説明

スカラロボットの手首軸回転駆動機構

【課題】アームの質量及び慣性を低減可能として、アームとしての応答性能や位置決め精度を高く維持することのできるスカラロボットの手首軸回転駆動機構を提供する。
【解決手段】手首軸16にはそれを回転させるためのスプライン溝16sが形成されている。手首軸16の挿通されるスプラインナット22は、固定筒22aと回転筒22bからなり回転筒22bが回転されると、スプライン溝16sに嵌合されるベアリングを介して手首軸16が回転される。回転筒22bには第3モータM3の駆動力が回転動力の伝達機構により伝達される。すなわち第3モータM3からの回転動力が、基端側プーリ23からタイミングベルト26を介して先端側プーリ25に伝達され、同プーリ25に連動するピニオンギア27に噛合されるシザーズギア28から回転筒22bに伝達される。これにより、第3モータM3の正逆回転により手首軸16が正逆回転されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スカラロボットのアーム先端において軸心を中心に回転駆動される手首軸の回転駆動機構であるスカラロボットの手首軸回転駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットとしては、それを構成する複数のアームが水平関節を介して順番に連結されるスカラロボット(水平多関節型ロボット)が知られている。また、スカラロボットのアームの先端には回転駆動及び上下駆動される手首軸が設けられており、この手首軸に取り付けられる各種ハンドにより被対象物の組み立てや搬送作業が行なわれることもよく知られている。
【0003】
ここで一般に、スカラロボットにおいては、特にアーム先端の質量増大は駆動時の慣性を増大させてその応答性能や位置決め精度を低下させる要因となることから、手首軸やそれを回転駆動させる駆動機構などはいずれも軽量であることとともに、アームにおいても質量の大きい部品などは基端側に配置されることが望まれている。その一方、作業効率の向上のためには、一度の作業において複数の部品を組み込むような作業なども求められており、そのような作業に対応することができるハンドとなるとその質量の増大も避けられない。その他、質量の大きい被対象物の搬送要求も高い。すなわち、アームの手首軸やその駆動機構としては、それら自身は軽量でありながら、アーム先端に質量の大きいハンドや質量の大きい被対象物を把持したハンド等が取着される場合であっても、これを高い応答性能と高い位置決め精度にて駆動可能であることが求められている。
【0004】
そして、このような要求に応じてアームの手首軸などを軽量化する構造として、モータによる手首軸への回転動力の伝達に金属製ギアよりも軽量でかつ伝達距離を長くできるベルトを用いるとともに、この駆動モータをアームの基端側に配置させてアーム自身の慣性を低減させるようにした構造が知られている。すなわちこの場合、上記駆動モータとしては通常、減速機付きの駆動モータが用いられ、このモータから出力される低速度高トルクの回転動力が上記ベルトを介して手首軸に伝達されることとなる。ところが、一般にゴム製などからなるベルトでは、回転方向への負荷による撓み(伸縮)が生じやすく、例えばハンドや被搬送物の質量が大きい場合、あるいは回転速度が高くなる場合などのように、手首軸の慣性が高くなるときにこうした撓みの発生も顕著となる。そして、ベルトに撓みが生じるようなことがあれば、手首軸の応答性能や位置決め精度が低下するようになるため、手首軸に保持されるハンドや被搬送物の質量、並びに搬送(移動)速度などにも自ずと制約が生じるようになる。
【0005】
そこで従来は、例えば特許文献1などにも見られるように、ベルトを用いつつも手首軸の応答性能や位置決め精度を維持向上させることのできる構造なども提案されている。すなわち、この特許文献1に記載のスカラロボットでは、アーム(外筒体)に結合されたハーモニックドライブ(登録商標)と称される減速機構に手首軸(作動軸)を回動可能に挿通保持させ、減速機構に接続されたプーリにベルトを介して駆動モータからの回転動力が入力されることにより、これを減速機構によって減速させて作動軸に伝達する。これにより、アームとしては減速機がその先端(手首軸近傍)に配置されるものの、駆動モータがその基端側に配置されることから、モータの質量に起因する慣性の増大は抑制される。また、手首軸としてもこれに生じる負荷は減速機構により機械的に吸収されるようになるため、ベルトへの負荷が軽減され、同ベルトに生じる撓みを要因とする応答性能や位置決め精度の低下が抑制されるようにもなる。
【特許文献1】特開平7−116974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1に記載のスカラロボットは、上記減速機構が複数の金属製ギアの組合せにより構成されているためにその質量が十分に小さくならず、それが設置されるアーム先端の質量及び慣性の低減も十分には図られない。また、同減速機構を構成するそれら複数のギアは特殊な構造からなるギアであるがゆえに、その価格も自ずと高価なものとなっている。さらにこの減速機構は、自身の機構のみで高速な回転動力を作業軸の回転に適した速度にまで減速させるものであることから、摩擦力を低減させてこうした減速動作を円滑に実行させるためには、潤滑油の安定した供給も必須であり、その構造の複雑さに加えて、メンテナンス等の煩雑化も避けられない。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、アームの質量及び慣性を低減可能として、アームとしての応答性能や位置決め精度を高く維持することのできるスカラロボットの手首軸回転駆動機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスカラロボットの手首軸回転駆動機構は、水平関節で連結されたアームの先端に水平関節の回転軸方向と平行に延びるかたちで設けられた手首軸と、前記アームに設けられた手首軸回動駆動用のモータと、同アームに設けられて前記手首軸を支持しつつ前記モータから伝達される回転動力に基づいて手首軸をその軸心を回転の中心として回転させるスプラインナットと、これらモータ及びスプラインナットの間で回転動力を相互に伝達させる伝達機構とを備え、前記伝達機構には、前記モータと前記スプラインナットとの間に配置されて、前記モータからベルトを介して伝達される回転動力に基づいて回転する第1の歯車と、前記スプラインナットに連結されるとともに前記第1の歯車に噛合されて、該第1の歯車の回転数よりも少ない回転数の回転動力を前記スプラインナットに伝達する第2の歯車とが設けられてなることを要旨とする。
【0009】
このような構成によれば、モータからの回転動力はベルトを介して第1の歯車に伝達される。このように動力伝達距離の選択の容易なベルトを用いることにより、モータの配置位置の自由度が高められ、同モータをアームの基端側に配置させることでアームとしての慣性を低減させることができるようなる。
【0010】
また、第1の歯車に伝達された回転動力は、それと噛合される第2の歯車との2枚の歯車のみからなる組合せに基づき減速されてスプラインナットに伝達される。これにより、極めて簡素な減速機構が構成されることとなり、アーム先端の質量も自ずと軽減され、これによってもアームとしての慣性が低減されるようになる。
【0011】
さらに、歯車よりも高速回転に対する耐性の高いベルトにてモータからの高速の回転動力を歯車に伝達させ、他方ではベルトよりも負荷(トルク)に対する耐性の高い歯車にてスプラインナットに低速高トルクの回転動力を伝達させるといった態様にて、ベルトと歯車それぞれの特性に適したかたちで動力伝達系を構成している。その結果、スカラロボットとしての応答性能や位置決め精度の向上が併せて図られるようにもなる。
【0012】
また、スプラインナットへの手首軸側からの負荷、例えば手首軸の加減速に伴う負荷や、手首軸への上下方向への荷重が斜めに刻まれたボールねじ溝により回転方向へ変換されて加えられる負荷などが第1及び第2の歯車からなる一対の歯車により機械的に吸収されることから上記ベルトに高い負荷のかかることも抑制される。これにより、このような手首軸回転駆動機構を有するスカラロボットとしての信頼性も高められるようになる。
【0013】
また本発明のスカラロボットの手首軸回転駆動機構は、前記第2の歯車は、前記手首軸が貫通されるとともに、該手首軸の軸心と同一の回転の中心を有するかたちで前記スプラインナットに連結されてなることを要旨とする。
【0014】
このような構成によれば、第2の歯車とスプラインナットとの連結が極めて簡素に実現されるようになってアーム先端の軽量化が促進されるとともに、当該手首軸回転駆動機構を有するスカラロボットの実現も容易となる。
【0015】
また本発明のスカラロボットの手首軸回転駆動機構は、前記第1の歯車がピニオンギアからなり、前記第2の歯車がシザーズギアからなることを要旨とする。
このような構成によれば、第1の歯車と第2の歯車との間におけるバックラッシュの発生が抑制され、手首軸の位置決め精度が向上されるようになる。
【0016】
また本発明のスカラロボットの手首軸回転駆動機構は、前記伝達機構は、前記モータに連結された第1のプーリと前記第1の歯車に連結された第1のプーリよりも径の大きい第2のプーリとの間に掛け渡されたベルトを介して前記モータからの回転動力を前記第1の歯車に伝達するものであることを要旨とする。
【0017】
このような構成によれば、第1の歯車には第1及び第2のプーリの径に応じてモータからの回転数が小さくされた回転動力が伝達される。これにより第1の歯車と第2の歯車との間に必要とされる減速比を小さくとることができて両歯車の小型化が促進されるとともに、高速回転する歯車に必要とされる潤滑油の塗布や供給にかかる複雑な機構が割愛可能となり、例えば潤滑油としてグリースを塗布する程度に簡略される。その結果、手首軸回転駆動機構としての小型化や構造の簡単化による軽量化が図られ、ひいてはスカラロボットとしての応答性能や位置決め精度の更なる向上が図られるようになる。
【0018】
また本発明のスカラロボットの手首軸回転駆動機構は、前記ベルトは、弾性部材により形成されたものであることを要旨とする。
このような構成によれば、手首軸からの負荷が第1及び第2の歯車からなる一対の歯車により吸収し切れずにベルトに加わるような場合であれ、そのような負荷はベルトの弾性により吸収される。また、ベルトが負荷を吸収しきれずに損傷するような場合であれ、第1の歯車や第2の歯車は損傷から保護され、保守の容易なベルトの補修だけで済むようにもなる。これによりスカラロボットの手首軸回転駆動機構としての耐久性や保守性も向上されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明にかかるスカラロボットの手首軸回転駆動機構を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1はスカラロボット(水平多関節型ロボット)についてその側面構造を示したものである。
【0020】
図1に示すように、スカラロボットは、床面等に設置された支持体としての基台11を有して、その上端部に第1のアーム13の基端部を回転体としてこれを回動可能に支持する連結軸12が設けられている。連結軸12は、軸心C1を有する円柱形状に形成されており、基台11において同軸心C1を中心に回転可能に設けられ、基台11内に設けられた第1モータM1により正逆回転されるようになっている。すなわちこれにより、第1のアーム13は、第1モータM1により回動される連結軸12の軸心C1を回動中心として基台11に対して水平方向に回動するようになっている。
【0021】
第1のアーム13の先端部には、第2のアーム15の基端部を回転体としてこれを回動
可能に支持させる支持軸14が連結されている。支持軸14は、第2のアーム15に対して軸心C2を中心に回動可能に設けられており、第2のアーム15の基端部に配設された第2モータM2に駆動連結され同第2モータM2により正逆回転されるようになっている。これにより、第2のアーム15は、第2モータM2の反力により軸心C2を回動中心として第1のアーム13に対して水平方向に回動するようになっている。
【0022】
第2のアーム15の先端部には、手首軸16が上下方向に移動可能に、かつ、回転体として回転可能に支持されている。また同第2のアーム15先端部の内部には、ボールねじナット21とスプラインナット22とが設けられている。ボールねじナット21は、その中央に手首軸16が挿通されるとともに同第2のアーム15内に備えられている昇降モータM4から伝達される回転動力に基づいて手首軸16を上下方向へ移動させる。スプラインナット22は、その中央に手首軸16が挿通されるとともに同第2のアーム15内に備えられている第3モータM3から伝達される回転動力に基づいて手首軸16を回転させる。すなわち手首軸16は、これらボールねじナット21とスプラインナット22とにより第2のアーム15に回動及び上下動可能に支持されるようになっている。
【0023】
手首軸16は、その下端部17に被搬送物を把持するハンドなどのツールが取付けられるようになっており、その回動及び上下動によって移動されるツールを通じて被対象物に対する各種の作業が行なわれるようになっている。
【0024】
第2のアーム15内に設けられている各モータM2〜M4の制御信号あるいはモニタ信号の各信号線はフレキシブルな配線ダクト19を介して基台11内にてまとめられ、上記第1モータM1の信号線と共に、制御装置(図示略)の各対応する端子に接続されている。
【0025】
図2は、第2のアーム15先端部の内部について具体的な断面構成を示している。
図2において、手首軸16には、その外周面に螺旋状のボールねじ溝16bと、軸心C3と平行なスプライン溝16sとがそれぞれ刻まれるかたちで形成されている。ボールねじ溝16bはボールねじナット21に対するめねじとして構成されており、スプライン溝16sはスプラインナット22に対するめねじとして構成されている。
【0026】
すなわちボールねじナット21は、第2のアーム15に固定される外筒21aとその外筒21aの内側に回転可能に嵌め込まれつつ手首軸16が挿通される内筒21bとを有し構成され、その内筒21bが昇降モータM4からベルト(図示略)等を介して伝達される回転動力によって回転駆動される。内筒21bは、その内周に周面から一部を突出するベアリングが複数設けられ、それら複数のベアリングがそこに挿通される手首軸16のボールねじ溝16bに嵌合されるようになっている。すなわち、内筒21bの内面は、そこに設けられている複数のベアリングがねじ山としてボールねじ溝16bに嵌合されることで、内筒21bがボールねじ溝16bに対するおねじを構成するようになっている。手首軸16は、そのボールねじ溝16bに内筒21bの回転動力が複数のベアリングを介して伝達され、その力が回転方向に対して斜めに刻まれているボールねじ溝16bによって上下方向への力としても作用されるようになっている。手首軸16がその回転方向への回転を規制されているようなときには、内筒21bの回転動力がボールねじ溝16bを同内筒21bに対して上下方向に移動する力に変換されて同手首軸16を上下方向に移動させるようになっている。
【0027】
また、スプラインナット22は、第2のアーム15に固定される固定筒22aとその固定筒22aの内側に回動可能に嵌め込まれつつ手首軸16が挿通される回転筒22bとを有し構成され、その回転筒22bが第3モータM3から次に説明する回転動力の伝達機構を介して伝達される回転動力によって回転駆動される。回転筒22bは、その内周に周面
から一部を突出するベアリングが複数設けられ、それら複数のベアリングがそこに挿通される手首軸16のスプライン溝16sに嵌合されるようになっている。すなわち、回転筒22bの内面は、そこに設けられている複数のベアリングがねじ山としてスプライン溝16sに嵌合されることで、回転筒22bがスプライン溝16sに対するおねじを構成するようになっている。手首軸16は、そのスプライン溝16sに回転筒22bの回転動力が複数のベアリングを介して伝達され、その力を回転方向に対して鉛直に刻まれているスプライン溝16sによって回転方向への力として作用させるようになっている。すなわち回転筒22bが回転されると、手首軸16が同回転の回転方向に回転されるようになっている。
【0028】
次に、第3モータM3の回転動力をスプラインナット22に伝達させる前記伝達機構について説明する。
回転動力の伝達機構には、第3モータM3の出力軸DS3に連結される円盤形状の歯付きの基端側プーリ23と、手首軸16の近くに同手首軸16に平行して設置される柱状の中間軸24に回転可能に支持される円盤形状の歯付きの先端側プーリ25と、それらプーリ23,25の間に掛け渡される歯付きのタイミングベルト26とが設けられている。また回転動力の伝達機構には、中間軸24に支持されつつ先端側プーリ25に連結される円盤形状の平歯車としてのピニオンギア27と、軸心C3を回転の中心として回転筒22bに固定連結されるとともにピニオンギア27に噛合されるシザーズギア28とが設けられており、それらギア27,28により一対の歯車が構成されている。これにより第3モータM3から出力される回転動力が、出力軸DS3に連結される基端側プーリ23からタイミングベルト26を介して先端側プーリ25に伝達され、先端側プーリ25からそれに連動するピニオンギア27に噛合されるシザーズギア28に伝達されるようになっている。これにより、第3モータM3の正逆回転が伝達機構により伝達される手首軸16が正逆回転されるようになっている。
【0029】
本実施形態では、先端側プーリ25の径は基端側プーリ23の径よりも大きくされており、基端側プーリ23の回転動力が先端側プーリ25にて低速度かつ高トルクとされるようになっている。例えば、先端側プーリ25の径が基端側プーリ23の径の4倍とされる場合、基端側プーリ23の回転動力は先端側プーリ25にて速度が4分の1に、トルクが4倍にされる。なお、先端側プーリ25の径と基端側プーリ23の径との比については手首軸16などの構成に適合するように任意の値に設定することができる。
【0030】
タイミングベルト26は、主にゴムなどから形成されその長さの自由度が高く、基端側プーリ23と先端側プーリ25との間の長さの自由度をも高くして、基端側プーリ23を回動させる第3モータM3の第2のアーム15における配置位置を基端側にさせることができるようにさせる。質量の大きい第3モータM3が基端側に配置される第2のアーム15においてはその慣性が小さくされようになる。また、タイミングベルト26はゴムなどその質量が金属などと比較して小さい材料から形成されていることからも第2のアーム15の軽量化が図られる。このような第2のアーム15の慣性の低減や軽量化により、手首軸16やそれが備えられた第2のアーム15の応答性能や位置決め精度が向上されるようになる。
【0031】
ピニオンギア27は、剛性の高い金属などから形成されており、第3モータM3から先端側プーリ25を介して伝達された回転動力を、それに噛合するシザーズギア28に伝達させる。
【0032】
シザーズギア28について図3及び図4を参照して説明する。図3はシザーズギア28の分解斜視図、図4は同シザーズギア28の底面の部分断面図である。
図3において、シザーズギア28は、大きくは主ギア30、副ギア40及びばね装置4
5とを有し構成されている。
【0033】
主ギア30は、外周面に歯32が形成された円盤形状の平歯車であり、その円盤形状の中心には中心孔33が貫通形成されており、その中心孔33の周囲には貫通孔34が複数貫通形成されている。主ギア30の円盤下面31b側において複数の貫通孔34の周囲には中心孔33と同心円状となる円筒部35が突設されており、円筒部35の先端部(図において下側)にはその外周を一周するかたちに環状溝37が形成されている。円盤下面31bにおいて円筒部35よりも外周には、略長方形状のばね収納孔36が長辺を外周の周方向に伸ばすかたちに2つ形成されている。2つのばね収納孔36は、主ギア30において同主ギア30の中心を基準点とする点対称の位置に配置されている。
【0034】
副ギア40は、主ギア30と同径の円盤形状の平歯車であり、外周面には主ギアと同数且つ同一規格の歯42が形成されている。副ギア40の円盤形状の中心には主ギア30の円筒部35の外周面と摺動可能な摺動孔43が貫通形成されている。また、副ギア40にあって主ギア30のばね収納孔36に対応するそれぞれの位置には、ばね支持孔44がそれぞれ貫通形成されている。そして、副ギア40にはそのばね支持孔44を介してばね装置45が取り付けられるようになっている。
【0035】
ばね装置45は、円柱状の主軸部46と、筒状に形成され主軸部46の外周を摺動可能な外筒部47と、外筒部47から主軸部46に対して鉛直方向に突設されるばね部48とを有し構成されている。主軸部46は、その上部(図において下側)を副ギア40のばね支持孔44に嵌合可能になっている。外筒部47には、その一側面にばね部48の基端部が固定されている。ばね部48は、押圧により長さが圧縮されるとその圧縮に応じた反力としてのばね付勢力を生じさせるばねを有し構成されており、ばね装置45において主軸部46側の基端部への押圧と先端部への押圧とを受けて圧縮される場合にはその圧縮に応じた反力としてのばね付勢力が発生される。そして、副ギア40に取り付けられたばね装置45は、副ギア40が主ギア30に取り付けられることによりばね収納孔36に収納されるようになっている。なお、ばね装置45は、その外筒部47の外径とばね部48の長さとが加えられた長さがばね収納孔36の長さよりも長くなっており、ばね収納孔36に収納されるときには、ばね部48が予圧縮状態にてばね収納孔36に収納されるようになっている。
【0036】
主ギア30に副ギア40が組みつけられたとき、主ギア30の円筒部35の環状溝37に止め輪50がはめ込まれる。止め輪50は、一部が欠けた円環形状に形成され、その径を小さくする方向への弾性力を有しており、その弾性力による環状溝37への保持力により、副ギア40の主ギア30への組み付け状態を維持する。
【0037】
すなわち図4において、副ギア40の摺動孔43に主ギア30の円筒部35を挿入することにより、シザーズギア28は、主ギア30と副ギア40とが軸心に沿って相対回転可能に重なった一枚の歯車として組みつけられる。また、ばね装置45はその予圧縮状態のばね部48がばね収納孔36の長手方向にばね付勢力を付勢するようになっている。この付勢によりばね装置45の外筒部47は主軸部46とともにばね収納孔36の長手方向の一端部(図4において時計方向)に押し付けられる位置である初期位置に配置される。主軸部46が初期位置のとき、主軸部46に嵌合された副ギア40は主ギア30に対して時計回り方向に所定角度だけ回転された状態となっており、副ギア40の歯42の位相が主ギア30の歯32の位相に対して時計周り方向にずれるようになっている。
【0038】
このずれにより、ばね装置45のばね部48が圧縮されるように副ギア40を回転させる(図4において反時計回り)と、同ばね部48にはそれを戻すようなばね付勢力が生じることにより、副ギア40にはその回動方向に対して回転戻り方向に作用するばね付勢力
が加わるようになる。こうした副ギア40に対するばね付勢力によって、当該シザーズギア28に噛み合う相手の歯車の歯、すなわちピニオンギア27の歯は、主ギア30及び副ギア40にて前後より挟み込まれるようになる。
【0039】
本実施形態では、シザーズギア28の歯数はピニオンギア27の歯数より多くされており、ピニオンギア27の回転動力はシザーズギア28にて低速度かつ高トルクとされ、逆にシザーズギア28からの回転動力はピニオンギア27にて高速度かつ低トルクとされる。例えばシザーズギア28の歯数がピニオンギア27の歯数の4倍とされる場合、ピニオンギア27の回転動力はシザーズギア28にて速度が4分の1に、トルクが4倍にされる。逆に、シザーズギア28からの回転動力はピニオンギア27にて速度が4倍に、トルクが4分の1にされる。なお、ピニオンギア27の歯数とシザーズギア28の歯数との比については手首軸16などの構成に適合するように任意の値に設定することができる。
【0040】
そしてこのシザーズギア28は、その中心孔33に手首軸16を挿通させつつ主ギア30の円盤下面31bが固定筒22aの上方に延出されている回転筒22bの上側面に接触されて、その上側面に貫通孔34を挿通されるねじなどにより連結固定されるようになっている。すなわち、スプラインナット22はシザーズギア28からの回転動力を受けて回転させられるようになっているとともに、シザーズギア28にはスプラインナット22が手首軸16などから受ける回転動力が伝達されるようにもなっている。
【0041】
例えばこのような伝達機構において、基端側プーリ23と先端側プーリ25の径の比が1対4であり、ピニオンギア27とシザーズギア28の歯数の比が1対4である場合には、基端側プーリ23の回転動力は、中間軸24では速度は4分の1倍に、トルクは4倍になる。このとき、耐負荷性は低いものの高速回転への耐性が高く潤滑も不要であるタイミングベルト26により高速度かつ低トルクの回転動力が伝達され、耐負荷性が高いものの高速回転には安定的な潤滑油の供給が必要な一対の歯車により低速度かつ高トルクの回転動力が伝達されるようになる。また、基端側プーリ23と先端側プーリ25により回転動力の速度が減少される分だけ一対の歯車の減速比を小さくとることができて両歯車の小型化が促進されるようにもなる。
【0042】
すなわちこうした各プーリ23,25と各ギア27,28の配置により、本実施形態における回転動力の伝達機構では、タイミングベルト26の特性と各ギア27,28からなる一対の歯車の特性とに適したかたちで回転動力が第3モータM3から手首軸16に伝達される動力伝達系が構成されるようになっている。また、このような構成により、上記とは逆に、手首軸16からタイミングベルト26に回転動力が伝達されるようなときであれ、その負荷(トルク)の大きさが一対の歯車により4分の1まで小さくされてからタイミングベルト26に伝達される。このことにより手首軸16からタイミングベルト26にその最大負荷を超えるような負荷が伝達されるようなことが少なくされるとともに、その最大負荷の範囲においては当該負荷を吸収して負荷吸収の困難な一対の歯車に対する保護が行なわれるようにもなり、スカラロボットの信頼性も高められる。
【0043】
次に、図5及び図6を参照して、スプラインナット22に設けられたシザーズギア28と中間軸24に設けられたピニオンギア27との噛み合いの状態について説明する。図5と図6はシザーズギア28とピニオンギア27との噛み合い部分の上面構造の態様を拡大して示したものである。
【0044】
図5において、ピニオンギア27から時計回り方向CWへ回転する回転動力がシザーズギア28に伝達されるときには、ピニオンギア27が駆動歯車となり、シザーズギア28が被動歯車となる。すなわちスプラインナット22に直接連結された主ギア30の歯32の後面32rに、ピニオンギア27の歯27bの前面27bfから回転動力が伝達されて
スプラインナット22が回転駆動される。このとき同図5に示すように、副ギア40に付与されるばね付勢力によって、駆動歯車であるピニオンギア27の歯27bは、シザーズギア28の主ギア30及び副ギア40で挟み込まれる。より具体的には、ピニオンギア27の回転方向にあって歯27bの前面27bfには主ギア30の歯32の後面32rが当接し、またピニオンギア27の歯27bの後面27brには副ギア40の歯42の前面42fが当接される。このようにピニオンギア27の歯27bは、その前後面を主ギア30及び副ギア40によって挟持されることにより、シザーズギア28やピニオンギア27のバックラッシュが低減される。
【0045】
逆に、図6において、ピニオンギア27から反時計回り方向CCWへ回転する回転動力がシザーズギア28に伝達されるときには、ピニオンギア27が駆動歯車となり、シザーズギア28が被動歯車となる。このとき、ピニオンギア27からばね付勢力以上の回転動力の加えられる副ギア40は主ギア30に対して図において時計回り方向CWに回転し、ピニオンギア27の歯27bの後面27brが主ギア30の歯32の前面32fと副ギア40の歯42の前面42fとを押圧する。ところでバックラッシュが問題となる停止時や停止直前などのようにピニオンギア27からばね付勢力よりも小さい回転動力が加えられる副ギア40は、図5に示すように、ばね付勢力により主ギア30に対してずれた位置に配置され、駆動歯車であるピニオンギア27の歯27bは、シザーズギア28の主ギア30及び副ギア40で挟み込まれる。このときもピニオンギア27の歯27bは、その前後面を主ギア30及び副ギア40によって挟持されることにより、シザーズギア28やピニオンギア27のバックラッシュが低減される。
【0046】
一方、図5において、シザーズギア28から時計回り方向CWへの回転動力がピニオンギア27に伝達されるときには、シザーズギア28が駆動歯車となり、ピニオンギア27が被動歯車となる。すなわち図5に示すように、副ギア40に付与されるばね付勢力によって、被動歯車であるピニオンギア27の歯27bは、シザーズギア28の主ギア30及び副ギア40で挟み込まれ、その前後面を主ギア30及び副ギア40によって挟持されることにより、シザーズギア28やピニオンギア27のバックラッシュが低減される。
【0047】
逆に、図6において、シザーズギア28から反時計回りの方向CCWへの回転動力がピニオンギア27に伝達されるときには、シザーズギア28が駆動歯車となり、ピニオンギア27が被動歯車となる。このとき、シザーズギア28がばね付勢力以上の回転動力をピニオンギア27に加えることで副ギア40が主ギア30に対して時計回りCWに回転される。しかし、バックラッシュが問題となる停止時や停止直前などのようにピニオンギア27からばね付勢力よりも小さい回転動力が加えられる副ギア40は、図5に示すように、ばね付勢力により主ギア30に対してずれた位置に配置され、被動歯車であるピニオンギア27の歯27bは、シザーズギア28の主ギア30及び副ギア40で挟み込まれる。このときもピニオンギア27の歯27bは、その前後面を主ギア30及び副ギア40によって挟持されることにより、シザーズギア28やピニオンギア27のバックラッシュが低減される。
【0048】
こうしたシザーズギア28の作用により、本実施形態における回転動力の伝達機構では、手首軸16のスプラインナット22に設けられたシザーズギア28及び中間軸24に設けられたピニオンギア27のバックラッシュが低減さる。また、歯車として構造の簡単な平歯車からなるピニオンギア27と、平歯車のようなシザーズギア28を用いることにより極めて簡素な減速機構が構成され、手首軸16を駆動させるための一対の歯車としての軽量化も図られるようになる。このようなバックラッシュの低減や一対の歯車の軽量化により手首軸16及び第3モータM3の間における伝達トルクの変動が抑えられるようになることにより、手首軸16やそれを備える第2のアーム15の応答性能や位置決め精度が向上されるようになる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態のスカラロボットの手首軸回転駆動機構によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)第3モータM3からの回転動力がタイミングベルト26を介してピニオンギア27に伝達されるようにした。このように動力を伝達させる距離の選択の容易なタイミングベルト26を用いることにより、第3モータM3の配置位置の自由度が高められ、同第3モータM3を第2のアーム15の基端側に配置させることで第2のアーム15としての慣性を低減させることができるようなる。
【0050】
(2)ピニオンギア27に伝達された回転動力をそれと噛合されるシザーズギア28との2枚の歯車のみからなる組合せに基づき減速させてスプラインナット22に伝達させた。これにより、極めて簡素な減速機構が構成されることとなり、第2のアーム15先端の質量も自ずと軽減され、これによっても第2のアーム15としての慣性が低減されるようになる。
【0051】
(3)一対の歯車よりも高速回転に対する耐性の高いタイミングベルト26にて第3モータM3からの高速の回転動力をピニオンギア27に伝達させ、他方ではタイミングベルト26よりも負荷(トルク)に対する耐性の高い一対の歯車にてスプラインナット22に低速度かつ高トルクの回転動力を伝達させた。このような態様により、タイミングベルト26と一対の歯車それぞれの特性に適したかたちで動力伝達系が構成されるようにした。その結果、スカラロボットとしての応答性能や位置決め精度の向上が併せて図られるようにもなる。
【0052】
(4)スプラインナット22への手首軸16側からの負荷、例えば手首軸16の加減速に伴う負荷や、手首軸への上下方向への荷重が斜めに刻まれたボールねじ溝16bにより回転方向へ変換されて加えられる負荷などが一対の歯車により機械的に吸収されるようにしてタイミングベルト26に高い負荷のかかることを抑制した。これにより、タイミングベルト26にその耐性を超える負荷が加わるおそれが低減され、このような手首軸回転駆動機構を有するスカラロボットとしての信頼性も高められるようになる。
【0053】
(5)シザーズギア28とスプラインナット22とを同心となるように配置してねじなどで連結させた。これにより、シザーズギア28とスプラインナット22の連結が極めて簡素に実現されるようになって第2のアーム15先端の軽量化が促進されるとともに、当該手首軸回転駆動機構を有するスカラロボットの実現も容易となる。
【0054】
(6)シザーズギア28を用いたことにより、ピニオンギア27とシザーズギア28との間におけるバックラッシュの発生が抑制され、手首軸16の位置決め精度が向上されるようになる。
【0055】
(7)ピニオンギア27には基端側プーリ23及び先端側プーリ25の径に応じて第3モータM3からの回転数が小さくされた回転動力が伝達されるようにした。これによりピニオンギア27とシザーズギア28との間に必要とされる減速比を小さくとることができて両歯車の小型化が促進されるとともに、高速回転する歯車に必要とされる潤滑油の塗布や供給にかかる複雑な機構が割愛可能となり、例えば潤滑油としてグリースを塗布する程度に簡略される。その結果、手首軸回転駆動機構としての小型化や構造の簡単化による軽量化が図られ、ひいてはスカラロボットとしての応答性能や位置決め精度の更なる向上が図られるようになる。
【0056】
(8)手首軸16からの負荷が一対の歯車により吸収し切れずにタイミングベルト26に加わるような場合であれ、そのような負荷はタイミングベルト26の弾性により吸収さ
れるようにした。また、タイミングベルト26が負荷を吸収しきれずに損傷するような場合であれ、ピニオンギア27やシザーズギア28は損傷から保護され、保守の容易なタイミングベルト26の補修だけで済むようにもなる。これによりスカラロボットの手首軸回転駆動機構としての耐久性や保守性も向上されるようになる。
【0057】
なお、上記実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、タイミングベルト26が主にゴムなどの弾性部材から形成されることとしたが、これに限らず、タイミングベルトとしては弾性を有するものであればそれを構成する材料としてはどのような部材を用いるものでもよい。これにより、タイミングベルトの構成の自由度が高められ、このような手首軸回転駆動機構の実現が容易にされる。
【0058】
・上記実施形態では、出力軸DS3と中間軸24との間の回転動力の伝達に基端側プーリ23と先端側プーリ25とそれに掛け渡されるタイミングベルト26とを用いた。しかしこれに限らず、出力軸と中間軸との間の回転動力の伝達には、出力軸と中間軸との間の距離を離すことができるような伝達手段であれば、チェーンとスプロケットからなる構成などのような構成であってもよい。すなわち、手首軸を回転させるモータがアームの基端側に配置されるようになればアームの慣性が低減されることとなりアームの応答性能や位置決め精度が向上されるようになる。
【0059】
・上記実施形態では、先端側プーリ25の径を基端側プーリ23の径よりも大きくした。しかしこれに限らず、先端側プーリ25の径が基端側プーリ23の径と同じであるか、小さくてもよい。先端側プーリ25と基端側プーリ23との間を離間させることができるようにすれば、手首軸を回転させるモータがアームの基端部に配置されるようになり、アームの慣性が低減されることとなりアームの応答性能や位置決め精度が向上されるようになる。
【0060】
・上記実施形態では、一対の歯車は、ピニオンギア27とシザーズギア28とから構成されたが、これに限らず、一対の歯車として用いられるギアは相互に動力の伝達が可能な歯車であればよく、例えば2つのピニオンギアから構成されるものでもよい。これにより、一対の歯車を構成するギアの設計自由度が高められ、このようなスカラロボットの手首軸回転駆動機構の実現が容易にされる。
【0061】
・上記実施形態では、シザーズギア28がスプラインナット22の回転筒22bに連結固定された。しかしこれに限らず、ギアとスプラインナットとの間の動力伝達構成は動力が伝達されるのであればどのような構成でもよく、例えばスプラインナットにギアやベルトを介して伝達させたりしてもよい。これにより、ギアとスプラインナットとの間の動力伝達構成の自由度が高められ、このようなスカラロボットの手首軸回転駆動機構の実現が容易にされる。
【0062】
・上記実施形態では、スカラロボットは第1のアーム13と第2のアーム15との2つの水平アームを有したが、スカラロボットの有する水平アームの数はそれには限られず、1つ以上であればよい。これにより、このようなスカラロボットの手首軸回転駆動機構の適用することのできるスカラロボットの自由度が高められるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態のスカラロボットの側面構造を示す側面図。
【図2】同実施形態のアーム内の手首軸回転駆動機構の断面構造を示す部分断面図。
【図3】同実施形態のシザーズギアの分解状態における斜視構造を示す分解斜視図。
【図4】同実施形態のシザーズギアの底面構造の部分断面を示す部分断面図。
【図5】同実施形態のピニオンギアとシザーズギアとの噛み合い状態について示す状態図。
【図6】同実施形態のピニオンギアとシザーズギアとの噛み合い状態について示す状態図。
【符号の説明】
【0064】
11…基台、12…連結軸、13…第1のアーム、14…支持軸、15…第2のアーム、16…手首軸、16b…ボールねじ溝、16s…スプライン溝、17…下端部、19…配線ダクト、21…ボールねじナット、21a…外筒、21b…内筒、22…スプラインナット、22a…固定筒、22b…回転筒、23…第1のプーリとしての基端側プーリ、24…中間軸、25…第2のプーリとしての先端側プーリ、26…タイミングベルト、27…第1の歯車としてのピニオンギア、27b…歯、27bf…前面、27br…後面、28…第2の歯車としてのシザーズギア、30…主ギア、31b…円盤下面、32…歯、32f…前面、32r…後面、33…中心孔、34…貫通孔、35…円筒部、36…ばね収納孔、37…環状溝、40…副ギア、42…歯、42f…前面、43…摺動孔、44…ばね支持孔、45…ばね装置、46…主軸部、47…外筒部、48…ばね部、50…止め輪、C1,C2,C3…軸心、DS3…出力軸、M1…第1モータ、M2…第2モータ、M3…第3モータ、M4…昇降モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平関節で連結されたアームの先端に水平関節の回転軸方向と平行に延びるかたちで設けられた手首軸と、前記アームに設けられた手首軸回動駆動用のモータと、同アームに設けられて前記手首軸を支持しつつ前記モータから伝達される回転動力に基づいて手首軸をその軸心を回転の中心として回転させるスプラインナットと、これらモータ及びスプラインナットの間で回転動力を相互に伝達させる伝達機構とを備え、
前記伝達機構には、前記モータと前記スプラインナットとの間に配置されて、前記モータからベルトを介して伝達される回転動力に基づいて回転する第1の歯車と、前記スプラインナットに連結されるとともに前記第1の歯車に噛合されて、該第1の歯車の回転数よりも少ない回転数の回転動力を前記スプラインナットに伝達する第2の歯車と
が設けられてなるスカラロボットの手首軸回転駆動機構。
【請求項2】
前記第2の歯車は、前記手首軸が貫通されるとともに、該手首軸の軸心と同一の回転の中心を有するかたちで前記スプラインナットに連結されてなる
請求項1に記載のスカラロボットの手首軸回転駆動機構。
【請求項3】
前記第1の歯車がピニオンギアからなり、
前記第2の歯車がシザーズギアからなる
請求項1または2に記載のスカラロボットの手首軸回転駆動機構。
【請求項4】
前記伝達機構は、前記モータに連結された第1のプーリと前記第1の歯車に連結された第1のプーリよりも径の大きい第2のプーリとの間に掛け渡されたベルトを介して前記モータからの回転動力を前記第1の歯車に伝達するものである
請求項1〜3のいずれか一項に記載のスカラロボットの手首軸回転駆動機構。
【請求項5】
前記ベルトは、弾性部材により形成されたものである
請求項1〜4のいずれか一項に記載のスカラロボットの手首軸回転駆動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−76024(P2010−76024A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245400(P2008−245400)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】