説明

シート照明装置およびこれを備えたシート撮像装置

【課題】 省スペース化に寄与しつつ、光源からの照明光の減衰を抑えるとともに、照明光の照度の均一化に寄与することのできるシート照明技術を提供する。
【解決手段】 照明対象であるシートSが巻架されるローラであって、回転することによりシートSを搬送する光透過性材料からなるローラ1011と、ローラ1011内に配置され、ローラ1011におけるシートSが巻架される領域の少なくとも一部をローラ1011内から照明する光源102とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを照明する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光透過性のローラのローラ面の一方側(例えば、ローラの上側)にシートを巻架し、当該ローラの外側に配置された光源により他方側(例えば、ローラの下側)から、当該ローラを透過させた光によりシートを照明する技術が知られる。
【0003】
また、導光性のローラの回転軸端部側に配置された光源からローラ軸方向に光を照射することにより、光源からの光をローラ半径方向に拡散させ、シートを透過照明する技術も知られる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−372500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記ローラ外側に配置される光源からローラを透過させた照明光によりシートを照明する技術では、光源とシートとの間に円柱状のローラが挟まれることに起因して、(1)光の屈折が生じるため照明光の照度をシート上で均一にしにくい、(2)光源とシートの間にローラを挟み、両者の距離が遠いため照明光の照度の減衰が大きい、(3)ローラ外側に光源を配置するためのスペースを確保しなければならない、といった問題点がある。
【0005】
また、導光性のローラの回転軸端部側からの光をローラ半径方向に拡散させてシートを透過照明する上記従来技術では、(1)ローラの回転軸端部近傍に光源を配置する必要があり、ローラ回転軸方向において光源のための配置スペースを確保する必要がある、(2)回転軸端部からの光を拡散させているため、照度の減衰が大きいという問題がある。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、省スペース化に寄与しつつ、光源からの照明光の減衰を抑えるとともに、照明光の照度の均一化に寄与することのできるシート照明技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明に係るシート照明装置は、照明対象であるシートが巻架されるローラであって、回転することにより該シートを搬送する光透過性材料からなるローラと、前記ローラ内に配置され、該ローラにおけるシートが巻架される領域の少なくとも一部を該ローラ内から照明する光源と、を備えてなることを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明に係るシート照明装置は、上述のような構成において、前記ローラにおける、前記光源により照明される領域の少なくとも一部は、該ローラの半径方向における肉厚が他の領域よりも薄いことを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明に係るシート照明装置は、上述のような構成において、前記光源の照明光を発光する発光領域は、前記ローラの回転軸方向と略並行に延びるように形成されており、前記回転軸方向における前記発光領域の範囲は、前記回転軸方向における前記ローラの肉厚が薄い領域の範囲よりも広いことを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明に係るシート照明装置は、上述のような構成において、前記光源と対向する前記ローラの内面は、前記回転軸方向における前記ローラの肉厚が薄い領域の端部近傍において、前記回転軸方向における前記光源の端部からの光を遮らない形状に形成されていることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係るシート照明装置は、上述のような構成において、前記ローラのローラ面上に設けられ、該ローラに巻架されるシートの該ローラ面への接触を防止する接触防止部を備えることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明に係るシート照明装置は、上述のような構成において、前記シート照明装置は、撮像装置によって撮像される前記シート上における撮像対象領域を照明するものであり、前記回転軸方向における前記ローラの肉厚が薄い領域の範囲が、前記回転軸方向における前記撮像装置による撮像対象領域の範囲よりも広いことを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明に係るシート照明装置は、上述のような構成において、前記ローラは、ポリアセタール・コポリマーから形成されることを特徴とすることができる。
【0014】
また、本発明に係るシート撮像装置は、上述のような構成のシート照明装置と、前記ローラに巻架されるシートの前記ローラと対向しない側に配置され、前記シート上における前記シート照明装置により照明される領域を撮像する撮像装置とを備えてなることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上に詳述したように本発明によれば、省スペース化に寄与しつつ、光源からの照明光の減衰を抑えるとともに、照明光の照度の均一化に寄与することのできるシート照明技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、第1の実施の形態によるシート照明装置およびこれを備えたシート撮像装置の概略構成を示す図である。また、図2は、図1におけるローラ1011(後述)のA−A’断面を示す図である。なお、図1におけるローラ1011の断面図は、図2におけるB−B’断面を示すものである。
【0019】
図1および図2に示すように、本実施の形態によるシート照明装置は、ローラ1011、光源102、補助ローラ103および補助ローラ104を備えてなる構成となっている。また、本実施の形態によるシート撮像装置は、上記シート照明装置の構成に加え、撮像装置201を備えてなる構成となっている。
【0020】
本実施の形態によるシート撮像装置は、ロールR1としてロール状に巻かれたシートSを複数のローラ(補助ローラ103および104等)を経由してロールR2として巻きとるようにして搬送し(いわゆる、Roll to Roll)、所定の照明位置(ここでは、ローラ1011の最上部近傍)で透過照明される当該シートSを撮像する機能を有している。本実施の形態では、ロールR1およびロールR2は、モータ等により所定の回転速度で矢印方向に回転駆動されるものとする。
【0021】
なお、ここでのシートSとしては、例えば、ラベルシール、転写フィルム、フィルム状電子基板(TAB(Tape Automated Bonding)やCOF(Chip On Film)等)等を採用可能である。もちろん、シートSは、上述の例に限られるものではなく、透過照明によって照明可能なシートであれば適用可能である。
【0022】
以下、本実施の形態によるシート撮像装置を構成する各要素について詳細に説明する。
【0023】
ローラ1011は、照明対象であるシートSが巻架される略円筒形状のローラであって、回転することにより該シートを搬送する役割を有している。ここで、ローラ1011の材料としては、光源102からの照明光の照度を十分なレベルに保持しつつ透過させ、透過光を拡散させる機能を有する材料を採用することが好ましい。具体的な材料としては、例えば、ポリアセタール・コポリマー(いわゆる、POM(polyoxymethylene))等を採用可能である。
【0024】
光源102は、ローラ1011の内側に配置され、ローラ1011におけるシートSが巻架される領域Wの内の少なくとも一部をローラ1011の内側から照明する。また、ここでの光源102は、照明光を発光する発光領域が、ローラ1011の回転軸P方向と略並行に延びるように形成されている。
【0025】
従来、シート照明装置の照明光の光源には、メタルハライドランプが採用されることが多かった。メタルハライドランプの照明光は白色光であるのが通常であり、照明光の色合いの調整を行うためにはフィルタ等を用いる必要があった。このようなフィルタの利用は、光源の照度を減衰させてしまう上、消費電力やコストの点で問題があった。そこで、光源102としては、(1)輝度を確保し易い、(2)発熱量が低い、といった観点から、例えば、LEDや光ファイバー照明装置等を採用することが好ましい。
【0026】
撮像装置201は、ローラ1011内に配置されている光源102との間にシートSを挟む位置(シートSのローラ1011と対向しない側)に配置されており(ここでは、ローラ1011の直上)、ローラ1011を透過する光源102からの照明光で透過照明されるシートSにおける所定の撮像対象領域(図2における範囲x1)(もしくは当該領域に含まれる撮像対象物)を撮像する役割を有している。具体的に、撮像装置201としては、例えば、ラインセンサカメラやエリアセンサカメラ等を採用するものとする。もちろん、撮像装置201の具体的構成はこれに限られるものではなく、透過照明されるシートを所望の仕様で撮像可能な機器であれば採用可能である。
【0027】
補助ローラ103および104は、シートSのロールR1からロールR2への搬送を補助するとともに、ローラ1011に巻き架けられるシートSに所定の張力を付与するテンションローラとしての役割を有している。
【0028】
上述のように、従来ローラの外側に配置されていた光源をローラ1011内に収容することにより、シート照明装置全体としての省スペース化を図ることができる。
【0029】
また、照明対象であるシートSをローラ1011に巻き架けて張力を付与する構成とすることにより、シートSの照明すべき領域における「たるみ」を低減させ、シートの歪みに起因する照明ムラの発生を抑制することができる。また、シート照明装置にて照明されたシート(もしくは当該シートに含まれる測定対象物)を測定する場合における測定誤差の低減に寄与することができる。上記ローラ1011に巻き架けて張力を付与することにより「たるみ」を軽減させる構成は、特に「たるみ」が発生しやすい幅広(シート搬送方向と直交する方向におけるサイズが大きい)なシートを照明する場合に、特に効果を奏する。
【0030】
さらに、本実施の形態によれば、ローラ1011内の光源102からシートSに到達する照明光が、バラツキの少ない屈折条件でシートSに到達するため、シートSを照らす照明光の照度がムラになりにくいという効果を奏する。また、シートSと光源102との間にローラ1011全体を挟むことがないため、照明光の照度の減衰を最小限に抑えることができる。
【0031】
また、このように、照明光の減衰を最小限に抑える構成とすることにより、結果として光源の照度を落としても十分な照度の照明光を得ることができるため、発熱量、消費電力およびコストの観点からも好ましい。
【0032】
また、本実施の形態によるシート照明装置では、ローラ1011における、光源102により照明される領域の少なくとも一部(例えば、図2における範囲x2)は、ローラ1011の半径方向における肉厚が他の領域の肉厚taよりも薄い肉厚tb1に設定されている。
【0033】
このように、ローラ1011における照明される領域の内の所望の領域の肉厚を他の領域よりも薄くする構成とすることにより、ローラ1011全体としての強度を大きく損なうことなく、ローラ1011を透過してシートSを照らす照明光の照度を、上記所望の領域において高めることができる。このような構成は、ローラ内に配置する光源の照度が不足しているような場合や、光源での消費電力を低く抑えつつ、十分な照度を確保したいような場合に、特に有効である。
【0034】
また、本実施の形態では、ローラ1011の回転軸P方向における光源102の発光領域の範囲x3は、回転軸P方向におけるローラ1011の肉厚が薄い領域の範囲x2よりも広く(範囲x3が範囲x2を包含するように)設定されている。
【0035】
光源102からの光は、ある程度拡散するのが一般的であり、光源102の発光領域x3とローラ1011の肉厚が薄い領域101b1の範囲x2とを同じ範囲とすると、範囲x2の端部近傍における照明光の光量が中央部におけるそれよりも少なくなる。これに対し、本実施の形態の構成によれば、ローラ1011の肉厚が薄い領域において照射される照明光の光量をほぼ均一にすることができる。なお、本実施の形態では、一例として、ローラ回転軸方向における光源の発光領域の範囲x3は、ローラ1011の肉厚が薄く設定されている領域101b1の範囲x2の120%〜130%程度に設定されている。もちろん、この割合は光源102の発光領域からの照明光の拡散の度合いに応じて適宜変更されることは言うまでもない。
【0036】
また、本実施の形態では、回転軸P方向におけるローラ1011の肉厚が薄い領域101b1の範囲x2が、回転軸P方向における撮像装置201による撮像対象領域の範囲x1よりも広くなるように(範囲x2が範囲x1を包含するように)設定されている。
【0037】
このように、撮像すべき領域(範囲x1)よりも広い範囲を照明する構成とすることにより、照明光による光量がより均一な領域を撮像することができるという効果を奏する。
【0038】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。本実施の形態において、すでに第1の実施の形態にて述べた部分と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、説明は割愛する。本実施の形態では、回転軸P方向におけるローラの肉厚が薄い領域と通常の肉厚部分との境界位置でのローラ内面の形状が、第1の実施の形態とは異なっている。
【0039】
図3は、本発明の第2の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。具体的に、本実施の形態におけるローラ1012では、回転軸P方向におけるローラの肉厚が薄い領域101b2と通常の肉厚部分101aとの境界部分101m2が、第1の実施の形態における境界部分101m1(図2参照)のように直角に切り立った形状ではなく、緩やかに傾斜した形状となっている。
【0040】
すなわち、本実施の形態では、光源102と対向するローラ1012の内面が、回転軸P方向におけるローラ1012の肉厚が薄い領域101b2の端部近傍において、回転軸P方向における光源102の端部からの光を遮らない形状に形成されている。
【0041】
図4は、本発明の第2の実施の形態による効果について説明するための図である。本実施の形態のように、ローラ内面を凹面にすることにより肉厚が薄い部分を設けてローラ内から照明を行う場合、ローラ内面を、当該肉圧が薄い部分101b2と通常の肉厚部分101aとの境界部分101m2で急激な段差が生じるような形状(例えば、図2に示す境界部分101m1のような形状)とすると、当該段差部分の突出部位Jによって光源端部から肉薄部へ向かう照明光(例えば、太い点線で示す光線L等)が遮られてしまい、肉薄部の回転軸P方向における端部領域A2における照度が中央領域A1に比べて低くなってしまう場合がある。そこで、ローラ1012の内面を本実施の形態のような形状とすることにより、光源の発光領域端部からの照明光Lをローラ内面の突出部Jに干渉させることなく肉薄部101b2に到達させることができ、肉薄部101b2における照明光の照度の均一化に寄与することができる。
【0042】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。本実施の形態において、すでに第1の実施の形態にて述べた部分と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、説明は割愛する。本実施の形態では、回転軸P方向におけるローラの肉厚が薄い領域と通常の肉厚部分との境界位置でのローラ内面の形状が、第1の実施の形態とは異なっている。
【0043】
図5は、本発明の第3の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。具体的に、本実施の形態におけるローラ1013では、回転軸P方向におけるローラの肉厚が薄い領域101b3と通常の肉厚部分101aとの境界部分101m3が、第1の実施の形態における境界部分101m1(図2参照)のように直角に切り立った形状ではなく、緩やかにカーブした形状(ローラ内面にR形状の溝が形成された状態)となっている。
【0044】
このように、本実施の形態では、光源102と対向するローラ1013の内面が、回転軸P方向におけるローラ1013の肉厚が薄い領域101b3の端部近傍において、回転軸P方向における光源102の端部からの光を遮らない形状に形成されている。また、R形状の溝としたことにより、切欠き部分における応力集中が生じることがなく、ローラ全体としての強度の向上にも寄与することができる。
【0045】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。本実施の形態において、すでに第1の実施の形態にて述べた部分と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、説明は割愛する。本実施の形態と第1の実施の形態とは、ローラにおける肉薄部分の形成方法が異なっている。
【0046】
図6は、本発明の第4の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。具体的に、本実施の形態におけるローラ1014では、透過照明の照度を確保するための肉薄の領域101b4が、ローラ内面に溝を形成することによってではなく、ローラ1014の外周面に四角形状の溝を形成することにより設けられている。
【0047】
このように、ローラ1014の外周面に溝を形成することにより肉厚が薄い領域101b4(肉厚tb4)を設けたことで、ローラ1014の内面はフラットになり、肉薄部分と通常の肉厚部分との境界部分101m4もローラ外周面側に位置することになる。これにより、図4にて説明したような肉薄部と通常の肉厚部分との境界における突出部分により局所的に照明光が遮られるような現象を回避することができる。
【0048】
また、シートSにおける撮像装置201により撮像される領域(範囲x1)は、上記肉薄部分101b4を形成する溝によりローラ外周面から浮いた状態となり(すなわち、肉薄部分101b4を形成する溝が接触防止部としての役割を併せ持っている。)、ローラ面と当接することはない。これにより、デリケートなシート(もしくはシート上の測定対象物)がローラ面に直接触れることで擦れて傷つくことを防ぐことができる。
【0049】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第4の実施の形態の変形例である。本実施の形態において、すでに第4の実施の形態にて述べた部分と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、説明は割愛する。本実施の形態と第4の実施の形態とは、ローラにおける肉薄部分と通常の肉厚部分との境界部分の形状が異なっている。
【0050】
図7は、本発明の第5の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。具体的に、本実施の形態におけるローラ1015では、肉厚が薄い領域101b5(肉厚tb5)が、ローラ外周面に逆台形状の溝を形成することにより設けられている。
【0051】
このような構成としたことにより、肉薄部分と通常の肉厚部分との境界部分101m5における切欠き係数が、第4の実施の形態におけるそれと比べて低くなり、ローラ1015全体としての強度の向上に寄与することができる。
【0052】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第4の実施の形態の変形例である。本実施の形態において、すでに第4の実施の形態にて述べた部分と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、説明は割愛する。本実施の形態と第4の実施の形態とは、ローラにおける肉薄部分と通常の肉厚部分との境界部分の形状が異なっている。
【0053】
図8は、本発明の第6の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。具体的に、本実施の形態におけるローラ1016では、肉厚が薄い領域101b6(最小肉厚tb6)が、ローラ外周面にR形状の溝を形成することにより設けられている。
【0054】
このように、ローラ1016の肉薄部分をR形状の溝によって形成したことにより、切欠き部分における応力集中の問題を回避することができ、ローラ1016全体としての強度の向上に寄与することができる。
【0055】
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。本実施の形態において、すでに第1の実施の形態にて述べた部分と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、説明は割愛する。本実施の形態と第1の実施の形態とは、ローラの外周面の形状が異なっている。
【0056】
図9は、本発明の第7の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。具体的に、本実施の形態におけるローラは、ローラ面上に設けられ、当該ローラに巻架されるシートSのローラ面への接触を防止するフランジ101f1(接触防止部)を備えたローラ1011fとなっている。
【0057】
このようにすることで、シートSの測定対象領域をローラ面から浮かせることができ、デリケートなシートがローラ面に直接触れることで擦れて傷つくことを防ぐことができる。
【0058】
(第8の実施の形態)
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第7の実施の形態の変形例である。本実施の形態において、すでに第7の実施の形態にて述べた部分と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、説明は割愛する。本実施の形態と第7の実施の形態とは、回転軸P方向におけるローラの肉厚が薄い領域と通常の肉厚部分との境界位置でのローラ内面の形状が異なっている。
【0059】
図10は、本発明の第8の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。具体的に、本実施の形態におけるローラは、ローラ面上に設けられ、当該ローラに巻架されるシートSのローラ面への接触を防止するフランジ101f1(接触防止部)を備えたローラ1012fとなっている。
【0060】
(第9の実施の形態)
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第7の実施の形態の変形例である。本実施の形態において、すでに第7の実施の形態にて述べた部分と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、説明は割愛する。本実施の形態と第7の実施の形態とは、回転軸P方向におけるローラの肉厚が薄い領域と通常の肉厚部分との境界位置でのローラ内面の形状が異なっている。
【0061】
図11は、本発明の第9の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。具体的に、本実施の形態におけるローラは、ローラ面上に設けられ、当該ローラに巻架されるシートSのローラ面への接触を防止するフランジ101f1(接触防止部)を備えたローラ1013fとなっている。
【0062】
なお、第7〜第9の実施の形態では、接触防止部の一例として、ローラ面上に該ローラの回転方向に延びるフランジ形状を挙げたが、この接触防止部は、必ずしもローラの全周に亘って連続するフランジ状に設ける必要はなく、シート撮像装置としての要求精度やカメラ側でのサンプリングレート等に応じて所定の角度範囲毎に設ける(例えば複数の突起部をローラ面上に間隔をおいて配列する等)ようにしてもよい。
【0063】
また、第7〜第9の実施の形態では、ローラに巻き架けるシートがローラ面に直接触れることを避けるためのスペーサとしてのフランジを設けた例を挙げたが、これに限られるものではなく、例えば、ローラ面に複数の排気穴を形成し、当該排気穴から排出される空気によりシートをローラ面から浮上させることも可能である。
【0064】
(第10の実施の形態)
次に、本発明の第10の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。本実施の形態において、すでに第1の実施の形態にて述べた部分と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、説明は割愛する。
【0065】
図12は、本発明の第10の実施の形態によるシート撮像装置の概略構成を示す図である。上述の第1の実施の形態では、ローラ1011に対して1枚のシートSだけを巻き架ける構成を示したが、これに限られるものではない。本実施の形態のように、光源をローラの内側に配置する構成によれば、例えば、図12に示すように、ローラ1011のローラ面の回転方向における互いに異なる複数の角度位置(図12の例では上側と下側の2箇所)にシート(ここでは、シートSおよびシートS’)を巻架することにより、複数枚のシートを同時に照明して撮像することも可能である。
【0066】
具体的に、本実施の形態では、第1の実施の形態の構成に加え、ロールR1’としてロール状に巻かれたシートS’を複数のローラ(補助ローラ103’および104’等)を経由してロールR2’として巻きとるようにして搬送し、ローラ1011の最下部近傍で透過照明される当該シートS’を撮像装置201’によって撮像する機能を有している。よって、本実施の形態における光源201’は、上述の各実施の形態における光源201とは異なり、上下方向に照明光を照射可能となっている。なお、ここでは、1つの光源により上下方向を照明する例を挙げたが、これに限られるものではなく、例えば、上方と下方とをローラ内に配置された複数の光源によって個別に照明するようにしてもよい。
【0067】
なお、本実施の形態では一例として、第1の実施の形態に対して変形を加えた例を示したが、上述の第2〜第9の実施の形態に対しても同様な変形を適用可能であることは言うまでもない。
【0068】
また、上述の各実施の形態では、ローラの回転軸方向における照明対象領域(x1に相当)が1つである例を挙げたが、これに限られるものではなく、例えば、ローラの回転軸方向において複数の照明対象領域を設け、これら複数の照明対象領域それぞれを透過する照明光により、複数の並行するシートを同時に照明することも可能であることは言うまでもない。これにより、シート照明のスループットを大幅に向上させることができる。
【0069】
また、上述の実施の形態では、光源を収容しているローラに、当該ローラに巻架されるシートのローラ面への接触を防止する接触防止部を備える構成を例示したが、例えばシートの撮像装置と対向する側の面の傷付きや摩擦を避けたい場合には、補助ローラ(および補助ローラよりも上流側においてシートの撮像装置と対向する側と面するローラ)上に上記接触防止部を設けるようにすることもできることは言うまでもない。
【0070】
また、導光性のローラの回転軸端部側に配置された光源からローラ軸方向に光を照射することにより、光源からの光をローラ半径方向に拡散させ、シートを透過照明する技術も知られるが、当該技術ではローラ軸方向における照明光の照度分布を制御することは困難である。
【0071】
一方、上述の各実施の形態による構成によれば、ローラ内に配置される光源を、ローラの回転軸P方向に配列され且つそれぞれ独立に光量制御が可能な複数の光源から構成することにより、ローラ回転軸方向における照明光の照度分布を任意に調節することが可能となる。これにより、例えばローラの回転軸P方向における、第1の領域については明るく照らし、第1の領域とは異なる第2の領域については第1の領域よりも暗く照らす、といった柔軟な光量制御が可能となる。
【0072】
さらに、回転軸P方向に配列され且つそれぞれ独立に光量制御が可能な複数の光源を、検査対象物の色や欠陥の色などに応じて、それぞれ互いに異なる波長の色の照明光とするようにしてもよい。これにより、検査対象物や欠陥の検出精度の向上が期待できる。もちろん、これに限られるものではなく、例えば、上述のように回転軸P方向に配列された複数の光源を、ローラの回転方向における異なる角度位置に複数組配置し、それぞれの組の光源の照明光の波長や照度を互いに異なるようにしてもよい。
【0073】
以上、本発明を特定の態様により詳細に説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱しないかぎり、様々な変更および改質がなされ得ることは、当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の実施の形態によるシート照明装置およびこれを備えたシート撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1におけるローラ1011(後述)のA−A’断面を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による効果について説明するための図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。
【図11】本発明の第9の実施の形態におけるローラの回転軸Pを含む鉛直面での断面を示す図である。
【図12】本発明の第10の実施の形態によるシート撮像装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1011,1012,1013,1014,1015,1016,1011f,1012f,1013f ローラ、102,102’ 光源、201,201’ 撮像装置、103,103’,104,104’ 補助ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明対象であるシートが巻架されるローラであって、回転することにより該シートを搬送する光透過性材料からなるローラと、
前記ローラ内に配置され、該ローラにおけるシートが巻架される領域の少なくとも一部を該ローラ内から照明する光源と、
を備えてなるシート照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート照明装置において、
前記ローラにおける、前記光源により照明される領域の少なくとも一部は、該ローラの半径方向における肉厚が他の領域よりも薄いシート照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載のシート照明装置において、
前記光源の照明光を発光する発光領域は、前記ローラの回転軸方向と略並行に延びるように形成されており、
前記回転軸方向における前記発光領域の範囲は、前記回転軸方向における前記ローラの肉厚が薄い領域の範囲よりも広いシート照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシート照明装置において、
前記光源と対向する前記ローラの内面は、前記回転軸方向における前記ローラの肉厚が薄い領域の端部近傍において、前記回転軸方向における前記発光領域の端部からの光を遮らない形状に形成されているシート照明装置。
【請求項5】
請求項1に記載のシート照明装置において、
前記ローラのローラ面上に設けられ、該ローラに巻架されるシートの該ローラ面への接触を防止する接触防止部を備えるシート照明装置。
【請求項6】
請求項1に記載のシート照明装置において、
前記シート照明装置は、撮像装置によって撮像される前記シート上における撮像対象領域を照明するものであり、
前記回転軸方向における前記ローラの肉厚が薄い領域の範囲が、前記回転軸方向における前記撮像装置による撮像対象領域の範囲よりも広いシート照明装置。
【請求項7】
請求項1に記載のシート照明装置において、
前記ローラは、ポリアセタール・コポリマーから形成されるシート照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシート照明装置と、
前記ローラに巻架されるシートの前記ローラと対向しない側に配置され、前記シート上における前記シート照明装置により照明される領域を撮像する撮像装置とを備えてなるシート撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−47634(P2009−47634A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215874(P2007−215874)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000110642)ナビタス株式会社 (15)
【Fターム(参考)】