説明

スリンダクの誘導体類、その使用及びその調製

【課題】スリンダクの誘導体類、その使用及びその調製。
【解決手段】スリンダクの誘導体類はそれらを含有する医薬組成物とともに提供され、前癌症状及び癌の治療に対して使用される。また、スリンダクの誘導体類は慢性炎症の治療にも好適である。上記誘導体類を調製するための方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2006年1月4日出願の米国特許出願第60/755,847号の優先権を主張し、その開示全てを本明細書に引用して援用する。
【0002】
技術分野
本開示は、スリンダクのある種の誘導体類、特にスリンダクのアミド誘導体類に関する。また、本開示は開示されたスリンダクの誘導体類を含む医薬組成物に関し、さらに哺乳動物の前癌症状及び癌の治療及び予防に上記化合物を用いる方法に関する。本開示は開示された上記化合物を調製するための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
癌治療における著しい進歩にもかかわらず、癌は依然として健康上懸念される主たるものである。癌は、アメリカ合衆国における主要死因であり、おそらくアメリカ人の4人に1人がその疾病であると診断されるものとして報告されている。
【0004】
公知の化学療法薬としては、少し例を挙げれば、カルムスチン、ドキソルビシン、メトトレキサート、パクリタキセル、シクロホスファミド、プロカルバジン、及びビンブラスチンが挙げられる。しかしながら、多くの化学療法薬は望ましくない副作用も患者に引き起こす。
【0005】
ある種の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、単独で及び化学療法若しくは放射線療法と組み合わせると、動物モデルにおいて広範な抗癌活性を有すると認識されている。代表例としては、非特許文献1〜7が挙げられる。
【0006】
スリンダク(Clinoril(商標))は抗癌活性を示すNSAIDである。スリンダクは、家族性大腸腺腫症患者の多数の臨床試験により明示されるように、形成異常症の治療に対して利点があると認識されている。上記臨床試験によれば、スリンダクは存在する腺腫(大きさ及び数)を退行させ、新たな腺腫(ポリープ)の形成を阻害できる。例えば、非特許文献8〜12を参照されたい。
【0007】
抗炎症効果さらにNSAIDs及びCOX−2選択的阻害剤の毒性(胃腸毒性、腎臓毒性、血液毒性、心血管毒性)をもたらすメカニズムは、シクロオキシゲナーゼ(COX)−1又はCOX−2阻害に関係して示されている。スリンダク及び他のある種のNSAIDsは肝臓毒性も有する。例えば、非特許文献13〜18を参照されたい。
【0008】
研究者のほとんどはNSAIDsの抗癌活性のメカニズムがCOX阻害に関係する抗炎症活性に起因すると考えているが、下記に記載するCOX非依存性メカニズムのエビデンスが示されてもいる。例えば、スリンダクのスルホン代謝物の活性に関して、スリンダクのスルホン代謝物が前臨床試験及び臨床試験において抗癌活性を保持しつつも、シクロオキシゲナーゼを阻害せず、示されるGI毒性は低いとの記載がある。例えば、非特許文献19〜23を参照されたい。
【0009】
ある刊行物によれば、NSAIDsのカルボン酸部分へのある種の化学修飾により、結果として安全性が向上する(すなわち、プロドラッグとして、又は酸化窒素の局所的な放出によって安全性が向上する)ことが示唆されている。例えば、非特許文献24〜27を参照されたい。
【0010】
さらに、特許文献1〜3はスリンダクスルホン(NSAIDでない)へのある種の修飾を示唆している。
【0011】
カルボン酸部分への修飾を伴う、インドメタシン及びメクロフェナム酸の一連のアミド誘導体及びエステル誘導体は、Marnettらによって記載されていた。これらの化合物は、シクロオキシゲナーゼ−2アイソザイムに対する選択性に基づき、親化合物であるNSAIDsよりも安全性上有利であると記載されていた。しかしながら、抗癌活性は記載されておらず、及び抗癌効果(効能)を向上するような修飾に関しては記載されていなかった。例えば、非特許文献28〜30及び特許文献4、5を参照されたい。
【0012】
NSAIDsの1ファミリーへの化学修飾が別のファミリーへも適用できるとは予想できないことである。例えば、メクロフェナム酸はフェナメートファミリーに属するが、スリンダクはNSAIDsの酢酸ファミリーに属するので、それらは互いに構造上類似したものではない。さらに、本開示で明示されるように、カルボン酸へのアミド修飾全てが結果としてCOX−2選択性を増加させるわけではない。
【特許文献1】米国特許第5401774号明細書
【特許文献2】米国特許第6166053号明細書
【特許文献3】米国特許第6200771号明細書
【特許文献4】米国特許第5973191号明細書(Marnett and Kalgutkar “Selective inhibitors of prostaglandin endoperoxide synthetase−2”)
【特許文献5】米国特許第5475021号明細書(Marnett and Kalgutkar “Compounds and compositions for inhibition of cyclooxygenase activity”)
【0013】
【非特許文献1】Hial et al.,“Alteration of tumor growth by aspirin and indomethacin:studies with two transplantable tumors in mouse” Eur.J.Pharm. 37:367−376,1976
【非特許文献2】Lynch et al.,“Mechanism of inhibition of tumor growth by aspiring and indomethacin” Br.J.Cancer 38:503−512,1978
【非特許文献3】Bennett et al.,“Increased survival of cancer−bearing mice treated with inhibitors of prostaglandin synthesis alone or with chemotherapy” Br.J.Cancer 45:762−768,1982
【非特許文献4】Pollard and Luckert “Prolonged antitumor effect of indomethacin on autochthonous intestinal tumors in rats” J.Natl.Cancer Inst. 70:1103−1105,1983
【非特許文献5】Fulton,“Inhibition of experimental metastasis with indomethacin:role of macrophages and natural killer cells” Prostaglandins:35:413−425,1988
【0014】
【非特許文献6】Moorghen et al.,“ The effect of sulindac on colonic tumor formation in dimethylhydrazine−treated mice” Acta histochemica 29:195−199,1990
【非特許文献7】Moorghen et al.,“A protective effect of sulindac against chemically−induced primary colonic tumours in mice” J.of Path. 156:341−347
【非特許文献8】Waddell et al,“Sulindac for polyposis of the colon”. J. of Surg. 157:175−179,1989
【非特許文献9】Labayle et al.,“Sulindac causes regression of rectal polyps in familial adenomatous polyposis” Gastroenterology 101:635−639,1991
【非特許文献10】Nugent et al.,“Randomized controlled trial of the effect of sulindac on duodenal and rectal polyposis and cell proliferation in patients with familial adenomatous polyposis” Br.J.Surg. 80:1618−1619,1993
【0015】
【非特許文献11】Giardiello,et al.,“Treatment of colonic and rectal adenomas with sulindac in familial adenomatous polyposis” N.Eng.J.Med 328:1313−6,1993
【非特許文献12】Winde et al.,“Complete reversion and prevention of rectal adenomas in colectomized patients with familial adenomatous polyposis by rectal low−dose sulindac maintenance treatment.” Dis.Colon Rectum 38:813−830,1995
【非特許文献13】Vane,“Mode of action of aspirin and similar compounds” In Prostaglandin Synthetase Inhibitors,Eds Robinson,Raven Press,New York,NY,1974
【非特許文献14】Eaker “Gastrointestinal injury related to the use of nonsteroidal anti−inflammatory drugs” Gastrointestinal Disease Today 6:1−8,1997
【非特許文献15】Wolfe et al.,“Gastrointestinal toxicity of nonsteroidal anti−inflammatory drugs” N.Eng.J.Med 340:1888−99,1999
【0016】
【非特許文献16】Palmer “Renal complications associated with use of nonsterdoidal anti−inflammatory agents” J.Invest.Medicine 43:516−533,1995
【非特許文献17】Tarazi et al.,“Sulindac−associated hepatic injury:analysis of 91 cases reported to the Food and Drug Administration” Gastroenterology 104:569−574,1993
【非特許文献18】Mukherjee et al. “Risk of cardiovascular events associated with selective COX−2 inhibitors” JAMA 286:954−959,2001
【非特許文献19】Piazza et al.,“Antineoplastic drugs sulindac sulfide and sulfone inhibit cell growth by inducing apoptosis” Cancer Res. 55:3110−3116,1995
【非特許文献20】Piazza et al.,“Sulindac sulfone inhibits azoxymethane−induced colon carcinogenesis in rats without reducing prostaglandin levels” Cancer Res. 57:2909−2915,1997
【0017】
【非特許文献21】Piazza et al.,“Apoptosis primarily accounts for the growth inhibitory properties of sulindac metabolites and involves a mechanism that is independent of cyclooxygenase inhibition,cell cycle arrest,and p53 induction” Cancer Res. 57:2452−2459,1997
【非特許文献22】Piazza et al,“Exisulind a novel proapoptotic drug inhibits rat urinary bladder tumorigenesis” Cancer Res.,61:3961−3968,2001
【非特許文献23】Chan “Nonsteroidal anti−inflammatory drugs,apoptosis,and colon−cancer chemoprevention” The Lancet Oncology 3:166−174,2002
【非特許文献24】Mahmud et al.,“A unifying hypothesis for the mechanism of NSAID related gastrointestinal toxicity”. Ann.Rheumatic Diseases 55:211−213,1996
【非特許文献25】Venuti et al.,“Synthesis and biological evaluation of(N,N,N,−trialkylammonium)alkyl esters and thioesters of carboxylic acid nonsteroidal anti−inflammatory drugs” Pharmaceutical Research 6:867−873,1989
【0018】
【非特許文献26】Salimbeni et al.,“New esters of N−arylanthranilic acids” Farmaco 30:276−86,1975
【非特許文献27】Elliot et al. “A nitric oxide−releasing nonsteroidal anti−inflammatory drug accelerates gastric ulcer healing in rats” Gastroenterology 109:524−530,1995
【非特許文献28】Kalgutkar et al.,“Biochemical based design of cyclooxygenase−2(COX−2) inhibitors:facile conversion of nonsteroidal anti−inflammatory drugs to potent and highly selective COX−2 inhibitors” Proc.Natl.Acad.Sci. 97:925−930,2000
【非特許文献29】Kalgutkar et al. “Amide derivatives of meclofenamic acid as selective cyclooxygenase−2 inhibitors” Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 12:521−524,2002
【非特許文献30】Kalgutkar et al.,“Ester and amide derivatives of the nonsteroidal anti−inflammatory drug,indomethacin,as selective cyclooxygenase−2 inhibitors” J.Med.Chem. 43:2860−2870,2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
癌及び他の疾患の治療における進歩にもかかわらず、依然として、望ましい治療に対して有効でありつつ同時に不利な副作用を減少させるような薬剤へ改良する余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示は、下記式:
【0021】
【化1】

【0022】
(式中、
上記XはCHS=O、CHS、HOS(=O)、又はCHS(=O)であり;
上記Zはハロゲンであり;
上記Rは(CHYであって、Yは水素、アルキル基、アミノ基、アミノアルキル基、及び置換又は無置換の5又は6員環からなる群から選択されるものであり;
上記Rは(CHWであって、Wはアミノ基、アミノアルキル基、及び置換又は無置換の5又は6員環からなる群から選択されるものであるか;又は
上記R及び上記Rの両方が相互に結合し、窒素に結合して、飽和又は不飽和の5又は6員環を形成しており、上記飽和又は不飽和の5又は6員環が所望によりさらにヘテロ原子を含み、所望により置換されている。
上記Y及び上記Wの置換又は無置換の5又は6員環基は飽和環又は不飽和環であってもよく、炭素を含み、所望によりN又はO等のヘテロ原子を含み;
mは0〜8、より典型的には1〜8、さらにより典型的には2〜4の整数である。)
で表されるスリンダクの誘導体類及びその薬学的に許容される塩に関する。
【0023】
本開示の別の態様は、上記開示化合物を含有する医薬組成物に関する。また、哺乳動物における前癌症状及び癌に本開示化合物を用いる方法も開示される。
【0024】
本開示の別の態様は、炎症性腸疾患及びある種の神経変性疾患(アルツハイマー病等)のような慢性炎症性疾患の治療において上記化合物を使用する方法に関する。
【0025】
本開示のさらなる態様は、上記開示化合物を調製するための方法に関する。
【0026】
特に、本化合物は、スリンダクを式:
N(CH
で表される化合物と反応させることにより調製可能である。
【0027】
本開示のさらなる他の目的及び利点は、以下の詳細な記載から当業者に直ちに明らかとなろう。以下の記載には、ただ単に最良の形態の説明によって、好ましい実施形態のみが示され、記載される。本開示は、他の実施形態及び異なる実施形態も包含し、本開示の細部のいくつかは、本開示から逸脱することなく、様々な自明事項での改変が可能であると理解されよう。従って、本明細書は、実質的に説明的なものと見なされ、限定的なものとは見なされない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本開示は下記式:
【0029】
【化2】

【0030】
(式中、
上記XはCHS=O、CHS、HOS(=O)、又はCHS(=O)であって、より典型的には上記XはCHS=O、CHS、又はHOS(=O)であり;
上記Zはハロゲンであって、より典型的には上記Zはフッ素であり;
上記Rは(CHYであって、Yは水素、アルキル基、アミノ基、アミノアルキル基、及び置換又は無置換の5又は6員環からなる群から選択されるものであり;
上記Rは(CHWであって、Wはアミノ基、アミノアルキル基、及び置換又は無置換の5又は6員環からなる群から選択されるものであるか;又は
上記R及び上記Rの両方が相互に結合し、窒素に結合して、飽和又は不飽和の5又は6員環を形成しており、上記飽和又は不飽和の5又は6員環が所望によりさらにN又はO等のヘテロ原子を含み、所望により置換されている。
上記Y及び上記Wの置換又は無置換の5又は6員環基は飽和環又は不飽和環であってもよく、炭素を含み、所望によりN又はO等のヘテロ原子を含み;
mは0〜8、より典型的には1〜8、さらにより典型的には2〜4の整数である。)
で表されるスリンダクの新規な誘導体類及びその薬学的に許容される塩に関する。
【0031】
上記5及び6員環基の例としては、フェニル基;N−ヘテロシクロ基(ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ピリジニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、イミダゾイル基、及びイミダゾリジニル基等);O−ヘテロシクロ基(フラニル基及びピラニル基等);N及びOの両方を含むヘテロシクロ基(モルホリニル基等)である。これらの基は、置換される場合、典型的にはアルキル基、アミノ基、又はアミノアルキル基で置換される。Y及び/又はW部分が置換5又は6員環基の場合、これらは(CH又はアミドN原子への結合位置以外の位置で置換される。
【0032】
上記アルキル基は典型的には1〜12個の炭素原子を含む。上記アルキル基はより典型的には1〜4個の炭素原子を含む。好適な上記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基及びプロピル基が挙げられる。分岐アルキル基の例としては、イソプロピル基及びt−ブチル基が挙げられる。アルキル置換芳香族基(アラルキル基)の例としては、フェニルC1〜3アルキル基及びベンジル基である。アミノアルキル基の例としては、アミノメチル基、アミノジメチル基、アミノエチル基、アミノジエチル基、アミノプロピル基、及びアミノジプロピル基である。
【0033】
薬学的に許容される酸付加塩の例としては、無機酸(塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸等)及び有機酸(酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、及びアリールスルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸)等)から誘導される塩が挙げられる。
【0034】
本開示の化合物は以下の文献で開示されているような公知の方法によって調製できる:March‘s Advanced Organic Chemistry,Reactions,Mechanisms and Structure,Fifth Ed.John Wiley&Sons,Inc,2001,Chapter 10,pp506−512。上記文献の開示内容を本明細書に引用して援用する。
【0035】
本開示によれば、開示された化合物は、哺乳動物の癌、特にヒトの結腸直腸癌の治療において驚くほどかつ有利に有用である。例えば、スリンダクのジメチルアミノエチルアミド誘導体(これをSRI21004と呼ぶ)は、ヒトの結腸腫瘍細胞に対してインビトロ増殖阻害活性が高い。SRI21004及びスルフィド誘導体(N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィド)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド、SRI21009)はそれぞれ29.18μM及び1.47μMの細胞毒性IC50値(50%阻害濃度)を示す。比べて、スリンダク及びそのスルフィド代謝物のIC50値は、それぞれ479.40μM及び71.22μMである。スリンダクの抗腫瘍活性をもたらすと広く信じられているシクロオキシゲナーゼ(COX)(1型及び2型)阻害活性が化学修飾によって減少する結果となったために、この観察結果は予想されないものであった。しかしながら、NSAIDs及びCOX−2選択的阻害剤(すなわち、セレコキシブ及びロフェコキシブ)の毒性は、生理的に重要なプロスタグランジンの減少及びCOX阻害に起因するものであり、慢性的な投与及び大量投与が必要となる癌にそれらの薬剤を適用する有用性を事実上制限している。本明細書の開示化合物は、NSAIDs及びCOX−2選択的阻害剤よりも、癌に対して及びおそらく慢性炎症を伴う他の適応症に対しても安全性上及び効果上有利であると思われる。これらの毒性としては、COX−1阻害に起因する胃腸障害、腎臓障害及び血液障害、さらにはCOX−2阻害に起因すると思われる心血管毒性が挙げられる。また、本開示の修飾によって、スリンダク及びスリンダクスルホン(エキシスリンド(exisulind))において特に問題となる肝臓毒性が減少する可能性がある。
【0036】
本開示の化学修飾はスリンダクのカルボン酸部分に対するものであって、文献によれば、COX阻害がNSAIDsの抗癌活性に必要であり、またCOX依存性毒性のためにNSAIDsにおいて癌の治療及び予防が制限されるとのことであるので、特に有用である。本開示の化学修飾によって、シクロオキシゲナーゼ阻害活性に必要であると考えられている他の負に帯電した化学種に正の実効電荷が与えられるのだが、シクロオキシゲナーゼ非依存性メカニズムを介し抗癌活性が高まることが分かったのは予期しないことであった。
【0037】
本開示の化合物は以下のスキームによって調製可能である。
【0038】
【化3】

【0039】
スリンダク誘導体類(化合物1〜9)の合成のための基本手順:
化合物1〜5、7〜9を方法Iにより合成し、化合物6を方法IIにより合成する。
【0040】
方法I:
スリンダク(60mg、0.17mmol)をアルゴン雰囲気下で無水ピリジン(5mL)に溶解させ、その溶液を氷/水浴(0℃)中で冷却する。適当なアミン(0.033mL、0.25mmol)、次いでPyBOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;130mg、0.25mmol)を反応液に添加する。反応混合液をアルゴン雰囲気下室温で一晩中攪拌する。脱イオン水(5mL)を添加し、クロロホルム(2×30mL)で反応混合液の抽出を行い、HO(10mL)で洗滌し、NaSO上で乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。得た油をトルエンに再溶解させ、共沸蒸留(co−evaporate)して残留ピリジンを除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(60〜200メッシュ)によりさらに精製する。一晩中真空乾燥し、次いで78℃で4時間乾燥して、分析上純粋な化合物を得る。
【0041】
方法II:
スリンダク(100mg、0.28mmol)をアルゴン雰囲気下で無水ピリジン(5mL)に溶解させる。その溶液にDCC(86.66mg、0.42mmol)、NHS(48.34mg、0.42mmol)及びアミン(0.044mL、0.34mmol)を順次添加し、反応混合液を2日間攪拌する。脱イオン水(5mL)を添加して反応をクエンチする。沈殿物質(ほとんどがN,N’−ジシクロヘキシル尿素)を濾別し、混合液をロータリーエバポレーターで濃縮する。残留物をトルエンで共沸蒸留して残留ピリジンを除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(60〜200メッシュ)により精製して、純粋な化合物を一晩中真空乾燥し、次いで78℃で4時間乾燥する。
【実施例1】
【0042】
N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド(1):
粗生成物をCHCl/MeOH+0.2%NHOH(9:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物を収率98%で黄色固体として得る。ESI−MS m/z:427 [M+H]H NMR(CDCl):δ7.74〜7.65(2H,m,2’−H,3’−H),7.17(1H,dd,J=5.2Hz,8.4Hz,7−H),6.88(1H,dd,J=2.4Hz,8.9Hz,4−H),6.59(1H,ddd,J=2.4Hz,9.0Hz,11.0Hz,6−H),6.19(1H,br s,−NHCHCHN(CH),3.28(2H,dd,J=5.7Hz,11.2Hz,−NHCHCHN(CH),3.51(2H,s,3−CH),2.81(3H,s,4’−CH),2.33(2H,t,J=6.0Hz,−NHCHCHN(CH),2.13(6H,s,N(CH,2.12(3H,s,2−CH)。CHN実測値:C,67.99;H,6.45;N,6.60。C2427FNS計算値;C,67.59;H,6.38;N,6.57。
【実施例2】
【0043】
5−フルオロ−2−メチル−N−[(1−メチル−2−ピロリジニル)メチル]−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド(2):
粗生成物をCHCl/MeOH+0.2%NHOH(8:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。黄色固体、収率91%。ESI−MS m/z:467 [M+H]H NMR(DMSO−d):δ8.10(1H,t,J=4.2Hz,−NHCHCH),7.79(1H,d,J=8.4Hz,3’−H),7.71(1H,d,J=8.2Hz,2’−H),7.36(1H,s,8−H),6.71(1H,dd,J=5.4Hz,8.5Hz,7−H),3.41(2H,s,1−CH),3.12〜3.06(2H,m,−NHCHCH),2.88〜2.79(1H,m,2”−H),2.82(3H,s,4’−CH),2.18(3H,s,2−CH),2.12(3H,s,N−CH),2.00〜1.91(3H,m,3”−H,5”−CH),1.91〜1.68(2H,m,3”−H),1.68〜1.50(2H,m,−NHCHCH,4”H),1.40〜1.07(2H,m,−NHCHCH,4”−H)。CHN実測値:C,67.62;H,6.48;N,6.22。C2731FNS・0.8HO計算値;C,67.40;H,6.83;N,5.82。
【実施例3】
【0044】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−[2−(1−ピペラジニル)エチル]−1H−インデン−3−アセトアミド(3):
粗生成物をCHCl/MeOH+0.2%NHOH(4:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、CHCl/MeOH+0.2%NHOH(5:1)を用いて分取TLCによりさらに精製する。黄色固体、収率58%。ESI−MS m/z:468 [M+H]H NMR(DMSO−d):δ7.97(1H,t,J=4.2Hz,−NHCHCH),7.80(2H,d,J=8.4Hz,3’−H,5’−H),7.72(2H,d,J=8.2Hz,2’−H,6’−H),7.35(1H,s,8−H),7.15(1H,dd,J=5.3Hz,8.4Hz,7’−H),7.10(1H,dd,J=2.4Hz,9.3Hz,4−H),6.71(1H,ddd,J=2.4Hz,9.6Hz,11.8Hz,6−H),3.43(2H,s,1−CH),3.16(2H,dd,J=5.94Hz,11.9Hz,−NHCHCH),2.66(4H,t,J=4.7Hz,3”−H&5”−H),2.51〜2.30(6H,m,−NHCHCH,2”−H&6”−H),2.18(3H,s,2−CH)。CHN実測値:C,63.53;H,6.46;N,8.53。C2630FNS・1.3HO計算値;C,63.60;H,6.69;N,8.55。
【実施例4】
【0045】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−[2−(1−ピペリジニル)エチル]−1H−インデン−3−アセトアミド(4):
粗生成物をCHCl/MeOH(9:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。黄色固体、収率89%。ESI−MS m/z:467 [M+H]H NMR(DMSO−d):δ7.95(1H,t,J=4.4Hz,−NHCHCH),7.80(2H,d,J=8.4Hz,3’−H,5’−H),7.71(2H,d,J=8.4Hz,2’−H,6’−H),7.35(1H,s,8−H),7.15(1H,dd,J=5.4Hz,8.5Hz,7’−H),7.10(1H,dd,J=2.5Hz,9.5Hz,4−H),6.71(1H,ddd,J=2.4Hz,9.6Hz,11.0Hz,6−H),3.43(2H,s,1−CH),3.16(2H,dd,J=5.0Hz,11.0Hz,−NHCHCH),2.82(3H,s,4’−CH),2.40〜2.36(6H,m,−NHCHCH,2”−H,5”−H),2.18(3H,s,2−CH),1.44〜1.31(6H,m,3”−H,4”−H,5”−H)。CHN実測値:C,67.82;H,6.51;N,5.78。C2731FNS・0.7 HO計算値;C,67.67;H,6.81;N,5.84。
【実施例5】
【0046】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−[2−(3−ピリジニル)エチル]−1H−インデン−3−アセトアミド(5):
粗生成物をCHCl/MeOH(95:5)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、CHCl/MeOH(98:2)を用いて分取TLCによりさらに精製する。黄色固体、収率62%。ESI−MS m/z:461 [M+H]H NMR(DMSO−d):δ8.38〜8.42(2H,m,4”−H&6”−H),8.17(1H,t,J=4.4Hz,−NHCHCH),7.78(2H,d,3’−H&5’−H),7.72(2H,d,2’−H&6’−H),7.60〜7.56(1H,m,2”−H),7.34(1H,s,8−H),7.27〜7.23(1H,m,3”−H),7.16(1H,dd,J=5.3Hz,8.4Hz,7−H),6.70(1H,ddd,J=2.4Hz,9.5Hz,11.0Hz,6−H),3.40(2H,s,1−CH),2.31〜3.26(2H,m,−NHCHCH),2.82(3H,s,2− CH),2.74(2H,t,J=6.8Hz,−NHCHCH),2.15(3H,s,4’−CH)。CHN実測値:C,69.48;H,5.43;N,5.87。C2725FNS・0.3HO計算値;C,69.60;H,5.54;N,6.01。
【実施例6】
【0047】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−[2−(4−モルホリニル)エチル]−1H−インデン−3−アセトアミド(6):
粗生成物をCHCl/MeOH(95:5)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。黄色固体、収率75%。ESI−MS m/z:469 [M+H]H NMR(DMSO−d):δ8.00(1H,t,J=5.0Hz,NHCHCH),7.79(2H,d,J=8.5Hz,3’−H,5’−H),7.71(2H,d,J=8.2Hz,2’−H&6’−H),7.35(1H,s,8−H),7.15(1H,dd,J=5.2Hz,8.4Hz,7−H),7.10(1H,dd,J=2.4Hz,9.4Hz,4−H),6.71(1H,ddd,J=2.5Hz,9.6Hz,11.1Hz,6−H),3.52(4H,t,J=4.6Hz,3”−H,4”−H),3.43(2H,s,1−CH),3.21〜3.15(2H,m,−NHCHCH),2.82(3H,s,4’−CH),2.35〜2.30(6H,m,2”−H,5”−H,−NHCHCH),2.18(3H,s,2−CH)。CHN実測値:C,65.81;H,5.95;N,5.83。C2629FNS・0.4HO計算値;C,65.64;H,6.31;N,5.89。
【実施例7】
【0048】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−1H−インデン−3−アセトアミド(7):
粗生成物をCHCl/MeOH(9:1)+0.2%NHOHを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。黄色固体、収率95%。ESI−MS m/z:453 [M+H]H NMR(DMSO−d):δ8.12(1H,t,J=5.0Hz,NHCHCH),7.78(2H,d,J=8.4Hz,3’−H,5’−H),7.71(2H,d,J=8.2Hz,2’−H,6’−H),7.35(1H,s,8−H),7.18〜7.09(2H,m,4−H,7−H),6.70(1H,ddd,J=2.5Hz,9.5Hz,10.9Hz,6−H),3.44(2H,s,1−CH),3.20(2H,dd J=6.6Hz,9.5Hz,−NHCHCH),2.82(3H,s,4’−CH),2.54〜2.49(4H,m,3−H,4”−H,−NHCHCH),2.18(3H,s,2−CH),1.69(4H,s,2”−H&5”−H)。CHN実測値:C,66.59;H,6.22;N,6.04。C2629FNS・0.8HO計算値;C,66.87;H,6.60;N,6.00。
【実施例8】
【0049】
N,2−ジメチル−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5−フルオロ−1−[[4−(エチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド(8):
粗生成物をCHCl/MeOH(9:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。黄色固体、収率62%。ESI−MS m/z:441 [M+H]H NMR(DMSO−d)アミド結合の不完全な二重結合の性質により2組の共鳴が生じる:δ7.78(2H,d,J=8.4Hz,3’−H,5’−H),7.72(2H,d,J=8.5Hz,2’−H,6’−H),7.35(1H,s,8−H),7.15(1H,dd,J=5.5Hz,8.46Hz,7−H),7.01〜6.95(1H,m,4−H),6.71(1H,ddd,J=2.5Hz,9.5Hz,10.9Hz,6−H),3.72&3.65(2H,s,1−CH),3.47&3.39(2H,t,J=5.7Hz,−NHCHCH),3.08&2.84(3H,s,−NCH),2.82(3H,s,4’−CH),2.42&2.32(2H,t,J=6.7Hz,−NHCHCH s,2−C),2.20(3H,H s,−N(C),2.13(6H,H)。CHN実測値:C,67.41;H,6.51;N,6.29。C2529FNS・0.3HO計算値;C,67.33;H,6.69;N,6.28。
【実施例9】
【0050】
N−(2−アミノエチル)−5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド(9):
粗生成物をCHCl/MeOH+0.2%NHOH(9:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物を収率95%で黄色固体として得た。ESI−MS m/z:399 [M+H]H NMR(DMSO−d):δ8.09(1H,t,J=5.2Hz,NHCHCHNH),7.78(2H,d,J=8.5Hz,3’−H,5’−H),7.72(2H,d,J=8.1Hz,2’−H,6’−H),7.35(1H,s,8−H),7.18〜7.10(2H,m,4−H,7−H),6.70(1H,ddd,J=2.4Hz,9.7Hz,11.1Hz,6−H),3.43(2H,s,3−CH),3.05(2H,dd,J=6.1Hz,11.9Hz,−NHCHCHNH),2.82(3H,s,4’−CH),2.57(2H,t,J=6.3Hz,−NHCHCHNH),2.18(3H,s,2−CH)。CHN実測値:C,62.47;H,6.33;N,6.33。C2223FNS・1.4HO計算値;C,62.36;H,6.14;N,6.61。
【実施例10】
【0051】
N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルチオ)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド(一般法:Olah et al. Synthesis 1978 137.):
トリフェニルホスフィン(0.502g、1.913mmol)とI(0.486g、1.913mmol)を共にアセトニトリル(5mL)中で、黄色スラリーが得られるまで攪拌する。実施例のスルホキシド(0.068g、0.16mol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させた溶液を黄色スラリーに添加し、次いでNaI粉末(0.358g、2.39mmol)を添加する。反応混合液を室温で一晩中アルゴン雰囲気下攪拌する。反応が完全に近づくように反応混合液を6時間穏やかに加熱し、次いで一晩中アルゴン雰囲気下室温に放置する。反応液をエーテル(250mL)で希釈して、Na飽和溶液、5%NaHCO、HOで洗滌し、濃縮し、CHClに再溶解させ、NaSO上で乾燥させ、濃縮して黄色残留物を得る。クロロホルム/メタノール20:1を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル(230〜400メッシュ)のカラムを充填し、溶離する)により粗生成物を精製する。収率44%(29mg)で黄色固体を得る。FABMS m/z:411 (M+H)H NMR:(CDCl)H29389 δ2.11(6H,s,N(CH,2.20(3H,s,2−CH),2.31(2H,t,−NHCHCHN(CH,J=5.94Hz),2.55(3H,s,4’−CH),3.27(2H,dd,−NHCHCHN(CH,J=5.82Hz,11.42Hz),3.51(2H,s,3−CH),6.17(1H,br.s,−NHCHCHN(CH),6.60(1H,ddd,6−H),6.87(1H,dd,4−H,J=2.41Hz,9.0Hz),.7.16(1H,s,10−H),7.31〜7.26(1H,m,6’−H),7.38(1H,dd,7−H,J=5.27Hz,8.46Hz),7.44(2H,d,3’−H&5’−H);スペクトルによって、提示された構造がいくらかのHOの存在とともに確認される。CHN(C2427OSF)実測値:C,69.84;H,6.77;N,6.89。計算値C,70.21;H,6.63;N,6.82。
【0052】
さらに、以下の本開示化合物は以下のスキームによって調製可能である。
【0053】
【化4】

【0054】
スリンダク誘導体類(化合物11〜15)の合成のための基本手順:
化合物11及び12を方法Iにより合成し、化合物13を方法IIにより合成し、化合物14を方法IIIにより合成し、並びに化合物15を方法IVにより合成する。
【0055】
方法I:
スリンダク(100mg、0.28mmol)をアルゴン雰囲気下で無水ピリジン(5mL)に溶解させ、その溶液を氷/水浴(〜0℃)中で冷却する。アミン(0.045mL、0.42mmol)、次いでPyBOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;219mg、0.42mmol)を反応液に添加する。反応混合液をアルゴン雰囲気下室温で一晩中攪拌する。脱イオン水(5mL)を添加し、クロロホルム(2×30mL)で反応混合液の抽出を行い、HO(10mL)で洗滌し、NaSO上で乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。濃縮物をトルエンに再溶解させ、共沸蒸留して残留ピリジンを除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(60〜200メッシュ)により精製する。純粋な化合物を少なくとも48時間真空乾燥する。
【0056】
方法II:
スリンダク(100mg、0.28mmol)をアルゴン雰囲気下で無水ピリジン(5mL)に溶解させる。アミン(77mg、0.42mmol)、次いでPyBOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;219mg、0.42mmol)を反応液に添加する。反応混合液をアルゴン雰囲気下室温で一晩中攪拌する。アミン(26mg、0.14mmol)を反応液に添加して、スリンダク対アミン量を1:2に増やす。反応混合液をアルゴン雰囲気下室温で72時間攪拌する。脱イオン水(5mL)を反応混合液に添加して、反応をクエンチする。反応混合液をトルエンで共沸蒸留して、残留ピリジンを除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(60〜200メッシュ)により精製する。純粋な化合物を少なくとも48時間真空乾燥する。
【0057】
方法III:
スリンダク(100mg、0.28mmol)をアルゴン雰囲気下で無水ピリジン(5mL)に溶解させる。アミン(0.06mL、0.42mmol)、次いでPyBOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;219mg、0.42mmol)を反応液に添加する。反応混合液をアルゴン雰囲気下室温で72時間攪拌する。脱イオン水(5mL)を添加して、クロロホルム(2×30mL)で反応混合液の抽出を行い、HO(10mL)で洗滌し、NaSO上で乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。濃縮物をトルエンに再溶解させ、共沸蒸留して、残留ピリジンを除去する。粗化合物を72時間真空乾燥する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(60〜200メッシュ)により精製する。純粋な化合物をエタノール(3×50mL)で共沸蒸留する。純粋な化合物を一晩中乾燥ピストルで乾燥する。
【0058】
方法IV:
スリンダク(100mg、0.28mmol)をアルゴン雰囲気下で無水ピリジン(5mL)に溶解させる。アミン(95mg、0.42mmol)、次いでPyBOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;219mg、0.42mmol)を反応液に添加する。反応混合液をアルゴン雰囲気下室温で2週間攪拌する。脱イオン水(5mL)を反応混合液に添加して、反応をクエンチする。反応混合液をトルエンで共沸蒸留して、残留ピリジンを除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(60〜200メッシュ)により精製する。純粋な化合物をエタノール(2×50mL)で共沸蒸留する。純粋な化合物を一晩中乾燥ピストルで乾燥する。
【実施例11】
【0059】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−(フェニルメチル)−1H−インデン−3−アセトアミド(11):
粗生成物をCHCl/MeOH(98:2)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物を収率91%で黄色固体として得る。ESI−MS m/z:446 [M+H]H NMR(DMSO−d):δ8.64(1H,t,J=6.2Hz,−NHCH),7.79(2H,d,J=8.3Hz,3’−H,5’−H),7.72(2H,d,J=8.3Hz,2’−H,6’−H),7.35(1H,s,8−H),7.32〜7.23(5H,m,C),7.17(1H,dd,J=5.2Hz,8.4Hz,7−H),7.13(1H,dd,J=2.5Hz,9.5Hz,4−H),6.71(1H,ddd,J=2.5Hz,8.5Hz,9.4Hz,6−H),4.29(2H,d,J=5.8Hz,−NHCH),3.51(2H,s,3−CH),2.82(3H,s,CHSO−),2.20(3H,s,2−CH)。CHN実測値:C,71.48;H,5.36;N,3.22。C2724FNOS・0.4HO計算値;C,71.63;H,5.52;N,3.09。
【実施例12】
【0060】
5−フルオロ−N−(2−フラニルメチル)−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド(12):
粗生成物をCHCl/MeOH(95:5)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、CHCl/MeOH(95:5)を用いて分取TLCによりさらに精製する。黄色固体、収率34%。ESI−MS m/z:436 [M+H]H NMR(DMSO−d):δ8.61(1H,t,J=5.3Hz,−NHCH),7.79(2H,d,J=8.3Hz,3’−H,5’−H),7.72(2H,d,J=8.3Hz,2’−H,6’−H),7.57(1H,dd,J=0.9Hz,1.9Hz,5”−H),7.35(1H,s,8−H),7.16(1H,dd,J=5.3Hz,8.4Hz,7−H),7.11(1H,dd,J=2.4Hz,9.4Hz,4−H),6.71(1H,ddd,J=2.5Hz,8.4Hz,9.4Hz,6−H),6.39(1H,dd,J=1.9Hz,3.2Hz,4”−H),6.22(1H,dd,J=0.8Hz,3.2Hz,3”−H),4.28(2H,d,J=5.6Hz,−NHCH),3.47(2H,s,3−CH),2.82(3H,s,CHSO−),2.18(3H,s,2−CH)。CHN実測値:C,66.72;H,4.88;N,3.09。C2522FNOS・0.75HO計算値;C,66.87;H,5.27;N,3.12。
【実施例13】
【0061】
5−フルオロ−N−[2−(4−イミダゾリル)エチル]−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン−1H−インデン−3−アセトアミド(13):
粗生成物をCHCl/MeOH+0.2%NHOH(9:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、CHCl/MeOH+0.2%NHOH(8:1)を用いて分取TLCによりさらに精製する。黄色固体、収率31%、反応した物質に対して収率54%。ESI−MS m/z:450 [M+H]H NMR(DMSO−d)イミダゾール環により2組の共鳴が生じる。:δ8.16(1H,br t,J=5.3Hz,−NHCHCH),7.79(2H,d,J=8.4Hz,3’−H,5’−H),7.72(2H,d,J=8.4Hz,2’−H,6’−H),7.50(1H,br s,2”−H),7.35(1H,s,8−H),7.16(1H,dd,J=5.3Hz,8.4Hz,7−H),7.09(1H,dd,J=2.5Hz,9.4Hz,4−H),6.83(1H,br s,4”−H),6.71(1H,ddd,J=2.5Hz,8.4Hz,9.5Hz,6−H),3.42(2H,s,3−CH),3.26(2H,m,−NHCHCH),2.82(3H,s,CHSO−),2.65(2H,m,−NHCHCH),2.17(□□ s,2−CH)。CHN実測値:C,64.22;H,5.37;N,8.71。C2524FNS・1.0HO計算値;C,64.22;H,5.60;N,8.99。
【実施例14】
【0062】
5−フルオロ−N−[2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル]−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン−1H−インデン−3−アセトアミド(14):
粗生成物をCHCl/MeOH(95:5)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、CHCl/MeOH+1.0%NHOH(9:1)を用いた分取TLCにより、及びCHCl/MeOH+1.0%NHOH(7:1)を用いた分取TLCによりさらに精製する。黄色固体、収率28%。ESI−MS m/z:455 [M+H]H NMR(DMSO−d)δ7.92(1H,t,J=5.3Hz,−NHCHCH),7.79(2H,d,J=8.4Hz,3’−H,5’−H),7.71(2H,d,J=8.4Hz,2’−H,6’−H),7.35(1H,s,8−H),7.16(1H,dd,J=5.2Hz,8.4Hz,7−H),7.10(1H,dd,J=2.5Hz,9.4Hz,4−H),6.72(1H,ddd,J=2.5Hz,8.4Hz,9.4 Hz,6−H),3.43(2H,s,3−CH),3.12(2H,m,−NHCHCH),2.82(3H,s,CHSO−),2.44(4H,m,−N(CHCH),2.41(2H,m,−NHCHCH),2.18(3H,s,2−CH),0.91(6H,t,J=7.1Hz,−N(CHCH)。CHN実測値:C,66.67;H,6.98;N,5.91。C2631FNS・0.8HO計算値;C,66.58;H,7.01;N,5.97。
【実施例15】
【0063】
N−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メチル]−5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド(15):
粗生成物をCHCl/MeOH+1.0%NHOH(95:5)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、CHCl/MeOH(9:1)を用いて分取TLCによりさらに精製する。黄色固体、収率26%、反応した物質に対して収率36%。ESI−MS m/z:489 [M+H]H NMR(DMSO−d)δ8.48(1H,t,J=5.3Hz,−NHCH),7.79(2H,d,J=8.4Hz,3’−H,5’−H),7.72(2H,d,J=8.4Hz,2’−H,6’−H),7.35(1H,s,8−H),7.16(1H,dd,J=5.3Hz,8.4Hz,7−H),7.11(1H,dd,J=2.6Hz,9.6Hz,4−H),7.08(2H,m,2”−H),6.71(1H,ddd,J=2.4Hz,8.4Hz,9.5Hz,6−H),6.66(2H,m,3”−H),4.15(2H,d,J=5.6Hz,−NHCH),3.47(2H,s,1−CH),2.85(6H,s,−N(CH)2.82(3H,s,CHSO−),2.19(3H,s,2−CH)。CHN実測値:C,71.07;H,6.06;N,5.70。C2929FNS計算値;C,71.29;H,5.98;N,5.73。
【0064】
【化5】

【実施例16】
【0065】
2−[5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルホニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−イル]−1−(4−メチルピペラジニル)エタノン
粗生成物をCHCl/MeOH+0.2%NHOH(95:5)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物を適度の収率で黄色固体として得る。ESI−MS m/z:439.23 [M+H]H NMR(CDCl、300MHz):δ7.73〜7.64(4H,m,2’−H,3’−H,5’−H,6’−H),7.16(1H,dd,J=8.7Hz,J=5.4Hz,7−H),7.12(1H,s,8−H),6.90(1H,dd,J=9.0Hz,J=2.4Hz,4−H),6.58〜6.51(1H,m,6−H),3.69(2H,m,CHNCH),3.60(2H,s,CHCO),3.55(2H,m CHNCH),.2.81(3H,s,SOCH),2.42〜2.37(4H,m,CONCH),2.30(3H,s,NCH),2.18(3H,s,2−CH)。C2527FNS・0.1CHCOOH分析計算値:C,65.17;H,5.87;N,5.63。実測値:C,64.80;H,6.15;N,5.74。
【0066】
【化6】

【0067】
化合物17、18、19を方法Vにより合成し、化合物20を方法IVにより合成する。
【0068】
方法V
スリンダクスルフィド又はスリンダク(0.2497mmol)、適当なアミン(0.2996mmol)及びEtN(0.07mL、0.4994mmol)を無水アセトニトリル(10mL)にアルゴン雰囲気下室温で溶解させた溶液にO―(ベンゾトリアゾール―1―イル)―N,N,N’,N’―テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(114mg、0.2996mmol)を添加する。反応混合液を室温で30分間攪拌する。飽和食塩水(30mL)を反応混合液に添加し、CHCl(2×30mL)で抽出を行う。有機抽出物を集め、無水NaSO上で乾燥し、溶媒を減圧留去する。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(60〜200メッシュ)により精製する。
【0069】
方法VI
スリンダクスルホン(75mg、0.2014mmol)及びN,N−ジメチルエチレンジアミン(0.026mL、0.2417mmol)を無水DMF(2mL)にアルゴン雰囲気下0℃で溶解させた溶液にジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(0.052mL、0.2417mmol)を添加する。反応混合液を室温に放置し、一晩中攪拌する。NaCO水溶液(30mL)を反応混合液に添加し、CHCl(2×30mL)で抽出を行う。有機抽出物を集め、無水NaSO上で乾燥し、溶媒を減圧留去する。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(60〜200メッシュ)により精製する。
【実施例17】
【0070】
N−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メチル]−(Z)−5−フルオロ−2−メチル−3−[[4−(メチルチオ)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド
粗生成物をCHCl/石油エーテル+0.1%NHOH(4:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物を収率98%で黄色固体として得る。ESI−MS m/z:473.26 [M+H]H NMR(CDCl、300MHz):δ7.45(2H,d,J=8.1Hz,3’−H,5’−H),7.38(1H,dd,J=8.4Hz,J=5.1Hz,7−H),7.30(2H,dd,J=8.4Hz,2’−H,6’−H),7.14(1H,s,8−H),7.03(2H,d,J=8.7Hz,2”−H,6”−H),6.87(1H,dd,J=9.0Hz,J=2.4Hz,4−H),6.64〜6.56(3H,m,6−H,3”−H,5”−H),5.75(1H,bs,NH),4.32(2H,d,J=5.6Hz,NH−CH−),3.56(2H,s,−CH−CO),2.90(6H,s,N(CH),2.54(3H,s,−SCH),2.17(3H,s,2−CH)。C2929FNOS分析計算値:C,73.70;H,6.18;N,5.93。実測値:C,73.74;H,6.17;N,5.72。
【実施例18】
【0071】
N,2−ジメチル−(Z)−5−フルオロ−2−メチル−N−[2−(メチルアミノ)エチル]−3−[[4−(メチルチオ)フェニル]メチレン]]−1H−インデン−3−アセトアミド
粗生成物をCHCl/MeOH+0.1%NHOH(97:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物を収率82%で黄色固体として得る。ESI−MS m/z:411.26 [M+H]、821.49 [2M+H]H NMR(CDCl、300MHz):δ7.45(2H,d,J=8.1Hz,3’−H,5’−H),7.65(2H,d,J=8.1Hz,2’−H,6’−H),7.15〜7.10(2H,m’s,4−H,8−H)29 6.96〜6.90(1H,m,7−H),6.59〜6.52(1H,m,6−H),3.69,3.62(2H,2s,−CH−CO),3.55〜3.46(2H,m,N(CH)−CH),3.09,2.97(3H,2s,CO−N(CH)),2.79〜2.74(2H,m,CH−NH(CH)),2.54(3H,s,−SCH),2.45,2.42(3H,2s,NHCH),2.18(3H,s,2−CH)。C2427FNOS・0.35HO分析計算値:C,69.15;H,6.69;N,6.71。実測値:C,69.00;H,6.50;N,6.29。
【実施例19】
【0072】
N−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−(Z)−5−フルオロ−2−メチル−3−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]]−1H−インデン−3−アセトアミド
粗生成物をCHCl/MeOH+0.1%NHOH(99:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物を収率98%で黄色固体として得る。ESI−MS m/z:475.21 [M+H]、949.42 [2M+H]H NMR(CDCl、300MHz):δ7.75〜7.67(4H,m,2’−H,3’−H 5’−H,6’−H),7.25(2H,d,J=9.0Hz,2”−H,6”−H),7.22(1H,s,8−H),7.20(1H,dd,J=8.4Hz,J=5.1Hz,7−H),7.13(1H,bs,NH),6.95(1H,dd,J=8.7Hz,J=2.4Hz,4−H),6.66(2H,d,J=9.0Hz,3”−H,5”−H),6.67〜6.57(1H,m,6−H),3.66(2H,s,CH−CO),2.89(6H,s,N(CH),2.82(3H,s,−SOCH),2.27(3H,s,2−CH)。C2827FNS・1.0HO分析計算値:C,68.27;H,5.93;N,5.69。実測値:C,68.34;H,5.66;N,5.80。
【実施例20】
【0073】
N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−(Z)−5−フルオロ−2−メチル−3−[[4−(メチルスルホニル)フェニル]メチレン]]−1H−インデン−3−アセトアミド
粗生成物をCHCl/MeOH+0.1%NHOH(49:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物を収率94%で黄色固体として得る。ESI−MS m/z:443.22 [M+H]H NMR(CDCl、300MHz):δ8.02(2H,d,J=8.4Hz,3’−H,5’−H),7.72(2H,d,J=8.7Hz,2’−H,6’−H),7.13(1H,s,8−H),7.11(1H,dd,J=8.4Hz,J=5.1Hz,7−H),6.90(1H,dd,J=9.0Hz,J=2.7Hz,4−H),6.61〜6.54(1H,m,6−H),6.31(1H,bs,NH),3.50(2H,s,CH−CO),3.30(2H,q,J=5.7Hz,NH−CH),3.14(3H,s,SOCH),2.36(2H,t,CH−N(CH),2.21(3H,s,2−CH),2.16(6H,s,N(CH)。C2427FNS・0.25HO分析計算値:C,64.48;H,6.20;N,6.27。実測値:C,64.54;H,6.05;N,6.29。
【実施例21】
【0074】
N−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−(Z)−5−フルオロ−2−メチル−3−[[4−(メチルチオ)フェニル]メチレン]]−1H−インデン−3−アセトアミド
粗生成物を2%MeOH−CHCl+0.1%NHOHを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物を収率100%で黄色固体として得る。ESI−MS m/z:459.25 [M+H]、917.49 [2M+H]H NMR(CDCl、300MHz):δ7.47(2H,d,J=8.2Hz,2’−H,6’−H),7.44(1H,dd,J=8.4Hz,J=5.2Hz,7−H),7.31(2H,d,J=8.2Hz,3’−H,5’−H),7.22(2H,dd J=9.0Hz,2”−H,6”−H)7.21(1H,s,8−H),7.08(1H,bs,NH),6.93(1H,dd,J=8.8Hz,J=2.4Hz,4−H),6.67〜6.60(3H,重複m’s,3”−H,5”−H,6−H),3.66(2H,s,CH−CO),2.89(6H,s,N(CH),2.56(3H,s,−SCH),2.26(3H,s,2−CH)。C2827FNOS・0.25HO分析計算値:C,72.62;H,5.99;N,6.05。実測値:C,72.41;H,5.61;N,5.74。
【0075】
実験結果
ヒトHT29結腸腫瘍細胞系を用いたインビトロ細胞毒性試験によって、スリンダク誘導体SRI21004(スルホキシド)及びSRI21009(スルフィド)の効能はスリンダクの対応型に対して顕著に向上していることが示される。トリチウム化チミジン取り込みアッセイ(左枠)又はMTS細胞生存性アッセイ(右枠)によって、SRI誘導体類及びスリンダクの増殖阻害活性を図1A及び1Bに示す。スリンダク並びにそのスルホン及びスルフィド代謝物と比較してSRI誘導体類の効能が高い点に注目されたい。また、スリンダク及びその代謝物においては、増殖を阻害するのに必要な濃度と比べて、生存細胞数を減少させる濃度はより高くなければならなかったが、これはSRI誘導体類の場合にはあてはまらなかった点に注目されたい。これにより、SRI誘導体類がスリンダク及びその代謝物と比べて腫瘍細胞破壊能がより高いことが示される。
【0076】
図2は組織学的疾患型による腫瘍細胞パネルに対するSRI21009の増殖阻害活性を示す。結腸直腸腫瘍由来の腫瘍細胞の感受性が他の腫瘍型と比べて高い点に注目されたい。
【0077】
図3A及び3Bは、SRI21004の細胞増殖抑制活性及び細胞毒性活性をそれぞれスリンダクスルフィドと比較して示す。細胞毒性活性は細胞数を投与開始時よりも減少させる治療能と定義され、化学療法効果の指標である。細胞増殖抑制は非投与の細胞に比べて細胞数を減少させる治療能と定義され、化学予防効果の指標である。SRI21004は、スリンダクスルフィドと比較して化学療法効果における高い可能性を示し、図1Bに表されるように相対することなく高い腫瘍細胞破壊能を有する点に注目されたい。
【0078】
図4はSRI21009の経口バイオアベイラビリティを示す。SRI21009を200mg/kg単回経口投与した後に達成される血漿濃度は、インビトロ増殖阻害のIC50値を超えていた。スリンダクスルホキシド、スルホン、又はスルフィドはSRI21009投与後の血漿中に無視できる量しか検出されない。
【0079】
図5A及び5Bは、SRI21009のマウス毒性がスリンダクに比べて低いことを示す。一日一回の投与スケジュールの後、見積もられるスリンダクの最大耐量はSRI21009の300mg/kgと比較して50mg/kgである。
【0080】
図6はヒト結腸HT29結腸腫瘍細胞を皮下移植した胸腺欠損ヌードマウスにおけるSRI21009の抗腫瘍活性を示す。この試験では、SRI21009を2日に1回700mg/kgの量で経口投与する。SRI21009を300mg/kg投与すると、スリンダクを一日一回の投与スケジュールで50mg/kg投与するのと同程度に有効である。
【0081】
下記の表Aは、SRI21009のCOX−1及びCOX−2阻害活性が、非選択的COX阻害剤(スリンダクスルフィド)、COX−1選択的阻害剤(インドメタシン)、及びCOX−2選択的阻害剤(ロフェコキシブ)に比べて低いことを示す。上記化合物の阻害活性はIC50値(50%阻害濃度)として表される。
【0082】
【表1】

【0083】
スリンダクスルホキシドの誘導体類をさらに合成し、ヒトHT29結腸腫瘍細胞に対する増殖阻害活性を試験し、下記の表1に示す。誘導体類は全てスリンダクスルホキシドよりも活性が高く、いくつかはSRI21004に匹敵する又はそれ以上の活性を示す。
【0084】
【表2−1】

【0085】
【表2−2】

【0086】
上記表(スリンダク及びSRI誘導体群のヒトHT29結腸腫瘍細胞系に対する増殖阻害活性)において、活性はIC50値(50%阻害濃度)により効能として表される。本開示の4−N,Nジメチルフェニルアミド化合物は、4−N,Nジメチルベンジルアミド化合物よりも活性が低いので、特に好ましいものではないと言える。例えば、化合物21590及び21623を21275及び21540とそれぞれ比較されたい。また、バイオアッセイ中の溶解性の問題を顕著にもたらす親水性の低さが少なくともいくぶん原因となって、SCH化合物(21623)は対応するSOCH(21590)よりも活性が低いと考えられている。
【0087】
本開示によれば、スリンダク誘導体類は単独で又は適当な会合体として用いられ、また、薬学的に許容されるキャリア及び薬学的に活性な他の化合物(NSAIDs等の様々な癌治療薬)と組み合わせて、及び/又は放射線療法とともに用いられてもよい。活性物質は医薬組成物中に任意の好適な量で含まれていてもよい。医薬組成物はそのような目的に典型的に用いられる成分を含んでいてもよい。
【0088】
本明細書に記載の薬学的に許容されるキャリア(例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、又は希釈剤)は、当業者に周知である。典型的には、薬学的に許容されるキャリアは活性化合物に対して化学的に不活性であり、使用条件下において有害な副作用又は毒性がない。薬学的に許容されるキャリアとしては、ポリマー及びポリマーマトリックスが挙げられる。医薬組成物の別の添加剤として、活性物質の吸収を高めるシクロデキストリンがある。
【0089】
キャリアの選択は、上記組成物を投与するために用いられる特定の方法によっていくぶん決定される。従って、本発明の医薬組成物の好適な剤形は多種多様である。以下の経口、エアゾール、非経口、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、くも膜下、直腸、及び膣投与のための剤形は例示的なものに過ぎず、限定するようなものでは決してない。
【0090】
経口投与に好適な剤形としては、(a)液剤(水、塩水、又はオレンジジュースのような希釈剤に溶解した有効量の化合物等);(b)カプセル剤、サシェ剤(sachet)、錠剤(tablet)、錠剤(lozenge)、及びトローチ剤(troche)(それぞれが固形又は顆粒の活性成分を所定量含有する);(c)散剤;(d)適当な液体の懸濁剤;及び(e)好適な乳剤が挙げられる。液体の剤形は希釈剤を含み、希釈剤として、例えば水、シクロデキストリン、ジメチルスルホキシド、及びアルコール〔例えば、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、及びポリエチレンアルコール(ポリエチレングリコール等)〕が挙げられる。上記希釈剤に薬学的に許容される界面活性剤、懸濁剤、又は乳剤を添加してもよいし、しなくてもよい。カプセル剤型は、以下の物質を含む通常のハード又はソフトゼラチンシェル型のものでもよい: 例えば、界面活性剤、潤滑剤、及び不活性な充填剤(乳糖、ショ糖、リン酸カルシウム、及びコーンスターチ等)。錠剤(tablet)型は、以下の物質を1種以上含んでもよい: 乳糖、ショ糖、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸、微結晶性セルロース、アラビアガム、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、防腐剤、フレーバー剤、及び薬理学的に適合したキャリア。錠剤(lozenge)型はフレーバーにおける活性成分(ショ糖及びアラビアガム又はトラガカントガム等)を含んでもよく、さらにトローチ剤(pastille)は不活性基剤における活性成分(ゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアラビアガム等)を含んでもよく、乳剤、及びゲル剤は不活性基剤における活性成分に加えてゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアラビアガム(acadia)を含んでもよく、乳剤、及びゲル剤は活性成分に加えて当業者に既知のキャリア等を含んでもよい。
【0091】
スリンダク誘導体は、単独で又は他の好適な成分と組み合わせて、吸入により投与されるエアゾール剤形に調製可能である。これらのエアゾール剤形は、許容される圧縮不活性ガス(ジクロロジフルオロメタン、プロパン、及び窒素等)に含ませることができる。また、これらを非圧縮調製(ネブライザー又はアトマイザー等)用の調合薬として調剤してもよい。
【0092】
非経口投与に適した剤形としては、水溶性及び非水溶性の無菌等張注射液(抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、及び剤形を対象受容者の血液と等張にする溶質を含んでもよい)、並びに水溶性及び非水溶性の無菌懸濁液(懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び防腐剤を含んでもよい)が挙げられる。上記化合物を製剤キャリア中の生理的に許容される希釈剤として投与してもよい。上記希釈剤は、例えば無菌の液体又は複数の液体の混合液であり、例えば、水、食塩水、水溶性右旋糖及び関連の糖液、アルコール〔例えば、エタノール、イソプロパノール、又はヘキサデシルアルコール、グリコール(例えば、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール(ポリ(エチレングリコール)400等)、グリセロールケタール(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール等)〕、エーテル、油、脂肪酸、脂肪酸エステル又はグリセリド、又はアセチル化脂肪酸グリセリドが挙げられ、薬学的に許容される界面活性剤(石鹸又は洗剤等)、懸濁剤(ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース等)、又は乳剤、及び他の製剤アジュバントを添加してもよいし、しなくてもよい。
【0093】
非経口剤形で用いられる油としては、石油、動物油、植物油、又は合成油が挙げられる。油の具体例としては、落花生油、大豆油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ペトロラタム、及び鉱油が挙げられる。非経口剤形での使用に適した脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸が挙げられる。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルは、好適な脂肪酸エステルの例である。非経口剤形での使用に適した石鹸としては、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、及びトリエタノールアミン塩が挙げられ、好適な洗剤としては、(a)カチオン性洗剤(例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、及びアルキルピリジニウムハライド)、(b)アニオン性洗剤(例えば、アルキル、アリール、及びオレフィンスルホン酸塩、アルキルオレフィン、エーテル、及びモノグリセリド硫酸塩、及びスルホコハク酸塩)、(c)非イオン洗剤(例えば、脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリオキシエチレンポリプロピレンコポリマー)、(d)両性洗剤(例えば、アルキルβ−アミノプロピオン酸塩、及び2−アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩)、及び(e)それらの混合物が挙げられる。
【0094】
非経口剤形は、典型的には、溶液中に活性成分を約0.5%〜約25%重量含む。好適な防腐剤及び緩衝剤は、そのような剤形で用いられてもよい。注射部位の刺激を最小限にする又は無くすために、そのような組成物は、親水親油バランス(HLB)が約12〜約17である1種以上の非イオン界面活性剤を含んでもよい。そのような組成物中の界面活性剤の量は約5%〜約15%重量である。好適な界面活性剤としては、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエート等)、及びエチレンオキシドと疎水性塩基との高分子量付加物(プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される)が挙げられる。
【0095】
薬学的に許容される賦形剤もまた当業者に周知である。賦形剤の選択は、上記組成物を投与するために用いられる特定の化合物、さらに特定の方法によっていくぶん決定される。従って、本開示の医薬組成物の好適な剤形は多種多様である。以下の方法及び賦形剤は例示的なものに過ぎず、限定するようなものでは決してない。薬学的に許容される賦形剤は
活性成分の作用を阻害せず、不利な副作用をひき起こさないことが好ましい。好適なキャリア及び賦形剤としては、溶剤(水、アルコール、及びプロピレングリコール等)、固体吸着剤及び希釈剤、界面活性剤、懸濁剤、錠剤結合剤、潤滑剤、フレーバー、及び着色剤が挙げられる。
【0096】
製剤は、単回投与用又は反復投与用に封をした容器(アンプル及びバイアル等)に封入してもよく、使用する直前に水等の無菌液体賦形剤の添加だけが注入のために必要となるフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管してもよい。要時調製注射液及び懸濁液は、無菌の散剤、顆粒剤、及び錠剤から調製可能である。注射可能組成物に対し有効な製剤キャリアの要件は当業者に周知である。以下の文献を参照されたい:Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,PA,Banker and Chalmers,Eds.,238−250(1982)、及びASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,622−630(1986)。
【0097】
局所投与に適した剤形としては、フレーバーにおける活性成分(ショ糖及びアラビアガム又はトラガカントガム等)を含む錠剤(lozenge);不活性基剤における活性成分(ゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアラビアガム等)を含むトローチ剤(pastille);並びに好適な液体キャリアにおける活性成分を含む口内洗浄剤;さらに、活性成分に加えて当業者に既知のキャリア等を含むクリーム剤、乳剤、及びゲル剤が挙げられる。
【0098】
さらに、直腸投与に適した剤形は、乳化基剤又は水溶性基剤等の多様な基剤を混合することにより調製される坐剤であってもよい。膣投与に適した剤形は、当業者に適当なものとして既知のキャリア等を活性成分に加えて含んでいるペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、発泡体、又はスプレー製剤であってもよい。
【0099】
当業者は、本開示化合物を動物に対し体外から投与する好適な方法が公知であり、特定の化合物を投与するのに1つ以上の経路が使用できるものの、特定の経路が他の経路よりもより迅速かつ有効に反応が起こることを認識するだろう。
【0100】
本開示は、また、哺乳動物、特にヒトにおける前癌症状又は形成異常(すなわち、上皮内腫瘍形成)さらに癌の治療方法も提供する。上記方法は、上記に開示のスリンダク誘導体を哺乳動物に治療有効量投与する方法である。
【0101】
これらの適用に関して、本方法は腫瘍形成阻害及び腫瘍増殖阻害に対して有効な化合物を治療上有効な量で動物、特に哺乳動物、さらに特にヒトに投与し、転移、特に結腸直腸癌等の悪性疾患を治療する方法である。また、上記方法は、結腸腺腫性ポリープのような前癌病変、及び皮膚(この場合、光線角化症)、膀胱、頸部、食道、口腔、肺、前立腺、及び胸における他の形成異常病変(上皮内腫瘍形成と称されることもある)を治療するために上記化合物を治療上有効な量投与する方法である。
【0102】
本開示化合物及び組成物を以下のような多くの癌を治療するために投与してもよい:白血病及びリンパ腫(急性リンパ性白血病、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、及び多発性骨髄腫等)、小児充実性腫瘍(脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、骨腫瘍、及び軟部組織の肉腫等)、成人の一般的な充実性腫瘍(肺癌、乳癌、前立腺癌、泌尿器癌、子宮癌、口腔癌、膵癌、メラノーマ及び他の皮膚癌、胃癌、卵巣癌、脳腫瘍、肝臓癌、喉頭癌、甲状腺癌、食道癌、及び睾丸癌等)。
【0103】
本開示は、NSAIDsが利点を示すものの、シクロオキシゲナーゼ阻害のために禁忌である、ある種の慢性炎症(すなわち炎症性腸疾患)、又は効果上シクロオキシゲナーゼ阻害が必要でないと思われるある種の慢性炎症(例えばある種の神経変性疾患(アルツハイマー病等))の治療にも関する。
【0104】
本発明によれば、動物、特にヒトへの投与量は、適度な時間中動物に治療反応を示させるのに十分な量であることが望ましい。当業者は、投与量が動物の状態、動物の体重、さらに癌の重症度及びステージ等の様々な要因によって異なることを理解するであろう。
【0105】
好適な投与量は、腫瘍細胞中の活性物質の濃度において所望の反応を示すとして知られている濃度をもたらす量である。好ましい投与量は、扱いにくい副作用がなく癌に対する阻害作用が結果として最大になる量である。
【0106】
典型的な治療における本開示化合物の総投与量は、典型的にはマウス体重あたり1日量約10mg/kg〜約1000mg/kg、及び体重あたり1日量約100mg/kg〜約500mg/kg、より典型的にはヒト体重あたり1日量200mg/kg〜約400mg/kgである。この総投与量は、典型的には1日当たり約1回〜約3回約24ヶ月間にわたり、より典型的には1日当たり2回約12ヶ月間にわたり連続して比較的少ない量で投与されるが、これらの条件は必須ではない。
【0107】
また、1回の投与量は、投与経路、投与タイミング、及び投与頻度、さらには化合物の投与に伴う任意の不利な副作用の有無、種類、及び程度、並びに所望の生理的影響によって決定される。様々な症状又は病状、特に慢性的症状又は病状によっては反復投与を要する長期治療が必要であることを当業者は認識するであろう。
【0108】
また、本開示方法は本発明の誘導体類の他に化学療法薬をさらに投与する方法である。任意の好適な化学療法薬をこの目的に用いてもよい。上記化学療法薬は、以下からなる群から選択されるのが典型的である:アルキル化薬、代謝拮抗剤、天然物、抗炎症薬、ホルモン剤、分子標的薬、抗血管形成薬、及び種々の薬剤。
【0109】
アルキル化化学療法薬の例としては、以下が挙げられる:カルムスチン、クロラムブチル、シスプラチン、ロムスチン、シクロホスファミド、メルファラン、メクロレタミン、プロカルバジン、チオテパ、ウラシル・マスタード、トリエチレンメラミン、ブスルファン、ピポブロマン、ストレプトゾシン、イホスファミド、ダカーバジン、カルボプラチン、及びヘキサメチルメラミン。
【0110】
代謝拮抗剤である化学療法薬の例としては、以下が挙げられる:シトシンアラビノシドフルオロウラシル、ゲムシタビン、メルカプトプリン、メトトレキサート、チオグアニン、フロクスウリジン、フルダラビン、及びクラドリビン。
【0111】
天然物である化学療法薬の例としては、以下が挙げられる:アクチノマイシンD、ブレオマイシン、カンプトセシン、ダウノマイシン、ドキソルビシン、エトポシド、マイトマイシンC、パクリタキセル、タキソテールドセタキセル、テニポシド(tenisposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、イダルビシン、マイトキサントロン、ミトラマイシン、及びデオキシコフォルマイシン。
【0112】
ホルモン剤の例としては、以下が挙げられる:抗エストロゲン受容体拮抗薬(タモキシフェン及びフルベストラント等)、アロマターゼ阻害剤(アナストロゾール等)、アンドロゲン受容体拮抗薬(シプロテロン及びフルタミン等)、さらにゴナドトロピン放出ホルモン作動薬(ロイプロリド等)。抗炎症薬の例としては、アドレノコルチコイド(プレドニゾン等)、及び非ステロイド性抗炎症薬(スリンダク又はセレコキシブ等)が挙げられる。分子標的薬の例としては、以下が挙げられる:モノクローナル抗体(リツキシマブ、セテュキマブ、トラスツズマブ等)及び小分子化合物(イマチニブ、エルロチニブ、オルチズミブ(ortizumib)等)。抗血管形成薬の例としては、サリドマイド及びベバシズマブ(bevacizimab)が挙げられる。上記種々の化学療法剤としては、ミトタン、三酸化ヒ素、トレチノイン、サリドマイド、レバミソール、L−アスパラギナーゼ、及びヒドロキシウレアが挙げられる。
【0113】
本明細書の用語「含む(comprising)」(及びその文法上の活用形)は、「有する(having)」又は「含む(including)」といった包括的意味で使用され、「だけから成る(consisting only of)」といった排他的意味で使用されるものではない。本明細書の用語「1種の(a)」、「1つの(a)」(不定冠詞)及び「その(the)」(定冠詞)は、単数形のみならず複数形も包括的に含むと理解されたい。
【0114】
上記記載は、本開示を説明し、記述するものである。さらに、本開示は好ましい実施形態のみを表し、記述するが、上述のように、様々な他の組み合わせ、変形、及び状況において使用でき、本明細書で表現される発明概念の範囲内で、上記教示及び/又は関連技術のスキル又は知識にみあった変更又は修正ができると理解されたい。さらに、本明細書における上記記載の実施形態は、出願人にとっての最良の形態を説明するものであり、当業者が本開示をそのような又は他の実施形態で、及びそれらの特定の適用又は用途において必要な様々な修正を伴って利用できるものである。従って、本明細書は本発明を本開示の形態に限定するものではない。また、添付の特許請求の範囲は代替実施形態を含むと解釈されるものである。
【0115】
各刊行物又は特許出願明細書を具体的に及び個々に指し示し、引用して援用するように、本明細書で引用した刊行物及び特許出願明細書を全て本願に引用して、任意の全ての目的に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1A及び1Bは、Human HT29結腸腫瘍細胞に対する本開示誘導体類の増殖阻害活性をスリンダクと比較して示す。
【図2】組織学的に異なる腫瘍細胞型のパネルに対する本開示誘導体の増殖阻害活性を示す。
【図3】図3A及び3Bは、本開示誘導体の細胞増殖抑制活性及び細胞毒性活性をそれぞれスリンダクスルフィドと比較して示す。
【図4】本開示誘導体の経口バイオアベイラビリティを示す。
【図5】図5A及び5Bは、本開示誘導体のマウス毒性の減少をスリンダクと比較して示す。
【図6】ヒト結腸HT29結腸腫瘍細胞を皮下移植した胸腺欠損ヌードマウスにおける本開示誘導体の抗腫瘍活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

(式中、
前記XはCHS=O、CHS、HOS(=O)、又はCHS(=O)であり;
前記Zはハロゲンであり;
前記Rは(CHYであって、Yは水素、アルキル基、アミノ基、アミノアルキル基、及び置換又は無置換の5又は6員環からなる群から選択されるものであり;
前記Rは(CHWであって、Wはアミノ基、アミノアルキル基、及び置換又は無置換の5又は6員環からなる群から選択されるものであるか;又は
前記R及び前記Rの両方が相互に結合し、窒素に結合して、飽和又は不飽和の5又は6員環を形成しており、前記飽和又は不飽和の5又は6員環が所望によりさらにヘテロ原子を含み、所望により置換され、かつ
mは0〜8の整数である)
で表される化合物及びその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記XはCHS(=O)である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記XはCHSである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記XはCHS=Oである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル]フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
5−フルオロ−2−メチル−N−[(1−メチル−2−ピロリジニル)メチル]−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−[2−(1−ピペラジニル)エチル]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−[2−(1−ピペリジニル)エチル]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−[2−(3−ピリジニル)エチル]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−[2−(4−モルホリニル)エチル]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
N,2−ジメチル−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5−フルオロ−1−[[4−エチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
N−(2−アミノエチル)−5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルチオ)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−N−(フェニルメチル)−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
5−フルオロ−N−(2−フラニルメチル)−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
5−フルオロ−N−[2−(4−イミダゾリル)エチル]−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
5−フルオロ−N−[2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル]−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
N−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メチル]−5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
2−[5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルホニル)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−イル]−1−(4−メチルピペラジニル)エタノン又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
N−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メチル]−(Z)−5−フルオロ−2−メチル−3−[[4−(メチルチオ)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
N,2−ジメチル−(Z)−5−フルオロ−2−メチル−N−[2−(メチルアミノ)エチル]−3−[[4−(メチルチオ)フェニル]メチレン]]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
N−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−(Z)−5−フルオロ−2−メチル−3−[[4−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン]]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−(Z)−5−フルオロ−2−メチル−3−[[4−(メチルスルホニル)フェニル]メチレン]]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5−フルオロ−2−メチル−1−[[4−(メチルスルフィド)フェニル]メチレン]−1H−インデン−3−アセトアミド又はその薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物及び薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物。
【請求項27】
哺乳動物の前癌症状又は癌を治療する方法であって、
請求項1〜25のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を哺乳動物に治療有効量投与する方法。
【請求項28】
前記癌は結腸癌である、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記治療の量は前記哺乳動物の体重あたり約10mg/kg〜約1000mg/kgである、
請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記治療の量は前記哺乳動物の体重あたり約100mg/kg〜約500mg/kgである、
請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記治療は1日当たり1回〜約3回24ヶ月間にわたり行われる、
請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記の誘導体は経口投与、静脈内投与又は腹腔内投与される、
請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記哺乳動物はヒトである、
請求項28に記載の方法。
【請求項34】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物を調製するための方法であって、
スリンダクを式:NH(CHNRで表される化合物と反応させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−522364(P2009−522364A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549538(P2008−549538)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/000050
【国際公開番号】WO2007/081694
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(507258674)サザン リサーチ インスティテュート (11)
【Fターム(参考)】