説明

ズームレンズ、撮像装置、ズームレンズの製造方法

【課題】小型で、バックフォーカスが小さく、良好な光学性能を有するズームレンズ等を提供する。
【解決手段】物体側から順に、負の屈折力を有する前群G1と、正の屈折力を有する後群G2とを有し、前群G1と後群G2との間の空気間隔を変化させることによって変倍を行い、前群G1は、1枚の負レンズと1枚の正レンズとを少なくとも有し、後群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群LAと、負の屈折力を有する第2部分群LBと、正の屈折力を有する第3部分群LCと、負レンズLDとを有し、所定の条件式を満足することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、フィルムカメラ、ビデオカメラ等の撮影光学系に最適なズームレンズ、撮像装置、ズームレンズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型で構成枚数の少ないズームレンズが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−330773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来のズームレンズは、十分に小型化が達成されたものではなかった。このため、小型化を図りながら、非点収差、像面湾曲、コマ収差、球面収差の補正に有利なレンズタイプのズームレンズが求められていた。
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、小型で、バックフォーカスが小さく、良好な光学性能を有するズームレンズ、撮像装置、ズームレンズの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、
物体側から順に、負の屈折力を有する前群と、正の屈折力を有する後群とを有し、
前記前群と前記後群との間の空気間隔を変化させることによって変倍を行い、
前記前群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズとを少なくとも有し、
前記後群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、負の屈折力を有する第2部分群と、正の屈折力を有する第3部分群と、負レンズとを有し、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズを提供する。
0.00<(r2−r1)/(r2+r1)<1.00
0.10<BFw/fw<2.00
0.90<f2/fw<5.00
ただし、
r1 :前記後群中の前記負レンズの物体側のレンズ面の曲率半径
r2 :前記後群中の前記負レンズの像側のレンズ面の曲率半径
fw :広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系の焦点距離
BFw:広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系のバックフォーカス
f2 :前記後群の焦点距離
【0006】
また本発明は、
前記ズームレンズを備えたことを特徴とする撮像装置を提供する。
また本発明は、
物体側から順に、負の屈折力を有する前群と、正の屈折力を有する後群とを有するズームレンズの製造方法であって、
前記前群が、1枚の負レンズと1枚の正レンズとを少なくとも有するようにし、
前記後群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、負の屈折力を有する第2部分群と、正の屈折力を有する第3部分群と、負レンズとを有するようにし、
前記前群及び前記後群が以下の条件式を満足するようにし、
前記前群と前記後群との間の空気間隔を変化させることによって変倍を行うようにすることを特徴とするズームレンズの製造方法を提供する。
0.00<(r2−r1)/(r2+r1)<1.00
0.10<BFw/fw<2.00
0.90<f2/fw<5.00
ただし、
r1 :前記後群中の前記負レンズの物体側のレンズ面の曲率半径
r2 :前記後群中の前記負レンズの像側のレンズ面の曲率半径
fw :広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系の焦点距離
BFw:広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系のバックフォーカス
f2 :前記後群の焦点距離
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小型で、バックフォーカスが小さく、良好な光学性能を有するズームレンズ、撮像装置、ズームレンズの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願の第1実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
【図2】(a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
【図3】本願の第2実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
【図4】(a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
【図5】本願の第3実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
【図6】(a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
【図7】本願の第4実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
【図8】(a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
【図9】本願の第5実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
【図10】(a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第5実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
【図11】本願の第6実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
【図12】(a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第6実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
【図13】本願のズームレンズを備えたカメラの構成を示す図である。
【図14】本願のズームレンズの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願のズームレンズ、撮像装置、ズームレンズの製造方法について説明する。
本願のズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する前群と、正の屈折力を有する後群とを有し、前記前群と前記後群との間の空気間隔を変化させることによって変倍を行い、前記前群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズとを少なくとも有し、前記後群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、負の屈折力を有する第2部分群と、正の屈折力を有する第3部分群と、負レンズとを有し、以下の条件式(1)〜(3)を満足することを特徴とする。
(1) 0.00<(r2−r1)/(r2+r1)<1.00
(2) 0.10<BFw/fw<2.00
(3) 0.90<f2/fw<5.00
ただし、
r1 :前記後群中の前記負レンズの物体側のレンズ面の曲率半径
r2 :前記後群中の前記負レンズの像側のレンズ面の曲率半径
fw :広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系の焦点距離
BFw:広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系のバックフォーカス(なお、前記ズームレンズにおいて最も像側に位置するレンズと像面との間に、オプティカルローパスフィルタ又は代替光学フィルタが挿入されている場合には、これを取り除いてバックフォーカスを計測する、即ち空気換算のバックフォーカスを計算するものとする。)
f2 :前記後群の焦点距離
【0010】
一般に、前群と後群からなるズームレンズにおいて、広角域から標準域、そして望遠域までの焦点距離をカバーするマスターレンズ群である後群の構成は、主点とバックフォーカスの関係より、物体側から順に正正負正の4つの部分群を基本とした変形トリプレット又はエルノスター型が主流であった。しかしながら近年では、ミラーレスタイプのデジタルカメラの開発により、バックフォーカスが小さく、射出瞳と像面との距離が十分に保たれており、さらに小型で構成枚数の少ないレンズタイプのズームレンズが望まれていた。
そこで本願のズームレンズは、後群が物体側から順に正負正負の4つの部分群を有する構成としている。この構成により、バックフォーカスを小さくし、射出瞳と像面との距離を十分に保ち、さらに構成枚数を少なくし、小型化を達成することができる。また、球面収差、コマ収差、像面湾曲、及び非点収差を良好に補正することができ、良好な光学性能を達成することができる。
【0011】
上記条件式(1)は、本願のズームレンズの後群中の負レンズの形状因子(qファクタ)の逆数を規定するものである。1/qの値が0.00近傍になれば、当該負レンズが物体側のレンズ面の曲率と像側のレンズ面の曲率が極端に近いメニスカス形状になる。一方、1/qの値が1.00になれば、当該負レンズが物体側に凹面を向けた平凹レンズを越えて、両凹形状の負レンズになることを意味する。本願のズームレンズは、条件式(1)を満足することにより、射出瞳と像面との距離及びバックフォーカスを最適な値に設定することができ、また諸収差を良好に補正することができる。
【0012】
本願のズームレンズの条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、前述のように後群中の負レンズが両凹形状の負レンズになる。この場合、射出瞳と像面との距離及びバックフォーカスを最適な値に設定することができず、本願の目的を達成することができなくなってしまう。また、収差補正上は、特に像面湾曲、非点収差、及び広角端状態におけるコマ収差が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を0.80とすることがより好ましく、これによって諸収差をより良好に補正することができる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を0.70とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を0.60とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を0.30とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(1)の上限値を0.28とすることがより好ましい。
【0013】
一方、本願のズームレンズの条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、後群中の負レンズの屈折力が著しく小さくなる。このため、収差補正が困難になり、特にコマ収差、像面湾曲、非点収差、及び望遠端状態における球面収差が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を0.01とすることがより好ましく、これによって諸収差をより良好に補正することができる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を0.03とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を0.05とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(1)の下限値を0.08とすることがより好ましい。
【0014】
上記条件式(2)は、本願のズームレンズのバックフォーカスを規定するものである。本願のズームレンズは、条件式(2)を満足することにより、射出瞳と像面との距離及びバックフォーカスを最適な値に設定することができ、また諸収差を良好に補正することができる。
本願のズームレンズの条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、バックフォーカスが大きくなり、本願のズームレンズの小型化に反してしまうため好ましくない。また、望遠端状態における球面収差と広角端状態におけるコマ収差が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を1.80とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を1.50とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を1.40とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(2)の上限値を1.20とすることがより好ましい。
【0015】
一方、本願のズームレンズの条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、バックフォーカスが著しく小さくなり、射出瞳と像面との距離が小さくなってしまう。このことは、本願のズームレンズをデジタルカメラに使用する場合に好ましくない。また、像面湾曲、非点収差、及び広角端状態におけるコマ収差が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を0.40とすることがより好ましく、これによって諸収差をより良好に補正することができる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を0.50とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を0.80とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(2)の下限値を0.84とすることがより好ましい。
【0016】
上記条件式(3)は、後群の焦点距離、言い換えれば後群の屈折力を規定するものである。本願のズームレンズは、条件式(3)を満足することにより、後群の屈折力を適切に設定することができ、本願のズームレンズの大型化を招くことなく諸収差を良好に補正することができる。
本願のズームレンズの条件式(3)の対応値が上限値を上回ると、後群の焦点距離が大きくなり、即ち後群の屈折力が小さくなることを意味する。この場合、本願のズームレンズの大型化を招いてしまうため好ましくない。また、収差補正上はコマ収差が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を4.00とすることがより好ましく、これによって諸収差の補正に有利となる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を3.50とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を3.00とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を2.50とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(3)の上限値を2.00とすることがより好ましい。
【0017】
一方、本願のズームレンズの条件式(3)の対応値が下限値を下回ると、後群の焦点距離が小さくなり、即ち後群の屈折力が大きくなることを意味する。この場合、特にコマ収差、像面湾曲、非点収差、及び望遠端状態における球面収差が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を1.00とすることがより好ましく、これによって球面収差等の諸収差の補正に有利となる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を1.20とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を1.25とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(3)の下限値を1.30とすることがより好ましい。
【0018】
また、本願のズームレンズは、前記後群中の前記第3部分群が、1枚の正レンズ又は2枚のレンズからなることが望ましい。この構成により、本願のズームレンズは球面収差を良好に補正することが可能になる。
また、本願のズームレンズは、前記後群中の前記第3部分群が、前記2枚のレンズからなり、前記2枚のレンズは接合されていることが望ましい。この構成により、即ち第3部分群を接合正レンズのみで構成することにより、球面収差と色収差を良好に補正することができる。
また、本願のズームレンズは、前記後群中の前記第1部分群が、1枚の正レンズ又は2枚の正レンズからなることが望ましい。この構成により、本願のズームレンズは望遠端状態における球面収差を良好に補正することができる。
また、本願のズームレンズは、前記後群中の前記第2部分群が、1枚の負レンズ又は2枚のレンズからなることが望ましい。この構成により、本願のズームレンズは軸上色収差と球面収差を良好に補正することが可能になる。
【0019】
また、本願のズームレンズは、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4) 0.10<(−fd)/f2<6.00
ただし、
fd:前記後群中の前記負レンズの焦点距離
f2:前記後群の焦点距離
【0020】
条件式(4)は、後群中の負レンズの焦点距離、言い換えれば当該負レンズの屈折力を規定するものである。本願のズームレンズは、条件式(4)を満足することにより、後群中の負レンズの屈折力を適切に設定することができ、射出瞳と像面との距離及びバックフォーカスを最適な値に設定することができる。また、諸収差を良好に補正することができる。
本願のズームレンズの条件式(4)の対応値が上限値を上回ると、後群中の負レンズの焦点距離の絶対値が大きくなり、即ち当該負レンズの屈折力が小さくなる。このため、射出瞳と像面との距離及びバックフォーカスを最適な値に設定することができなくなってしまう。また、収差補正上は、当該負レンズの収差補正能力が低下し、コマ収差を十分に補正することができなくなってしまう。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を5.70とすることがより好ましく、これによって諸収差の補正に有利となる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を5.50とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を5.00とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(4)の上限値を4.60とすることがより好ましい。
【0021】
一方、本願のズームレンズの条件式(4)の対応値が下限値を下回ると、後群中の負レンズの焦点距離の絶対値が小さくなり、即ち当該負レンズの屈折力が大きくなる。このため、バックフォーカスが小さくなり過ぎ、また射出瞳が像面に対して近付き過ぎるため好ましくない。また、収差補正上はコマ収差、像面湾曲、及び非点収差が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.30とすることがより好ましく、これによって諸収差を良好に補正することができる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.80とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を1.00とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(4)の下限値を1.15とすることがより好ましい。
【0022】
また、本願のズームレンズは、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5) 0.10<fc/f2<3.00
ただし、
fc:前記後群中の前記第3部分群の焦点距離
f2:前記後群の焦点距離
【0023】
条件式(5)は、後群中の第3部分群の焦点距離、言い換えれば第3部分群の屈折力を規定するものである。本願のズームレンズは、条件式(5)を満足することにより、第3部分群の屈折力を適切に設定することができ、諸収差を良好に補正することができる。
本願のズームレンズの条件式(5)の対応値が上限値を上回ると、第3部分群の焦点距離が大きくなり、即ち第3部分群の正の屈折力が小さくなる。このため、ペッツバール和を最適な値に設定することができず、その結果、非点収差と像面湾曲が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を2.50とすることがより好ましく、これによって諸収差の補正に有利となる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を2.00とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を1.20とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(5)の上限値を1.10とすることがより好ましい。
【0024】
一方、本願のズームレンズの条件式(5)の対応値が下限値を下回ると、第3部分群の焦点距離が小さくなり、即ち第3部分群の正の屈折力が大きくなる。この場合、特に軸上色収差、コマ収差、及び望遠端状態における球面収差が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を0.20とすることがより好ましく、これによって諸収差を良好に補正することができる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を0.30とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を0.40とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(5)の下限値を0.60とすることがより好ましい。
【0025】
また、本願のズームレンズは、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6) 0.01<fa/f2<3.00
ただし、
fa:前記後群中の前記第1部分群の焦点距離
f2:前記後群の焦点距離
【0026】
条件式(6)は、後群中の第1部分群の焦点距離、言い換えれば第1部分群の屈折力を規定するものである。本願のズームレンズは、条件式(6)を満足することにより、第1部分群の屈折力を適切に設定することができ、諸収差を良好に補正することができる。
本願のズームレンズの条件式(6)の対応値が上限値を上回ると、第1部分群の焦点距離が大きくなり、即ち第1部分群の正の屈折力が小さくなる。このため、ペッツバール和を最適な値に設定することができず、その結果、非点収差と像面湾曲が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(6)の上限値を2.50とすることがより好ましく、これによって諸収差の補正に有利となる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(6)の上限値を2.00とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(6)の上限値を1.50とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(6)の上限値を1.00とすることがより好ましい。
【0027】
一方、本願のズームレンズの条件式(6)の対応値が下限値を下回ると、第1部分群の焦点距離が小さくなり、即ち第1部分群の正の屈折力が大きくなる。この場合、特にコマ収差、及び望遠端状態における球面収差が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(6)の下限値を0.05とすることがより好ましく、これによって諸収差を良好に補正することができる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(6)の下限値を0.10とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(6)の下限値を0.11とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(6)の下限値を0.12とすることがより好ましい。
【0028】
また、本願のズームレンズは、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7) 0.10<(−fb)/f2<4.00
ただし、
fb:前記後群中の前記第2部分群の焦点距離
f2:前記後群の焦点距離
【0029】
条件式(7)は、後群中の第2部分群の焦点距離、言い換えれば第2部分群の屈折力を規定するものである。本願のズームレンズは、条件式(7)を満足することにより、第2部分群の屈折力を適切に設定することができ、諸収差を良好に補正することができる。
本願のズームレンズの条件式(7)の対応値が上限値を上回ると、第2部分群の焦点距離の絶対値が大きくなり、即ち第2部分群の負の屈折力が小さくなる。このため、ペッツバール和を最適な値に設定することができず、その結果、非点収差と像面湾曲が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(7)の上限値を3.50とすることがより好ましく、これによって諸収差の補正に有利となる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(7)の上限値を3.00とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(7)の上限値を2.50とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(7)の上限値を2.40とすることがより好ましい。
【0030】
一方、本願のズームレンズの条件式(7)の対応値が下限値を下回ると、第2部分群の焦点距離の絶対値が小さくなり、即ち第2部分群の負の屈折力が大きくなる。この場合、特に軸上色収差、コマ収差、及び望遠端状態における球面収差が悪化してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(7)の下限値を0.20とすることがより好ましく、これによって諸収差を良好に補正することができる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(7)の下限値を0.40とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(7)の下限値を0.50とすることがより好ましい。また、本願の効果を最大限に発揮するために、条件式(7)の下限値を0.60とすることがより好ましい。
【0031】
また、本願のズームレンズは、前記第1部分群と前記第2部分群との間に開口絞りを有することが望ましい。この構成により、本願のズームレンズは非点収差と歪曲収差を良好に補正することが可能になる。
また、本願の撮像装置は、上述した構成のズームレンズを備えたことを特徴とする。これにより、小型で、バックフォーカスが小さく、良好な光学性能を有する撮像装置を実現することができる。
【0032】
また、本願のズームレンズの製造方法は、物体側から順に、負の屈折力を有する前群と、正の屈折力を有する後群とを有するズームレンズの製造方法であって、前記前群が、1枚の負レンズと1枚の正レンズとを少なくとも有するようにし、前記後群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、負の屈折力を有する第2部分群と、正の屈折力を有する第3部分群と、負レンズとを有するようにし、前記前群及び前記後群が以下の条件式(1)〜(3)を満足するようにし、前記前群と前記後群との間の空気間隔を変化させることによって変倍を行うようにすることを特徴とする。
(1) 0.00<(r2−r1)/(r2+r1)<1.00
(2) 0.10<BFw/fw<2.00
(3) 0.90<f2/fw<5.00
ただし、
r1 :前記後群中の前記負レンズの物体側のレンズ面の曲率半径
r2 :前記後群中の前記負レンズの像側のレンズ面の曲率半径
fw :広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系の焦点距離
BFw:広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系のバックフォーカス
f2 :前記後群の焦点距離
斯かる本願のズームレンズの製造方法により、小型で、バックフォーカスが小さく、良好な光学性能を有するズームレンズを製造することができる。
【0033】
以下、本願の数値実施例に係るズームレンズを添付図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1は本願の第1実施例に係るズームレンズの構成とズーム軌道を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する前群G1と、正の屈折力を有する後群G2とから構成されている。
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、樹脂層とガラス基板を複合してなる非球面を像側のレンズ面に備えた所謂複合型非球面レンズである。
後群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群LAと、開口絞りSと、負の屈折力を有する第2部分群LBと、正の屈折力を有する第3部分群LCと、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズLDとからなる。
【0034】
第1部分群LAは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL21と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とからなる。
第2部分群LBは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL23と両凹形状の負レンズL24との接合レンズのみからなる。
第3部分群LCは、両凸形状の正レンズL25のみからなる。
本実施例に係るズームレンズでは、前群G1と後群G2との間の空気間隔を変化させることによって、広角端状態から望遠端状態への変倍を行う。
【0035】
以下の表1に、本実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
表1において、fは焦点距離、BFはバックフォーカスを示す。
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面の順番、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面の間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、可変は可変の面間隔、(絞りS)は開口絞りS、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示している。また、面番号の左側に付された米印「*」は非球面を示している。
[非球面データ]には、[面データ]に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の円錐係数と非球面係数を示す。
X(y)=(y/r)/[1+{1−κ(y/r)}1/2]
+A4×y+A6×y+A8×y+A10×y10+A12×y12
ここで、光軸に垂直な方向の高さをy、高さyにおける光軸方向の変位量をX(y)、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をr、円錐係数をκ、n次の非球面係数をAnとする。なお、「E-n」は「×10-n」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10−5」を示す。
【0036】
[各種データ]において、FNOはFナンバー、ωは半画角(単位は「°」)、Yは像高、TLは光学系全長、Σdは最も物体側のレンズ面(第1面)から最も像側のレンズ面までの距離、d0は物体面から第1面までの距離、di(i:整数)は第i面の可変の面間隔、空気換算BFは空気換算のバックフォーカスをそれぞれ示す。なお、1-POSは広角端状態における無限遠物体合焦時、2-POSは中間焦点距離状態における無限遠物体合焦時、3-POSは望遠端状態における無限遠物体合焦時をそれぞれ示す。
ここで、表1に掲載されている焦点距離f、曲率半径r、及びその他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0037】
(表1)第1実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 330.5590 1.6000 1.883000 40.77
2) 17.0000 0.1000 1.495210 56.34
*3) 12.8400 8.7841 1.000000
4) 35.0398 3.5000 1.846660 23.78
5) 142.9846 可変 1.000000
6) 17.2242 3.5000 1.497820 82.56
7) -218.6039 0.1000 1.000000
8) 26.4177 2.0000 1.487490 70.45
9) 65.6239 2.0000 1.000000
10) (絞りS) ∞ 0.5000 1.000000
11) 15.9648 5.0000 1.497820 82.56
12) -20.6539 3.0000 1.883000 40.77
13) 13.6534 3.0738 1.000000
14) 27.9861 10.0000 1.497820 82.56
15) -24.9793 2.5000 1.000000
16) -10.4022 2.0000 1.516800 64.12
17) -14.0274 BF 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
第3面
κ = 0.6840
A4 = -5.08061E-05
A6 = -1.12876E-07
A8 = 4.89934E-12
A10 = -2.18843E-12
A12 = -0.24867E-14

[各種データ]
ズーム比 2.89

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50 〜 28.00 〜 53.40
FNO 3.60 〜 4.38 〜 5.88
ω 39.00 〜 27.15 〜 14.92°
Y 21.60 〜 21.60 〜 21.60
TL 100.59 〜 91.89 〜 99.39
Σd 82.55 〜 64.95 〜 48.65
BF 18.03 〜 26.94 〜 50.74

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50000 28.00000 53.40000
d0 ∞ ∞ ∞
d5 34.89578 17.29401 0.98991
BF 18.03301 26.93703 50.74357

[レンズ群データ]
群 始面 f
G1 1 -32.00000
G2 6 29.99249

[条件式対応値]
(1) (r2−r1)/(r2+r1) = 0.1484
(2) BFw/fw = 0.975
(3) f2/fw = 1.622
(4) (−fd)/f2 = 3.197
(5) fc/f2 = 0.943
(6) fa/f2 = 0.132
(7) (−fb)/f2 = 0.794

【0038】
図2(a)、図2(b)、及び図2(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
各収差図において、FNOはFナンバー、Yは像高、ωは半画角(単位は「°」)、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)をそれぞれ示す。なお、球面収差図では最大口径に対応するFナンバーの値を示し、非点収差図及び歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示している。また、非点収差図において実線はサジタル像面、点線はメリジオナル像面を示し、コマ収差図における実線はメリジオナルコマ収差を示す。なお、以下に示す各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
各収差図より、本実施例に係るズームレンズは、球面収差、像面湾曲、非点収差、及びコマ収差を含む諸収差を良好に補正し、優れた光学性能を有していることがわかる。
【0039】
(第2実施例)
図3は本願の第2実施例に係るズームレンズの構成とズーム軌道を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する前群G1と、正の屈折力を有する後群G2とから構成されている。
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両凹形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、樹脂層とガラス基板を複合してなる非球面を像側のレンズ面に備えた所謂複合型非球面レンズである。
後群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群LAと、開口絞りSと、負の屈折力を有する第2部分群LBと、正の屈折力を有する第3部分群LCと、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズLDとからなる。
【0040】
第1部分群LAは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とからなる。
第2部分群LBは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL23と両凹形状の負レンズL24との接合レンズのみからなる。
第3部分群LCは、両凸形状の正レンズL25のみからなる。
なお、本実施例において後群G2と像面Iとの間には、オプティカルローパスフィルタ相当のダミーガラスDGが配置されている。
本実施例に係るズームレンズでは、前群G1と後群G2との間の空気間隔を変化させることによって、広角端状態から望遠端状態への変倍を行う。
以下の表2に、本実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
【0041】
(表2)第2実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 55.0935 1.6000 1.772500 49.61
2) 16.0000 0.1000 1.495210 56.34
*3) 13.2240 11.0000 1.000000
4) -95.1749 1.8000 1.772500 49.61
5) 1148.7166 0.1000 1.000000
6) 32.5143 3.0000 1.846660 23.78
7) 73.8970 可変 1.000000
8) 22.0000 2.8000 1.497820 82.56
9) 3731.8937 0.1000 1.000000
10) 25.1558 2.3000 1.497820 82.56
11) 669.5875 2.0000 1.000000
12) (絞りS) ∞ 0.5000 1.000000
13) 17.0335 5.0000 1.497820 82.56
14) -33.4129 3.0000 1.883000 40.77
15) 14.3628 4.2400 1.000000
16) 29.0292 10.0000 1.516800 64.12
17) -31.2271 2.2000 1.000000
18) -10.9750 2.0000 1.772500 49.61
19) -14.0274 可変 1.000000
20) ∞ 2.0000 1.516800 64.12 ← ダミーガラスDG
21) ∞ 0.9460 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
第3面
κ = 0.1730
A4 = 1.67132E-05
A6 = -1.57854E-08
A8 = 6.41734E-10
A10 = -3.69637E-12
A12 = 0.72191E-14

[各種データ]
ズーム比 2.89

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50 〜 28.00 〜 53.40
FNO 3.59 〜 4.26 〜 5.86
ω 39.10 〜 27.28 〜 14.94°
Y 21.60 〜 21.60 〜 21.60
TL 105.59 〜 96.90 〜 104.40
Σd 104.65 〜 95.95 〜 103.45
空気換算BF 18.26 〜 27.17 〜 50.98

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50000 28.00000 53.40000
d0 ∞ ∞ ∞
d7 34.90737 17.30560 1.00149
d19 16.00000 24.90402 48.71056

[レンズ群データ]
群 始面 f
G1 1 -32.00000
G2 8 29.99249

[条件式対応値]
(1) (r2−r1)/(r2+r1) = 0.1221
(2) BFw/fw = 0.987
(3) f2/fw = 1.622
(4) (−fd)/f2 = 3.046
(5) fc/f2 = 1.029
(6) fa/f2 = 0.818
(7) (−fb)/f2 = 0.957

【0042】
図4(a)、図4(b)、及び図4(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
各収差図より、本実施例に係るズームレンズは、球面収差、像面湾曲、非点収差、及びコマ収差を含む諸収差を良好に補正し、優れた光学性能を有していることがわかる。
【0043】
(第3実施例)
図5は本願の第3実施例に係るズームレンズの構成とズーム軌道を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する前群G1と、正の屈折力を有する後群G2とから構成されている。
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、樹脂層とガラス基板を複合してなる非球面を像側のレンズ面に備えた所謂複合型非球面レンズである。
後群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群LAと、開口絞りSと、負の屈折力を有する第2部分群LBと、正の屈折力を有する第3部分群LCと、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズLDとからなる。
【0044】
第1部分群LAは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL21と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とからなる。
第2部分群LBは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL23と両凹形状の負レンズL24との接合レンズのみからなる。
第3部分群LCは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL25と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL26との接合レンズのみからなる。
本実施例に係るズームレンズでは、前群G1と後群G2との間の空気間隔を変化させることによって、広角端状態から望遠端状態への変倍を行う。
以下の表3に、本実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
【0045】
(表3)第3実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 192.4821 1.6000 1.883000 40.77
2) 17.0000 0.0500 1.495210 56.34
*3) 14.0120 8.4428 1.000000
4) 30.3318 3.5000 1.808090 22.79
5) 72.5178 可変 1.000000
6) 17.8809 3.5000 1.516800 64.12
7) -94.2081 0.1000 1.000000
8) 19.8773 2.0000 1.516800 64.12
9) 30.3413 2.0000 1.000000
10) (絞りS) ∞ 0.5000 1.000000
11) 17.2606 4.0000 1.518230 58.89
12) -18.9993 3.0000 1.834000 37.17
13) 13.4646 3.6127 1.000000
14) 29.2549 8.6302 1.497820 82.56
15) -19.8743 2.0000 1.772500 49.61
16) -24.7511 2.5000 1.000000
17) -10.9147 2.0000 1.516800 64.12
18) -14.0274 BF 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
第3面
κ = 0.4626
A4 = -2.54727E-05
A6 = 2.53790E-08
A8 = -3.22292E-10
A10 = 1.25143E-13
A12 = 0.00000

[各種データ]
ズーム比 2.89

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50 〜 28.00 〜 53.40
FNO 4.09 〜 4.15 〜 5.86
ω 40.00 〜 27.42 〜 14.96°
Y 21.60 〜 21.60 〜 21.60
TL 100.34 〜 91.64 〜 99.14
Σd 82.37 〜 64.77 〜 48.46
BF 17.97 〜 26.87 〜 50.68

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50000 28.00000 53.40000
d0 ∞ ∞ ∞
d5 34.93211 17.33034 1.02623
BF 17.97024 26.87426 50.68080

[レンズ群データ]
群 始面 f
G1 1 -32.00000
G2 6 29.99249

[条件式対応値]
(1) (r2−r1)/(r2+r1) = 0.1248
(2) BFw/fw = 0.971
(3) f2/fw = 1.622
(4) (−fd)/f2 = 4.062
(5) fc/f2 = 1.024
(6) fa/f2 = 0.763
(7) (−fb)/f2 = 0.816

【0046】
図6(a)、図6(b)、及び図6(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
各収差図より、本実施例に係るズームレンズは、球面収差、像面湾曲、非点収差、及びコマ収差を含む諸収差を良好に補正し、優れた光学性能を有していることがわかる。
【0047】
(第4実施例)
図7は本願の第4実施例に係るズームレンズの構成とズーム軌道を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する前群G1と、正の屈折力を有する後群G2と、負の屈折力を有するレンズ群G3とから構成されている。
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、樹脂層とガラス基板を複合してなる非球面を像側のレンズ面に備えた所謂複合型非球面レンズである。
後群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群LAと、開口絞りSと、負の屈折力を有する第2部分群LBと、正の屈折力を有する第3部分群LCと、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズLDとからなる。
【0048】
第1部分群LAは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL21と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とからなる。
第2部分群LBは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL23と両凹形状の負レンズL24との接合レンズのみからなる。
第3部分群LCは、両凸形状の正レンズL25のみからなる。
レンズ群G3は、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31のみからなる。
本実施例に係るズームレンズでは、前群G1と後群G2との間の空気間隔、及び後群G2とレンズ群G3との間の空気間隔をそれぞれ変化させることによって、広角端状態から望遠端状態への変倍を行う。
以下の表4に、本実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
【0049】
(表4)第4実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 131.6656 1.6000 1.883000 40.77
2) 16.0000 0.1000 1.495210 56.34
*3) 12.4224 7.9955 1.000000
4) 27.3779 3.5000 1.846660 23.78
5) 65.4766 可変 1.000000
6) 18.6423 3.5000 1.497820 82.56
7) -64.7904 0.1000 1.000000
8) 21.3192 2.0000 1.516800 64.12
9) 30.7902 2.0000 1.000000
10) (絞りS) ∞ 0.5000 1.000000
11) 16.7175 4.0000 1.518230 58.89
12) -18.8232 3.0000 1.834000 37.17
13) 15.1525 6.6162 1.000000
14) 45.0398 5.4451 1.497820 82.56
15) -20.8277 2.2000 1.000000
16) -11.5228 2.0000 1.516800 64.12
17) -17.8355 可変 1.000000
18) -98.0000 2.0000 1.620040 36.24
19) -100.0000 BF 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
第3面
κ = 0.3805
A4 = -2.43458E-05
A6 = -1.67367E-08
A8 = -1.81369E-10
A10 = -5.31979E-13
A12 = 0.00000

[各種データ]
ズーム比 2.89

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50 〜 28.00 〜 53.40
FNO 4.20 〜 4.70 〜 5.91
ω 38.99 〜 27.17 〜 14.94°
Y 21.60 〜 21.60 〜 21.60
TL 99.45 〜 90.58 〜 97.66
Σd 81.93 〜 73.06 〜 80.14
BF 17.53 〜 17.53 〜 17.53

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50000 28.00000 53.40000
d0 ∞ ∞ ∞
d5 34.94688 17.32145 0.99544
d17 0.42388 9.17840 32.58522
BF 17.52548 17.52548 17.52548

[レンズ群データ]
群 始面 f
G1 1 -32.00000
G2 6 29.75961
G3 18 -12802.71595

[条件式対応値]
(1) (r2−r1)/(r2+r1) = 0.2151
(2) BFw/fw = 0.947
(3) f2/fw = 1.609
(4) (−fd)/f2 = 2.373
(5) fc/f2 = 0.982
(6) fa/f2 = 0.798
(7) (−fb)/f2 = 0.988

【0050】
図8(a)、図8(b)、及び図8(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
各収差図より、本実施例に係るズームレンズは、球面収差、像面湾曲、非点収差、及びコマ収差を含む諸収差を良好に補正し、優れた光学性能を有していることがわかる。
【0051】
(第5実施例)
図9は本願の第5実施例に係るズームレンズの構成とズーム軌道を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する前群G1と、正の屈折力を有する後群G2とから構成されている。
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、樹脂層とガラス基板を複合してなる非球面を像側のレンズ面に備えた所謂複合型非球面レンズである。
後群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群LAと、開口絞りSと、負の屈折力を有する第2部分群LBと、正の屈折力を有する第3部分群LCと、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズLDとからなる。
【0052】
第1部分群LAは、両凸形状の正レンズL21のみからなる。
第2部分群LBは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL22と両凹形状の負レンズL23との接合レンズのみからなる。
第3部分群LCは、両凸形状の正レンズL24のみからなる。
なお、本実施例において後群G2と像面Iとの間には、オプティカルローパスフィルタ相当のダミーガラスDGが配置されている。
本実施例に係るズームレンズでは、前群G1と後群G2との間の空気間隔を変化させることによって、広角端状態から望遠端状態への変倍を行う。
以下の表5に、本実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
【0053】
(表5)第5実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 267.4602 1.6000 1.772500 49.61
2) 16.3000 0.1000 1.495210 56.34
*3) 12.5861 9.7200 1.000000
4) 30.7497 3.0000 1.846660 23.78
5) 66.1423 可変 1.000000
6) 17.3263 4.5000 1.497820 82.56
7) -77.9830 2.0000 1.000000
8) (絞りS) ∞ 0.5000 1.000000
9) 21.7485 5.0000 1.497820 82.56
10) -18.6324 3.0000 1.883000 40.77
11) 44.9690 7.1800 1.000000
12) 39.1634 10.0000 1.516800 64.12
13) -25.5283 2.2000 1.000000
14) -11.6910 2.0000 1.772500 49.61
15) -19.6965 可変 1.000000
16) ∞ 2.0000 1.516800 64.12 ← ダミーガラスDG
17) ∞ 1.2503 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
第3面
κ = 0.2806
A4 = -9.32529E-06
A6 = -1.72692E-07
A8 = 1.20597E-09
A10 = -5.18297E-12
A12 = 0.72191E-14

[各種データ]
ズーム比 2.89

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50 〜 28.00 〜 53.40
FNO 3.64 〜 4.24 〜 6.02
ω 39.19 〜 27.34 〜 14.99°
Y 21.60 〜 21.60 〜 21.60
TL 104.96 〜 96.26 〜 103.76
Σd 103.71 〜 95.00 〜 102.51
空気換算BF 18.57 〜 27.47 〜 51.28

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50000 28.00000 53.40000
d0 ∞ ∞ ∞
d5 34.90627 17.30450 1.00040
d15 16.00000 24.90402 48.71056

[レンズ群データ]
群 始面 f
G1 1 -32.00000
G2 6 29.99249

[条件式対応値]
(1) (r2−r1)/(r2+r1) = 0.2550
(2) BFw/fw = 1.004
(3) f2/fw = 1.622
(4) (−fd)/f2 = 1.393
(5) fc/f2 = 1.052
(6) fa/f2 = 0.964
(7) (−fb)/f2 = 2.344

【0054】
図10(a)、図10(b)、及び図10(c)はそれぞれ、本願の第5実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
各収差図より、本実施例に係るズームレンズは、球面収差、像面湾曲、非点収差、及びコマ収差を含む諸収差を良好に補正し、優れた光学性能を有していることがわかる。
【0055】
(第6実施例)
図11は本願の第6実施例に係るズームレンズの構成とズーム軌道を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する前群G1と、正の屈折力を有する後群G2とから構成されている。
前群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、樹脂層とガラス基板を複合してなる非球面を像側のレンズ面に備えた所謂複合型非球面レンズである。
後群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群LAと、負の屈折力を有する第2部分群LBと、正の屈折力を有する第3部分群LCと、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズLDとからなる。
【0056】
第1部分群LAは、物体側から順に、両凸形状の正レンズL21と、開口絞りSと、両凸形状の正レンズL22とからなる。
第2部分群LBは、両凹形状の負レンズL23のみからなる。
第3部分群LCは、両凸形状の正レンズL24のみからなる。
なお、本実施例において後群G2と像面Iとの間には、オプティカルローパスフィルタ相当のダミーガラスDGが配置されている。
本実施例に係るズームレンズでは、前群G1と後群G2との間の空気間隔を変化させることによって、広角端状態から望遠端状態への変倍を行う。
以下の表6に、本実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
【0057】
(表6)第6実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 190.8993 1.6000 1.772500 49.61
2) 16.3000 0.1000 1.495210 56.34
*3) 12.9064 9.7200 1.000000
4) 28.6032 3.0000 1.846660 23.78
5) 52.4143 可変 1.000000
6) 19.0492 4.5000 1.497820 82.56
7) -104.7049 2.0000 1.000000
8) (絞りS) ∞ 0.5000 1.000000
9) 19.5431 4.4000 1.497820 82.56
10) -60.6922 1.0000 1.000000
11) -31.0276 2.9500 1.902650 35.71
12) 42.3391 7.1000 1.000000
13) 31.5964 10.0000 1.516800 64.12
14) -22.6434 2.2000 1.000000
15) -11.9054 2.0000 1.772500 49.61
16) -21.5934 可変 1.000000
17) ∞ 2.0000 1.516800 64.12 ← ダミーガラスDG
18) ∞ 1.3787 1.000000
像面 ∞

[非球面データ]
第3面
κ = 0.6529
A4 = -2.48779E-05
A6 = -2.67059E-07
A8 = 1.63755E-09
A10 = -8.33713E-12
A12 = 0.72191E-14

[各種データ]
ズーム比 2.89

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50 〜 28.00 〜 53.40
FNO 3.66 〜 4.24 〜 5.88
ω 39.37 〜 27.41 〜 15.00°
Y 21.60 〜 21.60 〜 21.60
TL 105.35 〜 96.66 〜 104.16
Σd 103.98 〜 95.28 〜 102.78
空気換算BF 18.70 〜 27.60 〜 51.41

1-POS 2-POS 3-POS
f 18.50000 28.00000 53.40000
d0 ∞ ∞ ∞
d5 34.90578 17.30401 0.99991
d16 16.00000 24.90402 48.71056

[レンズ群データ]
群 始面 f
G1 1 -32.00000
G2 6 29.99249

[条件式対応値]
(1) (r2−r1)/(r2+r1) = 0.1484
(2) BFw/fw = 1.011
(3) f2/fw = 1.622
(4) (−fd)/f2 = 1.258
(5) fc/f2 = 0.908
(6) fa/f2 = 0.577
(7) (−fb)/f2 = 0.649

【0058】
図12(a)、図12(b)、及び図12(c)はそれぞれ、本願の第6実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
各収差図より、本実施例に係るズームレンズは、球面収差、像面湾曲、非点収差、及びコマ収差を含む諸収差を良好に補正し、優れた光学性能を有していることがわかる。
【0059】
以上の各実施例によれば、デジタルカメラ等の撮像装置に好適な、広角端状態における包括角2ωが78°を越え、F3.5〜5.6程度の口径を有し、構成枚数が少なく、バックフォーカスが小さく、球面収差、像面湾曲、非点収差、及びコマ収差を含む諸収差を良好に補正し、優れた光学性能を有する小型のズームレンズを実現することができる。
ここで、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。以下の内容は、本願のズームレンズの光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
本願のズームレンズの数値実施例として2群、3群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、4群、5群等)のズームレンズを構成することもできる。具体的には、本願のズームレンズの最も物体側や最も像側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは空気間隔で分離された少なくとも1枚のレンズを有する部分をいう。
【0060】
また、本願のズームレンズは、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、或いは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としてもよい。また、合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。特に、本願のズームレンズでは前群又は後群の少なくとも一部を合焦レンズ群とすることが好ましい。
また、本願のズームレンズにおいて、いずれかのレンズ群全体又はその一部を、防振レンズ群として光軸に直交する方向の成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることで、手ブレによって生じる像ブレを補正する構成とすることもできる。特に、本願のズームレンズでは後群の少なくとも一部を防振レンズ群とすることが好ましい。
【0061】
また、本願のズームレンズを構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
また、本願のズームレンズにおいて開口絞りは後群の内部又は近傍に配置されることが好ましく、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
また、本願のズームレンズを構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
また、本願のズームレンズは、変倍比が2〜5程度である。
【0062】
次に、本願のズームレンズを備えたカメラを図13に基づいて説明する。
図13は本願のズームレンズを備えたカメラの構成を示す図である。
本カメラ1は、撮影レンズ2として上記第1実施例に係るズームレンズを備えたデジタル一眼レフカメラである。
本カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、クイックリターンミラー3を介して焦点板4に結像される。そして焦点板4に結像されたこの光は、ペンタプリズム5中で複数回反射されて接眼レンズ6へ導かれる。これにより撮影者は、被写体像を接眼レンズ6を介して正立像として観察することができる。
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、不図示の被写体からの光は撮像素子7へ到達する。これにより被写体からの光は、当該撮像素子7によって撮像されて、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
【0063】
ここで、本カメラ1に撮影レンズ2として搭載した上記第1実施例に係るズームレンズは、その特徴的なレンズ構成により、小型で、バックフォーカスが小さく、良好な光学性能を有している。これにより本カメラ1は、小型化を図りながら良好な光学性能を実現することができる。なお、上記第2〜第6実施例に係るズームレンズを撮影レンズ2として搭載したカメラを構成しても、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。また、クイックリターンミラー3を有しない構成のカメラに上記各実施例に係るズームレンズを搭載した場合でも、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
【0064】
最後に、本願のズームレンズの製造方法の概略を図14に基づいて説明する。
図14は本願のズームレンズの製造方法を示す図である。
本願のズームレンズの製造方法は、物体側から順に、負の屈折力を有する前群と、正の屈折力を有する後群とを有するズームレンズの製造方法であって、以下のステップS1〜S4を含むものである。
ステップS1:前群が、1枚の負レンズと1枚の正レンズとを少なくとも有するようにする。
ステップS2:後群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、負の屈折力を有する第2部分群と、正の屈折力を有する第3部分群と、負レンズとを有するようにする。
【0065】
ステップS3:前群及び後群が以下の条件式(1)〜(3)を満足するようにして、前群及び後群を鏡筒内に配置する。
(1) 0.00<(r2−r1)/(r2+r1)<1.00
(2) 0.10<BFw/fw<2.00
(3) 0.90<f2/fw<5.00
ただし、
r1 :後群中の負レンズの物体側のレンズ面の曲率半径
r2 :後群中の負レンズの像側のレンズ面の曲率半径
fw :広角端状態における無限遠物体合焦時のズームレンズ全系の焦点距離
BFw:広角端状態における無限遠物体合焦時のズームレンズ全系のバックフォーカス
f2 :後群の焦点距離
【0066】
ステップS4:公知の移動機構を設ける等することで、前群と後群との間の空気間隔を変化させることによって変倍を行うようにする。
斯かる本願のズームレンズの製造方法によれば、小型で、バックフォーカスが小さく、良好な光学性能を有するズームレンズを製造することができる。
【符号の説明】
【0067】
G1 前群
G2 後群
LA 第1部分群
LB 第2部分群
LC 第3部分群
LD 負メニスカスレンズ
I 像面
S 開口絞り
W 広角端状態
T 望遠端状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の屈折力を有する前群と、正の屈折力を有する後群とを有し、
前記前群と前記後群との間の空気間隔を変化させることによって変倍を行い、
前記前群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズとを少なくとも有し、
前記後群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、負の屈折力を有する第2部分群と、正の屈折力を有する第3部分群と、負レンズとを有し、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
0.00<(r2−r1)/(r2+r1)<1.00
0.10<BFw/fw<2.00
0.90<f2/fw<5.00
ただし、
r1 :前記後群中の前記負レンズの物体側のレンズ面の曲率半径
r2 :前記後群中の前記負レンズの像側のレンズ面の曲率半径
fw :広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系の焦点距離
BFw:広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系のバックフォーカス
f2 :前記後群の焦点距離
【請求項2】
前記後群中の前記第3部分群は、1枚の正レンズ又は2枚のレンズからなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記後群中の前記第3部分群は、前記2枚のレンズからなり、前記2枚のレンズは接合されていることを特徴とする請求項2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記後群中の前記第1部分群は、1枚の正レンズ又は2枚の正レンズからなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記後群中の前記第2部分群は、1枚の負レンズ又は2枚のレンズからなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.10<(−fd)/f2<6.00
ただし、
fd:前記後群中の前記負レンズの焦点距離
f2:前記後群の焦点距離
【請求項7】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.10<fc/f2<3.00
ただし、
fc:前記後群中の前記第3部分群の焦点距離
f2:前記後群の焦点距離
【請求項8】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.01<fa/f2<3.00
ただし、
fa:前記後群中の前記第1部分群の焦点距離
f2:前記後群の焦点距離
【請求項9】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.10<(−fb)/f2<4.00
ただし、
fb:前記後群中の前記第2部分群の焦点距離
f2:前記後群の焦点距離
【請求項10】
前記第1部分群と前記第2部分群との間に開口絞りを有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のズームレンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
物体側から順に、負の屈折力を有する前群と、正の屈折力を有する後群とを有するズームレンズの製造方法であって、
前記前群が、1枚の負レンズと1枚の正レンズとを少なくとも有するようにし、
前記後群が、物体側から順に、正の屈折力を有する第1部分群と、負の屈折力を有する第2部分群と、正の屈折力を有する第3部分群と、負レンズとを有するようにし、
前記前群及び前記後群が以下の条件式を満足するようにし、
前記前群と前記後群との間の空気間隔を変化させることによって変倍を行うようにすることを特徴とするズームレンズの製造方法。
0.00<(r2−r1)/(r2+r1)<1.00
0.10<BFw/fw<2.00
0.90<f2/fw<5.00
ただし、
r1 :前記後群中の前記負レンズの物体側のレンズ面の曲率半径
r2 :前記後群中の前記負レンズの像側のレンズ面の曲率半径
fw :広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系の焦点距離
BFw:広角端状態における無限遠物体合焦時の前記ズームレンズ全系のバックフォーカス
f2 :前記後群の焦点距離

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−220827(P2012−220827A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88230(P2011−88230)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】