説明

クリーニング装置

【課題】研削後のウェーハの保護フィルムを洗浄する洗浄ユニットと、搬送ユニットの吸引部を洗浄する他の洗浄ユニットとを備えた比較的小型のクリーニング装置を提供する。
【解決手段】搬送ユニット(35)の吸引部(36)によりウェーハ(20)の裏面(22)が吸引されるときに、ウェーハの表面(21)に貼付けられた保護フィルム(3)を洗浄する第一洗浄手段(50)と、ウェーハを吸引していないときの搬送ユニットの吸引部を洗浄する第二洗浄手段(60)と、第一洗浄手段を第二洗浄手段に対して相対的に昇降させる昇降手段(46)とを具備するクリーニング装置(40)が提供される。第一洗浄手段の第一洗浄部材(55)はスポンジまたはブラシであり、第二洗浄手段の第二洗浄部材(65)は砥石であるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの表面に貼付けられた保護フィルムとそのようなウェーハを吸引する搬送ユニットの吸引部との両方を洗浄するクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野においてはウェーハが年々大型化する傾向にあり、また、実装密度を高めるためにウェーハの薄葉化が進んでいる。ウェーハを薄葉化するために、半導体ウェーハの裏面を研削するバックグラインド(裏面研削)が行われている。バックグラインド時には、ウェーハ表面に形成された回路パターンを保護するために表面保護フィルムがウェーハ表面に貼付けられる。
【0003】
裏面研削直後においてはスラッジ、パーティクル等(以下、「スラッジ等」と称する)がウェーハの裏面に残存している。さらに、裏面研削時に発生したスラッジ等はウェーハの表面側に回込んで、保護フィルムに付着する場合がある。このようなスラッジ等により、後工程においてウェーハがこのようなスラッジを起点として破損する可能性がある。
【0004】
また、通常、ウェーハの表面に貼付けられた保護フィルムは後工程において剥離テープを用いて剥離される。しかしながら、フィルムにスラッジ等が付着している場合には、剥離テープを保護フィルムに貼付けると、スラッジが剥離テープと保護フィルムとの間に介在するようになる。これにより、剥離テープの接着力が部分的に低下して、剥離テープは保護フィルムに適切に貼付かず、従って、保護フィルムの剥離自体が困難になる可能性がある。それゆえ、ウェーハの裏面研削後においては、ウェーハの表面に貼付けられた保護フィルムおよびウェーハの裏面は洗浄される(特許文献1)。
【0005】
裏面研削後のウェーハは、通常、その裏面が搬送ユニットの吸引部により吸引されて、後工程の装置まで搬送される。ウェーハの裏面に残存したスラッジ等が搬送ユニットの吸引部に付着すると、搬送ユニットが別のウェーハを搬送する際に、ウェーハがスラッジを起点として同様に破損する可能性がある。従って、搬送ユニットの吸引部も洗浄することが望まれる。従来技術においては、吸引部を搬送ユニットから取外して別途洗浄するか、または、搬送ユニット吸引部専用の洗浄ユニットを使用していた。
【特許文献1】特開2005−98773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、研削後のウェーハおよび保護フィルムを洗浄する洗浄ユニットと、搬送ユニットの吸引部を洗浄する他の洗浄ユニットとを別個に備える場合には、装置全体が大型化する。この場合には装置全体の価格が上昇し、また設置場所の確保も困難となる。従って、より小型のクリーニング装置が望まれている。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、研削後のウェーハの保護フィルムを洗浄する洗浄ユニットと、搬送ユニットの吸引部を洗浄する他の洗浄ユニットとを備えた比較的小型のクリーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、搬送ユニットの吸引部によりウェーハの裏面が吸引されるときに、前記ウェーハの表面に貼付けられた保護フィルムを洗浄する第一洗浄手段と、前記ウェーハを吸引していないときに前記搬送ユニットの前記吸引部を洗浄する第二洗浄手段と、前記第一洗浄手段を前記第二洗浄手段に対して相対的に昇降させる昇降手段とを具備するクリーニング装置が提供される。
【0009】
すなわち1番目の発明においては、ウェーハの保護フィルムを洗浄するときには第一洗浄手段を第二洗浄手段よりも上昇させて第一洗浄手段のみが保護フィルムに接触するようにする。さらに、搬送ユニットの吸引部を洗浄するときには第一洗浄手段を第二洗浄手段よりも下降させて、第二洗浄手段のみが吸引部に接触するようにする。これにより、同一のクリーニング装置内に二つの洗浄ユニットを備えつつ、比較的小型のクリーニング装置を形成することができる。
【0010】
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記第一洗浄手段は、前記ウェーハの直径の両端部に対応した二つの第一洗浄部材を含んでおり、これら第一洗浄部材は前記ウェーハの中心回りに回転可能に配置される。
裏面研削時に生ずるスラッジ等は通常は保護フィルムの中心部分まで到達しないので、ウェーハの縁部付近のみを洗浄できれば十分である。すなわち2番目の発明においては、第一洗浄部材を小型にすることができ、従って、クリーニング装置全体を軽量化できる。
【0011】
3番目の発明によれば、2番目の発明において、前記第一洗浄部材がスポンジまたはブラシである。
すなわち3番目の発明においては、比較的簡易な構成により、第一洗浄部材を形成し、保護フィルムに付着したスラッジ等を容易に洗浄できる。
【0012】
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、さらに、前記第一洗浄手段による洗浄時に、液体を前記ウェーハに供給する液体供給手段を具備する。
すなわち4番目の発明においては、第一洗浄手段による保護フィルムの洗浄の効果を高めることができる。
【0013】
5番目の発明によれば、4番目の発明において、さらに、前記液体供給手段により液体を供給した後で、気体を前記ウェーハに供給する気体供給手段を具備する。
すなわち5番目の発明においては、第一洗浄手段による洗浄後に気体を供給して、保護フィルムを乾燥させられる。
【0014】
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記第二洗浄手段は、前記搬送ユニット吸引部の半径に概ね等しい長さの二つの第二洗浄部材を含んでおり、これら第二洗浄部材は該第二洗浄部材の中心回りに回転可能でかつ前記ウェーハの中心周りに周回可能に配置される。
すなわち6番目の発明においては、第二洗浄部材がウェーハに対して周回し、第二洗浄部材自体が回転しているので搬送ユニットの吸引部を均等に洗浄することができる。また、ウェーハの中心回りに第一洗浄部材が回転可能で第二洗浄部材が周回可能であるので、クリーニング装置をさらに小型化できる。
【0015】
7番目の発明によれば、6番目の発明において、前記第二洗浄部材は砥石である。
すなわち7番目の発明においては、比較的簡易な構成により、第二洗浄部材を形成し、吸引部に付着したスラッジ等を研磨により除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1(a)は本発明に係るクリーニング装置を備えたウェーハ処理装置の略平面図である。ウェーハ処理装置10には、複数の回路パターンが形成された表面21が保護フィルム3により保護されている複数のウェーハ20がカセット11aから供給されるものとする。
【0017】
図1(a)に示されるウェーハ処理装置10は、四つのチャック部12a〜12dを備えていて矢印A方向にインデックス回転する回転テーブル13と、チャック部12a〜12dを洗浄する洗浄ユニット14と、ウェーハ20を搬送する搬送ロボット15とを含んでいる。
【0018】
さらに、図1(a)に示されるように、ウェーハ処理装置10においては、粗研削ユニット31、仕上研削ユニット32および研磨ユニット33が回転テーブル13の回転方向Aに沿って順番に配置されている。なお、粗研削ユニット31は粗研削砥石(図示しない)によりウェーハ20の裏面22を粗研削し、仕上研削ユニット32は仕上研削砥石(図示しない)により裏面22を仕上研削する。同様に、研磨ユニット33はウェーハ20の裏面22を研磨するのに使用される。
【0019】
また、図1(a)においては、研磨後のウェーハ20を搬送する搬送ユニット35、後述するクリーニング装置40、およびウェーハ20を洗浄するスピンナー洗浄機39が示されている。搬送ユニット35、はウェーハ20の特に裏面22をクリーニング装置40、スピンナー洗浄機39およびカセット11bに搬送することが可能である。
【0020】
図1(b)は搬送ユニットの先端部分の縦断面図である。搬送ユニット35はその底面に吸引部36を備えている。吸引部36は多孔質材料から形成されているか、または多数の小孔が形成された部材であり、真空源(図示しない)に接続されている。図1(b)に示されるように、搬送ユニット35の動作時には、ウェーハ20の裏面22が吸引部36に吸引される。
【0021】
図2は本発明に基づくクリーニング装置の頂面図であり、図3は図2の線B−Bに沿ってみたクリーニング装置の側断面図である。これら図面から分かるように、クリーニング装置40は略筒型に構成されている。また、図3に示されるように、クリーニング装置40のハウジング41の頂部には、開口部42が形成されている。この開口部42の寸法は、クリーニング装置40により洗浄されるべき最大のウェーハ20の寸法に概ね等しい。
【0022】
図示されるように、開口部42に対して平行な中間プレート43がハウジング41に設けられている。そして、シャフト44が中間プレート43の中心孔に回転可能に挿入されている。シャフト44の下方部分は二つのスライダ47a、47bに結合されている。また、二つのロッド48a、48bがクリーニング装置40の底部と中間プレート43との間に延びている。スライダ47a、47bのそれぞれは、これらロッド48a、48bに摺動可能に取付けられている。
【0023】
図3から分かるように、スライダ47a、47bはシャフト44の下方に配置されたエアシリンダ46に連結されている。従って、エアシリンダ46が駆動すると、スライダ47a、47bおよびシャフト44は鉛直方向に昇降する。また、シャフト44は、クリーニング装置40の下方部分に配置されたモータ45に連結されている。従って、モータ45が駆動されると、シャフト44はクリーニング装置40の中心軸線X回りに回転するようになる。
【0024】
図2および図3に示されるように、クリーニング装置40は、ウェーハ20の表面21に貼付けられた保護フィルム3を洗浄する第一洗浄ユニット50を含んでいる。第一洗浄ユニット50は、シャフト44に固定されたスリーブ51と、スリーブ51の上端に一体的に連結されたアーム52とを含んでいる。図2から分かるように、アーム52はクリーニング装置40の直径方向に水平に延びている。アーム52の長さはウェーハ20の直径に概ね等しいものとする。
【0025】
さらに、図3に示されるように、アーム52の両端部上面のそれぞれには、第一洗浄部材55、例えばPVA製スポンジが取付けられている。そして、配管56が、第一洗浄部材55の下面からシャフト44の内部通路44aを通ってシャフト44の下端まで延びている。シャフト44の下端には、洗浄水源(図示しない)に接続された接続口44bが取付けられている。第一洗浄部材55の使用時には、洗浄水源からの洗浄水が配管56を通って二つの第一洗浄部材55まで供給される。これにより、第一洗浄部材55、例えばPVA製スポンジを適度に保湿することができる。
【0026】
なお、図示しない実施形態においては第一洗浄部材55はブラシでもよい。
【0027】
また、図2から分かるように、第一洗浄部材55は少なくとも保護フィルム3の外周部近傍を部分的に洗浄可能に形成されている。裏面研削時にはウェーハ20の保護フィルム3はチャック部に保持されているので、裏面研削時に生じるスラッジ等はせいぜい保護フィルム3の外周部付近にのみ付着し、中央部にはほとんど到達しない。従って、第一洗浄部材55はウェーハ20の直径の少なくとも両端部に対応した位置に配置されていれば足りる。
【0028】
図示されるように、本発明においては第一洗浄部材55はウェーハ20の半径方向に所定の長さを有している。従って、第一洗浄部材55は、第一洗浄部材55の長さの範囲内において半径の異なるウェーハに貼付けられた保護フィルム3の外周部を洗浄できるのが分かるであろう。なお、図示しない実施形態においては、一つの第一洗浄部材55の長さがウェーハ20の半径にほぼ等しくてもよい。この場合には、半径がさらに異なるウェーハに対応できる。さらに、スラッジ等が保護フィルム3の中心付近まで到達している場合であっても、これらスラッジ等を洗浄できることが分かるであろう。
【0029】
また、図2に示されるように、複数、例えば八つの液体供給ノズル71がクリーニング装置40の周方向に等間隔で配置されている。図3から分かるように、これら液体供給ノズル71は第一洗浄ユニット50の第一洗浄部材55と第二洗浄ユニット60の第二洗浄部材65とに対応した位置において中間プレート43に配置されている。液体供給ノズル71の先端はクリーニング装置40の半径方向内側に向かってわずかながら傾斜している。これら液体供給ノズル71は洗浄水源(図示しない)に接続されており、その先端から洗浄水を供給する。
【0030】
また、中間プレート43の外周部には、排出孔43aが形成されている。ハウジング41および中間プレート43により受容された液体は排出孔43aおよび排出管49を通ってクリーニング装置40の外部まで排出される。
【0031】
再び図2を参照すると、気体供給管75がハウジング41の半周を越えてハウジング41の内壁に沿って配置されている。図2に示される実施形態においては気体供給管75は約195°にわたってハウジング41の周方向に延びているが、気体供給管75の長さを変更してもよい。図3から分かるように、気体供給管75はハウジング41の上端近傍に配置されており、気体源(図示しない)に接続されている。
【0032】
この気体供給管75には、多数の孔(図示しない)が気体供給管75の長さ部分に沿って形成されている。従って、気体源(図示しない)から乾燥空気などの気体が気体供給管75に供給されると、気体は気体供給管75の多数の孔を通ってクリーニング装置40の半径方向に供給される。これにより、第一洗浄ユニット50により洗浄されたウェーハ20の保護フィルム3を迅速に乾燥することが可能となる。この目的のために、多数の孔は、クリーニング装置40の半径方向内側でかつ気体供給管75の上方に形成されるのが好ましい。
【0033】
さらに、クリーニング装置40は、搬送ユニット35の吸引部36を洗浄する第二洗浄ユニット60を含んでいる。図3に示されるように、第二洗浄ユニット60は、シャフト44およびスリーブ51が挿入される中央スリーブ61と、中間プレート43に結合された太陽歯車62と、太陽歯車62の上方において中央スリーブ61に取付けられたターンテーブル64とを備えている。これら中央スリーブ61およびターンテーブル64は、モータ45によりシャフト44と一緒に回転する。
【0034】
図3に示されるように、ロッド67が中心に結合された二つの遊星歯車63が太陽歯車62に係合している。また、二つのスリーブ66がターンテーブル64から上方に延びている。図から分かるように、遊星歯車63のロッド67はスリーブ66内に回転可能に係合している。
【0035】
第二洗浄部材65が、ロッド67の端部に取付けられている。図示されるように、第二洗浄部材65の中心とロッド67の中心とは互いに一致している。また、第二洗浄部材65の長さはウェーハ20の半径に概ね等しい。なお、典型的な第二洗浄部材65は砥石である。従って、第二洗浄部材65は、搬送ユニット35の吸引部36に付着したスラッジ等を研磨により除去することが可能である。
【0036】
本発明に基づくクリーニング装置40においてモータ45が駆動すると、中央スリーブ61およびターンテーブル64が一体的に回転する。これにより、遊星歯車63は該遊星歯車63の中心回りに回転しつつ、太陽歯車62周りを周回するようになる。従って、遊星歯車63と一体的な第二洗浄部材65は、その中心回りに回転しつつ、太陽歯車62周りを周回する。なお、モータ45の駆動時には、第一洗浄ユニット50の第一洗浄部材55も同時に軸線X回りに回転していることに注意されたい。
【0037】
このように第二洗浄部材65は回転しながら周回しているので、動作時には搬送ユニット35の吸引部36の全面を洗浄することができる。また、このような構成であるために、例えば第一洗浄部材55の上面が水平面に対してわずかなが傾斜している場合であっても、吸引部36を均等に洗浄できるのが分かるであろう。
【0038】
なお、図3においては、ターンテーブル64の外周部から中間プレート43近傍まで下方に延びた周囲カバー68が示されている。この周囲カバー68は、太陽歯車62と遊星歯車63との係合部分に液体、スラッジ等が進入するのを防止する。
【0039】
図4は本発明に基づくクリーニング装置の動作を示すフローチャートである。以下、図4を参照しつつ、本発明に基づくクリーニング装置の動作を説明する。以下の動作は、ウェーハ20がウェーハ処理装置10の粗研削ユニット31および仕上研削ユニット32においてその裏面が研削され、さらに研磨ユニット33により研磨された後で実施されるものとする。
【0040】
はじめにステップ101において、搬送ユニット35が研磨ユニット33のチャック部12dにおいて研磨後のウェーハ20の裏面22を吸引部36により吸引保持する。次いで、ステップ102においては、エアシリンダ46を駆動して、スライダ47a、47bをロッド48a、48bに摺動させ、それにより、シャフト44および第一洗浄ユニット50を上昇させる。第一洗浄ユニット50の第一洗浄部材55が第二洗浄ユニット60の第二洗浄部材65を越えてハウジング41の頂部まで移動すると(図3を参照されたい)、第一洗浄ユニット50の上昇を停止させる。
【0041】
次いで、搬送ユニット35を移動させて、ウェーハ20をクリーニング装置40と同心に配置する(ステップ103)。これにより、ウェーハ20はクリーニング装置40の開口部42を概ね被覆するようになる。このときには、ウェーハ20に貼付けられた保護フィルム3が第一洗浄部材55に対面する。
【0042】
その後、液体供給ノズル71から洗浄水を保護フィルム3に向かって供給すると共に、モータ45を駆動して第一洗浄部材55を軸線X回りに回転させる(ステップ104、105)。これにより、第一洗浄部材55は保護フィルム3の外周部分に接触しつつ、この外周部分を洗浄するようになる。従って、保護フィルム3の外周部分に付着していたスラッジ等が洗流される。洗流されたスラッジ等および液体供給ノズル71から供給された洗浄水は排出管49を通ってクリーニング装置40から排出される。
【0043】
なお、このときには第二洗浄部材65も回転しながら軸線X周りを周回する。しかしながら、第二洗浄部材65は第一洗浄部材55よりも低い位置にあるので、第二洗浄部材65はウェーハ20の保護フィルム3に接触することはない。
【0044】
所定時間にわたって保護フィルム3を洗浄すると、モータ45を停止させ、さらに液体供給ノズル71も停止させる(ステップ106)。次いで、ステップ107において、気体供給管75に気体、例えば乾燥空気を供給する。これにより、気体は気体供給管75の多数の孔から保護フィルム3に向かってクリーニング装置40の半径方向内側に供給される。従って、保護フィルム3を乾燥させられる。なお、保護フィルム3を乾燥するときには、エアシリンダ46を駆動して第一洗浄部材55を下降させ、それにより、第一洗浄部材55が保護フィルム3に接触しないようにするのが好ましい。
【0045】
次いで、搬送ユニット35を移動させて、ウェーハ20を後工程の装置、例えばスピンナー洗浄機39まで搬送する。スピンナー洗浄機39においては、搬送ユニット35の吸引部36を解除して、ウェーハ20をスピンナー洗浄機39に残置する(ステップ108)。ウェーハ20はスピンナー洗浄機39によって、特にその裏面22が洗浄され、搬送ロボット15によってカセット11bまで搬送される。
【0046】
その後、エアシリンダ46を再び駆動して、スライダ47a、47bをロッド48a、48bに摺動させ、それにより、シャフト44および第一洗浄ユニット50を下降させる(ステップ109)。図5は本発明に基づくクリーニング装置の他の側断面図である。図5に示されるように、第一洗浄ユニット50は、第一洗浄部材55が第二洗浄ユニット60の第二洗浄部材65よりも低い位置になるまで下降されて停止される。なお、第一洗浄ユニット50を昇降させる際であっても、第二洗浄ユニット60の高さは変化しないことに注意されたい。
【0047】
次いで、後工程の装置、例えばスピンナー洗浄機39からクリーニング装置40まで搬送ユニット35を移動させる(ステップ110)。搬送ユニット35はウェーハ20を保持していないので、搬送ユニット35の吸引部36がクリーニング装置40の開口部42を概ね被覆するようになる。このときには、搬送ユニット35の露出した吸引部36が第二洗浄部材65に対面する。
【0048】
次いで、ステップ111においてモータ45を駆動して、第二洗浄部材65を回転させつつ軸線X周りに周回させる。これにより、第二洗浄部材65が搬送ユニット35の吸引部36に接触しつつ、吸引部36全体を洗浄する。従って、吸引部36上に付着していたスラッジ等が研磨により除去される。なお、このときには第一洗浄ユニット50の第一洗浄部材55が軸線X回りに回転するものの、第一洗浄部材55は第二洗浄部材65よりも低い位置に在るので第一洗浄部材55は吸引部36に接触しない。
【0049】
所定時間にわたって搬送ユニット35の吸引部36を洗浄すると、モータ45を停止させる。次いで、搬送ユニット35の吸引部36から気体を噴出させながら、第二洗浄部材65で吸引部36を洗浄することも好ましい。その後、ステップ112において、研磨後のウェーハ20を再び保持するために、搬送ユニット35を研磨ユニット33のチャック部12dまで移動させ、処理を終了する。
【0050】
このように、本発明においては、単一のクリーニング装置40内に第一洗浄ユニット50と第二洗浄ユニット60との両方を組込んでいる。そして、ウェーハ20の保護フィルム3を洗浄するときには第一洗浄ユニット50を第二洗浄ユニット60よりも上昇させて第一洗浄ユニット50の第一洗浄部材55のみが保護フィルム3に接触するようにしている。さらに、搬送ユニット35の吸引部36を洗浄するときには第一洗浄ユニット50を第二洗浄ユニット60よりも下降させて、第二洗浄ユニット60のみが吸引部36に接触するようにしている。つまり、本発明のクリーニング装置40は、より上方に位置する洗浄ユニットのみが対象物に接触するようになっている。このような構成であるので、本発明においては、比較的小型のクリーニング装置を提供することが可能である。
【0051】
さらに、本発明においては、第一洗浄ユニット50の第一洗浄部材55は軸線X回りに回転し、第二洗浄ユニット60の第二洗浄部材65は回転しつつ同一の軸線X周りに周回するようにしている。このため、さらに小型のクリーニング装置40を提供できることが分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)本発明に基づくクリーニング装置を備えたウェーハ処理装置の略平面図である。(b)搬送ユニットの先端部分の縦断面図である。
【図2】本発明に基づくクリーニング装置の頂面図である。
【図3】図2の線B−Bに沿ってみたクリーニング装置の側断面図である。
【図4】本発明に基づくクリーニング装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に基づくクリーニング装置の他の側断面図である。
【符号の説明】
【0053】
3 保護フィルム
20 ウェーハ
21 表面
22 裏面
35 搬送ユニット
36 吸引部
39 スピンナー洗浄機
40 クリーニング装置
41 ハウジング
42 開口部
43 中間プレート
43a 排出孔
44 シャフト
44a 内部通路
44b 接続口
45 モータ
46 エアシリンダ(昇降手段)
47a、47b スライダ
48a、48b ロッド
49 排出管
50 第一洗浄ユニット
51 スリーブ
52 アーム
55 第一洗浄部材
56 配管
60 第二洗浄ユニット
61 中央スリーブ
62 太陽歯車
63 遊星歯車
64 ターンテーブル
65 第二洗浄部材
66 スリーブ
67 ロッド
68 周囲カバー
71 液体供給ノズル(液体供給手段)
75 気体供給管(気体供給手段)
76 閉鎖部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ユニットの吸引部によりウェーハの裏面が吸引されるときに、前記ウェーハの表面に貼付けられた保護フィルムを洗浄する第一洗浄手段と、
前記ウェーハを吸引していないときに前記搬送ユニットの前記吸引部を洗浄する第二洗浄手段と、
前記第一洗浄手段を前記第二洗浄手段に対して相対的に昇降させる昇降手段とを具備するクリーニング装置。
【請求項2】
前記第一洗浄手段は、前記ウェーハの直径の両端部に対応した二つの第一洗浄部材を含んでおり、これら第一洗浄部材は前記ウェーハの中心回りに回転可能に配置される、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記第一洗浄部材がスポンジまたはブラシである請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
さらに、前記第一洗浄手段による洗浄時に、液体を前記ウェーハに供給する液体供給手段を具備する請求項1から3のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
さらに、前記液体供給手段により液体を供給した後で、気体を前記ウェーハに供給する気体供給手段を具備する請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記第二洗浄手段は、前記ウェーハの半径に概ね等しい長さの二つの第二洗浄部材を含んでおり、これら第二洗浄部材は該第二洗浄部材の中心回りに回転可能でかつ前記ウェーハの中心周りに周回可能に配置される請求項1から5のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記第二洗浄部材は砥石である請求項6に記載のクリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−277925(P2009−277925A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128425(P2008−128425)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】