ガス検知半導体装置
【課題】低コストで、処理回路と制御回路と変換回路とを一体的に集積することができ、余計なマスクや工程を必要としないガス検知半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】ガス検知半導体装置1は、シリコン基板2上に形成され、当該シリコン基板2は、CMOS技術互換性のある高温金属からなるヒーター6が埋め込まれた酸化ケイ素絶縁薄膜3を有している。上記高温金属は、タングステンである。上記装置1は少なくとも、絶縁層4によってヒーター6から隔離されるガス感受性層を備える1つの検知領域を有している。最終製造過程工程の1つの工程として、検知領域内に薄い膜を形成するために、基板がエッチバックされる。当該エッチバック工程及びガス感受性層の形成工程を除いて、タングステンヒーター6を含む他のすべての層は、タングステン金属化を用いたCMOSプロセスが利用される。
【解決手段】ガス検知半導体装置1は、シリコン基板2上に形成され、当該シリコン基板2は、CMOS技術互換性のある高温金属からなるヒーター6が埋め込まれた酸化ケイ素絶縁薄膜3を有している。上記高温金属は、タングステンである。上記装置1は少なくとも、絶縁層4によってヒーター6から隔離されるガス感受性層を備える1つの検知領域を有している。最終製造過程工程の1つの工程として、検知領域内に薄い膜を形成するために、基板がエッチバックされる。当該エッチバック工程及びガス感受性層の形成工程を除いて、タングステンヒーター6を含む他のすべての層は、タングステン金属化を用いたCMOSプロセスが利用される。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、1種類以上のガスの存在及び/又はその濃度を検知するために用いるガス検知半導体装置に関するものである。
【0002】
従来より、半導体装置内部にガス微小検知器を形成する技術が知られている。具体的には、酸化アルミニウム基板を用いて、半自動製造法によって高温金属酸化物伝導測定性検知器(high-temperature metal oxide conductimetric sensors)を製造する技術が知られている。近年では、上記検知器においてシリコンを代わり用いた形態の検知器を製造する試みがなされており、この形態では、酸化物または窒化物の絶縁薄膜と集積したプラチナヒーターを使用する。上記検知器は、作動温度が300℃から600℃の間である場合、従来のセンサーよりも消費電力が少ない。しかしながら、このような検知器の上記の膜の二部蒸着や二つの膜層に挟まれる金属加熱層の蒸着は、集積回路技術によるガス微小検知器の製造を困難なものとしている。また、例えばパラジウムなどの120℃から200℃の間で作動する触媒ゲート(catalytic gates)を用いたMOSFET電位差測定性検知器の発展にも多くの関心が集まっている。しかしながら、このような検知器は、非効率的であるとともに、比較的高コストであるため、限定的な適用にとどまるだろう。
【0003】
WO98/32009号に、半導体基板と、当該半導体基板の片側上に設けられた絶縁薄層と、当該絶縁薄層の最上部に設けられた半導体薄層とを備えたガス検知器が開示されている。このガス検知器は、上記半導体基板材料が、絶縁薄層と半導体薄層とによって形成される1つの膜を残すように取り払われた検知領域を、少なくとも1領域有している。そして、この1つの検知領域又は複数の検知領域の各々は、ガス感受性層(gas-sensitive layer)と、当該ガス感受性層とガスとの反応を促進するために当該ガス感受性層を熱するためのヒーターとを備えている。さらに、この1つ又は複数の検知領域の各々は、半導体薄層内に形成されるMOSFETを、ヒーター及び/又はガス検知器の一部として組み込んでおり、上記のガス検知器は、電気的な出力方法によってガス感受性層とガスと反応を提示する。しかしながら、上記ガス検知器では、何れのMOSFET構造にも内在している寄生的なバイポーラ・トランジスタが高い温度で作動するため、比較的低い温度でのみ作動可能である。加えて、アルミニウムがCMOS金属層として用いられた場合は、250℃が上限温度になり、これを超えると、エレクトロマイグレーションまたはストレスによって長期退行(long term degradation)が起こり得ることになる。
【0004】
そこで、ガス感受性層(たとえば、酸化スズ)の温度を上昇させるための微小ヒーターを組み込むと共に、電子回路に集積された、小型で低コストのガス検知装置を提供する必要がある。Gardner J.W.,Pike A.,de Rooij N.F.,Koudelka−Hep M.,Clerc P.A.,Hierlemann A.and Gopel W.,1995 Sensors and Actuators,B 26 135−139,“Integrated chemical sensor array for detecting organic solvents”では、プラチナ又はドープされた(doped)ポリシリコンを用いて抵抗器を形成することが報告されている。しかしながら、プラチナはCMOS技術に不適合な材料であり、また、ポリシリコンは付加的な工程が必要になると共に、長期的な安定性を失う傾向となる熱源を形成してしまう。前述の通り、WO98/32009号では、能動ヒーター(active heater)の形成にMOSFETを使用しているが、シリコン技術では、約300℃から350℃の間が装置の限界作動温度である(Udrea F.,Gardner J.W.,Setiadi D.,Covington J.A.,Dogaru T.,Lu C−C. and Milne W.I.,2001 Sensors and Actuators,B 78 180−190,“Design and simulations of a new class of SOI CMOS micro hot−plate gas sensors”を参照)ことから、約550℃の作動温度が必要であるメタン検出には不適当である。
【0005】
また、高温下CMOSプロセスにおいて、タングステン内部接続を用いる方法が知られている。例えば、W.Yun,R.Howe,そしてP.Gray,による論文“Surface micromachined,digitally force−balanced accelerometer with integrated CMOS detection circuitry,”Proc.of the IEEE Solid−State Sensor and Actuator Workshop ‘92,p.126,1992,には、さらなるポストCMOS高温プロセス(further post-CMOS high temperature processing)を可能にするために、この加工に充分耐え得るタングステンを、アルミニウムの代わりに金属化(metallisation)に用いる記述がある。
【0006】
また、タングステンは、SOI CMOSプロセスにおける高温金属化にも用いられてきた(“ Tungsten metallisation for high−temperature SOI device”,by J.Chen and J.P.Colinge,paper E−I.4,European Materials Research Society,Strasbourg,France,1994,and Materials Science and Engineeringを参照)。
【0007】
しかしながら、これらの参考文献の何れにも、CMOS互換プロセスにおける抵抗ヒーター(resistive heater)としてタングステンを用いる方法については開示されていない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、従来のバルク(bulk)製造方法を用いて低コストに生産し得る、高温下における機能に関して改良がなされた、ガス検知半導体装置を提供することにある。
【0009】
すなわち、本発明に係るガス検知半導体装置は、半導体基板と、ガス感受性層及び、当該ガス感受性層とガスとの反応を促進するためにガス感受性層を加熱するためのヒーターによって構成される少なくとも1領域の検知領域と、上記ガス感受性層のガス反応を電気的な出力として示すセンサーとを備えており、上記ヒーターには、少なくとも1層のタングステン層が設けられたガス検知半導体装置である。
【0010】
従来の平面集積ガス検知器と比較すると、CMOS互換プロセスにおいて上記のタングステンヒーター(tungsten heater)を用いた場合、本発明の装置の製造は非常に簡略化され、したがって、その製造コストも減少する。さらに、本発明の装置は、抵抗性ガス検知器や、熱量測定ガス検知器(calorimetric gas sensor)であっても良く、さらには、処理ユニットや駆動回路といった処理回路ととも共に、1つのチップ上に集積されて得られる“高機能の(smart)”ガス微小検知器であっても良い。上記ヒーターは、従来のガス微小検知器とは異なり、ICの製造方法として既に起用されている工程に新たな工程を追加する必要なく製造することができる。また、本発明によれば、1つ以上のタングステン抵抗ヒーターを用いることによって、200℃を超える温度でのCMOSプロセスを可能とする(SOIの場合では最高温度250℃)一方で、600℃を優に超える温度で装置の作動を可能にすると同時に、ヒーターを比較的小型化することができる。
【0011】
SOI技術は、一般的に、SIMOXとして知られているエピタキシャル成長の後に続く、ウエハ接着又は酸素イオンの注入に基づいたものである。また、スマートカット(smart-cut)といったような他の技術も用いられている。CMOS SOI集積回路は、埋め込まれた酸化ケイ素(silicon oxide)を通じて基板と隔離された最表面の半導体層に様々なトランジスタを生成することによって製造される。上記の酸化ケイ素の代わりに、窒化ケイ素(silicon nitride)や、酸化ケイ素と窒化ケイ素との混合物といった他の絶縁材料を用いることもできる。そして、MOSFET’sといった個々の半導体装置が、既知の製造工程を用いてシリコン薄層の中に製造される。上記電子装置(半導体装置)は、例えば0.5〜1μmの厚さの非常に薄い能動半導体層(active semiconductor layer)中に形成されるため、SOI技術は、結果として、簡易で効果的な装置の隔離(isolation)と同様に、寄生容量と、ラッチアップ除去(latch-up elimination)と、ショートチャンネル効果との低減が行われた、高速/低電力のCMOS特性となる。加えて、完全空乏型装置(極薄SOI基板を含む)が報告されているという面白い特徴がある。それらはよじれ現象(kink phenomena)を示してはおらず、鋭いサブスレッショルド係数(sub-threshold slope)を有している。そして、衝突イオン化及びチャージポンピング現象に関連する動的な基板浮遊効果という点から見れば、上記装置は安定である。SOIトランジスタもまた従来のバルクシリコン装置と比較したときには、およそ10〜100の要因による低いオフ状態漏電流(lower off-state leakage current)を有する。これは、待機電力の散逸の減少に重要である。加えて、SOI技術は、主に漏電流(leakage currents)の減少によって、従来の装置よりもより高い温度での装置の作動を可能にしている。
【0012】
タングステンヒーターを有するCMOS互換膜の製造は、従来のバルクCMOSプロセスの場合のような高い漏電流又はラッチアップによる影響を失くし、膜領域における非常に高い温度(検知材料とガスとが反応するための600度以上の温度)と、隣接した回路領域における比較的高い温(250℃までの温度)とを可能にしている。したがって、SOI技術は、高性能のガス検知器に非常に適合している。けれども、タングステン金属化を伴うバルクCMOSプロセスもまた、わずかに安価な代替法として用いることが可能である。
【0013】
本発明のガス検知半導体装置によれば、上記の検知領域は、少なくとも一層の絶縁薄層と抵抗ヒーターを設けるための金属層とによって形成されるものであり、膜上に形成されることが好ましい。上記の膜は、例えば、等方性深堀り反応性イオンバックエッチング法を用いて、基板材料が除去されることによって形成されることが好ましい。バルクCMOSプロセスの場合は、誘電体層が、標準のCMOS内部誘電体層又はフィールド酸化物(a field oxide)であってもよい。CMOS SOIの場合は、上記絶縁薄層は、一般的なSOI構造の一部分である酸化ケイ素埋め込み層(the silicon oxide buried layer)である。この層は二つの目的の役に立っている。すなわち、(1)上記検知領域のエッチストップとして働くと共に、高温下での電力消費を抑えるために熱的に上記検知領域を隔離する目的、そして、(2)特殊な場合の低電力のCMOS SOI集積回路内における干渉の減少と、ラッチアップ除去と、静電容量の減少と同様に、例えば、あらゆる関連集積回路領域と、組み込まれている変換器と、関連する処理回路とからの高水準な電気的隔離を可能にする目的に役立つものである。
【0014】
膜の上記した高い熱的隔離特性(high thermal isolation properties)により、非常に低い電力消費で高温を生じさせることができる。これは、ガス感受性層の活性材料(active material)と反応するために高温が必要であるガスに対して適用するのに特に有利である。種々のガスの性質や濃度又は、上記ガスの混合物の性質や濃度が種々の温度でのガス感受性層の伝導性の変化を測定することによって決定されても良い。金属酸化物ガス感受性層が200℃を超える温度を必要とし、触媒酸化物が500℃を超える温度を必要とすること考慮して、有機金属や触媒金属(catalytic-metal)ガス感受性層は、低い温度(100℃以下)又は中ぐらいの温度(100℃から200℃)で反応することができる。したがって、ガス微小検知アレイ装置(a gas microsensor array device)は、同じチップ中に利用可能な種々のガス感受性層を用いたいくつかのセンサーセル(sensor cell)を個々に集積することによって構築しても良い。上記センサーセルの各々は、同じ膜上又は別々の膜上に構築することができる。このようなガス微小検知アレイ装置は、個々のセンサーにわたって、ガス選択性の向上、低ノイズ、卓越した設計構造又は信号工程(signal processing)による悪影響を低減させるといった優位性を有している。
【0015】
添付の図の説明と、種々の実施の形態の詳細な説明により、本発明はより詳細に理解されるであろう。なお、添付の図には以下のものがある。
【0016】
図1から図5は、単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態の検知領域の断面図であり、図1aは検知電極の平面図を示したものである。
【0017】
図6、図7、図8、図11は、二層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態における検知領域の断面図を示したものであり、図9と図10とは、ヒーターの構造に関する二種類の代案の平面図である。
【0018】
図12と図14とは、多層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態に検知領域の断面図である。
【0019】
図15と図17とは、さらに他の実施形態における検知領域の断面図であり、図18は、図17に示した実施形態の平面図である。
【0020】
本発明に関するガス検知半導体装置における複数の実施の形態は、後述するように、非SOI(例えば一般的なバルク(bulk))技術又はSOI(例えばスマートカットUNIBOND(Smart Cut UNIBOND))CMOS技術を用いて製造されるものであり、これによって、1枚のチップ内に、ガス検知領域とIC回路を集積するように製造されるものである。また、それぞれの検知領域は、少なくとも1枚の絶縁薄層と、抵抗ヒーターとして機能するタングステン金属層とから形成される薄い膜である。これらの実施形態の構造をとることで、優に600℃を超える温度での作動が可能になる。絶縁薄層は、熱的な隔離を行い、その材料としては、酸化物、窒化物、酸化物と窒化物の混合物、又は、他の絶縁性材料を用いることができる。従来のガス微小検知器と異なり、高価で複雑な製造工程を含む低ストレスである特殊な層蒸着法(low-stress special layer deposition)を必要としない。より詳細な説明に関しては、検知領域内の装置の製造に関する記載中で説明するが、ICの製造が、装置の他の場所における関連回路を設けるために非常に大きな影響を与えることは理解できるであろう。
【0021】
図1の実施の形態では、装置1が、検知領域中の片面にSiO2薄層3と、当該SiO2薄層3の表面上に設けられた絶縁薄層4とを有するシリコン基板2上に製造されている。熱酸化物(thermal oxide)は、シリコンよりも低い熱伝導性をもつため、検知領域では熱による電力消費(thermal power losses)は大幅に減少するようになっている。タングステンからなる抵抗ヒーター6は、検知領域内に形成される。この抵抗ヒーターは、標準的なCMOS金属化プロセスの一部であるCMOSプロセス中に形成される(ポストCMOSプロセスの一部ではない)。したがって、検知領域中の抵抗ヒーター6と、電子回路領域中のソースとドレイン金属被膜13とは、個々の金属構造を定義づけるためのフォトリソグラフィによるパターン形成が施された同じタングステン層から形成することができる。
【0022】
ヒーター6に加えて、常温動作型化学抵抗器センサー(chemoresistor sensor)7が、検知領域内において2つの電極8をつなぐように、無機物(錫酸化物のような)又は有機物(ポリマーかフタロシアニン(ptharlocyanine)のような)かからなるガス感受性層9が配置されることによって製造される。上記ガス感受性層9は、スパッタリングなどで蒸着されるか、又は上記の2つの電極8の上に電気化学的成長によって形成しても良い(伝導ポリマーのように)。上記の2つの電極8は、CMOSプロセス中における金属被膜の一部として形成される最上層の金属層の1層を利用した第2のタングステン金属層から形成されるか、または金のような他の材料から形成されるか、ポストCMOSで蒸着されても良い。代替案として、電極8が、一連のCMOS工程の一部、又はポストCMOSプロセスの一部を用いて形成される、いくつかの層を組み合わせたものから形成されても良い。製造工程の最終段階の1つとして、上記基板2は、SiO2層3をバックエッチングの停止層として用いてエッチバックされ、検知領域に薄膜を形成される。上記エッチバックは、ウェットエッチング(例えば、KOHエッチング)によるものであっても、ドライエッチング(例えば、深堀り反応性イオンエッチング)によるものであっても良い。
【0023】
上記したような電子回路の領域では、既知のCMOSプロセスを用いて部品が形成され、n−tub、p−tub、twin−tub、又はSOI技術を用いた、多くのCMOS又はBi−CMOSプロセスが利用可能である。隔離と、いくつかの層における結晶の外面的形態及びその構成と、並びに、各製造工程の順番とは、それぞれ異なる工程ではあるが、これらは、一般的な埋め込み(implantation)工程、及び、ゲート酸化物形成と、ポリ(poly)(1層又は2層)蒸着と、トランジスタ端末に接触するように形成された1層以上の金属膜形成といったドライブイン工程(dorive-in step)であり、これらによって、IC内に内部接続回路が形成される。図1に示すように、酸化ケイ素基板は、NMOSトランジスタ14やPMOSトランジスタ10のゲート酸化物(gate oxide)を形成するために表面において成長し、続いて、当該ゲート酸化物の表面上にポリシリコン膜の蒸着及びパターニングが行なわれる。また、p+ソース層11とp+ドレイン層12が埋め込まれ、上記ゲートに対して自己整列(self-aligned)しても良い。NMOSトランジスタ14は、上記ゲートに埋め込まれて自己整列するn+ソース層15及びn+ドレイン層16を略同じような方法によって形成することができる。どちらのタイプのトランジスタが形成される場合であっても、ソースとドレイン拡散層上にタングステン金属被膜層13が塗布され、パターン形成される。また、タングステン金属被膜13は、膜領域中における抵抗ヒーター6の形成にも用いられる。その後、他のタングステン金属層を、内部接続として形成してもよく、互いを、一般に酸化ケイ素を材料にした内部絶縁層を通じて隔離しても良い。最後に、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ガラス又は有機物を材料にした保護膜を、少なくとも金属膜表面を含む(好ましくは積層した金属膜とともに含む)パッドを除いた集積回路の表面に、ICの全体を覆うように形成される。
【0024】
電流か電圧がヒーター6に供給されると、検知領域の高い断熱性と非常に低い熱容量(thermal capacitances)のため、検知領域において温度が急速に上昇する。すると、ガス分子が、常温動作型化学抵抗器センサー7のガス感受性層9と反応することができる。ヒーター6は、開ループ制御システムにおいて定電流又は、低電圧を与えられて作動させることができる。しかしながら、ヒーターの抵抗率をモニタリングする場合は、閉ループ制御システムでヒーターの電流と電圧を変更することが可能である。これにより非常に正確なヒーター温度の設定が可能になり、それゆえ、ガス感受性層9の温度の設定も非常に正確に行うことができるようになる。ガスがガス感受性層9と反応すると、ガス感受性層の伝導率が変化する。そして、この変化を適切な検出回路(図示せず)によって検出することができる。上記温度は、参照する室温に対する、ヒーターの抵抗性の変化を検出することによってモニターされても良い。図1aの平面図に示されている、ガス感受性膜9の下にある、互いに組み合わされた電極81と電極82から形成される一対の電極8は、ガス感受性層9の伝導率と抵抗性を測定するのに用いられ、ガス感受性層9の電気抵抗率は、分析中のガスの濃度と相関する。電極81と電極82の個々の指状突起は、1〜100μmの幅を有し、指状突起内部のギャップ(interfinger gap)は概して1〜10μmの範囲に収まっている。この場合、アスペクト比は、指状突起の長さと指状突起の対の数を、ギャップの幅で割ることでおおよそ求められる。
【0025】
検知領域の温度をモニターするため、CMOS又は、Bi−CMOSが集積された温度検知手段が、ガス感受性層9に近接した検知領域に形成されても良い。そのような温度検知手段は、金属抵抗器、ポリシリコン抵抗器、又はシリコン抵抗器からなる受動センサー(passive sensor)か、CMOSプロセスで形成される単極性又は二極性の装置を材料にした能動センサー(active sensor)であり、温度とともに、抵抗率、担体移動度(carrier mobility)、又はエミッタ・ベース電圧といったものにも用いることができる。このような温度検知手段は、幅広く用いることができるとともに、正確な結果を示すものである。
【0026】
上記ヒーター6は、検知領域を均一に加熱するように、蛇行構造(meandering structure)を形成していても良い。もし、前記センサー(検知装置)が個々のセンサーセルの配列(アレイ)を有する場合、単一の一般的なヒーターを全センサーセルに用いても良いし、又は、その代わりにヒーターの配列(アレイ)を用いても良い。もし、必要ならば、そのようなヒーター配列が、異なるセンサーセルを異なる温度で加熱するように構成されていても良い。
【0027】
CMOSプロセスにおいてタングステン内部接続(回路)を用いることで多様な設計構造の選択が可能になる。いくつかの実現可能なガス検知器の設計構造については後述する。また、後述する設計構造は、用いたタングステン層の数によって列記している。タングステン層の数が最小になるのは、タングステンからなる側方ヒーター(lateral heater)が側方抵抗性ガス検知器に隣接している場合になるだろう。また、抵抗性ガス検知器の代わりに、同様の構造の熱量測定ガス検知器を用いてもよく、その場合には、熱量測定性ガス検知器が、ガス感受性膜の温度の上昇又は、降下の測定に用いるヒーター又は温度検知手段を除いた構造であればよい。また、場合によっては、電気化学的に蒸着されるガス感受性材料を、金属平板の上に設ける必要があるしかしながら、これは、スパッタリング、非電解メッキ、物理的又は化学的な気相蒸着法などによって蒸着される上記のガス感受性層膜に対しては、通常、必要ない。
【0028】
タングステンヒーターは、タングステンの高い電気伝導率のために、プラチナからなるヒーターに対応する設計よりも大きくならなければならないだろう。したがって、必然的な代替案は、ヒーターがいくつもの垂直方向に並んだ加熱層(heating layer)を含むことが好ましいだろう。
【0029】
(単層のタングステン層を有するヒーター)
ここでの1つ目の設計構造は、1つ以上の数の側方ガスセンサーと組み合わせて構成される、タングステンからなる(CMOS金属被覆工程による)単層抵抗ヒーターを表している。図1、2そして図3は、3種類の異なる実施形態を示している。すなわち、図1を参照して前述した実施の形態では、テーパー型の側壁17を形成するために(例えば100のシリコン基板(the 100 silicon substrate)のウェットエッチングを用いて)異方性エッチバックを利用しており、図2に示す他の実施形態では、平行な側壁17’を形成するように(例えば深堀り反応性イオンエッチングのようなドライエッチングを用いて)異方性エッチバックを利用している。そして、図3に示す他の実施の形態では、センサーの電極8’のためにタングステンに替えて、より望ましい金を用いている。
【0030】
2つ目の設計構造は、SOI CMOS又は、Bi−CMOSプロセスに基づいている。この設計構造では、タングステンからなる抵抗ヒーターは、1つ以上の数の、側方抵抗性ガス検知器及び側方酸化絶縁物(lateral oxide isolation)と組み合わせて用いられる。図4に示す実施の形態では、SOI技術に特異的な埋没酸化層(buried oxide layer)18を、電子回路領域において基板からトランジスタを絶縁するために用いられている。また、この埋没酸化層18は、エッチバック・ストップとして用いることもできる。埋没酸化層18の上にある能動シリコン(active silicon)は、検知領域では(エッチング又は、酸化によって)取り除かれており、そして取り除かれた場所には、効果的な熱隔離(thermal isolation)を行う酸化ケイ素の層がある。
【0031】
3つ目の設計構造では、タングステンからなる抵抗ヒーターが、電気化学的エッチ・ストップ及び1つ以上の数の側方抵抗性ガスセンサー(lateral resistive gas sensor)と組み合わせて用いられている。図5に示す実施の形態では、原基板(original substrate)2の一部であるシリコン薄層19が、熱拡散板として、エッチングを受けずに残されている。熱拡散板は、検知領域において温度がより均一になるように手助けをするが、結果として多大な電力を消費する。シリコン薄層19は、ドーピングされるとともに、シリコン基板との整流接合部(rectifying junction)を形成する。整流接合部がエッチングされた道(etched way)である場合、当該整流接合部を流れる電流は、その流れが変わる。
【0032】
(2層のタングステン層を有するヒーター)
ここでの1つ目の設計構造では、1つ以上の数の側方ガスセンサーを有する、タングステンからなる2層抵抗ヒーターを提供する。この構造では、図6に示すように、2層のタングステン加熱層(tungsten heating layer)20・21が、2つのマイクロヒーターとして、積層された形態で設けられており、2つの要素(マイクロヒーター)があることによって、ある同一の領域に対して、1層の加熱層しか有していない構造と比較して、熱の投入量(input)の増加させることができる。
【0033】
2つ目の設計構造は、第2のタングステン層から構成される拡散板を有する第1のタングステン層から構成される抵抗ヒーターと、側方抵抗性ガスセンサーとを提供する。この構造は、図7で示すように、タングステン加熱層20とタングステン拡散板22とが一方を他方の上に配置しており、2つの要素ある抵抗ヒーターによって、ある同一の領域に対して、1層の加熱層しか有していない構造と比較して、熱の投入量(input)の増加させることができる。拡散板22は、加熱層20で発生した熱を、ガス感受性層9の方向へ拡散させる構成となっている。
【0034】
3つ目の設計構造は、1つ以上の数の側方抵抗性ガスセンサーを有する2層抵抗ヒーターを提供する。この構造では、図8で示すように、2層のタングステン加熱層23・24が一方を他方の上に配置した構造であるとともに、それぞれが織り交ぜられた構造となっており、2つの要素ある抵抗ヒーターによって、ある同一の領域に対して、1層の加熱層しか有していない構造と比較して、熱の投入量(input)の増加させることができるまた、織り交ぜられた構造とすることによって、より等温な表面プロファイルが作り出される。図9は、設計構造の実施例を示した平面図であり、互いが側方にオフセットされ、蛇行構造を有するように配置された加熱層23・24を示している。それに対して図10は、他の実施例を示した平面図であり、一方が他方と直行するように、蛇行構造を有するように配置された加熱層23’・24’を示している。
【0035】
4つ目の設計構造は、1つ以上の数の側方抵抗性ガスセンサーを有する2層抵抗ヒーターを提供する。この構造は、図11に示すように、2層のタングステン加熱層25と26とが、ガスセンサー電極8と相対的に温度勾配を生み出すように、互いが側方に配設された構造となっている。この構造によって、2種類の異なった(定常状態)温度でのセンサー材料のレシオ測定に用いることができる。
【0036】
5つ目の設計構造は、1つ以上の数の側方抵抗性ガスセンサーを有する2層の抵抗ヒーターを提供する。この構造は(図示せず)、2層のタングステン加熱層を積層させた構造とし、これらを直列につなぐことによって、ヒーターの電気抵抗を増加させ、流れる電流を制限している。上記2層の加熱層は、側方抵抗性ガスセンサーの信頼性を高めために、エッチバックによって形成される膜の領域の外側に位置する層間の接合部を経由して内部接続されていても良い。
【0037】
(2層以上のタングステン層を有するヒーター)
ここでの1つ目の設計構造は、図12で示すように、1つ以上の数の側方ガスセンサーを有した2層のタングステン加熱層27・28が互いに積層された構成となって配置されており、この間にタングステン拡散板29が設けられた2層抵抗ヒーターを提供する。また、このうちの1層以上の層は、熱を側方へ伝導することによってヒーター領域全域で温度をより均一にするための熱吸い込みプレート(heat sinking plate)として用いられても良い。また、より等温の膜表面を作り出すように、例えばタングステン標準ヒーター(tungsten standard heater)(金属2(Metal 2))を、1区画のヒートシンク(square heat sink)(金属1/3(Metal 1/3))の下方に配置することができる。
【0038】
2つ目の設計構造は、図13で示すように、1つ以上の数の側方ガスセンサーを有した、1層のタングステン加熱層30と、タングステン拡散板31と、温度検知手段32とを含む単層抵抗ヒーターを提供する。上記温度検知手段32は、タングステンからなっており、その役割としては、この設計構造を加熱するのではなく、高温下における当該構造の抵抗性変化を測定するために設けられる。なお、上記温度検知手段32によって発生する熱量(power)は実際の加熱層30によって発生する熱量に比較すれば、取るに足らないものである。
【0039】
3つ目の設計構造は、図14で示すように、1つ以上の数の側方ガスセンサーを有する、互いに側方へ配設される3層のタングステン加熱層30、34、35からなる3層抵抗ヒーターを提供する。この構造によって、設置領域を減少させることができるとともに、3つの異なった作動温度をデジタル方式で切り替えることができるようになる。
【0040】
同じ膜内に1つ以上のヒーターを用いることが、有利となる場合がある。例えば、上記ヒーターのうち1つを温度直流バイアス(temperature DC bias)の調整に用いて、他のヒーターを熱の調節に用いることができる。また、この調整を、低周波の交流信号を印加することによって行ってもよい。
【0041】
(複数のタングステン層及び垂直センサー構造を有するヒーター)
図15では、1つ以上の数の側方抵抗性ガスセンサー36を有する単層抵抗ヒーターを提供しており、この単層抵抗ヒーターには、1つ以上のセンサ電極が、互いに近くに配設されている(側方配置(lateral configuration))というよりむしろ、一方の最上部に他方が接触した状態で積み重なっている。この構造では、上記ガス感受性層は上記装置表面の下に並んでいることから、センサーの領域を減らすことができる。上記センサーは感度を落とすことなく、より小型に製造することができる。もし、2つの抵抗性センサー電極が1つの溝の同じ側面に形成される場合は、2つのセンサ電極間の間隔は1μm以下が良い。さらには、もし2つの抵抗性センサー電極が1つの溝を跨いだ形で形成される場合は、2つのセンサー電極間の間隔は溝の幅に依存する。
【0042】
図16は、多数の垂直電極(vertical electrodes)37を有する単層抵抗ヒーターを示している。この構造によって、時空測定のための、溝内へのガス拡散を行うのと同じくらいの一連の高速測定が可能になる。
【0043】
図17では、空隙40及び垂直抵抗性ガスセンサー39を囲むように設けられた垂直方向に間隙を有する電極41を囲むように設けられた単層以上の抵抗性側方ヒーター(resistive lateral heater)38を示している。この構造は、フローセンサー(flow sensor)やその他の形式の装置に用いることが可能である。図18は、装置の平面図であり、円形(四角などに置き換えても良い)の空隙、及び一方を他方の上に重ね合わせた(この図では分かれて見えない)2層の抵抗性加熱層(resistive heating layers)を示したものである。
【0044】
このような方法による多層構造とすることにより、抵抗ヒーターの新しい設計構造が可能になり、異なった方法で作動することができる新しい抵抗ヒーターを提供することができる。つまり、このような設計構造のヒーターの1つとしては、基底温度(base temperature)(例えば100℃くらい)まで加熱するのに用いると共に、測定温度(例えば300℃くらい)まで加熱するよう増加させる切り替えをできるようにしても良い。そのようなヒーターは、デジタル方式で切り替えを行うように構成すればよく、このように構成すれば、非常に単純な制御回路が必要となるだけである。さらには、側方の2層のヒーター構造が、上記ガスセンサーを介して温度勾配を形成するように構成されていてもよい。しかしながら、そのような構造は、場所を多く必要とするため、垂直構造に比較してより効率が悪くなるだろう。
【0045】
本発明の実施の形態によって、従来のガスセンサーよりも優れた、以下の効果が得られるだろう。
1)600℃を超えても作動可能である。これに対して、ポリシリコンはそのような高い温度では長期の安定性を得られない。また、ドーピング層の正確な特性の調節も難しい。アクティブFETヒーター(Active FET heaters)は350度以上では使用できないことから、タングステンヒーターは、特に水素やメタンを検出するためのマイクロ熱量計(microcalorimeters)として有用である。
2)Si、Al、またはPtを用いる装置と比較して、よりすぐれた機械的強度とヤング弾性率を有している。
3)一般的なCMOSプロセスではチップ中のシリコン装置と内部接続するため多くのアルミニウム膜を使用する。しかしながら、アルミニウムはその低い融点から、高温のヒーターには向いていない。
4)ヒーターの金属層は、広範囲の応用に対して適用できるために必要である条件を充たしていなければならない。具体的には、以下のような条件を充たす必要がある;
a)電気伝導率は、高速のCMOS処理を行うことを可能にするのに十分なだけ高くなければならず、あらゆる寄生的な抵抗性の内部接続回路(interconnect paths)は減らさなければならない。
b)電気伝導率は、低電力で、かつ低単位コスト(low unit cost)を充たす小型のヒーターを作るため、十分に低くなければならない。上記ヒーターの抵抗性は、CMOSボルト数(CMOS voltage)(最大5V)の処理とともに低電流で作動できるように、適度に高い必要がある。
c)ヒーターの材料は、900℃に達する温度でも作動できるように、高い融点をもっていなければならない。
5)加えて、ヒーターの設計構造は、等温構造(isothermal structure)を提供でkりうように構成されていなければならない。高温CMOSプロセスにおいてタングステン金属層を用いることでこれらのすべての条件を充たすことができる。
タングステンの電気伝導率は、アルミニウムや金よりも低く、これがより小さい抵抗性ヒーターの設計構造を助けているが、タングステンの電気伝導率もプラチナほどは低くはない。しかしながら、プラチナはCMOS技術に互換性のある材料ではない。タングステンは他の金属よりもはるかに高い降伏強さ(耐力)を有していることからより頑丈である。
6)アルミニウムに対してタングステンは、エレクトロマイグレーションの被害をうけない。これは、信頼性を失う恐れなく、アルミニウムよりも多い電力と高い電流を用いることができることを意味している。また、これは、タングステン金属溝をより狭く作ることができ、その結果、より小型のヒーターを作りだすことができることを意味している。
7)また、タングステンヒーターは温度検知手段として用いることもできる。そのTCR(温度抵抗係数)はプラチナよりも50%高い。これはつまり、タングステンヒーターは温度検知手段として50%高い感度をもつことを意味している。代わりとして、タングステンからなる分離型温度検知手段(separate temperature sensor)を用いても良い。
8)タングステンは、SOI(Bi)CMOSプロセスにおける高温内部接続金属(high temperature interconnect metal)として用いられる。これによって、ICは、250℃に達するまでの温度で作動できるようになる。したがって、センサーの電子回路領域内における温度は、アルミニウム金属被膜を伴ったICチップの上記温度をはるかに超過することができる。したがって、このようなセンサーは、非常に高温の環境中で用いることが可能になる。
【0046】
上述の理由により、タングステンが、高温のマイクロホットプレートガス検知装置に用いられる抵抗ヒーターに特に有利な材料であることが高く評価されるべきだろう。下記の表1では、Al、Au、Ptにおける対応する特性と比較した場合のWの望ましい特性を例証している。
【0047】
【表1】
【0048】
上述した構造は、検出対象であるガスの存在下において、ガス感受性層による付加的な放熱又は吸熱を行うマイクロ熱量計として(又は、化学抵抗器(chemoresistors)とマイクロ熱量計の両方として)用いることもできる。この場合では、センサー材料の温度がガスとの反応によって変化するので、ガスの性質及び/又はその濃度を、検出対象であるガスの存在下においてガス感受性層による付加的な放熱又は吸熱をモニターすることで決定することができるようになる。そのような構成のために適当なガス感受性層としては、Γ―アルミナ(ぺリシトール(pellistor))のような非電気伝導率の材料からなるものが良い。酸化スズのような化学抵抗性(chemoresisitive)の材料は、熱伝導率を変化させるため、高温下における、熱伝導率と、放熱と、電気伝導率のそれぞれの変化をモニターすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る実施形態の検知領域の断面図である。
【図1a】検知電極を示した平面図である。
【図2】単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態の検知領域の断面図である。
【図3】単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態の検知領域の断面図である。
【図4】単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態の検知領域の断面図である。
【図5】単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態の検知領域の断面図である。
【図6】二層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る実施形態における検知領域の断面図を示したものである。
【図7】二層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態における検知領域の断面図を示したものである。
【図8】二層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態における検知領域の断面図を示したものである。
【図9】ヒーターの構造を示す平面図である。
【図10】ヒーターの他の構造を示す平面図である。
【図11】二層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態における検知領域の断面図を示したものである。
【図12】多層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る実施形態に検知領域の断面図である。
【図13】多層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る実施形態に検知領域の断面図である。
【図14】多層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る実施形態に検知領域の断面図である。
【図15】他の実施形態における検知領域の断面図である。
【図16】他の実施形態における検知領域の断面図である。
【図17】他の実施形態における検知領域の断面図である。
【図18】図17に示した実施形態の平面図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、1種類以上のガスの存在及び/又はその濃度を検知するために用いるガス検知半導体装置に関するものである。
【0002】
従来より、半導体装置内部にガス微小検知器を形成する技術が知られている。具体的には、酸化アルミニウム基板を用いて、半自動製造法によって高温金属酸化物伝導測定性検知器(high-temperature metal oxide conductimetric sensors)を製造する技術が知られている。近年では、上記検知器においてシリコンを代わり用いた形態の検知器を製造する試みがなされており、この形態では、酸化物または窒化物の絶縁薄膜と集積したプラチナヒーターを使用する。上記検知器は、作動温度が300℃から600℃の間である場合、従来のセンサーよりも消費電力が少ない。しかしながら、このような検知器の上記の膜の二部蒸着や二つの膜層に挟まれる金属加熱層の蒸着は、集積回路技術によるガス微小検知器の製造を困難なものとしている。また、例えばパラジウムなどの120℃から200℃の間で作動する触媒ゲート(catalytic gates)を用いたMOSFET電位差測定性検知器の発展にも多くの関心が集まっている。しかしながら、このような検知器は、非効率的であるとともに、比較的高コストであるため、限定的な適用にとどまるだろう。
【0003】
WO98/32009号に、半導体基板と、当該半導体基板の片側上に設けられた絶縁薄層と、当該絶縁薄層の最上部に設けられた半導体薄層とを備えたガス検知器が開示されている。このガス検知器は、上記半導体基板材料が、絶縁薄層と半導体薄層とによって形成される1つの膜を残すように取り払われた検知領域を、少なくとも1領域有している。そして、この1つの検知領域又は複数の検知領域の各々は、ガス感受性層(gas-sensitive layer)と、当該ガス感受性層とガスとの反応を促進するために当該ガス感受性層を熱するためのヒーターとを備えている。さらに、この1つ又は複数の検知領域の各々は、半導体薄層内に形成されるMOSFETを、ヒーター及び/又はガス検知器の一部として組み込んでおり、上記のガス検知器は、電気的な出力方法によってガス感受性層とガスと反応を提示する。しかしながら、上記ガス検知器では、何れのMOSFET構造にも内在している寄生的なバイポーラ・トランジスタが高い温度で作動するため、比較的低い温度でのみ作動可能である。加えて、アルミニウムがCMOS金属層として用いられた場合は、250℃が上限温度になり、これを超えると、エレクトロマイグレーションまたはストレスによって長期退行(long term degradation)が起こり得ることになる。
【0004】
そこで、ガス感受性層(たとえば、酸化スズ)の温度を上昇させるための微小ヒーターを組み込むと共に、電子回路に集積された、小型で低コストのガス検知装置を提供する必要がある。Gardner J.W.,Pike A.,de Rooij N.F.,Koudelka−Hep M.,Clerc P.A.,Hierlemann A.and Gopel W.,1995 Sensors and Actuators,B 26 135−139,“Integrated chemical sensor array for detecting organic solvents”では、プラチナ又はドープされた(doped)ポリシリコンを用いて抵抗器を形成することが報告されている。しかしながら、プラチナはCMOS技術に不適合な材料であり、また、ポリシリコンは付加的な工程が必要になると共に、長期的な安定性を失う傾向となる熱源を形成してしまう。前述の通り、WO98/32009号では、能動ヒーター(active heater)の形成にMOSFETを使用しているが、シリコン技術では、約300℃から350℃の間が装置の限界作動温度である(Udrea F.,Gardner J.W.,Setiadi D.,Covington J.A.,Dogaru T.,Lu C−C. and Milne W.I.,2001 Sensors and Actuators,B 78 180−190,“Design and simulations of a new class of SOI CMOS micro hot−plate gas sensors”を参照)ことから、約550℃の作動温度が必要であるメタン検出には不適当である。
【0005】
また、高温下CMOSプロセスにおいて、タングステン内部接続を用いる方法が知られている。例えば、W.Yun,R.Howe,そしてP.Gray,による論文“Surface micromachined,digitally force−balanced accelerometer with integrated CMOS detection circuitry,”Proc.of the IEEE Solid−State Sensor and Actuator Workshop ‘92,p.126,1992,には、さらなるポストCMOS高温プロセス(further post-CMOS high temperature processing)を可能にするために、この加工に充分耐え得るタングステンを、アルミニウムの代わりに金属化(metallisation)に用いる記述がある。
【0006】
また、タングステンは、SOI CMOSプロセスにおける高温金属化にも用いられてきた(“ Tungsten metallisation for high−temperature SOI device”,by J.Chen and J.P.Colinge,paper E−I.4,European Materials Research Society,Strasbourg,France,1994,and Materials Science and Engineeringを参照)。
【0007】
しかしながら、これらの参考文献の何れにも、CMOS互換プロセスにおける抵抗ヒーター(resistive heater)としてタングステンを用いる方法については開示されていない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、従来のバルク(bulk)製造方法を用いて低コストに生産し得る、高温下における機能に関して改良がなされた、ガス検知半導体装置を提供することにある。
【0009】
すなわち、本発明に係るガス検知半導体装置は、半導体基板と、ガス感受性層及び、当該ガス感受性層とガスとの反応を促進するためにガス感受性層を加熱するためのヒーターによって構成される少なくとも1領域の検知領域と、上記ガス感受性層のガス反応を電気的な出力として示すセンサーとを備えており、上記ヒーターには、少なくとも1層のタングステン層が設けられたガス検知半導体装置である。
【0010】
従来の平面集積ガス検知器と比較すると、CMOS互換プロセスにおいて上記のタングステンヒーター(tungsten heater)を用いた場合、本発明の装置の製造は非常に簡略化され、したがって、その製造コストも減少する。さらに、本発明の装置は、抵抗性ガス検知器や、熱量測定ガス検知器(calorimetric gas sensor)であっても良く、さらには、処理ユニットや駆動回路といった処理回路ととも共に、1つのチップ上に集積されて得られる“高機能の(smart)”ガス微小検知器であっても良い。上記ヒーターは、従来のガス微小検知器とは異なり、ICの製造方法として既に起用されている工程に新たな工程を追加する必要なく製造することができる。また、本発明によれば、1つ以上のタングステン抵抗ヒーターを用いることによって、200℃を超える温度でのCMOSプロセスを可能とする(SOIの場合では最高温度250℃)一方で、600℃を優に超える温度で装置の作動を可能にすると同時に、ヒーターを比較的小型化することができる。
【0011】
SOI技術は、一般的に、SIMOXとして知られているエピタキシャル成長の後に続く、ウエハ接着又は酸素イオンの注入に基づいたものである。また、スマートカット(smart-cut)といったような他の技術も用いられている。CMOS SOI集積回路は、埋め込まれた酸化ケイ素(silicon oxide)を通じて基板と隔離された最表面の半導体層に様々なトランジスタを生成することによって製造される。上記の酸化ケイ素の代わりに、窒化ケイ素(silicon nitride)や、酸化ケイ素と窒化ケイ素との混合物といった他の絶縁材料を用いることもできる。そして、MOSFET’sといった個々の半導体装置が、既知の製造工程を用いてシリコン薄層の中に製造される。上記電子装置(半導体装置)は、例えば0.5〜1μmの厚さの非常に薄い能動半導体層(active semiconductor layer)中に形成されるため、SOI技術は、結果として、簡易で効果的な装置の隔離(isolation)と同様に、寄生容量と、ラッチアップ除去(latch-up elimination)と、ショートチャンネル効果との低減が行われた、高速/低電力のCMOS特性となる。加えて、完全空乏型装置(極薄SOI基板を含む)が報告されているという面白い特徴がある。それらはよじれ現象(kink phenomena)を示してはおらず、鋭いサブスレッショルド係数(sub-threshold slope)を有している。そして、衝突イオン化及びチャージポンピング現象に関連する動的な基板浮遊効果という点から見れば、上記装置は安定である。SOIトランジスタもまた従来のバルクシリコン装置と比較したときには、およそ10〜100の要因による低いオフ状態漏電流(lower off-state leakage current)を有する。これは、待機電力の散逸の減少に重要である。加えて、SOI技術は、主に漏電流(leakage currents)の減少によって、従来の装置よりもより高い温度での装置の作動を可能にしている。
【0012】
タングステンヒーターを有するCMOS互換膜の製造は、従来のバルクCMOSプロセスの場合のような高い漏電流又はラッチアップによる影響を失くし、膜領域における非常に高い温度(検知材料とガスとが反応するための600度以上の温度)と、隣接した回路領域における比較的高い温(250℃までの温度)とを可能にしている。したがって、SOI技術は、高性能のガス検知器に非常に適合している。けれども、タングステン金属化を伴うバルクCMOSプロセスもまた、わずかに安価な代替法として用いることが可能である。
【0013】
本発明のガス検知半導体装置によれば、上記の検知領域は、少なくとも一層の絶縁薄層と抵抗ヒーターを設けるための金属層とによって形成されるものであり、膜上に形成されることが好ましい。上記の膜は、例えば、等方性深堀り反応性イオンバックエッチング法を用いて、基板材料が除去されることによって形成されることが好ましい。バルクCMOSプロセスの場合は、誘電体層が、標準のCMOS内部誘電体層又はフィールド酸化物(a field oxide)であってもよい。CMOS SOIの場合は、上記絶縁薄層は、一般的なSOI構造の一部分である酸化ケイ素埋め込み層(the silicon oxide buried layer)である。この層は二つの目的の役に立っている。すなわち、(1)上記検知領域のエッチストップとして働くと共に、高温下での電力消費を抑えるために熱的に上記検知領域を隔離する目的、そして、(2)特殊な場合の低電力のCMOS SOI集積回路内における干渉の減少と、ラッチアップ除去と、静電容量の減少と同様に、例えば、あらゆる関連集積回路領域と、組み込まれている変換器と、関連する処理回路とからの高水準な電気的隔離を可能にする目的に役立つものである。
【0014】
膜の上記した高い熱的隔離特性(high thermal isolation properties)により、非常に低い電力消費で高温を生じさせることができる。これは、ガス感受性層の活性材料(active material)と反応するために高温が必要であるガスに対して適用するのに特に有利である。種々のガスの性質や濃度又は、上記ガスの混合物の性質や濃度が種々の温度でのガス感受性層の伝導性の変化を測定することによって決定されても良い。金属酸化物ガス感受性層が200℃を超える温度を必要とし、触媒酸化物が500℃を超える温度を必要とすること考慮して、有機金属や触媒金属(catalytic-metal)ガス感受性層は、低い温度(100℃以下)又は中ぐらいの温度(100℃から200℃)で反応することができる。したがって、ガス微小検知アレイ装置(a gas microsensor array device)は、同じチップ中に利用可能な種々のガス感受性層を用いたいくつかのセンサーセル(sensor cell)を個々に集積することによって構築しても良い。上記センサーセルの各々は、同じ膜上又は別々の膜上に構築することができる。このようなガス微小検知アレイ装置は、個々のセンサーにわたって、ガス選択性の向上、低ノイズ、卓越した設計構造又は信号工程(signal processing)による悪影響を低減させるといった優位性を有している。
【0015】
添付の図の説明と、種々の実施の形態の詳細な説明により、本発明はより詳細に理解されるであろう。なお、添付の図には以下のものがある。
【0016】
図1から図5は、単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態の検知領域の断面図であり、図1aは検知電極の平面図を示したものである。
【0017】
図6、図7、図8、図11は、二層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態における検知領域の断面図を示したものであり、図9と図10とは、ヒーターの構造に関する二種類の代案の平面図である。
【0018】
図12と図14とは、多層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態に検知領域の断面図である。
【0019】
図15と図17とは、さらに他の実施形態における検知領域の断面図であり、図18は、図17に示した実施形態の平面図である。
【0020】
本発明に関するガス検知半導体装置における複数の実施の形態は、後述するように、非SOI(例えば一般的なバルク(bulk))技術又はSOI(例えばスマートカットUNIBOND(Smart Cut UNIBOND))CMOS技術を用いて製造されるものであり、これによって、1枚のチップ内に、ガス検知領域とIC回路を集積するように製造されるものである。また、それぞれの検知領域は、少なくとも1枚の絶縁薄層と、抵抗ヒーターとして機能するタングステン金属層とから形成される薄い膜である。これらの実施形態の構造をとることで、優に600℃を超える温度での作動が可能になる。絶縁薄層は、熱的な隔離を行い、その材料としては、酸化物、窒化物、酸化物と窒化物の混合物、又は、他の絶縁性材料を用いることができる。従来のガス微小検知器と異なり、高価で複雑な製造工程を含む低ストレスである特殊な層蒸着法(low-stress special layer deposition)を必要としない。より詳細な説明に関しては、検知領域内の装置の製造に関する記載中で説明するが、ICの製造が、装置の他の場所における関連回路を設けるために非常に大きな影響を与えることは理解できるであろう。
【0021】
図1の実施の形態では、装置1が、検知領域中の片面にSiO2薄層3と、当該SiO2薄層3の表面上に設けられた絶縁薄層4とを有するシリコン基板2上に製造されている。熱酸化物(thermal oxide)は、シリコンよりも低い熱伝導性をもつため、検知領域では熱による電力消費(thermal power losses)は大幅に減少するようになっている。タングステンからなる抵抗ヒーター6は、検知領域内に形成される。この抵抗ヒーターは、標準的なCMOS金属化プロセスの一部であるCMOSプロセス中に形成される(ポストCMOSプロセスの一部ではない)。したがって、検知領域中の抵抗ヒーター6と、電子回路領域中のソースとドレイン金属被膜13とは、個々の金属構造を定義づけるためのフォトリソグラフィによるパターン形成が施された同じタングステン層から形成することができる。
【0022】
ヒーター6に加えて、常温動作型化学抵抗器センサー(chemoresistor sensor)7が、検知領域内において2つの電極8をつなぐように、無機物(錫酸化物のような)又は有機物(ポリマーかフタロシアニン(ptharlocyanine)のような)かからなるガス感受性層9が配置されることによって製造される。上記ガス感受性層9は、スパッタリングなどで蒸着されるか、又は上記の2つの電極8の上に電気化学的成長によって形成しても良い(伝導ポリマーのように)。上記の2つの電極8は、CMOSプロセス中における金属被膜の一部として形成される最上層の金属層の1層を利用した第2のタングステン金属層から形成されるか、または金のような他の材料から形成されるか、ポストCMOSで蒸着されても良い。代替案として、電極8が、一連のCMOS工程の一部、又はポストCMOSプロセスの一部を用いて形成される、いくつかの層を組み合わせたものから形成されても良い。製造工程の最終段階の1つとして、上記基板2は、SiO2層3をバックエッチングの停止層として用いてエッチバックされ、検知領域に薄膜を形成される。上記エッチバックは、ウェットエッチング(例えば、KOHエッチング)によるものであっても、ドライエッチング(例えば、深堀り反応性イオンエッチング)によるものであっても良い。
【0023】
上記したような電子回路の領域では、既知のCMOSプロセスを用いて部品が形成され、n−tub、p−tub、twin−tub、又はSOI技術を用いた、多くのCMOS又はBi−CMOSプロセスが利用可能である。隔離と、いくつかの層における結晶の外面的形態及びその構成と、並びに、各製造工程の順番とは、それぞれ異なる工程ではあるが、これらは、一般的な埋め込み(implantation)工程、及び、ゲート酸化物形成と、ポリ(poly)(1層又は2層)蒸着と、トランジスタ端末に接触するように形成された1層以上の金属膜形成といったドライブイン工程(dorive-in step)であり、これらによって、IC内に内部接続回路が形成される。図1に示すように、酸化ケイ素基板は、NMOSトランジスタ14やPMOSトランジスタ10のゲート酸化物(gate oxide)を形成するために表面において成長し、続いて、当該ゲート酸化物の表面上にポリシリコン膜の蒸着及びパターニングが行なわれる。また、p+ソース層11とp+ドレイン層12が埋め込まれ、上記ゲートに対して自己整列(self-aligned)しても良い。NMOSトランジスタ14は、上記ゲートに埋め込まれて自己整列するn+ソース層15及びn+ドレイン層16を略同じような方法によって形成することができる。どちらのタイプのトランジスタが形成される場合であっても、ソースとドレイン拡散層上にタングステン金属被膜層13が塗布され、パターン形成される。また、タングステン金属被膜13は、膜領域中における抵抗ヒーター6の形成にも用いられる。その後、他のタングステン金属層を、内部接続として形成してもよく、互いを、一般に酸化ケイ素を材料にした内部絶縁層を通じて隔離しても良い。最後に、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ガラス又は有機物を材料にした保護膜を、少なくとも金属膜表面を含む(好ましくは積層した金属膜とともに含む)パッドを除いた集積回路の表面に、ICの全体を覆うように形成される。
【0024】
電流か電圧がヒーター6に供給されると、検知領域の高い断熱性と非常に低い熱容量(thermal capacitances)のため、検知領域において温度が急速に上昇する。すると、ガス分子が、常温動作型化学抵抗器センサー7のガス感受性層9と反応することができる。ヒーター6は、開ループ制御システムにおいて定電流又は、低電圧を与えられて作動させることができる。しかしながら、ヒーターの抵抗率をモニタリングする場合は、閉ループ制御システムでヒーターの電流と電圧を変更することが可能である。これにより非常に正確なヒーター温度の設定が可能になり、それゆえ、ガス感受性層9の温度の設定も非常に正確に行うことができるようになる。ガスがガス感受性層9と反応すると、ガス感受性層の伝導率が変化する。そして、この変化を適切な検出回路(図示せず)によって検出することができる。上記温度は、参照する室温に対する、ヒーターの抵抗性の変化を検出することによってモニターされても良い。図1aの平面図に示されている、ガス感受性膜9の下にある、互いに組み合わされた電極81と電極82から形成される一対の電極8は、ガス感受性層9の伝導率と抵抗性を測定するのに用いられ、ガス感受性層9の電気抵抗率は、分析中のガスの濃度と相関する。電極81と電極82の個々の指状突起は、1〜100μmの幅を有し、指状突起内部のギャップ(interfinger gap)は概して1〜10μmの範囲に収まっている。この場合、アスペクト比は、指状突起の長さと指状突起の対の数を、ギャップの幅で割ることでおおよそ求められる。
【0025】
検知領域の温度をモニターするため、CMOS又は、Bi−CMOSが集積された温度検知手段が、ガス感受性層9に近接した検知領域に形成されても良い。そのような温度検知手段は、金属抵抗器、ポリシリコン抵抗器、又はシリコン抵抗器からなる受動センサー(passive sensor)か、CMOSプロセスで形成される単極性又は二極性の装置を材料にした能動センサー(active sensor)であり、温度とともに、抵抗率、担体移動度(carrier mobility)、又はエミッタ・ベース電圧といったものにも用いることができる。このような温度検知手段は、幅広く用いることができるとともに、正確な結果を示すものである。
【0026】
上記ヒーター6は、検知領域を均一に加熱するように、蛇行構造(meandering structure)を形成していても良い。もし、前記センサー(検知装置)が個々のセンサーセルの配列(アレイ)を有する場合、単一の一般的なヒーターを全センサーセルに用いても良いし、又は、その代わりにヒーターの配列(アレイ)を用いても良い。もし、必要ならば、そのようなヒーター配列が、異なるセンサーセルを異なる温度で加熱するように構成されていても良い。
【0027】
CMOSプロセスにおいてタングステン内部接続(回路)を用いることで多様な設計構造の選択が可能になる。いくつかの実現可能なガス検知器の設計構造については後述する。また、後述する設計構造は、用いたタングステン層の数によって列記している。タングステン層の数が最小になるのは、タングステンからなる側方ヒーター(lateral heater)が側方抵抗性ガス検知器に隣接している場合になるだろう。また、抵抗性ガス検知器の代わりに、同様の構造の熱量測定ガス検知器を用いてもよく、その場合には、熱量測定性ガス検知器が、ガス感受性膜の温度の上昇又は、降下の測定に用いるヒーター又は温度検知手段を除いた構造であればよい。また、場合によっては、電気化学的に蒸着されるガス感受性材料を、金属平板の上に設ける必要があるしかしながら、これは、スパッタリング、非電解メッキ、物理的又は化学的な気相蒸着法などによって蒸着される上記のガス感受性層膜に対しては、通常、必要ない。
【0028】
タングステンヒーターは、タングステンの高い電気伝導率のために、プラチナからなるヒーターに対応する設計よりも大きくならなければならないだろう。したがって、必然的な代替案は、ヒーターがいくつもの垂直方向に並んだ加熱層(heating layer)を含むことが好ましいだろう。
【0029】
(単層のタングステン層を有するヒーター)
ここでの1つ目の設計構造は、1つ以上の数の側方ガスセンサーと組み合わせて構成される、タングステンからなる(CMOS金属被覆工程による)単層抵抗ヒーターを表している。図1、2そして図3は、3種類の異なる実施形態を示している。すなわち、図1を参照して前述した実施の形態では、テーパー型の側壁17を形成するために(例えば100のシリコン基板(the 100 silicon substrate)のウェットエッチングを用いて)異方性エッチバックを利用しており、図2に示す他の実施形態では、平行な側壁17’を形成するように(例えば深堀り反応性イオンエッチングのようなドライエッチングを用いて)異方性エッチバックを利用している。そして、図3に示す他の実施の形態では、センサーの電極8’のためにタングステンに替えて、より望ましい金を用いている。
【0030】
2つ目の設計構造は、SOI CMOS又は、Bi−CMOSプロセスに基づいている。この設計構造では、タングステンからなる抵抗ヒーターは、1つ以上の数の、側方抵抗性ガス検知器及び側方酸化絶縁物(lateral oxide isolation)と組み合わせて用いられる。図4に示す実施の形態では、SOI技術に特異的な埋没酸化層(buried oxide layer)18を、電子回路領域において基板からトランジスタを絶縁するために用いられている。また、この埋没酸化層18は、エッチバック・ストップとして用いることもできる。埋没酸化層18の上にある能動シリコン(active silicon)は、検知領域では(エッチング又は、酸化によって)取り除かれており、そして取り除かれた場所には、効果的な熱隔離(thermal isolation)を行う酸化ケイ素の層がある。
【0031】
3つ目の設計構造では、タングステンからなる抵抗ヒーターが、電気化学的エッチ・ストップ及び1つ以上の数の側方抵抗性ガスセンサー(lateral resistive gas sensor)と組み合わせて用いられている。図5に示す実施の形態では、原基板(original substrate)2の一部であるシリコン薄層19が、熱拡散板として、エッチングを受けずに残されている。熱拡散板は、検知領域において温度がより均一になるように手助けをするが、結果として多大な電力を消費する。シリコン薄層19は、ドーピングされるとともに、シリコン基板との整流接合部(rectifying junction)を形成する。整流接合部がエッチングされた道(etched way)である場合、当該整流接合部を流れる電流は、その流れが変わる。
【0032】
(2層のタングステン層を有するヒーター)
ここでの1つ目の設計構造では、1つ以上の数の側方ガスセンサーを有する、タングステンからなる2層抵抗ヒーターを提供する。この構造では、図6に示すように、2層のタングステン加熱層(tungsten heating layer)20・21が、2つのマイクロヒーターとして、積層された形態で設けられており、2つの要素(マイクロヒーター)があることによって、ある同一の領域に対して、1層の加熱層しか有していない構造と比較して、熱の投入量(input)の増加させることができる。
【0033】
2つ目の設計構造は、第2のタングステン層から構成される拡散板を有する第1のタングステン層から構成される抵抗ヒーターと、側方抵抗性ガスセンサーとを提供する。この構造は、図7で示すように、タングステン加熱層20とタングステン拡散板22とが一方を他方の上に配置しており、2つの要素ある抵抗ヒーターによって、ある同一の領域に対して、1層の加熱層しか有していない構造と比較して、熱の投入量(input)の増加させることができる。拡散板22は、加熱層20で発生した熱を、ガス感受性層9の方向へ拡散させる構成となっている。
【0034】
3つ目の設計構造は、1つ以上の数の側方抵抗性ガスセンサーを有する2層抵抗ヒーターを提供する。この構造では、図8で示すように、2層のタングステン加熱層23・24が一方を他方の上に配置した構造であるとともに、それぞれが織り交ぜられた構造となっており、2つの要素ある抵抗ヒーターによって、ある同一の領域に対して、1層の加熱層しか有していない構造と比較して、熱の投入量(input)の増加させることができるまた、織り交ぜられた構造とすることによって、より等温な表面プロファイルが作り出される。図9は、設計構造の実施例を示した平面図であり、互いが側方にオフセットされ、蛇行構造を有するように配置された加熱層23・24を示している。それに対して図10は、他の実施例を示した平面図であり、一方が他方と直行するように、蛇行構造を有するように配置された加熱層23’・24’を示している。
【0035】
4つ目の設計構造は、1つ以上の数の側方抵抗性ガスセンサーを有する2層抵抗ヒーターを提供する。この構造は、図11に示すように、2層のタングステン加熱層25と26とが、ガスセンサー電極8と相対的に温度勾配を生み出すように、互いが側方に配設された構造となっている。この構造によって、2種類の異なった(定常状態)温度でのセンサー材料のレシオ測定に用いることができる。
【0036】
5つ目の設計構造は、1つ以上の数の側方抵抗性ガスセンサーを有する2層の抵抗ヒーターを提供する。この構造は(図示せず)、2層のタングステン加熱層を積層させた構造とし、これらを直列につなぐことによって、ヒーターの電気抵抗を増加させ、流れる電流を制限している。上記2層の加熱層は、側方抵抗性ガスセンサーの信頼性を高めために、エッチバックによって形成される膜の領域の外側に位置する層間の接合部を経由して内部接続されていても良い。
【0037】
(2層以上のタングステン層を有するヒーター)
ここでの1つ目の設計構造は、図12で示すように、1つ以上の数の側方ガスセンサーを有した2層のタングステン加熱層27・28が互いに積層された構成となって配置されており、この間にタングステン拡散板29が設けられた2層抵抗ヒーターを提供する。また、このうちの1層以上の層は、熱を側方へ伝導することによってヒーター領域全域で温度をより均一にするための熱吸い込みプレート(heat sinking plate)として用いられても良い。また、より等温の膜表面を作り出すように、例えばタングステン標準ヒーター(tungsten standard heater)(金属2(Metal 2))を、1区画のヒートシンク(square heat sink)(金属1/3(Metal 1/3))の下方に配置することができる。
【0038】
2つ目の設計構造は、図13で示すように、1つ以上の数の側方ガスセンサーを有した、1層のタングステン加熱層30と、タングステン拡散板31と、温度検知手段32とを含む単層抵抗ヒーターを提供する。上記温度検知手段32は、タングステンからなっており、その役割としては、この設計構造を加熱するのではなく、高温下における当該構造の抵抗性変化を測定するために設けられる。なお、上記温度検知手段32によって発生する熱量(power)は実際の加熱層30によって発生する熱量に比較すれば、取るに足らないものである。
【0039】
3つ目の設計構造は、図14で示すように、1つ以上の数の側方ガスセンサーを有する、互いに側方へ配設される3層のタングステン加熱層30、34、35からなる3層抵抗ヒーターを提供する。この構造によって、設置領域を減少させることができるとともに、3つの異なった作動温度をデジタル方式で切り替えることができるようになる。
【0040】
同じ膜内に1つ以上のヒーターを用いることが、有利となる場合がある。例えば、上記ヒーターのうち1つを温度直流バイアス(temperature DC bias)の調整に用いて、他のヒーターを熱の調節に用いることができる。また、この調整を、低周波の交流信号を印加することによって行ってもよい。
【0041】
(複数のタングステン層及び垂直センサー構造を有するヒーター)
図15では、1つ以上の数の側方抵抗性ガスセンサー36を有する単層抵抗ヒーターを提供しており、この単層抵抗ヒーターには、1つ以上のセンサ電極が、互いに近くに配設されている(側方配置(lateral configuration))というよりむしろ、一方の最上部に他方が接触した状態で積み重なっている。この構造では、上記ガス感受性層は上記装置表面の下に並んでいることから、センサーの領域を減らすことができる。上記センサーは感度を落とすことなく、より小型に製造することができる。もし、2つの抵抗性センサー電極が1つの溝の同じ側面に形成される場合は、2つのセンサ電極間の間隔は1μm以下が良い。さらには、もし2つの抵抗性センサー電極が1つの溝を跨いだ形で形成される場合は、2つのセンサー電極間の間隔は溝の幅に依存する。
【0042】
図16は、多数の垂直電極(vertical electrodes)37を有する単層抵抗ヒーターを示している。この構造によって、時空測定のための、溝内へのガス拡散を行うのと同じくらいの一連の高速測定が可能になる。
【0043】
図17では、空隙40及び垂直抵抗性ガスセンサー39を囲むように設けられた垂直方向に間隙を有する電極41を囲むように設けられた単層以上の抵抗性側方ヒーター(resistive lateral heater)38を示している。この構造は、フローセンサー(flow sensor)やその他の形式の装置に用いることが可能である。図18は、装置の平面図であり、円形(四角などに置き換えても良い)の空隙、及び一方を他方の上に重ね合わせた(この図では分かれて見えない)2層の抵抗性加熱層(resistive heating layers)を示したものである。
【0044】
このような方法による多層構造とすることにより、抵抗ヒーターの新しい設計構造が可能になり、異なった方法で作動することができる新しい抵抗ヒーターを提供することができる。つまり、このような設計構造のヒーターの1つとしては、基底温度(base temperature)(例えば100℃くらい)まで加熱するのに用いると共に、測定温度(例えば300℃くらい)まで加熱するよう増加させる切り替えをできるようにしても良い。そのようなヒーターは、デジタル方式で切り替えを行うように構成すればよく、このように構成すれば、非常に単純な制御回路が必要となるだけである。さらには、側方の2層のヒーター構造が、上記ガスセンサーを介して温度勾配を形成するように構成されていてもよい。しかしながら、そのような構造は、場所を多く必要とするため、垂直構造に比較してより効率が悪くなるだろう。
【0045】
本発明の実施の形態によって、従来のガスセンサーよりも優れた、以下の効果が得られるだろう。
1)600℃を超えても作動可能である。これに対して、ポリシリコンはそのような高い温度では長期の安定性を得られない。また、ドーピング層の正確な特性の調節も難しい。アクティブFETヒーター(Active FET heaters)は350度以上では使用できないことから、タングステンヒーターは、特に水素やメタンを検出するためのマイクロ熱量計(microcalorimeters)として有用である。
2)Si、Al、またはPtを用いる装置と比較して、よりすぐれた機械的強度とヤング弾性率を有している。
3)一般的なCMOSプロセスではチップ中のシリコン装置と内部接続するため多くのアルミニウム膜を使用する。しかしながら、アルミニウムはその低い融点から、高温のヒーターには向いていない。
4)ヒーターの金属層は、広範囲の応用に対して適用できるために必要である条件を充たしていなければならない。具体的には、以下のような条件を充たす必要がある;
a)電気伝導率は、高速のCMOS処理を行うことを可能にするのに十分なだけ高くなければならず、あらゆる寄生的な抵抗性の内部接続回路(interconnect paths)は減らさなければならない。
b)電気伝導率は、低電力で、かつ低単位コスト(low unit cost)を充たす小型のヒーターを作るため、十分に低くなければならない。上記ヒーターの抵抗性は、CMOSボルト数(CMOS voltage)(最大5V)の処理とともに低電流で作動できるように、適度に高い必要がある。
c)ヒーターの材料は、900℃に達する温度でも作動できるように、高い融点をもっていなければならない。
5)加えて、ヒーターの設計構造は、等温構造(isothermal structure)を提供でkりうように構成されていなければならない。高温CMOSプロセスにおいてタングステン金属層を用いることでこれらのすべての条件を充たすことができる。
タングステンの電気伝導率は、アルミニウムや金よりも低く、これがより小さい抵抗性ヒーターの設計構造を助けているが、タングステンの電気伝導率もプラチナほどは低くはない。しかしながら、プラチナはCMOS技術に互換性のある材料ではない。タングステンは他の金属よりもはるかに高い降伏強さ(耐力)を有していることからより頑丈である。
6)アルミニウムに対してタングステンは、エレクトロマイグレーションの被害をうけない。これは、信頼性を失う恐れなく、アルミニウムよりも多い電力と高い電流を用いることができることを意味している。また、これは、タングステン金属溝をより狭く作ることができ、その結果、より小型のヒーターを作りだすことができることを意味している。
7)また、タングステンヒーターは温度検知手段として用いることもできる。そのTCR(温度抵抗係数)はプラチナよりも50%高い。これはつまり、タングステンヒーターは温度検知手段として50%高い感度をもつことを意味している。代わりとして、タングステンからなる分離型温度検知手段(separate temperature sensor)を用いても良い。
8)タングステンは、SOI(Bi)CMOSプロセスにおける高温内部接続金属(high temperature interconnect metal)として用いられる。これによって、ICは、250℃に達するまでの温度で作動できるようになる。したがって、センサーの電子回路領域内における温度は、アルミニウム金属被膜を伴ったICチップの上記温度をはるかに超過することができる。したがって、このようなセンサーは、非常に高温の環境中で用いることが可能になる。
【0046】
上述の理由により、タングステンが、高温のマイクロホットプレートガス検知装置に用いられる抵抗ヒーターに特に有利な材料であることが高く評価されるべきだろう。下記の表1では、Al、Au、Ptにおける対応する特性と比較した場合のWの望ましい特性を例証している。
【0047】
【表1】
【0048】
上述した構造は、検出対象であるガスの存在下において、ガス感受性層による付加的な放熱又は吸熱を行うマイクロ熱量計として(又は、化学抵抗器(chemoresistors)とマイクロ熱量計の両方として)用いることもできる。この場合では、センサー材料の温度がガスとの反応によって変化するので、ガスの性質及び/又はその濃度を、検出対象であるガスの存在下においてガス感受性層による付加的な放熱又は吸熱をモニターすることで決定することができるようになる。そのような構成のために適当なガス感受性層としては、Γ―アルミナ(ぺリシトール(pellistor))のような非電気伝導率の材料からなるものが良い。酸化スズのような化学抵抗性(chemoresisitive)の材料は、熱伝導率を変化させるため、高温下における、熱伝導率と、放熱と、電気伝導率のそれぞれの変化をモニターすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る実施形態の検知領域の断面図である。
【図1a】検知電極を示した平面図である。
【図2】単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態の検知領域の断面図である。
【図3】単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態の検知領域の断面図である。
【図4】単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態の検知領域の断面図である。
【図5】単層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態の検知領域の断面図である。
【図6】二層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る実施形態における検知領域の断面図を示したものである。
【図7】二層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態における検知領域の断面図を示したものである。
【図8】二層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態における検知領域の断面図を示したものである。
【図9】ヒーターの構造を示す平面図である。
【図10】ヒーターの他の構造を示す平面図である。
【図11】二層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る他の実施形態における検知領域の断面図を示したものである。
【図12】多層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る実施形態に検知領域の断面図である。
【図13】多層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る実施形態に検知領域の断面図である。
【図14】多層抵抗ヒーターに利用した本発明に係る実施形態に検知領域の断面図である。
【図15】他の実施形態における検知領域の断面図である。
【図16】他の実施形態における検知領域の断面図である。
【図17】他の実施形態における検知領域の断面図である。
【図18】図17に示した実施形態の平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(2)と、
ガス感受性層(9)及び、当該ガス感受性層(9)とガスとの反応を促進するためにガス感受性層(9)を加熱するためのヒーター(6)によって構成される少なくとも1領域の検知領域と、
ガスと前記ガス感受性層(9)との反応を提示する電気出力を提供するように構成されたセンサー(8)とを備えたガス検知半導体装置であって、
前記ヒーター(6)は、少なくとも1層のタングステンからなる層を有していることを特徴とするガス検知半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板(2)の片側に、絶縁層(3)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のガス検知半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板の片側に設けられた絶縁層(3)の上に、受動層(4)を備えていることを特徴とする請求項2に記載のガス検知半導体装置。
【請求項4】
前記受動層(4)の上に、ガス感受性層(9)膜が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のガス検知半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁層(3)内に前記ヒーター(6)が埋め込まれていることを特徴とする請求項2〜4のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁層(3)が酸化ケイ素からなる層であることを特徴とする請求項2〜5のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項7】
導電性高分子層が、前記ガス感受性層(9)として設けられていることを特徴とする請求項3に記載のガス検知半導体装置。
【請求項8】
前記ヒーター(6)は、蛇行形状を有するタングステンヒーターであることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項9】
前記ヒーター(6)は、2層以上の加熱層(20、21;23、24;25、26;27、28;33、34、35;38)を備えていることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項10】
前記加熱層(25、26;33、34、35)は、互いが、側方に斜めに配設されている請求項8に記載のガス検知半導体装置。
【請求項11】
前記加熱膜(23、24;23’、24’)は、互いが交錯するように配設されていることを特徴とする請求項8に記載のガス検知半導体装置。
【請求項12】
前記ヒーター(6)は、拡散板(22;29;31)を組み合わせた構成であることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項13】
前記センサーには、前記ガス感受性層(9)近傍に、側方に間隔をあけて設けられた複数の電極(8)が組み込まれていることを特徴とする請求項1〜12のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項14】
前記電極(8)が、タングステン電極であることを特徴とする請求項13に記載のガス検知半導体装置。
【請求項15】
前記ガス感受性層(36)は、前記電極(8)と電極(8)との間に配設されていることを特徴とする請求項13又は14に記載のガス検知半導体装置。
【請求項16】
前記電極には、互いに垂直方向に間隔をあけて設けられた2つ以上の電極(37;38)を有していることを特徴とする請求項13〜15のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項17】
前記ガス感受性層(39)は、膜に広がる空隙(40)の周縁部を囲むように設けられていることを特徴とする請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項18】
CMOS又はBi−CMOS又はSOI CMOSプロセス、あるいは、ポストCMOSプロセスエッチバックが続いて行われるBi−CMOSプロセスを利用して製造されたものであることを特徴とする請求項1〜17のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項19】
前記ガス感受性層が、酸化スズであることを特徴とする請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項20】
前記検知領域、又は複数の前記検知領域の各々には、温度検知手段が組み込まれていることを特徴とする請求項1〜19のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項21】
前記検知領域を含む膜を残すために、少なくとも1つの検知領域における前記半導体基板の材料が取り除かれていることを特徴とする請求項1〜20のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項22】
少なくとも1つの検知領域における前記半導体基板の材料が、エッチバックによって取り除かれていることを特徴とする請求項1〜21のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項23】
前記検知領域、又は複数の前記検知領域の各々は、関連する回路を含む少なくとも1つの電子回路領域と集積されたものであることを特徴とする請求項1〜22のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項24】
抵抗性ガス検知装置であることを特徴とする請求項1〜23のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項25】
熱量測定ガス検知装置であることを特徴とする請求項1〜23のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
検知層(9)から構成された検知領域を少なくとも1つ有している半導体基板(2)と、
前記検知層(9)を加熱するためのヒーター(6)と、
前記検知層(9)に起きる変化を示す電気出力を提供するように構成されたセンサー(8)とを備えた半導体装置であって、
前記ヒーター(6)は、少なくとも1層のタングステンからなる層を有した抵抗ヒーターであることを特徴とする半導体装置。
【請求項27】
駆動機能と、制御機能と、変換機能とを有する電子回路が、一体的に集積されたガス検知装置を備えているスマートセンサーであって、
タングステンが、接続のための金属層、及び電子回路内における内部接触部として用いられるとともに、前記ガス検知装置のヒーター(6)として配設されていることを特徴とするスマートセンサー。
【請求項28】
CMOS、Bi−CMOS、SOI技術を用いて製造されたものであることを特徴とする請求項27に記載のスマートセンサー。
【請求項29】
膜を残すように、少なくとも一部の領域における基板材料を取り除いていることを特徴とする請求項27又は28に記載のスマートセンサー。
【請求項30】
前記膜を規定するための前記基板材料の除去は、深堀り反応性イオンエッチングによって行われたものであることを特徴とする請求項29に記載のスマートセンサー。
【請求項31】
前記基板材料の除去が、異方性ウェットエッチングによって行われたものであることを特徴とする請求項29又は30に記載のスマートセンサー。
【請求項1】
半導体基板(2)と、
ガス感受性層(9)及び、当該ガス感受性層(9)とガスとの反応を促進するためにガス感受性層(9)を加熱するためのヒーター(6)によって構成される少なくとも1領域の検知領域と、
ガスと前記ガス感受性層(9)との反応を提示する電気出力を提供するように構成されたセンサー(8)とを備えたガス検知半導体装置であって、
前記ヒーター(6)は、少なくとも1層のタングステンからなる層を有していることを特徴とするガス検知半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板(2)の片側に、絶縁層(3)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のガス検知半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板の片側に設けられた絶縁層(3)の上に、受動層(4)を備えていることを特徴とする請求項2に記載のガス検知半導体装置。
【請求項4】
前記受動層(4)の上に、ガス感受性層(9)膜が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のガス検知半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁層(3)内に前記ヒーター(6)が埋め込まれていることを特徴とする請求項2〜4のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁層(3)が酸化ケイ素からなる層であることを特徴とする請求項2〜5のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項7】
導電性高分子層が、前記ガス感受性層(9)として設けられていることを特徴とする請求項3に記載のガス検知半導体装置。
【請求項8】
前記ヒーター(6)は、蛇行形状を有するタングステンヒーターであることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項9】
前記ヒーター(6)は、2層以上の加熱層(20、21;23、24;25、26;27、28;33、34、35;38)を備えていることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項10】
前記加熱層(25、26;33、34、35)は、互いが、側方に斜めに配設されている請求項8に記載のガス検知半導体装置。
【請求項11】
前記加熱膜(23、24;23’、24’)は、互いが交錯するように配設されていることを特徴とする請求項8に記載のガス検知半導体装置。
【請求項12】
前記ヒーター(6)は、拡散板(22;29;31)を組み合わせた構成であることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項13】
前記センサーには、前記ガス感受性層(9)近傍に、側方に間隔をあけて設けられた複数の電極(8)が組み込まれていることを特徴とする請求項1〜12のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項14】
前記電極(8)が、タングステン電極であることを特徴とする請求項13に記載のガス検知半導体装置。
【請求項15】
前記ガス感受性層(36)は、前記電極(8)と電極(8)との間に配設されていることを特徴とする請求項13又は14に記載のガス検知半導体装置。
【請求項16】
前記電極には、互いに垂直方向に間隔をあけて設けられた2つ以上の電極(37;38)を有していることを特徴とする請求項13〜15のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項17】
前記ガス感受性層(39)は、膜に広がる空隙(40)の周縁部を囲むように設けられていることを特徴とする請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項18】
CMOS又はBi−CMOS又はSOI CMOSプロセス、あるいは、ポストCMOSプロセスエッチバックが続いて行われるBi−CMOSプロセスを利用して製造されたものであることを特徴とする請求項1〜17のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項19】
前記ガス感受性層が、酸化スズであることを特徴とする請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項20】
前記検知領域、又は複数の前記検知領域の各々には、温度検知手段が組み込まれていることを特徴とする請求項1〜19のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項21】
前記検知領域を含む膜を残すために、少なくとも1つの検知領域における前記半導体基板の材料が取り除かれていることを特徴とする請求項1〜20のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項22】
少なくとも1つの検知領域における前記半導体基板の材料が、エッチバックによって取り除かれていることを特徴とする請求項1〜21のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項23】
前記検知領域、又は複数の前記検知領域の各々は、関連する回路を含む少なくとも1つの電子回路領域と集積されたものであることを特徴とする請求項1〜22のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項24】
抵抗性ガス検知装置であることを特徴とする請求項1〜23のうちのいずれか1項に記載のガス検知半導体装置。
【請求項25】
熱量測定ガス検知装置であることを特徴とする請求項1〜23のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
検知層(9)から構成された検知領域を少なくとも1つ有している半導体基板(2)と、
前記検知層(9)を加熱するためのヒーター(6)と、
前記検知層(9)に起きる変化を示す電気出力を提供するように構成されたセンサー(8)とを備えた半導体装置であって、
前記ヒーター(6)は、少なくとも1層のタングステンからなる層を有した抵抗ヒーターであることを特徴とする半導体装置。
【請求項27】
駆動機能と、制御機能と、変換機能とを有する電子回路が、一体的に集積されたガス検知装置を備えているスマートセンサーであって、
タングステンが、接続のための金属層、及び電子回路内における内部接触部として用いられるとともに、前記ガス検知装置のヒーター(6)として配設されていることを特徴とするスマートセンサー。
【請求項28】
CMOS、Bi−CMOS、SOI技術を用いて製造されたものであることを特徴とする請求項27に記載のスマートセンサー。
【請求項29】
膜を残すように、少なくとも一部の領域における基板材料を取り除いていることを特徴とする請求項27又は28に記載のスマートセンサー。
【請求項30】
前記膜を規定するための前記基板材料の除去は、深堀り反応性イオンエッチングによって行われたものであることを特徴とする請求項29に記載のスマートセンサー。
【請求項31】
前記基板材料の除去が、異方性ウェットエッチングによって行われたものであることを特徴とする請求項29又は30に記載のスマートセンサー。
【図1】
【図1a】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図1a】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−194853(P2006−194853A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−106025(P2005−106025)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者 IEEE、刊行物名 CAS 2004 PROCEEDINGS、第2巻、発行年月日 2004年10月4日
【出願人】(502001949)ユニバーシティー オブ ウォリック (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106025(P2005−106025)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者 IEEE、刊行物名 CAS 2004 PROCEEDINGS、第2巻、発行年月日 2004年10月4日
【出願人】(502001949)ユニバーシティー オブ ウォリック (1)
【Fターム(参考)】
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