説明

グルタミニルシクラーゼの新規の阻害剤

本発明は、神経疾患、特にアルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン病(舞踏病)、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性疾患を治療するためのグルタミニルシクラーゼの新規の阻害剤、及びそれらの組合せに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は、アンモニアを遊離して、N-末端グルタミン残基からピログルタミン酸(5-オキソ-プロリル、pGlu*)への分子内環化、及び水を遊離して、N-末端グルタメート残基からピログルタミン酸への分子内環化を触媒する、グルタミニルシクラーゼ(QC、EC 2.3.2.5)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
グルタミニルシクラーゼ(QC、EC 2.3.2.5)は、アンモニアの遊離を伴う、N-末端グルタミン酸残基のピログルタミン酸(pGlu*)への分子内環化反応を触媒する。QCは、1963年にMesserによって熱帯植物パパイヤ(Carica papaya)のラテックスからはじめて取り出された(Messer, Mの論文、1963 Nature 4874、1299)。24年後、相当する酵素活性が、動物脳下垂体において発見された(Busby, W. H. J.らの論文, 1987 J Biol Chem 262, 8532-8536;Fischer, W. H. 及びSpiess, J.の論文, 987 Proc Natl Acad Sci U S A 84, 3628-3632)。該哺乳動物QCにおいて、QCによる pGluへのGln の転換は、TRH 及びGnRHの前駆体に見ることができる(Busby, W. H. J.らの論文, 1987 J Biol Chem 262, 8532-8536;Fischer, W. H. 及びSpiess, J.の論文, 1987 Proc Natl Acad Sci U S A 84, 3628-3632)。その上、QCの初期局在実験によって、ウシ脳下垂体における触媒の推定的産物との同一場所での局在が明らかになり、さらに、ペプチドホルモン合成における示唆された機能が裏付けられた(Bockers, T. M.らの論文, 1995 J Neuroendocrinol 7, 445-453)。これに対し、植物QCの生理学的機能は、それほど明らかでない。C.パパイヤ由来の該酵素の場合、病原微生物に対する植物防御における役割が示唆された(El Moussaoui, A.らの論文, 2001 Cell Mol Life Sci 58, 556-570)。近年、配列比較によって、他の植物からの推定QCが同定された(Dahl, S. W.らの論文, 2000 Protein Expr Purif 20, 27-36)。しかしながら、これらの酵素の生理学的機能は、依然として明らかとなっていない。
しかしながら、植物及び動物から知られるQCは、基質のN-末端位置においてL-グルタミンに対する厳密な特異性を示し、その動力学的挙動は、ミカエリス-メンテン式に従うことが認められた(Pohl, T.らの論文, 1991 Proc Natl Acad Sci U S A 88, 10059-10063; Consalvo, A. P.らの論文, 1988 Anal Biochem 175, 131-138; Gololobov, M. Y.らの論文, 1996 Biol Chem Hoppe Seyler 377, 395-398).しかし、C.パパイヤからのQCの一次構造と、哺乳類からの高度に保存されたQCの一次構造とを比較しても、配列相同性が明らかにされなかった(Dahl, S. W.らの論文, 2000 Protein Expr Purif 20, 27-36)。植物QCは、新規の酵素群に属すると思われる(Dahl, S. W.らの論文, 2000 Protein Expr Purif 20, 27-36)のに対して、哺乳類QCは、細菌アミノペプチダーゼに対する明白な配列相同性を有することが認められ(Bateman, R. C.らの論文, 2001 Biochemistry 40, 11246-11250)、植物と動物からのQCは、異なる進化起源を有するという結論にいたる。
【0003】
最近、脳抽出物からの組換えヒトQCならびにQC活性は、N-末端グルタミニルならびにグルタメートの環状化を触媒することが示されている。最も衝撃的なのは、シクラーゼで触媒されるGlu1転換は、pH 6.0付近で有利に行われるのに対して、pGlu-誘導体へのGln1-転換は、8.0付近を最適pHとして生じるという所見である。ブタ下垂体抽出物からの組換えヒトQC及びQC活性の阻害によってpGlu-Aβ-関連ペプチドの形成を抑制することが可能であるため、酵素QCは、アルツハイマー病の治療のための薬物開発における目標になっている。
【0004】
欧州特許出願公開第02 011 349.4号には、昆虫グルタミニルシクラーゼをコードしているポリヌクレオチドのほか、それによってコードされるポリペプチドもまた開示されている。さらに、この出願は、該発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。昆虫QCを含む単離されたポリペプチド、及び宿主細胞は、グルタミニルシクラーゼ活性を低下させる薬剤のスクリーニング方法において有用である。そのような薬剤は、殺虫剤として有用である。
【0005】
(定義)
(酵素阻害剤)
可逆的酵素阻害剤:競合的阻害剤、非競合的可逆的阻害剤、遅延結合性又は強結合性阻害剤、遷移状態類似体及び多基質類似体を含む。
【0006】
競合的阻害剤は、
i)酵素との非共有結合的相互作用、及び
ii)酵素活性部位に関する基質との競合
を示す。
可逆的酵素阻害剤の作用の主要メカニズム、及び解離定数の定義を以下の様に視覚化することが可能である。
【0007】
【化1】

【0008】
酵素-阻害剤[E-I]複合体の形成は、基質の結合を防止するため、反応は、通常の生理的生成物Pまで進むことができない。阻害剤濃度[I]が高くなるほど、[E-I]が大きくなり、基質が結合できる遊離の酵素が少なくなる。
【0009】
非競合的可逆的阻害剤は、
i)活性部位以外の部位(アロステリック結合部位)で結合し、
ii)触媒活性を低減又は停止させる酵素の立体構造の変化を引き起こす。
【0010】
緩慢結合又は緻密結合阻害剤は、
i)阻害剤と酵素の平衡がゆっくりと達成される競合的阻害剤であり、
ii)おそらく酵素又は阻害剤において生じるべき立体構造の変化により(konが低い)、
a)しばしば遷移状態類似体であり、
b)酵素濃度(ナノモル以下のKD値)と同様の濃度において有効であり、
c)Koff値が低いため、これらの種類の阻害剤は「ほぼ」可逆的である。
【0011】
遷移状態類似体は、酵素触媒反応の遷移状態を模倣する競合的阻害剤である。酵素触媒は、遷移状態のエネルギーの低下によって生じるため、遷移状態結合は、基質結合に比べて優先される。
【0012】
多基質類似体
2つ以上の基質を必要とする反応については、2つ以上の基質に類似する構造的特徴を含む競合的阻害剤又は遷移状態類似体を設計することが可能である。
不可逆的酵素阻害剤:未結合の酵素と阻害剤と酵素阻害剤複合体との平衡( E+I <---> E−I)を共有結合(〜100kcal/モル)により完全に右側に誘導して、阻害を不可逆的にする。
【0013】
親和標識剤
・活性部位誘導不可逆的阻害剤(競合的不可逆的阻害剤)は、酵素(可逆的な特異的結合)に続いて、共有結合形成によって認識され、
i)薬物と目標酵素との特異的な相互作用を可能にする基質、遷移状態又は生成物に構造的に類似しており、
ii)共有結合形成を可能にする反応性官能基(例えば求核試薬、-COCH2Br)を含む。
【0014】
以下の反応スキームは、KDが解離定数で、kinactivation (k 不活性化)が共有結合形成速度である、活性部位誘導試薬とその目標酵素を示している。
【0015】
【化2】

【0016】
・メカニカルに基づく酵素失活剤(自殺阻害剤とも呼ばれる)は、酵素活性部位に結合し、そこで酵素の触媒機能により反応性の(活性化)形態に転換される活性部位誘導(非反応性)試薬である。活性化されると、阻害剤と酵素との共有結合が形成される。
【0017】
以下の反応スキームは、KDが解離コンプレックスであり、k2が、酵素に結合したときの阻害剤の活性化率であり、K3が、酵素からの活性化阻害剤Pの解離速度(生成物はまだ活性でありうる)であり、k4が、活性化阻害剤と酵素との共有結合形成速度であるメカニズムに基づく酵素失活剤の作用のメカニズムを示す。
【0018】
【化3】

【0019】
失活(共有結合形成k4)は、解離(k3)の前に生じるはずであり、そうでなければ現在活性の阻害剤が環境に放出される。系を効率的に失活させ、望ましくない副反応を最小にするために、失活に対する放出生成物の比である配分比k3/k4を最小限に抑えるべきである。配分比が大きくなると(解離を有利にし)、非特異的反応が生じる。
非競合的酵素阻害剤:非競合的阻害剤(ES複合体にのみ結合する阻害剤)の定義から、以下の平衡状態を記すことが可能である。
【0020】
【化4】

【0021】
ES複合体は、Ksに等しい解離定数で基質を解離するのに対して、ESI複合体は、それを解離しない(すなわち、0に等しいKs値を有する)。ミカエリス-メンテン型酵素のKmを低下させることが期待される。基質の濃度が増加すると、ESI(反応生成物への進行が不可能な複合体)の濃度が増加するため、阻害が解除されうる。
本発明により好ましいのは、競合的酵素阻害剤である。最も好ましいのは、競合的可逆的酵素阻害剤である。
【0022】
“ki”又は“KI”及び“KD”という用語は、結合定数を意味し、阻害剤の酵素への結合、及びその後の酵素からの離脱を示す。他の測度は“IC50”値であり、阻害剤濃度を反映し、所定の基質濃度において、50%の酵素活性をもたらす。
該用語“DP IV-阻害剤”、又は“ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤”は、一般的に、当業者に公知であり、かつDP IV、又はDP IV-様酵素の触媒活性を阻害する酵素阻害剤を意味する。
【0023】
“DP IV-活性”は、ジペプチジルペプチダーゼIV(DP IV)、及びDP IV-様酵素の触媒活性として規定される。これらの酵素は、腎臓、肝臓、及び腸を含む、哺乳類の体内の様々な組織にあるセリンプロテアーゼを開裂するポスト-プロリン(より小さい範囲のポスト-アラニン、ポスト-セリン、又はポスト-グリシン)であり、これらは、これらの配列中において、該N-末端アミノ酸に隣接する残基がプロリン、又はアラニンである場合、高度な特異性で、生物学的活性ペプチドのN-末端から、ジペプチドを除去する。
【0024】
該用語“PEP-阻害剤”、又は“プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤”は、一般的に、当業者に公知であり、かつプロリルエンドペプチダーゼ(PEP、プロリルオリゴペプチターゼ、POP)の触媒活性を阻害する、酵素阻害剤を意味する。
該用語“PEP-活性”は、プロリンが、ペプチド、又はタンパク質基質のN-末端から数えて3位又はより高位のアミノ酸位置に存在するペプチド又はタンパク質における定位プロリン結合を加水分解することが可能であるエンドプロテアーゼの触媒活性と規定する。
【0025】
本明細書中で使用される用語“QC”は、グルタミニルシクラーゼ(QC)、及びQC-様酵素を含む。QC、及びQC-様酵素は、酵素活性が、同じか、又は類似しており、さらに、該酵素活性をQC活性と規定する。この点において、QC-様酵素は、それらの分子構造においてQCとは基本的に異なり得る。
本明細書中で使用される用語“QC活性”は、アンモニアを遊離して、N-末端グルタミン残基からピログルタミン酸(pGlu*)への分子内環化、あるいはN-末端L-ホモグルタミン、又はL-β-ホモグルタミンから環状ピロ-ホモグルタミン誘導体への分子内環化として規定される。スキーム1、及び2を参照されたい。
【0026】
【化5】

【0027】
【化6】

【0028】
本明細書中で使用される用語“EC”は、グルタメートシクラーゼ(EC)としてのQC、及びQC-様酵素の副活性を含み、さらに該活性をEC活性と規定する。
本明細書中で使用される用語“EC活性”は、QCによるN-末端グルタメート残基からピログルタミン酸(pGlu*)への分子内環化として規定される。スキーム3を参照されたい。
【0029】
【化7】

【0030】
該用語“QC-阻害剤”“グルタミニルシクラーゼ阻害剤”は、一般的に、当業者に公知であり、かつグルタミニルシクラーゼ(QC)又はそのグルタミルシクラーゼ(EC)の触媒活性を阻害する、酵素阻害剤を意味する。
【0031】
(QC阻害の効力)
好ましい実施形態において、QC阻害との相関に鑑み、主題の方法及び医学的用途は、QC阻害のためのKiが10μM以下、より好ましくは1μM以下、さらにより好ましくは0.1μM以下又は0.01μM以下、或いは最も好ましくは0.01μM以下である薬剤を利用する。実際、Ki値が低ミクロモル、好ましくはナノモル、さらにより好ましくはピコモルの範囲である阻害剤が考えられる。したがって、本明細書では、便宜上、“QC阻害剤”として活性薬剤が記載されているが、そのような用語は、本発明の主題を特定の作用のメカニズムに限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0032】
(QC阻害剤の分子量)
概して、主題の方法のQC阻害剤又は医学的用途のQC阻害剤は、例えば分子量が1000g/モル以下、500g/モル以下、好ましくは400g/モル以下、さらにより好ましくは350g/モル以下、さらに300g/モル以下の小分子である。
本明細書中で使用される用語“対象”は、治療、観察、又は実験の対象である、動物、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはヒトのことである。
【0033】
本明細書中で使用される用語“治療的有効量”とは、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医により探究される組織系、動物、又はヒトにおいて、生物学的、又は医薬的応答を発現する、活性のある化合物、又は医薬品の量のことであり、これらは、治療される疾病、又は疾患の症状の緩和を含む。
本明細書中で使用される用語“医薬として許容し得る”とは、ヒト用途、及び獣医学的用途の両方の使用を含み、例えば、該用語“医薬として許容し得る”は、獣医学的に許容し得る化合物、又はヒト医学、保健医療に許容し得る化合物を含む。
【0034】
説明及び請求の範囲を通して、“アシル”という表現は、特に限定されなければ、C〜C12アシル残基、好ましくはC〜Cアシル残基、特に好ましくはC〜Cアシル残基を表す。アシルの例としては、以下に記載するアルカノイル基、及びベンゾイルが挙げられる。
【0035】
“ペプチド”は、ジペプチド〜デカペプチドから選択され、好ましいのは、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド及びペンタペプチドである。“ペプチド”の形成のためのアミノ酸を以下に列記するアミノ酸から選択することが可能である。
【0036】
説明及び請求の範囲を通して、“アルキル”という表現は、特に限定されなければ、C〜C12アルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖であっても分枝状であってもよい。好適なアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル(例えばn-プロピル及びイソプロピル)、(n-ブチル、tert-ブチル及びsec-ブチル)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル(例えばn-ヘプチル)及びオクチル(例えばn-オクチル)が挙げられる。例えば“アルコキシ”という表現における“アルク”という表現、及び例えば“アルカノイル”という表現における“アルカン”という表現は、“アルキル”の定義に従って解釈されるべきである。例示的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、ブトキシ(例えばn-ブトキシ)、ヘプチルオキシ(例えばn-ヘプチルオキシ)及びオクチルオキシ(例えばn-オクチルオキシ)が挙げられる。例示的なアルカノイル(すなわちアシル基)としては、エタノイル(すなわちアセチル)、プロピオニル及びブチリルが挙げられる。
【0037】
“アルケニル”という表現は、特に限定されなければ、任意の所望の位置に少なくとも1つの二重結合を含むC〜C12アルケニル基、好ましくはC〜Cアルケニル基を表す。アルケニル基は、直鎖であっても分枝状であってもよい。例示的なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル及びブテニルが挙げられる。
“アルキニル”という表現は、特に限定されなければ、任意の所望の位置に少なくとも1つの三重結合を含むC〜C12アルキニル基、好ましくはC〜Cアルキニル基を表す。アルキニル基は、直鎖であっても分枝状であってもよい。例示的なアルケニル基としては、エチニル、プロピニル及びブチニルが挙げられる。
【0038】
“シクロアルキル”という表現は、特に限定されなければ、C〜C12シクロアルキル基、好ましくはC〜Cシクロアルキル基を表す。例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基は、分枝状であってもよく、その場合は、炭素数は、成分中の全炭素数を示す。
【0039】
“複素環”という表現は、特に指定のない限り、1つ又は複数(例えば1、2又は3)の環原子が、N、S又はOから選択されるヘテロ原子で置換されたシクロアルキル残基を表す。1つのヘテロ原子を含む例示的複素環基としては、ピロリジン、テトラヒドロフラン及びピペリジンが挙げられる。そのような基は、場合によっては、例えばアルキル、オキソ又はヒドロキシルで置換されていてもよい。
【0040】
複素環基の具体的な例は、置換又は非置換のオキシラノ、アジリジノ、オキサシクロプロピル、アザシクロプロピル、チイラノ、オキセタノ、チエタノ、ピロリジノ、テトラヒドロフラノ、チオラノ、1,1-ジオキソ-チオラノ、1,3-ジオキソラノ、チアゾリジノ、イミダゾリジノ、オキサゾリジノ、ピラゾリジノ、テトラヒドロピラノ、ピペリジノ、ウロトロピノ、ピペラジノ、N-メチル-ピペラジノ、(2-(N-メチル)-N´-ピペラジニル)-エチル、(4N-(2´-ヒドロキシエチル)-1N-ピペラジニル)、(2-(4N-(2´-ヒドロキシエチル)-1N-ピペラジニル)-エチルオキシ)、モルフォリノ、2-(N-モルフォリノ)-エチル基、ならびにラクタム、ラクトン、環状イミド及び環状酸無水物を含む。
【0041】
“炭素環”という表現は、特に限定されなければ、3〜12個の炭素原子、より好ましくは3〜8個の炭素原子を含む炭素環基を表す。炭素環基は、本明細書で用いられるように、ヘテロ原子を含まない少なくとも1つの炭素原子の環を含むアリール又はシクロアリール以外の基を意味する。炭素環基の例としては、架橋環系(例えばビシクロ[2.2.1]ヘプテニル)及び部分的に不飽和の環系が挙げられる。
【0042】
“アリール”という表現は、特に限定されなければ、C〜C12アリール基、好ましくはC〜Cアリール基を表す。アリール基は、少なくとも1つの芳香族環(例えば1つ、2つ又は3つの環)を含むが、部分的又は完全に不飽和の環を含むこともできる。1つの芳香族環を有するアリール基の例は、フェニルである。2つの芳香族環を有する芳香族基の例としては、ナフチルが挙げられる。部分的又は完全に不飽和の環を含むアリール基の例としては、ペンタレン及びインデンが挙げられる。以下に記載するように、アリール基は場合によっては置換されていてもよい。アリール基に対するさらなる例としては、4-フルオロ-フェニル、3-フルオロ-フェニル、ペンタフルオロ-フェニル、4-ヒドロキシフェニル-、3-ニトロフェニル-、4-(トリフルオロメチル)-フェニル-、4-アニリニル-、2-ビフェニリル-、3-ビフェニリル-、4-ビフェニリル-、インデニル-、1-ナフチル-又は2-ナフチル-、1-アントラセニル-、2-アントラセニル-及び3-アントラセニル-基が挙げられる。
【0043】
-アルキルアリールの例としては、フェニルメチル-(ベンジル)及びフェニルエチル、2-フェニルエタ-1-イル、p-トリル-メチル-、p-トリル-エチル-、m-トリル-メチル-、m-トリル-エチル-、o-トリル-メチル-、o-トリル-エチル-、2-(4-エチル-フェニル)-エタ-1-イル-、2,3-ジメチル-フェニル-メチル-、2,4-ジメチル-フェニル-メチル-、2,5-ジメチル-フェニル-メチル-、2,6-ジメチル-フェニル-メチル-、3,4-ジメチル-フェニル-メチル-、3,5-ジメチル-フェニル-メチル-、2,4,6-トリメチル-フェニル-メチル-、2,3-ジメチル-フェニル-エチル-、2,4-ジメチル-フェニル-エチル-、2,5-ジメチル-フェニル-エチル-、2,6-ジメチル-フェニル-エチル-、3,4-ジメチル-フェニル-エチル-、3,5-ジメチル-フェニル-エチル-、2,4,6-トリメチル-フェニル-エチル-、ベンズヒドリル(= ジフェニル-メチル)、ベンズヒドリル(= ジフェニル-エチル)、トリチル(= トリフェニル-メチル)、トリチル(= トリフェニル-エチル)、α-スチリル、β-スチリル、クミル、2-エチル-フェニル-メチル-、3-エチル-フェニル-メチル-、4-エチル-フェニル-メチル-、2-エチル-フェニル-エチル-、3-エチル-フェニル-エチル-、4-エチル-フェニル-エチル-、2-フルオロ-ベンジル、1-メチル-2-フルオロ-phen-6-イル-メチル-、1-メチル-2-フルオロ-phen-4-イル-メチル-、1-メチル-2-フルオロ-phen-6-イル-エチル-、1-メチル-2-フルオロ-phen-4-イル-エチル-、1H-インデニル-メチル-、2H-インデニル-メチル-、1H-インデニル-エチル-、2H-インデニル-エチル-、インダニル-メチル-、インダン-1-オン-2-イル-メチル-、インダン-1-オン-2-イル-エチル-、テトラリニル-メチル-、テトラリニル-エチル-、フルオレニル-メチル-、フルオレニル-エチル-、(3-フェニル)-シクロペンタ-1-イル、ジヒドロナフタリニル-メチル-、ジヒドロナフタリニル-エチル-、(4-シクロヘキシル)-フェニル-メチル-、(4-シクロヘキシル)-フェニル-エチル-が挙げられる。
【0044】
“ヘテロアリール”という表現は、特に限定されなければ、1つ又は複数の(例えば1、2、3又は4、好ましくは1、2又は3の)環原子が、N、S及びOから選択されるヘテロ原子、或いはN、S及びOから選択される1つ又は複数の(例えば1、2、3又は4、好ましくは1、2又は3の)環原子を含む五員芳香族環で置換されているアリール残基を表す。以下に記すように、ヘテロアリール基は、場合によっては置換されていてもよい。例示的なヘテロアリール基としては、ピリジン(例えば2、3 又は4-ピリジン)、ピリミジン、キノリン、ピロール、フラン、チオフェン、オキサゾール、ピラゾール、ベンゾジオキソラン、ベンゾジオキサン、ベンゾチオフェン、ベンゾジオキセピン及びチアゾリル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、3-フェニル-1-ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、3-ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、テトラゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、インダゾリル、6-インドリル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、プリニル、カルバゾリニル、アクリジニル及び2,3'-ビフリル基が挙げられる。
【0045】
-アルキルヘテロアリールの例としては、ピリジニルメチル-、N-メチル-ピロール-2-メチル-、N-メチル-ピロール-2-エチル-、N-メチル-ピロール-3-メチル-、N-メチル-ピロール-3-エチル-、2-メチル-ピロール-1-メチル-、2-メチル-ピロール-1-エチル-、3-メチル-ピロール-1-メチル-、3-メチル-ピロール-1-エチル-、4-ピリジノ-メチル-、4-ピリジノ-エチル-、2-(チアゾール-2-イル)-エチル-、テトラヒドロイソキノリニル-メチル-、テトラヒドロイソキノリニル-エチル-、2-エチル-インドール-1-メチル-、2-エチル-インドール-1-エチル-、3-エチル-インドール-1-メチル-、3-エチル-インドール-1-エチル-、4-メチル-ピリジン-2-メチル-、4-メチル-ピリジン-2-イル-エチル-、4-メチル-ピリジン-3-メチル、4-メチル-ピリジン-3-エチルが挙げられる。
上記アリール及びヘテロアリール基は、適宜、場合によっては置換されていてもよい。
【0046】
“置換”又は“置換された”という表現は、1つ又は複数の(例えば1、2又は3、好ましくは1又は2の)一価又は多価官能基による置換を含む。好適な基としては、アルキル、シクロアルキル、アリール(例えばフェニル)、ヘテロアリール(例えばフリル)、炭素環、複素環、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、炭素環オキシ、複素環オキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルケニル、アルキニル、アシル、アルカノイル、アルコキシアルカノイル、アルコキシアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ、ニトロ、-S-アルキル(例えばメチルチオ) ハロ(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード)、シアノ、ヒドロキシル、-SO2アルキル、-SO2アリール、-SO2ヘテロアリール、-SO2シクロアルキル、-SO2複素環、-CO2H、-CO2アルキル、-NH2、-NHアルキル、-N(アルキル)2(例えばジメチルアミノ)、-CO-N(アルキル)2及び-CO-NH(アルキル)が挙げられる。
【0047】
アルコキシ、並びにアルケニル、アルキニル及びシクロアルキル基の如き誘導体を含むアルキル基は、場合によっては、ハロゲン置換、例えばフッ素置換されていてもよい。例えば、ハロ置換アルキル基はトリフルオロメチルを含み、ハロ置換アルコキシ基はトリフルオロメトキシを含む。
“ハロゲン”という用語は、それぞれフッ素(-F)、塩素(-Cl)、臭素(Br-)及びヨウ素(-I)を含む。
本発明で使用されうるアミノ酸は、L-及びD-アミノ酸、N-アルキル化アミノ酸、N-メチル-アミノ酸、アザ-アミノ酸;例えばα-、β-又はω-アミノ酸でありうるが、α-アミノ酸が好ましいアロ又はトレオ形のIle及びThrである。
【0048】
アミノ酸の例を挙げると、次のものがある:
アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、ヒスチジン(His)、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、システイン(Cys)、トレオニン(Thr)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、チロシン(Tyr)、アラニン(Ala)、プロリン(Pro)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、ベータ-アラニン(beta-Ala)、2-アミノオクタン酸(Aoa)、アセチジン-(2)-カルボン酸(Ace)、ピペコリン酸(Pip)、3-アミノプロピオン酸、4-アミノ酪酸、その他、アルファ-アミノイソ酪酸(Aib)、サルコシン(Sar)、オルニチン(Orn)、シトルリン(Cit)、ホモアルギニン(Har)、t-ブチルアラニン(t-ブチル-Ala)、t-ブチルグリシン(t-ブチル-Gly)、N-メチルイソロイシン(N-MeIle)、フェニルグリシン(Phg)、シクロヘキシルアラニン(Cha)、ノルロイシン(Nle)、システイン酸(Cya)、及びメチオニンスルホキシド(MSO)、アセチル-Lys、ホスホリル-セリン(Ser(P))、ベンジル-セリン(Ser(Bzl))、及びホスホリル-チロシン(Tyr(P))のような修飾アミノ酸、2-アミノ酪酸(Abu)、アミノエチルシステイン(AECys)、カルボキシメチルシステイン(Cmc)、デヒドロアラニン(Dha)、デヒドロアミノ-2-酪酸(Dhb)、カルボキシグルタミニン酸(Gla)、ホモセリン(Hse)、ヒドロキシリシン(Hイル)、シス-ヒドロキシプロリン(cisHyp)、トランス-ヒドロキシプロリン(transHyp)、イソバリン(Iva)、ピログルタミン酸(Pyr)、ノルバリン(Nva)、2-アミノ安息香酸(2-Abz)、3-アミノ安息香酸(3-Abz)、4-アミノ安息香酸(4-Abz)、4-(アミノメチル)安息香酸(Amb)、4-(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸(4-Amc)、ペニシルアミン(Pen)、2-アミノ-4-シアノ酪酸(Cba)、シクロアルカン-カルボン酸がある。ω-アミノ酸の例を挙げると、例えば:5-Ara(アミノラレリック酸(アミノraleric acid))、6-Ahx(アミノヘキサン酸)、8-Aoc(アミノオクタン酸)、9-Anc(アミノバノイック酸(aminovanoic acid))、10-Adc(アミノデカン酸)、11-Aun(アミノウンデカン酸)、12-Ado(アミノドデカン酸)がある。さらに、アミノ酸には:インダニルグリシン(Igl)、インドリン-2-カルボン酸(Idc)、オクタヒドロインドール-2-カルボン酸(Oic)、ジアミノプロピオン酸(Dpr)、ジアミノ酪酸(Dbu)、ナフチルアラニン(1-Nal)、及び(2-Nal)、4-アミノフェニルアラニン(Phe(4-NH2))、4-ベンゾイルフェニルアラニン(Bpa)、ジフェニルアラニン(Dip)、4-ブロモフェニルアラニン(Phe(4-Br))、2-クロロフェニルアラニン(Phe(2-Cl))、3-クロロフェニルアラニン(Phe(3-Cl))、4-クロロフェニルアラニン(Phe(4-Cl))、3,4-クロロフェニルアラニン(Phe(3,4-Cl2))、3-フルオロフェニルアラニン(Phe(3-F))、4-フルオロフェニルアラニン(Phe(4-F))、3,4-フルオロフェニルアラニン(Phe(3,4-F2))、ペンタフルオロフェニルアラニン(Phe(F5))、4-グアニジノフェニルアラニン(Phe(4-グアニジノ))、ホモフェニルアラニン(hPhe)、3-ジュードフェニルアラニン(3-judoフェニルアラニン)(Phe(3-J))、4-ジュードフェニルアラニン(Phe(4-J))、4-メチルフェニルアラニン(Phe(4-Me))、4-ニトロフェニルアラニン(Phe-4-NO2))、ビフェニルアラニン(Bip)、4-ホスホノメチルフェニルアラニン(Pmp)、シクロヘキシルグリシン(Ghg)、3-ピリジニルアラニン(3-Pal)、4-ピリジニルアラニン(4-Pal)、3,4-デヒドロプロリン(A-Pro)、4-ケトプロリン(Pro(4-ケト))、チオプロリン(Thz)、イソニペコ酸(Inp)、1,2,3,4,-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic)、プロパルギルグリシン(Pra)、6-ヒドロキシノルロイシン(NU(6-OH))、ホモチロシン(hTyr)、3-ジュードチロシン(Tyr(3-J))、3,5-ジジュードチロシン(Tyr(3,5-J2))、メチルチロシン(Tyr(Me))、2',6'-ジメチルチロシン(Dmt)、3-NO2-チロシン(Tyr(3-NO2))、ホスホチロシン(Tyr(PO3H2))、アルキルグリシン、1-アミノインダン-1-カルボン酸、2-アミノインダン-2-カルボン酸(Aic)、4-アミノ-メチルピロール-2-カルボン酸(Py)、4-アミノ-ピロリジン-2-カルボン酸(Abpc)、2-アミノテトラリン-2-カルボン酸(Atc)、ジアミノ酢酸(Gly(NH2))、ジアミノ酪酸(Dab)、1,3-ジヒドロ-2H-イソイノール-カルボン酸(Disc)、ホモシクロヘキシルアラニン(hCha)、ホモフェニルアラニン(hPhe、又はHof)、トランス-3-フェニル-アゼチジン-2-カルボン酸、4-フェニル-ピロリジン-2-カルボン酸、5-フェニル-ピロリジン-2-カルボン酸、3-ピリジルアラニン(3-Pya)、4-ピリジルアラニン(4-Pya)、スチリルアラニン、テトラヒドロイソキノリン-1-カルボン酸(Tiq)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、β-(2-チエンリル)-アラニン(Tha)がある。
【0049】
“ペプチド”は、ジペプチド〜デカペプチドから選択され、好ましくはジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、及びペンタペプチドである。該“ペプチド”を形成する該アミノ酸を、前述から選択することができる。
【0050】
“アザ-アミノ酸”は、キラルα-CH基が、窒素原子で置換されたアミノ酸として規定され、一方、“アザ-ペプチド”は、ペプチド鎖中の1以上のアミノ酸残基の該キラルα-CH基が、窒素原子で置換されたペプチドとして規定される。
【0051】
また、遺伝子暗号にコード化された他のアミノ酸置換基も、本発明の範囲内のペプチド化合物に含むことができ、かつ、この一般スキームに分類することができる。タンパク質構成アミノ酸は、天然タンパク質由来α-アミノ酸として定義される。非蛋タンパク質構成アミノ酸は、他のアミノ酸すべてとして定義され、これらは一般的な天然タンパク質の構成単位ではない。
【0052】
“ペプチド模倣体”自体は、当業者に公知である。好ましくは、これらは、ペプチドのような二次構造、及び任意に、さらなる構造特性を有する化合物として規定され、これらの作用機序は、該天然ペプチドの作用機序によく類似しているか、又は同じである。しかし、これらの活性(例えば、アンタゴニスト、又は阻害剤として)を、天然ペプチド、特にレセプター、又は酵素に対して比較して、改質することができる。さらに、これらは、該天然ペプチド(アゴニスト)の作用を模倣することができる。ペプチド模倣体の例を挙げると、足場模倣体、非-ペプチド性模倣体、ペプトイド、ペプチド核酸、オリゴピロリノン、ビニログペプチド、及びオリゴカルバメートがある。これらのペプチド模倣体の定義は、Lexikon der Chemie、Spektrum Akademischer Verlag Heidelberg、Berlin、1999を参照されたい。
【0053】
これらの模倣体構造を使う目的は、活性を増加すること、選択性を向上させて副作用を減らすこと、作用の長期化による酵素的分解に対して、該化合物を保護することである。
【0054】
(立体異性体):
請求項の化合物の可能な立体異性体すべては、本発明に含まれる。
本発明の化合物が、少なくとも1つのキラル中心を有する場合、それに応じて、これらは、エナンチオマーとして存在し得る。化合物が、2以上のキラル中心を有する場合、これらはまた、ジアステレオマーとして存在し得る。全てのこのような異性体、及びそれらの混合物が、本発明の範囲内に含まれることは理解される。
【0055】
(立体異性体の製造、及び単離):
本発明の化合物の製造方法が、立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体を、分離クロマトグラフィーのような、従来の技術により分離することができる。該化合物を、ラセミ形態で製造することができ、又は個々のエナンチオマーを、エナンチオ特異的合成により、又は分割により製造することができる。例えば、該化合物を、(-)-ジ-p-トルオイル-d-酒石酸、及び/又は(+)-ジ-p-トルオイル-l-酒石酸のような光学活性酸を用いて塩形成し、続いて分別結晶、及び遊離塩基への再生により、ジアステレオマー対を形成するような、標準的技術により、これらの成分であるエナンチオマーに分割することができる。また、該化合物を、ジアステレオマーエステル、又はアミドを形成し、続いて、クロマトグラフ分離、及びキラル補助基の除去により分割してもよい。又は、該化合物をキラルHPLCカラムを用いて分割してもよい。
【0056】
(医薬として許容し得る塩):
遊離化合物と、それらの塩、又は溶媒和物の形態の化合物との密接な関係を鑑み、本明細書においてある化合物が参照されるときはいつでも、それがその状況下で可能又は適切であるという前提で、対応する塩、又は溶媒和物も対象となる。
【0057】
式(1)の化合物の塩、及び溶媒和物、並びに医学における使用に好適であるその生理的に機能的な誘導体は、対イオン又は解離溶媒が薬学的に許容可能である化合物である。しかし、薬学的に許容可能でない対イオン、又は解離溶媒を有する塩及び溶媒和物は、本発明の範囲にあり、例えば、他の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、及び溶媒和物の調整における中間体として使用される。
本発明による好適な塩としては、有機及び無機酸又は塩基で形成された塩が挙げられる。医薬として許容し得る酸添加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、コハク酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アリールスルホン酸(例えばp-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸又はナフタレンジスルホン酸)、サリチル酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリル酸、桂皮酸、置換桂皮酸(例えば、4-メチル及び4-メトキシ桂皮酸を含むフェニル、メチル、メトキシ又はハロ置換桂皮酸)、アスコルビン酸、オレイン酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば1-又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ナフタレンアクリル酸(例えばナフタレン-2-アクリル酸)、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-又は4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸、4-フェニル安息香酸、ベンゼンアクリル酸(例えば1,4-ベンゼンジアクリル酸)、イセチオン酸、過塩素酸、プロピオン酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、パモン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、サッカリン酸及びトリフルオロ酢酸から形成される塩が挙げられる。医薬として許容し得る塩基塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム及びカリウムの塩の如きアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウムの塩の如きアルカリ土類金属塩、並びにジシクロヘキシルアミン及びN-メチル-D-グルカミンの如き有機塩基の塩が挙げられる。
本発明の化合物のすべての医薬として許容し得る酸添加塩形態は、本発明の範囲によって包括されるように意図される。
【0058】
溶媒和物の例としては、水和物が挙げられる。
【0059】
(多形結晶形態):
さらに、該化合物の幾つかの結晶形態は、多形体として存在し、それ自体が、本発明の範囲内に含まれることが意図される。さらに、該化合物の幾つかは、水との溶媒和物(すなわち、水和物)、又は一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成してもよく、そのような溶媒和物も、本発明の範囲内に含まれることが意図される。また、これらの塩を含む該化合物を、これらの水和物の形態で得ることができ、又は、該化合物は、これらの結晶化に使用する他の溶媒を含み得る。
【0060】
(プロドラッグ):
さらに、本発明は、該化合物のプロドラッグを、本発明の範囲内に含む。一般的に、そうしたプロドラッグとは、生体内で、所望の治療的に活性のある該化合物に容易に転換され得る、該化合物の官能性誘導体であろう。従って、本発明の治療方法において、該用語"投与する"は、本請求項の1以上の化合物のプロドラッグ種で記載された、様々な疾患の治療を含むべきであろう。しかし、該化合物は、該対象に投与した後に、生体内で上述の特定の化合物に転換される。適切なプロドラッグ誘導体の従来の選択、及び製造手順は、例えば、“プロドラッグの設計(Design of Prodrugs) ”、ed. H. Bundgaard、Elsevier、1985、及び特許出願DE 198 28 113、DE 198 28 114、WO 99/67228、及びWO 99/67279に記載されており、これらは、引用により、本明細書中に完全に取り込まれている。
【0061】
(保護基):
本発明の化合物の全製造プロセスの間に、関与する任意の分子の感受性基、又は反応性基を保護することが必要、及び/又は所望され得る。これは、『有機化学における保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)』、ed. J.F.W. McOmie, Plenum Press、1973;及びT.W. Greene とP.G.M.Wutsの『有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)』、John Wiley & Sons、1991(これらは、引用により、本明細書中に完全に取り込まれている)に記載されているような、従来の保護基の手段により成し遂げることができる。該保護基を、都合の良い後の段階で、当技術分野の公知の方法を用いて、除去することができる。
【0062】
本明細書中で使用する用語“組成物”は、治療的有効量の本請求項の化合物を含む製品、並びに本請求項の化合物の組合せから直接的に、又は間接的に得られる製品すべてを含むことを意図する。
【0063】
(生薬配合用キャリア、及び添加剤):
例えば、懸濁液、エリキシル、及び溶液のような、液体の経口用製剤に対する適切なキャリア、及び添加剤は、水、グリコール、オイル、アルコール、香料、保存料、及び着色剤などを有利に含み得る;例えば、粉末、カプセル、ジェルキャップ、及び錠剤のような、個体の経口用製剤に対する適切なキャリア、及び添加剤は、デンプン、糖類、希釈剤、顆粒化剤、滑剤、結合剤、及び崩壊剤などを含む。
【0064】
該混合物に添加され得るキャリアには、制限はないが、適切な結合剤、懸濁化剤、滑剤、風味剤、甘味料、保存料、コーティング剤、崩壊剤、染料、及び着色剤を含む、必須かつ不活性の医薬賦形剤がある。
【0065】
標的を定めることができる薬剤キャリアとしての可溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミド-フェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを含み得る。さらに、本発明の化合物を、薬剤の制御放出の実現に有用な生分解性ポリマー類と結合することができ、例えば、ポリアクチック酸(polyactic acid)、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシブチエリック酸(poly hydroxy butyeric acid)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋性ブロックコポリマー、又は両親媒性ブロックコポリマーがある。
【0066】
適切な結合剤には、制限はないが、デンプン、ゼラチン、グルコース、又はベータラクトースのような天然糖類、コーン甘味料、アカシア、トラガカント、又はオレイン酸ナトリウムのような天然、及び合成ゴム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムなどがある。
崩壊剤には、制限はないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、及びキサンタンガムなどがある。
【0067】
(ペプチド配列)
本明細書中に記載、及び使用したペプチドは、下記配列を有する:

Aβ(1-42):
Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val-Ile-Ala

Aβ(1-40):
Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val

Aβ(3-42):
Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val-Ile-Ala

Aβ(3-40):
Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val

Aβ(1-11)a:
Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-NH2

Aβ(3-11)a:
Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-NH2

Aβ(1-21)a:
Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-NH2

Aβ(3-21)a:
Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-NH2

Gln3-Aβ(3-40):
Gln-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val

Gln3-Aβ(3-21)a:
Gln-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-NH2

Gln3-Aβ(1-11)a:
Asp-Ala-Gln-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-NH2

Gln3-Aβ(3-11)a:
Gln-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-NH2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0068】
(発明の要約)
本発明は、グルタミニルシクラーゼ(QC、EC2.3.2.5)の阻害剤として作用する化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0069】
哺乳動物におけるQCの生理学的基質は、例えば、[Glu3]アミロイドβ-タンパク質(3-40/42)、[Gln3]アミロイドβ-タンパク質(3-40/42)、ガストリン、ニューロテンシン、FPP、CCL2、CCL7、CCL8、CCL16、CCL18、フラクタルキン、オレキシンA、[Gln]グルカゴン(3-29)及び[Gln5]-サブスタンスP(5-11)である。本発明による化合物、及び本発明による少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物は、QC活性の変調により治療されうる状態の治療に有用である。
【0070】
QC(EC)活性の阻害剤を、哺乳動物に投与することにより、神経障害(アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性障害)を予防し、又は緩和し、又は治療することができる。
【0071】
また、本発明による化合物を哺乳類に投与することにより、骨髄性前駆細胞の増殖を刺激することが可能になりうる。
また、本発明によるQC阻害剤を投与することにより、雄の受精脳を抑制することが可能になる。
好ましい実施形態において、本発明は、特に神経障害を治療するために、QC(EC)活性の阻害剤を他の薬剤と併用することを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
本発明は、式1のQC(EC)の新規の阻害剤を提供する。
【0073】
【化8】

【0074】
(式中、Aは、アルキル鎖、アルケニル鎖又はアルキニル鎖であり、
或いは、Aは、
【0075】
【化9】

【0076】
から選択される基であり、
、R、R、R及びR10は、独立に、H、又はアルキル鎖、アルケニル鎖、アルキニル鎖、シクロアルキル、炭素環、アリール、ヘテロアリール若しくは複素環であり、
n及びnは、独立に、1〜5であり、
mは、1〜5であり、
oは0〜4であり、
Bは、
【0077】
【化10】

【0078】
の(VI)〜(XIV)から選択される基であり、
D及びEは、独立に、アルキル鎖、アルケニル鎖、アルキニル鎖、シクロアルキル、炭素環、アリール、-アルキルアリール、ヘテロアリール、-アルキルヘテロアリール、アシル又は複素環を表す)。
【0079】
Xは、CR2021、O、S、NR19を表し、但し、式(VIII)及び(IX)については、Z=CHであれば、XがO又はSであり、
19は、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−オキシアルキル、−オキシアリール、カルボニル、アミド、ヒドロキシ、NO、NH及びCNからなる群から選択され、
20及びR21は、独立に、H、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、-オキシアルキル、-オキシアリール、カルボニル、アミド、NO、NH、CN及びCFから選択され、
、X及びXは、独立に、O又はSであり、但し、X及びXはともにはOでなく、
Yは、O又はSであり、但し、R17及びR18によって形成される炭素環が、環に三員を有するときには、YはOになりえず、
Zは、CH又はNであり、
11、R12、R13及びR14は、独立に、H、アルキル鎖、アルケニル鎖、アルキニル鎖、シクロアルキル、炭素環、アリール、ヘテロアリール、複素環、ハロゲン、アルコキシ-、-チオアルキル、カルボキシル、カルボン酸エステル、カルボニル、カルバミド、カルビミド、チオカルバミド又はチオカルボニル、NH及びNOから選択され、
15及びR16は、互いに独立に、H又は分枝若しくは非分枝アルキル鎖、或いは分枝若しくは非分枝アルケニル鎖であり、
17及びR18は、独立に、H又はアルキル鎖、アルケニル鎖、アルキニル鎖、炭素環、アリール、ヘテロアリール及びヘテロアルキルから選択され、或いは結合されて、6個までの環原子を有する炭素環を形成することが可能であり、
nは、0又は1であり、
但し、式Iから以下の化合物
【0080】
【化11】

【0081】
は除外される。
【0082】
Aは、アルキル鎖、アルケニル鎖又はアルキニル鎖から選択される場合は、好ましくは、C〜Cアルキル鎖、C〜Cアルケニル鎖、又はC〜Cアルキニル鎖である。本発明の一実施形態において、Aは、非分枝のC〜Cアルキル鎖、特に非分枝のC〜Cアルキル鎖、特には非分枝のCアルキル鎖である。本発明の第2の実施形態において、Aは、2位において1つ(すなわちS又はR構造)又は2つのメチル基で置換されているCアルキル鎖を表す。
【0083】
Aは、式(I)〜(V)から選択される場合は、好ましくは、基(I)〜(IV)から選択される。本発明の一実施形態において、Aは、式(IV)の基を表し、nは、それぞれ1に等しく、m=1〜4、特にm=1である。本発明の第2の実施形態において、Aは、式(I)、(II)又は(III)の基を表し、n及びnは、それぞれ1に等しく、R、R、R、R及びR10はHを表す。
好ましくは、R、R、R、R及びR10は、H又はメチルを表す。
【0084】
本発明の一実施形態において、基Bは、式(VI)、(VIa)、(VIb)、(VII)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)及び(XIV)から選択される。本発明の第2の実施形態において、Bは式(VI)を表す。本発明の第3の実施形態において、基Bは、式(VIa)を表す。本発明の第4の実施形態において、基Bは、式(VIb)を表す。本発明の第5の実施形態において、基Bは、式(VII)を表す。本発明の第6の実施形態において、基Bは、式(X)を表す。本発明の第7の実施形態において、基Bは、式(XI)を表す。本発明の第8の実施形態において、基Bは、式(XII)を表す。本発明の他の実施形態において、基Bは、式(XIII)を表す。本発明のさらなる実施形態において、基Bは、式(XIV)を表す。本発明の好ましい実施形態において、Bは、式(VI)又は(VII)の基を表す。
Bが基(IX)を表す場合は、好適には、Aは、アルキニルを表さない。
好ましくは、D及びEは、独立に、ベンジル、アリール、ヘテロアリール又は複素環を表す。
【0085】
本発明の一実施形態において、D及びEは、アリール、特にフェニル又はナフチル、特には置換フェニルを表す。Dがフェニルを表す場合の好ましい置換基としては、アルコキシ-、-チオアルキル、ハロゲン、或いはカルボン酸アルキル又はアリールエステルが挙げられる。フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ、シアノ、アセチル、ジメチル、アミノ、メチルスルファニル、ニトロ、オキサゾリル、ピラゾリル、イソプロピル、エチル及びメトキシカルボニルも好ましい。フェニル基が一置換である場合は、4位において置換されていることが好ましい。D及びEによって表すことのできる他の好適なアリール基としては、ジヒドロベンゾジオキシン、ベンゾジオキソール、ベンゾジチオール、ジヒドロベンゾジチン、ベンゾオキサチオール及びジヒドロベンゾオキサチンが挙げられる。D及びEによって表すことのできる特に好ましい基は、3,4-(ジメトキシ)-フェニルである。
【0086】
好ましくは、R20及びR21は、NO、CN、CFを表し、R20がHである場合は、R21はNO、CN、CFであり、R21がHである場合は、R20はNO、CN、CFである。
一実施形態において、X又はYは、S、O又はNRである。好ましくは、X又はYはSである。
好ましくは、ZはNを表す。
好ましい実施形態において、R11及びR14はHである。
さらなる好ましい実施形態において、R12及びR13は、独立に、オキシアルキル又はチオアルキル、ハロゲン、又はカルビン酸アルキルエステル又はフェニルから選択される。
【0087】
好ましい実施形態において、R15及びR16の少なくとも一方はHであり、より好ましくは、R15及びR16はともにHである。
好ましい実施形態において、R17及びR18の少なくとも一方はHであり、他方はMeである。R17及びR18の少なくとも一方がHで、他方がフェニルである化合物も好ましい。また、R17及びR18が、環原子に6員までを有する炭素環を形成する化合物も好ましい。
好ましい化合物としては、以下の実施例13、119及び125によって定められる化合物が挙げられる。
本発明は、医薬品として使用される式1の化合物を提供する。
【0088】
【化12】

【0089】
を式1〜除外することを条件とする。
上記条件の化合物(a)は、Ganellinらの論文、(1995) J Med Chem 38(17), 3342-3350に化合物7として開示されている。この論文は、前記化合物をヒスタミンH3レセプターの弱い阻害剤として開示している。
条件(b)の化合物は、Venkatachalamらの論文、(2001) Bioorganic Med Chem Lett 11, 523-528に化合物7として開示されている。これは、前記化合物をHIV1逆転写酵素阻害剤として開示している。
【0090】
条件(c)の化合物は、Moonらの論文、(1991) J Med Chem 34, 2314-2327に化合物19bとして開示されている。この論文は、アルツハイマー病の治療に潜在的に使用されるコリンアゴニストとして前記化合物を開示している。
条件(d)の化合物は、Wrightらの論文、(1986) J Med Chem 29, 523-530に化合物99、100及び102から103として開示されている。この論文は、前記化合物をトロモキサン合成酵素阻害剤として開示している。
【0091】
“X及びXがともにOではない”という条件が当てはまらなければ式1に包括されるであろう特定の化合物が、Wrightらの論文、(1987) J Med Chem 30, 2277-2283にトロモキサン合成酵素阻害剤として開示されている。
“R17及びR18によって形成される炭素環が環に三員を有するときはYはOにならない”という条件が当てはまらなければ式1に包括されるであろう特定の化合物が、EP 0 117 462 A2にトロモキサン合成酵素阻害剤として開示されている。
【0092】
また、本発明は、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性障害からなる群から選択される疾病の治療のための薬物を調製するために、化合物(a)〜(d)を除外するという条件、又はX及びXがともにはOではないという条件、又はR17及びR18によって形成される炭素環が環に三員を有するときにはYはOになりえないという条件を伴わない式1のQCの阻害剤の使用を提供する。
【0093】
本発明は、また、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性障害からなる群から選択される疾病の治療に使用される、化合物(a)〜(d)を除外するという条件、又はX及びXがともにはOではないという条件、又はR17及びR18によって形成される炭素環が環に三員を有するときにはYはOになりえないという条件を伴わない式1のQCの阻害剤を提供する。
【0094】
本発明は、また、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性障害からなる群から選択される疾病を治療するための方法であって、化合物(a)〜(d)を除外するという条件、又はX及びXがともにはOではないという条件、又はR17及びR18によって形成される炭素環が環に三員を有するときにはYはOになりえないという条件を伴わない式1の少なくとも1つの化合物の治療活性量を哺乳類、好ましくはヒトに投与することを含む方法を提供する。
【0095】
最も好ましくは、本発明は、化合物(a)〜(d)を除外するという条件を伴わない式1の少なくとも1つの化合物の治療活性量を哺乳類、好ましくはヒトに投与することを含む、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病からなる群から選択される疾病の治療及び対応する使用を提供する。
好適には、上記方法及び使用において、該化合物は、条件(c)の化合物ではない。
さらなる化合物、すなわち以下に示す式1の化合物も新規のQCの阻害剤である。
【0096】
【化13】

【0097】
式1の化合物を、上記式1の化合物と同様にして、本発明による方法及び使用に採用することができる。
さらなる実施形態において、本発明は、式1aの新規のQC(EC)の阻害剤を提供する。
【0098】
【化14】

【0099】
(Rは実施例1〜53に定められている)。
【0100】
【表1】



【0101】
さらなる実施形態において、本発明は、式1bの新規のQC(EC)を提供する。
【0102】
【化15】

【0103】
(R及びRは、実施例54〜95に定められている)。
【0104】
【表2】


【0105】
さらなる実施形態において、本発明は、式1cの新規のQC(EC)の阻害剤を提供する。
【0106】
【化16】

【0107】
(Rは、実施例96〜102に定められている)。
【0108】
【表3】

【0109】
さらなる実施形態において、本発明は、式1dの新規のQC(EC)の阻害剤を提供する。
【0110】
【化17】

【0111】
(環の位置は、実施例103〜105に定められている)。
【0112】
【表4】

【0113】
さらなる実施形態において、本発明は、式1eの新規のQC(EC)の阻害剤を提供する。
【0114】
【化18】

【0115】
(R及びRは、実施例106〜109に定められている)。
【0116】
【表5】

【0117】
さらなる実施形態において、本発明は、式1fの新規のQC(EC)の阻害剤を提供する。
【0118】
【化19】

【0119】
(Rは、実施例110〜112に定められている)。
【0120】
【表6】

【0121】
さらなる実施形態において、本発明は、式1gの新規のQC(EC)の阻害剤を提供する。
【0122】
【化20】

【0123】
(R、R及びRは、実施例113〜132に定められている)。
【0124】
【表7】


【0125】
さらなる実施形態において、本発明は、式1hの新規のQC(EC)の阻害剤を提供する。
【0126】
【化21】

【0127】
(nは、実施例133〜135に定められている)。
【0128】
【表8】

【0129】
さらなる実施形態において、本発明は、式1iの新規のQC(EC)の阻害剤を提供する。
【0130】
【化22】

【0131】
(mは、実施例136及び137に定められている)。
【0132】
【表9】

【0133】
さらなる新規のQC(EC)の阻害剤は、実施例138〜141である。
【0134】
【表10】

【0135】
実施例の合成
合成スキーム1:実施例1〜53、96〜102及び136〜137。
【0136】
【化23】

【0137】
試薬及び条件:(a)NaH、DMF、室温にて4時間; (b)100℃にて8時間; (c)HN−NH、EtOHで8時間還流、次いで4N HClで6時間還、(d)R3-NCO、EtOHで6時間還流、(e)3,4-ジメトキシ-フェニル-イソチオシアネート。
合成スキーム2:実施例54〜95の合成
【0138】
【化24】

【0139】
試薬及び条件:(a)R−NCS、EtOHで6時間還流;(b)WSCD、1H-イミダゾール-1-プロパンアミン、DMF、室温、2時間。
合成スキーム3:実施例103〜105の合成
【0140】
【化25】

【0141】
試薬及び条件:(a)NaH、DMF、室温、3時間;(b)LiAlH、ジオキサンで1時間還流;(c)R−NCS、EtOHで6時間還流。
合成スキーム4:実施例106〜109の合成
【0142】
【化26】

【0143】
試薬及び条件:(a)EtOHで2時間還流。
合成スキーム5:実施例110〜112の合成
【0144】
【化27】

【0145】
試薬及び条件:(a)1H-イミダゾール-1-プロパンアミン、トリエチルアミン、トルエンで12時間還流。
合成スキーム6:実施例113〜132の合成
【0146】
【化28】

【0147】
試薬及び条件:(a)CAIBE、1H-イミダゾール-1-プロパンアミン、ジオキサン、0℃、12時間;(b)ローソン試薬、EtOHで8時間還流。
合成スキーム7:実施例133〜135の合成
【0148】
【化29】

【0149】
試薬及び条件:(a)1H-イミダゾール-1-プロパン酸性クロライド、CHCl、−10℃、1時間;(b)ローソン試薬、ジオキサンで8時間還流。
合成スキーム8:実施例138の合成
【0150】
【化30】

【0151】
試薬及び条件:(a)EtOHで8時間還流。
合成スキーム9:実施例139の合成
【0152】
【化31】

【0153】
試薬及び条件:(a)75%濃HSO、4時間。
合成スキーム10:実施例140の合成
【0154】
【化32】

【0155】
試薬及び条件:(a)アセトニトリルで2時間還流。
合成スキーム11:実施例141の合成
【0156】
【化33】

【0157】
試薬及び条件:(a)NaH、DMF、4時間、室温;(b)8時間、100℃;(c)HN-NH、EtOHで8時間還流、次いで4N HClで6時間還流;(d)3,4-ジメトキシ-フェニル-イソチオシアネート、EtOHで6時間還流。
【0158】
(分析条件)
SCIEX API 365分光計(Perkin Elmer)によりESI質量スペクトルを得た。DMSO-D6を溶媒として使用して、1H-NMR(500 MHz)データをBRUKER AC 500に記録した。化学シフトは、テトラメチルシランからの百万分率ダウンフィールドで表される。分割パターンをs(一重項)、d(二重項)、dd(二重項の二重項)、t(三重項)、m(多重項)及びbr(広帯信号)のように設計した。
【実施例】
【0159】
(詳細な合成の説明)
(実施例1〜12及び14〜53)
1H-イミダゾール-1-プロパンアミンを還流下で8時間にわたって対応するイソチオシアネートとエタノール中で反応させた。その後、溶媒を除去し、残留油を塩化メチレンに溶解させた。有機層をNaHCO3の飽和溶液で二回洗浄し、次いでNaHSO4及び塩水で洗浄し、乾燥し、次いで蒸発させた。残留固形物を酢酸エチルから再結晶させ、80から98%の収率で実施例のチオ尿素を与えた。
【0160】
(実施例13)
1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)チオ尿素
4.0mmolの3,4-ジメトキシフェニルイソチオシアネート及び4.0mmolの3-(1H-イミダゾール-1-イル)アルキル-1-アミンを10mLの無水エタノールに溶解させた。還流下で2時間撹拌した後、溶媒を蒸発させ、得られた固形物をエタノールから再結晶させた。
収率は0.66g(51.3%)で、融点は160.0から161.0℃であった。
1H NMR δ 1.8 -2.0(m, 2H), 3.4 -3.5(m, 2H), 3.75(s, 6H), 3.9 -4.0(m, 2H), 6.7 -6.8(m, 1H), 6.9(br m, 2H), 6.95(s, 1H), 7.15(s, 1H), 7.55(br s, 1H), 7.6(s, 1H), 9.3(s, 1H); MS m/z 321.2(M+H), 253.3(M-C3H3N2・)
【0161】
(実施例96〜102)
1H-イミダゾール-1-プロパンアミンを還流下で8時間にわたって対応するイソシアネートとエタノール中で反応させた。その後、溶媒を除去し、残留油を塩化メチレンに溶解させた。有機層をNaHCO3の飽和溶液で二回洗浄し、次いでNaHSO4及び塩水で洗浄し、乾燥し、次いで蒸発させた。残留固形物を酢酸エチルから再結晶させ、85から98%の収率で実施例のチオ尿素を与えた。
【0162】
(実施例136及び137)
1H-イミダゾール-1-アルキルアミンをω-ブロム-アルキル-フタルイミド及びイミダゾリウム塩から文献に従って調製し、続いてヒドラジン分解した。得られた生成物を実施例1〜53に従ってチオ尿素に転換し、88%(実施例136)及び95%(実施例137)の収率を与えた。
【0163】
(実施例54〜95)
すべての実施例は、室温にて2時間にわたって、乾燥ジメチルホルムアミド中で、水溶性カルボジアミド(WSXD)及び1H-イミダゾール-1-プロパンアミドと反応させることにより、対応するチオ尿素から作製され、40から87%の収率で三置換グアニジンを与えた。
【0164】
(実施例103〜105)
室温下で3時間にわたって、1当量のNaHを利用して、イミダゾールをDMF中で対応するブロモメチルフェニルシアニドと反応させて、1H-イミダゾール-1-メチルフェニルシアニドを与えた。溶媒を除去し、得られた油をジオキサンに溶解させた。1当量のLiAlH4を使用して、シアニドを対応するアミンで転換した。KHSO4の飽和溶液を添加した後に、ジオキサンを蒸発させ、CHCl3により水層を抽出した。有機層を真空中で濃縮し、アミンを実施例1〜53に従って対応するチオ尿素で転換して、78%(実施例103)及び65%(実施例104)及び81%(実施例105)の収率を与えた。
【0165】
(実施例106〜109)
対応するメタンスルホネート-2-メチルプロピル-フタルイミドから開始し、実施例136〜137のアミンについて記載したようにアミンを合成した。得られた製品を実施例1〜53に従ってチオ尿素に転換し、全収率が25から30%の実施例106〜109を与えた。
【0166】
(実施例110〜112)
130℃の温度で24時間にわたって、1H-イミダゾール-1-プロパンアミンをトルオール中で対応する2-クロロベンゾ[d]チアゾールと反応させた。溶媒を除去し、メタノールから再結晶させた後に、実施例110〜112を55〜65%の量で与えた。
【0167】
(実施例113〜118、120〜124及び126〜132)
0℃の温度で1当量のCAIBE及びN-メチルモルホリンを添加することにより、乾燥ジオキサン中で1H-イミダゾール-1-プロパンアミンを対応する2-フェニル酢酸と反応させた。2時間後に、混合物を室温まで暖め、混合物を12時間撹拌した。溶媒を除去した後に、得られた油を塩化メチレンに再溶解させ、有機層をNaHCO3の水溶液及び水で洗浄し、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残留油をジオキサンに溶解させ、ローソン試薬を添加した。12時間撹拌させた後に、NaHCO3を添加した。ジオキサンを蒸発させ、水層を酢酸エチルで抽出した。有機相を分離し、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残留固形物を酢酸アセチル/エーテルから結晶化させ、全収率が62〜85%の実施例113〜118、120〜124及び126〜132を与えた。
【0168】
(実施例119)
N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-(3,4-ジメトキシフェニル)エタンチオアミド
4.0mmolのトリエチルアミンと4.0mmolの3-(1H-イミダゾール-1-イル)アルキル-1-アミンとジオキサン20mLとの混合物を、ジオキサン30mLに4.0mmolの塩酸2-(3,4-ジメトキシフェニル)アセチルを溶解させた氷冷、撹拌溶液に一滴ずつ添加した。該混合物を室温まで暖め、次いで1時間撹拌した。減圧により溶媒を除去した後に、残留物を50mLのジクロロメタンに再溶解させた。有機層を30mLのNaHCO3の飽和水溶液及び水で洗浄した。有機溶液を乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。50mLの乾燥ジオキサンに再溶解させた後に、2.2mmolのローソン試薬を添加し、混合物を90℃まで加熱し、8時間撹拌した。溶媒を減圧により除去し、残留物を50mLのジクロロメタンに再溶解させた。有機層をNaHCO3の飽和水溶液で三度洗浄し、次いで水で三度洗浄し、乾燥させ、濾過し、次いで有機溶媒を除去した。2mmの層厚のシリカプレートを利用し、CHCl3/MeOH勾配を溶出系とする遠心力クロマトグラフィー装置(Harrison Reserch Ltd)を使用して、クロマトグラフィーにより化合物を精製した。
収率は、0.14g(10.6%)で、融点は、148.0から150.0℃であった。
1H NMRδ 2.0 -2.15(br m, 2H), 3.4 -3.5(m, 2H), 3.7(s, 6H), 6.75 -6.8(m, 2H), 4.1 - 4.2(m, 2H), 6.8 -6.9(m, 2H), 6.95 -7.0(m, 1H), 7.4(s, 1H), 7.75 -7.85(br m, 1H), 8.6(s, 1H), 10.2(s, 1H); MS m/z 320.2(M+H), 252.2(M-C3H3N2・)
【0169】
(実施例125)
N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1-(3,4-ジメトキシフェニル)シクロプロパンカルボチオアミド
11.06mmolの3,4-ジメトキシフェニルアセトニトリル、34.8mmolの2-ブロモ-1-クロロエタノール及び1.16mmolの塩酸トリエチルベンジルアンモニウムを10mLのKOHの水溶液(60%)に溶解させた。混合物を超音波槽に移し、室温にて3時間激しく撹拌した。得られた懸濁物を40mLの水で希釈し、20mLのジクロロメタンで三回抽出した。併せた有機層を塩酸(1N)の水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。シリカゲル、及び溶出系としての酢酸エチル/ヘプタンを使用したフラッシュクロマトグラフィーによって残留油を精製して、0.81g(34.4%)の1-(3,4-ジメトキシフェニル)シクロプロパンカルボニトリルを得た。3.9mmolの1-(3,4-ジメトキシフェニル)シクロプロパンカルボニトリル及び11.2mmolのKOHを80mLのエチレングリコールに懸濁させた。混合物を還流下で12時間撹拌した。80mLの水を添加し、エーテルで水層を二回抽出した。HCl(1N)を使用してpH=4〜5の値にpH調節した後に、エーテルで水層を三回抽出し、次いで併せた有機層をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を除去して、0.81g(93.5%)の1-(3,4-ジメトキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸を得た。
【0170】
3.44mmolの1-(3,4-ジメトキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸、3.5mmolのN-メチルモルホリン及び3.5mmolのイソブチルクロロホルミアトを乾燥テロラヒドロフランに溶解させ、−15℃にて15分間撹拌した。次いで、3.5mmolの3-(1H-イミダゾール-1-イル)アルキル-1-アミンを添加し、混合物を0℃まで暖め、12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留油をクロロホルムに再溶解させた。次いで、有機層をNaHCO3の飽和水溶液で二回洗浄し、次いでNa2SO4で乾燥させ、溶媒を除去した。2mmの層厚のシリカプレートを利用し、CHCl3/MeOH勾配を溶出系としたchromatotron(登録商標)装置(Harrison research Ltd.)を使用する遠心力クロマトグラフィーによって精製を行って、0.671g(59.3%)のN-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1-(3,4-ジメトキシフェニル)シクロプロパン-カルボキサミドを得た。
【0171】
30mLの乾燥ジオキサンに再溶解した後に、1.43mmolのローソン試薬を添加し、混合物を90℃に加熱し、8時間撹拌した。溶媒を減圧により除去し、残留物を50mLのジクロロメタンに溶解させた。有機層をNaHCO3の飽和水溶液で三回洗浄し、次いで水で三回洗浄し、乾燥させ、濾過し、次いで有機溶媒を除去した。2mmの層厚のシリカプレートを利用し、CHCl3/MeOH勾配を溶出系とした遠心力クロマトグラフィー装置(Harrison research Ltd.)を使用するクロマトグラフィーによって化合物を精製した。
収率は0.33g(46.2%)で、融点は127.0〜127.5℃であった。
1H NMRδ 1.1 -1.2(t, 2H), 1.55 -1.6(t, 2H), 2.0 -2.1(m, 2H), 3.5 -3.6(m, 2H), 3.7 -3.8(s, 6H), 4.1 -4.2(t, 2H), 6.8 -6.9(m, 3H), 7.65(s, 1H), 7.75(s, 1H), 8.8(m, 1H), 9.05(s, 1H; MS m/z 346.0(M+H), 278.2(M-C3H3N2・), 177.1(M-C6H8N3S・)
【0172】
(実施例133〜135)
1当量のトリエチルアミン及び3,4-ジメトキシアニリンをジオキサンに加えた混合物を0℃の温度で対応するω-ブロモアルキル酸性クロリドの撹拌溶液に添加した。その溶液を室温まで温め、2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留油をジクロロメタンに再溶解させた。有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。
イミダゾール及び水酸化ナトリウムを懸濁させ、室温にて3時間にわたって不活性条件下で混合物を撹拌した。ω-ブロモ-N-(3,4-ジメトキシ-フェニル)アルキルアミドを添加し、混合物を100℃に加熱し、8時間撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、高温トルエンを添加し、溶液を濾過した。次いで、溶媒を減圧下で除去した。ローソン試薬により、実施例113〜132について記載したように、チオアミドへの転換を行って、全収率が13から20%の実施例133〜135を与えた。
【0173】
上記の一般的な合成スキームに従って合成したさらなる実施例に対する分析データは、以下の通りである。

実施例1: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-メチルチオ尿素
融点:122 〜 122.5℃
1H NMRδ 1.85 -1.95(m, 2H), 2.8(s, 3H), 3.2 -3.5(br d, 2H), 3.8 -3.9(m, 2H), 6.85(d, 1H), 7.15(d, 1H), 7.3 -7.5(br d, 2H), 7.65(s, 1H); MS m/z 199.1(M+H), 221.3(M+Na), 131.0(M-C3H3N2・)
【0174】
実施例2:1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-tert-ブチルチオ尿素
融点:147.0 〜 147.5℃
1H NMR δ 1.3 -1.4(s, 9H), 1.85 -1.95(m, 2H), 3.5(t, 2H), 3.8(t, 2H), 6.85(d, 1H), 7.15(d, 1H), 7.3 -7.5(br d, 2H), 7.65(s, 1H); MS m/z 241.1(M+H), 173.1(M-C3H3N2・)

実施例3: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-ベンジルチオ尿素
融点:127.0 〜 128.0℃
1H NMR δ 1.85 -1.95(m, 2H), 3.2 -3.5(br d, 2H), 3.8 -3.9(m, 2H), 4.6(s, 2H), 6.8(d, 1H), 7.15(d, 1H), 7.19 -7.35(m, 5H), 7.5 -7.6(br d, 2H), 7.85(s, 1H); MS m/z 275.3(M+H), 207.1(M-C3H3N2・)
【0175】
実施例5:1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-フェニルチオ尿素
融点:166.5 〜 167.0℃
1H NMR δ 1.95 -2.05(m, 2H), 3.3 -3.5(br d, 2H), 3.9 -4.0(m, 2H), 6.85(d, 1H), 7.05(m, 1H) 7.15(d, 1H), 7.25(m, 2H), 7.35(m, 2H), 7.6(s, 1H), 7.8(br s, 1H), 9.5(br s, 1H); MS m/z 261.1(M+H), 193.2(M-C3H3N2・)

実施例6: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(4-フルオロフェニル)チオ尿素
融点:147.0 〜 148.0℃
1H NMR δ 1.95 -2.05(m, 2H), 3.3 -3.5(br d, 2H), 3.9 -4.05(m, 2H), 6.85(d, 1H), 7.05 -7.15(m, 3H), 7.3 -7.4(m, 2H), 7.6(s, 1H), 7.7 -7.8(br s, 1H), 9.4(br s, 1H); MS m/z 279.3(M+H), 211.2(M-C3H3N2・)
【0176】
実施例7: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(4-エチルフェニル)チオ尿素
融点:100.0 〜 100.5℃
1H NMR δ 1.15 -1.2(t, 3H), 1.9 -2.0(m, 2H), 2.5 -2.6(m, 2H), 3.3 -3.5(br d, 2H), 3.9 -4.05(m, 2H), 6.85(d, 1H), 7.1 -7.2(m, 3H), 7.25 -7.3(m, 2H), 7.6(s, 1H), 7.7 -7.8(br s, 1H), 9.4(br s, 1H); MS m/z 289.3(M+H), 221.1(M-C3H3N2・)

実施例8: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素
融点:154.5 〜 155.0℃
1H NMRδ 1.9 -2.1(br m, 2H), 3.4 -3.6(br d, 2H), 3.95 -4.1(br m, 2H), 6.85(d, 1H), 7.2(d, 1H), 7.6 -7.8(m, 5H), 8.2(br s, 1H), 9.9(br s, 1H); MS m/z 329.3(M+H), 261.2 (M-C3H3N2・)
【0177】
実施例10: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(4-アセチルフェニル)チオ尿素
融点:170.0 〜 171.0℃
1H NMR δ 1.9 -2.1(br m, 2H), 2.4 -2.5(s, 3H), 3.2 - 3.5(br m, 2H), 3.9 -4.1(m, 2H), 6.85(d, 1H), 7.15(d, 1H), 7.5 -7.65(br m, 3H), 7.8 -7.9(m, 2H), 8.1(m, 2H), 9.8(br s, 1H); MS m/z 303.2(M+H), 235.1(M-C3H3N2・)

実施例11:1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(4-メトキシフェニル)チオ尿素
融点:125.0 〜 125.5℃
1H NMR δ 1.8 -2.0(br m, 2H), 3.2 -3.5(br m, 2H), 3.7(s, 3H), 3.9 -4.0(m, 2H), 6.7 -6.9(m, 3H), 7.1 -7.2(m, 3H), 7.5(s, 1H), 7.6(s, 1H), 9.2(s, 1H); MS m/z 291.1(M+H), 223.2(M-C3H3N2・)
【0178】
実施例14: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(2,4-ジメトキシフェニル)チオ尿素
融点:120.0 〜 120.5℃
1H NMR δ 1.8 -2.0(br m, 2H), 3.4 -3.5(br m, 2H), 3.75(s, 6H), 3.9 -4.0(m, 2H), 6.5(d, 1H), 6.6(s, 1H), 6.9(s, 1H), 7.15(s, 1H), 7.3(d, 1H), 7.5(br s, 1H), 7.6(s, 1H), 9.75(s, 1H); MS m/z 321.2(M+H), 253.3(M-C3H3N2・)

実施例15: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3,5-ジメトキシフェニル)チオ尿素
融点:142.0 〜 143.0℃
1H NMR δ 1.8 -2.0(br m, 2H), 3.4 -3.5(br m, 2H), 3.6(s, 6H), 3.95 -4.0(m, 2H), 6.25(m, 1H), 6.6(m, 2H), 6.9(s, 1H), 7.2(s, 1H), 7.6(s, 1H), 7.8(s, 1H), 9.5(s, 1H); MS m/z 321.2(M+H), 253.3(M-C3H3N2・)
【0179】
実施例23: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)-チオ尿素
融点:103.0 〜 103.5℃
1H NMR δ 1.9 -2.0(br m, 2H), 3.3 -3.5(br d, 2H), 3.9 -4.0(m, 2H), 4.2 -4.3(m, 4H), 6.7(m, 1H), 6.8 -6.8(m, 1H), 6.9(m, 2H), 7.2(s, 1H), 7.6(m, 2H), 9.3(s, 1H); MS m/z 319.3(M+H), 251.3(M-C3H3N2・)

実施例24:1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-6-イル)チオ尿素
融点:115.0 〜 115.6℃
1H NMRδ 1.9 -2.1(br m, 2H), 3.4 -3.5(br d, 2H), 4.05 -4.15(m, 2H), 6.0(s, 2H), 6.7(m, 1H), 6.8 -6.85(m, 1H), 6.95(d, 1H), 7.25(s, 1H), 7.45(s, 1H), 7.7(br s, 1H), 8.5(br s, 1H), 9.4(br s, 1H); MS m/z 305.2(M+H), 237.2(M-C3H3N2・)
【0180】
実施例25: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)チオ尿素
融点:124.5 〜 125.5℃
1H NMR δ 1.8 -2.0(m, 2H), 3.4 -3.5(br m, 2H), 3.6(s, 3H), 3.7(s, 6H), 3.9 -4.0(m, 2H), 6.65(m, 2H), 6.85(s, 1H), 7.2(s, 1H), 7.6(s, 1H), 7.7(br s, 1H), 9.4(s, 1H); MS m/z 351.3(M+H), 283.2(M-C3H3N2・)

実施例26: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3-メトキシフェニル)チオ尿素
融点:89.5 〜 90.0℃
1H NMR δ 1.9 -2.1(br m, 2H), 3.4 -3.5(br m, 2H), 3.7(s, 3H), 3.9 -4.0(m, 2H), 6.6 -6.7(m, 1H), 6.8 -6.9(m, 2H), 7.1(m, 2H), 7.15 -7.25(br m, 1H), 7.6(s, 1H), 7.8(br s, 1H), 9.5(s, 1H); MS m/z 291.1(M+H), 223.2(M-C3H3N2・)
【0181】
実施例27: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(4-エトキシフェニル)チオ尿素
融点:126.0 〜 126.5℃
1H NMR δ 1.5(br m, 3H), 1.9 -2.0(br m, 2H), 3.4 -3.5(br m, 2H), 3.9 -4.0(br m, 4H), 6.8 -6.9(m, 2H), 6.95(s, 1H), 7.15 -7.2(m, 2H), 7.25(s, 1H), 7.55 -7.6(br s, 1H), 7.8(s, 1H), 9.3(s, 1H); MS m/z 305.2(M+H), 237.2(M-C3H3N2・)

実施例33:1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(4-(メチルチオ)フェニル)チオ尿素
融点:140.0 〜 140.5℃
1H NMR δ 1.8 -2.05(br m, 2H), 2.5(s, 3H), 3.3 -3.5(br m, 2H), 3.9 -4.1(m, 2H), 6.9(m, 1H), 7.1 -7.3(br m, 5H), 7.6(s, 1H), 7.75(br s, 1H), 9.4(s, 1H); MS m/z 307.2(M+H), 239.2(M-C3H3N2・)
【0182】
実施例42: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(4-ニトロフェニル)チオ尿素
融点:165.0−166.0℃
1H NMR δ 1.9 -2.05(m, 2H), 3.3 -3.5(br d, 2H), 3.95 -4.05(m, 2H), 6.85(d, 1H), 7.15(d, 1H), 7.6(d, 1H), 7.7(m, 2H), 8.1(m, 2H), 8.3(br s, 1H), 10.1(br s, 1H); MS m/z 306.2(M+H), 237.9(M-C3H3N2・)

実施例50: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)チオ尿素
融点:146.5 〜 147.0℃
1H NMR δ 1.9 -2.0(m, 2H), 2.9(s, 6H), 3.4(m, 2H), 3.9 - 4.0(m, 2H), 6.7(m, 2H), 6.9(s, 1H), 7.05 -7.1(m, 2H), 7.15(s, 1H), 7.4(br s, 1H), 7.6(s, 1H), 9.2(s, 1H); MS m/z 304.2(M+H), 236.0(M-C3H3N2・)
【0183】
実施例102: 1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)尿素
融点:114.5 〜 115.0℃
1H NMR δ 1.7 -1.9(m, 2H), 2.9 -3.1(m, 2H), 3.7(2s, 6H), 3.9 -4.0(m, 2H), 6.1(t, 1H), 6.7(s, 2H), 6.8(s, 1H), 7.15(d, 2H), 7.6(s, 1H), 8.2(s, 1H); MS m/z 321.2(M+H), 253.3(M-C3H3N2・)

実施例106: 1-((S)-3-(1H-イミダゾール-1-イル)-2-メチルプロピル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-チオ尿素
融点:150.5 〜 151.5℃
1H NMR δ 0.9(d, 3H), 2.3 -2.4(m, 2H), 2.5(s, 1H), 3.7(d, 6H), 4.0 -4.1(br m, 1H), 4.15 -4.25(br m, 1H), 6.75 -6.8(m, 1H), 6.85(m, 1H), 6.9 -7.0(m, 1H), 7.65(s, 1 H), 7.75(s, 2H), 9.1(s,1H), 9.5(s, 1H); MS m/z 335.6(M+H), 267.1(M-C3H3N2・)
【0184】
実施例107: 1-((R)-3-(1H-イミダゾール-1-イル)-2-メチルプロピル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-チオ尿素
融点:155.0 〜 157.5 ℃
1H NMR δ 0.9(d, 3H), 2.3 -2.4(m, 2H), 2.5(s, 1H), 3.7(d, 6H), 4.0 -4.1(br m, 1H), 4.15 -4.25(br m, 1H), 6.75 -6.8(m, 1H), 6.85(m, 1H), 6.9 -7.0(m, 1H), 7.65(s, 1 H), 7.75(s, 2H), 9.1(s,1H), 9.5(s, 1H); MS m/z 335.4(M+H), 267.2(M-C3H3N2・)

実施例109: 1-((1-((1H-イミダゾール-1-イル)メチル)シクロプロピル)メチル)-3-(3,4-ジメトキシ-フェニル)チオ尿素
融点:166.5 〜 168.5℃
1H NMRδ0.7 -0.8(br m, 2H), 1.85 -1.9(m, 1H), 2.15 -2.2(m, 1H), 2.2 -2.3(m, 1H), 3.4 -3.5(m, 1H), 3.7(d, 6H), 4.2(s, 1H), 4.95(s, 1H), 6.75 -6.8(br m, 1H), 6.85 -6.9(br m, 1H), 7.0(s, 1H), 7.5(m, 1H), 7.6(m, 1H), 7.7(s, 0.5H), 7.8(s, 0.5H), 8.85(s, 0.5 H), 9.1(s, 0.5H), 9.35(s, 0.5H), 9.45(s, 0.5H); MS m/z 347.2(M+H), 279.2(M-C3H3N2・), 137.5(M-C9H13N4S・)
【0185】
実施例110: N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン
1H NMR δ 1.95 -2.15(m, 2H), 3.25 -3.35(m, 2H), 4.0 -4.1(t, 2H), 6.9 (s, 1H), 6.95 -7.05(t, 1H), 7.15 - 7.2(m, 2H), 7.35 - 7.4(d, 1H), 7.60 - 7.70(m, 2H), 8.0 - 8.1(br s, 1H); MS m/z 259.4(M+H), 191.3(M-C3H3N2・)

実施例111:N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-6-クロロベンゾ[d]チアゾール-2-アミン
1H NMR δ 1.95 -2.15(m, 2H), 3.25 -3.35(m, 2H), 4.0 -4.1(t, 2H), 6.9(s, 1H), 7.1 - 7.2(d, 2H), 7.3 - 7.4(d, 1H), 7.65(s, 1H), 7.8(s, 1H), 8.2(s, 1H); MS m/z 293.3(M+H), 225.3(M-C3H3N2・)
【0186】
実施例112: N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-アミン
1H NMR δ 1.9 -2.05(m, 2H), 3.2 -3. 3(m, 2H), 3.7(s, 3H), 4.0 -4.1(t, 2H), 6.7 - 6.8(d, 1H), 6.9(s, 1H), 7.15 - 7.2(s, 1H), 7.2 - 7.3(m, 2H), 7.65(s, 1H), 7.8(s, 1H); MS m/z 289.1(M+H), 221.4(M-C3H3N2・)

実施例115:(R)-N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-フェニルプロパンチオアミド
融点:82.0 〜 82.5℃
1H NMR δ 1.4 -1.55(d, 3H), 1.9 -2.0(m, 2H), 3.4 -3.5(m, 2H), 3.85 -3.95(m, 2H), 4.0 -4.1(q, 1H), 6.8 -6.9(s, 1H), 7.1(s, 1H), 7.15 -7.2(m, 1H), 7.2 -7.3(m, 2H), 7.35 -7.4(m, 2H), 7.55(s, 1H), 10.1(s, 1H); MS m/z 274.4(M+H), 206.3(M-C3H3N2・)
【0187】
実施例116:(S)-N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-フェニルプロパンチオアミド
融点:82.5 〜 83.5℃
1H NMR δ 1.4 -1.55(d, 3H), 1.9 -2.0(m, 2H), 3.4 -3.5(m, 2H), 3.85 -3.95(m, 2H), 4.0 -4.1(q, 1H), 6.8 -6.9(s, 1H), 7.1(s, 1H), 7.15 -7.2(m, 1H), 7.2 -7.3(m, 2H), 7.35 -7.4(m, 2H), 7.55(s, 1H), 10.1(s, 1H); MS m/z 274.4(M+H), 206.3(M-C3H3N2・)

実施例121: N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1-(4-クロロフェニル)シクロブタンカルボ-チオアミド
融点:137.5 〜 139.0℃
1H NMR δ 1.55 -1.75(br m, 2H), 1.85 -1.95(br m, 2H), 2.4 -2.5(br m, 2H), 2.7 -2.85(br m, 2H), 3.3 -3.5(br m, 2H), 3.8(m, 2H), 6.9(s, 1H), 7.0(s, 1H), 7.3(m, 2H), 7.45(s, 1H), 7.5(m, 2H), 9.6(t, 1H); MS m/z 334.3(M+H), 266.1(M-C3H3N2・)
【0188】
実施例122: N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1-(4-クロロフェニル)シクロペンタンカルボ-チオアミド
融点:140.0 〜 141.0℃
1H NMR δ 1.5 -1.65(br m, 4H), 1.8 -1.9( m, 2H), 2.0 -2.1(m, 2H), 2.6(m, 2H), 3.4 -3.5(m, 2H), 3.7 -3.8(m, 2H), 6.85(s, 1H), 7.0(s, 1H), 7.35(m, 2H), 7.4(m, 2H), 7.5(s, 1H), 9.4(t, 1H); MS m/z 348.2(M+H), 280.2(M-C3H3N2・)

実施例123: N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1-(4-メトキシフェニル)シクロヘキサンカルボ-チオアミド
融点:162.5 〜 164.0℃
1H NMR δ 1.2 -1.3(m, 1H), 1.35 -1.5(br m, 5H), 1.85 -2.0(br m, 4H), 2.4 -2.6(br m, 2H), 3.4 -3.5(m, 2H), 3.7(s, 3H), 3.8(m, 2H), 6.8(m, 3H), 7.0(s, 1H), 7.3(m, 2H), 7.5(s, 1H), 9.2(t, 1H); MS m/z 358.3(M+H), 290.3(M-C3H3N2・)
【0189】
実施例124: N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1-(4-メトキシフェニル)シクロプロパンカルボ-チオアミド
融点:129.0 〜 129.5℃
1H NMR δ 1.0 -1.1(m, 2H), 1.5 -1.6(m, 2H), 1.9 -2.0(br m, 2H), 3.4 -3.5(m, 2H), 3.7(s, 3H), 3.9(m, 2H), 6.9(m, 3H), 7.1(s, 1H), 7.2 -7.3(m, 2H), 7.6(s, 1H), 8.9(br s, 1H); MS m/z 316.0(M+H), 248.4(M-C3H3N2・)

実施例134: 5-(1H-イミダゾール-1-イル)-N-(3,4-ジメトキシフェニル)ペンタンチオアミド
融点:128.0 〜 128.5℃
1H NMR δ 1.65 -1.70(m, 2H), 1.75 -1.80(m, 2H), 2.7 -2.75(m, 2H), 3.7(s, 3H), 3.75(s, 3H), 4.0 -4.05(t, 2H), 6.9 -7.0(m, 2H), 7.2(s, 1H), 7.3(d, 1H), 7.5(s, 1H), 7.75(s, 1H), 11.0(s, 1H); MS m/z 320.2(M+H), 252.2(M-C3H3N2・)
【0190】
実施例136:1-(2-(1H-イミダゾール-1-イル)エチル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)チオ尿素
融点:157.5 〜 159.0℃
1H NMR δ 3.7(2 s, 6H), 3.8(m, 2H), 4.2(m, 2H), 6.7(m, 1H), 6.85(m, 1H), 6.9(m, 2H), 7.15(s, 1H), 7.5(br s, 1H), 7.6(s, 1H), 9.5(s, 1H); MS m/z 307.2(M+H), 239.1(M-C3H3N2・)

実施例137:1-(4-(1H-イミダゾール-1-イル)ブチル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)チオ尿素 45
融点:114.5 〜 116.0℃
1H NMR δ 1.4 -1.5(m, 2H), 1.6 -1.7(m, 2H), 3.4 -3.5(m, 2H), 3.6 -3.8(br s, 6H), 3.9 -4.0(m, 2H), 6.7(m, 1H), 6.9(m, 2H), 6.95(s, 1H), 7.2(s, 1H), 7.6(br s, 1H), 7.7(s, 1H), 9.3(s, 1H); MS m/z 335.3(M+H), 267.1(M-C3H3N2・)
【0191】
哺乳類におけるQC(EC)の生理学的基質は、例えば[Glu3]アミロイドβ-タンパク質(3-40/42)、[Gln3]アミロイドβ-タンパク質(3-40/42)、ガストリン、ニューロテンシン、FPP、CCL2、CCL7、CCL8、CCL16、CCL18、フラクタルキン、オレキシンA、[Glu3]-グルカゴン(3-29)及び[Gln5]-物質P(5-11)である。さらなる詳細については、表1を参照されたい。本発明による化合物及び/又は組合せ、並びに少なくとも1つのQC(EC)の阻害剤を含む医薬組成物は、QC活性の変調によって治療できる状態の治療に有用である。
【0192】
【表11】




【0193】
経上皮導入細胞、特にガストリン(G)細胞は、食物が胃に到達すると、胃酸の分泌を調整する。多数の活性プロドラッグがガストリン前駆体から生成されること、及びガストリン生合成に多数の制御点が存在することが最近の研究によって示された。生合成前駆体及び中間体(プロガストリン及びGly-ガストリン)は、推定上の成長因子である。それらのプロドラッグ、すなわちアミド化ガストリンは、上皮細胞増殖、酸生成体壁細胞とヒスタミン分泌腸クロム親和性(ECL)細胞との区別化、ECL細胞におけるヒスタミン合成及び蓄積に関連する遺伝子の発現、並びに急性刺激性酸分泌を調節する。ガストリンは、表皮成長因子(EGF)族の構成要素の生成をも刺激し、それによって体壁細胞機能が阻害されるが、表面上皮細胞の成長が刺激される。血漿ガストリン濃度は、十二指腸潰瘍及び胃癌のリスクが高いことが知られているピロリ菌を有する対象において高くなっている (Dockray, G.J.の論文、1999 J Physiol 15 315-324)。
【0194】
腔G細胞から放出されるペプチドホルモンガストリンは、CCK-2を介する酸分泌粘膜のECLからのヒスタミンの合成及び放出を刺激することが知られている。移動ヒスタミンは、体壁細胞に位置するH(2)レセプターに結合することによって、酸分泌を誘発する。最近の研究は、その完全アミド化及び低処理形態(プロガストリン及びグリシン伸長ガストリン)におけるガストリンは、胃腸管に対する成長因子でもあることを示唆している。アミド化ガストリンの主な栄養効果は、胃の酸分泌粘膜に対するものであり、ガストリン幹細胞及びECL細胞の増殖を増強させて、体壁及びECL細胞の質量を大きくする。一方、低処理ガストリン(例えばグリシン伸長ガストリン)の主な栄養的目標は、結腸粘膜であると思われる(Koh, T.J.及びChen, D.の論文、2000 Regul Pept 9337-44)。
【0195】
ニューロテンシン(NT)は、この疾患において誤調節されることが既に証明されている神経伝達系を特異的に変調する精神分裂症の病態生理学での関わりが示された神経ペプチドである。脳脊椎液(CSF)NT濃度を測定した臨床試験により、低下したCSF NT濃度が効果的な抗精神病薬治療で回復した精神分裂症患者の部分集合が明らかになった。抗精神病薬の作用のメカニズムにおけるNT系の関与と一致する考慮すべき証拠も存在する。中枢的に投与されたNTの挙動的及び生化学的効果は、系統的に投与された抗精神病薬の効果と顕著に類似し、抗精神病薬はNT神経伝達を増強させる。この発見の連鎖は、NTが内因性抗精神病薬として機能するという仮説をもたらす。さらに、典型的及び非典型的抗精神病薬は、黒質線条体及び中脳辺縁系のドーパミン末端領域におけるNT神経伝達を差別的に変化させ、これらの効果は、それぞれ副作用信頼性及び効能を予測する(Binder, E. B. らの論文、2001 Biol Psychiatry 50 856-872)。
【0196】
受精促進ペプチド(FPP)、すなわち甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)は、精漿に見いだされる。インビトロ及びインビボで得られた最近の証拠により、FPPは、精子受精能の調節に重要な役割を果たすことが示された。具体的には、FPPは、最初に、不受精(無受精能)精子を刺激して、「スイッチオン」させ、より迅速に受精させるが、その後、精子が自然発生的なアクロソーム損失を受けず、したがって受精潜在能力を失わないようにするように、受精能獲得を阻止する。これらの応答は模倣され、アデニリルシクラーゼ(AC)/cAMP信号導入路を調節することが知られているアデノシンによって実際に増強される。FPP及びアデノシンの双方は、無受精能細胞におけるcAMP生成を刺激するが、受精能細胞におけるその生成を抑制し、FPPは、アデノシンレセプター及びGタンパク質といくらか相互作用して、ACの調節を達成することが示された。これらの事象は、様々なタンパク質のチロシンリン酸化に影響し、最初の「スイッチオン」において重要なものもあれば、おそらくはアクロソーム反応自体に関与するものもある。精漿にも見いだされるカルシトニオン及びアンギオテンシンIIは、インビトロで無受精能精子に同様の効果を有し、FPPに対する応答を増強することが可能である。これらの分子は、インビボでも同様の効果を有し、受精潜在能力を刺激し、次いで維持することによって受精能に影響を及ぼす。FPP、アデノシン、カルシトニオン及びアニギオテンシンIIの可用性の低下、又はそれらのレセプターの欠陥は、雄の不受精に寄与する(Fraser, L.R.及びAdeoya-Osiguwa, S. A.の論文、2001 Vitam Horm 63, 1-28)。
【0197】
CCL2、CCL7、CCL8、CCL16、CCL18及びフラクタルキンは、骨髄前駆体細胞の増殖の抑制、腫瘍形成、炎症性寄主応答、癌、乾癬、リウマチ性関節炎、アテローム硬化症、血管炎、体液性及び細胞仲介免疫応答、内皮における白血球密着及び移動過程、炎症性腸疾患、再狭窄、肺繊維症、肺高血圧症、肝臓繊維症、肝硬変、腎硬化症、心室再形成、心不全、臓器移植後の動脈症、及び静脈移植の不全の如き病態生理学的状態において重要な役割を果たす。
【0198】
B型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス及びメラノーマに対するいくつかの細胞毒Tリンパ球ペプチド系ワクチンが、臨床試験において最近試験された。単独又は他の腫瘍抗原と組み合わされる1つの興味深いメラノーマワクチン候補は、デカペプチドELAである。このペプチドは、N-末端グルタミン酸を有するメラン-A/MART-1抗原免疫優先ペプチド類似体である。グルタミン酸のアミノ基及びガンマ-カルボン酸基、並びにグルタミンのアミノ基及びガンマ-カルボキサミド基は、容易に縮合して、ピログルタミン誘導体を形成する。この安定性の問題を克服するために、薬理学的特性を損失させずに、N-末端グルタミン又はグルタミン酸の代わりにピログルタミン酸による医薬対象のいくつかのペプチドが開発された。残念なことに、ELAと比較して、ピログルタミン酸誘導体(PyrELA)もN-末端アセチルキャップド誘導体(AcELA)も細胞毒Tリンパ球(CTL)活性を導くことができなかった。明らかな副次的修飾がPyrELA及びAcELAに導入されているにもかかわらず、これらの2つの誘導体は、おそらくは、特異的なクラスIの主要組織適合性複合体にたいして、ELAより低い親和性を有する。結果として、ELAの全活性を維持するために、PyrELAの形成を避けるべきである(Beck A.らの論文、2001, J Pept Res 57(6):528-38)。
【0199】
オレキシンAは、おそらくはこれらの相補的な恒常性機能の複雑な挙動的及び生理学的応答を調整することによって、食物摂取及び覚醒の調節において重要な役割を果たす。エネルギー代謝、自律機能、ホルモンバランス、及び体液の調節の恒常性調節においても役割を果たす。
【0200】
本発明によるQC(EC)-阻害剤及び/又は組合せを哺乳類に投与することによって、アルツハイマー病、ダウン症、ヘリコバクターピロリ菌を伴う、又は伴わない潰瘍及び胃癌、腫瘍形成、炎症性寄主応答、癌、メラノーマ、悪性腫瘍転移、乾癬、リウマチ性関節炎、アテローム硬化症、内皮における白血球密着及び移動過程、摂食障害、覚醒疾患、エネルギー代謝の恒常性調節疾患、自律機能疾患、ホルモンバランス疾患、及び体液の調節疾患から選択される状態を予防、緩和又は治療することが可能でありうる。
【0201】
また、本発明によるQC(EC)-阻害剤及び/又は組合せを哺乳類に投与することによって、骨髄前駆細胞の増殖を刺激することが可能でありうる。
また、本発明によるQC(EC)-阻害剤及び/又は組合せを哺乳類に投与することによって、雄の受精能を抑制することが可能になる。
【0202】
好ましい実施形態において、本発明は、場合によっては、PEP-阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様の阻害剤、NPY-レセプターリガンド、NPYアゴニスト、アセチルクロリンエステラーゼ(ACE)阻害剤、PIMTエンハンサー、ベータセクレターゼの阻害剤、ガンマセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、TNFアルファ阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド沈着阻害剤、シグマ-1レセプター阻害剤、及びヒスタミンH3アンタゴニストからなる群から選択される少なくとも1つの化合物と組み合わされる、式1の少なくとも1つのQC(EC)阻害剤を含む組成物、好ましくは医薬組成物を提供する。
【0203】
また、本発明は、場合によっては、慣習的な担体及び/又は賦形剤と組み合わされるPEP-阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様の阻害剤、NPY-レセプターリガンド、NPYアゴニスト、アセチルクロリンエステラーゼ(ACE)阻害剤、タンパク質イソアスパラテートカルボキシメチルトランスフェラーゼ(PIMT)エンハンサー、ベータセクレターゼの阻害剤、ガンマセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)阻害剤、MAO阻害剤、TNFアルファ阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド沈着阻害剤、シグマ-1レセプター阻害剤、及びヒスタミンH3アンタゴニストからなる群から選択される少なくとも1つの化合物と場合によっては組み合わされる、式1の少なくとも1つのQC阻害剤を含む、例えば非経口、経腸又は経口投与のための医薬組成物を提供する。
【0204】
これらの組合せは、挙動状態に対する特に有利な効果をもたらすため、そのような組合せは、神経疾患、例えばアルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性障害からなる群から選択される神経疾患の治療に有効且つ有用であることが示されている。
【0205】
よって、本発明は、治療有効量の前記組成物又は組合せを哺乳類、好ましくはヒトに投与することを含む、神経疾患、例えばアルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性障害からなる群から選択される神経疾患を治療するための方法を提供する。
【0206】
よって、本発明は、神経疾患、例えばアルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性障害からなる群から選択される神経疾患を治療するための医薬品を調整するためのこれらの組成物又は組合せの使用を提供する。
【0207】
該方法は、式1の少なくとも1つのQC阻害剤と、PEP-阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様の阻害剤、NPY-レセプターリガンド、NPYアゴニスト、ACE阻害剤、PIMTエンハンサー、ベータセクレターゼの阻害剤、ガンマセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、PDE-4阻害剤、MAO阻害剤、TNFアルファ阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド沈着阻害剤、シグマ-1レセプター阻害剤、及びヒスタミンH3アンタゴニストからなる群から選択される少なくとも1つの化合物との同時投与、又はそれらの順次投与を含む。
【0208】
同時投与は、式1の少なくとも1つのQC阻害剤と、PEP-阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様の阻害剤、NPY-レセプターリガンド、NPYアゴニスト、ACE阻害剤、PIMTエンハンサー、ベータセクレターゼの阻害剤、ガンマセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、PDE-4阻害剤、MAO阻害剤、TNFアルファ阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド沈着阻害剤、シグマ-1レセプター阻害剤、及びヒスタミンH3アンタゴニストからなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含む製剤の投与、又は各薬剤の個別の製剤の実質的に同時の投与を含む。
好適なPIMTエンハンサーの例としては、それぞれWO 98/15647及びWO 03/057204に記載されている下記一般式の10-アミノアリファチル-ジベンゾ[b,f]オキセピンが挙げられる。
【0209】
【化34】

(式中、alkは、二価脂肪族ラジカルであり、Rは、非置換、或いは一価脂肪族及び/又はアラリファティックラジカル(araliphatic radical)により一又は二置換され、或いは二価脂肪族ラジカルによって二置換されたアミノ基であり、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ互いに独立に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン又はトリフルオロメチルである)。
【0210】
本発明に従って、下記一般式I-IVのPIMT活性の調節剤がさらに有用である:
【0211】
【化35】

【0212】
(式中、置換基R1-R5、(R3)p、(R6)p、X、Y、及びZの定義は、WO 2004/039773に記載されている。)。
WO 98/15647、WO 03/057204、及びWO 2004/039773は、これらの全体において本明細書中に取り込まれており、そこに記載された化合物の合成法、及び使用に関しては、本明細書の一部である。
【0213】
適切なベータ及び/又はガンマセクレターゼの阻害剤、及び前記阻害剤を含む組成物は、例えば、GB 2 385 124、GB 2 389 113、US 2002-115616、WO 01/87293、WO 03/057165、WO 2004/052348、及びWO 2004/062652に記載されている。これらの引用例は、これらの全体において本明細書中に取り込まれており、かつベータ及び/又はガンマセクレターゼの阻害用途に、そこに記載されている化合物、及び組成物の合成、製造、及び使用に関しては、本明細書の一部である。
【0214】
有力な選択性、及び細胞透過性のガンマセクレターゼ阻害剤は、(5S)-(t-ブトキシカルボニルアミノ)-6-フェニル-(4R)ヒドロキシ-(2R)ベンジルヘキサノイル)-L-leu-L-phe-アミドであり、下記式を有する。
【0215】
【化36】

【0216】
有力なベータセクレターゼ阻害剤は、下記式のPNU-33312である。
【0217】
【化37】

【0218】
好適なPDE-4阻害剤は、例えば以下の表に示されるものである。
【0219】
【表12】



【0220】
好適なPDE-4阻害剤は、ロリプラムである。
好適なMAO-阻害剤は、以下の式の化合物ラドスチギルである。
【0221】
【化38】

【0222】
好適なヒスタミンH3アンタゴニストは、例えば以下の表に示されるものである。
【0223】
【表13】



【0224】
好適なプロリルエンドペプチダーゼ(PEP)の阻害剤は、例えば、プロリンの化学的誘導体、又は末端プロリンを含む小ペプチドである。ベンジルオキシカルボニル-プロリル-プロリナールが、該酵素の特定の遷移状態阻害剤(transition state inhibitor)となることを示している(Wilk, S.、及びOrloeski, M.の論文、J. Neurochem.、41、69(1983)、Friedmanらの論文、Neurochem.、42、237(1984))。L-プロリン、又はL-プロリルピロリジンのN-末端置換(Atackらの論文、Eur. J. of Pharm.、205、157-163(1991)、JP 03 56,460、EP 384,341)、並びにカルボキシ末端でプロリナールを含む、N-ベンジルオキシカルボニル(Z) ジペプチドの変形体が、プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤として合成されている(Nishikataらの論文, Chem. Pharm. Bull. 34(7), 2931-2936(1986)、Baker, Aらの論文, Bioorganic & Medicinal, Chem. Letts.、1(11)、585-590(1991))。該コア構造のチオプロリン、チアゾリジン、及びオキソピロリジン置換体が、プロリルエンドペプチダーゼを阻害することが報告されている(Tsuruらの論文, J. Biochem., 94, 1179(1988)、Tsuruらの論文, J. Biochem., 104, 580-586(1988)、Saito らの論文, J. Enz. Inhib. 5, 51-75(1991)、Uchida, I.らの国際特許出願WO 90/12,005、JP 03 56,461、JP 03 56,462)。類似して、多くのフッ化ケトン誘導体を含む、該カルボキシ末端プロリンの様々な改質が行われている(Henning、EP 4,912,127)。フッ化ケトン誘導体の一般的合成は、記載されている(Angelastro, M.R.らの論文, Tetra hedron Letters 33(23), 3265-3268(1992))。アシル-プロリン、又はアシルペプチド-プロリン(Z-Gly-Pro-CH2Cl)のクロロメチルケトン誘導体のような、他の化合物は、該酵素活性部位をアルキル化することにより、該酵素を阻害することが示されている(Yoshimoto, T.らの論文、Biochemistry 16、2942(1977))。
【0225】
EP-A-0 286 928には、プロピルエンドペプチダーゼ阻害剤として有用である2-アシルピロリジン誘導体が開示されている。
さらに、本発明の好適なプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤は、Fmoc-Ala-Pyrr-CN、及び下記リストのものがある。
【0226】
【表14】

【0227】
【表15】

【0228】
さらに、本発明の好適なプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤は、下記の公報に開示されている: JP 01042465、JP 03031298、JP 04208299、WO 0071144、US 5847155; JP 09040693、JP 10077300、JP 05331072、JP 05015314、WO 9515310、WO 9300361、EP 0556482、JP 06234693、JP 01068396、EP 0709373、US 5965556、US 5756763、US 6121311、JP 63264454、JP 64000069、JP 63162672、EP 0268190、EP 0277588、EP 0275482、US 4977180、US 5091406、US 4983624、US 5112847、US 5100904、US 5254550、US 5262431、US 5340832、US 4956380、EP 0303434、JP 03056486、JP 01143897、JP 1226880、EP 0280956、US 4857537、EP 0461677、EP 0345428、JP 02275858、US 5506256、JP 06192298、EP 0618193、JP 03255080、EP 0468469、US 5118811、JP 05025125、WO 9313065、JP 05201970、WO 9412474、EP 0670309、EP 0451547、JP 06339390、US 5073549、US 4999349、EP 0268281、US 4743616、EP 0232849、EP 0224272、JP 62114978、JP 62114957、US 4757083、US 4810721、US 5198458、US 4826870、EP 0201742、EP 0201741、US 4873342、EP 0172458、JP 61037764、EP 0201743、US 4772587、EP 0372484、US 5028604、WO 9118877、JP 04009367、JP 04235162、US 5407950、WO 9501352、JP 01250370、JP 02207070、US 5221752、EP 0468339、JP 04211648、及びWO 9946272である。これらの技術文献は、全体として、引用により、特に、これらの阻害剤、これらの定義、使用、及びこれらの製造に関して、本明細書中に取り込まれている。
【0229】
最も好ましいのは、以下の式のPEP-阻害剤である。
【0230】
【化39】

【0231】
QC-阻害剤と組合わせて、本発明に従って使用され得る他の適切な化合物には、NPY、NPY模倣体、又はNPYアゴニスト又はアンタゴニスト、又は該NPYレセプターのリガンドがある。
本発明に好ましいのは、該NPYレセプターのアンタゴニストである。
該NPYレセプターの適切なリガンド、又はアンタゴニストは、WO 00/68197に開示されている3a,4,5,9b-テトラヒドロ-1h-ベンズ[e]インドール-2-イルアミン誘導化合物である。
【0232】
記載され得るNPYレセプターアンタゴニストには、下記公報に開示されているものを含む:欧州特許出願EP 0 614 911、EP 0 747 357、EP 0 747 356、及びEP 0 747 378;国際特許出願WO 94/17035、WO 97/19911、WO 97/19913、WO 96/12489、WO 97/19914、WO 96/22305、WO 96/40660、WO 96/12490、WO 97/09308、WO 97/20820、WO 97/20821、WO 97/20822、WO 97/20823、WO 97/19682、WO 97/25041、WO 97/34843、WO 97/46250、WO 98/03492、WO 98/03493、WO 98/03494、及びWO 98/07420;WO 00/30674、米国特許第5,552,411、5,663,192、及び5,567,714; 6,114,336号、日本特許出願JP 09157253;国際特許出願WO 94/00486、WO 93/12139、WO 95/00161、及びWO 99/15498;米国特許第5,328,899号;ドイツ特許出願DE 393 97 97;欧州特許出願 EP 355 794、及びEP 355 793;及び日本特許出願JP 06116284、及びJP 07267988である。これらの文献すべての開示は、引用により本明細書中に取り込まれている。好ましいNPYアンタゴニストには、これらの特許文献に具体的に開示されている化合物がある。さらに好ましい化合物には、アミノ酸、及び非-ペプチド-ベースのNPYアンタゴニストがある。記載され得るアミノ酸、及び非-ペプチド-ベースのNPYアンタゴニストには、下記公報に開示されているものを含む:欧州特許EP 0 614 911、EP 0 747 357、EP 0 747 356、及びEP 0 747 378;国際特許出願WO 94/17035、WO 97/19911、WO 97/19913、WO 96/12489、WO 97/19914、WO 96/22305、WO 96/40660、WO 96/12490、WO 97/09308、WO 97/20820、WO 97/20821、WO 97/20822、WO 97/20823、WO 97/19682、WO 97/25041、WO 97/34843、WO 97/46250、WO 98/03492、WO 98/03493、WO 98/03494、WO 98/07420、及びWO 99/15498;米国特許第5,552,411、第5,663,192、及び第5,567,714号;及び日本特許出願JP 09157253である。好ましいアミノ酸、及び非-ペプチド-ベースのNPYアンタゴニストには、これらの特許文献に具体的に開示されている化合物がある。
【0233】
特に好ましい化合物は、アミノ酸-ベースのNPYアンタゴニストである。記載され得るアミノ酸-ベースの化合物には、国際特許出願WO 94/17035、WO 97/19911、WO 97/19913、WO 97/19914、又は好ましくはWO 99/15498に開示されている化合物がある。好ましいアミノ酸-ベースのNPYアンタゴニストには、これらの特許明細書に具体的に記載されているものがあり、例えばBIBP3226、及び特に(R)-N2-(ジフェニルアセチル)-(R)-N-[1-(4-ヒドロキシ-フェニル)エチル]アルギニンアミド(国際特許出願WO 99/15498の実施例4)がある。
【0234】
不確かさを避けるために、前述の各出版物に開示されている例は、個々に開示された化合物として、特にこれらの構造、これらの定義、使用、及びこれらの製造に関して、その全体を引用により明確に取り込んでいる。
【0235】
好適なDP IV-阻害剤は、例えば、特にこれらの阻害剤、それらの定義、使用、及びそれらの製造に関して、その開示が本明細書に全面的に組み込まれている米国特許第6380398号、米国特許第6011155号、米国特許第6107317号、米国特許第6110949号、米国特許第6124305号、米国特許第6172081号、WO 9515309、WO 9961431、WO 9967278、WO 9967279、DE 198 34 591、WO 9740832、DE 196 16 486 C 2、WO 9819998、WO 0007617、WO 9938501、WO 9946272、WO 9938501、WO 0168603、WO 0140180、WO 0181337、WO 0181304、WO 0155105、WO 0202560及びWO 0214271、WO 0204610、WO 02051836、WO 02068420、WO 02076450、WO 02083128、WO 0238541、WO 03000180、WO 03000181、WO 03000250、WO 03002530、WO 03002531、WO 03002553、WO 03002593、WO 03004496、WO 03004498、WO 03024965、WO 03024942、WO 03035067、WO 03037327、WO 03035057、WO 03045977、WO 03055881、WO 0368748、WO 0368757、WO 03057666、WO 03057144、WO 03040174、WO 03033524及びWO 03074500に開示されている。
【0236】
さらなる好適なDP IV-阻害剤は、例えば、以下の表に示されるものである。
【0237】
【表16】



【0238】
不確かさを避けるために、本明細書に開示される参考文献及び例は、特にそれらの構造、それらの定義、使用、及びそれらの製造に関して、参照により全面的に、又は個別に開示された化合物として具体的に本明細書に組み込まれている。
好ましいDP IV-阻害剤は、ジペプチド様化合物として以下に記載した、ジペプチド様化合物、及びアミノ酸とチアゾリジン又はピロリジン基とから形成されたジペプチド化合物に類似した化合物、並びにこれらの塩である。好ましくは、該アミノ酸と該チアゾリジン又はピロリジン基は、アミド結合で結合している。
【0239】
ジペプチド様化合物が、本発明の目的に特に適切であり、該化合物のアミノ酸は、好ましくは、例えばロイシン、バリン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、イソロイシン、アスパラギン、及びアスパラギン酸のような天然アミノ酸から選択される。
本発明に使用される該ジペプチド様化合物は、血漿ジペプチジルペプチダーゼIVの活性低下、又は少なくとも10%、特に、少なくとも40%のDP IV類似体酵素活性低下となる、10μMの(ジペプチド化合物の)濃度で示される。頻繁に、少なくとも60%、又は少なくとも70%の活性低下も要求される。また、好ましい薬剤は、最大20%、又は30%の活性低下を示し得る。
【0240】
好ましいジペプチド様化合物は、N-バリルプロリル、O-ベンゾイルヒドロキシルアミン、アラニルピロリジン、イソロイシルチアゾリジン様L-アロ-イソロイシルチアゾリジン、L-トレオ-イソロイシルピロリジン、及びこれらの塩、特にフマル酸塩、並びにL-アロ-イソロイシルピロリジン、及びその塩である。
さらに好ましい化合物を、表2に示す。
該ジペプチド様化合物の塩は、ジペプチド(-類似体)成分:塩成分のモル比が、1:1、又は2:1で存在し得る。このような塩は、例えば、(Ile-チア)2フマル酸がある。
【0241】
【表17】

【0242】
他の好ましい実施態様において、本発明は、神経疾患の併用療法のための、ジペプチジルペプチダーゼ IV触媒作用の競合的調節(competitive modulation)に有用な、式3の化合物の使用を提供する:
【0243】
【化40】

【0244】
(式中、A、B、C、D、及びEは、独立に、タンパク構成アミノ酸、非タンパク構成アミノ酸、L-アミノ酸、及びD-アミノ酸を含む全てのアミノ酸部位であり、かつ式中、E、及び/又はDは、欠けていてもよい。)。
【0245】
好ましい実施形態によれば、式(3)の残基A、B、C、D及びEは、独立に、以下のように定められる:
Aは、D-アミノ酸を除いたアミノ酸であり、
Bは、Pro、Ala、Ser、Gly、Hyp、アセチジン-(2)-カルボン酸、及びピペコリン酸から選択されたアミノ酸であり、
Cは、Pro、Hyp、アセチジン-(2)-カルボン酸、ピペコリン酸を除き、かつ例えばN-メチルバリン、及びサルコシンなどのN-アルキル化アミノ酸を除いた全アミノ酸であり、
Dは、全アミノ酸であるか、又は欠けており、かつ
Eは、全アミノ酸であるか、又は欠けている。
或いは:
Cは、Pro、Hyp、アセチジン-(2)-カルボン酸、ピペコリン酸を除き、例えばN-メチルバリン、及びサルコシンなどのN-アルキル化アミノ酸を除き、かつD-アミノ-酸を除いた全アミノ酸であり、
Dは、Pro、Ala、Ser、Gly、Hyp、アセチジン-(2)-カルボン酸、及びピペコリン酸から選択された全アミノ酸であり、かつ
Eは、Pro、Hyp、アセチジン-(2)-カルボン酸、ピペコリン酸を除き、例えばN-メチルバリン、及びサルコシンなどのN-アルキル化アミノ酸を除いた全アミノ酸である。
【0246】
その遺伝子コードでコードされたアミノ酸以外のアミノ酸も本発明の範囲内のペプチド化合物に含めることができ、この一般スキーム内で分類することができる。
タンパク構成アミノ酸は、本願において、天然タンパク質由来α-アミノ酸として定義される。非蛋白新生アミノ酸は、共通の天然タンパク質の基礎単位でない、他のすべてのアミノ酸として定義される。
【0247】
得られるペプチドは、遊離C-末端酸として、又はC-末端アミド形態として合成され得る。遊離酸ペプチド、又はアミドを、側鎖改質により変更してもよい。側鎖改質は、制限されないが、例えば、下記のものを含む:ホモセリン形成、ピログルタミン酸形成、ジスルフィド結合形成、アスパラギン又はグルタミン残基の脱アミド化、メチル化、t-ブチル化、t-ブチルオキシカルボニル化、4-メチルベンジル化、チオアニシレーション(thioanysilation)、チオクレシレーション(thiocresylation)、ベンジルオキシメチル化、4-ニトロフェニル化、ベンジルオキシカルボニル化、2-ニトロベンコイレーション(2-nitrobencoylation)、2-ニトロスルフェニル化、4-トルエンスルホニル化、ペンタフルオロフェニル化、ジフェニルメチル化、2-クロロベンジルオキシカルボニル化、2,4,5-トリクロロフェニル化、2-ブロモベンジルオキシカルボニル化、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル化、トリフェニルメチル化、2,2,5,7,8,-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル化、ヒドロキシル化、メチオニンの酸化、ホルミル化、アセチル化、アニシレーション(anisylation)、ベンジル化、ベンコイレーション(bencoylation)、トリフルオロアセチル化、 アスパラギン酸又はグルタミン酸のカルボキシル化、ホスホリル化、硫酸化、システイン化、ペントース、デオキシヘキソース、ヘキソースアミン、ヘキソース又はN-アセチルヘキソースアミンを用いたグリコール化、フェルネシル化、ミリストイル化、ビオチン化、パルミトイル化、ステアロイル化、ゲラニルゲラニル化、グルタチオン化、5’-アデノシン化、ADP-リボシル化、N-グリコリルノイラミン酸、N-アセチルノイラミン酸、ピリドキサールリン酸、リポ酸、4’-ホスホパンテテイン、又はN-ヒドロキシスクシンイミドでの改質がある。
【0248】
式(3)の化合物において、該アミノ酸部位A、B、C、D、及びEは、それぞれ、通常の方法において、隣接部位にアミド結合で結合し、該アミノ酸(ペプチド)のアミノ末端(N-末端)は、左に記載し、かつ該アミノ酸(ペプチド)のカルボキシル-末端は、右に記載する(C-末端)ように、標準的命名法に従う。
好ましいペプチド化合物を、表3に示した。
【0249】
【表18】

【0250】
t-ブチル-Glyは、下記のように規定される。
【0251】
【化41】

【0252】
Ser(Bzl)、及びSer(P)は、それぞれ、ベンジル-セリン、及びホスホリル-セリンとして規定される。Tyr(P)は、ホスホリル-チロシンとして規定される。
【0253】
本発明に従って使用できるさらに好ましいDP IV-阻害剤は、式4のペプチジルケトン、及びその医薬として許容し得る塩である。
【0254】
【化42】

【0255】
(式中、Aは、下記構造からなる群から選択され:
【0256】
【化43】

【0257】
(X1は、H、或いはアミノ酸残基、N-保護アミノ酸残基、ペプチド残基、又はN-保護ペプチド残基を含むアシル、又はオキシカルボニル基であり、
X2は、H、或いはm = 2-4を有する-(CH)m-NH-C5H3N-Y、又は-C5H3N-Y(二価ピリジル残基)であり、かつYは、H、Br、Cl、I、NO2、又はCNから選択されたものであり、
X3は、H、或いはアルキル-、アルコキシ-、ハロゲン-、ニトロ-、シアノ-、又はカルボキシ-置換フェニルから選択されたもの、又はアルキル-、アルコキシ-、ハロゲン-、ニトロ-、シアノ-、又はカルボキシ-置換ピリジル残基から選択されたものであり、
X4は、H、或いはアルキル-、アルコキシ-、ハロゲン-、ニトロ-、シアノ-、又はカルボキシ-置換フェニルから選択されたもの、又はアルキル-、アルコキシ-、ハロゲン-、ニトロ-、シアノ-、又はカルボキシ-置換ピリジル残基から選択されたものであり、
X5は、H、或いはアルキル、アルコキシ、又はフェニル残基であり、
X6は、H、或いはアルキル残基である。)、
n = 1に対して、
Xは:H、OR2、SR2、NR2R3、N+R2R3R4から選択され、式中:
R2は、任意にアルキル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールで置換されたアシル残基、もしくはアミノ酸残基、又はペプチド残基、任意にアルキル、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールで置換されたアルキル残基を意味し、
R3は、アルキル、又はアシル残基を意味し、ここでR2、及びR3は、飽和、又は不飽和の炭素環、又は複素環の一部であってもよく、
R4は、アルキル残基を意味し、ここでR2、及びR4、又はR3、及びR4は、飽和、又は不飽和の炭素環、又は複素環の一部であってもよく、
n = 0に対して、
Xは、下記から選択される:
【0258】
【化44】

【0259】
(式中、Bは、O、S、又はNR5を意味し、式中R5は、H、アルキル、又はアシルであり、
C、D、E、F、G、Y、K、L、M、Q、T、U、V、及びWは、アルキル及び置換アルキル残基、オキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、カルボニルアルキル、アシル、カルバモイル、アリール、及びヘテロアリール残基から独立に選択され、かつ
Zは、H、或いはC1-C9の分岐又は直鎖アルキル残基、C2-C9の分岐又は直鎖アルケニル残基、C3-C8のシクロアルキル残基、C5-C7のシクロアルケニル残基、アリール又はヘテロアリール残基、又はすべての天然アミノ酸、又はその誘導体の全側鎖から選択された側鎖から選択される。)。)。
【0260】
式4の好ましい化合物において、Aは
【0261】
【化45】

【0262】
であり、
X1は、H又はアシル、或いはアミノ酸残基、N-アシル化アミノ酸残基、ジペプチドからペンタペプチドのペプチド残基、好ましくはジペプチド残基、又はジペプチドからペンタペプチドのN-保護ペプチド残基、好ましくはN-保護ジペプチド残基を含むオキシカルボニル基であり、
X2は、H、m=2〜4の-(CHm-NH-C5H3N-Y、又はC5H3N-Y(二価のピリジル残基)であり、Yは、H、Br、Cl、I、NO2又はCNから選択され、
n=1の場合は、
Xは、好ましくは、H、OR2、SR2、NR2R3から選択され、
R2は、場合によってはアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリール残基で置換されたアシル残基、或いはアミノ酸残基又はペプチド残基、或いは場合によってはアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリール残基で置換されたアルキル残基を表し、
R3は、アルキル又はアシル残基を表し、R2及びR3は、飽和又は不飽和の炭素環又は複素環の一部であってもよく、
n=0の場合は、
Xは、好ましくは、
【0263】
【化46】

【0264】
から選択され、
(式中、Bは、O、S、又はNR5を意味し、式中R5は、H、アルキル、又はアシルであり、
C、D、E、F、G、Y、K、L、M、及びQは、アルキル及び置換アルキル残基、オキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、カルボニルアルキル、アシル、カルバモイル、アリール、及びヘテロアリール残基から独立に選択され、かつ
Zは、H、或いはC1-C9の、好ましくはC2-C6の分岐又は直鎖アルキル残基、C2-C9の分岐又は直鎖アルケニル残基、C3-C8のシクロアルキル残基、C5-C7のシクロアルケニル残基、アリール又はヘテロアリール残基、又はすべての天然アミノ酸、又はその誘導体の全側鎖から選択された側鎖から選択される。)。
式4のより好ましい化合物は、Aが下記式であり、
【0265】
【化47】

【0266】
(式中、X1は、H、又はアシル、或いはアミノ酸残基、N-アシル化アミノ酸残基、又はジペプチドからペンタペプチドのペプチド残基、好ましくはジペプチド残基、又はジペプチドからペンタペプチドのN-保護ペプチド残基、好ましくはN-保護ジペプチド残基を含むオキシカルボニル基であり、。)
n = 1に対して、
Xは、好ましくは:H、OR2、SR2から選択され、式中:
R2は、任意にアルキル又はアリール残基で置換されたアシル残基を意味し、
n = 0に対して、
Xは、好ましくは、下記から選択される:
【0267】
【化48】

【0268】
(式中、Bは、O、S、又はNR5を意味し、式中R5は、H、アルキル、又はアシルであり、
C、D、E、F、G、Y、K、L、M、及びQは、独立に、アルキル及び置換アルキル残基、オキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、カルボニルアルキル、アシル、カルバモイル、アリール、及びヘテロアリール残基であり、かつ
Zは、H、或いはC1-C9の、好ましくはC2-C6の分岐又は直鎖アルキル残基、C2-C9の分岐又は直鎖アルケニル残基、C3-C8のシクロアルキル残基、C5-C7のシクロアルケニル残基、アリール又はヘテロアリール残基、又はすべての天然アミノ酸、又はその誘導体の全側鎖から選択された側鎖から選択される。)。
【0269】
式4の最も好ましい化合物は、Aが下記式であり、
【0270】
【化49】

【0271】
(式中、X1は、H又はアシル、或いはアミノ酸残基、N-アシル化アミノ酸残基、ジペプチド残基を含むオキシカルボニル基で、最後から2番目の位置にPro、又はAlaを含み、或いは最後から2番目の位置にPro、又はAlaを含むN-保護ジペプチド残基である。)、
n = 1に対して、
Xは、Hであり、
n = 0に対して、
Xは、好ましくは、下記から選択される:
【0272】
【化50】

【0273】
(式中、Bは、O、又はSを意味し、最も好ましくはSであり、
C、D、E、F、G、Y、K、L、M、QはHであり、
並びにZは、H、或いはC3-C5の分岐又は直鎖アルキル残基、C2-C9の分岐又は直鎖アルケニル残基、C5-C7のシクロアルキル残基、C5-C7のシクロアルケニル残基、アリール又はヘテロアリール残基、又はすべての天然アミノ酸、又はその誘導体の全側鎖から選択された側鎖から選択される。)。
Zについて最も好ましいのはHである。
【0274】
好ましい実施態様に従って、該アシル基は、C1-C6-アシル基である。
さらに好ましい実施態様に従って、該アルク(アルキル)基は、C1-C6-アルク(アルキル)基であり、これは分岐、又は非分岐であってもよい。
またさらに好ましい実施態様に従って、該アルコキシ基は、C1-C6-アルコキシ基である。
また他の好ましい実施態様に従って、該アリール残基は、任意に縮合環を有するC5-C12 アリール残基である。
またさらに好ましい実施態様に従って、該シクロアルキル残基(炭素環)は、C3-C8-シクロアルキル残基である。
【0275】
他の好ましい実施態様に従って、該ヘテロアリール残基は、任意に、縮合環、及び少なくとも1つの環において付加的に1〜4個、好ましくは1〜2個のO、N 及び/又は Sなどのヘテロ原子を有するC4-C11アリール残基である。
さらに好ましい実施形態によれば、ペプチド残基は、2〜50のアミノ酸を含む。
他の好ましい実施態様に従って、該複素環残基は、付加的に1〜4個、好ましくは1〜2個のO、N 及び/又は Sなどのヘテロ原子を有する、C2-C7-シクロアルキルラジカルである。
またさらに好ましい実施態様に従って、該カルボキシ基は、C1-C6カルボキシ基であり、これは分岐、又は非分岐であってもよい。
また、他の好ましい実施態様に従って、該オキシカルボニル基は、式-O-(CH2)1-6COOH基である。
該アミノ酸は、全ての天然、又は合成アミノ酸とすることができ、好ましくは天然アルファアミノ酸である。
【0276】
式(4)の好ましい化合物には、下記のものがある:2-メチルカルボニル-1-N-[(L)-アラニル-(L)-バリニル]-(2S)-ピロリジン臭化水素酸塩; 2-メチル)カルボニル-1-N-[(L)-バリニル-(L)-プロリル-(L)-バリニル]-(2S)-ピロリジン臭化水素酸塩; 2-[(アセチル-オキシ-メチル)カルボニル]-1-N-[(L)-アラニル-(L)-バリニル]-(2S)-ピロリジン臭化水素酸塩; 2-[ベンゾイル-オキシ-メチル)カルボニル]-1-N-[{(L)-アラニル}-(L)-バリニル]-(2S)-ピロリジン臭化水素酸塩; 2-{[(2,6-ジクロロベンジル)チオメチル]カルボニル}-1-N-[{(L)-アラニル}-(L)-バリニル]-(2S)-ピロリジン; 2-[ベンゾイ-ルオキシ-メチル)カルボニル]-1-N-[グリシル-(L)-バリニル]-(2S)-ピロリジン臭化水素酸塩; 2-[([1,3]-チアゾール-2-イル)カルボニル]-1-N-[{(L)-アラニル}-(L)-バリニル]-(2S)-ピロリジントリフルオロ酢酸塩; 2-[(ベンゾチアゾール-2-イル)カルボニル]-1-N-[N-{(L)-アラニル}-(L)-バリニル]-(2S)-ピロリジントリフルオロ酢酸塩; 2-[(-ベンゾチアゾール-2-イル)カルボニル]-1-N-[{(L)-アラニル}-グリシル]-(2S)-ピロリジントリフルオロ酢酸塩; 2-[(ピリジン-2-イル)カルボニル]-1-N-[N-{(L)-アラニル}-(L)-バリニル]-(2S)-ピロリジントリフルオロ酢酸塩である。
【0277】
さらに、本発明に従って、好適なDP IV-阻害剤は式5の化合物であり、全ての立体異性体、及び医薬として許容し得る塩を含む。
【化51】

【0278】
(nは、0、又は1、
R1は、H、C1-C9の分岐又は直鎖アルキル、好ましくはH、n-ブタン-2-イル、n-プロパ-2-イル、又はイソブチル、C2-C9の分岐又は直鎖アルケニル、C3-C8 シクロアルキル、好ましくはシクロヘキシル、C5-C7 シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、又は天然アミノ酸の側鎖又はその模倣体を意味し、
X2は、O、NR6、N+(R7)2、又はSを意味し、
Bは、下記の基から選択される:
【0279】
【化52】

【0280】
(式中、X5は、H、又はアミノ酸を含むアシル基、若しくはオキシカルボニル基であり、
R5は、H、C1-C9の分岐又は直鎖アルキル、好ましくはH、n-ブタン-2-イル、n-プロパ-2-イル、又はイソブチル、C2-C9の分岐又は直鎖アルケニル、C3-C8 シクロアルキル、好ましくはシクロヘキシル、3-ヒドロキシアダマント-1-イル、C5-C7 シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、又は天然アミノ酸若しくはその誘導体の側鎖、又は式-(CH)m-NH-C5H3N-Y基であり、式中、mは、2〜4の整数であり、-C5H3N-Yは、二価ピリジル部位であり、かつYは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、
R6、R7、及びR8は、H、任意に置換されたC1-C9の分岐又は直鎖アルキル、好ましくは任意に置換されたC2-C5 分岐又は直鎖 アルキルであり;又は任意に置換されたC2-C9 分岐又は直鎖 アルケニル、好ましくはC2-C5 分岐又は直鎖 アルケニルであり;又は任意に置換されたC3-C8 シクロアルキル、好ましくは任意に置換されたC4-C7 シクロアルキルであり;又は任意に置換されたC5-C7 シクロアルケニル、又は任意に置換されたアリール残基から独立に選択され、
Zは、H、ピリジル、又は任意に置換されたフェニル、任意に置換されたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ、シアノ、及びカルボキシ基から選択され、
Wは、H、ピリジル、又は任意に置換されたフェニル、任意に置換されたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ、シアノ、及びカルボキシ基から選択され、
W1は、H、又は任意に置換されたアルキル、アルコキシ、又は任意に置換されたフェニルであり、かつ
Z1は、H、又は任意に置換されたアルキル、
R3、及びR4は、独立してH、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アラルコキシ、ニトロ、シアノ、又はハロゲンであり、
Dは、任意に置換された、下記式の化合物である:
【0281】
【化53】

【0282】
(該式は、飽和とすることができ、或いは単、二重、又は三重結合とすることができ、
式中、
X8〜X11は、不飽和の場合、独立にCH、N、N+(R7)、又はCR8であり、又は
X8〜X11は、飽和の場合、独立にCH2、NH、NH+(R7)、O、又はSであり、
X12は、飽和の場合、CHA、NA、CH2、NH、NH+(R7)、又はCHR8であり、
X12は、不飽和の場合、CA、NA+、CH、N、N+(R7)、又はCR8であり、かつ
Aは、H、又はCN、SO3H、CONOH、PO3R5R6、テトラゾール、アミド、エステル、又は酸無水物などのカルボン酸のアイソスターである。)。)。
【0283】
本出願を通して、好ましくは、Dは、該環中に最大2個、さらに好ましくは最大1個のヘテロ原子を含む。
本発明の好ましい実施態様に従って、Dは、下記式の、任意に置換されたC4-C7 シクロアルキル、好ましくはC4-C6 シクロアルキル、任意に置換されたC4-C7 シクロアルケニル、又は任意に置換された(ヘテロ)シクロアルキルを意味する:
【0284】
【化54】

【0285】
(式中、該残基は、先に規定したものである。)、
【0286】
【化55】

【0287】
(これは、該環中に単、又は二重結合を含む5員環であり、
式中、該残基は、先に規定したものである。)又は
【0288】
【化56】

【0289】
(式中、残基は先に規定したものである)、又は
【0290】
【化57】

【0291】
(式中、残基は、先に規定したものである)、又は
【0292】
【化58】

【0293】
(これは、該環中に単、又は二重結合を含む6員環であり、
式中、該残基は、先に規定したものである。)、又は
【0294】
【化59】

【0295】
(式中、該残基は、先に規定したものである。)。
好ましい実施態様に従って、Bは、下記式を有する:
【0296】
【化60】

【0297】
(式中、該残基は、先に規定したものである。)。
他の好ましい実施態様に従って、Bは、下記式を有する:
【0298】
【化61】

【0299】
(式中、該残基は、先に規定したものである。)。
式(5)の好ましい化合物は、下記のものである:
1-シクロペンチル-3-メチル-1-オキソ-2-ペンタンアミニウム クロライド、
1-シクロペンチル-3-メチル-1-オキソ-2-ブタンアミニウム クロライド、
1-シクロペンチル-3,3-ジメチル-1-オキソ-2-ブタンアミニウム クロライド、
1-シクロヘキシル-3,3-ジメチル-1-オキソ-2-ブタンアミニウム クロライド、
3-(シクロペンチルカルボニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニウムクロライド、及び
N-(2-シクロペンチル-2-オキソエチル)シクロヘキサンアミニウム クロライドである。
【0300】
体内の広範なタンパク質分布、及びDP IV、DP IV-活性、及びDP IV-関連タンパク質に関与する多種多様の機序のために、DP IV-阻害剤を用いた全身療法(経腸的、又は非経口的投与)は、一連の望ましくない副作用を生じ得る。
従って、解決すべき問題は、さらに、局所的に制限された病態生理学的、及び生理学的プロセスの標的影響のために、神経疾患の併用療法に使用することができるDP IV-阻害剤を提供することである。本発明の問題は、特に、局所的活性基質の活性の調節において、標的とする介入の目的のために、DP IV、又はDP IV-類似体活性の局所制限的、かつ高特異的阻害を獲得することにある。
この問題は、一般式(6)のDP IV-阻害剤の使用により、本発明に従って解決される:
【0301】
【化62】

【0302】
(式中、Aは、側鎖に少なくとも1つの官能基を有するアミノ酸、
Bは、Aの側鎖の少なくとも1つの官能基に共有結合した化学的化合物であり、
Cは、Aにアミド結合した、チアゾリジン、ピロリジン、シアノピロリジン、ヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、又はピペリジン基である。
本発明の好ましい実施態様に従って、少なくとも1つの一般式(5)の化合物、及び少なくとも1つの、作用部位に適した慣用のアジュバントを含む、医薬組成物を使用する。
好ましくは、Aは、α-アミノ酸であり、特に、側鎖に1、又は2以上の官能基を有する天然α-アミノ酸であり、好ましくは、トレオニン、チロシン、セリン、アルギニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、又はシステインである。
【0303】
好ましくは、Bは、最長20 のアミノ酸までの鎖長を有するオリゴペプチド、最大20,000 g/molまでのモル質量を有するポリエチレングリコール、任意に置換された、8〜50個の C原子を有する、有機アミン、アミド、アルコール、酸、又は芳香族化合物である。
延長された側鎖機能にもかかわらず、それでも、式(6)の化合物は、該酵素ジペプチジルペプチダーゼIV、及び類似体酵素の活性中心に結合する。しかし、ペプチドトランスポーターPepT1により、活発に輸送されることはない。結果として低下し、又は大きく制限された、本発明の化合物の輸送能力は、DP IV、及びDP IV-様酵素の活性に局所的、又は部位直接的阻害を生じる。
【0304】
例えば、7炭素原子数を超える、延長/拡大による該側鎖改質により、結果的に、輸送能力の劇的な低下を獲得することができる。該側鎖の空間的サイズの増加に伴い、該基質の輸送能力は低下する。例えば一置換フェニルラジカル、ヒドロキシルアミンラジカル、又はアミノ酸残基の原子団サイズを超えるように、側鎖を空間的、及び立体的に拡大することによって、本発明に従って、該標的基質の輸送能力を改質、又は抑制することができる。
【0305】
式(6)の好ましい化合物は、該オリゴペプチドが3〜15の鎖長、特に4〜10の鎖長を有し、アミノ酸、かつ/又は該ポリエチレングリコールが、少なくとも250 g/molのモル質量、好ましくは少なくとも1,500 g/mol、及び最大15,000 g/molまでのモル質量を有し、かつ/又は任意に置換された、少なくとも12個のC原子、好ましくは最大30個のC原子を有する有機アミン、アミド、アルコール、酸、又は芳香族化合物を有する化合物である。
【0306】
(医薬組成物)
本発明の医薬組成物を製造するために、任意に、少なくとも1のPEP-阻害剤、及び/又は少なくとも1のDP IV-阻害剤、及び/又は少なくとも1のNPY-レセプター-リガンド、及び/又は少なくとも1のACE-阻害剤を組合わせた、少なくとも1のQCエフェクターを、活性成分として使用することができる。該活性成分を、従来の医薬配合技術により、医薬キャリアと緊密に混合することができ、該キャリアは、例えば、経口、又は筋内のような非経口投与に所望される製剤の形態に依存する、多種多様の形態にすることができる。経口投与形態の該組成物の製造において、任意の通例の医薬媒体を使用してもよい。従って、例えば、懸濁液、エリキシル剤、及び溶液のような、液体の経口用製剤にとって、適切なキャリア、及び添加剤は、水、グリコール、オイル、アルコール、香料、保存料、及び着色剤などであり;例えば、粉末、カプセル、ジェルキャップ、及び錠剤のような固体経口用製剤にとって、好適なキャリア、及び添加剤は、デンプン、糖類、希釈剤、顆粒化剤、滑剤、結合剤、及び崩壊剤などである。投与の容易さのために、錠剤、及びカプセルが、最も有利な経口投与単位形態であり、その場合、当然、固体医薬キャリアが使用される。所望であれば、錠剤を、標準的技術により、糖衣、又は腸溶性の被覆をしてもよい。通常、非経口投与用のキャリアは、滅菌水であろう。しかし、例えば、溶解性を助ける目的の、又は保存用の他の成分を含んでもよい。
【0307】
また、注射可能な懸濁液を調製することができ、その場合の適切な液体キャリア、及び懸濁化剤などを使用してもよい。本明細書中の医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末、注射、及び茶さじ1杯(teaspoonful)などのような投与単位ごとに、前述した有効量の輸送に必要な量の活性成分を含むであろう。本明細書中の該医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末、注射、座薬及び茶さじ1杯などのような投与単位ごとに、約0.03 mg〜100 mg/kg(好ましくは0.1〜30 mg/kg)の各活性成分、又はこれらの組合せを含み、1日につき、約0.1〜300 mg/kg(好ましくは1日につき1〜50 mg/kg)の投与量で与えてもよい。しかし、該投与量は、患者の要求、治療される状態の重症度、及び使用される化合物に依存して変えることができる。毎日の投与、又は周期的投与のどちらかを使用してもよい。
【0308】
好ましくは、これらの組成物は;経口、非経口、経鼻、舌下、又は直腸投与に対して、若しくは吸入、又は吹送による投与に対して、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、顆粒、滅菌非経口溶液又は懸濁液、計量エアロゾル(metered aerosol)又は液体スプレー、ドロップ、アンプル、自動注入装置、又は坐薬のような単位投与量形態である。あるいは、該組成物を、週1回、又は月1回の投与に適した形態に調製することができ、例えば、デカン酸塩のような活性のある化合物の不溶性塩を、筋肉注射用デポ製剤の製造に適合させてもよい。錠剤のような固体組成物の製造では、該主要な活性成分を、例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、又はゴムなどの従来の錠剤成形成分、及び例えば水などの他の医薬希釈剤のような、医薬キャリアと混合し、本発明の化合物、又は医薬として許容し得るその塩の均一混合物を含む、固体予備処方組成物を形成する。これらの均一の予備処方組成物に関して、該組成物は、容易に、錠剤、丸薬、、及びカプセルのような均一で同様に有効な投与形態にさらに分割することができるので、該活性成分は、該組成物の全体に均一に分散していることを意味する。次に、この固体予備処方組成物を、本発明の各活性成分、又はこれらの組合せを0.1〜約500 mg含む、前述の単位投与量形態に分割する。
【0309】
本発明の組成物の錠剤、又はピルを、被覆するか、又は混合して持続性作用の効果を持つ投与形態を提供することができる。例えば、該錠剤、又は丸剤は、製剤内部成分、及び製剤外部成分を含むことが可能であり、後者は、前者を包む形態である。該2つの成分を腸腸溶性層で分離することができ、それによって胃内での分解耐性を持ち、該内部成分がそのまま十二指腸内に移行することを、又は放出を遅らせることを可能にする。前記腸溶性層、又はコーティング剤には、様々な物質を使用することができ、前記物質には、セラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースのような物質を有する、多くの重合体の酸を含む。
【0310】
本発明の組成物を、経口的投与のために、又は注射により、取り込むことができる、この液体形態には、水溶液、適切に風味をつけたシロップ、水性又はオイル懸濁液、及び綿実油、ごま油、ココナッツ油、又はピーナッツ油のような食用油を用いて、風味をつけたエマルション、並びにエリキシル剤、及び類似の医薬ビヒクルがある。水性懸濁液用の適切な分散剤、又は懸濁化剤には、トラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、ナトリウム カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチンのような合成及び天然ゴムがある。
【0311】
本発明の化合物の製造プロセスが、立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体を、分取クロマトグラフィーのような従来の技術により分離することができる。該化合物を、ラセミ体で製造してもよく、又はエナンチオ特異的合成により、又は分割により、個々のエナンチオマーを製造してもよい。例えば、(-)-ジ-p-トルオイル-d-酒石酸、及び/又は(+)-ジ-p-トルオイル-l-酒石酸のような光学活性酸を用いた塩形成によるジアステレオマー対の形成、続いて、分別結晶、及び該遊離塩基の再生のような、標準的技術により、該化合物を、これらの成分エナンチオマーに分割することができる。また、該化合物を、ジアステレオマーのエステル、又はアミドの形成、続いて、クロマトグラフィーの分離、及び該キラル補助基の除去により、分割することができる。あるいは、該化合物を、キラルHPLCカラムを用いて分割することができる。
【0312】
本発明の化合物の全製造プロセスの間に、関係する全ての分子上の感受性基、又は反応性基を保護することを必要、及び/又は所望としてもよい。これは、『有機化学における保護基』, ed. J.F.W. McOmie, Plenum Press, 1973;及びT.W. Greene と P.G.M. Wutsの『有機合成における保護基』, John Wiley & Sons, 1991に記載されているような、従来の保護基の方法により、実現することができる。該保護基を、都合のよい次の段階で、該技術から公知である従来の方法を用いて除去することができる。
【0313】
本発明において記載される神経疾患を治療する方法は、場合によっては少なくとも1つのPEP-阻害剤及び/又は少なくとも1つのDP IV阻害剤及び/又は少なくとも1つのNPY-レセプターリガンド及び/又は少なくとも1つのACE-阻害剤、又は本明細書に定められた任意の他の化合物、及び医薬として許容し得る担体と組み合わされる少なくとも1つのQCのエフェクターを含む医薬組成物を使用して実施してもよい。該医薬組成物は、約0.01mgから100mg、好ましくは約5から50mgの各化合物を含むことができ、選択される投与様式に好適な任意の形態に構成されうる。担体としては、結合剤、懸濁剤、潤滑剤、香料、甘味剤、防腐剤、染料及びコーティング剤を含むが、それらに限定されない必要且つ不活性な医薬賦形剤が挙げられる。経口投与に好適な組成物としては、丸剤、錠剤、カプレット、カプセル(それぞれ即時放出、時限放出及び徐放製剤を含む)のような固体、顆粒及び粉末、並びに溶液、シロップ、エリキシル、エマルジョン及び懸濁液のような液体が挙げられる。非経口投与に有用な形態としては、無菌溶液、エマルジョン及び懸濁液が挙げられる。
【0314】
都合のよいことに、本発明の化合物を、毎日1回の投与量で投与してもよく、又は1日当りの総量を、毎日2、3、又は4回に分割した投与量で投与してもよい。さらに、本発明の化合物を、当業者に公知である、適切な経鼻投与ビヒクルの局所使用を介する経鼻投与形態で、又は経皮的な皮膚パッチ剤を介して投与することができる。経皮的な輸送システムの形態で投与するためには、もちろん該投与は、該投与法を通じて、断続的よりもむしろ、持続的となるであろう。
【0315】
例えば、錠剤、又はカプセルの形態で経口投与するために、該活性薬剤成分を、エタノール、グリセロール、及び水などのような、経口的な、無毒性の医薬として許容し得る不活性キャリアと組み合わせることができる。さらに、所望、又は必要とする場合、適切な結合剤;潤滑剤、崩壊剤、及び着色剤を、該混合物に組み入れてもよい。適切な結合剤には、制限はないが、デンプン、ゼラチン、グルコース又はベータラクトースのような天然糖類、コーン甘味料、アカシアのような天然及び合成ゴム、トラガカント、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムなどがある。崩壊剤には、制限されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、及びキサンタンガムなどがある。
【0316】
該液体は、例えば、トラガカント、アカシア、及びメチル-セルロースなどの合成、及び天然ゴムのような、適切な風味をつけた懸濁剤、又は分散剤で構成する。非経口的投与にとって、滅菌懸濁液、及び溶液が所望される。静脈内投与が所望される場合、一般的に適切な保存料を含む等張製剤を使用する。
【0317】
また、本発明の化合物、又は組合せを、小さい単層小胞、大きい単層小胞、及び多層小胞のような、リポソーム輸送システムの形態で投与することができる。リポソームを、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリンのような、様々なリン脂質から形成することができる。
【0318】
また、本発明の化合物、又は組合せを、該化合物分子を結合させた個々のキャリアとしてモノクローナル抗体を用いることにより、運ぶことができる。また、本発明の化合物を、標的化薬剤キャリアとして溶解性ポリマーと結合させることができる。前記ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアルパルトアミドフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリルリシンを含み得る。さらに、本発明の化合物を、薬剤の制御放出の実現に有用な生分解性ポリマー類と結合してもよく、該ポリマーには、例えば、ポリアクチック酸、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシブチエリック酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋性ブロックコポリマー、又は両親媒性ブロックコポリマーがある。
【0319】
該扱われる疾患の治療が要求されるときには、本発明の化合物、又は組合せを、前述のすべての組成物において、かつ当技術分野で確立されている投与法に従って投与してもよい。
【0320】
該製品の毎日の投与量を、1日あたり哺乳類ごとに0.01〜1.000 mgの広い範囲に渡って変えてもよい。経口投与にとって、好ましくは、該組成物を、治療される患者への投与量を症状により調節するため、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250、及び500ミリグラムの各活性成分、又はその組合せを含む錠剤の形態で提供する。通常、該薬剤の有効量は、1日に約0.1 mg/kg体重〜約300 mg/kg体重の投与量水準で提供される。好ましくは、該範囲は、1日に約1 mg/kg体重〜約50 mg/kg体重である。該化合物、又は組合せを、1日に1〜4回で投与してもよい。
【0321】
投与されるべき最適の投与量を、当業者により容易に決定することができ、かつ使用される特定の化合物、投与様式、該製剤の強さ、投与様式、及び疾病状態の進行に伴って変化するであろう。さらに、患者年齢、体重、食事、及び投与時間を含む、治療を受ける特定の患者に関連した要因が、投与量の調節に必要となるであろう。
【0322】
本発明の治療により提供される特に有益な効果は、好適には、該組合せの1つの化合物を単独で、本発明の組合せと同等の効果を提供する投与量で使用した場合の治療可能比率と比較して、本発明の組合せによって治療可能比率が改善されることである。
【0323】
好ましい態様において、本発明の治療により提供される特に有益な効果は、該個々の活性薬剤の効果から期待される制御と比較して、相乗効果となることが示される。
【0324】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1のPEP-阻害剤、及び/又は少なくとも1のDP IV-阻害剤、及び/又は少なくとも1のNPY-レセプター-リガンドと、少なくとも1のQC-阻害剤とを組合わせた投与は、該組合せの薬剤に使用した、どちらかの薬剤を単独で2回投与して達成され得る効果よりも有益な効果を生じるであろう。
好ましい態様において、本発明の治療に従って使用する場合、該活性薬剤の各々の投与水準は、ニューロンの状態への純粋に添加剤効果から要求されている投与水準よりも低いだろう。
【0325】
また、本発明の治療は、個々の薬剤と比較して、pGlu-アミロイド-β-ペプチドの細胞内沈殿の減少、及びその結果による、哺乳類の脳内、好ましくはヒトの脳内のプラーク形成の劇的な減速において、改善をもたらすであろうことが考えられる。
さらなる態様において、本発明は、また、少なくとも1のPEP-阻害剤、及び/又は少なくとも1のDP IV-阻害剤、及び/又は少なくとも1のNPY-レセプター-リガンド、及び/又は少なくとも1のACE-阻害剤、及び医薬として許容し得るキャリアを任意に組合わせた、少なくとも1のQCエフェクターを含む、医薬組成物の製造方法を提供し、該方法は、QCエフェクター、及び/又はDP IV-阻害剤、及び/又はPEP-阻害剤、及び/又はNPY-レセプター-リガンド、及び/又はACE-阻害剤、及び医薬として許容し得るそれらのキャリアを混合することを含む。
好ましくは、該組成物は、適切な毎日の投与量に見合う量の単位投与量形態である。
【0326】
特に単位投与量を含む、該QC-阻害剤、該PEP-阻害剤、該DP IV-阻害剤、及び該NPY-レセプター-リガンドの好適な投与量は、イギリス、及びUS薬局方、Remingtonの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(Mack Publishing社)、Martindale The Extra Pharmacopoeia (ロンドン、The Pharmaceutical Press)(例えば、31版、341ページ、及びその中で引用されているページを参照。)、又は前述の出版物などの参考テキストに記載、又は参照されているような、これらの化合物の単位投与量を含む、公知の投与量である。
【0327】
(本発明の実施例)
(例1)
(ペプチドの固相合成)
本明細書中で使用するペプチドを、改質Fmoc-プロトコルを用いる自動合成機SYMPHONY(RAININ)で合成した。サイクルを、5倍過剰量のFmoc-アミノ酸、及び結合剤と、該ペプチドのC-末端からの第15番目のアミノ酸から二重結合を用いることにより改質した。該ペプチド結合を、25μmolのスケールで、0.23 mmol置換NovaSyn TGR-樹脂、又は該対応する前処置したWang-樹脂を用いて、TBTU/NMM-活性化により行った。該樹脂からの開裂を、94.5%TFA、2.5%水、2.5%EDT、及び1%TISからなる、開裂-混合物により行った。
【0328】
分析、及び分取HPLCを、Merck-Hitachi社のLiChrograph HPLCシステムで、異なるグラジエントを用いて行った。該グラジエントを、2つの溶媒:(A)H2O中の0.1%TFA、及び(B)アセトニトリル中の0.1%TFAから作った。分析HPLCを、次の条件で行った:溶媒を、UV検出器(λ = 220 nm)を有する125-4 Nucleosil RP18-カラムを通して、15分に渡って5%-50%Bから、次に20分に渡って95%Bまでのグラジエントで、(1 ml/分)で流した。該ペプチドの精製を、ペプチド鎖長に依存して、様々な条件下で、250-20 Nucleosil 100 RP8-カラム、又は250-10 LiChrospher 300 RP18-カラム(流速6 ml/分、220 nm)の分取HPLCにより行った。
ペプチド、及びペプチド類似体の同定に対して、Hewlett-Packard社のHP G2025 MALDI-TOFシステムを用いて、レーザー脱離質量分析を使用した。
【0329】
(例2)
(DP IV-阻害剤のIC50-値の測定)
阻害剤の貯蔵液100μlを、100μlの緩衝液(HEPES pH 7.6)、及び50μlの基質(Gly-Pro-pNA、最終濃度0.4 mM)と混合し、かつ30℃でプリインキュベートした。精製したブタのDP IVを20μl添加して、反応を開始した。該生成物pNAの形成を、HTS 7000Plus プレートリーダー(Perkin Elmer)を用いて10分に渡り405 nmで測定し、かつスロープを算出した。該最終阻害剤濃度は、1 mM〜30 nMの間の範囲である。
【0330】
IC50値の計算に、GraFit 4.0.13(Erithacus Software)を使用した。
【0331】
(例3)
(DP IV-阻害剤のKi-値の測定)
Ki-値の測定のために、DP IV活性を、最終基質濃度0.05、0.1、0.2、及び0.4 mM、及び、さらに該IC50濃度に及ぶ7阻害剤濃度で、実施例2に記載した方法と同様の方法で測定した。計算を、GraFitソフトウェアを用いて行った。
【0332】
(例4)
(プロリルエンドペプチダーゼ(PEP)酵素活性評価)
PEPの酵素活性を、近年記載された(Schulzらの論文、2002、プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤によるイノシトール1,4,5-トリホスフェート濃度の調節、Eur J Biochem 269: 5813-5820)ように定量化した。前述のような細胞抽出物を、4細胞チェンジャーを備え、かつIBM-互換性パーソナルコンピューターにより制御されたKontron分光蛍光計SFM25(励起波長380 nm、発光波長460 nm、Kontron、Neufahrn、ドイツ)に、蛍光発生的な基質Z-Gly-Pro-NHMec(10μM;Bachem、Heidelberg、Germany)を用いて、該アッセイ緩衝液中で保温した。該得られたデータを、ソフトウェアFLUCOL(Machleidtら、1995)を用いて分析した。
【0333】
(例5)
(グルタミニルシクラーゼ活性評価)
(蛍光分析評価法)
全ての測定を、マイクロプレート(Perkin Elmer)に対して、30℃で、BioAssay Reader HTS-7000Plusで行った。QC活性を、H-Gln-βNAを用いて、蛍光定量的に評価した。試料は、最終体積250μl内に、0.2 mMの蛍光発生的基質、20 mMのEDTA を含むpH 8の0.2 M Tris/HCl中の0.25 U ピログルタミルアミノペプチダーゼ(Unizyme、Hrsholm、デンマーク)、及び適切に希釈した一定分量のQCを含む。励起/発光波長は、320/410 nmとした。該評価反応は、グルタミニルシクラーゼの添加により開始した。QC活性を、評価条件下、β-ナフチルアミンの検量線から測定した。1単位は、前記条件下、1分につきH-Gln-βNAから1μmol pGlu-βNAの形成を触媒するQCの量として規定した。
【0334】
第二の蛍光分析評価法において、QCは、活性であり、基質としてH-Gln-AMCを用いて測定した。反応を30℃で、マイクロプレート用NOVOStarリーダー(BMG labtechnologies)を利用して行った。該試料は、最終体積250μl内に、異なる濃度の蛍光発生的基質、5mMのEDTAを含むpH 8.0の0.05 M Tris/HCl中の0.1 U ピログルタミルアミノペプチダーゼ(Qiagen)、及び適切に希釈した一定分量のQCを含む。励起/発光波長は、380/460 nmとした。該評価反応は、グルタミニルシクラーゼの添加により開始した。QC活性を、評価条件下、7-アミノ-4-メチルクマリンの検量線から測定した。該速度データを、GraFitソフトウェアを用いて評価した。
【0335】
(QCの分光光度的評価法)
この新規評価法を、ほとんどの該QC基質に対して、速度パラメーターを測定するように使用した。QC活性を、連続的な方法を用いて、分光光度的に分析した。該方法は、補助的な酵素としてグルタメートデヒドロゲナーゼを利用した、以前の非連続的評価法(Bateman R. C. J.の論文, 1989 J Neurosci Methods 30, 23-28)をアレンジすることにより得られた。試料は、最終体積250μl中の該個別のQC基質、0.3 mM のNADH、14mM のα-ケトグルタル酸、及び30 U/ml のグルタメートデヒドロゲナーゼからなる。反応を、QCの添加により開始し、かつ8〜15分間、340 nmでの吸収の低下をモニタリングすることにより調べた。
【0336】
初期速度を評価し、かつ酵素活性を、評価条件下で、アンモニアの検量線から測定した。すべての試料を、マイクロプレート用のSPECTRAFluor Plus、又はSunrise(両方ともTECAN社)リーダーを用いて、30℃で測定した。速度データを、GraFitソフトウェアを用いて評価した。
【0337】
(阻害剤評価法)
阻害剤試験のために、試料組成物を、添加される推定上の阻害性化合物を除き、前述と同様のものとした。QC-阻害の迅速試験のために、試料は、4 mMの個別の阻害剤、及び1KMで基質濃度を含む。該阻害の詳細な調査、及びKi-値の測定のために、初めに、補助的な酵素の該阻害剤の影響を調査した。全ての場合において、検出された酵素の影響はなかった。従って、該QC阻害の信頼できる測定を可能にする。阻害定数を、GraFitソフトウェアを用いて、一連のプログレス曲線と、競合阻害の一般的な式とを一致させることにより評価した。
【0338】
(例6)
(MALDI-TOF質量分析)
マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析を、線形飛行時間分析計を備えたHewlett-Packard G2025 LD-TOFシステムを用いて行った。該機器は、337 nm窒素レーザー、電位加速源(5 kV)、及び1.0 mの飛行管を備えている。検出操作は、正イオンモードであり、かつシグナルを、パーソナルコンピューターに接続したLeCroy 9350Mデジタルストレージオシロスコープを用いて記録し、かつフィルターに通した。試料(5μl)を、等量のマトリックス溶液と混合した。マトリックス溶液として、発明者らは、水(1/1、v/v)の1 mlアセトニトリル/0.1% TFA中に、30 mgの2',6'-ジヒドロキシアセトフェノン(Aldrich)、及び44 mgのクエン酸2アンモニウム(Fluka)を溶解させて調製したDHAP/DAHCを使用した。該マトリックスと検体の混合物の少量(≒1μl)を、プローブチップに移動させ、かつ直ぐに減圧チャンバー(Hewlett-Packard G2024A sample prep accessory)内で蒸発させ、迅速、かつ一様な試料の結晶を確保した。
【0339】
Glu1-環化の長期試験のために、Aβ-誘導化ペプチドを、pH 5.2で100μl 0.1 Mの酢酸ナトリウム緩衝液、又はpH 6.5で0.1 Mのビス-トリス緩衝液中に、30℃で保温した。ペプチドを、0.5 mM[Aβ(3-11)a]、又は0.15 mM[Aβ(3-21)a]濃度で注ぎ、かつ0.2 U のQCを、全24時間加えた。Aβ(3-21)aの場合において、該評価法は、1%のDMSOを含んだ。異なる試行において、試料を、該アッセイチューブから除き、ZipTips(Millipore)を用いて、製造者説明書に従って抽出し、マトリックス溶液(1:1 v/v)と混合し、かつ次に該質量スペクトルを記録した。ネガティブコントロールは、QCを含まないか、又は加熱し不活性化した酵素を含む。該阻害剤の研究にとって、該試料組成物は、添加される阻害性化合物を除き、前述のものと同様である(5 mM ベンゾイミダゾール、又は2 mM 1,10-フェナントロリン)。
【0340】
第1のQC阻害剤は、WO 200409859に開示されている。当該技術分野で知られている他の強力なQC阻害剤は存在しない。QC阻害剤を含む、神経疾患を治療するための組合せ及び組成物についても同様である。本発明の化合物及び組合せは、例えば、より強力で、より選択性が高く、より副作用が小さく、より良好な調合及び安定特性を有し、より良好な薬動力学的特性を有し、より生体利用度が高く、血液脳関門を交差することが可能であり、哺乳類の脳においてより効果的であり、他の薬物との組合せにおいてより相溶性が高く、又は効果的であり、或いは先行技術の他の化合物より容易に合成されるという利点を有する。
【0341】
明細書、及び続く請求の範囲を通して、本明細書において他の意味が必要とされなければ、「含む(comprise)」という言葉、並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」という変形は、記載の整数、工程、末数群又は工程群を含むことが暗示されるが、他の整数、工程、整数群又は工程群を除外するものではない。
上述のすべての特許及び特許出願は、参照により本明細書に全面的に組み込まれる。
本発明は、好ましい、且つより好ましいグループ、並びに上記のグループの実施形態のすべての組合せを包括する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべての立体異性体及び多形体を含む、その医薬として許容し得る塩を含む式1の化合物であって、
【化1】

(式中、Aは、アルキル鎖、アルケニル鎖又はアルキニル鎖であり、
或いは、Aは、
【化2】

から選択される基であり、
、R、R、R及びR10は、独立に、H、又はアルキル鎖、アルケニル鎖、アルキニル鎖、シクロアルキル、炭素環、アリール、ヘテロアリール、若しくは複素環であり、
n及びnは、独立に、1〜5であり、
mは、1〜5であり、
oは0〜4であり、
Bは、
【化3】

の(VI)〜(XIV)から選択される基であり、
D及びEは、独立に、アルキル鎖、アルケニル鎖、アルキニル鎖、シクロアルキル、炭素環、アリール、-アルキルアリール、ヘテロアリール、-アルキルヘテロアリール、アシル又は複素環を表し、
Zは、CH又はNであり、
Xは、CR2021、O、S、NR19を表し、但し、式(VIII)及び(IX)については、Z=CHであれば、XがO又はSであり、
19は、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−オキシアルキル、−オキシアリール、カルボニル、アミド、ヒドロキシ、NO、NH、CNからなる群から選択され、
20及びR21は、独立に、H、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、-オキシアルキル、-オキシアリール、カルボニル、アミド、NO、NH、CN、CFから選択され、
、X及びXは、独立に、O又はSであり、但し、X及びXはともにOでなく、
Yは、O又はSであり、但し、R17及びR18によって形成される炭素環が、環に三員を有するときには、YはOになりえず、
Zは、CH又はNであり、
11、R12、R13及びR14は、独立に、H、アルキル鎖、アルケニル鎖、アルキニル鎖、シクロアルキル、炭素環、アリール、ヘテロアリール、複素環、ハロ、アルコキシ-、-チオアルキル、カルボキシル、カルボン酸エステル、カルボニル、カルバミド、カルビミド、チオカルバミド又はチオカルボニル、NH、NOから選択され、
15及びR16は、互いに独立に、H又は分枝若しくは非分枝アルキル鎖、或いは分枝若しくは非分枝アルケニル鎖であり、
17及びR18は、独立に、H又はアルキル鎖、アルケニル鎖、アルキニル鎖、炭素環、アリール、ヘテロアリール及びヘテロアルキルから選択され、或いは結合されて、6個までの環原子を有する炭素環を形成することが可能であり、
nは、0又は1である)
但し、式Iから以下の化合物
【化4】

は除外される化合物。
【請求項2】
Aは、非分枝Cアルキル鎖である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Aは、基(I)、(II)又は(III)であり、n及びnは、それぞれ1に等しい、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Bは、基(VI)である、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
Bは、基(VIa)である、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
Xは、Sを表す、請求項4又は5に記載の化合物。
【請求項7】
Xは、NR19を表す、請求項4又は5記載の化合物。
【請求項8】
Xは、Oを表す、請求項4又は5記載の化合物。
【請求項9】
Bは、基(VII)である、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
Yは、Sを表す、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
17及びR18の一方はHであり、他方はMeである、請求項9又は10記載の化合物。
【請求項12】
17及びR18の一方はHであり、他方はフェニルである、請求項9又は10記載の化合物。
【請求項13】
17とR18は結合して、6個までの環原子を有する炭素環を形成する、請求項9又は10記載の化合物。
【請求項14】
Dは、置換フェニルを表す、請求項4〜13のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
Dは、3,4-ジメトキシフェニルを表す、請求項11記載の化合物。
【請求項16】
Bは、(X)から(XIV)より選択され、R11及びR14はHである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項17】
Bは、(X)から(XIV)より選択され、R15及びR16の少なくとも一方はHである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項18】
Bは、(X)から(XIV)より選択され、R15及びR16はともにHである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項19】
実施例1〜5、7、8、10〜28、38〜59、61〜85、94、96〜99、101、102、119、136及び140のいずれか1つに対応する、請求項1記載の化合物、又はその薬学的な塩、立体異性体若しくは多形体。
【請求項20】
実施例29、30、34〜37、86〜93、95、100、106〜113、115〜118、120、123〜127、130、132及び134のいずれか1つに対応する、請求項1記載の化合物、又はその薬学的な塩、立体異性体若しくは多形体。
【請求項21】
実施例6、9、103〜105、121〜122及び137のいずれか1つに対応する、請求項1記載の化合物、又はその薬学的な塩、立体異性体若しくは多形体。
【請求項22】
実施例31〜33、60、114、128、129、131、133、135、138及び139のいずれか1つに対応する、請求項1記載の化合物、又はその薬学的な塩、立体異性体若しくは多形体。
【請求項23】
実施例13に対応する、請求項1記載の化合物、又はその薬学的な塩、立体異性体若しくは多形体。
【請求項24】
実施例119に対応する、請求項1記載の化合物、又はその薬学的な塩、立体異性体若しくは多形体。
【請求項25】
実施例125に対応する、請求項1記載の化合物、又はその薬学的な塩、立体異性体若しくは多形体。
【請求項26】
医薬品として使用される、請求項1〜23のいずれか一項記載の化合物。
【請求項27】
治療的に許容可能な担体及び/又は賦形剤と場合によって組み合わせて、請求項1〜26のいずれか一項記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物。
【請求項28】
非経口、経腸又は経口投与のための請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
PEP-阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様の阻害剤、NPY-レセプターリガンド、NPYアゴニスト、ACE阻害剤、PIMTエンハンサー、ベータセクレターゼの阻害剤、ガンマセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、PDE-4阻害剤、MAO阻害剤、TNFアルファ阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド沈着阻害剤、シグマ-1レセプター阻害剤、及びヒスタミンH3アンタゴニストからなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含む、化合物(a)〜(d)を除外するという条件、及びX及びXがともにはOではないという条件、及びR17及びR18によって形成される炭素環が環に三員を有するときにはYはOになりえないという条件を伴わない、請求項27又は28記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記DP IV/DV IV様の阻害剤は、L-トレオ-イソロイシルピロリジド、L-アロ-イソロイシルチアゾリジド、L-アロ-イソロイシルピロリジド、及びそれらの塩、又はバリンピロリジド、BMS-477118、CP-867534-01、LAF-237、PHX-1004、SSR-162369、SYR-322、TSL-225、FE-999011、GW-229A、815541、K-579、MK-431、PT-100、又は
【化5】

の1つからなる群から選択される、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記NPYアンタゴニストは、3a,4,5,9b-テトラヒドロ-1h-ベンズ[e]インドール-2-イルアミン、BIBP3226及び(R)-N2-(ジフェニルアセチル)-(R)-N-[1-(4-ヒドロキシ-フェニル)エチル]アルギニンアミドから選択される、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記PEP-阻害剤は、プロリンの化学的誘導体、又は末端プロリンを含む小分子、例えばベンジルオキシカルボニル-プロリル-プロリナール、N-末端置換L-プロリン若しくはL-プロリルピロリジン、カルボキシ末端にプロリナールを含む置換N-ベンジルオキシカルボニル(Z)ジペプチド、置換チオプロリン、置換チアゾリジン、置換オキソピロリジン、フッ化ケトン誘導体を含むカルボキシ末端修飾プロリン、アシル-プロリン又はアシルペプチド-プロリン(Z-Gly-Pro-CH2CL)のクロロメチルケトン誘導体及び2-アシルピロリジン誘導体からなる群から選択される、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記PEP-阻害剤は、Fmoc-Ala-Pyrr-CN、Z-321、ONO-1603、JTP-4819及びS-17092からなる群から選択される、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記PEP-阻害剤は、
【化6】

である、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記ACE-阻害剤は、SDZ ENA 713(リバスチグミン(+)-(S)-N-エチル-3-[(1-ジメチルアミノ)エチル]-N-酒石酸水素メチルフェニルカルバメート)である、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記PDE-4阻害剤は、ロリプラム、CC-002、L-826141、Sch-351591(D-4396)、OS-0217、IBFB-130011、IBFB-150007、IBFB-130020、IBFB-140301、IC-485、VMX-554、VMX-565、MEM-1414、MEM-1018、MEM-1091、MEM-1145、Cl-1044、BHN、ZK-117137及びSB-207499又はそれらの類似体からなる群から選択される、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記PIMTエンハンサーは、以下の一般式
【化7】

(式中、アルク(alk)は、二価脂肪族ラジカルであり、Rは、非置換アミノ酸、或いは一価脂肪族及び/又はアラリファティックラジカルにより一又若しくは二置換されたアミノ酸、或いは二価脂肪族ラジカルによって二置換されたアミノ基であり、かつR、R、R及びRは、各々、他のものとは独立に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン又はトリフルオロメチルである)の10-アミノアリファチル-ジベンゾ[b,f]オキセピンである、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記ガンマセクレターゼ阻害剤は、
【化8】

である、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記ベータセクレターゼ阻害剤は、
【化9】

である、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記MAO阻害剤は、以下の式
【化10】

のラドスチギルである、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記ヒスタミンH3アンタゴニストは、A-331440、A-349821、3874-H1、UCL-2173、UCL-1470、DWP-302、GSK-189254A、GSK-207040Aシプラリサント、GT-2203、1S,2S)-2-(2-アミノエチル)-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン、JNJ-5207852、NNC-0038-0000-1049、デュアルH1/H3、Sch-79687、又は
【化11】

の1つからなる群から選択される化合物である、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項42】
神経疾患、特にアルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性疾患の治療のための薬物を製造するために、化合物(a)〜(d)を除外するという条件、又はX及びXがともにはOではないという条件、又はR17及びR18によって形成される炭素環が環に三員を有するときにはYはOになりえないという条件を伴わない、請求項1〜26のいずれかに記載の医薬組成物又は請求項27〜41のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項43】
請求項1〜25のいずれかに定められ、化合物(a)〜(d)を除外するという条件、又はX及びXがともにはOではないという条件、又はR17及びR18によって形成される炭素環が環に三員を有するときにはYはOになりえないという条件を伴わない有効量の式(1)の化合物を哺乳類に投与することを含む、神経疾患、特にアルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性疾患を治療する方法。
【請求項44】
アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病からなる群から選択される神経疾患を治療するための、請求項42又は43記載の使用又は方法。
【請求項45】
神経疾患、特にアルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性疾患を治療するための薬物を調製するためのグルタミニルシクラーゼの阻害剤の使用であって、前記阻害剤は、Kが10μM以下である、グルタミニルシクラーゼを阻害する使用。
【請求項46】
有効量のグルタミニルシクラーゼの阻害剤を哺乳類に投与することを含む、神経疾患、特にアルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節障害、自律機能障害、ホルモンバランス障害、調節障害、体液、高血圧症、発熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連疾患、てんかん性、薬剤脱離症状、及びアルコール依存症を含む発作、認知機能障害、及び痴呆を含む神経変性疾患を治療する方法であって、前記阻害剤は、Kが10μM以下である、グルタミニルシクラーゼを阻害する方法。
【請求項47】
前記阻害剤は、Kが1μM以下であるグルタミニルシクラーゼを阻害する、請求項42〜46のいずれか一項記載の使用又は方法。
【請求項48】
前記阻害剤は、Kが0.1μM以下であるグルタミニルシクラーゼを阻害する、請求項42〜46のいずれか一項記載の使用又は方法。
【請求項49】
前記阻害剤は、Kが0.01μM以下であるグルタミニルシクラーゼを阻害する、請求項42〜46のいずれか一項記載の使用又は方法。
【請求項50】
前記グルタミニルシクラーゼ阻害剤は、分子量が1000g/モル以下である、請求項42〜49のいずれか一項記載の使用又は方法。
【請求項51】
前記グルタミニルシクラーゼ阻害剤は、分子量が500g/モル以下である、請求項42〜49のいずれか一項記載の使用又は方法。
【請求項52】
前記グルタミニルシクラーゼ阻害剤は、分子量が400g/モル以下である、請求項42〜49のいずれか一項記載の使用又は方法。
【請求項53】
前記グルタミニルシクラーゼ阻害剤は、分子量が350g/モル以下である、請求項42から49のいずれか一項記載の使用又は方法。
【請求項54】
前記グルタミニルシクラーゼ阻害剤は、競合的阻害剤である、請求項42〜53のいずれか一項記載の使用又は方法。
【請求項55】
前記グルタミニルシクラーゼ阻害剤は、競合的可逆的阻害剤である、請求項42〜54のいずれか一項記載の使用又は方法。
【請求項56】
前記グルタミニルシクラーゼ阻害剤は、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物から選択される、請求項42〜55のいずれか一項記載の使用又は方法。
【請求項57】
前記グルタミニルシクラーゼ阻害剤は、PEP-阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様の阻害剤、NPY-レセプターリガンド、NPYアゴニスト、ACE阻害剤、PIMTエンハンサー、ベータセクレターゼの阻害剤、ガンマセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、PDE-4阻害剤、MAO阻害剤、TNFアルファ阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド沈着阻害剤、シグマ-1レセプター阻害剤、及びヒスタミンH3アンタゴニストからなる群から選択される化合物と場合によって組み合わせて哺乳類に投与される、請求項56記載の使用及び方法。

【公表番号】特表2007−520520(P2007−520520A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551809(P2006−551809)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001153
【国際公開番号】WO2005/075436
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(505403119)プロビオドルグ エージー (39)
【Fターム(参考)】