説明

コンテンツデータ再生装置

【課題】乗員の煩雑な操作を要することなく乗員の心象に応じてバリエーションに富んだコンテンツデータの出力を行なうこと。
【解決手段】情報収集部12が「日時」「気象」「場所」「乗員構成」「目的地」「乗車目的」「運転状況」「交通状況」「体調」「再生頻度」「嗜好」「プロファイル」などの情報を収集し、心象推定部14が収集された情報から乗員の心象を推定する。メニュー設定部13は、推定された心象に基づいてタッチパネル32に作成する仮想的なボタンの内容を設定することで、簡易なユーザ入力でユーザの心象推定に必要な情報をさらに収集する。再生処理部15のデータ選択部15aは、推定した心象に適したコンテンツデータを選択してプレイリストを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて音源データや画像・映像データ等のコンテンツデータの出力を行なうコンテンツデータ再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今では、車両に対するユーザの要求も多様化しており、加速性や操縦性等の運動性能のみならず、車室内の居住性にも重点がおかれるようになってきている。
【0003】
こうした居住性向上の要求に応えるべく従来においても、車両及び/または車両付近の状況に適合した音楽データを再生するようにした車載再生装置が提供されている。例えば、特許文献1は、地域や天候などのキーワードに対応する音楽データを自動的に選択することで、山を走行中であれば山に関係する音楽を、雨が降っていれば雨に関係する音楽を再生する技術を開示している。また、特許文献2は、ユーザが自身の気分を入力した場合に、合致する音楽を選択して再生する技術を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2001−324335号公報
【特許文献2】特開2001−189969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザが希望するコンテンツデータは、必ずしも走行地域や天候に直接関係するとは限らず、ユーザの心象、すなわち乗車の目的や時間帯、体調など多様な状況の結果として生ずる心理状態によって定まる。そして、このような気分に合わせて再生を行なうためには、従来はユーザ自身の入力に頼る必要があった。
【0006】
すなわち、従来の技術では、ユーザの心象に合致した曲を自動的に選択して再生することができないという問題点があった。つまりは、多様な状況(乗車の目的や時間帯、体調等)の結果として生ずる心理状態に合致する楽曲を再生することができなかった。
【0007】
この発明は、上述した従来技術における問題点を解消するためになされたものであり、乗員の煩雑な操作を要することなく乗員の心象に応じてバリエーションに富んだコンテンツデータの出力を行なうことのできるコンテンツデータ再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係るコンテンツデータ再生装置は、車両に搭載され、コンテンツデータの再生を行なうコンテンツデータ再生装置であって、乗員の心象を推定する心象推定手段と、前記推定手段による推定結果に基づいて、複数のコンテンツデータから再生候補を選択する選択手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この請求項1の発明によればコンテンツデータ再生装置は、乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択する。
【0010】
また、請求項2の発明に係るコンテンツデータ再生装置は、請求項1に記載の発明において、日時情報、気象情報、自車両の位置情報、乗員構成、目的地、乗車目的、運転状況、交通状況、乗員の体調、コンテンツデータの再生頻度、コンテンツデータに対するユーザの嗜好性、ユーザのプロファイルのうち少なくともいずれかを取得する情報取得手段をさらに備え、前記心象推定手段は、前記情報取得手段が取得した情報を用いて前記乗員の心象を推定することを特徴とする。
【0011】
この請求項2の発明によればコンテンツデータ再生装置は、日時情報、気象情報、自車両の位置情報、乗員構成、目的地、乗車目的、運転状況、交通状況、乗員の体調、コンテンツデータの再生頻度、コンテンツデータに対するユーザの嗜好性、ユーザのプロファイルなどを用いて乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択する。
【0012】
また、請求項3の発明に係るコンテンツデータ再生装置は、請求項2に記載の発明において、自車両の走行履歴を記憶する走行履歴記憶手段をさらに備え、前記情報取得手段は、前記走行履歴から目的地および/または乗車目的を判定することを特徴とする。
【0013】
この請求項3の発明によればコンテンツデータ再生装置は、自車両の走行履歴を用いて乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択する。
【0014】
また、請求項4の発明に係るコンテンツデータ再生装置は、請求項1,2または3に記載の発明において、前記心象推定手段は前記乗員の心象の候補を複数推定してユーザに提示し、前記選択手段は、前記複数の心象候補のそれぞれについてコンテンツデータの再生候補を選択し、ユーザが前記複数の心象候補のいずれかを指定した場合に当該指定された心象候補に対応する再生候補を再生することを特徴とする。
【0015】
この請求項4の発明によればコンテンツデータ再生装置は、乗員の心象の候補を複数推定してユーザに提示するとともに、各心象の候補に対応する再生候補を選択し、ユーザが前記複数の心象候補のいずれかを指定した場合に当該指定された心象候補に対応する再生候補を再生する。
【0016】
また、請求項5の発明に係るコンテンツデータ再生装置は、請求項2,3または4に記載の発明において、前記乗員からの入力を受け付ける入力受付手段と、前記情報取得手段が取得した情報に基づいて、ユーザに対して提示する入力項目を制御する入力項目制御手段と、をさらに備え、前記心象推定手段は、前記入力受付手段が受け付けた入力項目に応じて前記乗員の心象を推定することを特徴とする。
【0017】
この請求項5の発明によればコンテンツデータ再生装置は、取得した情報に基づいて項目を制御した入力手段を用いて乗員からの入力を受け付け、受け付けた入力項目に応じて乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択する。
【0018】
また、請求項6の発明に係るコンテンツデータ再生装置は、請求項5に記載の発明において、前記心象推定手段は、前記心象の推定に必要な情報が不足した場合に前記入力受付手段による情報入力を要求することを特徴とする。
【0019】
この請求項6の発明によればコンテンツデータ再生装置は、心象の推定に必要な情報が不足した場合に、取得した情報に基づいて項目を制御した入力手段を用いて乗員からの入力を受け付け、受け付けた入力をさらに用いて乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択する。
【0020】
また、請求項7の発明に係るコンテンツデータ再生装置は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の発明において、前記選択手段は、前記再生候補の数が所定の範囲内となるようにコンテンツデータの選択条件を変更することを特徴とする。
【0021】
この請求項7の発明によればコンテンツデータ再生装置は、乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択する場合に、再生候補の数が所定の範囲内となるようにコンテンツデータの選択条件を変更する。
【発明の効果】
【0022】
また、請求項1の発明によればコンテンツデータ再生装置は、乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択するので、乗員の煩雑な操作を要することなく乗員の心象に応じてバリエーションに富んだコンテンツデータの出力を行なうことのできるコンテンツデータ再生装置を得ることができるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項2の発明によればコンテンツデータ再生装置は、日時情報、気象情報、自車両の位置情報、乗員構成、目的地、乗車目的、運転状況、交通状況、乗員の体調、コンテンツデータの再生頻度、コンテンツデータに対するユーザの嗜好性、ユーザのプロファイルなどを用いて乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択するので、乗員の心象を高精度に判定し、バリエーションに富んだコンテンツデータの出力を行なうことのできるコンテンツデータ再生装置を得ることができるという効果を奏する。
【0024】
また、請求項3の発明によればコンテンツデータ再生装置は、自車両の走行履歴を用いて乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択するので、走行履歴から推定した乗員の心象に応じてバリエーションに富んだコンテンツデータの出力を行なうことのできるコンテンツデータ再生装置を得ることができるという効果を奏する。
【0025】
また、請求項4の発明によればコンテンツデータ再生装置は、乗員の心象の候補を複数推定してユーザに提示するとともに、各心象の候補に対応する再生候補を選択し、ユーザが前記複数の心象候補のいずれかを指定した場合に当該指定された心象候補に対応する再生候補を再生するので、乗員の煩雑な操作を要することなく、簡易な操作で心象に合致したコンテンツデータの出力を行なうことのできるコンテンツデータ再生装置を得ることができるという効果を奏する。
【0026】
また、請求項5の発明によればコンテンツデータ再生装置は、取得した情報に基づいて項目を制御した入力手段を用いて乗員からの入力を受け付け、受け付けた入力項目に応じて乗員の心象を推定し、ユーザ入力を簡易化し、かつユーザ入力をさらに利用してユーザの心象を推定するコンテンツデータ再生装置を得ることができるという効果を奏する。
【0027】
また、請求項6の発明によればコンテンツデータ再生装置は、心象の推定に必要な情報が不足した場合に、取得した情報に基づいて項目を制御した入力手段を用いて乗員からの入力を受け付け、受け付けた入力をさらに用いて乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択するので、乗員の操作を最小限に抑えつつ乗員の心象に応じたコンテンツデータを高精度に選択するコンテンツデータ再生装置を得ることができるという効果を奏する。
【0028】
また、請求項7の発明によればコンテンツデータ再生装置は、乗員の心象を推定し、推定結果に基づいて複数のコンテンツデータから再生候補を選択する場合に、再生候補の数が所定の範囲内となるようにコンテンツデータの選択条件を変更するので、乗員の心象に応じてバリエーションに富んだコンテンツデータを適切な曲数で選択するコンテンツデータ再生装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るコンテンツデータ再生装置の好適な実施例について詳細に説明する。
【実施例】
【0030】
図1は、本発明の実施の形態であるコンテンツデータ再生装置10の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すようにコンテンツデータ再生装置10は、記憶装置20、入出力装置群30、速度センサ41、気温センサ42、照度センサ43、雨滴センサ44、通信装置45、シートセンサ46、ナビゲーション装置47および体計測センサ48に接続する。
【0031】
記憶装置20は、例えばハードディスクドライブなどの記録媒体を用いた記憶手段であり、コンテンツデータ21の他、地図情報22、自車両の走行履歴23、コンテンツデータの再生履歴24、コンテンツデータに対するユーザの嗜好性25(好きな楽曲や、ジャンルに関わる情報など)、ユーザのプロファイル情報26(性別や職歴、勤務先等)など各種情報を記憶している。また、コンテンツデータ21には、各楽曲について「爽やか」「スローテンポ」「夏」「ドライブ」などのキーワードを関連付けている。
【0032】
入出力装置群30は、スイッチ31、タッチパネル32、ディスプレイ33、スピーカ34などの入出力インターフェースであり、コンテンツデータ再生装置10やナビゲーション装置47の他、各種車載装置で共用される。
【0033】
速度センサ41は、自車両の走行速度を測定する測定手段であり、気温センサ42は車外の気温を測定する測定手段である。また、照度センサ43は、自車両周辺の明るさを測定する測定手段であり、雨滴センサ44は降雨・降雪の有無を検知するセンサである。さらに生体計測センサ48は、乗員の生体情報(体温、脳波、脈拍など)を計測するセンサである。
【0034】
通信装置45は、VICS(Vehicle Information and Communication System)による渋滞などの道路交通情報の受信、また車外のサーバとの通信による気象情報の取得やコンテンツサービスの受信などを実行する通信手段である。
【0035】
シートセンサ46は、座面に加わる圧力を検知することで各座席における乗員の着座状態を判別するセンサである。
【0036】
ナビゲーション装置47は、GPS(Global Positioning System)人工衛星との通信によって特定した自車両の位置と記憶装置20が記憶する地図情報22とを利用して走行経路の設定および誘導を行なう車載装置である。この経路の誘導は具体的にはディスプレイ33やスピーカ34を用いて行なう。また、ナビゲーション装置47は、コンテンツデータ再生装置10に対して自車両の位置情報や時刻情報を供給する。
【0037】
コンテンツデータ再生装置10は、記憶装置20が記憶するコンテンツデータ21を再生する装置であり、その内部に日時管理部11、情報収集部12、メニュー設定部13、心象推定部14、再生処理部15を有する。
【0038】
日時管理部11は、日時の管理、例えば曜日や祝祭日の他、乗員の誕生日など個人の特別な日を記憶する。情報収集部12は、日時管理部11、速度センサ41、気温センサ42、照度センサ43、雨滴センサ44、通信装置45、シートセンサ46、ナビゲーション装置47、生体計測センサ48、記憶装置20、入出力装置群30から情報を収集する。
【0039】
心象推定部14は、情報収集部12が収集した情報に基づいて、乗員の心象を推定する。そして、再生処理部15内部のデータ選択部15aは、乗員の心象に適したコンテンツデータを選択してプレイリストを作成し、図5に示すようにディスプレイ33に心象に対応するメニュー項目を表示し、表示されたメニュー項目からユーザが選択したメニュー項目に対応するプレイリストを抽出し、再生処理部15がプレイリストに沿ってコンテンツデータの再生を実行する。
【0040】
メニュー設定部13は、ディスプレイ33に仮想的なボタンを表示させ、タッチパネル32が操作された場合にタッチ位置に対応するディスプレイ33の座標に表示したボタンが操作されたものとして処理する。また、仮想的なボタンとして表示する項目は、心象推定部14の推定結果によって決定する。
【0041】
特に心象の推定に必要な情報が少ない場合、すなわち、情報収集部12が収集した情報のみでは心象推定されたメニュー項目が少ない場合には、収集した情報からは推定できない心象に対応する項目を表示する。例えば、休日の朝に一般道を走行しているなら、ドライバーは「眠い」だろうとして「まだ眠い」という項目を表示する。尚、このように推定できない項目は、予め記憶装置に記憶させておく。
【0042】
図2は、コンテンツデータ再生装置10によるプレイリスト作成の具体例を示す図である。同図に示すように、時間が「朝」、天気が「晴れ」、現在地が「高速道路」、交通状況が「渋滞なし」、同乗者が「友人」、乗車目的が「遊園地に遊びに行く」という状況(シーン)においては、コンテンツデータ再生装置10は、上述した状況に対応する項目例えば「遊びに行く」項目に合致する「楽しい」「気分高揚」「アップテンポ」などのイメージを持つコンテンツデータを選択してプレイリストを作成する。尚、プレイリストは状況から複数の項目を選択し、項目毎に作成させる。
【0043】
一方、時間が「夜」、天気が「雨」、現在地が「一般道(県道)」、交通状況が「渋滞なし」、同乗者が「なし(運転者のみ乗車)」、乗車目的が「帰宅」という状況(シーン)においては、コンテンツデータ再生装置10は、上述した状況に対応する項目例えば「一人でしんみり」に合致する「しんみり」「寂しい」「スローテンポ」などのイメージを持つコンテンツデータを選択してプレイリストを作成する。
【0044】
ここで、データ選択部15aは、プレイリストを作成する場合に、再生候補の数が所定の範囲内となるようにコンテンツデータの選択条件を変更する。すなわち、図3に示すように「爽やか」なイメージを有する曲が最も合致し、つぎに「明るい」イメージを有する曲が合致する状況において、「爽やか」なイメージを有する曲が所定数(例えば100曲)以上あるならば「爽やか」なイメージを有する曲のみでプレイリストを作成し、「爽やか」なイメージを有する曲が所定数未満であるならば、「明るい」イメージを有する曲と組み合わせてプレイリストを作成する。
【0045】
つづいて、情報収集部12が取得する情報、すなわち心象推定の要因について図4を参照して説明する。同図に示すように、情報収集部12は「日時」「気象」「場所」「乗員構成」「目的地」「乗車目的」「運転状況」「交通状況」「体調」「再生頻度」「嗜好」、「プロファイル」などを取得する。
【0046】
「日時」の情報は、具体的には季節、日付、時間帯、曜日、祝祭日、個人の特別な日、季節イベントなどであり、ナビゲーション装置47から取得した時刻情報や、日時管理部11の管理機能から取得することができる。
【0047】
「気象」の情報は、晴れや雨、雪などの天候、気温、明るさ(照度)などであり、気温センサ42、照度センサ43、雨滴センサ44の出力、通信装置45による通信によって取得することができる。
【0048】
「場所」の情報は、現在位置のエリア(例えば海、山、市街地、郊外、田園地帯など)、走行道路(一般道や高速道路など)、施設などであり、ナビゲーション装置47が出力する位置情報と地図情報22を使用して取得することができる。
【0049】
「乗員構成」の情報は、運転者の他に乗員がいるか否か、いる場合には、その人数、乗車位置、乗員間の関係(家族、友人、上司など)であり、シートセンサ46の出力や音場制御(リスニングポジション設定)によるユーザ入力情報などから取得することができる。
【0050】
「目的地」の情報は、目的地の種類(たとえば職場、顧客、娯楽施設、店舗、病院など)と目的地までの距離を示すものであり、ナビゲーション装置47やユーザプロファイルによって取得することができる。
【0051】
「乗車目的」の情報は、乗車の目的を示すものであり、ナビの設定、目的地情報、日時、気象、乗員構成や走行履歴23、ユーザプロファイル情報から推定することができる。
【0052】
「運転状況」は、目的地までの所要時間、運転を開始してからの経過時間、車両が走行中であるか否か、また停車中である場合はその目的(待ち合わせ等)などの情報であり、ナビゲーション装置47や速度センサ41の出力、またユーザ入力によって取得することができる。
【0053】
「交通状況」は、渋滞の発生状況や工事の実施状況などの情報であり、ナビゲーション装置47や速度センサ41の出力、通信装置45による通信によって取得することができる。
【0054】
「体調」は、乗員(特に運転者)が元気、眠い、疲れている、などの状態を示すものであり、時刻や乗車目的、生体計測センサ48が計測した生体情報から推定することができる(例えば時刻が早朝や深夜であれば眠い、乗車時間が長ければ疲れている、目的地が娯楽施設であれば元気と推定する)。また、ユーザからの入力によっても特定することが可能である。
【0055】
「再生頻度」は、各コンテンツデータの再生頻度の推移であり、再生履歴24から取得することができる。この再生頻度を用いれば、例えば最近入手したコンテンツについては頻繁に再生することを希望している可能性がある、以前は頻繁に再生していたが最近の再生頻度が小さいコンテンツについては「久しぶりに聴きたい」と考える可能性がある、などの推定を行なうことができる。
【0056】
心象推定部14は、これらの情報を用いて、車両乗員の心象を推定する。そして、メニュー設定部13は、推定結果を用い、図5に示すように仮想的なボタンとして表示する項目(メニュー項目)を決定する。
【0057】
同図では、メニュー設定部13は表示する項目の候補として「さわやかな朝」「穏やかな昼」「切ない夕方」「静かな夜」「眠い」「遊びに行く」「これから仕事」「これから帰宅」「イライラ解消」「快適ドライブ」「高速ドライブ」「お疲れさま」「一人でしんみり」「みんなでワイワイ」などを有する。
【0058】
そして、このメニュー候補から、現在の状況(情報収集部12が収集した情報)に対応する項目と、予め定められた項目を選択して表示する。
【0059】
例えば、現在の状況が「平日の夕方」に「一般道」を走行中である場合には、メニュー項目として「切ない夕方」「遊びに行く」「快適ドライブ」「一人でしんみり」「みんなでワイワイ」を表示する。時刻が夕方であることから「切ない夕方」の項目は自動的に選択することができる。また、その他の項目は現在の状況から推定することができず、予め定められた項目である。
【0060】
同様に、現在の状況が「休日の朝」に「一般道」を走行中である場合に、メニュー項目として「爽やかな朝」「まだ眠い」「遊びに行く」「快適ドライブ」「一人でしんみり」「みんなでワイワイ」を表示する。休日の朝であることから「爽やかな朝」で「まだ眠い」を選択する。その他の項目は現在の状況からでは推定することができず、予め定められた項目である。
【0061】
つぎに、「休日の昼」に「高速道路」を走行中であり、「長時間運転中」で道路が「渋滞中」である場合には、「穏やかな昼」「イライラ解消」「お疲れさま」「高速ドライブ」「一人でしんみり」「みんなでワイワイ」を表示する。また、この状況では時刻が昼であることから「穏やかな昼」、「高速道路」から「高速ドライブ」、「渋滞中」から「イライラ解消」、「長時間運転中」から「お疲れさま」をそれぞれ推定することができる。
【0062】
同様に、「休日の深夜」に「一般道」を走行中であり、乗車目的が「帰宅」である場合には、「静かな夜」「眠い」「お疲れさま」「一人でしんみり」「みんなでワイワイ」を表示する。この状況では時刻が夜であることから「静かな夜」「眠い」を、乗車目的から「帰宅」と「お疲れさま」を自動的に選択できる。
【0063】
このように、状況に適合する項目を自動的に選択し、さらに選択項目が少ない場合には、予め定めたメニュー項目を選択して表示することで、ユーザが直接心象を入力したり、推定するための情報を入力する労力を軽減することができる。
【0064】
また、メニュー項目は学習によっても補正することが望ましい。例えば図6に示した例では、「平日の朝」「一般道」「渋滞無し」の状況において、学習前には「爽やかな朝」「まだ眠い」「遊びに行く」「快適ドライブ」「一人でしんみり」「みんなでワイワイ」を表示している。
【0065】
しかし、走行履歴から同じ位置(特定企業)への移動が繰り返し発生し、また「遊びに行く」が選択されていないならば、その内容から、乗車目的が「通勤」同乗者「なし」であると学習する。その結果、「遊びに行く」「快適ドライブ」「みんなでワイワイ」の表示を止め、「仕事に行く」を追加している。
【0066】
つぎに、コンテンツデータ再生装置10の処理動作について図7を参照して説明する。同図に示すフローチャートは、コンテンツデータの再生が必要になった場合、具体的には、コンテンツデータ再生装置の電源が投入され、ユーザからオーディオ画面の表示を要求された場合に実行される。
【0067】
同図に示す処理が開始されると、まず、情報収集部12が日時管理部11、速度センサ41、気温センサ42、照度センサ43、雨滴センサ44、通信装置45、シートセンサ46、ナビゲーション装置47、生体計測センサ48、記憶装置20、入出力装置群30から情報を収集する(ステップS101)。
【0068】
つぎに心象推定部14が心象を推定する(ステップS102)。さらに、この推定結果に基づき、メニュー設定部13がメニュー項目を選択し、選択されたメニューが少なければ(ステップS103,No)、予め定められた項目又は連想される或いは学習から推定できる項目を追加する(ステップS104)。
【0069】
そして、選択されたメニュー項目の数が十分になれば(ステップS103,Yes、もしくはステップS104終了後)、データ選択部15aがメニュー項目毎にプレイリストを作成し(ステップS105)、メニュー設定部13で選択されたメニュー項目からなるメニュー画面を表示して(ステップS106)、メニュー画面から選択されたメニュー項目に対応するプレイリストの再生を処理部15が実行し(ステップS107)、処理を終了する。
【0070】
上述してきたように、本発明にかかるコンテンツデータ再生装置では、「日時」「気象」「場所」「乗員構成」「目的地」「乗車目的」「運転状況」「交通状況」「体調」「再生頻度」「嗜好」「プロファイル」などの情報から乗員の心象を推定し、推定された複数の心象項目を提示することで乗員の煩雑な操作を要することなく乗員の心象に応じてバリエーションに富んだコンテンツデータの出力を行なうことができる。
【0071】
ところで自動的に取得した情報が不足し、乗員の心象の推定が困難である場合などには、不足した情報の入力をユーザから受け付けるようにすればよい。
【0072】
例えば、図8に示したように、日時が「平日の昼」、道路が「一般道」、同乗者「有り」であって、乗車目的や同乗者との関係が不明である場合、ユーザに対して乗車目的や同乗者との関係について入力を求めることで、乗員の心象を推定することができる。
【0073】
同図では、乗車目的「遊びに行く」や同乗者との関係「友人」が入力された場合には、「遊びに行く」「みんなでワイワイ」の項目を表示し、乗車目的「仕事」や同乗者との関係「仕事関係」が入力された場合には「これから仕事」「これから帰宅」の項目を表示することとしている。
【0074】
また、心象推定の結果、項目を表示した場合であっても、その項目にユーザが希望する項目が漏れている場合が考えられる。そのため、図9に示すように、プレイリストの選択画面に「その他」などのボタンを表示しておき、このボタンが選択された場合には、全ての項目を表示するように構成することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態であるコンテンツデータ再生装置の概要構成を示す概要構成図である。
【図2】本発明にかかるプレイリスト作成の具体例を説明する説明図である。
【図3】コンテンツデータの選択条件変更について説明する説明図である。
【図4】心象推定の要因について具体例を説明する説明図である。
【図5】メニュー項目の設定について説明する説明図である。
【図6】メニュー項目の学習による変化について説明する説明図である。
【図7】図1に示したコンテンツデータ再生装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【図8】ユーザ入力画面の具体例を示す図である。
【図9】メニュー項目表示画面の具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10 コンテンツデータ再生装置
11 日時管理機能
12 情報収集部
13 メニュー設定部
14 心象推定部
15 再生処理部
15a データ選択部
20 記憶部
21 コンテンツデータ
22 地図情報
23 走行履歴
24 再生履歴
25 コンテンツデータに対するユーザの嗜好性情報
26 ユーザのプロファイル情報
30 入出力装置群
31 スイッチ
32 タッチパネル
33 ディスプレイ
34 スピーカ
41 速度センサ
42 気温センサ
43 照度センサ
44 雨滴センサ
45 通信装置
46 シートセンサ
47 ナビゲーション装置
48 生体計測センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、コンテンツデータの再生を行なうコンテンツデータ再生装置であって、
乗員の心象を推定する心象推定手段と、
前記推定手段による推定結果に基づいて、複数のコンテンツデータから再生候補を選択する選択手段と、
を備えたことを特徴とするコンテンツデータ再生装置。
【請求項2】
日時情報、気象情報、自車両の位置情報、乗員構成、目的地、乗車目的、運転状況、交通状況、乗員の体調、コンテンツデータの再生頻度、コンテンツデータに対するユーザの嗜好性、ユーザのプロファイルのうち少なくともいずれかを取得する情報取得手段をさらに備え、前記心象推定手段は、前記情報取得手段が取得した情報を用いて前記乗員の心象を推定することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項3】
自車両の走行履歴を記憶する走行履歴記憶手段をさらに備え、前記情報取得手段は、前記走行履歴から目的地および/または乗車目的を判定することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項4】
前記心象推定手段は前記乗員の心象の候補を複数推定してユーザに提示し、前記選択手段は、前記複数の心象候補のそれぞれについてコンテンツデータの再生候補を選択し、ユーザが前記複数の心象候補のいずれかを指定した場合に当該指定された心象候補に対応する再生候補を再生することを特徴とする請求項1,2または3に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項5】
前記乗員からの入力を受け付ける入力受付手段と、前記情報取得手段が取得した情報に基づいて、ユーザに対して提示する入力項目を制御する入力項目制御手段と、をさらに備え、前記心象推定手段は、前記入力受付手段が受け付けた入力項目に応じて前記乗員の心象を推定することを特徴とする請求項2,3または4に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項6】
前記心象推定手段は、前記心象の推定に必要な情報が不足した場合に前記入力受付手段による情報入力を要求することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツデータ再生装置。
【請求項7】
前記選択手段は、前記再生候補の数が所定の範囲内となるようにコンテンツデータの選択条件を変更することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のコンテンツデータ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−108134(P2007−108134A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301899(P2005−301899)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】