説明

コンタクト機器

【課題】 フレーム14の交換を伴わず、ハウジング2及びフローティングボード8を交換するのみで、被測定装置、例えば被測定ICの電極の配置ピッチの違いに対応することができるコンタクト機器を提供する。
【解決手段】プローブ4を設けたハウジング2には、フローティングボード8を上側に付勢する付勢手段6を設け、フレーム14にはフローティングボード8の移動範囲の上側限界点を規定する位置規定手段18を設け、フローティングボード8をフレーム14によって上下方向に案内されるようにハウジング2上に設ける。
【効果】 被測定装置の電極配置ピッチの違いに対しては、フレーム14を交換する必要はなく、単に、ハウジング2と、その上に配置されるフローティングボード8を交換することを以て対応することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定体の各電極と測定回路の各端子との間を電気的に接続するところの、一端が被測定体の電極に弾接(弾力を介して接触)し、他端が測定回路側のコードの電線等に弾接(弾力を介して接触)するコンタクトプローブを用いたコンタクト機器に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI、トランジスタその他の電子部品を用いた電子回路は、各種の装置、機器類に非常に多く用いられており、その用途は拡大の一途を辿っているが、これらの電子回路は片面或いは両面に配線膜が印刷されたプリント基板を用いて構成されるのが普通であり、該プリント基板にIC、LSI、トランジスタその他の各種電子部品を搭載し、必要な半田付けを行うことにより電子回路が構成されるようになっている。
【0003】
そして、電子回路を用いた装置、機器類はその多くが小型化、高機能化、高性能化が要求され、それに伴って電子回路の回路構成が複雑化、高集積化を要求されている。従って、プリント基板の配線も微細化、高集積化の傾向があり、その結果、そのIC、LSI等、或いはそれらを用いた電子回路を搭載するプリント基板等の検査のための測定が難しくなる。というのは、IC、LSI等の高集積化、配線の微細化、高集積化により測定用コンタクトプローブの配設密度、配置位置の精度を高くすることが必要であるからである。それでいて、検査の重要性は高まる一方である。というのは、配線の微細化、高集積化が進むほど、ショート不良その他の不良の発生率が高くなるからである。
【0004】
そして、その検査には、測定回路を備えたテスターが用いられ、その測定回路へのプリント基板の各配線膜、電極等の電気的導出にはコンタクト機器が用いられる。このコンタクト機器はプレートに多数のコンタクトプローブを備え、各プローブの一端をプリント基板の各配線膜等の測定回路に電気的に接続すべき部分に接触させ、他端を測定回路に接続されたコードの先端に接触させるようになっているものが多い。これに関しては、本願出願人会社は特願平7−61728、特願平8−183449、特願平10−66333等により各種提案を行っている。
【0005】
そして、コンタクト機器として、従来、図4及び図5(A)、(B)に示すものが多く用いられた。図4はコンタクト機器全体の斜視図、図5(A)はフレーム及びそれに吊下状に取付けられたフローティングボードを斜め下側から視た斜視図、同じく(B)はハウジングを斜め上側から視た斜視図である。図において、aはハウジングで、多数のプローブ収納孔b、b、・・・が形成され、各プローブ収納孔b、b、・・・にはプローブc、c、・・・が収納されている。
各プローブc、c、・・・は、一対の端子とその間に介在するスプリングからなり、上下両端を押さえられるとそのスプリングの弾力に抗して縮んでそれに反発する方向の力をそのスプリングが蓄えるようにされており、それぞれ両端部がハウジングaの主表面から適宜突出し、抜け止めされた状態でプローブ収納孔b、b、・・・に収納されている。
【0006】
dはフローティングボードで、後述するフレーム(g)の下部に吊下げ状に取付けられている。該フローティングボードdは上記プローブ収納孔b、b、・・・の全部又は一部と対応する位置にプローブ上部挿通孔e、e、・・・が形成されている。f、fはフローティングボードdの両辺の中央部に一体に形成された被取付片であり、後述するフレーム(g)には該被取付片f、fにて吊下げられる。
【0007】
gはフレームで、矩形枠状を有し、被測定装置を収納する大きさを有し、一対の相対向する辺の下面には、上記被取付片f、fが嵌るフローティングボード取付溝h、hが形成されている。この溝h、hは、フローティングボードd(の被取付片f、f)の厚さよりも稍深くされている。
該フローティングボードdは、被取付片f、fがフローティングボード取付溝h、hに遊嵌された状態で、上下動可能で且つ上側に付勢された状態でフレームgに吊下げ状に保持されており、i、iは吊下げ用ピンである。
上記ハウジングaは上記フレームgの下面に着脱可能(分解可能)に、例えばねじ止めにより、固定されている。
【0008】
j、jは上記フレームgの一辺の両端部に形成された軸保持片で、該軸保持片j、jにより蓋保持軸kが保持されている。
lは蓋で、中央部に押さえ(プッシャー)mが設けられている。n、nは蓋lの一辺に設けられた軸遊挿片で、軸遊挿孔を有し、該軸遊挿孔に上記蓋保持軸kが遊挿されることにより上記軸保持片j、jより内側にてフレームgに回動自在に保持されている。
oは上記蓋保持軸kに外嵌されたねじりコイルスプリングで、蓋lをフレームgに対して開く方向に付勢する。
【0009】
pは上記蓋lの軸遊挿片n、nが形成された側の辺に回動自在に取付けられた断面形状L字状のロック片で、これの一辺の係合爪qが上記フレームg底辺の係合部に係合することによりフレームgに対して蓋lを閉じた状態を保つようになっている。そして、ロック片pは係合爪qに係合したときその係合状態を保つ方向に図面に現れないねじりコイルスプリングにより付勢されている。
押さえ(プッシャー)mは上記蓋lの中央部に形成された図面に現れない孔に案内されて上下方向(蓋lに対して垂直方向)に移動可能なるように嵌合されている。
【0010】
押さえ(プッシャー)mには図面に現れない雌ねじ穴が形成されている。sは押さえ操作部で、下部が柱状でその周面に上記雌ねじ穴に嵌合する雄ねじが形成されており、上部はその柱状部の軸と直交する操作片となっており、その操作片を回動することにより押さえmを上下方向に移動することができる。蓋lの上面にはストッパーが突出形成され、該ストッパーに上記操作片が係合して該操作片の回動範囲が略180°(度)に規定され、延いては、押さえmの上下動範囲が一定値に規定される。
【0011】
このようなコンタクト機器は、蓋lを開いた状態で、フレームg内のフローティングボードd上に、下面に電極を配置した被測定装置、例えばIC(半導体集積回路装置)を載置する。すると、そのICの各電極は、上記フローティングボードdの各プローブ上部挿通孔上に位置する。
次いで、蓋lを閉め、そのロック片pのロック爪qをフレームgの底辺の係合部に係合し、閉めた状態を保持する。
その後、上記操作部sの操作片tを指で操作して時計回り方向に操作すると約180°回動し、それに応じた量押さえmが下側に移動し、被測定ICを下側に押さえる。
【0012】
すると、フローティングボードdは下側に押され、ハウジングaのプローブ収納孔bに収納された各プローブc、c、・・・の上部がフローティングボードdのプローブ上部挿通孔e、e、・・・内を遊挿されてそれより上に突出して被測定ICの電極に弾接する。これにより、被測定ICの各電極がコンタクト機器自身により他(例えばテスター回路)の各電極に接続された状態になる。
【特許文献1】特開平08−236180号公報(特願平7−61728)
【特許文献2】特開平10−26648号公報(特願平8−183449)
【特許文献3】特開平11−258311号公報(特願平10−66333)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上述したコンタクト機器には、第1に、被測定装置(例えば被測定IC)の電極の配置ピッチが異なると、それに応じて、フローティングボードdを吊下げ状に保持するフレームgと、ハウジングaの両方を交換しなければならないという問題があった。
この問題について詳細に説明すると、被測定装置の電極の配置ピッチには何通りかあり、その異なる配置ピッチに対応するには、フローティングボードdが取付けられたフレームgとハウジングaとの両方について対応すべき配置ピッチの種類数ずつ用意して交換しなければならない。
【0014】
そして、フローティングボードdが取下げられたフレームg及びハウジングaの両方を電極配置ピッチの異なる種類毎に用意することは、各部材がそれぞれ高精密加工技術の粋(すい)を集めて製造されるものであるから、非常に高価になり、これを用意することは測定業者等にとっては無視できない負担になる。これが従来の無視できない問題の一つであった。
また、従来の技術には、被測定ICを、その各電極が同じ圧力でプローブc、c、・・・と接するように押圧することが難しく、正常な測定が難しくなる場合があった。
【0015】
また、従来のコンタクト機器は、一度に1個の被測定装置、例えばICしか測定できず、測定効率を高めることが難しいという問題があった。
【0016】
本発明は、このような各種問題を解決すべく為されたものであり、第1に、フレームの交換を伴わず、ハウジング及びフローティングボードを交換するのみで、被測定装置、例えば被測定ICの電極の配置ピッチの違いに対応することができるコンタクト機器を提供することを目的とし、第2に、蓋に取付けられた押さえによる被測定装置にかける圧力分布を調整して各電極とそれに接するプローブとの圧力をより均一にして良好な測定ができるようにすることを目的とし、第3に、測定効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1のコンタクト機器は、被測定装置が納まるフレームと、複数のプローブ収納孔が配設され、該各プローブ収納孔にプローブが収納され、上記フレームの下部に着脱可能に取付けられたハウジングと、該ハウジング上に、上記フレーム内にて上下動可能になるように配置され、上記プローブ収納孔と対応するプローブ上部遊挿孔を有するフローティングボードと、 上記フレームに、ヒンジ機構を介して回動可能に取付けられ、上記フレームに納められた被測定装置を上側から押さえて該被測定装置の下面の各電極を上記フローティングボードの各プローブ上部挿通孔を通って該上部挿通孔から突出した状態になった各プローブの上部と接触させる押さえを有した蓋部と、を有し、上記ハウジングには、上記フローティングボードを上側に付勢する付勢手段を設け、上記フレームには、上記フローティングボードの移動範囲の上側限界点を規定する位置規定手段を設けてなることを特徴とする。
【0018】
請求項2のコンタクト機器は、請求項1のコンタクト機器において、前記フレームは被測定装置が複数個納まる大きさを有し、前記ハウジングは、配設されたプローブ収納孔の数が前記複数個分の被測定装置の電極数以上であり、前記フローティングボードは、前記プローブ収納孔の数以上のプローブ上部挿通孔を有し、複数個の被測定装置単位で測定が為し得るようにされたことを特徴とする。
【0019】
請求項3のコンタクト機器は、複数のプローブ収納孔が配設され、該各プローブ収納孔にプローブがその両端が両主面から突出する状態で収納され、上記フレームの下部に着脱可能に取付けられたハウジングと、該ハウジングに、ヒンジ機構を介して回動可能に取付けられ、上記フレームに納められた被測定装置を上側から押さえて該被測定装置の下面の各電極を上記ハウジングの各プローブ挿通孔から上に突出する各プローブの上部と接触させる押さえを有した蓋部と、を有するコンタクト機器であって、上記押さえは蓋部に、複数箇所にて高さ微調整可能な調整ねじにより固定されてなることを特徴とする。
請求項4のコンタクト機器は、請求項3のコンタクト機器において、前記ハウジングは、プローブ収納孔が複数個の被測定装置分配設され、複数個の被測定装置単位で測定が為し得るようにされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1のコンタクト機器によれば、被測定装置の電極配置ピッチの違いに対しては、フレームを交換する必要はなく、単に、ハウジングと、該ハウジング上に配置されるフローティングボードを交換すれば、対応することができ、被測定装置の電極配置ピッチの違いに対応するに必要な準備すべき部材の数を従来よりも減らすことができ、延いては設備費を低減することができる。
【0021】
請求項2のコンタクト機器によれば、一度に複数個の被測定装置を測定することができる。従って、測定効率を高めることができる。
請求項3のコンタクト機器によれば、複数箇所の高さ微調整可能な調整ねじをそれぞれ独立して調整することができ、延いては、押さえの向きを微調整することができる。
従って、押さえの向きを微調整することができ、延いては、被測定ICの各電極のプローブに対する圧力を均一化することができる。依って、良好な測定ができる。
請求項4のコンタクト機器によれば、一度に複数個の被測定装置を測定することができる。従って、測定効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明コンタクト機器の第1のものは、基本的に、フレームと、該フレームに着脱可能に取付られたハウジングと、該ハウジング上のフローティングボードと、上記フレームに回動自在に取付けられた蓋部とからなり、該フレームは被測定装置が収納され得るようにされ、上記ハウジングは、プローブを収納するプローブ収納孔を有し、上記フローティングボードはプローブ上部遊挿孔を有し、上記ハウジングと上記フレームとの間に上側に付勢され上下動可能な状態で保持されている。
【0023】
そして、本発明コンタクト機器の第1のものにおいて、フレームは被測定装置が複数個納まる大きさを有し、前記ハウジングは、配設されたプローブ収納孔の数が前記複数個分の被測定装置の電極数以上であり、前記フローティングボードは、前記プローブ収納孔の数以上のプローブ上部挿通孔を有し、複数個の被測定装置単位で測定が為し得るようにしても良い。
【0024】
また、本発明の第2のものは、複数箇所の高さ微調整可能な調整ねじをそれぞれ独立して調整することができるようにする。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明を図示実施例に従って詳細に説明する。図1は本発明コンタクト機器の第1の実施例を示す分解斜視図である。2はハウジングで、複数個のプローブ収納孔が配設され、各プローブ収納孔にはプローブ4、4、・・・が抜け止めされて収納されており、その上部及び下部は該ハウジング2の上面及び下面から突出せしめられている。
6、6、6、6は上記ハウジング2上面の上記プローブ4、4、・・・が配設された領域の外側に配設された弾縮ピンで、上側に付勢された状態で取付けられており、次に述べるフローティングボード8を付勢して保持する。
【0026】
上記フローティングボード8は、中央部の矩形領域が他の部分より肉薄に形成され、その矩形領域内に上記プローブ4、4、・・・と対応してプローブ上部挿通孔10、10、・・・が形成されている。破線で示す6a、6a、6a、6aは該フローティングボード8の上記弾縮ピン6、6、6、6が当たる位置を示す。
12、12、12、12は該フローティングボード8上面の周縁に設けられた凹溝で、後述するフレーム(14)のストッパー(18)が当たる。
【0027】
14はフレームで、矩形枠状を有し、上記フローティングボード8を案内してその上下動を許容する大きさを有する。
該フレーム14は、外側面から延びて内側面に開口するストッパー保持ねじ孔16、16、16、16が形成され、該ストッパー保持ねじ孔16、16、16、16には、ねじらなるストッパー18、18、18、18が外側から螺合され、その先端は矩形枠状フレーム14の内側面から内側に突出され、その突出した先端部は上記フローティングボード8の凹溝12、12、12、12と当接することにより該フローティングボード8の上下動範囲の上側限界点を規定する。
【0028】
該フレーム14の下面には、上記ハウジング2が、該フレーム14に上記フローティングボード8が案内されて上下動可能な状態で例えばねじ止め等により分解可能に固定されている。そして、上記フローティングボード8は上記弾縮ピン6、6、6、6により上側に付勢されてその凹溝12、12、12、12が上記ストッパー18、18、18、18に当たる位置、即ち上下動範囲の上側限界点に位置した状態を保つ。
【0029】
20、20は上記フレームgの一辺の両端部に形成された軸保持片で、該軸保持片20、20により蓋保持軸21が保持されている。
22は蓋部で、中央部に押さえ(プッシャー)24が設けられている。26、26は蓋部22の一辺に設けられた軸遊挿片で、軸遊挿孔を有し、該軸遊挿孔に上記蓋保持軸21が遊挿されることにより上記軸保持片20、20より内側にてフレームgに回動自在に保持されている。
27は上記蓋保持軸21に外嵌されたねじりコイルスプリングで、蓋部22をフレーム14に対して開く方向に付勢する。
【0030】
30は上記蓋部22の軸遊挿片26、26が形成された側の辺に回動自在に取付けられた断面形状L字状のロック片で、これの一辺の係合爪32が上記フレーム14底辺の係合部に係合することによりフレーム14に対して蓋部22を閉じた状態を保つようになっている。そして、ロック片30は係合爪32に係合したときその係合状態を保つ方向に図面に現れないねじりコイルスプリングにより付勢されている。
押さえ(プッシャー)24は上記蓋部22の中央部に形成された図面に現れない孔に、該孔に案内されて上下方向(蓋部22に対して垂直方向)に移動可能なるように嵌合されている。
【0031】
上記蓋部22の略中央部には図面に現れない雌ねじ穴が形成されている。34は押さえ操作部で、下部が柱状でその周面に上記雌ねじ穴に嵌合する雄ねじが形成されており、上部はその柱状部の軸と直交する操作片36となっており、その操作片36を回動することにより押さえ24を上下方向に移動することができる。蓋部22の上面には図面に現れないストッパーが突出形成され、該ストッパーに上記操作片34が係合して該操作片の回動範囲が略180°(度)に規定され、延いては、押さえ24の上下動範囲が一定値に規定される。
【0032】
このようなコンタクト機器は、蓋部22を開いた状態で、フレーム14により上下方向に案内され、上下動範囲の上側限界点に位置するフローティングボード8上に、下面に電極を配置した被測定装置、例えばIC(半導体集積回路装置)を載置する。すると、そのICの各電極は、上記フローティングボード8の各プローブ上部挿通孔10、10、・・・上に位置する。
次いで、蓋部22を閉め、そのロック片30のロック爪32をフレーム14の底辺の係合部に係合し、閉めた状態を保持する。
その後、上記操作部34の操作片28を指で操作して時計回り方向に操作すると約180°回動し、それに応じた量押さえ24が下側に移動し、被測定ICを下側に押さえる。
【0033】
すると、フローティングボード8は下側に押され、ハウジング2のプローブ収納孔に収納された各プローブ4、4、・・・の上部がフローティングボード8のプローブ上部挿通孔10、10、・・・内を遊挿されてそれより上に突出して被測定ICの電極に弾接する。これにより、被測定ICの各電極がコンタクト機器自身により他(例えばテスター回路)の各電極に接続された状態になる。
【0034】
このコンタクト機器においては、電極配置ピッチの異なる被測定装置を測定するときは、フローティングボード8とハウジング2のみを交換すればよい。即ち、電極配置ピッチの違いに対しては、フレーム14を交換する必要はなく、単に、ハウジング2と、該ハウジング2上に配置されるフローティングボード8を交換すれば、対応することができ、被測定装置の電極配置ピッチの違いに対応するに必要な準備すべき部材の数を従来よりも減らすことができ、延いては設備費を低減することができる。
【実施例2】
【0035】
図2(A)、(B)は本発明コンタクト機器の第2の実施例を示すもので、(A)はコンタクト機器の断面図、(B)は蓋部の分解斜視図である。
図面において、50はハウジング兼用フレームで、被測定IC51を受ける凹部52を有し、凹部52の内底面に当たる領域には、プローブ56、56、・・・が保持され、各プローブ56の上下両端は上下両面から突出せしめられている。該各プローブ56、56、・・・は図面では、単に恰も一つの針であるかのように図示したが、実際には、一対のプローブ素子とその間に介在するスプリングからなり、プローブ収納孔内に抜け止めされて収納されている。
【0036】
58、58はハウジング兼用フレーム50の一辺に形成された一対の蓋部支持片(図面には一方の蓋部支持片58のみ現れる。)で、一対の蓋部支持片58、58間には蓋部保持軸60が保持されている。
62は蓋部であり、中央部下面に押さえ64が納まる2段構造の凹部65が形成されている。
66、66、66、66は蓋部62に形成されたねじ孔で、蓋部62上面から延びて上記凹部66内底面に開口するように形成されている。70は蓋部62の一端部に設けられた被保持片、72は該被保持片70に形成された軸嵌合孔で、これには上記蓋部保持軸60が、その両端部が蓋部62側面から突出するように嵌合されている。
【0037】
そして、上述したように、その蓋部保持軸60の蓋部62側面から突出した部分が上記蓋部支持片58、58に固定されている。従って、蓋部62はハウジング兼用フレーム50の一辺に回動可能に保持された状態になる。更に、蓋部62は図面に現れないねじりコイルスプリングにより常に開く方向に付勢されている。
74はロック片で、蓋部62の上記被保持片70が設けられた辺と反対側の辺にて軸76により回動自在に取付けられている。78は該ロック片74の係合爪で、上記ハウジング兼用フレーム50の係合溝80に係合することにより蓋部62でハウジング兼用フレーム50の上側を塞いだ状態を保つことができる。尚、ロック片74は図面に現れないねじりコイルスプリングによりロック状態を保つ方向に付勢されている。
【0038】
上記押さえ64は上下方向に長い断面形状の軸挿孔82、82が形成されている。
84、84は上記ハウジング兼用フレーム50に形成された押さえ保持ねじ孔で、これには押さえ保持ねじ86がねじ込まれ、そして、該押さえ保持ねじ86が上記押さえ64の軸挿孔82、82に挿通されている。それにより、押さえ64は蓋部62の下部に上下動可能に保持された状態になる。
88、88、88、88は該押さえ64の上面に、上記ねじ挿通孔66、66、66、66に対応して形成されたねじ穴である。
【0039】
90、90、90、90は調整用ねじで、上記ねじ挿通孔66、66、66、66に挿通され、その先端部が上記ねじ穴88、88、88、88に螺合し、その各調整用ねじ90、90、90、90の螺合量の調整により押さえ64の向きを調整することができる。
【0040】
このようなコンタクト機器は次のように使用する。蓋部62を開いた状態で、先ず、上記ハウジング兼用フレーム50の凹部52上に被測定IC51を置く。すると、被測定IC51下面の各電極は、自己と対応するところのハウジング兼用フレーム50の各プローブ56、56、・・・上に位置せしめられる。
そして、蓋部62を図面に現れないねじりコイルスプリングのばね力に抗して閉じ、更に、ロック片74の上記係合爪78を係合溝部80に係合させてその蓋部62を閉じた状態を保つ。
【0041】
その状態で、測定を開始する。ところで、もし、被測定IC51の向きが悪く各電極のプローブに対する弾力が一定ではないときは、測定ができない。具体的には、測定値が予測値と全く異なる値になり、測定結果と認識できない値になる。
そこで、各調整用ねじ90、90、90、90のねじ穴88、88、88、88に対するねじ込み量を調整すると被測定IC51の向きが正常になりうる。そして、正常になると、各電極のプローブに対する弾力が一定になり、延いては測定が可能な状態になる。即ち、測定値が予想範囲内の値になり、その結果を以て測定結果とする。
【0042】
このようなコンタクト機器によれば、複数箇所の高さ微調整可能な調整ねじ90、90、90、90をそれぞれ独立して調整することができ、延いては、押さえ64の向きを微調整することができる。
従って、押さえ64の向きを微調整することができ、延いては、被測定IC51の各電極のプローブ56、56、・・・に対する圧力を均一化することができる。依って、良好な測定ができる。
【実施例3】
【0043】
図3は本発明コンタクト機器の第3の実施例の要部を示すところの被測定IC、フレーム、フローティングボード及びハウジングの分解斜視図である。
100、100、100及び100は同時に測定される被測定ICであり、本実施例のコンタクト機器は4個の被測定ICを同時に測定できるようになっている。
102はフレームで、4個のIC100、100、100及び100を同時に測定することができる大きさを有する。104はフローティングボードで、4個のIC100、100、100及び100を測定できるプローブ上部挿通孔106、106、・・・が形成されている。該フローティングボード104はフレーム102に吊下げ状に取付けられている。
【0044】
108はハウジングで、4個のIC100、100、100及び100の測定が可能な数のプローブ110、110、・・・が保持されている。
このように、本コンタクト機器は、複数個の被測定IC100、100、100及び100を同時に測定できるようにするものである。
本コンタクト機器によれば、一度に複数個の被測定装置を測定することができる。従って、測定効率を高めることができる。
【0045】
尚、このように、複数個の被測定ICを同時に測定することができるようにすることは、先ず、第1の実施例、第2の実施例に適用できる。第1の実施例に適用する場合には、フレーム14が被測定装置が複数個納まる大きさを有し、ハウジング2も複数の被測定装置分相応の大きさを有し、プローブ収納孔の数が前記複数個分の被測定装置の電極数以上であり、前記フローティングボードも、複数の被測定装置分相応の大きさを有し、前記プローブ収納孔の数以上のプローブ上部挿通孔を有するようにすることによって実現できる。
また、第2の実施例に適用する場合には、フレーム(ハウジング兼用フレーム)として複数個の被測定装置分の大きさを有し、プローブ収納孔が複数個の被測定装置分配設されたものを用いることによって為し得る。
また、この複数個の被測定装置を一度に測定する技術は第1、第2の実施例以外のタイプのコンタクト機器にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、被測定体の各電極と測定回路の各端子との間を電気的に接続するところの、一端が被測定体の電極に弾接(弾力を介して接触)し、他端が測定回路側のコードの電線等に弾接(弾力を介して接触)するコンタクトプローブを用いたコンタクト機器に一般的に広く利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明コンタクト機器の第1の実施例を示す分解斜視図である。
【図2】(A)、(B)は本発明コンタクト機器の第2の実施例を示すもので、(A)はコンタクト機器の断面図、(B)は蓋部の分解斜視図である。
【図3】本発明コンタクト機器の第3の実施例を示す被測定IC、フレーム、フローティングボード及びハウジングを示す分解斜視図である。
【図4】本発明の背景技術に係る一つのコンタクト機器の全体の斜視図である。
【図5】上記背景技術に係る上記一つのコンタクト機器を示すもので、(A)はフレーム及びそれに吊下状に取付けられたフローティングボードを斜め下側から視た斜視図、(B)はハウジングを斜め上側から視た斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
2・・・ハウジング、4・・・プローブ、
6・・・フローティングボードを付勢する手段、8・・・フローティングボード、
14・・・フレーム、16、18・・・位置規定手段、
20、21、26、27・・・ヒンジ機構、22・・・蓋部、24・・・押さえ、50・・・ハウジング兼用フレーム、51・・・被測定装置(被測定IC)、
62・・・蓋部、64・・・押さえ、66・・・調整ねじ、
100・・・被測定装置(被測定IC)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定装置が納まるフレームと、
複数のプローブ収納孔が配設され、該各プローブ収納孔にプローブが収納され、上記フレームの下部に着脱可能に取付けられたハウジングと、
上記ハウジング上に、上記フレーム内にて上下動可能になるように配置され、上記プローブ収納孔と対応するプローブ上部遊挿孔を有するフローティングボードと、
上記フレームに、ヒンジ機構を介して回動可能に取付けられ、上記フレームに納められた被測定装置を上側から押さえて該被測定装置の下面の各電極を上記フローティングボードの各プローブ上部挿通孔を通って該上部挿通孔から突出した状態になった各プローブの上部と接触させる押さえを有した蓋部と、
を有し、
上記ハウジングには、上記フローティングボードを上側に付勢する付勢手段を設け、
上記フレームには、上記フローティングボードの移動範囲の上側限界点を規定する位置規定手段を設けてなる
ことを特徴とするコンタクト機器。
【請求項2】
前記フレームは被測定装置が複数個納まる大きさを有し、
前記ハウジングは、配設されたプローブ収納孔の数が前記複数個分の被測定装置の電極数以上であり、
前記フローティングボードは、前記プローブ収納孔の数以上のプローブ上部挿通孔を有し、
複数個の被測定装置単位で測定が為し得るようにされた
ことを特徴とする請求項1記載のコンタクト機器。
【請求項3】
複数のプローブ収納孔が配設され、該各プローブ収納孔にプローブがその両端が両主面から突出する状態で収納されたハウジングと、
上記ハウジングに、ヒンジ機構を介して回動可能に取付けられ、上記フレームに納められた被測定装置を上側から押さえて該被測定装置の下面の各電極を上記ハウジングの各プローブ挿通孔から上に突出する各プローブの上部と接触させる押さえを有した蓋部と、
を少なくとも有するコンタクト機器であって、
上記押さえは蓋部に、複数箇所にて高さ微調整可能な調整ねじにより固定されてなる
ことを特徴とするコンタクト機器。
【請求項4】
前記ハウジングは、プローブ収納孔が複数個の被測定装置分配設され、
複数個の被測定装置単位で測定が為し得るようにされた
ことを特徴とする請求項3記載のコンタクト機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−38562(P2006−38562A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217235(P2004−217235)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(595041280)東洋電子技研株式会社 (7)
【Fターム(参考)】