サーボモータおよび遅延運動手法を使用した超音波プレス機
【課題】プラスチック部品を振動接合するための、超音波溶接または他のシステムで使用するプレス機に関する。
【解決手段】電気サーボモータを使用して、第1の加工物に対する直線運動のために載置された超音波溶接スタックを押圧するステップと、既定の初期荷重を第1の加工物に印加するステップと、溶接を開始するステップであって、超音波溶接スタック10から第1の加工物へエネルギーを出力するステップを含む。1つのセンサによって制御変数を感知するステップと、感知した制御変数に対応する信号を制御器に出力するステップと、感知した制御変数に対応する信号が既定の条件を満たすまで、溶接距離をゼロに維持するステップと、制御された力、速度の組み合わせを該第1の加工物に印加して、該既定の条件を満たした後に、該第1の加工物を、該第1の加工物が接合される第2の加工物に対して付勢するステップとをさらに含む。
【解決手段】電気サーボモータを使用して、第1の加工物に対する直線運動のために載置された超音波溶接スタックを押圧するステップと、既定の初期荷重を第1の加工物に印加するステップと、溶接を開始するステップであって、超音波溶接スタック10から第1の加工物へエネルギーを出力するステップを含む。1つのセンサによって制御変数を感知するステップと、感知した制御変数に対応する信号を制御器に出力するステップと、感知した制御変数に対応する信号が既定の条件を満たすまで、溶接距離をゼロに維持するステップと、制御された力、速度の組み合わせを該第1の加工物に印加して、該既定の条件を満たした後に、該第1の加工物を、該第1の加工物が接合される第2の加工物に対して付勢するステップとをさらに含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、プラスチック部品を振動接合するための、超音波溶接または他のシステムで使用するプレス機に関する。
【発明の概要】
【0002】
本概念の一実施形態によれば、超音波溶接システムは、直線運動のために、および制御された力、速度、または力および速度の組み合わせを第1の加工物に印加して、第1の加工物を、第1の加工物が接合される第2の加工物に対して付勢するために載置された、超音波溶接スタックを備える。超音波溶接スタックに連結された可動要素を備えた電動リニアアクチュエータが提供され、電動リニアアクチュエータは、制御入力に応答して、制御された力、速度、または力および速度で可動要素および超音波溶接スタックを運動させるように構成され、電動リニアアクチュエータは、機械的回転運動を生成する電気サーボモータと、回転運動を、電動リニアアクチュエータの可動要素の直線運動に変換するように構成された一体型コンバータとを含む。制御器は、制御入力を、電動リニアアクチュエータまたはサーボモータのうちの少なくとも1つに提供して、電動リニアアクチュエータの出力を制御するように構成され、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの対応する制御変数を測定し、制御変数に対応する信号を制御器に出力するように構成される。本概念の態様によれば、制御器は、少なくとも1つのセンサによって出力された信号に基づいて、電動リニアアクチュエータの可動要素に、超音波溶接スタックを通じて、既定の正の初期力を溶接動作の開始時に印加させ、また、少なくとも1つのセンサから出力された信号が、感知した変数が既定の条件を満たしたことを示すまで、超音波溶接スタックの直線変位を既定の初期変位に制限するように構成される。制御器は、既定の条件が満たされたことを示す、少なくとも1つのセンサによって出力された信号に基づいて、電動リニアアクチュエータに、デフォルトの溶接プロファイル、または複数の利用可能な溶接プロファイルから選択された溶接プロファイルに従って、超音波溶接スタックを運動させるようにさらに構成される。
本概念の別の態様では、超音波溶接方法は、電気サーボモータを使用して、第1の加工物に対する直線運動のために載置された超音波溶接スタックを押圧するステップと、既定の初期荷重を第1の加工物に印加するステップと、溶接を開始するステップであって、超音波溶接スタックから第1の加工物へエネルギーを出力するステップを含む、溶接を開始するステップと、を含む。該方法は、少なくとも1つのセンサによって制御変数を感知するステップと、感知した制御変数に対応する信号を制御器に出力するステップと、同時に、超音波溶接スタックから第1の加工物へエネルギーを出力し、感知した制御変数に対応する信号が既定の条件を満たすまで、溶接距離をゼロまたはほぼゼロに維持するステップと、制御された力、速度、または力および速度の組み合わせを、電動リニアアクチュエータによって該第1の加工物に印加して、該既定の条件を満たした後に、該第1の加工物を、該第1の加工物が接合される第2の加工物に対して付勢するステップと、をさらに含む。
本発明は、添付図面を参照するとともに、以下の好ましい実施形態の記載からより適切に理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本発明を特定の好適な実施形態に関連して説明するが、本発明は、それらの具体的実施形態に限定されないものと理解されよう。それに対して、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれるような、全ての代替例、変形例、および均等物をカバーすることを意図している。
【0004】
ここで、最初に図1〜図6を参照すると、例示的な超音波溶接機は、双方向性の電動リニアアクチュエータ11によって制御された垂直運動のために載置された、超音波溶接「スタック」10を含む(図2)。スタック10を、図5および図6に関連して以下に詳述する。アクチュエータ11は、主ハウジング12内に載置され、また、溶接プレスのための電源および電子制御を収容した補助ハウジング13を支持する。本概念の変形例では、ハウジング12および補助ハウジング13は、本発明の意図に実質的に影響を及ぼさずに、1つの構造体に併合することができる。溶接する熱可塑性加工物W1およびW2(図5)は、超音波スタック10の下の静止固定具内に載置され、アクチュエータ11は、上部加工物W1に対してスタック10を下方へ前進させる。スタック10の下端部は、加工物W1に対して下方へ押圧されて、下部加工物W2に対して上部加工物W1を押圧し、一方で、機械的振動を加工物W1に印加して、2つの加工物W1およびW2を互いに接合する所望の溶接を生じさせる。
【0005】
主ハウジング12は、溶接する加工物を受けて支持するための固定具を担持する基部15から上方へ延在する垂直カラム14を含む、フレーム上に載置される。ハウジング12は、一般的に、カラム14に調節可能に載置され、異なる加工物に対して、ハウジング12全体の垂直位置を調節できるようにする。制御パネル16は、基部15の前部に提供される。
【0006】
超音波溶接スタック10は、以下の3つ構成要素を含む(図5および図6を参照されたい)。
電気エネルギーを機械的振動に変換する、電気機械トランスデューサ20。
【0007】
トランスデューサ20によって生成された機械的振動のゲイン(すなわち、出力振幅)を変化させる、ブースタ21。
ブースタ21から溶接する部品へ機械的振動を伝達する、ホーン22。
【0008】
図5に示されるように、トランスデューサ20は、トランスデューサ20を励起するための高周波電気信号を供給する高電圧同軸ケーブル24を取り付けるためのコネクタ23を含む。この信号は、別個の超音波信号発生器(図示せず)によって供給される。代替的な接続方法を用いて、トランスデューサのより簡単な取り外しおよび取り付けができるようにすることもできる。図6に示されるように、この方法は、プレス機上の導電性棒と接触する、トランスデューサ20上のばね式のボタンを用いる。導電性は、ボタンの背後のばね力が棒を押圧することによって確保される。
【0009】
トランスデューサ20は、電気エネルギーを機械的運動に変換するランジュヴァン(Langevin)圧電コンバータとして、超音波振動を発生する。トランスデューサ20に印加される電力は、20kHzの典型的な周波数で、50ワット未満から最高5000ワットまで変動させることができる。同じ概念が、本発明の溶接プロセスで通常使用される、他の周波数および電力レベルのトランスデューサに対しても当てはまることに留意されたい。
【0010】
トランスデューサ20は、一般的に、薄い金属板によって分離され、高圧下で互いに型締めされた、複数の標準的な圧電セラミック素子で作製される。交流電圧がセラミック素子に印加されると、対応する電界が生成され、その結果、セラミック素子の厚さが変化する。この厚さの変化は、材料を通じて伝播してトランスデューサの金属塊の端部によって反射される、圧力波を誘起する。組み立て体の長さがその励起周波数に同調すると、組み立て体が共振して定存波源になる。20kHzのトランスデューサからの出力振幅は、一般的に、約20ミクロン(0.0008インチ)である。この振幅は、部品W1およびW2に有用な作業を行うように、ブースタ21およびホーン22によって増幅する必要がある。ブースタおよびホーンは、音響導波路または変換回路として機能して、超音波振動を増幅して加工物に集中させる。
【0011】
ブースタ21の主要機能は、スタック10のゲイン(すなわち、出力振幅)を変化させることである。ブースタは、そのゲインが1よりも大きい場合には増幅し、1よりも小さい場合には減衰させる。20kHzでのゲインは、一般的に、1/2未満から約3まで変動する。
【0012】
ホーン22は、自由に振動させなければならず、したがって、トランスデューサ20およびブースタ21だけが固定されるので、通常は型締めすることができない。したがって、ブースタの二次機能(および時には単独の目的)は、プレス機に固定したときに、スタックの増幅を変化させることなく、追加的な取り付け位置を提供することである。中間または連結ブースタは、トランスデューサとホーンとの間に追加され、節点(定存波が最小限の縦方向の振幅を有する)に配置された取り付けリングによって、プレス機内に載置される。
【0013】
ホーン22は、以下の3つの主要機能を有する。
1.超音波の機械的振動エネルギー(トランスデューサ20で生じる)を、直接的な物理的接触を通じて熱可塑性加工物(W1およびW2)に伝達し、融解を生じさせる領域内にエネルギーを局所化させる。
【0014】
2.振動の振幅を増幅して、所望の先端振幅を熱可塑性加工物および溶接プロセス要件に提供する。
3.接合面が融解したときに溶接させるのに必要な圧力を印加する。
【0015】
ホーンは、精密機械加工され、一般的に、15kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、または70kHzで振動するように設計される。周波数が高くなるにつれて、音響波長が短くなり、結果的に、ホーンが小さくなる。ホーンの同調は、一般的に、電子的な周波数測定を使用して達成される。ホーンは、通常、高強度アルミニウム合金またはチタンから製造されるが、これらはどちらも、ほとんど減衰することなく超音波エネルギーを伝達する、優れた音響特性を有する。
【0016】
プロセス要件に応じて、多数の異なるホーンの形状およびスタイルが存在する。ホーンの設計に影響を与える要因は、溶接される材料および組み立て方法である。ホーンは、熱可塑性加工物の界面においてそれらを融解させるのに十分な振幅となるように機械的振動を増幅しなければならず、ホーンのゲインは、そのプロファイルによって決定される。ホーン先端での振幅は、一般的に、20kHzで、ピークツーピークが30から125ミクロン(1000分の1.2から5.0インチ)まで変動する。代替的な変形例では、ホーンは、ブースタの形態を取り、安定化および溶接の機能を兼ねるように設計することができる。この変形例では、ブースタが取り除かれ、ホーンは、プレス機内のブースタを載置するリング領域の位置に固定される。
【0017】
周波数が増加するにつれて、振動の振幅は減衰する。大きな振幅を必要としない薄い材料および精巧な部品のシーミングには、より高い周波数が用いられる。ホーンは、高い周波数で小さくなるので、より接近した間隔を達成することもできる。
【0018】
プラスチック溶接は、超音波組み立て体の最も一般的な応用例である。図5に示されるように、超音波プラスチック溶接を実行するために、ホーンの先端を、上部加工物W1と接触させる。上部加工物を通じて圧力が印加され、超音波エネルギーが移動することで、2つの加工物の接触点における運動エネルギー(または熱)が増加する。熱は、加工物のうちの1つのプラスチックの成形隆線を融解させ、融解材料が2つの材料の間を流れる。振動が止まると、材料は凝固して永続的な接合を形成する。
【0019】
リニアアクチュエータ11は、コンバータ31と一体化した電気サーボモータ30を備え、該コンバータは、モータ30の回転出力を直線運動に変換する。コンバータは、一般的に、モータ出力軸30aに連結された親ねじであり、従動ユニットが親ねじのねじ山に沿って移動して、所望の直線出力を生成する。例示的な実施形態では、直線出力は、コンバータ31をスタック10に接続するロッド31aの垂直運動を制御する。サーボモータ30およびコンバータ31の両方を収容した一体型ユニットは、Chanhassen、MinnesotaにあるExlar社から入手可能な、GSMまたはGSXシリーズのリニアアクチュエータのような、市販のアイテムである。Exlar社に譲渡された米国特許第5,557,154号も参照されたい。サーボモータによって使用される直線位置のフィードバックは、溶接スタック10に連結された直線エンコーダによって、または回転モータ30の位置を感知する回転エンコーダによって提供することができる。
【0020】
図2および図4から分かるように、アクチュエータロッド31aは、垂直軸に沿って直線的に運動する。ロッド31aの下端は、超音波溶接スタック10が取り付けられるキャリッジを備えた構成要素に接続される。アクチュエータ11の目的は、制御された力、速度、または力および速度の組み合わせをスタック10に印加して、スタックを加工物W1に対して下方へ押圧し、一方で、スタックも機械的振動を加工物に伝達することである。ロッド31aの直線運動は、別の制御可能な変数である。例えば、ロッド31aの直線運動は、特に、加工物の熱可塑性材料が所望の溶接を生じるのに十分に軟化した後に、溶接深さを制御するように制御することができる。印加された振動エネルギーによって熱可塑性材料が軟化した後のロッド31aの過度の前進は、過度に薄い、したがって過度に弱い溶接を生成する可能性がある。同様に、下記に開示される概念によれば、加工物の熱可塑性材料の軟化によって、最初に印加した力が既定の閾値を下回るレベルに減少した後まで、ゼロまたはほぼゼロに維持される等によって、ロッド31aの初期の直線運動が遅れる場合がある。
【0021】
直接駆動式リニアサーボスライドを用いた、溶接スタックを駆動する代替方法を図3に示す。これらのスライドは、歯車のバックラッシュおよび電動ねじのねじ込みによって生じる不正確さを減じる。直接駆動式リニアサーボモータ38は、スタック組み立て体10に作用する。このリニア駆動のサーボモータは、モータ30とコンバータ31との組み合わせである。このような駆動装置は、Perker Trilogy 410シリーズのように、複数の供給業者によって市販されている。位置のフィードバック36は、例えばモータ軸に直接連結されたエンコーダまたはリゾルバを使用して、リニアモータによって提供される。垂直配置においてリニアサーボモータを使用するために、電源オフ状態の間に、溶接スタック10がその自重で下がらないように維持するために、別個の電気ブレーキ37が必要である。
【0022】
図7は、リニアアクチュエータ11のための制御システムを例示した図である。力制御ループは、電気サーボモータ30のトルク出力の大きさに関する電気信号を生成するための、モータ30の回転出力軸30aに連結されたトルクセンサ32を含む。このトルク信号は、従来型の信号調節回路33内で処理され、次いで、電源35から電力を受けて駆動増幅器34aを介してモータ30に供給される電流を制御する、運動制御器34に供給される。したがって、トルクセンサ32および信号調節回路33は、フィードバックループを形成し、該ループは、モータ30が所望のトルクで出力軸30aを回転させるように制御し、次いで、モータ30の回転出力をロッド31aの直線運動に変換するコンバータ31によってスタック10に印加される力を制御する。このフィードバックループは、サーボモータによって生成される出力トルクを制御することによって、溶接動作中に加工物に印加される圧力を制御できるようにする。
【0023】
制御システムに力のフィードバックを提供する代替方法では、モータ駆動自体へのトルク制御の代わりに、市販の荷重セルを使用する。荷重セル40は、溶接スタックによって加工物に及ぼされる力を測定することができるように配置される。これを図4および図8に示す。
【0024】
ロッド31aの直線変位の大きさを制御するには、位置センサ36をロッド31aに連結して、ロッド31aの垂直運動に関する電気信号を生成する。例えば、位置センサ36は、ロッド31aの変位の大きさに比例した複数の電気パルスを生成する、エンコーダとすることができる。この位置信号は、モータ30に供給される電流を制御するのに制御器34が使用するさらなるパラメータとして、制御器34に供給される。したがって、位置センサ36は、フィードバックループの一部であり、該ループは、モータ30を制御して、出力軸30aの角変位を制御し、次いでロッド31aの垂直運動、したがって、スタック10の垂直運動の大きさを制御する。スタック10の実際の変位は、当然、モータ30によって印加された力、および加工物によって提供される抵抗の両方の関数であり、これは、溶接ゾーンが加熱され、加工物の熱可塑性材料が軟化するにつれて変化する。
【0025】
溶接サイクル中に溶接スタックの直線位置を判断する代替方法では、モータのエンコーダフィードバックを用いる。これは、図7のアイテム41、または図8のアイテム36によって表される。この位置は、駆動系内で使用されるあらゆる減速歯車と組み合わせた駆動ナットのリードとモータ位置との関数である。
【0026】
力、速度、または力および速度の組み合わせを直接制御することに加えて、運動制御システム34は、外部制御装置42からの入力信号または信号の組み合わせを使用した任意のアルゴリズムに基づいて、オンザフライで力または速度を自動的に変化させることができる。外部制御装置42は、スタック10に電力を提供して制御する、超音波発生器または制御器とすることができる。加工物W1および加工物W2に接続されるか、またはこれらに関与する制御器とすることもできる。これらの場合には、運動制御器34は、外部装置42、信号調節器33、および位置センサ36からの入力信号を受信して、溶接および維持プロセス中に、力または速度を変化させる。例えば、アクチュエータは、(超音波発生器によって提供される)超音波電力出力を一定に維持するために、力または速度を自動的に変えるように操作することができる。第2の実施例として、超音波トランスデューサ20は、外部制御装置42に及ぼされた力に関連して、フィードバック電力を該装置に提供することができる。このフィードバック電力は、モータ30およびアクチュエータ31の力または速度の変化の影響を運動制御器34に与えるように、外部制御装置の基準として使用される。結果は、加工物W1および加工物W2に印加された力、および位置センサ36および41のいずれか、または両方によって報告された実際の溶接速度に関連する、閉サーボ制御ループとなる。
【0027】
このタイプの溶接システムでのサーボ電気装置制御の使用には、多数の利点がある。第1の利点は、媒体の圧縮性により不正確になりがちな空気圧システムと比較して、電力が反復可能に制御可能であるという性質によって、溶接プロセスの全体にわたって溶接スタックの位置を正確に制御できることである。第2の利点は、溶接スタックの速度または力を、サーボシステムを使用して、あるレベルから別のレベルまでより速く変化させる能力である。第3の利点は、空気圧制御が全く無いことによって、また、適合する性能を達成するための複数の溶接システムの設定に伴う労力を減じることによって、電気サーボを使用した溶接システムの較正および検証の容易さが増すことである。
【0028】
また、速度および力のフィードバックの効果を組み合わせて、溶接プロセスを制御することも可能である。この一実施例は、サーボモータによって部品に及ぼされる力を一定に維持するために、二次制御として速度を監視して変化させる。このシナリオでは、最大および最小の溶接速度を定義して、全ての部品が明確に定義されたプロセスパラメータのエンベロープを有するようにできる。既定の速度プロファイルを維持するように定義された制限の範囲内で、サーボモータによって及ぼされる力を変化させる相互的な方法も、本装置および設計固有の制御能力によって実現性がある。一実施例として、超音波溶接方法は、トランスデューサ20に供給された測定電力(例、瞬時電力)に応答して、リニアアクチュエータの力または速度を調整する、少なくとも1つの入力信号を含む。別の実施例では、超音波溶接方法は、トランスデューサ20に供給された累積電力(すなわち、トランスデューサに供給された電力を、時間とともに連続的に合計して累積電力を得るが、この累積電力は、フィードバックループの基準として用いることができる)に応答して、リニアアクチュエータの力または速度を調整する、少なくとも1つの入力信号を含む。
【0029】
図9は、本概念の少なくとも1つの態様に従って、サーボプレスシステムを使用し、遅延運動手法を用いて形成したポリカーボネート製の溶接サンプルの距離対時間のグラフである。図10は、図9に示されたサンプルにおける溶接の力対時間のグラフである。図11は、図9に示されたサンプルにおける溶接の溶接スタックのトランスデューサに対する出力電力の電力対時間のグラフである。この図示された実験的な溶接サンプルでは、ここではある特徴が実装されるが、20ポンドの初期荷重(「トリガ力」)を超音波スタックに印加した後に、超音波溶接スタック10の変位を実質的にゼロに維持した。初期荷重は、適切な溶接パラメータおよびプロセス情報の入力時にオペレータによって、または代替的に制御システムによって選択可能な変動荷重であり、ゼロポンドから、用いられるリニアアクチュエータのいかなる上限までも変化し得ることに留意されたい。この初期荷重が印加された後に、超音波溶接スタック10のトランスデューサ20に給電することによって、0秒のときに溶接動作を開始した。その時の溶接崩壊(weld collapse)距離は、0インチであった。約0.080秒間、溶接距離を実質的に0インチに維持した。
【0030】
この間、超音波溶接スタック10の電力を増加させ、溶接動作を開始して、溶接点における加工物の熱可塑性材料を軟化させた。それに応じて、約0.064秒のときに、力が低下し始めていること(図10)が観察される。このときのトランスデューサ20への電力は、約275Wである(図11を参照されたい)。約0.064秒から約0.080秒の間に、リニアアクチュエータ11によって超音波溶接スタック10上に印加された力が、約26ポンドから約9ポンドに低下することが観察された。この時間まで、溶接距離はほぼゼロに維持され、リニアアクチュエータロッド31aおよび超音波溶接スタック10は、認識できるほどには前進しない。しかしながら、図9〜図11のパラメータによって示されるように、本実施例では約17ポンドである選択した既定の閾値の力以上に力が増加したことが観察された後に、制御システムは、溶接スタックの下方への運動(例、正の下方への速度)を開始させて、選択した溶接プロセスのプロファイルに従った溶接プロセスを継続した。
【0031】
図9〜図11に図示された溶接プロセスによって生成された溶接サンプルを測定したところ、0.0174インチの崩壊高さ(例、非溶接部分と溶接部分との差)が得られ、その後の引っ張り試験で、1006ポンドの最大引っ張り強度が得られた。本明細書に記載した概念の試験では、統計的に有意な数のサンプルを、類似した条件(すなわち、本明細書に記載の遅延運動手法を実装する)で溶接し、0.0001インチの標準偏差で、0.0172インチの平均崩壊高さが得られ、19ポンドの標準偏差で、991ポンドの引っ張り強度が得られた。同じ超音波溶接ホーンおよび発生器を備えた空気圧システムを使用して、別の群の同じ溶接サンプルに比較試験を行った。空気圧システムによる試験では、超音波溶接スタックを、空気圧を制御することによって規定の溶接力が維持される「力」モードで動作させて、溶接中の全体にわたってほぼ一定の溶接力を達成した。比較により、空気圧システムの溶接プロセスによって生成された、統計的に有意な数のサンプルを測定したところ、0.0016インチの標準偏差で、0.0179インチの平均崩壊高さが得られ、約31ポンドの標準偏差で、1002ポンドの引っ張り強度が得られた。
【0032】
遅延運動手法を実装したサーボ試験の結果は、崩壊距離および引っ張り強度再現性の一貫性に関して、空気圧システムによる試験の結果よりも優れていた。また、引っ張り強度の絶対平均値は、空気圧システムの方が若干高かったが、平均溶接崩壊距離も若干高かった。これらのサンプルは、当業者に既知の剪断溶接接合設計を用いたので、溶接崩壊距離の単位あたりの平均引っ張り強度を比較することができる。サーボシステム上で溶接されたサンプルは、空気圧システム上で溶接されたサンプルと比較して、より高い相対強度をもたらした。平均値は、1インチの溶接崩壊あたり、それぞれ、57,700および56,000ポンドであった。
【0033】
溶接強度に対するさらなる改善は、超音波溶接スタック10の下方への運動を開始する前に遅延の量を調節することによって、および残りの溶接全体にわたって速度のプロファイルを調節することによって得ることができると考えられる。強度再現性に対する改善も、本手法に用いた力の感知の精度および再現性を高めることによって期待することができるが、これらは、感知回路内の電気的および機械的ノイズをさらに減じることによって達成することができる。
【0034】
当業者には、本発明は、上に例示した実施形態の詳細に制限されるものではなく、また、本発明は、本発明の精神またはその基本的特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化できることが明らかとなろう。したがって、本実施形態は、全ての側面において例示的なものであり、限定的なものではないとみなすべきであり、本発明の範囲は、上述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、したがって、特許請求の範囲と均等の意味および範囲に入る全ての変更が、その範囲内に包含されることが意図される。一実施例として、超音波溶接スタックの溶接距離は、溶接動作の遅延運動段階においてほぼゼロに維持されるように、本明細書に記載されているが、わずかな傾斜または任意のプロファイルを好都合に用いることができる。
【0035】
別の実施例として、本概念の少なくともいくつかの態様に従って、記載されたアクチュエータおよび関連する制御システムは、アクチュエータが、第2の加工物W2を、静止溶接スタック(すなわち、ホーン22の振動運動を除いて静止している)に、またはこれに隣接して取り付けた静止加工物W1の方へ運動させるように、第2の加工物W2と組み合わせて実装することが可能である。次いで、本明細書に記載の制御システムは、第2の加工物へ制御された力、速度、または力および速度の組み合わせを、電動リニアアクチュエータによって、第2の加工物が接合される第1の加工物に対して、第2の加工物に印加することによって、第1の加工物W1に対する第2の加工物W2の直線運動を制御する。同様に、本概念の別の潜在的用途は、第2の加工物W2を、超音波溶接スタック、および記載したアクチュエータ、ならびに上述のように実装した関連する制御システムのホーンに隣接して載置して、静止溶接スタック(すなわち、ホーン22の振動運動を除いて静止している)に、またはこれに隣接して取り付けた静止加工物W2に対して、第1の加工物W1を付勢する配置を含むことができる。次いで、本明細書に記載の制御システムは、第2の加工物W2に対する第1の加工物W1の直線運動を制御する。さらに、静止対象加工物に対して上から押圧するような、本明細書の特定の様態で力が印加され得るように示されているが、例えばこれに限定されないが、同様に、可動加工物(例、W1)を静止加工物(例、W2)の方へ引っ張るような、力を印加する他の変形例も本概念の範囲内に含まれるものと理解されたい。
【0036】
同様に、本概念は、超音波溶接に限定されるものではなく、これに限定されないが、摩擦溶接または拡散溶接のような、加工物の駆動にサーボモータまたはアクチュエータを用いた、他の溶接プロセスおよび溶接装置に好都合に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】超音波溶接機の正面斜視図である。
【図2】ハウジング壁の一部を取り除いて、リニアアクチュエータを含む、内部構造を明らかにした、図1に示した超音波溶接機の一部の拡大側面斜視図である。
【図3】サーボモータ駆動のアクチュエータの代わりの、リニアモータ駆動を示した、図2の変形例を示す図である。
【図4】力のフィードバックに使用される荷重セルを示した、図2の変形例を示す図である。
【図5】図1に示された超音波溶接機内の超音波「スタック」の拡大分解立面図である。
【図6】接触棒に対して押圧されたままの状態のばね式接触ボタンを示した、図5の変形例を示す図である。
【図7】図1〜3に示された超音波溶接機に使用されるリニアアクチュエータのための制御システムの一実施形態のブロック図である。
【図8】図4に示された超音波溶接機に使用されるリニアアクチュエータのための制御システムの一実施形態のブロック図である。
【図9】本概念の少なくとも1つの態様に従って、サーボプレス機を使用し、遅延運動手法を用いて形成した溶接サンプルの距離対時間のグラフを示す図である。
【図10】図9に示されたサンプルにおける溶接の力対時間のグラフを示す図である。
【図11】図9に示されたサンプルにおける溶接のための溶接スタックのトランスデューサに対する出力電力の電力対時間のグラフを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、プラスチック部品を振動接合するための、超音波溶接または他のシステムで使用するプレス機に関する。
【発明の概要】
【0002】
本概念の一実施形態によれば、超音波溶接システムは、直線運動のために、および制御された力、速度、または力および速度の組み合わせを第1の加工物に印加して、第1の加工物を、第1の加工物が接合される第2の加工物に対して付勢するために載置された、超音波溶接スタックを備える。超音波溶接スタックに連結された可動要素を備えた電動リニアアクチュエータが提供され、電動リニアアクチュエータは、制御入力に応答して、制御された力、速度、または力および速度で可動要素および超音波溶接スタックを運動させるように構成され、電動リニアアクチュエータは、機械的回転運動を生成する電気サーボモータと、回転運動を、電動リニアアクチュエータの可動要素の直線運動に変換するように構成された一体型コンバータとを含む。制御器は、制御入力を、電動リニアアクチュエータまたはサーボモータのうちの少なくとも1つに提供して、電動リニアアクチュエータの出力を制御するように構成され、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの対応する制御変数を測定し、制御変数に対応する信号を制御器に出力するように構成される。本概念の態様によれば、制御器は、少なくとも1つのセンサによって出力された信号に基づいて、電動リニアアクチュエータの可動要素に、超音波溶接スタックを通じて、既定の正の初期力を溶接動作の開始時に印加させ、また、少なくとも1つのセンサから出力された信号が、感知した変数が既定の条件を満たしたことを示すまで、超音波溶接スタックの直線変位を既定の初期変位に制限するように構成される。制御器は、既定の条件が満たされたことを示す、少なくとも1つのセンサによって出力された信号に基づいて、電動リニアアクチュエータに、デフォルトの溶接プロファイル、または複数の利用可能な溶接プロファイルから選択された溶接プロファイルに従って、超音波溶接スタックを運動させるようにさらに構成される。
本概念の別の態様では、超音波溶接方法は、電気サーボモータを使用して、第1の加工物に対する直線運動のために載置された超音波溶接スタックを押圧するステップと、既定の初期荷重を第1の加工物に印加するステップと、溶接を開始するステップであって、超音波溶接スタックから第1の加工物へエネルギーを出力するステップを含む、溶接を開始するステップと、を含む。該方法は、少なくとも1つのセンサによって制御変数を感知するステップと、感知した制御変数に対応する信号を制御器に出力するステップと、同時に、超音波溶接スタックから第1の加工物へエネルギーを出力し、感知した制御変数に対応する信号が既定の条件を満たすまで、溶接距離をゼロまたはほぼゼロに維持するステップと、制御された力、速度、または力および速度の組み合わせを、電動リニアアクチュエータによって該第1の加工物に印加して、該既定の条件を満たした後に、該第1の加工物を、該第1の加工物が接合される第2の加工物に対して付勢するステップと、をさらに含む。
本発明は、添付図面を参照するとともに、以下の好ましい実施形態の記載からより適切に理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本発明を特定の好適な実施形態に関連して説明するが、本発明は、それらの具体的実施形態に限定されないものと理解されよう。それに対して、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれるような、全ての代替例、変形例、および均等物をカバーすることを意図している。
【0004】
ここで、最初に図1〜図6を参照すると、例示的な超音波溶接機は、双方向性の電動リニアアクチュエータ11によって制御された垂直運動のために載置された、超音波溶接「スタック」10を含む(図2)。スタック10を、図5および図6に関連して以下に詳述する。アクチュエータ11は、主ハウジング12内に載置され、また、溶接プレスのための電源および電子制御を収容した補助ハウジング13を支持する。本概念の変形例では、ハウジング12および補助ハウジング13は、本発明の意図に実質的に影響を及ぼさずに、1つの構造体に併合することができる。溶接する熱可塑性加工物W1およびW2(図5)は、超音波スタック10の下の静止固定具内に載置され、アクチュエータ11は、上部加工物W1に対してスタック10を下方へ前進させる。スタック10の下端部は、加工物W1に対して下方へ押圧されて、下部加工物W2に対して上部加工物W1を押圧し、一方で、機械的振動を加工物W1に印加して、2つの加工物W1およびW2を互いに接合する所望の溶接を生じさせる。
【0005】
主ハウジング12は、溶接する加工物を受けて支持するための固定具を担持する基部15から上方へ延在する垂直カラム14を含む、フレーム上に載置される。ハウジング12は、一般的に、カラム14に調節可能に載置され、異なる加工物に対して、ハウジング12全体の垂直位置を調節できるようにする。制御パネル16は、基部15の前部に提供される。
【0006】
超音波溶接スタック10は、以下の3つ構成要素を含む(図5および図6を参照されたい)。
電気エネルギーを機械的振動に変換する、電気機械トランスデューサ20。
【0007】
トランスデューサ20によって生成された機械的振動のゲイン(すなわち、出力振幅)を変化させる、ブースタ21。
ブースタ21から溶接する部品へ機械的振動を伝達する、ホーン22。
【0008】
図5に示されるように、トランスデューサ20は、トランスデューサ20を励起するための高周波電気信号を供給する高電圧同軸ケーブル24を取り付けるためのコネクタ23を含む。この信号は、別個の超音波信号発生器(図示せず)によって供給される。代替的な接続方法を用いて、トランスデューサのより簡単な取り外しおよび取り付けができるようにすることもできる。図6に示されるように、この方法は、プレス機上の導電性棒と接触する、トランスデューサ20上のばね式のボタンを用いる。導電性は、ボタンの背後のばね力が棒を押圧することによって確保される。
【0009】
トランスデューサ20は、電気エネルギーを機械的運動に変換するランジュヴァン(Langevin)圧電コンバータとして、超音波振動を発生する。トランスデューサ20に印加される電力は、20kHzの典型的な周波数で、50ワット未満から最高5000ワットまで変動させることができる。同じ概念が、本発明の溶接プロセスで通常使用される、他の周波数および電力レベルのトランスデューサに対しても当てはまることに留意されたい。
【0010】
トランスデューサ20は、一般的に、薄い金属板によって分離され、高圧下で互いに型締めされた、複数の標準的な圧電セラミック素子で作製される。交流電圧がセラミック素子に印加されると、対応する電界が生成され、その結果、セラミック素子の厚さが変化する。この厚さの変化は、材料を通じて伝播してトランスデューサの金属塊の端部によって反射される、圧力波を誘起する。組み立て体の長さがその励起周波数に同調すると、組み立て体が共振して定存波源になる。20kHzのトランスデューサからの出力振幅は、一般的に、約20ミクロン(0.0008インチ)である。この振幅は、部品W1およびW2に有用な作業を行うように、ブースタ21およびホーン22によって増幅する必要がある。ブースタおよびホーンは、音響導波路または変換回路として機能して、超音波振動を増幅して加工物に集中させる。
【0011】
ブースタ21の主要機能は、スタック10のゲイン(すなわち、出力振幅)を変化させることである。ブースタは、そのゲインが1よりも大きい場合には増幅し、1よりも小さい場合には減衰させる。20kHzでのゲインは、一般的に、1/2未満から約3まで変動する。
【0012】
ホーン22は、自由に振動させなければならず、したがって、トランスデューサ20およびブースタ21だけが固定されるので、通常は型締めすることができない。したがって、ブースタの二次機能(および時には単独の目的)は、プレス機に固定したときに、スタックの増幅を変化させることなく、追加的な取り付け位置を提供することである。中間または連結ブースタは、トランスデューサとホーンとの間に追加され、節点(定存波が最小限の縦方向の振幅を有する)に配置された取り付けリングによって、プレス機内に載置される。
【0013】
ホーン22は、以下の3つの主要機能を有する。
1.超音波の機械的振動エネルギー(トランスデューサ20で生じる)を、直接的な物理的接触を通じて熱可塑性加工物(W1およびW2)に伝達し、融解を生じさせる領域内にエネルギーを局所化させる。
【0014】
2.振動の振幅を増幅して、所望の先端振幅を熱可塑性加工物および溶接プロセス要件に提供する。
3.接合面が融解したときに溶接させるのに必要な圧力を印加する。
【0015】
ホーンは、精密機械加工され、一般的に、15kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、または70kHzで振動するように設計される。周波数が高くなるにつれて、音響波長が短くなり、結果的に、ホーンが小さくなる。ホーンの同調は、一般的に、電子的な周波数測定を使用して達成される。ホーンは、通常、高強度アルミニウム合金またはチタンから製造されるが、これらはどちらも、ほとんど減衰することなく超音波エネルギーを伝達する、優れた音響特性を有する。
【0016】
プロセス要件に応じて、多数の異なるホーンの形状およびスタイルが存在する。ホーンの設計に影響を与える要因は、溶接される材料および組み立て方法である。ホーンは、熱可塑性加工物の界面においてそれらを融解させるのに十分な振幅となるように機械的振動を増幅しなければならず、ホーンのゲインは、そのプロファイルによって決定される。ホーン先端での振幅は、一般的に、20kHzで、ピークツーピークが30から125ミクロン(1000分の1.2から5.0インチ)まで変動する。代替的な変形例では、ホーンは、ブースタの形態を取り、安定化および溶接の機能を兼ねるように設計することができる。この変形例では、ブースタが取り除かれ、ホーンは、プレス機内のブースタを載置するリング領域の位置に固定される。
【0017】
周波数が増加するにつれて、振動の振幅は減衰する。大きな振幅を必要としない薄い材料および精巧な部品のシーミングには、より高い周波数が用いられる。ホーンは、高い周波数で小さくなるので、より接近した間隔を達成することもできる。
【0018】
プラスチック溶接は、超音波組み立て体の最も一般的な応用例である。図5に示されるように、超音波プラスチック溶接を実行するために、ホーンの先端を、上部加工物W1と接触させる。上部加工物を通じて圧力が印加され、超音波エネルギーが移動することで、2つの加工物の接触点における運動エネルギー(または熱)が増加する。熱は、加工物のうちの1つのプラスチックの成形隆線を融解させ、融解材料が2つの材料の間を流れる。振動が止まると、材料は凝固して永続的な接合を形成する。
【0019】
リニアアクチュエータ11は、コンバータ31と一体化した電気サーボモータ30を備え、該コンバータは、モータ30の回転出力を直線運動に変換する。コンバータは、一般的に、モータ出力軸30aに連結された親ねじであり、従動ユニットが親ねじのねじ山に沿って移動して、所望の直線出力を生成する。例示的な実施形態では、直線出力は、コンバータ31をスタック10に接続するロッド31aの垂直運動を制御する。サーボモータ30およびコンバータ31の両方を収容した一体型ユニットは、Chanhassen、MinnesotaにあるExlar社から入手可能な、GSMまたはGSXシリーズのリニアアクチュエータのような、市販のアイテムである。Exlar社に譲渡された米国特許第5,557,154号も参照されたい。サーボモータによって使用される直線位置のフィードバックは、溶接スタック10に連結された直線エンコーダによって、または回転モータ30の位置を感知する回転エンコーダによって提供することができる。
【0020】
図2および図4から分かるように、アクチュエータロッド31aは、垂直軸に沿って直線的に運動する。ロッド31aの下端は、超音波溶接スタック10が取り付けられるキャリッジを備えた構成要素に接続される。アクチュエータ11の目的は、制御された力、速度、または力および速度の組み合わせをスタック10に印加して、スタックを加工物W1に対して下方へ押圧し、一方で、スタックも機械的振動を加工物に伝達することである。ロッド31aの直線運動は、別の制御可能な変数である。例えば、ロッド31aの直線運動は、特に、加工物の熱可塑性材料が所望の溶接を生じるのに十分に軟化した後に、溶接深さを制御するように制御することができる。印加された振動エネルギーによって熱可塑性材料が軟化した後のロッド31aの過度の前進は、過度に薄い、したがって過度に弱い溶接を生成する可能性がある。同様に、下記に開示される概念によれば、加工物の熱可塑性材料の軟化によって、最初に印加した力が既定の閾値を下回るレベルに減少した後まで、ゼロまたはほぼゼロに維持される等によって、ロッド31aの初期の直線運動が遅れる場合がある。
【0021】
直接駆動式リニアサーボスライドを用いた、溶接スタックを駆動する代替方法を図3に示す。これらのスライドは、歯車のバックラッシュおよび電動ねじのねじ込みによって生じる不正確さを減じる。直接駆動式リニアサーボモータ38は、スタック組み立て体10に作用する。このリニア駆動のサーボモータは、モータ30とコンバータ31との組み合わせである。このような駆動装置は、Perker Trilogy 410シリーズのように、複数の供給業者によって市販されている。位置のフィードバック36は、例えばモータ軸に直接連結されたエンコーダまたはリゾルバを使用して、リニアモータによって提供される。垂直配置においてリニアサーボモータを使用するために、電源オフ状態の間に、溶接スタック10がその自重で下がらないように維持するために、別個の電気ブレーキ37が必要である。
【0022】
図7は、リニアアクチュエータ11のための制御システムを例示した図である。力制御ループは、電気サーボモータ30のトルク出力の大きさに関する電気信号を生成するための、モータ30の回転出力軸30aに連結されたトルクセンサ32を含む。このトルク信号は、従来型の信号調節回路33内で処理され、次いで、電源35から電力を受けて駆動増幅器34aを介してモータ30に供給される電流を制御する、運動制御器34に供給される。したがって、トルクセンサ32および信号調節回路33は、フィードバックループを形成し、該ループは、モータ30が所望のトルクで出力軸30aを回転させるように制御し、次いで、モータ30の回転出力をロッド31aの直線運動に変換するコンバータ31によってスタック10に印加される力を制御する。このフィードバックループは、サーボモータによって生成される出力トルクを制御することによって、溶接動作中に加工物に印加される圧力を制御できるようにする。
【0023】
制御システムに力のフィードバックを提供する代替方法では、モータ駆動自体へのトルク制御の代わりに、市販の荷重セルを使用する。荷重セル40は、溶接スタックによって加工物に及ぼされる力を測定することができるように配置される。これを図4および図8に示す。
【0024】
ロッド31aの直線変位の大きさを制御するには、位置センサ36をロッド31aに連結して、ロッド31aの垂直運動に関する電気信号を生成する。例えば、位置センサ36は、ロッド31aの変位の大きさに比例した複数の電気パルスを生成する、エンコーダとすることができる。この位置信号は、モータ30に供給される電流を制御するのに制御器34が使用するさらなるパラメータとして、制御器34に供給される。したがって、位置センサ36は、フィードバックループの一部であり、該ループは、モータ30を制御して、出力軸30aの角変位を制御し、次いでロッド31aの垂直運動、したがって、スタック10の垂直運動の大きさを制御する。スタック10の実際の変位は、当然、モータ30によって印加された力、および加工物によって提供される抵抗の両方の関数であり、これは、溶接ゾーンが加熱され、加工物の熱可塑性材料が軟化するにつれて変化する。
【0025】
溶接サイクル中に溶接スタックの直線位置を判断する代替方法では、モータのエンコーダフィードバックを用いる。これは、図7のアイテム41、または図8のアイテム36によって表される。この位置は、駆動系内で使用されるあらゆる減速歯車と組み合わせた駆動ナットのリードとモータ位置との関数である。
【0026】
力、速度、または力および速度の組み合わせを直接制御することに加えて、運動制御システム34は、外部制御装置42からの入力信号または信号の組み合わせを使用した任意のアルゴリズムに基づいて、オンザフライで力または速度を自動的に変化させることができる。外部制御装置42は、スタック10に電力を提供して制御する、超音波発生器または制御器とすることができる。加工物W1および加工物W2に接続されるか、またはこれらに関与する制御器とすることもできる。これらの場合には、運動制御器34は、外部装置42、信号調節器33、および位置センサ36からの入力信号を受信して、溶接および維持プロセス中に、力または速度を変化させる。例えば、アクチュエータは、(超音波発生器によって提供される)超音波電力出力を一定に維持するために、力または速度を自動的に変えるように操作することができる。第2の実施例として、超音波トランスデューサ20は、外部制御装置42に及ぼされた力に関連して、フィードバック電力を該装置に提供することができる。このフィードバック電力は、モータ30およびアクチュエータ31の力または速度の変化の影響を運動制御器34に与えるように、外部制御装置の基準として使用される。結果は、加工物W1および加工物W2に印加された力、および位置センサ36および41のいずれか、または両方によって報告された実際の溶接速度に関連する、閉サーボ制御ループとなる。
【0027】
このタイプの溶接システムでのサーボ電気装置制御の使用には、多数の利点がある。第1の利点は、媒体の圧縮性により不正確になりがちな空気圧システムと比較して、電力が反復可能に制御可能であるという性質によって、溶接プロセスの全体にわたって溶接スタックの位置を正確に制御できることである。第2の利点は、溶接スタックの速度または力を、サーボシステムを使用して、あるレベルから別のレベルまでより速く変化させる能力である。第3の利点は、空気圧制御が全く無いことによって、また、適合する性能を達成するための複数の溶接システムの設定に伴う労力を減じることによって、電気サーボを使用した溶接システムの較正および検証の容易さが増すことである。
【0028】
また、速度および力のフィードバックの効果を組み合わせて、溶接プロセスを制御することも可能である。この一実施例は、サーボモータによって部品に及ぼされる力を一定に維持するために、二次制御として速度を監視して変化させる。このシナリオでは、最大および最小の溶接速度を定義して、全ての部品が明確に定義されたプロセスパラメータのエンベロープを有するようにできる。既定の速度プロファイルを維持するように定義された制限の範囲内で、サーボモータによって及ぼされる力を変化させる相互的な方法も、本装置および設計固有の制御能力によって実現性がある。一実施例として、超音波溶接方法は、トランスデューサ20に供給された測定電力(例、瞬時電力)に応答して、リニアアクチュエータの力または速度を調整する、少なくとも1つの入力信号を含む。別の実施例では、超音波溶接方法は、トランスデューサ20に供給された累積電力(すなわち、トランスデューサに供給された電力を、時間とともに連続的に合計して累積電力を得るが、この累積電力は、フィードバックループの基準として用いることができる)に応答して、リニアアクチュエータの力または速度を調整する、少なくとも1つの入力信号を含む。
【0029】
図9は、本概念の少なくとも1つの態様に従って、サーボプレスシステムを使用し、遅延運動手法を用いて形成したポリカーボネート製の溶接サンプルの距離対時間のグラフである。図10は、図9に示されたサンプルにおける溶接の力対時間のグラフである。図11は、図9に示されたサンプルにおける溶接の溶接スタックのトランスデューサに対する出力電力の電力対時間のグラフである。この図示された実験的な溶接サンプルでは、ここではある特徴が実装されるが、20ポンドの初期荷重(「トリガ力」)を超音波スタックに印加した後に、超音波溶接スタック10の変位を実質的にゼロに維持した。初期荷重は、適切な溶接パラメータおよびプロセス情報の入力時にオペレータによって、または代替的に制御システムによって選択可能な変動荷重であり、ゼロポンドから、用いられるリニアアクチュエータのいかなる上限までも変化し得ることに留意されたい。この初期荷重が印加された後に、超音波溶接スタック10のトランスデューサ20に給電することによって、0秒のときに溶接動作を開始した。その時の溶接崩壊(weld collapse)距離は、0インチであった。約0.080秒間、溶接距離を実質的に0インチに維持した。
【0030】
この間、超音波溶接スタック10の電力を増加させ、溶接動作を開始して、溶接点における加工物の熱可塑性材料を軟化させた。それに応じて、約0.064秒のときに、力が低下し始めていること(図10)が観察される。このときのトランスデューサ20への電力は、約275Wである(図11を参照されたい)。約0.064秒から約0.080秒の間に、リニアアクチュエータ11によって超音波溶接スタック10上に印加された力が、約26ポンドから約9ポンドに低下することが観察された。この時間まで、溶接距離はほぼゼロに維持され、リニアアクチュエータロッド31aおよび超音波溶接スタック10は、認識できるほどには前進しない。しかしながら、図9〜図11のパラメータによって示されるように、本実施例では約17ポンドである選択した既定の閾値の力以上に力が増加したことが観察された後に、制御システムは、溶接スタックの下方への運動(例、正の下方への速度)を開始させて、選択した溶接プロセスのプロファイルに従った溶接プロセスを継続した。
【0031】
図9〜図11に図示された溶接プロセスによって生成された溶接サンプルを測定したところ、0.0174インチの崩壊高さ(例、非溶接部分と溶接部分との差)が得られ、その後の引っ張り試験で、1006ポンドの最大引っ張り強度が得られた。本明細書に記載した概念の試験では、統計的に有意な数のサンプルを、類似した条件(すなわち、本明細書に記載の遅延運動手法を実装する)で溶接し、0.0001インチの標準偏差で、0.0172インチの平均崩壊高さが得られ、19ポンドの標準偏差で、991ポンドの引っ張り強度が得られた。同じ超音波溶接ホーンおよび発生器を備えた空気圧システムを使用して、別の群の同じ溶接サンプルに比較試験を行った。空気圧システムによる試験では、超音波溶接スタックを、空気圧を制御することによって規定の溶接力が維持される「力」モードで動作させて、溶接中の全体にわたってほぼ一定の溶接力を達成した。比較により、空気圧システムの溶接プロセスによって生成された、統計的に有意な数のサンプルを測定したところ、0.0016インチの標準偏差で、0.0179インチの平均崩壊高さが得られ、約31ポンドの標準偏差で、1002ポンドの引っ張り強度が得られた。
【0032】
遅延運動手法を実装したサーボ試験の結果は、崩壊距離および引っ張り強度再現性の一貫性に関して、空気圧システムによる試験の結果よりも優れていた。また、引っ張り強度の絶対平均値は、空気圧システムの方が若干高かったが、平均溶接崩壊距離も若干高かった。これらのサンプルは、当業者に既知の剪断溶接接合設計を用いたので、溶接崩壊距離の単位あたりの平均引っ張り強度を比較することができる。サーボシステム上で溶接されたサンプルは、空気圧システム上で溶接されたサンプルと比較して、より高い相対強度をもたらした。平均値は、1インチの溶接崩壊あたり、それぞれ、57,700および56,000ポンドであった。
【0033】
溶接強度に対するさらなる改善は、超音波溶接スタック10の下方への運動を開始する前に遅延の量を調節することによって、および残りの溶接全体にわたって速度のプロファイルを調節することによって得ることができると考えられる。強度再現性に対する改善も、本手法に用いた力の感知の精度および再現性を高めることによって期待することができるが、これらは、感知回路内の電気的および機械的ノイズをさらに減じることによって達成することができる。
【0034】
当業者には、本発明は、上に例示した実施形態の詳細に制限されるものではなく、また、本発明は、本発明の精神またはその基本的特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化できることが明らかとなろう。したがって、本実施形態は、全ての側面において例示的なものであり、限定的なものではないとみなすべきであり、本発明の範囲は、上述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、したがって、特許請求の範囲と均等の意味および範囲に入る全ての変更が、その範囲内に包含されることが意図される。一実施例として、超音波溶接スタックの溶接距離は、溶接動作の遅延運動段階においてほぼゼロに維持されるように、本明細書に記載されているが、わずかな傾斜または任意のプロファイルを好都合に用いることができる。
【0035】
別の実施例として、本概念の少なくともいくつかの態様に従って、記載されたアクチュエータおよび関連する制御システムは、アクチュエータが、第2の加工物W2を、静止溶接スタック(すなわち、ホーン22の振動運動を除いて静止している)に、またはこれに隣接して取り付けた静止加工物W1の方へ運動させるように、第2の加工物W2と組み合わせて実装することが可能である。次いで、本明細書に記載の制御システムは、第2の加工物へ制御された力、速度、または力および速度の組み合わせを、電動リニアアクチュエータによって、第2の加工物が接合される第1の加工物に対して、第2の加工物に印加することによって、第1の加工物W1に対する第2の加工物W2の直線運動を制御する。同様に、本概念の別の潜在的用途は、第2の加工物W2を、超音波溶接スタック、および記載したアクチュエータ、ならびに上述のように実装した関連する制御システムのホーンに隣接して載置して、静止溶接スタック(すなわち、ホーン22の振動運動を除いて静止している)に、またはこれに隣接して取り付けた静止加工物W2に対して、第1の加工物W1を付勢する配置を含むことができる。次いで、本明細書に記載の制御システムは、第2の加工物W2に対する第1の加工物W1の直線運動を制御する。さらに、静止対象加工物に対して上から押圧するような、本明細書の特定の様態で力が印加され得るように示されているが、例えばこれに限定されないが、同様に、可動加工物(例、W1)を静止加工物(例、W2)の方へ引っ張るような、力を印加する他の変形例も本概念の範囲内に含まれるものと理解されたい。
【0036】
同様に、本概念は、超音波溶接に限定されるものではなく、これに限定されないが、摩擦溶接または拡散溶接のような、加工物の駆動にサーボモータまたはアクチュエータを用いた、他の溶接プロセスおよび溶接装置に好都合に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】超音波溶接機の正面斜視図である。
【図2】ハウジング壁の一部を取り除いて、リニアアクチュエータを含む、内部構造を明らかにした、図1に示した超音波溶接機の一部の拡大側面斜視図である。
【図3】サーボモータ駆動のアクチュエータの代わりの、リニアモータ駆動を示した、図2の変形例を示す図である。
【図4】力のフィードバックに使用される荷重セルを示した、図2の変形例を示す図である。
【図5】図1に示された超音波溶接機内の超音波「スタック」の拡大分解立面図である。
【図6】接触棒に対して押圧されたままの状態のばね式接触ボタンを示した、図5の変形例を示す図である。
【図7】図1〜3に示された超音波溶接機に使用されるリニアアクチュエータのための制御システムの一実施形態のブロック図である。
【図8】図4に示された超音波溶接機に使用されるリニアアクチュエータのための制御システムの一実施形態のブロック図である。
【図9】本概念の少なくとも1つの態様に従って、サーボプレス機を使用し、遅延運動手法を用いて形成した溶接サンプルの距離対時間のグラフを示す図である。
【図10】図9に示されたサンプルにおける溶接の力対時間のグラフを示す図である。
【図11】図9に示されたサンプルにおける溶接のための溶接スタックのトランスデューサに対する出力電力の電力対時間のグラフを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波溶接システムであって、
直線運動のために、ならびに制御された力、速度、または力および速度の組み合わせを第1の加工物に印加して、前記第1の加工物を、前記第1の加工物が接合される第2の加工物に対して付勢するために載置された、超音波溶接スタックと、
前記超音波溶接スタックに連結された可動要素を備えた電動リニアアクチュエータであって、制御入力に応答して、制御された力、速度、または力および速度で前記可動要素および前記超音波溶接スタックを運動させるように構成された、電動リニアアクチュエータと、
制御入力を、前記電動リニアアクチュエータまたはサーボモータのうちの少なくとも1つに提供して、前記電動リニアアクチュエータの出力を制御するように構成された、制御器と、
少なくとも1つの対応する制御変数を測定し、前記制御変数に対応する信号を前記制御器に出力するように構成された、少なくとも1つのセンサと、
を備え、前記制御器は、前記少なくとも1つのセンサによって出力された前記信号に基づいて、前記電動リニアアクチュエータの可動要素に、前記超音波溶接スタックを通じて、既定の正の初期力を溶接動作の開始時に印加させ、前記少なくとも1つのセンサから出力された前記信号が、感知した変数が既定の条件を満たすことを示すまで、前記超音波溶接スタックの直線変位を既定の初期変位に制限するように構成され、
前記制御器は、前記既定の条件が満たされたことを示す、前記少なくとも1つのセンサによって出力された前記信号に基づいて、前記電動リニアアクチュエータに、デフォルトの溶接プロファイル、または複数の利用可能な溶接プロファイルから選択された溶接プロファイルに従って、前記超音波溶接スタックを運動させるように構成されることを特徴とする超音波溶接システム。
【請求項2】
前記センサは、前記超音波溶接スタックのトランスデューサへの電力入力を感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の電力であることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項3】
前記センサは、前記超音波溶接スタックのトランスデューサへの電力入力を感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の累積電力であることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項4】
前記センサは、前記超音波溶接スタックの周波数を感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の周波数であることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項5】
前記センサは、前記超音波溶接スタックのトランスデューサの位相を感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の位相であることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項6】
前記センサは、前記リニアアクチュエータの可動要素によって出力された力を感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の力であることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項7】
前記センサは、前記サーボモータの出力トルクを感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の出力トルクであることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサは、前記超音波溶接スタックの運動の実際の速度か、または前記超音波溶接スタックによって加工物に及ぼされる実際の力に対応する、制御信号を生成するトランスデューサを備え、前記制御器は、アクチュエータによってスタックに印加された前記力、および前記スタックの前記運動の速度のうちの少なくとも1つを制御するように構成され、前記制御器は、前記制御信号と格納データとを比較するようにプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項9】
超音波溶接方法であって、
電気サーボモータを使用して、第1の加工物に対する直線運動のために載置された超音波溶接スタックを押圧するステップと、
既定の初期荷重を前記第1の加工物に印加するステップと、
溶接を開始するステップであって、前記超音波溶接スタックから前記第1の加工物へエネルギーを出力するステップを含む、ステップと、
少なくとも1つのセンサによって制御変数を感知するステップと、
前記感知した制御変数に対応する信号を制御器に出力するステップと、
同時に、前記超音波溶接スタックから前記第1の加工物へエネルギーを出力し、前記感知した制御変数に対応する前記信号が既定の条件を満たすまで、溶接距離をゼロ、またはほぼゼロに維持するステップと、
制御された力、速度、または力および速度の組み合わせを、電動リニアアクチュエータによって前記第1の加工物に印加して、前記既定の条件を満たした後に、前記第1の加工物を、前記第1の加工物が接合される第2の加工物に対して付勢するステップと、
を含むことを特徴とする超音波溶接方法。
【請求項10】
前記既定の条件は、規定の電力であることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項11】
前記既定の条件は、規定の累積電力であることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項12】
前記既定の条件は、規定の周波数であることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項13】
前記既定の条件は、規定の位相であることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項14】
前記既定の条件は、規定の力であることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項15】
前記既定の条件は、規定の出力トルクであることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項16】
サーボモータによって生成されたトルクに関する制御信号を生成するステップと、モータのトルク出力を制御するように、前記制御信号に応答して、前記サーボモータに供給される電力を制御するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項17】
スタックに連結された荷重セルから制御信号を生成するステップであって、前記制御信号は、溶接スタックによって加工物に及ぼされる前記力に対応する、ステップと、前記第1の加工物に印加される前記力を制御するように、前記制御信号に応答して、サーボモータに供給される電力を制御するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項18】
少なくとも1つの入力信号を生成して、オンザフライでアクチュエータの前記力または速度を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項1】
超音波溶接システムであって、
直線運動のために、ならびに制御された力、速度、または力および速度の組み合わせを第1の加工物に印加して、前記第1の加工物を、前記第1の加工物が接合される第2の加工物に対して付勢するために載置された、超音波溶接スタックと、
前記超音波溶接スタックに連結された可動要素を備えた電動リニアアクチュエータであって、制御入力に応答して、制御された力、速度、または力および速度で前記可動要素および前記超音波溶接スタックを運動させるように構成された、電動リニアアクチュエータと、
制御入力を、前記電動リニアアクチュエータまたはサーボモータのうちの少なくとも1つに提供して、前記電動リニアアクチュエータの出力を制御するように構成された、制御器と、
少なくとも1つの対応する制御変数を測定し、前記制御変数に対応する信号を前記制御器に出力するように構成された、少なくとも1つのセンサと、
を備え、前記制御器は、前記少なくとも1つのセンサによって出力された前記信号に基づいて、前記電動リニアアクチュエータの可動要素に、前記超音波溶接スタックを通じて、既定の正の初期力を溶接動作の開始時に印加させ、前記少なくとも1つのセンサから出力された前記信号が、感知した変数が既定の条件を満たすことを示すまで、前記超音波溶接スタックの直線変位を既定の初期変位に制限するように構成され、
前記制御器は、前記既定の条件が満たされたことを示す、前記少なくとも1つのセンサによって出力された前記信号に基づいて、前記電動リニアアクチュエータに、デフォルトの溶接プロファイル、または複数の利用可能な溶接プロファイルから選択された溶接プロファイルに従って、前記超音波溶接スタックを運動させるように構成されることを特徴とする超音波溶接システム。
【請求項2】
前記センサは、前記超音波溶接スタックのトランスデューサへの電力入力を感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の電力であることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項3】
前記センサは、前記超音波溶接スタックのトランスデューサへの電力入力を感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の累積電力であることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項4】
前記センサは、前記超音波溶接スタックの周波数を感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の周波数であることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項5】
前記センサは、前記超音波溶接スタックのトランスデューサの位相を感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の位相であることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項6】
前記センサは、前記リニアアクチュエータの可動要素によって出力された力を感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の力であることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項7】
前記センサは、前記サーボモータの出力トルクを感知するように構成され、前記既定の条件は、規定の出力トルクであることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサは、前記超音波溶接スタックの運動の実際の速度か、または前記超音波溶接スタックによって加工物に及ぼされる実際の力に対応する、制御信号を生成するトランスデューサを備え、前記制御器は、アクチュエータによってスタックに印加された前記力、および前記スタックの前記運動の速度のうちの少なくとも1つを制御するように構成され、前記制御器は、前記制御信号と格納データとを比較するようにプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の超音波溶接システム。
【請求項9】
超音波溶接方法であって、
電気サーボモータを使用して、第1の加工物に対する直線運動のために載置された超音波溶接スタックを押圧するステップと、
既定の初期荷重を前記第1の加工物に印加するステップと、
溶接を開始するステップであって、前記超音波溶接スタックから前記第1の加工物へエネルギーを出力するステップを含む、ステップと、
少なくとも1つのセンサによって制御変数を感知するステップと、
前記感知した制御変数に対応する信号を制御器に出力するステップと、
同時に、前記超音波溶接スタックから前記第1の加工物へエネルギーを出力し、前記感知した制御変数に対応する前記信号が既定の条件を満たすまで、溶接距離をゼロ、またはほぼゼロに維持するステップと、
制御された力、速度、または力および速度の組み合わせを、電動リニアアクチュエータによって前記第1の加工物に印加して、前記既定の条件を満たした後に、前記第1の加工物を、前記第1の加工物が接合される第2の加工物に対して付勢するステップと、
を含むことを特徴とする超音波溶接方法。
【請求項10】
前記既定の条件は、規定の電力であることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項11】
前記既定の条件は、規定の累積電力であることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項12】
前記既定の条件は、規定の周波数であることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項13】
前記既定の条件は、規定の位相であることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項14】
前記既定の条件は、規定の力であることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項15】
前記既定の条件は、規定の出力トルクであることを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項16】
サーボモータによって生成されたトルクに関する制御信号を生成するステップと、モータのトルク出力を制御するように、前記制御信号に応答して、前記サーボモータに供給される電力を制御するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項17】
スタックに連結された荷重セルから制御信号を生成するステップであって、前記制御信号は、溶接スタックによって加工物に及ぼされる前記力に対応する、ステップと、前記第1の加工物に印加される前記力を制御するように、前記制御信号に応答して、サーボモータに供給される電力を制御するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【請求項18】
少なくとも1つの入力信号を生成して、オンザフライでアクチュエータの前記力または速度を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の超音波溶接方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−297786(P2009−297786A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−91656(P2009−91656)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(506190706)デュケーン・コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91656(P2009−91656)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(506190706)デュケーン・コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】
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