説明

ガラス基板のレーザ加工装置

【課題】ガラス基板の分割のための処理時間を短縮することができ、ゴミの発生が防止されたガラス基板のレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】レーザ光源から、波長が250〜400nmのパルスレーザ光を出射し、マイクロレンズアレイ40により、レーザ光42をガラス基板2に照射することにより、1ショットでピッチがpの加工痕12を形成する。その後、マイクロレンズアレイ40をガラス基板2に相対的に、p/2だけ移動させて、最初のショットで形成された加工痕12の中間に、加工痕13を形成する。最初のショットでレーザ光42の照射位置はpだけ離隔しているので、このショットによりガラス基板の表面に不規則な割れが生じることはない。2回目のショットで、ガラス基板の表面に割れが入る可能性があるが、その場合も、最初のショットの加工痕12に向けて割れが進行するので、不規則な方向に割れが発生することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面強化ガラス基板をダイシングするのに好適のガラス基板のレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルの製造に際し、ガラス基板上に露光及び現像を繰り返して、所定の画素及び回路からなるパターンを形成する。この場合に、1枚のガラス基板に対し、複数枚のパネル分のパターンを同時に形成し、その後、ガラス基板を分割することにより、個々のパネルを製造している。従来、このガラス基板の分割は、切断予定線を回転刃で線状に研削する機械的なダイシング加工により行っている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−229831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この機械的ダイシング加工においては、ダイシングブレードを低速度で切断予定線に沿って移動させる必要があり、1個のガラス基板当たりの処理時間が長くかかり、製造タクトが悪いという問題点がある。また、ダイシング工程の途中でガラス基板が割れやすく、歩留が低いと共に、回転刃による切削に際し、切削屑が発生するという問題点もある。特に、表面強化ガラスの場合は、上記問題点が更に著しくなる。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ガラス基板の分割のための処理時間を短縮することができ、ゴミの発生が防止されたガラス基板のレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガラス基板のレーザ加工装置は、波長が250〜400nmのパルスレーザ光を出射するレーザ光源と、複数個のマイクロレンズが所定のピッチpで一列又は円周上に配列され切断対象のガラス基板に対向するように設置されたマイクロレンズアレイと、このマイクロレンズアレイを前記マイクロレンズの配列方向に前記ガラス基板に対して相対的に移動させる駆動装置と、前記レーザ光源及び駆動装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記マイクロレンズアレイによりレーザ光を前記ガラス基板に1ショットで照射してピッチpで加工痕を形成した後、前記マイクロレンズアレイを前記ガラス基板に対して前記マイクロレンズの配列方向にp/2だけ直線移動させるか又は前記円の中心の周りに回転させて次順のショットでレーザ光を前記ガラス基板に照射することにより、距離pあたり2個の加工痕を等間隔で形成することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る他のガラス基板のレーザ加工装置は、波長が250〜400nmのパルスレーザ光を出射するレーザ光源と、複数個のマイクロレンズが所定のピッチpで一列又は円周上に配列され切断対象のガラス基板に対向するように設置されたマイクロレンズアレイと、このマイクロレンズアレイを前記マイクロレンズの配列方向に前記ガラス基板に対して相対的に移動させる駆動装置と、前記レーザ光源及び駆動装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記マイクロレンズアレイによりレーザ光を前記ガラス基板に照射して第1ショットのピッチpの加工痕を形成し、前記マイクロレンズアレイを前記ガラス基板に対して前記マイクロレンズの配列方向に直線移動させるか又は前記円の中心の周りに回転させてレーザ光を前記ガラス基板に照射して第2ショットのピッチpの加工痕を従前のショットの加工痕の中間の位置に形成し、以後、同様にして、前記マイクロレンズアレイを前記ガラス基板に対して相対的に直線移動させるか又は前記円の中心の周りに回転させてレーザ光を従前のショットの加工痕の中間の位置に照射する工程を繰り返すことにより、距離pあたり複数個の加工痕を形成することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る更に他のガラス基板のレーザ加工装置は、波長が250〜400nmのパルスレーザ光を出射するレーザ光源と、複数個のマイクロレンズが所定のピッチpで一列又は円周上に配列され切断対象のガラス基板に対向するように設置されたマイクロレンズアレイと、このマイクロレンズアレイを前記マイクロレンズの配列方向に前記ガラス基板に対して相対的に移動させる駆動装置と、前記レーザ光源及び駆動装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、nを整数として前記マイクロレンズアレイによりレーザ光を前記ガラス基板に照射した後、前記マイクロレンズアレイを前記ガラス基板に対して前記マイクロレンズの配列方向にp/nだけ相対的に直線移動させるか又は前記円の中心の周りに回転させて次順のレーザ光の照射を行い、更に前記マイクロレンズアレイを前記ガラス基板に対して前記マイクロレンズの配列方向にp/nだけ相対的に直線移動させるか又は前記円の中心の周りに回転させて更に次順のレーザ光の照射を行うという工程を繰り返すことにより、距離pあたりn個の加工痕を等間隔で形成することを特徴とする。
【0009】
上述のガラス基板のレーザ加工装置において、前記マイクロレンズアレイは、前記レーザ光の焦点位置を、前記ガラス基板の厚さ方向の内部とすると共に、焦点深度を前記ガラス基板の厚さよりも短く、好ましくは前記ガラス基板の厚さの1/100以下に設定することが好ましい。これにより、ガラス基板の内部にレーザ光の照射による加工痕を形成することができる。このため、レーザビームの照射により表面に割れが発生することが確実に防止される。
【0010】
また、本発明のガラス基板のレーザ加工装置は、表面強化ガラス基板に適用すると、有益である。表面強化ガラス基板は、表面の性質が硬いため、ダイシング刃を使用した機械的ダイシングにおいてはなおさらのこと、レーザダイシングでもその焦点位置がガラス基板の表面である場合は、加工中に割れてしまう。本発明は、マイクロレンズによるレーザ光の焦点位置を、前記表面強化ガラス基板の厚さ方向の内部であって、前記表面強化ガラス基板の表面強化層よりも深い位置に設定しているので、表面強化ガラス基板でも、加工中に割れることが防止される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、波長が250〜400nmのレーザ光を使用し、マイクロレンズアレイを使用して、レーザ光を、先ず、ピッチpという大きな間隔で照射し、ピッチpの間隔で加工痕を形成する。このレーザ光の照射間隔は大きいので、レーザ光の照射により、ガラス基板の表面に、不規則な割れが生じることはない。その後、マイクロレンズアレイをマイクロレンズの配列方向に、p/2又はp/n等の距離だけ移動させて、次順のレーザ光の照射を行う。このようにして、1ピッチあたり、複数個の加工痕を形成する。最初のパルスレーザ光の照射は、照射位置の間隔が大きいので、この最初のレーザ光の照射で、ガラス基板が不規則に割れることはなく、その後の1又は複数回のレーザショットで、ガラス基板にはより細かい間隔で加工痕が形成されるが、2ショット目以降は、最初のショットによる加工痕が形成されているので、2ショット目以降もガラス基板に不規則に割れが生じることはない。従って、本発明により、高精度で切断予定線に沿って、ガラス基板を割断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態のレーザ加工装置を示す斜視図である。
【図2】同じくそのレーザ光の照射による加工工程を示す模式図である。
【図3】表面強化ガラス基板の透過特性を示すグラフ図である。
【図4】(a)は本発明の第4実施形態のレーザ加工装置において、マイクロレンズアレイを示す図、(b)はレーザ光の照射による加工工程を示す図、(c)はガラス基板に形成された加工痕を示す図である。
【図5】図4に示すレーザ加工装置において、マイクロレンズアレイを回転した図であり、(a)はマイクロレンズアレイを示す図、(b)はレーザ光の照射による加工工程を示す図、(c)はガラス基板に形成された加工痕を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施形態に係るガラス基板のレーザ加工装置を示す斜視図である。ステージ1上に、被加工物である露光現像処理後の表面強化ガラス基板等のガラス基板2が載置される。このステージ1に対し、このステージ1の幅方向の全域をまたぐ門型の移動部材3が、矢印a方向に往復移動可能に支持されている。そして、この移動部材3には、ステージ1の幅方向(矢印b方向)に往復移動可能に、支持部4が設置されており、この支持部4にパルスレーザ発振器6が支持されている。このパルスレーザ発振器6の下方には、マイクロレンズアレイ40が設けられており、パルスレーザ発振器6からのパルスレーザ光を、ガラス基板2に集光させるようになっている。
【0014】
このレーザ加工装置においては、ステージ1上に表面強化ガラス基板等のガラス基板2が載置され、移動部材3が矢印a方向に移動すると共に、パルスレーザ発振器6からパルスレーザ光が間欠的に出射され、マイクロレンズアレイ40により集光されたパルスレーザ光がガラス基板2に照射される。これにより、ガラス基板2に対して、切断予定線上で、レーザ光が適宜間隔で照射される。この場合に、移動部材3が移動している間に、パルスレーザ発振器6からレーザ光を照射しても良いし、移動部材3を移動後一旦停止させた状態で、パルスレーザ発振器6からレーザ光を照射しても良い。このガラス基板2に対するパルスレーザ光の照射位置は、切断予定線に合わせるために、支持部4を移動部材3上で矢印b方向に移動させて、調節することができる。また、支持部4に取り付けられるマイクロレンズアレイ5は、焦点距離が異なるものを交換できるようにすることができる。これにより、これらのマイクロレンズアレイ5から加工対象のガラス基板2の表面性状等に応じて焦点深度が最適のマイクロレンズアレイを選択して、レーザ加工を行うことができるようになっている。
【0015】
図2は、このレーザ加工の工程を示す模式図であり、(a)はガラス基板2の平面図、(b)はマイクロレンズアレイ40の平面図、(c)はマイクロレンズアレイによるレーザ光の照射動作を示す正面図である。図2(b)、(c)に示すように、マイクロレンズアレイ40は、複数個のマイクロレンズ41(図示は、簡略化のために4個のみ示す)を一列に配列して構成されている。このマイクロレンズアレイ40の各マイクロレンズ41は、パルスレーザ発振器6から出射されたパルスレーザ光42をガラス基板2に集光させる。このパルスレーザ光42は、波長が250〜400nmであり、マイクロレンズ41により、その焦点位置が、ガラス基板2の厚さ方向の内部であり、焦点深度が前記ガラス基板の厚さよりも短く設定され、好ましくはガラス基板2の厚さの1/100以下の範囲に設定されている。
【0016】
また、マイクロレンズアレイ40のマイクロレンズ41はピッチがpの等間隔で配置されており、マイクロレンズ41に内蔵されている開口絞りにより、レーザ光42を例えば正方形又は長方形の矩形等のビーム形状に成形して、ガラス基板2に照射する。このレーザ光42は、図2(a)に破線にて示す切断予定線上に照射する。パルスレーザ発振器6のレーザ光の照射タイミング及び移動部材3の移動距離及び移動のタイミングは、制御装置(図示せず)により制御される。
【0017】
パルスレーザ光42の波長は、250〜400nmである。図3は、横軸に波長をとり、縦軸にレーザ光の透過率をとって、表面強化ガラスの透過特性を示すグラフ図である。波長が532nmのレーザ光の場合、ガラス基板に対する透過率が高く、即ち、ガラス基板におけるエネルギの吸収率が悪く、ガラス基板に加工痕を形成しにくい。これに対し、水銀ランプでいうi線(波長365nm)付近で、エネルギの吸収が始まり、加工痕を形成できるようになる。また、波長が266nmのレーザ光を使用することにより、極めて高いエネルギ吸収率を得ることができる。よって、本発明においては、250〜400nmの波長域において、ガラス基板に加工痕を形成する。
【0018】
次に、本実施形態の動作について、制御装置の制御態様と共に説明する。制御装置は、先ず、図2(c)に示すように、移動装置3により、ガラス基板2に対して、マイクロレンズアレイ40をガラス基板2の一端部上に移動させて配置し、パルスレーザ発振器6から出射されたレーザ光42を、マイクロレンズアレイ40のマイクロレンズ41により、矩形ビーム形状のレーザ光42に成形して、ガラス基板2に照射する。これにより、このレーザ光42の照射により、ガラス基板2には、複数個の加工痕12がピッチpで形成される。その後、図2(c)に示すように、制御装置は、マイクロレンズアレイ40を矢印方向にガラス基板2に対して相対的に移動させ、マイクロレンズ41の位置が、最初のレーザショットの位置からp/2だけ移動したときに、2回目のレーザ光の照射を行う。これにより、1ショット目の加工痕12の中間の位置に、2ショット目の加工痕13が形成される。このようにして、第1のショットの加工痕12と第2ショットの加工痕13とが、p/2のピッチで、切断予定線上に並んで形成される。そして、マイクロレンズアレイ40を更に移動させて、第1のショットの複数個の加工痕12のうち端部の加工痕12からpだけ離隔した位置から、再度、マイクロレンズアレイ40によりガラス基板2にレーザ光を照射して、この第3ショットにより、第1ショットの加工痕12に対して同一のピッチpで連なる加工痕12を形成する。その後、マイクロレンズアレイ40をp/2だけ移動させて、レーザ光42を照射することにより、第3ショットの加工痕12の中間位置に、第4ショットの加工痕13を形成する。これを繰り返して、ガラス基板2の切断予定線の全域に、p/2のピッチで加工痕12,13を形成する。
【0019】
第1ショット、更には、繰り返される場合には、第3ショット及びその後の奇数回のショットにおいては、ピッチpで加工痕12が形成される。このピッチpは、比較的大きな間隔であるので、レーザ光42の照射により、ガラス基板2の表面に不規則な方向に亀裂が入り、乱雑な方向に割れが進行するということはない。換言すれば、ピッチpは、ガラス基板2の表面に不規則な亀裂又は割れが発生しないのに十分な大きさに設定する。第2ショット、及び繰り返される場合には、その後の偶数回のショットにおいては、第1ショット及び奇数回のショットの加工痕12に対して、p/2の距離の位置に、レーザ光を照射する。この第2ショット及び偶数回のショットにより、ガラス基板2に割れが発生する可能性があるが、割れが発生する場合は、第1ショット及び奇数回のショットの加工痕12が近傍に存在するので、第2ショット及び偶数回のショットの位置から加工痕12に向かう方向に割れが進行し、不規則な方向に割れが発生することはない。これにより、ガラス基板2を、切断予定線に沿って、正確に割断することができる。第2ショットのレーザ照射によって、ガラス基板2に割れが発生しない場合は、加工痕12及び13が切断予定線上で交互にp/2のピッチで連なるように形成されるので、例えば、手で曲げ応力を印加することにより、ガラス基板2を切断予定線で割断することができる。
【0020】
例えば、波長が532nmのレーザ光を使用し、パルス幅を約7nsecとし、照射エネルギ密度を25J/cmとして、表面強化ガラス基板の内部にレーザ光を照射した場合、ガラス基板にクラックが進展し、ガラス基板全体が乱雑に割れてしまう。これに対し、波長が355nmのレーザ光を使用し、パルス幅を約7nsecとし、照射エネルギ密度を10J/cmとして、表面強化ガラス基板の内部にレーザ光を照射した場合、ガラス基板の内部に加工痕が形成され、ガラス基板に手で曲げ応力を印加すると、この加工痕をもとに綺麗に直線状の切断線により割断することができる。
【0021】
また、レーザ光42の焦点位置は、ガラス基板の表面でも良い。レーザ光42を相互に近傍の位置に照射していくと、即ち、図2に示すレーザ光42の照射位置の間隔が短いと、レーザ光の照射によりガラス基板には乱雑な方向に亀裂が進展し、不規則な割れが発生してしまう。しかし、本実施形態においては、レーザ光42の照射位置は、十分に大きな間隔(ピッチp)に設定されているので、焦点位置がガラス基板の表面であっても、レーザ光42の照射により不規則な割れが発生することはない。
【0022】
しかし、このレーザ光42の焦点位置を、ガラス基板2の内部とすることにより、このガラス基板の割れ発生をより一層確実に防止することができる。即ち、レーザ光42の焦点位置を、ガラス基板2の厚さ方向の内部とし、焦点深度をガラス基板2の厚さよりも短く設定し、好ましくはガラス基板2の厚さの1/100以下に設定することにより、表面強化ガラス基板であっても、その表面の改質部を避けて、その内部にレーザ光のエネルギを集中することができる。ガラス基板2が表面強化ガラス基板である場合は、レーザビームの焦点位置がガラス基板2の内部でなく、表面強化ガラス基板の表面の改質部にレーザエネルギが集中すると、ガラス基板2に乱雑なクラックが発生して乱雑に割れやすくなる。また、このレーザ光の焦点深度が、ガラス基板の厚さ以上であると、レーザ光がガラス基板の裏面にまで到達して、ガラス基板が割れてしまう。このため、レーザ光の焦点深度は、ガラス基板の厚さよりも短くし、好ましくは、ガラス基板の厚さの1/100以下の範囲とすることが望ましい。
【0023】
加工痕12を形成するレーザ光42の焦点位置と、加工痕13を形成するレーザ光42の焦点位置とを、ガラス基板2の厚さ方向について異ならせても良いことは勿論である。例えば、加工痕12を形成するためのレーザ光42として、波長が266nmのパルスレーザ光を使用し、加工痕13を形成するためのレーザ光42として、波長が355nmのパルスレーザ光を使用し、その焦点位置を加工痕12用のレーザ光の方が浅く、加工痕13用のレーザ光の方が深くなるように設定することができる。このように、照射位置の相違により、レーザ光42の焦点位置を、ガラス基板の深さ方向に異ならせることにより、エネルギを集中させる位置がガラス基板2の深さ方向に異なり、エネルギを集中させる領域が重なってしまうことを防止できる。
【0024】
なお、レーザ光42のビーム形状は、上記実施形態のように、正方形に限らず、例えば、長方形、円形及び楕円形等、種々の形状を使用することができる。
【0025】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図2に示す第1実施形態においては、制御装置は、マイクロレンズアレイ40によりレーザ光42をガラス基板2に照射して第1ショットのピッチpの加工痕12を形成し、マイクロレンズアレイ40をガラス基板2に対して移動させてレーザ光42をガラス基板2に照射して第2ショットのピッチpの加工痕13を、第1ショットの加工痕12の中間の位置に形成する。これにより、p/2のピッチで、加工痕12,13が連なるようにレーザ加工することができる。本第2実施形態においては、更に、p/2ピッチで配列された加工痕12と加工痕13との中間位置に、マイクロレンズアレイ40により別のレーザショットを行う。このようにして、第1ショットのピッチpの加工痕の中間位置に、第2ショットのピッチpの加工痕を形成して、加工痕のピッチをp/2とし、更に、これらのp/2のピッチの加工痕の中間位置に、第3ショットのピッチpの加工痕を形成して、加工痕のピッチをp/4とし、必要に応じて、更に、マイクロレンズアレイ40を使用してレーザ光の照射を行うことにより、加工痕のピッチを、p/8、p/16・・・と細かくすることができる。このように、ガラス基板2の同一領域に複数回のレーザショットを行うことにより、加工痕のピッチを細かくすることができ、これにより、切断予定線に沿ってより高精度で割断することができる。本実施形態も、レーザ光のショット時に、ガラス基板が割れる可能性があるが、この場合も、従前の加工痕に向かって割れるので、切断予定線に沿って割断することができる。
【0026】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本第3実施形態においては、制御装置は、マイクロレンズアレイ40によりレーザ光をガラス基板2に照射するが、1ショットの照射後、nを整数として、マイクロレンズアレイ40をガラス基板2に対して、p/nだけ移動させて次順のレーザ光の照射を行い、更に、このp/nだけ移動させて次順のレーザ光の照射を行うという工程を繰り返して、距離p毎に、n個の加工痕を形成する。これにより、ピッチがp/nの加工痕を等間隔で形成することができる。このようにして、極めて細かい加工痕を、切断予定線上に、等間隔で形成することができ、切断予定線に沿ってより高精度で割断することができる。本実施形態も、レーザ光のショット時に、ガラス基板が割れる可能性があるが、この場合も、従前の加工痕に向かって割れるので、切断予定線に沿って割断することができる。
【0027】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、加工痕を同一円周上に形成し、ガラス基板を円形に切断するものである。図4(a)は本発明の第4実施形態のレーザ加工装置において、マイクロレンズアレイを示す図、図4(b)はレーザ光の照射による加工工程を示す図、図4(c)はガラス基板に形成された加工痕を示す図である。第1乃至第3実施形態においては、マイクロレンズアレイ40のマイクロレンズ41はピッチpで一列に配置されていたが、本実施形態においては、図4(a)に示すように、マイクロレンズアレイ43のマイクロレンズ41は、同一円周上にピッチp(円周上の距離)で等間隔に配置されている。本実施形態においては、図1に示すレーザ加工装置には、更に、マイクロレンズアレイ43をそのマイクロレンズ41が配列された円の中心44の周りに回転させる機構(図示せず)が設けられており、前記マイクロレンズアレイ43を円の中心44のまわりに矢印c方向に回転させるように構成されている。制御装置は、パルスレーザ発振器6のレーザ光の照射タイミング、移動部材3の移動距離、及び移動のタイミングに加えて、マイクロレンズアレイ43の回転角度及び回転のタイミングを制御するように構成されている。即ち、制御装置は、移動部材3の移動により、パルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43をガラス基板2上の所定の切断予定領域上に移動させ、パルスレーザ発振器6から1ショットのパルスレーザ光を照射して同一円周上に並ぶ複数個の加工痕を形成し、更に回転機構によりマイクロレンズアレイ43を回転させて2ショット目のパルスレーザ光を照射するように回転機構等を制御する。本実施形態においては、マイクロレンズアレイ43を回転機構により回転させながら、各マイクロレンズ41が所定のショット位置に到達したタイミングで、パルスレーザ発振器6から間欠的にパルスレーザ光を照射して加工痕を形成することもできる。
【0028】
次に、本実施形態の動作について、制御装置の制御態様と共に説明する。制御装置は、先ず、図4(b)に示すように、移動装置3により、マイクロレンズアレイ43をガラス基板2上の切断予定領域の上方に移動させて配置し、パルスレーザ発振器6から出射されたレーザ光42を、マイクロレンズアレイ43のマイクロレンズ41により、ガラス基板2に照射する。これにより、このレーザ光42の照射により、ガラス基板2には、複数個の加工痕14が同一円周上にピッチpで形成される。その後、図5(a)に示すように、制御装置は、マイクロレンズアレイ43を円の中心44まわりに矢印c方向に回転させ、マイクロレンズアレイ43の各マイクロレンズ41をガラス基板2に対して中心44の周りに相対的に回転させる。そして、マイクロレンズ41の位置が、最初のレーザショットの位置から円周上でp/2ピッチだけ移動したときに、2回目のレーザ光の照射を行う(図5(b))。これにより、図5(c)に示すように、1ショット目の加工痕14の中間の位置に、2ショット目の加工痕15が形成される。このようにして、第1のショットの加工痕14と第2のショットの加工痕15とが、p/2のピッチで、同一円周の切断予定線上に並んで形成される。
【0029】
その後、制御装置は、移動部材3の移動により、パルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43をガラス基板2上の次の切断予定領域上に移動させ、この位置で、同様に、パルスレーザ発振器6から1ショットのレーザ光を照射して同一円周上に並ぶ複数個の加工痕14を形成した後、回転機構によりマイクロレンズアレイ43を回転させて2ショット目のパルスレーザ光を照射して加工痕15を形成するように、パルスレーザ発振器及び回転機構等を制御する。
【0030】
本実施形態においても、第1ショットにおいては、同一円周上にピッチpで加工痕14が形成される。このピッチpは、比較的大きな間隔であるので、レーザ光42の照射により、ガラス基板2の表面に不規則な方向に亀裂が入り、乱雑な方向に割れが進行するということはない。換言すれば、ピッチpは、ガラス基板2の表面に不規則な亀裂又は割れが発生しないのに十分な大きさに設定する。第2ショットにおいては、第1ショットの加工痕14に対して、p/2の距離の位置に、レーザ光を照射する。この第2ショットにより、ガラス基板2に割れが発生する可能性があるが、割れが発生する場合は、第1ショットの加工痕14が近傍に存在するので、第2ショットの位置から加工痕14に向かう方向に割れが進行し、不規則な方向に割れが発生することはない。これにより、ガラス基板2を、円形の切断予定線に沿って、正確に切断することができる。第2ショットのレーザ照射によって、ガラス基板2に割れが発生しない場合は、加工痕14及び15が同一円周の切断予定線上で交互にp/2のピッチで連なるように形成されるので、例えば、手で押圧力を印加することにより、ガラス基板2を切断予定線で円形に切断することができる。
【0031】
本実施形態においても、例えば波長が355nmのレーザ光を使用し、パルス幅を約7nsecとし、照射エネルギ密度を10J/cmとして、表面強化ガラス基板の内部にレーザ光を照射した場合、ガラス基板の内部に加工痕が形成され、ガラス基板に手で押圧力を印加すると、この加工痕をもとに綺麗に円形の切断線により切断することができる。
【0032】
また、本実施形態においても、レーザ光42の焦点位置は、ガラス基板の表面でも良く、レーザ光42の照射位置が、十分に大きな間隔(ピッチp)に設定されているので、焦点位置がガラス基板の表面であっても、レーザ光42の照射により不規則な割れが発生することはない。しかし、このレーザ光42の焦点位置を、ガラス基板2の内部とすることにより、ガラス基板の割れ発生をより一層確実に防止することができる。即ち、レーザ光42の焦点位置を、ガラス基板2の厚さ方向の内部とし、焦点深度をガラス基板2の厚さよりも短く設定し、好ましくはガラス基板2の厚さの1/100以下に設定する。これにより、表面強化ガラス基板であっても、その表面の改質部を避けて、その内部にレーザ光のエネルギを集中することができる。
【0033】
更に、加工痕14を形成するレーザ光42の焦点位置と、加工痕15を形成するレーザ光42の焦点位置とを、ガラス基板2の厚さ方向について異ならせても良い。例えば、加工痕14を形成するためのレーザ光42として、波長が266nmのパルスレーザ光を使用し、加工痕15を形成するためのレーザ光42として、波長が355nmのパルスレーザ光を使用し、その焦点位置を加工痕14用のレーザ光の方が浅く、加工痕15用のレーザ光の方が深くなるように設定することができる。このように、照射位置の相違により、レーザ光42の焦点位置を、ガラス基板の深さ方向に異ならせることにより、エネルギを集中させる位置がガラス基板2の深さ方向に異なり、エネルギを集中させる領域が重なってしまうことを防止できる。
【0034】
なお、本実施形態においても、レーザ光42のビーム形状は、上記実施形態のように、円形に限らず、例えば、正方形、長方形及び楕円形等、種々の形状を使用することができる。
【0035】
次に、本実施形態の変形例について説明する。上記第4実施形態においては、ガラス基板2上の1の切断予定領域上にパルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43を配置し、パルスレーザ発振器6からのパルスレーザ光の照射と回転機構によるマイクロレンズアレイ43の回転とを交互に行うことにより、1の切断予定領域における加工痕の形成を行った後、移動部材3の移動により、パルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43をガラス基板2上の次の切断予定領域上に移動させて、移動後の切断予定領域における加工痕の形成を行う場合のものである。これに対し、本変形例においては、制御装置は、1の切断予定領域において1ショット目のパルスレーザ光の照射が完了した後、移動部材3の移動により、パルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43を次の切断予定領域上に移動させ、この移動後の切断予定領域において、パルスレーザ発振器6から1ショット目のパルスレーザ光を照射させて加工痕を形成するようにパルスレーザ発振器6、マイクロレンズアレイ43及び移動部材3を制御する。そして、これを繰り返すことにより、全ての切断予定領域に1ショット目のパルスレーザ光を照射して加工痕を形成する。その後、全ての切断予定領域に対する1ショット目のパルスレーザ光の照射が終了した後、制御装置は、回転機構により、マイクロレンズアレイ43を回転させる。そして、制御装置は、上記の場合と同様に、移動部材3によるパルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43の移動とパルスレーザ発振器6からのパルスレーザ光の照射とを繰り返すように、パルスレーザ発振器6等を制御し、各切断予定領域に対して、2ショット目のパルスレーザ光の照射による加工痕の形成を行う。この場合においても、第4実施形態と同様に加工痕14,15が交互に並ぶ加工痕をガラス基板2上に形成することができ、第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0036】
次に、第4実施形態の他の変形例について説明する。本第2変形例においては、制御装置は、移動装置3を移動させながら、パルスレーザ発振器6から間欠的にパルスレーザ光を照射するように移動装置3等を制御する。即ち、パルスレーザ光をショットする時間(照射時間)に比して、移動装置3の移動速度が十分遅い場合においては、パルスレーザ光をショットする間にパルスレーザ光の照射位置が移動する距離は、加工痕の大きさに対して十分に小さい。よって、移動装置3を移動させながら、パルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43が各切断予定領域上に到達したタイミングでパルスレーザ光を照射しても、加工痕を高精度で形成することができる。本変形例においても、全ての切断予定領域に対する1ショット目のパルスレーザ光の照射が終了した後、制御装置は、回転機構により、マイクロレンズアレイ43を回転させる。そして、上記の場合と同様に、移動装置3を移動させながら、パルスレーザ発振器6から間欠的にパルスレーザ光を照射するように移動装置3等を制御し、2ショット目のパルスレーザ光の照射による加工痕の形成を行う。この場合においても、第4実施形態と同様の加工痕14,15をガラス基板2上に形成することができ、第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0037】
次に、第4実施形態の更に他の変形例について説明する。本第3変形例においては、上記第2変形例のレーザ加工装置において、制御装置は、移動装置3の移動速度を変化させるように構成されている。そして、パルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43は、一の切断予定領域から次の切断予定領域に移動する間の大部分を高速で移動し、各切断予定領域上に近づいたときに、移動装置3の移動速度を遅くして、パルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43の移動速度を十分に低下させ、第2変形例と同様の速度で移動中にレーザ光を照射する。本変形例においては、移動装置3の移動によるパルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43の移動の速度変化と、パルスレーザ発振器6からのパルスレーザ光の照射タイミングとを同期させて、第2変形例と同様に、全ての切断予定領域の1ショット目のレーザ光照射と、全ての切断予定領域の2ショット目のレーザ光照射とにより加工痕14,15を形成する。本変形例は、第4実施形態と同様の効果が得られると共に、第2変形例に比して、加工痕の形成に必要な処理時間を短くできる。
【0038】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図4及び図5に示す第4実施形態においては、制御装置は、マイクロレンズアレイ43によりレーザ光42をガラス基板2に照射して第1ショットのピッチpの加工痕14を形成し、マイクロレンズアレイ43を各マイクロレンズ41が配列された円の中心44のまわりに矢印c方向に回転させてレーザ光42をガラス基板2に照射して第2ショットのピッチpの加工痕15を、第1ショットの加工痕14の中間の位置に形成する。これにより、p/2のピッチで、加工痕14,15が連なるようにレーザ加工することができる。本第5実施形態においては、更に、p/2ピッチで配列された加工痕14と加工痕15との中間位置に、マイクロレンズアレイ40により別のレーザショットを行う。このようにして、第1ショットのピッチpの加工痕の中間位置に、第2ショットのピッチpの加工痕を形成して、加工痕のピッチをp/2とし、更に、これらのp/2のピッチの加工痕の中間位置に、第3ショットのピッチpの加工痕を形成して、加工痕のピッチをp/4とし、必要に応じて、更に、マイクロレンズアレイ43を使用してレーザ光の照射を行うことにより、加工痕のピッチを、p/8、p/16・・・と細かくすることができる。このように、ガラス基板2の同一領域に複数回のレーザショットを行うことにより、加工痕のピッチを細かくすることができ、これにより、ガラス基板2を円形の切断予定線に沿ってより高精度で切断することができる。本実施形態も、レーザ光のショット時に、ガラス基板が割れる可能性があるが、この場合も、従前の加工痕に向かって割れるので、切断予定線に沿って切断することができる。
【0039】
なお、本実施形態においても、第4実施形態と同様の種々の変形が可能である。例えば、制御装置は、1の切断予定領域における加工痕の形成を行った後、移動部材3の移動により、パルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43をガラス基板2上の次の切断予定領域上に移動させて、移動後の切断予定領域における加工痕の形成を行うように、移動部材3等を制御してもよく、移動装置3を移動させながら、パルスレーザ発振器6から間欠的にパルスレーザ光を照射するように、パルスレーザ発振器6からのパルスレーザ光の照射タイミング等を制御してもよい。また、例えば制御装置は、移動装置3の移動によるパルスレーザ発振器6及びマイクロレンズアレイ43の移動の速度変化と、パルスレーザ発振器6からのパルスレーザ光の照射タイミングとを同期させるように移動装置3等を制御してもよい。
【0040】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本第6実施形態においては、制御装置は、マイクロレンズアレイ43によりレーザ光をガラス基板2に照射するが、1ショットの照射後、nを整数として、マイクロレンズアレイ43を各マイクロレンズ41が配列された円の中心44のまわりに回転させることにより、各マイクロレンズ41を円周上でp/nだけ移動させて次順のレーザ光の照射を行い、更に、このp/nだけ移動させて次順のレーザ光の照射を行うという工程を繰り返して、距離p毎に、n個の加工痕を形成する。これにより、ピッチがp/nの加工痕を等間隔で形成することができる。このようにして、極めて細かい加工痕を、切断予定線上に、等間隔で形成することができ、ガラス基板2を円形の切断予定線に沿ってより高精度で切断することができる。本実施形態も、レーザ光のショット時に、ガラス基板が割れる可能性があるが、この場合も、従前の加工痕に向かって割れるので、切断予定線に沿って切断することができる。
【0041】
なお、本実施形態においても、第4実施形態及び第5実施形態と同様の種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1:ステージ
2:ガラス基板
3:移動部材
4:支持部材
6:パルスレーザ発振器
12,13,14,15:加工痕
40,43:マイクロレンズアレイ
41:マイクロレンズ
42:レーザ光
44:(円の)中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長が250〜400nmのパルスレーザ光を出射するレーザ光源と、複数個のマイクロレンズが所定のピッチpで一列又は円周上に配列され切断対象のガラス基板に対向するように設置されたマイクロレンズアレイと、このマイクロレンズアレイを前記マイクロレンズの配列方向に前記ガラス基板に対して相対的に移動させる駆動装置と、前記レーザ光源及び駆動装置を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記マイクロレンズアレイによりレーザ光を前記ガラス基板に1ショットで照射してピッチpで加工痕を形成した後、前記マイクロレンズアレイを前記ガラス基板に対して前記マイクロレンズの配列方向にp/2だけ直線移動させるか又は前記円の中心の周りに回転させて次順のショットでレーザ光を前記ガラス基板に照射することにより、距離pあたり2個の加工痕を等間隔で形成することを特徴とするガラス基板のレーザ加工装置。
【請求項2】
波長が250〜400nmのパルスレーザ光を出射するレーザ光源と、複数個のマイクロレンズが所定のピッチpで一列又は円周上に配列され切断対象のガラス基板に対向するように設置されたマイクロレンズアレイと、このマイクロレンズアレイを前記マイクロレンズの配列方向に前記ガラス基板に対して相対的に移動させる駆動装置と、前記レーザ光源及び駆動装置を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記マイクロレンズアレイによりレーザ光を前記ガラス基板に照射して第1ショットのピッチpの加工痕を形成し、前記マイクロレンズアレイを前記ガラス基板に対して前記マイクロレンズの配列方向に直線移動させるか又は前記円の中心の周りに回転させてレーザ光を前記ガラス基板に照射して第2ショットのピッチpの加工痕を従前のショットの加工痕の中間の位置に形成し、以後、同様にして、前記マイクロレンズアレイを前記ガラス基板に対して相対的に直線移動させるか又は前記円の中心の周りに回転させてレーザ光を従前のショットの加工痕の中間の位置に照射する工程を繰り返すことにより、距離pあたり複数個の加工痕を形成することを特徴とするガラス基板のレーザ加工装置。
【請求項3】
波長が250〜400nmのパルスレーザ光を出射するレーザ光源と、複数個のマイクロレンズが所定のピッチpで一列又は円周上に配列され切断対象のガラス基板に対向するように設置されたマイクロレンズアレイと、このマイクロレンズアレイを前記マイクロレンズの配列方向に前記ガラス基板に対して相対的に移動させる駆動装置と、前記レーザ光源及び駆動装置を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、nを整数として前記マイクロレンズアレイによりレーザ光を前記ガラス基板に照射した後、前記マイクロレンズアレイを前記ガラス基板に対して前記マイクロレンズの配列方向にp/nだけ相対的に直線移動させるか又は前記円の中心の周りに回転させて次順のレーザ光の照射を行い、更に前記マイクロレンズアレイを前記ガラス基板に対して前記マイクロレンズの配列方向にp/nだけ相対的に直線移動させるか又は前記円の中心の周りに回転させて更に次順のレーザ光の照射を行うという工程を繰り返すことにより、距離pあたりn個の加工痕を等間隔で形成することを特徴とするガラス基板のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記マイクロレンズアレイは、前記レーザ光の焦点位置を、前記ガラス基板の厚さ方向の内部とすると共に、焦点深度を前記ガラス基板の厚さよりも短く設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガラス基板のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記ガラス基板は、表面強化ガラス基板であり、前記マイクロレンズアレイは、前記マイクロレンズによるレーザ光の焦点位置を、前記表面強化ガラス基板の厚さ方向の内部であって、前記表面強化ガラス基板の表面強化層よりも深い位置に設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガラス基板のレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−224531(P2012−224531A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178803(P2011−178803)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】