説明

カルビノール官能基シリコーン樹脂もしくは無水物官能基シリコーン樹脂を含有している成型可能な組成物

熱硬化可能な組成物が、グリシジルエーテルエポキシド樹脂、カルビノール官能基シリコーン樹脂、無水物官能基シリコーン樹脂、もしくはこれらの混合物、そして任意に、熱触媒を含有する。有機ポリオール、有機無水物、および充填剤も、任意成分であり、本組成物において包含されてもよい。該グリシジルエーテルエポキシド樹脂は、丈夫さおよび接着性を、本組成物に加える一方、該カルビノール官能基シリコーン樹脂および該無水物官能基シリコーン樹脂は、耐水性、天候順応性、熱安定性、および柔軟性を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、2004年10月25日に出願された米国特許出願第60/621,780号に対する優先権を請求する。
【0002】
本発明は、熱硬化可能な組成物に関し、グリシジルエーテルエポキシド樹脂もしくはこの水素化された形、カルビノール官能基シリコーン樹脂、無水物官能基シリコーン樹脂、またはこれらの混合物、そして任意に、熱触媒を含有している。これら組成物は、一体システムとして調製され得、そのゲル化点近くで固体の形であり、これら全成分が存在すれば、一旦熱がかけられると、充分硬化した組成物を形成する。熱がかけられると、本組成物は幾らかの流動性を呈し、次いで硬化する。このように、本組成物は、ペレットもしくは転写フィルムのような種々の形で、成型操作もしくは薄膜接着剤への適用における使用の簡潔さのために、供給され得る。
【背景技術】
【0003】
カルビノール官能基シリコーン樹脂と組み合わされているエポキシシリコーンが、当業界において知られている。例えば、米国特許第5,814,679号明細書(1998年9月29日)が、エポキシ官能化シリコーンと、カルビノール官能基を含有している長鎖非樹脂シリコーンとを含有している光硬化可能な組成物のブレンドを開示する。第’679号特許は、該長鎖非樹脂カルビノール含有シリコーンが、該エポキシ官能化シリコーンと、共重合もしくは共硬化し、これにより、プレミアムのついた光硬化可能な解離シリコーン組成物製剤を可能にすることを指し示す。
【0004】
ある幾つかのタイプのシリコーン樹脂が、エポキシ樹脂と組み合わされて、当業界において知られている。例えば、米国特許第5,135,993号明細書(1992年8月4日)が、(A)硬化可能なエポキシ樹脂と、(B)(i)PhSiO3/2、(ii)RSiO、ならびに(iii)(a)HNRSiO3/2、(b)RivHNRiiSiO3/2、(c)(RivHNRii3−y(RSiO1/2、および(d)(HNRii3−x(RSiO1/2のようなアミノ官能基シロキシ単位のような単位を含有しているアミノ官能基シリコーン樹脂とのブレンドを記載する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
対照的に、本発明は、成型可能な組成物に関し、グリシジルエーテルエポキシド樹脂もしくはこの水素化された形、カルビノール官能基シリコーン樹脂、無水物官能基シリコーン樹脂、またはこれらの混合物、そして任意に、熱触媒を含んでいる。好ましくは、カルビノール基および無水物基の、エポキシド基に対する比は、0.5〜1.2である。
【0006】
更に、本発明は、成型可能な組成物に関し:
(a)硅素原子のない100重量部のグリシジルエーテルエポキシド樹脂
(b)単位:
(RSiO1/2
(RSiO2/2
(RSiO3/2
(SiO4/2
を含有している50〜300重量部のカルビノール官能基シリコーン樹脂
を含有している。
【0007】
これらの式中、RおよびRが各々独立に、水素原子、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、アリール基のない少なくとも3炭素原子を持っているカルビノール基、もしくは、少なくとも6炭素原子を持っているアリール含有カルビノール基である。Rが、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、もしくは、アリール基であり、aが、0.5以下の値を持ち、bが、0.3以下の値を持ち、cが、0.3〜0.8の値を持ち、dが、0.5未満の値を持ち、a+b+c+dの値=1。
【0008】
平均して、カルビノール官能基シリコーン樹脂1分子につき、少なくとも1つのカルビノール基がある。好ましくは、該カルビノール官能基シリコーン樹脂成分(b)中のR+R+R基が、高くて充分な含量のフェニルを含有し、成分(b)の成分(a)との適切な相容性を与える。好ましくは、10重量%より多いR+R+R基がフェニル基であり、より好ましくは、25重量%より多い。熱硬化可能な組成物は、該グリシジルエーテルエポキシド樹脂および該カルビノール官能基シリコーン樹脂を含有しており、(c)0〜10重量部、好ましくは0.010〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の熱触媒、および、(d)0〜200重量部、好ましくは0.1〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部の有機ポリオールも含有してよい。
【0009】
本発明は、コーティング組成物にも関し:
(a)硅素原子のない100重量部のグリシジルエーテルエポキシド樹脂;ならびに
(b)単位式:
(i)(RSiO1/2
(ii)(RSiO2/2
(iii)(RSiO3/2および
(iv)(SiO4/2
を含有している50〜300重量部の無水物官能基シリコーン樹脂
を含有している。
【0010】
式(i)〜(iv)中、R、R、およびRが各々独立に、無水物基、水素原子、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、アラルキル基、もしくはアルカリール基を表し得る。eの値は、0.1〜0.6である。fの値は、0〜0.3である。gの値は、0.3〜0.8である。hの値は、0〜0.3である。好ましくは、eが、0.2〜0.4であり、fが、0〜0.2であり、gが、0.5〜0.8であり、hが、0である。e、f、g、およびhの和が、1である。平均樹脂分子組成は、2より多い無水物基を含有する。熱硬化可能な組成物は、該グリシジルエーテルエポキシド樹脂および該無水物官能基シリコーン樹脂を含有しており、(c)0〜10重量部、好ましくは0.010〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の熱触媒、および、(d)0〜200重量部、好ましくは0.1〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部の有機無水物も含有してよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
グリシジルエーテルエポキシド樹脂
成分(a)、本明細書において使用されるグリシジルエーテルエポキシド樹脂は、樹脂であり、硅素原子を含まない。このような樹脂は、既知の組成物であり、例えば、米国特許第4,977,199号明細書において(1990年12月11日)、示されている。第’199号特許の9および10欄において、数多くの樹脂として適切な組成物が詳細に、記載されている。第’199号特許が、本明細書において、援用される。米国特許第6,579,914号明細書(2003年6月17日)4および5欄ならびに米国特許第6,646,102号明細書(2003年11月11日)24〜27欄が両方とも、本明細書における使用に適している数多くの更なる樹脂組成物を記載する。第’914号および第’102号特許も、本明細書において、援用される。
【0012】
一般的に、これらの樹脂は、これらは、ビスフェノールAをエピクロロヒドリンと反応させていくことに由来しているビスフェノールAのジグリシジルエーテル;ビスフェノールAをn−ブチルアルコールのようなアルコールおよびエピクロロヒドリンと反応させていくことに由来しているビスフェノールAのグリシジルエーテル;アリールグリシジルエーテルエポキシド樹脂;2核アリールグリシジルエーテルエポキシド樹脂;多核アリールグリシジルエーテルエポキシド樹脂;クレゾール−ノボラックグリシジルエーテルエポキシド樹脂;ならびに、フェノール−ノボラックグリシジルエーテルエポキシド樹脂およびこれらアリール含有エポキシドの水素化された形を含む。
【0013】
使用され得る適切なグリシジルエーテルエポキシド樹脂のある幾つかの代表例は、2−メチルフェノールグリシジルエーテル;4−メチルフェノールグリシジルエーテル;4−メトキシフェノールグリシジルエーテル;2,6−ジメチルフェノールグリシジルエーテル;2,6−ジイソプロピルフェノールグリシジルエーテル;2,6−ジブロモフェノールグリシジルエーテル;1,2−、1,3−、および1,4−ジヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル;1,4−、1,5−、および2,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル;4,4’−(3,3’,5,5’−テトラメチル)ビスフェノールAジグリシジルエーテル;4,4’−(3,3’,5,5’−テトラメチル−2,2’,6,6’−テトラブロモ)ビスフェノールAジグリシジルエーテル;4,4’−(3,3’,5,5’−テトラメチル)ビスフェノールFジグリシジルエーテル;4,4’−(3,3’,5,5’−テトラメチル)ビスフェノールジグリシジルエーテル;4,4’−ビスフェノールジグリシジルエーテル;4,4’−(3,3’,5,5’−テトラメチル−2,2’,6,6’−テトラブロモ)ビスフェノールジグリシジルエーテル;4,4’−ビスフェノールFジグリシジルエーテル;4,4’−ビスフェノールスルホンジグリシジルエーテル;4,4’−(3,3’,5,5’−テトラブロモ)ビスフェノールAジグリシジルエーテル;4,4’−ビスフェノールAジグリシジルエーテル;4,4’−ビスフェノールKジグリシジルエーテル;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フッ素ジグリシジルエーテル;1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタンジグリシジルエーテル;フェノール−ホルムアルデヒドノボラックグリシジルエーテル;o−クレゾール−ホルムアルデヒドノボラックグリシジルエーテル;フェノール−ジシクロペンタジエニルノボラックグリシジルエーテル;ナフトール−ホルムアルデヒドノボラックグリシジルエーテル;トリス−フェノールメタントリ−グリシジルエーテル;トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニルメタントリ−グリシジルエーテル;ならびに、1,1,2,2−テトラ−フェノールエタンテトラ−グリシジルエーテルを包含する。
【0014】
本明細書において使用され得る該グリシジルエーテルエポキシド樹脂の好ましい商業製品の1例は、D.E.R.(登録商標)331エポキシ樹脂である。これは、Dow Chemical Company,Midland,Michiganの製品である。この組成物は、エピクロロヒドリンおよびビスフェノールAの反応生成物である。これは、エポキシ当量182〜192g/eq、エポキシド22.4〜23.6%、および粘度11,000〜14,000mPa・Sを持つ。もう1種別の好ましい商業製品は、Eponex(登録商標)1510水素化エポキシ樹脂である。これは、Resolution Performance Products Houston,Texasの製品である。Eponex(登録商標)1510は、エポキシ当量210〜220g/eqを持つ。
【0015】
カルビノール官能基シリコーン樹脂
本カルビノール官能基シリコーン樹脂成分(b)は、単位:
(RSiO1/2
(RSiO2/2
(RSiO3/2および
(SiO4/2
を含有している。
【0016】
これらの式中、RおよびRが各々独立に、水素原子、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、アリール基のない少なくとも3炭素原子を持っているカルビノール基、もしくは、少なくとも6炭素原子を持っているアリール含有カルビノール基である。Rが、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、もしくは、アリール基であり、aが、0.5以下の値を持ち、bが、0.3以下の値を持ち、cが、0.3〜0.8の値を持ち、dが、0.5未満の値を持ち、a+b+c+dの値=1。平均して、カルビノール官能基シリコーン樹脂1分子につき、少なくとも1つのカルビノール基がある。好ましくは、該カルビノール官能基シリコーン樹脂成分(b)中のR+R+R基が、高くて充分な含量のフェニルを含有し、成分(b)の成分(a)との適切な相容性を与える。好ましくは、10重量%より多いR+R+R基がフェニル基であり、より好ましくは、25重量%より多い。
【0017】
本明細書において使用される場合、このフレーズ(句)「カルビノール基」とは、少なくとも1つの炭素結合ヒドロキシル(COH)基を含有している如何なる基であるとしても、見なされる。本カルビノール基は、1つ以上のCOH基を含有してもよく、例えば:
【0018】
【化1】

【0019】
のようなものである。
【0020】
本カルビノール官能基シリコーン樹脂中のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびオクチルにより例示され、該アルキル基は典型的にはメチルである。そのアリール基は、フェニル、ナフチル、ベンジル、トリル、キシリル、キセニル、メチルフェニル、2−フェニルエチル(フェネチル)、2−フェニル−2−メチルエチル、クロロフェニル、ブロモフェニル、およびフルオロフェニルにより例示され、該アリール基は典型的にはフェニルである。
【0021】
少なくとも3炭素原子を持っておりアリール基のないカルビノール基は、基ROHにより例示され、式中、Rが、少なくとも3炭素原子を持っている2価の炭化水素基、または、少なくとも3炭素原子を持っている2価の炭化水素オキシ基である。Rは、−(CH−、式中、mが3〜10、−CHCH(CH)−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCH(CHCH)CHCHCH−、および−OCH(CH)(CH、式中、mが1〜10、のようなアルキレン基により例示される。少なくとも3炭素原子を持っておりアリール基のない該カルビノール基は、基R(OH)CHOHによっても例示され、式中、Rが基−CHCH(CHOCHCH−であり、式中、mが1〜10である。
【0022】
少なくとも6炭素原子を持っているアリール含有カルビノール基は、ROHにより例示され、式中、Rが、−(CH−、式中、nが0〜10、−CHCH(CH)(CH−、式中、nが0〜10、および、−(CH(CH−、式中、nが1〜10のようなアリーレン基である。該アリール含有カルビノール基は典型的には、6〜14原子を持つ。
【0023】
本発明による該カルビノール官能基シリコーン樹脂において、aが、0.5以下の値を持ち、好ましくは、0.2〜0.4であり、bが、0.3以下の値を持ち、好ましくは、0〜0.2であり、cが、0.3〜0.8の値を持ち、好ましくは、0.4〜0.8であり、dが、0.5未満の値を持ち、好ましくは、0〜0.1であり、a+b+c+dの値=1。各R基がメチル基である場合、値bは好ましくは、0.1未満である。本発明によるカルビノール官能基シリコーン樹脂は平均して、カルビノール官能基シリコーン樹脂1分子につき少なくとも1つのカルビノール基を持つ。好ましくは、1カルビノール官能基シリコーン樹脂についてのカルビノール基当量は100〜1,000、より好ましくは、200〜800である。
【0024】
ある幾つかの適切なカルビノール官能基シリコーン樹脂は、以降の組成物により、代表される:
I.単位:
((CHSiO1/2
((R)CHSiO2/2、式中、Rが−(CHOH
((C)CHSiO2/2および
(CSiO3/2
を含有しているカルビノール官能基シリコーン樹脂
II.単位:
((R)(CHSiO1/2、式中、Rが−(CHOHおよび
(CSiO3/2
を含有しているカルビノール官能基シリコーン樹脂
III.単位:
((R)(CHSiO1/2、式中、Rが−(CHOHおよび
(CSiO3/2
を含有しているカルビノール官能基シリコーン樹脂
IV.単位:
((R)(CHSiO1/2、式中、Rが−(CHOH
(CHSiO3/2および
(CSiO3/2
を含有しているカルビノール官能基シリコーン樹脂
V.単位:
((CHSiO1/2
((R)CHSiO2/2、式中、Rが−(CHOH
((C)CHSiO2/2および
(CSiO3/2
を含有しているカルビノール官能基シリコーン樹脂
VI.単位:
((CHSiO1/2
((R)(CHSiO1/2、式中、Rが−(CHOHおよび
(CSiO3/2
を含有しているカルビノール官能基シリコーン樹脂
ならびに
VII.単位:
((R)(CHSiO1/2、式中、Rが−CHCH(CH)CHOH
((H)(CHSiO1/2および
(CSiO3/2
を含有しているカルビノール官能基シリコーン樹脂
【0025】
式I〜VII中、aが、当該樹脂中の合計値0.2〜0.4を持ち、bが、当該樹脂中の合計値0〜0.3を持ち、cが、当該樹脂中の合計値0.3〜0.8を持つ。
【0026】
カルビノール官能基シリコーン樹脂は:
(A)単位式:
(R10SiO1/2
(R11SiO2/2
(RSiO3/2および
(SiO4/2
を含有している少なくとも1種の水素官能基シリコーン樹脂を
(B)少なくとも1種のビニル末端化アルコールと;
(C)ヒドロシリル化触媒;および任意に
(D)少なくとも1種の溶媒
存在下に反応させていくことにより、調製され得る。
【0027】
これらの式中、R10およびR11が各々独立に、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、もしくは水素原子であり;Rが、1〜8炭素原子を持っているアルキル基もしくはアリール基であり;aが、0.6以下であり;bが、0.3以下であり;cが、0.3〜0.8であり;dが、0.5未満であり;a+b+c+dの和=1;但し、少なくとも2つの硅素結合水素原子が、該シリコーン樹脂において存在している。
【0028】
無水物官能基シリコーン樹脂
本無水物官能基シリコーン樹脂(b)は、単位式:
(i)(RSiO1/2
(ii)(RSiO2/2
(iii)(RSiO3/2および
(iv)(SiO4/2
を含有する。
【0029】
式(i)〜(iv)中、R、R、およびRが各々独立に、無水物基、水素原子、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、アラルキル基、もしくはアルカリール基を表し得る。eの値が、0.1〜0.6である。fの値が、0〜0.3である。gの値が、0.3〜0.8である。hの値が、0〜0.3である。好ましくは、eが、0.2〜0.4であり、fが、0〜0.2であり、gが、0.5〜0.8であり、hが、0である。e、f、g、およびhの和が、1である。平均樹脂分子組成は、2つより多い無水物基を含有する。好ましくは、1無水物官能基シリコーン樹脂についての無水物基の当量が、100〜1,000、より好ましくは、200〜800である。
【0030】
適切な無水物基の代表および好ましい無水物基は、テトラヒドロフタル酸無水物基であり、下に示される。
【0031】
【化2】

【0032】
適切なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、およびオクチル基を包含する。適切なアリール基は、フェニルである。該アラルキル基は、ベンジル、フェニルエチル(フェネチル)、および2−フェニルプロピルを包含し得る。該アルカリール基は、トリルもしくはキシリルたり得る。
【0033】
無水物官能基シリコーン樹脂および該樹脂を調製していく方法が、実施例B2において使用される樹脂同様、共通の出願人の同時係属米国仮出願第60/614,249号、2004年9月29日出願、において記載されており、本明細書において、援用される。好ましくは、無水物官能基シリコーン樹脂はまず、SiH官能基樹脂中間体を調製していくことにより、調製され得る。この後、該SiH官能基樹脂中間体の、2−メチル−3−ブチン−2−オール(HC=CC(CHOH)とのヒドロシリル化、ジエン官能基を形成する脱水、および、マレイン酸無水物のディールス−アルダー付加を伴う。
【0034】
【化3】

【0035】
該反応は、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテルのような溶媒中において、温度−50℃〜100℃において、実施される。該反応は典型的には、30分〜24時間、一般的には6〜12時間、実施される。使用されるマレイン酸無水物量の、該SiH官能基樹脂中間体量に対する比は、モル基準で1:0.1〜1:2.5、好ましくは、1:0.2〜1:1.5である。
【0036】
ヒドロシリル化は、この≡SiH含有反応試薬およびこの不飽和含有反応試薬間の反応を有効にする触媒を必要とする。適切な触媒は、VIII族遷移金属である。使用され得る金属触媒のある幾つかの例は、米国特許第3,419,593号明細書(1968年12月31日)において記載された、塩化白金酸の、末端脂肪族不飽和含有有機硅素化合物との反応から結果的に得られてくる白金触媒;本人の米国特許第3,715,334号明細書(1973年2月6日)および米国特許第3,814,730号明細書(1974年6月4日)において記載された、化学的に結合したハロゲンの実質的にない白金−ビニルシロキサンであるKarstedt触媒;米国特許第3,923,705号明細書(1975年12月2日)において記載された、沈着白金触媒および錯体化白金触媒;米国特許第5,175,325号明細書(1992年12月29日)において記載された、ハロゲン化白金を、末端オレフィン不飽和含有硅素結合有機基を持っている有機ポリシロキサンと反応させていくことにより調製された、白金−有機ポリシロキサン錯体;ならびに、活性炭粒子上担持された白金である。
【0037】
熱触媒
任意成分(c)、本熱触媒は、(i)ジメチルプロピルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジメチルベンジルアミン、およびジメチルアミノメチルフェノールのような脂肪族および芳香族3級アミン;(ii)アミン塩;(iii)ボロントリフルオリド(三フッ化硼素)錯体;(iv)硼酸アミン;(v)ボロントリフルオリド、モノエチルアミン、およびジシアンジアミドのような潜在的な触媒;ならびに、(vi)2−エチルイミダゾール、および、IMICURE(登録商標)EMI−2,4の名の下にAir Products&Chemicals Incorporated,Allentown,Pennsylvaniaから入手可能な2−エチル−4−メチルイミダゾールのようなイミダゾールにより例示される。他の有用な熱触媒のある幾つかの例は、(vii)ルイス酸およびルイス酸錯体を包含し、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三フッ化硼素、三塩化硼素、五フッ化アンチモン、四フッ化チタン、CVC Specialty Chemicals,Incorporated,Maple Shade,New JerseyからOMICURE(登録商標)BC−120の名の下に入手可能なBF、ジエチルアミン、BClアミン錯体のような三フッ化硼素および三塩化硼素の錯体;(viii)アミノジヒドラジドのようなヒドラジド;(ix)テトラメチルグアニジンのようなグアニジン;ならびに、(x)ジシアンジアミドを包含する。成分(a)および(b)を含有している組成物が、触媒なしに硬化され得る一方、触媒の包含が、該硬化を催させる。本熱触媒は、本組成物中、本グリシジルエーテルエポキシド樹脂100重量部に基づき、0〜10重量部の量で、存在してよい。好ましくは、本熱触媒は、同基準で、0.010〜10重量部、より好ましくは、0.1〜5重量部の量で、使用されてよい。
【0038】
有機ポリオール
本有機ポリオールたる任意成分(d)は、既知の組成物であり、詳細に、第’199号特許13〜19欄においても記載されている。ある幾つかの代表的な有機ポリオールは、ポリヒドロキシアルカンおよびポリオキシアルキレンポリオールのようなポリエーテルポリオール;アクリルおよびビニルポリオール;ポリエステルポリオール;ポリカプロラクトンポリオール;ならびに、ポリヴァレロラクトンポリオールおよびポリメチルカプロラクトンポリオールのような他のラクトンポリオールを包含する。
【0039】
適切なポリエーテルポリオールは、(a)ポリヒドロキシアルカンのアルキレンオキシド付加体;(b)非還元糖および糖誘導体のアルキレンオキシド付加体;(c)燐酸およびポリ燐酸のアルキレンオキシド付加体;(d)ポリフェノールのアルキレンオキシド付加体;ならびに(e)蓖麻子油のような天然オイルからのポリオールを包含する。
【0040】
本発明によるコーティング組成物における使用に最も好ましい有機ポリオールのクラス(分類)は、ポリカプロラクトンポリオールであり、これらの代表が、TONETMの下にDow Chemical Company,Midland,Michiganから販売された数多くの市販製品である。TONETM0305ポリオールが、実施例において使用された。これは、コーティングへの適用における使用のための低当量3官能基液体ポリオールである。これらの詳細および他の適切なタイプの有機ポリオールに関して、第’199号特許に対して、言及がなされてもよい。本有機ポリオールは、本組成物において、本グリシジルエーテルエポキシド樹脂100重量部に基づき0〜200重量部の量で、存在してもよい。好ましくは、本有機ポリオールは、本グリシジルエーテルエポキシド樹脂100重量部に基づき、約0.1〜200重量部、より好ましくは、同基準で、50〜150重量部の量で、使用されてよい。
【0041】
有機無水物
本有機無水物たる成分(d)は、本熱硬化可能な組成物において存在する場合、マレイン酸無水物、琥珀酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ドデシル琥珀酸無水物、フタル酸無水物、ナジン酸メチル無水物、ピロメリット酸二無水物、およびこれらの混合物のような化合物を包含する。本発明において特に有用である有機無水物は、ヘキサヒドロフタル酸無水物であり、Buffalo Chemical Color Corporation,Buffalo,New Yorkから入手可能である。これらの有機無水物も、加水分解されてもよく、これらに由来する二酸を与える一方、これら二酸は好ましくはないが、これらは、本発明による熱硬化可能な組成物を調製していくのに有用たり得る。本有機無水物は、本組成物中、本グリシジルエーテルエポキシド樹脂100重量部に基づき、0〜200重量部の量で、存在していてもよい。好ましくは、本有機無水物は、本グリシジルエーテルエポキシド樹脂100重量部に基づき、約0.1〜200重量部、より好ましくは、同基準で、50〜150重量部の量で、使用されてもよい。
【0042】
充填剤
本充填剤たる任意成分(e)は、本組成物において包含される場合、本熱硬化可能な組成物の結合特性に悪影響を及ぼさない充填剤であるべきである。適切な充填剤のある幾つかの代表例は、チョーク、方解石、泥灰岩、石灰華、大理石、および石灰石を含んで炭酸カルシウム;炭酸カルシウムマグネシウム;炭酸ナトリウム;炭酸マグネシウムのような金属炭酸塩;アモルファス(非晶質)シリカ、石英、ガラスビーズ、気泡ガラス、およびガラス繊維を包含してシリカ;タルク、モンモリロナイトのようなクレイ(粘土)、長石、マイカ、珪酸カルシウム、メタ珪酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、および珪酸ナトリウムを包含して珪酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウムを包含して金属硫酸塩;石膏;バーミキュライト;木材パルプ;アルミニウム3水和物;酸化カルシウム、ライム、酸化アルミニウム、および二酸化チタンを包含して金属酸化物;ならびに、亜硫酸カルシウムを包含して金属亜硫酸塩を包含する。最も好ましいのは、シリカ充填剤である。本充填剤が存在している場合、本熱硬化可能な組成物は、本グリシジルエーテルエポキシド樹脂100重量部に基づき、0.1〜80重量部を包含してもよい。
【0043】
本発明の組成物は、一体薄膜接着剤および成型可能ペレットを調製するのに、使用され得る。本組成物は、電子部品を、溶融プロセス、その後の硬化を含んでいる移動成型により包むのにも、使用され得る。本グリシジルエーテルエポキシド樹脂は、丈夫さおよび接着性を加える一方、本カルビノール官能基シリコーン樹脂および本無水物官能基シリコーン樹脂は、耐水性、天候順応性、熱安定性、および柔軟性を、コーティングおよび接着剤に加える。本コーティング組成物は、このような適用において、本組成物成分を一緒に組み合わせ混合していき、本組成物を基材の少なくとも1表面に適用していき、本組成物を硬化させていくかもしくは硬化するようにさせていくことにより、調製され使用され得る。本組成物は、単に適切な本成分を一緒に混合していくことにより、調製され得る。標準状態の技術の混合適用手法および設備が、本組成物の調製および使用において、使用され得る。例えば、ある物品が、ある基材に、当該物品を熱していき、本組成物を当該基材の少なくとも1表面に適用していき、熱せられた物品を本組成物と接触させて置き、本組成物を硬化させていくことにより、接着され得る。同様に、ある物品は、本組成物を包まれるべき当該物品上に移動成型していき、当該物品を熱にさらして、本組成物を流動および硬化するようにさせていくことにより、包まれ得る。
【実施例】
【0044】
以降の実施例が説明され、本発明をより詳細に例示する。
【0045】
実施例A1−SiH官能基シリコーン樹脂中間体Aの調製
59.7gのフェニルトリメトキシシランおよび204gのメチルトリメトキシシランが、0.19gのトリフルオロメタンスルホン酸(TFMSA)により触媒され、次いで、37.9gの脱イオン水を用いて加水分解された。この後、副生成物メタノールの蒸留および除去を伴った。88.7gの1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサン(TMDS)および39.6gの酢酸が、加えられた。この混合物が、50℃にまで、3時間熱せられた。メタノールおよび酢酸メチルが、蒸留により除去された。228.1gのトルエンが、加えられ、この混合物が、(i)飽和重炭酸ナトリウム水および(ii)多数杯の脱イオン水を用いて洗浄された。この混合物が次いで濾過され、水から共沸を介して乾燥された。溶液431.6gが、回収された。これは、式M0.4Me0.5Ph0.1に対応している構造を持っている組成物を含有し、式中、MがH(CHSiO1/2のことであり、TMeがCHSiO3/2のことであり、TPhがCSiO3/2のことであった。
【0046】
実施例A2−カルビノール官能基シリコーン樹脂の調製
実施例A1において調製された431.6gの該SiH官能基シリコーン樹脂中間体Aが、70〜95℃にまで、熱せられた。0.9gの1重量%の白金−Alヒドロシリル化触媒が加えられ、次いで、209.1gのアリルアルコールの添加を伴った。この混合物が、70〜110℃において、そのSiHが消費されるまで、熱せられた。これは、典型的には約2165cm−1に発生するそのSiHのピークの、FTIRスペクトルにおける消失後、決定された。0.04gのトリフェニルホスフィンおよび0.75gのカーボンブラックが、加えられた。この生成物の混合物が濾過され、溶媒が除去された。260.5gのカルビノール官能基シリコーン樹脂が回収され、29SiNMRにより求められた場合、MPrOH0.361Me0.517Ph0.101である組成を持っており、式中、MPrOHが(HO(CH)(CHSiO1/2のことであり、TPhがCSiO3/2のことであり、TMeがCHSiO3/2のことであった。
【0047】
実施例B1−SiH官能基シリコーン樹脂中間体Bの調製
メチルトリメトキシシランCHSi(OCH(4,958.4g)が、脱イオン水(252.3g)を用いて、トリフルオロメタンスルホン酸(4.93g)存在下に、加水分解された。1,1,3,3−テトラメチル−1.3−ジシロキサン(TMDS)(5,456.4g)および更なる脱イオン水(725.8g)が、加えられた。揮発分が蒸留により除去され、次いで、その生成物の混合物が、ヘキサン(2,210g)に溶解された。この生成物の溶液が、飽和重炭酸ナトリウム水および多数杯の脱イオン水を用いて洗浄された。これは次いで、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、如何なる残留溶媒もが除去された。生成物は、29SiNMRにより求められた組成M0.54Me20.03Me0.43を持ち、式中、MがH(CHSiO1/2であり、DMeが(CHSiO2/2であり、TMeがCHSiO3/2であった。
【0048】
実施例B2−無水物官能基シリコーン樹脂2の調製
2−メチル−3−ブチン−2−オール(200.35g)およびジビニルテトラメチルジシロキサン錯体として0.481重量%の白金を含有している0.51gのトルエン溶液の混合物が、95℃にまで熱せられた。実施例B1の200.17gのSiH官能基シリコーン樹脂中間体Bが、キシレン(86.04g)に溶解され、該溶液に滴下された。この混合物を90〜100℃において8.5時間熱した後、溶媒が真空下に除去された。生成物がキシレン(300.0g)に溶解され、硫酸水素カリウム(4.01g)が加えられた。この混合物が熱せられ、水を共沸させて除去し、その還流温度を18時間保ち続けた。マレイン酸無水物(313.1g)が加えられ、この混合物が熱せられ、48時間還流された。溶媒が真空下に除去された。生成物がトルエン(491.4g)に再溶解され、濾過された。トルエンが取り除かれると、415.5gの粘稠な琥珀色の液体を与えた。該液体生成物は、化学シフト(テトラメチルシランを0ppmとして)7ppm(0.21モル分、M)、−20ppm(0.29モル分、(CHSiO2/2)、および−66ppm(0.40モル分、CHSiO3/2)を中心とした主要ピークを含有している29SiNMRスペクトルを持った。単位Mは、テトラヒドロフタル酸無水物であったが、より詳細に、下に示される。
【0049】
【化4】

【0050】
実施例1−カルビノール官能基シリコーン樹脂/グリシジルエーテルエポキシド樹脂ペレット
実施例A2において調製された5.1gの固体カルビノール官能基シロキサン樹脂が、実験室のオーブン中160℃にまで、ガラスヴァイアル中熱せられ、流動可能な液体を与えた。該液体が、100℃のオーブンに移された。1.3gのD.E.R.(登録商標)331グリシジルエーテルエポキシド樹脂が、100℃にまで予熱され、該カルビノール官能基シリコーン樹脂に加えられた。この混合物が、木製スパーテルを用いて激しく混合された。この混合物が直ちに、3mm直径の円筒状のポリプロピレンの型中に注がれ、冷凍庫中で冷やされ、急速に固化させた。かみそりブレードが使用され、該ポリプロピレンの型にスリットを開け、該カルビノール官能基シリコーン樹脂/グリシジルエーテルエポキシド樹脂のロッド(桿)が解離され、次いで、該ロッドが、5mm長のペレットに切り出された。
【0051】
1ペレットが、2枚の8mmの平行板間に置かれた。これらの板が、70℃にまで熱せられ、その材料がこれら2枚の板の間で搾られるようにし、RheometricsRDA2レオロジー計で延寸された。その粘度を温度の関数として測定していく前に、該材料が室温にまで冷やされ、その溶融および硬化特性を評価した。該溶融および硬化特性は、溶融および硬化プロファイルにより、本カルビノール官能基シリコーン樹脂およびD.E.R.(登録商標)331エポキシ樹脂を含有している組成物に関して求められた。該溶融および硬化プロファイルが、この固体ペレットが、その硬化反応が始まる前に、粘度約2Pa.sを持っている液体に軟化し、非可逆的に本組成物を120℃を上回る温度において架橋させたことを示した。このタイプの溶融および硬化プロファイルは、エレクトロニクス産業における移動成型適用において使用される材料に関して、典型的である。
【0052】
実施例2−カルビノールシリコーン樹脂/グリシジルエーテルエポキシド樹脂薄膜接着剤
実施例1において調製されたペレットのうちの3つが、2”×3”の40ミル厚のテフロン(登録商標)によりラインされた鋼彫型に入れられ、10,000ポンドの圧の135℃のCarver熱プレスに2分間入れられた。該型を該プレスから除去していった後に、40ミル厚のカルビノール官能基シリコーン樹脂/グリシジルエーテルエポキシド樹脂の材料の積層体が、2枚のテフロン(登録商標)解離シート間に挟まれた。0.5インチ片が、該積層体から切り出され、該解離ライナーが、片側から除去され、この接着材料を露出させた。
【0053】
該接着材料が、鋼パネル上にプレスされ、もう一方の側の該解離ライナーが、引き続き除去された。このことが、この接着フィルムを該鋼パネルに移した。小さな0.5オンスのガラスのヴァイアルが、オーブン中110℃にまで熱せられ、熱いヴァイアルの底が、該接着フィルム上にプレスされた。これは、該ヴァイアルの底に良好な結合を形成し、完全に湿らされた。該結合は、150℃において終夜硬化され、完全に本組成物を硬化させた。これは、該ヴァイアルと、良好な構造的結合を形成した。この実施例は、本組成物が、エレクトロニクスへの適用のための、特に、熱いチップが金属基板に接着される適用における薄膜接着剤としての使用に適していることを実証する。
【0054】
実施例3−無水物官能基シリコーン樹脂/グリシジルエーテルエポキシド樹脂薄膜接着剤、熱触媒なし
実施例B2において調製された無水物官能基シリコーン樹脂およびCVC Specialty Chemicals,Incorporated,Maple Shade,New Jerseyからの多官能基エポキシ樹脂1,1,1−トリス−(p−ヒドロキシフェニル)エタングリシジルエーテル(THPE−GE)が、オーブン中80℃において温められ、これらを容易に流動可能な液体にした。2部の該無水物官能基シリコーン樹脂が、1部の該エポキシ樹脂と混合され、この混合物が、2”×3”の40ミル厚のテフロン(登録商標)によりラインされた鋼刻型に注がれ、10,000ポンドの圧の100℃のCarver熱プレスに2分間入れられた。該型を該プレスから除去していった後に、40ミル厚の無水物官能基シリコーン樹脂/グリシジルエーテルエポキシド樹脂の材料の積層体が、2枚のテフロン(登録商標)解離シート間に挟まれた。0.5インチ片が、該積層体から切り出され、該解離ライナーが、片側から除去され、この接着材料を露出させた。
【0055】
該接着材料が、きれいな4インチの硅素ウェーハ上にプレスされ、もう一方の側の該解離ライナーが、引き続き除去された。このことが、この接着フィルムを該硅素ウェーハに移した。小さな0.5オンスのガラスのヴァイアルが、オーブン中85℃にまで熱せられ、熱いヴァイアルの底が、該接着フィルム上にプレスされた。これは、該ヴァイアルの底に良好な結合を形成し、完全に湿らされた。該結合は、150℃において1時間、次いで200℃において1時間、硬化され、完全に本組成物を硬化させ、次いで、ゆっくり室温にまで冷やされた。この薄膜接着剤は、該硅素ウェーハと該ヴァイアルとの間に、良好な構造的結合を形成した。この実施例は、本組成物が、エレクトロニクスへの適用のための、特に、チップが金属基板に上昇した温度において接着される適用における薄膜接着剤としての使用に適していることを実証する。
【0056】
実施例4−無水物官能基シリコーン樹脂/グリシジルエーテルエポキシド樹脂薄膜接着剤、イミダゾール熱触媒あり
薄膜接着剤移動フィルムが、実施例3において記載されたと同様に調製されたが、1滴の2−エチル−4−メチルイミダゾールの25%エタノール溶液が、前記テフロン(登録商標)フィルム間で60℃においてプレスしていく前に、この混合物に加えられたことを除く。0.5インチ片が、該積層体から切り出され、該解離ライナーが、片側から除去され、この接着材料を露出させた。該接着材料が、きれいな4インチの硅素ウェーハ上にプレスされ、もう一方の側の該解離ライナーが、引き続き除去された。このことが、この接着フィルムを該硅素ウェーハに移した。小さな0.5オンスのガラスのヴァイアルが、オーブン中85℃にまで熱せられ、熱いヴァイアルの底が、該接着フィルム上にプレスされた。これは、該ヴァイアルの底に良好な結合を形成し、完全に湿らされた。該結合は、150℃において1時間硬化され、完全に本組成物を硬化させ、次いで、ゆっくり室温にまで冷やされた。この薄膜接着剤は、該ヴァイアルと良好な構造的結合を形成した。この実施例は、本組成物が、薄膜接着剤としての使用に適しており、その硬化が、イミダゾールもしくは類似の触媒の使用により加速され得ることを実証する。
【0057】
本組成物のある幾つかの有益性は、常温および保管温度において固体であるということである。このことは、容易な取り扱いおよび位置取りに資する。これはまた、硬化前に、150℃未満の温度において流動可能に溶融される。このことは結果的に、本組成物が、成型可能であり、接着剤として適用された場合、基材との良好な接触を作り出せるようにする。
【0058】
他のバリエーションが、本発明の必須の特徴から逸脱していくことなく、本明細書において記載された化合物、組成物、および方法においてなされてよい。特に本明細書において例示された本発明の実施形態は、例であるだけであり、その範囲における限定として意図されず、添付された請求項において定義されたとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)100重量部のグリシジルエーテルエポキシド樹脂;
(b)50〜300重量部のカルビノール官能基シリコーン樹脂、無水物官能基シリコーン樹脂、もしくはこれらの混合物;および任意に
(c)0〜10重量部の熱触媒
を含む、熱硬化可能な組成物。
【請求項2】
(a)100重量部のグリシジルエーテルエポキシド樹脂もしくはこの水素化された形;
(b)50〜300重量部のカルビノール官能基シリコーン樹脂、無水物官能基シリコーン樹脂、もしくはこれらの混合物;および
(c)0.01〜10重量部の熱触媒
を含む、熱硬化可能な組成物。
【請求項3】
前記カルビノール官能基シリコーン樹脂が、カルビノール当量100〜1000を持ち、単位:
(RSiO1/2
(RSiO2/2
(RSiO3/2および
(SiO4/2
を含有し、式中、RおよびRが各々独立に、水素原子、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、アリール基のない少なくとも3炭素原子を持っているカルビノール基、もしくは、少なくとも6炭素原子を持っているアリール含有カルビノール基であり;Rが、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、もしくは、アリール基であり;aが、0.5以下の値を持ち;bが、0.3以下の値を持ち;cが、0.3〜0.8の値を持ち;dが、0.5未満の値を持ち;a+b+c+dの値=1;平均して、カルビノール官能基シリコーン樹脂1分子につき、少なくとも1つのカルビノール基があり;10重量%より多いR+R+R基がフェニル基であり;更に但し、前記組成物が、常温および保管温度において固体であり、150℃未満の温度において流動可能に溶融される、請求項1もしくは2の組成物。
【請求項4】
前記カルビノール官能基シリコーン樹脂が:
I.単位:
((CHSiO1/2
((R)CHSiO2/2、式中、Rが−(CHOH
((C)CHSiO2/2および
(CSiO3/2
II.単位:
((R)(CHSiO1/2、式中、Rが−(CHOHおよび
(CSiO3/2
III.単位:
((R)(CHSiO1/2、式中、Rが−(CHOHおよび
(CSiO3/2
IV.単位:
((R)(CHSiO1/2、式中、Rが−(CHOH
(CHSiO3/2および
(CSiO3/2
V.単位:
((CHSiO1/2
((R)CHSiO2/2、式中、Rが−(CHOH
((C)CHSiO2/2および
(CSiO3/2
VI.単位:
((CHSiO1/2
((R)(CHSiO1/2、式中、Rが−(CHOHおよび
(CSiO3/2
ならびに
VII.単位:
((R)(CHSiO1/2、式中、Rが−CHCH(CH)CHOH
((H)(CHSiO1/2および
(CSiO3/2
からなる群から選択される単位を含有し、式中、aが、当該樹脂中の合計値0.2〜0.4を持ち、bが、当該樹脂中の合計値0〜0.3を持ち、cが、当該樹脂中の合計値0.3〜0.8を持つ、請求項1〜3のいずれか1項の組成物。
【請求項5】
前記無水物官能基シリコーン樹脂が、単位:
(i)(RSiO1/2
(ii)(RSiO2/2
(iii)(RSiO3/2および
(iv)(SiO4/2
を含有し、式中、R、R、およびRが各々独立に、無水物基、水素原子、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、アラルキル基、もしくはアルカリール基であり;eが、0.1〜0.6の値を持ち;fが、0〜0.3の値を持ち;gが、0.3〜0.8の値を持ち;hが、0〜0.3の値を持ち;e、f、g、およびhの和が、1であり;但し、前記組成物が平均して、2より多い無水物基を、平均分子につき含有し、前記組成物が、常温および保管温度において固体であり、150℃未満の温度において流動可能に溶融される、請求項1〜4のいずれか1項の組成物。
【請求項6】
前記無水物官能基シリコーン樹脂が、(RSiO1/2および(RSiO3/2単位だけを含み、式中、RおよびRが各々独立して、無水物基、水素原子、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、アラルキル基、もしくはアルカリール基であり;eが、0.1〜0.6の値を持ち、gが、0.3〜0.8の値を持つ、請求項1〜5のいずれか1項の組成物。
【請求項7】
前記無水物基が、テトラヒドロフタル酸無水物である、請求項1〜6のいずれか1項の組成物。
【請求項8】
成分(b)が、カルビノール官能基シリコーン樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項の組成物。
【請求項9】
成分(b)が、無水物官能基シリコーン樹脂である、請求項5〜7のいずれか1項の組成物。
【請求項10】
エポキシ樹脂(a)が、ビスフェノールAをエピクロロヒドリンと反応させていくことに由来しているビスフェノールAのジグリシジルエーテル;ビスフェノールAをアルコールおよびエピクロロヒドリンと反応させていくことに由来しているビスフェノールAのグリシジルエーテル;アリールグリシジルエーテルエポキシド樹脂;多核フェノールグリシジルエーテルエポキシド樹脂;アリールグリシジルエーテルエポキシド樹脂;2核アリールグリシジルエーテルエポキシド樹脂;多核アリールグリシジルエーテルエポキシド樹脂;クレゾール−ノボラックグリシジルエーテルエポキシド樹脂;およびフェノール−ノボラックグリシジルエーテルエポキシド樹脂からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項の組成物。
【請求項11】
触媒(c)が、(i)脂肪族および芳香族3級アミン;(ii)アミン塩;(iii)ボロントリフルオリド(三フッ化硼素)錯体;(iv)硼酸アミン;(v)ボロントリフルオリド;(vi)イミダゾール;(vii)ルイス酸およびルイス酸錯体;(viii)ヒドラジド;ならびに(ix)グアニジンからなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項の組成物。
【請求項12】
更に、(d)0.1〜200重量部の、有機ポリオール、有機無水物、もしくはこれらの混合物を含む、請求項1〜11のいずれか1項の組成物。
【請求項13】
更に、ポリヒドロキシアルカンポリオール、ポリオキシアルキレンポリオール、アクリルポリオール、ビニルポリオール、ポリエステルポリオール、およびポリカプロラクトンポリオールからなる群から選択される(d)0.1〜200重量部の有機ポリオール;あるいは(d)マレイン酸無水物、琥珀酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ドデシル琥珀酸無水物、フタル酸無水物、ナジン酸メチル無水物、ピロメリット酸二無水物、およびこれらの混合物からなる群から選択される0.1〜200重量部の有機無水物を含む、請求項1〜11のいずれか1項の組成物。
【請求項14】
更に、金属炭酸塩;シリカ;珪酸塩;石膏;バーミキュライト;木材パルプ;アルミニウム3水和物;金属酸化物;および金属亜硫酸塩からなる群から選択される(e)0.1〜80重量部の充填剤を含む、請求項1〜13のいずれか1項の組成物。
【請求項15】
カルビノール基および無水物基の、エポキシド基に対する比が、0.5〜1.2である、請求項1〜14のいずれか1項の組成物。
【請求項16】
物品を熱していき、基材の少なくとも1表面に請求項1〜15のいずれか1項の組成物を適用していき、熱せられた物品を該組成物と接触させて置き、該組成物を硬化させていくことを含む、物品を基材に接着させる方法。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項の組成物を物品上に該物品を熱にさらすことにより移動成型していき、該組成物を流動させ硬化させていくことを含む、物品を包む方法。

【公表番号】特表2008−518049(P2008−518049A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538081(P2007−538081)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/037963
【国際公開番号】WO2006/047318
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】