説明

エンジン用潤滑油の異物検出装置およびエンジンシステム

【課題】簡易迅速に潤滑油中の異物の性状、大きさを検出することができるエンジン用潤滑油の異物検出装置およびエンジンシステムを提供する。
【解決手段】本実施例に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置40Aは、ディーゼルエンジン10に供給される潤滑油32の一部を新油32Aとして抜き出す新油分取ラインL11と、ディーゼルエンジン10から排出される潤滑油32の一部を使用油32Bとして抜き出す使用油分取ラインL12と、新油分取ラインL11および使用油分取ラインL12から抜き出した新油32A、使用油32B中に含まれる異物の外形を画像により検出する検出装置41と、を有し、検出装置41で得られた検出結果から使用油32B中に含まれる異物を検出し、かつディーゼルエンジン10の運転継続の可否を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばディーゼルエンジンの潤滑油と燃料油の混合によって潤滑油中に生成する異物を検出し、トラブルを未然に防止し、かつエンジン運転継続の可否を判断するエンジン用潤滑油の異物検出装置およびエンジンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの潤滑油の品質および純度が維持されることは、エンジンの耐久性を維持させるために極めて重要である。化石燃料を使用するディーゼルエンジンなどの内燃機関においては、燃焼室、配管等を経由して燃料が潤滑油に混入する場合がある。ディーゼルエンジン用の燃料である重油中には、例えば、スラッジ、FCC(Fluid Catalytic Cracking)触媒由来のアルミナ、シリカなどが含まれている。そのため、燃料が潤滑油に混入すると、燃料油起因の粒子(すすや硫酸カルシウムなどの燃焼性生物、燃料油生成段階で混入するシリカ・アルミなどの微粒子、磨耗粉、燃焼によって生成した物質など)と潤滑油が混合することによって異物が生成する。これら異物はミクロンオーダの大きさをもった粒子状の物質であることから、スカッフィング等の磨耗を引き起こし、機器損傷を引き起こす原因となる可能性が高くなる。また、エンジン内部の潤滑を目的とする潤滑油の本来の機能を果たせなくなる。そのため、定期的に潤滑油を交換するか、定期的または不定期に抜き取り検査を行うことによって、潤滑油中に含まれる異物の量とその成分を分析して迅速に検出し、機器の摩耗が発生する危険性を低減する必要がある。
【0003】
潤滑油中の異物の計測方法として、例えばフェログラフィ法、油中微粒子測定法(NAS等級)(JISB9934)、光学顕微鏡を用いた微粒子測定法(JISB9930)、質量法による汚染測定法(JISB9931)等がある(例えば、非特許文献1〜3参照)。
【0004】
潤滑油中の異物の他の計測方法として、フィルタラビリティ試験方法や赤外分光測定を用いる方法などが提案されている。フィルタラビリティ試験方法は、吸引ろ過器具等に設置したろ過器に濾紙を設置し、有機溶剤(例えばヘキサン等)で予め希釈した潤滑油を所定量供給し、真空ポンプで減圧することにより、潤滑油に含まれる異物を濾紙上に捕集する方法である。濾紙上に回収した異物を検査することで、潤滑油中の異物の有無およびその粒子径を把握している。
【0005】
また、赤外分光測定装置を用いる場合、潤滑油を使用する機器同士の間を循環する潤滑油を赤外分光測定装置を用いてリアルタイムに潤滑油のスペクトルデータを測定し、得られるスペクトルデータに基づいて潤滑油に、添加剤を投入したり、水分を除去したり、潤滑油を追加したり、潤滑油を交換することで、潤滑油使用機器の故障等を未然に抑制するようにしている(例えば、特許文献1参照)。一般的な実験室における赤外分光測定装置利用では、リアルタイム測定のみならず、実験室への持ち帰り分析もおこなわれている。すなわち、光路長が数十nm〜数百nmになるよう調整したセルを用いて測定をおこない、潤滑油中の劣化生成物(たとえば窒素酸化物、脂肪酸など)の生成度合いや異物混入の有無・量などを把握している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−96398号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】JISB9934
【非特許文献2】JISB9930
【非特許文献3】JISB9931
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記JIS法やフィルタラビリティ試験方法などを用いた従来の分析方法では、吸引ろ過等の分析操作で最低1日かかる。また、ポンプや吸引ろ過器具などの各機器、器具、有機溶剤が必要であると共に、有機溶剤(トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタンなど)を使用しているので、局所排気設備内での操作が必要となる。またポンプを使用するには電源が必要であるが、現場においては電源確保が困難な場合が多い。このため、現場にてサンプリングした潤滑油を、分析室に移送して分析しなければならないため、採取したあとの梱包・移送・試料受け渡しなどの手間として1日程度かかる。そのため、結果が出るまで約1週間程度かかり、潤滑油に含まれる異物の検出には時間がかかる、という問題がある。
【0009】
従来の分析方法は、現場にて潤滑油の一部をサンプリングした後、測定を行うというバッチ式処理方法であるため、運転条件に反映させるのに時間差(タイムラグ)が生じる、という問題もある。
【0010】
また、赤外分光測定装置を用いる方法は、電源を確保した上で測定装置や洗浄溶媒、測定器具、備品類を現場に持ち込んだ場合において現場で測定可能である。しかし現場にて採取した潤滑油の測定を短時間で行うことはできるが、異物の性状、平均粒子径、その数などは把握することはできない、という問題がある。更に、潤滑油の使用時間が長くなった場合、異物混入が多くなって劣化が進行すると、潤滑油そのものが黒色を呈するようになる。赤外分光測定においては、黒色試料は光が透過しないため測定できないという不具合点もある。
【0011】
特に、発生した異物の粒子径が大きいと、エンジン内部機器等の磨耗の影響も大きくなる。また、その分析結果が出るまでに長期間を要し、その対策を実施するまでの間に多くの損失を招いているのが現状である。
【0012】
本発明は、前記問題に鑑み、簡易迅速に潤滑油中の異物の性状、大きさを検出することができるエンジン用潤滑油の異物検出装置およびエンジンシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、簡易迅速に潤滑油の希釈(ダイリューション)の発生を早期に検出することができるエンジン用潤滑油の異物検出装置およびエンジンシステムであり、これはエンジンに供給される潤滑油の一部を抜き出す新油分取ラインと、前記エンジンから排出される潤滑油の一部を抜き出す使用油分取ラインと、前記新油分取ラインおよび前記使用油分取ラインから抜き出した潤滑油中に含まれる異物の外形を画像により検出する検出手段と、を有し、前記検出手段で得られた検出結果から前記潤滑油中に含まれる異物を分析することを特徴とするエンジン用潤滑油の異物検出装置である。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、前記エンジンから排出される潤滑油の一部に希釈用有機溶媒を少なくとも1つ混合する使用油希釈用分取ラインを少なくとも1つ有し、前記検出手段が、希釈用有機溶媒を少なくとも1つ含む潤滑油中に含まれる異物を検出するエンジン用潤滑油の異物検出装置である。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、前記希釈用有機溶媒を1種類以上含むことを特徴とするエンジン用潤滑油の異物検出装置である。
【0016】
第4の発明は、エンジンに供給される潤滑油の一部を抜き出すと共に、前記エンジンから排出される潤滑油の一部を抜き出し、前記エンジンに供給される潤滑油および前記エンジンから排出される潤滑油中に含まれる異物の外形を画像により検出し、各々の検出結果を比較して前記エンジンから排出される潤滑油中に含まれる異物を検出することを特徴とするエンジン用潤滑油の異物検出方法である。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、前記エンジンから排出される潤滑油の一部に希釈用有機溶媒を少なくとも1つ混合して希釈用有機溶媒を含む潤滑油を少なくとも1つ作製し、前記希釈用有機溶媒を含む潤滑油中に含まれる異物を検出するエンジン用潤滑油の異物検出方法である。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、前記希釈用有機溶媒を少なくとも1種類以上含む溶媒を用いることを特徴とするエンジン用潤滑油の異物検出方法である。
【0019】
第7の発明は、エンジンと、前記エンジンの前記潤滑油を溜めるオイルパンと、前記潤滑油を前記エンジンに循環させる潤滑油循環ラインと、前記潤滑油循環ラインから前記潤滑油の一部を分取した使用油に対して燃料油の混合の有無を検知する第1乃至第3のいずれか1つの発明のエンジン用潤滑油の異物検出装置と、を有することを特徴とするエンジンシステムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡易迅速に潤滑油中の異物の性状、大きさを検出することができる。このため、所定期間経過毎に定期的に短時間で潤滑油の検査を行うことが、エンジン設置現場で可能となり、得られた情報に基づいて潤滑油の交換等を適正な時期に行うことが可能となる。異物の検出後、大きさの判別を実施し、閾値を超えた粒子径と判断されたには、運転不可の判定をおこない、潤滑油の更新アラーム(警報時にはエンジン運転停止処置)を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ディーゼルエンジンを模式的に示す説明図である。
【図2】図2は、1つの気筒を模式的に示す説明図である。
【図3】図3は、実施例1に係るディーゼルエンジンの潤滑油の診断方法を実施する診断システムの概略図である。
【図4】図4は、潤滑油に含まれている異物と、その異物を顕微鏡で観察した際の形状、光の透過性、大きさとの関係を示す図である。
【図5】図5は、潤滑油中の異物を検出してその対策を実施するフローチャートの一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施例2に係るディーゼルエンジンのエンジン用潤滑油の異物検出装置を備えたエンジンシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための実施例につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した下記実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0023】
図1は、ディーゼルエンジンを模式的に示す説明図である。図2は、1つの気筒を模式的に示す説明図である。図1に示すように、本実施例のディーゼルエンジン10は、1つ以上(本実施例では9つ)の気筒11と、過給機12と、空気冷却器13と、排気集合管14とを含む。まずは図2を用いて1つの気筒11の基本的な構成を説明する。なお、以下では、気筒11の一例としてレシプロ型のものを説明するが、気筒11はロータリー型のものでもよい。図2に示すように、気筒11は、シリンダ21と、ピストン22と、クランク軸23と、クランク室23aと、コネクティングロッド24と、シリンダヘッド25と、燃焼室25aと、吸気ポート26aと、吸気バルブ26と、排気ポート27aと、排気バルブ27と、インジェクタ28と、オイルパン29とを含む。
【0024】
シリンダ21は、筒状の部材である。ピストン22は、シリンダ21の中空部に設けられる。ピストン22は、シリンダ21の中心軸方向に移動できるように設けられる。クランク軸23は、回転できるようにクランク室23aに設けられる。クランク室23aは、シリンダ21の中心軸方向の一方側に設けられる。クランク軸23は、ピストン22の往復運動を回転運動に変換する。コネクティングロッド24は、ピストン22とクランク軸23とを連結する。
【0025】
シリンダヘッド25は、シリンダ21の中心軸方向の他方側(クランク室23aとは反対側)に設けられる。燃焼室25aは、ピストン22と、シリンダヘッド25とで囲まれる空間である。
【0026】
吸気ポート26aおよび排気ポート27aは、気筒11の外部と燃焼室25aとを連通する。吸気バルブ26は、吸気ポート26aに設けられる。吸気バルブ26は、吸気ポート26aを介して気筒11の外部と燃焼室25aとの間での空気の流動を調節する。排気バルブ27は、排気ポート27aに設けられる。排気バルブ27は、排気ポート27aを介して気筒11の外部と燃焼室25aとの間での空気の流動を調節する。
【0027】
燃料噴射ポンプ30は、燃料を加圧し、インジェクタ28に燃料を導く。インジェクタ28は、例えば燃焼室25aに噴出口が突出して設けられる。燃料噴射ポンプ30は、燃料供給タンク31から導かれた燃料を燃焼室25aに導く。なお、燃料噴射ポンプ30は、吸気ポート26aに噴出口が突出して設けられてもよい。オイルパン29は、クランク室23aに設けられる。オイルパン29は、潤滑油32を溜める。
【0028】
上記構成の気筒11は、吸気、圧縮、膨張、排気の1サイクルを繰り返し行う。これにより、気筒11は、ピストン22が往復運動し、クランク軸23が回転する。なお、気筒11は、4ストロークで1サイクルを行うものでもよいし、2ストロークで1サイクルを行うものでもよい。
【0029】
ディーゼルエンジン10についての説明に戻る。過給機12は、空気を加圧する。過給機12は、図2に示す排気ポート27aから排出された排気ガスのエネルギーを得て空気を加圧する、いわゆるターボチャージャーである。なお、過給機12は、クランク軸23の回転力を得て空気を加圧する、いわゆるスーパーチャージャーでもよい。空気冷却器13は、過給機12から導かれた空気を冷却する。排気集合管14は、各気筒11の排気ポート27aと連通する。本実施形態では、各気筒11の排気ポート27aから排出された排気ガスは排気集合管14を介して過給機12に導かれる。
【0030】
ここで、図1に示すクランク軸23は、各気筒11で共通の部材である。上記構成により、各気筒11が稼動することにより、ディーゼルエンジン10はクランク軸23を回転させる。なお、本実施形態では、ディーゼルエンジン10が過給機12を含むものとして説明したが、ディーゼルエンジン10は、過給機12を含まなくてもよい。すなわち、ディーゼルエンジン10は、自然吸気型の内燃機関でもよい。この場合、ディーゼルエンジン10は、空気冷却器13を含まなくてもよい。
【0031】
図3は、本実施例に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置を備えたエンジンシステムの概略図である。ディーゼルエンジン10は、本実施例に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置40Aを備えている。図3に示すように、本実施例に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置40Aは、新油分取ラインL11と、使用油分取ラインL12と、潤滑油32に含まれる異物を分析する検出装置(検出手段)41とを有する。
【0032】
潤滑油32に含まれる異物は、潤滑油32の劣化に伴う生成物が主である。すなわち、潤滑油32や潤滑油32に含まれている添加剤による化合物(Ca、Mg、スルホン酸塩などの有機金属化合物)、酸化劣化物、窒素酸化物、潤滑油自体が高温にさらされたために生成する炭化物質、潤滑油32の劣化によって生成する油に可溶な樹脂質、エンジン10の燃焼で生成した異物(すす、硫酸カルシウム)や、燃焼室や配管等から由来した磨耗粉・腐食生成物、などである。これらが潤滑油32に許容量以上が含まれていると、エンジン10のシリンダーの摺動に不良を生じたり、スカッフィングなどの障害を発生させる。
【0033】
潤滑油32は、ディーゼルエンジン10のオイルパン29から排出され、潤滑油循環ラインL13を介して再度ディーゼルエンジン10に送給され、ディーゼルエンジン10と潤滑油循環ラインL13とを循環している。潤滑油32は、潤滑油貯蔵タンク42に貯蔵されている。潤滑油32は潤滑油送給ラインL14を介して潤滑油貯蔵タンク42から潤滑油循環ラインL13に供給される。
【0034】
新油分取ラインL11は、ディーゼルエンジン10に供給される潤滑油32の一部を新油32Aとして抜き出すラインである。潤滑油32は新油分取ラインL11を介して潤滑油貯蔵タンク42から新油32Aとして抜き出される。新油分取ラインL11には、調節弁V11が設けられている。潤滑油貯蔵タンク42から抜き出される新油32Aの量は、調節弁V11により調整される。新油分取ラインL11は潤滑油貯蔵タンク42に連結されているが、本実施例は、これに限定されるものではなく、潤滑油送給ラインL14から潤滑油32の一部を新油32Aとして抜き出すようにしてもよい。
【0035】
使用油分取ラインL12は、ディーゼルエンジン10から排出される潤滑油32の一部を抜き出すラインである。ディーゼルエンジン10から排出される潤滑油32の一部を使用油32Bとして潤滑油循環ラインL13から抜き出す。使用油分取ラインL12には、調節弁V12が設けられている。潤滑油循環ラインL13から抜き出される使用油32Bの量は、調節弁V12により調整される。
【0036】
検出装置41は、新油分取ラインL11に設けられる検出装置41Aと、使用油分取ラインL12に設けられる検出装置41Bとを有する。検出装置41Aは、新油分取ラインL11に抜き出した新油32A中に含まれる異物を検出する顕微鏡(観察装置)43Aと、新油32Aを分析する観察部44Aとを有する。検出装置41Bは、使用油分取ラインL12に抜き出した使用油32B中に含まれる異物を検出する顕微鏡43Bと、使用油32Bを分析する観察部44Bとを有する。
【0037】
潤滑油貯蔵タンク42から新油分取ラインL11を介して抜き出された新油32Aは、観察部44Aで顕微鏡43Aにより観察される。潤滑油循環ラインL13から使用油分取ラインL12を介して抜き出された使用油32Bは、観察部44Bで顕微鏡43Bにより観察される。
【0038】
顕微鏡43A、43Bで観察された検出結果は、各々、制御装置45に伝達される。顕微鏡43Aで観察された新油32Aの検出結果と、顕微鏡43Bで観察された使用油32Bの観察結果とから、予め異物の性状、平均粒子径などを記録しておいた関係図と比較し、使用油32Bに異物が含まれているか否かを検出すると共に、使用油32Bに含まれる平均粒子径、粒子数を測定して異物の性状を判断する。
【0039】
潤滑油32に含まれている異物の性状としては、例えば、スラッジ、錆、すす、アスファルテンなどが挙げられる。図4は、潤滑油に含まれている異物と、その異物を顕微鏡で観察した際の形状、光の透過性、大きさとの関係を示す図である。図4に示すように、例えば、形状が略同心円状で光が透過する場合には、水と判定する。また、光が半透過の場合には、スラッジと判定し、光が不透過の場合には、錆と判定する。また、形状がポーラス状で光が透過する場合には、すすと判定し、凝集体を形成し、光が不透過の場合には、アスファルテンと判定する。
【0040】
異物の大きさについては、例えば、異物の平均粒子径が10μm以上100μm以下の場合には、異物の大きさを大と判定し、異物の平均粒子径が1μm以上10μm以下の場合には、異物の大きさは中と判定し、異物の平均粒子径が0.01μm以上1μm以下の場合には、異物の大きさを小と判定する。異物の大きさが、大の場合には、スラッジ、すす、アスファルテンのいずれかと判定し、異物の大きさが、中の場合には、水と判定し、異物の大きさが、小の場合には、錆と判定する。
【0041】
顕微鏡43A、43Bとしては、光学顕微鏡、電子顕微鏡、デジカメマクロ撮影などが挙げられる。また、顕微鏡43A、43Bは、目盛などスケールを付けて撮影するのが好ましい。撮影対象とスケールを同時撮影しても、スケールのみを後から画像処理によって入れ込んでもよい。これにより、顕微鏡43A、43Bで確認された異物の大きさを容易に確認することができる。また、顕微鏡43A、43Bに設けるスケール目盛は、顕微鏡43A、43Bの内部に予め設けるようにしてもよいし、顕微鏡43A、43Bの外側から挿入するようにしてもよい。
【0042】
異物の粒子数は、必ずしも分析する必要はないが、潤滑油32に含まれる異物の粒子数を求めることにより、潤滑油32に含まれる単位容積中における異物の割合を求めることができ、潤滑油32に対して燃料油が混合しているかどうかの事実をより確実に診断することができる。異物の粒子数の計測方法は、画像処理など従来より公知の方法を用いることができる。例えば、撮影したデジタルX線画像から観察された異物とそれ以外の部分との信号から異物とそれ以外の部分とを分けるために所定の閾値を設定し、2値化処理を行い、異物のみを抽出する方法が挙げられる。
【0043】
ここで、2値化処理とは、ある所定の閾値を定め、ある画像の各画素の画素値と、所定の閾値とを比較し、閾値に基づいて画像の画素を2つのグループに分け、一方のグループに属する画素の画素値と、他方のグループに属する画素の画素値を、それぞれ異なる所定の画素値に変換する画像処理をいう。
【0044】
よって、顕微鏡43A、43Bで観察された検出結果を、各々、制御装置45に伝達し、顕微鏡43Aで観察された新油32Aの検出結果と、顕微鏡43Bで観察された使用油32Bの検出結果とを比較することで、制御装置45は、使用油32Bに異物が含まれているか否かを容易に検出することができる。また、制御装置45は、使用油32Bに含まれる異物の性状、平均粒子径、粒子数を測定することができる。制御装置45は、使用油32Bに含まれている異物の性状、平均粒子径、粒子数の少なくとも1つを判定することで、エンジン可否判断(フィードバック)が可能となる。
【0045】
本実施例においては、新油32A、使用油32Bを、観察部44A、44Bで顕微鏡43A、43Bで観察するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、新油32A、使用油32Bを、観察部44A、44Bで外部に抜き出して顕微鏡43A、43Bで観察するようにしてもよい。
【0046】
本実施例においては、顕微鏡43Aで観察された新油32Aの観察結果と、顕微鏡43Bで観察された使用油32Bの観察結果とを比較するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、使用油32Bが特に汚染されていないような場合には、使用油32Bのみを分析して、使用油32Bに異物が含まれているか否かを判断するようにしてもよい。
【0047】
新油分取ラインL11の観察部44Aを通過した新油32Aは、新油分取ラインL11によりディーゼルエンジン10に送給される。新油32Aは、汚れていないため、ディーゼルエンジン10で使用することができる。また、分析に用いられた新油32Aは、必ずしもディーゼルエンジン10に送給する必要はなく、そのまま廃棄するようにしてもよい。
【0048】
使用油分取ラインL12の観察部44Bを通過した使用油32Bは、使用油分取ラインL12によりディーゼルエンジン10に送給される。分析に用いられた使用油32Bは、必ずしもディーゼルエンジン10に送給する必要はなく、そのまま廃棄するようにしてもよい。
【0049】
なお、検出装置41は、各気筒11について設けてもよいし、複数の気筒11で共有してもよい。また、本実施例に係るディーゼルエンジンのエンジン用潤滑油の異物検出装置40Aは、1つのディーゼルエンジン10にのみ用いてもよいし、複数のディーゼルエンジン10で共用してもよい。
【0050】
(潤滑油に含まれる異物の検出方法)
本実施例に係るディーゼルエンジンのエンジン用潤滑油の異物検出装置40Aを用いて、ディーゼルエンジン10の運転中における潤滑油に含まれる異物を検出する手順について説明する。
【0051】
図5は、潤滑油中の異物を検出してその対策を実施するフローチャートの一例を示す図である。図5に示すように、制御装置45は、運転時間T1が定期検査時間T2を超えたか否かを判断する(ステップS11)。運転時間T1が定期検査時間T2を超えていない(運転時間T1<定期検査時間T2)と判断した場合(ステップS11:No)、本制御を終了し、引き続き、再度時間の確認をする。一方、運転時間T1が定期検査時間T2を超えている(T1>T2)と判断した場合(ステップS11:Yes)、新油分取ラインL11の調節弁V11を開放し、新油32Aの一部を分取すると共に、使用油分取ラインL12の調節弁V12を開放し、使用油32Bの一部を分取する(ステップS12)。
【0052】
分取した新油32A、使用油32Bを分析して、新油32A、使用油32Bの分析結果を比較し、使用油32Bに異物が含まれているか否かを判定する(ステップS13)。この診断の結果により、使用油32Bに異物が含まれていると判定された場合(ステップS13:Yes)、使用油32Bに含まれる異物の性状、大きさを判断する(ステップS14)。
【0053】
使用油32Bに含まれる異物の性状を判断し、使用油32Bに含まれている異物の性状が、スラッジ、錆、すす、アスファルテンのいずれかであるか否かを判断する(ステップS15)。
【0054】
使用油32Bに含まれている異物の性状の判別は、例えば、図4に示すように、顕微鏡による観察結果から、形状が略同心円状で光が透過する場合には、水と判定する。光が半透過の場合には、スラッジと判定し、光が不透過の場合には、錆と判定する。形状がポーラス状で光が透過する場合には、すすと判定し、凝集体を形成し、光が不透過の場合には、アスファルテンと判定する。
【0055】
使用油32Bに含まれる異物が、スラッジ、錆、すす、アスファルテンのいずれかであると判定された場合(ステップS15:Yes)、使用油32Bに含まれている異物の平均粒子径が、所定値以上であるか否かを判断する(ステップS16)。
【0056】
上述のように、異物の平均粒子径に応じて、異物の大きさを大、中、小の3つのいずれかに該当するか判定する。異物の性状に応じて異物の平均粒子径が、所定値以上の場合(ステップS16:Yes)、使用油32Bに含まれている異物の粒子数を判定する(ステップS17)。
【0057】
異物の粒子数は、上述のように、画像処理する方法など従来より公知の方法を用いて測定することができる。異物の粒子数を求めることで、使用油32Bに含まれる異物の割合を求めることができ、使用油32Bに対して燃料油が混合している事実をより確実に診断することができる。使用油32Bに含まれる異物の粒子数が、所定数(例えば、異物が5%混入、10%混入など)以上であると判定された場合(ステップS17:Yes)、異物の混入割合に応じて潤滑油32の補充や一部または全部を交換する必要があると判定する。
【0058】
この診断対策として、使用油32B中の異物の積算量の度合い(例えば5%混入、10%混入など)に応じて、新規な潤滑油32の補充や既に使用されている潤滑油32の一部または全部を交換することを行うようにする。新規な潤滑油32を補充する割合は、異物混入割合に応じて適宜変更するようにしている。
【0059】
よって、異物の検出後、使用油32Bに含まれている異物の性状、平均粒子径、粒子数の分析結果から、潤滑油32の補充または入替えが必要と判断された場合、ディーゼルエンジン10の運転を停止し、制御装置45は、新油タンクと廃油タンクに通じるバルブを操作し、オイルパン29中の潤滑油32を補充または入替操作を行う(ステップS18)。
【0060】
所定期間経過毎に定期的に潤滑油32の検査を行うことが、現場で可能となり、従来のような潤滑油32を分析設備の整った場所に潤滑油のサンプルを移動させる必要はない。これにより簡易迅速な潤滑油32の診断が可能となり、予め求めた異物の性状、大きさなどに基づき、潤滑油32への燃料油の混入割合を特定することができ、適正時期に潤滑油の交換を行うことが可能となる。
【0061】
このように、本実施例に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置40Aによれば、ディーゼルエンジン10の運転中において、従来のように結果が出るまでに長期間を要することがなく、検出装置41で得られた分析結果から制御装置45で潤滑油32中に含まれる異物を、現場においてオンライン且つ短時間で検出することができると共に、その異物の性状、大きさを検出することができる。異物は、潤滑油32中に混入した燃料油に起因するものであることから、異物の種類、大きさ、量などが確認されることにより、燃料油の混入の程度も判断することができる。したがって、潤滑油32中に含まれる異物の性状、大きさ、その量を早期に検出することで、制御装置45を通してディーゼルエンジン10の運転制御や、潤滑油32の補充または交換に即座に反映することができる。
【0062】
このため、所定期間経過毎に定期的に短時間で潤滑油32の検査を行うことが、エンジン設置現場で可能となり、得られた情報に基づいて潤滑油32の交換を適正な時期に行うことが可能となる。これにより、ディーゼルエンジンの運転中における潤滑油の状況を迅速に把握でき、ディーゼルエンジンに用いられる機器の故障やトラブルを未然に防止する対策を講じることが可能となる。
【実施例2】
【0063】
本発明の実施例2に係るディーゼルエンジンのエンジン用潤滑油の異物検出装置をディーゼルエンジンシステムに適用した一例について、図面を参照して説明する。ディーゼルエンジンシステムは、実施例1と同様であるため、本実施例においては、本実施例に係るディーゼルエンジンのエンジン用潤滑油の異物検出装置の構成を示す図のみを用いて説明する。
【0064】
図6は、本発明の実施例2に係るディーゼルエンジンのエンジン用潤滑油の異物検出装置を備えたエンジンシステムの概略図である。なお、本実施例に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置は、図3に示す本発明の実施例1に係るディーゼルエンジンのエンジン用潤滑油の異物検出装置40Aの構成と同様であるため、実施例1と同様の部材については、同一の符号を付して重複した説明は省略する。図6に示すように、本実施例に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置40Bは、実施例1に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置40Aにおいて、使用油分取ラインL12に、使用油希釈用分取ラインL21を設け、使用油希釈用分取ラインL21の一部を分岐した使用油希釈用分取ラインL21−1に希釈用混合有機溶媒51を供給し、他の使用油希釈用分取ラインL21−2に希釈用有機溶媒52を供給するものである。また、検出装置41C、41Dは、実施例1に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置40Aと同様、顕微鏡43C、43D、観察部44C、44Dを備え、同様の構成を有するものである。
【0065】
使用油希釈用分取ラインL21は、使用油分取ラインL12から分岐したラインであり、ディーゼルエンジン10から排出される使用油32Bの一部を分取するものである。また、使用油希釈用分取ラインL21には、調節弁V21が設けられている。使用油分取ラインL12から抜き出される使用油32Bの量は、調節弁V21により調整される。
【0066】
使用油希釈用分取ラインL21は、使用油希釈用分取ラインL21−1、L21−2に分岐される。使用油希釈用分取ラインL21−1では、使用油32Bにたとえばヘキサンとトルエンなどを含む希釈用混合有機溶媒51が混合される。希釈用混合有機溶媒51は、希釈用混合有機溶媒貯蔵タンク53に貯蔵されている。希釈用混合有機溶媒51は、希釈用混合有機溶媒貯蔵タンク53から使用油希釈用分取ラインL21−1に送給し、使用油希釈用分取ラインL21−1に分取された使用油32Bに混合する。
【0067】
使用油希釈用分取ラインL21−2では、使用油32Bにトルエンを含む希釈用有機溶媒52が混合される。希釈用有機溶媒52は、希釈用有機溶媒貯蔵タンク54に貯蔵されている。希釈用有機溶媒52は、希釈用有機溶媒貯蔵タンク54から使用油希釈用分取ラインL21−2に送給し、使用油希釈用分取ラインL21−2に分取された使用油32Bに混合する。
【0068】
希釈用混合有機溶媒51、希釈用有機溶媒52で用いられる希釈用有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの少なくとも1つ以上含むものが用いられる。希釈用有機溶媒として、芳香族系(トルエン、キシレンなど)の有機溶媒を用いると、異物が分散し、直鎖アルカン(ヘキサン、ヘプタン)を用いると凝集する性質がある。そこで、希釈用有機溶媒として、芳香族系と直鎖系の混合溶媒を用いることにより溶解もせず凝集もしないまま使用油32Bを希釈することが可能となる。希釈用混合有機溶媒51は、ヘプタンとトルエンとを含む溶液でもよいが、コストを低額に抑える観点から、ヘキサンとトルエンとを含む溶媒を用いるのが好ましいが、コストや希釈性能によっては別の溶媒の組み合わせでも構わない。
【0069】
使用油32Bのみを用いて測定する場合、潤滑油32が潤滑油循環ラインL13を何度も循環して使用されることで、潤滑油32自体が汚染されてくると、潤滑油32の一部を使用油分取ラインL12に抜き出した使用油32Bを顕微鏡43Bで計測する際、顕微鏡43Bに対する顕微鏡43Bの光の透過効率が低下し、測定精度が低下する傾向にある。そのため、潤滑油32に燃料油が混合して生成される異物と、燃焼して生じるすすやアスファルテンなど異物以外のものと分別して判定することができなくなる虞がある。
【0070】
使用油分取ラインL12において、使用油32Bに含まれる異物が検出されるが、使用油32Bに含まれる異物、アスファルテン、燃焼すすのどれかを判別するのは困難となる。これに対し、本実施例においては、使用油希釈用分取ラインL21−1を設けている。このため、潤滑油32中に異物などが多く含まれ、黒色を呈した油であっても、使用油希釈用分取ラインL21−1で希釈用混合有機溶媒51を用いて使用油32Bを希釈することにより、使用油32B中に含まれる異物を適切に測定することができる。
【0071】
本実施例に係るディーゼルエンジンのエンジン用潤滑油の異物検出装置40Bにおいては、使用油希釈用分取ラインL21−2を設けている。希釈用有機溶媒52を用いて使用油32Bを希釈することで、使用油32Bに含まれているアスファルテンを溶解することができるため、検出される異物は、潤滑油32に燃料油が混合して生成される異物と燃焼残渣のみとすることができる。制御装置45は、検出した粒子のうち燃焼残渣由来粒子であるすすなどを画像処理で判断することができるため、検出した粒子から燃焼残渣を除去した異物の割合およびその粒子径を算出することができる。
【0072】
観察部44C、44Dに、新油32A、希釈用混合有機溶媒51、希釈用有機溶媒52など少なくとも1つを供給し、観察部44C、44Dの洗浄を行うようにしてもよい。
【0073】
このように、本実施例に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置40Bによれば、使用油32Bの使用油希釈用分取ラインL21を複数系列設けているため、同時に測定することができる。
【0074】
よって、本実施例に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置40Bによれば、使用油32Bの採取分取ラインを複数系列設け、使用油32Bの一部を有機溶媒を用いて希釈してから分析することで、使用油32Bに含まれる潤滑油32に燃料油が混合して生成される異物、すす、アスファルテンを同時に判別することができる。このため、使用油32Bに含まれる異物を高い精度で検出することができる。
【0075】
なお、本実施例に係るエンジン用潤滑油の異物検出装置40Bにおいては、使用油希釈用分取ラインL21を2つ設け、使用油希釈用分取ラインL21−1、L21−2を設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、使用油希釈用分取ラインは3つ以上設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 ディーゼルエンジン
11 気筒
32 潤滑油
32A 新油
32B 使用油
40A、40B 異物検出装置
41A〜41D 検出装置
42 潤滑油貯蔵タンク
43A〜43D 顕微鏡
44A〜44D 観察部
45 制御装置
51 希釈用混合有機溶媒
52 希釈用有機溶媒
53 希釈用混合有機溶媒貯蔵タンク
54 希釈用有機溶媒貯蔵タンク
L11 新油分取ライン
L12 使用油分取ライン
L13 潤滑油循環ライン
L14 潤滑油送給ライン
L21、L21−1、L21−2 使用油希釈用分取ライン
V11、V12、V21〜V23 調節弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに供給される潤滑油の一部を抜き出す新油分取ラインと、
前記エンジンから排出される潤滑油の一部を抜き出す使用油分取ラインと、
前記新油分取ラインおよび前記使用油分取ラインから抜き出した潤滑油中に含まれる異物の外形を画像により検出する検出手段と、を有し、
前記検出手段で得られた検出結果から前記潤滑油中に含まれる異物を分析することを特徴とするエンジン用潤滑油の異物検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記エンジンから排出される潤滑油の一部に希釈用有機溶媒を少なくとも1つ混合する使用油希釈用分取ラインを少なくとも1つ有し、
前記検出手段が、希釈用有機溶媒を少なくとも1つ含む潤滑油中に含まれる異物を検出するエンジン用潤滑油の異物検出装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記希釈用有機溶媒を1種類以上含むことを特徴とするエンジン用潤滑油の異物検出装置。
【請求項4】
エンジンに供給される潤滑油の一部を抜き出すと共に、前記エンジンから排出される潤滑油の一部を抜き出し、
前記エンジンに供給される潤滑油および前記エンジンから排出される潤滑油中に含まれる異物の外形を画像により検出し、
各々の検出結果を比較して前記エンジンから排出される潤滑油中に含まれる異物を検出することを特徴とするエンジン用潤滑油の異物検出方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記エンジンから排出される潤滑油の一部に希釈用有機溶媒を少なくとも1つ混合して希釈用有機溶媒を含む潤滑油を少なくとも1つ作製し、
前記希釈用有機溶媒を含む潤滑油中に含まれる異物を検出するエンジン用潤滑油の異物検出方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記希釈用有機溶媒を少なくとも1種類以上含む溶媒を用いることを特徴とするエンジン用潤滑油の異物検出方法。
【請求項7】
エンジンと、
前記エンジンの前記潤滑油を溜めるオイルパンと、
前記潤滑油を前記エンジンに循環させる潤滑油循環ラインと、
前記潤滑油循環ラインから前記潤滑油の一部を分取した使用油に対して燃料油の混合の有無を検知する請求項1から3のいずれか1つのエンジン用潤滑油の異物検出装置と、
を有することを特徴とするエンジンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−137336(P2012−137336A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288739(P2010−288739)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】