説明

カップリングした誘電体層と金属層を含む半導体素子、その製造方法、及び半導体素子の誘電体層と金属層とをカップリングするための物質

一方では半導体素子の誘電体層を不動態化するため、そして、他方では、その後の処理工程において該誘電体層上での液相金属堆積を可能にするか、少なくとも促進するための不動態化カップリング物質である。特定の例においては、該誘電体層は望ましく低減された誘電率kを有する多孔質物質でもよく、不動態化カップリング物質は、多孔質誘電体層中への周囲湿気の吸着及び吸収を実質的に阻止する立体遮蔽基を提供する。また、不動態化カップリング物質は、該不動態化カップリング物質の不在での金属堆積と比べて、液相中における誘電体層上への金属の堆積を促進するために、金属核生成部位を提供する。液相金属堆積法の使用は、その後の半導体素子の製造を容易にする。一の例においては、不動態化カップリング物質は、その化学組成に複数のSi原子を有し、該物質の熱的安定性を増大させることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ほとんど全般的に、多孔質又は非孔質誘電体層を該誘電体層上に形成される金属層、特に液相中で形成される金属層にカップリングすることで半導体素子の製造を容易にする不動態化カップリング物質に関するものである。特定の例において、該物質は、誘電体層に対し、該誘電体層上に形成される不動態化層として機能する(例えば、吸湿に対して、比較的低い誘電率kを有する多孔質誘電体層を封止する)。更に、かかる物質は、その後の不動態化層上への金属層の形成のため、金属核生成部位を与えることができる(不動態化される下の層が多孔質であるか否かに関わらない)。従って、金属堆積は、不動態化カップリング物質の不在の場合と比較して容易になされ、該不動態化カップリング物質が金属層を誘電体層に「カップリングする」と考えることができる。また、本発明は、特に不動態化した誘電体層上への金属層の液相形成を含む半導体素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路の形状が小さくなるにつれて、かかる回路に用いる相互接続に起因する抵抗と静電容量による遅延(RC遅延)を低減することが益々重要になる。このRC遅延を低減するため、現在、先進の相互接続は、低減した誘電率(k)を有すべきであると考えられている。特に、それらの相互接続は、低k物質で作製されるべきである。第一歩として、炭素含有二酸化ケイ素(SiOC)膜が、通常、90〜120nmのテクノロジーノード内に導入された。現在の焦点は、かかる炭素含有二酸化ケイ素膜中に孔を導入することで、k値を更に改良することである。
【0003】
「炭素含有二酸化ケイ素膜」の用語及び対応する式「SiOC」は、(例えば、しばしば二酸化ケイ素層の形成において前駆体として用いられるSiH4の代わりに、CH3SiH3を用いることで)炭素を含む二酸化ケイ素膜を表すのに使用される。また、かかる膜は、当技術分野において炭素をドープした二酸化ケイ素膜と称される。
【0004】
炭素含有二酸化ケイ素膜は、化学気相堆積技術又はスピンオンコーティング技術を用いて、複数の業者により開発されるものである。現在、複数の業者は、「ポロゲン」アプローチによってCVDで堆積したSiOC膜を展開している。この技術の場合、ポロゲンは、誘電体膜に組み込まれ、その後の処理の間にガス抜きされ、該膜中に孔を残す。このアプローチに取り組む会社の中には、Applied Materials(Black Diamond IIx;III)、Novellus systems(ELK Coral)、Trikon(Orion)及びASMがある。スピンオンによる多孔質誘電体の供給者としては、Dow Chemicals(SiLK)、Rohm&Haas(Zirkon)及びJSRが挙げられる。
【0005】
しかしながら、当技術分野において、酸化ケイ素含有物質(炭素含有二酸化ケイ素等)は、その表面上に表面ヒドロキシル(シラノール)基の相当な集団を有することが知られている。それらの基は、非常に分極されているため、水を吸収する強い傾向がある。それらは、四員及び六員の塊状のシロキサン(Si-O-Si)の分解によって発生する。物質の表面での該シロキサンの構造は、補償されていない電位を有しており、このため、「歪みが与えられる」と考えることができる。それらは、周囲湿気と容易に反応し、表面ヒドロキシル基を形成する。酸化ケイ素含有物質が多孔質である場合、表面ヒドロキシル基と吸着された水分子は、該物質のバルクの中で増殖する傾向があり、誘電率の増加を起こし、膜の信頼性を低減する。
【0006】
ウェーハの表面に存在する、金属酸化物等の他の物質で、匹敵する効果が生じる。該物質の表面に位置する金属イオン−酸化物の結合は、補償されていない電位を有する。これは、同様に、表面ヒドロキシル基を形成するため、周囲湿気との迅速な反応に導く。更に、該物質が多孔質である場合、表面ヒドロキシル基と吸着された水分子は、該物質のバルクの中で増殖することになり、不要な誘電率の増加に導く。
【0007】
上記の通り、炭素含有酸化ケイ素は、多孔質誘電体としてしばしば使用される。その炭素リッチな表面は、比較的少数の歪みが与えられた酸化物結合を有する。従って、物質の表面における表面ヒドロキシル基の集団を低減する。
【0008】
しかしながら、乾式エッチング工程後の炭素含有多孔質誘電体において、水の吸収の傾向は依然としてかなり高いものである。プラズマ酸化は、物質表面の炭素含有量を低減し、その結果、表面ヒドロキシル基の集団を増加させる。従って、乾式エッチングの後に誘電率kが増大するため、膜のk値を「回復」しなければならない。このような誘電率の回復の例は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いる超臨界CO2処理の適用である。
【0009】
また、周囲空気中に存在する湿気に起因した問題に加えて、清浄水溶液を用い、半導体製造時のウェーハ表面を掃除することが通常である。
【0010】
例えば、半導体の集積回路を製造する場合、半導体基板上に形成される一以上の層においては、ビア及び他の溝のような構造をエッチングしなければならない。ビア又は溝のような構造をエッチングする際、プラズマ中の炭化水素エッチングガスと基板物質間の反応のため、ビア/溝中に重合体残留物が付着する場合がある。加えて、金属種(例えば、銅)が不用意に側壁にスパッタする場合がある。
【0011】
従って、製造過程における後の段階に進行する前に、ウェーハの表面を掃除し、重合体残留物(及び、ある場合には金属種)を除去することが望ましい。従来の清浄方法は、希釈フッ化水素酸(HF)又は有機酸/塩基溶液等の清浄水溶液を使用することができる。
【0012】
しかしながら、これらの種類の清浄水溶液は、掃除される表面が水を吸着する傾向にある場合、特に、多孔質誘電体層の表面等、該表面が多孔質である場合には適していない。ビアのエッチング後に清浄水溶液を用いて基板上に多孔質誘電体層を有するウェーハを掃除する場合、多孔質物質は、清浄用の液体から水を吸着する。この問題は、誘電体層がエッチング工程時のプラズマエッチングにより損傷を受ける場合にさらに問題となり得る。
【0013】
また、多孔質誘電体層の誘電率に悪影響を及ぼす他、吸着された水は、後の回路の製造段階時に問題、特にガス抜き及び信頼性の問題を起こす場合がある。
【0014】
上記した理由のため、多孔質誘電体を用いて相互接続を形成する場合には、水の吸着及び吸収を抑制することが重要である。その上、多孔質誘電体の吸湿は、タンタル系遮断層を腐食する可能性がある。
【0015】
半導体集積回路の製造及び使用時の多孔質誘電体による吸湿に有効であると知られるアプローチの一部には、上記したような「誘電体の回復」及び「孔の封止」が挙げられる。
【0016】
孔の封止は、例えば、多孔質物質の表面を修飾したり(例えば、オルガノシラン処理の使用)、又は多孔質誘電体層の表面上に誘電体薄膜を堆積させることで、多孔質物質中の孔への近接の防止に関与する。
【0017】
後者の誘電体薄膜を堆積する溶液は、該層のk値を増大させる不利がある。一部の場合には、ビアがエッチングされた後に多孔質誘電体層に塗布される。
【0018】
従って、多孔質誘電体を有するウェーハのビアエッチング後の掃除について知られる代替的アプローチは、上記したようにエッチングした表面に超臨界二酸化炭素(CO2)を適用することを含む。しかしながら、このアプローチは、不都合にも、半導体製造業界において通常使用される清浄装置と比較して実験的な開発段階にある新しい作業装置への投資が必要である。
【0019】
上記の多孔質誘電体に関する問題に加えて、その後の通常の金属化(即ち、種々の金属層構造の形成)は、相対的にゆるやかで手間がかかるため、比較的費用がかかる。この点において、原子層成長法、化学気相堆積法及び物理的気相成長法は、金属層を形成する典型的な方法である。かかる方法は、特に厳密な作業条件下で分離され比較的複雑な作業装置の動作を必要とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記したことに照らして、本発明は、半導体素子の不動態化した誘電体層に関するものであり、ここで、不動態化物質の組成物が、その後の該誘電体層上への金属層の堆積(特に液相中での堆積)を、該不動態化物質の不在下での金属堆積に比べて更に促進する。また、本発明は、かかる不動態化した誘電体層を含む半導体素子の製造方法に関するものである。
【0021】
不動態化物質は、金属層の下の誘電体層に関し、かかる金属層の形成を促進するために作用するので、両方の特性を反映するために、本願では「不動態化カップリング層」につてい言及する。
【0022】
本発明の本記載に使用される「不動態化カップリング物質」(及びそれに対応する「不動態化カップリング層」等の用語)は、以下に記載されるような化学組成を有する物質(又は場合によっては層)を指すことが意図されている。該不動態化カップリング物質が、半導体素子の誘電体層(多孔質又は非孔質)上に形成され(このようにして不動態化層として作用し)、ある例においては、以下に記載されるように誘電体層上への金属層の形成を促進する。後者の点において、該物質は、不動態化カップリング物質の不在の場合と比較して、カップリング剤又は後の物質層の形成を促進する物質として作用する。
【発明の効果】
【0023】
例えば、本発明の不動態化カップリング物質は、特に吸湿に対して(上記したように望ましく低減された誘電率を有する)多孔質誘電体層を封止するのに有効な場合があり、また、その後の製造工程時に液相中で誘電体層上への後の金属層の形成に貢献する。後者の観点に関し、不動態化カップリング物質は、誘電体層上に直接金属を堆積することに比べて、液相での金属堆積を促進する核生成部位を提供する。
【0024】
加えて、本発明の不動態化カップリング物質は、不動態化した誘電体層上への液相での金属層の形成の後で行われる相対的に高温な製造工程に関し、熱的に安定である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の好適な実施態様の一部について説明する。
【0026】
その説明が、全く一例として半導体基板上に形成される多孔質SiOC誘電体層を指すことについて注意する。しかしながら、本発明は、上記の説明に従い、例えば、制限されないが、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)及びFTEOS(フッ素をドープしたオルトケイ酸テトラエチル)の誘電体層を含めて、誘電体層上に表面ヒドロキシル基を有する傾向がある多孔質誘電体層に対し、十分に適用できる。
【0027】
その上、本発明はまた、少なくとも金属核生成を促進し、液相での金属層形成を支持するために依然として機能する範囲で、非孔質誘電体層に関し有用であることについても明確に注意する。
【0028】
従って、以下に示す本発明の説明は、不動態化カップリング物質を一方の機能に単独で用いることもできるが、孔を封止すること及び金属層の形成を促進することの双方についての不動態化カップリング物質の機能を明らかにするものである。
【0029】
概して、本発明によれば、上記した通り、多孔質誘電体層の表面に存在する表面ヒドロキシル基と反応させるため、多孔質誘電体層の表面に不動態化カップリング物質を適用する。
【0030】
この不動態化カップリング物質と表面ヒドロキシル基間の反応は、不動態化カップリング物質の分子内に存在する一つ以上の遮蔽基を多孔質誘電体の表面に結合させる。結合した遮蔽基間の隙間は、水分子を多孔質誘電体の表面に到達させるには小さすぎる。結合した遮蔽基は、立体的な遮蔽を提供し、湿気の通過を阻止するか、少なくとも遅らせる。
【0031】
状況次第で、特に非孔質層等、不動態化される層が湿気を吸着及び/又は吸収する傾向が低いか、更には傾向がない場合に、遮蔽基を任意であるとみなす場合があることを意図する。
【0032】
他方、不動態化カップリング物質の分子はまた、不動態化カップリング層の不在下での金属堆積と比べて、金属層の形成を容易にし且つ促進する金属核生成部位を定める。
【0033】
種々の物質を用い、本発明に係る多孔質誘電体を不動態化することができる。一般に、本発明に係る適切な不動態化カップリング物質は、
多孔質誘電体の表面に通常存在する表面ヒドロキシル基と反応することができる少なくとも一つの官能基を含み、
後の金属化のために不動態化した表面に反応部位(より具体的には、金属核生成部位)を提供する電子供与性を有する第二官能基(即ち、リガンド)を含み、
好ましくは、特にその後の相対的に高温での作業工程時に不動態化カップリング物質を熱的に安定化させるため、分子骨格中に少なくとも二つのケイ素原子を含み、そして
好ましくは、吸湿を阻止するため、多孔質誘電体層の表面上に少なくとも一つの遮蔽層、好ましくは少なくとも二つの遮蔽層を形成する複数の有機遮蔽基を含む。
【0034】
また、以下に説明するように、不動態化カップリング物質が可溶性であり、その一つ又は複数の官能基は表面ヒドロキシル基との反応速度が十分に速い場合に有利である。
【0035】
不動態化カップリング物質は、例えば、水中に有効に溶解する場合がある。しかしながら、アルコール(例えば、エタノール又はイソプロパノール等)又はトルエン等の有機溶媒に溶解する物質を有することも有用な場合がある。
【0036】
不動態化カップリング物質は、水中で加水分解できる少なくとも一つの官能基を含むことができる。
【0037】
適した不動態化カップリング物質は、例えば、下記に示す一般式:
【化1】

[式中、nは1以上の整数(即ち、1、2、3、4、5、6、7・・・)であり、各Siはケイ素原子であり、X1は多孔質誘電体の表面ヒドロキシル部位と反応することが可能な官能基であり、Y1は多孔質誘電体の表面ヒドロキシル部位と反応することが可能な更なる官能基X2、水素原子H又は有機非極性基若しくは枝分れR1であり、Y2は多孔質誘電体の表面ヒドロキシル部位と反応することが可能な更なる官能基X3、水素原子H又は有機非極性基若しくは枝分れR2であり、Bはその存在が任意である架橋基であり、Z1は有機非極性基若しくは枝分れR3、水素原子H又は電子供与性を有するリガンドであって金属核生成部位として作用することが可能なL1であり、Z2は有機非極性基若しくは枝分れR4、水素原子H又は電子供与性を有するリガンドであって金属核生成部位として作用することが可能なL2であり、Lは電子供与性を有するリガンドであって金属核生成部位として作用することが可能である]に従うオルガノシランである。
【0038】
不動態化カップリング物質と多孔質誘電体間の結合の強さ及びそれが表面ヒドロキシル基と反応する速度は、どの官能基が存在するかということと、不動態化カップリング物質中のケイ素基の数に依存すると考えられる。
【0039】
基本的には、オルガノシランは、ケイ素を含有していない炭化水素鎖と比べて表面に対し強い結合を形成し、その結果、多孔質誘電体層の表面に更に安定した保護を提供する。また、本願に記載されるような分子の主鎖(「骨格」)中において少なくとも一つのケイ素原子、好ましくは少なくとも二つのケイ素原子の存在は、特にその後の作業工程を行う際に直面する温度に照らして、該分子を更に安定させる。例えば、液相金属化の後、その後の誘電体層の堆積及び硬化は、例えば約350℃の温度を必要とする場合がある。相対的に、例えば、骨格内に炭素(例えば、脂肪族炭素又は芳香族炭素)を有する分子は、かかる温度で酸化する可能性がある。
【0040】
上記の分子においては、少なくとも一つの有機非極性基R1、R2、R3及びR4が存在し、それぞれのSi原子への結合によって少なくとも一つの立体遮蔽層、好ましくは少なくとも二つの立体遮蔽層の形態でヒドロキシル基及び水分子からの立体遮蔽を提供する。
【0041】
他の分野での研究によって、適切に選択された有機層が、前駆体(有機金属化合物等)から非孔質誘電体表面を立体的に遮蔽するのに有効となり得ることが提案されている。例えば、J.Farkas et al.,J.Electrochem.Soc.141,3547(1994)を参照。多孔質物質の場合、遮蔽基Rの大きさが孔の大きさに比例すべきことが要求される場合がある。
【0042】
オルガノシランによる立体遮蔽に関するRの効果は、高圧液体ガスクロマトグラフィーによるカラム処理の分野で研究されている。例えば、K.Szabo et al,Helv.Chimi.Acta.vol.67,p.2128,(1984)を参照。
【0043】
Farkas et al.の論文では、厚さが約25Å未満の有機層が、高温時でさえ透水から表面を立体的に遮蔽するのに有効な場合があることが示された。不動態化物質を用い多孔質誘電体の表面を遮蔽する場合、炭化水素鎖の長さを調整し、誘電体の孔の大きさに対する立体遮蔽の効率を容易に最適化することができる。
【0044】
本発明の実施態様によれば、一つ又は複数の有機非極性基R1、R2、R3及び/又はR4は、任意にハロゲン化された、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基又はC6〜C10アリール基若しくはC6〜C10アラルキル基とすることができ、ここで、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ペンタフルオロフェニル、1,1,2-トリメチルプロピル(テキシル)及びアリルから選択されることが好ましい。
【0045】
即ち、R1及び/又はR2が、Y1及び/又はY2として存在する場合には、第一立体遮蔽層を形成することになり、R3及び/又はR4が、Z1及び/又はZ2として存在する場合には、鎖中に存在する単量体のnの数によって第二、第三、第四、第五等の立体遮蔽層を形成する。
【0046】
官能基X1、X2及びX3は、それらが多孔質誘電体の表面ヒドロキシル部位と反応し、該多孔質誘電体の表面に不動態化カップリング物質の一つ以上の遮蔽層を付着することができるような構造を有するべきである。より詳しくは、官能基Xが表面ヒドロキシル基の脱離により反応する。
【0047】
この点において、適した官能基の一部の例としては、限定されないが、クロリド基、ブロミド基、ヨウ素基、アクリルオキシ基、アルコキシ基、アセトアミド基、アセチル基、アリル基、アミノ基、シアノ基、エポキシ基、イミダゾリル基、メルカプト基、メタンスルホナト基、スルホナト基、トリフルオロアセトアミド基、及び尿素含有基が挙げられる。
【0048】
リガンドLは、電子供与性を有するべきであり、分子が多孔質誘電体の表面に結合された時点で、その後の液相金属化過程時における金属核生成用の反応部位を形成する。
【0049】
本発明に適切なリガンドとしては、限定されないが、ビニル基、アリル基、2-ブチニル基、シアノ基、シクロオクタジエニル基、シクロペンタジエニル基、ホスフィニル基、アルキルホスフィニル基、スルホナト基及びアミン基が挙げられる。
【0050】
場合によっては、上記官能基及びリガンドは、同一の単官能アミン、二官能アミン及び三官能アミンの可能性がある(該アミンは、その下の多孔質誘電体及びその後にその上に形成される金属層の双方と強い相互作用を形成し得る)。
【0051】
上記分子の概念は、一例として一連の典型的な化合物を用い示されることになるが、限定されるものではない。以下に示す分子の例は、存在する単量体のnの数によって、長くしたり短くできることが理解されることになる。指数nは、ほとんど全般的に1以上の整数である。より好ましくは、nは1と30の間のすべてを含む整数である。最も好ましくは、nは、1と18の間のすべてを含む整数であり、即ち、1、2、3、4、5、6・・・17又は18である。
【0052】
架橋基Bは、存在する場合に、例えば、二価の架橋基(酸素又は硫黄等)、三価の架橋基(窒素又はリン等)又は四価の架橋基(炭素又はケイ素等)とすることができ、より詳細には、シリレンや、m-フェニレン、p-フェニレン及びp,p'-ジフェニルエーテル等の不飽和芳香族炭素含有基としてもよい。架橋基は、存在する場合に、不動態化カップリング物質分子の熱的安定性を更に改善することができる。
【実施例】
【0053】
実施例1
メトキシ-テトラメチル-ビニル-ジシラン:
【化2】

式中、官能基X1は、H3CO−(メトキシ)基であり、官能基Y1、Y2、Z1、Z2は、−CH3(メチル)有機遮蔽基であり、Bはなく、リガンドLは−CH=CH2ビニル基である。
【0054】
実施例2
トリメトキシ-ジメチル-ビニル-ジシラン
【化3】

式中、官能基X1、Y1及びY2はH3CO−(メトキシ基)であり、官能基Z1及びZ2はCH3メチル有機遮蔽基であり、Bはなく、リガンドLは−CH=CH2ビニル基である。
【0055】
実施例3
ビニルテトラメチルメトキシジシラン(架橋基Bが存在する)
【化4】

式中、官能基X1はH3CO−(メトキシ)基であり、官能基Y1、Y2、Z1、Z2は−CH3(メチル)有機遮蔽基であり、架橋基Bは酸素であり(ジシロキサン化合物を形成する)、リガンドLはC=CH2ビニル基である。
【0056】
架橋基B(この実施例においては酸素等)の付加は、カップリング層の熱的安定性に大きな影響を及ぼすことができる。シリレン基並びにm-フェニレン、p-フェニレン及びp,p'-ジフェニルエーテル等の不飽和炭素含有カルベン基は、本発明に従って使用し、更に不動態化カップリング物質分子の熱的安定性を改善することができる架橋基の追加の例である。
【0057】
実施例4
メトキシ-テトラメチル-ブチル-ジシラン(別のリガンド)
【化5】

式中、官能基X1はH3CO−(メトキシ)基であり、官能基Y1、Y2、Z1、Z2は−CH3(メチル)有機遮蔽基であり、架橋基Bはなく、リガンドLは−C≡CHアセチレニル基である。
【0058】
実施例5
メトキシ-ヘキサメチル-ビニル-トリシラン(別の分子長さ)
【化6】

式中、官能基X1はH3CO−(メトキシ)基であり、官能基Y1、Y2、Z1、Z2は−CH3(メチル)有機遮蔽基であり、架橋基Bはなく、リガンドLは−CH=CH2(ビニル)基である。
【0059】
本発明の不動態化カップリング物質は、一般的で限定されるものではなく、気相、液相又は噴霧室による適用を含む組成物を適用する既知の方法に従って、多孔質誘電体の表面に適用できる。
【0060】
しかしながら、液相による適用は、使用される場合に、不動態化カップリング物質が一般に水中で、場合によっては不動態化カップリング物質の溶解性を更に増大させるために添加される有機溶媒(例えば、アルコール等)と共に希釈されるので、上記した吸湿の問題に取り組まなければならない。また、本発明に適した官能基の上記例には、加水分解できるものもある。例えば、約25℃と80℃の間の温度で且つ約30秒から10分の間の処理時間で、液相での適用を行うことができる。
【0061】
不動態化カップリング物質の適切な濃度の範囲は、不動態化カップリング物質を含む液相組成物の全質量に対し、0.001〜10質量%の不動態化カップリング物質である。有利な範囲は、液相組成物の全質量に対し、0.01〜3質量%の不動態化カップリング物質である。
【0062】
不動態化カップリング物質の液相堆積の可能性に関し、本発明は、ほとんど全般的に、誘電体層上に不動態化カップリング層を堆積するため、不動態化カップリング物質を含む水溶液の使用を意図する。不動態化カップリング物質と多孔質誘電体層の表面に形成されるシラノール間の反応速度は、この反応が水性溶媒からかなりの湿気の吸収が起こる前に行われるよう十分に速いことが好ましい。
【0063】
言い換えれば、この反応は、誘電体層が溶媒から水を吸着し始める前に多孔質誘電体層を立体的に遮蔽するのに十分速いことが望ましい。
【0064】
不動態化カップリング物質の液体による適用の特定例においては、必ずしも唯一の理由ではないが、特に先行するエッチング工程時の炭化水素エッチングガスと基板物質間の化学反応のため、重合体残留物がウェーハ上に形成される傾向にあることが知られている。従って、上記した不動態化カップリング物質の適用は、かかる残留物で覆われた領域の存在により妨げられる場合がある。
【0065】
従って、不動態化カップリング物質は、重合体残留物を除去するのに適した水性清浄組成物と組み合わせることができる。上記の通り、該残留物を清浄組成物で除去したらすぐに不動態化カップリング物質が多孔質誘電体の表面のシラノールと効果的に反応するように、上記反応速度を十分に速くすべきである。その結果、水の吸着を阻止することができる。
【0066】
例えば、不動態化カップリング物質が水溶性のオルガノシランである場合、ウェーハへの不動態化カップリング物質の適用より先に、不動態化カップリング物質を一つ又は複数の清浄液体と混合することができる。しかしながら、不動態化カップリング物質が、従来から水と混合した際に水溶性でないと考えられているオルガノシランからなる場合には、特にその短い「ポット」ライフ(即ち、保存寿命)の理由があるが、それを依然として本発明の特定の実施態様に使用することができる。より詳細には、オルガノシランが水と混合した際に短いポットライフを有する場合、該オルガノシランと一つ又は複数の清浄液体とを清浄手段で又は清浄手段の近傍で(即ち、ウェーハへの適用直前に)混合することができる。
【0067】
従って、一の実施例によれば、本発明の不動態化カップリング物質を用いる不動態化処理は、下記に示すパラメータを含む。
適用した清浄混合物は、有機酸若しくは高度に希釈したHF水溶液又はそれらの塩で混合した、本願明細書に従う可溶性オルガノシランであって、任意にキレート化剤及び/又は界面活性剤を含むこと
処理温度=20〜80℃
処理時間=30秒〜10分
【0068】
重合体残留物及び/又は金属残留物を除去した後、多孔質誘電体を不動態化カップリング層で封止する。
【0069】
上記した通り、金属種を除去するため、必要に応じて追加の錯生成剤又はキレート化剤を用いてもよい。これらの試薬は、一連の通常の工程において処理されることが可能であるため、溶液中に添加されるべきである。通常の錯生成剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその誘導体並びに有機酸が挙げられる。
【0070】
同様に、多種多様の界面活性剤を溶液中に含有させることができる。例えば、界面活性剤として、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)のブロックで構成されるブロック共重合体を使用することが有利な場合がある。これら二つの群は、疎水性表面及び親水性表面の双方で効率よく吸収しており、ブロック共重合体に存在する各群の長さ及び比を用途に容易に合わせることができる。
【0071】
水溶液を用いる不動態化カップリング物質の液体堆積の代わりに、窒素又はアルゴン等のキャリヤーガスを用い不動態化カップリング物質と組み合わせる気相中で、不動態化カップリング物質を適用することができる。気相による適用は、約150℃と約300℃の間で行うことができる。
【0072】
水溶液による適用を使用することの困難を避けるための可能性がある他のアプローチは、所定の環境、特に不活性な環境において吹付けによる適用を使用することである。不活性な環境は、例えば約1%未満の湿度の、例えば、アルゴン、窒素又は二酸化炭素としてもよい。不活性な雰囲気は、周囲圧力としてもよい。
【0073】
一度、本発明の不動態化カップリング物質で多孔質誘電体を適切に不動態化すれば、その後に無電解析出から開始する金属化を液相中で行うことができる(例えば、Shacham−Diamand,Electroch.Acta,vol.44(1999),3639から知られる)。このような方法による遮断/シード層の堆積の後、半導体製造の分野において知られる通常の電着によって、その上に銅膜を堆積することができる。不動態化カップリング層上の金属層の液体による適用は、気相金属堆積装置に作業ラインを「切り替える」必要がなく、不動態化カップリング層上への金属堆積を可能にする。
【0074】
実施例6及び比較例1〜3
無電解金属析出に先立ち、異なる種類の誘電体表面の前処理を使用することの比較影響評価を行うため、比較試験を行った。
【0075】
表1に示す通り、各種の予備清浄溶液で誘電体基板を処理した。用いた試料は、銅導体及びSiO2誘電体から作製した金属相互接続を有するウェーハから切り取った、大きさ1cm2のものであった。いずれの場合においても、pHは2.8〜2.9の範囲であり、ビーカー中での過剰の予備清浄溶液による処理を22℃で2分間行った。予備清浄溶液による処理の後、それぞれの実験において窒素ガスを用いて該基板を乾燥した(因みに10%イソプロピルアルコール(IPA)水溶液を用いて乾燥を補助する代替システムが展開されていることが示される場合がある)。次に、米国特許第6,924,232号に記載されるように、三成分化学系を用いて無電解析出を行い、コバルトタングステンボロン(CoWB)合金を堆積させた。より具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)又は水酸化カリウムを用いpHを9と10の間に調整して、コバルト源(CoSO4・7H2O)、クエン酸ナトリウム(C65Na37・2H2O)、マレイン酸(C465)及び界面活性剤Zonyl(登録商標)FS−300、Zonyl(登録商標)FSJ及びTetronic(登録商標)304の混合物からなる第一溶液を調製する。次に、第一溶液をタングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)の第二溶液と混合し、その後、モルホリンボランの第三溶液と混合する。最終混合物は、1リットル当り27〜35グラムの硫酸コバルト七水和物に相当するコバルト濃度、1リットル当り27〜35グラムのクエン酸ナトリウム、1リットル当り27〜35グラムのマレイン酸、1リットル当り5〜15グラムのタングステン酸ナトリウム及び1リットル当り5〜15グラムのモルホリンボランを有するように選択される。界面活性剤の量は、15〜100ppmの間である。無電解CoWBめっきを50℃〜60℃の温度で行う。
【0076】
【表1】

【0077】
上記した骨格中における複数のSi原子の存在は、任意に架橋基Bの存在を加えて、不動態化カップリング物質の熱的安定性を増大させ、後の金属層の気相堆積等の高温での後の製造工程に関連した温度に耐えることができる。一方、遮蔽基がある場合には、該遮蔽基の熱分解は、その立体遮蔽機能がその時にもはや必要ではないため、受け入れることができる。
【0078】
加えて、リガンドLは、電子供与性を有し、その後に堆積した金属に核生成部位を提供する。更にZ1及び/又はZ2が対応するリガンドであるという事実は、追加の核生成部位を与えることで金属層の形成を更に促進する。
【0079】
本発明は、特定の好適な実施態様に関し説明してきたが、それは、本発明が好適な実施態様の特定の詳細を参照することにより限定されないことが理解されることになる。より具体的には、当業者は、特許請求の範囲に規定された発明の範囲から逸脱することなく、好適な実施態様において変更及び発展を行うことができることを容易に認識することになる。
【0080】
例えば、本発明に係る不動態化カップリング物質に与えられるリガンドLは、金属層の形成を促進し又は容易にするために、金属核生成部位を提供することが意図されている。しかしながら、リガンドLは、特定の状況において、エッチングされたビアに露出した銅金属等の半導体素子の他の金属構造又は半導体素子の金属遮断層(例えば、当技術分野において知られるコバルト合金系自己整合遮断層等)と反応性を示す傾向がある。
【0081】
上記した通り、不動態化カップリング物質は、その「末端」に一つ以上の官能基Xを有し、該官能基Xは誘電体上に存在する表面ヒドロキシル部位と反応することができる。その重合体の他の「末端」は、金属核生成部位を提供するための一つ又は複数のリガンドを有し、金属層の形成を促進する。しかしながら、例えば、リガンドLが、例えば露出したビアにおける銅金属構造と代わりに反応した場合に、問題が生じる可能性がある(官能基Xは、目的通りに表面ヒドロキシル基と反応するか、おそらく重合体がある意味においてその目的とした状態から逆になるように結合されないまま残存する)。結果として、不動態化カップリング物質は、核生成部位として有効なリガンド作用の低減の理由から、金属層の堆積を促進する能力の低減を示す場合がある。
【0082】
従って、不動態化カップリング物質を配合し、半導体素子の一部を形成する他の金属構造とのかかる相互作用を低減又は回避することが望ましい場合がある。
【0083】
代わりに、金属構造を不動態化カップリング物質に対して比較的感受性を低くさせるため、一部の追加の処理工程を実行することができる。例えば、銅金属構造の表面を化学的に適した有機アミンで処理(即ち、保護するように被覆)することができる。この銅金属表面の修飾は、不動態化カップリング物質と共に、その下にある不動態化カップリング物質と誘電体間のものより弱い化学結合を起こすことができる。従って、不動態化カップリング物質が要求通りに堆積された場合には、不動態化カップリング物質を銅金属領域から除去するために、後のガス抜き工程(例えば、熱処理を使用)を適用することができ、これは、銅金属表面の前処理により生じた上記の弱い結合によって容易になされる。
【0084】
従って、いずれの場合においても、上記記載に従って、金属堆積の分野でよく知られる方法で、液体金属前駆体又は液体金属塩を用い、本願に記載され請求される不動態化カップリング物質によって与えられる核形成部位を蒔くことで、液相金属堆積法を行うことができる。或いは、気相金属前駆体を用いることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体を不動態化し且つその不動態化した誘電体上への金属堆積を容易にするための不動態化カップリング物質であって、
前記不動態化カップリング物質が、一般式:
【化1】

[式中、nは1以上の整数であり、各Siはケイ素原子であり、X1は誘電体の表面ヒドロキシル部位と反応することが可能な官能基であり、Y1は誘電体の表面ヒドロキシル部位と反応することが可能な更なる官能基X2、水素原子H又は有機非極性基若しくは枝分れR1であり、Y2は誘電体の表面ヒドロキシル部位と反応することが可能な更なる官能基X3、水素原子H又は有機非極性基若しくは枝分れR2であり、Bはその存在が任意である架橋基であり、Z1は有機非極性基若しくは枝分れR3、水素原子H又は電子供与性を有するリガンドであって金属核生成部位として作用することが可能なL1であり、Z2は有機非極性基若しくは枝分れR4、水素原子H又は電子供与性を有するリガンドであって金属核生成部位として作用することが可能なL2であり、Lは金属核生成部位として作用することが可能なリガンドである]に従うオルガノシランであることを特徴とする不動態化カップリング物質。
【請求項2】
1及びZ2の少なくとも一つがそれぞれR3及びR4であることを特徴とする請求項1に記載の物質。
【請求項3】
nが1と30の間のすべてを含む整数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の物質。
【請求項4】
nが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18の整数であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の物質。
【請求項5】
1並びに存在する場合はX2及び/又はX3が、クロリド基、ブロミド基、ヨウ素基、アクリルオキシ基、アルコキシ基、アセトアミド基、アセチル基、アリル基、アミノ基、シアノ基、エポキシ基、イミダゾリル基、メルカプト基、メタンスルホナト基、スルホナト基、トリフルオロアセトアミド基、及び尿素含有基よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の物質。
【請求項6】
L並びに存在する場合はL1及び/又はL2が、ビニル基、アリル基、2-ブチニル基、シアノ基、シクロオクタジエニル基、シクロペンタジエニル基、ホスフィニル基、アルキルホスフィニル基、スルホナト基及びアミン基よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の物質。
【請求項7】
Bがシリレン基又はカルベン基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の物質。
【請求項8】
Bがm-フェニレン、p-フェニレン及びp,p'-ジフェニルエーテルよりなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の物質。
【請求項9】
1、R2、R3及びR4が、存在する場合は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ペンタフルオロフェニル、1,1,2-トリメチルプロピル(テキシル)及びアリルよりなる群から選択される請求項1〜8のいずれかに記載の物質。
【請求項10】
半導体基板及び該半導体基板上に形成される不動態化した誘電体層を具える半導体素子であって、
前記誘電体層が、請求項1〜9のいずれかに記載の不動態化カップリング物質を用いて不動態化されることを特徴とする半導体素子。
【請求項11】
前記誘電体層が多孔質であることを特徴とする請求項10に記載の半導体素子。
【請求項12】
多孔質誘電体層が、炭素含有二酸化ケイ素(SiOC)、オルトケイ酸テトラエチルガラス(TEOS)及びフッ素をドープしたオルトケイ酸テトラエチルガラス(FTEOS)のいずれかにより作製されることを特徴とする請求項11に記載の半導体素子。
【請求項13】
更に、前記不動態化した誘電体層上に形成される金属層を具えることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項14】
前記不動態化カップリング物質が、金属層の形成を支持する核生成部位を提供することを特徴とする請求項13に記載の半導体素子。
【請求項15】
半導体基板上に誘電体層を形成すること、及び該誘電体層を不動態化することを含む半導体素子の製造方法であって、
前記誘電体層を不動態化することが、誘電体層の表面に請求項1〜9のいずれかに記載の不動態化カップリング物質を適用することを含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項16】
前記誘電体層が多孔質物質から作製され、前記不動態化カップリング物質が、多孔質誘電体層中への湿気の吸収を遅延させるため、多孔質誘電体層の多孔を封止するように機能することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記誘電体層が、炭素含有二酸化ケイ素(SiOC)、オルトケイ酸テトラエチルガラス(TEOS)及びフッ素をドープしたオルトケイ酸テトラエチルガラス(FTEOS)のいずれかにより作製されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
更に、液相金属堆積法によって、不動態化した誘電体層上に金属層を形成させることを含むことを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
不動態化した誘電体層上に金属層を形成させることが、約80℃未満の温度での液相金属堆積法を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
誘電体層を不動態化することが、誘電体層の表面に前記不動態化カップリング物質を含む水溶液を適用することを含むことを特徴とする請求項15〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
誘電体層を不動態化することが、誘電体が水を吸着するより速く、前記水溶液中に含まれる不動態化カップリング物質を反応させることを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
更に、前記不動態化カップリング物質を適用する前に、重合体残留物及び金属残留物の一方又は双方を除去することを含むことを特徴とする請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記不動態化カップリング物質を含む水溶液が、更に、重合体残留物及び金属残留物の一方又は双方を除去するための清浄組成物を少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記不動態化カップリング物質を気相中で適用することを特徴とする請求項15〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記不動態化カップリング物質をキャリヤーガスと組み合わせる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記不動態化カップリング物質が、所定の雰囲気において吹付けとして適用されることを特徴とする請求項15〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記所定の雰囲気が不活性雰囲気である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項15〜27のいずれかに記載の方法によって製造される半導体素子。
【請求項29】
請求項1〜9のいずれかに記載のオルガノシランを含む水溶液。
【請求項30】
更に、有機酸、フッ化水素酸又はそれらの塩を含む請求項29に記載の水溶液。
【請求項31】
更に、錯生成剤又はキレート化剤を含む請求項29又は30に記載の水溶液。
【請求項32】
前記錯生成剤又はキレート化剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその誘導体並びに有機酸よりなる群から選択される請求項31に記載の水溶液。
【請求項33】
更に、界面活性剤を含む請求項29〜32のいずれかに記載の水溶液。
【請求項34】
前記界面活性剤が、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)のブロックから構成されるブロック共重合体の群から選択される請求項33に記載の水溶液。
【請求項35】
前記水溶液が、水に加えて有機溶媒を含む請求項29〜34のいずれかに記載の水溶液。
【請求項36】
前記有機溶媒がアルコールである請求項35に記載の水溶液。
【請求項37】
オルガノシラン不動態化カップリング物質の濃度が、水溶液の全質量に対し、オルガノシランの質量で0.001〜10%の範囲にある請求項29〜36のいずれかに記載の水溶液。
【請求項38】
オルガノシラン不動態化カップリング物質の濃度が、水溶液の全質量に対し、オルガノシランの質量で0.01〜3%の範囲にある請求項37に記載の水溶液。

【公表番号】特表2009−516640(P2009−516640A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528528(P2008−528528)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065903
【国際公開番号】WO2007/026010
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【Fターム(参考)】