説明

コンテンツ配信システムとそのモバイル端末

【課題】視聴者の満足の度合いをさらに高めること。
【解決手段】一般ユーザは、視聴したいイベントを運用管理サーバ9にリクエストする。運用管理サーバ9はリクエストを集計し、その結果をWebページに公開する。このWebページを閲覧した他の一般ユーザも同様にリクエストを上げ、その集計を次々にWebページに反映させる。このWebページを閲覧した事業者は、リクエスト数などの指標と自らの事業体力などに基づく判断により事業価格をWebサーバに提示し、オークション形式でコンテンツ配信の権利を落札する。このようにして事業者と放送局とを分離し、視聴者のニーズを満たすとともに事業者の動機付けも向上させる。さらに、モバイル端末に向けコンテンツを配信するモバイル放送局BSにコンテンツのスクランブル機能を持たせ、解読鍵を通知されたモバイル端末においてのみコンテンツを視聴できるようにして、ペイパービューによる正当な課金を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばIP(Internet Protocol)ネットワークを介して不特定多数の視聴者に映像コンテンツを配信するコンテンツ配信システムと、この種のシステムに用いることの可能なモバイル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットなどのIPネットワークを介して映像コンテンツを配信するシステムが知られている。放送局と各ユーザとを結ぶ回線の容量は年々拡大しており、その品質も高くなってきている。さらに、WiMAX(worldwide interoperability for microwave access)といった新たなモバイルブロードバンド回線の構築に伴い、新たな形態のサービスを提供できる素地も生まれてきている。
【0003】
放送コンテンツとして代表的なものに、コンサートなどのイベント中継、あるいはスポーツ中継がある。現状ではテレビ局がこれらのコンテンツを独自の基準で選定するようになっているので、個々の視聴者が真に欲するコンテンツを配信できているとは言いがたい面がある。つまり旧来の視聴率に頼った選定基準では均一化されたコンテンツになりがちで、野球やサッカーなど知名度の比較的高い種目に絞られざるを得ない側面がある。また中継事業者も局の意向に束縛されがちであり、多様なコンテンツ制作の動機付けを持つことは難しい。
【0004】
近年ではインターネット上の動画配信サイトからコンテンツを視聴することもできるようになっているが、一般ユーザの真のニーズを捉えたコンテンツが配信されるとは限らない。例えば特許文献1にユーザからのリクエストに基づき表示コンテンツを選択するシステムが開示されているが、この技術によってもコンテンツの多様性へのモチベーションを高めることは難しい。
【0005】
その一方で、PDA(Personal Digital Assistant)あるいはスマートフォンなどの高機能端末には、地上ディジタル放送のワンセグメント放送(以後ワンセグ放送と称する)などのテレビジョン放送受信機能を備える端末が増えてきている。この種のモバイル端末を使用すれば、ユーザは放送サービスエリア内であれば何時どこにいてもテレビジョン放送を視聴することが可能となる。この種の端末やシステムが普及するにつれコンテンツへの要求はますます多様になっていくと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−199241
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、スポーツ中継やイベント中継のほとんどはテレビ局が一方的に選定して放送するだけであり、一般ユーザが個々に見たい中継が大きく制約を受ける。中継事業者の数も限られており、いずれも放送局の意図を汲まざるを得ないことから、知名度の低いイベントの中継はより一層難しくなる。また、コンテンツ中継事業者もアナウンサーやカメラマン、解説者などをテレビ局の中から選定せざるをえず、本当の意味での競争があるとはいえない。よって視聴者は中継事業者のスキル向上に不満を感じる場合もあり、配信されたコンテンツを心から楽しめないこともある。
この発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、視聴者をより満足させることの可能なコンテンツ配信システムとそのモバイル端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためにこの発明の一態様によれば、配信を要求するイベントのリクエストを、モバイル端末を含む複数の端末デバイスから前記ネットワークを介して収集する収集手段と、前記収集されたリクエストをイベントごとに集計してリストを生成するリスト生成手段と、前記リストを一定期間にわたり前記ネットワークのサイトに公開する公開手段と、前記リストに含まれるコンテンツごとに、複数の主体者からの配信の意思表示を前記サイトを介して受け付ける受け付け手段と、前記意思表示した主体者の中から配信権を与える権利者を、既定の条件のもとで前記リストに含まれるコンテンツごとに選定する選定手段と、前記配信権を得た権利者にその旨を通知する通知手段とを具備するコンテンツ配信システムが提供される。
【0009】
以上の構成において、主体者とはコンテンツを配信することの可能な主体を意味する。例えばイベントの主催者やコンテンツ配信事業の運営会社などが主であるが、これに限らず、コンテンツ中継を行う中継事業者、イベントの主演者、選手、あるいはコンテンツ作成手段を持つ一般のユーザなども主体者に含まれる。近年ではコンテンツの作成環境が充実しコストも下がってきていることから、視聴に耐えるコンテンツを一般のユーザが作成することは十分に有り得る。
【0010】
上記手段を講じることにより、視聴したいコンテンツのリクエストが、モバイル端末や固定端末(パーソナルコンピュータなど)を含む端末デバイスからネットワーク経由で収集され、その結果一覧にまとめたリストが例えばWebサイトに公開される。各事業者はそのリストを閲覧し、各々の事業体力に応じた価格を提示して例えばオークション形式で配信の権利を落札することができる。このような構成であるから、スポーツ中継やイベント中継などのコンテンツをネットワークを介して視聴可能とするビジネスに、スキルさえあれば多くの主体者(事業者を含む)が自由に参画することが可能になる。ユーザにとっても自己の欲するコンテンツをリクエストの形で主体者に通知することができるし、視聴したいものに対する選択肢を飛躍的に増やすことができるようになる。従って、一般の視聴者だけでなく、コンテンツ配信ビジネスに参画しようとする意思を持つ者に対しても双方にメリットのあるシステムを実現することが可能になる。
【0011】
さらに本発明によれば、コンテンツ配信システムは、前記権利者から提供されるコンテンツを前記ネットワークを介して要求元のモバイル端末に配信するモバイル配信手段と、このモバイル配信手段により配信されるコンテンツを前記ネットワークにおいて秘匿すべくスクランブル化するスクランブル手段と、前記スクランブルを解くための鍵情報を前記要求元のモバイル端末に通知する鍵通知手段とを備える。
【0012】
またモバイル端末は、配信を要求するイベントのリクエストを前記コンテンツ配信システムに与えるリクエスト手段と、スクランブル化されて配信されるコンテンツのスクランブルを解くための鍵情報を前記コンテンツ配信システムから取得する鍵取得手段と、この取得した鍵情報を用いて前記コンテンツを解読する解読手段とを具備する。このような手段により、鍵情報を取得したモバイル端末においてのみ配信コンテンツを視聴することが可能になる。すなわち受信者を特定可能とすることにより、例えば地上ディジタル放送用ワンセグ放送を受信可能なモバイル端末を本願発明に係わるコンテンツ配信システムに組み込み、適切な課金を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、視聴者をより満足させることの可能なコンテンツ配信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明に係わるコンテンツ配信システムの概要を示すシステム図。
【図2】図1の運用管理サーバ9の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図3】運用管理サーバ9により公開されるWebページの一例を示す図。
【図4】図1に示すモバイル端末の一実施の形態を示す機能ブロック図。
【図5】図1のコンテンツ配信システムにおける処理の流れの一例を示すシーケンス図。
【図6】モバイル端末PS1におけるコンテンツの聴取に係わる処理手順を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はこの発明に係わるコンテンツ配信システムの概要を示すシステム図である。図1において、スポーツの試合などが開催されるイベント会場1の模様はカメラマン2により撮影され、アナウンサーや解説者3などの音声も加えて編集所4で編集され、中継あるいは配信のためのコンテンツが作成される。このコンテンツは、WiMAX用基地局5などからIPネットワーク7を直接経由してPCユーザ8およびモバイル端末PS1,PS2に配信される。それぞれの端末デバイスのユーザは配信されたコンテンツを視聴する。なおこの実施形態では「配信」と「中継」とをほぼ同義として用いる。
【0016】
WiMAXなどの大容量回線を用いることで、イベントの現場から生中継のコンテンツをIPネットワーク7に流し込むことができる。視聴者は自らの保有する端末デバイスを用いて配信コンテンツを視聴することが可能である。なお、配信されたコンテンツをコンテンツサーバ6に一旦録画し、一般ユーザからの要求に応じてオンデマンド配信するようにしてもよい。コンテンツサーバ6はコンテンツ配信事業を請け負う中継事業者、放送局、あるいはマネジメント業務を担う運営会社により管理されても良いし、あるいはこれらから独立した事業体により管理されるものであっても良い。
【0017】
ところで、図1のシステムは運用管理サーバ9、モバイル放送局BSおよびセルラ基地局CSを備え、これらはいずれもIPネットワーク7に接続される。ユーザが保持するモバイル端末PS1、PS2はセルラ基地局CSに接続して双方向通信を実施できるのに加え、モバイル放送局BSから送信される動画像コンテンツを取得することができる。すなわちモバイル放送局BSは、IPネットワーク7を介して配信されるコンテンツをモバイル端末PS1,PS2に向け配信する。またモバイル放送局BSは、IPネットワーク7経由でモバイル端末PS1,PS2向けに配信されるコンテンツにスクランブルをかけ、ネットワークの無線区間において配信コンテンツを秘匿する機能を持つ。このスクランブルを解くための鍵情報は運用管理サーバ9の中の92gの暗号鍵管理部において管理される。
【0018】
図2は、図1の運用管理サーバ9の実施の形態を示す機能ブロック図である。運用管理サーバ9はいわゆるWebサイトとしての機能を備え、IPネットワーク7に接続されるインタフェース部91と、CPU(Central Processing Unit)による演算処理機能を持つ制御部92と、大容量メモリなどの記憶部93とを備える。
【0019】
制御部92はこの実施形態に関わる処理機能として収集処理部92aと、ページ作成部92bと、ページ公開部92cと、オークション機能部92dと、ランク付け処理部92eと、課金処理部92fと、暗号鍵管理部92gとを備える。
収集処理部92aは、PCユーザ8あるいはモバイル端末PS1,PS2から送信されるイベントリクエストを収集する。すなわちPCユーザ8の端末、およびモバイル端末PS1,PS2はIPネットワーク7を介して運用管理サーバ9にアクセスする機能を備え、テキストデータ、あるいはWeb投票などの形で、配信を希望するイベントのリクエストを運用管理サーバ9に送出する。収集処理部92aはこのリクエストをIPネットワークを介して複数のユーザから収集する。また収集処理部92aは、配信されたコンテンツへの評価を、例えばWeb投票などの形でIPネットワーク7を介して収集する。
【0020】
ページ作成部92bは、収集されたリクエストをイベントごとに集計してリストアップし、図3に示すようなWebページを作成する。このWebページのソースコードデータは記憶部92に、Webページソースデータ93aとして記憶される。このWebページはページ公開部92cにより、IPネットワーク7上に一定の期間にわたって公開される。PCユーザ8、モバイル端末PS1,PS2はもちろんのこと、コンテンツ配信事業者や他の事業者の全てがこのWebページにアクセスすることができる。
【0021】
図3は、運用管理サーバ9により公開されるWebページの一例を示す図である。このWebページは例えばイベントのエントリー期間に渡って公開される。図3において、日付(図3では10月10日)ごとに、予定されているイベントに対する、番組コード、開始時刻、修了時刻、イベント名、場所、一般ユーザからのリクエスト数、および中継事業者の候補がリスト表示される。
【0022】
すなわちページ作成部92bはPCユーザ8から収集したリクエストに基づき、イベントごとに番組コードを付し、イベントのリクエスト数、中継事業者の候補などを集計し、表にまとめてWebページソースデータ93aを作成する機能を持つものである。Webページを参照したユーザおよび事業者は、要望されているイベントの登録の状況、およびリクエストの状況を知ることができる。
【0023】
図3における中継事業者候補の順位は、例えば過去の中継実績から得た一般ユーザからの評価をポイントとしてカウントし、そのポイントの高い順番である。その順位に従ってコンテンツの配信権を与えるようにすることができる。また、この順位は中継事業者がコンテンツ配信を希望する意思表示を示した時点で確定することができ、ただちにWebページの表示内容に反映される。
【0024】
図2に戻り、オークション機能部92dは、図3のWebページに示される番組コンテンツごとに、複数の事業者からの配信の意思表示をWebサイトを介して受け付ける。オークション機能部92dは、意思表示に付随する条件、例えば配信権取得のための価格に基づいて1つの事業者を選定する。すなわちオークション機能部92dは番組コードに対応付けて配信権を設定し、この配信権への各事業者からの入札をオークション形式で受け付ける。
【0025】
配信権は、例えば上述の過去の中継実績から得た評価ポイントによる重み付け等も加味した上で、エントリー期間においてより低い価格を提示した事業者に落札される。エントリー期間が過ぎて落札事業者が決定すると、その旨が落札事業者に通知される。通知にあたってはWebサイトに公開しても良いし、あるいは秘匿メッセージにより落札事業者のみに知らせても良い。特に、視聴リクエスト数の大きい番組コンテンツについては複数事業者による配信を許可するようにしてもよい。このようにすれば中継事業者の競争意識を醸成してスキル向上への動機付けをもたらすことができる。
【0026】
ランク付け処理部92eは、収集処理部92aにより収集された配信コンテンツへの評価ポイントを統計的に処理し、その結果に基づいて事業者をランク付けする。このランク付けの結果は例えば図3のWebページで公開される。すなわち、中継事業者候補として示される社名(A社、B社、…)の並んでいる順番がランク付けに対応する。例えば最も左側に位置する事業者のランクが最高で、右に行くほどランクも下がるというようにランクを示せばよい。
課金処理部92fは、コンテンツを視聴したユーザに対する課金処理を行う。特に課金処理部92fは、コンテンツの配信を受けたモバイル端末PS1,PS2からコンテンツの受信状況を取得する。受信状況とは例えばコンテンツの配信期間のうち視聴可能な状態を確保できた時間の総計、あるいは割合として示すことができる。つまりモバイル端末においては移動により電波の受信状況が刻々と変化するので、配信期間の全てにおいて良好な画像を取得できるとは限らない。そこでこの実施形態ではモバイル端末において受信状況を管理し、視聴終了後に運用管理サーバ9に受信状況を通知する。課金処理部92fはモバイル端末から取得した受信状況に応じて、例えば従量課金により、その受信状況の取得元のモバイル端末のユーザに課金する。このようにすることで、モバイル端末によるコンテンツ視聴に対してペイパービューを実現することができる。
【0027】
暗号鍵管理部92gは、モバイル放送局BSにおいてスクランブル化された配信コンテンツのスクランブルを解くための鍵情報を保持し、正当な受信者であるモバイル端末に対してのみ、この鍵情報(解読鍵)をIPネットワーク7経由で通知する。解読鍵は、例えばコンテンツの配信に先立ち、このコンテンツ配信を要求したモバイル端末に電子メールのかたちで通知される。例えば電子メールに解読鍵を示すコードをテキストで記載しても良いし、あるいは電子メールに実行ファイルを添付し、そのファイルのアイコンをクリックすれば自動的に解読鍵がダウンロードされるようにしてもよい。
【0028】
図4は、図1に示すモバイル端末の一実施の形態を示す機能ブロック図である。図1のセルラ基地局CSから送信された無線信号は、アンテナAで受信されたのちアンテナ共用器(DUP)Dを介して受信回路(RX)130に入力される。受信回路130は、上記受信された無線信号を周波数シンセサイザ(SYN)140から出力された局部発振信号とミキシングして中間周波信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。そして、このダウンコンバートされた中間周波信号を復調して受信ベースバンド信号を出力する。なお、上記周波数シンセサイザ140から発生される局部発振信号の周波数は、制御ユニット230から出力される制御信号SYCによって指示される。
【0029】
受信ベースバンド信号は信号処理ユニット160に入力され所定の伝送フォーマットの受信パケットデータが再生される。この受信パケットデータは圧縮伸長処理ユニット(以後コンパンダと称する)170に入力される。コンパンダ170は、信号処理ユニット160から出力された受信パケットデータを多重分離部によりメディアごとに分離する。そして、この分離されたメディアごとにそのデータに対しそれぞれ復号処理を行う。例えば、通話モードにおいては、受信パケットデータに含まれている通話音声等のオーディオデータをスピーチコーデックにより復号する。またテレビジョン電話モードのように、受信パケットデータにビデオデータが含まれていれば、このビデオデータをビデオコーデックにより復号する。
【0030】
上記復号処理により得られたディジタルオーディオ信号はPCM符号処理ユニット(以後PCMコーデックと称する)180に供給される。PCMコーデック180は、コンパンダ170から出力されたディジタルオーディオ信号をPCM復号してアナログオーディオ信号を出力する。このアナログオーディオ信号は、受話増幅器190にて増幅されたのちスピーカ200から出力される。
【0031】
コンパンダ170により復号されたディジタルビデオ信号は、制御ユニット230に入力される。制御ユニット230は、コンパンダ170から出力されたディジタルビデオ信号を、ビデオRAMを介してディスプレイ280に表示する。なお、制御ユニット230は、受信されたビデオデータばかりでなく、図示しないカメラにより撮像されたビデオデータについてもビデオRAMを介してディスプレイ280に表示する。
【0032】
また、上記受信パケットデータが電子メールやWebサイトからダウンロードされたデータであれば、これらの受信データは信号処理ユニット160から制御ユニット230に入力される。制御ユニット230は、上記入力された受信データを記憶ユニット240の受信データ記憶エリアに保存すると共に、入力デバイス270におけるユーザの表示操作に応じてディスプレイ280に表示させる。
【0033】
一方、通話モードにおいて、マイクロホン210に入力された話者の音声信号は、送話増幅器220により適正レベルまで増幅されたのち、PCMコーデック180によりPCM符号化処理が施されてディジタルオーディオ信号となり、コンパンダ170に入力される。また、図示しないカメラから出力されるビデオ信号は、制御ユニット230によりディジタル化されてコンパンダ170に入力される。なお、制御ユニット230において作成された電子メールも、制御ユニット230からコンパンダ170に入力される。
【0034】
コンパンダ170はディジタルオーディオ信号を符号化してオーディオデータを生成する。また、制御ユニット230から出力されたディジタルビデオ信号を符号化してビデオデータを生成する。さらに、制御ユニット230から電子メールが出力された場合にも、そのテキストデータ等を符号化する。そして、上記復号化されたオーディオデータ、ビデオデータ及びテキストデータ等を多重分離部で所定の伝送フォーマットに従いパケット化し、この送信パケットデータを信号処理ユニット160へ出力する。
【0035】
信号処理ユニット160は、コンパンダ170から出力された送信パケットデータを処理したのち送信回路(TX)150に出力する。送信回路150は信号処理ユニット160からの送信パケットデータに基づき例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式、あるいはOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex )方式などの変調方式による送信信号を生成する。そして、生成された送信信号を、周波数シンセサイザ140から発生される局部発振信号と合成して無線信号に周波数変換する。そして、制御ユニット230により指示される送信電力レベルとなるように上記無線信号を高周波増幅する。この増幅された無線信号は、アンテナ共用器Dを介してアンテナAに供給され、このアンテナAから基地局へ向けて送信される。
【0036】
さらに、図4のモバイル端末はテレビジョン放送受信機(TV放送受信機)300を備える。このTV放送受信機300は、例えば地上ディジタル放送の1セグメント放送(ワンセグ放送)を、アンテナ310を介して受信するもので、受信されたワンセグ放送の受信データを制御ユニット230に入力する。受信した直後の受信データはスクランブル化されており、制御ユニットは解読鍵を用いてこのスクランブルを解除する。
【0037】
制御ユニット230は、デスクランブルされたワンセグ放送の受信データを動画像ストリームとオーディオストリームに分離した後それぞれ復号する。そして、復号された動画像信号をディスプレイ290に表示する。またそれと共に、復号されたディジタルオーディオ信号をPCMコーデック180に供給する。上記ディジタルオーディオ信号は、PCMコーデック180によりアナログオーディオ信号に変換された後、受話増幅器190を介してスピーカ200から出力される。
なお、250はバッテリを、また260は電源回路を示す。電源回路260は、バッテリ250の出力をもとに所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。バッテリ250は図示しない充電回路により充電される。また、入力デバイス270はダイヤルキーパッドと各種機能キーとから構成される。
【0038】
ところで、制御ユニット230は、その制御機能としてブラウザ機能部230a、暗号処理部230b、および受信状態モニタ部230cを備える。このうちブラウザ機能部230aはHTML(Hypertext Markup Language)などで記述されるソースデータをWebページの形式でディスプレイ280に表示させる機能を備える。
【0039】
暗号処理部230bは、モバイル放送局BSからスクランブル化された状態で配信されたコンテンツデータをデスクランブルするための解読鍵を、運用管理サーバ9の暗号鍵管理部92gから取得する。この解読鍵は先に述べたように、例えば電子メールの添付情報として供給される。そして暗号処理部230bは、取得した解読鍵を用いて、モバイル放送局BSから受信したコンテンツのスクランブルを解除する。
【0040】
受信状態モニタ部230cは、モバイル放送局BSから配信されたコンテンツの受信状況をモニタし、配信終了とともにその結果を運用管理サーバ9の課金処理部92fに通知する。受信状況とは、コンテンツをモバイル端末において正常に聴取できた時間の累計値、あるいは総配信期間に対する累計値の割合などを用いることができる。次に、上記構成における作用を説明する。まず図5を参照してコンテンツ選定に係わる処理につき説明し、次に図6を参照してモバイル端末におけるコンテンツ聴取に関わる処理を説明する。
【0041】
図5は、図1のコンテンツ配信システムにおける処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図5はコンテンツ配信ビジネスにおいて、主演者やスポーツ選手11、各イベントを企画する主催者12、コンテンツを制作する中継事業者13、コンテンツ配信事業の運営会社14、および一般ユーザ15が関係してなされる業務フローの一例を示すものである。
【0042】
図5において、イベント主催者12は出演者やスポーツ選手11などに働きかけてイベントを企画する。この働きかけは直接相対してでも良いし、IPネットワーク7を介するメッセージの授受であっても良い(符合16−1,16−2)。イベントが企画されると、イベントPR更新メッセージ17−1により運営会社14に通知される。運営会社14は企画されたイベントを行う旨を運用管理サーバ9に登録し、その内容は直ちにWebページに反映される(図3)。
【0043】
一方、一般ユーザ15は放送して欲しいイベントや番組に対するリクエストを、イベントリクエスト18−1〜18−mにより運営会社14に通知する。リクエストの集計結果はWebサイトに登録され、Webページにより公開される。このWebページを閲覧した一般ユーザは、賛同するイベントコンテンツが表示されていれば同様にイベントリクエストを上げることで、そのイベントへのニーズ(人気度)を積み上げることができる。
【0044】
これらのイベントに対する人気の度合い(人気度)をモニタしつつ(19−1,19−2)、いくつかのイベント主催者は一般ユーザからのリクエストに沿ったイベントを企画する。その企画内容は同様にイベントPR(17−2)としてWebサイトに登録される。
このような手続が、実際にイベントが行われる一定期間前までに行われ、そのイベントに対する人気の度合いをユーザ、ベンダの双方ともに確認することが可能となる。次に、イベントを中継する中継事業者を選定するための入札が行われる。
【0045】
入札の方式は様々に考えられる。例えば先に述べたように、中継業務を請負う金額を入札価格とし、一番安い価格を提示した業者に配信の権利を落札させるようにしてもよい。あるいは、過去の中継実績から得た一般ユーザからの評価を統計的に処理してポイント化し、ポイント累計カウント値の高い順に、イベントの配信権を与えるようにしてもよい。
【0046】
図5において入札が開始されると、イベント中継を希望する業者が応札(20−1,20−2)により意思表示し、そのランキングがWebサイトに公開される(21−1,21−2)。事業者のランキングの基準は応札金額であったり、評価ポイントであったりする。入札期間が過ぎると入札が終了し、運営会社14はWebページをモニタして、どの中継事業者がイベントの配信権を得たかを知ることができる。また配信権を得た事業者には選定結果通知メッセージ22によりその旨が通知される。
【0047】
業者選定が完了した時点で、コンテンツを中継する配信権を得た中継事業者13は、そのイベントまでに、アナウンサー、解説者、イベントの背景、出演者情報、スポーツ選手の経歴調査、中継の際のカメラワークなど様々な準備を行い、実際のイベント中継に備えることになる。
【0048】
イベントが開催されると、放送コンテンツ23がIPネットワーク7経由で一般ユーザ15に配信される。その形態は基本的には生中継であるが、コンテンツサーバ6を経由するオンデマンド配信であっても良い。すなわち一般ユーザ15は、コンテンツを実況生中継24で視聴できるだけでなく、コンテンツサーバ6(図1)から好きな時に視聴することができる。
【0049】
コンテンツごとの視聴者数は運営会社14により把握される。例えば固定端末を持つ一般ユーザ15は予めシステムに登録を行い、ログイン時間などをもとに、コンテンツ放送時間のうち何時から何時まで視聴したかが運営会社14により把握される。これにより途中で飽きてしまっていないかという指標も算出することができ、これは事業者のポイントに反映される。一方、モバイル端末のユーザはコンテンツの受信状況をシステムに通知し、システムはその結果に応じてペイパービュー形態での課金を行う
また、イベントの事前の人気度と実際の視聴者数とを比較することでも、中継事業者13への評価データの一つとして使用することができる。例えば、前評判の高かった割には視聴者数が少なければ、一般ユーザ15が途中で飽きてしまうなど、イベントそのものの問題や中継事業者13のスキルなどに問題がある可能性がある。このような場合にはそのコンテンツの配信を請け負った事業者の評価ポイントを下げ、逆の場合にはポイントを上げるなどの配慮が可能となる。さらには、イベント主催者12に対しても同様に、過去の実績に基づくポイントにより評価することができる。このポイントを参考情報としてWebサイトに提示するようにすれば、イベント企画そのものの質の向上も期待できる。
【0050】
コンテンツを視聴したユーザには、実況生中継の都度、あるいは録画中継の都度、例えば従量課金などの形で課金される(25,27−1,27−2)。ユーザから徴収した料金は運営会社14が一旦とりまとめ、中継事業者13にはコンテンツ料金28、イベント主催者にはイベント料金29、出演者、選手11には出演料は報酬30の形でそれぞれ支払われる。すなわち、イベント終了後の視聴者数の集計の結果を元に、運営会社14は中継事業者13にコンテンツ料金28を支払い、中継事業者13はイベント主催者12にイベント料金29として費用の一部を支払う。さらにイベント主催者12は、この放送以外の入場者による入場料などと合わせた金額の中から出演者やスポーツ選手などに出演料や報酬30を支払う。このようにして、提供したサービスに見合った見返りが各者に分配される。
【0051】
なお、以上のビジネスの運用に当てる費用として、一般ユーザ15から視聴した分をIPネットワーク7経由で視聴料として徴収する機能を整備するか、一般企業からの広告料で賄うなどの方法も考えられる。一般ユーザ15からの視聴料として徴収する場合は、視聴開始時刻からある一定の時間以上視聴した場合のみ課金するなどの配慮を要する場合もある。
【0052】
図6は、モバイル端末PS1におけるコンテンツの聴取に係わる処理手順を示すシーケンス図である。なおモバイル端末PS2のユーザがコンテンツの視聴を希望する際の手順も同様である。モバイル端末PS1のユーザ(モバイルユーザ)は、聴取を希望するイベントのリクエスト(18−1)をモバイル端末PS1を用いて送出する。このリクエストはセルラ基地局CS経由で運営会社14に通知され、各種イベントの人気度が蓄積される。この人気度(19−1)は中継事業者13、イベント主催者12のいずれもWebサイトを介して参照することができる。モバイルユーザも同様に、例えば運営会社14のサイトにアクセスすれば(符合40)イベントの人気度を参照することができる(符合19−2)。
【0053】
次に、コンテンツの放送が開始されるのに先立ち、例えば中継事業者13から運営会社14にその旨が通知される(符合41)。そうするとこのコンテンツを放送するチャネル情報などとともに、スクランブル化のための暗号鍵が運用管理サーバ9からモバイル放送局BSに通知される。モバイル放送局BSは指定されたチャネルで配信されるコンテンツを、この暗号鍵を用いてスクランブル化した状態で無線区間に放射する(スクランブル放送設定:43)。
【0054】
これとともに運営会社14から、コンテンツ視聴のためのチャネル情報とともに、スクランブルを解除するための解読鍵を含む放送パラメータが、例えば電子メールの形態で、セルラ基地局CS経由でモバイル端末PS1に通知される(44)。これを受けてモバイル端末PS1は、放送チャネル、解読鍵を含む受信パラメータを自らに設定し(45)、ディスプレイ280に表示するなどして放送の開始をモバイルユーザに通知する。モバイルユーザがこれに応じて受信OK処理を行うと、スクランブルデータの解読が開始されて中継視聴が開始される。
【0055】
コンテンツ放送の中継視聴が開始されると、モバイル端末PS1はその受信状態のモニタを開始する(47)。ここでは正常にコンテンツを視聴できた期間の累計値がカウントされる。そしてイベントが終了し、中継放送が終了するとその旨が中継事業者13から運用管理サーバ9を介してモバイル放送局BSに通知され、モバイル放送局BSからの送信波が停波される(49)。
【0056】
次に、運営会社14は課金に係わる情報の取得を運用管理サーバ9に要求する(50)。そうすると運用管理サーバ9は、コンテンツの受信状況の取得を要求するメッセージをセルラ基地局CS経由でモバイル端末PS1に与え、モバイル端末PS1はこれを受けてコンテンツ配信期間における正常受信期間の累計値に基づく受信料金をモバイルユーザに通知する(52)。モバイルユーザがこれに対する承認を与えると(53)、その旨が運用管理サーバ9に返信され、さらに運営会社14において、モバイルユーザへの課金が発生する(54)。このようにして徴収されたコンテンツの視聴料金(28)は運営会社14から中継事業者13に支払われ、中継事業者13はイベント主催者12にイベント料金29として費用の一部を支払う。
【0057】
以上述べたようにこの実施形態では、IPネットワーク7を介して、モバイル端末PS1、PS2のユーザを含む多くの一般ユーザが、計画されているスポーツ中継やイベント中継に対する視聴のリクエストを事業者に通知することが可能になる。リクエストはシステム側で集計され、Webページに公開される。さらに、中継事業者に対するリクエストも合わせて通知することができるので、中継事業者自身の努力によるスキルの向上が期待できる。
【0058】
中継事業者はどのスポーツ中継やイベント中継が多いか、あるいは得意とするコンテンツが要望されているかなどを公開された情報をもとに判断でき、オークション形式の入札に応募することができる。入札時においては一般ユーザからの中継事業者リクエストと、過去の中継実績により、総合的な中継事業者のランク順位が明示され、上位ランクの事業者からどのイベントを中継するかが選択できる。コンテンツ配信の権利を獲得した中継事業者は、イベント会場で中継の準備、アナウンサーや解説者の準備、IPネットワーク7回線の準備を行い、生中継でコンテンツを中継する。またそのコンテンツはコンテンツサーバ6に記録され、オンデマンド配信も実施可能である。
【0059】
さらに、視聴者から収集した情報に基づき中継事業者やイベント主催者の評価が統計的にポイント化され、Webページに反映されるので、次の入札時のランクにフィードバックすることができる。コンテンツの視聴者は視聴した分に応じた料金を電子的に決済され、その料金がシステムの運営会社14、中継事業者13、イベント主催者12に分配されて各事業者の収入となる。
【0060】
このように一般ユーザは、一方的に放送局が決めるイベントではなく、視聴したいイベント中継のリクエストを、IPネットワークを介して運営会社に与えることができる。また、中継事業者は評価ポイントを高くすることで、有利なイベント中継を選ぶことができるという動機付けを得られるので、事業者どうしの競争原理により、中継業務のスキル向上を期待できる。また、今まで中継される機会の少なかったスポーツやイベントも中継の機会を得ることができ、様々なスポーツ振興が図れる。さらには、イベント中継業務を手掛ける新たな職種を増やすことができ、社会の雇用増進にも寄与することができる。
【0061】
また、一般ユーザと事業者との双方がリクエストの集計の結果を知ることができる。事業者は、一般ユーザからのリクエスト数が増えれば増えるほど高い報酬を期待でき、中継意欲が向上することになる。逆にリクエスト数が少なければ中継意欲が低下し、中継そのものが行われない可能性もでてくる。さらに、一般ユーザからリクエストがほんの少数でも、一般ユーザの負担する費用を増やすことで、総費用が中継事業者の実施意欲を満たすケースも考えられる。このように本実施形態によれば、既存のTV放送が同時に行われるケースも想定した上で柔軟なビジネスを展開することが可能になる。
【0062】
以上述べたようにこの実施形態によれば、一般ユーザからリクエストを収集し、賛同する一般ユーザからのニーズが高いか、または1視聴者あたりの視聴料金が高くても良いというニーズが高ければ、比較的知名度の低いイベントであっても視聴が可能となる。また、中継事業者に対して一般ユーザの意向をより強く反映することが可能になり、一般ユーザからのリクエストが広がるに従い、中継事業者の数の増加が期待できる。このことは、例えばスポーツ中継するアナウンサーや解説者を増やすことにつながり、雇用の創出だけでなく、裾野の広がりによりスキルの向上も期待できるので、より一層放送コンテンツの質の向上が期待できる。具体的には、スポーツ種別ごとに中継が得意なアナウンサーを育成したり、特定のスポーツ経験者の中から、優秀な解説者を育成し、そのスポーツそのものの普及促進を図ることにも寄与することができる。
【0063】
更に、スポーツ中継を例にとれば、従来は野球、サッカーなど人気スポーツだけがTV中継の対象になっていたので、他のスポーツに対する注目度を上げることができなかった。これに対しこの実施形態によれば知名度の低いスポーツも一般ユーザからのリクエストがあり、それに応える中継事業者が出てくることにより、いつでもそのスポーツ中継を一般ユーザが視聴できるようになるなど、スポーツの種別ごとの格差是正が期待できる。
【0064】
以上をまとめればこの実施形態では、一般ユーザは、視聴したいイベントを運用管理サーバ9にリクエストする。運用管理サーバ9はリクエストを集計し、その結果をWebページに公開する。このWebページを閲覧した他の一般ユーザも同様にリクエストを上げ、その集計を次々にWebページに反映させる。このWebページを閲覧した事業者は、リクエスト数などの指標と自らの事業体力などに基づく判断により事業価格をWebサーバに提示し、オークション形式でコンテンツ配信の権利を落札する。このようにして事業者と放送局とを分離し、視聴者のニーズを満たすとともに事業者の動機付けも向上させることが可能になる。
【0065】
またこの実施形態では、IPネットワークを介して配信されるコンテンツをモバイル放送局BSを介して放送するようにしているので、モバイル端末におけるコンテンツの視聴が可能となり、スポーツなどの生中継を場所に制約されずに楽しむことも可能となる。さらにこの実施形態では、配信されるコンテンツをスクランブル化する機能をモバイル放送局BSに持たせ、解読鍵を通知されたモバイル端末においてのみ、配信されるコンテンツデータを視聴できるようにしている。すなわち生中継のコンテンツを運営会社14のWebサイトを介して中継するにあたり、鍵情報を用いてコンテンツデータをスクランブル化するようにしているので、不特定多数のユーザが無料で視聴することを許さず、特定のモバイルユーザに対してのみ視聴を許可することが可能になる。
【0066】
つまり、ネットワークを介した中継だけでなく、モバイル放送局BSから視聴を許可されたユーザだけがコンテンツを視聴することが可能になるからこそビジネスとしてのコンテンツ配信が成立し、モバイル環境においてもイベント中継を見る事ができるというメリットを、広くいきわたらせることが可能になる。
【0067】
さらには、モバイル端末に特有の事情として一定の受信状態を保つことが難しい点が挙げられるが、この実施形態では受信状況をモバイル端末においてモニタし、視聴終了後にその結果をシステムに通知するようにしているので、ペイパービューの形態でモバイルユーザの納得のいく課金を行うことが可能になる。以上から、視聴者の満足の度合いをさらに高めたコンテンツ配信システムとそのモバイル端末を提供することが可能になる。
【0068】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではない。例えば実施形態ではスポーツのイベント中継など、生中継による放送コンテンツを例に記載した。これに限らず、教育番組や対談、クイズ番組など、これまで放送局だけが番組を編成し、制作し、放送していたものも含め、一般ユーザからのリクエストによるTV放送を行うようにすることも可能である。
【0069】
また図5では、イベントの主催者12が各種イベントをPRする形態を示した。これに代えて、例えば中継事業者13にイベントPRの主導権を持たせるようにしてもよい。すなわち中継事業者13は全く独自にイベントを主催することができ、視聴者の興味を引きそうなコンテンツを、発案し、自らの経営体力に応じた規模で企画すればよい。そもそも図5に示すようにイベントのリクエストと人気の度合いとが中継事業者13にも通知されるようになっているので、中継事業者13はこれを参照して魅力あるコンテンツを作成することができる。
【0070】
すなわち、一般ユーザ15とイベント主催者12との間での需要と供給の関係を運営会社14が仲介する、というビジネス形態にとどまらず、中継事業者13にもコンテンツの選択権を与えるようにするのが望ましいことは明らかである。全くの新鋭の中継事業者が新たなコンセプトや思い入れなどでコンテンツ配信ビジネスに参画し、その中で自らの力量を示せることは一般の視聴者にとってメリットがあるばかりか、新たな文化の創出という面で有意義である。さらにイベント主催者12や中継事業者13だけでなく、主演者、選手11あるいは一般ユーザ11までもが無償でオリジナルコンテンツを制作し、自らをPRすることも、運用管理サーバ9を経由すれば自由に実施することができる。このように上記実施形態によれば、視聴者の満足の度合いを高めるだけでなく、不特定多数の人々にとって自らのコンテンツを配信することの敷居を低くできるといったメリットを得られる。
【0071】
さらに、モバイル端末PSとPCユーザ8の端末(PC端末)とを連携させることも可能である。すなわち、モバイル端末PSを用いてリクエストしたコンテンツをPC端末で視聴したり、逆にPC端末からリクエストしたコンテンツをモバイル端末PCから視聴可能することも可能である。
【0072】
また上記実施形態では、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial)に準拠する、いわゆるワンセグ放送を用いてモバイル端末にコンテンツを配信する例を示したが、これに限らず、MediaFLO、DVB−H(Digital Video Broadcasting - Handheld)、あるいはISDBT−mm(ISDB-T for mobile multimedia)などのモバイルテレビジョンシステムを利用してコンテンツを配信することも、この実施形態の応用により容易に可能である。
【0073】
さらにこの発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…イベント会場、2…カメラマン、3…アナウンサー,解説者、4…編集所、5…WiMAX用基地局、6…コンテンツサーバ、7…IPネットワーク、8…一般ユーザ、9…Webサーバ、BS…モバイル放送局、CS…セルラ基地局、PS1,PS2…モバイル端末、A…アンテナ、D…アンテナ共用器(DUP)、130…受信回路(RX)、140…周波数シンセサイザ(SYN)、150…送信回路(TX)、160…信号処理ユニット、170…圧縮/伸長処理ユニット(コンパンダ)、180…PCM符号処理ユニット(PCMコーデック)、190…受話増幅器、200…スピーカ、210…マイクロホン、220…送話増幅器、230…制御ユニット、230a…ブラウザ機能部、230b…暗号処理部、230c…受信状態モニタ部、240…記憶ユニット、250…バッテリ、260…電源回路、270…入力デバイス、280…ディスプレイ、300…TV放送受信機、310…放送受信用のアンテナ、91…インタフェース部、92…制御部、92a…収集処理部、92b…ページ作成部、92c…ページ公開部、92d…オークション機能部、92e…ランク付け処理部、92f…課金処理部、92g…暗号鍵管理部、93…記憶部、93a…Webページソースデータ、11…主演者,スポーツ選手、12…主催者、13…中継事業者、14…運営会社、15…一般ユーザ、16−1,16−2…イベント企画メッセージ、17−1,17−2…イベントPR更新メッセージ、18−1〜18−m…イベントリクエスト、19−1,19−2…イベントリクエスト,人気度、20−1,20−2…応札メッセージ、21−1,21−2…ランキングメッセージ、22…選定結果通知メッセージ、23…放送コンテンツ、24…実況生中継、25,27−1,27−2…課金情報、28…コンテンツ料金、29…イベント料金、30…出演料,報酬

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信を要求するイベントのリクエストを、モバイル端末を含む複数の端末デバイスから前記ネットワークを介して収集する収集手段と、
前記収集されたリクエストをイベントごとに集計してリストを生成するリスト生成手段と、
前記リストを一定期間にわたり前記ネットワークのサイトに公開する公開手段と、
前記リストに含まれるコンテンツごとに、複数の主体者からの配信の意思表示を前記サイトを介して受け付ける受け付け手段と、
前記意思表示した主体者の中から配信権を与える権利者を、既定の条件のもとで前記リストに含まれるコンテンツごとに選定する選定手段と、
前記配信権を得た権利者にその旨を通知する通知手段と、
前記権利者から提供されるコンテンツを前記ネットワークを介して要求元のモバイル端末に配信するモバイル配信手段と、
このモバイル配信手段により配信されるコンテンツを前記ネットワークにおいて秘匿すべくスクランブル化するスクランブル手段と、
前記スクランブルを解くための鍵情報を前記要求元のモバイル端末に通知する鍵通知手段とを備えることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
さらに、前記コンテンツの配信を受けたモバイル端末から当該コンテンツの受信状況を取得する取得手段と、
前記受信状況の取得元のモバイル端末のユーザに、当該受信状況に応じた従量課金で課金する課金手段を具備することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
前記鍵通知手段は、前記コンテンツの配信に先立ち前記要求元のモバイル端末に配信されるメールに前記鍵情報を添付することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
前記受け付け手段は、オークション形式のもとで前記配信権に対する入札価格で前記意思表示を受け付け、
前記選定手段は、最低の価格を提示した主体者に前記配信権を落札させることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項5】
前記収集手段は、配信されたコンテンツへの評価を前記ネットワークを介して収集し、
さらに、前記収集された評価を統計的に処理した結果に基づき前記複数の主体者をランク付けするランク付け手段を具備し、
前記公開手段は、前記ランク付けの結果を前記サイトに公開することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項6】
ネットワークを介してコンテンツを配信するコンテンツ配信システムに接続可能なモバイル端末において、
配信を要求するイベントのリクエストを前記コンテンツ配信システムに与えるリクエスト手段と、
スクランブル化されて配信されるコンテンツのスクランブルを解くための鍵情報を前記コンテンツ配信システムから取得する鍵取得手段と、
この取得した鍵情報を用いて前記コンテンツを解読する解読手段とを具備することを特徴とするモバイル端末。
【請求項7】
さらに、前記配信されるコンテンツの受信状況を前記コンテンツ配信システムに通知する受信状況通知手段を具備することを特徴とする請求項6に記載のモバイル端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−278980(P2010−278980A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132294(P2009−132294)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】