説明

シンセサイザモジュール

【課題】 周波数設定者の利用形態に応じて発振周波数の設定を容易できるシンセサイザモジュールを提供する。
【解決手段】 CPU10は、ロータリーSW11の状態を判断し、ロータリーSW11で設定されたCH番号が有効な値であれば、スイッチによる周波数設定を行い、有効な値でなければ、パワーオフ直前の最終設定周波数を再設定し、その後にシリアルバス13から入力されたシリアル信号による周波数設定を行うものであり、ロータリーSW11による設定とシリアル信号による設定をぶつかることなく周波数設定者の利用形態に応じて適正に行うことができるシンセサイザモジュールである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタル放送用の周波数シンセサイザモジュールに係り、特に、日本国内外における発振周波数の設定を容易にできるシンセサイザモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の地上デジタル放送用の周波数シンセサイザでは、すべてのチャンネル範囲をいくつかのバンドに分割し、そのバンド内のチャンネル番号をデジタルスイッチにより選択し、発振周波数の設定を行うものがあった(非特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記の周波数設定方法では、日本国内のように、固定の周波数間隔でチャンネル周波数が配置された仕向け地限定ならば対応可能であるが、万国共通のシンセサイザモジュールとしては1Hzステップで周波数設定が可能な仕様が求められる。
尚、1Hzステップでオールバンド対応可能なシンセサイザモジュールが開発、提供されている(非特許文献2参照)。
【0004】
また、PLL周波数シンセサイザにおいて、メモリに予め設定した分周比データを利用する固定モードと任意の分周比データを入力する可変モードを用意し、切替スイッチによっていずれかのモードを選択するものがある(特許文献1参照)。
【0005】
また、PLL周波数シンセサイザ回路において、可変モード、固定モードの切り替えを行い、PLL周波数シンセサイザ回路のリファレンスカウンタの分周比設定も可能とするものがある(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−239057号公報
【特許文献2】特開2001−285061号公報
【非特許文献1】SYSTEC RESEARCH Inc., UHF Band Frequency Synthesizer for SFN & MFN of Digital TV Broadcasting Model: DCN-SP501/801-Bxx Nov. 2005 http://www.systec-r.com/pdf/dcn-sp501j.pdf
【非特許文献2】SYSTEC RESEARCH Inc., UHF Band Frequency Synthesizer Model: DTV-2000N Sep. 2005 http://www.systec-r.com/pdf/dtv2000nj.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の2つの設定方法があるものの、両方法を単純に統合化しただけでは、周波数設定者の利便性を考慮して、発振周波数を容易に設定できるものではないという問題点があった。
【0008】
また、上記特許文献に示された可変モードと固定モードでは、いずれか一方での制御しか実現できないため、周波数設定者の利用形態に応じては頻繁に切替スイッチを操作する必要があり、周波数設定者の利便性に欠けるという問題点があった。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、周波数設定者の利用形態に応じて発振周波数の設定を容易できるシンセサイザモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、シンセサイザモジュールにおいて、基準クロックを発生させる基準クロック発振回路と、電圧制御発振器と、電圧制御発振器からの出力を増幅する増幅器と、基準クロックに基づいて設定される周波数の信号を生成し、生成した設定周波数の信号と電圧制御発振器から入力される信号の位相を比較し、位相差信号を電圧値として電圧制御発振器に出力する制御部と、チャンネル番号を設定するスイッチと、外部から入力される設定周波数データ又はスイッチで設定されるチャンネル番号に基づいて制御部に設定する周波数の情報を出力する中央演算処理装置とを備え、中央演算処理装置が、電源オン時のスイッチで設定状態を判定し、スイッチの設定値が適正であれば、スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を制御部に出力し、スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を制御部に出力することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記シンセサイザモジュールにおいて、中央演算処理装置は、第1のモードとして、電源オン時の前記スイッチで設定状態を判定し、スイッチの設定値が適正であれば、スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を制御部に出力し、スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力がなく、若しくは、当該データが適正でない場合に、スイッチの設定状態の変化を判定し、スイッチの設定値が適正であれば、スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を制御部に出力し、スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を制御部に出力することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記シンセサイザモジュールにおいて、中央演算処理装置は、第2のモードとして、電源オン時の前記スイッチで設定状態を判定し、スイッチの設定値が適正であれば、スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を制御部に出力して処理を終了し、スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力がなく、若しくは、当該データが適正でない場合に、外部から設定周波数データの入力があるか否かの判定を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明は、シンセサイザモジュールにおいて、上記の第1のモードと上記の第2のモードを備え、第1のモードと第2のモードを切り替えるモードスイッチを設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、シンセサイザモジュールにおいて、上記の第1のモードと上記の第2のモードを備え、中央演算処理装置が、特定期間第1のモードで処理を行い、当該期間においてスイッチによる周波数設定の頻度が基準値を下回る場合に、第1のモードから第2のモードに移行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基準クロックを発生させる基準クロック発振回路と、電圧制御発振器と、電圧制御発振器からの出力を増幅する増幅器と、基準クロックに基づいて設定される周波数の信号を生成し、生成した設定周波数の信号と電圧制御発振器から入力される信号の位相を比較し、位相差信号を電圧値として電圧制御発振器に出力する制御部と、チャンネル番号を設定するスイッチと、外部から入力される設定周波数データ又はスイッチで設定されるチャンネル番号に基づいて制御部に設定する周波数の情報を出力する中央演算処理装置とを備え、中央演算処理装置が、電源オン時のスイッチで設定状態を判定し、スイッチの設定値が適正であれば、スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を制御部に出力し、スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を制御部に出力するシンセサイザモジュールとしているので、スイッチによる設定と設定周波数データによる設定とがぶつかることなく、利用者の利用形態に応じて適正に行うことができる効果がある。
【0016】
本発明によれば、中央演算処理装置は、第1のモードとして、電源オン時の前記スイッチで設定状態を判定し、スイッチの設定値が適正であれば、スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を制御部に出力し、スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力がなく、若しくは、当該データが適正でない場合に、スイッチの設定状態の変化を判定し、スイッチの設定値が適正であれば、スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を制御部に出力し、スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を制御部に出力する上記シンセサイザモジュールとしているので、設定周波数データによる設定及びスイッチの周波数設定の双方を有効とし、最初にスイッチの状態を優先して判定し、後から設定された状態に常時追従することができ、周波数設定者の利便性を向上させることができる効果がある。
【0017】
本発明によれば、中央演算処理装置は、第2のモードとして、電源オン時の前記スイッチで設定状態を判定し、スイッチの設定値が適正であれば、スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を制御部に出力して処理を終了し、スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力がなく、若しくは、当該データが適正でない場合に、外部から設定周波数データの入力があるか否かの判定を行う上記シンセサイザモジュールとしているので、電源オン時に一度だけスイッチによる周波数設定又は設定周波数データによる設定のどちらかの設定方法を有効にするかを決定し、その後の通常運用状態になってから設定周波数データによる設定方法が有効な場合のみ設定周波数データによる周波数設定を行うことができ、周波数設定者の利便を図りつつ、ヒューマンエラーや万が一の誤動作を防いで、システムを安全にできる効果がある。
【0018】
本発明によれば、上記の第1のモードと上記の第2のモードを備え、第1のモードと第2のモードを切り替えるモードスイッチを設けたシンセサイザモジュールとしているので、周波数設定者は第1のモードと第2のモードのいずれかを容易に選択できる効果がある。
【0019】
本発明によれば、上記の第1のモードと上記の第2のモードを備え、中央演算処理装置が、特定期間第1のモードで処理を行い、当該期間においてスイッチによる周波数設定の頻度が基準値を下回る場合に、第1のモードから第2のモードに移行するシンセサイザモジュールとしているので、モードスイッチによる選択なくても、周波数設定者の利用状態に応じて周波数設定を行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係るシンセサイザモジュールは、チャンネル番号によって設定周波数を特定するスイッチと、スイッチによって特定されたチャンネル番号に対応する周波数をシンセサイザ用に設定すると共に、外部から入力される設定周波数データを入力し、当該データに基づいて周波数をシンセサイザ用に設定する中央演算処理装置を備え、その中央演算処理装置が、スイッチの状態を判断し、有効な値であれば、スイッチによる周波数設定を行い、有効な値でなければ、パワーオフ直前の最終設定周波数を再設定し、その後に設定周波数データによる周波数設定を行うようにしているので、スイッチによる設定と設定周波数データによる設定とがぶつかることなく、利用者の利用形態に応じて適正に行うことができる効果がある。
【0021】
本発明の実施の形態に係るシンセサイザモジュールの構成について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るシンセサイザモジュールの構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係るシンセサイザモジュール(本シンセサイザモジュール)は、図1に示すように、基準クロック源(基準クロック発振回路)1と、PLL(Phase Locked Loop)を用いた制御部(CONT)2と、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)3と、増幅器(AMP)4と、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)10と、ロータリースイッチ(SW)11と、モードスイッチ12と、シリアルバス13とから構成されている。
【0022】
基準クロック源1は、基準となる周期のクロックを発振してCONT2に出力する。
CONT2は、CPU10から設定される周波数の信号を基準クロック源1からの信号を分周して生成し、生成した設定周波数の信号とVCO3から入力される信号の位相を比較し、位相差信号を電圧値としてVCO3に出力する。
【0023】
VCO3は、CONT2から入力される電圧値に従って発振周波数を変化させる調整を行い、その出力をAMP4とCONT2に出力する。
AMP4は、VCO3からの入力を増幅し、シンセ出力を行う。
上記基準クロック源1、CONT2、VCO3、AMP4は、シンセサイザの基本構成である。
【0024】
CPU10は、内部に処理プログラムを記憶し、当該処理プログラムに従って処理を実行する。当該処理については、後述する。
また、CPU10は、モードスイッチ12で設定されたモード(モードについては後述する)に従い、当該設定モードで処理を実行する。
【0025】
また、CPU10は、ロータリーSW11からのチャンネル(CH)番号の設定によりCH番号に対応した周波数設定を行う。従って、CPU10の内部は、図2に示す発振周波数設定テーブルが設けられている。図2は、発振周波数設定テーブルの概略図である。
発振周波数設定テーブルは、図2に示すように、チャンネル番号(No.)に対する設定周波数が対応付けられて記憶されている。
【0026】
CPU10は、ロータリーSW11から設定される2桁のCH番号に対して発振周波数設定テーブルのチャンネルNo.を検出し、対応する設定周波数を読み取り、当該設定周波数に関する情報をCONT2に出力する。
【0027】
また、CPU10は、外部制御装置20から予め規定したデータフォーマットの設定周波数データを、シリアルバス13を介して入力し、当該設定周波数の情報をCONT2に出力する。
【0028】
ロータリーSW11は、2桁のCH番号を設定するスイッチである。尚、CH番号を設定できる入力部であれば、ロータリーSWに限定するものではなく、例えば、ディップスイッチ等でもよい。
【0029】
モードスイッチ12は、後述する第1の処理モードと第2の処理モードのいずれかを選択するスイッチである。
【0030】
シリアルバス13は、外部制御装置20からの設定周波数データをシリアル信号で入力してCPU10に出力する。
【0031】
外部制御装置20は、設定周波数データをシリアル信号でシリアルバス13に出力する。
また、外部制御装置20は、1Hzステップで周波数設定が可能なものである。
【0032】
本シンセサイザモジュールにおいては、ロータリーSW11によって周波数設定を行う方法(スイッチ設定方法)と、外部制御装置20によって周波数設定を行う方法(シリアル設定方法)とが用意されている。
【0033】
次に、本シンセサイザモジュールにおける第1のモードが設定されている場合の第1の処理について図3を参照しながら説明する。図3は、第1の処理のフローチャートである。
第1のモードは、2つの設定方法に対して、双方とも有効として、後から設定された状態に常時追従するモードである。
【0034】
第1のモードにおける第1の処理は、図3に示すように、パワーオンリセット(Power On Reset)で動作を開始し(S1)、まず、ロータリーSW11の設定状態の読み出しを行う(S2)。このとき、信号のあばれを防ぐチャタリング防止処理を行う。
【0035】
続いて、ロータリーSW11は、有効な値(13ch〜62ch)か否かを判定し(S3)、有効な値でなければ(Noの場合)、パワーオフ直前の最終設定周波数を再設定する(S4)。尚、パワーオフ直前の最終設定周波数は、CPU10が不揮発性メモリに記憶しておき、処理S4で読み込んで再設定に利用する。
【0036】
判定処理S3で、有効な値であれば(Yesの場合)、当該値のCH番号に対応する設定周波数を発振周波数設定テーブルから読み込み、読み込んだ設定周波数の情報をCONT2に出力し、周波数の設定を行う(S5)。
【0037】
次に、CPU10は、外部制御装置20からシリアル周波数設定のデータ(設定周波数データ)を受信したか否かを判定し(S6)、受信したのであれば(Yesの場合)、その値が有効な値(470〜890MHz)であるか否かを判定し(S7)、有効な値であれば(Yesの場合)、周波数設定の情報をCONT2に出力して周波数の設定を行う(S5)。
【0038】
また、判定処理S6において、シリアル周波数設定のデータ(設定周波数データ)を受信しない場合(Noの場合)、判定処理S7において、有効な値でない場合(Noの場合)、ロータリーSW11の状態に変化があるか否かを判定し(S8)、変化がなければ(Noの場合)、処理S6に戻り、変化があれば(Yesの場合)、処理S2に戻るようになっている。
【0039】
本実施例においては、ロータリーSW11によるチャンネル番号指定範囲が13ch〜62chで、シリアル通信設定による1Hzステップの周波数設定範囲が470MHz〜890MHzである場合で説明している。
【0040】
次に、本シンセサイザモジュールにおける第2のモードが設定されている場合の第2の処理について図4を参照しながら説明する。図4は、第2の処理のフローチャートである。
第2のモードは、2つの設定方法(スイッチ設定方法、シリアル設定方法)に対して、パワーオン時に一度だけどちらかの設定方法を有効にするかを決定し、その後の通常運用状態になってからシリアル設定方法の場合のみシリアル周波数設定による周波数設定を行うモードである。
【0041】
この第2のモードは、第1のモードで、一度正常な周波数設定が行われた後も、常時スイッチの変化状態やシリアル設定にも対応させるためには、ソフト的に定期的なポーリングが必要であるが、地上デジタル放送用中継局のように、一度周波数設定された後は、ほとんど周波数変更することがなく、逆にヒューマンエラーや万が一の誤動作を防ぐために、不要なポーリング動作をしないようにした方が、よりシステム的には安全であるとの考えに基づくものである。
【0042】
第2のモードにおける第2の処理は、図4に示すように、パワーオンリセット(Power On Reset)で動作を開始し(S11)、まず、ロータリーSW11の設定状態の読み出しを行う(S12)。このとき、信号のあばれを防ぐチャタリング防止処理を行う。
【0043】
続いて、ロータリーSW11は、有効な値(13ch〜62ch)か否かを判定し(S13)、有効な値でなければ(Noの場合:シリアル設定方法)、パワーオフ直前の最終設定周波数を再設定する(S14)。尚、パワーオフ直前の最終設定周波数は、CPU10が不揮発性メモリに記憶しておき、処理S14で読み込んで再設定に利用する。
【0044】
次に、CPU10は、外部制御装置20からシリアル周波数設定のデータ(設定周波数データ)を受信したか否かを判定し(S15)、受信したのであれば(Yesの場合)、その値が有効な値(470〜890MHz)であるか否かを判定し(S16)、有効な値であれば(Yesの場合)、周波数設定の情報をCONT2に出力して周波数の設定を行う(S17)。
【0045】
また、判定処理S15において、シリアル周波数設定のデータ(設定周波数データ)を受信しない場合(Noの場合)、判定処理S16において、有効な値でない場合(Noの場合)、処理S15に戻るようになっている。
【0046】
判定処理S13で、有効な値であれば(Yesの場合:スイッチ設定方法)、当該値のCH番号に対応する設定周波数を発振周波数設定テーブルから読み込み、読み込んだ設定周波数の情報をCONT2に出力し、周波数の設定を行い(S18)、処理を終了する(S19)。
【0047】
本シンセサイザモジュールにおいて、モードスイッチ12を設けて、第1のモードと第2のモードを切り替えるようにしているが、モードスイッチ12を設けず、ロータリーSW11の設定が例えば「00」の場合は、いずれか一方のモードとなるよう制御してもよい。
【0048】
また、本シンセサイザモジュールにおいて、第1のモードで処理を行うようにし、CPU10がロータリーSW11による周波数設定の頻度が特定期間において少ない場合、例えば、当該頻度がCPU10内に設けた基準値を下回る場合は、CPU10が第1のモードから第2のモードに自動的に移行するものであってもよい。この場合も、モードスイッチ12を設ける必要はないものとなる。
【0049】
本シンセサイザモジュールによれば、ロータリーSW11の状態を判断し、CH番号が有効な値であれば、スイッチによる周波数設定を行い、有効な値でなければ、パワーオフ直前の最終設定周波数を再設定し、その後にシリアル信号による周波数設定を行うようにしているので、ロータリーSW11による設定とシリアル信号による設定をぶつかることなく周波数設定者の利用形態に応じて適正に行うことができる効果がある。
【0050】
また、本シンセサイザモジュールによれば、第1のモードにおける第1の処理では、ロータリーSW11の状態が有効な値であれば、スイッチによる周波数設定を行い、有効でなければ、パワーオフ直前の最終設定周波数を再設定し、その後、シリアル周波数設定を受信した場合でその周波数が有効な値である場合に周波数設定を行い、シリアル周波数設定を受信しない場合、若しくは、その周波数が有効な値でない場合は、ロータリーSW11の状態変化を判定して、シリアル周波数設定又はスイッチによる周波数設定を行うようにしているので、シリアル周波数設定及びスイッチの周波数設定の双方を有効とし、最初にロータリーSW11の状態を優先して判定し、後から設定された状態に常時追従することができ、周波数設定者の利便性を向上させることができる効果がある。
【0051】
また、本シンセサイザモジュールによれば、第2のモードにおける第2の処理では、ロータリーSW11の状態が有効な値であれば、スイッチによる周波数設定を行って処理を終了し、有効でなければ、パワーオフ直前の最終設定周波数を再設定し、その後、シリアル周波数設定を受信した場合でその周波数が有効な値である場合に周波数設定を行い、シリアル周波数設定を受信しない場合、若しくは、その周波数が有効な値でない場合は、シリアル周波数設定の受信を判定するようにしているので、パワーオン時に一度だけスイッチ周波数設定又はシリアル周波数設定のどちらかの設定方法を有効にするかを決定し、その後の通常運用状態になってからシリアル設定方法が有効な場合のみシリアル周波数設定による周波数設定を行うことができ、周波数設定者の利便を図りつつ、ヒューマンエラーや万が一の誤動作を防いで、システムを安全にできる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、周波数設定者の利用形態に応じて発振周波数の設定を容易できるシンセサイザモジュールに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係るシンセサイザモジュールの構成ブロック図である。
【図2】発振周波数設定テーブルの概略図である。
【図3】第1の処理のフローチャートである。
【図4】第2の処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1…基準クロック源、 2…CONT(制御部)、 3…VCO(電圧制御発振器)、 4…AMP(増幅器)、 10…CPU(中央演算処理装置)、 11…ロータリーSW、 12…モードスイッチ、 13…シリアルバス、 20…外部制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロックを発生させる基準クロック発振回路と、電圧制御発振器と、前記電圧制御発振器からの出力を増幅する増幅器と、前記基準クロックに基づいて設定される周波数の信号を生成し、生成した設定周波数の信号と前記電圧制御発振器から入力される信号の位相を比較し、位相差信号を電圧値として前記電圧制御発振器に出力する制御部と、チャンネル番号を設定するスイッチと、外部から入力される設定周波数データ又は前記スイッチで設定されるチャンネル番号に基づいて前記制御部に設定する周波数の情報を出力する中央演算処理装置とを備え、
前記中央演算処理装置が、電源オン時の前記スイッチで設定状態を判定し、前記スイッチの設定値が適正であれば、前記スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を前記制御部に出力し、前記スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を前記制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を前記制御部に出力することを特徴とするシンセサイザモジュール。
【請求項2】
中央演算処理装置は、第1のモードとして、電源オン時の前記スイッチで設定状態を判定し、前記スイッチの設定値が適正であれば、前記スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を制御部に出力し、前記スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を前記制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を前記制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力がなく、若しくは、当該データが適正でない場合に、前記スイッチの設定状態の変化を判定し、前記スイッチの設定値が適正であれば、前記スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を前記制御部に出力し、前記スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を前記制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を前記制御部に出力することを特徴とする請求項1記載のシンセサイザモジュール。
【請求項3】
中央演算処理装置は、第2のモードとして、電源オン時の前記スイッチで設定状態を判定し、前記スイッチの設定値が適正であれば、前記スイッチで設定されたチャンネル番号に対応する周波数の情報を制御部に出力して処理を終了し、前記スイッチの設定値が不適正であれば、電源オフ直前の設定周波数の情報を前記制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力があれば、当該データが適正であるか判定し、適正であれば、設定周波数データが示す設定周波数の情報を前記制御部に出力し、外部から設定周波数データの入力がなく、若しくは、当該データが適正でない場合に、外部から設定周波数データの入力があるか否かの判定を行うことを特徴とする請求項1記載のシンセサイザモジュール。
【請求項4】
請求項2記載の第1のモードと請求項3記載の第2のモードを備え、前記第1のモードと前記第2のモードを切り替えるモードスイッチを設けたことを特徴とするシンセサイザモジュール。
【請求項5】
請求項2記載の第1のモードと請求項3記載の第2のモードを備え、中央演算処理装置が、特定期間第1のモードで処理を行い、当該期間においてスイッチによる周波数設定の頻度が基準値を下回る場合に、第1のモードから第2のモードに移行することを特徴とするシンセサイザモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−11168(P2008−11168A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179502(P2006−179502)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】