説明

クリップ式コネクタ及び操作補助部材

【課題】基板との電気的接続及び分離を容易に確実にすることができるクリップ式コネクタを提供する。
【解決手段】基板の導体端子に接続をする接触端子を備える第1部材と、基板を挟む又は開放する動作が可能に第1部材と軸で結合されている第2部材と、接触端子と外部基板との接続をする外部接続部と、基板を挟む様に第1部材と第2部材とを付勢する付勢部材と、を有するクリップ式コネクタにおいて、基板を挟む又は開放するように第1部材を操作する操作部を有し、第1部材に設けられている第1アーム部と、基板を挟む又は開放するように第2部材を操作する操作部を有し、第2部材に設けられている第2アーム部と、を含む操作補助部材を備え、何れの操作部も、第1部材の第2部材と向き合う側に対して反対側、若しくは、第2部材の第1部材と向き合う側に対して反対側の何れか一方にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ式コネクタ及び操作補助部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が実装された基板の検査は、その基板自体やその基板に接続されているフレキシブルプリント配線基板の端部に配設された導体端子に、検査基板に電気的に接続されている検査用端子を電気的に接続することによって行う場合がある。
【0003】
迅速に検査を行うためには、導体端子と検査用端子との電気的な接続及び検査後の分離を容易且つ速やかに行う必要がある。こうした接続及び分離手段として、クリップ式(中継)コネクタ等と称されるコネクタが利用されている。
【0004】
特許文献1に記載のクリップ式中継コネクタは、フレキシブルプリント配線基板を載置する基台と、先端部分が下方(基台側)に付勢されながら回動自在となるように基台に軸で固定されたアーム部と、アーム部の先端部分にフレキシブルプリント配線基板の導体端子に接触し電気的に接続されるプローブと、を備えている。
【0005】
導体端子とプローブとを電気的に接続するためには、まず、基台とアーム部とを離し、離れて開いた箇所にフレキシブルプリント配線基板の端部を差し入れ、次に基台とアーム部で挟む。このために、まず、プローブが備えられているアーム部の先端部の反対側に位置する後端部とこの後端部に対峙する基台の後端部とを相対的に近づけるように指等でつまむ様な操作をし、フレキシブルプリント配線基板の端部を差し入れた後、次に相対的に離れるように操作する。
【0006】
導体端子とプローブとを分離するためには、アーム部の後端部と基台の後端部とを相対的に近づけるように指等で操作し、基台とアーム部とを離した状態で、フレキシブルプリント配線基板の端部を取り出す。また、アーム部には、クリップ式中継コネクタが備える複数のプローブそれぞれに対応して検査基板等の外部基板と電気的に接続するための接続用基板が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6−2259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されている様なクリップ式中継コネクタ(以下、クリップ式コネクタ)を使用する際、電気的接続を低ノイズである等の良好な状態とするために、接続用基板に接続する外部基板からのケーブル等を短くする場合がある。この場合、クリップ式コネクタと被検査基板や外部基板との間の距離が短いため、フレキシブルプリント配線基板の端部をクリップ式コネクタで挟んだり開放したりするように基台の後端部とアーム部の後端部とを指等で触れることが困難となり、接続及び分離を行う操作を容易にすることができない。外部基板が大きくなると、接続及び分離の操作を行う基台の後端部及びアーム部の後端部と外部基板の外周との間の離れ距離が長くなるため、両後端部を指等で触れてする操作はより一層容易でなくなる。
【0009】
このため、フレキシブルプリント配線基板と外部基板との接続及び分離に多くの時間を要したり、場合によっては接続ができない場合が生じたりして、検査効率が著しく低下する。
【0010】
また、接続及び分離する対象であるフレキシブルプリント配線基板は、その名が示す様に柔軟性がある。このため、フレキシブルプリント配線基板にクリップ式コネクタを接続及び分離する際には、これを傷つけることなく保持し、的確にクリップ式コネクタに導く作業には、手で行うことが望まれる。こうした作業を容易にすることからも、クリップ式コネクタの外部基板との接続及び分離が容易にできることが望まれている。
【0011】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、基板との電気的接続及び分離を容易に確実にすることができるクリップ式コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題は、以下の構成により解決される。
【0013】
1.被検査基板に設けられた導体端子に接して電気的接続をするための接触端子を備える第1部材と、
前記第1部材と共に前記被検査基板を挟む又は開放する動作が可能なように前記第1部材と軸で結合されている第2部材と、
前記接触端子と外部基板との電気的接続をする外部接続部と、
前記被検査基板を挟む様に、前記第1部材と前記第2部材とを付勢する付勢部材とを有し、前記被検査基板を前記第1部材と前記第2部材とで挟むことにより前記導体端子及び前記接触端子を介して前記被検査基板と前記外部基板とを電気的に接続するクリップ式コネクタにおいて、
前記被検査基板を挟む又は開放するように前記第1部材を操作する操作部を有し、前記第1部材に設けられている第1アーム部と、
前記被検査基板を挟む又は開放するように前記第2部材を操作する操作部を有し、前記第2部材に設けられている第2アーム部と、を含む操作補助部材を備え、
前記第1アーム部及び前記第2アーム部の何れの操作部も、前記第1部材の前記第2部材と向き合う側に対して反対側、若しくは、前記第2部材の前記第1部材と向き合う側に対して反対側の何れか一方の側にあることを特徴とするクリップ式コネクタ。
【0014】
2.前記第1アーム部の操作部及び前記第2アーム部の操作部の操作時の移動方向は、前記第1部材と前記第2部材とが前記被検査基板を挟む又は開放するように動く方向に対し略直角であることを特徴とする前記1に記載のクリップ式コネクタ。
【0015】
3.前記付勢部材による付勢に逆らって、前記第1部材と前記第2部材が前記被検査基板の端部を開放するように、前記第1アーム部の操作部及び前記第2アーム部の操作部を相対的に移動させる駆動部を備えていることを特徴とする前記1又は2に記載のクリップ式コネクタ。
【0016】
4.被検査基板に設けられた導体端子に接して電気的接続をするための接触端子を備える第1部材と、
前記第1部材と共に前記被検査基板を挟む又は開放する動作が可能なように前記第1部材と軸で結合されている第2部材と、
前記接触端子と外部基板との電気的接続をする外部接続部と、
前記被検査基板を挟む様に、前記第1部材と前記第2部材とを付勢する付勢部材と、を有し、前記被検査基板を前記第1部材と前記第2部材とで挟むことにより前記導体端子及び前記接触端子を介して前記被検査基板と前記外部基板とを電気的に接続するクリップ式コネクタに取り付けられる操作補助部材であって、
前記被検査基板を挟む又は開放するように前記第1部材を操作する操作部を有し、前記第1部材に固定される第1アーム部と、
前記被検査基板を挟む又は開放するように前記第2部材を操作する操作部を有し、前記第2部材に固定される第2アーム部と、を含み、
前記第1アーム部及び前記第2アーム部の何れの操作部も、前記第1部材の前記第2部材と向き合う側に対して反対側、若しくは、前記第2部材の前記第1部材と向き合う側に対して反対側の何れか一方の側にあるように、前記クリップ式コネクタに取り付けられることを特徴とする操作補助部材。
【0017】
5.前記第1アーム部の操作部及び前記第2アーム部の操作部の操作時の移動方向は、前記第1部材と前記第2部材とが前記被検査基板を挟む又は開放するように動く方向に対し略直角であることを特徴とする前記4に記載の操作補助部材。
【0018】
6.前記付勢部材による付勢に逆らって前記第1部材と前記第2部材が前記被検査基板の端部を開放するように、前記第1アーム部の操作部及び前記第2アーム部の操作部を相対的に移動させる駆動部が前記第1アーム部又は第2アーム部に設けられていることを特徴とする前記4又は5に記載の操作補助部材。
【発明の効果】
【0019】
本発明の操作補助部材を備えるクリップ式コネクタによれば、基板の導体端子が設けてある端部を挟む又は開放するように軸で結合されている第1部材と第2部材とを操作する操作部を有する第1アーム部と第2アーム部とを含む操作補助部材を備え、何れの操作部も、第1部材の第2部材と向き合う側に対して反対側、若しくは、第2部材の第1部材と向き合う側に対して反対側の何れか一方の側にある。
【0020】
よって、クリップ式コネクタの外部接続部に外部基板が近接して接続されても、基板の端部を挟む又は開放することを可能とする第1部材と第2部材との操作は、外部基板や外部基板から外部接続部に接続されるケーブル等により遮られることなく、接続及び分離する基板とも干渉しない。
【0021】
従って、基板との電気的接続及び分離を容易に確実にすることができる操作補助部材を備えるクリップ式コネクタ及びクリップ式コネクタに備えられる操作補助部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】フレキシブルプリント配線基板に接続されている状態の、本発明を実施したクリップ式コネクタの側面図である。
【図2】図1における矢印A側から見た様子を示すクリップ式コネクタの正面図である。
【図3】図1における矢印B側から見た様子を示すクリップ式コネクタの上面図である。
【図4】クリップ式コネクタにフレキシブルプリント配線基板を接続する様に近づけている様子(矢印右向き)、若しくは、クリップ式コネクタからフレキシブルプリント配線基板を分離して外し去る様子(矢印左向き)を示すクリップ式コネクタの側面図である。
【図5】先端部を開閉させる駆動部が設けられたクリップ式コネクタの例を示す側面図である。
【図6】被検査基板と検査基板とを複数のクリップ式コネクタを並べて接続する様子を示す図である。
【図7】2つのクリップ式コネクタが並べて配置されている様子を示す図である。
【図8】エアシリンダを制御する制御部がクリップ式コネクタに接続されている様子を示す図である。
【図9】被検査基板に検査基板を接続して、被検査基板の電気的特性等の検査を行う場合に使用されるクリップ式コネクタの接続を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。本発明に係るクリップ式コネクタは、例えば、図9に示すクリップ式コネクタ100(以下、コネクタ100)ように、被検査基板200に検査基板300を接続して、被検査基板200の電気的特性等の検査を行う場合に使用される。
【0024】
被検査基板200は、本来の目的のために他の基板と接続する等のためのフレキシブルプリント配線基板(以下、FPC基板50)が接続され、被検査基板200の検査は、このFPC基板50を介して行う。検査を行うための検査基板300は、被検査基板200と接続するためのケーブル60を備え、ケーブル60の端部には、本発明に係るコネクタ100が設けられている。
【0025】
検査基板300のケーブル60にコネクタ100を設けることにより、検査基板300と被検査基板200との接続及び分離を効率良く、確実に行うことができる。被検査基板200の検査に際し、ノイズの低減等のためにFPC基板50やケーブル60をできるだけ短くする場合がある。この場合、コネクタ100の先端側は被検査基板200に密接して配置され、コネクタ100の後端部側(検査基板300側)は検査基板300に密接して配置される。ケーブル60を用いず、検査基板300にコネクタ100を直接接続すれば、ノイズを更に低減することができる。
【0026】
コネクタ100に関して、図1から4を参照して説明する。図1は、FPC基板50が接続されている状態を示すコネクタ100の側面図であり、図2は、図1における矢印A側から見た様子を示すコネクタ100の正面図であり、図3は、図1における矢印B側から見た様子を示すコネクタ100の上面図である。図4は、FPC基板50をコネクタ100に接続する様に近づけている様子(矢印右向き)、若しくは、コネクタ100からFPC基板50を分離して外し去る様子(矢印左向き)を示すコネクタ100の側面図である。図1から4の同一又は同等な部材には、同一の符号を付けて重複する説明は省略する。
【0027】
図1において、第1部材1と第2部材2とは、軸3によって互いに揺動可能なように結合されている。軸3を間にして、第1部材1の左側端部を先端部1aとし、右側端部を後端部1bとし、同様に軸3を間にして、第2部材2の左側端部を先端部2aとし、右側端部を後端部2bとする。
【0028】
後端部1bと後端部2bとが対峙する内側には、軸3を支点として、先端部1aと先端部2aとが近接するように付勢する付勢部材であるコイルバネ6が備えられている。ここでは付勢部材としてコイルバネを例として示しているが、これに限定されることはなく、ねじりバネや薄板バネ等で先端部1aと先端部2aとが近接するように付勢することができるものであれば良い。コイルバネ6により、コネクタ100の先端部1aと先端部2aとは常に近接する方向(閉じる方向)に力が作用している。
【0029】
先端部2aに対峙する先端部1aの内側には、FPC基板50の端部に外部と接続するために設けてある複数の導体端子51の各々に接するように複数の接触端子11が設けてある。図1に示す状態において、コイルバネ6の付勢により、先端部1aと先端部2aとは閉じる方向に力が作用し、複数の接触端子11は、それぞれに対応した複数の導体端子51に接触し、良好な電気的接続がなされる。
【0030】
図1及び図2に示すように、第1部材1の後端部1bには第1アーム部4が取り付けられ、第2部材2の後端部2bには第2アーム部5が取り付けられている。第1アーム部4は、L字状に折り曲げられている板状のものであって、L字の一方の片である固定部4aが第1部材1の上面に取り付けられ、他方の片である操作部4bが第1部材1の上面に立っている。操作部4bは、平面であって、面が先端部1a及び後端部1bの方向に向いている。
【0031】
第2アーム部5は、固定部5a、連結部5c及び操作部5bの3つの板状の部分から構成されている。固定部5aは第2部材2の後端部2bの下面に取り付けられ、連結部5cに繋がっている。連結部5cは、固定部5aより第2部材2の側面を通り第1部材1の上面を超えて伸び、操作部5bに繋がっている。操作部5bは、第1アーム部4の操作部4bの後方側に立っており、操作部4bと同様に、面が先端部2a及び後端部2bの方向に向いている平面である。
【0032】
コネクタ100よりFPC基板50を取り外す場合を、図1及び図4を用いて説明する。図1の矢印Cで示すように、第1アーム部4の操作部4bと第2アーム部5の操作部5bとを互いに近づくように、例えば指でつまむ操作を行う。
【0033】
図1に示すように、第1アーム部4の操作部4bと第2アーム部5の操作部5bとに矢印C方向に指等で力を加え、互に近づく様に操作(開操作)する。この操作は、軸3で揺動可能に結合されている第1部材1及び第2部材2に作用し、コイルバネ6の付勢に逆らって、先端部1aと先端部2aとを互いに離れる方向に動かすこと(開動作)ができる。操作部4bと操作部5bとが互いに近づく方向は、先端部1aと先端部2aとが互いに離れる方向に対し略直角方向となっている。
【0034】
上記の開操作の状態を維持することにより、先端部1aと先端部2aとを互いに離れさせた状態が維持され、FPC基板50の導体端子51に接触している接触端子11は導体端子51から離れ、この状態が維持される。接触端子11が導体端子51より離れた状態で、図4に示すFPC基板50を矢印左方向に移動することにより、コネクタ100からFPC基板50を取り外すことができる。
【0035】
コネクタ100にFPC基板50を取り付ける場合は、上述と逆の手順とすればよく、図1及び図4を用いて説明する。
【0036】
第1アーム部4の操作部4bと第2アーム部5の操作部5bとを指でつまむ等で互に近づけ、近づいた状態を維持することにより、先端部1aと先端部2aとは互いに離れ、先端部2aの内側の面に接触していた接触端子11は離れ、この状態が維持される。
【0037】
先端部2aの内側(先端部1aに対峙する側)には、FPC基板50の幅と厚さに相当する幅と深さを有するガイド溝21と、ガイド溝21の上面の、導体端子51よりも先端側の領域を被う上部ガイド22とが設けられている。図4に示す様に、先端部1aと先端部2aとが互いに離れた状態で、FPC基板50は、上部ガイド22とガイド溝21とで成す開口部分を通過させ、ガイド溝21の両側壁をガイドにして、ガイド溝21の突き当たりの閉端部まで押し込まれる。
【0038】
ガイド溝21の閉端部と、ガイド溝21の両側壁間の溝幅とにより、押し込まれたFPC基板50の端部は位置決めされる。このため、先端部1aと先端部2aとが近接することにより、先端部1aに設けてある複数の接触端子11は、それぞれに対応したFPC基板50の導体端子51に精度良く接触させることができる。
【0039】
FPC基板50が押し込まれた状態を維持し、指でつまむ等でコイルバネ6の付勢に逆らって互に近づけていた第1アーム部4の操作部4bと第2アーム部5の操作部5bとを、指によるつまむ力を緩め、互に離れるようにし(閉操作)、先端部1aと先端部2aとを互に近接するようにする(閉動作)。この閉動作により、接触端子11を導体端子51に接触させ、コネクタ100にFPC基板50を接続することができる。
【0040】
先端部1aと先端部2aとを閉じようとするコイルバネ6の付勢は、FPC基板50が備える導体端子51に接触端子11を適度な力で押圧することができ、この適度な押圧力により、良好な電気的接続を可能としている。
【0041】
コネクタ100の後端部1bには、FPC基板50に接続されているコネクタ100と検査基板300のケーブル60とを電気的接続をする外部接続部12が設けられている。外部接続部12には、複数の接触端子11それぞれに対応している外部接続端子(図示しない)が備えられ、この外部接続端子とケーブル60が有する電線とが接続されている。このため、FPC基板50にコネクタ100を接続することにより、FPC基板50の導体端子51各々はコネクタ100を介して検査基板300に接続される。
【0042】
FPC基板50とコネクタ100との接続及び分離の際、第1部材1の後端部1bに検査基板300からのケーブル60が接続されていても、接続及び分離の操作を第1部材1側にある第1アーム部4の操作部4bと第2アーム部5の操作部5bとで行うことができる。このため、接続及び分離の操作を行う手や指等が検査基板300やケーブル60により遮られる等の不具合がなく、コネクタ100とFPC基板50との接続及び分離を容易に確実に行うことができる。
【0043】
上記の説明の通り、操作部4b及び操作部5bが、共に第1部材1の第2部材2と向き合う側の反対側である外側にあり、またその操作方向が、先端部1aと先端部2aとが互いに離れる方向に対し略直角方向となっている。このため、第2部材2側での手や指等による操作を必要とすることなく、操作部4b及び操作部5bの操作を遮るものは、周囲になく、開操作を、後述の閉操作も同様に、容易にすることができる。
【0044】
また、この操作部4b及び操作部5bは、コネクタ100からFPC基板50を取り外す方向及び後述の取り付ける方向の延長線上にない。このため、コネクタ100にFPC基板50を取り付ける及び取り外す(接続及び分離)作業時に、操作部4b及び操作部5bを操作する作業とFPC基板50を取り付ける及び取り外す作業とが互いに干渉する位置でなされない。従って、コネクタ100とFPC基板50との接続及び分離を容易に確実にすることができる。
【0045】
図9に示す、被検査基板200と検査基板300とを1つのコネクタ100で接続及び分離する場合において、コネクタ100の後端部側(検査基板300側)と、検査基板300との間に空間の余裕をもって配置される場合がある。このような場合、コネクタ100の第1アーム部4及び第2アーム部5を用いなくても、図9中のコネクタ100の側面側である上側若しくは下側より第1部材1の後端部1b及び第2部材の後端部2bを直接操作することができる。
【0046】
しかし、図6に示すように、被検査基板200と検査基板300とを複数のコネクタ100を並べて接続及び分離する場合、並んでいる他のコネクタ100に両側面が挟まれて配置されているコネクタ100に対して、第1部材1の後端部1b及び第2部材の後端部2bを指等で直接操作することは困難である。このような場合、コネクタ100が備えている第1アーム部4と第2アーム部5とにより、先端部1aと先端部2aの開閉動作を容易に行うことができ、コネクタ100とFPC基板50との接続及び分離を容易に確実に行うことができる。
【0047】
図1から4に示される連結部5cは、コネクタ100の側面の片側に設けてあるが、これに限定される必要はなく、コネクタ100の両側面に設けても良い。連結部5cを側面の片側に設ける場合は、コネクタ100を小型にすることができるので好ましい。図6に示す様に、FPC基板50の導体端子51が並ぶ方向に複数のコネクタ100を並べて配置する際、コネクタ100を互いにより近接させて配置することができ、FPC基板50の密な並びに対応することができる。2つのコネクタ100を並べる場合、図7に示す様に片側の連結部5cを同じ配置ではなく、外側に対称に設けることによりコネクタ100を互いにより近接させて配置することができる。
【0048】
また、コネクタ100を複数使用する場合、第1アーム部4と第2アーム部5によるコネクタ100の複数の開閉操作を一人で行うことが困難となり、FPC基板50との接続のためのみに複数の人を必要とする場合が生じ、製造効率が低下してしまう。
【0049】
これに対応するため、図5に示すように、第1アーム部4に駆動部を設けることが好ましい。駆動部は、例えばエアシリンダ70であって、エアシリンダ70を操作部4bに設け、エアシリンダ70の伸縮するロッド71の先端を第2アーム部5の操作部5bに当接させる。操作部5bに当接するロッドの71の先端部は、操作部5bの面上をスムーズに移動できるように、例えば球状にしたり、又は、容易に転がる小さい車輪を設けたりするのが好ましい。
【0050】
尚、ロッド71が縮んでいる状態で、先端部1aと先端部2aは閉状態となり、ロッド71が伸張した状態で、先端部1aと先端部2aは開状態となるように、これまで示した図1等と異なり第1アーム部4と第2アーム部5の配置を入れ替えている。また、ロッド71が縮んで、操作部5bよりロッド71の先端が離れるようにすると、FPC基板50の導体端子51に接触端子11がコイルバネ6の付勢による押圧力のみにより接触させることができ、良好な電気的接触とすることができる。
【0051】
エアシリンダ70は、必ず操作部4bに設ける必要はなく、操作部5bに設け、エアシリンダ70の伸縮するロッド71の先端を第1アーム部4の操作部4bに当接させようにしてもよい。
【0052】
エアシリンダ70の制御に関して図8を用いて説明する。図8は、エアシリンダ70を制御する制御部150がコネクタ100に接続されている様子を示す図である。制御部150は、パイプ152によりエアシリンダ70に供給する空気を制御するものであって、例えば空気供給パイプ(図示しない)から供給される圧縮空気の流れを制御する電磁弁(図示しない)、この電磁弁のON/OFF制御するためのスイッチ(図示しない)、電磁弁を駆動する電源(図示しない)等を有している。
【0053】
制御部150により複数のエアシリンダ70のロッド71の伸縮を制御することにより、複数のコネクタ100の開閉操作を一人であっても容易且つ自由に行うことができる。また、エアシリンダ70を設けることにより、付勢に逆らってコネクタ100を開状態で保持することが指への負担がなく容易となり、コネクタ100の取り扱いをより容易とすることもがきる。
【0054】
これまで、駆動部は、エアシリンダとして説明したが、これに限定される必要はなく、ロッドの直進の往復運動を可能とするモータや手動バルブとしてもよい。
【0055】
図1から4に示すコネクタ100における第1アーム部4と第2アーム部5は、第1部材1及び第2部材2に接着剤やビス止め等により固定されている。第1部材及び第2部材の材料は、接触端子11を備える必要があることから、例えば絶縁性の高いプラスチック等が好ましい。第1アーム部4や第2アーム部5の材料は、例えば、ステンレスやアルミニウム等の金属やプラスチック等が挙げられるが、軽量で適度な剛性を有するものであればこれらに特に限定されない。
【0056】
また、第1部材1と第1アーム部4、第2部材と第2アーム部5は、別部材にする必要はなく、それぞれを一体としたものであってもよい。第1部材1と第2部材2とで挟む基板は、本例ではFPC基板として説明したが、これに限定されることはなく、ガラスエポキシ基板等の硬質の基板であってもよい。硬質の基板に比較して柔軟性が高いため、より多くの手作業を必要とするFPC基板との接続及び分離においては、本コネクタ100の効果がより発揮される。
【0057】
以上の説明においては、第1アーム部4の操作部4b及び第2アーム部5の操作部5bを第1部材1側としているが、これとは反対に第2部材側としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 第1部材
2 第2部材
4 第1アーム部
4a、5a 固定部
4b、5b 操作部
5 第2アーム部
6 コイルバネ(付勢部材)
11 接触端子
12 外部接続部
50 FPC基板(被検査基板)
51 導体端子
60 ケーブル(外部基板)
70、71 駆動部
200 被検査基板
300 検査基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査基板に設けられた導体端子に接して電気的接続をするための接触端子を備える第1部材と、
前記第1部材と共に前記被検査基板を挟む又は開放する動作が可能なように前記第1部材と軸で結合されている第2部材と、
前記接触端子と外部基板との電気的接続をする外部接続部と、
前記被検査基板を挟む様に、前記第1部材と前記第2部材とを付勢する付勢部材とを有し、前記被検査基板を前記第1部材と前記第2部材とで挟むことにより前記導体端子及び前記接触端子を介して前記被検査基板と前記外部基板とを電気的に接続するクリップ式コネクタにおいて、
前記被検査基板を挟む又は開放するように前記第1部材を操作する操作部を有し、前記第1部材に設けられている第1アーム部と、
前記被検査基板を挟む又は開放するように前記第2部材を操作する操作部を有し、前記第2部材に設けられている第2アーム部と、を含む操作補助部材を備え、
前記第1アーム部及び前記第2アーム部の何れの操作部も、前記第1部材の前記第2部材と向き合う側に対して反対側、若しくは、前記第2部材の前記第1部材と向き合う側に対して反対側の何れか一方の側にあることを特徴とするクリップ式コネクタ。
【請求項2】
前記第1アーム部の操作部及び前記第2アーム部の操作部の操作時の移動方向は、前記第1部材と前記第2部材とが前記被検査基板を挟む又は開放するように動く方向に対し略直角であることを特徴とする請求項1に記載のクリップ式コネクタ。
【請求項3】
前記付勢部材による付勢に逆らって、前記第1部材と前記第2部材が前記被検査基板の端部を開放するように、前記第1アーム部の操作部及び前記第2アーム部の操作部を相対的に移動させる駆動部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のクリップ式コネクタ。
【請求項4】
被検査基板に設けられた導体端子に接して電気的接続をするための接触端子を備える第1部材と、
前記第1部材と共に前記被検査基板を挟む又は開放する動作が可能なように前記第1部材と軸で結合されている第2部材と、
前記接触端子と外部基板との電気的接続をする外部接続部と、
前記被検査基板を挟む様に、前記第1部材と前記第2部材とを付勢する付勢部材と、を有し、前記被検査基板を前記第1部材と前記第2部材とで挟むことにより前記導体端子及び前記接触端子を介して前記被検査基板と前記外部基板とを電気的に接続するクリップ式コネクタに取り付けられる操作補助部材であって、
前記被検査基板を挟む又は開放するように前記第1部材を操作する操作部を有し、前記第1部材に固定される第1アーム部と、
前記被検査基板を挟む又は開放するように前記第2部材を操作する操作部を有し、前記第2部材に固定される第2アーム部と、を含み、
前記第1アーム部及び前記第2アーム部の何れの操作部も、前記第1部材の前記第2部材と向き合う側に対して反対側、若しくは、前記第2部材の前記第1部材と向き合う側に対して反対側の何れか一方の側にあるように、前記クリップ式コネクタに取り付けられることを特徴とする操作補助部材。
【請求項5】
前記第1アーム部の操作部及び前記第2アーム部の操作部の操作時の移動方向は、前記第1部材と前記第2部材とが前記被検査基板を挟む又は開放するように動く方向に対し略直角であることを特徴とする請求項4に記載の操作補助部材。
【請求項6】
前記付勢部材による付勢に逆らって前記第1部材と前記第2部材が前記被検査基板の端部を開放するように、前記第1アーム部の操作部及び前記第2アーム部の操作部を相対的に移動させる駆動部が前記第1アーム部又は第2アーム部に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の操作補助部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−223688(P2010−223688A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69819(P2009−69819)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】