説明

カラー画像形成装置、画像形成方法及びプログラム

【課題】像担持体を露光する走査線の傾き、湾曲等による色ずれを防ぐと共に、低コスト化を実現することを目的とする。
【解決手段】アドレス制御手段により生成されたデータに基づいて、データを格納するバッファ手段の制御、及び、露光ずれ量記憶手段に記憶された露光ずれ量情報に基づいて階調補正を行う階調補正手段の制御を行う階調補正制御手段と、階調補正手段により得られた画素データを、該当する画像形成部の露光部の露光制御信号として出力する出力手段と、を有し、階調補正手段によって出力された画像データに基づいて得られた光ビームを各画像ステーションの各露光手段が各感光体上にそれぞれ露光することによって前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像形成装置、画像形成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いたカラー画像形成装置として、1つの感光体に対し複数の現像器を用いて各々の色成分による現像を行うものが知られている。この装置は、「露光−現像−転写」の工程を色成分の数だけ繰り返し、その都度、1枚の転写紙上に色画像を重ね合わせて形成し、これを定着させることによりフルカラー画像を得ものである。
【0003】
この方式によれば、1枚のプリント画像を得るために、3回から4回(黒色を用いた場合)の画像形成工程を繰り返す必要があり、画像形成が完了するまでに時間がかかるという欠点があった。この欠点を補う方式として、複数の感光体を用い、各色ごとに得られた顕像を、転写紙の上に順次重ね合わせ、1回の通紙でフルカラープリントを得る技術が知られている。
【0004】
この方式によれば、スループットを大幅に短縮できる。しかし一方で、各感光体の位置制度や径のずれ、光学系の位置精度ずれなどに起因して、各色の転写紙上での位置ずれによる色ずれという問題が生じ、高品位なフルカラー画像を得ることが困難になるという問題がある。
【0005】
この色ずれを防止するための方法としては、例えば、転写紙や転写手段の一部をなす搬送ベルト上にテストトナー像を形成し、これを検知して、この結果をもとに各光学系の光路を補正したり、各色の画像書き出し位置を補正したりする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、各色ごとの画像データの出力座標位置を、レジストレーションずれを補正した出力座標位置に自動変換し、変換された各色の画像データに基づいて修正手段が変調された光ビーム位置を色信号の最小ドット単位よりも小さい量で修正する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開昭和64−40956号公報
【特許文献2】特開平8−85237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1には、次のような問題が残る。第1に、光学系の光路を補正するためには、光源やf−θレンズを含む補正光学系、光路内のミラー等を機械的に動作させ、テストトナー像の位置を合せ込む必要がある。つまり、高精度な可動部材が必要となり、高コスト化にならざるを得ない。更に、補正の完了までに時間がかかるため、頻繁に補正を行うことが不可能となる。また、光路長のずれは機械の昇温などにより時間とともに変化することがあり、このような場合には光学系の光路を補正することで色ずれを防止するのは困難である。第2に、画像の書き出し位置を補正することでは、左端および左上部の位置ずれ補正は可能であるが、光学系の傾き補正や、光路長のずれによる倍率ずれを補正することは出来ない。
【0009】
また、上記特許文献2は、光ビームの位置を色信号の最小ドット単位よりも小さい量で修正する際に、必ず1ライン分のラインバッファを必要としており、高コスト化の大きな要因となっている。
【0010】
本発明は前記の問題点に鑑みなされたもので、像担持体を露光する走査線の傾き、湾曲等による色ずれを防ぐと共に、低コスト化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、前記の問題を解決するため、本発明は、像担持体と、前記像担持体に走査露光する露光部と、露光によって生成された静電潜像を記録材で顕像化する現像部と、を有する画像形成部を、記録媒体の搬送方向に沿って並設された画像形成装置であって、各画像形成部で形成することになる画像データを記録する画像データ記憶手段と、前記画像形成部の前記像担持体上の露光走査方向に対するずれ量を示すずれ量情報を記憶する露光ずれ量記憶手段と、前記露光ずれ量記憶手段に記憶された露光ずれ量情報に基づいて各領域における露光ずれの傾き情報を算出する色ずれ量演算手段と、前記色ずれ量演算手段から得られる情報に基づいて、前記画像データ記録手段のアドレス座標を制御し、前記アドレス情報に従って画像データを読み出し、読み出された画素データに対して、前記露光ずれ量記憶手段に記憶された露光ずれ量情報に基づいて、階調補正制御用データを付加したデータを生成するアドレス制御手段と、前記アドレス制御手段により生成されたデータに基づいて、データを格納するバッファ手段の制御、及び、前記露光ずれ量記憶手段に記憶された露光ずれ量情報に基づいて階調補正を行う階調補正手段の制御を行う階調補正制御手段と、前記階調補正手段により得られた画素データを、該当する画像形成部の露光部の露光制御信号として出力する出力手段と、を有し、前記階調補正手段によって出力された画像データに基づいて得られた光ビームを各画像ステーションの各露光手段が各感光体上にそれぞれ露光することを特徴とする。
【0012】
係る構成とすることにより、像担持体を露光する走査線の傾き、湾曲等による色ずれを防ぐと共に、低コスト化を実現することができる。
【0013】
また、前記問題を解決するため、本発明は、画像形成方法及びプログラムとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、像担持体を露光する走査線の傾き、湾曲等による色ずれを防ぐと共に、低コスト化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本実施形態における画像形成装置の構造断面図である。この画像形成装置は、図示の右側面下部に転写材カセット53を装着している。転写材カセット53にセットされた記録媒体(記録紙、透過シート等)は、給紙ローラ54によって一枚ずつ取り出され、搬送ローラ対55−a、55−bによって画像形成部に給送される。画像形成部には、記録媒体を搬送する転写搬送ベルト10が複数の回転ローラによって記録媒体搬送方向に扁平に張設され、その最上流部においては、記録媒体が搬送ベルト10に静電吸着される。またこのベルト搬送面に対向して4個のドラム状の像担持体としての感光体ドラム14−C、Y、M、Kが直線状に配設されて画像形成部を構成している(ここで、Cはシアン、Yはイエロー、Mはマゼンタ、Kはブラックの各色成分を示している)。なお、各色成分毎の画像形成部は、搭載するトナーの色が異なるだけで、構造上の違いがないので、色成分Cについて説明する。
【0017】
C色用の画像形成部は、感光ドラム14−Cの表面を一様に帯電させる帯電器50−C、C色トナーを収納し、感光ドラム14−C上に生成された静電潜像を顕像(現像)する現像器52−C、並びに、露光部51−Cを有する。現像ユニット52−Cと帯電器50−Cとの間には、所定の間隙が設けられている。帯電器50−Cによってその表面が均一に帯電した感光ドラム14−C上に、上記の間隙を介してレーザスキャナからなる露光部51−Cからのレーザ光を図面に垂直な方向に走査露光する。このことで、走査露光した部分を非露光部分と異なる帯電状態、すなわち、静電潜像を生成する。現像器52−Cは上記の静電潜像にトナーを転移させて顕像化(トナー像化;現像)する。
【0018】
転写搬送ベルト10の搬送面を挟んで転写部57−Cが配置されている。感光体ドラム14−Cの周面上に形成(現像)されたトナー象は、それらに対応する転写部57で形成される転写電界によって、搬送されてきた記録媒体上に電荷吸着されて、記録媒体面上に転写される。
【0019】
上記処理を、他の色成分Y、M、Kについても同様に行うことで、C,M,Y,Kの各色トナーが記録媒体に次々と転写されることになる。この後、定着器58により、記録媒体上の各色トナーを熱溶融して定着させ排紙ローラ対59−a、59−bによって機外に排出される。
【0020】
なお、上記は記録媒体上に各色成分のトナー像を転写する例であった。しかし、転写搬送ベルト上に各色成分のトナー像を転写したと、その転写搬送ベルトに生成されたトナー像を記録媒体に再度転写する(二次転写)する構成でも構わない。この場合の転写ベルトを中間転写ベルトという。
【0021】
図2は、像担持体である感光ドラム14−C(M,Y,Kでも良い)に走査される主走査線のずれを説明するイメージ図である。図示の水平方向が、レーザ光の走査方向を示し、垂直方向が感光ドラムの回転方向(記録媒体の搬送方向でもある)を示している。図中の201が理想的な主走査線を示している。202は感光体ドラム14の位置精度や径のずれ、および各色の露光部51−Cにおける光学系の位置精度ずれに起因した右上がりの傾き、および湾曲が発生している実際の主走査線の例を示している。このような主走査線の傾き、湾曲が、何れかの色の画像形成部において存在する場合、転写媒体に複数色のトナー像を一括転写した際に、色ずれが発生することになる。
【0022】
本実施形態では、主走査方向(X方向)において、印字領域の走査開始位置となるポイントAを基準点として、複数のポイント(ポイントB、ポイントC、ポイントD)で、理想的な主走査線201と、実際の主走査線202と、の副走査方向のずれ量を測定する。そして、そのずれ量を測定したポイントごとに複数の領域(Pa−Pb間を領域1、Pb−Pc間を領域2、Pc−Pd間を領域3とする)に分割して考え、各ポイント間を結ぶ直線(Lab、Lbc、Lcd)により、各領域の主走査線の傾きを近似するものとする。
【0023】
従って、ポイント間のずれ量の差(領域1はm1、領域2はm2−m1、領域3はm3−m2)が正の値である場合、該当領域の主走査線は右上がりの傾きを有することを示しており、負の値である場合、右下がりの傾きを有することを示す。なお、本実施形態では、領域の数を3つとしているが、これは便宜的なものであり、この数に限定されるものではない。
【0024】
図3は、本実施形態において行われる上記走査線の傾き、湾曲により発生する色ずれを補正する色ずれ補正処理の動作を説明するためのブロック図である。図中、301はプリンタエンジンで、コントローラ302で生成された画像ビットマップ情報をもとに実際に印字処理を行う。コントローラ302は基板に収容され、装置に収容した際に、プリンタエンジン301との電気的接続が行われる。
【0025】
303C、M、Y、Kは色毎の露光ユニットプロファイルであり、装置製造段階で各色毎の画像形成部毎の上記ずれ量情報を書き込み、保持するものである。一例としては、EEPROM等の書き込み可能で不揮発性メモリで実現できる。なお、図示では各色成分毎に露光ユニットプロファイルを設けるように示しているが、記憶する情報量は十分に少ないので1つのメモリ素子で全色成分の露光ユニットプロファイルを記憶しても構わない。本実施形態における露光ユニットプロファイル303C、M、Y、Kは、図2で説明した、複数のポイントで測定した実際の主走査線201と、理想的な主走査線と、の副走査方向のずれ量を主走査線の傾き、および湾曲を示す情報として色ずれ量情報を記憶する。
【0026】
図4は、露光ユニットプロファイル303C(M、Y、Kも同様であるが、格納される情報は個体差によって異なる)に記憶される情報の例を示しており、L1乃至L3、及び、m1乃至m3は図2の同符号と同じ意味である。なお本実施形態では、露光ユニットプロファイルに、理想的な主走査線と、実際の主走査線と、のずれ量を記憶するようにしているが、実際の主走査線の傾き、および湾曲の特性が識別可能な情報であれば、これに限ったものではない。
【0027】
また、露光ユニットプロファイル303C,M,Y,Kに記憶される情報は、先に説明したように、製造工程において、上記ずれ量を測定し、装置固有の情報として予め記憶するものである。但し、本装置自体に、上記ずれ量を検出する検出機構を準備して、各色の像担持体ごとにずれを測定するための所定のパターンを形成し、上記検出機構により検出したずれ量を記憶するような構成でも構わない。コントローラ302は、露光ユニットプロファイル303C,M,Y,Kに記憶された主走査線のずれ量を相殺するように、各色成分毎の画像データを補正して印刷処理を行う。以下は実施形態におけるコントローラ302の説明である。
【0028】
再び図3の説明に戻り、画像生成部304は、不図示の外部装置(例えばコンピュータ装置)等から受信する印刷データ(PDLデータ、イメージデータ等)より、印刷処理が可能なラスターイメージデータを生成し、RGBデータ(各8ビットの256階調)としてドット毎に出力する。この処理は、公知のものであるので詳述は省略する。色変換部305は、このRGBデータを、プリンタエンジン302で処理可能なCMYK空間のデータ(各8ビット)に変換(LOG変換、UCR処理で実現する)し、後段のビットマップメモリ306C,M,Y,Kに蓄積する。ビットマップメモリ306C(M、Y、Kも同様)は、印刷処理を行うラスターイメージデータを一旦蓄積するものであり、1ページ分のイメージデータを蓄積するページメモリを有する。但し、複数ライン分のデータを記憶するバンドメモリのいずれでも構わない。説明を単純なものとするため、ここでは1ページ分のC,M,Y,Kのビットマップデータを記憶する容量を有するものとして説明する。
【0029】
色ずれ補正量演算部307C、M、Y、Kは、露光ユニットプロファイル303C,M,Y,Kに蓄積された主走査線のずれ量の情報に基づき、主走査方向の座標情報に応じた副走査方向の色ずれ補正量を算出する。そして、その結果を色ずれ補正部308C、M、Y、Kにそれぞれ出力し、設定させる。主走査方向の座標データをx(ドット)、副走査方向色ずれ量をy(ドット)とした場合、図2を基にした各領域の演算式を以下に示すようなものとなる。なお、実施形態における記録解像度は600dpiとする。
領域1:y = x * (m1 / L1)
領域2:y = m1 * 23.622 + (x − L1 * 23.622) * ((m2 − m1)/(L2 − L1))
領域3:y = m2 * 23.622 + (x − L2 * 23.622) * ((m3 − m2)/(L3 − L2)) … (1)
【0030】
ここで、L1、L2、L3は、印刷開始位置から、領域1、領域2、領域3の右端までの主走査方向の距離(単位mm)である。m1、m2、m3は領域1、領域2、領域3の左端における理想的な主走査線201と、実際の主走査線202のずれ量である。色ずれ補正部308C、M、Y、Kは、上記式(1)の主走査線の傾き、歪みによる色ずれを補正するために、それぞれ色ずれ量演算部307C、M、Y、Kによってドット毎に算出される色ずれ補正量に基づいて、ビットマップメモリ306に蓄積されたビットマップデータの出力アドレス制御及びタイミングの調整、および画素毎の露光量の調整を行い、各色のトナー像を、転写媒体に転写したときの色ずれ(レジストレーションずれ)を防ぐものである。そして、色ずれ補正部308C、M、Y、Kで補正された画素データは、PWM処理部309C、M、Y、Kに出力され、ここで公知のパルス幅変調信号を生成し、各露光ユニット51−C、M、Y、Kにて走査露光が行われる。色ずれ補正部308C、M、Y、Kは、夫々の補正量が異なるものの、構成そのものは同じであるので、ここでもC成分の色ずれ補正部308Cについて説明することとする。
【0031】
図5は、実施形態における色ずれ補正部308Cのブロック構成図である。図示するように、実施形態における色ずれ補正部308Cは、座標カウンタ502、アドレス生成部503、データ生成部504で構成されるアドレス制御部501、階調補正制御部505、バッファメモリ506、階調補正部507から構成されている。色ずれ補正部308Cは、色ずれ量演算部307Cより得られる補正量Δyの整数部分の補正処理と、Δyの小数点以下の補正処理、つまり画素単位未満で副走査方向の前後のドットをON/OFFの比率を調整することで階調の補正を行う。
【0032】
座標カウンタ502は、先に示した式(1)に基づき、色ずれ補正処理を行う主走査方向、および副走査方向の座標を生成する。
【0033】
アドレス生成部503は、座標カウンタ502からの主走査方向の座標位置データ、および副走査方向の座標位置データ、色ずれ量演算部307Cからの補正位置、補正範囲、補正量情報を用いてビットマップメモリ406に対して読み出しアクセスを行う。アクセスを行うアドレスに関しては、色ずれ量演算部307Cより得られる補正量Δyの整数部
分の補正処理機能を有している。読み出す画素座標を変化させることにより、色ずれ量演算部307Cより得られる補正量Δyの整数部分の補正処理を行う。また、色ずれ量演算
部307Cより得られる補正量Δy、補正位置より、補正範囲を判断し、それにより読み
出す画素座標を変化させる。この結果、読み出されたデータ(ここではC成分データ)は、データ生成部504へ入力される。アドレス生成部503がビットマップメモリ406から読み出す画素座標のイメージ図を図6に示す。
【0034】
図6(a)は、ビットマップメモリ306上に展開される画像のイメージ図である。601は主走査線の傾き例を示しており、色ずれ量演算部307Cより得られる情報のイメージ図である。また、領域2、領域4、領域6の網掛け部は、補正量Δyの小数点以下の
補正処理を行う必要がある領域を示す。図6(a)に示す状況においては、図6(b)に示す画像をプリンタエンジン(図3の301)へ出力することにより、601に示すような傾きが相殺され、水平な画像が形成されることとなる。図6(b)に示すような画像をプリンタエンジン(図3の301)へ出力するために、本実施形態において、アドレス生成部503が読み出すデータ領域の順番を図6(c)に示す。図6(b)の1ライン目のデータを形成するためには、図6(c)のA1からA10までの領域の画素データを順番に読み出し、図6(b)の2ライン目のデータを形成するためには、図6(c)のB1からB10までの領域の画素データを順番に読出す必要がある。
【0035】
このようにしてアドレス生成部503によりビットマップメモリ306から読み出されたデータに対して、データ生成部504は、色ずれ量演算部307Cからの補正位置及び補正範囲情報を基に、付加データを埋め込み、階調補正制御部505に出力する。
【0036】
階調補正制御部505は、入力されたデータストリーム中の付加データも基に、バッファメモリ506の制御及び、階調補正部507の制御を行う。処理の一例を、図7に示す、階調補正制御部505へ入力されるデータストリームの例を用いて説明することとする。
【0037】
階調補正制御部505は、入力されたデータストリームに埋め込まれた、階調補正ON/OFF情報701A、701B及び範囲情報702A、702Bから、現時点で注目している主走査方向の座標位置から、一定範囲内の画素データに対する階調補正処理のON/OFFを判断する。
【0038】
階調補正ON/OFF情報がON(701A)の場合は、範囲情報702A以後に範囲情報702A分だけバッファメモリ格納データが続くものと判断し、バッファメモリ506にデータを格納する。範囲情報702A分のデータを格納後は、範囲情報702A分だけ非バッファメモリ格納データが続くため、非バッフメモリデータを階調補正部507へ入力すると同時に、バッファメモリからバッファメモリ格納データを読出す。
【0039】
読み出されたバファメモリ格納データは、階調補正部507へ出力される。階調補正ON/OFF情報がOFF(701B)の場合は、範囲情報702B以後に範囲情報702B分だけ非バッファメモリ格納データ704Bが続くものと判断する。そして、非バッファメモリ格納データ704Bを階調補正部507へ入力するのと同時に、階調補正部507に対して、階調補正未処理データ出力することを示す制御信号を出力する。
【0040】
階調補正部507は、階調補正制御部505から出力される画素値と、バッファメモリ506から出力される画素値と、を用いて、画素単位未満の色ずれ補正を行った画素データと、色ずれ補正を行っていない画素データとを、階調補正制御部505から出力された制御用信号によりセレクトする。ここで、階調補正処理の動作内容を説明するためのイメージ図を図8に示す。
【0041】
図8は、実施形態における階調補正部507がおこなう画素単位未満の色ずれ補正、つまり色ずれの補正傾きΔyの小数点以下のずれ量を補正する動作内容を説明するためのイ
メージ図である。
【0042】
小数点以下のずれ量の補正は、副走査方向の前後のドットの露光比率を調整することによりおこなわれる。図8(a)は、右上がりの傾きを有する主走査線のイメージである。図8(b)は、階調補正前の水平な直線のビットマップイメージであり、図8(c)は、同図(a)の主走査線の傾きによる色ずれを相殺するための補正イメージである。図8(c)の補正イメージの生成を実現するために、副走査方向の前後のドットの露光量調整をおこなう。図8(d)は、色ずれの補正傾きΔyと階調補正をおこなうための補正係数の
関係を表した表である。kは色ずれ補正量Δyの整数部分(小数点以下を切り捨て)であ
り、画素単位での副走査方向の補正量を表す。βとαは、画素単位未満の副走査方向の補正をおこなうための補正係数である。αは先行するドット(図5のバッファメモリ506から出力されるデータに対する分配率、βは階調補正制御部505から出力される注目画素の分配率を表す。
【0043】
図8(d)は、同図(c)の補正係数に従って、副走査方向の前後のドットの露光比率を調整するための階調補正をおこなったビットマップイメージである。図8(e)は、階調補正されたビットマップイメージの像担持体での露光イメージであり、主走査ラインの傾きが相殺され、水平な直線が形成されることになる。
【0044】
以上実施形態における色ずれ補正部308Cについて説明したが、他の色成分M、Y、Kの色ずれ補正部308M、Y、Kについても同様に行うことで、記録色間の色ずれが最大でも1画素分未満に設定することができることになる。
【0045】
上述したように、本実施形態によれば、複数の画像形成部を有するタンデム型のカラー画像形成装置において、メモリ等に保持された、像担自体を走査する走査線の傾き、湾曲等の歪みによる色ずれ量から、色ずれ補正量演算部が色ずれ補正量を算出する。そして、色ずれ補正量に基づいて、色ずれ補正部が画素単位の色ずれ補正と、複数画素による階調表現で画素単位未満の色ずれ補正と、を行い、画像ビットマップを再構成する。このことで、像担持体を露光する走査線の傾き、湾曲等による色ずれを防ぐことができる。その際、色ずれ補正部において、ビットマップメモリのアクセス座標制御及びデータ制御を行うことにより低コスト化を実現することができる。
【0046】
つまり、像担持体を露光する走査線の傾き、湾曲等による色ずれを防ぐと共に、低コスト化を実現することができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】画像形成装置の断面構造図である。
【図2】感光ドラムに走査される主走査線のずれを説明する図である。
【図3】コントローラと、エンジンとのブロック構成図である。
【図4】露光ユニットプロファイルに記憶されている情報の例を示す図である。
【図5】色ずれ補正部のブロック構成図である。
【図6】色ずれ補正部内のアドレス生成部で行う動作を示す図である。
【図7】色ずれ補正部内の階調補正制御部へ入力されるデータストリーム例を示す図である。
【図8】階調補正部が画素単位未満の色ずれ補正する動作を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
301 プリンタエンジン
302 コントローラ
303 露光ユニットプロファイル
304 画像生成部
305 色変換手部
306 ビットマップメモリ
307 色ずれ量演算部
308 色ずれ補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に走査露光する露光部と、露光によって生成された静電潜像を記録材で顕像化する現像部と、を有する画像形成部を、記録媒体の搬送方向に沿って並設された画像形成装置であって、
各画像形成部で形成することになる画像データを記録する画像データ記憶手段と、
前記画像形成部の前記像担持体上の露光走査方向に対するずれ量を示すずれ量情報を記憶する露光ずれ量記憶手段と、
前記露光ずれ量記憶手段に記憶された露光ずれ量情報に基づいて各領域における露光ずれの傾き情報を算出する色ずれ量演算手段と、
前記色ずれ量演算手段から得られる情報に基づいて、前記画像データ記録手段のアドレス座標を制御し、前記アドレス情報に従って画像データを読み出し、読み出された画素データに対して、前記露光ずれ量記憶手段に記憶された露光ずれ量情報に基づいて、階調補正制御用データを付加したデータを生成するアドレス制御手段と、
前記アドレス制御手段により生成されたデータに基づいて、データを格納するバッファ手段の制御、及び、前記露光ずれ量記憶手段に記憶された露光ずれ量情報に基づいて階調補正を行う階調補正手段の制御を行う階調補正制御手段と、
前記階調補正手段により得られた画素データを、該当する画像形成部の露光部の露光制御信号として出力する出力手段と、
を有し、
前記階調補正手段によって出力された画像データに基づいて得られた光ビームを各画像ステーションの各露光手段が各感光体上にそれぞれ露光することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記露光ずれ量記憶手段は、像担持体の理想とする走査露光方向である主走査方向の複数の位置に関する位置情報と、各位置における理想とする走査露光と実際の露光との距離に関する距離情報とを記憶することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記色ずれ量演算手段は、前記露光ずれ量記憶手段に記憶された位置情報と、距離情報とに基づき、各位置情報で示される各領域における露光ずれの傾き情報を算出することを特徴とする請求項2に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記アドレス制御手段は、前記色ずれ量演算手段により得られる各位置情報で示される各領域における露光ずれの傾き情報に基づいて、画像データを前記画像データ記憶手段より読み出し、読み出した画素データに対して前記階調補正手段を制御するための制御データを付加することを特徴とする請求項3に記載のカラー画像形成装置。
【請求項5】
前記階調補正制御手段は、前記アドレス制御手段により得られるデータに基づいて、前記バッファ手段への書き込み及び読み出しの制御と、前記階調補正手段の制御と、を行うことを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項6】
前記階調補正手段は、前記バッファ手段から読み出されるデータと、前記階調補正制御手段により入力される画素データと、を用いて階調補正し、階調補正された画素データと、階調補正されない画素データと、をセレクトし、該当する画像形成部の露光制御信号として出力することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のカラー画像形成装置。
【請求項7】
像担持体と、前記像担持体に走査露光する露光部と、露光によって生成された静電潜像を記録材で顕像化する現像部と、を有する画像形成部を、記録媒体の搬送方向に沿って並設された画像形成装置における画像形成方法であって、
各画像形成部で形成することになる画像データを画像データ記憶手段に記録する画像データ記憶工程と、
前記画像形成部の前記像担持体上の露光走査方向に対するずれ量を示すずれ量情報を露光ずれ量記憶手段に記憶する露光ずれ量記憶工程と、
前記露光ずれ量記憶手段に記憶された露光ずれ量情報に基づいて各領域における露光ずれの傾き情報を算出する色ずれ量演算工程と、
前記色ずれ量演算工程から得られる情報に基づいて、前記画像データ記録手段のアドレス座標を制御し、前記アドレス情報に従って画像データを読み出し、読み出された画素データに対して、前記露光ずれ量記憶手段に記憶された露光ずれ量情報に基づいて、階調補正制御用データを付加したデータを生成するアドレス制御工程と、
前記アドレス制御工程により生成されたデータに基づいて、データを格納するバッファ手段の制御、及び、前記露光ずれ量記憶手段に記憶された露光ずれ量情報に基づいて階調補正を行う階調補正手段の制御を行う階調補正制御工程と、
前記階調補正手段により得られた画素データを、該当する画像形成部の露光部の露光制御信号として出力する出力工程と、
を有し、
前記階調補正手段によって出力された画像データに基づいて得られた光ビームを各画像ステーションの各露光手段が各感光体上にそれぞれ露光することを特徴とするカラー画像形成方法。
【請求項8】
請求項7に記載のカラー画像形成方法を画像形成装置のコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−316121(P2007−316121A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142572(P2006−142572)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】