説明

スピンドルモーター

【課題】本発明はスピンドルモーターに関する。
【解決手段】本発明の一実施形態によるスピンドルモーターは、ベース部材に固定設置される下部スラスト部材と、前記下部スラストと前記ベース部材のうち少なくとも一つに固定設定されるシャフトと、前記下部スラスト部材に固定設置されるシャフトと、前記下部スラスト部材の上部に配置され、前記シャフトに回転可能に設置されるスリーブと、前記スリーブに結合されて前記スリーブと連動して回転されるロータハブ及び前記シャフトの上端部に固定設置されて前記スリーブとともに気液界面を形成する上部スラスト部材を含み、前記スリーブの上端部には前記上部スラスト部材とともに気液界面を形成するよう上部側の外径が下部側の外径より大きく形成される傾斜部を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスピンドルモーターに関し、より詳しくはシャフトが固定設置される軸固定型スピンドルモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバー(server)用のハードディスク(hard disk)駆動装置などの情報記録再生装置には耐衝撃性が強い軸をハードディスク(hard disk)駆動装置のボックスに固定したいわゆる軸固定型のスピンドルモーターが一般的に搭載される。
【0003】
すなわち、サーバー用のハードディスク駆動装置に搭載されるスピンドルモーターには外部衝撃によりサーバーに記録される情報の破損及び記録/読取することができない状態になることを防止するためにシャフトが固定設置される。
【0004】
このように、固定型シャフトが設置される場合、潤滑油体が充填される流体動圧軸受アセンブリを構成するためには一般的に2個のスリーブと、2個の固定部材、そして固定部材の上、下部を遮蔽するための2個のカーバなどが必要である。言い換えると、固定設置されるシャフトを備える流体動圧軸受アセンブリを構成するためには、多くの構成部品が必要である。このように多くの構成部品が必要であることから製造費用増大という問題がある。
【0005】
一方、企業用のハードディスク駆動装置に使用されるスピンドルモーターには高い信頼性が要求されるため固定型シャフトを備える流体動圧軸受アセンブリに充填される潤滑油体の充填量を維持することが必要である。
【0006】
すなわち、蒸発により潤滑油体の充填量の減少を抑制することができる潤滑油体のシーリング技術が切実に必要である実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、軸受間隙に充填される潤滑油体の減少を抑制することができるスピンドルモーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によるスピンドルモーターはベース部材に固定設置される下部スラスト部材と、前記下部スラスト部材に固定設置されるシャフトと、前記下部スラストと前記ベース部材のうち少なくとも一つに固定設定されるシャフトと、前記下部スラスト部材の上部に配置され、前記シャフトに回転可能に固定設置されるスリーブと、前記スリーブに結合されて前記スリーブと連動して回転するロータハブ及び前記シャフトの上端部に固定設置されて前記スリーブとともに気液界面を形成する上部スラスト部材を含み、前記スリーブの上端部には前記上部スラスト部材とともに気液界面を形成するよう上部側の外径が下部側の外径より大きく形成される傾斜部を有することができる。
【0009】
前記上部スラスト部材は内部面が前記シャフトに接合されるボディーと、前記ボディーから延長形成されて前記傾斜部とともに気液界面を形成する突出部を備えることができる。
【0010】
前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面は所定間隔に離隔し配置されて軸受間隙を形成され、前記シャフトは外周面から湾入形成されて前記軸受間隙に充填される潤滑油体を二部分に分離させる湾入溝を備えることができる。
【0011】
前記スリーブは前記湾入溝に対向配置されて前記湾入溝と前記スリーブの外部を連通させる連通孔を備えることができる。
【0012】
前記ロータハブは前記上部スラスト部材が内部に挿入配置される挿入部を形成するロータハブボディーと、前記ロータハブボディーの縁部から延長形成されて内部面にマグネットアセンブリが装着される装着部及び前記装着部の端部から半径方向外側に向かって延長形成される延長部を備えることができる。
【0013】
前記マグネットアセンブリは前記装着部の内部面に固定設置されるヨークと、前記ヨークの内周面に設置されるマグネットで構成されることができる。
【0014】
前記下部スラスト部材は内部面が前記シャフトに固定設置されて外部面が前記ベース部材に固定設置される円盤部と、前記円盤部から上側へ延長形成される延長部を備えうることができる。
【0015】
前記スリーブの外周面の下端部は前記延長部とともに気液界面を形成するように半径方向内側に向かって上向き傾斜するように形成されることができる。
【0016】
前記上部スラスト部材の外部面と、前記上部スラスト部材の外部面に対向配置される前記ロータハブの内部面は0.3mm以下の間隙を形成することができる。
【0017】
前記上部スラスト部材は前記シャフトに設置するときに上面が前記シャフトの上面と同様の平面に配置されることができる厚さを有することができる。
【0018】
前記上部スラスト部材の外周面と、前記上部スラスト部材の外周面に対向配置される前記ロータハブの内周面は傾斜するように形成されることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上部スラスト部材とロータハブ間の間隙の間隔を狭く形成することによって、蒸発される潤滑油体が含有された空気が外部へ流出されることを抑制して軸受の間隙に充填される潤滑油体の減少を抑制することができる効果がある。
【0020】
また、潤滑油体の漏洩を防止するための別途のシーリング部材を備えないことができて軸受スパン長さを増加させることができ、これによって回転特性を向上させることができる効果がある。
【0021】
なお、別途のシーリング部材を備えないことができるので、製造費用及び製造収率が向上されることができる効果がある。
【0022】
そして、気液界面を形成する回転部材と固定部材のうち固定部材、すなわち上、下部スラスト部材が回転部材であるスリーブの半径方向の外側に配置されるので、遠心力に従って潤滑湯体が飛散されることを減少することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるスピンドルモーターを示す概略断面図である。
【図2】図1に示すA部分の拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態によるスリーブと上部スラスト部材を示す部分切開分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるスピンドルモーターの作動を説明するための説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態によるスピンドルモーターを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳しく説明する。但し、本発明の思想は提示される実施形態に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同じ思想の範囲内で他の構成要素を追加、変更、削除などを通じて、退歩的な他の発明や本発明思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案することができるが、これもまた本願の発明思想範囲内に含まれると言える。
【0025】
また、本発明を説明することにおいて、かかる公知機能もしくは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明する可能性があると判断される場合その詳しい説明は略する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるスピンドルモーターを示す概略断面図で、図2は、図1に示すA部分の拡大図である。
【0027】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態によるスピンドルモーター100はベース部材110、下部スラスト部材120、シャフト130、スリーブ140、ロータハブ150及び上部スラスト部材160を含めて構成されることができる。
【0028】
ベース部材110はロータハブ150とともに所定空間を形成するように装着溝112を備えることができる。そして、ベース部材110は軸方向の上部側へ延長形成されて外周面に固定子(stator)コア102が設置される結合部114を備えることができる。
【0029】
また、結合部114の外周面には固定子コア102が装着され設置されることができるように装着面114aが備えられることができる。そして、結合部114に装着された固定子コア102は前記のベース部材110の装着溝112の上部に配置されることができる。
【0030】
下部スラスト部材120は、ベース部材110に固定設置される。すなわち、下部スラスト部材120は結合部114に挿入設置され、より詳しくは下部スラスト部材120の外周面が結合部114の内周面に接合されるように設置されることができる。
【0031】
一方、下部スラスト部材120は内部面がシャフト130に固定設置されて外部面がベース部材110に固定設置される円盤部122と、円盤部122から軸方向の上側へ延長形成される延長部124を備えることができる。
【0032】
すなわち、下部スラスト部材120は中空のカップ形状を有することができ、断面が'」'状を有するように形成されることができる。
【0033】
また、円盤部122には、シャフト130の設置のための設置孔122aが形成されることができ、シャフト130は設置孔122aに挿入装着される。
【0034】
まず、方向に対する用語を定義すると、軸方向は図1から見るとき、上、下方向、すなわちシャフト130の下部側から上部側に向かう方向またはシャフト130の下部側から上部側に向かう方向を意味して、半径方向は図1から見るとき、左、右方向、すなわちシャフト130からロータハブ150の外周面に向かう方向またはロータハブ150の外周面からシャフト130に向かう方向を意味して、円周方向はロータハブ150の外周面に沿って回転される方向を意味する。
【0035】
そして、下部スラスト部材120はベース部材110とともに固定部材、すなわち固定子に含まれる。
【0036】
一方、下部スラスト部材120の外部面はベース部材110の内部面に接着剤または/及び溶接により接合されることができる。言い換えると、下部スラスト部材120の外部面はベース部材110の結合部114の内部面に固定接合される。
【0037】
また、下部スラスト部材120の上面またはスリーブ140の底面のうち少なくとも一つにはスラスト流体動圧を発生させるためのスラスト動圧溝(図示せず)が形成されることができる。
【0038】
なお、下部スラスト部材120は、潤滑油体が漏洩されることを防止するためのシーリング部材の役割を同時に果たすことができる。
【0039】
シャフト130はベース部材110と下部スラスト部材のうち少なくとも一つに固定設置される。すなわち、シャフト130の下端部が下部スラスト部材120の円盤部122に形成された設置孔122aに挿入されるように設置されることができる。
【0040】
また、シャフト130の下端部は円盤部122の内部面と接着剤または/及び溶接により接合されることができる。これによって、シャフト130が固定されることができる。
【0041】
そして、本実施例では、シャフト130が下部スラスト部材に固定設置される場合を例に挙げて説明しているが、これに限定されず、シャフト130はベース部材110に固定設置されることもできる。
【0042】
一方、シャフト130も前記下部スラスト部材120、ベース部材110とともに固定部材、すなわち固定子に含まれる構成である。
【0043】
そして、シャフト130は外周面から湾入形成されて軸受間隙B1、B2に充填される潤滑油体を二部分に分離させる湾入溝132を備える。湾入溝132の断面形状は、「V」字状を有することができる。
【0044】
湾入溝132はスリーブ140の内部面とともに気液界面(すなわち、潤滑油体と空気との界面)が形成されるようにする役割を果たす。
【0045】
これに対する詳しい説明は後述する。
【0046】
一方、シャフト130の上面には蓋板部材(図示せず)が固定設置されることができるように結合手段、例えばネジが締結されるネジ部134が備えることができる。
【0047】
スリーブ140はシャフト130に回転可能に設置されることができる。このためにスリーブ140はシャフト130が挿入される貫通孔141を備えることができる。一方、スリーブ140がシャフト130に設置される場合スリーブ140の内周面とシャフト130の外周面は所定間隔に離隔し配置されて軸受間隙B1、B2を形成する。
【0048】
そして、この軸受間隙B1、B2に潤滑油体が充填される。
【0049】
ここで、軸受間隙B1、B2に対してより詳しく見ると、軸受間隙B1、B2は上部軸受間隙B1と下部軸受間隙B2で構成されることができる。そして、上部軸受間隙B1はシャフト130の上端部とスリーブ140の上端部によって形成される空間、そしてスリーブ140の上端部と上部スラスト部材160により形成される空間を意味する。
【0050】
また、下部軸受間隙B2はシャフト130の下端部とスリーブ140の下端部によって形成される空間、そして、スリーブ140の下端部と下部スラスト部材120によって形成される空間を意味する。
【0051】
一方、ここでシャフト130に形成される湾入溝132に対して見ると、湾入溝132は前記の軸受間隙B1、B2、すなわち上部軸受間隙B1と下部軸受間隙B2に充填される各々の潤滑油体と空気との界面が形成されるようにする役割を果たす。
【0052】
すなわち、湾入溝132の上部側には上部軸受間隙B1に充填された潤滑油体と空気との界面、すなわち第1気液界面F1が形成されることができる。そして、湾入溝132の下部側には、下部軸受間隙B2に充填された潤滑油体と空気との界面、すなわち第2気液界面F2が形成されることができる。
【0053】
このように、第1、2気液界面F1、F2が形成されることができるように湾入溝132は、「V」字状を有するように形成されることである。すなわち、毛細管現象により第1、2気液界面F1、F2が形成されることができるように湾入溝132は「V」字状を有する。
【0054】
また、スリーブ140は湾入溝132に対向配置されて湾入溝132とスリーブ140の外部を連通させる連通孔142を備えることができる。すなわち、前記のように第1、2気液界面F1、F2が形成されることができるようにスリーブ140の外部と湾入溝132の圧力が同じくするための連通孔142がスリーブ140に形成されることができる。
【0055】
一方、スリーブ140の上端部には上部スラスト部材160とともに気液界面を形成するよう上部側の外径が下部側の外径より大きく形成される傾斜部143を有することができる。
【0056】
言い換えると、スリーブ140の外周面と上部スラスト部材160の内周面の間の空間に第3気液界面F3が形成されることができるようにスリーブ140の上端部には上部側の外径が下部側の外径より大きく形成される傾斜部143が形成されることができる。
【0057】
よって、上部軸受間隙B1に充填された潤滑油体は第1気液界面F1と第3気液界面F3を形成する。
【0058】
一方、スリーブ140の上端部にはスリーブ140の上面と段差に形成されてシーリング溝106を形成するための段差面144が形成されることができる。段差面144に対する詳しい説明は後述する。
【0059】
また、スリーブ140の外周面にはロータハブ150が接合される。すなわち、段差面144の下部はロータハブ150の内部面に対応される形状を有してロータハブ150が固定設置されることができるように形成されることができる。すなわち、スリーブ140の外周面には接合面145が形成されることができる。
【0060】
一方、スリーブ140の外周面の下端部は下部スラスト部材120の延長部124とともに気液界面を形成するよう半径方向の内側に向かって上向きに傾斜するように形成されることができる。
【0061】
すなわち、スリーブ140の外周面と下部スラスト部材120の延長部124の間の空間に第4気液界面F4が形成されることができるようにスリーブ140の下端部は半径方向の内側に向かって上向きに傾斜するように形成されることができる。
【0062】
このように、第4気液界面F4がスリーブ140の下端部と延長部124の間の空間に形成されるので、下部軸受間隙B2に充填された潤滑油体は第2気液界面F2と第4気液界面F4を形成する。
【0063】
また、スリーブ140の内部面にはスリーブ140の回転のときに軸受間隙B1、B2に充填された潤滑油体を媒介として用いて流体動圧を発生させるための動圧溝146(図3参照)が形成されることができる。すなわち、動圧溝146は上、下部動圧溝146a、146bで構成されることができる。
【0064】
但し、動圧溝146は、スリーブ140の内部面に形成される場合に限定されなく、シャフト130の外周面に形成されることもできる。
【0065】
ロータハブ150はスリーブ140に結合されてスリーブ140と連動して回転する。
【0066】
ロータハブ150は上部スラスト部材160が内部に挿入配置される挿入部152aが形成されたロータハブボディー152と、ロータハブボディー152の縁部から延長形成されて内部面にマグネットアセンブリ170が装着される装着部154及び装着部154の端部から半径方向の外側に向かって延長形成される延長部156を備えることができる。
【0067】
一方、ロータハブボディー152の内部面下端部はスリーブ140の外部面に接合されることができる。すなわち、スリーブ140の接合面145にロータハブボディー152の内部面下端部が接着剤によりまたは/及び溶接により接合されることができる。
【0068】
これによって、ロータハブ150の回転のときにスリーブ140がロータハブ150とともに回転されることができることである。
【0069】
また、装着部154はロータハブボディー152から軸方向の下側に向かって延長形成される。そして、装着部154の内部面にマグネットアセンブリ170が固定設置されることができる。
【0070】
一方、マグネットアセンブリ170は装着部154の内部面に固定設置されるヨーク172と、ヨーク172の内周面に設置されるマグネット174で構成されることができる。
【0071】
ヨーク172はマグネット174からの磁気場が固定子コア102に向かうようにして磁束密度を増加させるようにする役割を果たす。一方、ヨーク172は円形のリング形状を有してもよく、マグネット174から発生される磁気場による磁束密度を向上させることができるように一端部が折曲された形状を有してもよい。
【0072】
マグネット174は環状リング形状を有することができ、円周方向に沿ってN極、S極が交替に着磁されて一定強さの磁気場を発生させる永久磁石であることができる。
【0073】
一方、マグネット174はコイル101が巻き取られる固定子コア102の先端に対向配置され、コイル101が巻き取られた固定子コア102との電磁気的相互作用によりロータハブ150が回転されることができるように駆動力を発生させる。
【0074】
すなわち、コイル101に電源が供給されると、コイル101が巻き取られた固定子コイル102と、これに対向配置されるマグネット174の電磁気的相互作用によりロータハブ150が回転さられる駆動力が発生されて、これによってロータハブ150がスリーブ140と連通して回転されることができる。
【0075】
上部スラスト部材160はシャフト130の上端部に固定設置され、スリーブ140とともに気液界面を形成する。
【0076】
一方、上部スラスト部材160は内部面がシャフト130に接合されるボディー162と、ボディー162から延長形成されて傾斜部143とともに気液界面を形成する突出部164を備えることができる。
【0077】
突出部164はボディー162から軸方向の下側に延長形成され、内部面が傾斜部143に対向配置されることができる。
【0078】
また、突出部164はシャフト130と平行にボディー162から延長形成されることができる。
【0079】
そして、上部スラスト部材160はシャフト130の外周面の上端部、スリーブ140の外部面及びロータハブ160の内部面により形成される空間に挿入配置されることができる。
【0080】
また、上部スラスト部材160もベース部材110、下部スラスト部材120、シャフト130とともに固定設置される固定部材として、固定子を構成する部材である。
【0081】
一方、上部スラスト部材160がシャフト130に固定設置されてスリーブ140がロータはブ160とともに回転されるので、スリー部140の傾斜部143と突出部164の間の空間に形成された第3気液界面F3のスリーブ140の回転のときにスリーブ140の回転により図4に示すようにスリーブ140の傾斜部143側に第3気液界面F3が傾斜するようになる。
【0082】
これによって、遠心力に従って潤滑油体が飛散されることを減少することができることである。
【0083】
また、傾斜部143と段差面144とロータハブ150の内部面によりシーリング溝106が形成され、上部スラスト部材160とスリーブ140の傾斜部143の間の空間に形成される第3気液界面F3は段差面144に対向配置される。
【0084】
これによって、外部から衝撃が加える場合、第3気液界面F3から漏洩される潤滑油体が外部へ飛散されることを減少することができる。
【0085】
なお、上部スラスト部材160の外周面と、これに対向配置される前記ロータハブ150の内部面は、ラビリンスシール(Labyrinth Seal)を形成する。すなわち、上部スラスト部材160の外部面とロータハブボディー152の内部面は所定間隔に離隔し配置され、蒸発された潤滑油体が含有された空気が外部へ流動されることを抑制するようラビランスシールを形成する。
【0086】
これによって、蒸発された潤滑油体が含有された空気が外部へ流動されることを抑制して潤滑油体の減少を抑制することができることである。
【0087】
また、上部スラスト部材160の外周面とロータハブボディー152の内部面は0.3mm以下の間隙を形成することができる。
【0088】
一方、上部スラスト部材160の底面または上部スラスト部材160の底面に対向配置されるスリーブ140の上面のうち少なくとも一つにはスラスト動圧を発生させるためのスラスト動圧溝(図示せず)が形成されることができる。
【0089】
そして、上部スラスト部材160は上部軸受間隙B1に充填される潤滑油体が上部側に漏洩されることを防止するシーリング部材の役割も同時に果たすことができる。
【0090】
また、上部スラスト部材160はシャフト130に設置のときに上面がシャフト130の上面と同様の平面に配置されることができる厚さを有することができる。
【0091】
前記のように、上部スラスト部材160とロータハブ150の間の間隙の間隔を狭く形成することによって、蒸発された潤滑油体が含有された空気が外部へ流出されることを抑制して上部軸受間隙B1に充填される潤滑油体の減少を抑制することができる。
【0092】
また、潤滑油体の漏洩を防止するための別途のシーリング部材を備えなくてもよいことから軸受スパン長さを増加させることができ、これによって回転特性を向上させることができる効果がある。
【0093】
ここで、軸受スパン長さS(図3参照)とは上部動圧溝124aにより潤滑油体がポンピングされつつ最大動圧が発生される領域と下部動圧溝124bにより潤滑油体がポンピングされつつ最大動圧が発生される領域との距離である。
【0094】
すなわち、本発明の一実施形態によるスピンドルモーター100によれば別途のシーリング部材を備えなくてもよいことから別途のシーリング部材が設置される部分を減少させてスリーブ140の長さを増加させることができる。これによって軸受スパン長さSもともに増加させることができることである。
【0095】
なお、別途のシーリング部材を備えなくてもできるので、製造費用及び製造収率が向上することができる。
【0096】
一方、気液界面、すなわち第3気液界面F3と第4気液界面F4を形成する回転部材(すなわち、スリーブ)と、固定部材(すなわち、上、下部スラスト部材)のうち回転部材であるスリーブ140が固定部材に対して半径方向の外側に配置されるので、遠心力によって潤滑油体が飛散されることを減少することができる。
【0097】
以下では、図面を参照して本発明の他の実施形態によるスピンドルモーターに対して説明する。但し、前記で説明した構成要素と同様の構成要素に対しては詳しい説明を略して前記の説明に置き替えることにする。
【0098】
図5は本発明の他の実施形態によるスピンドルモーターを示す概略断面図である。
【0099】
図5を参照すると、本発明の他の実施形態によるスピンドルモーター200はベース部材210、下部スラスト部材220、シャフト230、スリーブ240、ロータハブ250及び上部スラスト部材260を含めて構成されることができる。
【0100】
一方、本発明の他の実施形態によるスピンドルモーター200に備えるベース部材210、下部スラスト部材220、シャフト230、スリーブ240は前記の本発明の一実施形態によるスピンドルモーター100に備えるベース部材110、下部スラスト部材120、シャフト130、スリーブ140と同様の構成に該当することであって、ここでは詳しい説明を略して前記の説明に置き替えることにする。
【0101】
また、ロータハブ250と上部スラスト部材260も下記で説明する構成を除いた構成は前記の本発明の一実施形態によるスピンドルモーター100に備えるロータハブ150と上部スラスト部材160に備える構成と同様の構成に該当されるので、同様の構成に対する詳しい説明を略する。
【0102】
そして、ロータハブ250は上部スラスト部材260が内部に配置される挿入部252aがロータハブボディー152と、ロータハブボディーa252の縁部から延長形成されて内部面にマグネットアセンブリ270が装着される装着部254及び装着部254の端部から半径方向の外側に向かって延長形成される延長部256を備えることができる。
【0103】
また、ロータハブボディー252の内部面の上端部は半径方向の内側に向かって下向き傾斜するように形成されることができる。そして、上部スラスト部材260の外部面もロータハブボディー252の内部面の上端部に対応されるよう傾斜するように形成されることができる。
【0104】
これによって、蒸発された潤滑油体を含有する空気の流動経路が増加されて蒸発された潤滑油体を含有する空気の流動を抑制することができるので、充填された潤滑油体の減少をさらによく抑制することができる。
【0105】
一方、本発明の他の実施形態によるスピンドルモーター200も前記の本発明の一実施形態によるスピンドルモーター100により具現される効果と同様の効果を具現することができる。これに対する詳しい説明は略する。
【符号の説明】
【0106】
100、200:スピンドルモーター
110、210:ベース部材
120、220:下部スラスト部材
130、230:シャフト
140、240:スリーブ
150、250:ロータハブ
160、260:上部スラスト部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に固定設置される一方のスラスト部材と、
一方の端部が前記一方のスラストと前記ベース部材のうち少なくとも一方に固定設定されるシャフトと、
前記一方のスラスト部材と対向するように配置され、前記シャフトに回転可能に設置されるスリーブと、
前記スリーブに結合されて前記スリーブと連動して回転されるロータハブと、
前記シャフトの他方の端部に固定設置されて前記スリーブとともに気液界面を形成する他方のスラスト部材と
を含み、
前記他方のスラスト部材と対向する前記スリーブの端部は、端に近付くほど外径が大きくなるように回転軸方向に対して傾斜した傾斜部を有し、前記他方のスラスト部材とともに気液界面を形成する、スピンドルモーター。
【請求項2】
前記他方のスラスト部材は、
内部面が前記シャフトに接合されるボディーと、前記ボディーから延長形成されて前記傾斜部とともに気液界面を形成する突出部と、を備える請求項1に記載のスピンドルモーター。
【請求項3】
前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面は、所定間隔に離隔し配置されて軸受間隙を形成され、
前記シャフトは、外周面から湾入形成されて前記軸受間隙に充填された潤滑油体を二つの部分に分離させる湾入溝を備える請求項1または2に記載のスピンドルモーター。
【請求項4】
前記スリーブは、前記湾入溝に対向配置されて前記湾入溝と前記スリーブの外部を連通させる連通孔を備える請求項3に記載のスピンドルモーター。
【請求項5】
前記ロータハブは、
前記他方のスラスト部材が内部に挿入配置される挿入部を形成するロータハブボディーと、
前記ロータハブボディーの縁部から延長形成されて内部面にマグネットアセンブリが装着される装着部と、
前記装着部の端部から回転半径方向の外側に向かって延長形成される延長部と、
を備える請求項1から4の何れか1項に記載のスピンドルモーター。
【請求項6】
前記マグネットアセンブリは、
前記装着部の内部面に固定設置されるヨークと、前記ヨークの内周面に設置されるマグネットと、で構成される請求項5に記載のスピンドルモーター。
【請求項7】
前記一方のスラスト部材は、
内部面が前記シャフトに固定設置され外部面が前記ベース部材に固定設置される円盤部と、前記円盤部から前記ロータハブ側に延長形成される延長部を備える請求項1から6の何れか1項に記載のスピンドルモーター。
【請求項8】
前記スリーブの外周面の前記一方のスラスト部材と対向する端部は、前記延長部とともに気液界面を形成するよう回転半径方向の内側に向かうにつれ前記一方のスラスト部材と離れるように傾斜するように形成される請求項7に記載のスピンドルモーター。
【請求項9】
前記他方のスラスト部材の外部面と、前記他方のスラスト部材の外部面に対向配置される前記ロータハブの内部面は、0.3mm以下の間隙を形成する請求項1から8の何れか1項に記載のスピンドルモーター。
【請求項10】
前記他方のスラスト部材は、前記シャフトに設置するときに前記スリーブと対向しない面が前記シャフトの他方の端部面と同様の平面に配置されることができる厚さを有する請求項1から9の何れか1項に記載のスピンドルモーター。
【請求項11】
前記他方のスラスト部材の外周面と、前記他方のスラスト部材の外周面に対向配置される前記ロータハブの内周面は、回転軸方向に対して傾斜するように形成される請求項1から10の何れか1項に記載のスピンドルモーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−27297(P2013−27297A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228300(P2011−228300)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】