説明

コネクタ

【課題】嵌合検知部材(スライド部材)がコネクタ嵌合作業時に誤作動するのを防止する。
【解決手段】フード部212に挿入・嵌合されるロックアーム55付きのインナハウジング50と、フード部にインナハウジングが完全嵌合した段階で初期位置から前方にスライド可能となる係止アーム65付きのアウタハウジング60とを具備する。係止アームは、先端に、ロックアームのロック部55aに係合することで、アウタハウジングの前方スライドを規制する係合部65cを有する。ロックアームは両持ち梁として構成され、ロック部の係止面に、係合凸部に衝合する第1係止面と係合部に衝合する第2係止面とが区分けして設けられ、第2係止面55a2は、ロックアームが最大に撓んだときに、コネクタ嵌合方向に垂直な面となるか垂直な面よりも前側に倒れた面となる傾斜した係止面として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手側コネクタと完全に嵌合されているかどうかを検知する嵌合検知部材(スライド部材)を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
重要回路の結線に使用されるコネクタでは、オス・メスコネクタが確実に嵌合していることを保証する必要がある。従来、別体の嵌合検知部材を一方のコネクタハウジングに組み付け、オス・メスコネクタハウジングが完全に嵌合した時にのみ嵌合検知部材が本係止位置へ移動可能となることで、完全嵌合を検知するようにした半嵌合検知コネクタが知られている。
【0003】
図15(a)〜(c)は、特許文献1に記載された従来の半嵌合防止コネクタの構成及び作用を示している。
この半嵌合防止コネクタ1は、オスコネクタハウジングMとメスコネクタハウジングFを嵌合させた際に、一方のオスコネクタハウジングMに装着されたロック確認用スライダSの適正嵌合位置へのスライド移動の可否によって、オス・メスコネクタハウジングF、M相互の半嵌合状態を検知するものである。
【0004】
オスコネクタハウジングMの外周壁には、前端の立上り基部2aを介して後方に延び、中間にロック部2b、後端に掴み部2cを有するロックアーム2が設けられている。また、ロック確認用スライダ(嵌合検知部材=スライド部材)Sには、係合部3a及び支持ガイド3bが形成されたロック検知アーム3が設けられている。また、メスコネクタハウジングFには、ロックアーム2のロック部2bに係合する係合凸部4aが形成されたフード部4が設けられている。
【0005】
図15(a)は、ロック確認用スライダSが装着されたオスコネクタハウジングMと、メスコネクタハウジングFの初期嵌合状態を示し、ロック検知アーム3は、係合部3aがロックアーム2のロック部2bに衝合し、支持ガイド3bがロック部2bを支持する状態で初期位置に規制されている。
【0006】
図15(b)は、オスコネクタハウジングMをメスコネクタハウジングFに更に挿入し、ロックアーム2が下方に撓んでロック部2bがフード部4係合凸部4aの案内テーパ4bと摺接している状態を示している。
【0007】
図15(c)は、メス・オスコネクタハウジングF、Mが完全に嵌合して、ロックアーム2のロック部2bが係合凸部4aと係合してロックされ、ロック確認用スライダSがロック確認位置に移動した状態を示している。これにより、メス・オスコネクタハウジングF、Mが中途嵌合状態ではなく、完全嵌合していることが確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−157932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記半嵌合防止コネクタ1のロックアーム2は、立上り基部2aを介して後方に延びる片持ち梁の形状をしており、撓み易い構造となっている。従って、不用意に接触するなどしてロックアーム2を図中上方に撓ませると、ロック部2bが係合部3aから外れ、ロック確認用スライダSが初期位置から前方に位置ずれしてしまう可能性があった。
【0010】
しかも、オスコネクタハウジングMとメスコネクタハウジングFが嵌合途中のとき、ロックアーム2のロック部2bはメスコネクタハウジングFの係合凸部4aにより押し下げられた状態になり、ロック部2bの係止面(通常は、係合凸部4aとのロック強度を保持するため、ロックアーム2が撓まない状態でコネクタ嵌合方向に垂直な面として形成されている)が下向きに斜めに傾く。ロック部2bが下向きに斜めに傾いた状態では、ロック検知アーム3の係合部3aが下に潜り込んでしまいやすくなり、コネクタ中途嵌合状態でロック確認用スライダSが前方にスライド可能となってしまう(誤作動してしまう)可能性がある。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、嵌合検知部材(スライド部材)がコネクタ嵌合作業時に誤作動するのを防止することのできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 相手側コネクタハウジングのフード部の内部にコネクタ嵌合方向に沿って挿入されることで、該相手側コネクタハウジングと嵌合されるハウジング部材と、
該ハウジング部材の前記フード部の内側壁と対向する部位に設けられ、前記フード部の内側壁に突設された係合凸部と係合するロック部を有し、前記ハウジング部材が前記相手側コネクタハウジングに完全嵌合されたとき、前記ロック部が前記係合凸部と係合することで、前記ハウジング部材を前記相手側コネクタハウジングに対してコネクタ嵌合方向にロックするロックアームと、
前記ハウジング部材にコネクタ嵌合方向にスライド自在に装着され、コネクタ嵌合前にコネクタ嵌合方向の後方位置に待機し、コネクタ完全嵌合時に前方位置にスライドさせられるスライド部材と、
該スライド部材の前記ロックアームに対応する部位に設けられた係止アームと、
を具備し、
前記ロックアームは、
前記ハウジング部材が前記フード部に挿入されるとき、前記ロック部が前記係合凸部と摺動することにより、内側に撓み変形し、前記ロック部が前記係合凸部の下側を潜り抜けた段階で、撓みから復帰することにより、前記ロック部を前記係合凸部の背面に係合させ、それにより、前記ハウジング部材を前記相手側コネクタハウジングにロックさせるものとして構成され、
前記係止アームは、
先端に、前記ロック部に前端面を係合させることでコネクタ嵌合方向に該ロック部と並んだ状態となり、その状態で前記ハウジング部材に対する前記スライド部材の前方へのスライドを規制する係合部を有し、且つ、前記ハウジング部材が前記フード部に挿入されるに従って前記ロックアームのロック部が前記係合凸部の下側を潜り抜けて該ロックアームが撓みから復帰した段階で、前記係合凸部に前記係合部が摺動することにより、内側に撓み変形して、前記係合部の前記ロック部に対する係合を解いて前記スライド部材の前方へのスライドを許可し、その状態で、前記スライド部材が前方へスライドさせられたとき、前記係合凸部ならびに前記ロック部を潜り抜けた上で該ロック部の前側に前記係合部を係合させるものとして構成され、
しかも、前記ロックアームは、前端と後端が前記ハウジング部材に固定され且つ前端と後端の中間部が内側に向けて撓み変形する両持ち梁として構成されると共に、前記ロック部が、前記ロックアームの前端と後端の中間部に配置され、
更に、前記ロックアーム上の前記ロック部の、前記係合凸部の背面及び前記係止アーム上の前記係合部の前端面と衝合する係止面に、前記係合凸部の背面に衝合する第1係止面と前記係合部の前端面に衝合する第2係止面とが区分けして設けられ、
前記第1係止面は、前記ロックアームが撓みから復帰して前記係合凸部の背面に衝合するときに、コネクタ嵌合方向に垂直な面となる係止面として形成され、
前記第2係止面は、前記ロック部が前記係合凸部の下側を潜り抜けるために前記ロックアームが最大に撓んだときに、コネクタ嵌合方向に垂直な面となるか垂直な面よりも前側に倒れた面となる傾斜した係止面として形成されている
ことを特徴とするコネクタ。
【0013】
(2) 前記ハウジング部材の内部に、前記ハウジング部材より後方に延びる光ファイバの先端を保持した状態で前記ハウジング部材の内部に後方から挿入されて前方へ位置決め規制され、且つ、前記相手側コネクタハウジングと前記ハウジング部材の完全嵌合時に、前記相手側コネクタハウジングに収容された光接続要素と光学的に接続されるフェルールが収容されると共に、該フェルールに係合することでフェルールの後方への移動を規制するランスが配置され、
一方、前記スライド部材に、コネクタ完全嵌合時に該スライド部材を前方位置にスライドさせたとき、前記ランスの撓み空間に進入して該ランスの係合解除方向の撓みを規制するランス係止リブが設けられている
ことを特徴とする上記(1)に記載のコネクタ。
【0014】
上記(1)の構成のコネクタによれば、相手側コネクタハウジングのフード部にハウジング部材を挿入した際、相手側コネクタハウジングにハウジング部材が嵌合していく過程で、ロックアームのロック部が相手側コネクタハウジングの係合凸部に摺動することで、ロックアームが内側に撓み、係止アームの係合部が相手側コネクタハウジングの係合凸部に摺動することで、係止アームもロックアームと一緒に内側に撓む。そして、相手側コネクタハウジングとハウジング部材が完全嵌合した状態になったとき、ロックアームが撓みから復帰することで、ロックアームのロック部が相手側コネクタハウジングの係合凸部の背面に係合する。
【0015】
このとき、係止アームの係合部は依然として係合凸部に摺動していて、係止アームはまだ内側に撓んだ状態のままなので、ロックアームのロック部に対する係止アームの係合部の係合が外れて、その段階で初めて、スライド部材が前方にスライドできる状態になる。そして、スライド部材を前方へスライドさせることにより、係止アームの係合部を、係合凸部の下側及びロック部の下側に潜らせて、ロック部の前側に係合させることができる。従って、このようにスライド部材を後方の待機位置(初期位置)から前方位置にスライドさせることができたことをもって、相手側コネクタハウジングとハウジング部材が完全嵌合したと判断することができ、コネクタの完全嵌合を保証することができる。
【0016】
ところで、上述したように、相手側コネクタハウジングのフード部にハウジング部材を挿入し、相手側コネクタハウジングにハウジング部材が中途嵌合している状態のとき、ロックアームのロック部が相手側コネクタハウジングの係合凸部に摺動することでロックアームが内側に撓み、係止アームもロックアームと一緒に内側に撓む。
【0017】
その際、例えば、ロックアームが片持ち梁として構成されている上、ロックアームのロック部の係止アームの係合部との係止面が、ロックアームが撓まない状態でコネクタ嵌合方向に垂直な面として構成されていると、ロックアームが内側に撓んだ状態となることで、ロック部の係止面がコネクタ嵌合方向に対して傾く。つまり、係合部の存在する側に倒れた面となり、係止アームの係合部は、その倒れた面に対して滑りやすい状態となる。従って、その状態で、間違ってスライド部材に前方への押し込み力が加わった場合、係合部がロック部の係止面を滑ってロック部の下側を潜り抜けると共に、スライド部材が前方にスライドしてしまい、その結果、スライド部材が前方に移動したことによって、相手側コネクタハウジングとハウジング部材とが完全嵌合していると、誤った判断をしてしまう可能性がある。
【0018】
その点、本発明では、ロックアームが前端と後端が固定された両持ち梁として構成され、その中間部にロック部が設けられているので、ロック部の係合部に対する係止面は、ロックアームの内側への撓みに応じて姿勢を変えづらくなる。つまり、ロック部の係止面が、ロックアームの撓みに応じてコネクタ嵌合方向に垂直に変位しやすくなるので、係止面が斜めに傾く量を極力減らすことができるようになる。
【0019】
しかも、係止アームの係合部が衝合するロック部の係止面(第2係止面)は、ロックアームが撓まない状態において傾斜した係止面として形成され、係合凸部をロック部が潜り抜けるためにロックアームが内側に最大に撓んだときにも、その係止面が、コネクタ嵌合方向に垂直な面となるか垂直な面よりも前側(係止アームの係合部が存在する側と反対側)に倒れた面となるように設定されているので、係合部がその係止面を滑ってロック部と係合部の係合が外れてしまうおそれをできるだけ無くすことができる。
【0020】
従って、コネクタ中途嵌合状態であるにも拘わらず、誤ってスライド部材が前方にスライドできる状態になることを確実に阻止することができ、その結果、不完全嵌合状態であるにも拘わらず、完全嵌合状態であると誤判断する可能性を無くすことができる。
【0021】
また、コネクタ完全嵌合時には、ロックアームのロック部の第2係止面(傾斜した係止面)ではなく、第1係止面(垂直な係止面)が相手側コネクタハウジングの係合凸部に係合するので、充分なロック強度を確保することができ、確実なコネクタの嵌合保持を行うことができる。
【0022】
また、ロックアームは両持ち梁として構成されているので、不用意な接触などによって意図せずに撓んでしまい、ロックアームと係止アームの係合が外れて、スライド部材が初期位置から前方に位置ずれしてしまう可能性を無くすことができる。
【0023】
上記(2)の構成のコネクタによれば、コネクタ完全嵌合時にランス係止リブによりランスの撓みを規制するので、フェルールを確実に後方へ移動しないように二重係止することができる。従って、光ファイバに強い引っ張り力が作用した場合にも、フェルールと相手側コネクタハウジング内の光接続要素との間に隙間が開かないようにすることができ、光伝送損失の増加阻止を行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、嵌合検知部材としてのスライド部材の誤作動を防止することができ、信頼性の高い嵌合検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は相手側コネクタの外観斜視図、(b)は実施形態のコネクタの外観斜視図である。
【図2】実施形態のコネクタの別の向きから見た外観斜視図である。
【図3】(a)は実施形態のコネクタの構成要素であるアウタハウジングの斜視図、(b)は(a)のIIIb円部の拡大図である。
【図4】(a)は実施形態のコネクタの上面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図5】(a)は図4(c)のVa−Va矢視断面図、(b)は(a)のVb円部の拡大図である。
【図6】実施形態のコネクタと相手側コネクタの嵌合前の状態を示す側断面図である。
【図7】実施形態のコネクタと相手側コネクタの嵌合途中の状態を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(b)のVIIc−VIIc矢視断面図、(d)は(c)のVIId円部の拡大図である。
【図8】実施形態のコネクタと相手側コネクタの図7よりも嵌合が進んだ嵌合途中の状態を示す側断面図である。
【図9】実施形態のコネクタと相手側コネクタの完全嵌合時の状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は(b)のIXc−IXc矢視断面図、(d)は(c)のIXd円部の拡大図である。
【図10】図9の状態のとき(コネクタ完全嵌合時)のアウタハウジングとインナハウジングの位置関係を示すために、実施形態のコネクタだけを相手側コネクタから取り出して示す斜視図である。
【図11】本発明に対する比較例として、ロックアームのロック部の係止面に傾斜面が付いていない場合のコネクタにおけるアウタハウジングの構成を示す図で、(a)は全体斜視図、(b)は(a)のXIb円部の拡大図である。
【図12】(a)は同比較例のコネクタの側断面図、(b)は(a)のXIIb円部の拡大図である。
【図13】同比較例のコネクタと相手側コネクタの嵌合途中の状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のXIIIb円部の拡大図である。
【図14】同比較例のコネクタと相手側コネクタの完全嵌合時の状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のXIVb円部の拡大図である。
【図15】(a)〜(c)は従来の半嵌合防止コネクタの構成及び作用の説明用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1(a)は相手側コネクタの外観斜視図、(b)は実施形態のコネクタの外観斜視図、図2は同コネクタの別の向きから見た外観斜視図、図3(a)は同コネクタの構成要素であるアウタハウジングの斜視図、(b)は(a)のIIIb円部の拡大図、図4は(a)は同コネクタの上面図、(b)は側面図、(c)は正面図、図5(a)は図4(c)のVa−Va矢視断面図、(b)は(a)のVb円部の拡大図、図6は同コネクタと相手側コネクタの嵌合前の状態を示す側断面図、図7は同コネクタと相手側コネクタの嵌合途中の状態を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(b)のVIIc−VIIc矢視断面図、(d)は(c)のVIId円部の拡大図、図8は同コネクタと相手側コネクタの図7よりも嵌合が進んだ嵌合途中の状態を示す側断面図、図9は同コネクタと相手側コネクタの完全嵌合時の状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は(b)のIXc−IXc矢視断面図、(d)は(c)のIXd円部の拡大図、図10は図9の状態のとき(コネクタ完全嵌合時)のアウタハウジングとインナハウジングの位置関係を示すために、実施形態のコネクタだけを相手側コネクタから取り出して示す斜視図である。
【0027】
また、図11は実施形態のコネクタに対する比較例として、ロックアームのロック部の係止面に傾斜面が付いていない場合のコネクタにおけるアウタハウジングの構成を示す図で、(a)は全体斜視図、(b)は(a)のXIb円部の拡大図、図12は(a)は同比較例のコネクタの側断面図、(b)は(a)のXIIb円部の拡大図、図13は同比較例のコネクタと相手側コネクタの嵌合途中の状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のXIIIb円部の拡大図、図14は同比較例のコネクタと相手側コネクタの完全嵌合時の状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のXIVb円部の拡大図である。
【0028】
図1〜図5に示すように、実施形態のコネクタは、2本の光ファイバ88の端末に設けられた第1の光コネクタ(メスコネクタ)100であり、相手側(機器側)の第2の光コネクタ(オスコネクタ)200と接続されるものである。
【0029】
この第1の光コネクタ100は、インナハウジング(ハウジング部材)50と、このインナハウジング50にコネクタ嵌合方向(矢印A方向)にスライド自在に装着されたアウタハウジング(スライド部材)60と、インナハウジング50に組み付けられたバネ90と、各光ファイバ88の先端を保持した状態でインナハウジング50の内部に後方から挿入されたフェルール80と、光ファイバ88のインナハウジング50からの引出部分を保護するためにアウタハウジング60の後部に装着されたブーツ70と、から構成されている。
【0030】
アウタハウジング60は、第1の光コネクタ100と第2の光コネクタ200の嵌合前はコネクタ嵌合方向の後方位置(初期位置)に位置規制されて待機しており、第1の光コネクタ100と第2の光コネクタ200の完全嵌合時に前方位置にスライド可能となって、前方位置にスライドさせて本係止できることにより、第1の光コネクタ100と第2の光コネクタ200が半嵌合ではなく、正規に完全嵌合されていることを確認するための嵌合検知部材に相当するものである。
【0031】
一方、図1及び図6に示すように、相手側の第2の光コネクタ(オスコネクタ)200は、機器側に固定的に設置されるものであり、樹脂製のコネクタハウジング210と、このコネクタハウジング210の内部に収容固定されたFOT(光接続要素)220と、コネクタハウジング210の外部を覆うように設けられた金属製のシェル260と、から構成されている。コネクタハウジング210は、コネクタ嵌合方向の前方に向けて第1の光コネクタ100のインナハウジング50を受け入れるフード部212を有している。フード部212の内側壁のうち、上側の内側壁の開口縁に近い位置には係合凸部215が突設され、その係合凸部215の先端面には傾斜面215aが設けられている。
【0032】
また、FOT220は、第1の光コネクタ100のフェルール80と嵌合するFOTケーシング221の内部に、フェルール80に保持された光ファイバ88の先端と光学的に接続される受発光素子250を収容したもので、受発光素子250の前側には導光体230が配置され、FOTケーシング221の前部には、フェルール80の先端部81の嵌まる挿入筒部221aが設けられている。
【0033】
図1〜図3に示すように、第1の光コネクタ100のインナハウジング50は、角柱ブロック状のインナハウジング本体51と、その上部に一体形成された可撓性のロックアーム55とを有するもので、インナハウジング本体51に、フェルール80を収容するために前後方向に貫通した2つの挿入孔52が設けられている。また、インナハウジング本体51の後部は、底面が開放した角筒状になっており、その角筒状になった部分の左右側壁にバネ90を保持するための保持溝57が形成されている。
【0034】
光ファイバ88の先端を保持したフェルール80は、図5に示すように、細径の先端部81の後側外周に突当段部82を有し、その突当段部82の後側に位置決め段部83を有し、更に位置決め段部83の後側に係合凹部84を有しており、後方からインナハウジング本体51の挿入孔52の内部に挿入され、挿入された状態で、位置決め段部83が挿入孔52の内周の位置決め壁54に突き当たっている。
【0035】
また、フェルール80の後端面85の後側に位置するバネ90は、フェルール80の後端面85に押圧接触している。このバネ90は、板バネにより構成され、インナハウジング本体51の保持溝57に支持されており、2つのフェルール80を前方へ向けて付勢している。
【0036】
また、フェルール80の挿入孔52の内部には可撓性のランス53が設けられており、このランス53がフェルール80の係合凹部84に嵌まることで、フェルール80が所定量以上後方へ動かないように位置決め規制されている。この場合、フェルール80の係合凹部84とランス53の係合端との間には、コネクタ嵌合方向(矢印A方向)の若干の遊びが設けられており、その遊びの範囲でフェルール80が、バネ90の付勢力を受けながらコネクタ嵌合方向に微小変位することができるようになっている。
【0037】
また、フェルール80の係合凹部84とランス53の係合端には、互いに当接可能な傾斜面84a、53aが設けられており、完全嵌合時にこれら傾斜面84a、53aが係合した状態でランス53の外方への変位が後述するランス係止リブ66で防止されることで、ケーブル引っ張り方向に対する抗力を発生させ、フェルール80の抜けを防止している。
【0038】
アウタハウジング60は、箱型枠状のもので、インナハウジング50の後部左右側面に外側から嵌まる左右一対の側壁61と、これら左右一対の側壁61の上側に位置する上壁62と、左右一対の側壁61及び上壁62の後端に連なる後壁64とを有し、更に左右一対の側壁61に、インナハウジング50の後部にアウタハウジング60を嵌めたとき、インナハウジング50の側面の抜け止め突起56と係合してアウタハウジング60の抜け止めを果たす抜け止め孔63を有し、上壁62に、インナハウジング50に対してアウタハウジング60を前方位置までスライドさせたとき、ロックアーム55上に設けたロック突起55fと係合してアウタハウジング60をインナハウジング50にロックするロック孔62fを有している。
【0039】
後壁64には後方に突き出た凸部が設けられ、その凸部にブーツ70の装着枠部71が嵌まることで、アウタハウジング60にブーツ70が取り付けられている。また、アウタハウジング60の下部には、図9(c)に示すように、コネクタ完全嵌合時にアウタハウジング60を前方位置にスライドさせたとき、ランス53の撓み空間(ランス53の下側に確保された空間)に進入してランス53の係合解除方向の撓みを規制するランス係止リブ66が設けられている。
【0040】
ここで、インナハウジング50にアウタハウジング60を組み付ける際には、予めアウタハウジング60にブーツ70を組み付けた状態で光ファイバ88をアウタハウジング60に先通しし、その上で光ファイバ88とフェルール80を端末処理する。次に端末処理後の光ファイバ88とフェルール80を、インナハウジング50に組み付け、最後にアウタハウジング60をインナハウジング50に組み付ける。
【0041】
インナハウジング50のロックアーム55は、相手側の第2の光コネクタ200のフード部212の係合凸部215を設けた内側壁と対向する部位、つまり、インナハウジング本体51の上壁面に設けられている。このロックアーム55は、左右に間隔をおいて前後に延びる一対の平行レール55e、55eの前後両端55e1、55e2をインナハウジング本体51に固定し、前後方向の中間部を上下方向に撓み可能とした両持ち梁として構成され、前後方向の中間部に、平行レール55e、55e間を繋ぐようにロック部55aと解除操作部55bとを配置している。
【0042】
ロック部55aは、インナハウジング50が第2の光コネクタ200のコネクタハウジング210に完全嵌合されたとき、第2の光コネクタ200側の係合凸部215と係合することで、インナハウジング本体51を第2のコネクタ200のコネクタハウジング210に対してコネクタ嵌合方向にロックする部分であり、解除操作部55bより前側に配置され、ロック部55aと解除操作部55bの間には、係合凸部215の嵌まる係止孔55cが確保されている。
【0043】
ロックアーム55は、インナハウジング50が第2の光コネクタ200のフード部212に挿入されるとき、ロック部55aが係合凸部215と摺動することにより、内側に撓み変形し、ロック部55aが係合凸部215の下側を潜り抜けた段階で、撓みから復帰することにより、ロック部55aを係合凸部215の背面に係合させ、それにより、インナハウジング50を第2の光コネクタ200のコネクタハウジング210にロックさせるように構成されている。
【0044】
また、アウタハウジング60のロックアーム55に対応する部位には係止アーム65が設けられている。この係止アーム65は、基端65aをアウタハウジング60の上壁62に固定し、先端65bを自由端として前方に延ばした片持ち梁として構成され、その先端65bに、図5に示すように、ロック部55aに係合することでコネクタ嵌合方向にロック部55aと並んだ状態となり、その状態でインナハウジング50に対するアウタハウジング60の前方へのスライドを規制する係合部65cを有している。
【0045】
係合部65cの前部には、上を向いた切欠65dが設けられており、この切欠65dにロック部55aが嵌まることで、係止アーム65の先端65bは、ロック部55aより上側に外れないようになっている。また、係合部65cの背面は、ロック部55aの背面に係合部65cが係合する際に係合しやすいように傾斜面として構成されている。また、係止アーム65の下面には、ロック部55aの背面に係合部65cが係合した状態で、係合が外れにくいように下面突起65fが設けられている。
【0046】
この係止アーム65は、インナハウジング50がフード部212に挿入されるに従ってロックアーム55のロック部55aが係合凸部215の下側を潜り抜けてロックアーム55が撓みから復帰した段階で、係合凸部215に係合部65cが摺動することにより、内側に撓み変形して、係合部65cのロック部55aに対する係合を解いて、アウタハウジング60の前方へのスライドを許可し、その状態で、アウタハウジング60が前方へスライドさせられたとき、図9に示すように、係合凸部215並びにロック部55aを潜り抜けた上で、ロック部55aの前側に係合部65cを係合させるものとして構成されている。
【0047】
この場合、図3に示すように、ロックアーム55上のロック部55aの、係合凸部215の背面及び係止アーム65上の係合部65cの前端面と衝合する係止面には、係合凸部215の背面に衝合する第1係止面55a1と、係止アーム65の係合部65cの前端面に衝合する第2係止面55a2とが区分けして設けられている。即ち、ロック部55aの後方を向いた係止面のうち、幅方向の中央部に第2係止面55a2が形成され、第2係止面55a2の両側に第1係止面55a1が形成されている。
【0048】
そして、第1係止面55a1は、ロックアーム55が撓みから復帰して係合凸部215の背面に衝合するときに、コネクタ嵌合方向に垂直な面となる係止面として形成され、第2係止面55a2は、図7(c)、(d)に示すように、ロック部55aが係合凸部215の下側を潜り抜けるためにロックアーム55が最大に撓んだときに、コネクタ嵌合方向(矢印A方向)に垂直な面となるか垂直な面よりも前側に倒れた面となる傾斜した係止面〔図3(b)参照〕として形成されている。
【0049】
次に作用を説明する。
図5及び図6に示すように、コネクタ嵌合前、アウタハウジング60の係止アーム65の係合部65cがインナハウジング50のロックアーム55のロック部55aに係合しており、アウタハウジング60は前方にスライドできない状態となっている。
【0050】
この状態から、第2の光コネクタ200のフード部212に第1の光コネクタ100のインナハウジング50を挿入する。そうすると最初に、係合凸部215にロックアーム5のロック部55aが当たり、係合凸部215とロック部55aが摺動することにより、ロックアーム55が内側(図の下側)に撓み変形する。
【0051】
嵌合を進めると、図7に示すように、ロック部55aが係合凸部215を潜り抜けるのに続いて、今度は、係合凸部215に係止アーム65の係合部65cが摺動することにより、係止アーム65が内側(図の下側)に撓み変形する。そして、第1の光コネクタ100のインナハウジング50と第2の光コネクタ200のコネクタハウジング210が完全嵌合した状態になったとき、図8に示すように、ロックアーム55が撓みから復帰することで、ロックアーム55のロック部55aが第2の光コネクタ200の係合凸部215の背面に係合する。
【0052】
このとき、係止アーム65の係合部65cは依然として係合凸部215に摺動していて、係止アーム65はまだ内側に撓んだ状態のままなので、ロックアーム55のロック部55aに対する係止アーム65の係合部65cの係合が外れて、その段階で初めて、アウタハウジング60が前方にスライドできる状態になる。
【0053】
そして、アウタハウジング60を前方へスライドさせることにより、図9に示すように、係止アーム65の係合部65cを、係合凸部215の下側及びロック部55aの下側に潜らせて、ロック部55aの前側に係合させることができる。このようにアウタハウジング60を最後までスライドさせると、図10にも示すように、係止アーム65の係合部65cが、第2の光コネクタ200の係合凸部215に係合しているロックアーム55のロック部55aの背後に係合し、それによりアウタハウジング60がインナハウジング50にロックされる。同時に、アウタハウジング60の上壁62のロック孔62fがロックアーム55上のロック突起55fと係合することで、アウタハウジング60がインナハウジング50に確実にロックされる。
【0054】
従って、このようにアウタハウジング60を後方の待機位置(初期位置)から前方位置にスライドさせることができたことをもって、第2の光コネクタ200と第1の光コネクタ100が完全嵌合したと判断することができ、コネクタの完全嵌合を保証することができる。
【0055】
また、上述の嵌合の過程においてコネクタハウジングの内部では、まず、第2の光コネクタ200のFOT220の挿入筒部221aにフェルール80の先端81が挿入され、挿入筒部221aの先端にフェルール80の突当段部82が突き当たる。そして、バネ90を撓ませながら、インナハウジング50のロックアーム55のロック部55aと第2の光コネクタ200の係合凸部215が係合するまで(コネクタが完全嵌合するまで)押し込むと、フェルール80はバネ90の反力により正規位置に位置決めされた状態となる。また、アウタハウジング60に設けられたランス係止リブ66がインナハウジング50に設けられたランス53を二重係止することになり、フェルール80は後方へ移動しないように位置規制される。
【0056】
このようにランス係止リブ66によりフェルール80を確実に後方へ移動しないように二重係止することができるので、光ファイバ88に強い引っ張り力が作用した場合にも、フェルール80とFOT220との間に隙間が開かないようにすることができ、光伝送損失の増加阻止を行うことができる。
【0057】
ところで、上述したように、第2の光コネクタ200のフード部212にインナハウジング50を挿入し、第2の光コネクタ200のコネクタハウジング210にインナハウジング50が中途嵌合している状態のとき、図7に示すように、ロックアーム55のロック部55aが第2の光コネクタ200の係合凸部215に摺動することでロックアーム55が内側に撓み、係止アーム65もロックアーム55と一緒に内側に撓む。
【0058】
その際、例えば、ロックアームが片持ち梁として構成されていると、ロックアームが内側に撓んだ状態となることで、ロック部の係止面がコネクタ嵌合方向に対して傾く。また、図11〜図14に示す比較例のように、ロックアーム55が両持ち梁として構成されている場合でも、ロックアーム55のロック部55aの係止アーム65の係合部65cとの第1係止面55a1が、ロックアーム55が撓まない状態でコネクタ嵌合方向に垂直な面として構成されていると、ロックアーム55が内側に撓んだ状態となることで(図13参照)、ロック部55aの第1係止面55a1がコネクタ嵌合方向に対して傾く。つまり、係合部65cの存在する側に倒れた面となり、係止アーム65の係合部65cは、その倒れた面に対して滑りやすい状態となる。
【0059】
従って、その状態で、間違ってアウタハウジング60に前方への押し込み力が加わった場合、係合部65cがロック部55aの第1係止面55a1を滑ってロック部55aの下側を潜り抜けると共に、アウタハウジング60が前方にスライドしてしまい、その結果、アウタハウジング60が前方に移動したことによって、第1の光コネクタ100と第2の光コネクタ200とが完全嵌合していると、誤った判断をしてしまう可能性がある。
【0060】
その点、上述した本実施形態の光コネクタ100では、ロックアーム55が前端55e1と後端55e2が固定された両持ち梁として構成され、その中間部にロック部55aが設けられているので、ロックアームが片持ち梁として構成されている場合に比べて、ロック部55aの係合部65cに対する係止面は、ロックアーム55の内側への撓みに応じて姿勢を変えづらくなる。つまり、ロック部55aの係止面が、ロックアーム55の撓みに応じてコネクタ嵌合方向に垂直に変位しやすくなるので、係止面が斜めに傾く量を極力減らすことができるようになる。
【0061】
しかも、係止アーム65の係合部65cが衝合するロック部55aの係止面(第2係止面55a2)は、ロックアーム55が撓まない状態において傾斜した係止面として形成され、係合凸部215をロック部55aが潜り抜けるためにロックアーム55が内側に最大に撓んだときにも(図7参照)、その第2係止面55a2が、コネクタ嵌合方向(矢印A方向)に垂直な面となるか垂直な面よりも前側(係止アーム65の係合部65cが存在する側と反対側)に倒れた面となるように設定されているので、係合部65cがその第2係止面55a2を滑ってロック部55aと係合部65cの係合が外れてしまうおそれをできるだけ無くすことができる。
【0062】
従って、コネクタ中途嵌合状態であるにも拘わらず、誤ってアウタハウジング60が前方にスライドできる状態になることを確実に阻止することができ、その結果、不完全嵌合状態であるにも拘わらず、完全嵌合状態であると誤判断する可能性を無くすことができる。
【0063】
また、コネクタ完全嵌合時には、図9に示すように、ロックアーム55のロック部55aの第2係止面(傾斜した係止面)55a2ではなく、第1係止面(垂直な係止面)55a1が第1の光コネクタ200の係合凸部215の背面に係合するので、充分なロック強度を確保することができ、確実なコネクタの嵌合保持を行うことができる。
【0064】
また、ロックアーム55は両持ち梁として構成されているので、不用意な接触などによって意図せずに撓んでしまい、ロックアーム55と係止アーム65の係合が外れて、アウタハウジング60が初期位置から前方に位置ずれしてしまう可能性も無くすことができる。
【0065】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0066】
50 インナハウジング(ハウジング部材)
53 ランス
55 ロックアーム
55a ロック部
55a1 第1係止面
55a2 第2係止面
55e1 前端
55e2 後端
60 アウタハウジング(スライド部材)
65 係止アーム
65c 係合部
66 ランス係止リブ
80 フェルール
88 光ファイバ
100 第1の光コネクタ(本発明のコネクタ)
200 第2の光コネクタ(相手側コネクタ)
210 コネクタハウジング(相手側コネクタハウジング)
212 フード部
215 係合凸部
220 FOT(光接続要素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタハウジングのフード部の内部にコネクタ嵌合方向に沿って挿入されることで、該相手側コネクタハウジングと嵌合されるハウジング部材と、
該ハウジング部材の前記フード部の内側壁と対向する部位に設けられ、前記フード部の内側壁に突設された係合凸部と係合するロック部を有し、前記ハウジング部材が前記相手側コネクタハウジングに完全嵌合されたとき、前記ロック部が前記係合凸部と係合することで、前記ハウジング部材を前記相手側コネクタハウジングに対してコネクタ嵌合方向にロックするロックアームと、
前記ハウジング部材にコネクタ嵌合方向にスライド自在に装着され、コネクタ嵌合前にコネクタ嵌合方向の後方位置に待機し、コネクタ完全嵌合時に前方位置にスライドさせられるスライド部材と、
該スライド部材の前記ロックアームに対応する部位に設けられた係止アームと、
を具備し、
前記ロックアームは、
前記ハウジング部材が前記フード部に挿入されるとき、前記ロック部が前記係合凸部と摺動することにより、内側に撓み変形し、前記ロック部が前記係合凸部の下側を潜り抜けた段階で、撓みから復帰することにより、前記ロック部を前記係合凸部の背面に係合させ、それにより、前記ハウジング部材を前記相手側コネクタハウジングにロックさせるものとして構成され、
前記係止アームは、
先端に、前記ロック部に前端面を係合させることでコネクタ嵌合方向に該ロック部と並んだ状態となり、その状態で前記ハウジング部材に対する前記スライド部材の前方へのスライドを規制する係合部を有し、且つ、前記ハウジング部材が前記フード部に挿入されるに従って前記ロックアームのロック部が前記係合凸部の下側を潜り抜けて該ロックアームが撓みから復帰した段階で、前記係合凸部に前記係合部が摺動することにより、内側に撓み変形して、前記係合部の前記ロック部に対する係合を解いて前記スライド部材の前方へのスライドを許可し、その状態で、前記スライド部材が前方へスライドさせられたとき、前記係合凸部ならびに前記ロック部を潜り抜けた上で該ロック部の前側に前記係合部を係合させるものとして構成され、
しかも、前記ロックアームは、前端と後端が前記ハウジング部材に固定され且つ前端と後端の中間部が内側に向けて撓み変形する両持ち梁として構成されると共に、前記ロック部が、前記ロックアームの前端と後端の中間部に配置され、
更に、前記ロックアーム上の前記ロック部の、前記係合凸部の背面及び前記係止アーム上の前記係合部の前端面と衝合する係止面に、前記係合凸部の背面に衝合する第1係止面と前記係合部の前端面に衝合する第2係止面とが区分けして設けられ、
前記第1係止面は、前記ロックアームが撓みから復帰して前記係合凸部の背面に衝合するときに、コネクタ嵌合方向に垂直な面となる係止面として形成され、
前記第2係止面は、前記ロック部が前記係合凸部の下側を潜り抜けるために前記ロックアームが最大に撓んだときに、コネクタ嵌合方向に垂直な面となるか垂直な面よりも前側に倒れた面となる傾斜した係止面として形成されている
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジング部材の内部に、前記ハウジング部材より後方に延びる光ファイバの先端を保持した状態で前記ハウジング部材の内部に後方から挿入されて前方へ位置決め規制され、且つ、前記相手側コネクタハウジングと前記ハウジング部材の完全嵌合時に、前記相手側コネクタハウジングに収容された光接続要素と光学的に接続されるフェルールが収容されると共に、該フェルールに係合することでフェルールの後方への移動を規制するランスが配置され、
一方、前記スライド部材に、コネクタ完全嵌合時に該スライド部材を前方位置にスライドさせたとき、前記ランスの撓み空間に進入して該ランスの係合解除方向の撓みを規制するランス係止リブが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−190707(P2012−190707A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54356(P2011−54356)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】