒子を挙げることができる。この中で好適な親水性のシリカ微粒子としては、品番380(平均粒径:7nm)を、疎水性のシリカ微粒子としては、品番RY200(平均粒径:12nm)を挙げることができる。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物は上記以外の組成として、本発明の目的とする所望の特性を阻害しない範囲で従来公知の添加剤を配合することもできる。このような添加剤としては、着色目的で使用される顔料をはじめとして、分散剤、乳化剤、難燃剤、低弾性化剤、カーボンブラック等の着色剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等の各種添加剤を例示することができる。
【0029】
上記添加剤の中でもポリアマイド化合物を使用すると、流入の抑制が特に要求される場合に対応できるとともに、形状保持性を封止時の作業性に影響を与えずに得ることができる。このようなポリアマイド化合物の配合量としては上記特性を得るためにもエポキシ樹脂組成物に対して、1〜5質量%とすることが好ましい。
【0030】
ポリアマイド化合物の具体例としては、例えば、楠本化成(株)社製のディスパロン3900などを挙げることができる。
【0031】
また、本発明では添加剤としてグリコールエーテルを使用することも好ましい。このような添加剤を組成物中に含有することにより、組成物の塗布量が多く、単位時間あたりの塗布量が多く要求される作業に対応可能な低粘度の封止材料とすることができる。このようなグリコールエーテルの配合量としては上記特性を得るためにもエポキシ樹脂組成物に対して、1〜5質量%とすることが好ましい。グリコールエーテルの具体例としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテルを挙げることができる。
【0032】
本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、例えば、前記のような成分を混合した後に、ロール、ディスパー、アジホモミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、らいかい機などで混練して製造することができる。この際、粘度が高すぎる時は50℃程度まで加温してもよい。なお、混練中および混練後、減圧下で樹脂組成物中に含まれる気泡を脱気するようにするのが好ましい。
【0033】
上記のようにして得られるエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子などを封止するにあたっては、一般的な手法を適宜採用することができる。一例を挙げると、先ず基板上に半導体素子をダイボンディングした後、Au等の細線ワイヤを用いたワイヤボンディング法などで基板と半導体素子を結線する。次に、上記の封止用樹脂組成物を用いて、所定箇所を樹脂封止することにより電子部品を得ることができる。
【0034】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
表1に示すように所定の配合量(質量%)で、樹脂成分、無機充填材、シリカ微粒子及び添加剤を混合したのち、シェア(剪断力)をかけつつ、この混合物をプラネタリーミキサで混練してエポキシ樹脂組成物を得た。なお、エポキシ樹脂の各成分についてはエポキシ樹脂成分全量に対する各成分量(質量%)を示した。各材料としては次のものを用いた。
・エポキシ樹脂1:ジャパンエポキシレジン(株)社製828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂,エポキシ当量189)
・エポキシ樹脂2:阪本薬品工業(株)社製SR−4PG(ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル,エポキシ当量304)
・硬化剤:新日本理化(株)社製MH700
・硬化促進剤:旭化成(株)社製ノバキュアHX3088
・無機充填材:トクヤマ(株)社製SE15(シリカ,平均粒径15μm)
・親水性シリカ微粒子:日本アエロジル(株)社製380(平均粒径:7nm)
・疎水性シリカ微粒子:日本アエロジル(株)社製RY200(平均粒径:12nm)
・ポリアマイド化合物:楠本化成(株)社製ディスパロン3900
・エチレングリコールジメチルエーテル:日本乳化剤(株)社製
・顔料:三菱化学(株)社製カーボンブラック
上記のように調整した各組成物を用いて、以下に示す方法により各測定用の試料を成形して評価を行った。
【0036】
(粘度)
各組成物についてB型回転粘度計(No.7ローター)を用いて回転数20rpmで測定した。
【0037】
(チクソ指数)
各組成物についてB型回転粘度計(No.7ローター)を用いて回転数2.5rpmでの粘度と回転数20rpmでの粘度を測定し、η(2.5)/η(20)で評価した。
【0038】
(形状保持性)
ガラスプレート上に、各調整したエポキシ樹脂組成物を0.65g滴下して100℃,1時間加熱し、さらに150℃で1時間硬化させた後の樹脂高さ/樹脂直径を測定し、前記比が0.25〜0.35の範囲にあるものを○、それ以外を×と評価した。
【0039】
(経時安定性)
形状保持性で○と評価された試料を25℃で24時間放置し、初期と放置後の樹脂高さを測定して、変化率が30%以内のものを○として評価した。
【0040】
(ゲルタイム)
各調整したエポキシ樹脂組成物0.3gを150℃で硬化させ、樹脂状態が粘着性がなくなった時点で計時を終了し、ゲルタイムを求めた。
【0041】
【表1】

【0042】
表1に示すように、エポキシ樹脂成分としてポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルをエポキシ樹脂成分全量に対して5〜20質量%、疎水性のシリカ微粒子と親水性のシリカ微粒子を0.1〜2質量%の範囲で配合した実施例1〜8のエポキシ樹脂組成物は低粘度であり、チクソ指数の高いエポキシ樹脂組成物が得られていることが分かる。そして、実施例1〜8のエポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物は形状保持性に優れており、流動性及び形状保持性の両立が図られていることが分かる。
【0043】
これに対して比較例のエポキシ樹脂組成物は粘度、チクソ指数、形状保持性の一部あるいは全てに特性の劣った結果となっている。なお、形状保持性において比較例1〜4は樹脂組成物が広がり、十分な樹脂高さが得られなかった。また、比較例5では両シリカ微粒子の配合量が多いため、樹脂組成物の流動性が低下して盛り上がりが大きかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及び無機充填材を含有する常温で液状のエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物中に前記エポキシ樹脂を5〜15質量%、親水性のシリカ微粒子と疎水性のシリカ微粒子をそれぞれ0.1〜2質量%含有し、前記エポキシ樹脂はエポキシ樹脂成分としてポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルをエポキシ樹脂成分全量に対して5〜20質量%含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
ポリアマイド化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
グリコールエーテルをさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止されてなる電子部品。

【公開番号】特開2006−176678(P2006−176678A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372012(P2004−372012)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】