説明

スロットマシン

【課題】 天井機能を有するスロットマシンにおいて特定の遊技者が有利となるのを回避しつつ稼動率が低下してしまうのを防止する。
【解決手段】 所定の計数条件が成立してから実行されたゲームの実行回数を計数する回数計数手段と、回数計数手段により計数された実行回数が予め設定された規定回数に到達したことに基づき遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生可能な特定遊技状態発生手段と、スタート操作により開始されるゲームが予め定められた示唆条件を成立させるか判定する条件成立判定手段と、条件成立判定手段により示唆条件が成立すると判定されたことに基づき複数種類の可変表示の開始態様の中から一の開始態様を選択する開始態様選択手段と、開始態様選択手段により選択された可変表示の開始態様で前記複数のリールを可変表示させる可変表示手段とを備え、開始態様選択手段は示唆条件成立時の実行回数に基づいて可変表示の開始態様の選択を異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賭数の設定後のスタート操作に基づき複数の図柄が表示された複数のリールを可変表示させてゲームを開始し、該複数のリールの停止操作により停止させたゲームの停止結果が入賞に対応する停止結果となったことに基づき遊技価値を付与するスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機、例えばスロットマシンにおいては、賭数の設定後にスタート操作部が操作されたことに基づき複数の図柄が描かれた複数のリールを可変表示させてゲームを開始し、各リールに対応する複数の停止操作部の操作により停止させたゲームの停止結果に基づき遊技価値を付与するものが一般的である。
【0003】
このようなスロットマシンにおいては、実行されたゲーム数が予め設定された天井ゲーム数に到達したことに基づき、遊技者に有利な特定遊技状態(ボーナスゲーム、RT、AT、ART等)を発生させたり、特定遊技状態の発生確率を通常遊技状態よりも向上させたりすることで、遊技者の損失が過度なものとならないように構成した天井機能を備えたものが知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−019097号公報
【特許文献2】特開2004−370976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような天井機能を有するスロットマシンにおいては、天井ゲーム数までの残りゲーム回数が少ない台だけ遊技するような遊技者(所謂、ハイエナ)がおり、天井ゲーム数までのゲーム回数を報知する遊技機で残りゲーム回数が少ない台は遊技者に狙われ易い一方、天井ゲーム数までのゲーム数が多い場合や天井ゲーム数までのゲーム回数が分からないようにしている遊技機の場合には稼動率が下がってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたものであり、天井機能を有するスロットマシンにおいて稼動率が低下してしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
賭数の設定後のスタート操作に基づき複数の図柄が表示された複数のリールを可変表示させてゲームを開始し、該複数のリールの停止操作により停止させたゲームの停止結果が入賞に対応する停止結果となったことに基づき遊技価値を付与するスロットマシンにおいて、
所定の計数条件が成立してから実行されたゲームの実行回数を計数する回数計数手段と、
前記回数計数手段により計数された実行回数が予め設定された規定回数に到達したことに基づき、遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生可能な特定遊技状態発生手段と、
前記スタート操作により開始されるゲームが予め定められた示唆条件を成立させるか否かを判定する条件成立判定手段と、
前記条件成立判定手段により示唆条件が成立すると判定されたことに基づき、複数種類の可変表示の開始態様の中から一の開始態様を選択する開始態様選択手段と、
前記開始態様選択手段により選択された可変表示の開始態様で前記複数のリールを可変表示させる可変表示手段と、を備え、
前記開始態様選択手段は、前記示唆条件成立時の前記実行回数に基づいて前記可変表示の開始態様の選択を異ならせることを特徴とする。
【0008】
ここで、「所定の計数条件が成立」とは、前回のボーナスゲーム(特別遊技状態)終了あるいは前回のRT(リプレイタイム)状態終了など所定の遊技状態の終了から、継続してボーナス当選のないゲームの実行回数が所定回数に達したことなどが考えられる。また、「示唆条件」は、電源が投入されてから最初に実行される1ゲーム目であることや、継続してボーナス当選のないゲームの実行回数が「100」あるいは「200」の倍数などのような設定値に達したことあるいは設定値を超えたことなどを条件とすることが考えられる。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、示唆条件が成立すると、そのときのゲームの実行回数に対応した可変表示の開始態様を選択され可変表示が開始されるため、所定の計数条件が成立してから実行されたゲームの実行回数が遊技者に報知されない場合であっても、可変表示の開始態様から規定回数(所謂、天井)までの残りゲーム回数を予測することが可能となるので、開始態様を確認するためにはゲームを行う必要があり、それによって遊技機の稼動率が向上する。また、「示唆条件」の設定の仕方によって、ゲーム実行回数に基づいて可変表示の開始態様が変わるゲームが営業中に何度か実行されるので、朝一番の来店者など特定の遊技客が有利となるのを回避することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスロットマシンにおいて、
前記可変表示の開始態様は、前記実行回数が前記規定回数に到達するまでの残ゲーム回数に対応付けて複数設定されてなり、
前記開始態様選択手段は、前記回数計数手段により計数された実行回数により特定される前記残ゲーム回数に対応する可変表示の開始態様を選択することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、規定回数に到達するまでの残ゲーム回数に対応付けて可変表示の開始態様が複数設定されているので、朝一番の来店者など特定の遊技客のみが有利となるのを回避することができる。また、残りゲーム回数を予測するには、ゲームを行って開始態様を確認する必要があり、それによって遊技機の稼動率が向上する。さらに、残ゲーム回数に対応付けて可変表示の開始態様を選択するので、天井条件(実行ゲーム数)が異なる遊技機に対して同一のプログラムを利用することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のスロットマシンにおいて、
前記回数計数手段により計数された前記実行回数を電源断時においても記憶保持することが可能な記憶手段を備え、
前記条件成立判定手段は、少なくとも当該スロットマシンへ電源が投入されてから最初に実行される1ゲーム目である場合に、前記示唆条件が成立したと判定し、
前記開始態様選択手段は、前記記憶手段に記憶された前記実行回数に基づいて前記1ゲーム目の前記可変表示の開始態様を選択することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、電源投入後の1ゲーム目の開始態様から規定回数(所謂、天井)までの残りゲーム回数を予測することが可能となるので、遊技場における朝一の稼動率が向上する。また、遊技場側で開店前に電源投入後の1ゲーム目を実行するかしないかで規定回数までの残りゲーム数を遊技者に予測可能にするサービスを提供するか否かを遊技場に選択させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載のスロットマシンにおいて、
前記条件成立判定手段は、前記開始態様選択手段により選択される可変表示の開始態様が切り替わる前記実行回数において実行されるゲームである場合に、前記示唆条件が成立したと判定することを特徴とする。
残りゲーム回数が所定回数以下になった以降の可変表示の開始態様を毎回実行回数に関係させることも可能であるが、請求項4に記載の発明によれば、可変表示の開始態様が切り替わる実行回数(「200」の倍数等)において実行されるゲームである場合に、示唆条件が成立したと判定して開始態様を実行回数に関係させることにより、遊技者が少なくとも次に可変表示の開始態様が切り替わる実行回数までは遊技を継続して行う意欲を持つように訴求することができ、それによって遊技機の稼動率が向上する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のスロットマシンにおいて、
前記示唆条件を成立させるゲームの実行前に前記可変表示の開始態様に注目することを促す注意喚起報知を行うことが可能な注意喚起報知手段を備えたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、示唆条件を成立させるゲームの実行前に可変表示の開始態様に注目することを促す注意喚起報知を行うので、規定回数(所謂、天井)までの残りゲーム回数を予測することが可能となるゲームの実行時に遊技者が可変表示の開始態様を見逃してしまうことを防止できる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のスロットマシンにおいて、
前記ゲームの実行毎に入賞に当選したか否かを抽選することが可能な抽選手段と、
前記抽選手段による入賞の当選確率の設定値を切り替え設定することが可能な確率設定手段と、
当該スロットマシンへの電源投入に基づき、複数のリールにより表示される表示出目を予め定められた複数種類の表示出目の中から選択する出目選択手段と、
前記出目選択手段により選択された表示出目となるように複数のリールを自動的に可変表示させてから停止させる出目導出手段と、を備え、
前記出目選択手段は、前記確率設定手段により設定された設定値に基づいて、前記表示出目を選択することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、電源投入により設定値に応じた表示出目が導出されるので、朝一で来店した遊技者は各遊技機に表示されている出目から当選確率の設定値を予測することが可能となるため、遊技場における朝一の遊技機の稼動率が向上する。また、遊技場におけるイベント等で表示出目を店員が手動で導出させる必要がないので、省力化が可能となる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のスロットマシンにおいて、
前記複数種類の表示出目は、前記設定値毎に選択割合が異なるように設定され、
前記出目選択手段は、前記確率設定手段により設定された設定値に対応する選択割合で複数種類の表示出目の中から一の表示出目を選択することを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、表示出目は設定値毎に選択割合が異なるように設定されるため、当選確率の設定値を明確に示唆することにはならないので、設定値の低い遊技機のみが敬遠されて遊技場が不利益を被るのを回避しつつ、遊技者が設定値を推測するための一要素として表示出目を活用させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、実行されたゲーム数が予め設定された天井ゲーム数に到達したことに基づき遊技者に有利な状態を発生させる天井機能を有するスロットマシンにおいて、稼動率が低下してしまうのを防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す正面図である。
【図2】実施形態のスロットマシンの前面枠の裏面の構造を示す背面図である。
【図3】実施形態のスロットマシンの前面枠を外した筐体内部の構造を示す正面図である。
【図4】実施形態のスロットマシンの前面枠を外した筐体内部の構造を示す斜視図である。
【図5】(A)は実施形態のスロットマシンの前面枠の裏面側部に設けられている錠ユニットの構成例を示す斜視図、(B)は(A)を後ろ側から見た斜視図である。
【図6】実施形態のスロットマシンの前面枠の裏面側部に設けられている錠ユニットの構成例を示すもので、図5(B)の一部を拡大して示した斜視図である。
【図7】実施形態のスロットマシンの筐体側部に設けられている錠プレートの構成例を示す拡大斜視図である。
【図8】図7の筐体側部の錠プレート近傍に設けられている防犯カバー部材の構成を示す拡大斜視図である。
【図9】実施形態のスロットマシンの前面枠に設けられている錠ユニットのフックと筐体側部の錠プレートに設けられている防犯カバー部材との関係を示す拡大側面図である。
【図10】実施形態のスロットマシンの前面枠に設けられている錠ユニットのフックと筐体側部の錠プレートに設けられている防犯カバー部材との関係を示す拡大側面図である。
【図11】筐体側部の錠プレートに設けられている防犯カバー部材の他の実施例を示す拡大斜視図である。
【図12】(A)は図11の実施例の防犯カバー部材の取付け状態を示す拡大側面図、(B)は該防犯カバー部材と錠ユニットのフックとの関係を示す拡大斜視図である。
【図13】図11の実施例の防犯カバー部材と錠ユニットのフックとの関係を示す側面図である。
【図14】図11の実施例の防犯カバー部材と錠ユニットのフックとの関係を示す拡大側面図である。
【図15】本実施形態のスロットマシンにおける前面扉の裏面に設けられたメダル経路機構部の構造を示す背面図である。
【図16】本実施形態のスロットマシンにおける前面扉の裏面に設けられたメダルセレクタの構造を示す斜視図である。
【図17】図16のメダルセレクタを他の方向から見た構造を示す斜視図である。
【図18】図16のメダルセレクタの流路切替部材の作用を示す説明図である。
【図19】図15のメダル経路機構部に設けられた払出流路部材の構造を示す斜視図である。
【図20】実施形態に係るスロットマシンの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図21】(A)はリールの外周面に形成されている図柄の配列図、(B)は実施形態のスロットマシンにおける入賞の種類、各入賞に対応する図柄組合せ態様及び入賞内容を示す説明図である。
【図22】実施形態のスロットマシンにおける遊技状態の遷移の条件を示す状態遷移図である。
【図23】実施形態のスロットマシンの遊技制御装置による遊技制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図24】実施形態のスロットマシンの遊技制御装置によるタイマ割込み処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図25】遊技制御装置の遊技制御処理中の電源投入時処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図26】図25の電源投入時処理中の出目導出制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図27】図26の出目導出制御処理中に参照される出目振分けテーブルの例を示す図である。
【図28】図23の遊技制御処理中の他の内部抽選処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図29】(A)は図28の内部抽選処理中に参照される変動開始パターンテーブルの例を示す図、(B)は各変動開始パターンの具体的な例を示す図である。
【図30】本発明の他の実施例における遊技制御処理中の内部抽選処理の手順を示すフローチャートである。
【図31】(A)は図30の内部抽選処理中に参照される変動開始パターンテーブルの例を示す図、(B)は図30の実施例を適用した場合における電源投入後のゲーム未実行時の画像表示装置に表示するデモ画面の例を示す図、(C)は図30の実施例を適用した場合における営業中の規定ゲーム数到達前の画像表示装置に表示する画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシンの外観を示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、前面が開放した箱形の筐体の内部に各種の機器が設けられるとともに、この筐体の前面に、図2及び3に示すヒンジ(7A、7B、35A、35B)によって開閉枠としての前面扉(前面パネル)2が片開き形式に開閉可能に設けられている。
【0019】
そして、この前面扉2の上部には、遊技に応じた演出表示や情報表示を行う画像表示装置3、音による演出を行うスピーカ4等が設けられている。
画像表示装置3は、例えば液晶表示パネルで構成され、遊技に関する演出表示のほか、様々な情報を表示する。そして、画像表示装置3における各種演出表示や履歴情報表示は、演出制御装置70(図2,図20参照)によって制御される。
【0020】
前面扉2の中央部には、後方を視認可能な(例えば、透明の)図柄表示窓5が形成されている。この図柄表示窓5を透して、筐体内に配設されたリール6の回転により変動表示される図柄を視認可能となっている。
リール6は、円筒形の左リール6a、中リール6b、右リール6cが水平方向に並設されて構成されている。これらのリール6a,6b,6cの外周面には、所定の配列に従って複数の図柄(図21参照)が表記されている。また、各リール6a,6b,6cにはそれぞれ、ステッピングモータであるリール用モータが設けられており、各リール6a,6b,6cを独立して回転駆動ならびに回転停止することが可能となっている。
【0021】
リール用モータによりリール6を回転させることによって、図柄表示窓5から視認される複数種類の図柄を、例えば上から下へと循環するように変動させる(変動表示)。
一方、リール6が停止している状態では、各リール6a,6b,6cについて、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄、つまり3×3の計9つの図柄が図柄表示窓5を介して視認可能となっている。
すなわち、図柄表示窓5を透して、ゲームの停止結果を導出表示するためのリール6a,6b,6cの有効表示部を視認可能となっている。
【0022】
図柄表示窓5から視認される3×3の図柄行列に対しては、複数の有効化可能ラインが設定される。
例えば、各リール6a,6b,6c中段の図柄を横切る有効化可能ライン(中段ライン)と、各リール6a,6b,6c上段の図柄を横切る有効化可能ライン(上段ライン)と、各リール6a,6b,6c下段の図柄を横切る有効化可能ライン(下段ライン)と、左リール6a下段−中リール6b中段−右リール6c上段にかけて各リール6a,6b,6cを斜めに横切る有効化可能ライン(右上がりライン)と、左リール6a上段−中リール6b中段−右リール6c下段にかけて各リール6a,6b,6cを斜めに横切る有効化可能ライン(右下がりライン)との5ラインが、有効化可能ラインとして設定される。
【0023】
そして、遊技者によるメダルの投入又はクレジットからの入力(以下「賭操作」という。)によって有効化可能ラインが有効化され、この有効ライン上に形成された図柄組合せ態様に基づいて入賞の成立/不成立が判断される。この実施例では、中段ラインと、上下段ラインと、右上がり、右下がりラインの5ラインが有効ラインとなる。
賭操作された賭数(ベット数)に応じて、例えば、賭数1では中段ラインが有効ラインとなり、賭数2では中段ラインに加え、上下段ラインが有効ラインとなり、賭数3では上中下段ラインに加え、右上がり、右下がりラインが有効ラインとなるようにしてもよい。
【0024】
図柄表示窓5の下方には、クレジット数表示部11と、遊技進行表示部12と、払出数表示部13とが設けられている。
クレジット数表示部11は、メダル払出装置63(図4参照)により払い出さずにクレジットとして記憶されているメダル数を表示する。また、遊技進行表示部12は、遊技進行状態を表示する。また、払出数表示部13は、入賞成立時の払出枚数を表示する。これらの表示部11,12,13は、例えば7セグメントのLEDで構成され、その点灯状態によって各種情報を表示する。
【0025】
図柄表示窓5の下方右側には、リプレイ状態やウェイト状態、遊技可能な待機状態などの状態表示を行う遊技状態表示部18が設けられており、ランプの点灯により遊技状態を表示する。
また、図柄表示窓5の下方左側には、有効ベットラインの表示を行うベットライン表示部19が設けられている。
【0026】
遊技状態表示部18は、再遊技入賞(リプレイ入賞)が成立してリプレイゲームが付与されたことを示すリプレイ表示部と、遊技者がスタートレバー21を操作してからリールが回転するまでに待ち時間があること(前回のゲーム開始から一定時間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態であること)を示すウェイト表示部と、当該スロットマシン1が遊技可能な待機状態であることを示し賭操作を促すインサートメダル表示部とで構成される。
【0027】
図柄表示窓5の下方には、前側に突出する傾斜台部14が形成されており、傾斜台部14の上面には、当該スロットマシン1の前面側から見て右側(前面扉2の開放端側)にメダル投入口15が、左側に賭操作受付手段としてのマックスベットボタン16が設けられている。
遊技者がこのメダル投入口15にメダルを投入して賭操作を行うことにより、ゲームが実行可能となる。このメダル投入口15から投入されたメダルが通過する経路には、メダルの通過を検出するメダル投入検出スイッチ51(図17参照)が設けられており、このメダル投入検出スイッチ51による検出情報をもとにメダルの投入枚数がカウントされる。
マックスベットボタン16は、押圧操作を一度行うことでクレジットから賭数の上限数(例えば、3枚)まで入力できるようにする操作手段である。
【0028】
傾斜台部14の前面には、左側から順に、払戻ボタン20、ゲームを開始させるためのスタートレバー21、リールストップボタン24a〜24c、返却ボタン22、鍵穴23等が設けられている。
払戻ボタン20は、クレジットとして記憶されているメダルを受け皿27に返却させる指令を与える際に用いられる。返却ボタン22は、メダル投入口15から投入されて後述するメダルセレクタで詰まったメダルを受け皿27に返却させる際に用いられる。
鍵穴23は、前面扉2を開く操作と、当該スロットマシン1のエラー(例えば、ホッパーエラー)状態をリセットする操作に使用する鍵を差し込むためのもので、例えば鍵を差し込んで右に回すと前面扉2が解錠され、逆方向へ回すと内部の制御装置に対するリセット信号が発生されるように構成されている。
【0029】
リールストップボタン24は停止操作に応じて対応するリール6a,6b,6cの回転をそれぞれ停止させるためのもので、左リール6a、中リール6b及び右リール6cとそれぞれ1対1で対応付けられて設けられた左リールストップボタン24a、中リールストップボタン24b及び右リールストップボタン24cで構成される。これらのリールストップボタン24a,24b,24cは、例えば有色半透明の樹脂部材等で形成され、対応するリール6を停止可能な状態であることを、点灯により報知するためのLEDランプが内部に設けられている。
【0030】
また、これらの操作ボタン類が設けられた部分の下方には、前面扉2の下部領域を構成する装飾板25が設けられている。さらに、装飾板25の下方であって前面扉2の最下部には、灰皿26、メダルを貯留するための受け皿27、メダル払出口28、音声を出力するためのスピーカ4等が設けられている。
なお、再遊技入賞(リプレイ入賞)の成立に基づく自動賭操作の後にメダル投入口15からメダルが投入された場合や、クレジットとして記憶可能な所定数を超えるメダルが投入された場合、そのメダルは受け皿27に返却されるように構成されている。
【0031】
図2には、本発明の実施形態に係るスロットマシンの前面扉(前面パネル)2を、裏面側から見た背面図が示されている。
図2に示すように、前面扉2の裏面上部には、演出制御装置70が配設され、その両側にそれぞれスピーカ4が配置されている。また、前面扉2の中央に図柄表示窓5が設けられ、前面扉2の右側部(スロットマシンの正面から見て左側)の上部と下部にそれぞれ、前面扉2の回動軸となる上ヒンジ部材7Aと下ヒンジ部材7Bが設けられている。また、前面扉2の左側部には上下方向に延在する錠ユニット8が設けられ、前面扉2の下部には、前記メダル投入口15から投入されたメダルを誘導する経路を形成するメダル経路機構部9、電源変換装置としてのインバータ基板31、信号の中継基盤32、スピーカ4,4が配設されている。
【0032】
図3には、本発明の実施形態に係るスロットマシンの前面扉2を取り外した状態の筐体30の内部構成を示す正面図が、図4には前面扉2を取り外した状態の筐体30の内部構成を示す斜視図が示されている。
図3および図4に示すように、筐体30内部の上部には、当該スロットマシン1全体を制御する遊技制御装置50が配設され、筐体内部のほぼ中央には、リール載置部29が設けられ、このリール載置部29の上に回転可能なリール6a,6b,6cを有する変動表示装置60が載置されている。
【0033】
また、遊技制御装置50の右方には、前面扉2の開閉状態を検出する扉開閉検出スイッチ33と、上部ロック機構34Aが設けられ、遊技制御装置50の左方には、前面扉2の回動軸としての前記上ヒンジ部材7Aの受け部材としての上ヒンジ金具35Aが設けられている。また、変動表示装置60の右方には遊技制御装置50から外部の装置へ信号を出力するための外部信号出力端子36が設けられている。
また、リール載置部29の両側部直下には、筐体30の両側壁にそれぞれ設けられている把持開口を覆う開口カバー部材37A,37Bが設けられ、開口カバー部材37Aの近傍には電源スイッチ38が、また開口カバー部材37Bの近傍には前面扉2の閉鎖時の重量を受ける重量支持部39が設けられている。
【0034】
さらに、筐体30の両側壁前端下部には、左側に前記下ヒンジ部材7Bの受け部材としての下ヒンジ金具35Bが、また右側に下部ロック機構34Bが設けられている。また、筐体30の右側壁前端の内側に沿って、上記上ヒンジ金具35Aや下部ロック機構34B、重量支持部39を構成したり取り付けたりするための錠プレート40が接合、固定されている。
さらに、筐体30内部の下部中央にはメダル払出装置(ホッパー)63が配設され、該メダル払出装置63の左方には、制御装置や制御装置によって動作されるモータやランプなどの電子部品の電源を供給する電源装置としての電源ユニット80および当該スロットマシン1の当選確率を例えば6段階の何れかに設定するための設定装置81が配設されている。
【0035】
メダル払出装置63は、メダル投入口15から投入されたメダルを受け入れて貯留するとともに、有効ライン上に所定の図柄組合せ態様が形成され入賞が成立した場合に、この入賞に対応する枚数のメダル(払出メダル)又は入賞成立に伴う加算によりクレジットの上限を超えた分のメダルを受け皿27に払い出す装置である。クレジット分のメダルは払戻ボタン20を操作することによりメダル払出装置63によって受け皿27に払い出される。
そして、このメダル払出装置63の上部にはメダル貯留部64が設けられ、メダル払出装置63の右方には、該メダル払出装置63からオーバーフローしたメダルを貯留したり、流入してきたメダルを当該スロットマシン1が設置される設置島のメダル回収機構へ誘導したりするためメダルのオーバーフロータンク82が配設されている。
【0036】
図5および図6は、前面扉2の裏面側部に設けられている錠ユニット8(図2)の構成例を示すもので、図5(B)は図5(A)を後ろ側から見た斜視図、図6は図5(B)の構成を拡大して示した斜視図である。
また、図7は、筐体30前端の、上記錠ユニット8のフックに対応する位置に設けられた係合受部とその周辺の構造を拡大して示した図である。
【0037】
錠ユニット8は、前面扉2を構成する枠体の右側部の内側角部に沿って接合、固定される断面L字状の細長い錠ベース810と、該錠ベース810の上端部近傍に支軸811を介して回動可能に取り付けられた上係合フック812と、錠ベース810の下端部近傍に支軸813を介して回動可能に取り付けられた下係合フック814と、ピン軸815および816によって上記上係合フック812および下係合フック814に結合され、2つのフックの後端部同士を連結して連動動作可能にするスライドロッド817と、上記錠ベース810に一端が係止され他端がスライドロッド817に係止されて、該スライドロッド817を常時下方へ付勢するスライドロッドバネ818とを有する。
【0038】
さらに、錠ユニット8は、筐体30の前端に設けられた前記重量支持部39の上面に上方から当接して前面扉2の重量を支える支持ローラ819と、上記錠ベース810の中央よりやや下よりの位置に前方へ向けて突出するように固定されたキーシリンダ820と、該キーシリンダ820の取付け位置近傍から下係合フック814近傍まで延設され錠ベース810とスライドロッド817との間に上下動可能に挿入された可動プレート821と、該可動プレート821の係止部821bに一端が係止され他端が上記錠ベース810に一端が係止されて可動プレート821を常時上方へ付勢するバネ822とを有する。
【0039】
上記錠ベース810およびスライドロッド817は、キーシリンダ820の取付け位置近傍が外側に膨出するように折曲されて内側に凹部が形成されており、該凹部内に臨むようにキーシリンダ820の軸には上下に一対の爪823a,823bを有するカム部材823が装着されている。そして、スライドロッド817には、上記カム部材823の上側の爪823aが挿通可能なスリット817aと、下側の爪823bが係合可能な係合穴817bが設けられている。
また、可動プレート821には、上記カム部材823の上側の爪823aが係合可能な係合穴(図示省略)が設けられている。さらに、可動プレート821には、該可動プレート821の本体部と直角を成すように折曲され側方へ突出する遮光片821aが設けられているとともに、錠ベース810には、該遮光片821aに対応する位置に遮光片821aが挿通可能なスリット810aが形成されている。そして、このスリット810aの下端部に対応して、錠ベース810の外側面にはフォトインタラプタからなるリセットスイッチ824が装着されている。
【0040】
遮光片821aは、バネ822によって可動プレート821が上方へ付勢されることで通常はスリット810aの上端に当接してリセットスイッチ824の光軸と交差しないように位置されている。そして、キーシリンダ820にキーを挿入して反時計回り方向(左)へ回すと、カム部材823の上側の爪823aがバネ822に抗して可動プレート821を押し下げ、遮光片821aが下方へ移動してリセットスイッチ824の光軸と交差して検出状態にさせることで、リセット信号が生成されるように構成されている。
なお、キーを回す力を緩めると、バネ822の復元力で可動プレート821が上方へ移動されて元の位置に戻り、リセットスイッチ824は非検出状態となる。このリセットスイッチは、遊技店の店員が遊技機のエラー状態を認知し、当該遊技機の制御システムをリセットしたい場合などに操作される。
【0041】
次に、図5の錠ユニット8の解錠動作について、図6を用いて説明する。
前述したように、スライドロッド817はスライドロッドバネ818の復元力で常時下方へ付勢されており、上係合フック812と下係合フック814の後端を下方へ押し下げている。ことれにより、上係合フック812と下係合フック814は、前面扉2が筐体30の前方開口を閉鎖した状態(閉止状態)では、先端が上方に回動して筐体30の係合片(係合受部)83A,83B(図7参照)と係合した施錠状態となる。この状態で、キーシリンダ820にキーを挿入して時計回り方向(右)へ回すと、カム部材823の下側の爪823bが係合穴817bの上端に当接してスライドロッドバネ818に抗してスライドロッド810を押し上げ、上方へ移動させる。
すると、図6に示すように、スライドロッド817が上係合フック812と下係合フック814の後端を押し上げ、上係合フック812と下係合フック814の先端が下方に回動して、筐体30側の係合片(係合受部)83A,83Bとの係合が外れ開錠状態となる。
【0042】
次に、上記上係合フック812および下係合フック814と係合する筐体30の側の構造について説明する。
図7に示すように、筐体30の右側壁前端の内側には、上部ロック機構34Aや下部ロック機構34B、重量支持部39を構成したり取り付けたりするため錠プレート40が接合、固定されており、該錠プレート40の一部を前方へほぼ直角に折り曲げることで、上係合フック812と係合する係合片(係合受部)83Aと、下係合フック814と係合する係合片(係合受部)83Bとが形成されている。そして、この係合片(係合受部)83A,83Bの下端に、前記上係合フック812と下係合フック814の先端部上端の傾斜面(押圧受部)がそれぞれ当接可能に構成されているとともに、係合片(係合受部)83A,83Bに係合した上係合フック812と下係合フック814の先端部を覆い隠すことができるような防犯カバー部材84A,84Bが、筐体30の右側壁内側面から錠プレート40にかけて接合、固定されるように構成されている。
【0043】
図8は、防犯カバー部材84A,84Bの詳細を示す拡大斜視図である。このうち、(A)は表側から見た図、(B)は裏側から見た図である。
図8に示すように、防犯カバー部材84A,84Bは、八角形の碗を二つ割りにしたような形状をなし、縁部には該防犯カバー部材84A,84Bを筐体30の側壁に固定するための取付けフランジ841,842が設けられている。また、取付けフランジ841,842の反対側に、上係合フック812または下係合フック814が進入可能な開口部(受入開口)843が設けられ、上係合フック812または下係合フック814の先端部から腕部にかけて全体を覆うとともに、フックが施錠の際に回動しても接触しないような大きめの収納空間844を有するように形成されている。
【0044】
次に、上記上係合フック812,下係合フック814と、防犯カバー部材84A,84Bとの関係について、図9及び図10を用いて説明する。なお、下係合フック814と防犯カバー部材84Bとの関係および構成は、上係合フック812と防犯カバー部材84Aとの関係および構成と同様であるので、ここでは上係合フック812と防犯カバー部材84Aについてのみ説明し、下係合フック814と防犯カバー部材84Bについては説明を省略する。
図9(A)に示すように、上係合フック812の先端部上端には傾斜面812aが設けられているとともに、フックの腕部上面中央には係止面812bを有する凹部812cが設けられており、前面扉2側の錠ベース810が錠プレート40に接近する方向へ移動されると、図9(B)に示すように、上係合フック812の先端の傾斜面812aが係合片(係合受部)83Aの下端に当接する。そして、先端が下方へ移動するようにフック全体が回動し、傾斜面812aが係合片(係合受部)83Aから外れると、フックが前記スライドロッドバネ818の復元力で元の方向(図9では時計回り方向)へ回動される。
【0045】
すると、図10に示すように、係合片(係合受部)83Aの下端が上係合フック812の腕部上面中央の凹部812cに入り込み、係合片(係合受部)83Aの側面とフックの係止面812bとが接触した係止状態となり、錠ベース810を錠プレート40から離す方向へ力を加えても、上係合フック812が係合片(係合受部)83Aから外れない施錠状態となる。なお、図10(B)は図10(A)を裏側から見た状態を表している。図10(B)に示す状態で、キーシリンダを操作してスライドロッド817を上方へ移動させると、上係合フック812の先端が下がるように回動して、上係合フック812が係合片(係合受部)83Aから外れて開錠状態となる。
【0046】
また、この実施例においては、図9に示すように、上係合フック812の腕部に対応して錠ベース810には、フックの先端と同一の方向へフックの腕部と平行に突出する回動規制片810dが設けられている。この回動規制片810dがあることによって、仮に先端を湾曲させたピアノ線を前面扉2と筐体30の前端との隙間に挿入して、ピアノ線の先端を上係合フック812の腕部に引掛けて引き下げ、不正に解錠しようとしたとしても、回動規制片810dがフックの引き下げを阻止して回動できないようにすることができる。
さらに、防犯カバー部材84A(84B)の上部には、図8に示すように段差部845が設けられており、これにより図10(A)に示すような施錠状態では、防犯カバー部材84A(84B)の下半分が回動規制片810dを覆う位置まで突出して、不正目的でピアノ線等を進入させることをより困難にしている。
また、防犯カバー部材84A、84Bの収納空間844上部を傾斜面812aに沿う形状とすることで、傾斜面812aと防犯カバー部材84Aの内壁との隙間が小さくなり、不正解錠のために、ピアノ線等を防犯カバー部材84A(84B)内へ進入させて、上係合フック812または下係合フック814の先端に引掛けることを、より困難にすることができる。
【0047】
次に、防犯カバー部材84A,84Bの第2の実施例について、図11〜図14を用いて説明する。
第2の実施例は、図11のように、錠プレート40の係合片(係合受部)83A(83B)の上方に、バネ係止片85A(85B)を設けるとともに、防犯カバー部材84A(84B)の上部にバネ係止片846を設けて、図12のように、バネ係止片85A(85B)とバネ係止片846との間に引っ張りバネ86A(86B)を張架し、防犯カバー部材84A(84B)を常時上方へ付勢しておくようにしたものである。
【0048】
また、第2の実施例においては、防犯カバー部材84A(84B)の下部にスライドリブ847を設ける一方、錠プレート40の係合片(係合受部)83A(83B)の下方に、上記スライドリブ847が係合可能な上下方向に沿って長穴状のスライドガイド溝87a(87b)を有するスライドガイド片87A(87B)を設けて、防犯カバー部材84A(84B)の上下方向への移動が円滑に行えるように構成されている。
第2の実施例においては、上記のように防犯カバー部材84A(84B)を上下移動可能に構成したことに伴い、図13及び図14に示すように、防犯カバー部材84A(84B)の収納空間844を、上係合フック812または下係合フック814の先端とほぼ同一の形状を有するように形成している。
【0049】
これにより、図13に示すように、上係合フック812(下係合フック814)を係合片(係合受部)83A(83B)に係合させる際に、フックの上面となる傾斜面812aが係合片(係合受部)83A(83B)の下端と接触して下方へ回動し、フックの下面が防犯カバー部材84A(84B)の底壁を引っ張りバネ86A(86B)に抗して押し下げながら、フックが防犯カバー部材84A(84B)の奥部(収納空間844)へ進入する。そして、フックの上面となる傾斜面812aが係合片(係合受部)83Aの下端から外れると、フックが前記スライドロッドバネ818の復元力で元の方向へ回動され、図14に示すような無駄な隙間の少ない係合状態となる。
【0050】
また、図14に示すように、本実施例では、防犯カバー部材84A(84B)の収納空間844を、上係合フック812または下係合フック814の先端とほぼ同一の形状を有するように形成しているため、第1の実施例に比べて収納空間844すなわち防犯カバー部材84A(84B)全体の形状を小さくし、フックが進入する受入開口部843を小さくすることができるようになる。その結果、不正解錠のために、ピアノ線等を防犯カバー部材84A(84B)内へ進入させて、上係合フック812または下係合フック814の先端に引掛けることを、より困難にすることができる。
【0051】
次に、本実施形態のスロットマシンにおける前面扉2の裏面に設けられたメダル経路機構部9の詳細について、図15〜図19を用いて説明する。
メダル経路機構部9は、メダル投入口15を形成する投入口形成部材91と、該投入口形成部材91の下方に設けられたセレクタベース部材92と、該セレクタベース部材92と一体に形成され正規のメダルと不正規のメダルとを識別するメダルセレクタ93と、該メダルセレクタ93により許容されたメダルをメダル払出装置63(図4参照)の上部のメダル貯留部64へ誘導する回収レール94と、メダルセレクタ93によりはじかれた不正規のメダルを返却メダル流入口951(図17参照)より受け入れてメダル受け皿27へ返却する払出流路部材95とを備える。
【0052】
なお、払出流路部材95の途中には、メダル払出装置63から払い出されたメダルをメダル受け皿27へ排出するために受け入れる払出メダル導入口952が設けられている。また、払出メダル導入口952より流入したメダルの衝突音を低減するため、払出流路部材95にはコインブロッカ96(図19参照)が装着されるようになっている。また、払出流路部材95の下端部は、流下して来たメダルをメダル受け皿27側(メダル払出口28)へ誘導する傾斜部954が設けられている。
メダルセレクタ93は、不正規のメダルを払出流路部材95の上部の返却メダル流入口951へ排出させる返却口931と、メダル投入口15より投入されたメダルが正規のメダルか不正規のメダルか判別するためのセンサ(図示省略)と、投入されたメダルを返却口931または上記回収レール94へ振り分けるための流路切替部材932と、該流路切替部材932を変換させるソレノイド(図示省略)と、メダルセレクタ93により許容され回収レール94へ向かって流下するメダルを検出するメダル投入検出スイッチ51とを備える。
【0053】
図18には、流路切替部材932によるメダルの振り分け機能の説明図が示されている。流路切替部材932は上端部を支点として下端部が前後に移動可能に構成されており、図18(A)に示すように、ほぼ垂直な姿勢に保持されている通常状態では上方より流下してくるメダルMをそのまま回収レール94へ向かって流下させる。一方、メダルセンサが不正規のメダルであると判別すると、流路切替部材932は、図18(B)に示すように、下端部が前方へ移動するように回動されて傾斜し、上流側に形成されているテーパー面932aにて流下方向を変化させ、側方の返却口931へメダルを流下させる。
なお、回収レール94は、後方に向けて湾曲する形状となっている都合上、メダル詰まり等が発生し易いのとメダルをスムーズに流下させるという目的のために、上面及び湾曲内側部が開口する断面J字形状となっている。
【0054】
さらに、本実施例におけるメダル経路機構部9は、メダル投入口15より投入した正規のメダルを、メダル受け皿27より挿入したピアノ線等により回収レール94の入り口で引掛けて無理やり払出流路部材95側へ移動させる不正行為(所謂、メダル戻しゴト)を防止するため、返却メダル流入口951の回収レール94側の部位を覆うように進入防止片953を設けてある。しかも、進入防止片953の上面を、メダル払出装置63の上部のメダル貯留部64へ向かって下り傾斜する傾斜面としている。
これにより、仮にメダル投入口15より投入した正規のメダルを、ピアノ線等により回収レール94の入り口で引掛けて払出流路部材95側へ移動させたとしても、メダルは進入防止片953の上面の傾斜面によってメダル貯留部64側へ流下され、遊技店が被害を蒙るのを回避できる。
【0055】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、前面扉2の上下2箇所にフック部材と係合受部とからなる係止機構を設けたものを説明したが、フック部材と係合受部とからなる係止機構は前面扉2の中央1箇所、あるいは上下方向3箇所に設けるようにしても良い。また、上記実施形態では、フック部材を係合状態へ復帰させる方向へ付勢するフック付勢部材として引っ張りバネを使用しているが、トーションバネを使用しても良い。
【0056】
さらに、施錠ユニットのフック部材に対する防犯機構に関する第2の実施例では、防犯カバー部材84A,84Bを上下方向にスライド可能に構成しているが、防犯カバー部材84A,84Bの上部に回動支点を設けてトーションバネにて付勢し、フック部材812の進入に伴い防犯カバー部材84A,84Bの内壁下面が押圧されて防犯カバー部材84A,84Bが後退する方向へ回動し、フック部材812が係合片(係合受部)83A,83Bに係合した際に、トーションバネで防犯カバー部材84A,84Bが元の位置に回動復帰して、フック部材812を収納した状態になるように構成しても良い。
さらに、前記実施形態では、主として本発明を、スロットマシンに適用したものを説明したが、本発明はスロットマシンに限定されず、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機及び雀球遊技機など他の遊技機にも適用可能である。
【0057】
以上の説明から、本出願には、ベースとなる基枠(筐体30)と、該基枠の前面に開閉可能に支持される開閉枠(前面扉2)と、該開閉枠に設けられて当該開閉枠を閉止状態で施錠することが可能な施錠ユニット(8)とを備えた遊技機において、
前記施錠ユニットは、前記基枠に設けられる係合受部(係合片83A,83B)に係合する係合状態と、係合が解除された解除状態とに変換可能なフック部材(係合フック812)を備え、前記フック部材は、前記開閉枠側から前記係合受部に向けて延設される腕部と、該腕部の延設端部に設けられ、前記閉止状態において前記係合受部と係合するフック部と、を備え、前記基枠には、前記係合受部に係合した前記フック部材を覆うためのカバー部材(防犯カバー部材84A,84B)が設けられ、前記カバー部材は、前記係合受部と前記フック部との係合部分及び前記腕部を覆うように構成した発明が含まれていることが分かる。
そして、上記のような発明によれば、カバー部材によりフック部及び腕部を覆うことで、外部から基枠と開閉枠との隙間にピアノ線等を挿入してフック部材を回動させるような不正操作を効率的に阻止することができ、施錠ユニットの不正解錠を防止することが可能となる。
【0058】
また、本出願には、上記発明において、前記施錠ユニット(8)は、前記フック部材(係合フック812)の前記腕部と並ぶように設けられ、不正部材による前記フック部材の解除状態への不正変換を規制するための変換規制部(回動規制片810d)を備え、前記カバー部材(防犯カバー部材84A,84B)は、前記フック部材の腕部と共に前記変換規制部を覆うように構成した発明が含まれている。
そして、かかる発明によれば、フック部材の腕部と並行した変換規制部を備えているため、カバー部材のフック部材が出入りする側の開口部の内壁とフック部材との隙間が狭くしてピアノ線等を挿入しにくくするとともに、変換規制部によりフック部材の腕部に対する不正行為を行いにくくして、フック部材の変換を抑止することができる。また、カバー部材により変換規制部を覆うことで変換規制部やフック部材の腕部を破壊するような行為を防ぐことができる。
【0059】
また、本出願には、上記発明において、前記施錠ユニット(8)は、前記フック部材(係合フック812)を前記解除状態から前記係合状態に復帰するように付勢するフック付勢部材(バネ822)と、鍵操作により前記フック部材を前記解除状態に変換するための変換機構部(スライドロッド817,キーリンダ820,カム部材823)と、を備え、前記フック部は、前記開閉枠の前記閉止状態への変換時に前記係合受部に押圧されて前記フック部材を前記解除状態に変換させるための押圧受部(傾斜面812a)を有し、前記カバー部材(防犯カバー部材84A,84B)は、前面側に前記フック部材を受け入れるための受入開口が形成された収容空間部を有するとともに、前記開閉枠の閉止状態で該収容空間部の内壁と前記押圧受部とが近接乃至接触した状態にて前記フック部を収容するように構成した発明が含まれている。
そして、かかる発明によれば、フック部の押圧受部とカバー部材の収容空間部の内壁とが近接乃至接触した状態にてフック部を収容することで、不正部材によりフック部材を不正操作する際に力を加えるべき押圧受部に不正部材が引っ掛かりにくくすることができる。
【0060】
さらに、本出願には、上記発明において、前記基枠(筐体30)は、前記カバー部材(防犯カバー部材84A,84B)を、前記受入開口の一部が前記係合受部(係合片83A,83B)により塞がれた第1状態と、該第1状態よりも前記受入開口が広がる第2状態とにスライド変換可能なスライド機構(スライドリブ847,スライドガイド溝87a,87b)と、前記カバー部材を前記第1状態に付勢するためのカバー付勢部材(引っ張りバネ86A,86B)と、を備え、前記フック部は、前記腕部側の基端部が当該腕部よりも幅広であって先端に向けて先細りとなる形状に設定され、前記基端部が前記係合受部に裏面側から当接することで前記係合状態となり、前記カバー部材の受入開口は、前記第1状態にあっては前記フック部の先端が進入可能な開口幅となる一方、前記第2状態にあっては前記フック部の基端部が進退可能な開口幅となり、前記カバー部材は、前記収納空間部内に前記フック部材を収容していない場合及び前記収納空間部内に前記係合状態となった前記フック部材を収容している場合に、前記カバー付勢部材の付勢力により前記第1状態に変換される一方、前記受入開口を介して前記フック部材を前記収容空間部に進退させるために当該フック部材が前記解除状態に変換される場合に、前記フック部の先端部によって当該収納空間部の内壁が押圧されることにより前記第2状態に変換するように構成した発明が含まれている。
そして、かかる発明によれば、フック部材をカバー部材の収容空間部に収容している場合に受入開口の開口幅が狭くなるので、ピアノ線等の不正部材をカバー部材の収容空間部内に進入させてフック部材を係合解除方向へ移動させることが難しくなる。
【0061】
さらに、本出願には、上記発明において、前記遊技機は、メダルの投入により賭数を設定するとともに、遊技者のスタート操作により複数の識別情報を有する複数のリールを変動表示させるゲームを開始し、遊技者の停止操作により停止させた複数のリールの識別情報の組合せ態様に基づき遊技者に所定数のメダルを払い出すことが可能なスロットマシンであり、前記基枠(筐体30)には、前記識別情報の組合せ態様が入賞役に対応するものであることに基づき、貯留部に貯留されたメダルを払い出すためのメダル払出装置(63)を備え、前記開閉枠(前面扉2)には、前記メダルを投入するためのメダル投入口(15)と、前記メダル投入口から投入されたメダルを回収するか返却するかを選別するメダルセレクタ(93)と、前記メダルセレクタにより回収されたメダルを前記メダル払出装置に向けて流下させる回収レール(94)と、当該開閉枠の前面に設けられる受皿にメダルを払い出すためのメダル払出口(28)と、前記メダル払出装置から払い出されたメダル及び前記メダルセレクタにより返却されたメダルを受け入れて前記メダル払出口に向けて流下させるメダル流路(払出流路部材95)と、を備え、前記回収レールは、前記メダルセレクタから側方に排出された回収メダルを前記メダル払出装置の貯留部に流入するように後方に向けて湾曲する上面開口形状のレールであり、前記メダル流路は、前記メダルセレクタから後方に排出された返却メダルを受け入れるメダル流入口(951)が前記メダルセレクタの下方に開口してなり、前記メダル流入口の開口縁部のうち前記回収レールに対応する位置には、当該回収レールから脱落した回収メダルが当該流入口内に流入することを規制する規制部(進入防止片953)を設けた発明が含まれている。
【0062】
そして、かかる発明によれば、規制部を設けたことにより、ピアノ線等をメダル払出口からメダル流路内に挿入して回収レールまで到達させることが困難になるとともに、仮にピアノ線等を回収レールまで到達させて回収レールからメダルを脱落させても規制部によりメダルがメダル流入口の内に流入するのを防止できるため、メダル流路内にピアノ線等を挿入して回収メダルを抜き取る不正行為(所謂、メダル戻しゴト)を有効に防止することができる。
【0063】
図20には、本実施形態のスロットマシン1の制御系のシステム構成を示す。
図20に示すように、当該スロットマシン1の制御系は、遊技を統括的に制御する遊技制御装置(メイン制御装置)50と、この遊技制御装置50の制御下で遊技の演出に関する制御を統括的に行う演出制御装置(サブ制御装置)70と、これらの制御装置に電源を供給する電源装置(電源ユニット)80とを備えている。この制御系の構成要素は、それぞれ当該スロットマシン1の筐体内部に配設されている。また、電源装置80は、電源断時(停電時を含む)にRAM50c(後述)に記憶されたデータが保持されるようにバックアップ電源を供給するように構成されている。
【0064】
遊技制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)50a、プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)50b、RAM(Random Access Memory)50c、入出力インタフェース(以下「I/F」という。)50d、内部抽選に用いられる入賞判定用乱数などの各種乱数値を生成する乱数発生器50e等を備えて構成されている。
CPU50aは、制御部や演算部を備え、遊技制御装置50の演算処理装置として各種演算処理やデータの入出力、制御信号の生成などを行う。
【0065】
ROM50bには、各種処理を実行するための制御プログラムや制御データのほか、内部抽選用の判定値(判定テーブル)、各ゲームにおいてリール6の停止制御を行う際に参照される停止制御テーブルが格納されている。例えば、内部当選した各種入賞に対応する停止制御テーブルや、はずれに対応する停止制御テーブルなどである。停止制御テーブルには、内部当選状態(セットされている当選フラグの状態)に対応する図柄組合せ態様を有効ライン上に最大限に形成させるリール6の引き込み停止制御を行うためのデータ(最大4コマの滑りコマ数等)が格納されており、リール6の操作停止順、操作タイミングに応じて停止位置が予め設定されている。
【0066】
RAM50cは、スタート操作に基づきCPU50aがサンプリングした内部抽選用の乱数の記憶領域、各種データ(例えば、クレジット数のデータ、賭数のデータ、内部当選
状態のデータ、所定の図柄組合せ態様が導出されることに基づく払い出しに係るデータ等)を一時的に記憶する記憶領域、並びにCPU50aの作業領域を提供する。
I/F50dは、図示しないローパスフィルタ及びバッファーゲートを介して、メダル投入検出スイッチ51、スタートレバースイッチ21a、第1リール(左)停止スイッチ64a、第2リール(中)停止スイッチ64b、第3リール(右)停止スイッチ64c、左リール位置検出スイッチ52a、中リール位置検出スイッチ52b、右リール位置検出スイッチ52c、マックスベットスイッチ16a、払戻ボタンスイッチ20a、払出メダル検出スイッチ53、設定装置81、リセットスイッチ824、前面扉開放検出スイッチ33、RCT(リアルタイムクロック)54、営業時間設定スイッチ55等から出力された各種信号を、CPU50aに対して供給する。
【0067】
ここで、メダル投入検出スイッチ51は、メダル投入口15から投入されたメダルの通過を検出するものであり、この検出情報に基づいてメダルの投入枚数がカウントされる。
スタートレバースイッチ21aは、スタートレバー21が操作されたことを検出するためのスイッチである。
第1リール(左)停止スイッチ64a、第2リール(中)停止スイッチ64b、第3リール(右)停止スイッチ64cは、リールストップボタン24a,24b,24cのうちそれぞれに対応するボタンが操作されたことを検出するためのスイッチである。
左リール位置検出スイッチ52a、中リール位置検出スイッチ52b、右リール位置検出スイッチ52cは、それぞれに対応するリール6a,6b,6cの回動位相を検出するためのスイッチである。
【0068】
マックスベットスイッチ16aは、マックスベットボタン16が操作されたことを検出するためのスイッチである。
払戻ボタンスイッチ20aは、払戻ボタン20が操作されたことを検出するためのスイッチである。
払出メダル検出スイッチ53は、メダル払出装置63から払い出されたメダルを検出するものであり、このスイッチからの検出信号を計数することでメダルの払出枚数がカウントされる。
【0069】
設定装置80は、遊技店の店員が前面扉2を開放して行う設定変更操作に基づき、当該スロットマシン1の設定を切り換えるためのものである。この設定装置80により、例えば、1ゲーム毎の内部抽選における各種入賞の当選確率(内部当選確率)が異なる複数の設定(例えば、設定1〜6で、数が多いほど内部当選確率が高くなる)の何れかに設定される。
リセットスイッチ824は、例えば、鍵穴23に差し込まれた鍵が前面扉2を開放する時とは逆に回動されて下方に移動した遮光片821aを検出し、この検出に基づき当該スロットマシン1の制御系をリセットするためのスイッチである。遊技制御装置50は、リセットスイッチ824からの検出信号に基づき、例えば、当該スロットマシン1のエラー状態を解除する。
前面扉開放検出スイッチ33は前面扉2の開放状態を検出するためのスイッチである。
【0070】
また、I/F50dは、CPU50aから出力された制御信号を、図示しない出力ポート及びドライバを介して、演出制御装置70、遊技進行表示部12、ベットライン表示部19、クレジット数表示部11、払出数表示部13、遊技状態表示部18、メダル払出装置63、左リール用モータ65a、中リール用モータ65b、右リール用モータ65c、外部信号出力端子(当該スロットマシン1とは別体で設けられた管理装置等と接続する端子)36、ストップボタンLED66a〜66c、流路切替部材932を回動させる流路切替ソレノイド93a等に出力する。これによって、遊技制御装置50による各種電子部品電子やデバイスの制御を可能としている。
【0071】
なお、外部信号出力端子33に出力される制御信号としては、例えば、スタートレバー21の操作時に出力される賭数を示す信号(遊技メダル投入信号)、メダルの払い出し時に出力される払い出されたメダル数を示す信号(遊技メダル払出信号)、ビッグボーナス状態中であることを示す信号(BB信号)、レギュラーボーナス状態中であることを示す信号(RB信号)、リプレイタイム状態中であることを示す信号(RT信号)、前面扉2が開放された時又は設定変更時に出力される信号(セキュリティ信号)等がある。
【0072】
遊技制御装置50は、例えば、CPU50aが所定サイクル時間毎に乱数を更新(例えば、+1)し、スタートレバースイッチ52による検出タイミングで、その時点の乱数をサンプリングする制御を行い、サンプリングされた乱数を内部抽選用の乱数として内部抽選を行う。
また、遊技制御装置50は、内部抽選結果と、リールストップボタン(24a,24b,24c)の停止操作タイミングとに基づいて、対応する停止制御テーブルを参照し、リール用モータ65a,65b,65cの動作を制御することにより、図柄表示窓5に所定の図柄が停止表示されるようにリール6a,6b,6cを停止させる。
【0073】
さらに、遊技制御装置50は、内部当選した入賞に対応する図柄組合せ態様を構成する図柄が、有効ラインに到達する前に停止操作が行われた場合には、リール6a,6b,6cを停止させるタイミングを遅らせて当該図柄が有効ライン上に停止表示されるようにする、いわゆる引き込み停止制御を行う。
また、内部当選していない入賞に対応する図柄組合せ態様が有効ライン上に形成されるタイミングで停止操作が行われた場合に、リール6a,6b,6cを停止させるタイミングを遅らせて、有効ライン上に形成されうる図柄組合せ態様を構成する図柄が有効ラインを通り過ぎるようにする、いわゆる蹴飛ばし停止制御を行う。
なお、遊技制御装置50による引き込み停止制御、蹴飛ばし停止制御において、停止タイミングを変化可能な範囲は、停止操作が行われた位置から所定の図柄数(例えば、4コマ)以内とされている。
【0074】
一方、演出制御装置70は、CPU70a、ROM70b、RAM70c、I/F70d等を備えて構成されている。この演出制御装置70は、遊技制御装置50から供給される遊技に関する情報に基づいて、画像表示装置3における演出表示の制御やスピーカ4、枠発光装置(前面枠に設けられているランプやLED)17、バックライト67による演出の制御等を行う。
ここで、遊技に関する情報には、スタートレバー21が操作されてゲームが開始された時点で出力される賭数情報(例えば、賭数に応じたパルス数を出力し、賭数とゲーム数とを伝達する情報)、内部抽選による抽選結果を示す内部当選情報、現在の遊技状態(通常遊技状態、BB状態、RB状態、RT状態等)を示す遊技状態情報等が含まれる。
【0075】
I/F70dは、図示しないローパスフィルタ及びバッファーゲートを介して、遊技制御装置50から入力された各種信号をCPU70aに対して出力する。また、I/F70dは、CPU70aから入力された制御信号を、図示しない出力ポート及びドライバを介して、画像表示装置3、スピーカ4、ランプやLEDなどからなる枠発光装置17、変動表示装置としてのリール6のバックライト67等に出力する。これによって、演出制御装置70による画像表示装置3やスピーカ4などの制御を可能としている。
【0076】
具体的には、演出制御装置70は、画像表示装置3において、小役入賞の予告表示や、特別入賞の告知表示、演出表示(1ゲームで完結するものや複数ゲームにわたるもの)などを表示させる。また、演出制御装置70は、前面扉2に設けられている枠発光装置17での発光による装飾や、スピーカ4での音声による演出を行う。
なお、上述した遊技制御装置50と演出制御装置70との間の通信は、遊技制御装置50から演出制御装置70へ向かう一方向にのみ制御信号の送信が可能な形態になっており、これによって遊技制御装置50に不正な信号が入力されるのを防止している。
【0077】
ここで、本実施形態のスロットマシン1における遊技の進行について簡単に説明する。
スロットマシン1においてゲームを行う場合、遊技者は、まずメダルをメダル投入口15から投入するか、或いはマックスベットボタン16を操作して、賭数を入力する(賭入力)。
賭入力が行われると、賭数に応じて有効ラインが設定され、スタートレバー21の操作が有効な状態、すなわちゲームを開始可能な状態となる。
そして、スタートレバー21を操作すると、遊技制御装置50において内部抽選処理がなされて入賞の当選/非当選が決定されるとともに、リール6a,6b,6cの変動が開始される。
【0078】
所定時間経過後、リールストップボタン24a,24b,24cの操作に基づいて、リール6a,6b,6cの回転が停止され、図柄表示窓5に所定の図柄が表示される。そして、内部当選した入賞に対応する図柄組合せ態様が有効ライン上に形成された場合に入賞が成立し、この入賞に対応するメダルが払い出される。
以上で一区切りのゲームが終了し、以降、この操作を繰り返すことによってゲームを進行させるようになっている。
【0079】
図21(A)には、スロットマシン1が備えるリール6a,6b,6cの外周面を構成するリールシール68,68b,68cに形成されている図柄の配列の一例が示されている。
図に示されているように、リールシール617には、「黒7」、「白7」、「BAR」、「ベル」、「スイカ」、「チェリー」、「リプレイ」等の識別可能な7種類の図柄と、入賞の成立に関与しない「ブランク」の図柄とが、所定の順序で配置されている。
【0080】
図21(A)に示されているように、「リプレイ」は、すべてのリール6a,6b,6cにおいて連続する5コマ以内に1つは配置されているので、4コマの引き込み停止制御により必ず有効ライン上に停止表示させることができる。
また、「ベル」は、中リール6b、右リール6cにおいて連続する5コマ以内に1つは配置されているので、左リール6aから停止操作(いわゆる順押し又は挟み押し)を行えば、引き込み停止制御により必ず有効ライン上に停止表示させることができる。
一方、その他の入賞は、連続する5コマ以内に必ずしも配置されていない図柄で構成されているため、4コマの引き込み停止制御を行っても有効ライン上に停止表示できない場合がある。つまり、これらの図柄を有効ライン上に停止表示させるためには、所望の図柄を狙ってリールストップボタン24a,24b,24cを停止操作(目押し)する必要がある。
【0081】
図21(B)には、本実施形態のスロットマシン1における入賞の種類、各入賞に対応する図柄組合せ態様及び入賞内容が示されている。
本実施形態のスロットマシン1では、特別入賞としてビッグボーナス入賞(BB入賞)及びレギュラーボーナス入賞(RB入賞)が定められている。また、BB入賞として「黒7−黒7−黒7」からなるスペシャルビックボースナ入賞(SBB入賞)と、「白7−白7−白7」からなるノーマルビックボースナ入賞(NBB入賞)とが設けられている。SBB入賞及びNBB入賞の当選フラグ(内部抽選に当選したときにセットされるフラグ)と状態フラグ(現在の遊技状態を示すフラグ)とは区別して扱われる。以下の説明において、SBB入賞とNBB入賞とを区別しない場合は単にBB入賞と称する。
なお、特別入賞(BB入賞又はRB入賞)に内部当選した場合は、内部当選したゲームで当該特別入賞を成立できなくても、当選フラグは次ゲームに持ち越され、以降のゲーム
において特別入賞を成立させることができる。
【0082】
また、本実施形態のスロットマシン1では、小役入賞としてベル入賞、スイカ入賞、チェリー入賞、リプレイ入賞が定められている。
小役入賞に内部当選した場合は、内部当選したゲームでのみ当該小役入賞を成立させることができる。例えば、停止操作のタイミングによって小役入賞(例えば、スイカ入賞)を成立させることができなかった場合(いわゆる取りこぼし)、この小役入賞の当選フラグはクリアされ、次ゲームには持ち越されない。
【0083】
図21(B)に示すように、「黒7−黒7−黒7」のボーナス図柄組合せ態様が有効ライン上に形成された場合に成立するSBB入賞が成立すると、特別遊技状態としてのSBB状態が発生する。SBB入賞の成立に伴うメダルの払い出しは0枚である。
SBB状態では、例えば、通常遊技状態よりも小役入賞の内部当選確率が高確率となる判定テーブルを使用したゲームが実行される。そして、図22に示すように、SBB状態において遊技者に払い出したメダルの総数が300枚を超えたときに特別遊技状態は終了となる。
なお、SBB状態においては、メダルの総払出数が規定数となるまでJACゲーム(JACイン入賞が成立すると所定の入賞役の内部当選確率が高確率となるゲーム)を繰り返し実行するようにしてもよく、また、JACゲームと小役入賞の内部当選確率が高確率となるゲームとを組み合わせて実行するようにしてもよい。
【0084】
また、SBB状態中に特定の小役入賞に当選する等の移行条件が成立すると、SBB状態の終了後に特定遊技状態としてのリプレイタイム状態(RT状態)が発生する。つまり、SBB入賞の内部当選がRT状態を発生させる特定遊技発生条件の一つとなる。
RT状態では、例えば、通常遊技状態よりもリプレイ入賞の内部当選確率が飛躍的に高確率となる判定テーブルを使用したゲームが実行される。そして、図22に示すように、実行したゲーム数が150ゲームに到達したとき、BB入賞に内部当選したとき、或いはRB入賞に内部当選したときの何れかの特定遊技終了条件が成立したときにRT遊技状態は終了となる。
【0085】
一方、「白7−白7−白7」のボーナス図柄組合せ態様が有効ライン上に形成された場合に成立するNBB入賞が成立すると、特別遊技状態としてのNBB状態が発生する。NBB入賞の成立に伴うメダルの払い出しは0枚である。NBB状態では、SBB状態と同様の制御が行われる。以下の説明において、SBB状態とNBB状態とを区別しない場合は単にBB状態と称する。そして、図22に示すように、NBB状態において遊技者に払い出したメダルの総数が250枚を超えたときに特別遊技状態は終了となる。
また、NBB状態中に特定の小役入賞に当選する等の移行条件が成立した場合も、NBB状態の終了後に特定遊技状態としてのリプレイタイム状態(RT状態)が発生する。
【0086】
RB入賞は「BAR−BAR−BAR」のボーナス図柄組合せ態様が有効ライン上に形成された場合に成立する入賞である。RB入賞が成立すると、特別遊技状態としてのRB状態が発生する。RB入賞の成立に伴うメダルの払い出しは0枚である。
RB状態では、例えば、通常遊技状態よりも小役入賞の内部当選確率が高確率となる判定テーブルを使用したゲームが実行される。そして、図22に示すように、RB状態において遊技者にメダルの総数が100枚を超えたときにRB遊技状態は終了となる。本実施形態においては、RB状態の終了後には必ず特定遊技状態としてのリプレイタイム状態(RT状態)へ移行する。
すなわち、遊技制御装置50は、所定条件の成立(SBB状態中に特定の小役入賞に当選する、NBB状態中に特定の小役入賞に当選する、RB状態が終了する等)に基づいて通常遊技状態よりも遊技者に有利な特定遊技状態を発生可能な特定遊技状態発生手段として機能する。
なお、RB状態においても、メダルの総払出数が規定数となるまでJACゲーム(JA
Cイン入賞が成立すると所定の入賞役の内部当選確率が高確率となるゲーム)を繰り返し実行するようにしてもよく、また、JACゲームと小役入賞の内部当選確率が高確率となるゲームとを組み合わせて実行するようにしてもよい。
【0087】
さらに、本実施形態のスロットマシンにおいては、通常遊技状態ST10において連続して1200ゲーム以上特別遊技状態(ボーナス)が発生しないなどのいわゆる天井条件が成立すると、次に特別遊技状態(ボーナス)が発生するまで、リプレイタイム状態(RT状態)へ移行するいわゆる天井機能を実現するような制御を行うようなっている。
なお、天井条件が成立した場合に、RT状態へ移行する代わりに、内部成立した小役やそれを成立させるためのストップボタンの押し順などを告知するAT状態(アシストタイム)あるいはRT状態とAT状態の両方の利益を享受できるART状態(AT+RT)へ移行したり特別遊技状態(ボーナス)あるいは特別遊技状態の発生確率を通常遊技状態よりも向上させた特定遊技状態へ移行するようにしても良い。
【0088】
スイカ入賞は、「スイカ−スイカ−スイカ」の図柄組合せ態様が有効ライン上に形成された場合に成立する入賞で、何れの遊技状態においても5枚のメダルが払い出される。図21(A)に示す図柄配列においては「スイカ」が6コマ以上離れている個所があるため、スイカ入賞に内部当選しても、目押し操作を行わなければスイカ入賞を取りこぼす場合がある。
ベル入賞は、「ベル−ベル−ベル」の図柄組合せ態様が有効ライン上に形成された場合に成立する入賞で、何れの遊技状態においても10枚のメダルが払い出される。図21(A)に示す図柄配列においては、ベル入賞に内部当選しても、目押し操作を行わなければベル入賞を取りこぼす場合があるが、取りこぼしがないように各リール6a,6b,6cに「ベル」を配置しても良い。
【0089】
チェリー入賞は、「チェリー−ANY−ANY」の図柄組合せ態様が有効ライン上に形成された場合に成立する入賞で、1つの有効ラインに対して通常遊技状態又は特別遊技状態において2枚(つまり、上段又は下段に停止表示された場合は4枚)のメダルが払い出される。ここで、「ANY」は何れの図柄であってもよいことを示す。図21(A)に示す図柄配列においては「チェリー」が6コマ以上離れている個所があるため、チェリー入賞に内部当選しても、目押し操作を行わなければチェリー入賞を取りこぼす場合がある。
リプレイ入賞は、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」の図柄組合せ態様が有効ライン上に形成された場合に成立する入賞で、改めて賭操作することなくゲームを実行できる再遊技(リプレイゲーム)が付与される。メダルの払い出しは0枚である。図21(A)に示す図柄配列においては「リプレイ」が4コマ以内にあるため、リプレイ入賞に内部当選すると、目押し操作をしなくても引き込み停止制御により必ずリプレイ入賞を成立させることができる。
【0090】
本実施形態のスロットマシン1では、同一ゲームにおいて、特別入賞と小役入賞とが重複して内部当選可能となっている。重複して内部当選した場合、有効ライン上に導出される入賞の優先順位は、例えば、リプレイ入賞>リプレイ入賞以外の小役入賞>特別入賞とする。特別入賞に内部当選した以降のゲームにおいて、小役入賞に内部当選した場合も同様とする。
遊技制御装置50における内部抽選により、上記何れかの入賞に内部当選すると、この内部当選した入賞に対応する図柄組合せ態様が有効ライン上に導出可能とされる。一方、何れの入賞にも内部当選しない場合にははずれとなり、入賞に対応する図柄組合せ態様は有効ライン上に形成されない。
通常遊技状態及びRT状態では、BB入賞及びRB入賞を含めた上記すべての入賞が内部抽選の対象となる。また、BB状態又はRB状態では、ベル入賞、スイカ入賞及びチェリー入賞が内部抽選の対象となる。
【0091】
図22は、本実施形態のスロットマシン1における遊技状態を説明するための状態遷移図である。
スロットマシン1では、電源を投入した直後は、通常遊技状態ST10でゲームが開始されるものとする。
通常遊技状態ST10で、RB入賞に内部当選し、対応する図柄組合せ態様が導出されて入賞が成立すると、RB遊技状態ST11に移行する。また、SBB入賞又はNBB入賞に内部当選し、対応する図柄組合せ態様が導出されて入賞が成立すると、BB遊技状態ST12に移行する。
【0092】
BB遊技状態ST12では、例えば、通常遊技状態よりも小役入賞の内部当選確率が高確率となるゲームが実行される。遊技者に払い出したメダルの総数が300枚又は250枚を超えるとBB状態ST12は終了する。そして、BB状態ST12で所定の移行条件(特定の小役入賞)が成立しないと通常遊技状態ST10へ戻り、所定の移行条件(特定の小役入賞)が成立すると、RT遊技状態ST13に移行する。
RB遊技状態ST11では、例えば、通常遊技状態よりも小役入賞の内部当選確率が高確率となるゲームが実行される。そして、遊技者に払い出したメダルの総数が100枚を超えるとRB遊技状態ST11は終了し、RT遊技状態ST13に移行する。
【0093】
RT遊技状態ST13では、通常遊技状態ST10よりもリプレイ入賞の内部当選確率が高確率となるゲームが実行される。このRT遊技状態ST13では、リプレイ入賞の内部当選確率が、通常遊技状態ST10の場合に比較して高確率となっているので、メダルの消費量を抑えてゲームを重ねることが可能となる。したがって、小役入賞の成立により得られる遊技価値を増加させながら、特別入賞への当選を期待できる。
RT遊技状態ST13は、特定遊技終了条件が成立したとき(すなわち、実行したゲーム数が150ゲームに到達したとき)、BB入賞に内部当選したとき、或いはRB入賞に内部当選したときに終了となり、通常遊技状態ST10とRB遊技状態ST11とBB遊技状態ST12のうちの何れかに移行する。
また、通常遊技状態ST10で天井条件が成立すると、次に特別遊技状態(ボーナス)が発生するまで、リプレイタイム状態(RT状態)ST14へ移行するようになっている。
【0094】
次に、遊技制御装置50による処理について説明する。遊技制御装置50による処理は、遊技を統括的に制御する遊技制御処理(図23参照)と、所定時間毎(例えば、約2msec毎)に行われるタイマ割込み処理(図24参照)とからなる。
〔遊技制御処理〕
まず、遊技制御処理について説明する。図23は、遊技制御処理の一例を示すフローチャートである。
この遊技制御処理は、遊技制御装置50の電源が投入されると、CPU50aがROM50bに記憶されている遊技制御処理の制御プログラムを読み出して実行することにより開始される。
【0095】
遊技制御処理が開始されると、まず、遊技制御装置50のCPU50a内のレジスタの初期化やRAM50cに記憶されている遊技データの初期化などを行う電源投入時処理を実行する(ステップS1)。
次いで、リプレイ入賞の成立に基づく自動賭操作や、賭操作(すなわち、メダル投入口15からのメダル投入又はクレジットからの入力)により賭数を設定するBET(賭)処理を実行する(ステップS2)。
【0096】
次いで、払戻ボタン20が操作されたか否かを判定し、操作されたと判定した場合に、投入されたメダルの払い戻し及びクレジットとして記憶されているメダルの払い戻しを行う払戻制御処理を実行する(ステップS3)。
次いで、ベット数が上限値(例えば、3個)に達したか否かを判定する(ステップS4)。
ステップS4で、ベット数が上限値に達していないと判定した場合(ステップS4;No)には、ステップS2に戻る。
一方、ステップS4で、ベット数が上限値に達したと判定した場合(ステップS4;Yes)には、スタートレバー21が操作されたか否かを判定する(ステップS5)。
ステップS5で、スタートレバー21が操作されていないと判定した場合(ステップS5;No)には、ステップS2に戻る。
【0097】
一方、ステップS5で、スタートレバー21が操作されたと判定した場合(ステップS5;Yes)には、入賞役の内部抽選を行い、当該内部抽選による抽選結果を示す内部当選情報(抽選結果コマンド)を演出制御装置70に送信するとともに、最小遊技間隔時間経過(前のゲームの終了から4.1秒)後にリール6a,6b,6cの回転を開始させる内部抽選処理を実行する(ステップS6)。具体的には、当該ステップS6の内部抽選処理でセットされたリール更新情報(図26のステップS38参照)に基づいて、タイマ割込み処理(図24参照)のリール動作処理(ステップS24)でリール6a,6b,6cの回転を開始させる。
すなわち、遊技制御装置50は、遊技者によるスタート操作部(スタートレバー21)の操作に基づくゲームの開始時に予め設定された複数の入賞役の何れかに当選したか否かを抽選可能な抽選手段として機能する。
【0098】
次いで、ステップS6の内部抽選処理(図28参照)でセットされた当選フラグと、リールストップボタン24a,24b,24cの停止操作タイミングとに基づいて、リール6a,6b,6cの回転を停止させるリール停止処理を実行する(ステップS7)。具体的には、当該ステップS7のリール停止処理でセットされたリール更新情報(図12のステップS56参照)に基づいて、タイマ割込み処理(図24参照)のリール動作処理(ステップS24)でリール6a,6b,6cの回転を停止させる。
【0099】
次いで、有効ライン上に停止表示された図柄組合せ態様に基づいて、ステップS6の内部抽選処理でセットされた入賞当選フラグに対応する入賞(内部当選している入賞)が成立しているか否かを判定し、入賞が成立していると判定した場合には、成立した入賞に対応する払出枚数情報をセットする入賞成立判定処理を実行する(ステップS8)。ここで、有効ライン上に停止表示された図柄組合せ態様は、リール位置検出スイッチ52a〜52cからのリール位置情報(具体的には、リール位置検出スイッチ52a〜52cにより検出されたリール6の回動位相等)に基づき判断される。
【0100】
次いで、ステップS8の入賞成立判定処理でセットされた払出枚数情報に基づいて、クレジットの加算又はメダル払出装置63によるメダルの払い出しを行う払出制御処理を実行する(ステップS9)。その後、BB入賞の成立やRT状態への移行条件の成立を判定し、対応する遊技状態へと移行するための準備を行う遊技状態更新処理を実行する(ステップS10)。
次いで、停電が発生したか否かを判定する(ステップS11)。該ステップS11で、停電が発生していないと判定した場合(ステップS11;No)には、ステップS2に戻る。一方、ステップS11で、停電が発生したと判定した場合(ステップS11;Yes)には、一旦割込みを禁止する処理、全出力ポートをオフにする処理、チェックサムを算出して、算出されたチェックサムをバックアップRAMの停電復旧検査領域にチェックサムをセーブする処理、RAM50cへのアクセスを禁止する処理等を行う停電時処理(ステップS12)を実行して、当該スロットマシン1の電源が遮断されるのを待つ。
【0101】
〔タイマ割込み処理〕
次に、タイマ割込み処理について説明する。図24は、タイマ割込み処理の一例を示す
フローチャートである。
タイマ割込み処理が開始されると、まず、各種センサ(メダル投入検出スイッチ51、スタートレバースイッチ21a、第1リール(左)停止スイッチ64a、第2リール(中)停止スイッチ64b、第3リール(右)停止スイッチ64c、左リール位置検出スイッチ52a、中リール位置検出スイッチ52b、右リール位置検出スイッチ52c、マックスベットスイッチ16a、払戻ボタンスイッチ20a、払出メダル検出スイッチ53、リセットスイッチ824、前面扉開放検出スイッチ33等)や設定装置81などからの入力の取り込み、すなわち各入力ポートの状態を読み込む入力処理を実行する(ステップS21)。
【0102】
次いで、各種処理でセットされた出力データに基づき、演出制御装置70、遊技進行表示部12、ベットライン表示部19、クレジット数表示部11、払出数表示部13、遊技状態表示部18、メダル払出装置63、左リール用モータ65a、中リール用モータ65b、右リール用モータ65c、外部信号出力端子36、ストップボタンLED66a〜66c、流路切替ソレノイド93a等に対して制御信号を出力する出力処理を実行する(ステップS22)。
その後、継続タイマ等のタイマを更新(例えば、−1)するタイマ更新処理を実行する(ステップS23)。次いで、リール更新情報に基づいてリール6a,6b,6cの回転及び停止の出力設定を行うリール動作処理を実行して(ステップS24)、当該タイマ割込み処理を終了する。
【0103】
〔電源投入時処理〕
次に、図23の遊技制御処理中における電源投入時処理(ステップS1)の詳細な手順の一例について、図25を用いて説明する。
この電源投入時処理では、先ず、割込み禁止し全出力ポート(出力が無い状態)をオフにする処理(ステップS101)を行ってから、RAM内の所定領域のチェックサムを算出し、算出されたチェックサムと電源断時のチェックサムを比較して(ステップS102)、一致するかすなわち正常か否かを判定する(ステップS103)。そして、一致する場合(ステップS103;Yes)は、次のステップS104で、データが正常であることを示すフラグをセットしてからステップS105へ移行する。
また、チェックサムが正常でない(ステップS103;No)と判定された場合は、ステップS104をスキップしてステップS105へ移行する。
【0104】
ステップS105では、設定装置に対して専用の設定キーによる設定変更操作が行われるといった設定変更条件が成立しているか否かを判定する。そして、設定変更条件が成立している場合(ステップS105;Yes)は、次のステップS106で、バックアップRAMに記憶されている設定値をクレジット数表示部11に表示させる。その後、設定装置81に設けられている設定更新スイッチが操作された否か判定する(ステップS107)。そして、設定更新スイッチが操作されたと判定した場合(ステップS107;Yes)は、次のステップS108で、バックアップRAMに記憶されている設定値を+1更新してRAMに記憶してからステップS109へ移行する。また、設定更新スイッチが操作されていない(ステップS107;No)と判定された場合は、ステップS108をスキップしてステップS109へ移行する。
【0105】
ステップS109では、設定変更の確定操作であるスタートレバー21の操作があったか否かを判定する。そして、スタートレバー21の操作がなかった場合(ステップS109;No)は、ステップS106へ戻って上記処理を繰り返す。そして、ステップS109で、スタートレバー21の操作があった(Yes)と判定したときは、次のステップS110へ移行してデータが正常であるか否かを判定する。この判定は、ステップS104でセットされるデータが正常であることを示すフラグを参照して行う。
【0106】
ここで、データが正常でない(ステップS110;No)と判定された場合は、ステップS111で設定値以外の全バックアップRAM領域のデータをクリアしてステップS113へ移行する。一方、データが正常であると判定した場合(ステップS110;Yes)は、ステップS112で、設定値およびゲーム数カウンタ以外のバックアップRAM領域のデータをクリアしてステップS113へ移行する。ゲーム数カウンタをクリアしないのは、前述した天井条件としてのゲーム数は翌日に持ち越せるようにするためである。
ステップS113では、設定が変更されたことを示す設定変更フラグをセットしかつ制御状態を通常遊技にセットして、後述のステップS117へ移行する。
【0107】
一方、ステップS105で、設定変更条件が成立していない(No)と判定した場合は、ステップS114へ移行してデータが正常であるか否かを判定する。この判定は、ステップS104でセットされるデータが正常であることを示すフラグを参照して行う。
ここで、データが正常でない(ステップS114;No)と判定された場合は、ステップS115で全バックアップRAM領域のデータ(ゲーム数カウンタの値も含まれる)をクリアし、初期設定値(例えば「1」)をセットしかつ制御状態を通常遊技にセットする。
【0108】
その後、ステップS116で、設定を変更したことを示す設定変更フラグをセットしてから、ステップS117で、演出制御装置70へ電源投入コマンドを送信してステップS120へ移行する。一方、ステップS114でデータが正常であると判定した場合(ステップS114;Yes)は、ステップS118で、バックアップRAM領域の記憶内容に基づいて前回の電源遮断前の状態に復帰してから、ステップS119で、演出制御装置70へ電源投入コマンドを送信してステップS120へ移行する。
【0109】
ステップS120では、各遊技機ごとに固有のデバイスとして設けられている個別IDレジスタから固定識別情報を取得して、外部端子出力端子36からホールコンピュータと呼ばれるシステム管理装置へ送信するためシリアル通信回路にセットする。それから、ステップS121へ進み、CPU50aに対するタイマ割込み信号を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動する処理を行う。
上記ステップS121のCTC起動処理の後は、乱数生成回路を起動設定する処理を行う(ステップS122)。具体的には、乱数生成回路内の所定のレジスタへ乱数生成回路を起動させるためのコード(指定値)の設定などがCPU50aによって行われる。それから、割込みを許可(ステップS123)し、出目導出制御処理(ステップS124)を実行して、当該電源投入処理から抜け、遊技制御処理(図23)へ戻る。出目導出制御処理は、電源投入直後のリールの出目を例えば「777」などの当り状態にそろえて表示するための処理である。この機能は、遊技店が行うイベント等で営業開始前に店員がリールの出目を手作業で揃えていたものを自動的に行えるようにしたものである。
【0110】
〔出目導出制御処理〕
次に、前述の電源投入時処理(図25)における出目導出制御処理(ステップS124)の詳細について説明する。図26は、出目導出制御処理の一例を示すフローチャートである。
出目導出制御理が開始されると、遊技制御装置50のCPU50aは、先ず、ステップS241で営業時間設定スイッチ55(図20)の値を取得し、「時間設定なし」の値であるか否かを判定する(ステップS242)。そして、営業時間設定スイッチ55の値が「時間設定なし」の値である場合(ステップS242;Yes)には、当該出目導出制御理から抜ける。遊技店は、営業時間設定スイッチ55の値を「時間設定なし」の値に設定することで、営業開始時の各遊技機の出目を揃えないようにすることができる。
【0111】
一方、ステップS242で、「時間設定なし」の値でない(No)と判定した場合は、ステップS243へ移行して、RTC(リアルクロックタイマ)の計時情報を取得し、営業時間外であるか否かを判定する。そして、営業時間外でないつまり営業時間中である場合(ステップS244;No)と判定された場合は、当該出目導出制御理から抜ける。また、ステップS244で営業時間外である(Yes)と判定された場合は、次のステップS245へ進んで、ROMに記憶されている図27に示すような出目振分けテーブルを準備するとともに、設定装置81(図3)により設定された設定値を取得する。
【0112】
続いて、乱数発生機50e(図20)から乱数を取得(ステップS246)し、取得した乱数値および出目振分けテーブルを用いて設定値に対応する所定の割合で「777」など営業開始時にリールに表示する出目を選択する(ステップS247)。その後、リールを回転させるための「リール更新情報」としてステップ∞(停止情報なし)をセットする(ステップS248)。
次に、リール位置検出スイッチ52a〜52cからの信号を監視して初期位置を検出したか否か判定する(ステップS249)。初期位置を検出するまでステップS249を繰り返し、初期位置を検出したと判定するとステップS250へ進み、ステップS247で選択した出目に対応する図柄が図柄表示窓5のライン上に位置するまでのステップ数(パルス数)をリール毎に算出し、算出したステップ数(パルス数)を「リール更新情報」としてセットする(ステップS251)。その後、すべてのリールが出目導出状態すなわちリール停止になったか否か判定する(ステップS252)。そして、リール停止までステップS249を繰り返し、リール停止になったと判定すると当該出目導出制御理から抜ける。
【0113】
図27(A)には、出目導出制御理で使用する出目振分けテーブルの一例が示されている。図27(A)のテーブルでは、設定装置81の設定値が6段階のうち最も高い「設定値6」になるほど「777」の出目が導出される割合が高くなるようになっている。ただし、営業開始時の出目から設定値が完全に予測できてしまうと、遊技客は設定値の低い遊技機で遊技をしなくなってしまうので、「設定値1」でも「設定値6」でも同じ出目がそれぞれ適当な割合で出現するようにテーブルの振分け値が設定されている。
【0114】
なお、図27(A)のテーブルは、設定装置81の設定値に応じて出目を振り分けるようにしたものであるが、図27(B)に示すテーブルのように、設定装置81による設定変更が行われたか否かに対応して自動出目導出制御を行うようにしても良い。図27(B)に示すテーブルでは、設定を高くした場合ほど「777」の出目が導出される割合が高くなり、設定を低くした場合には「777」の出目が導出される割合が低くなるようになっている。
このような実施例は、電源遮断時に設定値を保存しておき電源投入時処理においてデータが異常でない(正常である)と判定したことを条件に設定変更フラグを参照し設定値の上げまたは下げを判定することで実現することができる。また、データが異常であった場合には、振分けテーブルの「設定据え置き」に相当する振分け値で出目を決定するようにすればよい。なお、図27(A)および(B)に示すテーブルでは、出目として小役揃いをなくして、すべてボーナス図柄のぞろ目(黒7、白7、BER)だけにしてもよい。
【0115】
〔内部抽選処理〕
次に、前述の遊技制御処理(図23)における内部抽選処理(ステップS6)について説明する。図28は、内部抽選処理の一例を示すフローチャートである。
なお、当該内部抽選処理中は、賭操作やリール6の停止操作などの各種操作の入力を受け付けずに無効なものとするように構成されている。
内部抽選処理が開始されると、遊技制御装置50のCPU50aは、先ず、前回のボーナスゲーム終了またはバックアップRAM領域が完全にクリアされてからのゲーム数を計数するゲーム数カウンタの値が天井条件として設定されているゲーム数(例えば1200回)であるか否か判定する(ステップS261)。そして、天井ゲーム数であれば、リプレイ発生確率が通常よりも高いRT状態(特定遊技状態)をセットする(ステップS262)。また、天井ゲーム数でなければ、ゲーム数カウンタを更新(+1)する(ステップS263)。
【0116】
次いで、これから実行しようとしているゲームが電源投入後最初のゲームであるか否か判定する(ステップS264)。そして、電源投入後最初のゲームでない(ステップS244;No)と判定された場合は、ステップS265へ移行してゲーム数カウンタの値が例えば100の倍数のような設定値であるか判定する。ここで、ゲーム数カウンタの値が設定値でなければ、デフォルトの開始パターンとして、第1リール6a−第2リール6b−第3リール6cの順に回転を開始するパターン(開始パターン6)を取得する(ステップS266)。
また、ステップS265でゲーム数カウンタの値が設定値である(Yes)と判定した場合、または、ステップS264でこれから実行しようとしているゲームが電源投入後最初のゲームである(Yes)と判定した場合は、ステップS267へ移行して、図29(A)に示すような開始パターン選択テーブルを参照してゲーム数カウンタの値に対応した開始パターンを取得する。
【0117】
次に、ステップS266またはステップS267で取得した開始パターンを、次のゲームの変動開始パターンとしてセットする(ステップS268)。それから、乱数発生器50e(図20)より乱数値(入賞判定用乱数)を取得する(ステップS269)。次いで、現在の遊技状態に応じた入賞当選判定テーブルをセットする(ステップS270)。
その後、ステップS269で取得した乱数値と、ステップS270でセットした入賞当選判定テーブルとに基づいて、入賞に内部当選したか否かを判定する入賞当選判定処理を実行する(ステップS271)。
なお、本実施形態では、入賞に内部当選したか否かを、乱数発生器50eで生成される乱数値、すなわちハードウェアで生成されるハード乱数を用いて判定するように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、入賞に内部当選したか否かを、ソフトウェアで生成されるソフト乱数に基づいて判定するように構成することも可能である。
【0118】
次いで、一旦ハズレ当選フラグをセットする(ステップS272)。そして、ステップS271の入選当選判定処理で得られた判定結果が入賞当選であるか否かを判定する(ステップS273)。ステップS273で、ステップS271の入賞当選判定処理で得られた判定結果が入賞当選でないと判定した場合(ステップS273;No)、すなわち、ステップS271の入賞当選判定処理で入賞に内部当選していないと判定した場合には、ステップS275に移行する。
一方、ステップS273で、ステップS271の入選当選判定処理で得られた判定結果が入賞当選である(ステップS273;Yes)と判定した場合には、ステップS272でセットしたハズレ当選フラグに代えて、内部当選した入賞に対応する入賞当選フラグをセットする(ステップS274)。
【0119】
その後、ステップS272又はステップS274でセットした当選フラグ(ハズレ当選フラグ又は入賞当選フラグ)に対応する当選フラグコマンドを演出制御装置70に送信する(ステップS275)。次いで、リール更新情報として、“∞(停止情報なし)”をセットし(ステップS276)、当該内部抽選処理を終了する。このステップS276の処理により、ステッピングモータであるリール用モータ65a,645,65cの停止までのステップ数として“∞(停止情報なし)”が設定され、停止情報が設定されるまで連続回転が開始される。
【0120】
図29(B)には、図29(A)の開始パターン1〜6の具体的な開始順序が示されている。図29(B)に示されているように、開始パターン1が設定されると、第3リール6c−第1リール6a−第2リール6bの順に回転が開始され、開始パターン2が設定されると、第3リール6c−第2リール6b−第1リール6aの順に回転が開始される。
また、開始パターン3が設定されると、第2リール6b−第1リール6a−第3リール6cの順に回転が開始され、開始パターン4が設定されると、第2リール6b−第3リール6c−第1リール6aの順に回転が開始される。さらに、開始パターン5が設定されると、第2リール6a−第3リール6c−第2リール6bの順に回転が開始され、開始パターン6が設定されると、第1リール6a−第2リール6b−第3リール6cの順に回転が開始される。従って、遊技者は、リールの回転開始順序を確認することによって、ゲーム数カウンタの値すなわち前回のボーナスゲーム終了またはバックアップRAM領域が完全にクリアされてからの実行ゲーム数を知ることができ、天井条件が近いか否かをおおよそ予測することが可能となる。
【0121】
次に、内部抽選処理の他の実施例を、図30のフローチャートを用いて説明する。この実施例は、設定装置81による設定の変更があった場合に、RT状態に移行する天井条件としての天井ゲーム数を変更するとともに、天井ゲーム数までの残りゲーム数に応じてリールの回転開始パターンを設定するようにしたものである。
図30の内部抽選処理においては、先ず、設定変更フラグ(図25のステップS113でセットされる)があるか否か判定する(ステップS257)。ここで、設定変更フラグがない(ステップS257;No)と判定すると、ステップS261へジャンプする。
一方、ステップS257で、設定変更フラグがある(ステップS257;Yes)と判定した場合には、ステップS258へ進み、設定値に対応する天井選択テーブル(図示省略)を準備し、乱数発生器から乱数を取得する(ステップS259)。そして、ステップS258で取得した天井選択テーブルを用いてステップS259で取得した乱数に対応する天井ゲーム数を選択してセットし、ステップS261へ移行する。
【0122】
ステップS261では、前回のボーナスゲーム終了またはバックアップRAM領域が完全にクリアされてからのゲーム数を計数するゲーム数カウンタの値が天井条件として設定されているゲーム数(例えば1200回)以上であるか否か判定する。そして、天井ゲーム数以上であれば、リプレイ発生確率が通常よりも高いRT状態(特定遊技状態)をセットする(ステップS262)。また、天井ゲーム数でなければ、ゲーム数カウンタを更新(+1)する(ステップS263)。そして、ステップS264aへ移行して、ステップS260でセットした天井ゲーム数からゲーム数カウンタの値を減じて、天井ゲーム数までの残りゲーム数を算出する。
【0123】
次いで、これから実行しようとしているゲームが電源投入後最初のゲームであるか否か判定する(ステップS264b)。そして、電源投入後最初のゲームでない(ステップS244b;No)と判定された場合は、ステップS265’へ移行して天井ゲーム数までの残りゲーム数が例えば100の倍数や開始パターンが切り替わる200の倍数のような設定値であるか判定する。ここで、天井ゲーム数までの残りゲーム数が設定値でなければ、デフォルトの開始パターンとして、第1リール6a−第2リール6b−第3リール6cの順に回転を開始するパターン(開始パターン6)を取得する(ステップS266)。
【0124】
また、ステップS265’で天井ゲーム数までの残りゲーム数が設定値である(Yes)と判定した場合、または、ステップS264bでこれから実行しようとしているゲームが電源投入後最初のゲームである(Yes)と判定した場合は、ステップS267’へ移行して、図31(A)に示すような開始パターン選択テーブルを参照して天井ゲーム数までの残りゲーム数に対応した開始パターンを取得する。以降の処理は、図28のステップS268〜S276と全く同様であるので、重複した説明は省略するが、天井条件まで残りゲーム数に応じたいずれかの開始パターンでリールの回転開始が行われ、残りゲーム数が200の倍数のような設定値に達するごとに切り替わるようになる。
なお、ステップS265’における判定式は、残りゲーム数=設定値の代わりに、残りゲーム数<設定値(複数)としてもよい。
【0125】
図31(A)のテーブルと図29(A)のテーブルとの差異は、図29(A)のテーブルはゲーム数カウンタの値であるのに対し、図31(A)のテーブルは天井条件までの残りゲーム数としている点にある。開始パターン1〜6の具体的な開始順序は、図29(B)に示されているものと同様にすることができる。
なお、従来のスロットマシンには天井条件まで残りゲーム数を表示するものもあるが、本発明の実施例のスロットマシンにおいては天井条件まで残りゲーム数を表示しないので、遊技者は天井までの残りゲーム数を正確に把握することできない。そのため、いつ開始パターンが切り替わるか分からない。そこで、この実施例の場合には、電源投入直後は、図31(B)に示すように、1回転目のリールの動きに注目するように促す表示を画像表示装置3に表示したり、営業中は規定ゲーム数(例えば、100の倍数)に到達する直前に、図31(C)に示すように、次のゲームの開始の際のリールの動きに注目するように促す表示を画像表示装置3に表示するのが望ましい。
【0126】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、所定の条件が成立した場合に、天井機能に関連したゲーム実行回数もしくは天井までの残りゲーム数に基づいて3個のリールの回転開始パターンとして開始順序を選択するようにしているが、変動の開始態様はリールの回転開始順序に限定されず、例えば回転開始後一定時間内の各リールの回転速度をゲーム実行回数もしくは天井までの残りゲーム数に基づいて異ならせるようにしても良いし、一瞬リールを逆方向に回転させるなど他の方法で識別できるようにしても良い。
【0127】
以上の説明から、本出願には、賭数の設定後のスタート操作に基づき複数の図柄が表示された複数のリールを可変表示させてゲームを開始し、該複数のリールの停止操作により停止させたゲームの停止結果が入賞に対応する停止結果となったことに基づき遊技価値を付与するスロットマシンにおいて、
所定の計数条件が成立してから実行されたゲームの実行回数を計数する回数計数手段と、前記回数計数手段により計数された実行回数が予め設定された規定回数に到達したことに基づき、遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生可能な特定遊技状態発生手段と、前記スタート操作により開始されるゲームが予め定められた示唆条件を成立させるか否かを判定する条件成立判定手段と、前記条件成立判定手段により示唆条件が成立すると判定されたことに基づき、複数種類の可変表示の開始態様の中から一の開始態様を選択する開始態様選択手段と、前記開始態様選択手段により選択された可変表示の開始態様で前記複数のリールを可変表示させる可変表示手段と、を備え、前記開始態様選択手段は、前記示唆条件成立時の前記実行回数に基づいて前記可変表示の開始態様の選択を異ならせるようにした発明が含まれていることが分かる。
【0128】
そして、上記のような発明によれば、示唆条件が成立すると、そのときのゲームの実行回数に対応した可変表示の開始態様を選択され可変表示が開始されるため、所定の計数条件が成立してから実行されたゲームの実行回数が遊技者に報知されない場合であっても、可変表示の開始態様から規定回数(所謂、天井)までの残りゲーム回数を予測することが可能となるので、開始態様を確認するためにはゲームを行う必要があり、それによって遊技機の稼動率が向上する。また、「示唆条件」の設定の仕方によって、ゲーム実行回数に基づいて可変表示の開始態様が変わるゲームが営業中に何度か実行されるので、朝一番の来店者など特定の遊技客のみが有利となるのを回避することができる。
なお、ここで、「所定の計数条件が成立」とは、前回のボーナスゲーム(特別遊技状態)終了あるいは前回のRT(リプレイタイム)状態終了など所定の遊技状態の終了から、継続してボーナス当選のないゲームの実行回数が所定回数に達したことなどが考えられる。また、「示唆条件」は、電源が投入されてから最初に実行される1ゲーム目であることや、継続してボーナス当選のないゲームの実行回数が「100」あるいは「200」の倍数などのような設定値に達したことあるいは設定値を超えたことなどを条件とすることが考えられる。
【0129】
また、本出願には、上記発明において、前記可変表示の開始態様は、前記実行回数が前記規定回数に到達するまでの残ゲーム回数に対応付けて複数設定されてなり、前記開始態様選択手段は、前記回数計数手段により計数された実行回数により特定される前記残ゲーム回数に対応する可変表示の開始態様を選択するようにした発明が含まれている。
そして、かかる発明によれば、規定回数に到達するまでの残ゲーム回数に対応付けて可変表示の開始態様が複数設定されているので、朝一番の来店者など特定の遊技客のみが有利となるのを回避することができる。また、残りゲーム回数を予測するには、ゲームを行って開始態様を確認する必要があり、それによって遊技機の稼動率が向上する。さらに、残ゲーム回数に対応付けて可変表示の開始態様を選択するので、天井条件(実行ゲーム数)が異なる遊技機に対して同一のプログラムを利用することができる。
【0130】
また、本出願には、上記発明において、前記回数計数手段により計数された前記実行回数を電源断時においても記憶保持することが可能な記憶手段を備え、前記条件成立判定手段は、少なくとも当該スロットマシンへ電源が投入されてから最初に実行される1ゲーム目である場合に、前記示唆条件が成立したと判定し、前記開始態様選択手段は、前記記憶手段に記憶された前記実行回数に基づいて前記1ゲーム目の前記可変表示の開始態様を選択するようにした発明が含まれている。
そして、かかる発明によれば、電源投入後の1ゲーム目の開始態様から規定回数(所謂、天井)までの残りゲーム回数を予測することが可能となるので、遊技場における朝一の稼動率が向上する。また、遊技場側で開店前に電源投入後の1ゲーム目を実行するかしないかで規定回数までの残りゲーム数を遊技者に予測可能にするサービスを提供するか否かを遊技場に選択させることができる。
【0131】
さらに、本出願には、上記発明において、前記条件成立判定手段は、前記開始態様選択手段により選択される可変表示の開始態様が切り替わる前記実行回数において実行されるゲームである場合に、前記示唆条件が成立したと判定するようにした発明が含まれている。
残りゲーム回数が所定回数以下になった以降の可変表示の開始態様を毎回実行回数に関係させることも可能であるが、可変表示の開始態様が切り替わる実行回数(「200」の倍数等)において実行されるゲームである場合に、示唆条件が成立したと判定して開始態様を実行回数に関係させることにより、遊技者が少なくとも次に可変表示の開始態様が切り替わる実行回数までは遊技を継続して行う意欲を持つように訴求することができ、それによって遊技機の稼動率が向上する。
【0132】
さらに、本出願には、上記発明において、前記示唆条件を成立させるゲームの実行前に前記可変表示の開始態様に注目することを促す注意喚起報知を行うことが可能な注意喚起報知手段を備えるようにした発明が含まれている。
そして、かかる発明によれば、示唆条件を成立させるゲームの実行前に可変表示の開始態様に注目することを促す注意喚起報知を行うので、規定回数(所謂、天井)までの残りゲーム回数を予測することが可能となるゲームの実行時に遊技者が可変表示の開始態様を見逃してしまうことを防止できる。
【0133】
また、本出願には、上記発明において、前記ゲームの実行毎に入賞に当選したか否かを抽選することが可能な抽選手段と、前記抽選手段による入賞の当選確率の設定値を切り替え設定することが可能な確率設定手段と、当該スロットマシンへの電源投入に基づき、複数のリールにより表示される表示出目を予め定められた複数種類の表示出目の中から選択する出目選択手段と、前記出目選択手段により選択された表示出目となるように複数のリールを自動的に可変表示させてから停止させる出目導出手段と、を備え、前記出目選択手段は、前記確率設定手段により設定された設定値に基づいて、前記表示出目を選択するようにした発明が含まれている。
そして、かかる発明によれば、電源投入により設定値に応じた表示出目が導出されるので、朝一で来店した遊技者は各遊技機に表示されている出目から当選確率の設定値を予測することが可能となるため、遊技場における朝一の遊技機の稼動率が向上する。また、遊技場におけるイベント等で表示出目を店員が手動で導出させる必要がないので、省力化が可能となる。
【0134】
また、本出願には、上記発明において、前記複数種類の表示出目は、前記設定値毎に選択割合が異なるように設定され、前記出目選択手段は、前記確率設定手段により設定された設定値に対応する選択割合で複数種類の表示出目の中から一の表示出目を選択するようにした発明が含まれている。
そして、かかる発明によれば、表示出目は設定値毎に選択割合が異なるように設定されるため、当選確率の設定値を明確に示唆することにはならないので、設定値の低い遊技機が敬遠されて遊技場が不利益を被るのを回避しつつ、遊技者が設定値を推測するための一要素として表示出目を活用させるようにすることができる。
【符号の説明】
【0135】
1 スロットマシン
2 前面扉(開閉枠)
3 画像表示装置(促進報知手段)
6 リール
6a 左リール
6b 中リール
6c 右リール
8 施錠ユニット
15 メダル投入口
21 スタートレバー(スタート操作部)
24 リールストップボタン
24a 左リールストップボタン(停止操作部)
24b 中リールストップボタン(停止操作部)
24c 右リールストップボタン(停止操作部)
28 メダル払出口
30 筐体(基枠)
40 錠プレート
83A,83B 係合片(係合受部)
84A,84B 防犯カバー部材(カバー部材)
822 バネ(フック付勢部材)
810d 回動規制片(変換規制部)
812 係合フック(フック部材)
812a 傾斜面(押圧受部)
817 スライドロッド(変換機構部)
820 キーリンダ(変換機構部)
823 カム部材(変換機構部)
86A,86B 引っ張りバネ(カバー付勢部材)
847 スライドリブ(スライド機構)
87a,87b スライドガイド溝(スライド機構)
50 遊技制御装置(回数計数手段、特定遊技状態発生手段、条件成立判定手段、開始態様選択手段、可変表示手段、記憶手段、抽選手段、確率設定手段、出目選択手段)
63 メダル払出装置
64 メダル貯留部
70 演出制御装置(促進報知手段)
93 メダルセレクタ
94 回収レール
95 払出流路部材(メダル流路)
951 返却メダル流入口
953 進入防止片(規制部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
賭数の設定後のスタート操作に基づき複数の図柄が表示された複数のリールを可変表示させてゲームを開始し、該複数のリールの停止操作により停止させたゲームの停止結果が入賞に対応する停止結果となったことに基づき遊技価値を付与するスロットマシンにおいて、
所定の計数条件が成立してから実行されたゲームの実行回数を計数する回数計数手段と、
前記回数計数手段により計数された実行回数が予め設定された規定回数に到達したことに基づき、遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生可能な特定遊技状態発生手段と、
前記スタート操作により開始されるゲームが予め定められた示唆条件を成立させるか否かを判定する条件成立判定手段と、
前記条件成立判定手段により示唆条件が成立すると判定されたことに基づき、複数種類の可変表示の開始態様の中から一の開始態様を選択する開始態様選択手段と、
前記開始態様選択手段により選択された可変表示の開始態様で前記複数のリールを可変表示させる可変表示手段と、を備え、
前記開始態様選択手段は、前記示唆条件成立時の前記実行回数に基づいて前記可変表示の開始態様の選択を異ならせることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記可変表示の開始態様は、前記実行回数が前記規定回数に到達するまでの残ゲーム回数に対応付けて複数設定されてなり、
前記開始態様選択手段は、前記回数計数手段により計数された実行回数により特定される前記残ゲーム回数に対応する可変表示の開始態様を選択することを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記回数計数手段により計数された前記実行回数を電源断時においても記憶保持することが可能な記憶手段を備え、
前記条件成立判定手段は、少なくとも当該スロットマシンへ電源が投入されてから最初に実行される1ゲーム目である場合に、前記示唆条件が成立したと判定し、
前記開始態様選択手段は、前記記憶手段に記憶された前記実行回数に基づいて前記1ゲーム目の前記可変表示の開始態様を選択することを特徴とする請求項1または2に記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記条件成立判定手段は、前記開始態様選択手段により選択される可変表示の開始態様が切り替わる前記実行回数において実行されるゲームである場合に、前記示唆条件が成立したと判定することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のスロットマシン。
【請求項5】
前記示唆条件を成立させるゲームの実行前に前記可変表示の開始態様に注目することを促す注意喚起報知を行うことが可能な注意喚起報知手段を備えたことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のスロットマシン。
【請求項6】
前記ゲームの実行毎に入賞に当選したか否かを抽選することが可能な抽選手段と、
前記抽選手段による入賞の当選確率の設定値を切り替え設定することが可能な確率設定手段と、
当該スロットマシンへの電源投入に基づき、複数のリールにより表示される表示出目を予め定められた複数種類の表示出目の中から選択する出目選択手段と、
前記出目選択手段により選択された表示出目となるように複数のリールを自動的に可変表示させてから停止させる出目導出手段と、を備え、
前記出目選択手段は、前記確率設定手段により設定された設定値に基づいて、前記表示出目を選択することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のスロットマシン。
【請求項7】
前記複数種類の表示出目は、前記設定値毎に選択割合が異なるように設定され、
前記出目選択手段は、前記確率設定手段により設定された設定値に対応する選択割合で複数種類の表示出目の中から一の表示出目を選択することを特徴とする請求項6に記載のスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2013−13583(P2013−13583A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148740(P2011−148740)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】