説明

オゾンガス濃度測定方法、オゾンガス濃度測定システム及び基板処理装置

【課題】簡便にオゾンガスの濃度を測定することができるオゾンガス濃度測定方法を提供する。
【解決手段】ウエハWのベベル部に付着したCF系デポ18を除去するベベル部洗浄装置10において、処理ガス生成器22は酸素ガスを含む原料ガスからオゾンガスを含む処理ガスを生成し、処理ガス用マスフローコントローラ23は処理ガスの流量を測定し、コントローラ33は原料ガスから処理ガスへの流量減少率を算出し、該流量減少率に基づいて処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンガス濃度測定方法、オゾンガス濃度測定システム及び基板処理装置に関し、特に、酸素ガスからオゾンガスを生成する際のオゾンガス濃度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CF系処理ガスから生成されたプラズマを用いて基板としてのウエハにプラズマ処理、例えば、プラズマエッチング処理を施すと、CF系処理ガスに起因するCF系デポがウエハに付着することがある。ウエハの表面に付着したCF系デポはプラズマ(陽イオン)によるスパッタによって除去されるが、ウエハの周縁部(ベベル部)はプラズマによってスパッタされにくいために付着したCF系デポが除去されない。
【0003】
そこで、後処理装置を用いてベベル部に付着したCF系デポを除去することが行われている。具体的には、後処理装置においてウエハのベベル部へレーザ光を照射してベベル部を加熱するとともに、ベベル部に向けてオゾンガスを供給し、化学反応によってCF系デポをCO,COやFに分解して除去する。CF系デポの分解の程度は供給されるオゾンガスの濃度に依存するため、後処理装置では供給されるオゾンガスの濃度を測定・調整する必要がある。
【0004】
オゾンガスは紫外線を吸収することから、従来より、オゾンガスを含む混合ガスへ紫外線ランプを用いて紫外線を照射し、該紫外線の吸収度合いに基づいてオゾンガスの濃度を算出・測定する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−163293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、紫外線ランプは寿命が約1年と短い上に安定した紫外線を照射するまでに或る程度の時間を有する。さらに、紫外線ランプは長期間に亘って使用し続けると徐々に発光量が低下するため、1週間毎に校正を行う必要がある。したがって、紫外線ランプを用いてオゾンガスの濃度を測定する方法は使い勝手が悪いという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、簡便にオゾンガスの濃度を測定することができるオゾンガス濃度測定方法、オゾンガス濃度測定システム及び基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載のオゾンガス濃度方法は、酸素ガスを含む原料ガスからオゾンガスを含む生成ガスを生成する生成ステップと、前記生成ガスに含まれるガス分子のモル数を測定する測定ステップと、前記生成ガスに含まれるガス分子のモル数に基づいて、前記生成ガスに含まれる前記オゾンガスの濃度を算出する算出ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載のオゾンガス濃度測定方法は、請求項1記載のオゾンガス濃度測定方法において、前記測定ステップでは、前記生成ガスの流量を測定し、前記算出ステップでは、前記原料ガスから前記生成ガスへの流量変化率を算出することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載のオゾンガス濃度測定方法は、請求項2記載のオゾンガス濃度測定方法において、前記生成ステップに先立ち、前記流量変化率及び前記生成ガスに含まれる前記オゾンガスの濃度の関係を算出し、前記算出ステップでは、前記関係に基づいて前記オゾンガスの濃度を算出することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項4記載のオゾンガス濃度測定システムは、酸素ガスを含む原料ガスからオゾンガスを含む生成ガスを生成する生成装置と、前記生成ガスに含まれるガス分子のモル数を測定する測定装置と、前記生成ガスに含まれるガス分子のモル数に基づいて、前記生成ガスに含まれる前記オゾンガスの濃度を算出する算出装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載のオゾンガス濃度測定システムは、請求項4記載のオゾンガス濃度測定システムにおいて、前記測定装置は、前記生成ガスの流量を測定し、前記算出装置は、前記原料ガスから前記生成ガスへの流量変化率を算出することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載のオゾンガス濃度測定システムは、請求項5記載のオゾンガス濃度測定システムにおいて、前記算出装置は、前記流量変化率及び前記生成ガスに含まれる前記オゾンガスの濃度の関係を予め算出し、該関係に基づいて前記オゾンガスの濃度を算出することを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項7記載の基板処理装置は、請求項4乃至6のオゾンガス濃度測定システムを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のオゾンガス濃度測定方法、請求項4記載のオゾンガス濃度測定システム及び請求項7記載の基板処理装置によれば、酸素ガスから変化したオゾンガスを含む生成ガスに含まれるガス分子のモル数に基づいて、生成ガスに含まれるオゾンガスの濃度が算出される。酸素ガスがオゾンガスに変化する際、分子のモル数が3から2に変化するため、生成ガスに含まれるガス分子のモル数は原料ガスに含まれるガス分子のモル数から変化する。したがって、モル数の変化量から生成されたオゾンガスの量を算出することでき、さらには、オゾンガスの濃度を算出することができる。すなわち、紫外線ランプを用いる必要がないため、簡便にオゾンガスの濃度を測定することができる。
【0015】
請求項2記載のオゾンガス濃度測定方法及び請求項5記載のオゾンガス濃度測定システムによれば、原料ガスから生成ガスへの流量変化率に基づいてオゾンガスの濃度が算出される。ガス分子のモル数が変化すると流量も変化する。また、流量変化率はオゾンガスへ変化した酸素ガスの分子のモル数に左右される。したがって、流量変化率に基づいてオゾンガスへ変化した酸素ガスのモル数を算出することができ、ひいては、オゾンガスのモル数、さらには、オゾンガスの濃度を算出することができる。
【0016】
請求項3記載のオゾンガス濃度測定方法及び請求項6記載のオゾンガス濃度測定システムによれば、流量変化率及び生成ガスに含まれるオゾンガスの濃度の関係が予め算出され、該関係に基づいてオゾンガスの濃度が算出されるので、生成ガスに含まれるオゾンガス分子のモル数を算出する必要がなく、もって、さらに簡便にオゾンガスの濃度を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置としてのベベル部洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0019】
図1において、ベベル部洗浄装置10は、半導体デバイス用のウエハWを収容する筐体状のチャンバ11と、該チャンバ11内に配置され、且つチャンバ11の下部から立設されたシャフト12に支持される円板状のステージ13とを備える。該ステージ13はウエハWを載置するが、ステージ13の直径はウエハWの直径よりも小さく設定されているので、ウエハWの周縁部(以下、「ベベル部」という。)はステージ13から突出し、ベベル部の表面だけでなく裏面もチャンバ11内の空間に露出される。
【0020】
ステージ13はウエハWを吸着する機構、例えば、静電チャックや真空チャックを有し、シャフト12はその中心軸周りに回転してステージ13を水平面内において回転させるので、ウエハWもステージ13とともに水平面内において回転する。
【0021】
また、ベベル部洗浄装置10は、ステージ13に載置されたベベル部における裏面に対向するように配置されたレーザ照射部14と、該レーザ照射部14とベベル部を介して相対するレーザ光の受光部としてのパワーメータ15と、ベベル部に向けてオゾンガスを含む処理ガス(生成ガス)を吹き付けて供給するガス供給ノズル16と、ベベル部周辺のガスを吸引して除去するガス吸引ノズル17とを有する。
【0022】
このベベル部洗浄装置10では、ベベル部に付着したCF系デポ18に向けて処理ガスを供給するとともに、レーザ光を照射して熱エネルギーを付与する。このとき、CF系デポ18のデポは処理ガス中のオゾンガスとの化学反応によってCO,COやFに分解され、レーザ光によって付与された熱エネルギーはこの化学反応を促進する。これにより、CF系デポ18が除去される。なお、分解されたCO,COやFの大部分はガス吸引ノズル17が吸引して除去する。
【0023】
ここで、ウエハWは水平面内において回転するので、ウエハWにおける全てのベベル部がレーザ照射部14やガス供給ノズル16の前を通過し、全てのベベル部からCF系デポ18が除去される。
【0024】
さらに、ベベル部洗浄装置10は、チャンバ11の上方に配置されたファンフィルタユニット(図示しない)と、チャンバ11の下方に配置された排気装置(図示しない)とを備え、該ファンフィルタユニットはチャンバ11内において上方から下方へ流れるダウンフローを発生させる。該ダウンフローは、ガス吸引ノズル17が吸引できなかったCO,COやFを巻き込んでチャンバ11内から除去するだけでなく、シャフト12又はステージ13の回転に起因して生じたパーティクルや、不意にベベル部から剥離したCF系デポ18がチャンバ11内を舞い上がってウエハWの上方へ回り込むのを防止する。
【0025】
また、ベベル部洗浄装置10は処理ガス供給系19(オゾンガス濃度測定システム)を備える。この処理ガス供給系19は、不図示の酸素ガス供給部に接続されて酸素ガスの流量を測定・制御する酸素ガス用マスフローコントローラ20と、不図示の窒素ガス供給部に接続されて窒素ガスの流量を測定・制御する窒素ガス用マスフローコントローラ21と、酸素ガス用マスフローコントローラ20及び窒素ガス用マスフローコントローラ21に接続される処理ガス生成器22(生成装置)と、該処理ガス生成器22及びガス供給ノズル16の間に介在し、且つ処理ガスの流量を測定・制御する処理ガス用マスフローコントローラ23(測定装置)と、主として処理ガス生成器の動作を制御するコントローラ33(算出装置)とを有する。
【0026】
処理ガス生成器22は、酸素ガス用マスフローコントローラ20によって流量が所定量に調整された酸素ガスと窒素ガス用マスフローコントローラ21によって流量が微量に調整された窒素ガスを含む原料ガスから以下の式(1)に示す化学反応によってオゾンガスを含む処理ガスを生成する。
3O (+N) → 2O (+N) … (1)
処理ガス生成器22が原料ガスへ放電等によって付与可能なエネルギーには限界があるため、原料ガス中の全ての酸素ガスはオゾンガスに変化せず、最大でも14%の酸素ガスしかオゾンガスに変化しない。なお、処理ガス生成器22は原料ガスに付与するエネルギーの量を調整することによってオゾンガスへの変化量を調整する。
【0027】
図2は、図1における処理ガス用マスフローコントローラの構成を概略的に説明する断面図である。
【0028】
図2の処理ガス用マスフローコントローラ23では、まず、図中矢印に示すように流れる処理ガスがセンサ流路24とバイパス流路25に分流される。センサ流路24を取り巻くように2つの発熱抵抗体26a,26bが配置され、これらの発熱抵抗体26a,26bはブリッジ回路27に接続される。センサ流路24内を処理ガスが流れると、上流側の発熱抵抗体26a及び下流側の発熱抵抗体26bの間には温度差が生じる。この温度差は処理ガスの流量に応じて変化し、流量の或る範囲において温度差と流量の間には一次比例関係が成立する。そして、測定された温度差はブリッジ回路27によって電気信号へ変換され、変換された電気信号は増幅回路28及び補正回路29を経て0〜5Vのリニア電圧信号に変換されて比較制御回路30へ伝送されるとともに、流量を示す流量出力信号として処理ガス用マスフローコントローラ23からコントローラ33へ送信される。
【0029】
比較制御回路30はコントローラ33からの流量設定信号を受信するとともに、該流量設定信号と流量出力信号を比較して差信号を生成し、該差信号をバルブ駆動回路31へ送信する。該バルブ駆動回路31は差信号が0となるように流量制御バルブ32を駆動し、これにより、処理ガス用マスフローコントローラ23は流量出力信号を出力するだけでなく処理ガスの流量を流量設定信号に対応した値に調整する。
【0030】
処理ガス用マスフローコントローラ23は、上述したように、各電気回路と、温度センサ26と、流量制御バルブ32とによって構成されており、これらの構成要素は劣化しにくいため、寿命が長い。また、温度センサ26は安定するまでの時間を殆ど必要とせず、その感度は時間変化することが殆どないため、校正を行う必要が殆どない。したがって、処理ガス用マスフローコントローラ23は、紫外線ランプを使用してオゾンガスの濃度を測定する装置に比べて非常に使い勝手がよい。
【0031】
本実施の形態に係るオゾンガス濃度測定方法では、上記式(1)に示すように、酸素ガスがオゾンガスに変化する際、分子のモル数が3から2に変化することを利用して処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度を測定する。具体的には、原料ガスに含まれる酸素ガスの一部が処理ガス生成器22によってオゾンガスに変化した場合、下記表1に示すように、処理ガスに含まれる酸素ガス分子及びオゾンガス分子のモル数の合計値は原料ガスに含まれる酸素ガス分子のモル数から変化するため、原料ガスに含まれるガス分子のモル数及び処理ガスに含まれるガス分子のモル数に基づいて処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度を算出する。
【0032】
ここで、処理ガスの単位時間の流量(以下、単に「流量」という。)に含まれる酸素ガス分子及びオゾンガス分子のモル数が分かれば、酸素ガス分子及びオゾンガス分子量に基づいて簡便にオゾンガスの濃度を、下記表1に示すように、算出することができる。
【0033】
【表1】

【0034】
表1の例に示すように、原料ガスの流量に含まれる酸素ガス分子のモル数(0.029mol)が分かっている場合、処理ガスの流量に含まれる酸素ガス分子のモル数及びオゾンガス分子のモル数のいずれか一方が分かれば、上記式(1)から残りのガス分子のモル数を算出することができるため、処理ガスに含まれる酸素ガス分子のモル数及びオゾンガス分子のモル数を両方とも測定する必要はない。
【0035】
また、上記式(1)に示すように、オゾンガスに変化した酸素ガスの分だけ分子のモル数は減少するので、処理ガスに含まれるガス分子のモル数は原料ガスに含まれるガス分子のモル数よりも減少し、減少度合いはオゾンガスに変化した酸素ガスの分子のモル数に左右される。したがって、処理ガスに含まれる酸素ガス分子のモル数及びオゾンガス分子のモル数のそれぞれが個別に分かっていなくても、処理ガスに含まれる酸素ガス分子及びオゾンガス分子のモル数の合計値さえ分かれば、原料ガスの流量に含まれる酸素ガス分子のモル数、並びに処理ガスに含まれる酸素ガス分子及びオゾンガス分子のモル数の合計値からオゾンガスに変化した酸素ガスのモル数を逆算することができ、もって、処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度を簡便に算出することができる。
【0036】
ところで、処理ガスに含まれる酸素ガス分子及びオゾンガス分子のモル数の合計値が変化すると、処理ガスの流量も変化する。そこで、本実施の形態に係るオゾンガス濃度測定方法では、原料ガスから処理ガスへの流量の減少度合い(流量変化率)に基づいて処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度を算出する。
【0037】
具体的には、処理ガス生成器22が原料ガスから処理ガスを生成する(生成ステップ)際、酸素ガス用マスフローコントローラ20によって酸素ガスの流量を測定し、窒素ガス用マスフローコントローラ21によって窒素ガスの流量を測定し、さらに、処理ガス用マスフローコントローラ23によって処理ガスの流量を測定する(測定ステップ)。
【0038】
次いで、測定された酸素ガスの流量に対する、測定された処理ガスの流量から測定された窒素ガスの流量を除去した流量の減少率を算出し(算出ステップ)、算出された原料ガスから処理ガスへの流量の減少率(以下、「流量減少率」という。)に基づいてオゾンガスへ変化した酸素ガスのモル数を算出し、これに基づいてオゾンガスの濃度を算出する。
【0039】
ここで、原料ガスの酸素ガスの一部がオゾンガスに変化した際の原料ガスから処理ガスへの流量減少率は、上記式(1)に基づいて変化した酸素ガスのモル数、ひいては原料ガスにおける変化した酸素ガスの割合から一義的に求めることができる。また、原料ガスにおける変化した酸素ガスの割合が分かれば、処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度を算出することができる。したがって、予め、流量減少率と処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度との関係を、下記表2に示すように、求めることができる。
【0040】
【表2】

【0041】
本実施の形態に係るオゾンガス濃度測定方法では、予め、表2に示す流量減少率と処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度との関係を求め、処理ガス生成器22が原料ガスから処理ガスを生成する際、流量減少率を算出した後、オゾンガスへ変化した酸素ガスのモル数を算出することなく、表2を用いてオゾンガスの濃度を算出する。
【0042】
図3は、本実施の形態に係るオゾンガス濃度測定方法が適用されるオゾンガス濃度制御処理のフローチャートである。図3の処理は、コントローラ33が所定のプログラムに基づいて実行する。
【0043】
図3において、まず、コントローラ33はベベル部洗浄装置10において全てのベベル部からのCF系デポ18の除去が終了したか否かを判別し(ステップS31)、CF系デポ18の除去が終了している場合には、本処理を終了する一方、CF系デポ18の除去が終了していない場合には、処理ガス生成器22が処理ガスを生成し(ステップS32)、酸素ガス用マスフローコントローラ20が酸素ガスの流量を測定し、窒素ガス用マスフローコントローラ21が窒素ガスの流量を測定し、さらに、処理ガス用マスフローコントローラ23が処理ガスの流量を測定する(ステップS33)。
【0044】
次いで、コントローラ33が、ステップS32における測定結果に基づいて原料ガスから処理ガスへの流量減少率を算出し、該流量減少率及び上記表2に基づいて処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度を算出する(ステップS34)。
【0045】
次いで、コントローラ33は算出されたオゾンガスの濃度に基づいて処理ガス生成器22へオゾンガス生成量調整命令を発行してオゾンガス生成量のフィードバック制御を行い(ステップS35)、ステップS31に戻る。
【0046】
本実施の形態に係るオゾンガス濃度測定方法によれば、原料ガスから処理ガスへの流量減少率に基づいて、処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度が算出される。酸素ガスがオゾンガスに変化する際、上記式(1)に示すように、ガス分子のモル数が3から2に変化するため、処理ガスに含まれるガス分子のモル数は原料ガスに含まれるガス分子のモル数よりも減少し、減少度合いはオゾンガスに変化した酸素ガスの分子のモル数に左右される。その結果、処理ガスに含まれる酸素ガス分子及びオゾンガス分子のモル数の合計値さえ分かれば、オゾンガスに変化した酸素ガスのモル数を逆算することができる。また、酸素ガス分子及びオゾンガス分子のモル数の合計値は処理ガスの流量に対応するので、上記流量減少率に基づいてオゾンガスへ変化した酸素ガスのモル数を算出することができ、ひいては、オゾンガスのモル数、さらには、処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度を簡便に算出することができる。すなわち、オゾンガスの濃度の測定において、紫外線ランプを用いる必要がない一方、寿命が長く、安定するまでの時間を殆ど必要とせず、さらに、校正を行う必要が殆どないマスフローコントローラを用いれば用が足りるため、簡便にオゾンガスの濃度を測定することができる。
【0047】
また、本実施の形態に係るオゾンガス濃度測定方法では、予め算出された、表2に示す流量減少率と処理ガスに含まれるオゾンガスの濃度との関係に基づいてオゾンガスの濃度が算出されるので、処理ガスに含まれるオゾンガス分子のモル数を算出する必要がなく、もって、さらに簡便にオゾンガスの濃度を測定することができる。
【0048】
上述した本実施の形態では、処理ガス等の流量を測定するためにマスフローコントローラ(MFC)を用いたが、例えば、流路における前後の圧力差が大きい場合には流量測定器(FCS)を用いてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、濃度を測定するガスとしてオゾンガスについて説明したが、本発明は化学反応の前後でガス分子のモル数が変化するようなガスであれば、その濃度測定にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置としてのベベル部洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1における処理ガス用マスフローコントローラの構成を概略的に説明する断面図である。
【図3】本実施の形態に係るオゾンガス濃度測定方法が適用されるオゾンガス濃度制御処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
W ウエハ
10 ベベル部洗浄装置
19 処理ガス供給系
20 酸素ガス用マスフローコントローラ
21 窒素ガス用マスフローコントローラ
22 処理ガス生成器
23 処理ガス用マスフローコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素ガスを含む原料ガスからオゾンガスを含む生成ガスを生成する生成ステップと、
前記生成ガスに含まれるガス分子のモル数を測定する測定ステップと、
前記生成ガスに含まれるガス分子のモル数に基づいて、前記生成ガスに含まれる前記オゾンガスの濃度を算出する算出ステップとを有することを特徴とするオゾンガス濃度測定方法。
【請求項2】
前記測定ステップでは、前記生成ガスの流量を測定し、
前記算出ステップでは、前記原料ガスから前記生成ガスへの流量変化率を算出することを特徴とする請求項1記載のオゾンガス濃度測定方法。
【請求項3】
前記生成ステップに先立ち、前記流量変化率及び前記生成ガスに含まれる前記オゾンガスの濃度の関係を算出し、
前記算出ステップでは、前記関係に基づいて前記オゾンガスの濃度を算出することを特徴とする請求項2記載のオゾンガス濃度測定方法。
【請求項4】
酸素ガスを含む原料ガスからオゾンガスを含む生成ガスを生成する生成装置と、
前記生成ガスに含まれるガス分子のモル数を測定する測定装置と、
前記生成ガスに含まれるガス分子のモル数に基づいて、前記生成ガスに含まれる前記オゾンガスの濃度を算出する算出装置とを備えることを特徴とするオゾンガス濃度測定システム。
【請求項5】
前記測定装置は、前記生成ガスの流量を測定し、
前記算出装置は、前記原料ガスから前記生成ガスへの流量変化率を算出することを特徴とする請求項4記載のオゾンガス濃度測定システム。
【請求項6】
前記算出装置は、前記流量変化率及び前記生成ガスに含まれる前記オゾンガスの濃度の関係を予め算出し、該関係に基づいて前記オゾンガスの濃度を算出することを特徴とする請求項5記載のオゾンガス濃度測定システム。
【請求項7】
請求項4乃至6のオゾンガス濃度測定システムを備えることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−114314(P2010−114314A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286687(P2008−286687)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】