エンジン制御装置
【課題】車両の減速運転時における走行距離を延ばし、従来よりも燃料消費量を低減できるエンジン制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン制御装置3において燃料調整手段の燃料停止信号と、発電状態検出手段により検出された発電状態とに基づいて、減速運転時において発電負荷の増加に応じてスロットルバルブ5の開度を適宜変化させることにより、スロットルバルブ5により生じるエンジンフリクションを小さくして、発電負荷の増加時にその分だけ減速運転時の走行距離を延ばすことができ、かくして走行時における全体的な燃料消費量を低減させることができる。
【解決手段】エンジン制御装置3において燃料調整手段の燃料停止信号と、発電状態検出手段により検出された発電状態とに基づいて、減速運転時において発電負荷の増加に応じてスロットルバルブ5の開度を適宜変化させることにより、スロットルバルブ5により生じるエンジンフリクションを小さくして、発電負荷の増加時にその分だけ減速運転時の走行距離を延ばすことができ、かくして走行時における全体的な燃料消費量を低減させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジン制御装置に関し、例えばアクセルペダルとスロットルバルブとをアクセルワイヤーで接続することなく、アクセルペダルの踏込量をセンサで検知して電気信号に変換し、この変換された電気信号に基づいてエンジンの出力制御を行なうドライブバイワイヤーシステムを搭載した四輪車や二輪車等の車両に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの動力を利用して発電する発電機を搭載した車両において、バッテリ充電量が低下したとき、減速時における自動変速機のシフトダウンタイミングを通常よりも早くしてエンジン回転速度を通常よりも高くし、減速回生発電の発電量を意図的に増加させてバッテリ充電量を速やかに回復させつつ、エンジン回転速度が早期に燃料カット復帰回転速度以下に低下することを防止して、減速時燃料カットの期間を長くし燃料消費の低減を図る制御装置が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他として、発電カット制御によりバッテリを最適状態にし、減速時の電流受け入れ性を向上させ、回生充電により減速エネルギを回収し、減速度を上げてブレーキ頻度を落とすことにより、省エネルギを図ることができる発電制御装置が考えられている(例えば、特許文献2参照)。このようにエンジンの動力を利用して発電する発電機を搭載した車両においては燃料消費量の低減を図るべく種々の装置が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−125589号公報
【特許文献2】特開2004−274842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようにエンジンの動力を利用して発電する発電機を搭載した車両においては、ブレーキペダルの操作によることなくエンジンブレーキの作用により減速する、いわゆる惰性減速する時(以下、これを減速運転時と呼ぶ)、例えばナビゲーションシステムやオーディオシステム、ライト駆動装置、ワイパー駆動装置等の電子機器による消費電力の影響により発電負荷が高い場合、エンジンに対してかかる発電機による負荷が大きくなることから、発電負荷が低い場合に比べて車両の惰性減速が大きくなる。その結果、減速運転時において発電負荷が大きい場合には、発電負荷が低い場合に比べて減速運転時における走行距離が短くなり、走行時における全体的な燃料消費量の低減を図り難いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、車両の減速運転時における走行距離を延ばし、従来よりも燃料消費量を低減できるエンジン制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明において、請求項1記載の発明では、アクセル操作に応じてスロットルバルブの開度を調整すると共に、燃料噴射弁によるエンジンへの燃料供給を調整するエンジン制御装置において、減速運転時における前記エンジンへの燃料供給のカットを前記燃料噴射弁に対して出力信号により命令する減速燃料カット手段と、前記スロットルバルブの開度を制御するスロットル制御手段と、前記エンジンによって駆動される発電機の発電状態を検出する発電状態検出手段とを備え、前記スロットル制御手段は、前記減速燃料カット手段の出力信号と、前記発電状態検出手段により検出された前記発電状態とに基づいて、前記減速運転時における前記スロットルバルブの開度を制御することを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2記載の発明では、前記スロットルバルブは前記エンジンの燃料室上流側の吸気装置内に設けられており、前記スロットル制御手段は、前記スロットルバルブの開閉によって前記燃料室と前記スロットルバルブとの間の前記吸気装置内に発生する圧力差が、ブレーキ装置の作動補助手段へ導入される際に、前記作動補助手段への必要な負圧量を確保すべく前記スロットルバルブの開度を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、減速運転時において発電負荷の増加に応じてスロットルバルブの開度を変化させることにより、スロットルバルブにより生じるエンジンフリクションを小さくして、発電負荷の増加時にその分だけ減速運転時の走行距離を延ばすことができ、かくして走行時における全体的な燃料消費量を低減させることができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、燃料カットした状態で惰性走行している減速運転時にブレーキを作動させた場合でも、ブレーキ性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるエンジン制御装置を用いたドライブバイワイヤーシステムの全体構成を示す概略図である。
【図2】各発電負荷でのエンジン回転数の時間変化と、各発電負荷での速度の時間変化と、走行抵抗差の時間変化とを示すグラフである。
【図3】発電負荷が異なることで走行抵抗が相違することを説明するのに供する表である。
【図4】各発電負荷における走行抵抗とACG回転数との関係を示すグラフである。
【図5】スロットルバルブの開度を変化させた場合のエンジンフリクションの相違を示すグラフである。
【図6】エンジン制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図7】開度決定テーブルを示す概略図である。
【図8】参考として用いる速度、エンジン回転数、ACG回転数、走行抵抗及び走行抵抗差を示す表である。
【図9】開度調整処理手順を示すフローチャートである。
【図10】速度変化、エンジン回転数の変化、アクセルペダルの踏込タイミング、スロットルバルブの開度タイミング、発電負荷の変化及び燃料噴射タイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面に基づいて、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0013】
(1)本発明の概要
図1において、1はドライブバイワイヤーシステムの概略構成を示し、例えば四輪車や二輪車等の各種車両に搭載され得る。ここでドライブバイワイヤーシステム1は、例えば四輪車の場合、アクセルペダル2の踏込量をエンジン制御装置3が検知し得るようになされている。エンジン制御装置3は、アクセルペダル2の踏込量を検知すると、これを制御信号に変換し、この変換した制御信号に基づいて燃料噴射弁4を制御して当該燃料噴射弁4から噴射される燃料の噴射量を調整すると共に、スロットルバルブ5の開度を可変させてエンジン6へ導入される空気量を調整し得るようになされている。
【0014】
実際上、スロットルバルブ5は、エンジン6の燃料室上流側であって、図示しないエアクリーナーからエンジン6のシリンダーまでを繋ぐ吸気装置の吸気管7内に設けられている。スロットルバルブ5は、吸気管7の断面形状に合わせて形成された板部がアクセルペダル2の踏込量に応じて回転して開度が決定され、吸気管7の内面と板部との隙間を通ってエンジン6に吸い込まれる空気量を調節し得る。かくしてエンジン6は、吸い込む空気量に合わせて、所定量の燃料が燃料噴射弁4から噴射され、出力がコントロールされている。
【0015】
また、エンジン6には、当該エンジン6の駆動に応じて回転するクランクプーリー6aが設けられており、このクランクプーリー6aに対して発電機(ACG)8のACGプーリー8aが連動可能に設けられている。これにより発電機8は、クランクプーリーがエンジンの駆動に応じて回転動作すると、当該クランクプーリーの回転動作に連動してACGプーリーが回転して発電し、これをバッテリ9に充電し得るように構成されている。
【0016】
ところで、車両に備えた電子機器による消費電力が最も小さいときの発電負荷を13Aとし、電子機器による消費電力が最も大きいときの発電負荷を62Aとした場合、各発電負荷での減速運転時のエンジン回転数の時間変化と、減速運転時の速度の時間変化は、一般的に、図2に示すような関係となる。図2に示すように、踏み込んでいたアクセルペダル2から運転者の足を離して惰性減速させた際のエンジン回転数は、発電負荷が小さいときよりも大きいときのほうが早く減少してゆく(図2において「エンジン回転数」と表記した線)。また、惰性減速させた際の速度は、発電負荷が小さい13Aのときよりも、大きい62Aのときのほうが早く減速してゆく(図2において「13A」及び「62A」と表記した線)。
【0017】
また、発電負荷が62Aのときの走行抵抗について算出したところ、図3(A)に示すような結果が得られた(図3(A)において「PS」と表記)。ここでは、速度V(Km/h)=−0.0066t2−1.1217t+69.597(ここでtは時間(sec)を示す)を基に算出した加速度α(m/sec)と、車両の重量の平均値m(1794)Kgとを用いてF=mαからF(Kg・m/sec)を求め、75(Kg・m/sec)=1psとして走行抵抗を算出した。
【0018】
そして、発電負荷が13Aのときの走行抵抗について算出したところ、図3(B)に示すような結果が得られた(図3(B)において「PS」と表記)。ここでは、速度V(Km/h)=−0.0042t2−1.0693t+69.755を基に算出した加速度α(m/sec)と、車両の重量の平均値m(1794)Kgとを用いてF=mαからF(Kg・m/sec)を求め、75(Kg・m/sec)=1psとして走行抵抗を算出した。
【0019】
なお、図3(A)及び(B)に示す「差」の欄は時間tの所定時間間隔を示し、図3(B)に示す「F差」は発電負荷62AのときのFと、発電負荷13AのときのFとの差を示す。また、「走行抵抗差」は発電負荷62Aのときの走行抵抗と発電負荷13Aのときの走行抵抗の差を示す。なお、「差」「F差」「走行抵抗差」は、四捨五入する前の数値を用いて計算しているため、各欄内の四捨五入した数値を単に計算したものとは一致していない。
【0020】
図2には、図3(B)において走行抵抗差についてグラフ用に変換した数値を示す(図2において「走行抵抗差」と表記した線)。図2に示すように、走行抵抗差は、減速及び時間経過と伴に増大していることが分かる。次に、発電負荷62Aのときと発電負荷13Aのときにおける発電機8のACGプーリー8aの回転数(ACG回転数)と、走行抵抗との関係を図4に示す。図4に示すように、ACG回転数が同じでも、発電負荷が大きくなるほど走行抵抗が大きくなり、走行抵抗差が発生することが分かる。
【0021】
ところで、減速運転時には、上述したように発電負荷による影響を受けて走行抵抗が変化するが、エンジンフリクション(ポンピングロス)によっても走行抵抗が発生している。ここでエンジンフリクションとは、エンジン6の図示しない燃焼室内で往復動するピストンによって、燃焼室に空気を吸入したり燃焼室から気体を排出したりする際に、スロットルバルブ5の開度が小さく吸気管7内における空気の通路が狭くなることで吸気抵抗が大きくなり、この吸気抵抗に起因するエンジン6の動力の損失をいう。
【0022】
実際上、減速運転時におけるスロットルバルブ5の開度と、エンジンフリクションとの関係について調べたところ、図5に示すような結果が得られた。図5に示すように、ここでは、スロットルバルブ5を全閉(実際には僅かな隙間が形成されている状態をいい、以下同様)とした場合、スロットルバルブ5の開度を1/8(すなわちスロットルバルブ5の全閉から全開までを8段階に分け、全閉状態から1段階だけ僅かに板部を傾かせた開度)とした場合、スロットルバルブ5の開度を2/8(全閉状態から2段階だけ板部を傾かせて隙間を1段階よりも大きくした開度)とした場合、スロットルバルブ5を全開(全休筒)とした場合について、それぞれエンジンフリクション(ENGフリクション)がどうように変化したかについて調べた。図5から、エンジンフリクションは、スロットルバルブ5の開度が大きくなり、吸気管7内を通過する空気量が大きくなるほど、小さくなることが分かる。
【0023】
本発明は、これらの点に着目し、減速運転時において発電負荷が大きくなることで走行抵抗が増加しても、発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を調整することで、当該走行抵抗が増加した分だけスロットルバルブ5によるエンジンフリクションを小さくするようにした。これにより本発明では、減速運転時に発電負荷が大きい場合でも、スロットルバルブ5により生じるエンジンフリクションが小さくなり、その分だけ走行距離を延ばすことができ、かくして走行時における全体的な燃料消費量を低減させることができる。
【0024】
また、図4に示すように、発電負荷が大きくなるほど走行抵抗が増加することから、本発明では、発電負荷の増加に伴いスロットルバルブ5の開度も大きくすることで、発電負荷の増加時にエンジンフリクションを一段と減少させるようにした。このようにして本発明では、エンジンフリクションを調整することで、減速運転時における走行抵抗を、常に発電負荷が最も小さいときの走行抵抗と同じになるように調整する。これにより、本発明では、発電負荷の状態にかかわらず、減速運転時における惰性減速を統一させることができるので、発電負荷の違いにより生じる走行抵抗により減速運転時に走行距離が変化することを防止でき、かくして減速運転時に運転者に対して常に同じような感覚で運転させることができる。
【0025】
(2)エンジン制御装置について
(2−1)エンジン制御装置の構成
次に、スロットルバルブ5の開度を調整するエンジン制御装置3について、以下説明する。図6に示すように、エンジン制御装置3は、目標スロットル開度演算手段10と、スロットル開度演算手段11と、スロットル制御手段12と、減速燃料カット手段としての燃料調整手段13と、テーブル生成手段14と、発電状態検出手段15と、アクセル情報取得手段16と、エンジン回転数取得手段17と、データベース18とがバス19を介して接続された構成を有する。エンジン制御装置3は、通常走行時、アクセルペダル2における踏込量をアクセル情報取得手段16により検知し、これを制御信号として目標スロットル開度演算手段10及び燃料調整手段13に送出する。
【0026】
目標スロットル開度演算手段10は、制御信号を受け取ると、踏込量に応じたスロットルバルブ5の開度を演算し、この演算結果を開度信号としてスロットル制御手段12に送出する。スロットル制御手段12は、目標スロットル開度演算手段10から受け取った開度信号をスロットルバルブ5へ送出することにより、スロットルバルブ5を所定の開度まで回転させ、エンジン6に供給させる空気量を調整し得るようになされている。このとき同時に燃料調整手段13は、制御信号を受け取ると、踏込量に応じた燃料の噴射量を決定し、これを燃料調整信号として燃料噴射弁4に送出する。これにより燃料噴射弁4は、受け取った燃料調整信号を基に、エンジン6に供給する燃料の噴射量を調整し得るようになされている。
【0027】
かかる構成に加えてエンジン制御装置3には、減速運転時の発電負荷と、当該発電負荷に応じたスロットルバルブ5の開度との関係が示された開度決定テーブル(後述する)がデータベース18に予め記憶されている。図7に示すように、開度決定テーブルT100は、横軸に発電負荷(ACGF(A))、縦軸にスロットルバルブ5の開度(△Θth)が示されており、発電負荷が最も小さいときの走行抵抗とほぼ同じ走行抵抗になるように発電負荷毎に最適なスロットルバルブ5の開度が対応付けられている。従って、スロットル制御手段12は、この開度決定テーブルT100に基づき発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を決定することで、減速運転時における走行抵抗を、発電負荷が最も小さいときの走行抵抗とほぼ同じ走行抵抗に常に維持し得るようになされている。
【0028】
(2−2)テーブル生成処理
実際上、このような開度決定テーブルT100は、以下のようなテーブル生成処理により生成され得る。先ず始めに車両の発電負荷を最も小さい13Aとし、この状態のまま例えば時速70Kmから20Kmまで惰性減速させる。この惰性減速している車両では、スロットルバルブ5が全閉状態となり、かつエンジン6への燃料の供給が停止(カット)されている。そして、テーブル生成手段14は、この惰性減速しているときに、所定間隔毎にエンジン回転数を測定すると共に、各エンジン回転数での走行抵抗を測定する。
【0029】
この実施の形態の場合、テーブル生成手段14は、図8に示すように、車両の発電負荷を最も小さい13Aとしたときの減速運転時における例えば時速70Km、60Km、50Km、40Km、30Km及び20Kmでの各エンジン回転数(図8において「NE」と表記)を測定すると共に、そのときの走行抵抗を測定する。次に、テーブル生成手段14は、車両の発電負荷を最も大きい62Aとしたときの減速運転時における時速70Km、60Km、50Km、40Km、30Km及び20Kmでの走行抵抗を測定する。このとき、発電負荷が62Aのときの走行抵抗と、発電負荷が13Aのときの走行抵抗とには、図8に示すように、エンジン回転数毎に所定の走行抵抗差(図8において「差PS」と表記)が生じている。
【0030】
次いで、テーブル生成手段14は、エンジン回転数毎に、発電負荷62Aのときの走行抵抗が、発電負荷が最も小さい13Aのときの走行抵抗と同じ値になるように、スロットルバルブ5の開度を調整し、この調整したスロットルバルブ5の開度(以下、これを調整開度と呼ぶ)を記録する。次いで、テーブル生成手段14は、エンジン回転数毎に算出した発電負荷62Aでの調整開度の平均値(以下、これを平均開度と呼ぶ)を算出する。
【0031】
テーブル生成手段14は、発電負荷が最も小さい13Aのときのスロットルバルブ5の開度を従来と同様に全閉(開度を0)とし、この発電負荷13Aでの開度0と、発電負荷62Aでの平均開度とに基づいて、発電負荷とスロットルバルブ5の開度との関係を示した開度決定テーブルT100を生成し、これをデータベース18に記憶し得る。図7に示すように、開度決定テーブルT100は、横軸を発電負荷とし、縦軸をスロットルバルブ5の開度とした場合、発電負荷の増加に伴い開度が比例して増加してゆくデータとなり得る。なお、図8では、クランクプーリー6aの有効径を161mmとし、ACGプーリー8aの有効径を61mmとし、参考として各速度における発電機8のACG回転数が表記されている。
【0032】
(2−3)開度調整処理
次に、減速運転時に、上述した開度決定テーブルT100に基づいてスロットルバルブ5の開度を調整する開度調整処理について説明する。図9に示すように、エンジン制御装置3は、ルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1に移り、燃料調整手段13で生成される燃料調整信号に基づいて燃料噴射弁4による燃料供給が停止されたか否かを判断する。
【0033】
ステップSP1において否定結果が得られると、このことは燃料噴射弁4による燃料供給が停止していないこと、すなわちアクセルペダル2が運転者により踏み込まれて車両が所定の速度で走行し、惰性減速していないことを表しており、このときエンジン制御装置3はステップSP2に移る。
【0034】
ステップSP2においてエンジン制御装置3は、アクセルペダル2の踏込量に応じてスロットルバルブ5の開度を変化させる通常制御処理を実行することにより、エンジン6へ供給される空気量を調整し、再びステップSP1に戻り、肯定結果が得られるまで上述した処理を繰り返す。なお、この際、燃料調整手段13では、アクセルペダル2の踏込量に応じて燃料噴射弁4を制御してエンジン6内における燃料の噴射量を調整し、エンジン6の出力をコントロールし得るようになされている。
【0035】
これに対してステップSP1で肯定結果が得られると、このことは燃料噴射弁4による燃料供給が停止していること、すなわちアクセルペダル2が踏み込まれておらず、車両が惰性減速していることを表しており、このときエンジン制御装置3は次のステップSP3に移る。
【0036】
ここで燃料噴射弁4による燃料供給の停止タイミングについて、図10のタイミングチャートを用いて具体的に説明する。図10(C)に示すように、踏み込まれていたアクセルペダル2から運転者の足が離れて踏込量が次第に減少してゆくと、図10(D)に示すように、スロットルバルブ5の開度がそれに応じて小さくなり、アクセルペダル2の踏込量が0になるとスロットルバルブ5の開度が一旦全閉状態となる。この際、燃料噴射弁4は、図10(F)に示すように、アクセルペダル2の踏込量が0になったときに、燃料調整手段13から出力信号たる燃料停止信号を受け取ることで、燃料供給を停止し、このとき上述したステップSP1で肯定結果が得られることになる。そして、燃料供給が停止した場合には、図10(B)に示すように、エンジン回転数も次第に減少してゆき、図10(A)に示すように、車両が惰性減速してゆく。
【0037】
次いで、図9に示すように、ステップSP3において発電状態検出手段15は、発電機8による発電負荷を検出し、次のステップSP4に移る。ステップSP4においてスロットル開度演算手段11は、開度決定テーブルT100をデータベース18から読み出した後、発電状態検出手段15により検出した発電負荷に対応付けられている開度を、開度決定テーブルT100から決定し、次のステップSP5に移る。
【0038】
ステップSP5においてスロットル制御手段12は、ステップSP4で決定した開度と同じになるようにスロットルバルブ5の開度を調整し、再びステップSP1に戻り上述した処理を繰り返す。具体的には、燃料供給が停止したときの発電負荷を検出すると、当該発電負荷に対応付けられた開度を開度決定テーブルT100から読み出し、その後、図10(D)に示すように、スロットルバルブ5が開き始めて開度決定テーブルT100により決定された開度までスロットルバルブが開いてゆく。
【0039】
ここで発電状態検出手段15は、減速運転時における発電機8の発電負荷を常に検出しており、この検出結果をスロットル開度演算手段11に送出している。これによりスロットル開度演算手段11は、発電負荷が変化すると、新たな発電負荷に対応付けられた開度を開度決定テーブルT100から読み出し、これをスロットル制御手段12に送出する。かくしてスロットル制御手段12は、発電負荷の変化に合わせてスロットルバルブ5の開度を常に変化させ得るようになされている。
【0040】
例えば、図10(E)に示すように、減速運転時に発電負荷が低くなったことを発電状態検出手段15により検出すると、スロットル開度演算手段11は、低くなった発電負荷に対応付けられている開度を開度決定テーブルT100に基づいて新たに読み出す。これによりスロットル制御手段12は、開度決定テーブルT100により決定された新たな開度まで、スロットルバルブ5を閉じさせる。このようにしてスロットルバルブ5は、発電負荷の変化に応じて開度が変化し、減速運転時、発電負荷が最も小さいときの走行抵抗と常にほぼ同じ走行抵抗になるように調整し得るようになされている。
【0041】
そして、その後、図10(C)に示すように、減速運転時に再びアクセルペダル2が踏み込まれ始めると、図10(D)に示すように、スロットルバルブ5が一旦全閉して通常状態に戻った後、アクセルペダル2の踏込量に応じてスロットルバルブ5の開度が調整され得るようになされている。
【0042】
(3)動作及び効果
以上の構成において、エンジン制御装置3では、減速運転時における発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を対応付けた開度決定テーブルT100を予めデータベース18に記憶しておき、減速運転時に当該開度決定テーブルT100に基づいて発電負荷に対応したスロットルバルブ5の開度を読み出し、スロットルバルブ5の開度を調整する。ここで一般的に発電負荷が大きくなるほど走行抵抗も増加してゆくことから、この開度決定テーブルT100では、発電負荷が大きくなるに従ってスロットルバルブ5の開度も比例して大きくなるように生成されている。これによりエンジン制御装置3では、減速運転時に発電負荷によって走行抵抗が増加しても、発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を変化させることで、スロットルバルブ5により生じるエンジンフリクションを小さくし、減速運転時にその分だけ走行距離を延ばすことができる。
【0043】
また、この実施の形態の場合、開度決定テーブルT100は、減速運転時における走行抵抗を常に発電負荷が最も小さいときの走行抵抗と同じになるように、スロットルバルブ5の開度が設定されている。これによりエンジン制御装置3では、開度決定テーブルT100に基づいて、減速運転時における発電負荷の増加に応じてスロットルバルブ5の開度を調整してエンジンフリクションを減少させ、かくして減速運転時における走行抵抗を、常に発電負荷が最も小さいときの走行抵抗と同じになるように調整できる。従って、エンジン制御装置3では、発電負荷の状態にかかわらず、減速運転時における惰性減速を統一させることができるので、発電負荷の違いにより生じる走行抵抗により減速運転時に走行距離が変化することを防止でき、かくして減速運転時に運転者に対して常に同じような感覚で運転させることができる。
【0044】
また、本発明によるエンジン制御装置3では、減速運転時にスロットルバルブ5の開度を調整することで、自由にエンジンフリクションを減少させることができるが、発電負荷が最も小さいときには従来と同様にスロットルバルブ5の開度を全閉とし、所定のエンジンフリクションを与えている。これにより、エンジン制御装置3では、運転者に対して従来と同様のエンジンブレーキの感覚を維持させることができ、スロットルバルブ5によるエンジンフリクションを小さくし過ぎて従来とは全くことなる運転感覚になってしまうことを防止できる。
【0045】
以上の構成によれば、燃料調整手段13の燃料停止信号と、発電状態検出手段15により検出された発電状態とに基づいて、減速運転時において発電負荷の増加に応じてスロットルバルブ5の開度を適宜変化させることにより、スロットルバルブ5により生じるエンジンフリクションを小さくして、発電負荷の増加時にその分だけ減速運転時の走行距離を延ばすことができ、かくして走行時における全体的な燃料消費量を低減させることができる。
【0046】
(4)他の実施の形態
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば上述した実施の形態においては、発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を決定するための開度決定情報の一例として、横軸に発電負荷(ACGF(A))、縦軸にスロットルバルブ5の開度(△Θth)を示した開度決定テーブルT100を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、開度決定情報に基づいて減速運転時の発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を決定することができれば良く、例えば縦軸に発電負荷(ACGF(A))、横軸にスロットルバルブ5の開度(△Θth)を示した開度決定テーブルを用いたり、或いは発電負荷と開度との関係を示した数式を開度決定情報としてスロットルバルブ5の開度を算出するようにしてもよい。
【0047】
また、上述した実施の形態においては、アクセル操作として、四輪車を適用したことからアクセルペダルを踏み込んでアクセル操作するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、二輪車のようにスロットルグリップを回転することでアクセル操作するようにしてもよい。
【0048】
さらに、上述した実施の形態に加えて、減速運転時にスロットル制御手段12によってブレーキ装置(図示せず)に利用される負圧量を調整するようにしてもよい。すなわち、エンジンの吸気負圧を利用して、ブレーキペダルの踏力を倍増する作動補助手段としてのマスターバックがブレーキ装置に設けられている場合、スロットル制御手段12は、スロットルバルブ5の開閉によって、エンジンの燃料室とスロットルバルブ5との間の吸気内に発生する圧力差が、ブレーキ装置のマスターバックへ導入される際に、マスターバックへの必要な負圧量を確保すべくスロットルバルブ5の開度を制御する。これによりエンジン制御装置3では、燃料停止した状態で惰性走行している減速運転時にブレーキを作動させた場合でも、ブレーキ性能を確保できる。
【符号の説明】
【0049】
3 エンジン制御装置
4 燃料噴射弁
5 スロットルバルブ
6 エンジン
12 スロットル制御手段
13 燃料調整手段(減速燃料カット手段)
15 発電状態検出手段
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジン制御装置に関し、例えばアクセルペダルとスロットルバルブとをアクセルワイヤーで接続することなく、アクセルペダルの踏込量をセンサで検知して電気信号に変換し、この変換された電気信号に基づいてエンジンの出力制御を行なうドライブバイワイヤーシステムを搭載した四輪車や二輪車等の車両に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの動力を利用して発電する発電機を搭載した車両において、バッテリ充電量が低下したとき、減速時における自動変速機のシフトダウンタイミングを通常よりも早くしてエンジン回転速度を通常よりも高くし、減速回生発電の発電量を意図的に増加させてバッテリ充電量を速やかに回復させつつ、エンジン回転速度が早期に燃料カット復帰回転速度以下に低下することを防止して、減速時燃料カットの期間を長くし燃料消費の低減を図る制御装置が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他として、発電カット制御によりバッテリを最適状態にし、減速時の電流受け入れ性を向上させ、回生充電により減速エネルギを回収し、減速度を上げてブレーキ頻度を落とすことにより、省エネルギを図ることができる発電制御装置が考えられている(例えば、特許文献2参照)。このようにエンジンの動力を利用して発電する発電機を搭載した車両においては燃料消費量の低減を図るべく種々の装置が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−125589号公報
【特許文献2】特開2004−274842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようにエンジンの動力を利用して発電する発電機を搭載した車両においては、ブレーキペダルの操作によることなくエンジンブレーキの作用により減速する、いわゆる惰性減速する時(以下、これを減速運転時と呼ぶ)、例えばナビゲーションシステムやオーディオシステム、ライト駆動装置、ワイパー駆動装置等の電子機器による消費電力の影響により発電負荷が高い場合、エンジンに対してかかる発電機による負荷が大きくなることから、発電負荷が低い場合に比べて車両の惰性減速が大きくなる。その結果、減速運転時において発電負荷が大きい場合には、発電負荷が低い場合に比べて減速運転時における走行距離が短くなり、走行時における全体的な燃料消費量の低減を図り難いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、車両の減速運転時における走行距離を延ばし、従来よりも燃料消費量を低減できるエンジン制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明において、請求項1記載の発明では、アクセル操作に応じてスロットルバルブの開度を調整すると共に、燃料噴射弁によるエンジンへの燃料供給を調整するエンジン制御装置において、減速運転時における前記エンジンへの燃料供給のカットを前記燃料噴射弁に対して出力信号により命令する減速燃料カット手段と、前記スロットルバルブの開度を制御するスロットル制御手段と、前記エンジンによって駆動される発電機の発電状態を検出する発電状態検出手段とを備え、前記スロットル制御手段は、前記減速燃料カット手段の出力信号と、前記発電状態検出手段により検出された前記発電状態とに基づいて、前記減速運転時における前記スロットルバルブの開度を制御することを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2記載の発明では、前記スロットルバルブは前記エンジンの燃料室上流側の吸気装置内に設けられており、前記スロットル制御手段は、前記スロットルバルブの開閉によって前記燃料室と前記スロットルバルブとの間の前記吸気装置内に発生する圧力差が、ブレーキ装置の作動補助手段へ導入される際に、前記作動補助手段への必要な負圧量を確保すべく前記スロットルバルブの開度を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、減速運転時において発電負荷の増加に応じてスロットルバルブの開度を変化させることにより、スロットルバルブにより生じるエンジンフリクションを小さくして、発電負荷の増加時にその分だけ減速運転時の走行距離を延ばすことができ、かくして走行時における全体的な燃料消費量を低減させることができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、燃料カットした状態で惰性走行している減速運転時にブレーキを作動させた場合でも、ブレーキ性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるエンジン制御装置を用いたドライブバイワイヤーシステムの全体構成を示す概略図である。
【図2】各発電負荷でのエンジン回転数の時間変化と、各発電負荷での速度の時間変化と、走行抵抗差の時間変化とを示すグラフである。
【図3】発電負荷が異なることで走行抵抗が相違することを説明するのに供する表である。
【図4】各発電負荷における走行抵抗とACG回転数との関係を示すグラフである。
【図5】スロットルバルブの開度を変化させた場合のエンジンフリクションの相違を示すグラフである。
【図6】エンジン制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図7】開度決定テーブルを示す概略図である。
【図8】参考として用いる速度、エンジン回転数、ACG回転数、走行抵抗及び走行抵抗差を示す表である。
【図9】開度調整処理手順を示すフローチャートである。
【図10】速度変化、エンジン回転数の変化、アクセルペダルの踏込タイミング、スロットルバルブの開度タイミング、発電負荷の変化及び燃料噴射タイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面に基づいて、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0013】
(1)本発明の概要
図1において、1はドライブバイワイヤーシステムの概略構成を示し、例えば四輪車や二輪車等の各種車両に搭載され得る。ここでドライブバイワイヤーシステム1は、例えば四輪車の場合、アクセルペダル2の踏込量をエンジン制御装置3が検知し得るようになされている。エンジン制御装置3は、アクセルペダル2の踏込量を検知すると、これを制御信号に変換し、この変換した制御信号に基づいて燃料噴射弁4を制御して当該燃料噴射弁4から噴射される燃料の噴射量を調整すると共に、スロットルバルブ5の開度を可変させてエンジン6へ導入される空気量を調整し得るようになされている。
【0014】
実際上、スロットルバルブ5は、エンジン6の燃料室上流側であって、図示しないエアクリーナーからエンジン6のシリンダーまでを繋ぐ吸気装置の吸気管7内に設けられている。スロットルバルブ5は、吸気管7の断面形状に合わせて形成された板部がアクセルペダル2の踏込量に応じて回転して開度が決定され、吸気管7の内面と板部との隙間を通ってエンジン6に吸い込まれる空気量を調節し得る。かくしてエンジン6は、吸い込む空気量に合わせて、所定量の燃料が燃料噴射弁4から噴射され、出力がコントロールされている。
【0015】
また、エンジン6には、当該エンジン6の駆動に応じて回転するクランクプーリー6aが設けられており、このクランクプーリー6aに対して発電機(ACG)8のACGプーリー8aが連動可能に設けられている。これにより発電機8は、クランクプーリーがエンジンの駆動に応じて回転動作すると、当該クランクプーリーの回転動作に連動してACGプーリーが回転して発電し、これをバッテリ9に充電し得るように構成されている。
【0016】
ところで、車両に備えた電子機器による消費電力が最も小さいときの発電負荷を13Aとし、電子機器による消費電力が最も大きいときの発電負荷を62Aとした場合、各発電負荷での減速運転時のエンジン回転数の時間変化と、減速運転時の速度の時間変化は、一般的に、図2に示すような関係となる。図2に示すように、踏み込んでいたアクセルペダル2から運転者の足を離して惰性減速させた際のエンジン回転数は、発電負荷が小さいときよりも大きいときのほうが早く減少してゆく(図2において「エンジン回転数」と表記した線)。また、惰性減速させた際の速度は、発電負荷が小さい13Aのときよりも、大きい62Aのときのほうが早く減速してゆく(図2において「13A」及び「62A」と表記した線)。
【0017】
また、発電負荷が62Aのときの走行抵抗について算出したところ、図3(A)に示すような結果が得られた(図3(A)において「PS」と表記)。ここでは、速度V(Km/h)=−0.0066t2−1.1217t+69.597(ここでtは時間(sec)を示す)を基に算出した加速度α(m/sec)と、車両の重量の平均値m(1794)Kgとを用いてF=mαからF(Kg・m/sec)を求め、75(Kg・m/sec)=1psとして走行抵抗を算出した。
【0018】
そして、発電負荷が13Aのときの走行抵抗について算出したところ、図3(B)に示すような結果が得られた(図3(B)において「PS」と表記)。ここでは、速度V(Km/h)=−0.0042t2−1.0693t+69.755を基に算出した加速度α(m/sec)と、車両の重量の平均値m(1794)Kgとを用いてF=mαからF(Kg・m/sec)を求め、75(Kg・m/sec)=1psとして走行抵抗を算出した。
【0019】
なお、図3(A)及び(B)に示す「差」の欄は時間tの所定時間間隔を示し、図3(B)に示す「F差」は発電負荷62AのときのFと、発電負荷13AのときのFとの差を示す。また、「走行抵抗差」は発電負荷62Aのときの走行抵抗と発電負荷13Aのときの走行抵抗の差を示す。なお、「差」「F差」「走行抵抗差」は、四捨五入する前の数値を用いて計算しているため、各欄内の四捨五入した数値を単に計算したものとは一致していない。
【0020】
図2には、図3(B)において走行抵抗差についてグラフ用に変換した数値を示す(図2において「走行抵抗差」と表記した線)。図2に示すように、走行抵抗差は、減速及び時間経過と伴に増大していることが分かる。次に、発電負荷62Aのときと発電負荷13Aのときにおける発電機8のACGプーリー8aの回転数(ACG回転数)と、走行抵抗との関係を図4に示す。図4に示すように、ACG回転数が同じでも、発電負荷が大きくなるほど走行抵抗が大きくなり、走行抵抗差が発生することが分かる。
【0021】
ところで、減速運転時には、上述したように発電負荷による影響を受けて走行抵抗が変化するが、エンジンフリクション(ポンピングロス)によっても走行抵抗が発生している。ここでエンジンフリクションとは、エンジン6の図示しない燃焼室内で往復動するピストンによって、燃焼室に空気を吸入したり燃焼室から気体を排出したりする際に、スロットルバルブ5の開度が小さく吸気管7内における空気の通路が狭くなることで吸気抵抗が大きくなり、この吸気抵抗に起因するエンジン6の動力の損失をいう。
【0022】
実際上、減速運転時におけるスロットルバルブ5の開度と、エンジンフリクションとの関係について調べたところ、図5に示すような結果が得られた。図5に示すように、ここでは、スロットルバルブ5を全閉(実際には僅かな隙間が形成されている状態をいい、以下同様)とした場合、スロットルバルブ5の開度を1/8(すなわちスロットルバルブ5の全閉から全開までを8段階に分け、全閉状態から1段階だけ僅かに板部を傾かせた開度)とした場合、スロットルバルブ5の開度を2/8(全閉状態から2段階だけ板部を傾かせて隙間を1段階よりも大きくした開度)とした場合、スロットルバルブ5を全開(全休筒)とした場合について、それぞれエンジンフリクション(ENGフリクション)がどうように変化したかについて調べた。図5から、エンジンフリクションは、スロットルバルブ5の開度が大きくなり、吸気管7内を通過する空気量が大きくなるほど、小さくなることが分かる。
【0023】
本発明は、これらの点に着目し、減速運転時において発電負荷が大きくなることで走行抵抗が増加しても、発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を調整することで、当該走行抵抗が増加した分だけスロットルバルブ5によるエンジンフリクションを小さくするようにした。これにより本発明では、減速運転時に発電負荷が大きい場合でも、スロットルバルブ5により生じるエンジンフリクションが小さくなり、その分だけ走行距離を延ばすことができ、かくして走行時における全体的な燃料消費量を低減させることができる。
【0024】
また、図4に示すように、発電負荷が大きくなるほど走行抵抗が増加することから、本発明では、発電負荷の増加に伴いスロットルバルブ5の開度も大きくすることで、発電負荷の増加時にエンジンフリクションを一段と減少させるようにした。このようにして本発明では、エンジンフリクションを調整することで、減速運転時における走行抵抗を、常に発電負荷が最も小さいときの走行抵抗と同じになるように調整する。これにより、本発明では、発電負荷の状態にかかわらず、減速運転時における惰性減速を統一させることができるので、発電負荷の違いにより生じる走行抵抗により減速運転時に走行距離が変化することを防止でき、かくして減速運転時に運転者に対して常に同じような感覚で運転させることができる。
【0025】
(2)エンジン制御装置について
(2−1)エンジン制御装置の構成
次に、スロットルバルブ5の開度を調整するエンジン制御装置3について、以下説明する。図6に示すように、エンジン制御装置3は、目標スロットル開度演算手段10と、スロットル開度演算手段11と、スロットル制御手段12と、減速燃料カット手段としての燃料調整手段13と、テーブル生成手段14と、発電状態検出手段15と、アクセル情報取得手段16と、エンジン回転数取得手段17と、データベース18とがバス19を介して接続された構成を有する。エンジン制御装置3は、通常走行時、アクセルペダル2における踏込量をアクセル情報取得手段16により検知し、これを制御信号として目標スロットル開度演算手段10及び燃料調整手段13に送出する。
【0026】
目標スロットル開度演算手段10は、制御信号を受け取ると、踏込量に応じたスロットルバルブ5の開度を演算し、この演算結果を開度信号としてスロットル制御手段12に送出する。スロットル制御手段12は、目標スロットル開度演算手段10から受け取った開度信号をスロットルバルブ5へ送出することにより、スロットルバルブ5を所定の開度まで回転させ、エンジン6に供給させる空気量を調整し得るようになされている。このとき同時に燃料調整手段13は、制御信号を受け取ると、踏込量に応じた燃料の噴射量を決定し、これを燃料調整信号として燃料噴射弁4に送出する。これにより燃料噴射弁4は、受け取った燃料調整信号を基に、エンジン6に供給する燃料の噴射量を調整し得るようになされている。
【0027】
かかる構成に加えてエンジン制御装置3には、減速運転時の発電負荷と、当該発電負荷に応じたスロットルバルブ5の開度との関係が示された開度決定テーブル(後述する)がデータベース18に予め記憶されている。図7に示すように、開度決定テーブルT100は、横軸に発電負荷(ACGF(A))、縦軸にスロットルバルブ5の開度(△Θth)が示されており、発電負荷が最も小さいときの走行抵抗とほぼ同じ走行抵抗になるように発電負荷毎に最適なスロットルバルブ5の開度が対応付けられている。従って、スロットル制御手段12は、この開度決定テーブルT100に基づき発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を決定することで、減速運転時における走行抵抗を、発電負荷が最も小さいときの走行抵抗とほぼ同じ走行抵抗に常に維持し得るようになされている。
【0028】
(2−2)テーブル生成処理
実際上、このような開度決定テーブルT100は、以下のようなテーブル生成処理により生成され得る。先ず始めに車両の発電負荷を最も小さい13Aとし、この状態のまま例えば時速70Kmから20Kmまで惰性減速させる。この惰性減速している車両では、スロットルバルブ5が全閉状態となり、かつエンジン6への燃料の供給が停止(カット)されている。そして、テーブル生成手段14は、この惰性減速しているときに、所定間隔毎にエンジン回転数を測定すると共に、各エンジン回転数での走行抵抗を測定する。
【0029】
この実施の形態の場合、テーブル生成手段14は、図8に示すように、車両の発電負荷を最も小さい13Aとしたときの減速運転時における例えば時速70Km、60Km、50Km、40Km、30Km及び20Kmでの各エンジン回転数(図8において「NE」と表記)を測定すると共に、そのときの走行抵抗を測定する。次に、テーブル生成手段14は、車両の発電負荷を最も大きい62Aとしたときの減速運転時における時速70Km、60Km、50Km、40Km、30Km及び20Kmでの走行抵抗を測定する。このとき、発電負荷が62Aのときの走行抵抗と、発電負荷が13Aのときの走行抵抗とには、図8に示すように、エンジン回転数毎に所定の走行抵抗差(図8において「差PS」と表記)が生じている。
【0030】
次いで、テーブル生成手段14は、エンジン回転数毎に、発電負荷62Aのときの走行抵抗が、発電負荷が最も小さい13Aのときの走行抵抗と同じ値になるように、スロットルバルブ5の開度を調整し、この調整したスロットルバルブ5の開度(以下、これを調整開度と呼ぶ)を記録する。次いで、テーブル生成手段14は、エンジン回転数毎に算出した発電負荷62Aでの調整開度の平均値(以下、これを平均開度と呼ぶ)を算出する。
【0031】
テーブル生成手段14は、発電負荷が最も小さい13Aのときのスロットルバルブ5の開度を従来と同様に全閉(開度を0)とし、この発電負荷13Aでの開度0と、発電負荷62Aでの平均開度とに基づいて、発電負荷とスロットルバルブ5の開度との関係を示した開度決定テーブルT100を生成し、これをデータベース18に記憶し得る。図7に示すように、開度決定テーブルT100は、横軸を発電負荷とし、縦軸をスロットルバルブ5の開度とした場合、発電負荷の増加に伴い開度が比例して増加してゆくデータとなり得る。なお、図8では、クランクプーリー6aの有効径を161mmとし、ACGプーリー8aの有効径を61mmとし、参考として各速度における発電機8のACG回転数が表記されている。
【0032】
(2−3)開度調整処理
次に、減速運転時に、上述した開度決定テーブルT100に基づいてスロットルバルブ5の開度を調整する開度調整処理について説明する。図9に示すように、エンジン制御装置3は、ルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1に移り、燃料調整手段13で生成される燃料調整信号に基づいて燃料噴射弁4による燃料供給が停止されたか否かを判断する。
【0033】
ステップSP1において否定結果が得られると、このことは燃料噴射弁4による燃料供給が停止していないこと、すなわちアクセルペダル2が運転者により踏み込まれて車両が所定の速度で走行し、惰性減速していないことを表しており、このときエンジン制御装置3はステップSP2に移る。
【0034】
ステップSP2においてエンジン制御装置3は、アクセルペダル2の踏込量に応じてスロットルバルブ5の開度を変化させる通常制御処理を実行することにより、エンジン6へ供給される空気量を調整し、再びステップSP1に戻り、肯定結果が得られるまで上述した処理を繰り返す。なお、この際、燃料調整手段13では、アクセルペダル2の踏込量に応じて燃料噴射弁4を制御してエンジン6内における燃料の噴射量を調整し、エンジン6の出力をコントロールし得るようになされている。
【0035】
これに対してステップSP1で肯定結果が得られると、このことは燃料噴射弁4による燃料供給が停止していること、すなわちアクセルペダル2が踏み込まれておらず、車両が惰性減速していることを表しており、このときエンジン制御装置3は次のステップSP3に移る。
【0036】
ここで燃料噴射弁4による燃料供給の停止タイミングについて、図10のタイミングチャートを用いて具体的に説明する。図10(C)に示すように、踏み込まれていたアクセルペダル2から運転者の足が離れて踏込量が次第に減少してゆくと、図10(D)に示すように、スロットルバルブ5の開度がそれに応じて小さくなり、アクセルペダル2の踏込量が0になるとスロットルバルブ5の開度が一旦全閉状態となる。この際、燃料噴射弁4は、図10(F)に示すように、アクセルペダル2の踏込量が0になったときに、燃料調整手段13から出力信号たる燃料停止信号を受け取ることで、燃料供給を停止し、このとき上述したステップSP1で肯定結果が得られることになる。そして、燃料供給が停止した場合には、図10(B)に示すように、エンジン回転数も次第に減少してゆき、図10(A)に示すように、車両が惰性減速してゆく。
【0037】
次いで、図9に示すように、ステップSP3において発電状態検出手段15は、発電機8による発電負荷を検出し、次のステップSP4に移る。ステップSP4においてスロットル開度演算手段11は、開度決定テーブルT100をデータベース18から読み出した後、発電状態検出手段15により検出した発電負荷に対応付けられている開度を、開度決定テーブルT100から決定し、次のステップSP5に移る。
【0038】
ステップSP5においてスロットル制御手段12は、ステップSP4で決定した開度と同じになるようにスロットルバルブ5の開度を調整し、再びステップSP1に戻り上述した処理を繰り返す。具体的には、燃料供給が停止したときの発電負荷を検出すると、当該発電負荷に対応付けられた開度を開度決定テーブルT100から読み出し、その後、図10(D)に示すように、スロットルバルブ5が開き始めて開度決定テーブルT100により決定された開度までスロットルバルブが開いてゆく。
【0039】
ここで発電状態検出手段15は、減速運転時における発電機8の発電負荷を常に検出しており、この検出結果をスロットル開度演算手段11に送出している。これによりスロットル開度演算手段11は、発電負荷が変化すると、新たな発電負荷に対応付けられた開度を開度決定テーブルT100から読み出し、これをスロットル制御手段12に送出する。かくしてスロットル制御手段12は、発電負荷の変化に合わせてスロットルバルブ5の開度を常に変化させ得るようになされている。
【0040】
例えば、図10(E)に示すように、減速運転時に発電負荷が低くなったことを発電状態検出手段15により検出すると、スロットル開度演算手段11は、低くなった発電負荷に対応付けられている開度を開度決定テーブルT100に基づいて新たに読み出す。これによりスロットル制御手段12は、開度決定テーブルT100により決定された新たな開度まで、スロットルバルブ5を閉じさせる。このようにしてスロットルバルブ5は、発電負荷の変化に応じて開度が変化し、減速運転時、発電負荷が最も小さいときの走行抵抗と常にほぼ同じ走行抵抗になるように調整し得るようになされている。
【0041】
そして、その後、図10(C)に示すように、減速運転時に再びアクセルペダル2が踏み込まれ始めると、図10(D)に示すように、スロットルバルブ5が一旦全閉して通常状態に戻った後、アクセルペダル2の踏込量に応じてスロットルバルブ5の開度が調整され得るようになされている。
【0042】
(3)動作及び効果
以上の構成において、エンジン制御装置3では、減速運転時における発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を対応付けた開度決定テーブルT100を予めデータベース18に記憶しておき、減速運転時に当該開度決定テーブルT100に基づいて発電負荷に対応したスロットルバルブ5の開度を読み出し、スロットルバルブ5の開度を調整する。ここで一般的に発電負荷が大きくなるほど走行抵抗も増加してゆくことから、この開度決定テーブルT100では、発電負荷が大きくなるに従ってスロットルバルブ5の開度も比例して大きくなるように生成されている。これによりエンジン制御装置3では、減速運転時に発電負荷によって走行抵抗が増加しても、発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を変化させることで、スロットルバルブ5により生じるエンジンフリクションを小さくし、減速運転時にその分だけ走行距離を延ばすことができる。
【0043】
また、この実施の形態の場合、開度決定テーブルT100は、減速運転時における走行抵抗を常に発電負荷が最も小さいときの走行抵抗と同じになるように、スロットルバルブ5の開度が設定されている。これによりエンジン制御装置3では、開度決定テーブルT100に基づいて、減速運転時における発電負荷の増加に応じてスロットルバルブ5の開度を調整してエンジンフリクションを減少させ、かくして減速運転時における走行抵抗を、常に発電負荷が最も小さいときの走行抵抗と同じになるように調整できる。従って、エンジン制御装置3では、発電負荷の状態にかかわらず、減速運転時における惰性減速を統一させることができるので、発電負荷の違いにより生じる走行抵抗により減速運転時に走行距離が変化することを防止でき、かくして減速運転時に運転者に対して常に同じような感覚で運転させることができる。
【0044】
また、本発明によるエンジン制御装置3では、減速運転時にスロットルバルブ5の開度を調整することで、自由にエンジンフリクションを減少させることができるが、発電負荷が最も小さいときには従来と同様にスロットルバルブ5の開度を全閉とし、所定のエンジンフリクションを与えている。これにより、エンジン制御装置3では、運転者に対して従来と同様のエンジンブレーキの感覚を維持させることができ、スロットルバルブ5によるエンジンフリクションを小さくし過ぎて従来とは全くことなる運転感覚になってしまうことを防止できる。
【0045】
以上の構成によれば、燃料調整手段13の燃料停止信号と、発電状態検出手段15により検出された発電状態とに基づいて、減速運転時において発電負荷の増加に応じてスロットルバルブ5の開度を適宜変化させることにより、スロットルバルブ5により生じるエンジンフリクションを小さくして、発電負荷の増加時にその分だけ減速運転時の走行距離を延ばすことができ、かくして走行時における全体的な燃料消費量を低減させることができる。
【0046】
(4)他の実施の形態
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば上述した実施の形態においては、発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を決定するための開度決定情報の一例として、横軸に発電負荷(ACGF(A))、縦軸にスロットルバルブ5の開度(△Θth)を示した開度決定テーブルT100を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、開度決定情報に基づいて減速運転時の発電負荷に応じてスロットルバルブ5の開度を決定することができれば良く、例えば縦軸に発電負荷(ACGF(A))、横軸にスロットルバルブ5の開度(△Θth)を示した開度決定テーブルを用いたり、或いは発電負荷と開度との関係を示した数式を開度決定情報としてスロットルバルブ5の開度を算出するようにしてもよい。
【0047】
また、上述した実施の形態においては、アクセル操作として、四輪車を適用したことからアクセルペダルを踏み込んでアクセル操作するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、二輪車のようにスロットルグリップを回転することでアクセル操作するようにしてもよい。
【0048】
さらに、上述した実施の形態に加えて、減速運転時にスロットル制御手段12によってブレーキ装置(図示せず)に利用される負圧量を調整するようにしてもよい。すなわち、エンジンの吸気負圧を利用して、ブレーキペダルの踏力を倍増する作動補助手段としてのマスターバックがブレーキ装置に設けられている場合、スロットル制御手段12は、スロットルバルブ5の開閉によって、エンジンの燃料室とスロットルバルブ5との間の吸気内に発生する圧力差が、ブレーキ装置のマスターバックへ導入される際に、マスターバックへの必要な負圧量を確保すべくスロットルバルブ5の開度を制御する。これによりエンジン制御装置3では、燃料停止した状態で惰性走行している減速運転時にブレーキを作動させた場合でも、ブレーキ性能を確保できる。
【符号の説明】
【0049】
3 エンジン制御装置
4 燃料噴射弁
5 スロットルバルブ
6 エンジン
12 スロットル制御手段
13 燃料調整手段(減速燃料カット手段)
15 発電状態検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセル操作に応じてスロットルバルブの開度を調整すると共に、燃料噴射弁によるエンジンへの燃料供給を調整するエンジン制御装置において、
減速運転時における前記エンジンへの燃料供給のカットを前記燃料噴射弁に対して出力信号により命令する減速燃料カット手段と、
前記スロットルバルブの開度を制御するスロットル制御手段と、
前記エンジンによって駆動される発電機の発電状態を検出する発電状態検出手段とを備え、
前記スロットル制御手段は、
前記減速燃料カット手段の出力信号と、前記発電状態検出手段により検出された前記発電状態とに基づいて、前記減速運転時における前記スロットルバルブの開度を制御する
ことを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項2】
前記スロットルバルブは前記エンジンの燃料室上流側の吸気装置内に設けられており、
前記スロットル制御手段は、
前記スロットルバルブの開閉によって前記燃料室と前記スロットルバルブとの間の前記吸気装置内に発生する圧力差が、ブレーキ装置の作動補助手段へ導入される際に、前記作動補助手段への必要な負圧量を確保すべく前記スロットルバルブの開度を制御する
ことを特徴とする請求項1記載のエンジン制御装置。
【請求項1】
アクセル操作に応じてスロットルバルブの開度を調整すると共に、燃料噴射弁によるエンジンへの燃料供給を調整するエンジン制御装置において、
減速運転時における前記エンジンへの燃料供給のカットを前記燃料噴射弁に対して出力信号により命令する減速燃料カット手段と、
前記スロットルバルブの開度を制御するスロットル制御手段と、
前記エンジンによって駆動される発電機の発電状態を検出する発電状態検出手段とを備え、
前記スロットル制御手段は、
前記減速燃料カット手段の出力信号と、前記発電状態検出手段により検出された前記発電状態とに基づいて、前記減速運転時における前記スロットルバルブの開度を制御する
ことを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項2】
前記スロットルバルブは前記エンジンの燃料室上流側の吸気装置内に設けられており、
前記スロットル制御手段は、
前記スロットルバルブの開閉によって前記燃料室と前記スロットルバルブとの間の前記吸気装置内に発生する圧力差が、ブレーキ装置の作動補助手段へ導入される際に、前記作動補助手段への必要な負圧量を確保すべく前記スロットルバルブの開度を制御する
ことを特徴とする請求項1記載のエンジン制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−255580(P2010−255580A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108614(P2009−108614)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】
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